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特許7645889溶血を低減させるための採血アダプタおよび関連デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】溶血を低減させるための採血アダプタおよび関連デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/153 20060101AFI20250307BHJP
【FI】
A61B5/153
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022545017
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 US2021013108
(87)【国際公開番号】W WO2021150399
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】62/965,674
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/146,388
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】イーピン マー
【審査官】渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-500540(JP,A)
【文献】特開2011-055916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0283334(US,A1)
【文献】特開2018-167063(JP,A)
【文献】特表2015-528328(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0140240(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0042094(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0324455(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1293162(EP,A2)
【文献】国際公開第2013/028759(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 ~ 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリに結合するように構成された遠位ルアーコネクタを備えた遠位端と、
採血デバイスに結合するように構成された近位ルアーコネクタを備えた近位端と、
前記遠位端と前記近位端との間に配置された中間部分であって、前記遠位ルアーコネクタを前記近位ルアーコネクタに接続し、前記中間部分は、前記遠位ルアーコネクタおよび前記近位ルアーコネクタと一体的に形成され、前記遠位端、前記中間部分、および前記近位端を通って延在する管腔を備えた単一の一体型アダプタ本体を提供する中間部分と、
前記中間部分内の前記管腔内に配置されたチューブであって、前記チューブは前記遠位端と前記近位端との間に配置された流体経路を画定し前記流体経路は、非線形部分を含み、前記非線形部分を流れる流体は直線状に流れることができず、前記非線形部分は、線形流体経路と比較して、前記遠位端と前記近位端との間の前記流体経路の長さを増加させるように構成された、流体経路と、
を備えた、アダプタ。
【請求項2】
前記非線形部分がコイル形状を形成する、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記非線形部分がS字形状を形成する、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記遠位ルアーコネクタが雄ルアーねじコネクタを備えた、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項5】
前記遠位ルアーコネクタが雄ルアースリップコネクタを備えた、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項6】
前記遠位ルアーコネクタがブラントカニューレを備えた、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項7】
前記近位ルアーコネクタが雌ルアーコネクタを備えた、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項8】
採血デバイスと、
アダプタであって、
カテーテルアセンブリに結合するように構成された遠位ルアーコネクタを備えた遠位端と、
前記採血デバイスに結合された近位ルアーコネクタを備えた近位端と、
前記遠位端と前記近位端との間に配置された中間部分であって、前記遠位ルアーコネクタを前記近位ルアーコネクタに接続し、前記中間部分は、前記遠位ルアーコネクタおよび前記近位ルアーコネクタと一体的に形成され、前記遠位端、前記中間部分、および前記近位端を通って延在する管腔を備えた単一の一体型アダプタ本体を提供する中間部分と、
前記中間部分内の前記管腔内に配置されたチューブであって、前記チューブは前記遠位端と前記近位端との間に配置された流体経路を画定し前記流体経路は、非線形部分を含み、前記非線形部分は、前記非線形部分の長さが前記遠位端と前記近位端の間の最短距離よりも長くなるようにするように構成された流体経路と、
を備えたアダプタと、
を備えた、採血セット。
【請求項9】
前記採血デバイスが注射器を備えた、請求項に記載の採血セット
【請求項10】
前記採血デバイスが、真空採血チューブのシールを貫通するように構成された針を備えた、請求項に記載の採血セット
【請求項11】
前記採血デバイスは、前記針の周りに延在する円筒形のホルダーをさらに備えた、請求項10に記載の採血セット
【請求項12】
前記非線形部分がコイル形状を形成する、請求項に記載の採血セット
【請求項13】
前記非線形部分がS字形状を形成する、請求項に記載の採血セット
【請求項14】
前記遠位ルアーコネクタは、雄ルアーねじコネクタを備えた、請求項に記載の採血セット
【請求項15】
前記遠位ルアーコネクタが雄ルアースリップコネクタを備えた、請求項に記載の採血セット
【請求項16】
前記遠位ルアーコネクタがブラントカニューレを備えた、請求項に記載の採血セット
【請求項17】
記近位ルアーコネクタが雌ルアーコネクタを備えた、請求項に記載の採血セット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カテーテルは、一般的にさまざまな輸液治療に用いられる。例えば、カテーテルは、生理食塩水、さまざまな薬剤、および総合的な非経口栄養のような流体を患者へと注入するために使用され得る。また、カテーテルは、患者から採血するためにも使用され得る。
【背景技術】
【0002】
カテーテルの一般的なタイプは、オーバーニードル末梢静脈(「IV」)カテーテルである。その名前が示すように、オーバーニードルカテーテルは、鋭い遠位先端を有する導入針の上に取り付けられ得る。カテーテルアセンブリは、カテーテルハブを含み得、カテーテルは、カテーテルハブから遠位に延び、導入針は、カテーテルを通って延在する。カテーテルおよび導入針は、導入針の遠位先端が、カテーテルの遠位先端を越えて延在し、針の斜角(bevel)を患者の皮膚から離れる方向に向くように組み立てられ得る。カテーテルおよび導入針は、一般的に、皮膚を通して患者の血管系へと浅い角度で挿入される。
【0003】
血管内の導入針および/またはカテーテルの適切な配置を検証すべく、臨床医は、一般的に、カテーテルアセンブリのフラッシュバックチャンバー内に血液の「フラッシュバック」があることを確認する。針の配置が一度確認されると、臨床医は、血管系内の流れを一時的に塞いで、針を除去し、後の採血または輸液のためにカテーテルを定位置に残し得る。
【0004】
患者からの採血または採血試料の採取のために、採血容器が使用され得る。採血容器は、注射器を含み得る。代替的に、採血容器は、一端にゴム栓を有する試験管を含み得る。いくつかの場合、試験管内の圧力が周囲圧力よりも低くなるように、試験管から空気の全部または一部が除去される。このような採血容器は、内部真空または真空チューブと呼ばれることが多い。一般的に使用される採血容器は、BectonDickinson&Companyから入手可能なVACUTAINER(登録商標)採血チューブである。
【0005】
採血容器は、カテーテルに結合され得る。採血容器がカテーテルに結合されるとき、静脈内の圧力は、採血容器内の圧力よりも高く、血液を採血容器内に押し込むため、採血容器を血液で満たす。採血容器内の真空は、採血容器内の圧力が静脈内の圧力と等しくなり、血液の流れが停止するまで、採血容器が満たされるにつれて減少する。
【0006】
残念ながら、血液が採血容器に引き込まれると、赤血球は高いせん断応力状態にあり、静脈と採血容器との間の高い初期圧力差により溶血しやすい。溶血は、血液サンプルの拒絶および廃棄をもたらし得る。高い初期圧力差はまた、カテーテル先端の崩壊、静脈の崩壊、または血液を採血容器の充填から防止または制限する他の合併症をもたらすかもしれない。採血容器が充填されるにつれて、静脈と採血容器との間の圧力差は減少し、採血容器の血液充填は著しく遅くなる。
【0007】
本明細書で主張される主題は、任意の欠点を解決する実施形態や、上記のような環境でのみ動作する実施形態に限定されるものではない。むしろ、この背景技術は、本明細書で説明されるいくつかの実施例を実行し得る技術領域の一例を示すために提供されるにすぎない。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、一般に、血管アクセスデバイスを使用した採血中の溶血の可能性を低減するように構成されたアダプタ、ならびに関連する採血セット、システム、および方法に関する。いくつかの実施形態では、アダプタは、カテーテルアセンブリに結合するように構成され得る遠位端を含み得る。いくつかの実施形態では、アダプタは、採血デバイスに結合するように構成された近位コネクタを含み得る近位端を含み得る。いくつかの実施形態では、アダプタは、遠位端と近位端との間に配置された流体経路を含み得、流体経路は、非線形部分を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、非線形部分は、コイル形状、S形状、または別の適切な形状を形成し得る。いくつかの実施形態では、非線形部分は、チューブを通って延在し得る。いくつかの実施形態では、アダプタは、アダプタの遠位端及びアダプタの近位端を通って延在し得る管腔を含み得る。いくつかの実施形態では、チューブは管腔内に配置され得る。いくつかの実施形態では、アダプタは、遠位端と近位端との間に配置された中間部分を含み得る。いくつかの実施形態では、中間部分は、チューブを取り囲み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、遠位コネクタは、雄ルアーねじコネクタ、雄ルアースリップコネクタ、ブラント(blunt)カニューレ、または別の適切なコネクタを含み得る。いくつかの実施形態では、近位コネクタは雌ルアーコネクタを含み得る。いくつかの実施形態では、近位端は、採血デバイスに結合され得る。例えば、近位端は採血デバイスと一体化され得、または単一ユニットとして採血デバイスとモノリシックに形成され得る。別の例として、近位端は採血デバイスの雄ルアーコネクタと結合され得る雌ルアーコネクタを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、採血デバイスは注射器を含み得る。いくつかの実施形態では、採血デバイスは、真空採血チューブのシールを貫通するように構成された針を含み得る。これら及び他の実施形態では、採血デバイスは、針の周りに延在し得、真空採血チューブを受け入れるように構成され得る円筒形ホルダーを含み得る。
【0012】
前述の一般的な説明と後述の詳細な説明は例示であり、説明に過ぎず、限定するものではないことを理解されたい。様々な実施形態は、図面に示された構成(arrangements)及び手段(instrumentality)に限定されないことが理解されるべきである。また、実施形態は、組み合わされてよいこと、又は、他の実施形態が用いられてよいこと、及び、そのように特許請求されていない限り、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてよいことが理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に記載および説明される。
【0014】
図1A図1Aは、いくつかの実施形態による、例示的なアダプタの上方斜視図である。
図1B図1Bは、いくつかの実施形態による、図1Aのアダプタの断面図である。
図2A図2Aは、いくつかの実施形態による、例示的な採血デバイスと統合された図1Aのアダプタの上面斜視図である。
図2B図2Bは、いくつかの実施形態による、図2Aの採血デバイスと統合された図1Aのアダプタの断面図である。
図2C図2Cは、いくつかの実施形態による、別の例示的な採血デバイスと統合された図1Aのアダプタの上面斜視図である。
図2D図2Dは、いくつかの実施形態による、別の例示的な採血デバイスと統合された図1Aのアダプタの上面斜視図である。
図3A図3Aは、いくつかの実施形態による、別の例示的なアダプタの上面斜視図である。
図3B図3Bは、いくつかの実施形態による、図3Aのアダプタの断面図である。
図4A図4Aは、いくつかの実施形態による、別の例示的なアダプタの上面斜視図である。
図4B図4Bは、いくつかの実施形態による、図4Aのアダプタの断面図である。
図5図5は、いくつかの実施形態による、別の例示的なアダプタの断面図である。
図6A図6Aは、いくつかの実施形態による、別の例示的なアダプタの分解図である。
図6B図6Bは、いくつかの実施形態による、例示的な外側構成要素の断面図である。
図6C図6Cは、いくつかの実施形態による、図6Aのアダプタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで図1A-1Bを参照すると、いくつかの実施形態による、アダプタ10が示される。いくつかの実施形態では、アダプタ10は、血管アクセスデバイスを使用して採血中に溶血する可能性を低減するように構成され得る。いくつかの実施形態では、血管アクセスデバイスは、カテーテルアセンブリを含み得る。いくつかの実施形態では、アダプタ10は、遠位端12を含み得、遠位端12は、カテーテルアセンブリに結合するように構成された遠位コネクタ14を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位コネクタ14は、図1A-1Bに示すように、雄ルアーねじコネクタ、または別の適切なコネクタを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリはまたカテーテルハブを含み得、カテーテルハブは、遠位端、近位端、および遠位端と近位端とを通って延在する内腔を含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、カテーテルハブ内に固定され得、カテーテルハブの遠位端から遠位に延在し得るカテーテルを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルは、末梢静脈内カテーテル(PIVC)、末梢挿入中心カテーテル(PICC)、または正中カテーテルを含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、任意の適切なカテーテルアセンブリを含み得るか、またはそれに対応し得る。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは統合され得、カテーテルハブのサイドポートから延び得、それと統合され得る延長チューブを含む。統合されたカテーテルアセンブリの非限定的な例は、BectonDickinsonandCompanyofFranklinLakes,NewJerseyから入手可能なBD NEXIVA(商標)クローズドIVカテーテルシステムである。いくつかの実施形態では、延長チューブの近位端は、例えば、Yアダプタなどの別のアダプタに結合され得る。いくつかの実施形態では、アダプタ10は、他のアダプタに結合するように構成され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは統合され得ず、延長チューブを含み得ない。これらおよび他の実施形態では、アダプタ10は、カテーテルハブの近位端またはカテーテルアセンブリの別の適切な部分に結合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、アダプタ10は、カテーテルアダプタに直接結合され得、延長チューブを排除し、コンパクトなカテーテルシステムを提供する。
【0019】
いくつかの実施形態では、アダプタ10は、採血デバイスに結合するように構成された近位コネクタ18を含み得る近位端16を含み得る。いくつかの実施形態では、近位コネクタ18は、雌ルアーコネクタまたは別の適切なコネクタを含み得る。いくつかの実施形態では、アダプタ10は、遠位端12と近位端16との間に配置された流体経路20を含み得る。いくつかの実施形態では、流体経路20内の流体は、遠位端12および/または近位端16を通って流れ得る。いくつかの実施形態では、流体経路20内の流体は、近位端16内に配置された隔壁21の開口部に応答して、近位端16を通って流れ得る。いくつかの実施形態では、隔壁21は、採血デバイスをアダプタ10の近位端16に結合することに応答して開き得る。いくつかの実施形態では、隔壁21は、任意の適切な隔壁を含み得、示されている隔壁21とは異なり得る。いくつかの実施形態では、隔壁21は、遠位方向に圧縮されると開き得るアコーディオン式の隔壁21を含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、流体経路20は、非線形部分22を含み得る。血液細胞は、流体経路20を通って流れるときにせん断応力を経験し得る。最大せん断応力は、血液細胞の壁または壁せん断応力に沿う。血液細胞の壁せん断応力は、血液細胞に対する機械的損傷の主な原因と考えられる。いくつかの実施形態では、非線形部分は、圧力差を分配および赤血球によって経験されるせん断応力を低減するために、血管アクセスシステム内の流量抵抗の増加を促進し得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、非線形部分22は、コイル形状、S形状、または別の適切な形状を形成し得る。図1A-1Bに示すように、いくつかの実施形態では、非線形部分22は、螺旋を含み得るコイル形状を含み得る。いくつかの実施形態では、非線形部分を流れる流体は、直線状に流れ得ない。いくつかの実施形態では、非線形部分22は、アダプタ10を通る流体経路20の長さを増加させ得、それによって、アダプタ10内の流体抵抗を増加させ、血流を減少させ得る。これらの実施形態では、採血中の溶血のリスクは低減され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、アダプタ10の流体経路20の長さは、カテーテルのゲージおよび/または長さ、カテーテルアセンブリ構成の構成、または臨床セットアップのうちの1つまたは複数に基づいて選択され得る。いくつかの実施形態では、流体経路20は、長さLを含み得る。いくつかの実施形態では、長さLは、流体経路20の遠位端から流体経路20の近位端まで延び得る。一例として、長さLは、流体経路20の遠位端24から流体経路20の近位端26まで延在し得る。別の例として、長さLは、チューブ28の遠位端からチューブ28の近位端まで延在し得る。いくつかの実施形態では、長さLは、アダプタ10の長さまたは長さ全体に対応し得る。いくつかの実施形態では、流体経路20は、アダプタ10の最も遠位の部分からアダプタ10の最も近位の部分まで、アダプタ10の全長に沿って延在し得る。いくつかの実施形態では、流体経路20は、内径Dを含み得る。いくつかの実施形態では、内径Dは、長さLに沿って一定であり得る。
【0023】
チューブ状であり得る流体経路20内の流体の流れは、ポアズイユの方程式を使用して分析することができる。
【0024】
【数1】
【0025】
ここで、ΔPは流体経路20の長さにわたる圧力勾配の変化であり、DおよびLはそれぞれ流体経路20の内径および長さであり、μは流体の粘度であり、Rf=128μL/(πD^4)は流体抵抗である。μは流体の粘度であり、延長チューブのジオメトリの一部ではないため、ジオメトリ係数Gfは、Rf(流体抵抗)がRf=(128μ/π)Gfであり、Gf=L/D^4となるように画定される。
【0026】
いくつかの実施形態では、流体経路20は、長さ(L1、L2、L3)および内径(D1、D2、D3)を有する複数のセクションを有し得、幾何学的因子は以下である。
【0027】
【数2】
【0028】
いくつかの実施形態では、流体経路20は、流体経路20の長さにわたって変化する内径を有し得、幾何学的因子は以下である。
【0029】
【数3】
【0030】
いくつかの実施形態では、流体経路20は、円形ではない断面を有し得、または複雑な内径プロファイルを有し得る。次いで、既知の粘度(μ)の流体を使用して、特定の圧力(ΔP)での流量(Q)を測定することにより、幾何学的係数を決定することができる。
【0031】
【数4】
【0032】
流体経路20のGf値は、各カテーテルゲージの最大せん断応力を、以前は採血のためのゴールドスタンダードと見なされていたBD 21G VACUTAINER(登録商標)UltraTouch(商標)プッシュボタン採血セット(ニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton,Dickinson&Companyから入手可能)の最大せん断応力と同一またはそれ未満であるように減少させるように選択され得る。いくつかの実施形態では、Gfは、18Gカテーテルが使用される場合、3.83E+06(1/立方インチ)以上であり得、これは、壁せん断応力を低減して溶血を低減し得る。いくつかの実施形態では、Gfは、20Gのカテーテルを使用する場合、3.27E+06(1/立方インチ)以上であり得、これは、壁せん断応力を低減して溶血を低減し得る。いくつかの実施形態では、Gfは、22Gのカテーテルが使用される場合、3.33E+06(1/立方インチ)以上であり得、これは、壁せん断応力を低減して溶血を低減し得る。いくつかの実施形態では、Gfは、24Gのカテーテルを使用する場合、1.50E+07(1/立方インチ)以上であり得、これは、壁せん断応力を低減して溶血を低減し得る。いくつかの実施形態では、Gfは、別の値を含み得る。いくつかの実施形態では、流体経路のGf値は、各カテーテルゲージの最大せん断応力を、BD 25G VACUTAINER(登録商標)UltraTouch(商標)プッシュボタン採血セット(ニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton,Dickinson&Companyから入手可能)の最大せん断応力と同一またはそれ未満であるように低減させるように選択され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、18Gのカテーテルを使用する場合、Gfは、3.83E+06(1/立方インチ)プラスまたはマイナス10%、プラスまたはマイナス25%、プラスまたはマイナス50%、またはプラスまたはマイナス75%に等しくあり得、これは壁せん断応力を低減して溶血を低減し得る。いくつかの実施形態では、20Gのカテーテルを使用する場合、Gfは、3.27E+06(1/立方インチ)プラスまたはマイナス10%、プラスまたはマイナス25%、プラスまたはマイナス50%、またはプラスまたはマイナス75%に等しくあり得、これは壁せん断応力を低減して溶血を低減し得る。いくつかの実施形態では、22Gのカテーテルを使用する場合、Gfは、3.33E+06(1/立方インチ)プラスまたはマイナス10%、プラスまたはマイナス25%、プラスまたはマイナス50%、またはプラスまたはマイナス75%に等しくあり得、これは壁のせん断応力を低減して溶血を低減する。いくつかの実施形態では、24Gのカテーテルを使用する場合、Gfは、1.50E+07(1/立方インチ)プラスまたはマイナス10%、プラスまたはマイナス25%、プラスまたはマイナス50%、またはプラスまたはマイナス75%に等しくあり得、これは壁のせん断応力を低減して溶血を低減する。いくつかの実施形態では、Gfは、カテーテルのゲージに基づいて選択され得る別の値を含み得る。いくつかの実施形態では、Gf値は、22G-18Gのカテーテルについて同じであるように選択され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、非線形部分22は、溶血のリスクを低減し得ると同時に、コンパクトなアダプタ10を促進し得る。いくつかの実施形態では、非線形部分22は、チューブ28、溝56(例えば、図6A-6Cを参照)、または別の適切な構造を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、チューブ28の遠位端および/またはチューブ28の近位端は、様々な適切な位置でアダプタ10内に固定され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、アダプタ10は、アダプタ10の遠位端12及びアダプタ10の近位端16を通って延在し得る管腔30を含み得る。いくつかの実施形態では、チューブ28は管腔30内に配置され得る。いくつかの実施形態では、アダプタ10は、遠位端12と近位端16との間に配置された中間部分32を含み得る。いくつかの実施形態では、中間部分32は、チューブ28を取り囲み得る。いくつかの実施形態では、アダプタ10はチューブ28を収容し得、アダプタ10内の開口部は遠位端12および近位端16にのみある。
【0036】
ここで図2A-2Dを参照すると、いくつかの実施形態では、近位端16は、採血デバイス34に結合され得る。例えば、近位端16は採血デバイス34と一体化され得、または単一ユニットとして採血デバイス34とモノリシックに形成され得る。別の例として、近位端16は採血デバイス34の雄ルアーコネクタと結合され得る雌ルアーコネクタを含み得る。
【0037】
図2Aに示すように、いくつかの実施形態では、採血デバイス34は、採血容器を受け入れるように構成された針38を含み得る針アセンブリ36を含み得る。これらおよび他の実施形態では、採血容器は、真空採血チューブを含み得る。いくつかの実施形態では、採血容器は、採血容器内の圧力が周囲圧力よりも低くなるように、空気の全部または一部を除去し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、針アセンブリ36は、ホルダ40に結合するように構成され得る1つまたは複数のねじを含み得、これは、概して円筒形であり得、採血容器を保持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ホルダ40は、針アセンブリ36と一体的に形成され得、または接合または別の適切な方法を介して針アセンブリ36に結合され得る。いくつかの実施形態では、ホルダ40は、針38を取り囲み得る。いくつかの実施形態では、針アセンブリ36およびホルダ40は、例えば、ニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton,Dickinson&Companyから入手可能なVACUTAINER(登録商標)LUER-LOK(商標)アクセスデバイス等のルアーロックアクセスデバイスを含むか、またはそれに対応し得る。いくつかの実施形態では、針アセンブリ36の遠位端は、近位コネクタ18と互換性のある雄ルアーコネクタを含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、針38の近位端は、エラストマーのシース(sheath)42内に包まれ得る。いくつかの実施形態では、エラストマーシース42は、開口遠位端および閉鎖近位端を含み得る。いくつかの実施形態では、採血容器34がエラストマーシース26を遠位に押すことに応答して、針38は、エラストマーシース42を貫通し得、針38は、採血容器の空洞内に挿入し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、針アセンブリ36、アダプタ10、およびカテーテルアセンブリ37(延長チューブを含み得る)のうちの1つまたは複数を含み得る血管アクセスシステムの流体経路は、採血中に血液が流れる採血経路の全体を含み得る。血液収集システムの流体経路のシステム幾何学的因子Gfsは、前述のように同様の方法で決定することができる。いくつかの実施形態では、システム幾何学的因子Gfsは、7.34E+06(1/立方インチ)以上であり得る。いくつかの実施形態では、Gfsは、別の値を含み得る。いくつかの実施形態では、システム幾何学的要因Gfsは、7.34E+06(1/立方インチ)プラスまたはマイナス10%、プラスまたはマイナス25%、プラスまたはマイナス50%、またはプラスまたはマイナス75%であり得る。いくつかの実施形態では、Gfsは、カテーテルのゲージおよび/または長さに基づいて選択され得る別の値を含み得る。いくつかの実施形態では、アダプタ10の内径は、採血のための完全な採血経路の残りの部分の最小内径と等しいか、またはそれより大きくあり得る。
【0041】
図2Cに例示されるように、いくつかの実施形態では、採血デバイス34は、押し下げ可能なプランジャを含み得る注射器35を含み得る。
【0042】
図2Dに示すように、いくつかの実施形態では、採血デバイス34は、ホルダ40を含み得ない針アセンブリ36を含み得る。
【0043】
ここで図3A-3Bを参照すると、いくつかの実施形態による、アダプタ44が示される。いくつかの実施形態では、アダプタ44は、1つまたは複数の含まれる特徴および/または動作の点で、図1A-2Dのアダプタ10と同様、または同一であり得る。いくつかの実施形態では、アダプタ10の遠位コネクタ14は、カテーテルアセンブリの一部に挿入され得るブラントカニューレ46、および/またはカテーテルアセンブリの一部上にクリップし得る1つまたは複数のアーム48を含み得る。
【0044】
ここで図4A-4Bを参照すると、いくつかの実施形態による、アダプタ48が示される。いくつかの実施形態では、アダプタ48は、1つまたは複数の含まれる機能および/または動作に関して、図1A-2Dのアダプタ10および/または図3A-3Bのアダプタ44と類似または同一であり得る。いくつかの実施形態では、アダプタ10の遠位コネクタ14は、雄ルアースリップコネクタ50を含み得る。
【0045】
ここで図5を参照すると、いくつかの実施形態による、アダプタ52が示される。いくつかの実施形態では、アダプタ52は、図1A図2Dのアダプタ10、図3A図3Bのアダプタ44、および図4A図4Bのアダプタ48のうちの1つまたは複数と、1つまたは複数の含まれる特徴および/または動作に関して類似または同一であり得る。いくつかの実施形態では、非線形部分22は、S形状54、または別の適切な形状を形成し得る。
【0046】
ここで図6A-6Cを参照すると、いくつかの実施形態による、アダプタ55が示される。いくつかの実施形態では、アダプタ55は、図1A図2Dのアダプタ10、図3A図3Bのアダプタ44、および図4A図4Bのアダプタ48、および図5のアダプタ52のうちの1つまたは複数と、1つまたは複数の含まれる特徴および/または動作に関して類似または同一であり得る。例えば、アダプタ55は、採血デバイス34に結合され得る(例えば、図2A-2Dを参照)。
【0047】
いくつかの実施形態では、流体経路20の非線形部分22は、チャネルまたは溝56を含み得る。いくつかの実施形態では、溝56は、外側構成要素60に結合され得る内側構成要素58の外側表面に配置され得る。いくつかの実施形態では、溝56は、コイルまたは螺旋形状を含み得る。いくつかの実施形態では、溝56は、溝56を通って流れる流体が、溝56の遠位端および近位端を除いて溝56から逃げないように、溝56を閉じ得る、外側構成要素60の内面に近接し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、内側構成要素58と外側構成要素60との間の接触は、内側構成要素58と外側構成要素60との間にシールを形成し得る。いくつかの実施形態では、内側構成要素58の外面は、シリコン、ゴム、プラスチック、または別の適切な材料を含み得るシール要素61を含み得る。いくつかの実施形態では、シール要素61は、コイルまたは螺旋形状を含み得、遠位近位方向に溝56からオフセットされ得る。いくつかの実施形態では、シール要素61は、流体が溝56の遠位端及び近位端を除いて、溝56から脱出するのを防止し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、内側構成要素58の外径は、内側構成要素58が外側構成要素60内に適合されるように、外側構成要素60の内径とほぼ等しいか、またはわずかに小さくあり得る。いくつかの実施形態では、外側構成要素60の内面は一般的に円筒形であり得、内側構成要素58の外面は一般的に円筒形であり得る。いくつかの実施形態では、内側構成要素58および外側構成要素60は、同心であり得る。いくつかの実施形態では、内側構成要素58及び外側構成要素60は、一体的に形成、または単一のユニットとしてモノリシックに形成され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、外側構成要素60は、遠位端12を含み得、遠位端12は、図1図3、または図4の遠位コネクタ14、または別の適切なコネクタを含み得る。いくつかの実施形態では、内側構成要素58は、近位端16を含み得、近位端16は、雌ルアーコネクタなどの近位コネクタ18、または別の適切なコネクタを含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、溝56の近位端は、溝56を近位端16の開口部63に流体的に接続し得る穴62を含み得る。同様に、いくつかの実施形態では、溝56の遠位端は、溝56を遠位端12の開口部64に流体的に接続し得る穴を含み得る。
【0052】
本明細書で記載されるすべての例及び条件付き文言は、本発明、および技術を促進するために発明者によって提供される概念を理解することの助けとなるような教育的目的を意図しており、その具体的に列挙されている例及び条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本開示の実施形態は詳細に説明されているが、開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に対する、さまざまな変更、置換、および改変がなされ得ることを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C