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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】設計資料生成装置および設計資料生成方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20250307BHJP
【FI】
G05B19/05 S
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021068190
(22)【出願日】2021-04-14
(65)【公開番号】P2022163323
(43)【公開日】2022-10-26
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 航平
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特許第6203321(JP,B2)
【文献】特開2019-101857(JP,A)
【文献】特開2011-107921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04- 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内に設けられる複数のPLCの全体を制御するPLCシステムを設計するための複数の設計資料データを生成する設計資料生成装置であって、
前記複数の設計資料データを生成するための共通のデータを登録する1つのデータベースを記憶する記憶部と、
前記複数の設計資料データのそれぞれに対応した複数の処理を実行する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記複数の処理のうち、ユーザによって所定の処理が指示された場合、前記所定の処理を起動する一方で、前記複数の処理のうちの前記所定の処理以外の処理を起動しないように制御し、
前記所定の処理において、前記ユーザによる所定のデータの入力後に前記所定のデータの登録が指示された場合、前記所定のデータを破棄するとともに、前記所定のデータ前記データベースに登録し、
前記所定のデータは、前記所定の処理に対応した所定の設計資料データに用いられるデータであって、前記所定の設計資料データと異なる設計資料データに用いられる共通のデータを含み、
前記制御部は、前記ユーザによって出力が指示がされた場合、前記データベースから読み出したデータを用いて、前記複数の設計資料データを一括して生成する、設計資料生成装置。
【請求項2】
前記複数の処理の各々において、前記ユーザが入力したデータおよび前記データベースから読み出したデータに基づき表示を行う表示部をさらに備える、請求項1に記載の設計資料生成装置。
【請求項3】
前記複数の設計資料データは、前記PLCシステム全体についての複数の管理項目を含む管理項目表データを含み、
前記複数の管理項目の各々は、前記複数のPLCの各々を特定するPLC番号と、前記複数のPLCに入出力される入出力信号の種別とに対応付けられている、請求項1または請求項2に記載の設計資料生成装置。
【請求項4】
前記複数の設計資料データは、前記入出力信号を割り付ける複数のアドレスを含む入出力表データを含み、
前記複数のアドレスの各々は、前記複数の管理項目のいずれかに対応付けられている、請求項3に記載の設計資料生成装置。
【請求項5】
前記複数の設計資料データは、前記PLCシステムを動作させるプログラムを作成するためのソフトウェアデータを含む、請求項4に記載の設計資料生成装置。
【請求項6】
施設内に設けられる複数のPLCの全体を制御するPLCシステムを設計するための複数の設計資料データを生成する設計資料生成方法であって、
前記複数の設計資料データを生成するための共通のデータを登録する1つのデータベースに登録するステップと、
前記複数の設計資料データのそれぞれに対応した複数の処理を実行するステップと備え、
前記複数の処理を実行するステップは、
前記複数の処理のうち、ユーザによって所定の処理が指示された場合、前記所定の処理を起動する一方で、前記複数の処理のうちの前記所定の処理以外の処理を起動しないように制御するステップと、
前記所定の処理において、前記ユーザによる所定のデータの入力後に前記所定のデータの登録が指示された場合、前記所定のデータを破棄するとともに、前記所定のデータ前記データベースに登録するステップとを含み
前記所定のデータは、前記所定の処理に対応した所定の設計資料データに用いられるデータであって、前記所定の設計資料データと異なる設計資料データに用いられる共通のデータを含み、
前記複数の処理を実行するステップは、前記ユーザによって出力が指示がされた場合、前記データベースから読み出したデータを用いて、前記複数の設計資料データを一括して生成するステップをさらに含む、設計資料生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設計資料生成装置および設計資料生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の自動制御装置やビル内に設置された各種設備機器などを、中央監視装置から監視および制御する際には、高い安全性と安定性を実現するために、PLC(Programmable Logic Contoroller)が用いられる。
【0003】
PLCは、ソフトウェアとして、リレー回路を記号化したラダー論理を用いる。このようなラダー論理で実現されるPLCソフトウェアを含むPLCシステムを設計するための資料を作成するものとして、たとえば、特許第6203321号公報(特許文献1)に示された装置がある。
【0004】
特許文献1に示された装置は、施設内に設けられる複数のPLCの全体を制御するPLCシステムを設計するための複数の資料として、設備等の管理項目として各監視要素と各制御要素とを並べた管理項目表や、PLCの入出力デバイスの各端子とCPUデバイス内のアドレスとに関するPLC入出力表等を作成する。本装置においては、管理項目表を作成するための処理、PLC入出力表を作成するための処理といった複数の処理が実行されるともに、当該複数の処理に用いられる共通のデータベースが用意されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6203321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PLCシステムを設計するための複数の設計資料データを生成させるために、複数の設計資料データのそれぞれに対応して複数の処理を実行させる(複数のツールを起動する)場合、同一のデータが重複して管理されているためにデータ間で不整合が発生する虞がある。たとえば、複数の処理(複数のツール)がそれぞれ管理しているデータと、これらが共通で用いるデータベースに登録されているデータとで、データベースへの更新タイミングによってはデータ間で不整合が発生する可能性がある。
【0007】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、PLCシステムを設計するための複数の設計資料データを生成する際に、データの不整合が発生することを抑制することができる設計資料生成装置および設計資料生成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る設計資料生成装置は、施設内に設けられる複数のPLCの全体を制御するPLCシステムを設計するための複数の設計資料データを生成する。設計資料生成装置は、記憶部と、制御部とを備える。記憶部は、複数の設計資料データを生成するためのデータを登録する共通のデータベースを記憶する。制御部は、複数の設計資料データのそれぞれに対応した複数の処理を実行する。制御部は、複数の処理の各々において、ユーザが入力したデータに基づき、データベースを更新する。制御部は、データベースから読み出したデータに基づき、複数の設計資料データを生成する。
【0009】
本開示に係る設計資料生成方法は、施設内に設けられる複数のPLCの全体を制御するPLCシステムを設計するための複数の設計資料データを生成する方法である。設計資料生成方法は、複数の設計資料データを生成するためのデータを共通のデータベースに登録するステップと、複数の設計資料データのそれぞれに対応した複数の処理を実行するステップと備える。複数の処理を実行するステップは、複数の処理の各々において、ユーザが入力したデータに基づき、データベースを更新するステップと、データベースから読み出したデータに基づき、複数の設計資料データを生成するステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、PLCシステムを設計するための複数の設計資料データを生成する際に、データの不整合が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係る設計資料生成装置が用いられるPLCシステムの構成図と、設計資料との関係を示す図である。
図2】設計資料生成装置の構成を示す図である。
図3】従来例での設計資料生成の処理の流れを説明するための図である。
図4】本実施の形態に係る設計資料生成の処理の流れを説明するための図である。
図5】ランチャー画面を説明するための図である。
図6】管理項目表画面を説明するための図である。
図7】入出力表画面を説明するための図である。
図8】データ出力メニュー画面を説明するための図である。
図9】CPUが実行するメイン処理のフローチャートである。
図10】CPUが実行するメイン処理のフローチャートである。
図11】CPUが実行するメイン処理のフローチャートである。
図12】CPUが実行するメイン処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
[PLCシステム10]
図1は、本実施の形態に係る設計資料生成装置40が用いられるPLCシステム10の構成図と、設計資料30との関係を示す図である。
【0014】
PLCシステム10は、施設内に設けられる複数のPLC(後述のPLC00~PLC05)の全体を制御する。設計資料生成装置40は、PLCシステム10を設計するための複数の設計資料(「設計資料データ」とも称する)30を生成する。
【0015】
複数の設計資料30は、管理項目表(「管理項目表データ」とも称する)131と、入出力表(「入出力表データ」とも称する)132と、SW仕様書(「SW仕様書データ」とも称する)133と、機器員数表(「機器員数表データ」とも称する)134と、基本SW(「基本SWデータ」とも称する)135と、相対表(「相対表データ」とも称する)136とを含む(図4参照)。各設計資料30の説明は後述する。
【0016】
PLCシステム10は、ビル8における複数の設備等を、1台のマスタPLCと5台の各階PLCで管理するビル管理システムである。ビル8は、地下1階、地上4階建てのオフィスビルである。ビル8は、地下1階(「BF」とも称する)に、配電盤、冷却塔等の設備が配置され、1階(1F)~3階(3F)にオフィス設備が配置され、4階(4F)に厨房を備える社員食堂が設けられる。
【0017】
PLCシステム10は、地下1階に中央監視装置12が配置され、ビル8の中間階に置かれるマスタPLC盤14にマスタPLC16が配置される。中央監視装置12とマスタPLCとの間は、ネットワーク配線で接続される。これを第1系統の基幹ネットワーク18と呼ぶ。
【0018】
また、地下1階から4階までの各階にそれぞれ各階PLC盤20a~20eが置かれ、各階PLC盤20a~20eにはそれぞれ各階PLC22a~22eが収納される。マスタPLC16と、各階PLC22a~22eとの間は、第1系統の基幹ネットワーク18とは別のネットワーク配線で接続される。これを第2系統の基幹ネットワーク26と呼ぶ。第2系統の基幹ネットワーク26は、マスタPLCと、これとは別のPLCの間の通信ネットワークであるので、CCLと呼ぶ。
【0019】
マスタPLC盤14と、各階PLC盤20a~20eとは、いずれも内部にPLCを収納する筐体で、中央監視装置12から見ると遠隔位置に配置されるRS盤であるので、これらを区別して、RS-0~RS-5と呼ぶ。RSは、Remote Station の略語である。
【0020】
RS-0はマスタPLC盤14であり、RS-1はBFに配置される各階PLC盤20aであり、RS-2は1Fに配置される各階PLC盤20bである。以下同様に、RS-3は2Fに配置される各階PLC盤20cであり、RS-4は3Fに配置される各階PLC盤20dであり、RS-5は4Fに配置される各階PLC盤20eである。
【0021】
マスタPLC16と、各階PLC22a~22eは、いずれもPLCであるが、これらを区別するためにPLC局番を用いる。PLC局番は、マスタPLC16を00として、各階PLC22a~22eにそれぞれ01から05を割り当てたPLC番号である。PLC局番01は、BFに配置される各階PLC22aに割り当てられ、PLC局番02は、1Fに配置される各階PLC22bに割り当てられる。
【0022】
以下同様に、PLC局番03は、2Fに配置される各階PLC22cに割り当てられ、PLC局番04は、3Fに配置される各階PLC22dに割り当てられ、PLC局番05は、4Fに配置される各階PLC22eに割り当てられる。以下では、PLC局番01~PLC局番05の各PLCを、それぞれ、PLC01~PLC05と呼ぶ。
【0023】
各階には、ビル8に関する監視要素と制御要素が配置されるが、ビル8の例では、BFに配電盤、冷却塔等の設備に関する監視要素と制御要素とが配置される。そこで、BFにおける監視要素と制御要素をまとめて電力空調盤24aと示す。電力空調盤24aは、PLC01に接続される相手盤に相当する。
【0024】
ビル8の1Fにはオフィス設備が配置されるので、1Fのオフィス設備に関する監視要素と制御要素をまとめてオフィス1盤24bと示す。オフィス1盤24bは、PLC02に接続される相手盤に相当する。同様に、ビル8の2Fと3Fにもオフィス設備が配置されるので、これらのオフィス設備に関する監視要素と制御要素をまとめたものを、それぞれオフィス2盤24c、オフィス3盤24dと示す。オフィス2盤24cとオフィス3盤24dは、それぞれ、PLC03、PLC04に接続される相手盤に相当する。
【0025】
ビル8の4Fは厨房を備える社員食堂が設けられるので、食堂に関する監視要素と制御要素をまとめて食堂盤24eと示す。食堂盤24eは、PLC05に接続される相手盤に相当する。PLC01~PLC05と、それぞれの相手盤との間は、RS232等の一般的な信号線28で接続される。
【0026】
PLCシステム10の全体の仕様は、中央監視装置12とPLC00との間の仕様、および、PLC00とPLC01~PLC05との間の仕様で規定される。このうちで設計資料30は、PLC00とPLC01~PLC05との間の仕様を規定するものである。
【0027】
設計資料30は、ビル8の管理システムのオーダー先である施主との打合せでの取り決めに基づいて作成される。作成される設計資料30は、管理項目表131と、PLC01~PLC05のそれぞれについての入出力表131と、SW仕様書133等を含む。設計資料30の詳細は、図3以降の図を用いて説明する。
【0028】
[設計資料生成装置40]
図2は、設計資料生成装置40の構成を示す図である。設計資料生成装置40は、コンピュータで構成でき、コンピュータとしては、作表演算処理に適したパーソナルコンピュータが用いられる。
【0029】
設計資料生成装置40は、CPU(Central Processing Unit)61と、ROM(Read Only Memory)62と、RAM(Random Access Memory)63と、記憶装置64とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0030】
CPU61は、ROM62に保存されているプログラムをRAM63に読み込んで実行し、設計資料生成装置40の各種機能を実現する。ROM62は、設計資料生成装置40の処理手順が記されたプログラムを格納する。
【0031】
RAM63は、CPU61がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。
【0032】
記憶装置64は、不揮発性の記憶装置である。記憶装置64は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等である。記憶装置64は、データベース(以下、「DB」と表記する)50を記憶する。DB50は、複数の設計資料データ30を生成するためのデータを登録する共通のデータベースである。記憶装置64は、DB50の他に、後述する設計資料生成ツール100を記憶する。
【0033】
設計資料生成装置40には、キーボード等の入力装置44と、ディスプレイ等の表示装置46が接続される。
【0034】
[設計資料生成の処理の流れ]
本実施の形態においては、設計資料生成ツール100(後述の図4参照)を用いて、複数の設計資料30(管理項目表131、入出力表132、SW仕様書133、機器員数表134、基本SW135、相対表136)を生成する。設計資料生成ツール100は、単体で動作する1つのソフトウェアである。
【0035】
これに対して、従来例として、たとえば、設計資料生成ツール100に相当するものとして、設計資料生成ツール群101が構成される。図3は、従来例での設計資料生成の処理の流れを説明するための図である。設計資料生成ツール群101は、DB50と、管理項目表作成ツール121と、入出力表作成ツール122と、SW仕様書作成ツール123と、機器員数表作成ツール124と、SW製作支援ツール125と、相対表作成ツール126とを含む。
【0036】
設計資料生成ツール群101は、たとえば、マイクロソフトウェア社のエクセル(商品名)を用いたアプリケーションプログラムで構成される。なお、これに限らず、文字列を扱えて、複数のワークシートを1つのファイルで使用できる作表プログラムであって、1つのワークシートにおいて、セルの行と列、または文字列を検索キーとして指定し、検索された内容をコピーして別のワークシートに貼付できるものであればよい。
【0037】
以下、従来例における、設計資料30を作成するための手順および処理の流れについて説明する。設計者は、まず、データ読込支援ツール111を起動して、受注前管理項目表110を読み込ませる。受注前管理項目表110は、設計資料30を作成するための、いわばたたき台となる設計データである。
【0038】
データ読込支援ツール111は、設計資料生成ツール群101(あるいは設計資料生成ツール100)に受注前管理項目表110の内容を読み込み可能にするために、データを変換するツールである。データ読込支援ツール111は、受注前管理項目表110を読み込んで、受注前I/Fファイル112を生成する。
【0039】
次に、管理項目表作成ツール121を起動し、受注前I/Fファイル112を読み込ませる。そして、管理項目表作成ツール121の画面にて必要項目を入力する(後述する図6のような画面にてエクセルのセルに入力を行う)。これらの作業により、管理項目表作成ツール121にて、管理項目表131が作成される。
【0040】
さらに、管理項目表作成ツール121上にて、DB50にデータを登録する操作を行う。これにより、管理項目表作成ツール121上のデータをDB50に反映させることができる。
【0041】
次に、機器員数表作成ツール124を起動し、DB50からデータを読み込ませる操作を行うと、機器員数表作成ツール124にDB50から読み込んだデータが反映される。そして、機器員数表作成ツール124の画面にて必要項目を入力する。これらの作業により、機器員数表作成ツール124にて、機器員数表134が作成される。さらに、機器員数表作成ツール124上のデータをDB50に登録する。
【0042】
次に、入出力表作成ツール122を起動させ、DB50からデータを読み込ませる操作を行うと、入出力表作成ツール122にDB50から読み込んだデータが反映される。そして、入出力表作成ツール122の画面(後述の図7のような画面)にて必要項目を入力する。これらの作業により、入出力表作成ツール122にて、入出力表132が作成される。さらに、入出力表作成ツール122上のデータをDB50に登録する。
【0043】
同様に、SW仕様書作成ツール123は、SW仕様書133を作成する。SW製作支援ツール125は、基本SW135を作成する。相対表作成ツール126は、相対表136を作成する。これらのツールにおいても、DB50からのデータの読み込みおよびDB50への各ツールからのデータの登録作業を行う。
【0044】
また、管理項目表作成ツール121は、ビル管理システム用データ141を出力する。ビル管理システム用データ141は、PLCシステム10を含めたビル設備の全体を管理するビル管理システムに使用するためのデータである。設計者は、ビル管理システム用ツール142を起動して、ビル管理システム用データ141を読み込ませる。データ読込支援ツール111は、ビル管理システム用データ141に基づいて、ビル管理システムに読み込ませるためのデータを生成する。
【0045】
以上説明したように、設計資料生成ツール群101の各ツールは、それぞれ単独で起動可能である。そして、各ツールはDB50との間でデータをやりとりし、各ツールに対応した設計資料30をそれぞれ出力する。
【0046】
ここで問題となるのは、各ツールは、共通のDB50を使用しているのだが、各ツール自身もエクセル上にデータを保持していることである。つまり、同じデータがDB50と各ツールでそれぞれ記憶された状態になっている。このため、ツール上でエクセルデータを更新したが、これがDB50に反映されていないといった、データの不整合(泣き別れ)が発生するという問題が発生する。たとえば、あるツールを使用した際にエクセル上のデータをDB50に反映をしない状態で、別のツールにおいてDB50からデータを読み込ませたような場合、ツール間でデータの整合性が取れなくなってしまう。
【0047】
これに対して、本実施の形態においては、図4に示すような構成となっている。図4は、本実施の形態に係る設計資料生成の処理の流れを説明するための図である。
【0048】
本実施の形態においては、設計資料生成ツール群101に替えて、設計資料生成ツール100を用いる。設計資料生成ツール群101は、それぞれ独自に起動可能な複数のツールから構成される。一方で、本実施の形態に係る設計資料生成ツール100は1つのソフトウェアとして起動する。
【0049】
計資料生成ツール群101が設計資料生成ツール100に置き換わる以外、基本的な動作は同じである。図3の例と同様に、設計資料生成ツール100を起動し、データ読込支援ツール111で作成された受注前I/Fファイル112を読み込ませる。
【0050】
設計者がデータ入力等を行った後、設計資料生成ツール100は、各種設計資料30として、管理項目表131、入出力表132、SW仕様書133、機器員数表134、基本SW135、および相対表136を一括して生成するとともに、ビル管理システム用データ141を生成する。
【0051】
ここで、設計資料生成ツール100は、1つのソフトウェアとして起動するものの、従来例と同様に、DB50と、管理項目表作成ツールと、入出力表作成ツールと、SW仕様書作成ツールと、機器員数表作成ツールと、SW製作支援ツールと、相対表作成ツールとを備えている。
【0052】
これらの各ツールの機能は、計資料生成ツール群101の各ツールの機能と同等であるが、これらはエクセルを用いたアプリケーションプログラムではない。設計資料生成ツール100を起動すると、まず、ランチャーツール(以下、「ランチャー」とも称する)が起動する。
【0053】
各ツールは、ランチャーから起動可能な構成となっている。各ツールは、DB50からのデータの読み込みおよびDB50へのデータの書き込みを行い、各ツールに対応した設計資料を生成する。しかしながら、各ツールが使用するデータは、DB50のみで管理されており、各ツール自体はデータを保持しない。
【0054】
各ツールを終了する場合、ツールが保持しているデータは必ずDB50に反映されるように構成されており、ツール終了時にはツール画面が消去されるとともに保持していたデータが破棄される。また、各ツールは、ランチャーから選択的に1つずつ起動可能な構成となっており、データ入力等の作業が終わった後は、設計資料30を一括して出力させるようにしている。
【0055】
たとえば、ランチャーから管理項目表作成ツールを起動した場合は、管理項目表作成ツールはDB50からデータを読み込む。管理項目表作成ツールでの入力作業が終わった後は、DB50を更新するとともに管理項目表作成ツールを終了させる。この場合、管理項目表作成ツール自体はデータを保持しない。
【0056】
管理項目表作成ツールが終了した後は、別のツールが起動可能となる。たとえば、ランチャーから機器員数表作成ツールを起動した場合は、機器員数表作成はDB50からデータを読み込む。機器員数表作成での入力作業が終わった後は、DB50を更新するとともに機器員数表作成ツールを終了させる。この場合、機器員数表作成ツール自体はデータを保持しない。
【0057】
そして、全ての作業が終わった後は、データ出力画面を起動する。データ出力画面では、DB50からデータを読み込み、設計資料30(管理項目表131と、入出力表132と、SW仕様書133と、機器員数表134、基本SW135、相対表136)を一括して出力する。このように、設計資料30を出力するための各データはDB50にて一元管理されるようになっている。
【0058】
[設計資料生成ツール100]
以下、図5図8を用いて、設計資料生成ツール100の動作を具体的に説明する。図5は、ランチャー画面70を説明するための図である。
【0059】
図5(a)に示すように、設計資料生成ツール100が起動すると、ランチャー画面70が表示される。ランチャー画面70には、「案件情報」ボタンと、プルダウンメニューと、「開く」ボタンと、「データ出力」ボタンと、「終了」ボタンが設けられている。
【0060】
「案件情報」ボタンをクリックすると、案件情報を入力する「案件情報画面」(図示なし)が表示される。案件情報は、たとえば、案件名、建物番号、オーダー番号、ビル仕様などである。設計者は、これらの情報を入力する。また、一部情報については、受注前I/Fファイル112から読み込ませることもできる。これらの情報の入力後、DB50を更新させ、案件情報画面を終了させて、ランチャー画面70に戻る。
【0061】
ランチャー画面70のプルダウンメニューを押下すると、図5(b)に示すように、各ツールのリストが表示される。たとえば、「管理項目表」を選択して、「開く」ボタンをクリックすると、管理項目表作成ツールが起動する。
【0062】
プルダウンメニューでの選択項目と、ツールおよび出力データとの対応関係は、図5(c)に示す通りである。選択項目は、管理項目表(ID:1)と、入出力表(ID:2)と、SW仕様書(ID:3)と、機器員数表(ID:4)と、基本SW(ID:5)と、相対表136(ID:6)とが含まれる。
【0063】
選択項目が選ばれて「開く」ボタンがクリックされると、選択された選択項目に対応するID番号のツールが起動する。管理項目表(ID:1)に対応するのは、管理項目表作成ツールであり、管理項目表作成ツールは管理項目表131を生成する。
【0064】
(ID:2)入出力表に対応するのは、入出力表作成ツールであり、入出力表作成ツールは入出力表132を生成する。(ID:3)SW仕様書に対応するのは、SW仕様書作成ツールであり、SW仕様書作成ツールはSW仕様書133を生成する。(ID:4)機器員数表に対応するのは、機器員数表作成ツールであり、機器員数表作成ツールは機器員数表134を生成する。
【0065】
(ID:5)基本SWに対応するのは、基本SW作成ツールであり、基本SW作成ツールは基本SW135を生成する。(ID:6)相対表に対応するのは、相対表作成ツールであり、相対表作成ツールは相対表136を生成する。
【0066】
各ツールを起動すると、DBが読み込まれて、起動したツールに対応する出力データの一部または全部が自動生成されて画面上に表示される。設計者は、画面上で、必要に応じてデータの追加または変更を行い、DBを更新させる。
【0067】
各ツールでの作業が終了すると、再度ランチャー画面70に戻る。「データ出力」ボタンをクリックすると、データ出力メニュー画面73が表示される。データ出力メニュー画面73では、設計資料30を一括して生成させることができる。
【0068】
生成された設計資料30(設計資料データ30)は、たとえば、資料を閲覧するためのソフトウェアで読み込み可能な形式のデータファイル、ソフトウェアを設計するための専用ソフトウェアで読み込み可能な形式のデータファイル、あるいは、何らかの専用ソフトウェアで読み込み可能な形式のデータファイルである。
【0069】
データ出力メニュー画面73を終了させると、再度ランチャー画面70に戻る。「終了」ボタンをクリックすると、ランチャー画面70の表示が終了して、設計資料生成ツール100が終了する。
【0070】
図6は、管理項目表画面を説明するための図である。図6に示すように、管理項目表作成ツールが起動すると、管理項目表画面72が表示される。
【0071】
「案件名」は、PLCシステム10の名称である。図1の例では、ビル8の名称等を「案件名」とする。「基幹」は、PLCシステム10において、PLC00と、PLC01~PLC05との間の基幹ネットワーク26の系統名で、図1の場合、第2系統の基幹ネットワーク26は、CCLに定められているので、予め「CCL」と記入されている。「案件名」、「基幹」は、DB50から読み込んで表示させればよい。
【0072】
「管理項目名称」、「PLC局番」、「RS盤名称」の次に、6つの入出力信号の種別が配置される。6つの入出力信号の種別は、制御に関する「BO:個別発停」、「AO:アナログ出力」の2つ、監視に関する「BI:状態」、「BI:計量」、「AI:電流電圧」、「AI-R:抵抗」の4つである。
【0073】
「管理項目名称」は、PLCシステム10において、ビル8に配置される制御要素と監視要素を「管理項目」として、管理項目の名称、すなわち管理項目名である。「PLC局番」は、その「管理項目」を扱うPLCの局番で、PLC00であれば「00」と記入される。「RS盤名称」は、そのPLCが収納されるRS盤の名称で、RS-1であれば「RS-1」と記入される。RS盤には、少なくとも1つのPLCが収納される。
【0074】
6つの入出力信号の種別に関する欄は、「管理項目」がPLCによって扱われるときの信号の種別を示す欄である。1つの「管理項目」に対し、1つの信号種別が定められる。
【0075】
「制御」に関する「BO:個別発停」、「AO:アナログ出力」の2つは、管理項目が制御要素に関するときに制御要素に対してPLCから出力される信号である。その信号がバイナリのデジタル信号のときが「BO:個別発停」である。BO=1は、対象の制御要素の動作を発動させる信号で、BO=0は、対象の制御要素の動作を停止させる信号である。「BO」の信号の例としては、ヒータのオンオフ、照明のオンオフ、空調のオンオフ、電源のオンオフ等である。制御要素に対して出力される信号がアナログ信号のとき、「AO:アナログ信号」である。「AO」の信号の例としては、弁の連続可変開閉信号、照明の調光信号、空調の温度指令信号等である。
【0076】
「監視」に関する「BI」、「AI」は、管理項目が監視要素に関するときに監視要素からPLCに対し入力される信号である。その信号がバイナリのデジタル信号のときが「BI」で、アナログ信号のときが「AI」である。
【0077】
「BI」は、監視要素の状態を示し、BI=1は、監視要素が動作中の状態のときを示し、BI=0は、監視要素の動作が停止しているときを示す。「BI」はパルス信号であるが、そのパルス信号を計数することで「計量」する監視要素がある。例えば、電力計、水量計、ガスメータ等である。これらは、円板やリングが回転することで、その量を計測する。1回転に付き1パルスを出力することで、パルス数を計数することで、これらの消費量が「計量」できる。
【0078】
換言すれば、電力計、水量計、ガスメータ等は、アナログ信号で監視するのでなく、バイナリの「BI」において、そのパルス信号のパルス数で計量監視する。「BI」の「状態」と「計量」の欄は、同じバイナリ信号の入力であるが、PLCにおいて、パルス数を計数する必要があるが否かを区別するために用いられる。
【0079】
換言すれば、監視要素が「メータ」類であれば、「計量」欄に○マークを入力し、「メータ」類でないときは「状態」欄に○マークを入力する。なお、「〇マーク」は、該当箇所をクリックすることにより入力されるようにしてもよく、「〇マーク」の代わりにチェックボックスをチェックさせるようにしてもよい。
【0080】
「AI」は、電圧信号または電流信号であるが、温度計測については、抵抗の計測によって行う。「AI」は、PLCにおいてアナログ信号からデジタル信号に変換されてPLC00に伝送されるが、「電流電圧」のアナログ信号と、「抵抗」のアナログ信号とでは、デジタル信号への変換回路が異なる。そこで、「AI」に関する入出力デバイスの種別については、「電流電圧」に関する入出力デバイスを「AI」と示し、「抵抗」に関する入出力デバイスを「AI-R」として、両者を区別する。
【0081】
「管理項目名称」にその監視要素の名称を記入し、その監視要素を扱うPLCの局番を「PLC局番」に記入し、そのPLCが収納されるRS盤の名称を「RS盤名称」に記入する。そして、監視要素からPLCに入力される信号の種別がバイナリのデジタル信号かアナログ信号かを判定する。デジタル信号のときは、「BI」の「状態」か、メータ系の「計量」か、を判定していずれかの欄に○マークを入力する。アナログ信号のときは、「電流電圧」か、温度検出の「抵抗」か、を判定していずれかに〇マークを入力する。
【0082】
RS盤の数、PLCの数は、「管理項目」の総数と、ビル8における「管理項目」の配置状況によって、設計者が設定する。一例を挙げると、図1の場合「管理項目」の総数は、350である。8スロットのPLCの場合、通信用のスロットと予備スロットを1つずつ確保すると、6スロットが入出力デバイス用にあてることができる。入出力デバイスとして、チャネル数が16の標準的なものを用いるとすれば、1つのPLCで約100の「管理項目」を扱える。「管理項目」の総数が350の場合には、PLCの数は4つ必要になる。
【0083】
図1のPLCシステム10では、RS盤を各階に配置し、各RS盤に1つのPLCを収納する設定となっている。
【0084】
設計者は、全ての「管理項目」に関する情報の入力を完了させる。「管理項目」の総数は350であるが、図6にはその一部が示されている。管理項目表画面72の右側にはスクロールバーが表示されている。このスクロールバーを操作することで、全ての管理項目を表示することができる。
【0085】
全ての項目を入力し、「登録」釦がクリックされると、DB50が更新される。「閉じる」釦がクリックされると、管理項目表作成ツールが終了し、再度ランチャー画面70に戻る。「閉じる」釦がクリックされたときに、DB50が更新されていなければ、DB50を更新してから、管理項目表作成ツールを終了させる。
【0086】
管理項目表作成ツールにより出力される管理項目表データ131は、PLCシステム10全体についての複数の管理項目(管理項目名称)を含むデータである。そして、複数の管理項目の各々は、複数のPLC(PLC00~05)の各々を特定するPLC番号(PLC局番:00~05)と、複数のPLCに入出力される入出力信号の種別(BO:個別発停」、「AO:アナログ出力」、「BI:状態」、「BI:計量」、「AI:電流電圧」、「AI-R:抵抗」)とに対応付けられている。
【0087】
図7は、入出力表画面を説明するための図である。図6に示すように、入出力表作成ツールが起動すると、入出力表画面71が表示される。
【0088】
ここで、本実施の形態においては、図示を省略するが、機器員数表ツールにより、図の下部のような構成が設定されているものとする。ここでは、PLC01において、スロット=0に「通信」デバイスとして型名「QCCL」が配置される。この例では、「点数」が「32」に設定され、「QCCL」についての「先頭アドレス」は「03E0」に設定されている。また、PLC01において、入力デバイスとして、スロット=01からスロット=03に、「BI64」がそれぞれ割付られている。
【0089】
BIデバイスの先頭XYアドレスは「X100」であり、スロット=01の「BI64」に「X100」の先頭XYアドレスが割付られている。スロット=02の「BI64」には、64チャネル分に対応する16ビット表記の「20」だけずらして、「X140」が割付られ、スロット=03の「BI64」には、さらに64チャネル分の「20」だけずらして、「X180」が割付られている。機器員数表ツールにより出力される機器員数表データ135は、このような機器構成を示すデータである。
【0090】
入出力表画面71において、DB50からデータが読み込まれ、案件名、サブシステム、系統、局番、盤名が表示される。「型名」と「スロットNO.」と「先頭XY」は、入出力デバイスである「BI64」に関する基本事項である。この内容は、入出力デバイスが選択されると、当該入出力デバイスに対応する情報がそのまま表示される。この例では、「型名」は「BI64」、「スロットNO.」は「1」、「先頭XY」は「0100」である。
【0091】
入出力情報欄の「ピン番号」は、当該入出力デバイスの端子番号である。「CH」は、当該入出力デバイスである「BI64」のチャネル番号である。「アドレス」は、当該PLCにおけるCPUのアドレスである。「名称」は、管理項目表における「管理項目名称」である。「BI64」は64チャネルであるので、「CH」にチャネル「1」からチャネル「64」が表示され、「ピン番号」には、「1」から「80」の端子番号が表示される。また、「先頭XY」が「0100」であることを反映し、「アドレス」には、「X100」から「X13F」までが表示される。
【0092】
設計者は、「ピン番号」が「1B04」から「1B01」等が空いているので、それを用いて、電源の共通端子を宛がうことができる。例えば、PCL01の電源の共通端子をCOM1として、空いているピン番号にCOM1を設定することができる。
【0093】
そして、DB50より管理項目表を読み出す。そして、PLC局番=01を第1検索キーとし、選択された入出力デバイスの型名である「BI64」に対応する入出力信号の種別である「BI」を第2検索キーとして、「管理項目名称」を若い行番号から順次抽出する。
【0094】
次に、抽出された複数の「管理項目名称」について、最も若い行番号の「管理項目名称」を取得し、PLC入出力表ブランク35の「CH」=1の「名称」に入力する。図6の管理項目表において、PLC局番=01で、「BI」に該当する管理項目名称の内で、1番目の管理項目名称は「低温用PACACP状態」である。これが、入出力表の「CH」=1の「名称」に入力される。
【0095】
以後、順に管理項目名称が「名称」欄に入力される。また、図6の「BI」の「計量」に〇マークに対応して、図7の「信号種類」欄に「計量」が入力される。図6同様、入出力表画面71の右側にはスクロールバーが表示されている。このスクロールバーを操作することで、全ての項目を表示することができる。
【0096】
PLC01のスロット=1に配置される「BI64」の入出力表の編集が終了すると、設計者は、「次へ」釦をクリックする。これにより、PLC01のスロット=2に配置される「BI64」の入出力表が表示される。以下、「次へ」釦をクリックするたびに、次のスロットの入出力表が表示される。
【0097】
PLC01の全てのスロットの入力が終了すると、PLC02の入出力表示が表示される。このようにして、PLC01~05の入出力表を入力・編集することができる。また、「前へ」釦をクリックすることにより、1つ前の入出力表を表示することができる。
【0098】
全ての項目を入力し、「登録」釦がクリックされると、DB50が更新される。「閉じる」釦がクリックされると、入出力表作成ツールが終了し、再度ランチャー画面70に戻る。「閉じる」釦がクリックされたときに、DB50が更新されていなければ、DB50を更新してから、入出力表作成ツールを終了させる。
【0099】
入出力表作成ツールにより出力される入出力表データ132は、入出力信号を割り付ける複数のアドレス(「X100」等)を含むデータである。複数のアドレスの各々は、複数の管理項目のいずれか(「低温用PAC,APC状態」等)に対応付けられている。入出力表により、どの信号がどの機器のどの端子(どのアドレス)に入出力されるのかが特定できる。
【0100】
また、複数の設計資料データ30は、ソフトウェアデータとして、SW仕様書データ133と、基本SWデータ135とを含んでいる。ソフトウェアデータは、PLCシステム10を動作させるラダープログラムを作成するためのデータである。SW仕様書データ133は、入出力される信号の制御フローを図示する仕様書データである。本仕様書を参照して、ラダープログラムの製作が行われる。基本SWデータ135は、ラダープログラムを生成させる専用ソフトウェアに読み込ませるためソフトウェアデータである。相対表データ136は、PLCシステム10の接続関係を示す結線図を表示するための図面データである。
【0101】
図8は、データ出力メニュー画面を説明するための図である。ランチャー画面70で「データ出力」ボタンをクリックすると、図8に示すように、データ出力メニュー画面73が表示される。
【0102】
画面上では、入出力表、SW仕様書、機器員数表、基本SW、相対表、管理項目表の各項目に対応してチェックボックスが表示されている。これらのチェックボックスは、全てチェックされた状態で表示されている。「出力」ボタンをクリックすると、チェックボックスがチェックされた項目に対応する設計資料が生成される。
【0103】
図8のように全ての項目がチェックされた状態で「出力」ボタンがクリックされると、設計資料30である、管理項目表131、入出力表132、SW仕様書133、機器員数表134、基本SW135、相対表136が出力される。
【0104】
本実施の形態においては、各設計資料30は、管理項目表作成ツール等の各ツールがDB50からデータを読み込み、各ツールに対応する管理項目表131等の設計資料30を出力させる。なお、これに限らず、設計資料生成ツール100自体がDB50からデータを読み込み、各設計資料30を出力させるようにしてもよい。「閉じる」釦がクリックされると、データ出力メニュー画面73が閉じて、ランチャー画面70に戻る。
【0105】
[メイン処理のフローチャート]
CPU61は、設計資料生成処理を実行する。メイン処理は、設計資料生成ツール100の起動によりCPU61が実行する処理であって、図5図8に対応する処理である。図9図12は、CPU61が実行する設計資料生成処理のフローチャートである。以下、「ステップ」を単に「S」とも称する。
【0106】
図9に示すように、設計資料生成処理の実行が開始すると、CPU61は、S11において、ランチャー(ランチャーツール)を起動し、処理をS12に進める。これにより、表示装置46には、ランチャー画面70(図5(a)参照)が表示される。
【0107】
CPU61は、S12において、「案件情報」釦をクリックしたか否かを判定する。CPU61は、S12において、「案件情報」釦をクリックしたと判定した場合(S12でYES)、処理をS13に進める。一方、CPU61は、S12において、「案件情報」釦をクリックしたと判定しなかった場合(S12でNO)、再度S12を実行する。
【0108】
CPU61は、S13において、受注前データとして受注前I/Fファイルのデータ読み込み、処理をS14に進める。CPU61は、S14において、設計者が入力した案件データの入力情報を取得し、処理をS15に進める。たとえば、図5(a)に示したような、案件名や建物番号などの入力情報を取得する。
【0109】
CPU61は、S15において、「登録」釦をクリックしたか否かを判定する。CPU61は、S15において、「登録」釦をクリックしたと判定した場合(S15でYES)、処理をS16に進める。一方、CPU61は、S15において、「登録」釦をクリックしたと判定しなかった場合(S15でNO)、処理をS14に戻す。CPU61は、S16において、案件データの入力情報に基づきDB50を更新し、処理を「A」(図10のS21)に進める。
【0110】
図10に示すように、CPU61は、S21において、図5(a),(b)に示す画面において釦操作があったか否かを判定する。CPU61は、S21において、釦操作があったと判定した場合(S21でYES)、処理をS22に進める。一方、CPU61は、S21において、釦操作があったと判定しなかった場合(S21でNO)、再度S21を実行する。
【0111】
CPU61は、S22において、メニューを選択かつ「開く」釦がクリックされたか否かを判定する。CPU61は、S22において、メニューを選択かつ「開く」釦がクリックされたと判定した場合(S22でYES)、処理を「B」(図11のS31)に進める。一方、CPU61は、S22において、メニューを選択かつ「開く」釦がクリックされたと判定しなかった場合(S22でNO)、処理をS23に進める。
【0112】
CPU61は、S23において、「データ出力」釦がクリックされたか否かを判定する。CPU61は、S23において、「データ出力」釦がクリックされたと判定した場合(S23でYES)、処理を「C」(図12のS41)に進める。「データ出力」釦がクリックされると、データ出力メニュー画面73(図8参照)が表示される。一方、CPU61は、S23において、「データ出力」釦がクリックされたと判定しなかった場合(S23でNO)、処理をS24に進める。
【0113】
CPU61は、S24において、「終了」釦がクリックされたか否かを判定する。CPU61は、S24において、「終了」釦がクリックされたと判定した場合(S24でYES)、設計資料生成処理を終了する。設計資料生成処理が終了すると、設計資料生成ツール100が終了する。一方、CPU61は、S24において、「終了」釦がクリックされたと判定しなかった場合(S24でNO)、処理をS21に戻す。
【0114】
図11に示すように、CPU61は、S31において、図5(c)に示す選択項目に対応するIDのツールを起動し、処理をS32に進める。つまり、管理項目表作成ツール、入出力表作成ツール、SW仕様書作成ツール、機器員数表作成ツール、基本SW作成ツール、および相対表作成ツールのうちのいずれかのツールを起動する。
【0115】
CPU61は、S32において、DB50を読み込み、処理をS33に進める。DB50から読み込んだ情報は、各ツールの画面上に表示される。CPU61は、S33において、ユーザが入力したデータ入力情報を取得し、処理をS34に進める。たとえば、図6に示したような管理項目表画面72におけるデータ入力情報や、図7に示したような入出力表画面71におけるデータ入力情報を取得する。
【0116】
CPU61は、S34において、「登録」釦がクリックされたか否かを判定する。CPU61は、S34において、「登録」釦がクリックされたと判定した場合(S34でYES)、処理をS35に進める。一方、CPU61は、S34において、「登録」釦がクリックされたと判定しなかった場合(S34でNO)、処理をS33に戻す。
【0117】
CPU61は、S35において、各ツールの画面上で入力されたデータ入力情報に基づき情報DBを更新し、処理をS36に進める。CPU61は、S36において、「閉じる」釦クリックで現在起動中のツールを終了し、処理を「A」(図10のS21)に進める。
【0118】
このように、CPU61は、複数の設計資料データ30(管理項目表データ131等)のそれぞれに対応した複数の処理(S31~S36の管理項目表作成ツール等の各ツールを実行する処理)を実行する。CPU61は、複数の処理の各々において、ユーザが入力したデータに基づき、DB50を更新する。また、CPU61は、メイン処理としてランチャーツールの実行処理を行う。ランチャーツールの実行処理において、複数の処理のうちの1つを選択して起動(S31)する処理を行う。また、表示装置46は、複数の処理の各々において、ユーザが入力したデータおよびDB50から読み出したデータに基づき表示を行う。
【0119】
図12に示すように、CPU61は、S41において、「出力」釦がクリックされたか否かを判定する。CPU61は、S41において、「出力」釦がクリックされたと判定した場合(S41でYES)、処理をS42に進める。一方、CPU61は、S41において、「出力」釦がクリックされたと判定しなかった場合(S41でNO)、再度S41を実行する。
【0120】
CPU61は、S42において、i=1とし、処理をS43に進める。CPU61は、S43において、ID=iに対応する出力ファイル(出力データ)が選択されているか否かを判定する。つまり、図8において、チェックボックスがチェックされているか否かを判定する。
【0121】
IDに対応する選択項目、ツール、出力ファイルの関係は、図5(c)に示した通りである。たとえば、ID=1に対応する選択項目は「管理項目表」であり、ID=1に対応するツールは「管理項目表作成ツール」であり、ID=1に対応する出力ファイルは「管理項目表131」である。
【0122】
CPU61は、S43において、ID=iに対応する出力ファイルが選択されていると判定した場合(S43でYES)、処理をS44に進める。一方、CPU61は、S43において、ID=iに対応する出力ファイルが選択されていると判定しなかった場合(S43でNO)、処理をS47に進める。
【0123】
CPU61は、S44において、ID=iのツールを起動し、処理をS45に進める。CPU61は、S45において、DB50を読み込み、処理をS46に進める。CPU61は、S46において、出力データを出力し、処理をS47に進める。たとえば、「入出力表」(ID=1)のチェックボックスがチェックされている場合は、管理項目表作成ツールを起動し、読み込んだDB50に基づいて管理項目表データ131を出力する。
【0124】
CPU61は、S47において、i<6であるか否かを判定する。CPU61は、S47において、i<6であると判定した場合(S47でYES)、処理をS48に進める。一方、CPU61は、S47において、i<6であると判定しなかった場合、すなわち全てのID(1~6)についての処理が終了した場合(S47でNO)、処理をS49に進める。
【0125】
CPU61は、S48において、i=i+1とし、処理をS43に戻す。CPU61は、S49において、「閉じる」釦がクリックされた場合に、データ出力メニュー画面73(図8)を終了して処理を「A」(図10のS21)に戻す。このように、CPU61は、DB50から読み出したデータに基づき、管理項目表データ131等の複数の設計資料データ30を生成する。
【0126】
以上説明したように、本実施の形態における設計資料生成装置40は、施設内に設けられる複数のPLC(PLC00~PLC05)の全体を制御するPLCシステム10を設計するための複数の設計資料データ30を生成する。設計資料生成装置40は、記憶装置64と、CPU61とを備える。記憶装置64は、複数の設計資料データ30を生成するためのデータを登録する共通のデータベース(DB)50を記憶する。CPU61は、複数の設計資料データ30のそれぞれに対応した複数の処理(各ツールを実行する処理)を実行する。CPU61は、複数の処理の各々において、ユーザが入力したデータに基づき、DB50を更新する。CPU61は、DB50から読み出したデータに基づき、複数の設計資料データ30を生成する。このように各ツール自体はデータを保持せず、共通のDB50のみでデータが管理されるため、PLCシステム10を設計するための複数の設計資料データ30を生成する際に、データの不整合が発生することを抑制することができる。
【0127】
なお、本実施の形態では、PLCシステムとして、地下1階、地上4階のビルにおける複数の設備等を、1台のマスタPLCと5台の各階PLCで管理するビル管理システムを例示して説明した。しかし、これに限らず、各階PLCがこれ以外の複数台であってもよく、ビルの階数がこれ以外であっても構わない。また、ビル管理システム以外の機械装置等に関する管理システム等であってもよい。
【0128】
[主な構成および効果]
以下、前述した実施の形態の主な構成および効果を説明する。
【0129】
(1) 設計資料生成装置40は、施設内に設けられる複数のPLC(PLC00~PLC05)の全体を制御するPLCシステム10を設計するための複数の設計資料データ30を生成する。設計資料生成装置40は、記憶装置64と、CPU61とを備える。記憶装置64は、複数の設計資料データ30を生成するためのデータを登録する共通のデータベース(DB)50を記憶する。CPU61は、複数の設計資料データ30のそれぞれに対応した複数の処理(各ツールを実行する処理)を実行する。CPU61は、複数の処理の各々において、ユーザが入力したデータに基づき、DB50を更新する。CPU61は、DB50から読み出したデータに基づき、複数の設計資料データ30を生成する。このように各ツール自体はデータを保持せず、共通のDB50のみでデータが管理されるため、PLCシステム10を設計するための複数の設計資料データ30を生成する際に、データの不整合が発生することを抑制することができる。
【0130】
(2) CPU61は、メイン処理(ランチャーを実行する処理)をさらに実行する。メイン処理は、複数の処理のうちの1つを選択して起動する処理である。このように、ツールを1つずつ起動してDB50を更新するため、データの不整合が発生することを抑制することができる。
【0131】
(3) 設計資料生成装置40は、表示装置46をさらに備える。表示装置46は、複数の処理の各々において、ユーザが入力したデータおよびDB50から読み出したデータに基づき表示を行う。これにより、複数の設計資料データ30において生成されるデータを表示装置46上で確認することができる。
【0132】
(4) 複数の設計資料データ30は、管理項目表データ131を含む。管理項目表データ131は、PLCシステム10全体についての複数の管理項目を含む。複数の管理項目の各々は、複数のPLCの各々を特定するPLC番号と、複数のPLCに入出力される入出力信号の種別とに対応付けられている。これにより、管理項目表データ131を含んで生成するPLCシステム10において、データの不整合が発生することを抑制することができる。
【0133】
(5) 複数の設計資料データ30は、入出力表データ132を含む。入出力表データ132は、入出力信号を割り付ける複数のアドレスを含む。複数のアドレスの各々は、複数の管理項目のいずれかに対応付けられている。これにより入出力表データ132を含んで生成するPLCシステム10において、データの不整合が発生することを抑制することができる。
【0134】
(6) 複数の設計資料データ30は、ソフトウェアデータ(SW仕様書データ133、基本SWデータ135)を含む。ソフトウェアデータは、PLCシステム10を動作させるプログラムを作成するためのデータである。これによりSW仕様書データ133や基本SWデータ135を含んで生成するPLCシステム10において、データの不整合が発生することを抑制することができる。
【0135】
(7) 設計資料生成方法は、施設内に設けられる複数のPLC(PLC00~PLC05)の全体を制御するPLCシステム10を設計するための複数の設計資料データ30を生成する方法である。設計資料生成方法は、複数の設計資料データ30を生成するためのデータを共通のデータベース(DB)50に登録するステップと、複数の設計資料データ30のそれぞれに対応した複数の処理(各ツールを実行する処理)を実行するステップと備える。複数の処理を実行するステップは、複数の処理の各々において、ユーザが入力したデータに基づき、DB50を更新するステップと、DB50から読み出したデータに基づき、複数の設計資料データ30を生成するステップとを含む。このように各ツール自体はデータを保持せず、共通のDB50のみでデータが管理されるため、PLCシステム10を設計するための複数の設計資料データ30を生成する際に、データの不整合が発生することを抑制することができる。
【0136】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0137】
8 ビル、10 PLCシステム、12 中央監視装置、14 マスタPLC盤(RS-0)、16 マスタPLC(PLC00)、18 第1系統の基幹ネットワーク、20a,20b,20c,20d,20e 各階PLC盤(RS-1~RS-5)、22a,22b,22c,22d,22e 各階PLC(PLC00~PLC05)、24a 電力空調盤、24b オフィス1盤、24c オフィス2盤、24d オフィス3盤、24e 食堂盤、26 第2系統の基幹ネットワーク(CCL)、28 信号線、30 設計資料、40 設計資料生成装置、44 入力装置、46 表示装置、50 DB、61 CPU、62 ROM、63 RAM、64 記憶装置、70 ランチャー画面、71 入出力表画面、72 管理項目表画面、73 データ出力メニュー画面、100 設計資料生成ツール、101 設計資料生成ツール群、110 受注前管理項目表、111 データ読込支援ツール、112 受注前I/Fファイル、121 管理項目表作成ツール、122 入出力表作成ツール、123 SW仕様書作成ツール、124 機器員数表作成ツール、125 SW製作支援ツール、126 相対表作成ツール、131 管理項目表、132 入出力表、133 SW仕様書、134 機器員数表、135 基本SW、136 相対表、141 ビル管理システム用データ、142 ビル管理システム用ツール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12