(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】PVC含有混合プラスチック廃棄物の熱分解のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C10G 1/10 20060101AFI20250307BHJP
C08J 11/12 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/12
(21)【出願番号】P 2023501447
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 US2021070837
(87)【国際公開番号】W WO2022011385
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-02-28
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】スン、ピン
(72)【発明者】
【氏名】ティスカ、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】モンタルバーノ、ジョセフ エー.
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-076688(JP,A)
【文献】特開平10-121056(JP,A)
【文献】特開平08-188780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/10
C08J 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合プラスチック廃棄物ストリームから塩化物含量が少ない熱分解油を生成するためのプロセスであって、
a.塩素含有プラスチック及び他のプラスチックを含む少なくとも2種類のプラスチックを含む前記混合プラスチック廃棄物ストリームを溶融反応器内で溶融させて、第1の塩化物高含有蒸気ストリーム及び第1の液体ストリームを生成することと、
b.前記第1の液体ストリームを熱分解反応器に送って、第2の塩化物高含有蒸気ストリーム、第2の液体ストリーム、及び固体粒子を生成することと、
c.前記熱分解反応器からの循環ストリームを含む前記第2の液体ストリームの一部を前記溶融反応器に送り、前記熱分解反応器からの前記第2の液体ストリームの一部を送って、加熱し、前記熱分解反応器に戻すことと、
d.前記第2の塩化物高含有蒸気ストリームを第3の蒸気ストリーム及び第3の液体ストリームに冷却及び分離し、次いで、前記第3の液体ストリームを吸着床に通して、残留塩化物を除去して、塩化物含量が少ない熱分解油を生成すること、
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記熱分解反応器に吸着剤を添加して、塩化物含有分子を吸着させることを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、その全体が本明細書に組み込まれる、2020年7月10日に出願された、仮出願第63/050704号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
全般的な分野は、必要とされる混合プラスチックの分類の量を最小限に抑えながら、プラスチック廃棄物ストリームを炭化水素に熱分解することである。具体的には、本開示は、下流の品質向上設備における塩化物の品質仕様を満たす、価値があり品質向上可能な熱分解油の生成に関する。
【背景技術】
【0003】
混合プラスチック廃棄物は、使用済みプラスチック廃棄物のゴミ回収(curbside waste collection)に由来する。混合プラスチック廃棄物はまた、広範囲の組成を有する特定の産業現場の廃棄物、例えば、建設廃棄物、包装廃棄物及び農業廃棄物に由来する。廃棄物リサイクル施設は、リサイクル可能なプラスチックを回収するための分類プロセスを適用する。混合プラスチック廃棄物は、分類後に残る廃棄物である。混合プラスチック廃棄物は、その寿命を終えたものとされ、一般に埋め立て又は焼却に送られる。熱分解プロセスによるケミカルリサイクリングにより、空気を含まない雰囲気及びより高い温度条件、例えば、350℃~900℃の下で、寿命を終えたプラスチック廃棄物を燃料又は石油化学原料代替物に変換することができる。
【0004】
混合プラスチック供給物は均一ではないが、広義の混合プラスチック廃棄物は、全7つのタイプ、すなわちポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、低密度及び高密度ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、及び他の雑多なプラスチックの混合プラスチックを含有し、これらのプラスチックは、様々な使用済み製品、例えば電子廃棄物、自動車廃棄物、ポリウレタンフォームの包装、カーペットナイロンなどに由来する。重合プロセス由来の、性能を向上させるための配合添加剤としての微量金属などの他の不純物が混合供給廃棄物に存在し得る。更に、紙、木材及び食品残留物などの少量の非プラスチックも存在する。
【0005】
混合プラスチックストリームは、材料回収設備における分類工程を既に経ている。典型的には、混合プラスチックストリームは、化学プロセスにおいて処理される前に更なる分類を必要とする。更なる分類の目的は、問題のある汚染物質をリサイクルプロセスから除外することである。非プラスチック、例えば、金属、汚れ及び木材は、明らかに望ましくない。全てのプラスチックが熱分解処理に好適であるわけではなく、PVCは、特に望ましくない。これは、PVCを未処理のままにしておくと、生成物中のPVCの塩化物誘導体が下流プロセスの冶金(metallurgy)を害する場合があるためである。汚染物質の排除において高い効率を達成するために、熱分解プロセスの前に、一般的な技術、例えば、細断、磁気、渦電流、重力分離、光学及び/又は静電分類などの組み合わせを含む分類プロセスが適用されてもよい。分類は非常に複雑で費用がかかる場合がある。汚染物質を除去するためのプロセス工程を適用することが所望される。本発明の課題は、予備分類工程に大量に投資する代わりに、ケミカルリサイクリング中に汚染物質除去を達成することである。本発明は、供給物におけるPVCに由来する塩化物誘導体に重点を置いている。熱分解ユニットの前に大部分のPVCを除去するための費用のかかる分類工程がない場合、先行技術のプロセスを用いて塩化物を許容可能なレベルまで処理することはできそうにない。下流の産業において、目標は、熱分解生成物中の塩化物が10ppw未満であることが好ましい。いずれの技術も、供給物中の約2%のPVCを取り扱うために必要とされる単一工程において99.999%の塩化物除去効率を達成することができない。本発明は、例えば、約1~6重量%のPVCを含有する供給物に対して相乗効果をもたらす一連の工程を使用して、PVC含有供給物を処理して、生成物中10ppw未満などの石油化学供給物又は精油所供給物に好適な低Cl範囲にする方法を教示する。
【0006】
段階的な塩化物除去は、可能な反応器タイプ及び効率的な熱供給戦略によって達成されなければならない。従来技術は、回転炉(米国特許出願公開第20170283706A1号、米国特許出願公開第201702182786A1号)又は押出機器(米国特許第10233393号)を使用することによるプラスチック廃棄物の熱分解を教示した。チャーを含む生成物の輸送は、回転炉を特定の回転フライで動作させること、又はオージェ型デバイスを利用することを伴う場合がある。最も一般的には、熱は、燃料ガスの燃焼、電気加熱又は高温油媒体によって反応器壁を介して間接的に伝達される。反応物への熱伝達は、壁と反応物との間の伝導率係数に依存する。この結果、反応器内に大きな温度勾配が生じる。壁付近のプロセス流体は、加熱された壁から離れたプロセス流体よりもはるかに高温である。正味の影響は、より高温の壁の近くの流体から生じる過剰なチャーの堆積と、結果としてのより不十分な熱伝達である。過剰なチャーの堆積は、壁及び壁-層流体に沿ってより大きな熱勾配をもたらす断熱材として更に挙動する。反応器内の均一な熱分布は、より低いチャー収率及びより高い生成物収率をもたらすはずである。そのような加熱システムはまた、熱分解プロセスのサイズを制限する。
【0007】
熱分解反応器の内部からの対流熱伝達の使用は、上述したような間接加熱に関する問題を回避するのに役立つ。これは、典型的には、プロセスストリームを循環させ、プロセスストリームが反応器のための加熱媒体として作用するように、外部加熱器又は交換器によってプロセスストリームを加熱することによって行われる(米国特許出願公開第20140114098A1号)。しかしながら、循環する熱媒体は熱的に分解する場合があり、これは加熱流体の選択を複雑にする。プラスチック自体も熱伝導率が低く、これは、大量の熱媒体が必要になる場合があることを意味する。米国特許出願公開第20140114098A1号は、溶融プラスチック供給物の低い熱伝導率を克服するための熱伝達助剤としての原油の使用を開示している。原油及びその蒸留留分は、熱分解反応器において見られる温度で著しく分解することが知られている。これは、原油の連続供給が必要とされることを意味する。これは、そのような供給を得ることが困難であり、プロセスに余分なコストが追加される場合に、実際の課題を提起する。プロセスストリームは、この調達問題を解決するので、加熱媒体のより良い選択である。循環されるプロセス由来の生成物ストリームは、加熱器の汚染及び交換器の汚染を回避するために、大きな金属固形物及び大きなチャー固形物を含まないものでなければならない。新規の反応器の設計によって、熱分解ポンプアラウンドストリームは、その固形物含有量を最小限にすることができ、その結果、ストリームは浸食せず、又は汚染せず、加熱媒体要件を提供することができる。
【0008】
したがって、混合プラスチックを取り扱うロバストなプロセス、特に、熱分解反応器の前でのプラスチック供給物の予備分類の量を最小限にするプロセスが必要とされている。プロセスは、供給物中に通常含まれている成分であるポリ塩化ビニルを取り扱わなければならず、ポリ塩化ビニルの熱分解に由来する生成物中の塩化物を最小限にしなければならない。反応器システムは、プロセスストリームを利用して反応器への高い熱伝達効率を維持しながら、円滑なプロセス動作のために、連続的に動作し、反応システムにおける任意の添加剤などの任意の有害な固形物を効果的に排除しなければならない。
【発明の概要】
【0009】
本明細書で企図される様々な実施形態は、供給物中の高PVC由来の混合プラスチック廃棄物ストリームを熱分解して、塩化物含量が少ない油生成物を生成するためのプロセス及び装置に関する。本明細書で教示される例示的な実施形態は、混合プラスチック廃棄物ストリームを熱分解するためのプロセスを提供する。実施形態はまた、前述のプロセスを可能にする必要な段階的プロセスを示す。
【0010】
例示的な実施形態によれば、混合プラスチック廃棄物ストリームを熱分解するためのプロセスが提供される。プロセスは、最小限に分類された混合プラスチック廃棄物ストリームを熱分解することを含む。混合プラスチック廃棄物ストリームは、熱分解プロセスに入る前の予備分類による塩化物除去の取り組みが限定的である供給物中に1~6重量%のPVCを含有し得る。廃プラスチックはまず、溶融反応器内のプロセスから生成される高温液体ストリームと接触する。この溶融反応器は、廃プラスチックを溶融し、本明細書において後で更に詳細に説明される蒸気ストリームを生成する。溶融反応器からの底部の液体は、溶融反応器の底部のストリームが蒸気ストリーム及び底部の液体ストリームに分解される熱分解反応器にポンプ輸送又は加圧されてもよい。熱分解反応器は、重合反応器において生成された液体材料のかなりのストックを含有する。この液体の一部は、溶融反応器においてプラスチック供給物と混合して、顕熱及び融解熱を提供する。この液体の残りは加熱され、熱分解反応器における全ての残りの反応熱及び気化熱を提供する。熱源は、燃焼され、反応に必要な熱及び反応器内の潜熱を提供する気体燃料又は液化燃料である。加熱された液体ストリームは、熱分解反応に必要な熱の全てを提供するので、主反応器よりも高い温度を有する。
【0011】
別の例示的な実施形態によれば、生成物中の塩化物の量を最小限に抑えながら、PVC含有供給物を熱分解するプロセスが提供される。高塩化物の除去は、製品仕様要件を満たすために段階的方法を必要とすることが見出されている。段階的方法は、少なくとも2つの工程を必要とし、低い生成物のClレベルを達成するための3つの工程を必要とし得る。脱塩素プロセスの第1の工程は、溶融工程におけるポリ塩化ビニルの塩化水素への部分変換を含む。この反応由来の塩化水素は、溶融反応器の蒸気ストリーム中に含有され、任意の炭化水素ガスと共に燃焼させるために、かつ場合によっては熱分解反応器に熱を提供するのを助けるために、焼却炉に直接送られる。次に、熱分解反応器から生成された塩化水素高含有ガスは、液体生成物が次第に凝縮される間に更に除去される。必要に応じて、細かく粉砕された固形吸着剤を反応器に添加して、吸着剤を塩化水素生成物と反応させることによって塩素の固着を増強させる。固形吸着剤は、残留塩化物と反応するアルカリに富む、安価な反応物質である。凝縮により、塩化水素高含有ガスが主熱分解油生成物から分離される。凝縮された熱分解油生成物は、後処理床に送られる。吸着体の小さい床は、生成物の塩化物含量をほぼ0パーセントまで更に除去する。本明細書に記載されるプロセス及び装置を用いて、供給物中5800ppw超から生成物中10ppwにClを処理する段階的アプローチを利用する相乗効果は、これまで知られていない。本発明は、塩化物除去のための相乗的方法を開示し、第1の脱塩素タンクのサイズは、主分解反応器よりもはるかに小さくてもよい。これらの床において必要とされる吸着体の量は、上記の他の工程によって最小化される。最終の仕上げの(polish)塩化物除去工程は、本発明の一部として吸着体溶液を使用して経済的である。本発明は、混合プラスチック供給物が、高いPVC含量、例えば、1重量%より多いPVC含量を有する場合に、供給末端での大規模な予備分類の必要性を排除する。本発明は、単一の技術では、記載されたプロセス及び装置を用いて実用的な規模で達成することができない、最終熱分解油生成物中の低塩素レベル、例えば、生成物中で10ppwm未満、又は好ましくは6ppm未満などを達成する。
【0012】
このプロセスは、最小限に分類された混合プラスチック供給物を使用するにもかかわらず、熱統合、熱分解動作及び固体分離を維持するための方法を提供するために、連続反応器を利用する。
【0013】
本開示のこれらの特徴、態様、及び利点、並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲を考慮することでより良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
様々な実施形態が、次の図面と共に以下に説明され、同様の番号は、同様の要素を示す。
【
図1】例示的な実施形態による混合プラスチックストリームを熱分解するためのプロセス及び装置の概略図である。
【
図2】例示的な実施形態による混合プラスチックストリームを熱分解するための代替的なプロセス及び装置の概略図である。
【0015】
定義
本明細書で使用される場合、用語「反応器」は、供給物ポリマーのための滞留時間を提供する熱分解容器を意味する。溶融タンク反応器は、混合プラスチック供給物の大部分が物理的溶融を経て粘性液体になるときに、混合プラスチック供給物の一部のみが熱分解される反応器である。主な熱分解反応器のタイプが上で紹介されており、対流熱伝達を使用するウェルミックスド(well-mixed)タイプの反応器は、炉又はスクリュー押出機によって提供される間接的な伝導性ヒータ伝達に勝る利点を有する。ウェルミックスド反応器では、液体空間全体にわたって確立された均一な温度分布が見られる。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「混合プラスチック供給物」は、2種類以上のポリマーが供給物中に存在することを意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「生成物」は、熱分解反応後のマスストリームの一部を意味する。生成物は、利益のために販売され得る主要生成物、すなわち、主要な利益のある生成物を目的とするときの副生成物であるストリームとして広範であり得る。現在の文脈において、熱分解反応は、溶融供給物の5~10重量%の炭化水素ガスを含有する残留ガス状生成物、室内条件に凝縮された場合に70~90重量%の収率の液体、副生成物とみなされるような高い利益を有し得ない液体及び固体の混合物として反応器の排出物に由来する2~15重量%の残留物を生成する。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「残留物」は、プロセス工程後に残る部分を意味する。現在の文脈において、残留物は、具体的には、主生成物よりも、下流の用途に対して相対的に低い有益な使用を有する液体及び固体の混合物としてプロセスの境界を離れるストリームである。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「チャー」は、プラスチック供給ストリームが熱分解された後に残る固体材料である。チャーは、一般に残留物ストリームに埋め込まれる炭素質副生成物である。チャーは、主生成物を製造する際の必然的な,副生成物である。チャーを減少させるように反応戦略を適合化することができるが、チャーを排除することはできない。特定のプラスチック組成物は、別のものよりも多い量のチャーを生じさせる。電子廃棄物由来のPVC、PET、PS又はアクリロニトリルブタジエンスチレンなどの硬質プラスチック及び芳香族分子含有プラスチック化合物は、同等の処理条件でポリエチレン及びポリプロピレンよりも多くのチャーを生成する傾向があることが知られている。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「固体」は、固体状態の材料である。上述のように、混合プラスチックは、ポリマー製造プロセス中に導入される層状添加剤(layered additive)を含有してもよい。一例は、MgO、CaO及びLi2Oベースのガラス繊維種である。別の例は、導電性プラスチックを形成する場合の亜鉛、鉛又はカドミウムベースの金属充填剤である。金属又はアルカリ金属は、最終的に固体形態の残留物ストリームとなる。別の形態の固体は、反応時に塩化物含有分子を反応させるのに有用な吸着剤に由来し得る。例としては、天然鉱物由来である場合が多い水酸化物、酸化物又はその炭酸塩中のカルシウム系吸着剤が挙げられる。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「部分」は、主要なストリームと比較して組成のいかなる変化も伴わずに主要なストリームから採取又は分離される量又は部分を意味する。更に、用語「部分」は、取り出された部分又は分離された部分を複数の部分に分割することを含み、各部分は、主要なストリームと比較して同じ組成を保持する。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「ユニット」は、1つ以上の設備機器及び/又は1つ以上のサブユニットを含む領域を指すことができる。設備機器としては、1つ以上の反応器又は反応容器、加熱器、分離器、ドラム、交換器、パイプ、ポンプ、圧縮機、及びコントローラが挙げられ得る。加えて、反応器、乾燥機、又は容器などの設備機器は、1つ以上のユニット又はサブユニットを更に含むことができる。
【0023】
用語「連通」は、列挙された構成要素間で材料の流れが動作可能に許容されることを意味する。
【0024】
用語「下流連通」は、下流連通において対象に流れる材料の少なくとも一部が、連通する物体から動作可能に流れることができることを意味する。
【0025】
用語「上流連通」は、上流連通において対象から流れる材料の少なくとも一部が、連通する物体に動作可能に流れることができることを意味する。
【0026】
用語「直接連通」又は「直接に」は、上流構成要素からの流れが、物理的分画(physical fractionation)又は化学変換による組成変化を受けることなく下流構成要素に入ることを意味する。
【0027】
用語「塩化物」は、有機形式又は無機形式のいずれか一方で、供給物、生成物油、又は生成物の蒸気ストリームにおけるPVC中に様々な形式で化学的に配合される塩素を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「沈降」は、固体と液体との分離を指し、具体的には、固体を反応容器に向かって又は反応容器内で下方に移動させることを指す。固体が沈降する傾向がある場合、固体のキャリア液体は、加速し続ける必要があるので、速度を提供することができないか、液体固体間の引きずり力(drag force)のみによって、液体流の連続スペクトルからの固体の沈降を防ぐことができない。臨界液体速度は、しばしば「終端速度」又は「沈降速度」として知られている。固体が沈降するとき、固体は液体平均速度からのスリップ速度を有するか、又は遅れる。これが固体群に対して起こるとき、固体は、固体輸送の遅れのために勾配中に濃度を蓄積する傾向があり、又は液体がパイプ若しくは容器中を移動するときに沈殿物を形成する傾向がある。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「品質」。熱分解生成物の品質とは、熱分解生成物を下流の用途に多かれ少なかれ好適にする多くの化学組成を指す。混合プラスチック熱分解の一般的な目的は、下流の精製所で使用することができる生成物を作り出すことである。その生成物の炭化水素含量は品質の重要な尺度である。特に、本発明に関連する重要な品質尺度は塩化物含有量である。塩化物含有量は、有機形式又は無機形式のいずれにおいても、冶金腐食(metallurgy corrosion)をもたらす傾向がある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の「発明を実施するための形態」は、本質的に単なる例示であり、様々な実施形態又はこれらの用途及び使用を限定することを意図するものではない。更に、前述の背景技術又は以下の詳細な説明で提示される、いずれの理論によっても拘束されることは意図していない。図は、プロセスの性能を説明するために特に必要とされない、容器内部、温度及び圧力制御システム、流量制御弁、再循環ポンプなどのこの種類のプロセスにおいて慣習的に用いられる多数の装置を削除することによって簡略化されている。更に、特定の図面の実施形態における現在のプロセスの例示は、本明細書に記載される特定の実施形態にプロセスを限定することを意図するものではない。
【0031】
示されるように、図中のプロセスのフローラインは、例えば、ライン、パイプ、分岐、分配器、ストリーム、流出、供給、生成、部分、触媒、回収、再循環、吸引、排出、及び苛性剤(caustic)と互換的に称され得る。
【0032】
金属及びチャー生成物を有するポリ塩化ビニル含有廃棄物ストリームを熱分解するための混合プラスチック廃棄物熱分解プロセスが提供される。プラスチック廃棄物ストリームを熱分解するためのプロセスは、
図1に示されるような実施形態によるプロセス及び装置100に関して対処される。
図1を参照すると、プロセス及び装置100は、溶融反応器101、熱分解反応器102、分離ユニット103及び104、吸着床セクション105、廃ガス燃焼及び油熱交換器セクション(焼却炉とも呼ばれる)106、ガス浄化セクション107、並びに、最後に、任意選択的な分留及び貯蔵部108を有する生成物指定セクションを含む。
【0033】
一実施形態では、混合プラスチック残留物ストリームは、7つのタイプのプラスチック分類、すなわち、ポリエチレンテレフタレート、低密度及び高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン及び他の様々なプラスチックを含む様々なプラスチック廃棄物を含むことができる。プラスチックの少なくとも1つのタイプはポリ塩化ビニルである。米国環境保護庁は、Advanceing Sustainability Material Management:2016年及び2017年の表及び図において、米国平均で、約3%のポリ塩化ビニル、約13%のポリエチレンテレフタレート、約7%のポリスチレン、及び約11%の他のプラスチック及び未定義のものが、最終的に埋め立てられる2017年の廃プラスチック混合物になることを報告している。各プラスチックタイプの相対量は、再生プラスチックの収集場所に応じて変化する。
【0034】
他の雑多なプラスチックは、電子廃棄物中に見出されるアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリウレタンフォーム包装、カーペットナイロン及びポリスルホンを含む様々な使用済み製品に由来し得る。混合プラスチック残留物ストリームは、紙、木材、アルミニウム箔、いくつかの金属導電性充填剤又はハロゲン化若しくは非ハロゲン化難燃剤などの不純物を含有するものとしても一般に知られている。熱分解反応の間、これらの不純物の一部は、生成物ストリーム中のヘテロ原子と関係し得る。主生成物中の全てのヘテロ原子のうち、ポリ塩化ビニルに由来する塩化物は、冶金腐食への関連に起因して品質に関して最も懸念される。
【0035】
一実施形態では、さもなければ埋立地に送られる材料回収施設(material recovering facility、MRF)の加工終点における混合プラスチック廃棄物が、熱分解供給物のために使用される。
図1において、混合供給物ストリームを、MRFサイトにおいて最小限に分類し、受け取り、圧縮フレーク又はペレットとしてシステムに添加する。混合供給物ストリーム1を溶融反応器101に添加する。混合プラスチック廃棄物が熱分解されているとき、新供給物速度に基づいて、1重量%のポリ塩化ビニルは、理論上約5800ppmwの塩化水素を生成する。最小限に分類された混合供給物ストリームは、内部に1重量%超のPVCを含有し得る。低温混合プラスチック材料は、300~350℃の温度に達するように高温液体ストリーム8と混合する。溶融反応器101は、脱塩素反応器として機能し、200℃(392°F)~350℃(662°F)、又は好ましくは280℃(536°F)~320℃(608°F)の温度、0.069MPa(ゲージ)(10psig)~1.38MPa(ゲージ)(200psig)、又は好ましくは0.138MPa(ゲージ)(20psig)~0.345MPa(ゲージ)(50psig)の圧力、0.1時間-1~2時間-1、又は好ましくは0.2時間-1~0.5時間-1の新しい溶融供給物の液空間速度、及び窒素雰囲気下、又は1.7Nm3/m3(10scf/bbl)~170Nm3/m3プラスチック溶融物(Nm3/m3 of plastic melt)(1,000scf/bbl)、若しくは好ましくは17Nm3/m3(100scf/bbl)~850Nm3/m3プラスチック溶融物(Nm3/m3 plastic melt)(500scf/bbl)の専用の窒素掃引(sweeping)速度下で動作し得る。システム100は、溶融がほぼ完了するまでプラスチック溶融物が十分に混合された状態に保つためのミキサーを備えた溶融反応器101を有する。溶融反応器は、未変換の供給塩化物の画分を依然残し得る。本発明は、工程の組合せを用いて高い塩化物除去効率を経済的に可能にする段階的脱塩素方法を提供する。本発明において、生成物の品質目標は、高PVC含量、例えば、1~6重量%を含有する混合プラスチックで、40ppmw未満の塩素、又は10ppmw未満の塩素、又は好ましくは6ppmw未満の塩素であり得る。このような目的は、単一のプロセス工程において現実的に、経済的に達成することができない。溶融反応器101において、ポリ塩化ビニルは、塩化物分子がフリーラジカル反応によって除去され、近くの部位で水素を抽出して、塩化水素を形成する「アンジッピング(unzipping)」反応によってほとんど熱分解される。この反応は「脱塩素」反応としても知られている。溶融反応器101の温度は、塩化水素の収率を最大化し、形成される反応性オレフィン及び他の有機塩化物の量を最小化するように、プラスチック成分の大部分を溶融するが、プラスチック成分の大部分の分解温度にかろうじて到達するように選択される。加熱脱塩素は、無酸素環境においてPVC含有混合プラスチック供給物を加熱することを伴う。PVC中の塩化物は約280°Cで熱分解し、感知できる脱塩素反応速度は約300℃で生じる。PVC由来の塩化物含有フリーラジカルは、水素を引き抜いて安定化された分子形態になる傾向がある。混合供給物中の他のプラスチックも約300℃より高い温度で溶融を開始する。ポリスチレンは約320℃で熱分解を開始し、他のプラスチックタイプは約340℃以上でかなりの変換率で熱分解を開始することができる。PVC又は新たに形成された塩化水素由来の塩化物含有フリーラジカルは、オレフィン配位子と結合して塩化物含有分子を形成する傾向がある。一旦形成された塩化物含有分子は、塩化物で汚染された熱分解油生成物をもたらす。溶融タンクにおいて、溶融タンク条件を注意深く設計することによって、再結合反応による塩化物含有分子の形成を最小限に抑えることができる。上記のように、溶融タンク温度は、PVCの脱塩素及び他のプラスチックの溶融のみに焦点を当てるために、好ましくは280℃(536°F)~320℃(608°F)である。脱塩素反応速度は、温度及び滞留時間の関数である。動作温度がより低い場合、PVC脱塩素反応を完了するためにより大きな反応器の体積が必要となる。例えば、供給物が、約2重量%のPVC又は約1.16重量%の塩化物を含有する場合、理論上、99.999%の脱塩素効率が、単一の工程において目標塩化物除去を達成するために必要とされる。実際の適用において、それは達成可能ではない。単一のタンク反応器において、本発明者らは、脱塩素効率が、一次反応速度法則にほぼ従い、反応器サイズ又は滞留時間とともに効率が増加するが、一次CSTR反応速度論によって広く知られているように、反応器サイズを増加させたときの脱塩素変換率のリターンは、より高い変換率では減少することを見出した。したがって、単一の工程の脱塩素反応器が90%を超える脱塩素効率を達成することは実際的ではない。プロセスの実用性を測定するために、脱塩素反応器が主分解反応器よりもサイズが大きい場合、前処理工程は主反応の必要性を超え、「実用」設計のスレッドホールドを超える。実際的な制約によって制限されて、単一の脱塩素反応器は、90%の実際的な脱塩素除去、又はより実際的には約80%~約90%の脱塩素除去を有することができる。おそらく、更なる制約が適用され、溶融タンクにおける実際のCl変換率が更に低下すると思われる。例えば、熱伝達の制限により、全体的な反応速度が遅くなり、好ましくは、容器の壁を通じて外部から溶融タンクを加熱する代わりに、主反応器からのストリームを溶融タンク反応器に循環させて、熱伝導性による加熱の障壁を排除する。これは、より熱い壁に起因する伝導性遅延の問題及びコーキングを解決するが、循環液がPVCから塩化物を変換するためにより多くの滞留時間を必要とすることがトレードオフである。結論として、溶融タンク内での90%より高い脱塩素変換率は非実用的であると考えられる。本発明は、教示された反応器の設計に限定され得ず、反応器の設計に関する本発明者らの教示は、低塩素生成物の生成に関して本発明を可能にする。生成物において低塩素に達するのに必要な効率を達成するために、様々な技術を使用する更なる相乗的工程を以下に更に教示する。
【0036】
未変換のPVC中の塩素又は溶融反応器底部に残った有機塩化物について、続いて熱分解反応器中で熱分解を更に完了させ、塩化水素及びその炭化水素誘導体を形成させる。同じ主反応器条件で、プラスチック混合物の大部分は、ある範囲の炭化水素分子、すなわち、1~50以上の範囲の炭素数のパラフィン、オレフィン及び芳香族に熱分解される。ヘテロ原子含有分子も存在する。第1の低温融解工程後も残存する残りの塩化物分子は、その親分子とは分子形成が異なる。残りの塩化物分子は、塩化物ラジカルに変換するために、より高い活性化エネルギー又は高温を必要とする。安定な有機塩化物生成物を形成するための2つの可能な経路が存在する。塩化水素結合熱分解炭化水素生成物は、液相熱分解反応器における有機塩化物分子のための既知の経路である。新たに発生する塩化物フリーラジカルはまた、分解された炭化水素と直接反応して、形成される有機塩化物分子を安定化させることができる。有機塩化物形成ウィンドウは、熱分解及び凝縮条件、例えば、50~450℃を包含する広範囲の動作条件と一致する。上述したように、いずれかの反応機構の結果として熱分解生成物によって運ばれる有機塩化物が最終的な成果物となり、生成物の品質が低下する。全ての塩化水素が有機塩化物に化学的に変換されるわけではなく、主熱分解反応器内で形成された塩化水素は、生成物の構築が液体形態で凝縮されるときに非凝縮性蒸気と共に逃げる。場合によっては、主分解反応器における脱塩素の強化として、脱塩素を更に改善するために吸着剤を添加することができる。固形吸着剤が液体熱分解プロセスに導入されると、反応機構のいずれかが影響を受ける。塩化物ラジカル又は塩化水素は、アルカリ土類表面に対して親和性を有する。ナトリウム又はカルシウム分子は、炭化水素と反応する新たに生じる塩化物フリーラジカルを妨害する。ナトリウム又はカルシウム分子はまた、熱分解生成物分子と結合する前に塩化水素中間体と直接反応してもよい。吸着剤の使用条件を以下に更に教示する。吸着剤の適用方法には最適条件が存在する。
【0037】
溶融反応器は、供給物1から第1の蒸気ストリーム2及び第1の液体ストリーム3を形成する。第1の液体ストリーム3は混合プラスチック溶融物を含有し、塩化物の大部分は蒸気ストリーム2において除去されている。第1の液体ストリーム3は、主熱分解反応器102に送られる。主熱分解反応器は、全ての混合プラスチックが、第1の液体ストリーム3を指定された生成物スレートに変換するのに十分な滞留時間を提供する。主熱分解反応器は、300℃(572°F)~550℃(1022°F)、又は好ましくは380℃(716°F)~450℃(842°F)の温度、0.069MPa(ゲージ)(10psig)~1.38MPa(ゲージ)(200psig)、又は好ましくは0.138MPa(ゲージ)(20psig)~0.345MPa(ゲージ)(50psig)の圧力、0.1時間-1~2時間-1又はより好ましくは0.2時間-1~0.5時間-1の新しい溶融供給物の液空間速度、及び窒素雰囲気下、又は17Nm3/m3(100scf/bbl)~850Nm3/m3プラスチック溶融物(5,000scf/bbl)、若しくはより好ましくは170Nm3/m3(1000scf/bbl)~340Nm3/m3プラスチック溶融物(2000scf/bbl)の速度で専用の窒素掃引ストリーム4の下で動作し得る。
【0038】
本発明は、主熱分解反応器の周りに設計された脱塩素手法の第2の工程を適用する。主反応器は種々のポリマーを解重合する。未変換PVC溶融タンクは、更に塩化水素に変換される。塩化水素の一部はオレフィン系熱分解油と反応して有機塩化物を形成する。塩化水素の一部は蒸気ストリーム13として出て行く。塩化水素の一部は、反応器底部残留物ストリーム7によって運ばれる廃棄物ストリームとして出て行く。脱塩素の効率又は増分脱塩素変換は、次の段階に進む液体生成物中の生成物塩化物質量流中の塩化物の消失として定義され、塩化物質量流は主反応器の境界部に入る。より高い脱塩素効率を達成するには、液体ストリーム7及び蒸気ストリーム13中の塩化物質量流を濃縮する必要がある。脱塩素効率は、40~80%、すなわち、80%未満であることが多いことが本発明者らに実験的に知られている。
【0039】
脱塩素効率を更に向上させるために、微細に粉砕された固形吸着剤ストリーム5を熱分解反応器102の頂部において供給物に導入して、液体ストリーム7への塩化物除去を増加させてもよい。好適な粒子サイズは、90%の粒子が1~100μmのサイズ範囲にあるようなものであり得る。選択される吸着剤は、天然に存在するアルカリ性物質、例えば、炭酸カルシウム、生石灰、又は水酸化カルシウムベースの鉱物若しくは採掘プロセスからの生成物/副産物を含んでもよい。吸着剤の選択はまた、その利用可能性、粉砕性、活性、それ故に、使用及びコストに依存する。主分解反応器102における吸着剤の使用及び溶融タンク101における加熱脱塩素化は相乗効果を有する。溶融タンク内での加熱脱塩素は、90%+の脱塩素変換に好適ではない。主反応器102において吸着剤を使用することによる塩化物除去は、非自明の理由によっても90%を超える増分変換率を実際に超えることはできない。本質的に、吸着剤と塩化物含有分子との間で安定な生成物としてCaCl2を形成するために、カルシウムと塩化物との間の化学量論原子比は、2よりもはるかに大きい必要がある。典型的には、用量は3~6モル比以内である。最適なCa/Clモル比が存在し、その結果、主反応器102における最適な塩化物変換率が存在する。固形吸着剤、塩化物を含有する液体分子、又は熱分解反応の最終連鎖から新たに放出された新たに形成された塩化水素が徹底的に混合されるため、ウェルミックスド反応器が非常に好ましい。ウェルミックスド反応器は、液体/固体混合のみに起因して、非混合押出又は炉反応器と比較して利点である。微粉砕は吸着剤の分散を増加させるが、非現実的な粒径目標、例えば、平均として10μm未満の粒径を追求する場合にはコスト高となる。本発明者らの権利に係る情報によれば、2.5~4がより最適な比であると考えられ、その結果、反応器の混合及び粒径の制約から、80~90%の塩化物変換率が、より典型的である。更に説明すると、液体-固体及び吸着剤のサイズが決定される場合、吸着剤の利用の比(導入されたカルシウムの質量に対する捕捉された塩化物の質量の比として定義される)は、増加するカルシウム/塩化物のモル比の関数として減少する傾向がある。吸着剤の使用に対する吸着剤対格納比の同様の傾向は、酸化カルシウムの使用が典型的には化石燃料燃焼反応器から放出されるSOxを吸収するために適用されるような、より知られているが、同様の商業的シナリオに直感的に類似している(例は、processing and Utilization of High-Sulfur Coals V:Proceedings of the Fifth edited by B.K.Parekh,J.G.Groppo、426頁、
図3によって示されている)。システムからの塩化物が多いため、より多くの吸着剤を導入しなければならない。しかしながら、より多くの吸着剤を添加すると別の制限が生じる。本質的に廃プラスチックの熱分解は、分子量(例えば、グラム/モル)が数千又はそれ以上の大きなポリマー分子を数十又は数百に解重合する。したがって、熱分解生成物は非常に揮発性である。推定として、供給物の大部分は蒸気生成物に変換され、ストリーム6に残る。供給物のはるかに少ない画分が、液相における残留物ストリームとして出る。ストリーム6と水蒸気7との間の質量比は2.3~9であってもよい。供給物に添加される吸着剤の一部について、濃縮係数(主反応器2への供給物中の固体重量%に対する残留物ストリーム7中の固体重量%の比として定義される)は、3.3~10倍である。典型的には、反応器残留物中の固形吸着剤を制限する必要がある。結果として、主反応器における吸着剤-塩化物反応による脱塩素は、カルシウムの使用に対する制約に起因して、変換限界、例えば80~90%を有する。1つの例示的な場合において、吸着剤を熱分解反応器に添加することによって、吸着剤対除去塩化物の比が2.5~4であり、使用済み吸着剤を反応器残留物ストリームにおいて5重量%に制限することがより好ましいことが見出され、約90%の塩化物除去が溶融タンクによって行われ、続いて別の90%の除去が主反応器において行われる場合、増分の反応器の脱塩素化が最適である。
【0040】
実際的な意味では、10ppmw未満、又は好ましくは5ppmw未満のClを達成するための塩化物除去の効率は、各反応器工程における脱塩素効率を最大化すること、例えば90%より大きい脱塩素効率が必要である。溶融タンク内の溶融加熱脱塩素と、蒸気を除去し、反応器の残留物を排除することによる主反応器の固定との組合せも、溶融タンク内の溶融加熱脱塩素と、蒸気を除去し、反応器の残留物を吸着剤強化で排除することによる主反応器の固定との組合せも、生成物における10ppmw未満の塩化物、好ましくは5ppmw未満の塩化物を達成することができない。これは、供給物のPVC含量が1%より大きい場合にますます当てはまる。この場合、以下に説明するように、別の除去工程が必要である。
【0041】
熱分解反応器は、蒸気生成物ストリームと相平衡にある液体を含有する。液体ストリーム8の一部を循環ポンプに送ってもよい。ポンプ輸送されたストリームは、ストリーム9及びストリーム10に分割され得る。ストリーム9の質量流量は、溶融プラスチックと混合することによって上記のような溶融反応器の温度を維持するようなものであってもよい。ストリーム9はまた、ポリマー溶融粘度を低下させるのに役立ち得る。ストリーム10の質量流量は、ストリーム11を通って熱分解反応器102に戻るときに、加熱器106を介して全てのエンタルピー要件を得るようなものであってもよい。必要な熱伝達は、主熱分解反応器102内で高温のストリーム11と低温のストリーム3とを混合することによって得られる。熱分解反応器102は、熱分解反応器の上部から第2の蒸気生成物ストリーム6を引き出し、反応器の下部から第2の固形物が豊富な生成物ストリーム7を引き出すことができる。ストリーム11の周りのポンプ輸送による混合と共に、熱分解反応器102内の対流熱伝達は、均一な加熱を提供するが、これは、押出又は回転炉反応器において一般的に見られる、外部の間接的加熱によって加熱される熱分解反応方法を超える利点である。ストリーム7は塩化物を含有し、吸着剤が導入される場合、より多くのストリーム7が含有され、ストリーム7に残る塩化物は、Cl除去効率への寄与として考慮される。
【0042】
図1は、設計された蒸気線速度で窒素流によって運ばれるある範囲の炭化水素を含有する蒸気生成物流6を更に示す。蒸気生成物流6は、冷却媒体と直接又は間接的に接触し、その後、蒸気ストリーム13及び液体ストリーム15に分離されてもよい。直接的な水との接触が1つの可能な冷却方法として含まれる場合、水ストリームはストリーム14において収集される。直接的な水との接触が省略される場合、ストリーム14は存在しなくてもよい。ストリーム13及びストリーム14において運ばれる塩化物は、Cl除去効率への寄与として考慮される。液体ストリーム15は更に加熱されたストリーム16であり、フラッシュドラム104内でフラッシュされて、安定化液体ストリーム18を生成する。蒸気ストリーム17は分離器103よりも高圧であり、分離器103に加圧して戻されて、所望の生成物中の炭化水素の回収率を高める。ストリームは、ストリーム12と混合されて、分離器103上に複数の入口ノズルを必要とすることを回避する。安定化液体ストリーム19は、吸着体システム105に入る前に、ストリーム19において所望の温度まで更に冷却される。吸着体システム105は、更なる最終の塩化物仕上げデバイスとして動作する。上記の各脱塩素工程は、それ自体の実用的かつ最適な動作効率ウィンドウで機能する。撹拌循環油加熱脱塩素溶融反応器、主熱分解反応器と、任意の吸着剤強化との組合せが、10ppmwのCl目標、又は好ましくは5ppmw未満のCl目標を達成するのに十分でない場合、2つの間に相乗効果が存在する。供給物は、2%より多くのPVCを含有する場合があり、Cl除去性能を増加させる必要がある場合、溶融タンクをより大きくすること、主反応器をより大きくすること、又はより多くの吸着剤を主反応器に導入して主反応器を向上させることは、経済的である可能性が低く、吸着体の使用を伴う第3の連続工程が必要とされる。第3の操作は、塩化物仕上げ専用の吸着体を使用する。天然に存在する吸着体が適用され得るが、改変された吸着体が好ましい。好ましくは、高い吸着容量及び活性を有する特別に改変された吸着体が使用される。吸着体容量は、更なる塩化物除去が達成され得ない場合に、交換される吸着体の質量に対して保持される塩化物の最大累積質量の量である。吸着体活性は、固定された生成物塩化物含有量を達成するために必要とされる温度によって(吸着体量及び供給物流量の両方が固定されている場合)、又は必要とされる吸着体の量によって(温度及び供給物流量の両方が固定されている場合)定義される。より低い温度が必要であるか、又は必要とされる吸着体のより低い品質がより高い活性を示すかのいずれかである。ある範囲の金属酸化物は、有機塩化物を吸着するためだけに好適であり得る。より好ましくは、吸着体はアルミナに含浸されたアルカリ土類金属を含有する。これは、プロプライエタリな試験データを用いて、活性と容量との間の工学的バランスを提供する。改変された吸着体の製造は、本発明の範囲外である。本発明は、本出願におけるその適合性を教示する。所望の活性は、熱分解プロセスの流量に対する吸着体の空間速度である。例えば、吸着床の相対体積は、約90%の増分脱塩素効率を達成するために、生成物ストリーム中の10~1000ppwの塩化物含有量範囲に対して1時間基準で熱分解体積流の流量の1~4倍であってもよい。
【0043】
供給物が高PVC含量を含有する場合、吸着床は塩化物を10ppmw以下に低減する必要がある。吸着床は、最良の実用的な経済性を保持するためにサイズを最小化する必要がある。吸着床は、脱塩素反応器において約90%の効率が既に達成されている場合、及び/又は主脱塩素反応器において吸着剤を除去した場合、約90%の増分効率が既に達成されている場合にのみ最良に機能する。吸着床は、除去効率の増加を必要とする場合、吸着床自体の制約を有する。温度及び供給物の流量が固定されている場合、活性制約に起因して吸着体の品質向上が必要とされる。より高い除去効率が要求される場合、滞留時間が増加すると効率、又は増分の脱塩素変換の利得が減少するため、品質の増加が不均衡となる。あるいは、吸着体の品質及び供給物の流量が固定されている場合、活性制約に起因して動作温度を上昇させることが必要とされる。温度の上昇は、より高い除去効率を必要とする場合、増分の脱塩素変換率の利得を減少させるためだけでなく、副反応の急速な増加、例えば、早期不活性化又は最終能力の低下につながる吸着体での炭素析出に起因して、禁じ手である場合が多い。このような制約により、本発明者らは、吸着体の動作条件が、増分脱塩素変換率において97%に、又は好ましくは95%以下に、又はより好ましくは、動作温度を上限とし、吸着体の妥当な品質を維持する場合に更に低い値に、より良好に制限されることを教示する。実用的な設計上の考慮から、吸着体の品質の妥当な尺度は、連続的な1年の動作後に交換される吸着体の質量に対する全熱分解油流の質量の単位時間当たりの流量として定義される重量空間速度である。重量空間速度は、0.1より大きい、より好ましくは0.5より大きい場合に実用的であると考えられる。したがって、本発明により、3つの工程の使用を最適化することによって、すなわち、撹拌脱塩素反応器、主反応器中の吸着剤、及び吸着床を使用することによって、供給物のPVC含量が1%より大きい場合に生成物中のClを10ppmw未満にする相乗効果が見出される。ただ1つの技術を使用するだけでは、脱塩素の効率及び経済性が低下する。単に脱塩素反応器の大きさを増加させ、吸着剤の使用を増加させ、吸着体の量又は動作温度を増加させるだけでは、同一の目的を現実的に、経済的に達成することができない。
【0044】
吸着床の選択が本発明の教示によるものである場合、吸着体反応器は、100℃(212°F)~300℃(572°F)、又は好ましくは120℃(248°F)~200℃(392°F)の温度、0.069MPa(ゲージ)(10psig)~2.07MPa(ゲージ)(300psig)、又は好ましくは0.138MPa(ゲージ)(20psig)~1.38MPa(ゲージ)(200psig)の圧力、0.05時間-1~5時間-1、又はより好ましくは0.1時間-1~2時間-1の新しい溶融供給物の液空間速度で動作することができる。
【0045】
本明細書で前述したように、本開示は段階的な塩化物除去を提供する。単一工程の塩化物除去は、混合プラスチック供給物が高いPVC含量、例えば、2%以上を有する場合、塩化物除去における効率の問題を有し得る。溶融反応器101は、まず、溶融反応器においてPVCを分解することによって、混合プラスチック供給物中の90重量%を超える塩化物を除去する。この塩化物は塩化水素として除去される。残留塩化物の画分は、吸着剤が添加されて、塩化物の一部が塩として変換される熱分解反応器102において除去される。未変換の塩化水素は、塩化水素と有機分子との間の気相再結合反応が最小限に抑えられる掃引窒素流において更に希釈される。このセクションで上述した工程は、塩化物の大部分を、好ましくはストリーム19において200ppmw未満まで除去するように設計することができる。105A及び105Bとして示される吸着体システム105は、最終生成物中の塩化物をほぼ0濃度又は10ppmw以下まで除去するのに好適である。吸着体システム105は、塩化物漏出を回避するために同一のバックアップ床を用いて動作する。吸着体システム105で得られた塩は、使用済みとみなされ、他の容器がオンラインで稼働している間に除去される。これにより、ユニットを連続的に稼働させることができ、バッチプロセスよりも有利である。各塩化物制御工程は、供給物中の最適塩化物濃度及び効率制限を有する。過度に大きい脱塩素反応器を設計すること、又は反応器への追加の吸着剤注入を使用すること若しくはガス希釈の使用によって、反応器の脱塩素化を高めることは、90%などの特定の効率閾値を超える場合、例えば、生成物中のClを200~400ppm未満のレベルに下げることを求める場合、投与量の増加と共に不経済な利得になることが知られており、過度に大きい脱塩素反応器又は吸着剤の使用の大幅な増加が必要とされる場合、経済的ペナルティ及び吸着剤の適切な分布の困難さにつながる。吸着床は、最終仕上げとしてのみ、すなわち最終生成物中の塩化物含有量を200~400ppmから10ppm未満に低下させる場合にのみ、より好適であり、経済的である。同様に、吸着床の供給物中の塩化物の増加は、吸着体の過剰な大量使用につながる場合がある。したがって、段階的な脱塩素化の中で、反応器への吸着剤注入が、塩化物含有量を数千ppmから数百ppmに下げるために重要であることを証明することができる。浄化された生成物ストリーム20は、ストリーム21として冷却され、生成物貯蔵部108に貯蔵される。所望であれば、ストリーム21は、貯蔵部に送られる前に、それらの沸点に応じて2つ以上のストリームに分留することができる。
【0046】
全蒸気ストリーム13は、様々なガス種を含有し得る。特に、全蒸気ストリーム13は、窒素、供給物由来の残留水分、塩化水素、ポリエチレンテレフタレート転化由来の二酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン及びプラスチック熱分解反応由来のより重い炭化水素蒸気を含有し得る。熱量は非常に高く、30,000KJ/kg程度であることが多い。ガスの燃焼は、ガス浄化の前に必要であるが、ガスの燃焼はまた、プロセスのための有用な熱源も提供する。燃焼熱は、ユニット106に内蔵された熱交換器で利用される。焼却後、排出ガスストリーム22は浄化システム107に送られ、ダイオキシンが炭素床において除去され、塩化水素が腐食剤、重炭酸ナトリウム、又はHClと反応する他の物質のいずれかを用いて洗い落とされる。
【0047】
熱分解反応器102における反応熱の大きさは、溶融反応器における反応熱よりも2~3倍大きい。熱分解後、ポリマー分子はかなり分解されて生成物分子になる。より小さい生成物分子は、大部分が第2の蒸気ストリーム6として熱分解反応器の上部から出る。生成物の蒸気ストリーム6は、掃引ガス4の助けを借りて迅速に離れる。掃引ガス4は、熱分解反応器102に導入される。二次分解は、熱分解条件下で追加の滞留時間を経て更に分解される一次熱分解生成物を指す用語である。生成物を蒸発させ、熱分解反応のための反応熱を提供するために必要な潜熱は全て、ストリーム11から運ばれる熱によって供給される。
【0048】
図2は、
図1に示す実施形態の変形例である。要素番号は全て引用符付きで示されており、わずかな例外を除いて要素番号が
図1と同じ意味を有することを示している。主な違いは、再循環油ストリーム10’を加熱するために液化石油ガス又は天然ガスを燃焼させる別個の燃焼式ヒータ109’があることである。更に、燃焼式ヒータ排出ガスストリーム26’は、焼却炉の排出ガスの浄化と更に組み合わされてもよい。更に、反応器排出ガスストリーム2’及び13’をブレンドし、サブストリーム27’に分割して、109’における燃料消費を補うことができる。
【実施例】
【0049】
実施例1.塩化物の物質収支の研究を提示する。計算は、溶融タンクの脱塩素化、吸着剤の性能及び吸着体の性能について収集された実験データに基づく。実験は、320℃、供給物のPVC1%、2%又は3%、生成物のCl 10ppmw未満で行った。
【0050】
溶融タンクの大きさ、吸着剤の使用及び吸着体の使用を示す3つの工程が連続して行われる。この例は、1トン/年の供給物流ベースに調整されている。データは、塩化物除去の単一工程のみが使用される場合、非常に大型の反応器、又は大量の吸着剤の使用及び吸着体の使用が必要とされることを示す(溶融タンクサイズ対反応器サイズの比対連続する3つの工程における比を参照)。この実施例は、3つの工程を連続して使用することが、3つの工程のいずれか又は2つと比較して、どのように相乗効果を提供するかを説明する。
【0051】
【0052】
【0053】
実施例2.Wisconsinの材料回収施設からリサイクルプラスチックストリームを得た。組成は、2重量%のPVC、20%のPE、75%のPPであり、残りは、PET、紙、有機残留物、及び金属種である。供給物中で測定されたClは1.189重量%のClである。
【0054】
工程1:100グラムの供給物を、気圧約25psigの条件下で500ccの反応容器中で一群ずつ熱処理した。反応器を周囲条件から300℃に加熱し、2時間保持する。停止後、反応器の内容物を固化させ、回収し、測定した(すなわち、第1段階の液体生成物)。
【0055】
工程2.同じ供給物を、工程1と同じ試験条件で試験した。300℃で2時間保持した後。反応器を400℃まで上昇させ続け、1時間保持した。冷却後、熱分解反応から生成された生成物を氷冷凝縮器に収集した。67グラムの生成物を回収した(すなわち、全熱分解生成物)。工程2として数回の実行を繰り返して、約300gmの液体生成物(すなわち、組み合わせた全熱分解生成物)を蓄積した。
【0056】
工程3.熱分解生成物の全てを連続固定床反応器に流し、3ccのUOP社の権利に係る市販の吸着体を使用した。吸着体の体積に対する1時間当たりの等体積を、200psig未満の圧力で300oC未満の条件で使用した。回収した生成物(すなわち、最終熱分解油生成物)のClを測定した。実施例は、10ppmw未満又は好ましくは6ppm未満のClを達成するために、実際の段階的プロセスについて観察された脱塩素効率を実証した。
【0057】
【0058】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、本明細書は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0059】
本発明の第1の実施形態は、連続して動作する3つの塩化物除去工程:混合プラスチック廃棄物ストリームを溶融反応器内で高温の生成物ストリームで溶融させて、塩素含有プラスチック及び他のプラスチックを含む少なくとも2種類のプラスチックを含む溶融混合プラスチック廃棄物ストリームを生成して、第1の塩化物高含有蒸気ストリーム及び第1の液体ストリームを生成することと、第1の液体ストリームを熱分解反応器に送って、高温の生成物ストリームで加熱して、第2の塩化物高含有蒸気ストリーム、第2の液体ストリーム、及び固体粒子を生成することと、熱分解反応器に吸着剤を添加して、塩化物含有分子を吸着させることと、熱分解反応器からの循環ストリームを含む第2の液体ストリームの一部を溶融反応器に送り、熱分解反応器からの第2の液体ストリームの一部を送って、加熱し、熱分解反応器に戻すことと、主熱分解凝縮物を吸着床に通して、残留塩化物を10ppmwまで除去することと、を含む、混合プラスチック廃棄物ストリームから塩化物含量が少ない熱分解油を生成するためのプロセスである。本発明の一実施形態は、第1の塩化物高含有蒸気ストリームがガス浄化ゾーンに送られる、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、溶融反応器が、280℃(536°F)~330℃(626°F)の温度で動作され、熱分解反応器が、380℃(716°F)~450℃(842°F)の温度で動作され、吸着床が、100℃(212°F)~300℃(572°F)の温度で動作される、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、吸着剤が、プラスチック溶融物に対して3重量%未満で、熱分解反応器内の塩化物に対して2.5~4モル比で存在する粉砕アルカリ性物質である、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、溶融反応器が、0.069MPa(ゲージ)(10psig)~1.38MPa(ゲージ)(200psig)の圧力及び0.1時間-1~2時間-1の液空間速度で動作され、窒素雰囲気下、1.7Nm3/m3(10scf/bbl)~170Nm3/m3プラスチック溶融物(1,000scf/bbl)の専用窒素掃引速度で動作され、熱分解反応器は、0.069MPa(ゲージ)(10psig)~1.38MPa(ゲージ)(200psig)の圧力及び0.1時間-1~2時間-1の第1の液体ストリームの液空間速度で動作され、窒素雰囲気下、又は17Nm3/m3(100scf/bbl)~850Nm3/m3プラスチック溶融物(5,000scf/bbl)の速度で専用窒素掃引ストリームの下で動作され、吸着床は、0.069MPa(ゲージ)(10psig)~2.07MPa(ゲージ)(300psig)の圧力及び0.05時間-1~5時間-1の新しい溶融供給物の液空間速度で動作される、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、第2の蒸気ストリームを冷却器に、かつ分離器に送って、第3の蒸気ストリーム及び第3の液体ストリームを生成することを更に含む、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、溶融反応器由来の80~95重量%の塩化物が、蒸気ストリームにおいて除去され、送られる、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、第3の液体ストリームが、200ppmw未満の塩化物を含む、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、第3の液体ストリームが、吸着床に送られて、塩化物を除去する、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、熱分解反応器における反応熱が、溶融反応器における熱又は反応よりも2~3倍大きい、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、溶融反応器において必要とされる熱が、第2の液体ストリームの一部を混合することによって供給される、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、主反応器において必要な熱が、加熱された第2の液体ストリームの一部を混合することによって供給される、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、加熱された第2の液体ストリームの一部の循環が、液体と吸着剤の混合を提供する、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、ガス浄化ゾーンが、ダイオキシン化合物を除去するための触媒床と、HClを中和するための苛性化合物を含有する容器と、を含む、本段落の前の実施形態から本段落の第1の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。
【0060】
本発明の第2の実施形態は、混合プラスチック廃棄物ストリームを溶融反応器に送って、塩化物を多く含む第1の蒸気ストリームと、第1の液体ストリームと、を生成することと、第1の液体ストリームを熱分解反応器に送って、加熱して、第2の蒸気ストリーム、第2の液体ストリーム及び固体粒子を生成することであって、固体粒子が、熱分解反応器内で下方に移動する、ことと、第1の蒸気ストリームを焼却炉に、次いでガス浄化ゾーンに送って、塩素化合物を除去し、循環供給物ストリームの少なくとも一部を熱分解反応器のための反応熱供給として加熱することと、第2の蒸気ストリームを冷却し、第3の蒸気ストリームと第3の液体ストリームとに分離し、次いで第3の液体ストリームを少なくとも1つの吸着床で処理して、塩素含有不純物を除去することと、を含む、混合プラスチック廃棄物ストリームの熱分解のためのプロセスである。本発明の一実施形態は、吸着体を熱分解反応器に送って、塩素化合物を除去することを更に含む、本段落の前の実施形態から本段落の第2の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、塩素含有プラスチックがポリ塩化ビニルであり、他のプラスチックが、ポリエチレンテレフタレート、低密度及び高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、並びに他の種々のプラスチックから選択される、本段落の前の実施形態から本段落の第2の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、ガス浄化ゾーンが、ダイオキシン化合物を除去するための触媒床と、HClを中和するための苛性化合物を含有する容器と、を含む、本段落の前の実施形態から本段落の第2の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、吸着体を熱分解反応器に送って、塩素及び塩素含有化合物を吸着することを更に含む、本段落の前の実施形態から本段落の第2の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、吸着体が、熱分解反応器において、塩化物に対して2~3モル比で存在するアルカリ性物質である、本段落の前の実施形態から本段落の第2の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。本発明の一実施形態は、吸着体が、熱分解反応器の動作中に形成される炭素質チャー粒子のための凝集物として更に機能する、本段落の前の実施形態から本段落の第2の実施形態のうちの1つ、いずれか、又は全てである。
【0061】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0062】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。