(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】チップコンベアおよび工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20250307BHJP
B01D 33/06 20060101ALI20250307BHJP
B01D 24/46 20060101ALI20250307BHJP
B01D 33/44 20060101ALI20250307BHJP
B01D 33/58 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
B23Q11/00 S
B23Q11/00 U
B01D33/06 A
B01D33/36
(21)【出願番号】P 2023124576
(22)【出願日】2023-07-31
【審査請求日】2024-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】北出 雄平
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-046921(JP,A)
【文献】特開2004-230298(JP,A)
【文献】特開2005-177900(JP,A)
【文献】特開2021-023849(JP,A)
【文献】特開2009-214294(JP,A)
【文献】特開2009-166004(JP,A)
【文献】特開2007-083105(JP,A)
【文献】特開2004-167608(JP,A)
【文献】特開2002-102608(JP,A)
【文献】特開2001-029706(JP,A)
【文献】特開2000-350906(JP,A)
【文献】特開2000-176215(JP,A)
【文献】特開平11-099308(JP,A)
【文献】特開平09-201740(JP,A)
【文献】特開平09-024205(JP,A)
【文献】特許第6375409(JP,B1)
【文献】特表2011-505250(JP,A)
【文献】米国特許第05328611(US,A)
【文献】中国実用新案第212188098(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0014186(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第108686410(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B01D 23/00-35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みのクーラントが貯留される筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、外側から内側へ通過した前記クーラントから異物を除去するように構成されているドラムフィルタとを備え、
前記ドラムフィルタは、
フィルタ部が形成された外周面部と、当該外周面部を支持するとともに回転駆動される少なくとも1つの端面部を有するフィルタユニットと、
前記フィルタユニットの内部に設けられ、前記フィルタ部の内側に向けて洗浄用クーラントを噴射する洗浄ユニット
と、
前記フィルタユニットの端面部と前記洗浄ユニットとの間を接続する接続構造とを含み、
前記洗浄ユニットは、
前記ドラムフィルタの軸方向に沿って設けられ、内部に前記洗浄用クーラントが充填される充填室が形成されている箱体と、
前記箱体の
平面状をなす上面部において前記充填室と連通するように設けられるノズルとを有
し、
前記接続構造は、
前記フィルタユニットの端面部に挿入されるシャフトと、
前記シャフトの前記フィルタユニットの内側に配置される端部に設けられ、当該シャフトの半径方向に広がるフランジと、
前記充填室から延在し、前記フランジに対して固定される固定用プレートと、を備えるチップコンベア。
【請求項2】
前記ドラムフィルタの回転軸は、水平方向と平行であり、
前記充填室は、前記回転軸に対して上方に偏移させて設けられている、請求項1に記載のチップコンベア。
【請求項3】
前記箱体の上面部は、前記筐体における使用済みクーラントの標準水位よりも上側に位置している、請求項1記載のチップコンベア。
【請求項4】
前記
シャフトは、前記フィルタユニットを回転可能に支持するとともに、前記軸方向の両側から前記箱体を支持するように
一対設けられている、請求項1記載のチップコンベア。
【請求項5】
前記
シャフトは、中空であり、
前記ドラムフィルタは、さらに、前記シャフト
に設けられた前記フランジおよび
前記箱体との間を接続し、前記洗浄用クーラントを前記シャフトから前記充填室に供給するための配管を含み、
前記箱体は前記上面部と交差するように設けられた側面部を有し、
前記配管の
箱体側に接続される端部は、前記軸方向における
前記側面部の中央部に接続される、
請求項1に記載のチップコンベア。
【請求項6】
前記固定用プレートの前記シャフトに設けられたフランジに対するボルトの固定は、前記フィルタユニットの内側から行われている、
請求項1に記載のチップコンベア。
【請求項7】
前記箱体の上面には、前記軸方向に沿って複数の前記ノズルが一列に並べられている、
請求項1記載のチップコンベア。
【請求項8】
前記箱体は、複数の第1貫通孔が形成されているプレートを前記箱体の上面部において固定可能に構成されており、
前記箱体の上面部には、複数の前記ノズルが差し込まれる複数の第2貫通孔が形成されており、
前記プレートは、複数の前記ノズルの各々が前記複数の第1貫通孔のいずれかに挿通された状態で前記箱体の上面に固定されている、
請求項1記載のチップコンベア。
【請求項9】
前記ノズルは、
前記洗浄用クーラントを噴射する噴射部と、
前記噴射部から噴射された前記洗浄用クーラントの方向を変えるとともに、当該洗浄用クーラントの噴霧角度を広げるためのガイド部とを有する、
請求項1記載のチップコンベア。
【請求項10】
前記チップコンベアは、さらに、前記使用済みのクーラント中の異物を排出口に移送するように構成されており、
前記ノズルは、前記洗浄用クーラントを前記排出口とは反対側に噴射するように設けられている、
請求項1記載のチップコンベア。
【請求項11】
使用済みのクーラントが貯留される筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、外側から内側へ通過した前記クーラントから異物を除去するように構成されているドラムフィルタとを備え、
前記ドラムフィルタは、
フィルタ部が形成された外周面部と、当該外周面部を支持するとともに回転駆動される少なくとも1つの端面部を有するフィルタユニットと、
前記フィルタユニットの内部に設けられ、前記フィルタ部の内側に向けて洗浄用クーラントを噴射する洗浄ユニットを含み、
前記洗浄ユニットは、
前記ドラムフィルタの軸方向に沿って設けられ、内部に前記洗浄用クーラントが充填される充填室が形成されている箱体と、
前記箱体の平面状をなす上面部において前記充填室と連通するように設けられるノズルとを有し、
前記ドラムフィルタは、さらに、前記フィルタユニットを回転可能に支持する中空のシャフトと、前記シャフトおよび前記箱体との間を接続し、前記洗浄用クーラントを前記シャフトから前記充填室に供給するための配管を含み、
前記箱体は前記上面部と交差するように設けられた側面部を有し、
前記配管の箱体側に接続される端部は、前記軸方向における前記側面部の中央部に接続されるチップコンベア。
【請求項12】
請求項1または11に記載のチップコンベアを備える、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チップコンベアおよび工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003-145390号公報(特許文献1)は、チップコンベアを備えた工作機械を開示している。チップコンベアは、加工中に発生したワークの切屑を工作機械外に排出するための搬送機構である。当該切屑は、クーラントによって加工エリアからチップコンベアに流される。
【0003】
特許文献1に開示されるチップコンベアの内部には、ドラムフィルタが設けられている。当該ドラムフィルタは、当該ドラムフィルタの外側から内側に流れ込むクーラントからワークの切屑を除去するように構成されている。
【0004】
また、当該ドラムフィルタの内部には、噴射ノズルが設けられている。当該噴射ノズルは、当該ドラムフィルタの内部から外部に向けて洗浄用クーラントを噴射し、ドラムフィルタに詰まっている切屑を飛ばす。これにより、ドラムフィルタが逆洗浄され、ドラムフィルタが切屑で詰まることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される噴射ノズルは、ドラムフィルタの回転軸上に沿って設けられているセンターパイプの側面部に設けられている。洗浄用クーラントは、センターパイプ端面部から内部に圧送され、その後にセンターパイプの側面部から噴射ノズルに供給される。センターパイプに噴射ノズルを取り付けるためには、センターパイプの側面部に穴開けなどの加工を所定精度でする必要があり、手間や費用がかかる。
【0007】
また、特許文献1に示される噴射ノズルは、センターパイプの径方向に延びるように設けられている。これにより、噴射ノズルの噴射口からドラムフィルタの裏面までの距離が短くなり、ドラムフィルタの洗浄能力を上げている。しかしながら、センターパイプの径方向に噴射ノズルを延ばすためには、当該噴射ノズルに延長用の接手や配管を設ける必要があり、余分な部品が必要になる。また、このような接手や配管が設けられることによって、内部壁面には不連続面や段差が形成されてしまうため、洗浄用クーラントに含まれる微細な切屑等がそのような部分に引っかかり、噴射ノズルまでの流路に詰まりが生じる可能性が高くなってしまうこともある。
【0008】
上記の点に鑑み、ドラムフィルタの洗浄能力を維持しつつ、ドラムフィルタの構成を簡素化することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一例では、チップコンベアが提供される。上記チップコンベアは、使用済みのクーラントが貯留される筐体と、上記筐体の内部に設けられ、外側から内側へ通過した上記クーラントから異物を除去するように構成されているドラムフィルタとを備える。上記ドラムフィルタは、フィルタ部が形成された外周面部と、当該外周面部を支持するとともに回転駆動される少なくとも1つの端面部を有するフィルタユニットと、上記フィルタユニットの内部に設けられ、上記フィルタ部の内側に向けて洗浄用クーラントを噴射する洗浄ユニットとを含む。上記洗浄ユニットは、上記ドラムフィルタの軸方向に沿って設けられ、内部に上記洗浄用クーラントが充填される充填室が形成されている箱体と、上記箱体の上面部において上記充填室と連通するように設けられるノズルとを有する。
【0010】
本開示の一例では、上記ドラムフィルタの回転軸は、水平方向と平行である。上記充填室は、上記回転軸に対して上方に偏移させて設けられている。
【0011】
本開示の一例では、上記箱体の上面部は、上記筐体における使用済みクーラントの標準水位よりも上側に位置している。
【0012】
本開示の一例では、上記ドラムフィルタは、さらに、上記フィルタユニットを回転可能に支持するとともに、上記軸方向の両側から上記箱体を支持するように構成されている第1,第2シャフトを含む。
【0013】
本開示の一例では、上記第1シャフトは、中空である。上記ドラムフィルタは、さらに、上記第1シャフトおよび上記充填室を連通し、上記洗浄用クーラントを上記充填室に供給するための配管を含む。
【0014】
本開示の一例では、上記配管は、上記軸方向における上記充填室の中心部分において当該充填室と連通している。
【0015】
本開示の一例では、上記第1,第2シャフトに係るボルトの固定は、上記フィルタユニットの内側から行われている。
【0016】
本開示の一例では、上記箱体の上面には、上記軸方向に沿って複数の上記ノズルが一列に並べられている。
【0017】
本開示の一例では、上記箱体は、複数の第1貫通孔が形成されているプレートを上記箱体の上面部において固定可能に構成されている。上記箱体の上面部には、複数の上記ノズルが差し込まれる複数の第2貫通孔が形成されている。上記プレートは、複数の上記ノズルの各々が上記複数の第1貫通孔のいずれかに挿通された状態で上記箱体の上面に固定されている。
【0018】
本開示の一例では、上記ノズルは、上記洗浄用クーラントを噴射する噴射部と、上記噴射部から噴射された上記洗浄用クーラントの方向を変えるとともに、当該洗浄用クーラントの噴霧角度を広げるためのガイド部とを有する。
【0019】
本開示の一例では、上記チップコンベアは、さらに、上記使用済みのクーラント中の異物を排出口に移送するように構成されている。上記ノズルは、上記洗浄用クーラントを上記排出口とは反対側に噴射するように設けられている。
【0020】
本開示の一例では、上記チップコンベアを備える工作機械が提供される。
【0021】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】工作機械内の加工エリアの様子を概略的に示す図である。
【
図4】斜め方向からドラムフィルタを視た斜視図を示す。
【
図5】鉛直平面上におけるドラムフィルタの断面図を示す。
【
図6】Z軸方向の一方側から視た箱体の後面側を示す図である。
【
図8】ノズルを装着する前の箱体を上側から示す図である
【
図9】プレートを用いてノズルを箱体に押さえ止めする過程を概略的に示す図である。
【
図10】ノズルを装着した後の箱体を上側から示す図である。
【
図12】
図11に示されるXI-XI線に沿うノズルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0024】
<A.工作機械100の外観>
まず、
図1を参照して、実施の形態に従う工作機械100について説明する。
図1は、工作機械100の外観を示す図である。
【0025】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械100は、横形のマシニングセンタであってもよいし、立形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械100は、旋盤であってもよいし、その他の切削機械、研削機械、複合加工機、5軸加工機などであってもよい。また、工作機械100は、除去加工のみを行うものに限られず、除去加工に加えて付加加工を行うものであってもよい。
【0026】
工作機械100は、たとえば、カバー体130と、チップコンベア150と、操作盤300とを含む。カバー体130は、スプラッシュガードとも呼ばれ、工作機械100の外観を成すとともに、ワークの加工エリアを区画形成している。
【0027】
工作機械100は、機内の加工エリアにクーラントを吐出しながらワークを加工する。加工に用いられたクーラントは、ワークの切屑を加工エリアからチップコンベア150に流される。チップコンベア150は、クーラントからワークの切屑を分離し、当該切屑を排出口151から工作機械100の外に排出する。ワークの切屑を除去したクーラントは、ワークの加工に再利用される。チップコンベア150の詳細については後述する。
【0028】
操作盤300は、汎用のコンピュータであり、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイ306を有する。ディスプレイ306は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。また、ディスプレイ206は、タッチパネルを備え、工作機械100に対する各種操作をタッチ操作で受け付ける。
【0029】
<B.切屑の排出機構>
次に、
図2を参照して、ワークの加工により発生した切屑を工作機械100の外部に排出するための機構について説明する。
図2は、工作機械100内の加工エリアARの様子を概略的に示す図である。
【0030】
上述のように、工作機械100は、カバー体130を備える。カバー体130は、工作機械100の外観を成すとともに、ワークの加工を行うための加工エリアARを区画形成している。加工エリアARには、たとえば、主軸132と、クーラントの吐出機構134,136と、チップコンベア150とが設けられている。
【0031】
主軸132は、ハウジングの内部に設けられ、当該ハウジングによって回転可能に支持されている。主軸132には、被加工物であるワークを加工するための工具Tが装着される。主軸132は、その軸方向を中心として工具Tを回転させながら工具Tをワークに接触することでワークを加工する。
【0032】
吐出機構134は、流出管R1から圧送される清浄クーラントを加工エリアAR全体に向けて吐出するための機構である。吐出機構134が加工エリアARにクーラントを吐出することで、加工エリアAR内にあるワークの切屑がチップコンベア150に排出される。
【0033】
吐出機構136は、流出管R1から圧送される清浄クーラントをベッドBD上に向けて吐出する。吐出機構136がベッドBD上にクーラントを吐出することで、ベッドBD上に溜まっている切屑がチップコンベア150に排出される。
【0034】
チップコンベア150は、筐体152と、ドラムフィルタ154と、タンク156とを有する。
【0035】
筐体152は、チップコンベア150の外観を成す。また、筐体152は、ワークの加工に用いられたクーラントが流れ込むように構成されている。
【0036】
ドラムフィルタ154は、筐体152に対して回転可能に支持されているおり、ワークの切屑などの異物をクーラントから捕集可能に構成されている。ドラムフィルタ154を通過したクーラントは、チップコンベア150のタンク156に排出される。なお、
図2においては分かりやすさのためタンク156は紙面左右方向に延ばして記載しているが、実際にはドラムフィルタ154の回転軸方向、すなわち、
図2において紙面奥行方向に延びている。また、ドラムフィルタ154の側面部を外側から内側へ通過したクーラントは、ドラムフィルタ154の紙面奥行方向側の端面部からタンク156へ流入することになる。
【0037】
タンク156には、ポンプP0が設けられている。ポンプP0は、ドラムフィルタ154を通過してタンク156に溜まっているクーラントを汲み上げ、当該クーラントを流路RAに圧送する。
【0038】
<C.スラッジの分離機構>
ドラムフィルタ154によって切屑が分離されたクーラントには、スラッジが含まれている。スラッジとは、ワークの加工により生じる微細な切粉である。
【0039】
以下では、
図3を参照して、スラッジの分離機構について説明する。
図3は、スラッジを分離機構の一例を示す図である。
【0040】
図3に示されるように、工作機械100は、スラッジの分離機構として、貯留部SU1と、サイクロンフィルタ400とを含む。
【0041】
上述の流路RA(
図2参照)から圧送されたクーラントは、貯留部SU1に溜められる。貯留部SU1に溜められているクーラントは、スラッジを含有している。
【0042】
サイクロンフィルタ400は、貯留部SU1から供給されるクーラントを遠心力により、清浄なクーラントと汚れたクーラントとに分離するための機構である。清浄なクーラントにおけるスラッジの含有量は、汚れたクーラントにおけるスラッジの含有量よりも少ない。典型的には、清浄なクーラントには、スラッジが含まれていない。当該含有量は、たとえば、単位体積当たりに含まれるスラッジの重量で表される。
【0043】
より具体的には、サイクロンフィルタ400には、流入管R0と、流出管R1と、流出管R2とが接続されている。
【0044】
流入管R0の一端は、貯留部SU1に接続されている。一方で、流入管R0の他端は、サイクロンフィルタ400の流入口に接続されている。また、流入管R0上には、ポンプP1が設けられている。ポンプP1は、貯留部SU1内のクーラントを流入管R0に圧送し、サイクロンフィルタ400の流入口に当該クーラントを送る。
【0045】
サイクロンフィルタ400に送られたクーラントは、サイクロンフィルタ400の内部で螺旋状に流れる。この過程で、重いスラッジは、クーラントの一部とともに重力方向に落ちていき、サイクロンフィルタ400の下側の流出口から排出される。これにより、スラッジを多く含む汚れたクーラントが流出管R2に排出される。
【0046】
また、サイクロンフィルタ400には、絞り機構402が設けられている。絞り機構402は、流出管R2内を流れる汚れたクーラントの流量を制限するための機構である。絞り機構402が抵抗となり、クーラントは、サイクロンフィルタ400の内部で螺旋状に流れている過程で重力方向とは反対側に上昇する。その結果、スラッジを含まない清浄なクーラントが流出管R1に排出される。
【0047】
また、流出管R1上には、ポンプP2が設けられている。ポンプP2は、サイクロンフィルタ400から清浄クーラントを圧送する。これにより、清浄クーラントは、流出管R1内に圧送され、上述の吐出機構134,136などに送られる。また、流出管R1のポンプP2よりも上流側には分岐点が形成されており、洗浄ユニット175へ清浄クーラントを洗浄用クーラントとして供給するための分岐管BRが設けられている。分岐管BRには開閉バルブが設けられており、洗浄ユニット175への清浄クーラントの供給と停止を切り替えられるようにしてある。
【0048】
以上のように、工作機械100は、加工に用いられたクーラントからスラッジを分離する。スラッジが除去されたクーラントは、ワークの加工に再利用される。また、スラッジが除去されたクーラントは、上述のドラムフィルタ154の洗浄用のクーラントに利用される。
【0049】
<D.方向の定義>
説明の便宜のために、以下では、上述のドラムフィルタ154の回転軸方向であり、水平面上の一方向を「X軸方向」とも称する。また、X軸方向に直交する水平面上の一方向を「Z軸方向」とも称する。X軸方向およびZ軸方向の両方に直交する方向を「Y軸方向」と称する。Y軸方向の正側は、上側(すなわち、重力方向とは反対側)に相当する。Y軸方向の負側は、下側(すなわち、重力方向)に相当する。
【0050】
<E.ドラムフィルタ154の機構>
次に、
図4および
図5を参照して、
図2に示されるドラムフィルタ154についてさらに詳細に説明する。
図4は、斜め方向からドラムフィルタ154を視た斜視図を示す。
図5は、YZ平面(すなわち、鉛直平面)上におけるドラムフィルタ154の断面図を示す。
【0051】
なお、説明の便宜のために、
図4に示されるドラムフィルタ154においては、
図5に示されるドラムフィルタ154からフィルタ部166を取り除いている。
【0052】
ドラムフィルタ154は、フィルタユニット160と、取り付け板170A,170Bと、シャフト171A,171Bと、洗浄ユニット175とを含む。
【0053】
フィルタユニット160は、ドラム形状を有し、その内側に空間を形成している。フィルタユニット160は、その外周面を通過した使用済みクーラントCL1から異物を除去するように構成されている。当該異物としては、ワークの加工により発生した切屑やゴミなどが挙げられる。フィルタユニット160の内側に流れたクーラントCL1は、ドラムフィルタ154の側面に形成されている流出口PA,PBから上述のタンク156(
図2参照)に送られる。
【0054】
フィルタユニット160は、チップコンベア150の筐体152(
図2参照)に対して回転可能に支持されている。より具体的には、フィルタユニット160は、端面部162A,162Bと、外周面部164と、フィルタ部166とを含む。
【0055】
端面部162Aは、回転軸AXの方向におけるフィルタユニット160の一方側の端面を構成する。端面部162Bは、回転軸AXの方向におけるフィルタユニット160の他方側の端面を構成する。すなわち、端面部162A,162Bは、互いに対向している。
【0056】
端面部162Aは、シャフト171Aに対して回転可能に構成されている。端面部162Bは、シャフト171Bに対して回転可能に構成されている。これにより、端面部162A,162Bは、回転軸AXを中心として回転可能に構成される。
【0057】
端面部162A,162Bは、スプロケットとしての機能を有する。より具体的には、端面部162A,162Bのそれぞれの外周には、複数の歯が形成されている。端面部162A,162Bの各々の歯は、チップコンベア150を駆動するための無担チェーンに噛み合っている。その結果、フィルタユニット160は、当該無端チェーンと連動して、回転軸AXを中心として回転する。
【0058】
端面部162A,162Bは、外周面部164を支持するように構成されている。外周面部164は、フィルタユニット160の外周における外枠を構成する。回転軸AXの方向における外周面部164の一方側は、端面部162Aと繋がっている。また、回転軸AXの方向における外周面部164の他方側は、端面部162Bと繋がっている。これにより、外周面部164は、端面部162A,162Bと一体的に回転するように構成されている。
【0059】
外周面部164は、回転軸軸方向に延びる概略中空正八角柱状をなすフレーム部材であり、面板部の開口を塞ぐようにフィルタ部166が設けられている。より具体的には、外周面部164には、複数の矩形の開口、例えば軸方向を長手方向とする長方形状の開口が形成されている。フィルタ部166の各々は、各開口を覆うように外周面部164に設けられている。フィルタ部166は、使用済みクーラントCL1を通過させるとともに、ワークの切屑などの異物を捕集可能に構成されている。フィルタ部166は、たとえば、外周面部164に形成されている開口とほぼ同じ又は若干大きい矩形形状を有する。フィルタ部166が流入する使用済みクーラントCL1に対して流体抵抗として作用するため、例えば通常の使用状態であれば、フィルタユニット160の外側におけるクーラントの水位は、フィルタユニット160の内側におけるクーラントの水位よりも高くなる。
【0060】
回転軸AXの方向におけるフィルタユニット160の両端面の間には、洗浄ユニット175が配置されている。洗浄ユニット175は、回転軸AXに沿うように構成されている。洗浄ユニット175は、チップコンベア150の筐体152(
図2参照)に対して固定されている。
【0061】
洗浄ユニット175は、箱体180と、ノズル182とを含む。箱体180の内部には、洗浄用クーラントCL2が充填される充填室188が形成されている。洗浄用クーラントCL2は、たとえば、上述のサイクロンフィルタ400を通過した後の清浄なクーラントである。洗浄用クーラントCL2は、ポンプ(図示しない)などを介して充填室188に圧送される。
【0062】
箱体180の上面部には、充填室188と連通しているノズル182が設けられている。「上面部」は、箱体180の上面の一部であってもよいし、箱体180の上面の全部であってもよい。また、「上面部」は、水平面であってもよいし、水平面から傾斜している面であってもよい。
【0063】
なお、
図4および
図5には、箱体180の形状が略直方体である例が示されているが、箱体180の形状は、これに限定されない。上面部を有する任意の形状が箱体180に採用され得る。一例として、箱体180の形状は、六角柱であってもよいし、八角柱であってもよいし、半円柱形状であってもよい。
【0064】
また、箱体180の上面部に設けられるノズル182の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
図4の例では、5つのノズル182が箱体180の上面部に設けられている。
【0065】
ノズル182は、充填室188の内部に圧送された洗浄用クーラントCL2をフィルタユニット160の内面に向けて噴射する。これにより、フィルタ部166がワークの切屑などの異物で詰まることを防止することができる。
【0066】
図5に示されるドラムフィルタ154においては、ドラムフィルタ154の中心を貫通するセンターパイプの代わりに、箱体180が設けられている。円筒形状のセンターパイプにノズル182を取り付けるためには、センターパイプを加工したり、ノズル182をセンターパイプの形状に合わせて加工したりする必要がある。一方で、箱体180の上面部は平面部分を有し、ノズル182を容易に取り付けることが可能である。すなわち、市販されているノズルなど様々な種類のノズルを箱体180に取り付けることが可能である。
【0067】
また、ノズル182が箱体180の上面部に設けられることで、ノズル182の噴射口からフィルタ部166までの距離が短くなる。これにより、洗浄用クーラントCL2を高圧の状態でフィルタ部166に噴射することができ、フィルタ部166に付着したワークの切屑をより確実に飛ばすことが可能になる。このような洗浄能力が、箱体180の上面部にノズル182を設けるという簡素な構成で得られる。
【0068】
好ましくは、充填室188は、回転軸AXに対して上方に偏移させて設けられている。これにより、ノズル182の噴射口からフィルタ部166までの距離がさらに短くなり、フィルタ部166の洗浄能力がさらに改善される。
【0069】
さらに好ましくは、箱体180の上面部は、チップコンベア150の筐体152内における標準水位よりも上側に位置している。ここでいう「標準水位」とは、チップコンベア150の筐体152内におけるクーラントの最大水位である。箱体180の上面部が当該最大水位よりも上側に位置していれば、ノズル182がクーラントに浸かることが無い。そのため、ノズル182は、フィルタ部166を常に洗浄できる。
【0070】
なお、上述の例では、フィルタユニット160が2つの端面部162A,162Bを有する例について説明を行ったが、フィルタユニット160は、端面部162A,162Bの少なくとも1つを有すればよい。一例として、フィルタユニット160が1つの端面部で構成されている場合、フィルタユニット160の他端は開放されている。この場合、排水性が落ち、クーラントの処理量が低下する可能性があるが、この構成は、スペースが片側しか取れない場合などに有効である。また、この構成は、チップコンベア150のタンク156の構造をシンプルにする場合にも有効であり、スラッジが散乱しにくいというメリットもある。
【0071】
<F.シャフト171A,171B>
次に、引き続き
図4および
図5を参照しつつ、
図6を参照して、シャフト171A,171Bについてさらに説明する。
図6は、Z軸方向の一方側から視た箱体180の後面側を示す図である。
【0072】
シャフト171A,171Bは、フィルタユニット160を回転可能に支持する機能を有する。
【0073】
より具体的には、シャフト171Aは、取り付け板170Aに差し込まれている。取り付け板170Aは、チップコンベア150の筐体152(
図2参照)に対して固定されている。取り付け板170Aにおける差し込み口は非円形であり、シャフト171Aは、当該非円形の差し込み口に嵌合するように取り付け板170Aに差し込まれる。これにより、シャフト171Aは、取り付け板170Aに対して回転不可能に固定される。
【0074】
シャフト171Aには、軸受け161Aが設けられている。軸受け161Aは、たとえば、ブッシュである。軸受け161Aは、シャフト171Aに挿入された状態で、回転軸AXを中心として回転可能に構成される。また、軸受け161Aには、フィルタユニット160の端面部162Aが固定されている。端面部162Aは、たとえば、フィルタユニット160の内側から軸受け161Aにボルト止めされている。これにより、端面部162Aは、軸受け161Aとともに回転するように構成される。
【0075】
シャフト171Bは、取り付け板170Bに差し込まれている。取り付け板170Bは、チップコンベア150の筐体152(
図2参照)に対して固定されている。取り付け板170Bにおける差し込み口は非円形であり、シャフト171Bは、当該非円形の差し込み口に嵌合するように取り付け板170Bに差し込まれる。これにより、シャフト171Bは、取り付け板170Bに対して回転不可能に固定される。
【0076】
シャフト171Bには、軸受け161Bが設けられている。軸受け161Bは、たとえば、ブッシュである。軸受け161Bは、シャフト171Bに挿入された状態で、回転軸AXを中心として回転可能に構成される。また、軸受け161Bには、フィルタユニット160の端面部162Bが固定されている。端面部162Bは、たとえば、フィルタユニット160の内側から軸受け161Bにボルト止めされている。これにより、端面部162Bは、軸受け161Bとともに回転するように構成される。
【0077】
以上により、シャフト171A,171Bは、フィルタユニット160を回転可能に支持する。シャフト171A,171Bは、フィルタユニット160を回転可能に支持する機能だけでなく、回転軸AXの方向の両側から箱体180を支持する機能も有する。
【0078】
より具体的には、箱体180は、X軸方向における充填室188の両端面から下方に延在している固定用プレートSA,SBを有する。
【0079】
固定用プレートSAは、ボルトVAを介して、シャフト171Aの一端に形成されているフランジFAに固定される。ボルトVAは、フィルタユニット160の内側(中心側)から挿入される。
【0080】
同様に、固定用プレートSBは、ボルトVBを介して、シャフト171Bの一端に形成されているフランジFBに固定される。ボルトVBは、フィルタユニット160の内側(中心側)から挿入される。
【0081】
以上により、回転軸AXの方向の両側から箱体180を支持する。シャフト171A,171Bをフィルタユニット160および箱体180の両方の支持機構として機能させることで、ドラムフィルタ154の構成を簡素化することができる。
【0082】
また、シャフト171A,171Bに係るボルトの固定がフィルタユニット160の内側から行われることで、チップコンベア150に対するドラムフィルタ154の分解が容易になる。すなわち、作業者がチップコンベア150からドラムフィルタ154を取り外す場合には、まず、ボルトVA、VBを外す。これにより、作業者は、ドラムフィルタ154から箱体180を取り外すことができる。次に、作業者は、ドラムフィルタ154の端面部162Aからシャフト171Aを引き抜く。その後、作業者は、ドラムフィルタ154の端面部162Bからシャフト171Bを引き抜く。これにより、作業者は、チップコンベア150からフィルタユニット160を取り外し、フィルタユニット160に対する作業(たとえば、フィルタ部166の交換など)を行う。
【0083】
一方で、洗浄用クーラントを送るためのセンターパイプがドラムフィルタ154の中心を通っている場合には、ドラムフィルタ154の分解が非常に困難になる。この場合、作業者は、まず、ドラムフィルタ154からセンターパイプを外す必要がある。しかしながら、センターパイプは、チップコンベア150に繋がっていることが多い。そのため、作業者は、チップコンベア150を分解し、その後にドラムフィルタ154を取り外すことになる。このように、洗浄用クーラントを送るためのセンターパイプがドラムフィルタ154の中心を通っている場合には、チップコンベア150からドラムフィルタ154を取り外す作業が非常に大がかりになる。
【0084】
<G.洗浄用クーラントの配管機構>
次に、引き続き
図4~
図6を参照して、洗浄用クーラントの配管機構について説明する。
【0085】
図4~
図6に示されるように、ドラムフィルタ154は、配管184を有する。配管184は、シャフト171A,171Bの一方と、充填室188とを連通し、洗浄用クーラントCL2を充填室188に供給するように構成されている。
【0086】
図6の例では、配管184は、シャフト171Aに接続されている。より具体的には、シャフト171Aは中空であり、シャフト171Aの内部には洗浄用クーラントCL2の流路が形成されている。なお、シャフト171Bの内部にも洗浄用クーラントCL2の流路が形成されていてもよい。
【0087】
回転軸AXの方向におけるシャフト171Aの一端は、洗浄用クーラントCL2の供給機構に接続されている。回転軸AXの方向におけるシャフト171Aの他端は、配管184の一端である流入口E1に接続されている。一方で、配管184の他端である流出口E2は、充填室188に接続されている。流出口E2は、回転軸AXの方向における充填室188の両端面以外において充填室188に接続されている。
【0088】
好ましくは、配管184の流出口E2は、回転軸AXの方向における充填室188の中心部分において、充填室188と接続されている。これにより、ノズル182の各々における洗浄用クーラントCL2の噴射圧が均一になる。結果として、X軸方向におけるフィルタ部166の洗浄ムラが防止される。
【0089】
<H.洗浄用クーラントの配管機構>
次に、引き続き
図4~
図6を参照して、箱体180上におけるノズル182の配置について説明する。
【0090】
好ましくは、複数のノズル182が箱体180の上面部において回転軸AXの方向(すなわち、X軸方向)に沿って一列に並べられている。複数のノズル182がX軸方向に一列に並べられることで、フィルタ部166の洗浄範囲がX軸方向において広がる。
【0091】
なお、複数のノズル182は、一定間隔で並べられてもよいし、不規則な間隔で並べられてもよい。
【0092】
また、複数のノズル182は、箱体180の上面部において必ずしも一列に並べられる必要はない。一例として、複数のノズル182は、二列以上に並べられてもよい。
【0093】
<I.ノズル182の固定方法>
次に、
図7~
図10を参照して、ノズル182を箱体180に固定する方法について説明する。
図7は、上側からプレートPLを示す図である。
図8は、ノズル182を装着する前の箱体180を上側から示す図である。
図9は、プレートPLを用いてノズル182を箱体180に押さえ止めする過程を概略的に示す図である。
図10は、ノズル182を装着した後の箱体180を上側から示す図である。
【0094】
図7に示されるように、プレートPLには、複数の貫通孔H1,HAが形成されている。また、
図8に示されるように、箱体180の上面部には、複数の貫通孔H2,HBが形成されている。
【0095】
ノズル182は、たとえば、ガイド部GDと、縁部RNと、挿入部INとで構成されている。ノズル182のガイド部GDは、プレートPLの貫通孔H1に対して下側から差し込まれ得る。より具体的には、ガイド部GDの径はプレートPLの貫通孔H1の径よりも短く、縁部RNの径はプレートPLの貫通孔H1の径よりも長い。そのため、ガイド部GDが貫通孔H1に対して下側から差し込まれた場合には、ノズル182の縁部RNは、貫通孔H1の縁に接触する。
【0096】
また、ノズル182の挿入部INは、箱体180の貫通孔H2に対して上側から差し込まれ得る。より具体的には、挿入部INの径は貫通孔H2の径よりも短く、縁部RNの径は貫通孔H2の径よりも長い。そのため、挿入部INが貫通孔H2に対して上側から差し込まれた場合には、ノズル182の縁部RNは、貫通孔H2の縁に接触する。ノズル182は、貫通孔H2に差し込まれた状態で箱体180と連通する。
【0097】
プレートPLは、箱体180の上面部においてノズル182を押さえ止めする。より具体的には、ノズル182のガイド部GDがプレートPLの貫通孔H1に差し込まれた状態で、かつ、ノズル182の挿入部INが箱体180の貫通孔H2に差し込まれた状態で、プレートPLは、箱体180に固定される。
【0098】
プレートPLを箱体180に固定する機構には、任意の固定機構が採用され得る。一例として、プレートPLは、1つ以上のネジSCによって箱体180の上面部に固定される。
図10の例では、プレートPLは、5つのネジSCによって箱体180の上面部に固定されている。ネジSCが貫通孔HA,HBに通されることで、プレートPLは、箱体180の上面部に固定される。
【0099】
以上のように、箱体180は、複数の貫通孔H1が形成されているプレートPLを箱体180の上面部において固定可能に構成されている。箱体180の上面部には、ノズル182が差し込まれる複数の貫通孔H2が形成されている。プレートPLは、複数のノズル182の各々が複数の貫通孔H1のいずれかに挿通された状態で箱体180の上面部に固定されている。これにより、複数のノズル182は、プレートPLによって箱体180の上面部に押さえ止めされる。そのため、ノズル182を加工せずにプレートPLに固定することができ、あらゆる種類のノズル182を箱体180の上面部に固定することができる。
【0100】
好ましくは、ノズル182は、洗浄用クーラントが工作機械100の作業者にかからないように箱体180の上面に設けられる。上述の通り、チップコンベア150は、使用済みのクーラント中の異物を排出口151(
図1参照)に移送するように構成されている。洗浄用クーラントが排出口151の方向に噴出すると、当該洗浄用クーラントは、排出口151から出てしまう可能性がある。そこで、ノズル182は、洗浄用クーラントを排出口151とは反対側に噴射するように箱体180の上面部に設けられる。これにより、洗浄用クーラントが作業者に飛散することを防止することができる。
【0101】
<J.ノズル182の例>
次に、
図11および
図12を参照して、上述のノズル182の一例について説明する。
図11は、Z軸方向からノズル182を表わす図である。
図12は、
図11に示されるXI-XI線に沿うノズル182の断面図である。
【0102】
ノズル182は、たとえば、噴射部JTと、ガイド部GDとを有する。噴射部JTの内部には、洗浄用クーラントの流路が形成されている。噴射部JTは、箱体180と連通しており、箱体180の内部を圧送された洗浄用クーラントを上側に噴射する。
【0103】
ガイド部GDは、噴射部JTから噴射された洗浄用クーラントの方向を変えるとともに、当該洗浄用クーラントの噴霧角度θを広げる。噴霧角度θとは、噴射部JTの噴射口における洗浄用クーラントの広がりを示す角度である。
【0104】
より具体的には、YZ平面(すなわち、鉛直平面)上におけるガイド部GDの断面は、アーチ状を有する。これにより、洗浄用クーラントの噴射方向は、アーチ状の側面に沿って変えられる。これにより、ガイド部GDに対する洗浄用クーラントの流体抵抗が抑制され、洗浄用クーラントの泡立ちが抑えられる。
【0105】
また、洗浄用クーラントは、ガイド部GDに接することで広げられる。これにより、ノズル182は、フィルタ部166のより広い範囲を洗浄することができる。
【0106】
好ましくは、噴射部JTの内部における洗浄用クーラントの流路は、滑らかな曲面のみで構成されている。これにより、噴射部JTの内部における配管抵抗が低くなり、洗浄用クーラントの泡立ちが抑えられる。
【0107】
なお、箱体180に装着され得るノズル182は、
図11および
図12に示されるノズル182に限定されず、任意の種類のノズル182が箱体180に装着され得る。
【0108】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
100 工作機械、130 カバー体、132 主軸、134 吐出機構、136 吐出機構、150 チップコンベア、151 排出口、152 筐体、154 ドラムフィルタ、156 タンク、160 フィルタユニット、161A 軸受け、161B 軸受け、162A 端面部、162B 端面部、164 外周面部、166 フィルタ部、170A 取り付け板、170B 取り付け板、171A シャフト、171B シャフト、175 洗浄ユニット、180 箱体、182 ノズル、184 配管、188 充填室、206 ディスプレイ、300 操作盤、306 ディスプレイ、400 サイクロンフィルタ、402 絞り機構、AR 加工エリア、AX 回転軸、BD ベッド、CL1 クーラント、CL2 洗浄用クーラント、E1 流入口、E2 流出口、FA フランジ、FB フランジ、GD ガイド部、H1 貫通孔、H2 貫通孔、HA 貫通孔、HB 貫通孔、IN 挿入部、JT 噴射部、P0 ポンプ、P1 ポンプ、P2 ポンプ、PA 流出口、PB 流出口、PL プレート、R0 流入管、R1 流出管、R2 流出管、RA 流路、RN 縁部、SA 固定用プレート、SB 固定用プレート、SC ネジ、SU1 貯留部、T 工具、VA ボルト、VB ボルト、θ 噴霧角度。