(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】測距装置
(51)【国際特許分類】
H10F 39/18 20250101AFI20250307BHJP
H10F 30/20 20250101ALI20250307BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20250307BHJP
H04N 25/77 20230101ALI20250307BHJP
【FI】
H10F39/18 A
H10F30/20
H04N25/70
H04N25/77
(21)【出願番号】P 2022527643
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2021017805
(87)【国際公開番号】W WO2021241191
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2020091550
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】安 陽太郎
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/187370(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/191539(WO,A1)
【文献】特開2009-047658(JP,A)
【文献】特開2004-356246(JP,A)
【文献】特開2017-183636(JP,A)
【文献】特開2006-128383(JP,A)
【文献】特開2014-015483(JP,A)
【文献】特開2006-261372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0119234(US,A1)
【文献】特開2006-120845(JP,A)
【文献】特開2020-013909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F 39/18
H10F 30/20
H04N 25/70
H04N 25/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面および該第1面に対して反対側にある第2面を有する半導体層と、
前記第2面側に設けられたレンズと、
前記第1面側において前記半導体層内に設けられた第1および第2電荷蓄積部と、
前記第1面側において前記半導体層と接触し、該半導体層
よりも量子効率または光電変換効率の高い材料からなる光電変換部と、
前記第1および第2電荷蓄積部と前記光電変換部との間の前記半導体層に電圧を印加する第1および第2電圧印加部と、
前記第1面側に設けられ、前記光電変換部に電気的に接続された第1配線と、を備え
、
前記光電変換部は、前記半導体層の前記第2面の上方から見たときに、前記レンズから前記半導体層へ入射光を通過させる開口部よりも面積において小さい、測距装置。
【請求項2】
前記第1面側において前記半導体層内に設けられ、前記光電変換部と接触する不純物層をさらに備え、
前記光電変換部は、前記半導体層の前記第2面の上方から見たときに、前記不純物層よりも面積において小さい、請求項1に記載の測距装置。
【請求項3】
前記半導体層には、シリコンが用いられており、前記光電変換部には、ゲルマニウム、InGaAs、CIGS(CopperIndiumGalliumDiSelenide)、Qdot(Quantumdot)が用いられている、請求項1に記載の測距装置。
【請求項4】
第1面および該第1面に対して反対側にある第2面を有する半導体層と、
前記第2面側に設けられたレンズと、
前記第1面側において前記半導体層内に設けられた第1および第2電荷蓄積部と、
前記第1面側において前記半導体層と接触し、該半導体層よりも量子効率または光電変換効率の高い材料からなる光電変換部と、
前記第1および第2電荷蓄積部と前記光電変換部との間の前記半導体層に電圧を印加する第1および第2電圧印加部と、
前記第1面側に設けられ、前記光電変換部に電気的に接続された第1配線と、を備え、
導電性かつ光を反射する材料からなり、前記光電変換部と前記半導体層との間の接触部以外において該光電変換部の周囲を被覆している金属層をさらに備えた
、測距装置。
【請求項5】
前記金属層は、前記光電変換部と前記第1配線との間を電気的に接続する電極である、
請求項4に記載の測距装置。
【請求項6】
前記金属層は、前記光電変換部に向かって突出または窪む凹凸部を有する、
請求項4に記載の測距装置。
【請求項7】
第1面および該第1面に対して反対側にある第2面を有する半導体層と、
前記第2面側に設けられたレンズと、
前記第1面側において前記半導体層内に設けられた第1および第2電荷蓄積部と、
前記第1面側において前記半導体層と接触し、該半導体層よりも量子効率または光電変換効率の高い材料からなる光電変換部と、
前記第1および第2電荷蓄積部と前記光電変換部との間の前記半導体層に電圧を印加する第1および第2電圧印加部と、
前記第1面側に設けられ、前記光電変換部に電気的に接続された第1配線と、
前記光電変換部と前記半導体層との間に設けられ、前記光電変換部の材料と前記半導体層の材料とが混合された混合層
とを備える、測距装置。
【請求項8】
前記第1配線と電気的に接続する前記光電変換部のコンタクト部分に設けられ、前記光電変換部よりも不純物濃度の高い高濃度不純物層をさらに備える、請求項1
、請求項4、請求項7のいずれか一項に記載の測距装置。
【請求項9】
前記第1電圧印加部は、前記第1電荷蓄積部と前記光電変換部との間の前記第1面上に設けられ、前記半導体層から絶縁された第1ゲート電極であり、
前記第2電圧印加部は、前記第2電荷蓄積部と前記光電変換部との間の前記第1面上に設けられ、前記半導体層から絶縁された第2ゲート電極であり、前記第1面側に設けられ、前記第1電圧印加部に接続された第2配線と、
前記第1面側に設けられ、前記第2電圧印加部に接続された第3配線とをさらに備える、請求項1
、請求項4、請求項7のいずれか一項に記載の測距装置。
【請求項10】
前記第1および第2電圧印加部は、前記半導体層の前記第1面上に絶縁膜を介して設けられている、
請求項9に記載の測距装置。
【請求項11】
前記第1および第2電圧印加部は、前記半導体層の前記第1面から該半導体層内へ埋め込まれている、
請求項9に記載の測距装置。
【請求項12】
前記第1電圧印加部は、前記第1面において前記第1電荷蓄積部に隣接し、該第1電荷蓄積部に対して導電型の異なる第1不純物層であり、
前記第2電圧印加部は、前記第1面において前記第2電荷蓄積部に隣接し、該第2電荷蓄積部に対して導電型の異なる第2不純物層であり、
前記第1面側に設けられ、前記第1電圧印加部に接続された第2配線と、
前記第1面側に設けられ、前記第2電圧印加部に接続された第3配線とをさらに備える、請求項1
、請求項4、請求項7のいずれか一項に記載の測距装置。
【請求項13】
前記半導体層内に前記第2面から前記光電変換部へ延び、前記半導体層と異なる材料からなる導波部をさらに備える、請求項1
、請求項4、請求項7のいずれか一項に記載の測距装置。
【請求項14】
前記導波部は、前記第2面側において、前記レンズから前記半導体層へ入射光を通過させる開口部と等しいかそれ以上の面積を有し、前記第1面側において、前記光電変換部と等しいかそれ以下の面積を有し、前記第1面と前記第2面との間にある側面がテーパー形状を有する、
請求項13に記載の測距装置。
【請求項15】
前記導波部の屈折率は、前記半導体層の屈折率よりも高い、
請求項13に記載の測距装置。
【請求項16】
前記導波部の屈折率は、前記レンズの屈折率よりも低い、
請求項15に記載の測距装置。
【請求項17】
前記導波部の側面に設けられた金属膜をさらに備える、
請求項13に記載の測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
間接ToF(indirect Time of Flight:iToF)方式を用いた測距装置が開発されている。間接ToFの測距装置は、測距装置から対象物までの距離を、照射光と反射光との位相差に基づいて間接的に算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の間接ToF方式を用いた測距装置は、シリコン基板内にフォトダイオードを有しており、充分な量子効率Qe(感度)を得ることができなかった。また、赤外線の透過率が高いシリコン基板を用いた測距装置においては、量子効率を上げるためには、シリコン基板を厚膜化する必要がある。しかし、シリコン基板を厚くすると、隣接する画素間での電気的もしくは光学的な分離が困難となり、SNR(Signal-to-Noise Ratio)を劣化させ解像度が低下してしまうという問題もあった。
【0005】
そこで、本開示は、このような課題を鑑みてなされたものであり、量子効率および解像度を改善することができる測距装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面の測距装置は、第1面および該第1面に対して反対側にある第2面を有する半導体層と、第2面側に設けられたレンズと、第1面側において半導体層内に設けられた第1および第2電荷蓄積部と、第1面側において半導体層と接触し、該半導体層と異なる材料からなる光電変換部と、第1および第2電荷蓄積部と光電変換部との間の半導体層に電圧を印加する第1および第2電圧印加部と、第1面側に設けられ、光電変換部に電気的に接続された第1配線と、を備える。
【0007】
光電変換部は、半導体層の第2面の上方から見たときに、レンズから半導体層へ入射光を通過させる開口部よりも面積において小さくてもよい。
【0008】
第1面側において半導体層内に設けられ、光電変換部と接触する不純物層をさらに備え、光電変換部は、半導体層の第2面の上方から見たときに、不純物層よりも面積において小さくてもよい。
【0009】
半導体層には、シリコンが用いられており、光電変換部には、ゲルマニウム、InGaAs、CIGS、Qdotが用いられていてもよい。
【0010】
導電性かつ光を反射する材料からなり、光電変換部と半導体層との間の接触部以外において該光電変換部の周囲を被覆している金属層をさらに備えてもよい。
【0011】
金属層は、光電変換部と第1配線との間を電気的に接続する電極でもよい。
【0012】
金属層は、光電変換部に向かって突出または窪む凹凸部を有してもよい。
【0013】
光電変換部と半導体層との間に設けられ、光電変換部の材料と半導体層の材料とが混合された混合層をさらに備えてもよい。
【0014】
第1配線と電気的に接続する光電変換部のコンタクト部分に設けられ、光電変換部よりも不純物濃度の高い高濃度不純物層をさらに備えてもよい。
【0015】
第1電圧印加部は、第1電荷蓄積部と光電変換部との間の第1面上に設けられ、半導体層から絶縁された第1ゲート電極であり、第2電圧印加部は、第2電荷蓄積部と光電変換部との間の第1面上に設けられ、半導体層から絶縁された第2ゲート電極であり、第1面側に設けられ、第1電圧印加部に接続された第2配線と、第1面側に設けられ、第2電圧印加部に接続された第3配線とをさらに備えてもよい。
【0016】
第1および第2電圧印加部は、半導体層の第1面上に絶縁膜を介して設けられてもよい。
【0017】
第1および第2電圧印加部は、半導体層の第1面から該半導体層内へ埋め込まれていてもよい
【0018】
第1電圧印加部は、第1面において第1電荷蓄積部に隣接し、該第1電荷蓄積部に対して導電型の異なる第1不純物層であり、第2電圧印加部は、第1面において第2電荷蓄積部に隣接し、該第2電荷蓄積部に対して導電型の異なる第2不純物層であり、第1面側に設けられ、第1電圧印加部に接続された第2配線と、第1面側に設けられ、第2電圧印加部に接続された第3配線とをさらに備えてもよい。
【0019】
半導体層内に第2面から光電変換部へ延び、半導体層と異なる材料からなる導波部をさらに備えてもよい。
【0020】
導波部は、第2面側において、レンズから半導体層へ入射光を通過させる開口部と等しいかそれ以上の面積を有し、第1面側において、光電変換部と等しいかそれ以下の面積を有し、第1面と第2面との間にある側面がテーパー形状を有してもよい。
【0021】
導波部の屈折率は、半導体層の屈折率よりも高くてもよい。
【0022】
導波部の屈折率は、レンズの屈折率よりも低くてもよい。
【0023】
導波部の側面に設けられた金属膜をさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態による測距装置の構成例を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態による測距装置の受光素子の概略構成例を示すブロック図。
【
図4】
図3に示した画素回路の配置例を示した平面図。
【
図5】第1実施形態による画素の構成例を示す断面図。
【
図6】第1実施形態による測距装置の動作の一例を示すタイミング図。
【
図7】第2実施形態による画素の構成例を示す断面図。
【
図8】第3実施形態による画素の構成例を示す断面図。
【
図9】第4実施形態による画素の構成例を示す断面図。
【
図10】第5実施形態による画素の構成例を示す断面図。
【
図11】第6実施形態による画素の構成例を示す断面図。
【
図12】第7実施形態による画素の構成例を示す断面図。
【
図13】第8実施形態による受光素子の構成例を示す断面図。
【
図14】第9実施形態による画素の構成例を示す断面図。
【
図15】導波部の側面に金属膜を備えた受光素子の断面図。
【
図16】本開示による画素のレイアウトの一例を示した平面図。
【
図17】本開示による画素のレイアウトの他の例を示した平面図。
【
図18】本技術を適用した電子機器としての、スマートフォンの構成例を示すブロック図。
【
図19】本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による測距装置の構成例を示すブロック図である。測距装置100は、間接ToF(以下、iToFともいう)方式による測距装置であり、例えば、車両に搭載され、車外にある対象物までの距離を測定する車載用のシステム等に用いる。また、測距装置100は、例えば、顔認証等の個人を特定するシステム等にも用いてもよい。
【0027】
測距装置100は、受光素子1と、発光素子2と、変調器3と、PLL(Phase Locked Loop)4とを備えている。PLL4は、パルス信号を生成する。変調器3は、PLL4からのパルス信号を変調し、制御信号を生成する。制御信号の周波数は、例えば、5メガHz~20メガHzでよい。発光素子2は、変調器からの制御信号に従って発光する。発光素子2は、光源として、波長が780nm~1000nmの範囲の赤外光を発する発光ダイオードを有し、矩形波あるいはサイン波の制御信号に同期して、照射光を発生する。発光素子2で生成される光は、例えば、短波赤外光(SWIR(Short Wave Infrared Radiometer))等でよい。発光素子2から発光された照射光は、物体Mに反射して受光素子1で受光される。
【0028】
受光素子1で受光され反射光は、発光素子2が発光したタイミングから、物体Mまでの距離に応じて遅延する。照射光に対する反射光の遅延時間によって、照射光と反射光との間に位相差が生じる。iToF方式では、測距装置100は、この照射光と反射光との間の位相差を演算して、この位相差に基づいて測距装置100から物体Mまでの距離(デプス情報)を求める。
【0029】
図2は、第1実施形態による測距装置の受光素子の概略構成例を示すブロック図である。受光素子1は、
図1のiToF方式による測距装置100に用いられる素子である。
【0030】
受光素子1は、光源としての発光素子2で生成された照射光が物体にあたって反射して返ってきた光(反射光)を受光し、物体までの距離情報をデプス値として表したデプス画像を出力する。
【0031】
受光素子1は、図示しない半導体基板上に設けられた画素アレイ部21と、同じ半導体基板上に設けられた周辺回路部とを有する。周辺回路部は、例えば、垂直駆動部22、カラム処理部23、水平駆動部24、およびシステム制御部25、信号処理部26およびデータ格納部27等から構成されている。尚、周辺回路部の全部または一部は、受光素子1と同じ半導体基板上に設けてもよいし、受光素子1とは別の基板上に設けてもよい。
【0032】
画素アレイ部21は、行方向および列方向の行列状に2次元配置された複数の画素10を有する。画素10は、受光した光量に応じた電荷を生成し、その電荷に応じた信号を出力する。すなわち、画素10は、入射した光を光電変換し、その結果得られた電荷に応じた信号を出力する。画素10の詳細については、後述する。尚、行方向は、
図2において横方向であり、列方向は縦方向である。
【0033】
画素アレイ部21においては、行列状の画素配列に対して、画素行ごとに画素駆動線28が行方向に沿って配線されるとともに、各画素列に2つの垂直信号線29が列方向に沿って配線されている。例えば、画素駆動線28は、画素10から信号を読み出す際の駆動を行うための駆動信号を伝送する。なお、
図2では、画素駆動線28について1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。画素駆動線28の一端は、垂直駆動部22の各行に対応した出力端に接続されている。
【0034】
垂直駆動部22は、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等によって構成され、画素アレイ部21の各画素10を全画素同時あるいは行単位等で駆動する。すなわち、垂直駆動部22は、垂直駆動部22を制御するシステム制御部25とともに、画素アレイ部21の各画素10の動作を制御する駆動部を構成している。
【0035】
垂直駆動部22による駆動制御に応じて画素行の各画素10から出力される検出信号は、垂直信号線29を通してカラム処理部23に入力される。カラム処理部23は、各画素10から垂直信号線29を通して出力される検出信号に対して所定の信号処理を行うとともに、信号処理後の検出信号を一時的に保持する。具体的には、カラム処理部23は、信号処理としてノイズ除去処理やAD(Analog-to-Digital)変換処理等を行う。
【0036】
水平駆動部24は、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等によって構成され、カラム処理部23の画素列に対応する単位回路を順番に選択する。水平駆動部24による選択走査により、カラム処理部23において単位回路ごとに信号処理された検出信号が順番に出力される。
【0037】
システム制御部25は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ等によって構成され、そのタイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に、垂直駆動部22、カラム処理部23、および水平駆動部24などの駆動制御を行う。
【0038】
信号処理部26は、演算処理機能を有し、カラム処理部23から出力される検出信号に基づいて演算処理等の種々の信号処理を行う。データ格納部27は、信号処理部26での信号処理に必要なデータを一時的に格納する。
【0039】
以上のように構成される受光素子1は、物体までの距離情報をデプス値として画素値に含め、この画素値をデプス画像として出力する。受光素子1は、例えば、車両に搭載され、車外にある対象物までの距離を測定する車載用のシステム等に搭載することができる。
【0040】
図3は、画素10の回路構成の一例を示す図である。画素10は、フォトダイオードPDと、転送トランジスタTRG1、TRG2と、浮遊拡散領域FD1、FD2と、付加容量FDL1、FDL2と、切替トランジスタFDG1、FDG2と、増幅トランジスタAMP1、AMP2と、リセットトランジスタRST1、RST2と、選択トランジスタSEL1、SEL2と、電荷排出トランジスタOFGとを備える。
【0041】
フォトダイオードPDは、受けた光に応じて電荷を生成する光電変換素子である。
【0042】
転送トランジスタTRG1、TRG2、切替トランジスタFDG1、FDG2、増幅トランジスタAMP1、AMP2、選択トランジスタSEL1、SEL2、リセットトランジスタRST1、RST2、および、電荷排出トランジスタOFGは、例えば、N型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成される。
【0043】
転送トランジスタTRG1は、ゲート電極TRG1gに印加される転送信号がアクティブ状態(例えば、ハイレベル)になると導通状態になり、フォトダイオードPDに蓄積されている電荷を浮遊拡散領域FD1に転送する。転送トランジスタTRG2は、ゲート電極TRG2gに印加される転送信号がアクティブ状態になると導通状態になり、フォトダイオードPDに蓄積されている電荷を浮遊拡散領域FD2に転送する。
【0044】
浮遊拡散領域FD1およびFD2は、フォトダイオードPDから転送された電荷を蓄積可能な電荷蓄積部である。
【0045】
切替トランジスタFDG1は、切替信号FDG1gがアクティブ状態になると導通状態になり、付加容量FDL1を浮遊拡散領域FD1に接続する。切替トランジスタFDG2は、切替信号FDG2gがアクティブ状態になると導通状態になり、付加容量FDL2を浮遊拡散領域FD2に接続する。付加容量FDL1およびFDL2は、例えば、MoM(Metal-on-Metal)、MIM(Metal-Insulator-Metal) またはMOSキャパシタ等の容量素子で構成すればよい。尚、切替トランジスタFDG1、FDG2は、iToFにおいて、入射光による電荷を蓄積するときには導通状態となっており、それぞれ浮遊拡散領域FD1,FD2と電気的に接続されている。これにより、画素10は、浮遊拡散領域FD1、FD2における信号電荷の飽和を抑制することができ、電荷を蓄積することができる。
【0046】
リセットトランジスタRST1は、リセット駆動信号RSTgがアクティブ状態になると導通状態になり、浮遊拡散領域FD1の電位をリセットする。リセットトランジスタRST2は、リセット駆動信号RSTgがアクティブ状態になると導通状態になり、浮遊拡散領域FD2の電位をリセットする。なお、リセットトランジスタRST1およびRST2がアクティブ状態とされるとき、切替トランジスタFDG1およびFDG2も同時にアクティブ状態とされ、付加容量FDL1およびFDL2もリセットされる。
【0047】
例えば、iToFにおいて、入射光による電荷を蓄積する場合、垂直駆動部22は、切替トランジスタFDG1およびFDG2を導通状態として、浮遊拡散領域FD1と付加容量FDL1を接続するとともに、浮遊拡散領域FD2と付加容量FDL2を接続する。これにより、多くの電荷を蓄積することができる。
【0048】
一方、量子効率を上げる場合には、垂直駆動部22は、切替トランジスタFDG1およびFDG2を非導通状態として、付加容量FDL1およびFDL2を、それぞれ、浮遊拡散領域FD1およびFD2から切り離してもよい。このように、切替トランジスタFDG1、FDG2を切り替えることによって、受光素子1のダイナミックレンジを大きくすることができる。
【0049】
電荷排出トランジスタOFGは、排出信号OFG1gがアクティブ状態になると導通状態になり、フォトダイオードPDに蓄積された電荷を排出する。強い入射光によってフォトダイオードPDの電荷がオーバーフローする場合に、電荷排出トランジスタOFGが用いられる。
【0050】
増幅トランジスタAMP1のソース電極は、選択トランジスタSEL1を介して垂直信号線29Aに接続される。これにより、増幅トランジスタAMP1は、不図示の定電流源と接続し、ソースフォロワ回路を構成する。増幅トランジスタAMP2のソース電極は、選択トランジスタSEL2を介して垂直信号線29Bに接続される。これにより、増幅トランジスタAMP2は、不図示の定電流源と接続し、ソースフォロワ回路を構成する。
【0051】
選択トランジスタSEL1は、増幅トランジスタAMP1のソース電極と垂直信号線29Aとの間に接続されている。選択トランジスタSEL1は、選択信号SEL1gがアクティブ状態になると導通状態となり、増幅トランジスタAMP1から出力される検出信号VSL1を垂直信号線29Aに出力する。
【0052】
選択トランジスタSEL2は、増幅トランジスタAMP2のソース電極と垂直信号線29Bとの間に接続されている。選択トランジスタSEL2は、選択信号SEL2gがアクティブ状態になると導通状態となり、増幅トランジスタAMP2から出力される検出信号VSL2を垂直信号線29Bに出力する。
【0053】
画素10の転送トランジスタTRG1およびTRG2、切替トランジスタFDG1およびFDG2、増幅トランジスタAMP1およびAMP2、選択トランジスタSEL1およびSEL2、並びに、電荷排出トランジスタOFGは、垂直駆動部22によって制御される。
【0054】
尚、上述の通り、iToFにおいて入射光による電荷を蓄積する場合、付加容量FDL1およびFDL2は、浮遊拡散領域FD1、FD2にそれぞれ接続されている。従って、iToFの画素10では、切替トランジスタFDG1およびFDG2は省略してもよい。
【0055】
次に、画素10の動作について簡単に説明する。
【0056】
まず、受光を開始する前に、画素10の電荷をリセットするリセット動作が全画素で行われる。即ち、電荷排出トランジスタOFGと、リセットトランジスタRST1およびRST2、並びに、切替トランジスタFDG1およびFDG2が導通状態になり、フォトダイオードPD、浮遊拡散領域FD1およびFD2、並びに、付加容量FDL1およびFDL2の蓄積電荷を排出する。
【0057】
蓄積電荷の排出後、受光が開始される。
【0058】
受光期間では、転送トランジスタTRG1とTRG2とが交互に駆動される。例えば、第1期間において、転送トランジスタTRG1が導通状態(以下、オン)になり、転送トランジスタTRG2が非導通状態(以下、オフ)になる。このとき、フォトダイオードPDで発生した電荷は、浮遊拡散領域FD1および付加容量FDL1に転送される。第1期間の次の第2期間において、転送トランジスタTRG1がオフになり、転送トランジスタTRG2がオンになる。第2期間では、フォトダイオードPDで発生した電荷は、浮遊拡散領域FD2および付加容量FDL2に転送される。これにより、フォトダイオードPDで発生した電荷が、浮遊拡散領域FD1とFD2とに振り分けられ、蓄積される。
【0059】
第1および第2期間は、発光素子2からの照射光と同期して周期的に交互に繰り返される。これにより、浮遊拡散領域FD1、FD2および付加容量FDL1、FDL2は、発光素子2からの照射光と受光素子1で受光される反射光との位相差に応じた電荷を蓄積することができる。位相差と、浮遊拡散領域FD1、FD2および付加容量FDL1、FDL2に蓄積される電荷との関係については後述する。
【0060】
そして、受光期間が終了すると、画素アレイ部21の各画素10が、順次に選択される。選択された画素10では、選択トランジスタSEL1およびSEL2がオンする。これにより、浮遊拡散領域FD1および付加容量FDL1に蓄積された電荷が、検出信号VSL1として、垂直信号線29Aを介してカラム処理部23に出力される。浮遊拡散領域FD2および付加容量FDL2に蓄積された電荷は、検出信号VSL2として、垂直信号線29Bを介してカラム処理部23に出力される。
【0061】
このように1回の受光動作が終了すると、リセット動作から始まる次の受光動作が実行される。
【0062】
画素10が受光する反射光は、光源が照射したタイミングから、対象物までの距離に応じて遅延する。対象物までの距離に応じた遅延時間によって、照射光と反射光との間に位相差が生じ、付加容量FDL1と付加容量FDL2と(または浮遊拡散領域FD1と浮遊拡散領域FD2と)に蓄積される電荷の配分比が変化する。これにより、浮遊拡散領域FD1、FD2の電位を検出することによって、照射光と反射光との間の位相差が算出され、この位相差に基づいて物体までの距離を求めることができる。
【0063】
図4は、
図3に示した画素回路の配置例を示した平面図である。
図4における横方向は、
図2の行方向(水平方向)に対応し、縦方向は
図2の列方向(垂直方向)に対応する。
【0064】
図4に示されるように、N型の半導体層51内にN+型の不純物層52が設けられている。不純物層52内にフォトダイオードPDが設けられている。半導体層51の表面上方から見たときに、不純物層52およびフォトダイオードPDは、略矩形の外形を有し、フォトダイオードPDは、不純物層52の内側に設けられている。
【0065】
不純物層52の外側であって、矩形の画素10の四辺の所定の一辺に沿って、転送トランジスタTRG1、切替トランジスタFDG1、リセットトランジスタRST1、増幅トランジスタAMP1、及び、選択トランジスタSEL1が直線的に並んで配置されている。また、矩形の画素10の四辺の他の一辺に沿って、転送トランジスタTRG2、切替トランジスタFDG2、リセットトランジスタRST2、増幅トランジスタAMP2、及び、選択トランジスタSEL2が直線的に並んで配置されている。さらに、電荷排出トランジスタOFGは、転送トランジスタTRG1、TRG2等が設けられた画素10の二辺とは別の辺に配置されている。例えば、電荷排出トランジスタOFGは、転送トランジスタTRG1、FDG1、RST1、AMP1、SEL1が設けられた画素10の辺に対して対向する辺に配置されている。尚、
図4に示した画素回路の配置は、この例に限られず、その他の配置としてもよい。
【0066】
図5は、第1実施形態による画素10の構成例を示す断面図である。
図5には、1つの画素10を示しているが、画素アレイ部21には、複数の画素10が並列に二次元配置されている。
【0067】
画素10は、半導体層51と、オンチップレンズ47と、反射防止膜43と、遮光膜45と、画素間分離部61と、不純物層52と、浮遊拡散領域FD1、FD2と、フォトダイオードPDと、転送トランジスタTRG1、TRG2と、ビアV1~V4、Vbiasと、配線M1~M4、Mbiasと、付加容量FDL1、FDL2とを備えている。
【0068】
半導体層51は、例えば、シリコンで構成され、例えば1μm~6μmの厚みを有している。半導体層51は、例えば、N型半導体層である。半導体層51は、第1面としての表面F1と、表面F1に対して反対側にある第2面としての裏面F2とを有する。表面F1側には、配線M1~M4、Mbiasを含む多層配線構造が設けられている。裏面F2側には、光を受けるためのオンチップレンズ47が設けられている。従って、本開示による受光素子1は、裏面照射型素子であり、配線M1~M4、Mbiasが設けられている表面F1とは反対側の裏面F2で受光する。半導体層51の裏面F2が、光の入射面となる。
【0069】
半導体層51の裏面F2上には、反射防止膜43が設けられている。反射防止膜43は、固定電荷膜および酸化膜を積層した積層構造でよい。例えば、反射防止膜43は、ALD(Atomic Layer Deposition)法による高誘電率(High-k)絶縁膜でよい。より詳細には、反射防止膜43には、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、STO(Strontium Titan Oxide)等の金属酸化膜を用いることができる。
【0070】
半導体層51の裏面F2上の反射防止膜43以外の領域には、遮光膜45が設けられている。遮光膜45は、反射防止膜43の周囲に隣接して設けられており、反射防止膜43以外の領域から入射光が入ることを抑制する。即ち、遮光膜45は、オンチップレンズ47から半導体層51へ入射光を通過させる開口部OPを規定する。遮光膜45は、遮光材料で構成され、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)等の金属材料で構成され得る。
【0071】
画素間分離部61は、半導体層51内において隣接する複数の画素10間の境界部に設けられており、隣接する複数の画素10間を分離する。画素間分離部61は、入射光が隣接画素へ漏れること(即ち、クロストーク)を抑制する。画素間分離部61も、遮光材料で構成され、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)等の金属材料で構成され得る。尚、図示しないが、画素間分離部61の底面および側面は、光を反射する材料で被覆されてもよい。これにより、フォトダイオードPDに入射する光が多くなり、画素10の量子効率が向上する。
【0072】
反射防止膜43および遮光膜45上には、平坦化膜46が設けられている。平坦化膜46には、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等の絶縁膜、または、樹脂などの有機材料を用いている。
【0073】
平坦化膜46上には、オンチップレンズ47が画素10ごとに設けられている。オンチップレンズ47は、半導体層51の裏面F2上に設けられており、オンチップレンズ47には、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン-アクリル共重合系樹脂、またはシロキサン系樹脂等の樹脂系材料を用いている。オンチップレンズ47によって集光された光は、反射防止膜43および半導体層51を介してフォトダイオードPDに入射される。
【0074】
一方、半導体層51の表面F1側には、光電変換部の一例としてフォトダイオードPDが設けられている。フォトダイオードPDは、半導体層51の表面F1上に半導体層51に接触するように設けられ、半導体層51とは異なる材料で構成されている。フォトダイオードPDには、シリコンよりも量子効率(光電変換効率)の高い材料が用いられ、例えば、ゲルマニウム、InGaAs、CIGS(CopperIndiumGalliumDiSelenide)またはQdot(Quantumdot)が用いられている。フォトダイオードPDは、受光した光量に応じた電荷を生成する。さらに、フォトダイオードPDは、表面F1から裏面F2へ向かって半導体層51または不純物層52内に幾分突出し食い込んでいる。これにより、フォトダイオードPDから転送トランジスタTRG1、TRG2を経由して浮遊拡散領域FD1、FD2までの経路が短縮され、電荷の転送効率および転送速度が向上する。
【0075】
フォトダイオードPDは、第1配線としてのビアVbiasを介して配線Mbiasに接続されている。配線Mbiasは、表面F1側に設けられ、所定のバイアス電圧をフォトダイオードPDに印加するために、フォトダイオードPDに電気的に接続されている。例えば、配線Mbiasに正電圧(例えば、約+0.5V)を印加することによって、フォトダイオードPDで光電変換された電荷(例えば、電子)が不純物層52へ取り込まれ易くなる。
【0076】
フォトダイオードPDは、
図4および
図5に示すように、半導体層51の裏面F2の上方から見たときに、開口部OPおよび不純物層52よりも面積において小さい。これにより、フォトダイオードPDと半導体層51との接触面積が小さくなり、後述するように、暗電流を小さくすることができる。
【0077】
不純物層52は、半導体層51内の表面F1側に設けられており、フォトダイオードPDと接触している。不純物層52は、例えば、半導体層51よりも不純物濃度において高いN型不純物層であり、フォトダイオードPDで光電変換された電荷を取り込む。
【0078】
第1および第2電荷蓄積部の一例として浮遊拡散領域FD1、FD2が不純物層52の両側に設けられている。浮遊拡散領域FD1、FD2は、表面F1側において半導体層51内に設けられており、フォトダイオードPDから転送された電荷を一時保持あるいは蓄積する。浮遊拡散領域FD1、FD2は、例えば、N型不純物層であり、半導体層51よりも不純物濃度の高い高濃度の不純物を含む。
【0079】
第1電圧印加部の一例として転送トランジスタTRG1のゲート電極TRG1gが、浮遊拡散領域FD1とフォトダイオードPDまたは不純物層52との間の表面F1上に設けられている。ゲート電極TRG1gは、表面F1上にゲート絶縁膜を介して設けられており、半導体層51から電気的に絶縁されている。ゲート電極TRG1gは、浮遊拡散領域FD1とフォトダイオードPDまたは不純物層52との間の半導体層51に電圧を印加し、転送トランジスタTRG1を導通状態または非導通状態にすることができる。ゲート電極TRG1gには、例えば、金属またはアクセプター若しくはドナーとなる不純物がドープされたポリシリコン等の導電性材料が用いられる。
【0080】
第2電圧印加部の一例として転送トランジスタTRG2のゲート電極TRG2gが、浮遊拡散領域FD2とフォトダイオードPDまたは不純物層52との間の表面F1上に設けられている。ゲート電極TRG2gは、表面F1上にゲート絶縁膜を介して設けられており、半導体層51から電気的に絶縁されている。ゲート電極TRG2gは、浮遊拡散領域FD2とフォトダイオードPDまたは不純物層52との間の半導体層51に電圧を印加し、転送トランジスタTRG2を導通状態または非導通状態にすることができる。ゲート電極TRG2gには、例えば、金属またはドープドポリシリコン等の導電性材料が用いられる。
【0081】
ゲート電極TRG1g、不純物層52および浮遊拡散領域FD1は、転送トランジスタTRG1を構成し、ゲート電極TRG1gに印加されるゲート電圧によって、不純物層52から浮遊拡散領域FD1へ電荷を転送することができる。
【0082】
ゲート電極TRG2g、不純物層52および浮遊拡散領域FD2は、転送トランジスタTRG2を構成し、ゲート電極TRG2gに印加されるゲート電圧によって、不純物層52から浮遊拡散領域FD2へ電荷を転送することができる。
【0083】
浮遊拡散領域FD1、FD2に転送された電荷は、浮遊拡散領域FD1および
図3の付加容量FDL1あるいは浮遊拡散領域FD2および
図3の付加容量FDL2に蓄積される。
【0084】
ゲート電極TRG1gは、ビアV11、V21、V31、V41および配線M11、M21、M31を介して第2配線としての配線M41に電気的に接続される。即ち、配線M41は、表面F1側に設けられ、ゲート電極TRG1gに接続されている。ゲート電極TRG2gは、ビアV12、V22、V32、V42および配線M12、M22、M32を介して第3配線としての配線M42に電気的に接続される。即ち、配線M42は、表面F1側に設けられ、ゲート電極TRG2gに接続されている。
図2の垂直駆動部22が配線M41,M42に接続されており、配線M41,M42を介してゲート電極TRG1g、TRG2gの電位を制御する。これにより、垂直駆動部22は転送トランジスタTRG1、TRG2を駆動させることができる。配線M11~M42、Mbias、ビアV11~42、Vbiasには、例えば、銅等の導電性金属が用いられる。
図5において、配線M11~M42は、4層構造となっているが、配線層の数は、限定されず、4層より少なくても、多くても構わない。
【0085】
尚、配線M11、M12、Mbiasは同一配線層に構成され、配線M21、M22は同一配線層に構成される。配線M31、M32は同一配線層に構成され、配線M41、M42は同一配線層に構成される。配線M11、M12は、それぞれ転送トランジスタTRG1、TRG2のゲート電極TRG1g、TRG2gにビアV11、V12を介して電気的に接続された配線である。
【0086】
付加容量FDL1、FDL2は、例えば、配線M21、M22または配線M31、32と同一層の配線で構成されたMoM、MIMまたはMOSキャパシタでよい。付加容量FDL1、FDL2は、ここでは図示しないが、それぞれ浮遊拡散領域FD1、FD2に電気的に接続され、電荷を浮遊拡散領域FD1、FD2とともに蓄積することができる。また、付加容量FDL1、FDL2は、表面F1側からの平面視において、フォトダイオードPDとオーバーラップしている。これにより、画素10の配置面積を小さくすることができる。勿論、付加容量FDL1、FDL2は、配線M21、M22および配線M31、32とは異なる導電層で構成されていてもよい。
【0087】
層間絶縁膜62は、半導体層51の表面F1上に設けられ、配線M11~M42、Mbias、ビアV11~42、Vbias等を被覆している。層間絶縁膜62には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0088】
次に、測距装置100の動作について説明する。
【0089】
図6は、第1実施形態による測距装置の動作の一例を示すタイミング図である。横軸は時間を示す。縦軸は、照射光の信号レベル(強度)、反射光の信号レベル(強度)、ゲート信号S
TRG1、S
TRG2、並びに、浮遊拡散領域FD1、FD2または付加容量FDL1、FLD2に蓄積される電荷量Q
FD1、Q
FD2を示す。尚、ゲート信号S
TRG1、S
TRG2は、それぞれ
図3または
図5に示すゲート電極TRG1g、TRG2gに印加される信号である。
【0090】
まず、受光素子1は、リセット状態にあるものとする。発光素子2が、照射光を発光する。照射光の周波数は、Fmodとする。照射光は、物体Mに反射して受光素子1で受光される。反射光の周波数は、照射光のそれと同じであり、Fmodのままである。一方、照射光が発光されてから物体Mに反射して反射光として戻ってくるまでにかかる時間Δtが、照射光に対する反射光の遅延時間(ToF)となる。遅延時間Δtが判明すれば、光速cに基づいて、測距装置100から物体Mまでの距離は計算され得る。しかし、遅延時間Δt(t1~t2)に応じて、照射光と反射光との間には位相差が生じるので、iToFでは、照射光と反射光との位相差αを用いて測距装置100から物体Mまでの距離(デプス情報)Dを算出する。
【0091】
距離Dは式1で表される。
D=(c×Δt)/2=(c×α)/(4π×Fmod) (式1)
位相差αが分かれば、式1により距離Dを算出することができる。
【0092】
また、位相差αは、式2で表される。
α=arctan((Q
90-Q
270)/(Q
0-Q
180)) (式2)
Q
θ(θ=0、90、180、270)は、照射光に対してゲート信号S
TRG1、S
TRG2の位相をθだけずらしたときに、浮遊拡散領域FD1、FD2または付加容量FDL1、FDL2に蓄積される電荷量の差(電位差)を示す。即ち、iToF方式では、照射光に対するゲート信号S
TRG1、S
TRG2の位相を所定値(例えば、0度、90度、180度、270度)ずらしたときに得られる4つの画像データを用いて位相差αを演算する。そして、この位相差αを用いて距離Dを算出する。この演算は、
図2の信号処理部26で実行すればよい。
【0093】
以下、
図6を参照して、Q
θの算出について説明する。
【0094】
転送トランジスタTRG1、TRG2のゲート電極TRG1g、TRG2gには、ゲート信号S
TRG1、S
TRG2が印加される。ゲート信号S
TRG1、S
TRG2は、照射光と同じ周波数Fmodのパルス信号である。ゲート信号S
TRG1とゲート信号S
TRG2は、互いに180度ずれた逆相の信号であり、照射光から所定の位相θ(0度、90度、180度および270度のいずれか)だけシフトするように設定される。例えば、
図6では、ゲート信号S
TRG1の位相は、照射光の位相から90度(θ=90)だけシフトするように設定されている。ゲート信号S
TRG2は、ゲート信号S
TRG1の逆相信号であるので、ゲート信号S
TRG2の位相もゲート信号S
TRG1の位相ともにシフトしている。
【0095】
ゲート信号S
TRG1、S
TRG2は、互いに逆相信号であるので、
図3、
図5の転送トランジスタTRG1、TRG2は、交互に導通状態になる。例えば、t0~t3において、ゲート信号S
TRG1がハイレベルであるので、転送トランジスタTRG1が導通状態となる。一方、ゲート信号S
TRG2がロウレベルであるので、転送トランジスタTRG2が非導通状態となる。このとき、フォトダイオードPDで発生した電荷qaは、転送トランジスタTRG1を介して浮遊拡散領域FD1および付加容量FDL1へ転送される。一方、電荷qaは、浮遊拡散領域FD2および付加容量FDL2へは転送されない。浮遊拡散領域FD1および付加容量FDL1の電荷量をQ
FD1とすると、電荷量Q
FD1は電荷量qaの分だけ変化(低下)する。一方、電荷は、浮遊拡散領域FD2および付加容量FDL2へは転送されない。従って、浮遊拡散領域FD2および付加容量FDL2の電荷量をQ
FD2とすると、電荷量Q
FD2は変化しない。
【0096】
次に、t3~t4において、ゲート信号STRG2がハイレベルとなり、転送トランジスタTRG2が導通状態となる。一方、ゲート信号STRG1がロウレベルとなり、転送トランジスタTRG1が非導通状態となる。このとき、フォトダイオードPDで発生した電荷qbは、転送トランジスタTRG2を介して浮遊拡散領域FD2および付加容量FDL2へ転送される。一方、電荷qbは、浮遊拡散領域FD1および付加容量FDL1へは転送されない。従って、電荷量QFD2は電荷量qbの分だけ変化(低下)する。一方、電荷は、浮遊拡散領域FD1および付加容量FDL1へは転送されない。従って、電荷量QFD1は変化しない。
【0097】
t4~t5、t6~t7における受光素子1の動作は、t0~t3における受光素子1の動作と同様である。また、t5~t6、t7~t8における受光素子1の動作は、t3~t4における受光素子1の動作と同様である。このように、転送トランジスタTRG1、TRG2は導通状態と非導通状態とを互い違いに周期的に繰り返す。これにより、フォトダイオードPDで発生する電荷qaは、浮遊拡散領域FD1および付加容量FDL1へ次第に蓄積(積分)され、フォトダイオードPDで発生する電荷qbは、浮遊拡散領域FD2および付加容量FDL2へ次第に蓄積(積分)される。フォトダイオードPDで発生する電荷qa、qbを、照射光および反射光の周波数Fmodに基づいて振り分けることによって、照射光に対する反射光の位相差αに応じた電荷量の差Q
90が大きくなる。電荷量差Q
90が充分に大きくなったところで、受光素子1は、
図3の垂直信号線29A、29Bを介して浮遊拡散領域FD1、FD2の電位を出力する。
【0098】
上記受光処理は、θ=0、90、180、270のそれぞれについて実行され、電荷量差Q0、Q90、Q180、Q270を検出する。これにより、照射光に対するゲート信号STRG1、STRG2の位相をずらしたときに得られる4つの画像データ(即ち、Q0、Q90、Q180、Q270)が得られる。信号処理部26は、この4つの画像データ(Q0、Q90、Q180、Q270)を用いて式2から位相差αを演算する。さらに、信号処理部26は、位相差αを用いて式1から距離Dを算出する。
【0099】
このようにして、本開示による測距装置100は、iToF方式を用いて距離D(デプス情報)を得る。
【0100】
以上のように、本実施形態による受光素子1は、配線構造を半導体層51の表面F1に有し、オンチップレンズ47を裏面F2に有する裏面照射型構造となっている。従って、入射光は、配線M11~M42、Mbias等によって阻止されず、高透過率のオンチップレンズ47および半導体層51を介してさほど減衰されずにフォトダイオードPDに届く。従って、半導体層51内で光電変換される光量をより多くし、量子効率(Qe)、即ち、画素10の感度を向上させることができる。
【0101】
また、本実施形態によれば、フォトダイオードPDは、半導体層51(例えば、シリコン基板)内の不純物拡散層で構成されず、半導体層51の裏面F2に接触する半導体層51とは別材料で構成されている。フォトダイオードPDとして、シリコンよりも量子効率(光電変換効率)の高い材料(例えば、ゲルマニウム、InGaAs、CIGSまたはQdot)を用いることによって、フォトダイオードPDと半導体層51との接触面積を小さくすることができる。例えば、
図4に示すように、半導体層51の裏面F2の上方から見たときに、フォトダイオードPDの面積は、開口部OPの面積または不純物層52の面積よりも小さい。この場合、フォトダイオードPDと半導体層51との接触面積は、フォトダイオードPDと開口部OPまたは不純物層52との重複領域であり、フォトダイオードPDの面積に依存する。よって、フォトダイオードPDのレイアウト面積を小さくすることによって、フォトダイオードPDと半導体層51との接触面積も小さくなる。これにより、各画素10のレイアウト面積が小さくなり、受光素子1の小型化に繋がる。また、フォトダイオードPDと半導体層51との界面は、互いの材料の格子定数の相違によって、暗電流を発生させる原因になり得る。しかし、フォトダイオードPDと半導体層51との接触面積を小さくすることによって、暗電流を低減させることができる。
【0102】
また、フォトダイオードPDが、半導体層51とは別に設けられているので、量子効率の向上を考慮して半導体層51を厚くする必要が無い。半導体層51を薄くすることができるので、画素間分離部61を深く形成する必要がなくなり、画素間分離部61の形成が容易になる。また、画素間分離部61は比較的浅くても隣接画素への入射光の漏れを効率的に抑制し、クロストークを効果的に抑制することができる。これにより、SNRを向上させ、解像度を改善することができる。
【0103】
また、フォトダイオードPDには、配線MbiasおよびビアVbiasを介してバイアス電圧が印加されている。これにより、フォトダイオードPDにおいて光電変換された電荷は、不純物層52に容易に取り込まれ、転送トランジスタTRG1、TRG2を介して浮遊拡散領域FD1、FD2へ素早く転送される。即ち、本実施形態によれば、フォトダイオードPDから浮遊拡散領域FD1、FD2への電荷の転送速度を高めることができる。
【0104】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態による画素10の構成例を示す断面図である。第2実施形態による画素10は、金属層65をさらに備えている。金属層65には、導電性かつ光を反射する金属材料が用いられ、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)等の金属材料が用いられる。金属層65は、フォトダイオードPDと半導体層51との間の接触部以外において、フォトダイオードPDの周囲を被覆している。即ち、金属層65は、フォトダイオードPDの上面以外の、底面および4方の側面を被覆しており、方形状の器形の形状を有する。また、金属層65は、フォトダイオードPDとビアVbiasまたは配線Mbiasとの間に設けられており、フォトダイオードPDと配線Mbiasとの間を電気的に接続する電極としても機能する。
【0105】
金属層65は、フォトダイオードPDに入射した光をフォトダイオードPD内で反射させ、フォトダイオードPD内における光路をできるだけ長くする。これにより、フォトダイオードPDにおける量子効率を上昇させることができる。即ち、金属層65は、フォトダイオードPD内における光閉じ込め効果を有し、量子効率(感度)を上昇させることができる。
【0106】
また、金属層65は、フォトダイオードPDの電極としても機能する。従って、配線Mbiasからのバイアス電圧は、金属層65を介してフォトダイオードPDの底面および側面の全体からフォトダイオードPDへ印加される。これにより、フォトダイオードPDの電荷が不純物層52へさらに容易に取り込まれ、電荷の転送速度もさらに高速化される。
【0107】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。従って、第2実施形態は、第1実施形態の構成をさらに有する。
【0108】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態による画素10の構成例を示す断面図である。第3実施形態による画素10は、金属層65の内部の底面に、フォトダイオードPDに向かって突出する突出部65aを有する。突出部65aは、金属層65と同じ材料で形成されている。また、突出部65aは、金属層65と一体形成されていてもよい。
【0109】
突出部65aは、フォトダイオードPDに入射した光をフォトダイオードPD内でさらに乱反射させ、フォトダイオードPD内における光路をさらに長くすることができる。これにより、フォトダイオードPDにおける量子効率をさらに上昇させることができる。即ち、突出部65aは、フォトダイオードPD内における金属層65の光閉じ込め効果をさらに向上させ、感度を上昇させることができる。
【0110】
第3実施形態では、突出部65aが金属層65の内部の底面に設けられているが、窪み部(図示せず)が金属層65の内部の底面に設けられていても同様の効果を得ることができる。即ち、金属層65の内部の底面には、フォトダイオードPDに向かって突出または窪む凹凸部は、規則的に設けられていてもよく、あるいは、不規則に設けられていてもよい。また、フォトダイオードPDに向かって突出または窪む凹凸部は、金属層65の底面だけでなく、内側面にも設けられていてもよい。
【0111】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態による画素10の構成例を示す断面図である。第4実施形態によれば、ゲート電極TGR1g、TGR2gが表面F1から半導体層51内に埋め込まれ、縦型ゲート構造となっている。これにより、転送トランジスタTRG1、TRG2が低いゲート電圧でも導通状態となることができ、電荷の転送速度をさらに高めることができる。
【0112】
また、ゲート電極TGR1g、TGR2gは、不純物層52またはフォトダイオードPDと浮遊拡散領域FD1、FD2との間に設けられるので、入射光が浮遊拡散領域FD1、FD2へ直接進入することを抑制することができる。これにより、PLS(Parasitic Light Sensitivity)を低減することができる。
【0113】
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態による画素10の構成例を示す断面図である。第5実施形態による画素10は、フォトダイオードPDと半導体層51との間に設けられ、フォトダイオードPDの材料と半導体層51の材料とが混合された混合層66をさらに備えている。例えば、半導体層51がシリコンであり、フォトダイオードPDがゲルマニウムである場合、混合層66は、SiGe層となる。このように、フォトダイオードPDと半導体層51との間に混合層66が設けられていても、本開示の効果は失われない。第5実施形態によれば、混合層66としてSiGe層が設けられている場合、ゲルマニウム(Ge)の添加比率を制御することにより、フォトダイオードPDと半導体層51との間のバンドギャップを連続的に変化させることができるという効果がある。
【0114】
(第6実施形態)
図11は、第6実施形態による画素10の構成例を示す断面図である。第6実施形態による画素10は、フォトダイオードPDの上部が半導体層51の表面F1から不純物層52へ埋め込まれている。フォトダイオードPDの上部が不純物層52へ埋め込まれていることによって、電荷がフォトダイオードPDから不純物層52へ取り込まれ易くなる。これにより、電荷の転送速度がさらに高速化される。
【0115】
(第7実施形態)
図12は、第7実施形態による画素10の構成例を示す断面図である。第7実施形態による画素10は、フォトダイオードPD内に設けられた高濃度不純物層67を備えている。高濃度不純物層67は、配線Mbias、ビアVbiasまたは金属層65とフォトダイオードPDとの間の領域に設けられ、フォトダイオードPDよりも高濃度の不純物を含む。高濃度不純物層67は、配線Mbias、ビアVbiasまたは金属層65が接触するフォトダイオードPDの部分(例えば、ビアVbiasのコンタクト部分)でよい。高濃度不純物層67に含まれる不純物は、高濃度のP型不純物(例えば、ボロン等)でよい。高濃度不純物層67によって、配線MbiasとフォトダイオードPDとの接触抵抗が低下し、電荷の転送速度がさらに高速化される。
【0116】
(第8実施形態)
図13は、第8実施形態による受光素子1の構成例を示す断面図である。第8実施形態による受光素子1は、画素10の半導体チップと、他の周辺回路の半導体チップ20とを備えている。半導体チップ20は、例えば、画素10のコントローラでよく、半導体基板上に設けられたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ロジック回路等を有する。画素10の半導体チップと半導体チップ20とは、配線同士で直接接合(Cu-Cu接合)されており、1つのデバイス(モジュール)として機能する。このように、受光素子1は、複数の半導体チップを積層したモジュールであってもよい。
【0117】
尚、図示しないが、上記実施形態において、第1電圧印加部の一例として、ゲート電極TGR1gが開示されている。しかし、第1電圧印加部は、表面F1において浮遊拡散領域FD1に隣接し、浮遊拡散領域FD1に対して逆導電型の第1不純物層(図示せず)であってもよい。第2電圧印加部の一例として、ゲート電極TGR2gが開示されている。しかし、第2電圧印加部は、表面F1において浮遊拡散領域FD2に隣接し、浮遊拡散領域FD2に対して逆導電型の第2不純物層(図示せず)であってもよい。この場合、第1電圧印加部としての第1不純物層には、第1面側に設けられた第2配線(例えば、配線M41)が電気的に接続される。第2電圧印加部としての第2不純物層には、第1面側に設けられた第3配線(例えば、配線M42)が接続される。第1および第2不純物層に流れる電流の方向を周期的に切り替えることによって、浮遊拡散領域FD1、FD2へ電荷を振り分けることができる。これにより、上記実施形態と同様に、測距装置100は、iToF方式で距離Dを測定することができる。
【0118】
(第9実施形態)
図14は、第9実施形態による画素10の構成例を示す断面図である。第9実施形態による画素10は、半導体層51内に導波部55をさらに備えている。導波部55は、半導体層51の裏面F2から表面F1側のフォトダイオードPDへ向かって次第に細くなるように延伸している。導波部55は、不純物層52の表面近傍まで設けられているが、フォトダイオードPDまでは達していない。即ち、導波部55とフォトダイオードPDとの間には、電荷転送のために不純物層52が存在している。導波部55は、半導体層51とは異なる材料からなる。導波部55には、オンチップレンズ47と同様に、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン-アクリル共重合系樹脂、またはシロキサン系樹脂等の樹脂系材料が用いられる。また、導波部55には、低屈折率材料として、SiO
2、MgF、SiOC等でもよく、高屈折率材料として、a-Si、PolySi、SiN、Ta
2O
5、Al
2O
3、TiO
2、HfO
2、Nb
2O
25等でもよい。
【0119】
導波部55は、半導体層51との界面において入射光の少なくとも一部を反射して、フォトダイオードPDへ入射光を案内する。
【0120】
導波部55は、半導体層51の裏面F2側において、開口部OPと等しいかそれ以上の面積を有し、表面F1側において、フォトダイオードPDと等しいかそれ以下の面積を有する。即ち、導波部55は、裏面F2から表面F1へ次第に細くなるように形成されており、表面F1と裏面F2との間にある側面においてテーパー形状を有する。これにより、導波部55は、比較的大きな開口部OPからそれよりも小さなフォトダイオードPDへ入射光を案内することができる。
【0121】
導波部55が入射光をフォトダイオードPDへ案内することによって、フォトダイオードPDにおける量子効率を上昇させることができる。さらに、第9実施形態では、金属層65がフォトダイオードPDの底面および側面に設けられている。よって、導波部55および金属層65の相乗効果により、受光素子1の量子効率を飛躍的に上昇させることができる。
また、導波部55が入射光を案内することによって、フォトダイオードPDの表面F1上におけるレイアウト面積を小さくしても、フォトダイオードPDは多くの入射光を受けることができる。従って、導波部55が設けられていることによって、フォトダイオードPDは、レイアウト面積を小さくしても、高い量子効率および量子効率を維持することができる。フォトダイオードPDのレイアウト面積が小さいと、フォトダイオードPDと半導体層51との接触面積も小さくなるので、暗電流も抑制することができる。即ち、第9実施形態による画素10は、フォトダイオードPDの量子効率を維持しつつ暗電流を抑制し、高感度および高解像度の両立を図ることができる。
【0122】
導波部55の屈折率は、半導体層51の屈折率よりも高いことが好ましい。この場合、導波部55内の入射光が、導波部55と半導体層51との界面において全反射可能となるからである。好ましくは、導波部55の側面のテーパーの角度θtは、導波部55と半導体層51との界面の臨界角より小さい。これにより、裏面F2に対して垂直方向から入射する光が導波部55と半導体層51との界面において全反射し易くなるからである。
【0123】
また、導波部55の屈折率が半導体層51の屈折率以下である場合、金属膜56を導波部55の側面に設ければよい。
図15は、導波部55の側面に金属膜56を備えた受光素子1の断面図である。金属膜56には、光を反射する金属材料を用いればよく、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)等の金属材料が用いられる。導波部55が低屈折率であっても、金属膜56が導波部55内の入射光を反射するので、導波部55は入射光をフォトダイオードPDへ案内することができる。
【0124】
反射防止膜43が設けられていない場合、導波部55の屈折率は、オンチップレンズ47および平坦化膜46の屈折率に対して低い方が好ましい。これにより、オンチップレンズ47または平坦化膜46と導波部55との界面において、入射光が反射されず、導波部55へ入射することができる。
【0125】
上記第1~第9実施形態は、そのうち少なくとも2形態を互いに組み合わせてもよい。
【0126】
次に、本開示による画素10の平面レイアウトの具体例について説明する。
【0127】
図16は、本開示による画素10のレイアウトの一例を示した平面図である。
図16では、不純物層52の中心部に、1つのフォトダイオードPDが設けられている。フォトダイオードPDの中心部にビアVbiasが設けられている。
【0128】
図17は、本開示による画素10のレイアウトの他の例を示した平面図である。
図17では、不純物層52の中心部に、複数のフォトダイオードPDが分割して設けられている。各フォトダイオードPDの部分の中心部にビアVbiasが設けられている。従って、ビアVbiasは、フォトダイオードPDと同数だけ設けられている。
図17において、フォトダイオードPDは、4つに分割されているが、3つ以下に分割されてもよく、5つ以上に分割されても構わない。
【0129】
フォトダイオードPD間のスリットの幅は、照射光の波長よりも狭くすることが好ましい。これにより、スリットの幅を波長に対して最適化することにより、共振効果を得て光電変換を促進させる効果が期待できる。
【0130】
<電子機器の構成例>
受光素子1は、測距装置に適用できる他、例えば、測距機能を備えるデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置、測距機能を備えたスマートフォンといった各種の電子機器に適用することができる。
【0131】
図18は、本技術を適用した電子機器としての、スマートフォンの構成例を示すブロック図である。
【0132】
スマートフォン601は、
図18に示されるように、測距モジュール602、撮像装置603、ディスプレイ604、スピーカ605、マイクロフォン606、通信モジュール607、センサユニット608、タッチパネル609、および制御ユニット610が、バス611を介して接続されて構成される。また、制御ユニット610では、CPUがプログラムを実行することによって、アプリケーション処理部621およびオペレーションシステム処理部622としての機能を備える。
【0133】
測距モジュール602には、測距装置100が適用され得る。例えば、測距モジュール602は、スマートフォン601の前面に配置され、スマートフォン601のユーザを対象とした測距を行うことにより、そのユーザの顔や手、指などの表面形状のデプス値を測距結果として出力することができる。
【0134】
撮像装置603は、スマートフォン601の前面に配置され、スマートフォン601のユーザを被写体とした撮像を行うことにより、そのユーザが写された画像を取得する。なお、図示しないが、スマートフォン601の背面にも撮像装置603が配置された構成としてもよい。
【0135】
ディスプレイ604は、アプリケーション処理部621およびオペレーションシステム処理部622による処理を行うための操作画面や、撮像装置603が撮像した画像などを表示する。スピーカ605およびマイクロフォン606は、例えば、スマートフォン601により通話を行う際に、相手側の音声の出力、および、ユーザの音声の収音を行う。
【0136】
通信モジュール607は、インターネット、公衆電話回線網、所謂4G回線や5G回線等の無線移動体用の広域通信網、WAN(WideAreaNetwork)、LAN(LocalAreaNetwork)等の通信網を介したネットワーク通信、Bluetooth(登録商標)、NFC(NearFieldCommunication)等の近距離無線通信などを行う。センサユニット608は、速度や加速度、近接などをセンシングし、タッチパネル609は、ディスプレイ604に表示されている操作画面に対するユーザによるタッチ操作を取得する。
【0137】
アプリケーション処理部621は、スマートフォン601によって様々なサービスを提供するための処理を行う。例えば、アプリケーション処理部621は、測距モジュール602から供給されるデプス値に基づいて、ユーザの表情をバーチャルに再現したコンピュータグラフィックスによる顔を作成し、ディスプレイ604に表示する処理を行うことができる。また、アプリケーション処理部621は、測距モジュール602から供給されるデプス値に基づいて、例えば、任意の立体的な物体の三次元形状データを作成する処理を行うことができる。
【0138】
オペレーションシステム処理部622は、スマートフォン601の基本的な機能および動作を実現するための処理を行う。例えば、オペレーションシステム処理部622は、測距モジュール602から供給されるデプス値に基づいて、ユーザの顔を認証し、スマートフォン601のロックを解除する処理を行うことができる。また、オペレーションシステム処理部622は、測距モジュール602から供給されるデプス値に基づいて、例えば、ユーザのジェスチャを認識する処理を行い、そのジェスチャに従った各種の操作を入力する処理を行うことができる。
【0139】
このように構成されているスマートフォン601では、測距モジュール602として、上述した測距装置100を適用することで、例えば、所定の物体までの距離を測定して表示したり、所定の物体の三次元形状データを作成して表示する処理などを行うことができる。
【0140】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0141】
図19は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0142】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図19に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0143】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0144】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0145】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、上記測距装置100を備え、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0146】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0147】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0148】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(AdvancedDriverAssistanceSystem)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0149】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0150】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0151】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図19の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0152】
図20は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0153】
図20では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0154】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0155】
なお、
図20には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0156】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0157】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0158】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0159】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0160】
本技術に係る実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。なお、本技術は、以下のような構成をとることができる。
(1)
第1面および該第1面に対して反対側にある第2面を有する半導体層と、
前記第2面側に設けられたレンズと、
前記第1面側において前記半導体層内に設けられた第1および第2電荷蓄積部と、
前記第1面側において前記半導体層と接触し、該半導体層と異なる材料からなる光電変換部と、
前記第1および第2電荷蓄積部と前記光電変換部との間の前記半導体層に電圧を印加する第1および第2電圧印加部と、
前記第1面側に設けられ、前記光電変換部に電気的に接続された第1配線と、を備えた測距装置。
(2)
前記光電変換部は、前記半導体層の前記第2面の上方から見たときに、前記レンズから前記半導体層へ入射光を通過させる開口部よりも面積において小さい、(1)に記載の測距装置。
(3)
前記第1面側において前記半導体層内に設けられ、前記光電変換部と接触する不純物層をさらに備え、
前記光電変換部は、前記半導体層の前記第2面の上方から見たときに、前記不純物層よりも面積において小さい、(1)または(2)に記載の測距装置。
(4)
前記半導体層には、シリコンが用いられており、
前記光電変換部には、ゲルマニウム、InGaAs、CIGS(CopperIndiumGalliumDiSelenide)、Qdot(Quantumdot)が用いられている、(1)から(3)のいずれか一項に記載の測距装置。
(5)
導電性かつ光を反射する材料からなり、前記光電変換部と前記半導体層との間の接触部以外において該光電変換部の周囲を被覆している金属層をさらに備えた、(1)から(4)のいずれか一項に記載の測距装置。
(6)
前記金属層は、前記光電変換部と前記第1配線との間を電気的に接続する電極である、(5)に記載の測距装置。
(7)
前記金属層は、前記光電変換部に向かって突出または窪む凹凸部を有する、(5)または(6)に記載の測距装置。
(8)
前記光電変換部と前記半導体層との間に設けられ、前記光電変換部の材料と前記半導体層の材料とが混合された混合層をさらに備える、(1)から(7)のいずれか一項に記載の測距装置。
(9)
前記第1配線と電気的に接続する前記光電変換部のコンタクト部分に設けられ、前記光電変換部よりも不純物濃度の高い高濃度不純物層をさらに備える、(1)から(8)のいずれか一項に記載の測距装置。
(10)
前記第1電圧印加部は、前記第1電荷蓄積部と前記光電変換部との間の前記第1面上に設けられ、前記半導体層から絶縁された第1ゲート電極であり、
前記第2電圧印加部は、前記第2電荷蓄積部と前記光電変換部との間の前記第1面上に設けられ、前記半導体層から絶縁された第2ゲート電極であり、
前記第1面側に設けられ、前記第1電圧印加部に接続された第2配線と、
前記第1面側に設けられ、前記第2電圧印加部に接続された第3配線とをさらに備える、(1)から(9)のいずれか一項に記載の測距装置。
(11)
前記第1および第2電圧印加部は、前記半導体層の前記第1面上に絶縁膜を介して設けられている、(10)に記載の測距装置。
(12)
前記第1および第2電圧印加部は、前記半導体層の前記第1面から該半導体層内へ埋め込まれている、(10)に記載の測距装置。
(13)
前記第1電圧印加部は、前記第1面において前記第1電荷蓄積部に隣接し、該第1電荷蓄積部に対して導電型の異なる第1不純物層であり、
前記第2電圧印加部は、前記第1面において前記第2電荷蓄積部に隣接し、該第2電荷蓄積部に対して導電型の異なる第2不純物層であり、
前記第1面側に設けられ、前記第1電圧印加部に接続された第2配線と、
前記第1面側に設けられ、前記第2電圧印加部に接続された第3配線とをさらに備える、(1)から(9)のいずれか一項に記載の測距装置。
(14)
前記半導体層内に前記第2面から前記光電変換部へ延び、前記半導体層と異なる材料からなる導波部をさらに備える、(1)から(13)のいずれか一項に記載の測距装置。
(15)
前記導波部は、前記第2面側において、前記レンズから前記半導体層へ入射光を通過させる開口部と等しいかそれ以上の面積を有し、前記第1面側において、前記光電変換部と等しいかそれ以下の面積を有し、前記第1面と前記第2面との間にある側面がテーパー形状を有する、(14)に記載の測距装置。
(16)
前記導波部の屈折率は、前記半導体層の屈折率よりも高い、(14)または(15)に記載の測距装置。
(17)
前記導波部の屈折率は、前記レンズの屈折率よりも低い、(16)に記載の測距装置。
(18)
前記導波部の側面に設けられた金属膜をさらに備える、(14)から(17)のいずれか一項に記載の測距装置。
【0161】
尚、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0162】
100 測距装置、1 受光素子、10 画素、PD フォトダイオード、TRG1、TRG2 転送トランジスタ、FD1、FD2 浮遊拡散領域、FDL1、FDL2 付加容量、51 半導体層、47 オンチップレンズ、43 反射防止膜、45 遮光膜、61 画素間分離部、52 不純物層、V1~V4,Vbias ビア、M1~M4,Mbias 配線、65 金属層、55 導波部