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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20250307BHJP
   B08B 5/04 20060101ALI20250307BHJP
   B08B 9/08 20060101ALI20250307BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20250307BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20250307BHJP
   B03C 1/00 20060101ALI20250307BHJP
   B03C 1/247 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
B08B5/04 Z
B08B9/08
B23Q11/10 Z
B23Q17/00 A
B03C1/00 A
B03C1/247
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021166121
(22)【出願日】2021-10-08
(65)【公開番号】P2023056736
(43)【公開日】2023-04-20
【審査請求日】2024-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000145448
【氏名又は名称】住友重機械ファインテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】扇谷 浩
(72)【発明者】
【氏名】藤井 明
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2019/073662(JP,A1)
【文献】実開昭60-132849(JP,U)
【文献】特開2019-018264(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104923514(CN,A)
【文献】特開2003-191147(JP,A)
【文献】特開2010-240831(JP,A)
【文献】再公表特許第2019/064847(JP,A1)
【文献】登録実用新案第3065384(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B24B 53/00 - 57/04
B03C 1/00 - 1/32
B08B 1/00 - 1/54
B08B 5/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物を含む液体を吸引し、吐出するポンプと、
前記ポンプから吐出された液体が流入し、流入した液体から異物を除去し、異物が除去された液体を排出する異物除去装置と、
前記異物除去装置の動力源としてのバッテリと、
を備え、
前記ポンプの動力源が、前記異物除去装置の動力源と異なっており、
さらに、前記バッテリの出力電圧を測定し、出力電圧の測定結果が許容範囲から外れると前記ポンプを停止させる制御装置と
を備えた清掃装置。
【請求項2】
前記異物除去装置は、
前記ポンプから流入した液体が流れる流路と、
前記流路を流れる液体中に一部が浸漬されて回転することにより、流体中の磁性異物を除去する回転磁気ドラムと、
前記バッテリから電力が供給されて前記回転磁気ドラムを回転させるモータと、
磁性異物が除去された流体が流出する流出口と
含む請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記制御装置は、さらに、前記回転磁気ドラムの回転速度を測定し、回転速度の測定結果が許容範囲から外れると前記ポンプを停止させる請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
戦記制御装置は、さらに、前記流路を流れる液体の液面の高さを測定し、液面の高さの測定結果が許容範囲から外れると前記ポンプを停止させる請求項2または3に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記ポンプは、エアー駆動式である請求項1乃至のいずれか1項に記載の清掃装置。
【請求項6】
さらに、警報発出装置を備えており、
前記制御装置は、前記バッテリの出力電圧の測定結果が許容範囲から外れると前記警報発出装置から警報を発出する請求項1乃至のいずれか1項に記載の清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物を含む液体から異物を除去する清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研削盤から、磁性スラッジを含むクーラントが排出される。クーラントから磁性スラッジを除去するために、マグネットセパレータと呼ばれる固液分離装置が使用される。磁性スラッジが除去されたクーラントは、工場内のクーラントタンクに貯蔵される。クーラントタンク内のクーラントは、研削盤に送られて再利用される。
【0003】
固液分離装置で分離できなかったスラッジがクーラントタンクに流入し、クーラントタンクに沈殿する。クーラントタンク内に沈殿したスラッジを吸引してタンクの清掃を行う可搬式クーラント清掃装置が下記の特許文献1に開示されている。この可搬式クーラント清掃装置は、搬送台車に積載されたクーラント吸引ポンプ、磁気分離機(固液分離装置)、及び小型発電機を含む。
【0004】
清掃時には、クーラント吸引ポンプに接続されたクーラント吸引配管を介してクーラントタンク内のクーラントをスラッジとともに吸引し、磁器分離機でスラッジを回収した後、クーラントをクーラントタンクに戻す。クーラント吸引ポンプ及び磁器分離機は、小型発電機で発電された電力により駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3065384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の可搬式クーラント清掃装置は、清掃中に小型発電機を運転させる必要があるため、工場内に排気ガスが排出される。特許文献1には、外部電源から電力の供給が可能であれば、小型発電機を取り除くこともできると記載されている。小型発電機を取り除いた場合、動作場所の近くに外部電源があればよいが、近くに外部電源がない場合には、コードリール等を用いて可搬式クーラント清掃装置を遠方の外部電源に接続しなければならない。
【0007】
小型発電機に代えて、電力源としてバッテリを搭載すると、コードリール等は不要であるが、クーラント吸引ポンプ及び磁気分離機に電力を供するために、バッテリが大型化してしまう。本発明の目的は、電力源の大型化を抑制し、外部電源が不要な清掃装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によると、
異物を含む液体を吸引し、吐出するポンプと、
前記ポンプから吐出された液体が流入し、流入した液体から異物を除去し、異物が除去された液体を排出する異物除去装置と、
前記異物除去装置の動力源としてのバッテリと、
を備え、
前記ポンプの動力源が、前記異物除去装置の動力源と異なっており、
さらに、前記バッテリの出力電圧を測定し、出力電圧の測定結果が許容範囲から外れると前記ポンプを停止させる制御装置と
を備えた清掃装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
ポンプの動力源が異物除去装置の動力源と異なっているため、バッテリの大型化を抑制することができる。制御装置が、バッテリの出力電圧を測定し、出力電圧の測定結果が許容範囲から外れるとポンプを停止させることにより、異物除去装置の異物除去能力が低下した状態で、異物除去能力を超えてポンプから異物除去装置に液体が流入してしまう事態の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施例による清掃装置及び研削盤等の概略図である。
図2図2は、本実施例による清掃装置に搭載される磁性異物除去装置の断面図である。
図3図3は、本実施例による清掃装置のブロック図である。
図4図4は、本実施例による清掃装置の制御装置が行う手順を示すフローチャートである。
図5図5は、実施例の変形例による清掃装置のブロック図である。
図6図6は、図5に示した変形例による清掃装置の制御装置が行う手順を示すフローチャートである。
図7図7は、実施例の他の変形例による清掃装置のブロック図である。
図8図8は、図7に示した変形例による清掃装置の制御装置が行う手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図4を参照して、一実施例による清掃装置について説明する。
図1は、本実施例による清掃装置10及び研削盤70等の概略図である。研削盤70から排出された磁性スラッジを含むクーラントが磁性異物除去装置71に流入する。磁性異物除去装置71は、クーラントに含まれる磁性スラッジをクーラントから分離する。磁性スラッジ分離後のクーラント61が、タンク60に蓄積される。タンク60内のクーラント61は、ポンプ72により吸い上げられて、研削盤70に送られ再利用される。クーラント61の再利用を繰り返すと、磁性異物除去装置71で除去されなかった磁性スラッジ62が、タンク60の底に沈殿する。
【0012】
清掃装置10は、フレーム11、キャスター12及びハンドル13からなる台車に搭載された磁性異物除去装置20、ポンプ40、制御装置41、バッテリ42、及び流入箱43を含む。ポンプ40の吸引口が吸引側継手44に接続されている。吸引ホース51が吸引側継手44に接続される。ポンプ40の吐出口が、流入箱43を介して磁性異物除去装置20の流入口21に接続されている。磁性異物除去装置20の流出口22が、排出側継手45に接続されている。排出側継手45に、排出ホース52が接続される。
【0013】
ポンプ40として、例えばエアー駆動式のダイアフラムポンプが用いられる。ポンプ40は、工場内のエアー配管から供給されるエアー(圧縮空気)によって駆動される。磁性異物除去装置20は、電動モータによって駆動され、電動モータの駆動電力はバッテリ42から供給される。すなわち、バッテリ42は電動モータを駆動する電力源である。制御装置41が、ポンプ40及び磁性異物除去装置20の動作を制御する。
【0014】
清掃時は、吸引側継手44に接続された吸引ホース51の先端を、タンク60の底部に沈殿している磁性スラッジ62の近傍に配置し、クーラント61とともに磁性スラッジ62を吸引する。吸引されたクーラントは、流入箱43を経由して磁性異物除去装置20に流入する。流入箱43は、ポンプ40から吐出されたクーラントの脈動を低減させる機能を持つ。
【0015】
磁性異物除去装置20は、クーラントに含まれる磁性スラッジを除去する。磁性スラッジは、異物排出口23から排出される。磁性スラッジが除去されたクーラントは、流出口22から流出し、排出側継手45に接続された排出ホース52を通ってタンク60に戻される。
【0016】
次に、図2を参照して磁性異物除去装置20の構造及び動作について説明する。図2は、磁性異物除去装置20の断面図である。
【0017】
筐体29内に、クーラント61が流れる流路24が画定されている。図2において、流路24内のクーラント61の流れの向きを矢印で表している。筐体29の流入口21から流路24にクーラント61が流入する。クーラント61は、流路24内を流れ、流路24の下流側の端部近傍に設けられた流出口22から流出する。
【0018】
筐体29内に回転磁気ドラム25が配置されている。回転磁気ドラム25は、同軸状に配置された外筒25A及び内筒25Bを含む。回転磁気ドラム25は、その中心軸がクーラント61の液面と平行になり、クーラント61の流れの方向に対して直交する姿勢で筐体29内に支持されている。外筒25Aの外周面の一部の領域が、流路24を流れるクーラント61に浸漬されている。外筒25Aは、モータ26によって、回転中心25Rの周りに回転する。モータ26から外筒25Aへの駆動力の伝達は、例えばスプロケットとチェーンとによって行われる。外筒25Aの外周面の移動方向(周速方向)は、クーラント61の流れの方向と反対である。
【0019】
外筒25Aの内部空間に、外筒25Aの内周面からわずかな間隙を隔てて内筒25Bが配置されている。内筒25Bは筐体29に固定されて回転せず、内筒25Bの外周面に複数の磁石25Cが周方向に並んで配置されている。磁石25Cの各々は、内周側の面と外周側の面とに、相互に異なる極性の磁極が現れ、周方向に関しては、S極とN極とが交互に現れるように配置されている。また、磁石25Cは、周方向に関して、クーラント61に浸漬されている領域、及び浸漬されている領域から外筒25Aの外周面の周速方向に内筒25Bの頂上部まで至る領域に配置されている。複数の磁石25Cは外筒25Aの外周面に磁束を発生させる。この磁束によって、磁性スラッジ62が外筒25Aの外周面に吸着される。
【0020】
流路24の底面の一部は、外筒25Aの外周面から流路24の底面までの径方向の寸法が所定の範囲に収まるように、外筒25Aの外周面の形状を反映した形状とされている。クーラント61が外筒25Aの外周面の近傍を流れるとき、磁石25Cの磁力によって磁性スラッジ62が外筒25Aの外周面に吸着される。吸着された磁性スラッジ62は、外筒25Aの回転とともに移動し、クーラント61から分離される。
【0021】
外筒25Aの頂上部から周速方向に1/8周程度進んだ位置において、スクレーパ28が外筒25Aの外周面に接触している。外筒25Aの外周面のうちスクレーパ28が接触している箇所には、磁石25Cが配置されていない。スクレーパ28は、外筒25Aの外周面上の磁性スラッジ62を外周面から掻き取る。スクレーパ28で掻き取られた磁性スラッジ62は、異物排出口23を通って回収容器65に回収される。
【0022】
外筒25Aの外周面とクーラント61の液面との接触箇所から、周速方向に向かって外筒25Aの頂上部に至るまでの位置において、ローラ27が外筒25Aの外周面に押し付けられている。ローラ27は、外筒25Aの回転軸からスプロケットとチェーンとを介して動力が伝達されることにより、外筒25Aの回転方向とは反対方向に回転する。ローラ27の外周面には弾性体が配置されている。外筒25Aの外周面に吸着された磁性スラッジ62が外筒25Aとローラ27との間を通過する際に、外筒25Aの外周面に付着している液分が除去される。これにより、液分の少ない磁性スラッジ62を分離回収することができる。このように、磁性異物除去装置20は、流路24を流れるクーラント61に含まれる磁性スラッジ62を、磁気力を用いてクーラント61から分離する。
【0023】
モータ26の動力源となるバッテリ42の出力電圧が、電圧センサ35によって測定される。モータ26の回転速度が、回転速度センサ36によって測定される。流路24内のクーラント61の液面の高さが、液面高さセンサ37によって測定される。これらの測定結果が、制御装置41(図1)に入力される。
【0024】
次に、図3を参照して、制御装置41によるモータ26及びポンプ40の動作の制御について説明する。図3は、本実施例による清掃装置10のブロック図である。
【0025】
充電装置46を外部電源に接続することにより、バッテリ42を充電することができる。充電装置46は、バッテリ42とともにフレーム11に搭載してもよいし、工場内に配置しておいてもよい。バッテリ42から出力される直流電力がインバータ47によって交流電力に変換される。交流電力が制御装置41を介してモータ26に供給される。
【0026】
工場内エアー配管75が、フレーム11に搭載されている電磁弁48に接続される。工場内エアー配管75から電磁弁48を経由してポンプ40にエアー(圧縮空気)が供給される。この圧縮空気が、ポンプ40の動力源となる。
【0027】
電圧センサ35が、バッテリ42の出力電力を測定する。電圧センサ35の測定結果が制御装置41に入力される。制御装置41は、電圧センサ35の測定結果に基づいて、電磁弁48のオンオフの制御、及びモータ26のオンオフの制御を行う。さらに、制御装置41は、警報発出装置49を制御して警報を発出する。警報発出装置49として、警告灯、警告音発生器等が用いられる。
【0028】
次に、図4を参照して制御装置41が行うの制御の手順について説明する。図4は、制御装置41が行う手順を示すフローチャートである。清掃装置10の運転開始の操作が行われると、制御装置41は、ポンプ40及び磁性異物除去装置20の動作を開始させる(ステップS1)。具体的には、制御装置41は電磁弁48を開くとともに、モータ26に電力を供給する。制御装置41は、一定の周期ごとに、電圧センサ35で測定されたバッテリ42の出力電圧が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS2)。バッテリ42の出力電圧の許容範囲として、例えば許容下限値が規定されており、出力電圧が許容下限値より低くなると、制御装置41は、出力電圧が許容範囲から外れていると判定する。
【0029】
出力電圧が許容範囲内である場合には、ポンプ40及び磁性異物除去装置20の運転を継続する。バッテリ42の出力電圧が許容範囲から外れている場合には、ポンプ40及び磁性異物除去装置20の動作を停止させる(ステップS3)。具体的には、制御装置41は電磁弁48を閉じるとともに、モータ26への電力の供給を停止する。その後、警報発出装置49から警報を発出させる(ステップS4)。
【0030】
次に、本実施例の優れた効果について説明する。
本実施例による清掃装置は、フレーム11にキャスター12が取り付けられているため、作業者が工場内で清掃装置10を容易に移動させることができる。例えば、タンク60のうち磁性スラッジ62が多く堆積している箇所に清掃装置10を移動させ、タンク60内の磁性スラッジ62をピンポイントで除去することが可能である。
【0031】
本実施例においては、ポンプ40の動力源が工場内エアー配管からの圧縮空気であり、磁性異物除去装置20のモータ26の動力源が、フレーム11に搭載されたバッテリ42からの電力である。このため、外部から電力の供給を受けることなく、動作することが可能である。
【0032】
バッテリ42の出力電圧が低下すると、磁性異物除去装置20の磁性スラッジ除去能力が低下する。磁性スラッジ除去能力が低下すると、磁性異物除去装置20の流路24(図2)の底に、除去されなかった磁性スラッジ62が蓄積される。回転磁気ドラム25と流路24の底との間の空間が磁性スラッジ62で塞がれると、クーラント61が堰き止められ、流路24内のクーラント61の液面が上昇する。液面の上昇が進むと、クーラント61が筐体29の上部の隙間から溢れ出してしまう。
【0033】
本実施例では、バッテリ42の出力電圧が許容下限値以下になると、制御装置41がポンプ40を停止させる。このため、磁性異物除去装置20へのクーラント61の流入が停止され、クーラント61の溢れが防止される。さらに、制御装置41が磁性異物除去装置20を停止させるため、無駄な電力消費を抑制することができる。さらに、制御装置41が警報発出装置49(図3)から警報を発出させるため、作業者は、吸引が停止した理由がバッテリ42の電圧低下であることを直ちに知ることができる。
【0034】
ポンプ40の動力源を、磁性異物除去装置20の動力源と共通のバッテリ42とした場合には、ポンプ40の十分な吸引力及び十分な連続動作可能時間を確保するために、バッテリ42の容量を大きくしなければならない。本実施例では、ポンプ40の動力源としてバッテリ42を使用しないため、バッテリ42の大容量化及び大型化を抑制することができる。
【0035】
次に、本実施例の変形例について説明する。
本実施例では、清掃の対象物が、磁性スラッジを含むクーラントであるが、その他に、磁性異物を含む液体が貯蔵されたタンクの清掃を行うことも可能である。
【0036】
また、本実施例では、ポンプ40の動力源が工場内エアーの圧縮空気であり、磁性異物除去装置20の動力源がバッテリ42の電力である。このように、ポンプの動力源が磁性異物除去装置20の動力源と異なっている場合に、磁性異物除去装置20がほぼ停止し、ポンプ40のみが動作を継続する状況が生じ得る。このような状況が生じ得る場合に、磁性異物除去装置20の異物除去能力が低下したことを検知し、ポンプ40を停止させるとよい。例えば、磁性異物除去装置20の異物除去能力に関わる物理量を測定し、この物理量の測定結果が許容範囲から外れるとポンプ40を停止させる制御を行うとよい。
【0037】
本実施例では、バッテリ42の出力電圧の測定結果に基づいて、ポンプ40及び磁性異物除去装置20の運転を停止させるか否かを判定している。その他に、バッテリ42の充電率(SOC)等に基づいて、ポンプ40及び磁性異物除去装置20の運転を停止させるか否かを判定してもよい。
【0038】
本実施例では、ステップS3(図4)でポンプ40及び磁性異物除去装置20の両方を停止させているが、必ずしも磁性異物除去装置20は停止させなくてもよい。この場合でも、クーラントの溢れを回避することができる。
【0039】
次に、図5及び図6を参照して、上記実施例のさらに他の変形例について説明する。図3及び図4に示した実施例による清掃装置と共通の構成については説明を省略する。
【0040】
図5は、本変形例による清掃装置10のブロック図である。図3に示した実施例では、磁性異物除去装置20の異物除去能力に関わる物理量として、バッテリ42の出力電圧を採用している。これに対して図5に示した変形例では、磁性異物除去装置20の異物除去能力に関わる物理量として、モータ26の回転速度が採用される。回転速度センサ36がモータ26の回転速度を測定し、測定結果が制御装置41に入力される。
【0041】
図6は、本変形例による清掃装置10の制御装置41が行う手順を示すフローチャートである。ステップS1、S3、S4は、図4に示したこれらのステップと同一である。図6に示した変形例においては、図4のステップS2に代えて、制御装置41が、モータ26の回転速度が許容範囲内か否かを判定する(ステップS2a)。例えば、許容範囲として、モータ26の回転速度の下限値が規定されている。モータ26の回転速度が許容範囲内であれば、ポンプ40及び磁性異物除去装置20の運転を継続し、許容範囲から外れた場合、ポンプ40及び磁性異物除去装置20の動作を停止させる(ステップS3)。
【0042】
次に、図7及び図8を参照して、上記実施例のさらに他の変形例について説明する。図3及び図4に示した実施例による清掃装置と共通の構成については説明を省略する。
【0043】
図7は、本変形例による清掃装置10のブロック図である。本変形例では、磁性異物除去装置20の異物除去能力に関わる物理量として、流路24(図2)内のクーラント61の液面の高さが採用される。液面高さセンサ37が、クーラント61の液面の高さを測定し、測定結果が制御装置41に入力される。
【0044】
図8は、本変形例による清掃装置10の制御装置41が行う手順を示すフローチャートである。ステップS1、S3、S4は、図4に示したこれらのステップと同一である。図8に示した変形例においては、図4のステップS2に代えて、制御装置41が、液面の高さが許容範囲内か否かを判定する(ステップS2b)。例えば、許容範囲として、液面の高さの上限値が規定されている。液面の高さが許容範囲内であれば、ポンプ40及び磁性異物除去装置20の運転を継続し、許容範囲から外れた場合、すなわち液面の高さが許容上限値を超えた場合、ポンプ40及び磁性異物除去装置20の動作を停止させる(ステップS3)。
【0045】
磁性異物除去装置20の異物除去能力に関わる物理量として、図3及び図4に示した実施例で採用されたバッテリ42の出力電圧及び図5及び図6に示した変形例で採用されたモータ26の回転速度は、異物除去能力に影響を与える。これに対して、磁性異物除去装置20の異物除去能力に関わる物理量として、図7及び図8に示した変形例で採用された液面の高さは、磁性異物除去装置20の異物除去能力の変化に応じて変動する。このように、磁性異物除去装置20の異物除去能力に関わる物理量として、異物除去能力に影響を与える物理量を採用してもよいし、異物除去能力の変化に応じて変動する物理量を採用してもよい。
【0046】
図5図8を参照して説明した実施例の変形例においても、図1図4を参照して説明した実施例と同様の効果が得られる。さらに、バッテリ42の出力電圧、モータ26の回転速度、及び液面の高さの測定結果を組み合わせて、ポンプ40及び磁性異物除去装置20を停止させるか否かの判定を行ってもよい。
【0047】
上述の実施例及び変形例は例示であり、異なる実施例及び変形例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。複数の実施例及び変形例の同様の構成による同様の作用効果については実施例及び変形例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例及び変形例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0048】
10 清掃装置
11 フレーム
12 キャスター
13 ハンドル
20 磁性異物除去装置
21 流入口
22 流出口
23 異物排出口
24 流路
25 回転磁気ドラム
25A 外筒
25B 内筒
25C 磁石
25R 回転中心
26 モータ
27 ローラ
28 スクレーパ
29 筐体
35 電圧センサ
36 回転速度センサ
37 液面高さセンサ
40 ポンプ
41 制御装置
42 バッテリ
43 流入箱
44 吸引側継手
45 排出側継手
46 充電装置
47 インバータ
48 電磁弁
49 警報発出装置
51 吸引ホース
52 排出ホース
60 クーラントタンク
61 クーラント
62 磁性スラッジ
65 回収容器
70 研削盤
71 異物除去装置
72 ポンプ
75 工場内エアー配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8