(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B62D 61/12 20060101AFI20250307BHJP
B62D 61/10 20060101ALI20250307BHJP
B62D 57/032 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
B62D61/12
B62D61/10
B62D57/032 P
(21)【出願番号】P 2021101770
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2023-06-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 竣也
(72)【発明者】
【氏名】井田 裕介
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-112048(JP,A)
【文献】特開平03-235762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 61/12
B62D 61/10
B62D 57/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体の複数箇所に取り付けられ、前記機体から延出された屈伸機構と、
前記屈伸機構を屈伸操作可能な屈伸アクチュエータと、
前記屈伸機構の延出端部に位置し且つ上下方向に沿った上下軸芯周りに向き変更可能に、前記屈伸機構の延出端部に支持された走行用の車輪と、
前記車輪を回転駆動可能な駆動アクチュエータとが備えられ、
前記屈伸機構は、左右に向き変更不可且つ左右方向に沿った第1左右軸芯周りに前後揺動可能に、前記機体に取り付けられ、前記機体から下方に向けて延出された第1リンクと、左右に向き変更不可且つ左右方向に沿った第2左右軸芯周りに上下揺動可能に、前記第1リンクの下部に取り付けられ、前記第1リンクの下部から前後方向に沿って前記機体から離れる方向に向けて延出された第2リンクとを有しており、
前記車輪は、前記上下軸芯周りに左右に向き変更可能に、前記第2リンクの延出端部に支持され、前記第2リンクに沿うように設けられ、前記車輪を前記上下軸芯周りに向き変更可能な操向アクチュエータが備えられ、
前記上下軸芯周りに左右に向き変更可能に、前記第2リンクの延出端部に取り付けられ、前記車輪を支持する車輪支持部材が備えられ、
前記駆動アクチュエータは、前記車輪支持部材に取り付けられて前記車輪を回転駆動可能なモータであり、
前記操向アクチュエータは、前記第2リンクに沿うように前記車輪支持部材と前記第2リンクとに亘って取り付けられ、伸縮作動することにより前記車輪支持部材を左右に向き変更可能な伸縮シリンダであり、
前記伸縮シリンダは、側面視で、前記第2リンクと重複している作業車。
【請求項2】
前記車輪は、前記車輪支持部材の左右一方側の部分に支持され、
前記モータ及び前記伸縮シリンダは、前記車輪支持部材の左右他方側の部分に取り付けられている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記屈伸機構は、前記機体の右部及び左部に取り付けられ、
前記車輪は、前記車輪支持部材における前記機体の左右中央の反対側の部分に支持され、
前記モータ及び前記伸縮シリンダは、前記車輪支持部材における前記機体の左右中央側の部分に取り付けられている請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
左右方向に沿った第3左右軸芯周りに自由回転可能に、前記第1リンクと前記第2リンクとの接続部分に支持された補助車輪が備えられている請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項5】
前記屈伸機構は、前記機体の右部及び左部に取り付けられ、
前記補助車輪は、前記第1リンクと前記第2リンクとの接続部分における前記機体の左右中央の反対側の部分に支持されている請求項4に記載の作業車。
【請求項6】
前記上下軸芯周りに左右に向き変更可能に、前記第2リンクの延出端部に取り付けられ、前記車輪を支持する車輪支持部材が備えられ、
前記車輪は、前記車輪支持部材における前記機体の左右中央の反対側の部分に支持され、
前記補助車輪は、平面視で、前記車輪よりも前記機体の左右中央の反対側に設けられている請求項5に記載の作業車。
【請求項7】
前記屈伸機構は、前記機体の右部及び左部に取り付けられ、
平面視で、右の前記屈伸機構と左の前記屈伸機構との間に設けられ、荷
物を搭載可能なフレームが備えられている請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸の多い作業地を走行するのに適した作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
前述のような作業車の一例が、特許文献1に開示されている。
特許文献1では、屈伸機構が、機体の複数箇所に取り付けられて機体から延出され、走行用の車輪が、屈伸機構の延出端部に支持されており、作業地に応じて、屈伸アクチュエータにより屈伸機構を屈伸操作しながら、走行するように構成されている。
【0003】
特許文献1では、屈伸機構の基部が左右に向き変更可能に機体に取り付けられており、屈伸機構の全体を機体に対して左右に向き変更することにより、機体の進行方向を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の作業車において、例えば機体の進行方向を右に変える場合、屈伸機構が右に向き変更されると、屈伸機構の延出端部に支持された車輪が、機体に対して右方に移動する。これにより、機体の重心が車輪に対して左方に位置することになるので、例えば傾斜地において、作業車が転倒する可能性が生じる。
【0006】
本発明は、複数の屈伸機構により走行用の車輪を支持した作業車において、転倒の可能性を抑えながら機体の進行方向を変えることができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業車は、機体と、前記機体の複数箇所に取り付けられ、前記機体から延出された屈伸機構と、前記屈伸機構を屈伸操作可能な屈伸アクチュエータと、前記屈伸機構の延出端部に位置し且つ上下方向に沿った上下軸芯周りに向き変更可能に、前記屈伸機構の延出端部に支持された走行用の車輪と、前記車輪を回転駆動可能な駆動アクチュエータとが備えられ、前記屈伸機構は、左右に向き変更不可且つ左右方向に沿った第1左右軸芯周りに前後揺動可能に、前記機体に取り付けられ、前記機体から下方に向けて延出された第1リンクと、左右に向き変更不可且つ左右方向に沿った第2左右軸芯周りに上下揺動可能に、前記第1リンクの下部に取り付けられ、前記第1リンクの下部から前後方向に沿って前記機体から離れる方向に向けて延出された第2リンクとを有しており、前記車輪は、前記上下軸芯周りに左右に向き変更可能に、前記第2リンクの延出端部に支持され、前記第2リンクに沿うように設けられ、前記車輪を前記上下軸芯周りに向き変更可能な操向アクチュエータが備えられ、前記上下軸芯周りに左右に向き変更可能に、前記第2リンクの延出端部に取り付けられ、前記車輪を支持する車輪支持部材が備えられ、前記駆動アクチュエータは、前記車輪支持部材に取り付けられて前記車輪を回転駆動可能なモータであり、前記操向アクチュエータは、前記第2リンクに沿うように前記車輪支持部材と前記第2リンクとに亘って取り付けられ、伸縮作動することにより前記車輪支持部材を左右に向き変更可能な伸縮シリンダであり、前記伸縮シリンダは、側面視で、前記第2リンクと重複している。
【0008】
本発明によると、屈伸機構が、機体の複数箇所に取り付けられて機体から延出され、走行用の車輪が、屈伸機構の延出端部に支持されており、作業地に応じて屈伸アクチュエータにより屈伸機構を屈伸操作し、駆動アクチュエータにより車輪を回転駆動して、走行することができる。
【0009】
本発明によると、車輪が、上下方向に沿った上下軸芯周りに向き変更可能に、屈伸機構の延出端部に支持されており、操向アクチュエータにより車輪の向きを変更することができる。
操向アクチュエータにより、屈伸機構に対して車輪の向きを変更することによって、機体の進行方向を変えることができるのであり、屈伸機構の全体を機体に対して向き変更する必要はない。
屈伸機構の全体を機体に対して向き変更する必要がないことにより、機体の進行方向を変える際に、車輪が機体に対して右や左に移動することがないので、作業車の転倒の可能性が抑えられる。
【0010】
屈伸機構の全体が機体に対して向き変更されると、車輪が作業地を横滑りしながら移動するので、屈伸機構に大きな横方向の負荷が掛かる。
本発明によると、屈伸機構の全体を機体に対して向き変更する必要がないことにより、機体の進行方向を変える際に屈伸機構に大きな横方向の負荷が掛からないので、屈伸機構の耐久性の面で有利である。
【0011】
【0012】
本発明によると、屈伸機構が第1リンク及び第2リンクを有している。第1リンクは、左右方向に沿った第1左右軸芯周りに前後揺動可能に機体に取り付けられ、左右に向き変更不可である。第2リンクは、左右方向に沿った第2左右軸芯周りに上下揺動可能に第1リンクの下部に取り付けられ、左右に向き変更不可である。
このような第1リンク及び第2リンクにより、屈伸可能で左右に向き変更の不可の屈伸機構を得ることができる。
【0013】
【0014】
本発明によると、車輪を支持する車輪支持部材に、車輪を駆動するモータが取り付けられているので、車輪支持部材が左右に向き変更されても、車輪及びモータの車輪支持部材に対する位置関係に変化はないのであり、モータによる車輪の駆動構造の簡素化の面で有利である。
【0015】
本発明によると、伸縮シリンダが車輪支持部材と第2リンクとに亘って取り付けられており、伸縮シリンダが伸縮作動することにより、車輪支持部材が左右に向き変更される。
この場合、伸縮シリンダが第2リンクに沿って設けられているので、伸縮シリンダがコンパクトに配置される。
【0016】
本発明において、前記車輪は、前記車輪支持部材の左右一方側の部分に支持され、前記モータ及び前記伸縮シリンダは、前記車輪支持部材の左右他方側の部分に取り付けられていると好適である。
【0017】
本発明によると、車輪とモータ及び伸縮シリンダとが、互いに車輪支持部材の反対側に設けられ、互いに干渉すること少なく車輪支持部材に設けられるので、車輪とモータ及び伸縮シリンダとの支持構造の簡素化の面で有利である。
【0018】
本発明において、前記屈伸機構は、前記機体の右部及び左部に取り付けられ、前記車輪は、前記車輪支持部材における前記機体の左右中央の反対側の部分に支持され、前記モータ及び前記伸縮シリンダは、前記車輪支持部材における前記機体の左右中央側の部分に取り付けられていると好適である。
【0019】
本発明によると、屈伸機構が機体の右部及び左部に取り付けられた場合、モータ及び伸縮シリンダが、車輪支持部材における機体の左右中央側の部分に取り付けられるので、モータ及び伸縮シリンダの保護の面で有利である。
【0020】
本発明において、左右方向に沿った第3左右軸芯周りに自由回転可能に、前記第1リンクと前記第2リンクとの接続部分に支持された補助車輪が備えられていると好適である。
【0021】
屈伸機構において、第1リンク及び第2リンクが屈伸アクチュエータにより屈伸操作された場合、第1リンクと第2リンクとの接続部分が作業地に接触する可能性がある。
本発明によると、補助車輪が第1リンクと第2リンクとの接続部分に支持されているので、第1リンクと第2リンクとの接続部分が作業地に接近しても、補助車輪が作業地に接地することにより、第1リンクと第2リンクとの接続部分が作業地に接触することよる破損を防止することができる。
【0022】
本発明によると、補助車輪が左右方向に沿った第3左右軸芯周りに自由回転可能に支持されているので、補助車輪が作業車の走行中に作業地に接地しても、補助車輪が作業車の進行方向に沿って回転することになり、作業車の走行が補助車輪によって妨げられることはない。
本発明によると、補助車輪は自由回転可能に支持されており、補助車輪を回転駆動する構造は設けられていないので、構造の簡素化の面で有利である。
本発明において、前記屈伸機構は、前記機体の右部及び左部に取り付けられ、前記補助車輪は、前記第1リンクと前記第2リンクとの接続部分における前記機体の左右中央の反対側の部分に支持されていると好適である。
本発明において、前記上下軸芯周りに左右に向き変更可能に、前記第2リンクの延出端部に取り付けられ、前記車輪を支持する車輪支持部材が備えられ、前記車輪は、前記車輪支持部材における前記機体の左右中央の反対側の部分に支持され、前記補助車輪は、平面視で、前記車輪よりも前記機体の左右中央の反対側に設けられていると好適である。
本発明において、前記屈伸機構は、前記機体の右部及び左部に取り付けられ、平面視で、右の前記屈伸機構と左の前記屈伸機構との間に設けられ、荷物等を搭載可能なフレームが備えられていると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1~
図5に、遠隔操作型及び自律走行型の作業車が示されており、
図1~
図5において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0025】
(作業車の全体構成)
図1,2,3に示すように、機体1に、油圧機器2及び制御機器3が搭載されており、4個の屈伸機構4が、機体1の右前部、左前部、右後部、左後部に取り付けられて、機体1から延出され、右前、左前、右後、左後の走行用の車輪5が、屈伸機構4の延出端部に支持されて、作業車の全体が構成されている。
【0026】
(機体の構成)
図1,2,3に示すように、前後方向に沿った左右のフレーム6と、左右方向に沿った前後のフレーム7とが連結されて、平面視で長方形状の枠体が構成されており、左右方向に沿った前後のフレーム8が、フレーム6に亘って連結されている。側面視でチャンネル状(断面形状がコの字型)の左右のフレーム9が、フレーム8に亘って連結され、左右方向に沿った前後のフレーム10が、フレーム9に亘って連結されている。
【0027】
左右の枠状部材11が、フレーム8の右部及び左部に連結されている。枠状部材11は、平面視でチャンネル状に形成された上部分11a及び下部分11b、上部分11a及び下部分11bの前部に亘って接続された前部分11c、上部分11a及び下部分11bの後部に亘って接続された後部分11d、上部分11a及び下部分11bの前後中間部に亘って接続された中間部分11eを有している。
【0028】
平板状の5本のフレーム12が、左右の枠状部材11の上部分11aに亘って連結されている。前後方向に沿った左右のフレーム13が、フレーム10に連結されており、前のフレーム7から前方に向けて出るように延出され、後のフレーム7から後方に向けて出るように延出されている。左右方向に沿った複数のフレーム14が、フレーム13に亘って連結されている。
【0029】
以上のように、機体1は、フレーム6~10、枠状部材11、フレーム12,13,14等を有している。
油圧機器2がフレーム9,10に支持され、制御機器3がフレーム6,7に支持されており、油圧機器2及び制御機器3がフレーム6~10、枠状部材11、フレーム12,13,14により囲まれた状態となっている。荷物等を、フレーム12や、フレーム13,14に搭載することができる。
【0030】
(屈伸機構の構成)
図1,2,3に示すように、屈伸機構4は、第1リンク21及び第2リンク22を有しており、第1リンク21及び第2リンク22は、以下の説明のように構成されている。
【0031】
図1,2,3に示すように、機体1において、フレーム6,7の右前、左前、右後、左後の4箇所の連結部に、チャンネル状の支持ブラケット15が連結されており、枠状部材11により支持ブラケット15が囲まれている。
【0032】
図1,3,4,5に示すように、第1リンク21は、平板状に構成されて、2枚設けられている。第1リンク21の上部が、左右方向に沿った軸芯P1(第1左右軸芯に相当)周りに、前後揺動可能に支持ブラケット15(機体1)に取り付けられており、第1リンク21が、支持ブラケット15(機体1)から下方に向けて延出されている。
これにより、第1リンク21は、軸芯P1周りに前後揺動可能であり、左右に向き変更不可である。
【0033】
図4及び
図5に示すように、第2リンク22は、平板状の第1部分22aと、丸棒材がクランク状に曲げられた2本の第2部分22bと、ボス部22c(延出端部に相当)とを有している。第1部分22aの前部と第2部分22bの前部とが連結され、ボス部22cが第1部分22aの前部及び第2部分22bの前部に上下向きに連結されている。
【0034】
右前及び左前の屈伸機構4において、第2リンク22の後部が、左右方向に沿った軸芯P2(第2左右軸芯に相当)周りに上下揺動可能に、第1リンク21の下部に取り付けられており、第2リンク22が、第1リンク21の下部から前後方向に沿って機体1から離れる方向である前方に向けて延出されている。
【0035】
右後及び左後の屈伸機構4において、第2リンク22の前部が、左右方向に沿った軸芯P2(第2左右軸芯に相当)周りに上下揺動可能に、第1リンク21の下部に取り付けられており、第2リンク22が、第1リンク21の下部から前後方向に沿って機体1から離れる方向である後方に向けて延出されている。
これにより、第2リンク22は、軸芯P2周りに上下揺動可能であり、左右に向き変更不可である。
【0036】
右前及び右後の第1リンク21と第2リンク22との接続部分における右の横側部に、補助車輪27が、軸芯P2と同芯状の左右方向に沿った軸芯P3(第3左右軸芯に相当)周りに、自由回転可能に支持されている。
【0037】
左前及び左後の第1リンク21と第2リンク22との接続部分における左の横側部に、補助車輪27が、軸芯P2と同芯状の左右方向に沿った軸芯P3(第3左右軸芯に相当)周りに、自由回転可能に支持されている。
【0038】
(屈伸機構の屈伸操作の構成)
図1及び
図4に示すように、連係リンク16が、左右方向に沿った軸芯P5周りに揺動可能に支持ブラケット15に取り付けられ、連係リンク17が、左右方向に沿った軸芯P6周りに揺動可能に第1リンク21の上部に取り付けられており、連係リンク16,17の延出端部が接続されている。
【0039】
複動型の油圧シリンダ18(屈伸アクチュエータに相当)が、連係リンク16,17の延出端部と、第1リンク21の下部とに亘って接続されている。油圧シリンダ18が伸縮操作されることにより、第1リンク21が支持ブラケット15(機体1)に対して軸芯P1周りに前後に揺動操作される。
【0040】
図1,3,4,5に示すように、連係リンク19が、左右方向に沿った軸芯P7周りに揺動可能に第1リンク21の下部に取り付けられ、連係リンク20が、左右方向に沿った軸芯P8周りに揺動可能に第2リンク22に取り付けられており、連係リンク19,20の延出端部が接続されている。
【0041】
複動型の油圧シリンダ23(屈伸アクチュエータに相当)が、連係リンク19,20の延出端部と、第1リンク21の上部とに亘って接続されている。油圧シリンダ23が伸縮操作されることにより、第2リンク22が第1リンク21に対して軸芯P2周りに上下に揺動操作される。
【0042】
制御機器3の指令に基づいて、油圧機器2から油圧シリンダ18,23に作動油の給排操作が行われ、油圧シリンダ18,23の伸縮操作が行われる。油圧シリンダ18,23により、第1リンク21が前後に揺動操作され、第2リンク22が上下に揺動操作されることにより、屈伸機構4が屈伸操作される。
【0043】
屈伸機構4が各々独立に屈伸操作されることにより、作業地の凹凸や傾斜等に応じて、機体1の姿勢を任意に設定することができる。屈伸機構4が屈伸操作されることにより、第1リンク21と第2リンク22との接続部分が作業地に接近しても、補助車輪27が作業地に接地することにより、第1リンク21と第2リンク22との接続部分が作業地に接触することが防止される。
【0044】
(車輪の支持及び駆動の構成)
図2~
図5に示すように、4個の車輪支持部材24が設けられており、車輪支持部材24が、上下方向に沿った軸芯P4(上下軸芯に相当)周りに左右に向き変更可能に、第2リンク22のボス部22cに取り付けられている。
【0045】
車輪5が、右前及び右後の車輪支持部材24の右の横側部(車輪支持部材24の左右一方側の部分に相当)(車輪支持部材24における機体1の左右中央A1の反対側の部分に相当)に、回転可能に支持されている。
【0046】
車輪5が、左前及び左後の車輪支持部材24の左の横側部(車輪支持部材24の左右一方側の部分に相当)(車輪支持部材24における機体1の左右中央A1の反対側の部分に相当)に、回転可能に支持されている。
これにより、車輪5が、上下方向に沿った軸芯P4周りに左右に向き変更可能に、屈伸機構4(第2リンク22)の延出端部に支持されている。
【0047】
油圧モータ25(駆動アクチュエータ及びモータに相当)が、右前及び右後の車輪支持部材24の左の横側部(車輪支持部材24の左右他方側の部分に相当)(車輪支持部材24における機体1の左右中央A1の側の部分に相当)に取り付けられている。
【0048】
油圧モータ25(駆動アクチュエータ及びモータに相当)が、左前及び左後の車輪支持部材24の右の横側部(車輪支持部材24の左右他方側の部分に相当)(車輪支持部材24における機体1の左右中央A1の側の部分に相当)に取り付けられている。
【0049】
制御機器3の指令に基づいて、油圧機器2から油圧モータ25に作動油の給排操作が行われ、油圧モータ25により車輪5が各々独立に正転駆動及び逆転駆動されるのであり、作業車の前進及び後進、停止が行われる。
【0050】
(車輪の操向操作の構成)
図2~
図5に示すように、右前及び右後の車輪支持部材24の左の横側部に、ブラケット24aが設けられ、右前及び右後の第2リンク22(第1部分22a)の左の横側部に、ブラケット22dが設けられている。
【0051】
左前及び左後の車輪支持部材24の右の横側部に、ブラケット24aが設けられ、左前及び左後の第2リンク22(第1部分22a)の右の横側部に、ブラケット22dが設けられている。
【0052】
複動型の油圧シリンダ26(操向アクチュエータ及び伸縮シリンダに相当)が、車輪支持部材24のブラケット24aと第2リンク22のブラケット22dとに亘って取り付けられており、油圧シリンダ26が、第2リンク22(第1部分22a)に沿うように車輪支持部材24と第2リンク22とに亘って取り付けられている。
【0053】
これにより、右前及び右後の油圧シリンダ26が、右前及び右後の第2リンク22(第1部分22a)の左の横側部(車輪支持部材24の左右他方側の部分に相当)(車輪支持部材24における機体1の左右中央A1の側の部分に相当)に配置されている。
【0054】
左前及び左後の油圧シリンダ26が、左前及び左後の第2リンク22(第1部分22a)の右の横側部(車輪支持部材24の左右他方側の部分に相当)(車輪支持部材24における機体1の左右中央A1の側の部分に相当)に配置されている。
【0055】
制御機器3の指令に基づいて、油圧機器2から油圧シリンダ26に作動油の給排操作が行われ、油圧シリンダ26が伸縮操作されることにより、4組の車輪支持部材24、車輪5及び油圧モータ25が、各々独立に軸芯P4周りに左右に向き変更操作される。
【0056】
前述の(車輪の支持及び駆動の構成)に記載のように、車輪5が各々独立に正転駆動及び逆転駆動されることに加えて、車輪5が各々独立に左右に向き変更されることにより、作業車において前進及び後進しながらの右旋回及び左旋回、右及び左への信地旋回及び超信地旋回が行われる。
【0057】
(発明の実施の第1別形態)
4個の屈伸機構4及び車輪5ではなく、6個の屈伸機構4及び車輪5が設けられてもよく、8個の屈伸機構4及び車輪5が設けられてもよい。
この構成によると、屈伸機構4を機体1の右前部、左前部、右後部、左後部に取り付けることに加えて、屈伸機構4を、機体1の前後中間部に取り付けて右及び左の横外方に向けて延出するように構成すればよい。
【0058】
(発明の実施の第2別形態)
屈伸機構4において、油圧シリンダ18,23に代えて、電動シリンダ(図示せず)や電動モータ(図示せず)を、屈伸アクチュエータとして使用してもよい。
【0059】
車輪5において、油圧モータ25に代えて、電動モータ(図示せず)を駆動アクチュエータとして使用してもよい。
【0060】
車輪5において、油圧シリンダ26に代えて、電動シリンダ(図示せず)や電動モータ(図示せず)を、操向アクチュエータとして使用してもよい。
【0061】
(発明の実施の第3別形態)
右前又は右後の第2リンク22において、車輪5が車輪支持部材24の左の横側部に支持され、油圧モータ25及び油圧シリンダ26が車輪支持部材24の右の横側部に取り付けられてもよい。
【0062】
(発明の実施の第4別形態)
左前又は左後の第2リンク22において、車輪5が車輪支持部材24の右の横側部に支持され、油圧モータ25及び油圧シリンダ26が車輪支持部材24の左の横側部に取り付けられてもよい。
【0063】
(発明の実施の第5別形態)
第1リンク21と第2リンク22との接続部分において、補助車輪27が、軸芯P2とは異なる位置の左右方向に沿った軸芯P3周りに、自由回転可能に支持されてもよい。
右前又は右後の第1リンク21と第2リンク22との接続部分において、補助車輪27が左の横側部に支持されてもよい。
左前又は左後の第1リンク21と第2リンク22との接続部分において、補助車輪27が右の横側部に支持されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、凹凸の多い作業地を走行するのに適した作業車に適用できるのであり、作業者が搭乗可能な作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 機体
4 屈伸機構
5 車輪
13 フレーム
14 フレーム
18 油圧シリンダ(屈伸アクチュエータ)
21 第1リンク
22 第2リンク
22c ボス部(延出端部)
23 油圧シリンダ(屈伸アクチュエータ)
24 車輪支持部材
25 油圧モータ(駆動アクチュエータ、モータ)
26 油圧シリンダ(操向アクチュエータ、伸縮シリンダ)
27 補助車輪
A1 左右中央
P1 軸芯(第1左右軸芯)
P2 軸芯(第2左右軸芯)
P3 軸芯(第3左右軸芯)
P4 軸芯(上下軸芯)