(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】圧電振動素子及び圧電デバイス
(51)【国際特許分類】
H03H 9/19 20060101AFI20250307BHJP
【FI】
H03H9/19 F
(21)【出願番号】P 2023564993
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2022043912
(87)【国際公開番号】W WO2023100851
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-05-07
(31)【優先権主張番号】P 2021194001
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正彦
(72)【発明者】
【氏名】村山 智紀
(72)【発明者】
【氏名】内田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】石川 広幸
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-060480(JP,A)
【文献】特開2003-073200(JP,A)
【文献】特開2006-140887(JP,A)
【文献】特開2020-191579(JP,A)
【文献】特開2002-374146(JP,A)
【文献】特開2018-006901(JP,A)
【文献】特開2002-374135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00- 9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっており、前記第4面が、前記第2面よりも前記第2側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記第1縁部は、
平面視において前記振動部に対して第1方向の一方側に位置している第1部分縁部と、
平面視において前記振動部に対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置しており、前記第1部分縁部と隅部を構成する第2部分縁部と、を有しており、
前記第1凹部は、前記隅部において前記第1部分縁部及び前記第2部分縁部の少なくとも一方を切り欠いている
圧電振動素子。
【請求項2】
前記第1部分縁部は、前記第1方向に見て前記第1励振電極を含む全ての励振電極の全体に亘る長さで、前記第3面から前記第2側に窪まずに且つ平面視で切り欠かれずに延びている第1主部を有しており、
前記第2部分縁部は、前記第2方向に見て前記全ての励振電極の全体に亘る長さで、前記第3面から前記第2側に窪まずに且つ平面視で切り欠かれずに延びている第2主部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第1主部及び前記第2主部の少なくとも一方に対する切欠きになっている
請求項1に記載の圧電振動子。
【請求項3】
前記圧電素板はATカットの水晶片であり、
前記第1側は+Y’側であり、前記第1凹部は、前記振動部に対して+X側に位置する前記第1部分縁部と、前記振動部に対して-Z’側に位置する前記第2部分縁部とが成す前記隅部に位置している、又は
前記第1側は-Y’側であり、前記第1凹部は、前記振動部に対して+X側に位置する前記第1部分縁部と、前記振動部に対して+Z’側に位置する前記第2部分縁部とが成す前記隅部に位置している
請求項1に記載の圧電振動子。
【請求項4】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記第1縁部は、
平面視において前記振動部に対して第1方向の一方側に位置している第1部分縁部と、
平面視において前記振動部に対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置しており、前記第1部分縁部と隅部を構成する第2部分縁部と、を有しており、
前記第1凹部は、前記隅部において前記第1部分縁部及び前記第2部分縁部の少なくとも一方を切り欠いており、
前記第3面は、
前記第1縁部を有している第1領域と、
平面視において前記第1領域に対して前記第1面とは反対側に位置しており、前記第1領域よりも前記第1側に高くなっている第2領域と、を有しており、
前記第1引出電極は、前記第1領域を経由して前記第2領域へ至っており、
前記圧電素板は、前記第2領域から前記第2側に窪む第2領域凹部を有しており、
前記第2領域凹部は、平面視において前記第2領域の前記第1領域側の第2領域縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1凹部から前記第2領域凹部を経由して前記第2領域へ至っている
圧電振動素子。
【請求項5】
前記第1引出電極は、
前記第1励振電極から延び出て前記第1凹部を通過する配線部と、
前記第2領域に重なっている部分を有しており、前記第1縁部に沿う方向において前記配線部よりも広がっているパッド部と、を有している
請求項4に記載の圧電振動素子。
【請求項6】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記第1縁部は、
平面視において前記振動部に対して第1方向の一方側に位置している第1部分縁部と、
平面視において前記振動部に対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置しており、前記第1部分縁部と隅部を構成する第2部分縁部と、を有しており、
前記第1凹部は、前記隅部において前記第1部分縁部及び前記第2部分縁部の少なくとも一方を切り欠いており、
前記第3面は、
前記第1縁部を有している第1領域と、
平面視において前記第1領域に対して前記第1面とは反対側に位置しており、前記第1領域よりも前記第1側に高くなっている第2領域と、を有しており、
前記第1引出電極は、前記第1領域を経由して前記第2領域へ至っており、
前記第1領域は、平面視において前記振動部を囲んでおり、
前記第2領域は、平面視において、前記振動部及び前記第1領域に対して、前記第1方向の一方側又は両側に位置しており、前記第2方向の両側のいずれにも位置していない
圧電振動素子。
【請求項7】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記第1縁部は、
平面視において前記振動部に対して第1方向の一方側に位置している第1部分縁部と、
平面視において前記振動部に対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置しており、前記第1部分縁部と隅部を構成する第2部分縁部と、を有しており、
前記第1凹部は、前記隅部において前記第1部分縁部及び前記第2部分縁部の少なくとも一方を切り欠いており、
前記第3面は、
前記第1縁部を有している第1領域と、
平面視において前記第1領域に対して前記第1面とは反対側に位置しており、前記第1領域よりも前記第1側に高くなっている第2領域と、を有しており、
前記第1引出電極は、前記第1領域を経由して前記第2領域へ至っており、
前記圧電素板は、前記第1領域と前記第2領域との間にて、前記圧電素板を厚さ方向に貫通する貫通孔を有している
圧電振動素子。
【請求項8】
前記第2面に重なっている第2励振電極と、
前記第2励振電極から引き出されて前記第4面に重なっている第2引出電極と、
前記第1励振電極から前記第1引出電極とは異なる方向へ引き出されて前記第3面に重なっている第3引出電極と、
前記第2励振電極から前記第2引出電極とは異なる方向へ引き出されて前記第4面に重なっている第4引出電極と、
を更に有しており、
前記固定部は、平面視において前記振動部を囲んでおり、
前記第1引出電極は、前記第1励振電極に対して、前記第1部分縁部の側かつ前記第2部分縁部の側に位置する部分を有しており、
前記第2引出電極は、前記第2励振電極に対して、前記第1部分縁部の側かつ前記第2部分縁部とは反対側に位置する部分を有しており、
前記第3引出電極は、前記第1励振電極に対して、前記第1部分縁部の側とは反対側かつ前記第2部分縁部の側に位置する部分を有しており、
前記第4引出電極は、前記第2励振電極に対して、前記第1部分縁部とは反対側かつ前記第2部分縁部とは反対側に位置する部分を有している
請求項4に記載の圧電振動素子。
【請求項9】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記第1縁部は、
平面視において前記振動部に対して第1方向の一方側に位置している第1部分縁部と、
平面視において前記振動部に対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置しており、前記第1部分縁部と隅部を構成する第2部分縁部と、を有しており、
前記第1凹部は、前記隅部において前記第1部分縁部及び前記第2部分縁部の少なくとも一方を切り欠いており、
前記第1縁部は、
前記振動部を挟んで前記第1部分縁部に対向する第3部分縁部と、
前記振動部を挟んで前記第2部分縁部に対向する第4部分縁部と、を有しており、
前記圧電素板は、平面視において、前記第1部分縁部、前記第2部分縁部、前記第3部分縁部及び前記第4部分縁部が構成する4つの隅部に、前記第3面から前記第2側に窪み、前記第1縁部を切り欠く、前記第1凹部を含む合計で4つの凹部を有している
圧電振動素子。
【請求項10】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記第1凹部の、前記第1縁部に沿う方向の大きさを幅というとき、前記第1凹部の、前記第1縁部の高さにおける幅は、前記振動部の厚さよりも大きい
圧電振動素子。
【請求項11】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
平面視における前記第1凹部の前記第1縁部からの奥行きであって、前記第1縁部の高さにおける奥行きは、前記振動部の厚さよりも大きい
圧電振動素子。
【請求項12】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記第1凹部の、前記第1縁部に沿う方向の大きさを幅というとき、前記第1凹部の、前記第1縁部の高さにおける幅は、前記第1面から前記第1縁部までの高さよりも大きい
圧電振動素子。
【請求項13】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
平面視における前記第1凹部の前記第1縁部からの奥行きであって、前記第1縁部の高さにおける奥行きは、前記第1面から前記第1縁部までの高さよりも大きい
圧電振動素子。
【請求項14】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記第1凹部の内面は、
前記第1面につながり、前記第1面と面一な底面と、
平面視において前記底面に対して前記第1面とは反対側に位置し、平面視において前記底面から離れるほど前記第1縁部の高さに近づく向きで傾斜しつつ、前記底面から前記第1縁部へ立ち上がる端面と、を有しており、
平面視において、前記底面は、前記第1縁部よりも前記第3面の側に入り込んでいる
圧電振動素子。
【請求項15】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記圧電素板は、前記第1面と前記
第1縁部とをつなぎ、前記第1縁部の側ほど前記第1側に位置するように傾斜している第5面を有しており、
前記第1凹部の、前記第1縁部に沿う方向の大きさを幅というとき、前記第1凹部の、前記第1縁部の高さにおける幅は、平面視における前記第1面から前記第1縁部までの前記第5面の長さよりも大きい
圧電振動素子。
【請求項16】
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記圧電素板は、前記第1面と前記第1縁部とをつなぎ、前記第1縁部の側ほど前記第1側に位置するように傾斜している第5面を有しており、
平面視における前記第1凹部の前記第1縁部からの奥行きであって、前記第1縁部の高さにおける奥行きは、平面視における前記第1面から前記第1縁部までの前記第5面の長さよりも大きい
圧電振動素子。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の圧電振動素子と、
前記圧電振動素子が実装されているパッケージと、
を有している圧電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧電振動素子及び圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスとして、例えば、水晶振動子及び水晶発振器が知られている。これらの圧電デバイスは、交流電圧の印加によって振動する圧電振動素子を有している。圧電振動素子は、例えば、板状の圧電素板(例えば水晶素板)と、圧電素板の1対の主面(板形状の最も広い面。板形状の表裏。以下、同様。)に位置している1対の励振電極と、1対の励振電極から引き出された1対の引出電極とを有している。1対の引出電極は、例えば、導電性の接合材によってパッケージのパッドに接合される。これにより、圧電振動素子がパッケージに実装される。そして、1対の引出電極に交流電圧が印加されることによって、1対の励振電極によって圧電素板に交流電圧が印加される。
【0003】
特許文献1では、圧電素板として、平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有するものを開示している。振動部は、例えば、1対の励振電極を有している部位であり、平板状である。固定部は、例えば、1対の引出電極が設けられる部位であり、振動部よりも厚い。特許文献1では、さらに、圧電素板は、固定部の振動部側の縁部に凹部を有している。引出電極は、上記凹部を経由して振動部から固定部へ至っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様に係る圧電振動素子は、圧電素板と、第1励振電極と、第1引出電極と、を有している。前記圧電素板は、平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している。前記振動部は、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有している。前記固定部は、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有している。前記第3面は、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている。前記第1励振電極は、前記第1面に重なっている。前記第1引出電極は、前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている。前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有している。前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いている。前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有している。
【0006】
一例において、前記第1縁部は、第1部分縁部と、第2部分縁部とを有している。前記第1部分縁部は、平面視において前記振動部に対して第1方向の一方側に位置している。前記第2部分縁部は、平面視において前記振動部に対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置しており、前記第1部分縁部と隅部を構成する。前記第1凹部は、前記隅部において前記第1部分縁部及び前記第2部分縁部の少なくとも一方を切り欠いている。
【0007】
一例において、前記第1凹部の、前記第1縁部に沿う方向の大きさを幅というとき、前記第1凹部の、平面視において前記第1縁部に交差する側面は、前記第1凹部の幅が前記第1側ほど大きくなる向きで、前記第1凹部の底部から前記第3面に亘って傾斜する傾斜面を有している。前記引出電極は、前記第1凹部の底部から前記傾斜面を経由して前記第3面へ至る部分を有している。
【0008】
本開示の一態様に係る圧電デバイスは、上記圧電振動素子と、前記圧電振動素子が実装されているパッケージと、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図9A】固定部の位置の他の例を示す模式的な平面図。
【
図9B】固定部の位置の更に他の例を示す模式的な平面図。
【
図11】第2実施形態に係る水晶振動素子の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る水晶振動素子(以下、単に「水晶素子」ということがある。)について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。同様に、図面相互の寸法比率等についても必ずしも一致していない。平面視は、特に断りが無い限り、
図1等に示すXY’Z’座標系のY’方向に平行に見ることを指す。
【0011】
(水晶素子の概要)
図1は、実施形態(より詳細には第1実施形態)に係る水晶素子1の斜視図である。
図2は、
図1の領域IIを拡大して示す平面図である。なお、水晶素子1は、例えば、概略、X軸に平行な中心線CL(
図2)に対して180°回転対称の構成とされている。従って、-Y’側から見た水晶素子1の斜視図は
図1と同様である。
【0012】
水晶素子1は、例えば、交流電圧が印加されることによって振動を生じるものである。この振動は、例えば、一定の周波数で信号強度(例えば電圧及び/又は電流)が振動する発振信号の生成に利用される。換言すれば、水晶素子1は、例えば、水晶振動子又は水晶発振器に含まれるものである。
【0013】
水晶素子1は、水晶素板3と、水晶素板3に重なっている第1導体パターン5A及び第2導体パターン5B(以下、「導体パターン5」といい、両者を区別しないことがある。)とを有している。2つの導体パターン5は、互いに短絡されていない。各導体パターン5は、励振電極7と、励振電極7から引き出されている引出電極9とを有している。すなわち、水晶素子1は、1対の励振電極7と、1対の励振電極7と接続されている1対の引出電極9とを有している。
【0014】
1対の引出電極9は、水晶素子1の実装に寄与する。具体的には、例えば、後述する
図7に示すように、引出電極9とパッケージ103のパッド111とが、導電性の接合材からなるバンプ105によって接合されることにより、水晶素子1がパッケージ103に実装される。なお、水晶素子1は、パッケージ103以外の部材(例えば回路基板)に実装されてもよいが、実施形態の説明では、便宜上、パッケージ103に実装されることを前提とした表現をすることがある。パッケージ103を介して1対の引出電極9に交流電圧が印加されると、1対の励振電極7によって水晶素板3に交流電圧(電界)が印加される。これにより、水晶素板は振動する。
【0015】
水晶素板3は、1対の励振電極7によって励振される振動部11と、1対の引出電極9によってパッケージ103に固定される固定部13とを有している。固定部13は、振動部11よりも厚くされている。これにより、例えば、振動部11を薄くして高い周波数の振動を可能にしつつ、固定部13によって水晶素板3の強度を確保することができる。
【0016】
水晶素板3は、固定部13の+Y’側及び-Y’側の表面を窪ませる1つ以上(図示の例では複数)の凹部15を有している。凹部15は、平面視において固定部13の振動部11側の縁部21aを切り欠いている。引出電極9は、振動部11の表面から凹部15を経由して固定部13の表面へ至っている部分を有している。なお、凹部15の縁部も固定部13の縁部の一種であるが、以下の説明では、特に断りが無い限り、また、特に矛盾等が生じない限り、固定部13の縁部(縁部21a)の語は、凹部15の縁部を含まないものとする。
【0017】
上記のような凹部15は、後に詳述するように種々の効果を奏することができる。一例として、固定部13と振動部11との間の段差における引出電極9の導通の信頼性を向上させることができる。その理由については後述する。
【0018】
凹部15の具体的な構成は適宜なものとされてよい。本実施形態における凹部15は、例えば、以下のような新たな構成を有している。
・振動部11の隅部に位置している(後述する
図11の凹部615A)
・凹部15の側面のうち、縁部21aに交差する第1側面15b(後述)が結晶面を有している。
・第1側面15bが水晶素板3の厚さ方向(Y’方向)に対して傾斜している。
・凹部15の幅(Z’方向の長さ)が所定部位の寸法と比較して相対的に大きい。
・凹部15の平面視における奥行き(X方向の長さ)が所定部位の寸法と比較して相対的に大きい。
・凹部15の底面15a(後述)が平面視において固定部13の内部に入り込んでいる。なお、これは、これまでの説明からすれば当然のように見える。このような態様に該当しない態様としては、例えば、凹部15の平面視における奥側(図示の例では+X側)の第3側面15d(後述)が、奥側(+X側)から振動部11側(-X側)ほど低くなるように傾斜しつつ振動部11側へ広がって、固定部13の振動部11側の縁部21aにまで至る態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)が挙げられる。
【0019】
実施形態に係る凹部15は、上記のような構成を備えることによって、後に詳述するように種々の効果を奏することができる。一例として、上述した引出電極9の導通の信頼性を向上させる効果の増大が挙げられる。その理由については後述する。
【0020】
以下、概略、下記の順に説明を行う。
第1章 第1実施形態
1.水晶素子1(
図1及び
図2)
1.1.水晶素板3(凹部15以外の構成)
1.1.1.振動部11
1.1.2.固定部13
1.1.3.中間部17(振動部11と固定部13との間の部分)
1.2.導体パターン5
1.2.1.励振電極7
1.2.2.引出電極9
1.3.凹部15(
図3~
図5)
1.3.1.凹部15全般
1.3.2.凹部15の形状及び寸法の具体例(図示の例)
1.4.引出電極9と凹部15との重なり
1.5.水晶素子1の製造方法
1.6.水晶素子1についてまとめ
2.水晶素子1の利用例(
図6及び
図7)
3.他の例
3.1.引出電極及び凹部の他の例(
図8)
3.2.固定部の位置の他の例(
図9A及び
図9B)
3.3.固定部の厚さの他の例(
図10)
第2章 第2実施形態
1.水晶素子の概要
2.水晶素板
2.1.水晶素板全体及び振動部
2.2.固定部
2.3.その他
3.導体パターン
4.凹部
5.水晶素子の製造方法
6.水晶素子についてまとめ
【0021】
(第1章 第1実施形態)
(1.水晶素子)
水晶素子1は、例えば、いわゆるATカット型の水晶振動素子である。すなわち、水晶素板3は、ATカットの水晶片である。1対の励振電極7は、水晶素板3(より詳細には振動部11)の両面に重なっている。そして、1対の励振電極7によって振動部11の厚み方向に電圧が印加されると、振動部11は、いわゆる厚み滑り振動を生じる。この振動の共振周波数(換言すれば発振周波数)は、基本的に振動部11の厚さによって規定される。水晶素子1は、基本波モードを利用するものであってもよいし、オーバートーンモードを利用するものであってもよい。本実施形態の説明では、基本波モードを利用する態様を例に取ることがある。
【0022】
水晶素子1(水晶素板3)の各種の寸法は適宜に設定されてよい。以下に寸法の範囲の例を挙げる。水晶素板3のX方向における長さは、500μm以上1500μm以下とされてよい。水晶素板3(振動部11、固定部13及び/又は中間部17)のZ’方向における長さは300μm以上800μm以下とされてよい。振動部11のX方向における長さは、250μm以上1150μm以下(ただし、水晶素板3のX方向における長さよりも短い)とされてよい。振動部11の厚さは、16μm以下とされてよい。これは、ATカット板において厚み滑り振動の基本波振動を利用する場合、概ね100MHz以上の周波数に相当する。固定部13のX方向における長さは、100μm以上500μm以下(ただし、水晶素板3のX方向における長さよりも短い)とされてよい。固定部13の厚さは、50μm以下とされてよい。
【0023】
(1.1.水晶素板)
既述のように、水晶素板3は、例えば、ATカットの水晶片である。すなわち、水晶においてX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)およびZ軸(光軸)からなる直交座標系XYZを、X軸回りに30°以上50°以下(一例として、35°15′)回転させて直交座標系XY’Z’を定義したとき、水晶素板3は、XZ’平面に基本的に平行な1対の主面を有する板状である。
【0024】
X軸の正負と、水晶素子1の構成(別の観点では水晶素板3の形状)との対応関係は、図示の対応関係と逆であっても構わない。ただし、実施形態の説明では、図示の対応関係を前提とした説明を行うことがある。
【0025】
水晶素板3の平面形状は適宜に設定されてよい。図示の例では、水晶素板3の平面形状は、Z’軸及びX軸に平行な辺を有する矩形状とされている。水晶素板3の他の平面形状としては、例えば、円形及び楕円形を挙げることができる。また、矩形の4辺のうちいずれか1つ以上を外側に膨らむ曲線状(例えば円弧)にした形状を挙げることができる。
【0026】
なお、矩形は、正方形及び狭義の長方形を含む。また、矩形又は矩形状というとき、特に断りが無い限り、角部が面取りされているなど、厳密に正方形又は長方形でなくてもよいものとする。水晶素板3の平面形状以外の他の形状の説明においても同様である。
【0027】
水晶素板3の平面形状において、X方向(厚み滑り振動において主面同士が相対的に滑る方向)が長手方向であってもよいし(図示の例)、Z’方向が長手方向であってもよいし、Z’方向の長さとX方向の長さとが同等であってもよい。図示の例では、水晶素板3は、X方向を長手方向としている。換言すれば、水晶素板3は、X軸に平行な長辺と、Z’軸に平行な短辺とを有している。
【0028】
水晶素板3は、例えば、水晶をエッチングすることによって作製されてよい。この場合、エッチングに対する水晶の異方性に起因して、水晶素板3又はその各部の側面は、傾斜面(別の観点では結晶面)を有してよい。ただし、本実施形態の説明では、このような傾斜面の図示が省略されたり、傾斜面の存在を無視して形状及び寸法について説明がなされたりすることがある。この場合において、実施形態の説明で例示される水晶素板3の形状及び寸法と、傾斜面を有する実際の形状及び寸法との対応関係は、水晶素子1の特性等を考慮して合理的に判断されてよい。例えば、水晶素板3(又は各部)の側面が傾斜面を含み、その結果、+Y’側の主面と-Y’側の主面とでXZ’平面内の位置が互いにずれている場合、そのずれの方向にもよるが、水晶素板3(又は各部)の形状及び寸法の説明は、平面透視における最大の形状及び寸法を基準にしたものと解釈されてよい。
【0029】
水晶素板3は、既述のように、平面視において互いに異なる領域を構成しており、かつ互いに厚さが異なる振動部11及び固定部13を有している。さらに、水晶素板3は、平面視において振動部11と固定部13との間の領域を構成する中間部17を有している。中間部17は、固定部13側ほど厚くなっている。以下、これらの部位について説明する。
【0030】
(1.1.1.振動部)
振動部11は、平面視において、少なくとも水晶素板3の内側の領域を含んでいる。ここでいう内側の領域は、水晶素板3の外縁から離れている領域である。より詳細には、例えば、振動部11は、水晶素板3の平面視における図心(中心)を含む領域を含んでいてよい。確認的に記載すると、図心は、その点を通る任意の軸に対する断面一次モーメントが0になる点である。
【0031】
振動部11の平面形状及び寸法等は適宜に設定されてよい。図示の例では、振動部11の平面形状は、Z’軸及びX軸に平行な辺を有する矩形状とされている。振動部11の他の平面形状としては、例えば、円形及び楕円形を挙げることができる。また、矩形の4辺のうちいずれか1つ以上を外側に膨らむ曲線状(例えば円弧)にした形状を挙げることができる。振動部11の平面形状において、X方向(厚み滑り振動において主面同士が相対的に滑る方向)が長手方向であってもよいし、Z’方向が長手方向であってもよいし、Z’方向の長さとX方向の長さとが同等であってもよい(図示の例)。
【0032】
振動部11は、例えば、水晶素板3の面積(平面透視における面積)のうち、比較的広い部分を占めている。例えば、振動部11は、水晶素板3の面積の1/2以上を占めている。ただし、振動部11は、水晶素板3の面積の1/2未満を占めるだけであってもよい。
【0033】
振動部11は、XZ’平面に平行な平板状であり、XZ’平面に平行な主面(第1面19A及び第2面19B)を有している。第1面19Aは、+Y’側(水晶素板3の厚み方向の一方側)に面しており、Y’軸(厚み方向)に直交している。第2面19Bは、-Y’側(水晶素板3の厚み方向の他方側)に面しており、Y’軸(厚み方向)に直交している。別の観点では、第1面19A及び第2面19Bは互いに平行である。
【0034】
(1.1.2.固定部)
固定部13は、平面視において水晶素板3の外周側の領域の少なくとも一部を含んでいる。別の観点では、固定部13は、中間部17を挟んで振動部11の外縁の少なくとも一部と隣り合っている。固定部13と振動部11の外縁とが隣り合う長さ(振動部11の外縁に沿う方向の長さ)は、後述の他の例(
図9A及び
図9B)からも理解されるように適宜に設定されてよい。図示の例では、固定部13は、矩形状の振動部11の1辺に亘って振動部11と隣り合っている。
【0035】
固定部13と振動部11とが中間部17を挟んで隣り合う方向は、X方向(厚み滑り振動において主面同士が相対的に滑る方向)であってもよいし(図示の例)、Z’方向であってもよい。また、別の観点では、上記隣り合う方向は、振動部11の短手方向であってもよいし、振動部11の長手方向であってもよいし、そのような区別ができなくてもよい(図示の例)。さらに、上記隣り合う方向と水晶素板3の長手方向との関係も任意である。
【0036】
固定部13の平面形状(本段落においては凹部15を無視する)及び寸法等は適宜に設定されてよい。例えば、固定部13は、一定の幅で振動部11の外縁に沿うような形状であってもよいし(図示の例)、振動部11側の縁部の形状と、振動部11とは反対側の縁部の形状とが互いに異なるような形状であってもよい。図示の例では、固定部13は、振動部11の1辺に平行な長辺を有する矩形状とされている。
【0037】
固定部13と振動部11とが中間部17を挟んで互いに隣り合っている方向に直交する方向(図示の例ではZ’方向)において、固定部13は、振動部11に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし(図示の例)、大きくてもよい。また、上記隣り合っている方向(図示の例ではX方向)における固定部13の長さも任意である。図示の例では、固定部13のX方向の長さは、振動部11のX方向の長さよりも短い。
【0038】
固定部13は、例えば、振動部11と同様に、XZ’平面に平行な平板状である。ただし、固定部13は、板状と概念できる広さを有しない形状であってもよい。固定部13は、振動部11と同様に、XZ’平面に平行な主面(第3面21A及び第4面21B)を有している。第3面21Aは、+Y’側(水晶素板3の厚み方向の一方側)に面しており、Y’軸(厚み方向)に直交している。第4面21Bは、-Y’側(水晶素板3の厚み方向の他方側)に面しており、Y’軸(厚み方向)に直交している。別の観点では、第3面21A及び第4面21Bは互いに平行である。さらに別の観点では、第3面21A及び第4面21Bは、第1面19A及び第2面19Bと平行である。
【0039】
固定部13は、既述のように振動部11よりも厚い。より詳細には、固定部13は、振動部11に対して厚み方向(Y’方向)の両側に高くなっている。別の観点では、厚み方向の一方側(+Y’側)に面している第3面21Aは、前記一方側に面している第1面19Aよりも前記一方側に位置している。また、厚み方向の他方側(-Y’側)に面している第4面21Bは、前記他方側に面している第2面19Bよりも前記他方側に位置している。
【0040】
第1面19Aから第3面21Aまでの高さh1(符号は
図4)と、第2面19Bから第4面21Bまでの高さとは、一方が他方よりも大きくてもよいし、同等であってもよい。なお、本実施形態では、両者が同等である態様を例に取る。また、これらの高さh1は、振動部11の厚さt1(符号は
図4)に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。
【0041】
(1.1.3.中間部)
中間部17は、例えば、概略、振動部11の固定部13側の縁部、及び/又は固定部13の振動部11側の縁部21aの全体に亘っている。中間部17の平面視における寸法は適宜に設定されてよい。例えば、固定部13と振動部11とが中間部17を介して互いに隣り合っている方向に直交する方向(図示の例ではZ’方向)において、中間部17は、振動部11及び/又は固定部13に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし(図示の例)、大きくてもよい。また、上記隣り合っている方向(図示の例ではX方向)における中間部17の長さも任意である。図示の例では、中間部17のX方向の長さは、固定部13のX方向の長さよりも短い。
【0042】
中間部17は、既述のように固定部13側ほど厚くなっている。具体的には、中間部17は、固定部13側ほど厚くなるように傾斜している第5面23A及び第6面23Bを有している。第5面23Aは、厚み方向の一方側(+Y’側)に面しており、振動部11側に対して固定部13側が前記一方側に位置する向きで第1面19Aに対して傾斜している。第6面23Bは、厚み方向の他方側(-Y’側)に面しており、振動部11側に対して固定部13側が前記他方側に位置する向きで第2面19Bに対して傾斜している。第5面23A及び第6面23Bそれぞれは、例えば、概略、一つの平面によって構成されている。
【0043】
第5面23Aの傾斜角及び第6面23Bの傾斜角は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。同一の場合は、振動部11のうちの1対の励振電極7に挟まれている部分から漏れ伝搬した振動が、中間部17のうちの傾斜している部分で反射する状態を、上面側と下面側とで同じにすることができる。なお、本実施形態の説明では、両者が同一である態様を例に取る。この傾斜角の具体的な大きさは適宜に設定されてよい。例えば、後述する
図4に示すように、固定部13又は振動部11の主面の法線(別の観点ではY’軸)に対する第5面23A又は第6面23Bの角度をθ1とする。このとき、角度θ1は、45°よりも小さくてもよいし、45°以上であってもよい。
【0044】
第5面23A及び第6面23Bは、エッチングによって水晶素板3を形成したときに水晶のエッチングに対する異方性によって現れる結晶面であってよい。この場合に現れる結晶面(別の観点では傾斜角θ1)は、エッチングの条件によって適宜に選択されてよい。傾斜角θ1の例を挙げると、例えば、約55°(例えば53°以上57°以下)である。図示の例とはX軸の正負が逆の場合の傾斜角θ1の例を挙げると、約27°(例えば25°以上29°以下)である。
【0045】
第1面19Aと第5面23Aとは互いに交差しており、側面視若しくは断面視において(Z’方向に見て)角部を構成している。特に図示しないが、この角部は、極めて微視的に見た場合に、曲線を有していたり、段差を有していたりしてもよい。この場合の曲線の長さ又は段差の高さは、例えば、0.1μm未満である。また、第1面19Aと第5面23Aとは、微視的に見なくても、両者の間に曲線が介在していたり、両者の間に段差が存在したりしてもよい。第1面19Aと第5面23Aとの境界について説明したが、上記の説明は、第2面19Bと第6面23Bとの境界に援用されてよい。
【0046】
第1面19Aと第5面23Aとの境界と、第2面19Bと第6面23Bとの境界とは、中間部17と振動部11とが隣り合う方向(図示の例ではX方向)における位置が一致していてもよいし、互いにずれていてもよい。位置が一致しているという場合、公差が存在してもよいことはもちろんである。
【0047】
第3面21Aと第5面23Aとは互いに交差しており、側面視若しくは断面視において(Z’方向に見て)角部を構成している。特に図示しないが、この角部は、微視的に見た場合に、曲線を有していたり、段差を有していたりしてもよい。例えば、第3面21Aの縁部21aから-Y’側に広がって概ねX軸に直交する平面を含む段差が形成されていてもよい。この段差の高さ(Y’方向の大きさ)は、例えば、1μm未満である。第3面21Aと第5面23Aとの境界について説明したが、上記の説明は、第4面21Bと第6面23Bとの境界に援用されてよい。
【0048】
第3面21Aと第5面23Aとの境界と、第4面21Bと第6面23Bとの境界とは、固定部13と中間部17とが隣り合う方向(図示の例ではX方向)における位置が一致していてもよいし、互いにずれていてもよい。位置が一致しているという場合、公差が存在してもよいことはもちろんである。
【0049】
(1.2.導体パターン)
導体パターン5の材料は、例えば、金属とされてよい。導体パターン5は、単一の材料からなる1層の金属層によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料からなる複数の金属層が積層されて構成されていてもよい。金属層の材料としては、例えば、ニッケル、クロム、ニクロム、チタン、金若しくは銀又はこれらを含む合金を挙げることができる。導体パターン5は、例えば、その領域(換言すれば面積)全体が同一の材料によって構成されていてもよいし、一部の領域が異なる材料によって構成されていてもよい。
【0050】
(1.2.1.励振電極)
1対の励振電極7は、既述のように振動部11に電圧を印加すべく、振動部11の両主面に位置している。1対の励振電極7は、例えば、平面透視において概ね互いに過不足なく重なる位置、形状及び大きさを有している。ただし、互いに重複しない部位が存在しても構わない。平面視における励振電極7の位置、形状及び大きさ等は適宜に設定されてよい。
【0051】
例えば、励振電極7は、振動部11の中央側の領域に位置している。別の観点では、励振電極7は、振動部11の外縁から離れて位置している。励振電極7の中心は、例えば、振動部11及び/又はその主面の中心とZ’方向において概ね一致している。また、励振電極7の中心は、振動部11の中心に対して、X方向において、+X側に位置していてもよいし、一致していてもよいし、-X側に位置していてもよい。励振電極7は、例えば、振動部11の面積の1/3以上を占めてよい。
【0052】
また、例えば、励振電極7の形状は、振動部11の形状と類似する形状であってもよいし(
図1の例)、異なる形状であってもよい。前者としては、例えば、
図1の例のように、振動部11の形状が矩形状であるのに対して、励振電極7の形状が振動部11の長辺と平行な長辺を有する矩形状である(少なくとも一方は正方形であってもよい。)態様を挙げることができる。また、後者としては、振動部11の形状が矩形状であるのに対して、励振電極7の形状が円形(後述する
図11の例)、楕円形又は多角形(四角形を除く)である態様を挙げることができる。
【0053】
(1.2.2.引出電極)
引出電極9は、パッケージ103のパッド111に接合されるパッド部9aと、当該パッド部9aを励振電極7に接続する配線部9bとを有している。
【0054】
各導体パターン5のパッド部9aは、固定部13の少なくとも下面(
図7のパッド111側の面。以下、他の部位の面についても同様。)に重なっている。すなわち、固定部13の下面には、1対の導体パターン5が有する1対のパッド部9aが並んで配置されている。
【0055】
図示の例では、各導体パターン5は、固定部13の上面(パッド111とは反対側の面。以下、他の部位の面についても同様。)にもパッド部9aを有している。すなわち、各導体パターン5は、2つのパッド部9aを有しており、1対の導体パターン5は、合計で2対のパッド部9aを有している。これにより、例えば、水晶素子1は、1対の主面のいずれを下面にすることも可能となっている。なお、図示の例とは異なり、1対の導体パターン5は、1対のパッド部9aのみを有していてもよい。
【0056】
水晶素子1の下面(又は上面)の1対のパッド部9aは、Z’方向に並んでいる。下面(又は上面)の1対のパッド部9aは、例えば、水晶素板3のX軸に平行な中心線CLに対して、概略、線対称の位置、形状及び大きさを有していてよい。下面の1対のパッド部9aと、上面の1対のパッド部9aとは、同一の構成とされてよい。
【0057】
各導体パターン5において、上面のパッド部9aと水晶素子1の下面のパッド部9aとは、各導体パターン5の、水晶素板3のX方向に面する側面及び/又はZ’方向に面する側面に位置している部分(符号省略)によって接続されている。これにより、上面(又は下面)の励振電極7と下面(又は上面)のパッド部9aとが接続される。図示の例とは異なり、上面のパッド部9aを有していない態様においては、例えば、配線部9bが水晶素板3のX方向に面する側面及び/又はZ’方向に面する側面に拡張されることによって、上面の励振電極7と下面のパッド部9aとが接続されてよい。
【0058】
各パッド部9aの具体的な位置、形状及び大きさ等は適宜に設定されてよい。図示の例では、パッド部9aは矩形状である。図示の例とは異なり、パッド部9aは、振動部11とは反対側かつ固定部13のZ’方向の中央側に凹部を有していてもよい。図示の例では、パッド部9aは、固定部13だけでなく、縁部21aを超えて中間部17にも重なっており、さらには、振動部11にも重なっている。また、パッド部9aは、固定部13において、振動部11とは反対側(+X側)の端部に至っているとともに、+Z’側又は-Z側の端部に至っている。パッド部9aは、X方向の長さ及びZ’方向の長さのいずれが他方よりも長くてもよい。パッド部9aのZ’方向の長さは、固定部13のZ’方向の長さの1/3以上であってもよいし(図示の例)、1/3未満であってもよい。
【0059】
各導体パターン5において、配線部9bは、例えば、励振電極7から延びて当該励振電極7が位置している面(上面又は下面)のパッド部9aに至っている。図示の例では、上記のようにパッド部9aは、固定部13(より詳細には第3面21A又は第4面21B)だけでなく、振動部11(より詳細には第1面19A又は第2面19B)に重なっており、ひいては、配線部9bは、振動部11のみに重なり、固定部13には重なっていない。
【0060】
配線部9bの具体的な位置、形状及び大きさ等は適宜に設定されてよい。図示の例では、配線部9bは、励振電極7の固定部13側の縁部の端部から一定の幅でX方向に平行に延びている。図示の例とは異なり、配線部9bは、励振電極7の角部から延び出たり、X方向に斜めに延びたり、幅が変化したりしてもよい。確認的に記載すると、配線部9bの幅(Z’方向の長さ)は、パッド部9aの幅(Z’方向の長さ)よりも狭い。
【0061】
(1.3.凹部)
以下では、まず、凹部15全般について説明し、その後、
図3~
図5を参照して凹部15の形状及び寸法の具体例(一例)について説明する。
【0062】
以下の説明では、便宜上、第3面21A側の凹部15及び第4面21B側の凹部15のうち、前者を例に取って説明することがある。この場合において、特に矛盾等が生じない限り、第3面21A側の凹部15の説明は、第4面21B側の凹部15に援用されてよい。ただし、第3面21Aの語と第4面21Bの語とは相互に置換し、第1面19Aの語と第2面19Bの語とは相互に置換し、第5面23Aの語と第6面23Bの語とは相互に置換し、+Y’の語と-Y’の語とは相互に置換し、+Z’の語と-Z’の語とは相互に置換する。
【0063】
(1.3.1.凹部全般)
既述のように、凹部15は、固定部13の第3面21Aを窪ませているとともに、平面視において第3面21Aの振動部11側の縁部21aを切り欠いている。また、本実施形態では、固定部13の振動部11側には中間部17が位置しており、凹部15は、中間部17の第5面23Aも窪ませている。凹部15は、平面視において、中間部17の振動部11側の縁部に到達していてもよいし(図示の例)、到達していなくてもよい。
【0064】
凹部15の数は任意である。例えば、図示の例では、水晶素板3の第3面21Aにおいて、凹部15の数は複数とされている。また、第3面21Aは、各引出電極9(より詳細にはパッド部9a)に重なる少なくとも1つ(図示の例では複数。より詳細には3つ)の凹部15を有している。各引出電極9における凹部15の数が複数である場合、この数は、例えば、2以上5以下とされてよく、また、2以上4以下とされてよい。図示の例とは異なり、第3面21Aは、各引出電極9に対して1つの凹部15のみ(第3面21Aにおいて合計で2つの凹部15)を有していてもよい。また、後述する
図8から理解されるように、第3面21Aは、当該第3面21Aとつながる第1面19Aに重なる励振電極7と接続される引出電極9に対してのみ凹部15を有していてもよい。換言すれば、第3面21Aは、第2面19Bに重なる励振電極7と接続される引出電極9に対しては凹部15を有していなくてもよい。
【0065】
水晶素板3の+Y’側又は-Y’側の面において、複数の凹部15の配置は、水晶素板3のX方向に平行な中心線CLに対して線対称であってもよいし(図示の例)、線対称でなくてもよい。線対称の場合には、振動部11のうちの1対の励振電極7に挟まれている部分から漏れ伝搬した振動が、複数の凹部15が配置されている領域で反射する状態を、中心線CLに対する+Z’側と-Z’側とで同じにすることができる。Z’方向において、複数の凹部15のピッチ(例えば凹部15の中心間の距離)又は間隔(凹部15の非配置領域のZ’方向の長さ)は、中心線CLの片側(+Z’側又は-Z’側)において、一定であってもよいし(図示の例)、一定でなくてもよい。また、凹部15の間隔は、凹部15の幅(Z’方向の長さ。例えば、最大幅)に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし(図示の例)、長くてもよい。
【0066】
複数の凹部15の形状及び寸法は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。図示の例では、複数の凹部15は、基本的に、互いに同一の形状及び寸法とされている。
【0067】
各凹部15の形状及び寸法は任意である。例えば、凹部15の深さ(Y’方向の大きさ)は、X方向及び/又はZ’方向において、一定であってもよいし、一定でなくてもよい(図示の例)。別の観点では、凹部15の内面は、Y’方向に対して傾斜している傾斜面を有していてもよいし(図示の例)、有していなくてもよい。そのような傾斜面は、エッチングによって現れる結晶面であってもよいし、結晶面でなくてもよい。
【0068】
また、例えば、第3面21Aを窪ませる凹部15の、平面視における振動部11側(-X側)の端部の高さ(Y’方向の位置)は、第1面19Aの高さに対して、同等であってもよいし(図示の例)、高くてもよいし、低くてもよい。換言すれば、凹部15の上記端部における第3面21Aからの深さは、第1面19Aから第3面21Aまでの高さh1に対して、同等であってもよいし(図示の例)、小さくてもよいし、大きくてもよい。例えば、凹部15の上記端部における第3面21Aからの深さは、第1面19Aから第3面21Aまでの高さh1の50%以上100%以下とされてよい。
【0069】
また、凹部15の、平面視における第3面21Aの振動部11側の縁部21aからの奥行き(凹部15のX方向の長さ。Z’方向又はY’方向の位置によって相違する場合は例えば最大長さ)は、凹部15の幅(Z’方向の長さ。X方向又はY’方向の位置によって相違する場合は例えば最大長さ)の長さに対して、長くてもよいし、同等でもよいし(図示の例)、短くてもよい。また、凹部15の深さ(凹部15のY’方向の長さ。X方向又はZ’方向の位置によって相違する場合は例えば最大長さ)は、凹部15の奥行き及び/又は凹部15の幅に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。
【0070】
また、平面視における凹部15の全体の形状(別の観点では凹部15の+Y’側の開口の形状)は、例えば、矩形状であってもよいし(図示の例)、1辺が振動部11側に位置する三角形状であってもよいし、弦が振動部11側に位置する半円状であってもよいし、楕円形であってもよいし、長円形(長方形の短辺を外側に膨らむ曲線状とした形状)であってもよい。矩形状の場合には、例えば、凹部15の製造再現性が向上する。凹部15のうち固定部13に位置する部分の平面視における形状も同様である。
【0071】
(1.3.2.凹部の形状及び寸法の具体例)
図3は、
図2の領域IIIを拡大して示す平面図である。
図4は
図3のIV-IV線における断面図である。
図5は
図3のV-V線における断面図である。ただし、
図3~
図5では、導体パターン5の図示は省略され、水晶素板3のみが示されている。
【0072】
なお、
図1及び
図2では、
図3~
図5よりも模式的に凹部15の形状が示されている。具体的には、後述する第1側面15b及び第2側面15cが、Y’軸に対して傾斜せずに、Y’軸に対して平行に描かれている。ただし、実際に、第1側面15b及び第2側面15cは、
図1及び
図2のように、その大部分がY’軸に対して平行であっても構わない。
【0073】
ここでは、凹部15がエッチングによって形成されることを想定することがある。そして、
図3~
図5では、エッチングに対する水晶の異方性の影響が典型的に現れた場合の凹部15の形状を例示している。また、以下の説明においては、図示の形状を前提とした表現をすることがある。ただし、実際の形状は、図示の形状から崩れた形状(例えば角部に比較的大きな丸みがある形状)であっても構わない。
【0074】
凹部15は、例えば、Y’軸に概ね直交している底面15aと、底面15aから+Y’側へ立ち上がり、底面15aを囲んでいる複数の側面(第1側面15b、第2側面15c及び第3側面15d)とを有している。第1側面15b及び第2側面15cは、平面視において、固定部13の振動部11側の縁部21aに対して交差(例えば直交)する側面である。換言すれば、第1側面15b及び第2側面15cは、底面15aに対して縁部21aに沿う方向に位置する側面である。第3側面15dは、平面視において底面15aに対して振動部11とは反対側に位置する側面である。
【0075】
なお、特に図示しないが、例えば、凹部15は、既述のように、振動部11側に1辺が位置する三角形状、又は振動部11側に弦が位置する半円状とされてよい。この態様のように、第1側面15b、第2側面15c及び第3側面15dは、明瞭に区別できなくてもよい。別の観点では、3つの側面が存在することは、凹部15にとって必須ではない。
【0076】
底面15aは、例えば、振動部11の第1面19Aとつながっているとともに、第1面19Aと面一である。面一は、両面の高さが同じで、両面が互いに平行であることを指す。ただし、既述の凹部15全般の説明からも理解されるように、図示の例とは異なり、底面15aは、第1面19Aと高さが異なったり、第1面19Aに対して傾斜していたり、平面視において第1面19Aに到達していなかったりしてもよい。
【0077】
第1側面15b、第2側面15c及び第3側面15dの少なくとも1つ(図示の例では全部の側面)は、水晶素板3の厚さ方向(Y’方向)に対して傾斜している傾斜面となっている(傾斜面を有している。)。より詳細には、各傾斜面は、例えば、凹部15の上方(ここでは、+Y’側、第3面21A側)ほど、凹部15(幅又は奥行き)が大きくなる向きに傾斜している。各傾斜面のY’方向に対する傾斜角(
図4のθ2、
図5のθ3及びθ4)は、適宜に設定されてよい。例えば、各傾斜角は、1°以上、10°以上、20°以上又は50°以上とされてよく、70°以下、60°以下、40°以下又は30°以下とされてよく、上記の下限と上限とは矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてよい。
【0078】
なお、図示の例とは異なり、各側面は、1つの平面からなるのではなく、Y’方向の互いに異なる位置に複数の平面を含んでいたり、断面視において凹及び/又は凸となる1つ以上の曲面を含んでいたりしてもよい。別の観点では、各側面は、Y’方向に平行な断面において、1つの直線からなるのではなく、2つ以上の直線又は1つ以上の曲線を含んでいてもよい。特に断り無く、各側面の傾斜角について言及するとき、この傾斜角についての説明は、矛盾等が生じない限り、各側面の傾斜角の代表値についての説明と捉えられてよい。代表値は、例えば、各側面の面積の50%以上若しくは80%以上を占める1つの平面の傾斜角とされたり、各位置の傾斜角を各側面の全面積について平均した値とされたりしてよい。及び/又代表値は、各側面の任意の位置におけるY’方向に平行な断面において、各側面のY’方向における高さの50%以上又は80%以上の高さを占める直線の傾斜角とされたり、各位置の傾斜角を各側面の全長について平均した値とされたりしてよい。
【0079】
第1側面15b、第2側面15c及び第3側面15dの少なくとも1つ(図示の例では全部の側面)は、例えば、エッチングに対する水晶の異方性によって現れる結晶面となっている(結晶面を有している。)。上述した傾斜面は、結晶面によって実現されてよい。この場合に現れる結晶面(別の観点では傾斜角θ2~θ5)は、エッチングの条件によって適宜に選択されてよい。
【0080】
各側面が結晶面である場合の傾斜角の例を挙げる。第3側面15dのY’軸に対する傾斜角θ2は、中間部17の第5面23Aの傾斜角θ1(既述)と同じであってもよいし、もよいし、異なっていてもよい。
図4の例では同じである。例えば、傾斜角θ2は、約55°(例えば53°以上57°以下)であってよい。X軸の正負が図示の例とは逆の場合の傾斜角θ2は、約27°(例えば25°以上29°以下)であってよい。+Y’側の凹部15の第1側面15b及び第2側面15cのうち、-Z’側に面している側面(図示の例では第1側面15b)のY’軸に対する傾斜角θ3は、約54°(例えば52°以上56°以下)であってよい。+Y’側の凹部15の第1側面15b及び第2側面15cのうち、+Z’側に面している側面(図示の例では第2側面15c)のY’軸に対する傾斜角θ4は、約3°(例えば1°以上5°以下)であってよい。
【0081】
図示の例とは異なり、各側面は、その一部のみが結晶面によって構成されてよい。また、各側面は、Y’方向の互いに異なる位置に互いに異なる2以上の結晶面(傾斜角が互いに異なる傾斜面)を有してもよい。各側面の1以上の結晶面のうちの1つの傾斜角は、上記の範囲内とされてよい。上記の範囲の傾斜角を有する結晶面は、各側面の大部分を占める結晶面であってもよいし、そうでなくてもよい。各側面の大部分を占める結晶面は、各側面の面積の50%以上、80%以上若しくは100%(ただし、角部の微小な丸みは無視する)を占めてよい。及び/又は、各側面の大部分を占める結晶面は、水晶素板3の厚さ方向(Y’方向)に平行な断面において、各側面のY’方向に平行な高さの50%以上、80%以上若しくは100%(ただし、角部の微小な丸みは無視する)を占めてよい。
【0082】
第3側面15dは、傾斜角θ2で傾斜している。従って、振動部11の第1面19Aから固定部13の第3面21Aまでの高さをh1(
図4)とするとき、第3側面15dは、平面視において、h1×tanθ2の長さ(平面視における長さ)で、第3面21Aとつながる縁部(凹部15の+X側の縁部)から振動部11側へ広がっている。凹部15の、平面視における固定部13の縁部21aからの奥行きであって、第3面21Aの高さにおける奥行きをd1(
図3及び
図4)とする。奥行きd1がh1×tanθ2よりも大きいときは、底面15aは、その差d2(
図3及び
図4)で縁部21aよりも固定部13の内部に入り込む領域を有する(図示の例)。当該領域によって、例えば、第1側面15bと第3側面15dで反射する振動の影響を低減することができる。当該領域の形状は任意であるが、図示では方形である。当該領域が方形である場合(図示の例)、d2は、θ2が0°よりも大きいときにd1未満である。d2の具体的な長さは任意である。例えば、d2は、1/4×d1以上3/4×d1以下とされてよく、また、1/3×d1以上2/3×d1以下とされてよい。当該領域の幅w2は、通常、凹部15の幅w1(第3面21Aの高さにおける幅)より短い。w2の具体的な大きさは任意である。例えば、w2は、1/4×w1以上3/4×w1以下とされてよく、また、1/3×w1以上2/3×w1以下とされてよい。図示の例とは異なり、第3側面15dは、振動部11側の端部が縁部21aに位置したり、縁部21aよりも振動部11側に位置したりしてもよい。
【0083】
第1側面15bは、傾斜角θ3で傾斜している。従って、第1側面15bは、平面視において、h1×tanθ3の長さ(平面視における長さ)で、第3面21Aとつながる縁部(凹部15の+Z’側の縁部)から凹部15の内側へ広がっている。同様に、第2側面15cは、傾斜角θ4で傾斜しており、平面視において、h1×tanθ4の長さ(平面視における長さ)で、第3面21Aとつながる縁部(凹部15の-Z’側の縁部)から凹部15の内側へ広がっている。平面視において、凹部15の、固定部13の第3面21Aの高さにおける幅をw1(
図3及び
図5)とする。幅w1がh1×tanθ3及びh1×tanθ4の和よりも大きいときは、第1側面15b及び第2側面15cは直接的には交差せず、両者の間に底面15aの一部が形成される(図示の例)。当該一部の幅w2の例については上述した。図示の例とは異なり、第1側面15b及び第2側面15cは、直接的に交差してもよい。
【0084】
上記の説明からも理解されるように、図示の例では、幅w1及び奥行きd1は、比較的大きく設定されている。例えば、幅w1及び/又は奥行きd1は、振動部11の厚さt1(
図4)、第1面19Aから第3面21Aまでの高さh1、平面視における第5面23Aの長さs1(
図3及び
図4)よりも大きい。
【0085】
これらの具体的な値は任意である。以下に水晶素板3が比較的薄い場合の例を挙げる。厚さt1は、16μm以下とされてよい。高さh1は16μm以下又は12μm以下とされてよい。長さs1は、例えば、h1×tanθ1であり、また、例えば、17μm以下又は6μm以下とされてよい(ただし、例えば、奥行きd1よりも小さい。)。一方、幅w1及び/又は奥行きd1は、17μm以上又は19μm以上とされてよい。
【0086】
(1.4.引出電極と凹部との重なり)
引出電極9は、振動部11(第1面19A)から固定部13(第3面21A)へ至る過程において、引出電極9の適宜な部位が凹部15の内面のうちの適宜な部位を経由してよい。図示の例では、引出電極9のパッド部9aが(少なくとも1つの)凹部15の内面の全体に重なっている。すなわち、パッド部9aは、底面15a、第1側面15b、第2側面15c及び第3側面15dのそれぞれの全体に重なっている。換言すれば、パッド部9aは、第1面19Aと面一な底面15aから、3つの側面の下端の縁部を経由して3つの側面に至り、さらに、3つの側面の上端縁部から第3面21Aに至っている。
【0087】
図示の例とは異なり、配線部9bが凹部15に重なってもよい(後述する
図8を参照)。また、引出電極9は、凹部15の一部のみに重なってもよい。例えば、引出電極9は、底面15aの全部又は一部に重なるとともに、3つの側面(15c、15b及び15d)のうちの1つの側面の全部又は一部に重なり、残りの2つの側面の少なくとも一方の少なくとも一部又は全部に重なっていなくてもよい。
【0088】
(1.5.水晶素子の製造方法)
水晶素子1は、公知の種々の製造方法を応用して作製されてよい。特に図示しないが、以下では、その一例について説明する。
【0089】
まず、水晶からなるウェハを用意する。ウェハは、複数の水晶素板3が多数個取りされるものである。このようなウェハは、例えば、上述したATカット板のカット角で切り出され、また、固定部13の厚さと同等の厚さに加工される。
【0090】
次に、ウェハの両主面にエッチングマスクを形成する。これらのエッチングマスクは、例えば、水晶素板3(振動部11、中間部17及び固定部13)となる領域と、複数の水晶素板3の周囲の枠状部(捨て代)となる領域とに重なっている。そして、エッチングマスクを介してウェハを両主面側からエッチングする。エッチングは、例えば、ウェハを薬液に浸すウェットエッチングである。これにより、水晶素板3となる領域の周囲がエッチングされ、水晶素板3の外形が形成される。
【0091】
次に、ウェハの両主面に新たなエッチングマスクを形成する。新たなエッチングマスクは、第3面21A又は第4面21Bとなる領域に重なっている(振動部11、中間部17及び凹部15となる領域に重なっていない。)。なお、この新たなエッチングマスクは、先のエッチングマスクの一部を除去することによって形成されてもよい。
【0092】
そして、新たなエッチングマスクを介してウェハを両主面側からエッチングする。これにより、振動部11となる領域は、固定部13となる領域よりも薄くなる。また、エッチングに対する水晶の異方性に起因して、振動部11と固定部13との間には結晶面が現れ、ひいては、振動部11と固定部13との間に固定部13側ほど厚くなる中間部17が形成される。また、エッチングによって凹部15が形成される。凹部15の側面は、エッチングに対する水晶の異方性に起因して、凹部15の上方ほど凹部15が大きくなる向きで傾斜する傾斜面となる。
【0093】
その後、エッチングマスクは除去され、導体パターン5が形成される。導体パターン5は、例えば、水晶素板3の表面に形成されたマスクを介して金属が成膜されることによって形成されてよい。また、導体パターン5は、水晶素板3の全面又は大部分に金属が成膜された後、マスクを介してエッチングが行われることによって形成されてもよい。成膜は、スパッタリング等の適宜な方法によってなされてよい。
【0094】
導体パターン5の形成後、水晶素板3は、ウェハの枠状部との連結部を折ったり、切ったりすることなどにより、枠状部から分離される(個片化される。)。なお、個片化の際及び/又は個片化後において、固定部13は、水晶素子1の保持に利用されてよい。例えば、固定部13が吸着保持されることによって、水晶素子1が冶具に保持されてよい。
【0095】
(1.6.水晶素子についてまとめ)
以上のとおり、本実施形態では、水晶素子1は、圧電素板(水晶素板3)と、第1励振電極(例えば第1導体パターン5Aの励振電極7)と、第1引出電極(例えば第1導体パターン5Aの引出電極9)とを有している。水晶素板3は、平面視において互いに異なる領域を構成する振動部11及び固定部13を有している。振動部11は、第1側(+Y’側)に面している第1面19Aと、第1側とは反対側の第2側(-Y’側)に面している第2面19Bとを有している。固定部13は、+Y’側に面している第3面21Aと、-Y’側に面している第4面21Bとを有している。第3面21Aは、第1面19Aよりも+Y’側に高くなっている。励振電極7は、第1面19Aに重なっている。引出電極9は、励振電極7から引き出されて第3面21Aに重なっている。水晶素板3は、第3面21Aから-Y’側に窪む第1凹部(+Y’側の凹部15)を有している。凹部15は、平面視において第3面21Aの第1面19Aの側の第1縁部(縁部21a)を切り欠いている。引出電極9は、第1面19Aから凹部15を経由して第3面21Aへ至る部分を有している。
【0096】
従って、例えば、凹部15によって引出電極9の導通の信頼性を向上させることができる。具体的には、以下のとおりである。
【0097】
例えば、スパッタリングで導体パターン5を形成するときに、-X方向の成分を含む方向へ飛ばされる金属粒子から見て固定部13の影となる領域が振動部11の第1面19A(及び中間部17の第5面23A)に生じることがある。影となる領域では、引出電極9が薄くなる蓋然性が高い。その結果、振動部11から固定部13への導通に寄与する断面積が低減される。このような断面積の低減が生じると、例えば、水晶素子1におけるクリスタルインピーダンスが高くなり、水晶素子1の電気的特性が低下する。
【0098】
しかし、水晶素板3が凹部15を有していると、影となる領域の一部は固定部13側(+X側)にシフトする。その結果、例えば、上記のシフトによって影とならなくなった領域に金属粒子を付着させることが容易化される。そして、例えば、引出電極9のうち、影とならなくなった領域からZ’方向の成分を含む方向に延びて第5面23A及び/又は第3面21Aに至る部分によって、振動部11から固定部13への導通に寄与する断面積を確保することができる。
【0099】
また、例えば、第3面21Aの縁部21aは、角部となりやすく、及び/又は段差が形成されやすい。この場合、引出電極9が薄くなりやすく、及び/又は水晶素板3から受ける応力が大きくなりやすい。その結果、縁部21aにおいて導通に寄与する断面積が低減される蓋然性が高い。
【0100】
しかし、縁部21aが凹部15によって切り欠かれることによって、例えば、凹部15によって窪んだ部分の長さも含めた第3面21Aの縁部の長さが長くなり、ひいては、導体パターン5の第3面21Aの縁部(ここでは凹部15の縁部を含む)に跨る長さを長くすることが可能になる。また、例えば、縁部21a(別の観点では平面視でX軸に直交する縁部)に段差が形成された場合においても、凹部15の縁部21aに交差する縁部(第1側面15b及び/又は第2側面15cの上端縁部)においては、段差が形成されないことがある。この場合、導体パターン5は、段差を経由せずに、凹部15の底面15aから第3面21Aへ至ることが可能である。これらの理由によって、導通に寄与する断面積を確保しやすい。
【0101】
導通の信頼性の向上の効果を例示したが、凹部15によって、他の効果も奏される。例えば、以下のとおりである。
【0102】
固定部13は、凹部15が形成されることによって、固定部13の全体としては強度を確保しつつ、振動部11側の一部において剛性を下げることができる。その結果、例えば、水晶素子1を実装するバンプ105(
図7)から固定部13に歪が付与される場合に、その歪を固定部13の振動部11側の部分によって吸収し、歪が振動部11に伝わる蓋然性を低減することができる。これにより、特性が低下する蓋然性を低減できる。上記のような歪は、例えば、バンプ105の硬化収縮、及び/又は水晶素子1が実装されている後述する基板部107a(
図7)の反りによって生じる。
【0103】
また、例えば、固定部13の振動部11側の縁部全体が直線状であると、振動部11から固定部13の縁部の種々の位置に到達した波が、同一方向へ同一の位相で反射され、その結果、反射波がノイズとして現れる蓋然性が高くなる。しかし、凹部15によって固定部13の振動部11側の縁部全体(ここでは凹部15の縁部を含む)に湾曲部又は屈曲部が形成されていることより、反射波の方向及び/又は位相が分散されやすくなる。その結果、ノイズが低減される。
【0104】
凹部15は、平面視において縁部21aに交差する第1側面15bが結晶面を有していてよい。
【0105】
この場合、例えば、第1側面15bは、エッチングの条件の誤差によらずに、一定の向きで形成される。従って、複数の水晶素子1において凹部15の形状を一定にして、特性のばらつきを低減することが容易である。また、結晶面は、凹部15の深さ方向(Y’方向)に対して傾斜する傾斜面として現れやすい。この場合、下記に述べるような効果が得られる。
【0106】
+Y’側の凹部15の、縁部21aに沿う方向の大きさを幅というとき、第1側面15bは、凹部15の幅が+Y’側ほど大きくなる向きで、凹部15の底部から第3面21Aに亘って傾斜する傾斜面を有してよい。引出電極9は、凹部15の底部から上記傾斜面を経由して第3面21Aへ至る部分を有してよい。
【0107】
この場合、例えば、第1側面15bが第3面21Aに対して直交する態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、第1側面15bに引出電極9が成膜されやすく、ひいては、上述した導通の信頼性向上の効果が増大する。その理由としては、スパッタリングを例に取ると、凹部15の深さ方向(Y’方向)に飛ばされる金属粒子が、深さ方向に平行な側面よりも深さ方向に傾斜する側面に付着しやすいことが挙げられる。また、例えば、第1側面15bが第3面21Aに対して直交する態様に比較して、応力集中が生じる蓋然性が低減され、固定部13の強度が確保されやすい。なお、既述のように、第1側面15bは、底面15aを介さずに直接的に第2側面15cと交差してよく、ここでいう底部は、底面15aに限定されない。
【0108】
凹部15の、縁部21aに沿う方向(Z’方向)の大きさを幅というとき、凹部15の、第3面21A(別の観点では縁部21a)の高さにおける幅w1は、振動部11の厚さt1よりも大きくてよい。
【0109】
この場合、幅w1は、比較的大きくされているということができる。その結果、例えば、上述した種々の効果が向上する。例えば、固定部13の影となる領域のうち固定部13側へシフトされる面積をZ’方向において確保することが容易化される。その結果、例えば、導通に寄与する断面積を確保することが容易化される。また、例えば、振動部11の歪を低減する効果が向上する。また、第1側面15bに結晶面が現れやすくなるとともに、底面15aが固定部13側に入り込みやすくなる(第1側面15bと第2側面15cとが直接に交差しにくくなる。)。底面15aが固定部13側に入り込むことによる効果は後述する。
【0110】
なお、ATカット型の水晶素子1において、厚さt1は、周波数を規定するパラメータである。従って、厚さt1との比較において規定される幅w1の大きさは、種々のサイズのATカット型の水晶素子1において同様の効果を有すると期待される。奥行きd1についても同様である。
【0111】
平面視における凹部15の縁部21aからの奥行きであって、第3面21A(別の観点では縁部21a)の高さにおける奥行きd1は、振動部11の厚さt1よりも大きくてよい。
【0112】
この場合、奥行きd1は、比較的大きくされているということができる。その結果、例えば、上述した種々の効果が向上する。例えば、固定部13の影となる領域のうち固定部13側へシフトされる領域のシフト量を大きくしたり、元々影とならなかった領域からシフトされた領域までの長さを長くしたりできる。その結果、例えば、導通に寄与する断面積を確保することが容易化される。また、例えば、第3側面15dに結晶面が現れやすくなるとともに、底面15aが固定部13側に入り込みやすくなる(第3側面15dが縁部21aを振動部11側へ超えにくくなる。)。底面15aが固定部13側に入り込むことによる効果は後述する。
【0113】
凹部15の、縁部21aに沿う方向(Z’方向)の大きさを幅というとき、凹部15の、第3面21A(別の観点では縁部21a)の高さにおける幅w1は、第1面19Aから第3面21A(縁部21a)までの高さh1よりも大きくてよい。
【0114】
この場合、幅w1は、比較的大きくされているということができる。幅w1が比較的大きくされている場合の効果は、既述のとおりである。また、高さh1が大きい場合、例えば、凹部15の内部に影が生じる蓋然性が高くなる。しかし、幅w1が高さh1に対して相対的に大きいことによって、Z’方向の成分を含む方向に見たときに影が生じる蓋然性を低減することができる。その結果、例えば、凹部15内に金属を成膜することが容易化され、導通の信頼性を向上させる効果が増大する。
【0115】
平面視における凹部15の縁部21aからの奥行きであって、第3面21A(別の観点では縁部21a)の高さにおける奥行きd1は、第1面19Aから第3面21A(縁部21a)までの高さh1よりも大きくてよい。
【0116】
この場合、奥行きd1は、比較的大きくされているということができる。奥行きd1が比較的大きくされている場合の効果は、既述のとおりである。また、高さh1が大きい場合、例えば、凹部15の内部に影が生じる蓋然性が高くなる。しかし、奥行きd1が高さh1に対して相対的に大きいことによって、X方向の成分を含む方向に見たときに影が生じる蓋然性を低減することができる。その結果、例えば、凹部15内に金属を成膜することが容易化され、導通の信頼性を向上させる効果が増大する。
【0117】
凹部15の内面は、底面15aと、端面(第3側面15d)とを有していてよい。底面15aは、第1面19Aにつながり、第1面19Aと面一であってよい。第3側面15dは、平面視において底面15aに対して第1面19Aとは反対側(+X側)に位置し、平面視において底面15aから離れるほど第3面21A(別の観点では縁部21a)の高さに近づく向きで傾斜しつつ、底面15aから第3面21A(縁部21a)へ立ち上がっていてよい。平面視において、底面15aは、縁部21aよりも第3面21Aの側に入り込んでいてよい。
【0118】
この場合、例えば、引出電極9は、第1面19Aから底面15aへ亘って面一な部分を有するとともに、底面15aから第1側面15b又は第2側面15cを経由して第3面21Aへ至る部分を有することができる。換言すれば、引出電極9は、縁部21a及び縁部21aと同じ向きの縁部(第3側面15dと第3面21Aとの境界)を避けて第1面19Aから第3面21Aへ至る部分を有することができる。その結果、例えば、縁部21a及び縁部21aと類似する縁部において引出電極9が薄くなっても、導通の信頼性を確保することができる。
【0119】
水晶素板3は、第1面19Aと第3面21A(別の観点では縁部21a)とをつなぎ、第3面21A(縁部21a)の側ほど第1側(+Y’側)に位置するように傾斜している第5面23Aを有していてよい。凹部15の、縁部21aに沿う方向(Z’方向)の大きさを幅というとき、凹部15の、第3面21A(縁部21a)の高さにおける幅w1は、平面視における第1面19Aから第3面21A(縁部21a)までの第5面23Aの長さs1(X方向の長さ)よりも大きくてよい。
【0120】
この場合、幅w1は、比較的大きくされているということができる。幅w1が比較的大きくされている場合の効果は、既述のとおりである。また、水晶素板3の全長(X方向)及び固定部13のX方向の長さが一定であると仮定すると、長さs1が長い場合、振動部11の面積が中間部17によって減じられることになる。その結果、例えば、振動部11の振動が中間部17及び固定部13によって規制される度合いが大きくなり、特性が低下する可能性がある。しかし、凹部15の幅w1が大きくされることによって、実質的に中間部17の体積を減じて、そのような不都合が生じる蓋然性を低減できる。
【0121】
平面視における凹部15の縁部21aからの奥行きであって、第3面21A(別の観点では縁部21a)の高さにおける奥行きd1は、平面視における第1面19Aから第3面21A(縁部21a)までの第5面23Aの長さs1よりも大きくてよい。この場合、奥行きd1は、比較的大きくされているということができる。奥行きd1が比較的大きくされている場合の効果は、既述のとおりである。また、長さs1が長い場合、長さs1と同等の長さを有する第3側面15dも長くなる。ひいては、底面15aを第3面21Aの側(+X側)に延ばしにくくなる。しかし、奥行きd1が長さs1に対して相対的に大きいことによって、そのような不都合が生じる蓋然性を低減できる。
【0122】
平面視において、凹部15の全体が引出電極9に重なってよい。
【0123】
この場合、例えば、導通の信頼性が更に向上する。例えば、所定の方向へ飛ばされる金属粒子から見て凹部15の内面の一部に影が生じても、凹部15の内面の他の部位に成膜が行われることによって、導通の断面積を確保することができる。また、例えば、凹部15のいずれかの側面と第3面21Aとの境界に段差が生じており、引出電極9が薄くなりやすくなっていても、他の側面と第3面21Aとの境界においてはそのような不都合が生じないことが期待される。
【0124】
水晶素子1は、第2面19Bに重なっている第2励振電極(第2導体パターン5Bの励振電極7)と、第2励振電極から引き出されて第4面21Bに重なっている第2引出電極(第2導体パターン5Bの引出電極9)とを有してよい。第4面21Bは、第2面19Bよりも-Y’側に高くなっていてよい。水晶素板3は、第4面21Bから+Y’側に窪む第2凹部(-Y’側の凹部15)を有してよい。第2凹部は、平面視で第4面21Bの第2面19B側の縁部21aを切り欠いていてよい。第2引出電極は、第2面19Bから第2凹部を経由して第4面21Bへ至る部分を有していてよい。
【0125】
すなわち、固定部13は、振動部11に対して、厚み方向の一方側だけでなく、厚み方向の両側に高くなっており、双方に凹部15を有している。この場合、例えば、凹部15による上述した種々の効果が水晶素板3の両面で得られる。また、例えば、振動部11における振動の分布を両面で同等にすることができ、意図されていない特異な振動が生じる蓋然性を低減することができる。
【0126】
平面視において、振動部11は矩形状であってよい。平面視において、第3面21Aの縁部21aは、振動部11の4辺のうちいずれか1辺(本実施形態では+X側の1辺)に沿っていてよい。平面視において、振動部11の、上記1辺に直交する仮想線(中心線CL)を仮定したときに、複数の凹部15が中心線CLに対して線対称に位置してよい。
【0127】
この場合、例えば、複数の凹部15によって、上述した種々の効果(例えば導通の信頼性を向上させる効果)が向上する。また、例えば、振動部11に生じる歪の分布を中心線CLに対して対称的にすることができる。その理由としては、例えば、振動部11から固定部13へ漏れて反射する振動が対称的にされること、及び/又は2つのバンプ105から固定部13を介して振動部11に付与される歪が対称的にされることが挙げられる。歪分布の対称性が向上することによって、例えば、意図されていない特異な振動が生じる蓋然性が低減され、水晶素子1の電気的特性が向上する。
【0128】
凹部15の平面視における振動部11の側の端部における、凹部15の第3面21Aからの深さは、第1面19Aから第3面21Aまでの高さh1の50%以上100%以下であってよい(図示の例では100%)。
【0129】
凹部15の深さが高さh1の50%以上であることによって、例えば、上述した影となる領域を固定部13側へシフトさせる効果が奏される蓋然性が高くなる。また、凹部15の深さが高さh1の100%以下であることによって、例えば、固定部13の強度を維持することが容易化される。
【0130】
以上の実施形態において、水晶素子1は圧電振動素子の一例である。水晶素板3は圧電素板の一例である。+Y’側は第1側の一例である。-Y’側は第2側の一例である。第1導体パターン5Aの励振電極7は第1励振電極の一例である。第1導体パターン5Aの引出電極9は第1引出電極の一例である。+Y’側の凹部15は第1凹部の一例である。+Y’側の縁部21aは第1縁部の一例である。第1側面15bは側面の一例である。第3側面15dは端面の一例である。第2導体パターン5Bの励振電極7は第2励振電極の一例である。第2導体パターン5Bの引出電極9は第2引出電極の一例である。-Y’側の凹部15は第2凹部の一例である。-Y’側の縁部21aは第2縁部の一例である。
【0131】
(2.水晶素子1の利用例)
図6は、水晶素子1の利用例としての水晶デバイス101の斜視図である。
図7は、
図6のVII-VII線における断面図である。なお、水晶デバイス101は、いずれの方向が上下方向又は水平方向とされてもよいが、以下の説明では、便宜上、
図6及び
図7の紙面上方を上方として、上面等の用語を用いることがある。
【0132】
水晶デバイス101は、例えば、全体として略直方体形状となっている電子部品である。水晶デバイスの寸法は、適宜な大きさとされてよい。一例を挙げると、長辺又は短辺の長さは、0.6mm以上2.0mm以下であり、上下方向の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下である。水晶デバイス101は、例えば、その下面を不図示の実装基体(例えば回路基板)の上面に対向させて表面実装される。
【0133】
水晶デバイス101は、例えば、一定の周波数で信号強度(例えば電圧及び/又は電流)が振動する発振信号の生成に寄与する振動子として構成されている。水晶デバイス101は、例えば、発振信号の生成に利用される振動を生じる水晶素子1と、水晶素子1をパッケージングしているパッケージ103とを有している。
【0134】
パッケージ103は、例えば、水晶素子1を支持する基体107と、基体107に接合されて水晶素子1を封止する蓋体109とを有している。水晶素子1は、例えば、導電性のバンプ105によって基体107に接合されて支持されている。パッケージ103の内部空間は、例えば、真空とされ、又は適当なガス(例えば、窒素)が封入されている。
【0135】
基体107は、例えば、水晶素子1を収容する凹部を有する形状とされている。別の観点では、基体107は、平板状の基板部107aと、基板部107aの上面の縁部に沿っている枠部107bとを有している。基板部107aおよび枠部107bからなる基体107は、セラミック材料等の絶縁材料からなる。蓋体109は、例えば、金属から構成され、枠部107bの上面にシーム溶接等により接合される。
【0136】
パッケージ103は、水晶素子1と、水晶デバイス101が実装される不図示の実装基体とを電気的に接続するための導体を有している。例えば、パッケージ103は、水晶素子1を実装するためのパッド111と、水晶デバイス101を実装基体に実装するための外部端子113と、両者を接続する不図示の配線導体とを有している。
【0137】
パッド111は、基板部107aの上面に位置する導電層により構成されている。外部端子113は、基板部107aの下面に位置する導電層により構成されている。不図示の配線導体は、基板部107aを上下に貫通する貫通導体を含んで構成されている。これらの導体の材料は、例えば、金属である。
【0138】
水晶素子1は、バンプ105によってパッド111に接合されている。これにより、水晶素子1は、基体107に支持されているとともに、パッケージ103に電気的に接続されている。より詳細には、水晶素子1は、例えば、その一端側においてパッド111と接合されて、片持ち梁状に支持されている。バンプ105は、例えば、導電性接着剤からなる。導電性接着剤は、金属からなるフィラーを混ぜ込んだ熱硬化性樹脂によって構成されている。
【0139】
外部端子113は、例えば、不図示の実装基体のパッドとはんだによって接合される。これにより、水晶デバイス101は、実装基体に支持されるとともに電気的に接続される。
【0140】
水晶素子1は、上記の利用例の他、種々の態様で利用されてよい。
【0141】
例えば、水晶素子1を含む水晶デバイス(圧電デバイス)は、水晶素子1に加えて、水晶素子1に電圧を印加して発振信号を生成する集積回路素子(IC:Integrated Circuit)を有する発振器であってもよい。また、例えば、振動子は、水晶素子1の他に、サーミスタ等の他の電子素子を有するものであってもよい。また、圧電デバイスは、恒温槽付のものであってもよい。
【0142】
圧電デバイスにおいて、水晶素子1をパッケージングするパッケージの構造は、適宜な構成とされてよい。例えば、パッケージは、上面及び下面に凹部を有する断面H型のものであってもよい。また、パッケージは、基板状の基体(凹部を有していない基体)と、基体に被せられるキャップ状の蓋体とで構成されるものであってもよい。
【0143】
(3.他の例)
以下、
図8~
図10を参照して種々の例について説明する。以下の説明では、基本的に、実施形態との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項については、実施形態と同様とされたり、実施形態から類推されたりしてよい。
【0144】
(3.1.引出電極及び凹部の他の例)
図8は、他の例に係る水晶素子201を+Y’側から見た平面図である。
【0145】
水晶素子201の引出電極209は、実施形態の引出電極9と同様に、パッド部209aと、配線部209bとを有している。ただし、配線部209bは、実施形態の配線部9bよりも長く形成されており、振動部11だけでなく、中間部17及び固定部13にも重なっている。固定部13上において、配線部209bのX方向の長さと、パッド部209aのX方向の長さとの相対関係は任意である。例えば、前者は、後者に対して、長くてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、短くてもよい。
【0146】
水晶素子201を-Y’側から見た平面図は、例えば、
図8と同様であってもよいし、同様でなくてもよい。前者は、換言すれば、水晶素子201は、X方向に平行な不図示の中心線に対して180°回転対称の構成であってよいということである。後者の例としては、-Y’側の不図示のパッド部209aが
図8に示す+Y’側のパッド部209aよりもX方向において大きくされている態様が挙げられる。この場合、水晶素子201は、例えば、-Y’側のパッド部209aがパッケージ103のパッド111に対向するようにパッケージ103に実装される。このとき、+Y’側のパッド部209aは、バンプ105に接合される(実装に寄与する)とは限らない。ただし、ここでは、便宜上、上記のような態様であっても、+Y’側において配線部209bよりも幅広になっている部分をパッド部209aと称する。
【0147】
水晶素子201は、実施形態と同様に、固定部13に凹部215を有している。そして、引出電極209は、凹部215の少なくとも一部(図示の例では全部)に重なっている。ただし、本例では、凹部215の少なくとも一部(図示の例では全部)は、配線部209bに重なっている。なお、既述のように、-Y’側のパッド部209aは、+Y’側のパッド部209aよりもX方向に大きくてもよい。この場合、-Y’側においては、+Y’側とは異なり、パッド部209aが凹部215の一部又は全部に重なっていてもよい。
【0148】
図示の例では、第3面21Aは、1つの導体パターン205(
図8では第1導体パターン205A)に対して1つのみ凹部215を有している。ただし、配線部209bが凹部
215と重なる態様において、実施形態と同様に、第3面21Aは、第1導体パターン205A及び第2導体パターン205Bのそれぞれに1つ以上の凹部215を有していてもよい。また、第3面21Aは、1つの導体パターン205のみに2以上の凹部215を有していてもよい。図示の例では、凹部215は、平面視において細長く形成されている。ただし、配線部209bと重なる凹部215の形状及び寸法は、実施形態の凹部15の形状及び寸法と同様に任意である。なお、第3面21Aの凹部
215の説明が第4面21Bの凹部
215の説明に援用されてよいことは既に述べたとおりである。
【0149】
以上のとおり、第1引出電極(第1導体パターン205Aの引出電極209)は、配線部209bと、パッド部209aとを有してよい。配線部209bは、第1励振電極(第1導体パターン205Aの励振電極7)から延び出ていてよい。パッド部209aは、配線部209bとつながっていてよく、固定部13の振動部11側の縁部21aに沿う方向において配線部209bよりも広がっていてよい。第1凹部(+Y’側の凹部215)は、平面視において配線部209bに重なる部分を有していてよい。
【0150】
この場合、例えば、配線部209bは、パッド部209aに比較して、幅が小さく、ひいては、導通に係る断面積を確保することが相対的に困難な部位であるから、凹部215による導通の信頼性の向上の効果が有用である。また、配線部209bと凹部215とが重なる前提として、配線部209bは、振動部11から固定部13へ跨って延びているから、水晶素子201とパッケージ103との固定位置の自由度が向上する。これにより、例えば、水晶素子201のパッケージ103への実装が振動部11の振動に及ぼす影響が低減される。
【0151】
(3.2.固定部の位置の他の例)
図9A及び
図9Bはそれぞれ、他の例に係る水晶素板の平面図である。実施形態では、固定部13は、矩形状の振動部11の1辺に沿う形状とされた。ただし、固定部は、振動部の2辺以上に沿っていてもよい。
図9A及び
図9Bの水晶素板は、そのような2辺以上に亘る固定部を有している。具体的には、以下のとおりである。
【0152】
なお、既述のとおり、振動部11は、矩形状でなくてもよく、円形状等であってもよい。一方で、「辺」の用語は、通常、多角形に用いられる。ただし、実施形態の説明では、便宜上、振動部11に対する固定部13の位置等を説明するときに、「辺」の用語を用いることがある。1辺は、振動部11に対して所定方向の一方側に位置する縁部のように言い換えることができる。互いに対向する2辺は、例えば、互いに対向する2つの縁部と言い換えたり、振動部11に対して所定方向の両側に位置する2つの縁部と言い換えたりできる。また、互いに交差する2辺は、例えば、互いに交差する2つの縁部と言い換えたり、振動部11に対して、第1方向の一方側に位置する縁部と、振動部11に対して、第1方向に直交する第2方向の一方側に位置する縁部との組み合わせと言い換えたりできる。
【0153】
図9Aに示す水晶素板303は、振動部311の2辺に沿って固定部313(及び中間部317)を有している。換言すれば、固定部313は、L字に形成されている。なお、固定部313がL字に構成されていると捉えるのではなく、水晶素板303が直線状の固定部313を合計で2つ有していると捉えられてもよい。以下の説明では、便宜上、固定部313のうち振動部311の1辺に沿う部分を固定部313の1辺等ということがある。
【0154】
実施形態の凹部15に対応する凹部315は、例えば、固定部313の2辺それぞれに位置している。ただし、凹部315は、1辺のみに位置していてもよい。図示の例では、各辺において、複数の凹部315は、各辺に直交する振動部311の中心線に対して線対称に配置されている。もちろん、複数の凹部315の配置は、非対称であっても構わない。
【0155】
図9Bに示す水晶素板403は、振動部411の3辺に沿って固定部413(及び中間部417)を有している。換言すれば、固定部413は、U字に形成されている。なお、固定部413がU字に構成されていると捉えるのではなく、水晶素板403が直線状の固定部413を合計で3つ有していると捉えられてもよい。以下の説明では、便宜上、固定部413のうち振動部411の1辺に沿う部分を固定部413の1辺等ということがある。
【0156】
実施形態の凹部15に対応する凹部415は、例えば、固定部413の3辺それぞれに位置している。ただし、凹部415は、1辺のみ又は2辺のみに位置していてもよい。図示の例では、各辺において、複数の凹部415は、各辺に直交する振動部411の中心線に対して線対称に配置されている。もちろん、複数の凹部415の配置は、非対称であっても構わない。
【0157】
振動部の4辺に沿って固定部が位置していてもよい(後述する
図11)。振動部の2辺以上に沿って固定部を有する水晶素子は、実施形態と同様に、1辺のみがパッケージ103に固定されて、片持ち梁状に支持されてもよいし、2辺以上においてパッケージ103に固定されて支持されてもよい。辺同士において固定部(及び/又は中間部)の形状及び/又は寸法は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。例えば、ここでは不図示のパッド部9aを有している辺における固定部の幅は、他の辺における固定部の幅よりも大きくされてよい。これらの例においても、引出電極のうち、凹部に重なる部位は、配線部であってもよいし、パッド部であってもよく、また、そのような区別ができなくてもよい。配線部が振動部から固定部へ延びる1辺と、パッド部が位置する1辺とは異なっていてもよい。
【0158】
(3.3.固定部の厚さの他の例)
図10は、他の例に係る水晶素子501の構成を示す断面図であり、
図2の一部に対応している。
【0159】
水晶素子501の水晶素板503においては、固定部513(及び中間部517)は、振動部511に対して、水晶素板503の厚み方向の一方側にのみ高くなっている。そして、ここでは不図示であるが、凹部15に対応する凹部は、固定部513の前記一方側にのみ形成されている。
【0160】
(第2章 第2実施形態)
(1.水晶素子の概要)
以下、
図11及び
図12を参照して第2実施形態に係る水晶素子601について説明する。以下の説明では、基本的に、第1実施形態(及び第1実施形態に係る他の例。以下、同様。)との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項については、第1実施形態と同様とされたり、第1実施形態から類推されたりしてよい。第1実施形態の説明は、矛盾等が生じない限り、第2実施形態に援用されてよい。なお、第2実施形態の説明が適宜に第1実施形態に援用されても構わない。水晶素子601の具体的構成は、
図11及び
図12に例示されたもの以外とされてもよいが、便宜上、特に断り無く、図示の具体的構成を前提とした説明をすることがある。
【0161】
図11は、水晶素子601の斜視図である。
図12は、
図11のXII-XII線における断面図である。水晶素子601は、例えば、概略、X軸に平行な中心線(不図示。第1実施形態に係る
図2の中心線CLを参照)に対して180°回転対称の構成とされている。従って、-Y’側から見た水晶素子601の斜視図は
図11と同様である。
【0162】
図11及び
図12では、第1実施形態の
図1よりも模式的に水晶素子601の形状が示されている。具体的には、この図では、ウェットエッチングに対する水晶の異方性に起因して生じる傾斜面の図示は省略されている。ひいては、第1実施形態の中間部17に相当する部位の図示は省略されており、また、凹部及び貫通孔(後述)の内部の傾斜面も図示が省略されている。これらの部位及び傾斜面は、第1実施形態と同様に存在してよい。ただし、図示のとおり、そのような部位及び傾斜面が存在しなくても構わない。
【0163】
水晶素子601の水晶素板603は、第1実施形態の水晶素板3と同様に、振動部611と、固定部613とを有している。ただし、固定部613は、第1実施形態とは異なり、厚さが互いに異なる内側部613a及び外側部613bを有している。内側部613aは、振動部611に(不図示の中間部を介して、又は介さずに)隣り合っている。外側部613bは、内側部613aに対して振動部611とは反対側に位置し、内側部613aよりも厚い。すなわち、固定部613は、振動部611から離れるほど厚くなるように、段階的に厚さが変化している。
【0164】
この場合、例えば、外側部613bの厚みを確保することが容易化される。その結果、固定部613を振動部611よりも厚くしていることによる効果が向上する。当該効果としては、例えば、外側部613bの強度が向上することが挙げられる。外側部613bの強度が向上すると、例えば、製造過程において外側部613bを吸着保持したときに水晶素板603が変形する蓋然性が低減される。別の観点では、振動部611と内側部613aとの間の段差、及び内側部613aと外側部613bとの間の段差を小さくすることができる。これにより、例えば、引出電極609が段差において断線する蓋然性が低減される。また、例えば、外側部613bが内側部613aを介さずに振動部611につながる態様に比較して、固定部613が振動部611の振動を規制する作用が低減され、振動特性が向上する。
【0165】
第1章の第3.2節等で述べたように、振動部611に対する固定部613の位置は任意である。
図11の例では、固定部613は、振動部611の4辺に沿って位置している(別の観点では振動部611を囲んでいる。)。従って、固定部613の振動部611側の縁部621a(第1実施形態の縁部21aに相当)は、矩形状であり、4つの隅部を構成している。そして、第1実施形態の凹部15に相当する凹部615Aは、4つの隅部の少なくとも1つ(図示の例では全て)に位置している。
【0166】
この場合、例えば、引出電極609が励振電極607から隅部へ向かって延びているから、利用される振動モード等にもよるが、引出電極609が振動に及ぼす影響が低減される。また、互いに同一方向(図示の例ではX方向)に沿っている凹部615Aの側面と内側部613aの側面とをつなげることによって、凹部615Aの側面を実質的に延長することができる。その結果、凹部615Aの側面を経由する引出電極609の導通面積を確保して、導通の信頼性を向上させることができる。
【0167】
水晶素板603は、振動部611と固定部613(内側部613a)との間に位置する凹部615Aに加えて、内側部613aと外側部613bとの間に位置する凹部615Bを有している。これによる効果は後述する。また、水晶素子601の導体パターン605(605A及び605B)のそれぞれは、励振電極607に対してX方向の両側に2つの引出電極609を有している。これによる効果についても後述する。
【0168】
以上が第2実施形態の第1実施形態との相違の概略である。以下、各部について具体的に述べる。
【0169】
(2.水晶素板)
(2.1.水晶素板全体及び振動部)
第1実施形態に係る水晶素板3全体及び振動部11についての説明は、第2実施形態に係る水晶素板603全体及び振動部611に援用されてよい。念のために述べると、水晶素板603は、例えば、第1実施形態と同様に、ATカットの水晶片であってよい。水晶素板603の平面形状及び振動部611の平面形状は任意である。上述した第2実施形態の概要の説明では、縁部621a(別の観点では振動部611)の隅部に凹部615Aが形成されることを述べた。しかし、第2実施形態からは、他の特徴が抽出されてよい。この場合において、振動部611が隅部を有することは要しない。従って、第1実施形態の説明で述べたように、振動部611は、例えば、円形又は楕円形であっても構わない。第1実施形態の説明で述べたように、水晶素板603の全体又は振動部611において、X方向の長さ及びZ’方向の長さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。後者の場合において、いずれの長さが他方の長さよりも長くてもよい。
【0170】
さらに念のために述べると、第1実施形態の説明では、
図10を参照して、水晶素板503の厚さ方向の一方側においてのみ、固定部513の主面が振動部511の主面に対して高くなっていてよいことについて述べた。これは、第2実施形態においても同様である。ただし、既述のとおり、ここでは、便宜上、特に断り無く、図示の構成を例に取って、水晶素板603の構成について説明することがある。
【0171】
(2.2.固定部)
第1実施形態における固定部13の説明は、第2実施形態に係る固定部613に援用されてよい。第2実施形態の概要の説明では、縁部621aの隅部に凹部615Aが形成されることを述べた。しかし、第2実施形態からは、他の特徴が抽出されてよい。この場合において、固定部613は、振動部611の2辺(
図11の例では4辺)に位置することを要しない。従って、第1実施形態の説明で述べたように、固定部613は、例えば、振動部611に対して、1辺のみ、2辺のみ、3辺のみ又は4辺に位置してよい。また、第2実施形態の概要の説明では、固定部613が内側部613a及び外側部613bを有することを述べた。しかし、第2実施形態からは、他の特徴が抽出されてよい。この場合、固定部613は、厚さが互いに異なる部位を有することを要しない。従って、例えば、固定部613の形状は、第1実施形態のものと同様とされても構わない。
【0172】
以下、内側部613a及び外側部613bを有する態様の固定部613の形状について説明する。念のために述べると、固定部613が、内側部613a及び外側部613bを有する態様においても、矛盾等が生じない限り、第1実施形態に係る固定部13の説明は、固定部613に援用されてよい。さらに、第1実施形態に係る固定部13の説明は、矛盾等が生じない限り、固定部13の語を内側部613a又は外側部613bの語に置換して第2実施形態に援用されてもよい。固定部13の語を外側部613bに置換する場合は、振動部11の語が振動部611に置換されるだけであってもよいし、ここでの説明とは異なり、振動部611及び内側部613aが第1実施形態の振動部11に相当する部分として捉えられてもよい。
【0173】
以下の説明では、便宜上、水晶素板603の+Y’側の面(第1面619A及び第3面621A)及び-Y’の面(第2面619B(
図12)及び第4面621B)のうち、前者を例に取って説明することがある。-Y’の面の構成は、例えば、+Y’側の面と同様とされてよい。
【0174】
既述のとおり、外側部613bは、内側部613aよりも厚い。別の観点では、固定部613の第3面621Aは、第1領域622A(内側部613aの上面)と、第1領域622Aよりも+Y’側に高くなっている第2領域622B(外側部613bの上面)とを有している。第1領域622Aは、既述の凹部615Aによって切り欠かれる縁部621aを有している。第2領域622Bは、既述の凹部615Bによって切り欠かれる縁部621bを有している。
【0175】
第1実施形態における第3面21Aの説明は、矛盾等が生じない限り、第1領域622A及び第2領域622Bそれぞれに援用されてよい。従って、例えば、第1領域622A及び第2領域622Bは、それぞれ、XZ’平面及び/又は振動部611の第1面619Aに対して平行な平面状である。換言すれば、第1領域622A及び第2領域622Bは、段階的に(階段状に)互いに高さが異なっている。なお、この観点から、第1実施形態の説明で示した第5面23A(別の観点では中間部17)と第1領域622A(別の観点では内側部613a)とは区別されてよい。
【0176】
第1実施形態は、水晶素板3の上面が振動部11から固定部13へ1段の変化(より詳細には高くなる変化)を有する態様であると捉えることができる。また、第2実施形態は、水晶素板603の上面が振動部611から固定部613へ2段の変化(より詳細にはいずれも高くなる変化)を有する態様であると捉えることができる。さらに上位概念化して、第2実施形態は、水晶素板603の上面が振動部611から固定部613へ複数段の変化(例えばいずれも高くなる変化)を有する態様であると捉えることができる。複数段は、2段に限定されず、3段以上であっても構わない。
【0177】
これまでの説明から理解されるように、内側部613aは、振動部11に対して、1辺のみ、2辺のみ、3辺のみ又は4辺に位置してよい。図示の例では、内側部613aは、4辺に位置している(別の観点では振動部611を囲んでいる。)。同様に、外側部613bは、振動部611に対して、1辺のみ、2辺のみ、3辺のみ又は4辺に位置してよい。図示の例では、外側部613bは、所定方向において振動部611(及び内側部613a)を挟んで互いに対向する2辺に位置している(換言すれば振動部611を挟んで互いに対向する2つの部分を有している。)。上記所定方向は、より詳細には、例えば、X方向(別の観点では厚みすべり振動の方向)である。また、図示の例では、外側部613bは、その全体が内側部613aを介して振動部611につながっており、内側部613aを介さずに振動部611につながっている部位を有していない。
【0178】
内側部613a及び外側部613bの、振動部611の周方向における配置は、図示の例以外にも種々可能である。いくつかの例を挙げる。例えば、内側部613a及び外側部613bの配置位置は、互いに同じであってよい。すなわち、内側部613a及び外側部613bは、共に、振動部611に対して、1辺のみ、2辺のみ、3辺のみ又は4辺に位置してよい。また、例えば、図示の例とは逆に、外側部613bの配置範囲が内側部613aの配置範囲よりも広くてもよい。例えば、内側部613aがX方向の両側の2辺に位置している一方で、外側部613bが4辺に位置していてよい。この場合に、外側部613bのZ’方向の両側の部分は、内側部613aを介さずに振動部611につながっていてよい。
【0179】
平面視における振動部611、第1領域622A及び第2領域622Bの相対的な大きさは任意である。例えば、第1領域622A及び第2領域622Bが並んでいる方向(図示の例ではX方向)において、第1領域622Aの長さ及び第2領域622Bの長さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。異なっている場合において、前者の長さと後者の長さとは、いずれが相対的に大きくてもよい。上記の並んでいる方向の振動部611に対する片側(又は両側)における第1領域622A及び第2領域622Bの各々の長さ、又は合計の長さは、振動部611の長さに対して、同じであってもよいし、異なっていてもよい。異なっている場合において、前者の長さと後者の長さとは、いずれが相対的に大きくてもよい。図示の例では、X方向(上記並んでいる方向)において、第1領域622Aの長さは、第2領域622Bの長さよりも短い。また、X方向において、振動部611の長さは、第1領域622AのうちのX方向の片側に位置する部分、及び第2領域622BのうちのX方向の片側に位置する部分のそれぞれよりも長く、かつ両者の合計よりも長い。一方で、X方向において、振動部611の長さは、固定部613のX方向の両側の合計長さよりも短い。
【0180】
水晶素板603の各部の厚さは任意である。例えば、振動部611の厚さは、第1実施形態と同様に、意図されている共振周波数に応じて設定される。第1実施形態で述べた固定部13の厚さの説明は、既述のとおり、矛盾等が生じない限り、内側部613aの厚さ及び/又は外側部613bの厚さに援用されてよい。第1実施形態における第1面19Aから第3面21Aまでの高さの説明は、矛盾等が生じない限り、第1面619Aから第1領域622Aまでの高さ、及び/又は第1領域622Aから第2領域622Bまでの高さに援用されてよい。第1面619Aから第1領域622Aまでの高さと、第1領域622Aから第2領域622Bまでの高さの関係(換言すれば段階的に高さが変化する場合の複数の高さ同士の関係)は任意である。例えば、両者は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。異なっている場合において、前者と後者とは、いずれが相対的に大きくてもよい。
【0181】
(2.3.その他)
既述のとおり、
図11及び
図12では図示を省略しているが、振動部611と固定部613との間には、第1実施形態の中間部17に相当する部分が存在してよい。すなわち、第1面619Aと第3面621A(別の観点では第1領域622A又は縁部621a)との間には、傾斜面(第5面23Aに相当)が存在してよい。また、振動部611と固定部613との間に加えて(又は代えて)、内側部613aと外側部613bとの間(別の観点では段階的に厚さが変化する場合の隣り合う部位の間)にも、中間部17に相当する部分が存在してよい。すなわち、第1領域622Aと第2領域622B(別の観点では縁部621b)の間には、傾斜面(第5面23Aに相当)が存在してよい。
【0182】
繰り返しになるが、第1実施形態に係る中間部17の説明は、矛盾等が生じない限り、振動部611と固定部613との間の中間部に援用されてよい。また、第1実施形態に係る中間部17の説明は、内側部613aと外側部613bとの間の中間部に援用されてよい。この場合は、振動部611及び内側部613aの組み合わせを振動部11と捉え、外側部613bを固定部13と捉えて、中間部17の説明が援用されてよい。念のために述べると、いずれの中間部も、その傾斜角は任意であり、また、平面状であってもよいし、平面状でなくてもよい。
【0183】
水晶素板603がATカット水晶片である場合において、振動部611(又は内側部613a)に対して+X側又は-X側に位置する中間部の傾斜角については、第1実施形態の中間部17の傾斜角θ1の説明が援用されてよい。例えば、+X側の中間部の傾斜角は、約55°(例えば53°以上57°以下)である。-X側の中間部の傾斜角は、約27°(例えば25°以上29°以下)である。上記の説明は、+Y’側及び-Y’側のいずれの面においても成り立つ。振動部611(又は内側部613a)に対して+Z’側又は-Z’側に位置する中間部の傾斜角については、第1側面15bの傾斜角θ3又は第2側面15cの傾斜角θ4の説明が援用されてよい。例えば、+Y’の面において、+Z’側の中間部の傾斜角は、傾斜角θ3と同じであり、一例として、約54°(例えば52°以上56°以下)であってよい。また、例えば、+Y’の面において、-Z’側の中間部の傾斜角は、傾斜角θ4と同じであり、一例として、約3°(例えば1°以上5°以下)であってよい。-Y’の面においては、上記とは逆に、-Y’の面においては、-Z’側の中間部の傾斜角が傾斜角θ3と同じであり、+Z’側の中間部の傾斜角が傾斜角θ4と同じである。
【0184】
水晶素板603は、水晶素板603を厚さ方向に貫通する貫通孔を有していてよい。貫通孔は、例えば、水晶素板603の表裏(上面及び下面)の導通に寄与したり、及び/又は励振電極607の配置領域からの漏れ振動が固定部613の側へ伝搬する蓋然性を低減したりすることに寄与する。貫通孔の位置、形状及び寸法は、その目的等に応じて適宜に設定されてよい。
【0185】
図11の例では、内側部613aと外側部613bとの間に位置する貫通孔621hが例示されている。貫通孔621hは、例えば、Z’方向に並ぶ引出電極609(より詳細にはパッド部609a)の間にその一部又は全部(図示の例では全部)が位置している。また、貫通孔621hは、Z’方向の長さがX方向の長さよりも長くされている。平面視において(別の観点ではX方向において)、貫通孔621hは、図示が省略されている内側部613aと外側部613bとの間の中間部に収まっていてもよいし、内側部613a側及び/又は外側部613b側に食み出していてもよい。また、貫通孔621hが内側部613aと外側部613bとの間に位置するというとき、貫通孔621hは、内側部613aの外側部613b側の部分に収まっていてもよいし、外側部613bの内側部613a側の部分に収まっていてもよいし、両者に跨っていてもよい。貫通孔6
21hは、例えば、表裏の導通及び漏れ振動の伝搬の低減に寄与する。
【0186】
なお、図示の例では、振動部611と固定部613(内側部613a)との間には貫通孔は設けられていない。別の観点では、振動部611及び内側部613aからなる部分(内側部613aの外縁を除く。)には、貫通孔が設けられていない。これにより、例えば、上記部分の強度が向上する。ただし、貫通孔621hに代えて、又は加えて、振動部611と固定部613(内側部613a)との間に貫通孔621hが位置していてもよい。この貫通孔は、例えば、貫通孔621hと同様に、表裏の導通及び漏れ振動の伝搬の低減に寄与してよい。また、特に図示しないが、外側部613bのパッド部609aの配置領域に円形の貫通孔が設けられたり、外側部613bの2つのパッド部609a間に適宜な形状の貫通孔が設けられたりしてもよい。
【0187】
(3.導体パターン)
導体パターン605(605A及び605B)それぞれは、第1実施形態の各導体パターン
5と同様に、固定部613のうちの振動部611に対して+X側に位置する部分へ向かって延びる引出電極609を有している。これにより、第1実施形態と同様に、また、
図7を参照して説明したように、+X側の引出電極609のパッド部609aがバンプ105によってパッド111に接合されることによって、水晶素子601は、片持ち梁状に支持された状態でパッケージ103に実装される。
【0188】
導体パターン605(605A及び605B)それぞれは、第1実施形態の各導体パターン605とは異なり、さらに、固定部613のうちの振動部611に対して-X側に位置する部分へ向かって延びる引出電極609を有している。これにより、例えば、水晶素子601は、片持ち梁状に支持される態様において、+X側及び-X側のいずれを固定端の側とすることも可能になっている。また、例えば、水晶素子601は、片持ち梁状に支持されるのではなく、両端の2つのパッド部609aによって両端支持されたり、両端の4つのパッド部609aによって両端支持されたりすることも可能になっている。
【0189】
もちろん、第1実施形態の説明が第2実施形態に援用されてよいことから明らかなように、各導体パターン605は、1つの引出電極609のみを有していてよい。この場合において、例えば、2つの導体パターン605は、第1実施形態と同様に、共に、+X側及び-X側の一方のみに引出電極609を有してよい。また、第1実施形態とは異なり、一方の導体パターン605が+X側に引出電極609を有している一方で、他方の導体パターン605は-X側に引出電極609を有していてもよい。
【0190】
また、各導体パターン605が有する少なくとも1つの引出電極609(パッド部609a)は、図示されていない態様で設けられても構わない。例えば、固定部613のうち振動部611に対してX方向の一方側に位置する部分と、固定部613のうち振動部611に対してZ’方向の一方側に位置する部分とに、1つの導体パターン605の2つのパッド部609aが設けられても構わない。
【0191】
第1実施形態の説明でも述べたように、各引出電極609のパッド部609aは、+Y’側及び-Y’側の双方に設けられてもよいし、一方に設けられてもよい。
図11では、前者が例示されている。
【0192】
各導体パターン605において、X方向の互いに逆側へ延びる2つの引出電極609は、Z’方向において、互いに同一側に延びていてもよいし(図示の例)、互いに逆側に延びていてもよい。前者の場合においては、4隅の4つのパッド部609aのうち、両端の2つのパッド部609aを用いて水晶素子601をパッケージ103に実装するときに、1対の対角に位置する2つのパッド部609aによって実装がなされることになる。この場合、例えば、2つのパッド部609aを結ぶ線上に水晶素子601の重心が位置しやすいことから、水晶素子601の支持が安定する。
【0193】
引出電極609の各部(パッド部609a及び配線部609b)と水晶素板603の各部(振動部611、固定部613、内側部613a及び外側部613b)との関係(位置、形状及び大きさ等に係る関係。以下、同様。)は任意である。図示の例では、配線部609bは、励振電極607から延びて縁部621aを超え、内側部613aの中途に到達している。パッド部609aは、内側部613aの上記中途から外側部613bに亘って広がっている。この場合、例えば、パッケージ103に固定されて振動に影響を及ぼすパッド部609aが振動部611から離されつつも、内側部613aと外側部613bとの間の段差において導通面積をパッド部609aによって確保することができる。
【0194】
繰り返しになるが、第1実施形態における引出電極9の各部と水晶素板3の各部との関係に関連する説明は、矛盾等が生じない限り、第2実施形態に援用されてよい。このとき、
図11の例に関しては、振動部611及び内側部613aが振動部11に相当し、外側部613bが固定部13に相当すると捉えられてもよい。また、
図8に例示した引出電極209の各部と水晶素板(符号省略)の各部との位置関係に関連する説明も、矛盾等が生じない限り、第2実施形態に援用されてよい。このとき、
図11の例に関しては、振動部611が振動部11に相当し、固定部613が固定部13に相当すると捉えられてもよい。
【0195】
図示の例とは異なる態様としては、例えば、パッド部609aが第1実施形態と同様に、固定部613の振動部611の側の縁部621aを超えて振動部611の外周側部分に広がっている態様が挙げられる。なお、この態様は、別の観点では、第1実施形態の説明を単純に第2実施形態に援用した態様である。また、他の態様としては、励振電極607から延びる配線部609bが、内側部613aを超えて、外側部613bへ到達する態様が挙げられる。
【0196】
図示の例のように、パッド部609aの振動部611側の縁部が内側部613aに位置する態様において、上記縁部の具体的な位置は任意である。例えば、上記縁部は、縁部621aと縁部621b(又は縁部621bに隣接する中間部(不図示)の内側部613a側の縁部)との間の中間位置に位置していてもよいし、上記中間位置に対して、振動部611側又は外側部613b側に位置していてもよい。
【0197】
第1実施形態の説明で述べたように、配線部609bの具体的な位置、形状及び大きさ等は任意である。図示の例では、配線部609bは、励振電極607から、縁部621a(別の観点では振動部611)が構成する4つの隅部のいずれかに向かって直線状に延びている。その後、配線部609bは、隅部からX方向に平行に延びてパッド部609aに至っている。図示の例とは異なる態様としては、例えば、配線部609bの全体がX方向に平行に延びる態様、配線部609bの全体がX方向に傾斜して直線状に延びる態様、屈曲位置が隅部よりも振動部611側又は内側部613a側に位置している態様が挙げられる。
【0198】
(4.凹部)
凹部615A及び615Bは、その具体的な位置を除いて、凹部15と同様のものである。従って、繰り返しになるが、矛盾等が生じない限り、凹部15の説明は、凹部615A及び615Bに援用されてよい。従って、例えば、1つの引出電極609に重なる凹部615A及び凹部615Bの数等は任意である。
【0199】
図示の例では、凹部615Bは、複数で設けられ、縁部621bに沿って配列され、パッド部609aに重なっている。この構成は、第1実施形態の凹部15の構成と類似している。従って、例えば、第1実施形態の凹部15の数及び位置、並びに凹部15と引出電極9との位置関係の説明は、振動部611及び内側部613aが第1実施形態の振動部611に相当し、外側部613bが第1実施形態の固定部13に相当すると捉えて、凹部615Bに援用されてよい。
【0200】
以下の説明では、便宜上、+Y’側の面を例に取って凹部615Aについて説明する。ただし、-Y’側の面も同様である。
【0201】
図示の例では、既述のとおり、凹部615Aは、縁部621aが構成する隅部に位置している。より詳細には、縁部621aは、振動部611に対して、+X側、-X側、+Z’側及び-Z’側に位置する4つの部分縁部621aaを有しており、4つの隅部を有している。そして、4つの隅部のそれぞれに凹部615Aが設けられている。換言すれば、互いに交差する2つの部分縁部621aaが構成する角部に凹部615Aが設けられている。
【0202】
凹部615Aが隅部に位置する(あるいは縁部621aの隅部を切り欠く)等というとき、特に断りが無い限り、凹部615Aは、上記隅部を構成する2つの部分縁部621aaのうち、一方のみを切り欠いていてもよいし、双方を切り欠いていてもよい。図示の例では、凹部615Aは、振動部611に対して+X側又は-X側に位置する部分縁部621aaを切り欠いており、振動部611に対して+Z’側又は-Z’側に位置する部分縁部621aaを切り欠いていない。凹部615Aが2つの部分縁部612aaのうち一方のみを切り欠く態様において、図示の例とは異なり、+Z’側又は-Z’側の部分縁部621aaが切り欠かれてもよい。
【0203】
また、凹部615Aが隅部に位置する(あるいは縁部621aの隅部を切り欠く)等というとき、特に断りが無い限り、凹部615Aは、上記隅部を構成する2つの部分縁部621aaの交点(凹部615Aによって切り欠かれているときは2つの部分縁部621aaを延長して得られる仮想的な点)に重なっていてもよいし、上記交点から比較的短い距離で離れていてもよい。なお、製造上の誤差程度の距離で、凹部615Aと上記交点とが離れていてよいことは当然である。上記短い距離は、製造誤差であるか否かに関わらず、例えば、凹部615Aの幅w1(
図3参照)の1/2以下、1/3以下又は1/5以下であってよく、また、例えば、10μm以下、5μm以下又は1μm以下であってよい。
【0204】
なお、隅部(又は角部)が凹部615Aに切り欠かれると、隅部が存在していないという考え方又は表現もできる。しかし、便宜上、本開示では、そのような考え方又は表現はしない。隅部が凹部615Aによって切り欠かれていても、互いに交差する方向に延びる部分縁部621aaを延長することによって、凹部615Aが設けられなかったならば、角部(隅部)が構成されたであろうことは容易に把握される。
【0205】
凹部615Aの形状及び寸法は、隅部を構成する2つの部分縁部621aaのうち、いずれの部分縁部621aaを切り欠くかによらずに任意である。例えば、凹部615Aの平面形状は、第1実施形態で述べたように、矩形状、三角形状又は半円状であってよい。また、例えば、凹部615Aが1つの部分縁部621aaのみを切り欠く態様において、平面視における凹部615Aの形状及び寸法については、第1実施形態の説明がそのまま援用されてよい。また、例えば、凹部615Aが2つの部分縁部621aaを切り欠く態様において、平面視における凹部615Aの形状は、2つの部分縁部621aaが成す角度を2等分するような直線(例えば対角線)に沿う方向に奥行きを有するような形状であってもよいし、一方の部分縁部621aaに直交する方向に奥行きを有しつつ、他方の縁部621aに幅が食み出すような形状であってもよい。第1実施形態の説明で述べた幅w1及び奥行きd1等を計測する方向は、凹部615Aの形状から合理的に判断されてよい。凹部615Aが2つの部分縁部621aaを切り欠いており、いずれの部分縁部621aaを基準とするかで奥行きd1の値が異なる場合は、第1実施形態と同様に、最大になるように奥行きd1が特定されてよい。
【0206】
図示の例のように、凹部615Aが振動部611に対して+X側又は-X側に位置する部分縁部621aaのみを切り欠く態様においては、縁部を切り欠く向きが第1実施形態の凹部15と同じである。従って、凹部15の側面が結晶面によって構成される場合の傾斜角の説明は、そのまま凹部615Aの側面が結晶面によって構成される場合の傾斜角に援用可能である。図示の例とは異なり、凹部615Aが振動部611に対して+Z’側又は-Z’側に位置する部分縁部621aaのみを切り欠く態様においては、各側面と直交座標系XY’Z’との関係を考慮して、適宜に第1実施形態の傾斜角の説明が援用されてよい。例えば、+X側又は-X側の側面の傾斜角については、第3側面15dの傾斜角θ2の説明が援用されてよい。+Z’側の側面の傾斜角については、第1側面15bの傾斜角θ3の説明が援用されてよい。-Z’側の側面の傾斜角については、第2側面15cの傾斜角θ4の説明が援用されてよい。
【0207】
図示の例では、凹部615Aは、2つの部分縁部621aaのうち一方(より詳細には振動部611に対して+X側又は-X側に位置する部分縁部621aa)のみを切り欠いている。そして、凹部615Aの上面縁部(第1領域622Aの高さにおける縁部)は、切り欠かれていない部分縁部621aaと概ね直線状につながっている。また、別の観点では、凹部615Aの+Z’側又は-Z’側の側面は、内側部613aのうち振動部611に対して+Z’側に位置する部分の振動部611側の側面(別の観点では不図示の中間部の傾斜面)、又は内側部613aのうち振動部611に対して-Z’側に位置する部分の振動部611側の側面(別の観点では不図示の中間部の傾斜面)と概ね同一の平面を構成するようにつながっている。この点は、隅部に位置しない凹部15との形状の差異である。なお、図示の例とは異なり、凹部615Aの上面縁部と、部分縁部621aaとは、直線状につながるのではなく、角部を構成するように互いに交差してつながっていてもよいし、及び/又は互いにつながる位置において少なくとも一方が曲線状になっていたりしてもよい。
【0208】
凹部615Aは、既述のとおり、矩形状の4つの隅部に設けられている。換言すれば、4つの凹部615Aは、X方向に平行な振動部611(又は励振電極607)の中心線(不図示)に対して線対称に設けられている。また、4つの凹部615Aは、Z’方向に平行な振動部611(又は励振電極607)中心線に対して線対称に設けられている。第1実施形態で述べたように、複数の凹部615Aの形状及び寸法は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0209】
図示の例では、4つの凹部615Aのうち、2つは、引出電極609に重なっている。第1実施形態の説明でも述べたように、凹部615Aは、引出電極609に重なる位置にのみ設けられてよい。従って、例えば、+Y’側の面においては、+Z’側の2つの凹部615Aが設けられず、-Z’側の2つの凹部615Aのみが設けられてもよい。また、例えば、図示の例とは異なり、第1導体パターン605Aが1つの引出電極609のみを有する態様においては、1つの凹部615Aのみが設けられてもよい。導体パターン605の説明からも明らかなように、凹部615Aは、引出電極609のうち配線部609bと重なっている。繰り返しになるが、例えば、
図10を参照して説明した配線部209b及び凹部215の説明は、矛盾等が生じない限り、配線部609b及び凹部615Aに援用されてよい。
【0210】
第1実施形態に係る凹部15の深さに関連する説明を凹部615Aに援用するときは、例えば、矛盾等が生じない限り、第3面21Aの語は第1領域622Aの語に置換されてよい。第1実施形態に係る凹部15の深さに関連する説明を凹部615Bに援用するときは、例えば、矛盾等が生じない限り、第3面21Aの語は第2領域622Bの語に置換されてよく、第1面19Aの語は第1面619A及び/又は第1領域622Aの語に置換されてよい。さらに、振動部11の厚さの語は、矛盾等が生じない限り、置換されないか、及び/又は内側部613aの語に置換されてよい。
【0211】
第1実施形態の説明では、第1面19Aから第3面21Aまでの高さh1の具体例として、16μm以下又は12μm以下を例示した。この範囲は、上記のとおり、第2実施形態における第1面619Aから第1領域622Aまでの高さ、第1領域622Aから第2領域622Bまでの高さ、及び/又は第1面619Aから第2領域622Bまでの高さに援用されてよい。ただし、第2実施形態では、既述のとおり、第1実施形態に比較して、1つの段差の大きさを小さくすることが容易である。従って、第2実施形態では、第1実施形態の説明で例示した1つの段差の大きさ(高さh1)を更に小さくすることができる。例えば、第1面619Aから第1領域622Aまでの高さ、及び/又は第1領域622Aから第2領域622Bまでの高さは、上記の半分の8μm以下又は6μm以下とされてよい。
【0212】
(5.水晶素子の製造方法)
水晶素子601の製造方法は、例えば、概略、第1実施形態に係る水晶素子1の製造方法と同様とされてよい。固定部613の厚みの段階的な変化は、例えば、水晶素板603にエッチングマスクを形成してエッチングする工程を増やすことによって実現されてよい。
【0213】
具体的には、例えば、まず、第1実施形態と同様に、水晶素板603の平面形状と同様の形状を有するエッチングマスクを介してエッチングを行う。次に、固定部613の平面形状と同様の形状を有するエッチングマスクを介してエッチングを行う。次に、外側部613bの平面形状と同様の形状を有するエッチングマスクを介してエッチングを行う。このようにすることにより、振動部611、振動部611よりも厚い内側部613a、及び内側部613aよりも厚い外側部613bが形成される。
【0214】
(6.水晶素子についてまとめ)
以上のとおり、第2実施形態においても、水晶素子601は、圧電素板(水晶素板603)と、第1励振電極(例えば第1導体パターン605Aの励振電極607)と、第1引出電極(例えば第1導体パターン605Aの引出電極609)とを有している。水晶素板603は、平面視において互いに異なる領域を構成する振動部611及び固定部613を有している。振動部611は、第1側(+Y’側)に面している第1面619Aと、第1側とは反対側の第2側(-Y’側)に面している第2面619Bとを有している。固定部613は、+Y’側に面している第3面621Aと、-Y’側に面している第4面621Bとを有している。第3面621Aは、第1面619Aよりも+Y’側に高くなっている。励振電極607は、第1面619Aに重なっている。引出電極609は、励振電極607から引き出されて第3面621Aに重なっている。水晶素板603は、第3面621Aから-Y’側に窪む第1凹部(+Y’側の凹部615A)を有している。凹部615Aは、平面視において第3面621Aの第1面619Aの側の第1縁部(縁部621a)を切り欠いている。引出電極609は、第1面619Aから凹部615Aを経由して第3面621Aへ至る部分を有している。
【0215】
従って、例えば、第1実施形態と同様の効果が奏される。具体的には、例えば、凹部615Aによって引出電極609の導通の信頼性を向上させることができる。また、例えば、固定部613の全体としては強度を確保しつつ、振動部611側の一部において剛性を下げ、バンプ105(
図7)から固定部613に付与される歪を凹部615Aによって吸収し、振動特性が低下する蓋然性を低減できる。また、例えば、振動部611から固定部613の縁部の種々の位置に到達した波が、同一方向へ同一の位相で反射される蓋然性を低減し、反射波がノイズとして現れる蓋然性を低くすることができる。
【0216】
第2実施形態では、第1縁部(縁部621a)は、第1部分縁部(例えば+X側の部分縁部621aa)と、第2部分縁部(例えば-Z’側の部分縁部621aa)とを有している。第1部分縁部は、平面視において振動部611に対して第1方向(例えばX方向)の一方側(+X側)に位置している。第2部分縁部は、平面視において振動部611に対して第1方向に直交する第2方向(例えばZ’方向)の一方側(例えば-Z’側)に位置しており、第1部分縁部と隅部を構成する。第1凹部(凹部615A)は、上記隅部において第1部分縁部及び第2部分縁部の少なくとも一方を切り欠いている。
【0217】
この場合、第2実施形態の概要の説明(第2章第1節)で述べたように、例えば、引出電極609が励振電極607から隅部へ向かって延びているから、利用される振動モード等にもよるが、引出電極609が振動に及ぼす影響が低減される。また、互いに同一方向(図示の例ではX方向)に沿っている凹部615Aの側面と内側部613aの側面とをつなげることによって、凹部615Aの側面を実質的に延長することができる。その結果、凹部615Aの側面を経由する引出電極609の導通面積を確保して、導通の信頼性を向上させることができる。
【0218】
第3面621Aは、第1領域622Aと、第2領域622Bとを有してよい。第1領域622Aは、上記第1縁部(縁部621a)を有している。第2領域622Bは、平面視において第1領域622Aに対して第1面619Aとは反対側に位置しており、第1領域622Aよりも第1側(+Y’側)に高くなっている。第1引出電極(例えば第1導体パターン605Aの+X側の引出電極609)は、第1領域622Aを経由して第2領域622Bへ至っていてよい。
【0219】
この場合、例えば、第2実施形態の概要の説明で述べたように、外側部613bの厚さ(換言すれば強度)を確保しつつ、第1面619Aから第1領域622Aまでの高さを低くして、縁部621aにおける断線の蓋然性を低減できる。また、例えば、外側部613bが内側部613aを介さずに振動部611につながる態様に比較して、固定部613が振動部611の振動を規制する作用が低減され、振動特性が向上する。
【0220】
圧電素板(水晶素板603)は、第2領域622Bから第2側(例えば-Y’側)に窪む第2領域凹部(凹部615B)を有していてよい。凹部615Bは、平面視において第2領域622Bの第1領域622A側の第2領域縁部(縁部621b)を切り欠いていてよい。第1引出電極(例えば第1導体パターン605Aの+X側の引出電極609)は、第1凹部(凹部615A)から凹部615Bを経由して第2領域622Bへ至っていてよい。
【0221】
この場合、例えば、縁部621aにおける断線の蓋然性が凹部615Aによって低減されるだけでなく、縁部621bにおける断線の蓋然性の凹部615Bによって低減される。その結果、引出電極609全体の導通の信頼性が向上する。
【0222】
第1引出電極(例えば第1導体パターン605Aの+X側の引出電極609)は、配線部609bと、パッド部609aとを有していてよい。配線部609bは、第1励振電極(第1導体パターン605Aの励振電極607)から延び出て第1凹部(凹部615A)を通過していてよい。パッド部609aは、第2領域622Bに重なっている部分を有しており、第1縁部(縁部621a)に沿う方向において配線部609bよりも広がっていてよい。
【0223】
この場合、例えば、パッケージ103に固定されて振動に影響を及ぼすパッド部609aが振動部611から離される。配線部609bが凹部615Aを通過する場合、パッド部609aが凹部615Aに重なる場合に比較して導通面積は低くなるが、上記のとおり、第1面619Aから第1領域622Aへの高さは低くされ、断線の蓋然性は低減されている。従って、全体として、導通の信頼性を向上させつつ、振動の特性を向上させることができる。
【0224】
第1領域622Aは、平面視において振動部611を囲んでいてよい。第2領域622Bは、平面視において、振動部611及び第1領域622Aに対して、第1方向(例えばX方向)の一方側又は両側に位置していてよく、かつ第2方向(例えばZ’方向)の両側のいずれにも位置しないようにされてよい。
【0225】
この場合、例えば、振動部611が第2領域622Bによって囲まれている態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、相対的に強度が高い第2領域622Bが振動部611の振動に影響を及ぼす影響が低減される。一方で、第1領域622Aによって振動部611が囲まれていない態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、衝撃等によって振動部611が変形する蓋然性を低減することができる。従って、全体として、強度を向上させつつ、振動特性を向上させることができる。
【0226】
圧電素板(水晶素板603)は、第1領域622Aと第2領域622Bとの間にて、水晶素板603を厚さ方向に貫通する貫通孔621hを有していてよい。
【0227】
この場合、例えば、既述のとおり、表裏の導通の容易化及び/又は漏れ振動の伝搬の低減が図られる。また、振動部611と第1領域622A(内側部613a)との間に貫通孔が構成される態様に比較して、振動部611及び内側部613aからなる部分(相対的に薄い部分)の強度を向上させることが容易化される。
【0228】
水晶素子601は、第2励振電極(例えば-Y’側の励振電極607)と、第2引出電極(例えば第2導体パターン605Bの+X側の引出電極609)と、第3引出電極(例えば第1導体パターン605Aの-X側の引出電極609)と、第4引出電極(例えば第2導体パターン605Bの-X側の引出電極609)と、を更に有していてよい。第2励振電極は、第2面619Bに重なっていてよい。第2引出電極は、第2励振電極から引き出されて第4面621Bに重なっていてよい。第3引出電極は、第1励振電極(例えば+Y’側の励振電極607)から第1引出電極(第1導体パターン605Aの+X側の引出電極609)とは異なる方向へ引き出されて第3面621Aに重なっていてよい。第4引出電極は、第2励振電極から第2引出電極とは異なる方向へ引き出されて第4面621Bに重なっていてよい。固定部613は、平面視において振動部611を囲んでいてよい。第1引出電極は、第1励振電極に対して、第1部分縁部(例えば+X側の部分縁部621aa)の側かつ第2部分縁部(例えば-Z’側の部分縁部621aa)の側に位置する部分を有していてよい。第2引出電極は、第2励振電極に対して、第1部分縁部の側(+X側)かつ第2部分縁部とは反対側(+Z’側)に位置する部分を有していてよい。第3引出電極は、第1励振電極に対して、第1部分縁部の側とは反対側(-X側)かつ第2部分縁部の側(-Z’側)に位置する部分を有していてよい。第4引出電極は、第2励振電極に対して、第1部分縁部とは反対側(-X側)かつ第2部分縁部とは反対側(+Z’側)に位置する部分を有していてよい。
【0229】
この場合、例えば、既述のとおり、種々の実装態様が可能になる。また、導体パターン605の配置がX方向に平行な中心線及びZ’方向に平行な中心線に対して対称となるから、導体パターン605が電気的及び/又は質量的に水晶素板603の振動に及ぼす影響が対称になりやすい。その結果、意図されていない特異な振動が生じる蓋然性が低減される。ひいては、水晶素子601の特性が向上する。
【0230】
第1縁部(縁部621a)は、第3部分縁部(例えば-X側の部分縁部621aa)と、第4部分縁部(例えば+Z’側の部分縁部621aa)とを有していてよい。第3部分縁部は、振動部611を挟んで第1部分縁部(例えば+X側の部分縁部621aa)に対向していてよい。第4部分縁部は、振動部611を挟んで第2部分縁部(例えば-Z’側の部分縁部621aa)に対向していてよい。圧電素板(水晶素板603)は、平面視において、第1部分縁部、第2部分縁部、第3部分縁部及び第4部分縁部が構成する4つの隅部に、第3面621Aから第2側(-Y’側)に窪み、縁部621aを切り欠く、第1凹部を含む合計で4つの凹部615Aを有していてよい。
【0231】
この場合、凹部615Aが、振動部611を基準として、X方向に平行な中心線に対して線対称に配置され、かつZ’方向に平行な中心線に対して線対称に配置される。その結果、凹部615Aが振動部611の振動に及ぼす影響が対称になりやすい。その結果、意図されていない特異な振動が生じる蓋然性が低減される。ひいては、水晶素子601の特性が向上する。
【0232】
以上の第2実施形態において、水晶素子601は圧電振動素子の一例である。水晶素板603は圧電素板の一例である。+Y’側は第1側の一例である。-Y’側は第2側の一例である。第1導体パターン605Aの励振電極7は第1励振電極の一例である。第2導体パターン605Bの励振電極7は第2励振電極の一例である。第1導体パターン605Aの+X側の引出電極9は第1引出電極の一例である。第2導体パターン605Bの+X側の引出電極は第2引出電極の一例である。第1導体パターン605Aの-X側の引出電極9は第3引出電極の一例である。第2導体パターン605Bの-X側の引出電極は、第4引出電極の一例である。+Y’側の縁部621aは第1縁部の一例である。-Y’側の縁部621aは第2縁部の一例である。+Y’側の凹部615Aは第1凹部の一例である。-Y’側の凹部615Aは第2凹部の一例である。+X側の部分縁部621aaは第1部分縁部の一例である。-Z’側の部分縁部621aaは第2部分縁部の一例である。-X側の部分縁部621aaは第3部分縁部の一例である。+Z’側の部分縁部621aaは第4部分縁部の一例である。縁部621bは第2領域縁部の一例である。凹部615Bは第2領域凹部の一例である。
【0233】
本開示に係る技術は、以上の実施形態等に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0234】
上述した実施形態及び種々の例は適宜に組み合わされてよい。例えば、
図10に示した固定部が振動部に対して厚み方向の一方側にのみ高くなる構成は、
図9A及び
図9Bに例示した2辺以上に亘って固定部を有している構成に適用されてもよい。第2実施形態で示した貫通孔は、第1実施形態に適用されてもよい。第2実施形態で示した引出電極が重ならない凹部は、第1実施形態に適用されてもよい。また、第2実施形態で述べたように、圧電素板は、固定部と振動部との間に厚さが変化する中間部を有していなくてもよく、これは、第1実施形態においても同様である。
【0235】
圧電体は、水晶に限定されない。例えば、圧電体は、他の単結晶であってもよいし、多結晶からなるもの(例えばセラミック)であってもよい。また、圧電体は、厚み滑り振動の基本波振動を利用するものに限定されず、他の振動モードを利用するものであってもよいし、オーバートーン振動を利用するものであってもよい。さらに、圧電体は、第1面(又は第2面)のみに形成された励振電極によって励振される弾性波を利用するものであってもよい。厚み滑り振動を利用する水晶素板のカットは、ATカットに限定されない。例えば、BTカットであってもよい。また、水晶素板は、水晶のみからなるものに限定されず、水晶に金属等からなるドーパントを注入した材料からなるものも含むものとする。
【0236】
圧電振動素子は、2つの導電性のバンプ以外の手段によって実装されてもよい。例えば、1つの引出電極のうちの固定部の下面に位置するパッド部が1つの導電性のバンプによってパッケージのパッドに接合されるとともに、1つの引出電極のうちの固定部の上面に位置するパッド部が1つのボンディングワイヤによってパッケージのパッドに接続されてもよい。また、固定部の下面が絶縁性の接着剤によってパッケージに接合されるとともに、2つの引出電極のうちの固定部の上面に位置するパッド部が2つのボンディングワイヤによってパッケージの2つのパッドに接続されてもよい。
【0237】
本開示からは、第1凹部(凹部615A)が振動部の隅部に位置することを要件としない圧電振動素子を抽出可能である。当該圧電振動素子は、例えば、固定部の厚さが段階的に変化することを特徴としたり、1つの励振電極に対して2つの引出電極が設けられることを特徴としたりしてよい。
【0238】
また、本開示からは、第1凹部(例えば+Y’側の凹部15)の、第1縁部(21a)に沿う方向の大きさを幅というとき、側面(例えば第1側面15b)は、第1凹部の幅が第1側(+Y’側)ほど大きくなる向きで、第1凹部の底部から第3面(21A)に亘って傾斜する傾斜面を有しており、引出電極(9)は、第1凹部の底部から上記傾斜面を経由して上記第3面へ至る部分を有している、ということを要件としない圧電振動素子を抽出可能である。当該圧電振動素子は、例えば、凹部の幅及び/又は奥行きが所定部位に比較して大きいことを特徴としたり、凹部の底面(15a)が第3面の縁部(21a)よりも第3面の側に入り込んでいることを特徴としたり、引出電極の配線部(9b)が凹部の少なくとも一部に重なることを特徴としたり、凹部の側面が結晶面を有していることを特徴としたりしてよい。
【0239】
本開示からは、以下の概念を抽出できる。
【0240】
(概念1)
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記第1縁部は、
平面視において前記振動部に対して第1方向の一方側に位置している第1部分縁部と、
平面視において前記振動部に対して前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置しており、前記第1部分縁部と隅部を構成する第2部分縁部と、を有しており、
前記第1凹部は、前記隅部において前記第1部分縁部及び前記第2部分縁部の少なくとも一方を切り欠いている
圧電振動素子。
【0241】
(概念2)
前記第3面は、
前記第1縁部を有している第1領域と、
平面視において前記第1領域に対して前記第1面とは反対側に位置しており、前記第1領域よりも前記第1側に高くなっている第2領域と、を有しており、
前記第1引出電極は、前記第1領域を経由して前記第2領域へ至っている
概念1に記載の圧電振動素子。
【0242】
(概念3)
前記圧電素板は、前記第2領域から前記第2側に窪む第2領域凹部を有しており、
前記第2領域凹部は、平面視において前記第2領域の前記第1領域側の第2領域縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1凹部から前記第2領域凹部を経由して前記第2領域へ至っている
概念2に記載の圧電振動素子。
【0243】
(概念4)
前記第1引出電極は、
前記第1励振電極から延び出て前記第1凹部を通過する配線部と、
前記第2領域に重なっている部分を有しており、前記第1縁部に沿う方向において前記配線部よりも広がっているパッド部と、を有している
概念2又は3に記載の圧電振動素子。
【0244】
(概念5)
前記第1領域は、平面視において前記振動部を囲んでおり、
前記第2領域は、平面視において、前記振動部及び前記第1領域に対して、前記第1方向の一方側又は両側に位置しており、前記第2方向の両側のいずれにも位置していない
概念2~4のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0245】
(概念6)
前記圧電素板は、前記第1領域と前記第2領域との間にて、前記圧電素板を厚さ方向に貫通する貫通孔を有している
概念2~5のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0246】
(概念7)
前記第2面に重なっている第2励振電極と、
前記第2励振電極から引き出されて前記第4面に重なっている第2引出電極と、
前記第1励振電極から前記第1引出電極とは異なる方向へ引き出されて前記第3面に重なっている第3引出電極と、
前記第2励振電極から前記第2引出電極とは異なる方向へ引き出されて前記第4面に重なっている第4引出電極と、
を更に有しており、
前記固定部は、平面視において前記振動部を囲んでおり、
前記第1引出電極は、前記第1励振電極に対して、前記第1部分縁部の側かつ前記第2部分縁部の側に位置する部分を有しており、
前記第2引出電極は、前記第2励振電極に対して、前記第1部分縁部の側かつ前記第2部分縁部とは反対側に位置する部分を有しており、
前記第3引出電極は、前記第1励振電極に対して、前記第1部分縁部の側とは反対側かつ前記第2部分縁部の側に位置する部分を有しており、
前記第4引出電極は、前記第2励振電極に対して、前記第1部分縁部とは反対側かつ前記第2部分縁部とは反対側に位置する部分を有している
概念1~6のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0247】
(概念8)
前記第1縁部は、
前記振動部を挟んで前記第1部分縁部に対向する第3部分縁部と、
前記振動部を挟んで前記第2部分縁部に対向する第4部分縁部と、を有しており、
前記圧電素板は、平面視において、前記第1部分縁部、前記第2部分縁部、前記第3部分縁部及び前記第4部分縁部が構成する4つの隅部に、前記第3面から前記第2側に窪み、前記第1縁部を切り欠く、前記第1凹部を含む合計で4つの凹部を有している
概念1~7のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0248】
(概念9)
前記第1凹部の、前記第1縁部に沿う方向の大きさを幅というとき、前記第1凹部の、平面視において前記第1縁部に交差する側面は、前記第1凹部の幅が前記第1側ほど大きくなる向きで、前記第1凹部の底部から前記第3面に亘って傾斜する傾斜面を有しており、
前記第1引出電極は、前記第1凹部の底部から前記傾斜面を経由して前記第3面へ至る部分を有している
概念1~8のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0249】
(概念10)
平面視において互いに異なる領域を構成する振動部及び固定部を有している圧電素板であって、前記振動部が、第1側に面している第1面と、前記第1側とは反対側の第2側に面している第2面とを有しており、前記固定部が、前記第1側に面している第3面と、前記第2側に面している第4面とを有しており、前記第3面が、前記第1面よりも前記第1側に高くなっている圧電素板と、
前記第1面に重なっている第1励振電極と、
前記第1励振電極から引き出されて前記第3面に重なっている第1引出電極と、
を有しており、
前記圧電素板は、前記第3面から前記第2側に窪む第1凹部を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記第3面の前記第1面の側の第1縁部を切り欠いており、
前記第1引出電極は、前記第1面から前記第1凹部を経由して前記第3面へ至る部分を有しており、
前記第1凹部の、前記第1縁部に沿う方向の大きさを幅というとき、前記第1凹部の、平面視において前記第1縁部に交差する側面は、前記第1凹部の幅が前記第1側ほど大きくなる向きで、前記第1凹部の底部から前記第3面に亘って傾斜する傾斜面を有しており、
前記第1引出電極は、前記第1凹部の底部から前記傾斜面を経由して前記第3面へ至る部分を有している
圧電振動素子。
【0250】
(概念11)
前記第1凹部の前記側面が結晶面を有している
概念9又は10に記載の圧電振動素子。
【0251】
(概念12)
前記第1凹部の、前記第1縁部に沿う方向の大きさを幅というとき、前記第1凹部の、前記第1縁部の高さにおける幅は、前記振動部の厚さよりも大きい
概念1~11のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0252】
(概念13)
平面視における前記第1凹部の前記第1縁部からの奥行きであって、前記第1縁部の高さにおける奥行きは、前記振動部の厚さよりも大きい
概念1~12のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0253】
(概念14)
前記第1凹部の、前記第1縁部に沿う方向の大きさを幅というとき、前記第1凹部の、前記第1縁部の高さにおける幅は、前記第1面から前記第1縁部までの高さよりも大きい
概念1~13のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0254】
(概念15)
平面視における前記第1凹部の前記第1縁部からの奥行きであって、前記第1縁部の高さにおける奥行きは、前記第1面から前記第1縁部までの高さよりも大きい
概念1~14のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0255】
(概念16)
前記第1凹部の内面は、
前記第1面につながり、前記第1面と面一な底面と、
平面視において前記底面に対して前記第1面とは反対側に位置し、平面視において前記底面から離れるほど前記第1縁部の高さに近づく向きで傾斜しつつ、前記底面から前記第1縁部へ立ち上がる端面と、を有しており、
平面視において、前記底面は、前記第1縁部よりも前記第3面の側に入り込んでいる
概念1~15のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0256】
(概念17)
前記圧電素板は、前記第1面と前記1縁部とをつなぎ、前記第1縁部の側ほど前記第1側に位置するように傾斜している第5面を有しており、
前記第1凹部の、前記第1縁部に沿う方向の大きさを幅というとき、前記第1凹部の、前記第1縁部の高さにおける幅は、平面視における前記第1面から前記第1縁部までの前記第5面の長さよりも大きい
概念1~16のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0257】
(概念18)
前記圧電素板は、前記第1面と前記第1縁部とをつなぎ、前記第1縁部の側ほど前記第1側に位置するように傾斜している第5面を有しており、
平面視における前記第1凹部の前記第1縁部からの奥行きであって、前記第1縁部の高さにおける奥行きは、平面視における前記第1面から前記第1縁部までの前記第5面の長さよりも大きい
概念1~17のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0258】
(概念19)
前記第1引出電極は、
前記第1励振電極から延び出ている配線部と、
前記配線部とつながっており、前記第1縁部に沿う方向において前記配線部よりも広がっているパッド部と、を有しており、
前記第1凹部は、平面視において前記配線部に重なる部分を有している
概念1~18のいずれか1つに記載の圧電振動素子。
【0259】
(概念20)
概念1~19のいずれか1つに記載の圧電振動素子と、
前記圧電振動素子が実装されているパッケージと、
を有している圧電デバイス。
【符号の説明】
【0260】
1,601…水晶素子(圧電振動素子)、3,603…水晶素板(圧電素板)、7,607…励振電極(第1励振電極)、9,609…引出電極(第1引出電極)、11,611…振動部、13,613…固定部、15,615A…凹部(第1凹部)、15b…第1側面(側面)、19A,619A…第1面、19B,619B…第2面、21A,621A…第3面、21B,621B…第4面、21a,621a…縁部(第1縁部)、621aa…部分縁部(第1部分縁部~第4部分縁部)、101…水晶デバイス(圧電デバイス)。