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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20250307BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20250307BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
H05K7/20 H
H05K7/20 G
H01L23/36 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024086912
(22)【出願日】2024-05-29
【審査請求日】2024-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 諒太
(72)【発明者】
【氏名】橋場 惇輝
(72)【発明者】
【氏名】鶴身 侑大
(72)【発明者】
【氏名】星野 鷹典
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-002778(JP,A)
【文献】実開平05-006851(JP,U)
【文献】特開平10-004159(JP,A)
【文献】特開2013-042138(JP,A)
【文献】特開2024-010909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0084490(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/20
H05K7/20
H01L23/34-23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1通気口と、第2通気口と、前記第1通気口と前記第2通気口の間に位置する第3通気口とを有する筐体と、
前記筐体内に搭載された発熱体と、
前記筐体内に搭載され、前記発熱体を冷却する冷却モジュールと、
前記発熱体を実装した基板と、
を備え、
前記冷却モジュールは、
一方が前記第1通気口に面して配置され、他方が前記第2通気口に面して配置された一対のヒートシンクと、
前記発熱体の熱を前記ヒートシンクに輸送する熱輸送デバイスと、
前記ヒートシンクに向かって空気を吐出可能な第1吐出口をそれぞれ有し、一方が前記一方のヒートシンクに面して配置され、他方が前記他方のヒートシンクに面して配置された一対のファンと、
一縁部が前記第3通気口に面するように前記一対のファンの間に配置され、前記発熱体の熱を拡散可能な金属プレートと、
を備え、
前記金属プレートは、
表面から起立し、前記一縁部に沿って並ぶ複数のフィンと、
板厚方向に貫通した孔部と、
を有し、
前記一対のファンは、前記金属プレートの表面に向かって空気を吐出可能な第2吐出口をそれぞれ有し、
前記フィン及び前記孔部は、前記第2吐出口から前記第3通気口へと流れる空気の流通経路上に配置され、
前記基板の一部は、前記フィン及び前記孔部と上下にオーバーラップしており、
前記フィンは、前記基板に対する前記金属プレートの対向面とは反対側の表面から起立している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記筐体内には少なくとも、前記第2吐出口から前記第3通気口へと流れる空気が前記基板と前記金属プレートの対向面との間を通過する第1流通経路と、前記第2吐出口から前記第3通気口へと流れる空気が前記金属プレートの前記対向面とは反対側の表面に沿って流れる第2流通経路と、が形成され、
前記フィンは、前記第2流通経路に介在し、
前記孔部は、前記第1流通経路と前記第2流通経路とを連通させている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
前記孔部は、前記一縁部に沿って並ぶように複数設けられ、
前記フィンは、前記金属プレートの一部を切り起こして形成された切り起こし片であり、
前記孔部は、前記フィンを切り起こした部分に形成された切り起こし孔である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
前記基板の前記フィンと上下にオーバーラップする部分に実装された電子部品を備え
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び冷却モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器はCPU等の発熱体を搭載している。このような電子機器は、ファンやヒートシンクを備えた冷却モジュールを搭載することが多い。冷却モジュールは発熱体が発生する熱を吸熱して外部に放熱することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7371170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、左右のファンがそれぞれ一対の吐出口を備え、2方向に空気を吐出することができる。一方の吐出口を出た空気は、その直後にあるヒートシンクを通過して筐体外に排出される。他方の吐出口を出た空気は、左右のファンの間に配置された基板の表面に沿って流れ、実装部品を冷却しつつ筐体外に排出される。
【0005】
ところで、上記のような電子機器は筐体の小型化に対する要望が強い。このため、冷却モジュール及びその周辺部のスペースは狭く、ファンから出た空気の通風抵抗が増大し易い。例えば特許文献1の構成では、筐体の後側面に設けられた排気口の近くまで基板やベーパーチャンバが延在している。これらの部品はファンから排気口に向かう空気の通風抵抗となっている。そこで、このような構成においても、ファンから吐出される空気の通風抵抗を低減してファンの風量を増大させ、冷却モジュールの冷却性能を向上させることが求められている。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ファンから吐出される空気の通風抵抗を低減し、冷却能力を向上することができる電子機器及び冷却モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、第1通気口と、第2通気口と、前記第1通気口と前記第2通気口の間に位置する第3通気口とを有する筐体と、前記筐体内に搭載された発熱体と、前記筐体内に搭載され、前記発熱体を冷却する冷却モジュールと、を備え、前記冷却モジュールは、一方が前記第1通気口に面して配置され、他方が前記第2通気口に面して配置された一対のヒートシンクと、前記発熱体の熱を前記ヒートシンクに輸送する熱輸送デバイスと、前記ヒートシンクに向かって空気を吐出可能な第1吐出口をそれぞれ有し、一方が前記一方のヒートシンクに面して配置され、他方が前記他方のヒートシンクに面して配置された一対のファンと、一縁部が前記第3通気口に面するように前記一対のファンの間に配置され、前記発熱体の熱を拡散可能な金属プレートと、を備え、前記金属プレートは、表面から起立し、前記一縁部に沿って並ぶ複数のフィンと、板厚方向に貫通した孔部と、を有する。
【0008】
本発明の第2態様に係る冷却モジュールは、電子機器に搭載される冷却モジュールであって、一対のヒートシンクと、前記ヒートシンクに接続された熱輸送デバイスと、前記ヒートシンクに向かって空気を吐出可能な第1吐出口をそれぞれ有し、一方が前記一方のヒートシンクに面して配置され、他方が前記他方のヒートシンクに面して配置された一対のファンと、前記一対のファンの間に配置された金属プレートと、を備え、前記金属プレートは、表面から起立し、該金属プレートの一縁部に沿って並ぶ複数のフィンと、板厚方向に貫通した孔部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、ファンから吐出される空気の通風抵抗を低減し、冷却能力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、筐体の内部構造を模式的に示す平面図である。
図3図3は、電子機器の後部を底面側から見た斜視図である。
図4図4は、金属プレートの模式的な斜視図である。
図5図5は、筐体の後縁部及びその周辺部の模式的な側面断面図である。
図6図6は、筐体の後縁部及びその周辺部の模式的な背面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電子機器及び冷却モジュールについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、クラムシェル型のノート型PCである。電子機器10は、蓋体11と筐体12をヒンジ14で相対的に回動可能に連結した構成である。本実施形態ではノート型PCの電子機器10を例示しているが、電子機器はノート型PC以外、例えばタブレット型PC、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0013】
蓋体11は、薄い扁平な箱状の筐体である。蓋体11はディスプレイ16を搭載している。ディスプレイ16は、例えば有機ELディスプレイや液晶ディスプレイである。
【0014】
筐体12は、薄い扁平な箱体である。筐体12の上面(表面12a)にはキーボード装置18及びタッチパッド19が臨んでいる。以下、筐体12及びこれに搭載された各構成要素について、オペレータがキーボード装置18を操作する姿勢を基準とし、筐体12の幅方向(左右)をそれぞれX1,X2方向、筐体12の奥行方向(前後)をそれぞれY1,Y2方向、筐体12の厚み方向(上下)をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様にY方向、Z方向と呼ぶことがある。これら各方向は、説明の便宜上定めた方向であり、電子機器10の使用状態又は設置姿勢等によって変化する場合も当然にあり得る。
【0015】
筐体12は、上面及び四周側面を形成する筐体部材20と、下面を形成するカバー材21とで構成されている。筐体部材20は、筐体12の表面12aを形成するカバープレート20Aの四周縁部に立壁20Bを形成したものである。このため筐体部材20は下面が開口した略バスタブ形状を有する。カバー材21は略平板形状を有し、筐体部材20の下面開口を閉じる蓋となる。筐体部材20及びカバー材21は厚み方向に重ね合わされて互いに着脱可能に連結される。立壁20Bはカバー材21に形成してもよい。この場合、筐体部材20はカバープレート20Aのみで構成されるとよい。
【0016】
ヒンジ14は、筐体12の後縁部に形成された凹状のヒンジ配置溝12bに設置され、筐体12と蓋体11とを連結する。ヒンジ14は、例えば回転軸となるヒンジシャフト14aをヒンジ筐体14bの長手方向の両端部にそれぞれ支持した構造である(図5参照)。本実施形態のヒンジ14は、ヒンジ筐体14bがヒンジ配置溝12bの長手方向に沿って延在した、いわゆるワンバー形状に構成されている。ヒンジ14は、ヒンジ筐体14bが蓋体11と一体となって回転しつつ斜め後方へと下降する(図5参照)。ヒンジ14は、このようにして蓋体11の回動角度を稼ぐ構造、いわゆるドロップダウン構造である。ヒンジ14の構造は上記以外でもよい。
【0017】
図2は、筐体12の内部構造を模式的に示す平面図である。図2は、カバー材21を取り外して筐体部材20の内部を下面側から見た図である。
【0018】
図2に示すように、筐体12の内部には、冷却モジュール24と、マザーボード25と、バッテリ装置26とが収容されている。筐体12の内部には、さらに各種の電子部品や機械部品等が設けられる。
【0019】
マザーボード(基板)25は、電子機器10のメインボードとなる回路基板である。マザーボード25は、筐体12のY2側寄りに配置され、X方向に延在している。バッテリ装置26は、電子機器10の電源となる充電池である。バッテリ装置26は、マザーボード25のY1側寄りに配置され、X方向に延在している。
【0020】
本実施形態のマザーボード25は、CPU(Central Processing Unit)25a及びGPU(Graphics Processing Unit)25bを実装している。CPU25aは、電子機器10の主たる制御や処理に関する演算を行う処理装置である。GPU25bは、3Dグラフィックス等の画像描写に必要な演算を行う処理装置である。CPU25a及びGPU25bの周辺には、CPU25a及びGPU25bの電源コンポーネントやメモリも実装されている。マザーボード25には、さらにメモリモジュール25c、記憶装置25d、通信モジュール等の各種電子部品が実装される。メモリモジュール25cは、例えばCAMM(Compression Attached Memory Modul)やDIMM(Dual Inline Memory Module)である。記憶装置25dは、例えばSSD(Solid State Drive)である。
【0021】
マザーボード25は、例えば上面(第1面25A)が筐体部材20に対する取付面となり、下面(第2面25B)がCPU25a等の実装面となる。
【0022】
CPU25a及びGPU25bは、筐体12内に搭載された電子部品中で最大級の発熱量の発熱体である。冷却モジュール24は、CPU25a及びGPU25bが発生する熱を吸熱及び拡散し、筐体12外へと排出することができる。本実施形態の冷却モジュール24は、メモリモジュール25c等も冷却することができる。
【0023】
図2に示すように、本実施形態の冷却モジュール24は、2本1組のヒートパイプ27と、一対のヒートシンク28,28と、一対のファン30,30と、金属プレート31とを備える。
【0024】
ヒートパイプ27はパイプ型の熱輸送デバイスである。ヒートパイプ27は、金属パイプを薄く扁平に潰して断面楕円形状に形成し、内側の密閉空間に作動流体を封入した構成である。作動流体としては、例えば水、代替フロン、アセトン又はブタン等を例示できる。ヒートパイプ27は例えば2本1組で用いることができる。ヒートパイプ27は、一部がCPU25a及びGPU25bとZ方向にオーバーラップし、これらCPU25a及びGPU25bと接続されている。ヒートパイプ27の両端部は左右のヒートシンク28とそれぞれ接続されている。これによりヒートパイプ27はCPU25a及びGPU25bが発する熱を左右のヒートシンク28へと高効率に輸送する。
【0025】
ヒートパイプ27は、例えば長手方向の中央付近がCPU25a及びGPU25bと熱的に接続されている。ヒートパイプ27とCPU25a及びGPU25bとの間には金属プレート31が介在している(図5も参照)。
【0026】
金属プレート31は、銅又はアルミニウム等の熱伝導率が高い金属で形成された薄いプレートである。本実施形態の金属プレート31は銅プレートである。金属プレート31は、CPU25a及びGPU25bの熱を吸熱して拡散するヒートスプレッダとして機能する。金属プレート31は、CPU25a及びGPU25bの熱をヒートパイプ27に伝達する熱伝達部材としても機能する。
【0027】
金属プレート31は、図2に示す平面視で左右のファン30,30の間及び左右のヒートシンク28,28の間の空間を埋めるように略矩形状に広がっている。金属プレート31は、左右のファン30,30の間に配置されたマザーボード25の一部(部分25C)と、部分25Cに実装されたCPU25a等を第2面25B側(Z2側)から覆う(図5も参照)。金属プレート31のY2側の縁部(一縁部31a)は、Y2側の立壁20Bのうち、ヒンジ配置溝12bに対応する部分の内壁面に面して配置されている。以下、立壁20Bのうち、ヒンジ配置溝12bに対応する部分を「外壁20B」と呼ぶこともある。金属プレート31の一縁部31aは、外壁20Bの内壁面との間に僅かな隙間を設けて配置されている(図5参照)。金属プレート31の一縁部31aには、複数のフィン32と複数の孔部33が並列されている。フィン32及び孔部33の具体的な構成は後述する。
【0028】
各ヒートシンク28は筐体12のX1,X2側縁部に寄った位置にそれぞれ設けられている。一方のヒートシンク28は、一方のファン30のY2側側面(第1吐出口30a)に対向配置される。他方のヒートシンク28は、他方のファン30のY2側側面(第1吐出口30a)に対向配置される。ヒートシンク28はアルミニウム又は銅のような高い熱伝導率を有する金属で形成されている。ヒートシンク28は、薄い金属プレートで形成された複数枚のフィンをX方向に等間隔に並べた構造である。各フィンはZ方向に起立し、Y方向に延在している。各フィンの上下端面(Z方向端面)は薄いプレート状部分で一体的に支持されている。隣接するフィンの間には、ファン30から送られた空気が通過する隙間が形成されている。これにより各ファン30の第1吐出口30aから送られる空気は各ヒートシンク28を通過することができる。
【0029】
図2に示すように、ファン30は左右のヒートシンク28のY1側に近接する位置にそれぞれ設けられている。ファン30は第1吐出口30a及び第2吐出口30bを有する。ファン30は上面と下面の一方又は両方に吸気口30cを有する。ファン30はハウジングの内部に収容したインペラ30dをモータによって回転させる遠心ファンである(図6参照)。ファン30は吸気口30cから吸い込んだ空気を吐出口30a,30bから吐出する。吸気口30cは、筐体12の底面(カバー材21)に開口した底面通気口40からも筐体12外の空気を吸気できる(図3及び図5参照)。
【0030】
第1吐出口30aはY2方向に空気を吐出する。第1吐出口30aから送られる空気はヒートシンク28を通過する。ヒートシンク28を通過した空気は、筐体12の外壁20Bに形成された通気口36,37から筐体12外へと排出される。
【0031】
第2吐出口30bはX1方向又はX2方向に空気を吐出する。図2中でX1側に配置されたファン30は、そのX2側側面に第2吐出口30bが開口している。図2中でX2側に配置されたファン30は、そのX1側側面に第2吐出口30bが開口している。これにより左右のファン30の第2吐出口30bは、マザーボード25の部分25C及び金属プレート31を相互間に挟んで互いに向かい合っている。
【0032】
第2吐出口30bのZ方向での位置は、マザーボード25及び金属プレート31の側端面に対面していることが好ましい(図5参照)。これにより各ファン30の第2吐出口30bはマザーボード25の上下の表面(面25A,25B)及び金属プレート31の上下の表面31b,31cに向かって空気を吐出することができる。第2吐出口30bから吐出された空気は、面25A,25B及び表面31b,31cに沿って流れつつ、CPU25a、GPU25b及びメモリモジュール25c等を冷却する。この空気は、さらに金属プレート31の表面31b,31c及びフィン32を冷却しつつ、筐体12の外壁20Bに形成された第3通気口38から筐体12の外部に排出される。
【0033】
図3は、電子機器10の後部を底面側から見た斜視図である。
【0034】
図3に示すように、筐体12は外壁20Bに第1通気口36、第2通気口37、及び第3通気口38を有する。各通気口36~38は、例えば外壁20Bの長手方向に沿って並んだ複数の小窓状の開口によって構成することができる。
【0035】
第1通気口36は外壁20BのX1側端部に寄った位置に設けられている。第1通気口36はX1側のヒートシンク28に近接し、対向している(図2も参照)。第2通気口37は外壁20BのX2側端部に寄った位置に設けられている。第2通気口37はX2側のヒートシンク28に近接し、対向している。第3通気口38はX方向で第1通気口36と第2通気口37との間に設けられている。第3通気口38は、金属プレート31の一縁部31aと、マザーボード25の部分25CのY2側縁部とに近接し、対向している(図5も参照)。
【0036】
次に、金属プレート31の具体的な構成例を説明する。
【0037】
図4は、金属プレート31の模式的な斜視図である。図5は、筐体12の後縁部及びその周辺部の模式的な側面断面図である。図6は、筐体12の後縁部及びその周辺部の模式的な背面断面図である。図5及び図6は、金属プレート31のフィン32、孔部33及びその周辺部を拡大して図示している。
【0038】
図2図6に示すように、金属プレート31のY2側縁部(一縁部31a)は、第3通気口38に近接する位置まで延在している。これにより金属プレート31は第3通気口38に近接する位置まで延在しているマザーボード25の部分25Cを覆っている。金属プレート31は、第3通気口38に面する一縁部31aにフィン32及び孔部33を有する。
【0039】
フィン32は金属プレート31の表面31cからZ2方向に起立し、Y方向に延びた板片である。フィン32は一縁部31aに沿ってX方向に並ぶように複数設けられている。これにより隣接するフィン32,32の間にはY方向に延びた隙間(空気通路)が形成されている。各フィン32は金属プレート31の一部を切り起こした切り起こし片で構成することができる。
【0040】
孔部33は金属プレート31を板厚方向(Z方向)に貫通する貫通孔である。孔部33は一縁部31aに沿ってX方向に並ぶように複数設けられている。各孔部33はフィン32を切り起こした部分に形成された切り起こし孔で構成することができる。この場合、各孔部33は各フィン32とX方向に隣接して配置されることになる。
【0041】
上記したように、マザーボード25の部分25CのY2側縁部は、第3通気口38に近接する位置まで延在している(図2及び図5参照)。電子機器10は例えば携帯可能なノート型PCである。筐体12は可能な限り小型化する必要があり、内部スペースは狭い。そこでマザーボード25は外壁20Bに近接する位置まで延在させることで、実装部品の実装スペースを確保している。この構成のため、本実施形態では、マザーボード25の部分25Cがフィン32及び孔部33と上下にオーバーラップしている。従って、マザーボード25は、フィン32と上下にオーバーラップする位置にも電子部品25eが実装される場合がある(図5及び図6参照)。電子部品25eは、例えばCPU25a及びGPU25bの電源コンポーネントやメモリ等を例示できる。
【0042】
そこで、フィン32は、マザーボード25に対する金属プレート31の対向面(表面31b)とは反対側の表面31cからZ2方向に起立させることが好ましい(図5及び図6参照)。そうするとフィン32がマザーボード25及びその電子部品25eに干渉することを回避できる。この干渉によって電子部品25eがショート等の不具合を生じることも回避できる。フィン32は十分な起立高さを確保でき、熱交換表面積を拡大することができる。さらにマザーボード25と金属プレート31との間のZ方向高さを抑制できることで、筐体12の薄型化も可能となる。表面31cからのフィン32の起立高さは、例えばヒートパイプ27の厚みと同程度又は多少高いことができる(図5参照)。
【0043】
このように、金属プレート31は第3通気口38に面する一縁部31aにフィン32及び孔部33を有する。これにより左右のファン30の第2吐出口30bから吐出された空気は、マザーボード25の面25A,25B及び金属プレート31の表面31b,31cからフィン32の周囲を通過し、第3通気口38から筐体12外へと排出される。その際、表面31cとカバー材21との間(流通経路44)を流れた空気の一部は、孔部33を通過して表面31b側から第3通気口38へと排出される。
【0044】
具体的には、本実施形態の電子機器10は、第2吐出口30bから第3通気口38へと向かう空気の流通経路42~44が筐体12内に形成され、フィン32及び孔部33はこの流通経路42上に配置される。
【0045】
最もZ1側の流通経路42はキーボード装置18とマザーボード25の第1面25Aとの間を通って第3通気口38へと向かう経路である。中間の流通経路43はマザーボード25の第2面25Bと金属プレート31の表面31bとの間を通って第3通気口38へと向かう経路である。最もZ2側の流通経路44は金属プレート31の表面31cとカバー材21との間を通って第3通気口38へと向かう経路である。この流通経路44は孔部33を介して流通経路43と連通している。図2図4図5及び図6中に1点鎖線で示す矢印は空気の流れを模式的に示したものである。
【0046】
図2に示すように、筐体12の内部には、流通経路42~44での空気の流れをより円滑なものとするための空間(ダクト構造部45)を形成することもできる。ダクト構造部45の範囲は、Z方向では第1面25Aとキーボード装置18とカバー材21との間に形成される。ダクト構造部45の範囲は、X方向では左右のファン30,30間と、ヒートシンク28,28間とに形成される。第3通気口38はダクト構造部45のY2側に位置する。
【0047】
第3通気口38側を除くダクト構造部45の周縁には気密壁45aを設けることが好ましい。気密壁45aは例えばスポンジやゴムを帯板状に形成した部材である。気密壁45aは、空気の通過を完全に遮断できる必要はないが、ある程度の通気抵抗を有して空気の流れる方向を規制できる必要がある。
【0048】
次に、電子機器10での冷却モジュール24の動作及び作用効果を説明する。
【0049】
図2図6に示すように、電子機器10は、外壁20Bに通気口36~38を有する筐体12と、冷却モジュール24とを備える。筐体12は、CPU25a及びGPU25bのような発熱体を実装した基板(マザーボード25)を搭載している。冷却モジュール24は、通気口36,37に面して配置されたヒートシンク28と、CPU25a等の熱をヒートシンク28に輸送する熱輸送デバイス(ヒートパイプ27)と、各ヒートシンク28に向かって空気を吐出可能な第1吐出口30aを有するファン30と、金属プレート31とを備える。金属プレート31は一縁部31aが第3通気口38に面するようにファン30,30の間に配置され、CPU25a等の熱を拡散可能である。金属プレート31は、一縁部31aに沿って並ぶ複数のフィン32と、孔部33とを有する。
【0050】
従って、電子機器10は、CPU25a等の発熱体が発生する熱が金属プレート31を介してヒートパイプ27に伝達されると共に、ヒートシンク28へと効率よく輸送される。ヒートシンク28に輸送された熱は、ファン30の第1吐出口30aから通気口36,37へと流れる空気によって円滑に筐体12外に排出される。
【0051】
さらに電子機器10では、CPU25a等から金属プレート31に伝達された熱の一部と、メモリモジュール25c及び電子部品25e等が発生する熱の一部が金属プレート31で拡散される。金属プレート31で拡散された熱は、流通経路42~44に放熱されると共に、フィン32にも伝導する。流通経路42~44に放熱された熱は、第2吐出口30bから第3通気口38へと流れる空気によって筐体12外へと円滑に排出される。
【0052】
この際、流通経路44を流れる空気がフィン32を冷却するため、金属プレート31が効率的に冷却され、CPU25a等の冷却効率が向上する。また流通経路44を流れる空気の一部は孔部33を通過し、流通経路43を経由して第3通気口38へと流出する。これにより金属プレート31の一縁部31aが流通経路44を流れる空気の通風抵抗となることが抑制される。このためファン30の風量が増大する。このように、冷却モジュール24は、フィン32による金属プレート31の冷却作用と、孔部33によるファン30の風量増大作用とにより、その冷却性能が向上する。
【0053】
冷却モジュール24は、各フィン32を切起こし片で形成し、各孔部33を各フィン32を切り起こした部分に形成される切り起こし孔で形成することができる。そうすると金属プレート31は、流通経路43,44を流れる空気との熱交換表面積を確保しつつ、通風抵抗を低減することができる。特に電子機器10では、金属プレート31のみならず、マザーボード25も第3通気口38の直前まで延在しており、流通経路42~44から第3通気口38へと延びる経路が狭窄している。そこで電子機器10は金属プレート31の一縁部31aにフィン32と共に孔部33を有することで、通風抵抗の増大を抑制することができる。
【0054】
ファン30は第2吐出口30bを持たない構成とすることもできる。この場合には、第3通気口38はファン30が吸気口30cに向かって筐体12外の空気を取り込むための空気取込口として機能する。第3通気口38から取り込まれた外気は、フィン32を冷却しつつ、孔部33を通過して吸気口30cへと導入される。この際も孔部33によって流通経路43,44が連通するため、通風抵抗が低減され、ファン30の風量が向上する。
【0055】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0056】
フィン32は切り起こし片ではなく、別部材で形成して表面31cに固定した構成としてもよい。この場合、孔部33はフィン32の付近に適宜形成すればよく、例えばX方向に延びた1つの長孔で構成することもできる。
【符号の説明】
【0057】
10 電子機器
11 蓋体
12 筐体
24 冷却モジュール
25 マザーボード
25a CPU
25b GPU
25e 電子部品
27 ヒートパイプ
28 ヒートシンク
30 ファン
30a 第1吐出口
30b 第2吐出口
31 金属プレート
31a 一縁部
36 第1通気口
37 第2通気口
38 第3通気口
42~44 流通経路
【要約】
【課題】ファンから吐出される空気の通風抵抗を低減し、冷却能力を向上する。
【解決手段】電子機器は、第1通気口と、第2通気口と、前記第1通気口と前記第2通気口の間に位置する第3通気口とを有する筐体と、前記筐体内に搭載された発熱体と、前記筐体内に搭載され、前記発熱体を冷却する冷却モジュールと、を備える。冷却モジュールは、一対のヒートシンクと、熱輸送デバイスと、前記ヒートシンクに向かって空気を吐出可能な第1吐出口をそれぞれ有し、一方が前記一方のヒートシンクに面して配置され、他方が前記他方のヒートシンクに面して配置された一対のファンと、一縁部が前記第3通気口に面するように前記一対のファンの間に配置され、前記発熱体の熱を拡散可能な金属プレートとを備える。金属プレートは、表面から起立し、前記一縁部に沿って並ぶ複数のフィンと、板厚方向に貫通した孔部とを有する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6