(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】電力需給管理システム、及び電力需給管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20250307BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20250307BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20250307BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J3/00 130
H02J3/38 110
H02J13/00 301A
H02J3/46
(21)【出願番号】P 2023213683
(22)【出願日】2023-12-19
【審査請求日】2024-09-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】水城 優
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049352(JP,A)
【文献】特開2010-279238(JP,A)
【文献】特開2012-161202(JP,A)
【文献】特開2023-129941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/00
H02J 3/38
H02J 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分散型電源及び発電機によるバランスグループの電力需給を管理する電力需給管理システムであって、
前記バランスグループの最上位階層である第1階層における電力需給を管理する第1管理装置と、
前記第1管理装置の前記第1階層より下位の階層である第2階層における電力需給を管理する第2管理装置と
を備え、
前記第1管理装置は、
前記第2管理装置から取得した需給実績値に基づいて、予め定められた第1単位期間で、前記バランスグループにおける電力の需要と供給とを一致させるように、前記第1単位期間より短い第2単位期間の間隔で、前記第2管理装置に第1制御指令を送信し、
前記第2管理装置は、
前記第2単位期間の間隔で、前記第1制御指令を達成できるように、前記第2単位期間より短い第3単位期間の間隔で、前記第2階層より下位の階層である第3階層に、第2制御指令を送信する
電力需給管理システム。
【請求項2】
前記第1管理装置は、
前記第2単位期間の間隔で収集された前記第1制御指令に対する前記需給実績値に基づいて、前記バランスグループにおける電力の需要予測値及び供給可能予測値を予測する第1予測処理部と、
前記第1予測処理部が予測した前記需要予測値及び前記供給可能予測値に基づいて、前記第1単位期間毎の運転計画を生成する第1計画部と、
前記第1計画部が生成した前記第1単位期間毎の運転計画に基づいて、前記第2単位期間の間隔で、前記第1制御指令を送信する第1制御指令部と
を備え、
前記第2管理装置は、
前記第3単位期間の間隔で収集された前記第2制御指令に対する前記需給実績値に基づいて、前記第2階層における電力の需要予測値及び供給可能予測値を予測する第2予測処理部と、
前記第2予測処理部が予測した前記需要予測値及び前記供給可能予測値に基づいて、前記第2単位期間毎の運転計画を生成する第2計画部と、
前記第2計画部が生成した前記第2単位期間毎の運転計画に基づいて、前記第3単位期間の間隔で、前記第2制御指令を送信する第2制御指令部と
を備える
請求項1に記載の電力需給管理システム。
【請求項3】
前記第2管理装置が管理する前記発電機には、複数の分散型電源を仮想的な発電所として運用する仮想発電所が含まれ、
前記第1計画部は、前記需要予測値及び前記供給可能予測値と、前記仮想発電所における発電機としての特性を示す発電機模擬データとに基づいて、前記第1単位期間毎の運転計画を生成し、
前記第1制御指令部は、前記第1単位期間毎の運転計画に基づいて、前記第2単位期間の間隔で、前記仮想発電所を含む前記発電機を制御する前記第1制御指令を送信する
請求項2に記載の電力需給管理システム。
【請求項4】
前記第3階層において、前記分散型電源を含む機器を管理する第3管理装置であって、前記第3単位期間の間隔で、前記第2制御指令を達成できるように、前記第3単位期間より短い第4単位期間の間隔で、前記分散型電源を含む機器に、第3制御指令を送信する第3管理装置を備える
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電力需給管理システム。
【請求項5】
複数の前記第3管理装置から、前記第3制御指令に対する需給実績値を受信し、受信した当該需給実績値を、前記第3管理装置ごとに前記第3単位期間の間隔で、前記第2管理装置に転送するとともに、前記第2管理装置から受信した第2制御指令を、対応する前記第3管理装置に、前記第3単位期間の間隔で転送する連携装置を備える
請求項4に記載の電力需給管理システム。
【請求項6】
複数の分散型電源及び発電機によるバランスグループの最上位階層である第1階層における電力需給を管理する第1管理装置と、前記第1管理装置の前記第1階層より下位の階層である第2階層における電力需給を管理する第2管理装置とを備える電力需給管理システムの前記バランスグループの電力需給を管理する電力需給管理方法であって、
前記第1管理装置が、前記第2管理装置から取得した需給実績値に基づいて、予め定められた第1単位期間で、前記バランスグループにおける電力の需要と供給とを一致させるように、前記第1単位期間より短い第2単位期間の間隔で、前記第2管理装置に第1制御指令を送信し、
前記第2管理装置が、前記第2単位期間の間隔で、前記第1制御指令を達成できるように、前記第2単位期間より短い第3単位期間の間隔で、前記第2階層より下位の階層である第3階層に、第2制御指令を送信する
電力需給管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力需給管理システム、及び電力需給管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小売電気事業者では、自身の管理対象である需要家の需要と、発電機の発電量あるいは調達してきた電力量とを30 分ごとに一致させる必要があり、この管理を容易にするためのBG(Balancing Group)という概念が存在する。また、昨今、需要家側に導入される小型の電源が増加しており、これら個々の電源を、アグリゲータと呼ばれる事業者がまとめて電力の監視や制御を行い、まるで1つの発電所のように扱うVPP(Virtual Power Plant)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、小売電気事業者が、多種多様な分散型電源を扱うことが困難であり、BGから個々の分散型電源までを一括で監視制御する仕組みが求められている。
【0005】
本開示は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、分散型電源を用いて、効率よく電力需給を管理することができる電力需給管理システム、及び電力需給管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本開示は、複数の分散型電源及び発電機によるバランスグループの電力需給を管理する電力需給管理システムであって、前記バランスグループの最上位階層である第1階層における電力需給を管理する第1管理装置と、前記第1管理装置の前記第1階層より下位の階層である第2階層における電力需給を管理する第2管理装置とを備え、前記第1管理装置は、前記第2管理装置から取得した需給実績値に基づいて、予め定められた第1単位期間で、前記バランスグループにおける電力の需要と供給とを一致させるように、前記第1単位期間より短い第2単位期間の間隔で、前記第2管理装置に第1制御指令を送信し、前記第2管理装置は、前記第2単位期間の間隔で、前記第1制御指令を達成できるように、前記第2単位期間より短い第3単位期間の間隔で、前記第2階層より下位の階層である第3階層に、第2制御指令を送信する電力需給管理システムである。
【0008】
また、本開示は、複数の分散型電源及び発電機によるバランスグループの最上位階層である第1階層における電力需給を管理する第1管理装置と、前記第1管理装置の前記第1階層より下位の階層である第2階層における電力需給を管理する第2管理装置とを備える電力需給管理システムの前記バランスグループの電力需給を管理する電力需給管理方法であって、前記第1管理装置が、前記第2管理装置から取得した需給実績値に基づいて、予め定められた第1単位期間で、前記バランスグループにおける電力の需要と供給とを一致させるように、前記第1単位期間より短い第2単位期間の間隔で、前記第2管理装置に第1制御指令を送信し、前記第2管理装置が、前記第2単位期間の間隔で、前記第1制御指令を達成できるように、前記第2単位期間より短い第3単位期間の間隔で、前記第2階層より下位の階層である第3階層に、第2制御指令を送信する電力需給管理方法である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、分散型電源を用いて、効率よく電力需給を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態による電力需給管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図2】本実施形態におけるローカルEMSの一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態による電力需給管理システムの動作の概要を示す図である。
【
図4】本実施形態におけるBG需給管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態におけるVPP需給管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態におけるVPP需給管理装置の再配分処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態におけるDEP装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態におけるローカルEMS装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態による電力需給管理システムの各装置のハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施形態による電力需給管理システム、及び電力需給管理方法について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施形態による電力需給管理システム1の一例を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、電力需給管理システム1は、BG需給管理装置10と、VPP需給管理装置20と、DEP装置30と、ローカルEMS装置40と、電源制御装置群(3、4)と、分散型電源群5とを備える。
【0014】
なお、BG需給管理装置10と外部サーバ2との間、及びVPP需給管理装置20と外部サーバ2との間は、ネットワークNW1を介して、接続可能である。
また、BG需給管理装置10とVPP需給管理装置20との装置間、VPP需給管理装置20とDEP装置30との装置間、及びDEP装置30とローカルEMS装置40との装置間は、専用回線又はネットワーク(例えば、インタネット)を介して接続されている。
【0015】
また、BG需給管理装置10と電源制御装置群3との間、VPP需給管理装置20と電源制御装置群4との間、及びローカルEMS装置40と分散型電源群5との間は、専用回線又はネットワーク(例えば、インタネット)を介して接続されている。
【0016】
外部サーバ2は、外部の各種サービスを提供するサーバ装置であり、ここでは、1つのサーバ装置として、表現している。各種サービスには、例えば、気象情報(気象の予測情報及び実績情報)の提供サービス、DR指令(デマンドレスポンス指令)を出力する簡易指令システム、及び市場取引システム、等が含まれる。
【0017】
電源制御装置群3は、BG需給管理装置10が直接管理している分散型電源を制御する装置群である。
電源制御装置群4は、VPP需給管理装置20が直接管理している分散型電源を制御する装置群である。
分散型電源群5は、ローカルEMS装置40が管理している電源群である。
【0018】
BG需給管理装置10(第1管理装置の一例)は、複数の分散型電源及び発電機によるBG(バランスグループ)の最上位階層である最上位EMS(Energy Management System)階層(第1階層)における電力需給を管理する。BG需給管理装置10は、VPP需給管理装置20と連携して、VPP需給管理装置20から取得した需給実績値に基づく需要予測値及び供給可能予測値(例えば、再エネ発電予測、及び制御可能量予測)と、VPPにおける発電機としての特性を示す発電機模擬データとに応じて、予め定められた単位期間(例えば、30分間)で、BGにおける電力の需要と供給とを一致させるように、VPP需給管理装置20に制御指令を送信する。ここで、VPP(Virtual Power Plant)とは、アグリゲータと呼ばれる事業者が任意の数の電源(複数の分散型電源)をまとめて電力の監視及び制御を行い、まるで1つの発電所のように扱う概念であり、複数の分散型電源を仮想的な発電所として運用する仮想発電所のことである。
【0019】
BG需給管理装置10は、具体的に、VPP需給管理装置20から取得した需給実績値に基づいて、予め定められた30分(第1単位期間)で、BGにおける電力の需要と供給とを一致させるように、30分より短い5分間隔(第2単位期間の間隔)で、VPP需給管理装置20に制御指令(第1制御指令)を送信する。なお、BG需給管理装置10は、第2管理装置に属さない一部の需要及び発電も直接管理する。
また、BG需給管理装置10は、装置間送受信部11と、NW(ネットワーク)通信部12と、装置記憶部13と、装置制御部14とを備える。
【0020】
装置間送受信部11は、例えば、ネットワークアダプタなどの通信デバイスにより実現される機能部である。装置間送受信部11は、専用回線又はネットワーク(例えば、インタネット)を介して、VPP需給管理装置20との間で情報の送受信を行って、VPP需給管理装置20との間で連携を行う。装置間送受信部11は、例えば、VPP需給管理装置20から実績値、電力の可変量、コスト、及び予測値、等を受信する。また、装置間送受信部11は、VPP需給管理装置20及び電源制御装置群3に制御指令を送信する。
【0021】
NW通信部12は、例えば、ネットワークアダプタなどの通信デバイスにより実現される機能部である。NW通信部12は、ネットワークNW1に接続して、BG需給管理装置10と外部サーバ2の間の通信を行う。NW通信部12は、例えば、外部サーバ2からの気象情報の受信、DR指令の受信、及び電力の市場取引、等に利用される。
【0022】
装置記憶部13は、BG需給管理装置10が利用する各種情報を記憶する。装置記憶部13は、マスタ情報記憶部131と、実績値記憶部132と、気象情報記憶部133と、予測値記憶部134と、計画情報記憶部135とを備える。
【0023】
マスタ情報記憶部131は、BG需給管理装置10が管理する各種電源のマスタ情報を記憶する。マスタ情報には、電源の最大出力、最小出力、変化速度、燃料種別、発電コスト、起動パターン、停止パターン、及びコスト情報、等が含まれる。なお、コスト情報には、蓄電装置としての電源への充電時のコスト情報(電力価格指標、調整単価、等)が含まれる。マスタ情報記憶部131は、例えば、各種電源の識別情報と、マスタ情報とを対応付けて記憶する。
【0024】
実績値記憶部132は、例えば、後述する実績収集部141が5分周期で収集した各発電機及びVPPの制御実績(需給実績値)を記憶する。実績値記憶部132は、例えば、各発電機及びVPPの識別情報と、制御の日時情報と、制御実績値(需給実績値)とを対応付けて記憶する。
【0025】
気象情報記憶部133は、NW通信部12を介して、外部サーバ2から取得した気象情報を記憶する。気象情報には、気象の予測情報及び実績情報が含まれ、例えば、天気、気温、湿度、日照時間、等の予測値及び実績値が含まれる。
【0026】
予測値記憶部134は、例えば、後述する予測処理部142が予測した予測情報(例えば、上位EMS管理外(VPP需給管理装置20の管理外)の需要予測、再エネ発電予測、制御可能量予測)、及びVPP需給管理装置20から5分周期で取得した予測情報を記憶する。
【0027】
計画情報記憶部135は、後述する発電計画部144が30分毎に生成した各発電機及びVPPの充放電計画を記憶する。計画情報記憶部135は、例えば、制御対象の各発電機及びVPPの識別情報と、充放電計画を示す計画情報とを対応付けて記憶する。
【0028】
装置制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサに、装置記憶部13が記憶するプログラムを実行させることで実現される機能部である。装置制御部14は、BG需給管理装置10の各種処理を実行する。装置制御部14は、実績収集部141と、予測処理部142と、マスタ管理部143と、発電計画部144と、制御連携部145とを備える。
【0029】
実績収集部141は、例えば、5分周期で各発電機及びVPPの制御実績を収集する。実績収集部141は、装置間送受信部11を介して、5分周期で各発電機及びVPPの制御実績を収集し、例えば、各発電機及びVPPの識別情報と、制御の日時情報と、制御実績値とを対応付けて、実績値記憶部132に記憶させる。
【0030】
予測処理部142(第1予測処理部の一例)は、5分間隔で収集されたVPP需給管理装置20への制御指令(第1制御指令)に対する需給実績値(制御実績)に基づいて、BGにおける電力の需要予測値及び供給可能予測値を予測する。予測処理部142は、例えば、実績収集部141収集した需給実績値、マスタ情報記憶部131が記憶するマスタ情報、及び気象情報記憶部133が記憶する気象情報に基づいて、上位EMS管理外(VPP需給管理装置20の管理外)の需要予測、再エネ発電予測、及び制御可能量予測を行う。すなわち、予測処理部242は、各VPPに属さずにBG需給管理装置10が直接管理している需要及び発電に関しても、電力の需要予測値及び供給可能予測値を予測する。予測処理部142は、予測した予測値を予測値記憶部134に記憶させる。
【0031】
マスタ管理部143は、各種電源のマスタ情報を管理する。マスタ管理部143は、装置間送受信部11を介して、定期的に各種電源のマスタ情報を取得し、取得したマスタ情報をマスタ情報記憶部131に記憶させて管理する。マスタ管理部143は、例えば、各種電源の構成が変更された場合に、最新のマスタ情報を取得し、マスタ情報記憶部131が記憶するマスタ情報を更新する。すなわち、マスタ管理部143は、各種電源の追加、削除、変更、等に応じて、マスタ情報記憶部131が記憶するマスタ情報を更新する。
【0032】
発電計画部144(第1計画部の一例)は、予測処理部142が予測した需要予測値及び供給可能予測値に基づいて、30分毎の運転計画を生成する。発電計画部144は、例えば、VPPにおける発電機としての特性を示す発電機模擬データを、装置間送受信部11を介して、VPP需給管理装置20から取得する。発電計画部144は、予測値記憶部134が記憶する予測情報(予測処理部142が予測した予測情報及びVPP需給管理装置20から取得した予測情報)と、マスタ情報記憶部131が記憶するマスタ情報と、発電機模擬データとに基づいて、各発電機及びVPPの30分毎(30分周期)の充放電計画を生成する。
【0033】
発電計画部144は、生成した30分毎の充放電計画を計画情報記憶部135に記憶させる。
また、発電計画部144は、VPP毎の充放電計画を、装置間送受信部11を介して、VPP需給管理装置20に送信して連携する。
【0034】
制御連携部145(第1制御指令部の一例)は、発電計画部144が生成した30分毎の運転計画に基づいて、5分間隔(5分周期)で、制御指令(第1制御指令)をVPP需給管理装置20に送信する。制御連携部145は、実績値記憶部132が記憶する制御実績値(需給実績値)と、マスタ情報記憶部131が記憶するマスタ情報と、計画情報記憶部135が記憶する30分毎の充放電計画とに基づいて、各発電機及びVPPに対する5分間隔(5分周期)の制御指令(第1制御指令)を生成する。
【0035】
制御連携部145は、生成した5分間隔(5分周期)の制御指令を、装置間送受信部11を介して、電源制御装置群3及びVPP需給管理装置20に送信する。制御連携部145は、例えば、VPP単位で、装置間送受信部11を介して、VPP需給管理装置20に送信して連携する。
【0036】
VPP需給管理装置20(第2管理装置の一例)は、BG需給管理装置10の最上位EMS階層より下位の階層である上位EMS階層(第2階層)における電力需給を管理する。すなわち、VPP需給管理装置20は、BGの下位の階層であり、複数の分散型電源を仮想的な発電所として運用するVPPにおける電力需給を管理する。
【0037】
VPP需給管理装置20は、5分間隔で、制御指令(第1制御指令)を達成できるように、5分より短い1分間隔(第3単位期間の間隔)で、上位EMS階層より下位の階層であるローカルEMS階層(第3階層)に、制御指令(第2制御指令)を送信する。
また、VPP需給管理装置20は、装置間送受信部21と、NW通信部22と、装置記憶部23と、装置制御部24とを備える。
【0038】
装置間送受信部21は、例えば、ネットワークアダプタなどの通信デバイスにより実現される機能部である。装置間送受信部21は、専用回線又はネットワーク(例えば、インタネット)を介して、BG需給管理装置10との間、及びDEP装置30との間で情報の送受信を行って、VPP需給管理装置20及びDEP装置30との間で連携を行う。装置間送受信部21は、例えば、BG需給管理装置10に実績値、電力の可変量、コスト、及び予測値、等を送信する。また、装置間送受信部21は、BG需給管理装置10から制御指令を受信する。
【0039】
また、装置間送受信部21は、例えば、DEP装置30から実績値(ローカルEMS400の実績値)、等を受信する。また、装置間送受信部21は、DEP装置30及び電源制御装置群4に制御指令を送信する。
【0040】
NW通信部22は、例えば、ネットワークアダプタなどの通信デバイスにより実現される機能部である。NW通信部22は、ネットワークNW1に接続して、VPP需給管理装置20と外部サーバ2の間の通信を行う。NW通信部22は、例えば、外部サーバ2からの気象情報の受信、及びDR指令の受信、等に利用される。
【0041】
装置記憶部23は、VPP需給管理装置20が利用する各種情報を記憶する。装置記憶部23は、マスタ情報記憶部231と、実績値記憶部232と、気象情報記憶部233と、予測値記憶部234と、発電機模擬データ記憶部235と、制御計画記憶部236とを備える。
【0042】
マスタ情報記憶部231は、VPP需給管理装置20が管理する各種機器のマスタ情報を記憶する。マスタ情報には、各機器の機器マスタ情報(定格出力、停電用容量、制御可否時間帯、蓄電池保護設定)、需要家契約マスタ情報(契約電力(順潮流又は逆潮流)、調整契約プラン(定額又は従量)、調整契約従量価格、電気料金メニュー、電圧階級、エリア(需要場所情報))、等が含まれる。マスタ情報記憶部231は、例えば、各種機器の識別情報と、マスタ情報とを対応付けて記憶する。
【0043】
実績値記憶部232は、例えば、後述する実績収集部241が1分周期で収集した各ローカルEMS400の制御実績(需給実績値)を記憶する。実績値記憶部232は、例えば、各ローカルEMS装置40の識別情報と、制御の日時情報と、制御実績値(需給実績値)とを対応付けて記憶する。
【0044】
気象情報記憶部233は、NW通信部22を介して、外部サーバ2から取得した気象情報を記憶する。気象情報には、気象の予測情報及び実績情報が含まれ、例えば、天気、気温、湿度、日照時間、等の予測値及び実績値が含まれる。
【0045】
予測値記憶部234は、例えば、後述する予測処理部242が予測した予測情報(例えば、VPP需給管理装置20が管理するVPPの需要予測、再エネ発電予測、及び制御可能量予測)を記憶する。
【0046】
発電機模擬データ記憶部235は、後述する発電機模擬処理部244がモデル化した発電機模擬データを記憶する。ここで、発電機模擬データは、複数の分散型電源を仮想的な発電機に模擬したデータであって、VPPにおける発電機としての特性を示す情報である。
【0047】
制御計画記憶部236は、後述する制御計画部245が5分毎に生成した各ローカルEMS400の運転計画及び1分毎の制御指令を記憶する。計画情報記憶部135は、例えば、制御対象のローカルEMS400(ローカルEMS装置40)の識別情報と、充放電計画(運転計画)及び制御指令を示す制御計画情報とを対応付けて記憶する。
【0048】
装置制御部24は、例えば、CPUを含むプロセッサに、装置記憶部13が記憶するプログラムを実行させることで実現される機能部である。装置制御部24は、VPP需給管理装置20の各種処理を実行する。装置制御部24は、実績収集部241と、予測処理部242と、マスタ管理部243と、発電機模擬処理部244と、制御計画部245と、制御連携部246とを備える。
【0049】
実績収集部241は、例えば、1分周期で各ローカルEMS400の制御実績を収集する。実績収集部241は、装置間送受信部21を介して、1分周期で各ローカルEMS400(第3階層)の制御実績を収集し、例えば、各ローカルEMS400の識別情報と、制御の日時情報と、制御実績値とを対応付けて、実績値記憶部232に記憶させる。
【0050】
予測処理部242(第2予測処理部の一例)は、1分間隔(第3単位期間の間隔)で収集された制御指令(第2制御指令)に対する需給実績値に基づいて、上位EMS階層における電力の需要予測値及び供給可能予測値を予測する。予測処理部242は、例えば、1分間隔で収集されたローカルEMS400への制御指令(第2制御指令)に対する需給実績値(制御実績)に基づいて、各VPPにおける電力の需要予測値及び供給可能予測値を予測する。
【0051】
予測処理部242は、例えば、実績収集部241収集した需給実績値、マスタ情報記憶部231が記憶するマスタ情報、及び気象情報記憶部233が記憶する気象情報に基づいて、VPPの需要予測、再エネ発電予測、及び制御可能量予測を行う。予測処理部242は、予測した予測値を予測値記憶部234に記憶させる。
また、予測処理部242は、予測した予測値を、VPP単位で、BG需給管理装置10に送信して、連携する。
【0052】
マスタ管理部243は、各種機器のマスタ情報を管理する。マスタ管理部243は、装置間送受信部21を介して、定期的に各種機器のマスタ情報を取得し、取得したマスタ情報をマスタ情報記憶部231に記憶させて管理する。マスタ管理部243は、例えば、VPPにおける各種機器の構成が変更された場合に、最新のマスタ情報を取得し、マスタ情報記憶部231が記憶するマスタ情報を更新する。すなわち、マスタ管理部243は、VPPにおける各種機器の追加、削除、変更、等に応じて、マスタ情報記憶部231が記憶するマスタ情報を更新する。
【0053】
発電機模擬処理部244は、実績値記憶部232が記憶する制御実績(需給実績値)と、マスタ情報記憶部231が記憶するマスタ情報とに基づいて、各分散型電源を束ねて仮想発電所として最上位EMS(BG需給管理装置10)が取り扱えるようモデル化する。
【0054】
発電機模擬処理部244は、モデル化して生成した発電機模擬データを、発電機模擬データ記憶部235に記憶させる。また、発電機模擬処理部244は、装置間送受信部21を介して、発電機模擬データをBG需給管理装置10に送信して、連携する。
【0055】
制御計画部245(第2計画部の一例)は、予測処理部242が予測した需要予測値及び供給可能予測値に基づいて、5分毎の運転計画を生成する。制御計画部245は、装置間送受信部11を介して、5分間隔の制御指令をVPP需給管理装置20から取得する。制御計画部245は、予測値記憶部234が記憶する予測情報(予測処理部242が予測した予測情報)と、マスタ情報記憶部131が記憶するマスタ情報と、BG需給管理装置10から取得した5分間隔の制御指令とに基づいて、各ローカルEMS400の5分毎(5分周期)の運転計画を生成する。
【0056】
制御計画部245は、当該運転計画に基づいて、1分間隔の各ローカルEMS400への制御指令を生成する。
また、制御計画部245は、各ローカルEMS400の運転計画及び制御指令を、制御計画記憶部236に記憶させる。
【0057】
制御連携部246(第2制御指令部の一例)は、制御計画部245が生成した5分毎の運転計画に基づいて、1分間隔で、制御指令(第2制御指令)を各ローカルEMS400に送信して連携する。なお、制御連携部246は、DEP装置30を経由させて、各ローカルEMS400への制御指令を送信する。制御連携部246は、1分間隔(1分周期)の制御指令を、装置間送受信部21を介して、電源制御装置群4及びDEP装置30に送信する。
【0058】
なお、
図1において、VPP需給管理装置20及び電源制御装置群4とから構成されるシステムを、上位EMS200として説明する。
【0059】
DEP(Digital Energy Platform)装置30(連携装置の一例)は、複数のローカルEMS装置40からローカルEMS400の各機器を制御する制御指令(第3制御指令)に対する需給実績値(制御実績値)を受信し、受信した当該需給実績値を、VPP需給管理装置20に対応する形式に変換し、ローカルEMS装置40ごとに1分間隔で、VPP需給管理装置20に転送する。また、DEP装置30は、VPP需給管理装置20から受信した制御指令(第2制御指令)を、対応するローカルEMS装置40に、1分間隔で転送する。DEP装置30は、他のシステム、例えば、分散型電源監視制御プラットフォーム(ローカルEMS400)と連携し、分散型電源監視制御プラットフォーム(ローカルEMS400)とVPP需給管理装置20の間でプロトコル変換等を行う。
DEP装置30は、装置間送受信部31と、装置制御部32とを備える。
【0060】
装置間送受信部31は、例えば、ネットワークアダプタなどの通信デバイスにより実現される機能部である。装置間送受信部31は、専用回線又はネットワーク(例えば、インタネット)を介して、VPP需給管理装置20との間、及びローカルEMS装置40との間で情報の送受信を行って、VPP需給管理装置20及びローカルEMS装置40との間で連携を行う。
【0061】
装置制御部32は、例えば、CPUを含むプロセッサに、不図示の記憶部が記憶するプログラムを実行させることで実現される機能部である。装置制御部32は、DEP装置30の各種処理を実行する。装置制御部32は、実績収集部321と、上位連携部322と、ローカル連携部323とを備える。
【0062】
実績収集部321は、例えば、各ローカルEMS400から送信された制御実績を随時収集する。実績収集部321は、装置間送受信部31を介して、各ローカルEMS400(第3階層)の制御実績を収集する。
【0063】
上位連携部322は、実績収集部321が各ローカルEMS400から収集した制御実績を、VPP需給管理装置20用にプロトコル変換して、1分毎の制御実績として、VPP需給管理装置20に送信して連携する。上位連携部322は、装置間送受信部31を介して、1分毎の制御実績をVPP需給管理装置20に送信する。
【0064】
ローカル連携部323は、VPP需給管理装置20から受信した制御指令を、1分周期で、各ローカルEMS400(ローカルEMS装置40)に送信し、連携する。ローカル連携部323は、装置間送受信部31を介して、1分毎の制御指令を各ローカルEMS400(ローカルEMS装置40)に送信する。
また、ローカル連携部323は、VPP需給管理装置20から随時、マスタ情報を受け付けて、各ローカルEMS400(ローカルEMS装置40)に送信する。
なお、DEP装置30は、上述したプロトコル変換を行わず、分散型電源監視制御プラットフォーム(ローカルEMS400)とVPP需給管理装置20とのいずれか又はそれぞれで、プロトコル変換を行ってもよい。
【0065】
ローカルEMS装置40(第3管理装置の一例)は、ローカルEMS階層において、分散型電源を含む機器を管理する管理装置であって、1分間隔で、VPP需給管理装置20からの制御指令(第2制御指令)を達成できるように、1分より短い秒間隔(第4単位期間の間隔、例えば、1秒から20秒)で、分散型電源を含む機器に、制御指令(第3制御指令)を送信する。
【0066】
また、ローカルEMS装置40は、実績収集部421と、制御計画部422と、制御連携部423とを備える。
なお、
図1において、ローカルEMS装置40及び分散型電源群5とから構成されるシステムを、ローカルEMS400として説明する。
【0067】
装置間送受信部41は、例えば、ネットワークアダプタなどの通信デバイスにより実現される機能部である。装置間送受信部41は、専用回線又はネットワーク(例えば、インタネット)を介して、DEP装置30との間で情報の送受信を行って、VPP需給管理装置20及びローカルEMS装置40との間で連携を行う。
【0068】
装置制御部42は、例えば、CPUを含むプロセッサに、不図示の記憶部が記憶するプログラムを実行させることで実現される機能部である。装置制御部42は、ローカルEMS装置40の各種処理を実行する。装置制御部42は、実績収集部421と、制御計画部422と、制御連携部423とを備える。
【0069】
実績収集部421は、例えば、各ローカルEMS400の各機器から制御実績(受電点実績電力量((順潮流又は逆潮流)、発電実績電力量、充電可能量(kWh)、放電可能量(kWh)、等)、機器状態(例えば、運転状態、故障状態、及び接続状態)を示す情報、及びマスク情報(定格出力、停電用容量、等)を収集する。なお、各機器のマスク情報を取得できない場合には、実績収集部421は、上位(VPP需給管理装置20)から連携を受ける。
また、実績収集部421は、収集した実績値を、1分間隔で、DEP装置30を経由して、VPP需給管理装置20に送信する。
【0070】
制御計画部422(第3計画部の一例)は、実績収集部421が収集した制御実績値と、マスタ情報と、VPP需給管理装置20から取得した1分間隔の制御指令とに基づいて、各機器の1分間隔の運転計画を生成し、当該運転計画に基づいて、各機器への数秒~20秒間隔の制御指令を生成する。
【0071】
制御連携部423(第3制御指令部の一例)は、制御計画部422が生成した数秒~20秒間隔で、制御指令(第3制御指令)を各ローカルEMS400の各機器に送信して連携する。なお、制御連携部246は、DEP装置30を経由させて、各ローカルEMS400への制御指令を送信する。制御連携部246は、1分間隔(1分周期)の制御指令を、装置間送受信部21を介して、電源制御装置群4及びDEP装置30に送信する。
【0072】
図2は、本実施形態におけるローカルEMS400の一例を示すブロック図である。
図2に示す例では、ローカルEMS400は、ICE端末40aと、蓄電池5a、太陽光発電5b、及びEV(Electric Vehicle)5c(電気自動車)とを備える。
【0073】
ICE端末40aは、受電点地点(スマートメータ)と、蓄電池5aと、太陽光発電5bと、EV5cと通信可能であり、これらから情報収集、及び制御を実行可能である。
図2において、ICE端末40aは、上述したローカルEMS装置40の一例である。また、
図2において、蓄電池5a、太陽光発電5b、及びEV5cは、上述した分散型電源群5に対応する。
【0074】
次に、図面を参照して、本実施形態による電力需給管理システムの動作について説明する。
図3は、本実施形態による電力需給管理システム1の動作の概要を示す図である。
【0075】
図3に示すように、電力需給管理システム1は、最上位EMS階層のBG需給管理装置10と、上位EMS階層のVPP需給管理装置20と、ローカルEMS階層のDEP装置30/ローカルEMS装置40とを備えている。3つの階層のBG需給管理装置10、VPP需給管理装置20、及びDEP装置30/ローカルEMS装置40のそれぞれの管理装置は、「計測」、「予測」、「計画立案」、及び「制御」のサイクルを回す処理を実行する。
【0076】
処理S11に示すように、BG需給管理装置10は、30分周期で上記サイクルを回す処理を実行する。BG需給管理装置10では、「予測」において、予測処理部142が、BG配下の全再エネ、需要家をグループ単位で予測する。
また、「計画立案」において、発電計画部144が、BG全体でコスト最小、あるいは収益最大となる30分周期の発電計画(VPP含む)を策定する(処理S11)。
【0077】
また、「制御」において、制御連携部145が、30分同時同量達成(電力の需要と供給とを一致させる)のために5分単位で発電機(VPP含む)へ制御指令を送信する(処理S12)。
また、「計測」において、実績収集部141が、発電機(VPP含む)の5分実績を収集する。
【0078】
また、処理S13に示すように、VPP需給管理装置20は、5分周期で上記サイクルを回す処理を実行する。VPP需給管理装置20では、「予測」において、予測処理部242が、個別需要家単位で再エネ、需要を予測し、受電点電点毎の負荷を予測する。
【0079】
また、「計画立案」において、制御計画部245が、予測結果に基づき各需要家の調整可能量、調整コストを算出し、BGからの制御指令に従い、コスト最小となる5分計画を策定する(処理S13)。
なお、予測処理部242は、予測値を、BG需給管理装置10に送信して、連携する(処理S14)。
【0080】
また、「制御」において、制御連携部246が、BGからの5分制御指令達成のために1分単位で各需要家への制御指令を送信する(処理S15)。
また、「計測」において、実績収集部141が、各需要家の1分実績を収集する。
【0081】
また、DEP装置30/ローカルEMS装置40は、1分周期で上記サイクルを回す処理を実行する。DEP装置30/ローカルEMS装置40では、「計画立案」において、制御計画部422が、受電点制御指令を需要家内機器へ配分計画を策定する。
【0082】
また、「制御」において、制御連携部423が、配分された計画に基づいて、20秒毎に各機器を制御(自立運転する場合は秒制御)する制御指令を送信する(処理S16)。
また、「計測」において、実績収集部421が、各機器の20秒実績(自立運転する場合は秒制御の実績)を収集する。
なお、実績収集部421は、収集した実績を、VPP需給管理装置20に送信して、連携する(処理S17)。
【0083】
次に、
図4を参照して、本実施形態におけるBG需給管理装置10の動作の詳細について説明する。
図4は、本実施形態におけるBG需給管理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0084】
図4に示すように、BG需給管理装置10の実績収集部141は、各発電機及びVPPの制御実績を5分周期で取得する(ステップS101)。実績収集部141は、装置間送受信部11を介して、5分周期で各発電機及びVPPの制御実績を収集し、例えば、各発電機及びVPPの識別情報と、制御の日時情報と、制御実績値とを対応付けて、実績値記憶部132に記憶させる。
【0085】
次に、BG需給管理装置10の予測処理部142は、取得した実績値、マスタ情報、及び気象情報に基づいて、需要予測、再エネ発電予測、及び制御可能量予測を実行する(ステップS102)。予測処理部142は、例えば、実績収集部141収集した需給実績値、マスタ情報記憶部131が記憶するマスタ情報、及び気象情報記憶部133が記憶する気象情報に基づいて、上位EMS管理外(VPP需給管理装置20の管理外)の需要予測、再エネ発電予測、及び制御可能量予測を行う。予測処理部142は、予測した予測値を予測値記憶部134に記憶させる。
【0086】
次に、BG需給管理装置10は、VPP発電模擬データ(発電機模擬データ)をVPP需給管理装置20から取得する(ステップS103)。BG需給管理装置10の発電計画部144は、例えば、VPP発電模擬データ(発電機模擬データ)を、装置間送受信部11を介して、VPP需給管理装置20から取得する。
【0087】
次に、発電計画部144は、予測値、マスタ情報、及びVPP発電模擬データに基づいて、各発電機及びVPPの30分毎の充放電計画を生成する(ステップS104)。発電計画部144は、予測値記憶部134が記憶する予測情報(予測処理部142が予測した予測情報及びVPP需給管理装置20から取得した予測情報)と、マスタ情報記憶部131が記憶するマスタ情報と、発電機模擬データとに基づいて、各発電機及びVPPの30分毎(30分周期)の充放電計画を生成する。発電計画部144は、生成した30分毎の充放電計画を計画情報記憶部135に記憶させる。
【0088】
次に、BG需給管理装置10の制御連携部145は、30分毎の充放電計画をVPP需給管理装置20に送信して、連携する(ステップS105)。
【0089】
次に、制御連携部145は、30分毎の充放電計画に基づいて、各発電機及びVPPの5分毎の制御指令を生成する(ステップS106)。
【0090】
次に、制御連携部145は、5分毎の制御指令をVPP単位でVPP需給管理装置20に送信して、連携する(ステップS107)。制御連携部145は、装置間送受信部11を介して、5分毎の制御指令をVPP需給管理装置20に送信する。ステップS107の処理後に、制御連携部145は、処理をステップS101に戻し、ステップS101からステップS107までの処理を30分周期で繰り返す。
【0091】
次に、
図5を参照して、本実施形態におけるVPP需給管理装置20の動作の詳細について説明する。
図5は、本実施形態におけるVPP需給管理装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【0092】
図5に示すように、VPP需給管理装置20の実績収集部241は、各ローカルEMS装置40の実績値をDEP装置30経由で、1分周期で取得する(ステップS201)。実績収集部241は、装置間送受信部21を介して、1分周期で各ローカルEMS装置40の制御実績を収集し、例えば、各ローカルEMS400の識別情報と、制御の日時情報と、制御実績値とを対応付けて、実績値記憶部232に記憶させる。
【0093】
次に、VPP需給管理装置20の予測処理部242は、取得した実績値、マスタ情報、及び気象情報に基づいて、需要予測、再エネ発電予測、及び制御可能量予測を実行する(ステップS202)。予測処理部242は、例えば、実績収集部241収集した需給実績値、マスタ情報記憶部231が記憶するマスタ情報、及び気象情報記憶部233が記憶する気象情報に基づいて、需要予測、再エネ発電予測、及び制御可能量予測を行う。予測処理部242は、予測した予測値を予測値記憶部234に記憶させる。
【0094】
次に、VPP需給管理装置20の発電機模擬処理部244は、取得した実績値、及びマスタ情報に基づいて、分散型電源を束ねて、VPP発電模擬データ(発電機模擬データ)を生成し、BG需給管理装置10に送信して連携する(ステップS203)。発電機模擬処理部244は、装置間送受信部21を介して、VPP発電模擬データ(発電機模擬データ)をBG需給管理装置10に送信する。また、発電機模擬処理部244は、生成したVPP発電模擬データ(発電機模擬データ)を、発電機模擬データ記憶部235に記憶させる。
【0095】
次に、VPP需給管理装置20は、予測値をVPP単位でBG需給管理装置10に送信して連携する(ステップS204)。予測処理部242は、装置間送受信部21を介して、予測値をBG需給管理装置10に送信する。
【0096】
次に、VPP需給管理装置20の制御計画部245は、BG需給管理装置10から5分周期で、VPP単位で指令値を受信する(ステップS205)。制御計画部245は、装置間送受信部21を介して、VPP単位で指令値をBG需給管理装置10から受信する。
【0097】
次に、制御計画部245は、実績値、予測値、マスタ情報、及び指令値に基づいて、各ローカルEMS装置40の1分毎の制御指令を生成する(ステップS206)。
【0098】
次に、VPP需給管理装置20の制御連携部246は、1分毎の制御指令をDEP装置30経由で、ローカルEMS装置40に送信して、連携する(ステップS207)。制御連携部246は、装置間送受信部21を介して、1分毎の制御指令をDEP装置30に送信する。
【0099】
次に、制御連携部246は、BG需給管理装置10からの5分周期の制御指令値に対する各VPPの制御実績を、BG需給管理装置10に送信して連携する(ステップS208)。制御連携部246は、装置間送受信部21を介して、各VPPの制御実績を、BG需給管理装置10に送信する。ステップS208の処理後に、制御連携部246は、処理をステップS201に戻し、ステップS201からステップS208までの処理を5分周期で繰り返す。
【0100】
次に、
図6を参照して、VPP需給管理装置20の再配分処理について説明する。
図6は、本実施形態におけるVPP需給管理装置20の再配分処理の一例を示すフローチャートである。
【0101】
図6に示すように、まず、VPP需給管理装置20の実績収集部241は、各ローカルEMS装置40の実績値をDEP装置30経由で、1分周期で収集する(ステップS211)。
【0102】
次に、VPP需給管理装置20の制御計画部245は、収集した実績値に基づいて、当該30分コマのVPP全体実績を想定し、指令値に対する不足量を算出する(ステップS212)。
【0103】
次に、制御計画部245は、不足量が予め設定した閾値を超えるか否かを判定する(ステップS213)。制御計画部245は、不足量が予め設定した閾値を超える場合(ステップS211:YES)に、処理をステップS214に進める。また、制御計画部245は、不足量が予め設定した閾値を超えない場合(ステップS211:NO)に、処理をステ終了する。
【0104】
ステップS214において、制御計画部245は、各リソース(各電源及びVPP)の応答性能に基づく信頼度を算出する。
【0105】
次に、制御計画部245は、信頼度の悪いリソースの制御割当量を削減して、再配分する制御指令を出力する(ステップS215)。制御計画部245は、再配分する制御指令を生成し、制御連携部246は、装置間送受信部21を介して、再配分する制御指令を、DEP装置30経由で、ローカルEMS装置40に送信する。ステップS215の処理後に、制御連携部246は、処理を終了する。
【0106】
次に、
図7を参照して、本実施形態におけるDEP装置30の動作の詳細について説明する。
図7は、本実施形態におけるDEP装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
【0107】
図7に示すように、DEP装置30の実績収集部321は、各ローカルEMS装置40からの実績値を随時受け付ける(ステップS301)。実績収集部321は、装置間送受信部31を介して、各ローカルEMS400の制御実績を収集する。
【0108】
次に、DEP装置30の上位連携部322は、受け付けた実績値を1分周期でVPP需給管理装置20に送信して連携する(ステップS302)。上位連携部322は、収集した制御実績を、VPP需給管理装置20用にプロトコル変換して、装置間送受信部31を介して、1分毎の制御実績として、VPP需給管理装置20に送信する。
【0109】
次に、DEP装置30のローカル連携部323は、VPP需給管理装置20からの制御指令を随時受け付ける(ステップS303)。
【0110】
次に、ローカル連携部323は、受け付けた制御指令を1分周期でローカルEMS装置40に送信して連携する(ステップS304)。ローカル連携部323は、装置間送受信部31を介して、制御指令をローカルEMS装置40に送信する。
【0111】
次に、ローカル連携部323は、VPP需給管理装置20からのマスタ情報を随時受け付ける(ステップS305)。
【0112】
次に、ローカル連携部323は、受け付けたマスタ情報を1分周期でローカルEMS装置に送信して連携する(ステップS306)。ローカル連携部323は、装置間送受信部31を介して、マスタ情報をローカルEMS装置40に送信する。ステップS306の処理後に、ローカル連携部323は、処理をステップS301に戻し、ステップS301からステップS306の処理を繰り返す。
【0113】
次に、
図8を参照して、本実施形態におけるDEP装置30の動作の詳細について説明する。
図8は、本実施形態におけるローカルEMS装置40の動作の一例を示すフローチャートである。
【0114】
図8に示すように、ローカルEMS装置40の実績収集部421は、各機器の実績値、機器状態、及びマスタ情報を数秒~20秒周期で収集する(ステップS401)。実績収集部421は、例えば、分散型電源群5の各機器から、装置間送受信部41を介して、各機器の実績値、機器状態、及びマスタ情報を収集する。
【0115】
次に、ローカルEMS装置40の制御計画部422は、VPP需給管理装置20からの指令値(受電点の目標値)を、1分周期で、DEP装置30経由で受信する(ステップS402)。制御計画部422は、装置間送受信部41を介して、VPP需給管理装置20からの指令値(受電点の目標値)を受信する。
【0116】
次に、制御計画部422は、VPP需給管理装置20からの機器のマスタ情報を、不定期に、DEP装置30経由で受信する(ステップS403)。制御計画部422は、装置間送受信部41を介して、VPP需給管理装置20からの機器の機器マスタ情報(定格出力、停電用容量、制御可否時間帯、蓄電池保護設定)、需要家契約マスタ情報(契約電力(順潮流又は逆潮流))をDEP装置30経由で受信する。
【0117】
次に、制御計画部422は、実績値、指令値(受電点の目標値)、及びマスタ情報に
基づいて、各機器への数秒~20秒毎の制御指令を生成する(ステップS404)。
【0118】
次に、ローカルEMS装置40の制御連携部423は、数秒~20秒毎の制御指令を各機器に送信する(ステップ405)。
【0119】
次に、制御連携部423は、収集した実績値を、1分周期で、VPP需給管理装置20に送信して連携する(ステップS406)。制御連携部423は、装置間送受信部41を介して、実績収集部421が収集した実績値を、1分周期で、DEP装置30経由でVPP需給管理装置20に送信する。ステップS406の処理後に、制御連携部423は、処理をステップS401に戻し、ステップS401からステップS406の処理を繰り返す。
【0120】
以上説明したように、本実施形態による電力需給管理システム1は、複数の分散型電源及び発電機によるBG(バランスグループ)の電力需給を管理する電力需給管理システムであって、BG需給管理装置10(第1管理装置)と、VPP需給管理装置20(第2管理装置)とを備える。BG需給管理装置10は、BGの最上位階層である最上位EMS階層(第1階層)における電力需給を管理する。VPP需給管理装置20は、BG需給管理装置10の最上位EMS階層より下位の階層である上位EMS階層(第2階層)における電力需給を管理する。また、BG需給管理装置10は、VPP需給管理装置20から取得した需給実績値に基づいて、予め定められた30分(第1単位期間)で、BGにおける電力の需要と供給とを一致させるように、30分より短い5分間隔(第2単位期間の間隔)で、VPP需給管理装置20に第1制御指令を送信する。VPP需給管理装置20は、5分間隔で、第1制御指令を達成できるように、5分より短い1分(第3単位期間)の間隔で、上位EMS階層より下位の階層であるローカルEMS階層(第3階層)に、第2制御指令を送信する。
【0121】
これにより、本実施形態による電力需給管理システム1は、複数の階層により管理し、下位の階層に行く程、短い単位期間で制御するため、多種多様な分散型電源を用いて、BGにおける電力の需要と供給とを一致させる制御を、効率よく適切に行うことができる。よって、本実施形態による電力需給管理システム1は、小売電気事業者が、多種多様な分散型電源を扱うことができ、BGから個々の分散型電源までを一括で監視制御することができる。すなわち、本実施形態による電力需給管理システム1は、分散型電源を用いて、効率よく電力需給を管理することができる。
【0122】
また、本実施形態による電力需給管理システム1は、VPP需給管理装置20とBG需給管理装置10とで連携することで、大量の需要家分散型電源の管理を、高速、自動、低コストで行うことができる。また、本実施形態による電力需給管理システム1は、連系運転時、自立運転時ともに、制御対象/時間粒度の階層化により、高速、自動、低コストの制御を実現することができる。
【0123】
また、本実施形態では、BG需給管理装置10は、予測処理部142(第1予測処理部)と、発電計画部144(第1計画部)と、制御連携部145(第1制御指令部)とを備える。予測処理部142は、5分間隔で収集された第1制御指令に対する需給実績値に基づいて、BGにおける電力の需要予測値及び供給可能予測値を予測する。発電計画部144は、予測処理部142が予測した需要予測値及び供給可能予測値に基づいて、30分毎の運転計画を生成する。制御連携部145は、発電計画部144が生成した30分毎の運転計画に基づいて、5分間隔で、第1制御指令を送信する。VPP需給管理装置20は、予測処理部242(第2予測処理部)と、制御計画部245(第2計画部)と、制御連携部246(第2制御指令部)とを備える。予測処理部242は、1分間隔(第3単位期間の間隔)で収集された第2制御指令に対する需給実績値に基づいて、上位EMS階層における電力の需要予測値及び供給可能予測値を予測する。制御計画部245は、予測処理部242が予測した需要予測値及び供給可能予測値に基づいて、5分毎の運転計画を生成する。制御連携部246は、制御計画部245が生成した5分毎の運転計画に基づいて、1分間隔で、第2制御指令を送信する。
【0124】
これにより、本実施形態による電力需給管理システム1は、BG需給管理装置10とVPP需給管理装置20とのそれぞれにおいて、需要予測値及び供給可能予測値の予測処理、運転計画の立案、運転計画に基づく制御指令の送信、及び実績値の収集処理のサイクル処理を実行し、BG需給管理装置10よりも短い周期でVPP需給管理装置20のサイクル処理を行う。そのため、本実施形態による電力需給管理システム1は、BG需給管理装置10とVPP需給管理装置20とを用いて、安定、且つ、効率の良い電力需給の管理を実現することができる。
【0125】
また、本実施形態では、VPP需給管理装置20が管理する発電機には、複数の分散型電源を仮想的な発電所として運用するVPP(仮想発電所)が含まれる。発電計画部144は、需要予測値及び供給可能予測値と、VPPにおける発電機としての特性を示す発電機模擬データとに基づいて、30分毎の運転計画を生成する。制御連携部145は、30分毎の運転計画に基づいて、5分間隔で、VPPを含む発電機を制御する第1制御指令を送信する。
【0126】
これにより、本実施形態による電力需給管理システム1は、VPPを含むBGの管理を、適切、且つ、効率よく行うことができる。
【0127】
また、本実施形態による電力需給管理システム1は、ローカルEMS装置40を備える。ローカルEMS装置40は、ローカルEMS階層において、分散型電源を含む機器を管理するローカルEMS装置40(第3管理装置)であって、1分間隔で、第2制御指令を達成できるように、1分より短い秒間隔(第4単位期間の間隔)で、分散型電源を含む機器に、第3制御指令を送信する。
【0128】
これにより、本実施形態による電力需給管理システム1は、さらに下位階層(ローカルEMS階層)の制御を、さらに短い秒間隔(第4単位期間の間隔)で、制御するため、BGの管理を、さらに適切、且つ、効率よく行うことができる。
【0129】
また、本実施形態による電力需給管理システム1は、DEP装置30(連携装置)を備える。DEP装置30は、複数のローカルEMS装置40から、第3制御指令に対する需給実績値を受信し、受信した当該需給実績値を、VPP需給管理装置20に対応する形式に変換し、ローカルEMS装置40ごとに1分間隔で、VPP需給管理装置20に転送するとともに、VPP需給管理装置20から受信した第2制御指令を、対応するローカルEMS装置40に、1分間隔で転送する。
【0130】
これにより、本実施形態による電力需給管理システム1は、DEP装置30(連携装置)を備えることで、様々な仕様のローカルEMS400に対応して、VPP需給管理装置20が、制御実績を適切に収集することができる。そのため、本実施形態による電力需給管理システム1では、高精度の負荷予測、発電予測、及びDR可能量予測結果を、高速、且つ自動でBGに提供することができる。
【0131】
また、本実施形態による電力需給管理システム1は、複数の分散型電源及び発電機によるBGの電力需給を管理する電力需給管理システムであって、BG需給管理装置10と、VPP需給管理装置20とを備える。BG需給管理装置10は、BGの全体の電力需給を管理する。VPP需給管理装置20は、BGの下位の階層であり、複数の分散型電源を仮想的な発電所として運用するVPPにおける電力需給を管理する。BG需給管理装置10は、VPP需給管理装置20と連携して、VPP需給管理装置20から取得した需給実績値に基づく需要予測値及び供給可能予測値と、VPPにおける発電機としての特性を示す発電機模擬データとに応じて、予め定められた単位期間で、BGにおける電力の需要と供給とを一致させるように、VPP需給管理装置20に制御指令を送信する。
【0132】
これにより、本実施形態による電力需給管理システム1は、BG需給管理装置10とVPP需給管理装置20とが連携することで、高精度の負荷予測、発電予測、及びDR可能量予測結果を、高速、且つ自動でBGに提供することができ、分散型電源を用いて、効率よく電力需給を管理することができる。
【0133】
また、本実施形態による電力需給管理方法は、複数の分散型電源及び発電機によるBGの最上位階層である最上位EMS階層における電力需給を管理するBG需給管理装置10と、BG需給管理装置10の最上位EMS階層より下位の階層である上位EMS階層における電力需給を管理するVPP需給管理装置20とを備える電力需給管理システム1のBGの電力需給を管理する電力需給管理方法であって、第1ステップと、第2ステップとを含む。第1ステップにおいて、BG需給管理装置10が、VPP需給管理装置20から取得した需給実績値に基づいて、予め定められた30分で、BGにおける電力の需要と供給とを一致させるように、30分より短い5分間隔で、VPP需給管理装置20に第1制御指令を送信する。第2ステップにおいて、VPP需給管理装置20が、5分間隔で、第1制御指令を達成できるように、5分より短い1分間隔で、上位EMS階層より下位の階層であるローカルEMS階層に、第2制御指令を送信する。
【0134】
これにより、本実施形態による電力需給管理方法は、上述した電力需給管理システム1と同様の効果を奏し、分散型電源を用いて、効率よく電力需給を管理することができる。
【0135】
また、本実施形態による電力需給管理方法は、複数の分散型電源及び発電機によるBGの全体の電力需給を管理するBG需給管理装置10と、BGの下位の階層であり、複数の分散型電源を仮想的な発電所として運用するVPPにおける電力需給を管理するVPP需給管理装置20とを備える電力需給管理システム1のBGの電力需給を管理する電力需給管理方法であって、第1ステップを含む。第1ステップにおいて、BG需給管理装置10が、VPP需給管理装置20と連携して、VPP需給管理装置20から取得した需給実績値に基づく需要予測値及び供給可能予測値と、VPPにおける発電機としての特性を示す発電模擬データとに応じて、予め定められた単位期間(例えば、30分間隔)で、BGにおける電力の需要と供給とを一致させるように、VPP需給管理装置20に制御指令を送信する。
【0136】
これにより、本実施形態による電力需給管理方法は、上述した電力需給管理システム1と同様の効果を奏し、分散型電源を用いて、効率よく電力需給を管理することができる。
【0137】
図9は、本実施形態による電力需給管理システム1の各装置のハードウェア構成を説明する図である。
図9に示す装置は、電力需給管理システム1の各装置(BG需給管理装置10、VPP需給管理装置20、DEP装置30、ローカルEMS装置40、及びICE端末40a)のハードウェア構成を示している。
【0138】
図9に示すように電力需給管理システム1の各装置(BG需給管理装置10、VPP需給管理装置20、DEP装置30、ローカルEMS装置40、及びICE端末40a)は、通信デバイスH11と、メモリH12と、プロセッサH13とを備える。
【0139】
通信デバイスH11は、例えば、LANカード、等のネットワークNW1に接続可能な通信装置である。
メモリH12は、例えば、RAM、フラッシュメモリ、HDD、等の記憶装置であり、各装置(BG需給管理装置10、VPP需給管理装置20、DEP装置30、ローカルEMS装置40、及びICE端末40a)が利用する各種情報、及びプログラムを記憶する。
【0140】
プロセッサH13は、例えば、CPUなどを含む処理回路である。プロセッサH13は、メモリH12に記憶されているプログラムを実行させることで、各装置(BG需給管理装置10、VPP需給管理装置20、DEP装置30、ローカルEMS装置40、及びICE端末40a)の各種処理を実行する。
【0141】
なお、本開示は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、BG需給管理装置10、VPP需給管理装置20、DEP装置30、ローカルEMS装置40、及びICE端末40aの各装置は、1台の装置として実現される例を説明したが、これに限定されるものではなく、複数の装置により実現されてもよい。
【0142】
また、上記の実施形態において、電力需給管理システム1は、説明の都合上、VPP需給管理装置20及びローカルEMS装置40のそれぞれを1台備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、複数のVPP需給管理装置20及び複数のローカルEMS装置40を備えるようにしてもよい。
【0143】
また、上記の実施形態において、外部サーバ2が1台のサーバ装置である例を説明したが、これに限定されるものではなく、提供されるサービスごとにサーバ装置(複数のサーバ装置)を設けるようにしてもよい。
【0144】
なお、上述した電力需給管理システム1が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した電力需給管理システム1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した電力需給管理システム1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS及び周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0145】
また、「コンピュータシステム」は、インターネット、WAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0146】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に電力需給管理システム1が備える各構成で合体される構成、又は分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバ又はクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0147】
1…電力需給管理システム、2…外部サーバ、3,4…電源制御装置群、5…分散型電源群、5a…蓄電池、5b…太陽光発電、5c…EV、10…BG需給管理装置、11,21,31,41…装置間送受信部、12,22…NW通信部、13,23…装置記憶部、14,24,32,42…装置制御部、20…VPP需給管理装置、30…DEP装置、40…ローカルEMS装置、40a…ICE端末、131,231…マスタ情報記憶部、132,232…実績値記憶部、133,233…気象情報記憶部、134,234…予測値記憶部、135…計画情報記憶部、141,241,321,421…実績収集部、142,242…予測処理部、143,243…マスタ管理部、144…発電計画部、145,246,423…制御連携部、235…発電機模擬データ記憶部、236…制御計画記憶部、244…発電機模擬処理部、245,422…制御計画部、322…上位連携部、323…ローカル連携部、200…上位EMS、400…ローカルEMS、NW1…ネットワーク
【要約】
【課題】分散型電源を用いて、効率よく電力需給を管理する。
【解決手段】電力需給管理システムは、バランスグループの電力需給を管理する電力需給管理システムであって、前記バランスグループの最上位階層である第1階層における電力需給を管理する第1管理装置と、前記第1管理装置の前記第1階層より下位の第2階層における電力需給を管理する第2管理装置とを備え、前記第1管理装置は、前記第2管理装置から取得した需給実績値に基づいて、第1単位期間で、前記バランスグループにおける電力の需要と供給とを一致させるように、前記第1単位期間より短い第2単位期間の間隔で、前記第2管理装置に第1制御指令を送信し、前記第2管理装置は、前記第2単位期間の間隔で、前記第1制御指令を達成できるように、前記第2単位期間より短い第3単位期間の間隔で、前記第2階層より下位の第3階層に、第2制御指令を送信する。
【選択図】
図1