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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】香気発現パターンの改変剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20250307BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20250307BHJP
   A23L 2/00 20060101ALN20250307BHJP
   C12G 3/06 20060101ALN20250307BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L27/10 C
A23L2/00 B
C12G3/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020121315
(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2021023282
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2019141395
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】松倉 琢磨
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/062554(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/199315(WO,A1)
【文献】特開2006-257246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L、C12G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が0.015×100.30×10の範囲内である低分子ガティガムを含有する、香味発現パターンの改変剤。
【請求項2】
前記低分子ガティガムの含有量が、0.5~20質量%である、請求項1に記載の改変剤。
【請求項3】
香料成分と共に用いられるための、請求項1又は2に記載の改変剤。
【請求項4】
前記低分子ガティガム1質量部に対して、前記香料成分が0.2~199.6質量部用いられる、請求項3に記載の改変剤。
【請求項5】
前記改変が、トップノート及び/又はミドルノートを増強する改変である、請求項1~4のいずれか1項に記載の改変剤。
【請求項6】
飲食品の風味に対して厚み若しくは膨らみを付与するため、又は、飲食品の嫌悪風味をマスキングするためのものである、請求項1~5のいずれか1項に記載の改変剤。
【請求項7】
香味発現パターンの改変に有効な量の低分子ガティガム、及び、香料成分を含有し、
該低分子ガティガムの重量平均分子量が、0.015×100.30×10の範囲内である、香料組成物。(ただし、以下の(i)~(iv)の香料組成物である場合を除く;
(i)トコフェノール0.20質量%、中鎖トリグリセリド7.95質量%、SAIB9.85質量%、オレンジ精油2質量%、低分子ガディガム含有の粉末溶液24.50質量%、クエン酸(無水)0.50質量%、水19.55質量%、及び、グリセリン35.45質量%からなるオレンジ香料製剤;
(ii)トコフェノール0.20質量%、中鎖トリグリセリド9.49質量%、SAIB12.31質量%、オレンジ精油3質量%、低分子ガディガム含有の粉末溶液39.50質量%、クエン酸(無水)0.50質量%、水3.25質量%、及び、グリセリン31.75質量%からなるオレンジ香料製剤
(iii)トコフェノール0.20質量%、中鎖トリグリセリド11.02質量%、SAIB14.78質量%、オレンジ精油4質量%、低分子ガディガム含有の粉末溶液39.50質量%、クエン酸(無水)0.50質量%、水0.75質量%、及び、グリセリン29.25質量%からなるオレンジ香料製剤;並びに、
(iv)メントール40.00質量部、レシチン1.00質量部、中鎖トリグリセリド1.00質量部、低分子ガディガム含有の粉末溶液125.00質量部、水85質量部、デキストリン48質量部からなるメントール含有粉末香料製剤
前記低分子ガディガム含有の粉末溶液は、下記成分を含有する低分子ガティガム8%含有溶液を粉末化した粉末20質量%、及び、イオン交換水80質量%を混合したものである;
ガティガム8.0質量%、クエン酸(無水)0.2質量%、及び、イオン交換水91.8質量%からなる低分子ガティガム8%含有溶液。)
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の改変剤、又は、請求項7に記載の香料組成物を飲食品に適用することを含む、飲食品のトップノート及び/若しくはミドルノートを増強するため、飲食品の風味に対して厚み若しくは膨らみを付与するため、又は、飲食品の嫌悪風味をマスキングするための方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の改変剤、又は、請求項7に記載の香料組成物を飲食品に適用することを含む、
トップノート及び/若しくはミドルノートが増強された飲食品、風味の厚み若しくは膨らみが付与された飲食品、又は、嫌悪風味がマスキングされた飲食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香気発現パターンの改変剤、及び、これを用いた飲食品の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な香料成分が、様々な製剤形態に調製され、飲食品等に対して香味を付与する目的で使用されている。香料成分の多くは油溶性成分であり、飲食品に適用するためには、油溶性の香料を水溶性の製剤に調製する必要がある。
【0003】
香料成分を含有する水溶性の製剤形態としては、水溶性香料(エッセンス香料とも言う)と乳化香料の形態が代表的であるが、製剤形態によって、経時的な香立つタイミング(トップノート、ミドルノート、ラストノート)などの香味発現パターンの特性が特徴付けられることが知られている(非特許文献1)。
【0004】
例えば、水溶性香料では、トップノートの香味発現が強く起こりやすく、ミドルノートやラストノートの香気発現は弱いという傾向がある。
【0005】
また、例えば、乳化香料では、トップノートの香味発現が弱く、ミドルノートからラストノートにかけて香味発現が強まる傾向がある。
【0006】
香味を付与された飲食品では、香りと味が一体となった風味が求められるが、用いる香料製剤によっては、トップノートが強過ぎる「香料浮き」や、香味発現が遅すぎることによる違和感を感じることがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】酒井 貴博ら、「乳化香料の香味発現見える化検討」、日本清涼飲料研究会 第27回研究発表会、2017年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように香味発現パターンを、飲食品の味に合わせて改変することが求められる場合があるが、配合成分により香味発現パターンを改変する技術は十分に開発されていない状況である。
【0009】
そこで、本発明では、食品添加物を配合することにより香料成分の香味発現パターンを改変する新たな手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、驚くべき事に、低分子ガティガムには、香料成分の香味発現パターンを改変する機能があることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明は、次の各項に記載の態様を含む。
【0012】
[1]
低分子ガティガムを含有する、香味発現パターンの改変剤。
【0013】
[2]
前記低分子ガティガムの重量平均分子量が、0.015×10~1.10×10の範囲内である、[1]に記載の改変剤。
【0014】
[3]
前記低分子ガティガムの含有量が、0.5~20質量%である、[1]又は[2]に記載の改変剤。
【0015】
[4]
香料成分と共に用いられるための、[1]~[3]のいずれかに記載の改変剤。
【0016】
[5]
前記低分子ガティガム1質量部に対して、前記香料成分が0.2~199.6質量部用いられる、[4]に記載の改変剤。
【0017】
[6]
前記改変が、トップノート及び/又はミドルノートを増強する改変である、[1]~[5]のいずれかに記載の改変剤。
【0018】
[7]
飲食品の風味に対して厚み若しくは膨らみを付与するため、又は、飲食品の嫌悪風味をマスキングするためのものである、[1]~[6]のいずれかに記載の改変剤。
【0019】
[8]
香味発現パターンの改変に有効な量の低分子ガティガム、及び、香料成分を含有し、
該低分子ガティガムの重量平均分子量が、0.015×10~1.10×10の範囲内である、香料組成物。
【0020】
[9]
[1]~[7]のいずれかに記載の改変剤、又は、[8]に記載の香料組成物を飲食品に適用することを含む、飲食品のトップノート及び/若しくはミドルノートを増強するため、飲食品の風味に対して厚み若しくは膨らみを付与するため、又は、飲食品の嫌悪風味をマスキングするための方法。
【0021】
[10]
[1]~[7]のいずれかに記載の改変剤、又は、[8]に記載の香料組成物を飲食品に適用することを含む、トップノート及び/若しくはミドルノートが増強された飲食品、風味の厚み若しくは膨らみが付与された飲食品、又は、嫌悪風味がマスキングされた飲食品の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
香料成分に対して、低分子ガティガムを適用することにより、香料成分の香味発現パターンを改変することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[香味発現パターンの改変剤]
本発明の香味発現パターンの改変剤は、低分子ガティガムを含有する。
【0024】
(低分子ガティガム)
ガティガムは、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia)の樹液(分泌液)に由来する多糖類であり、増粘安定剤(食品添加物)として公知の多糖類である。本発明で使用するガティガムは商業的に入手可能であり、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の「ガティガムRD」を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、低分子ガティガムとは、公知の方法によりガティガムが低分子化されたものを言う。
【0026】
低分子ガティガムの重量平均分子量は、限定はされないが、例えば、0.015×10~1.10×10とすることができ、好ましくは0.015×10~0.90×10であり、より好ましくは0.015×10~0.60×10であり、更に好ましくは0.020×10~0.50×10であり、より更に好ましくは0.030×10~0.40×10であり、特に好ましくは0.030×10~0.30×10であり、更に特に好ましくは0.040×10~0.30×10である。
【0027】
ガティガムの分子量、及びその分布は、以下の方法で測定される。
[分子量、及び分子量分布の測定方法]
分子量、及び分子量分布は、以下の条件のGPC分析で測定される。
検出器: RI
移動相: 100mM KSO
流量: 1.0ml/min
温度: 40℃
カラム: TSKgel GMPWXL 30cm (ガードPWXL)
インジェクション: 100μl
プルランスタンダード: Shodex STANDARD P-82
【0028】
本発明の低分子ガティガムは、例えば、以下に説明する製造方法、又はこれに類似する方法により製造できる。本発明の低分子ガティガムの製造方法は、原料であるガディガムを低分子化処理する工程を含む。原料であるガディガムとしては、商業的に入手可能なガティガムを使用できる。
市場で流通しているガティガムの重量平均分子量は、通常、1.1×10~2×10の範囲内である。原料であるガディガムとしては、目的とする分子量のガティガムが製造可能であれば特に制限されず、その一部に低分子量のガティガムを元々含有していてもよい。
当該製造方法における低分子化処理の方法は、特に限定されないが、その好適な例は、加熱分解処理、酸分解処理、及び酵素分解処理からなる群より選択される1種以上の処理方法等の、水の存在下での低分子化処理方法を包含する。
【0029】
前記加熱分解処理は、所望する重量平均分子量を有するガティガムが得られる条件を技術常識に基づいて適宜選択して、実施すればよい。
通常、処理温度が高いほど、より重量平均分子量が小さいガティガムが得られる。
当該加熱分解処理の処理温度は、具体的には、例えば、60~200℃の範囲内、及び好ましくは80~200℃の範囲内であることができる。
通常、処理時間が長いほど、より重量平均分子量が小さいガティガムが得られる。
当該加熱分解処理の処理時間は、具体的には、例えば、30秒~8時間の範囲内であることができる。なお、当該時間は、加熱分解処理の処理温度に応じて適宜選択することができる。例えば、処理温度が高い場合は、処理時間を短くするなど適宜選択できる。
加熱分解処理は、例えば、pH5以下のpH条件で、好適に実施できる。
【0030】
前記酸分解処理に用いられる酸の例は、クエン酸(これは、無水クエン酸を包含する。)、リン酸、フィチン酸、リンゴ酸、酒石酸、塩酸、酢酸、乳酸、及びアスコルビン酸を包含する。
当該酸は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
通常、処理温度が高いほど、より重量平均分子量が小さいガティガムが得られる。
当該酸分解処理の処理温度は、例えば、60~200℃の範囲内であることができる。
通常、処理時間が長いほど、より重量平均分子量が小さいガティガムが得られる。
当該酸分解処理の処理時間は、例えば、30秒~8時間の範囲内であることができる。
酸分解処理は、例えば、pH4以下の条件で、好適に実施できる。
【0031】
前記酵素分解処理に用いられる酵素の例は、セルラーゼ;マンナナーゼ;ペクチナーゼ;スクラーゼ;ヘミセルラーゼ;セルロシンAC40、セルロシンHC100、セルロシンTP25、及びセルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製);スミチームPX、及びスミチームAG2-L(新日本化学工業株式会社製);マセロチームA(ヤクルト薬品工業株式会社製);並びにマセレイティングエンザイムY(ヤクルト薬品工業株式会社製)を包含する。
当該酵素は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
当該酵素処理の条件(例:温度、時間、pH、及び添加物)は、使用される酵素に応じて適宜選択することができる。
【0032】
低分子ガティガムの含有量は特に制限されないが、例えば、0.5質量%以上、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、及び更に好ましくは2質量%以上である。また、低分子ガティガムの上限は、例えば、20質量%以下が挙げられ、好ましくは15質量%以下、より好ましくは14質量%以下、更に好ましくは13質量%以下、更により好ましくは12質量%以下、特に好ましくは11質量%以下、特により好ましくは10.5質量%以下、及び最も好ましくは10質量%以下である。また、低分子ガティガムの含有量は、例えば、0.5~20質量%、0.5~15質量%、0.5~13質量%、0.8~20質量%とすることができ、好ましくは0.8~18質量%、より好ましくは1~15質量%、更に好ましくは1~14質量%、更により好ましくは1.5~13質量%、特に好ましくは1.5~12質量%、特により好ましくは1.5~11質量%、及び最も好ましくは2~10質量%の範囲内である。
【0033】
(香料成分)
本発明の香味発現パターンの改変剤は、香料成分と共に用いられることが好ましい。
【0034】
上記構成を有することにより、低分子ガティガムと香料成分とを含有する組成物を製剤化することにより、製剤形態により特徴付けられる香味発現パターンを改変させることが可能となる。
【0035】
本明細書において、香料成分は、香り、又は、味を形成し得るものであれば、特に限定はされず、各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料、その他の通常香料組成物を調製する際に使用される成分であり得る。
【0036】
香料成分には、香辛料抽出物、香辛料中の香料成分、及び、香料成分の合成品から生ずる香料成分も含まれる。すなわち、スパイスやハーブなどを含む、香辛料自体、香辛料抽出物、香辛料中の香料成分、及び、香料成分の合成品をもすべて含む。
【0037】
上記スパイスとは、食品に風味付けの目的で比較的少量使用される種々の植物由来の芳香性樹皮、根、根茎、蕾、種子、果実、又は、果皮をいう。スパイスは、食用可能である限り限定はされないが、具体的には、アサの種子、アサフェチダの根、アサフェチダの根茎、アジョワンの種子、アニスの種子、ウイキョウの種子、ウコンの根、ウコンの根茎、オールスパイスの果実、オールスパイスの未成熟果実、オレンジの果皮、ガジュツの根、ガジュツの根茎、カショウの果皮、カショウの果実、カショウの未成熟果実、カシアの樹皮、カフィアライムの果実、カフィアライムの未成熟果実、ガランガルの根、ガランガルの根茎、カルダモンの種子、カルダモンの果実、カルダモンの未成熟果実、カンゾウの根、カンゾウの根茎、キャラウェイの種子、クチナシの果実、クミンの種子、クローブの蕾、ケシの種子、ケーパーの蕾、コショウ(黒コショウを含む)の果実、コショウ(黒コショウを含む)の未成熟果実、ごまの種子、コリアンダーの種子、サフランのめしべ、サンショウの果実、サンショウの未成熟果実、シソの種子、シナモンの樹皮、ジュニパーベリーの果実、しょうが、スターアニスの果実、スターアニスの未成熟果実、西洋わさび、セロリの種子、タマリンドの果実、ディルの種子、とうがらし、ナツメグの種子の仁、ナツメグの種皮(メースをいう。)、ニジェラの種子、ニンニク、バジルの種子、パセリの種子、バニラの果実、バニラの未成熟果実、パプリカ、パラダイスグレインの種子、バラの果実(ローズヒップをいう。)、フェネグリークの種子、ピンクペッパーの果実、マスタードの種子、みかんの果皮、ゆずの果皮、レモンの果皮、ロングペッパーの果実、ロングペッパーの未成熟果実、及び、わさびの根茎等があげられる。
【0038】
上記ハーブとは、食品に風味付けの目的で薬味として比較的少量使用される種々の主に草本植物の葉、茎、根、及び、花からなり、生のまま、又は、乾燥したものが使用されるものをいう。ハーブは、食用可能である限り限定はされないが、具体的には、アニスの葉、アニスの茎、アンゼリカ、ウイキョウの葉、ウイキョウの茎、エシャロット、オレガノ、カフィアライムの葉、カモミール、カレープラント、カレーリーフ、キャットニップ、キャラウェイの葉、キャラウェイの茎、クレソン、コリアンダーの葉、コリアンダーの茎、サッサフラス、サボリー、サラダバーネット、サンショウの花、サンショウの葉、シソの葉、シソの花穂、ジャスミン、ステビア、スペアミント、セージ、セロリの葉、セロリの茎、センテッドゼラニウム、ソレル、タイム、タデ、タマネギ、タラゴン、ダンディライオン、チャイブ(あさつきを含む。)、チャービル、ディルの葉、ディルの茎、ドクダミ、ナスタチウム、ニガヨモギ、にら、ハイビスカス、バジルの葉、バジルの茎、パセリの葉、パセリの茎、ハッカ、バラの花(ローズをいう。)、ヒソップ、ペパーミント、ベルガモット、ホースミント、ボリジ、マーシュ、マスタードの葉、マスタードの茎、マジョラム、ミョウガ、ヤロウ、ユーカリプタス、ヨモギ、ラベンダー、リンデン、ルッコラ、ルバーブ、レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ、ローズマリー、ローレル、わさびの葉、及び、わさびの葉柄等をあげることができる。
【0039】
上記香料成分は、上述した成分以外であっても、食用可能である限り限定はされない。香料成分としては、具体的には、バター香料、コーヒー香料;α-サンショオール、β-サンショオール、サンショアミド、スピラントールなどのアミド系辛味物質;カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、バニリルペラルゴアミドなどのカプサイシン類;ピペリン、イソピペリン、イソシャビシン、シャビシン、ピペラニン、ピペリジンなどのピペリン類;ジンゲロン、ショーガオール、ジンゲロールなどのジンゲロール類;アリルイソチオシアネート、β-フェネチルイソチオシアネート、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート、ω-ペンテニルイソチオシアネート、p-ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、4-メチルチオブテニルイソチオシアネート、ブチルイソチオシアネートなどのイソチオシアネート類;(-)-ポリゴジアールなどのポリゴジアール類;ワサビ香料類(アリルイソチオシアネート)等をあげることができる。
【0040】
さらに、香料成分としては、ノニル酸バニリルアミドなどのアルカン酸バニリルアミド(アルカン酸の炭素数が7~12)、バニリンプロピレングリコールアセタールなどのバニリンアルキレングリコールアセタール(アルキレンの炭素数が3~6)、エチルバニリンアルキレングリコールアセタール(アルキレンの炭素数が3~6)、3-L―メントキシプロパン―1,2―ジオール、N―アルキル-p-メンタン-3-カルボキサミド、3-L―メントキシ-2-メチルプロパン―1,2―ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、2-L-メントキシエタン-1-オール、3-L-メントキシプロパン-1-オール、4-L-メントキシブタン-1-オール、3-ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントールグリセリンケタール、2-(2-L-メンチルオキシエチル)エタノール、グリオキシル酸メンチル、N-メチル-2,2-イソプロピルメチル-3-メチルブタンアミド、2-ピロリドン-5-カルボン酸メンチル、コハク酸モノメンチル、コハク酸モノメンチルのアルカリ金属塩、コハク酸モノメンチルのアルカリ土類金属塩、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、バニリルブチルエーテル、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、カビシン等、(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ジメチルスルホニウム塩化物、α-アミルシンナムアルデヒド、アンモニウムイソバレレート、イオノン、イソアミルアルコール、イソキノリン、イソブタノール、イソブチルアルデヒド、イソプロパノール、イソペンチルアミン、イソ酪酸エチル、2―エチル―3,5―ジメチルピラジン、及び、2―エチル―3,6―ジメチルピラジン、及び、それらの混合物、エチルバニリン、2-エチルピラジン、3-エチルピリジン、2―エチル―3―メチルピラジン、2―エチル―5―メチルピラジン、2-エチル-6-メチルピラジン、5-エチル-2―メチルピリジン、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、クエン酸三エチル、クミンアルデヒド、ゲラニアール、酢酸シクロヘキシル、酢酸シンナミル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸ボルニル、酢酸l-メンチル、サリチル酸メチル、2,3-ジエチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、1,8-シネオール、ジヒドロアクチンジオライド、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピリジン、(Z)-ジャスモン、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、ディルエーテル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、2,3,5,6―テトラメチルピラジン、サビネン、ジンギベレン、セリネン、ターピネン、ターピノレン、α-フムレン、テルペン系炭化水素類、2,3,5‐トリメチルピラジン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、4-ビニルグアイアコール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェネチルアミン、フェノールエーテル類、ブタノール、ブチルアミン、ブチルアルデヒド、フルフラール、及び、その誘導体、プロパノール、プロピオンアルデヒド、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、(Z)-3-ヘキセナール、(Z)-3-ヘキセノール、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l-ペリラアルデヒド、2-ペンタノール、1-ペンテン-3-オール、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d-ボルネオール、5―メチルキノキサリン、6-メチルキノリン、5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピラジン、1-メチルナフタレン、メチルβ―ナフチルケトン、2-メチルピラジン、上記以外のピラジン類、上記以外のピリジン類、メチオナール、2―メチルブタノール、2-メチルブチルアルデヒド、(E)-2-メチル-2-ブテナール、3-メチル-2-ブテナール、3-メチル-2-ブテノール等をあげることができる。
【0041】
別の観点から、合成香料としては、例えば、「合成香料 化学と商品知識」(印藤元一著、化学工業日報社)等に記載のエステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素化合物、含硫化合物類、又は、酸類等をあげることができる。
【0042】
上記エステル類としては、限定はされないが、例えば、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸シス-3-ヘキセニル、酢酸トランス-2-ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸スチラリル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸2,4-ジメチル-3-シクロヘキセニルメチル、酢酸ミラルディル、酢酸ベチコール、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、プロピオン酸アニシル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ネリル、イソ吉草酸リナリル、イソ吉草酸テルピニル、イソ吉草酸フェニルエチル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、2-メチル吉草酸2-メチルペンチル、3-ヒドロキシヘキサン酸メチル、3-ヒドロキシヘキサン酸エチル、オクタン酸メチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸リナリル、ノナン酸メチル、ウンデシレン酸メチル、安息香酸リナリル、ケイヒ酸メチル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、クエン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、2-ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2-エチル酪酸アリル、3-ヒドロキシ酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、2-メチル酪酸メチル、N-メチルアントラニル酸メチル、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ノナン酸エチル、デカン酸エチル、2,4-デカジエン酸エチル、2,4-デカジエン酸プロピル、アントラニル酸メチル、及び、リナリル、N-メチルアントラニル酸エチル等をあげることができる。
【0043】
上記アルコール類としては、限定はされないが、例えば、3-ヘプタノール、1-ノナノール、1-ウンデカノール、2-ウンデカノール、1-ドデカノール、プレノール、10-ウンデセン-1-オール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロムゴール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、オシメノール、テルピネオール、ホートリエノール、3-ツヤノール、ベンジルアルコール、β-フェニルエチルアルコール、α-フェニルエチルアルコール、3-メチル-1-ペンタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-オクタノール、1-ノナノール、2-ノナノール、2,6-ジメチルヘプタノール、1-デカノール、トランス-2-ヘキセノール、シス-4-ヘキセノール、メチルトリメチルシクロペンテニルブテノール、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ロジノール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、プレゴール、イソプレゴール、メントール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、カルベオール、ジヒドロカルベオール、ペリラアルコール、4-ツヤノール、ミルテノール、α-フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、アニスアルコール、ヒドロトロパアルコール、3-フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコール等をあげることができる。
【0044】
上記アルデヒド類としては、限定はされないが、例えば、アセトアルデヒド、n-ヘキサナール、n-ヘプタナール、n-オクタナール、n-ノナナール、2-メチルオクタナール、3,5,5-トリメチルヘキサナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、トランス-2-ヘキセナール、(E)-2-デセナール、トランス-4-デセナール、シス-4-デセナール、トランス-2-デセナール、10-ウンデセナール、トランス-2-ウンデセナール、トランス-2-ドデセナール、3-ドデセナール、トランス-2-トリデセナール、2,4-ヘキサジエナール、2,4-デカジエナール、2,4-ドデカジエナール、5,9-ジメチル-4,8-デカジエナール、シトラール、ジメチルオクタナール、α-メチレンシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ミルテナール、ネラール、α-あるいはβ-シネンサール、マイラックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジメチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2-メチルウンデカナールジメチルアセタール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、n-バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2-メチルブタナール、2-ペンテナール、トランス-2-ヘプテナール、トランス-2-ノネナール、2,6-ジメチル-5-ペプテナール、2,4-ウンデカジエナール、トリメチルデカジエナール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、サフラナール、ベルンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、p-メチルヒドロトロパアルデヒド、フェニルプロピオンアルデヒド、2-メチル-3-(4-メチルフェニル)プロパナール、シクラメンアルデヒド、シンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、p-メチルフェノキシアセトアルデヒド、アセトアルデヒドジエチルアセタール、シトロネリルメチルアセタール、アセトアルデヒド 2-フェニル-2,4-ペンタンジオールアセタール、2-ヘキセナールジエチルアセタール、シス-3-ヘキセナールジエチルアセタール、ヘプタナールジエチルアセタール、2-ヘキシル-5-メチル-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-(3’,4’-ジヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-(3’-メトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-(3’-エトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-フェニル-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-(2’-ヒドロキシ-3’-メトキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシ-メチル)-2-(4’メトキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(L-メントキシメチル)-2-(3’,4’-メチレンジオキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、シトロネラールシクロモノグリコールアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール等をあげることができる。
【0045】
上記ケトン類としては、限定はされないが、例えば、2-ペンタノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、2-ウンデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、ゲラニルアセトン、ファルネシルアセトン、2,3,5-トリメチル-4-シクロヘキセニル-1-メチルケトン、ネロン、ヌートカトン、ジヒドロヌートカトン、アセトフェノン、4,7-ジヒドロ-2-イソペンチル-2-メチル-1,3-ジオキセピン、2-ペンタノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2,3-ヘキサジオン、3-ノナノン、エチルイソアミルケトン、ジアセチル、アミルシクロペンテノン、2-シクロペンチルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、ヘプチルシクロペンタノン、シス-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、トリメチルペンチルシクロペンタノン、2-(2-(4-メチル)-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピルシクロペンタノン、ダマスコン、α-ダイナスコン、トリメチルシクロヘキセニルブテノン、ヨノン、β―ヨノン、メチルヨノン、アリルヨノン、プリカトン、カシュメラン、l-カルボン、メントン、カンファー、p-メチルアセトフェノン、p-メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン、フルフラールアセトン、ホモフロノール、マルトール、エチルマルトール、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタール等をあげることができる。
【0046】
上記フェノール類としては、限定はされないが、例えば、チモール、カルバクロール、β-ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β-ナフトールメチルエーテル、β-ナフトールエチルエーテル、クレオゾール、ベラトロール、ヒドロキノンジメチルエーテル、2,6-ジメトキシフェノール、4-エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert-ブチルヒドロキノンジメチルエーテル等をあげることができる。
【0047】
上記エーテル類としては、限定はされないが、例えば、デシルビニルエーテル、α-テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン、2,2-ジメチル-5-(1-メチル-1-プロペニル)-テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4-シネオール、ネロールオキサイド、2,2,6-トリメチル-6-ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5-イソプロペニル-2-メチル-2-ビニルテトラヒドロフラン、ネロールオキサイド、ローズオキサイド等をあげることができる。
【0048】
上記ラクトン類としては、限定はされないが、例えば、γ-ウンデカラクトン、δ-ドデカラクトン、γ-ヘキサラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ドデカラクトン、ジャスンミラクトン、メチルγ-デカラクトン、7-デセノラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ-ヘキサラクトン、δ-2-デセノラクトン、ε-ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリン等をあげることができる。
【0049】
上記炭化水素類としては、限定はされないが、例えば、オシメン、リモネン、α-フェランドレン、テルピネン、3-カレン、ビサボレン、バレンセン、アロオシメン、ミルセン、ファルネセン、α-ピネン、β-ピネン、カンフェン、テルピノーレン、p-サイメン、セドレン、β-カリオフィレン、カジネン等をあげることができる。
【0050】
上記含窒素化合物、又は、含硫化合物類としては、限定はされないが、例えば、アントラニル酸メチル、アントラニル酸エチル、N-メチルアントラニル酸メチル、N-2’-メチルペンチリデンアントラニル酸メチル、リガントラール、ドデカンニトリル、2-トリデセンニトリル、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、3,7-ジメチル-2,6-ノナジエノニトリル、インドール、及び、その誘導体、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、リモネンチオール、1-P-メンテン-8-チオール、アントラニル酸ブチル、アントラニル酸シス-3-ヘキセニル、アントラニル酸フェニルエチル、アントラニル酸シンナミル、ジメチルスルフィド、8-メルカプトメントン等をあげることができる。
【0051】
上記酸類としては、限定はされないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、2-デセン酸、ゲラン酸、2-メチル酪酸、2-エチル酪酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、イソ酪酸、イソ吉草酸、3-メチル吉草酸、2-ヘキセン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、2-メチルヘプタン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、乳酸、ピルビン酸、シクロヘキサンカルボン酸等をあげることができる。
【0052】
上記天然香料としては、限定はされないが、例えば、スイートオレンジ、ビターオレンジ、ネロリ、マンダリン、オレンジ、プチグレン、ベルガモット、タンゼリン、温州ミカン、ダイダイ、ハッサク、イヨカン、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチ、カボス、スウィーティー等を例示することができる。
【0053】
また、上記の天然香料以外に、例えば、シトロネラ、エレミ、オリバナム、マジョラム、アンゲリカルート、スターアニス、バジル、ヘイ、カラマス、キャラウェイ、カルダモン、ペッパー、カスカリラ、ジンジャー、セージ、クラリセージ、クローブ、コリアンダー、ユーカリ、フェンネル、ピメント、ジュニパー、フェネグリーク、ローレル、メース、スギ、センキュウ、アーモンド、アップルミント、アニス、アルテミシア、アルファルファ、アンズ、アンブレット、イグサ、イチゴ、イチジク、イランイラン、ウインターグリーン、ウメ、エルダー、エンジュ、オークモス、オールスパイス、オリス、カーラント、カッシー、カモミール、ガランガ、カリン、ガンビア、グァバ、グーズベリー、クスノキ、クチナシ、クベバ、クミン、クランベリー、コーラ、サンショウ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シソ、シベット、ジャスミン、ショウガ、ジンセン、シンナモン、スターフルーツ、スチラックス、スペアミント、ゼラニウム、タイム、タバナ、タンジー、タンジェリン、チャンパカ、チュベローズ、ツバキ、ディタニー、トルーバルサム、トンカ、ナッツ、ナツメ、ナツメグ、ナンテン、ニアウリ、ニンジン、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、ハチミツ、ハッカ、パッションフルーツ、バニラ、バラ、ヒソップ、ヒノキ、フーゼル油、ブチュ、ペパーミント、ペピーノ、ベルベナ、ボアドローズ、ポポー、ボルドー、ボロニア、マツ、マンゴー、ミツロウ、ミモザ、ミルフォイル、ムスク、メープル、メリッサ、メロン、モモ、ヤラヤラ、ラベンダー、リキュール、リツェア、リンデン、ルー、レンブ、ローズマリー、ロベージ等を本発明の香料成分として使用することもできる。
【0054】
上記香料成分は、液状で使用してもよいが、必要に応じて、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥処理を行い、液体分を低減、又は、除去することにより、濃縮液状、半固形状、固形状、又は、粉末状にしたものを使用してもよい。
【0055】
上記香料成分は、低分子ガティガムと共に用いられる場合に、水溶性香料として調製されていても良く、油溶性香料として調製されていても良い。上記水溶性香料であっても、上記油溶性香料であっても、より効果的に香料成分の香味発現パターンを改変することが可能となる。
【0056】
上記香料成分の総含有量は、上記香料成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、組成物中、0.1~99.8質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.2~50.0質量%であり、また、例えば、0.3~40.0質量%であり、0.4~30.0質量%であり、0.5~20.0質量%であり得る。
【0057】
また、香料成分の含有量は、低分子ガティガム1質量部に対して、例えば0.2~199.6質量部が挙げられ、好ましくは0.5~190質量部、より好ましくは0.8~180質量部の範囲内である。
【0058】
[用途]
本発明は、低分子ガティガムには、香料成分の香味発現パターンを改変する機能があることを見出したことに基づき、低分子ガティガムの新たな用途を提供するものである。
【0059】
上述のように、香料成分の多くは油溶性成分であり、飲食品に適用するためには、油溶性の香料を水溶性の製剤に調製する必要がある。水溶性の製剤形態としては、水溶性香料(エッセンス香料とも言う)と、乳化香料の形態が代表的であるが、製剤形態によって、経時的な香立つタイミング(トップノート、ミドルノート、ラストノート)などの香味発現パターンの特性が特徴付けられることが知られている(非特許文献1)。
【0060】
本明細書において、「香味発現パターンの改変」とは、本発明が適用された飲食品等を使用、摂取等した際に感じられる、経時的な香味発現パターンが変化することを言う。限定はされないが、本発明により、香料成分の香味発現パターンのうち、例えば、トップノート及び/又はミドルノートを増強することが可能となる。
【0061】
ヒトの味覚において、飲食品等を使用、摂取等した際のトップノート及び/又はミドルノートが増強されると、当該飲食品等の風味に「厚み」及び「膨らみ」があるように感じられる。
【0062】
また、ヒトの味覚において、飲食品等を使用、摂取等した際のトップノート及び/又はミドルノートが増強されると、当該飲食品等が嫌悪風味を有する場合には、嫌悪風味の香り立ちを打ち消すことが可能となり、当該嫌悪風味をマスキングすることが可能となる。本明細書において、嫌悪風味とは、ある飲食品を使用、摂取等した際に嫌悪感を覚える風味である。嫌悪風味の種類は限定されないが、例えば、苦み、辛み、渋み等が挙げられる。限定はされないが、嫌悪風味は、苦みであることが好ましく、アルコール(エタノール)由来の苦みであることがより好ましい。
【0063】
例えば、水溶性香料では、トップノートの香味発現が強く起こりやすく、ミドルノートやラストノートの香気発現は弱いという傾向があるが、本発明を適用することにより、トップノートの香味発現を維持しつつ、ミドルノート及びラストノートの香味発現を高めることが可能となる。このように「香味発現パターンの改変」を行うことにより、飲食品等の風味に「厚み」及び「膨らみ」を与え、トップノートの香り立ちと、ミドルノートからラストノートまで持続する自然な呈味感を両立させることが可能となる。
【0064】
また、例えば、乳化香料では、トップノートの香味発現が弱く、ミドルノートからラストノートにかけて香味発現が強まる傾向があるが、本発明を適用することにより、ミドルノートの香味発現を一定以上維持しつつも、トップノートの香味発現を高めることが可能となる。このように「香味発現パターンの改変」を行うことにより、飲食品等の風味に「厚み」及び「膨らみ」を与え、トップノートの香り立ちと、ミドルノートからラストノートまで持続する自然な呈味感を両立させることが可能となる。
【0065】
[香料組成物]
本発明の香料組成物は、低分子ガティガム、及び、香料成分を含有し、
該低分子ガティガムの重量平均分子量が、0.015×10~1.10×10の範囲内である。低分子ガティガムが、香料成分と組み合わされることにより、香料組成物を飲食品に適用した際に、香味発現パターンを改変させることが可能となる。よって、香料組成物中の低分子ガティガムは、香味発現パターンの改変に有効な量を配合されており、低分子ガティガムの含有量が、0.5~20質量%であることが好ましい。
【0066】
低分子ガティガムの種類や含有量、香料成分の種類や含有量、これら成分の配合比率、その他の配合可能な成分の種類や含有量等については、香味発現パターンの改変剤と同様である。
【0067】
(他の成分)
本発明の香料組成物においては、上記低分子ガティガム、上記香料成分以外の、他の成分を適宜含めることができる。
【0068】
本発明の香料組成物は、さらに、その他の成分を含むことができる。例えば、増粘性多糖類をあげることができる。
【0069】
本発明の香料組成物に含まれる増粘性多糖類は、限定はされないが、飲食品、又は、経口医薬品への使用が許可されている可食性の増粘性多糖類が好ましく用いられる。
【0070】
上記増粘性多糖類としては、例えば、キサンタンガム、ガラクトマンナン(例えば、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガムなど)、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン(例えば、カッパ型、イオタ型、ラムダ型など)、タマリンドシードガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン(例えば、HMペクチン、LMペクチンなど)、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムなど)、プルラン、カードラン、トラガントガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、ウェランガム、デンプン類(例えば、デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、α化デンプン、リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、酢酸デンプンなど)、デキストリン類(例えば、ポリデキストロース、難消化性デキストリンなど)、及び、大豆多糖類などをあげることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
【0071】
本発明では、上記増粘性多糖類の中でも、特にキサンタンガム、及び、グァーガムからなる群より選択される少なくとも1種以上が好適に用いられる。
【0072】
上記増粘性多糖類の2種以上の組み合わせとしては、制限されないものの、キサンタンガムとグァーガムの組み合わせ、キサンタンガムとローカストビーンガムの組み合わせ、キサンタンガムとカラギナンの組み合わせ、キサンタンガムとグァーガムとローカストビーンガムの組み合わせなどをあげることができる。
【0073】
上記増粘性多糖類の総含有量は、各成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、組成物中、0.1~99.8質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.5~40.0質量%であり、また、例えば、0.3~20.0質量%であり、1.0~10.0質量%であり、2.0~5.0質量%であり得る。
【0074】
また、上記低分子ガティガムに対する上記増粘性多糖類の含有比率は、各成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、上記低分子ガティガム1質量部に対して、例えば、上記増粘性多糖類0.01~10.0質量部、より好ましくは、0.02~5.0質量部であり、また、例えば、0.03~1.0質量部であり、0.04~0.5質量部であり、0.05~0.4質量部であり得る。
【0075】
また、上記増粘性多糖類の配合割合は、上記香料成分の種類、他成分の量や種類に応じて適宜変更することも可能であるが、上記香料成分1質量部に対して、好ましくは上記増粘性多糖類0.1~99.9質量部、より好ましくは、0.15~50.0質量部であり、また、例えば、0.2~10.0質量部であり、0.25~5.0質量部であり、0.3~2.0質量部であり得る。
【0076】
また、その他の成分として、例えば、代表的には、酸化防止剤をあげることができる。このうち、油溶性酸化防止剤が好ましく、より好ましくは、トコフェロ-ル類、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテ-トなどの油溶性酸化防止剤をあげることができる。
【0077】
上記酸化防止剤の含有量としては、例えば、0.0001~10質量%、好ましくは、0.001~5質量%、より好ましくは0.01~1質量%であり得る。
【0078】
また、上記その他の成分には、例えば、着色料、調味料、保存料などをあげることができる。
【0079】
上記着色料としては、パプリカ色素、マリーゴールド色素、β-カロテンなどの油溶性の着色料のほか、アントシアニン色素等の水溶性色素をあげることができる。
【0080】
この他にも、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、甘草抽出物、ステビア加工甘味料、羅漢果抽出物、ソーマチン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ズルチン、サイクラミン酸、ネオテームなどの甘味料、クエン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、リン酸などの酸味料、カフェイン、香辛料抽出物、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物、ボラペット、メチルチオアデノシン、レイシ抽出物などの苦味料、食塩、塩化カリウムなどの塩味料、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸やそれらのナトリウムもしくはカリウム塩などの旨味料などを添加・混合してもよい。
【0081】
さらには、ビタミンC、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、又は、葉酸などの水溶性ビタミン;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどの油溶性ビタミン;エチレングリコ-ル、プロピレングリコ-ル、ジプロピレングリコ-ル、グリセリン、ヘキシルグリコ-ル、ベンジルベンゾエ-ト、トリエチルシトレ-ト、ジエチルフタレ-ト、ハ-コリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸ジグリセリドなどの香料保留剤;乳化剤等を加えることもできる。
【0082】
また、本発明の水分含量は、各成分の種類、他成分の量や種類、製剤形態等に応じて適宜変更することも可能であるが、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよく、15質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよく、8質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよく、2質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよい。組成物の成分組成や添加対象物、添加後の加工過程等に応じて、適宜用いることができる。
【0083】
[香料組成物の製造方法]
本発明の香料組成物の製造方法は、
低分子ガティガム、及び、香料成分を混合して混合物を得る工程(1)、並びに、
上記工程(1)で得られた混合物を用いて香料組成物を調製する工程(2)を含む。
【0084】
本発明の香料組成物の製造方法は、上記構成を有することにより、上記香料組成物中、ないし、飲食品組成物等の添加対象物中における香料成分の、香味発現パターンの改変に優れた香料組成物を簡便に得ることが可能となる。
【0085】
香料組成物の製造方法において、上記工程(1)は、公知の方法が採用され、特に限定はされないが、例えば、乳化香料の形態として調製する場合は、上記低分子ガティガム、及び、上記香料成分が含まれる溶液を、ホモジナイザー等で処理することで調製することができる。上記成分は適宜順次組み合わせて調製してもよい。この際の液温は、限定はされないが、50~80℃、好ましくは55~70℃、さらに好ましくは60℃程度の状態である。限定はされないが、好ましくは、低分子ガティガムを含む溶液を予め50~80℃程度に加温し、そこへ香料成分を添加混合する方法等をあげることができる。
【0086】
本発明の香料組成物を調製する際に、上記低分子ガティガムは、予め調製した低分子ガティガム溶液の状態で添加されても良い。上記低分子ガティガム溶液は、水に低分子ガティガムを添加し溶解させて得たものである。かかる溶解させる方法は、公知の方法に従えばよく、特別な条件等の設定は必要とされない。
【0087】
本発明の香料組成物を調製する際に、ホモジナイザーを使用する場合、任意の条件(例えば、回転数:500~3500rpm、時間:1~90分)で処理することができる。
【0088】
ホモジナイザー等による攪拌処理にかかる回転速度・処理時間の条件は、香料成分の量や質によって適宜調節し実施することができる。
【0089】
また、本発明の香料組成物の製造方法において、上記工程(1)で得られた混合物を用いて香料組成物を調製する工程(2)は、特に限定はされないが、例えば、混合物が液体の場合、乾燥工程において粉末や顆粒状に処理する方法や、大きめの塊状物とした後に物理的に粉砕等により粉末等にする方法等を適宜用いることができる。
【0090】
本発明の香料組成物は、さらに必要に応じて、例えば、噴霧乾燥(スプレードライ)等によって粉末状とすることができる。さらに、該粉末化した組成物を公知の技術によって凝集・固着させ、取扱いが容易な顆粒・固形物とすることもできる。
【0091】
また、本明細書において、粉末状とは、粉体あるいは顆粒のいずれも含む。
【0092】
本発明において、噴霧乾燥を行う際の機器としては、アトマイザー(噴霧器)として、加圧ノズル(一流体ノズル)、二流体ノズル、回転円盤式(ディスク式)を備えた噴霧乾燥機が使用されて得る。このような噴霧乾燥機のなかで、乾燥粉の平均粒径が1~500μm、好ましくは10~300μmであり得ることから、このような平均粒径を得ることができる噴霧装置として、加圧噴霧ノズルが好ましい。加圧噴霧乾燥に当たっては、モノノズルやマルチノズルなどいずれのノズルであっても使用が可能である。また、二流体ノズルを備えた噴霧乾燥機は、微細な粒子径の微粒子粉末を得るのに適しており、微細な粒子径の粉末を得る際には好ましい。
【0093】
[飲食品組成物等、香料組成物を用いた製品]
本発明の飲食品組成物は、上記香料組成物を含む。また、上記香料組成物は、飲食品以外の対象物に適宜添加して用いることもできる。
【0094】
なお、本発明における飲食品組成物とは、飲食品自体であってもよく、その後の加熱、加工調理等によって飲食品となりうるものを含む。
【0095】
本発明の香料組成物を用いる対象物としては、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品等の製品であり得る。さらに、本発明の香料組成物は、香粧品、芳香剤、日用雑貨、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、身体洗浄剤、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、トイレタリー製品、医薬品、飲食品等の製品に配合して、各種製品の香味発現パターンの改変に用いることもできる。
【0096】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできる医薬品としては、例えば、錠剤(例えば、糖衣錠)、顆粒剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、及び、うがい薬等の経口医薬品、ハップ剤、軟膏剤などの皮膚外用剤などをあげることができる。
【0097】
上記医薬部外品の例としては、栄養助剤、各種サプリメント、口臭予防剤、口中清涼剤、養毛剤、及び、育毛剤等をあげることができる。
【0098】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできる飲食品としては、例えば、
飲料、及び、アルコール飲料等の飲料類;
冷菓(例えば、アイスキャンディ、アイスクリーム等)、砂糖菓子(例えば、キャンディ、ヌガー、グミ、マシュマロ、チューインガム、チョコレート等)、パティスリー(例えば、ケーキ、クッキー、マカロン、ゼリー、プリン、ババロア等)、スナック菓子、和菓子(例えば、団子、煎餅、ドーナツ、カステラ等)、等の菓子類;
乾燥野菜、及び、漬け物等の農産加工品;
蒲鉾等の海産物加工品;
麺類、米飯、パン等の穀類加工品;
調味料(例えば、しょうゆ、つゆ、ドレッシング、コンソメ、ブイヨン、たれ、ソース、ケチャップ、スパイス類、わさび、からし、レモン果汁、中華だし、ラーメンスープ、浅漬けの素、オイスターソース、豆板醤、キムチのたれ、ガラスープ、味噌等);
シロップ、ジャム等;並びに
畜肉加工品等をあげることができる。
【0099】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできる香粧品としては、例えば、香水などのフレグランス製品、基礎化粧品(洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としなど)、仕上げ化粧品(ファンデーション、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなど)、頭髪化粧品(ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤など)、日焼け化粧品(サンタン製品、サンスクリーン製品など)、薬用化粧品(制汗剤、アフターシェービングローション、及び、ジェル、パーマネントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料など)をあげることができる。
【0100】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできる芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなどをあげることができる。
【0101】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできるトイレタリー製品としては、例えば、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸などをあげることができる。
【0102】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできる身体洗浄剤としてはボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープなどをあげることができる。
【0103】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできるヘアケア製品としてはシャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパック、ヘアカラーなどをあげることができる。
【0104】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできるスキンケア製品としてはリップクリーム、ハンドクリーム、シェービング製品(シェービングフォームなど)をあげることができる。
【0105】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできる浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド等)、フォームバス(バブルバス等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブなどをあげることができる。
【0106】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできる口腔用品としては歯磨き粉、口腔洗浄料、マウスウォッシュ、トローチ、チューインガム類などなどをあげることができる。
【0107】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできる洗剤としては、例えば、洗剤(衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸など)、柔軟仕上げ剤(ソフナー、ファーニチャーケアなど)、洗浄剤(クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤など)、台所用洗剤(台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤など)、漂白剤(酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤等)、光学的漂白剤など)などをあげることができる。
【0108】
本発明の香料組成物によって香味発現パターンの改変を行うことのできる日用雑貨としては、例えば、消臭・芳香剤(固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなど)、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどをあげることができる。
【0109】
本発明の香料組成物を用いて、各種製品において香味発現パターンの改変を行う方法は、製品の種類や製品の最終形態(例えば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状などの製品形態)に応じて適宜選択できる。
【0110】
また、飲食品組成物では、水分含量が、99質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよく、8質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよく、2質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよい。飲食品組成物の成分組成や添加対象物、その後の加工過程等に応じて、適宜用いることができる。
【0111】
[飲食品の製造方法]
本発明の飲食品の製造方法は、
上記改変剤、又は、香料組成物を飲食品に適用する工程(3)を含む。
【0112】
本発明の飲食品の製造方法は、上記構成を有することにより、上記飲食品における香料成分の香味発現パターンの改変を通じて、トップノート及び/若しくはミドルノートが増強された飲食品、風味の厚み若しくは膨らみが付与された飲食品、又は、嫌悪風味がマスキングされた飲食品を簡便に得ることが可能となる。
【0113】
上記工程(3)は、特に限定はされないが、上記改変剤、又は、香料組成物を用いて飲食品を製造する工程であれば特に制限されず、例えば、上記改変剤、又は、香料組成物を対象物に添加する工程等があげられる。
【0114】
<香味発現パターンの改変方法>
本発明を用いた方法は、
上記改変剤、又は、香料組成物を飲食品に適用する工程(3)を含む。
【0115】
本発明の方法は、上記構成を有することにより、上記飲食品における香料成分の香味発現パターンの改変を通じて、トップノート及び/若しくはミドルノートが増強された飲食品、風味の厚み若しくは膨らみが付与された飲食品、又は、嫌悪風味がマスキングされた飲食品を簡便に得ることが可能となる。
【0116】
上記工程(3)は、特に限定はされないが、上記改変剤、又は、香料組成物を用いて飲食品を製造する工程であれば特に制限されず、例えば、上記改変剤、又は、香料組成物を対象物に添加する工程等があげられる。
【実施例
【0117】
本発明について、以下に実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0118】
[低分子ガティガム溶液の調製(実施例)]
表1の処方に従い、クエン酸による酸分解処理により、表2の条件で各種の重量平均分子量を有する低分子ガティガム溶液(溶液2~9)を調製した。具体的には、90℃のイオン交換水にガティガム及びクエン酸を溶解させ、表2の処理温度、処理時間等の条件により、酸分解処理を行った。なお、溶液(1)は、クエン酸による酸分解処理を行っていない通常の重量平均分子量を有するガティガム溶液である(比較例)。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
[アラビアガム溶液の調製(比較例)]
表3の処方に従い、アラビアガム溶液(溶液10)を調製した。具体的には、90℃のイオン交換水にアラビアガム及びクエン酸を溶解させた。
【0122】
【表3】
【0123】
[乳化香料形態の香料組成物の調製]
表4の処方に従い、レモン香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を用いた乳化香料組成物を調製した。具体的には、上記低分子ガティガム溶液(実施例)、又は、上記アラビアガム溶液(比較例)と、イオン交換水、グリセリンとを混合撹拌した後、レモン香料を添加して混合撹拌した。その後、高圧ホモジナイザーにて40MPa、2回の条件にて乳化処理を行い、乳化香料形態の香料組成物を調製した(比較例1、2、実施例1~8)。なお、比較例3として、溶液(1)~(9)に代えて、グリセリン脂肪酸エステルを用いた香料組成物を調製した。
【0124】
【表4】
【0125】
[水溶性香料(エッセンス香料)形態の香料組成物の調製]
表5の処方に従い、レモン香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)を用いた水溶性香料組成物を調製した。具体的には、レモン香料とエタノールとを混合し、-15℃にて12時間静置した後、ろ過を行い濾液を回収することで、香料組成物を調製した(比較例4)。
【0126】
【表5】
【0127】
飲食品として、ソフトドリンク又はアルコール飲料に、上記香料組成物を適用し、下記の官能評価方法により香味発現パターンの変化を評価した。
【0128】
[ソフトドリンクの調製]
表6の処方に従い、ソフトドリンクを調製した。具体的には、表6の各成分を混合し、93℃にてホットパック充填を行った。その後、5℃まで冷却することにより、ソフトドリンクを調製した。
【0129】
【表6】
【0130】
[アルコール飲料の調製]
表7の処方に従い、アルコール飲料を調製した。具体的には、表7のイオン交換水を除く各成分を混合した後、イオン交換水を添加して混合した。その後、5℃まで冷却することにより、アルコール飲料を調製した。
【0131】
【表7】
【0132】
[香味発現パターンの改変に関する官能評価試験1]
上記ソフトドリンク、及び、アルコール飲料について、官能評価試験を行った。官能評価試験は、香料の官能評価に精通した10名の評価者(パネラーA~J)により行った。
【0133】
口にした際の初期に感じる香りを「トップノート(トップ)」、口に十分に広がった際の中期に感じる香りを「ミドルノート(ミドル)」、飲み込んだ後の終盤に感じる香りを「ラストノート(ラスト)」と表現した。表8の点数の基準を共通認識としてパネラー間で事前に確認した後、比較例1~4、実施例1~8のそれぞれの香りについて評価し、平均点を算出した。
【0134】
【表8】
【0135】
[ソフトドリンクにおける官能評価結果]
ソフトドリンクの評価結果は、以下の通りである。
【0136】
【表9】
【0137】
表9に示されるように、評価の結果、低分子化を行っていない通常のガティガム溶液を用いた香料組成物(比較例1)、及び、アラビアガム溶液を用いた香料組成物(比較例2)では、香味発現パターンは変化せず、乳化香料の形態で通常感じられる「トップノートの香味発現が弱く、ミドルノートからラストノートにかけて香味発現が強まる傾向」が示された。
【0138】
一方で、低分子ガティガムを用いた香料組成物(実施例1~8)では、香味発現パターンが変化し、ミドルノートの香味発現を一定以上維持しつつも、トップノートの香味発現を高めることが認められた。
【0139】
[アルコール飲料における官能評価結果1]
アルコール飲料の評価結果は、以下の通りである。
【0140】
【表10】
【0141】
表10に示されるように、評価の結果、低分子化を行っていない通常のガティガム溶液を用いた香料組成物(比較例1)、及び、アラビアガム溶液を用いた香料組成物(比較例2)では、香味発現パターンは変化せず、乳化香料の形態で通常感じられる「トップノートの香味発現が弱く、ミドルノートからラストノートにかけて香味発現が強まる傾向」が示された。
【0142】
一方で、低分子ガティガムを用いた香料組成物(実施例1~8)では、香味発現パターンが変化し、ミドルノートの香味発現を一定以上維持しつつも、トップノートの香味発現を高めることが認められた。
【0143】
なお、10名の評価者(パネラーA~J)による個別の評点は、以下のとおりである。ソフトドリンクにおける個別の評点を表11~表22に示し、アルコール飲料における個別の評点を表23~表34に示す。
【0144】
【表11】
【0145】
【表12】
【0146】
【表13】
【0147】
【表14】
【0148】
【表15】
【0149】
【表16】
【0150】
【表17】
【0151】
【表18】
【0152】
【表19】
【0153】
【表20】
【0154】
【表21】
【0155】
【表22】
【0156】
アルコール飲料における個別の評点を以下の表23~表34に示す。
【0157】
【表23】
【0158】
【表24】
【0159】
【表25】
【0160】
【表26】
【0161】
【表27】
【0162】
【表28】
【0163】
【表29】
【0164】
【表30】
【0165】
【表31】
【0166】
【表32】
【0167】
【表33】
【0168】
【表34】
【0169】
[香味発現パターンの改変に関する官能評価試験2]
上記官能評価試験1の結果により、低分子ガティガムを用いた香料組成物(実施例1~8)を用いることで、アルコール飲料の香味発現パターンが変化し、ミドルノートの香味発現を一定以上維持しつつも、トップノートの香味発現を高めることが可能となった。
【0170】
本官能評価試験2では、このような香味発現パターンの改変が、アルコール由来の苦味に対して、どのような影響を与えるかについて検討を行った。
【0171】
上記表7の処方のアルコール飲料について、以下の官能評価試験を行った。官能評価試験は、上記官能評価試験1と同じ10名の評価者(パネラーA~J)により行った。
【0172】
飲料を飲み込んだ後に感じる、アルコール由来の苦みの強さを評価した。表35の点数の基準を共通認識としてパネラー間で事前に確認した後、比較例1~4、実施例1~8のそれぞれの香りについて評価し、平均点を算出した。
【0173】
【表35】
【0174】
[アルコール飲料における官能評価結果2]
アルコール飲料の評価結果は、以下の通りである。
【0175】
【表36】
【0176】
表36に示されるように、評価の結果、低分子化を行っていない通常のガティガム溶液を用いた香料組成物(比較例1)、及び、アラビアガム溶液を用いた香料組成物(比較例2)では、香味発現パターンは変化しないことから、アルコール由来の苦みがマスキングされず、依然として感じられるとの評価がなされた。
【0177】
一方で、低分子ガティガムを用いた香料組成物(実施例1~8)では、アルコール由来の苦みがほとんど感じられないか(実施例1~7)、アルコール由来の苦みが抑えられている(実施例8)との評価結果が得られた。これは、低分子ガティガムを用いた香料組成物(実施例1~8)を用いることで、香味発現パターンが変化し、トップノートの香味発現が高められ、嫌悪風味を打ち消すことができたものと推測される。
【0178】
なお、10名の評価者(パネラーA~J)による個別の評点は、以下のとおりである。
【0179】
【表37】