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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】薬包結合装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/093 20120101AFI20250307BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20250307BHJP
   A61J 1/03 20230101ALI20250307BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
B65B9/093
B65B1/30 C
A61J1/03 370
A61J3/00 310F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024153191
(22)【出願日】2024-09-05
【審査請求日】2024-09-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524332980
【氏名又は名称】株式会社沖宮工業
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖田 博紀
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-119258(JP,U)
【文献】実開昭49-008377(JP,U)
【文献】特開平05-132007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/30
B65B 9/093
A61J 1/03
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薬包連続体を結合する薬包結合装置であって、
一端に挿入口、他端に排出口を有し、封止部の向きを揃えた状態で重ねられた複数の薬包連続体を収容する収容溝と、
前記挿入口から前記収容溝に挿入された前記複数の薬包連続体を前記排出口側に向かって搬送する搬送機構と、
前記収容溝内の前記複数の薬包連続体の前記封止部を挟み込む一対のフィンガー部を有し、前記搬送機構による搬送動作と連動した前記一対のフィンガー部の開閉動作により、前記複数の薬包連続体の前記封止部を圧着する圧着機構とを備え
前記搬送機構は、前記複数の薬包連続体を厚み方向に重ねて保持する一対の押さえ部材を含み、
前記圧着機構は、前記一対の押さえ部材によって前記封止部が保持された状態において、前記一対のフィンガー部の開閉動作を行う、薬包結合装置。
【請求項2】
前記搬送機構は、前記一対の押さえ部材を開閉する開閉駆動手段と、前記一対の押さえ部材を前記収容溝に沿って往復移動させる移動駆動手段とを含み、
前記圧着機構は、前記一対のフィンガー部を閉状態として前記封止部を圧着した後、開状態とされた前記一対の押さえ部材が前記挿入口側に復帰するまでの期間、前記一対のフィンガー部の閉状態を維持する、請求項に記載の薬包結合装置。
【請求項3】
前記一対のフィンガー部の一方の対向面は、他方の対向面に向かって突出する少なくとも1つの凸部を有し、
前記一対のフィンガー部の前記他方の対向面は、前記凸部の荷重を受ける接触面を有する、請求項1に記載の薬包結合装置。
【請求項4】
前記接触面は、前記凸部よりも大きい幅寸法を有する凸部の先端面により構成されている、請求項に記載の薬包結合装置。
【請求項5】
前記圧着機構は、
前記一対のフィンガー部の一方に、回動可能に連結されたアーム部と、
前記一対のフィンガー部の他方に、回動可能に連結された連結部と、
前記アーム部および前記連結部を貫通する軸部を受け入れる長孔が形成された固定ブラケットと、
前記アーム部の基端部を上下移動させる昇降駆動手段とを含む、請求項1に記載の薬包結合装置。
【請求項6】
複数の薬包連続体を結合する薬包結合方法であって、
一端に挿入口、他端に排出口を有する収容溝に、封止部の向きを揃えた状態で重ねられた複数の薬包連続体を挿入するステップと、
前記収容溝に挿入された前記複数の薬包連続体を、一対の押さえ部材によって厚み方向に重ねて保持しながら、前記排出口側に向かって搬送するステップと、
前記一対の押さえ部材によって前記封止部が保持された状態において、一対のフィンガー部の開閉動作を行うことにより、前記収容溝内の前記複数の薬包連続体の前記封止部を挟み込んで圧着するステップとを含む、薬包結合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の薬包連続体を結合する薬包結合装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や調剤薬局で患者に提供される薬剤は、長尺の薬包連続体に1回服用分毎に区画されて包装されている。服用にあたっては、長尺の薬包連続体から1回服用分の薬包が切り離される。複数の薬剤を服用する場合は、切り離した分包が複数になる。
【0003】
処方された薬剤が複数ある場合に、誤飲、飲み忘れを防止するため、事前に、複数の薬包連続体を1回分ごとにステープラーやテープで綴じる作業が行われている。しかし、このような作業は手間であり、薬剤師や看護師に負担となっていた。また、ステープラーを用いる場合、針による怪我や薬包の破損といった問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、回転可能な第1ギアと第2ギアにより複数の薬包が綴じられるように構成された薬包綴じ機が、従来から提案されている(特開2020-195765号公報(特許文献1))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-195765号公報(特許第7401772号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の薬包綴じ機のように圧着ローラー(ギア)の噛み合いによって複数の薬包連続体を下流側へ連続的に送りながら圧着する構成では、作業者が手で引っ張らなければ薬包連続体にヨレや位置ずれが生じやすい。そのため、従来よりも手間を減らしながら、適切に複数の薬包連続体を結合できる技術が求められていた。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の薬包連続体を自動で適切に結合することのできる薬包結合装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従う薬包結合装置は、複数の薬包連続体を結合する薬包結合装置であって、一端に挿入口、他端に排出口を有し、封止部の向きを揃えた状態で重ねられた複数の薬包連続体を収容する収容溝と、挿入口から収容溝に挿入された複数の薬包連続体を排出口側に向かって搬送する搬送機構と、収容溝内の複数の薬包連続体の封止部を挟み込む一対のフィンガー部を有し、搬送機構による搬送動作と連動した一対のフィンガー部の開閉動作により、複数の薬包連続体の封止部を圧着する圧着機構とを備える。
【0009】
搬送機構は、複数の薬包連続体を厚み方向に重ねて保持する一対の押さえ部材を含み、圧着機構は、一対の押さえ部材によって封止部が保持された状態において、一対のフィンガー部の開閉動作を行う。
【0010】
搬送機構は、一対の押さえ部材を開閉する開閉駆動手段と、一対の押さえ部材を収容溝に沿って往復移動させる移動駆動手段とを含み、圧着機構は、一対のフィンガー部を閉状態として封止部を圧着した後、開状態とされた一対の押さえ部材が挿入口側に復帰するまでの期間、一対のフィンガー部の閉状態を維持する。
【0011】
一対のフィンガー部の一方の対向面は、他方の対向面に向かって突出する少なくとも1つの凸部を有し、一対のフィンガー部の他方の対向面は、凸部の荷重を受ける接触面を有する。
【0012】
接触面は、凸部よりも大きい幅寸法を有する凸部の先端面により構成されている。
【0013】
圧着機構は、一対のフィンガー部の一方に、回動可能に連結されたアーム部と、一対のフィンガー部の他方に、回動可能に連結された連結部と、アーム部および連結部を貫通する軸部を受け入れる長孔が形成された固定ブラケットと、アーム部の基端部を上下移動させる昇降駆動手段とを含む。
【0014】
この発明のある局面に従う薬包結合方法は、複数の薬包連続体を結合する薬包結合方法であって、一端に挿入口、他端に排出口を有する収容溝に、封止部の向きを揃えた状態で重ねられた複数の薬包連続体を挿入するステップと、収容溝に挿入された複数の薬包連続体を、排出口側に向かって搬送するステップと、一対のフィンガー部の開閉動作により、収容溝内の複数の薬包連続体の封止部を挟み込んで圧着するステップとを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の薬包連続体を自動で適切に結合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る薬包結合装置の要部を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る薬包結合装置の要部を模式的に示す上面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る薬包結合装置の要部を模式的に示す側面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る薬包結合装置の要部を模式的に示す縦断面図である。
図5】本発明の実施の形態における圧着機構の要部を拡大して示す正面図である。
図6】本発明の実施の形態における圧着機構の要部を拡大して示す上面図である。
図7】本発明の実施の形態における圧着機構に搭載された一対のフィンガー部を分離して示した平面図である。
図8】一対のフィンガー部のそれぞれに形成された爪部(凸部)の形状例を示す断面図である。
図9】一対のフィンガー部によって複数の薬包連続体の封止部が圧着される様子を模式的に示す断面図である。
図10】本発明の実施の形態に係る連続圧着処理を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態に係る連続圧着処理時における一対の押さえ部材の作動状態と一対のフィンガー部の作動状態の変化を模式的に示す図である。
図12】本発明の実施の形態に係る連続圧着処理による薬包連続体の圧着箇所を模式的に示す図である。
図13】本発明の実施の形態における爪部(凸部)の比較例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
<概略構成>
図1および図2を参照して、本発明の実施の形態に係る薬包結合装置1の概略構成について説明する。図1は、薬包結合装置1の要部を示す正面図であり、図2は、薬包結合装置1の要部を示す上面図である。各図において、正面から見た薬包結合装置1の横幅方向(左右方向)をx方向、正面から見た薬包結合装置1の奥行方向をy方向、高さ方向をz方向で表している。なお、図1および図2では、図面が煩雑となることを避けるために、圧着機構4を簡略化して示している。
【0019】
薬包連続体9は、複数の分包90を縦の切り取り線9bで区切った長尺の薬包(分包紙)であり、典型的には、ポリエチレンなどの樹脂製シートにより形成されている。薬包連続体9の長辺の一つに、封止部9aが設けられている。各図において、薬包連続体9の各々を区別する必要がない場合や、結合した薬包連続体9を示す場合、薬包連続体9を太線で示す。図2では、2枚の薬包連続体9を結合する例を示している。
【0020】
薬包結合装置1は、主に、封止部9aの向きを揃えた状態で重ねられた複数の薬包連続体9を収容する収容溝2と、複数の薬包連続体9を収容溝2の長手方向(x方向)に沿って搬送する搬送機構3と、収容溝2内の複数の薬包連続体9の封止部9aを圧着する圧着機構4とを備えている。
【0021】
収容溝2は、x方向に沿って延在する底面部および一対の側面部により構成されており、長手方向一端に挿入口2a、他端に排出口2bを有している。収容溝2は、複数の薬包連続体9を立てて収納できる溝幅を有している。収容溝2の高さ寸法は、薬包連続体9の縦寸法よりも小さく、薬包連続体9の封止部9aが収容溝2の上端開口から上方にはみ出る。収容溝2の長手寸法(x方向長さ)は、複数の分包90を収容できる長さであり、たとえば5個以上の分包90を収容可能である。
【0022】
搬送機構3は、挿入口2aから収容溝2に挿入された複数の薬包連続体9を排出口2b側に向かって搬送する。搬送機構3は、複数の薬包連続体9を厚み方向に重ねて保持する一対の押さえ部材31を有しており、押さえ部材31で保持した薬包連続体9を下流側へ搬送する。なお、各図において、薬包連続体9の搬送方向(下流側)を矢印Aで示している。また、正面から見た奥側を矢印Bで示している。
【0023】
圧着機構4は、収容溝2内の複数の薬包連続体9の封止部9aを挟み込む一対のフィンガー部41を有し、搬送機構3による搬送動作と連動した一対のフィンガー部41の開閉動作により、複数の薬包連続体9の封止部9aを圧着する。一対のフィンガー部41は、挟持部材40を構成し、収容溝2の上方空間においてy方向に隣り合って配置されている。図1では、一対のフィンガー部41のx方向における配置位置を、複数の薬包連続体9の圧着位置Pとして示している。
【0024】
後述するように、一対のフィンガー部41の下端部に、互いに対面する爪部51,52がそれぞれ形成されている。薬包結合装置1は、搬送機構3により複数の薬包連続体9を下流側へ間欠的に移送しながら、圧着位置Pにおいて一対のフィンガー部41を開閉することにより、複数の薬包連続体9の封止部9aを断続的に圧着し、複数の薬包連続体9を結合する(一体化する)。
【0025】
以下に、搬送機構3および圧着機構4の具体的な構成例について説明する。
【0026】
<搬送機構の構成例>
図3をさらに参照して、搬送機構3の構成例について説明する。図3は、薬包結合装置1の要部の側面図であり、図1のIII方向から見た薬包結合装置1を模式的に示す。なお、図3では、理解を容易にする目的で、設置台81を含む固定要素(動かない要素)をグレー色にて示す。後述の図4図6も同様である。
【0027】
搬送機構3は、複数の薬包連続体9を厚み方向に重ねて保持する一対の押さえ部材31と、一対の押さえ部材31を開閉するアクチュエータ(以下「クランプ用アクチュエータ」という)34と、一対の押さえ部材31を収容溝2に沿ってスライド移動(往復移動)させるアクチュエータ(以下「スライド用アクチュエータ」という)33とを含む。
【0028】
一対の押さえ部材31は、収容溝2よりも若干上方に位置し、かつ、一対のフィンガー部41よりも若干下方に位置する。これにより、収容溝2から上方にはみ出た封止部9aの下部(封止部9aよりも若干下方であってもよい)が、一対の押さえ部材31によって保持される。なお、一対の押さえ部材31の対向面(互いに向き合う面)は、典型的にはフラットな垂直面により構成されている。押さえ部材31は、典型的には金属製である。本実施の形態における押さえ部材31は、x方向に長く、水平配置された板状部材により構成されている。
【0029】
図1および図2に示すように、一対の押さえ部材31は、圧着位置P(一対のフィンガー部41の配置位置)に重なってx方向に延在していることが望ましい。具体的には、各押さえ部材31のx方向長さは、複数の分包90に跨る長さであることが望ましい。これにより、収容溝2に立てて収容された複数の薬包連続体9のヨレを防止し、複数の薬包連続体9の姿勢を適切に保つことができる。
【0030】
一対の押さえ部材31の一方(奥側の押さえ部材31)の両端部に、第1部材321が連結されている。一対の押さえ部材31の他方(手前側の押さえ部材31)の両端部に、第2部材322が連結されている。クランプ用アクチュエータ34は、開閉駆動手段として機能し、第1部材321および第2部材322を介して、一対の押さえ部材31を開閉する。なお、クランプ用アクチュエータ34は、たとえば、エアシリンダなどの流体圧シリンダや、電動アクチュエータなどにより構成され得る。
【0031】
本実施の形態では、クランプ用アクチュエータ34がx方向両側に設けられており、クランプ用アクチュエータ34を搭載した一対の支持部材323が、連結部材324により連結されている。
【0032】
スライド用アクチュエータ33は、移動駆動手段として機能し、連結部材324をx方向に沿って往復移動させることで、一対の押さえ部材31を下流側(排出口2b側)および上流側(挿入口2a側)の双方に移動させる。スライド用アクチュエータ33もまた、たとえば、エアシリンダなどの流体圧シリンダや、電動アクチュエータなどにより構成され得る。
【0033】
<圧着機構の構成例>
図4図6をさらに参照して、圧着機構4の構成例について説明する。図4は、薬包結合装置1の要部の縦断面図であり、図4(A)に開状態のフィンガー部41を示し、(B)に閉状態のフィンガー部41を示す。図5は、圧着機構4の要部を拡大して示す正面図である。図6は、圧着機構4の要部を拡大して示す上面図である。なお、図4の断面は図1のIV-IV線に沿う断面に相当する。
【0034】
図3および図4を参照して、本実施の形態の圧着機構4は、一対のフィンガー部41の一方(奥側のフィンガー部41a)の上端部に、回動可能に連結されたアーム部42と、一対のフィンガー部41の他方(手前側のフィンガー部41b)の上端部に、回動可能に連結された連結部43と、アーム部42および連結部43を貫通する軸部44を受け入れる長孔450が形成された固定ブラケット45と、アーム部42の基端部421を上下移動させるアクチュエータ(以下「昇降用アクチュエータ」という)46とを含む。固定ブラケット45は、収容溝2の裏側に位置する立壁(設置台81から立ち上がる壁部)82の上端部に固定されている。
【0035】
昇降用アクチュエータ46は、昇降駆動手段として機能し、アーム部42の基端部421を待機高さH1と作動高さH2との間で上下移動させる。アーム部42は、y方向に延在する水平アームである。本実施の形態では、昇降用アクチュエータ46は、アーム部42の基端部421に連結された昇降ロッド461およびシリンダ462を含むエアシリンダにより構成される。
【0036】
アーム部42の基端部421には、昇降ロッド461の上端部463を貫通するピン464を受け入れる円弧状の長孔422が形成されている。これにより、基端部421の上下位置に関わらず、アーム部42の先端部のy方向位置を固定することができる。なお、昇降用アクチュエータ46は、エア以外の流体を用いた流体圧シリンダであってもよいし、電動アクチュエータなどにより構成されてもよい。
【0037】
各フィンガー部41は、所定の厚みを有する板状部材により形成され、板厚方向がx方向に一致するように配置されている。図4(A),(B)に示すように、一対のフィンガー部41の内側面(対向面)の下端部には、開状態のときに互いに離間し、閉状態のときに互いに接触する爪部51,52が形成されている。アーム部42の基端部421が待機高さH1に位置するときに、爪部51,52が離間した開状態となり、アーム部42の基端部421が作動高さH2に位置するときに、爪部51,52が接触した閉状態となる。本実施の形態では、作動高さH2が待機高さH1よりも上方である。
【0038】
以下の説明において、一対のフィンガー部41の各々を区別する必要がある場合には、奥側のフィンガー部41を第1フィンガー部41a、手前側のフィンガー部41を第2フィンガー部42bという。なお、爪部51,52の詳細については後述する。
【0039】
図5および図6に示すように、x方向に延びる軸部44の両端部が、一対の固定ブラケット45により上下移動可能に支持されている。アーム部42の先端部は二股状に形成されており、当該二股部423および第1フィンガー部41aの上端部が、x方向に延びるピン61により連結されている。第2フィンガー部41bの上端部と、第2フィンガー部41bを挟んで両側に位置する一対の連結部43とが、x方向に延びるピン62により連結されている。また、第1フィンガー部41aの上下方向中央部、および、第2フィンガー部41bの上下方向中央部の各々は、x方向に延びるピン63によって両側の固定ブラケット45に連結されている。
【0040】
昇降用アクチュエータ46の昇降ロッド461を上下方向(垂直方向)に進退させることにより、アーム部42および連結部43を含むリンク機構(スライダークランク機構)を介して、一対のフィンガー部41の下端部をy方向に開閉することができる。フィンガー部41、アーム部42、連結部43、および固定ブラケット45は、金属など、剛性を有する部材により形成されている。
【0041】
<フィンガー部の構成例>
図7および図8を参照して、第1フィンガー部41aおよび第2フィンガー部41bの構成例について説明する。図7は、挟持部材40を構成する第1フィンガー部41aおよび第2フィンガー部41bを分離して示した平面図(x方向に見た図)である。図7では、閉状態のときの第1フィンガー部41aおよび第2フィンガー部41bの姿勢(以下「作動姿勢」という)を実線で示し、開状態のときの第1フィンガー部41aおよび第2フィンガー部41bの姿勢(以下「待機姿勢」という)を想像線で示す。なお、図7では、便宜上、両者の間隔を拡大して示している。図8(A)は、第1フィンガー部41aの爪部51の形状例を示す断面図であり、図7のVIIIA-VIIIA線に沿う断面を示す。図8(B)は、第2フィンガー部41bの爪部52の形状例を示す断面図であり、図7のVIIIB-VIIIB線に沿う断面を示す。
【0042】
図7に示すように、第1フィンガー部41aおよび第2フィンガー部41bの上端部には、板厚方向に貫通する丸穴411が設けられている。丸穴411は、上述のピン61,62を通す穴である。第1フィンガー部41aおよび第2フィンガー部41bの中央部にも、板厚方向に貫通する丸穴412が設けられている。丸穴412は、上述のピン63を通す穴である。第1フィンガー部41aおよび第2フィンガー部41bは、設置状態において収容溝2の長手方向に見たときに(板厚方向に見て)、略左右対称に形成されている。第1フィンガー部41aおよび第2フィンガー部41bは、中央部の丸穴412の位置を回転中心として左右対称に回動する。第1フィンガー部41aおよび第2フィンガー部41bは、開閉アームとして機能する。第1フィンガー部41aの内側面および第2フィンガー部41bの内側面は、対向面413を構成する。
【0043】
図8(A)に示すように、第1フィンガー部41aの対向面413の下端部に、相手側(第2フィンガー部41bの対向面413)に向かって突出する爪部(凸部)51が設けられている。図8(B)に示すように、第2フィンガー部41bの対向面413の下端部にも、相手側(第1フィンガー部41aの対向面413)に向かって突出する爪部(凸部)52が設けられている。本実施の形態では、爪部51が、第1フィンガー部41aの厚み範囲内に縦向きで2個設けられている。爪部52もまた、第2フィンガー部41bの厚み範囲内に縦向きで2個設けられている。
【0044】
図7に示すように、爪部51は、対向面413の下端部の基準面53から一定高さおよび一定幅で水平方向に突出している。2個の爪部51は、左右方向(x方向)に離間している。爪部52は、対向面413の下端部の基準面54から一定高さおよび一定幅で水平方向に突出している。2個の爪部52は、左右方向(x方向)に離間している。爪部51,52の高さL1は、同一であり、一例として4mmである。
【0045】
爪部51,52の基準面53,54からの突出寸法は、同一であってよく、たとえば1.5mm以上である。本実施の形態では、爪部51,52の突出寸法が2mmに設定されている。爪部51の幅寸法W11は、爪部52の幅寸法W12よりも大きい。細い方の爪部52の幅寸法W12は、2mm未満であり、1.5mm未満であることが望ましく、1.2mm未満であることがより望ましい。太い方の爪部51の幅寸法W11は、爪部52の幅寸法W12の1.5倍以上であることが望ましい。本実施の形態では、爪部52の幅寸法W12が1mmであり、爪部51の幅寸法W11が2mmmに設定されている。
【0046】
なお、爪部51,52の断面形状は、図示されるような矩形形状に限定されず、たとえば先端側が先細りとなる台形形状であってもよい。この場合、各幅寸法W11,W12は、先端面(接触面)の幅寸法を表わすものとする。
【0047】
フィンガー部41a,41b本体の厚み寸法Tは5mm以上であることが望ましく、本実施の形態では6mmに設定されている。この場合、第1フィンガー部41aの2つの爪部51間の間隔(基準面53の幅寸法)W12は、たとえば2mmであり、第2フィンガー部41bの2つの爪部52間の間隔(基準面54の幅寸法)W22は、たとえば3mmである。なお、爪部51の幅中心と爪部52の幅中心とが一致するように、間隔W12,W22が定められていればよい。各基準面53,54は、各フィンガー部41a,41bの内側面(対向面413)と面一状であってよい。
【0048】
基準面53,54、および、爪部51,爪部52の先端面(接触面)510,520は、作動姿勢のときに略垂直となる。これにより、一対のフィンガー部41を開状態から閉状態にした場合に、細い爪部52の押圧力が、太い爪部51の先端面510で受け止められ、図9に示すように、重ねられた複数の封止部9aに細い爪部52がめり込む(食い込む)。このようにして、封止部9aのめり込み箇所が部分的に損傷することにより、複数の封止部9a同士が結合する。太い方の爪部51の先端面510は、土台となり、細い方の爪部52の圧力を受け止める受圧面として機能する。また、受圧側の爪部51間の凹部が、爪部52が封止部9aにめり込む際の逃げ部として機能するため、圧着仕上がりを良好にすることができる。
【0049】
<機能構成>
図3を参照して、薬包結合装置1の機能構成について説明する。
【0050】
薬包結合装置1は、上述の昇降用アクチュエータ46、スライド用アクチュエータ33、クランプ用アクチュエータ34と電気的に接続された制御部10を備えている。制御部10は、プロセッサおよびメモリを含むコンピュータにより構成される。制御部10は、エアコンプレッサ等とともに制御ボックスに収容される(図示せず)。
【0051】
制御部10は、所定のタイミングで、圧着機構4の昇降用アクチュエータ46、および、搬送機構3のスライド用アクチュエータ33およびクランプ用アクチュエータ34を作動することにより、薬包連続体9を下流側へ搬送しながら、爪部51,52による圧着処理を繰り返し実行する。つまり、制御部10は、薬包連続体9の封止部9aを、長手方向に沿って連続的に(間欠的に)圧着する「連続圧着処理」を実行する。
【0052】
制御部10はまた、図1に示す赤外線センサ71,72と電気的に接続されている。赤外線センサ71,72は収容溝2の側面部に設けられており、薬包連続体9の有無を検知する。上流側の赤外線センサ71は、押さえ部材31よりも上流(挿入口2a側)に位置し、下流側の赤外線センサ72は、押さえ部材31に重なる位置であって圧着位置Pの近傍に位置する。
【0053】
<連続圧着処理>
図10および図11を参照しながら、制御部10が実行する連続圧着処理について説明する。図10は、連続圧着処理を示すフローチャートである。図11は、連続圧着処理時における一対の押さえ部材31の作動状態と一対のフィンガー部41の作動状態の変化を模式的に示す図である。なお、図11では、各押さえ部材31の両端部のみ図示している。また、複数の薬包連続体9を1本の太線で示す。
【0054】
はじめに、作業者(薬剤師など)が、電源をONにした後、封止部9aを上向きにして重ねた複数の薬包連続体9を、収容溝2の挿入口2a側から一対の押さえ部材31間に挿入する。なお、連続圧着処理の開始時、一対の押さえ部材31および一対のフィンガー部41はいずれも開状態であり、一対の押さえ部材31がx方向において原点位置に位置するものとする。
【0055】
制御部10は、上流側の赤外線センサ71からの信号により、薬包連続体9の挿入を検知すると(ステップS1にてYES)、搬送機構3を作動して、薬包連続体9を下流側へ移送する(ステップS2)。具体的には、クランプ用アクチュエータ34を駆動して一対の押さえ部材31を閉状態にするとともに、スライド用アクチュエータ33を駆動して一対の押さえ部材31を下流側へスライド移動させる。このとき、後述するように、一対の押さえ部材31を往復移動させながら、薬包連続体9を下流側へ搬送してもよい。
【0056】
薬包連続体9の一包目が圧着位置Pまで到達したと仮定すると、制御部10は、圧着機構4の昇降用アクチュエータ46を駆動して一対のフィンガー部41を閉じることにより、一包目の封止部9aを一対の爪部51,52により圧着する(ステップS3)。このとき、制御部10の制御により、圧着機構4は、図11(A)に示すように一対の押さえ部材31によって封止部9a(またはその下方)が保持された状態において、一対のフィンガー部41の開閉動作を行う。これにより、複数の薬包連続体の姿勢を適切に保ったままで、複数枚の封止部9aを圧着することができる。
【0057】
なお、一対のフィンガー部41を閉じることで爪部52の先端面520が受ける荷重の大きさは、結合対象の薬包連続体の材質や枚数に応じて定めてよい。本実施の形態では、昇降用アクチュエータ46のエア圧0.2~0.3kg、600kgの推力とすることで、先端面520が受ける荷重が凡そ1トンとなるように調整した。これにより、枚数の多少に関わらず、封止部9aを良好に圧着することができる。
【0058】
一回目の圧着処理が終わると、制御部10は、図11(B)に示すように、一対のフィンガー部41を開状態とし、図11(C)に示すように、薬包連続体9を所定距離だけ下流側にずらす。薬包連続体9の移送、および、爪部51,52による圧着は、下流側の赤外線センサ72により薬包連続体9が検知されなくなるまで、繰り返し実行される(ステップS4にてNO)。
【0059】
本実施の形態によれば、位置ずれが生じることなく複数の薬包連続体9を下流側へ自動で搬送することできるため、作業者が薬包連続体9を手で引っ張ったりしなくても、綺麗な状態で複数の薬包連続体9を結合させることができる。
【0060】
なお、爪部51,52の個数が少なく、全体の接触幅が比較的小さい場合、分包90ごとの圧着回数を複数回としてもよい。つまり、図12(A)に示すように、各包90の封止部9aの圧着箇所Cを複数箇所としてもよい。各圧着箇所Cには、爪部51の個数分(2個)の縦線状の跡92が付く。また、図12(B)に示すように、部分的に圧着箇所Cを重ならせて、結合度合を高めてもよい。爪部51,52の個数が多く、全体の接触幅が比較的大きいような場合、図12(C)に示すように、各包90の封止部9aの圧着箇所Cを1箇所としてもよい。
【0061】
図11(D)に示すように爪部51,52による圧着処理が完了した後、一対の押さえ部材31による保持位置を変更する際(押さえ部材31を上流側に戻す際)、図11(E),(F)に示すように、圧着機構4は、開状態とされた一対の押さえ部材31が挿入口2a側に復帰するまでの期間、一対のフィンガー部41の閉状態を維持することが望ましい。これにより、複数の薬包連続体9は、常時、一対の押さえ部材31および一対のフィンガー部41の少なくともいずれか一方に挟まれた状態となるため、常時、歪みの無い(少ない)真っすぐな姿勢を保つことができる。その結果、複数の薬包連続体9の切り取り線91の位置ずれを防止した状態で長尺の薬包連続体9の封止部9aを綴じることができるので、服用時に、長尺の薬包連続体9から容易に1回分(1組の分包90)を切り離すことができる。
【0062】
本実施の形態に係る薬包結合装置1によれば、2枚から6枚程度の薬包連続体9を適切に結合することができる。また、圧着による結合のため、1組の分包90を切り離した後、手で簡易に複数包に分離することができる。爪部51,52を突き合わせて圧着処理を行う場合、2~3枚の少ない数の薬包連続体9を適切に結合することが困難であるが、爪部51,52を上記のような形状とすることにより、少ない数の薬包連続体9であっても適切に結合することが可能である。
【0063】
<爪部の比較例>
図13を参照して、本実施の形態における一対のフィンガー部41のそれぞれに形成された爪部(凸部)51,52の比較例について説明する。
【0064】
図13(A)のフィンガー部41Aのように、互いの凸部(歯)51A,52Aが噛み合う構成(凸部51A,52A同士が接触しない構成)として、連続圧着処理を行った。この比較例では、一対の押さえ部材31で押さえたとしても、封止部91aにシワやヨレが生じ、枚数の多少に関わらず結合させることができなかった。
【0065】
図13(B)のフィンガー部41Bのように、フィンガー部41B本体の厚みを、複数(たとえば3個ずつ)の爪部51B,52Bを有する先端部41tよりも細くして(本体厚み:約3~4mm)、連続圧着処理を行った。試験では、爪部51Bの爪幅を1.5mm、爪部52Bの爪幅を1mmとした。この比較例の場合、複数の爪部52B(51B)に均等に荷重がかからないことから、2~3枚の少ない数の薬包連続体9を適切に結合することができず(すぐに剥がれる)、所望の結合精度が得られなかった。
【0066】
図13(C)のフィンガー部41Cのように、一方の爪部52Cを先鋭形状として、連続圧着処理を行った。爪部52C以外の条件は、図13(B)のフィンガー部41Bと同様である。この比較例でも、2~3枚の少ない数の薬包連続体9を適切に結合することができず、所望の結合精度が得られなかった。
【0067】
図13(D)のように、一対のフィンガー部41Dの接触面に凹凸を設けず、厚み6mmのフィンガー部41Dの先端面41sを垂直な平坦面とした。この比較例では、先端面41s同士の押し付け力だけで複数枚の封止部9aを圧着することになるため、2~3枚の少ない数の薬包連続体9を試験対象とした場合に特に、すぐに剥がれる結果となった。
【0068】
図13(E)のように、フィンガー部41Eの厚み範囲内に、実施の形態よりも幅が広い(2~3mm幅)凸部51E,52Eを1つずつ設けて、連続圧着処理を行った。この比較例でも、2~3枚の少ない数の薬包連続体9を試験対象とした場合に、すぐに剥がれる結果となった。
【0069】
また、図示はしていないが、凸部幅が小さすぎると(0.5~0.8mm幅)、封止部9aに穴が開くだけで、結合することができなかった。
【0070】
上述の試験結果より、所望の結合精度を得るためには、以下の条件を満たすことが望ましいことが推定できた。
(1)フィンガー部の板厚範囲内に凸部(突起)を設けること、
(2)一方の凸部の幅は1mm以上2mm未満(望ましくは1.5mm未満)であり、他方の凸部の幅はそれよりも大きいこと、
(3)凸部同士が面接触すること。
【0071】
なお、条件(2)の変形例として、2mm未満の凸部の荷重を受ける接触面(受圧面)は、フィンガー部本体と同一幅の先端面41s(図13(D)参照)により構成されていてもよい。つまり、一対のフィンガー部41の一方の対向面は、他方の対向面に向かって突出する少なくとも1つの凸部(爪部52)を有し、一対のフィンガー部の他方の対向面は、相手側の凸部の荷重を受ける接触面を有してさえいれば、凸部(爪部51)が設けられていなくてもよい。
【0072】
具体的には、図13(F)に示すように、たとえば1mm幅を有する爪部52の先端面520と、フィンガー部41F本体の先端面41sとを面接触させる構成であってもよい。また、複数の爪部52の荷重を一つの接触面(凸部の先端面であってもよい)で受ける構成であってもよい。
【0073】
条件(3)の変形例として、凸部(爪部51,52)の先端面に、放電加工等により微小な凹凸を付け、滑り止め機能を付与してもよい。
【0074】
なお、本実施の形態では、昇降用アクチュエータ46の駆動により開閉するフィンガー部を複数対設けて、一度に封止部9aの広い範囲を圧着できるようにしてもよい。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 薬包結合装置、2 収容溝、3 搬送機構、4 圧着機構、9 薬包連続体、9a 封止部、10 制御部、31 押さえ部材、33 スライド用アクチュエータ、34 クランプ用アクチュエータ、40 挟持部材、41,41a,41b フィンガー部、42 アーム部、43 連結部、44 軸部、45 固定ブラケット、46 昇降用アクチュエータ、51,52 爪部(凸部)、71,72 赤外線センサ。
【要約】
【課題】複数の薬包連続体を自動で適切に結合すること。
【解決手段】薬包結合装置は、複数の薬包連続体を結合する薬包結合装置であって、一端に挿入口(2a)、他端に排出口(2b)を有し、封止部9aの向きを揃えた状態で重ねられた複数の薬包連続体(9)を収容する収容溝(2)と、挿入口から収容溝に挿入された複数の薬包連続体を排出口側に向かって搬送する搬送機構(3)と、収容溝内の複数の薬包連続体の封止部を挟み込む一対のフィンガー部(41)を有し、搬送機構による搬送動作と連動した一対のフィンガー部の開閉動作により、複数の薬包連続体の封止部を圧着する圧着機構(4)とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13