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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】加圧システム
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/02 20060101AFI20250307BHJP
   B28B 3/02 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
B30B15/02 D
B30B15/02 G
B28B3/02 A
B30B15/02 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024102911
(22)【出願日】2024-06-26
【審査請求日】2024-06-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】牧野 由
(72)【発明者】
【氏名】森永 高広
(72)【発明者】
【氏名】森 隆博
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-216404(JP,A)
【文献】特開平06-277771(JP,A)
【文献】特許第7538972(JP,B1)
【文献】特開2004-296746(JP,A)
【文献】特開昭61-22906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/02
B28B 3/02
H01L 21/603
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のワークに加圧処理を実行する加圧システムであって、
複数の加圧ユニットと、
前記加圧処理が実行される1個の加圧エリアと、
上下方向視において、前記加圧エリアの側方に配置される複数の待機エリアと、
前記加圧ユニットそれぞれを、前記加圧ユニットそれぞれに対応する前記待機エリアと、前記加圧エリアと、の間で搬送可能に支持するユニット支持部材と、
を有してなり、
前記ワークが加圧されるとき、複数の前記加圧ユニットのうち、
1個の前記加圧ユニットは、前記加圧エリアにおいて、前記ワークの上方向または下方向に配置されて、前記ワークに対して相対移動可能であり、
残りの前記加圧ユニットは、対応する前記待機エリアに配置されて、
前記加圧ユニットそれぞれは、前記ワークに対して異なる加圧方式で、前記加圧処理を実行可能に構成され
前記加圧方式は、
前記ワークに対して、多方向から加圧する疑似等方圧方式と、前記ワークに対して、上下方向のみから加圧する1軸加圧方式と、のうち、いずれか一方と、
複数の前記ワークに対して、1個のプレス面で一括に加圧可能な一括加圧方式と、複数の前記ワークそれぞれに対して、区画された複数の個別プレス面それぞれで個別に加圧可能な個別加圧方式と、のうち、いずれか一方と、
が組み合わされた4種の方式のうち、少なくとも2種の方式、
を含み、
前記プレス面は、
前記プレス面を備える前記加圧ユニットが前記加圧エリアに配置されたとき、前記ワークの上方向または下方向に、前記ワークに向けられるように配置されて、
複数の前記個別プレス面は、
前記個別プレス面を備える前記加圧ユニットが前記加圧エリアに配置されたとき、対応する前記ワークの上方向または下方向に、対応する前記ワークに向けられるように配置されて、
前記ワークが加圧されていないとき、
前記プレス面は、平面状であり、
前記個別プレス面それぞれは、平面状である、
加圧システム。
【請求項2】
前記疑似等方圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニットは、
前記ワークが加圧されるとき、前記ワークの表面の形状に追従して変形する弾性体を備える加圧パッドと、
前記加圧パッドを保持する枠部材と、
前記ワークが加圧されるとき、前記加圧パッドを前記ワークに向けて加圧する金型と、
を備える、
請求項に記載の加圧システム。
【請求項3】
前記1軸加圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニットは、
前記ワークが加圧されるとき、前記ワークに向けられる前記プレス面または前記個別プレス面
を備えて、
前記プレス面または前記個別プレス面は、金属製で、平面状である、
請求項に記載の加圧システム。
【請求項4】
前記個別加圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニットは、
前記ワークそれぞれを個別に加圧可能であり、前記個別プレス面を備える複数の個別加圧部材と、
前記個別加圧部材を支持する支持金型と、
前記個別加圧部材を前記ワークに向けて加圧可能な金型と、
前記個別加圧部材と、前記金型と、の間に配置される加圧パッドと、
上下方向視において前記金型の側方に配置されて、前記加圧パッドを保持する枠部材と、
を備えて、
前記枠部材は、前記金型に対して上下方向に相対移動可能であり、
前記個別加圧部材は、前記支持金型に対して上下方向に相対移動可能であり、
前記加圧パッドは、下方向視において、前記金型の全面を覆い、前記個別加圧部材それぞれの前記支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能であり、
前記支持金型は、前記加圧パッドと前記枠部材との下方向に配置されて、前記枠部材に支持されて、
前記ワークが加圧されるとき、前記個別加圧部材は、対応する前記ワークに向けて前記支持金型から突出する、
請求項に記載の加圧システム。
【請求項5】
前記個別加圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニットは、
前記ワークそれぞれを個別に加圧可能であり、前記個別プレス面を備える複数の個別加圧部材と、
前記個別加圧部材を支持する支持金型と、
前記個別加圧部材を前記ワークに向けて加圧可能な金型と、
前記個別加圧部材と、前記金型と、の間に配置される加圧パッドと、
上下方向視において前記金型の側方に配置されて、前記支持金型を支持する支持部材と、
を備えて、
前記支持部材は、前記金型に対して上下方向に相対移動可能であり、
前記個別加圧部材は、前記支持金型に対して上下方向に相対移動可能であり、
前記加圧パッドは、前記個別加圧部材それぞれの前記支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能であり、
前記ワークが加圧されるとき、前記個別加圧部材は、対応する前記ワークに向けて前記支持金型から突出する、
請求項に記載の加圧システム。
【請求項6】
前記個別加圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニットは、
前記ワークが加圧されるとき、前記ワークの表面の形状に追従して変形する弾性体を備える加圧パッドと、
前記加圧パッドを保持する枠部材と、
前記ワークが加圧されるとき、前記加圧パッドを前記ワークに向けて加圧する金型と、
を備えて、
前記枠部材は、前記加圧パッドを複数の個別加圧パッドに区画して、
前記金型は、
前記個別加圧パッドそれぞれに対応する複数の個別金型、
を備えて、
前記個別加圧パッドは、
前記個別プレス面、
を備える、
請求項に記載の加圧システム。
【請求項7】
前記ワークを加熱または冷却可能な熱ユニット、
を有してなり、
前記熱ユニットは、
前記加圧エリアに移動した前記加圧ユニットよりも上方向に配置される上熱ユニットと、
前記ワークよりも下方向に配置される下熱ユニットと、
を備えて、
前記上熱ユニットと前記下熱ユニットそれぞれは、
熱金型と、
前記熱金型に内包されて、前記熱金型を加熱する加熱源と、
前記熱金型に内包されて、前記熱金型を冷却する冷却源と、
を備える、
請求項1に記載の加圧システム。
【請求項8】
前記ワークが載置される載置板と、
上下方向視において、前記加圧エリアの側方に配置される熱ユニット待機エリアと、
前記下熱ユニットを、前記熱ユニット待機エリアと前記加圧エリアとの間で往復搬送する熱ユニット搬送装置と、
前記加圧エリアに搬送された前記加圧ユニットを昇降させる昇降装置と、
を有してなり、
前記下熱ユニットは、
前記加熱源を備えて、前記ワークを加熱可能な下加熱ユニットと、
前記冷却源を備えて、前記ワークを冷却可能な下冷却ユニットと、
を備えて、
前記加圧ユニットが前記加圧エリアに位置しているとき、前記加圧ユニットは、前記載置板と共に、前記ワークが収容されるチャンバユニットを形成して、
前記昇降装置は、
前記下加熱ユニットと前記下冷却ユニットとが搬送されるとき、前記チャンバユニットを上昇させて、
前記下加熱ユニットまたは前記下冷却ユニットが前記加圧エリアに搬送されたとき、前記チャンバユニットを下降させて、前記チャンバユニットを前記加圧エリアに搬送された前記下加熱ユニットまたは前記下冷却ユニットに当接させる、
請求項に記載の加圧システム。
【請求項9】
前記加圧エリアに搬送された前記加圧ユニットを昇降させる昇降装置、
を有してなり、
前記昇降装置は、前記加圧エリアに配置されて、
前記ユニット支持部材は、
前記加圧エリアに配置されて、前記昇降装置に取り付けられる個別ユニット支持部材、
を備えて、
前記加圧ユニットそれぞれは、
前記ワークに向けられる前記プレス面または前記個別プレス面と、
前記プレス面または前記個別プレス面を前記ワークに向けて加圧可能な金型と、
前記金型を支持するベースと、
を備えて、
前記加圧ユニットが前記加圧エリアに位置しているとき、
前記加圧ユニットは、前記ワークの上方向に配置されて、
前記ベースは、前記昇降装置に固定されて、
前記加圧ユニットは、前記個別ユニット支持部材から離間する、
請求項1に記載の加圧システム。
【請求項10】
前記疑似等方圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニットが備える前記プレス面または前記個別プレス面のうち、前記ワークを加圧する部分は、前記ワークが加圧されているとき、前記ワークの表面の形状に追従するように変形して、
前記1軸加圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニットが備える前記プレス面または前記個別プレス面のうち、前記ワークを加圧する部分は、前記ワークが加圧されているとき、変形しない、
請求項1に記載の加圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
加圧装置は、例えば、電子部品の製造工程において、積層されたワーク(基板、素子、シート体など)を加圧(圧着、焼結)するために、用いられている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1に開示された加圧装置は、ワークそれぞれの形状に追従して変形する特殊弾性体で形成された加圧パッドにより、ワークを加圧する。すなわち、同加圧装置は、ワークを多方向から加圧する方式(以下「疑似等方圧方式」という。)により、ワークを均等に加圧する。その結果、同加圧装置は、例えば、凹凸を有するワーク、および、高さが異なる複数のワークを、多方向から均等に加圧できる。
【0004】
ここで、特許文献1に開示された加圧装置では、加圧が不要な部位(例えば、基板上のチップ以外の部位)も、加圧される。ワークの中には、強度の低い部位(例えば、庇状の部位)を有するワークが、有る。同加圧装置を用いてこのようなワークが加圧されると、強度の低い部位に割れや欠けなどの不具合が、生じ得る。そのため、加圧が必要な部位のみを一括して加圧する加圧方式による加圧が可能な加圧装置も、求められている。
【0005】
特許文献2に開示された加圧装置は、平面状のプレス面を有する剛体(例えば、鋼板)により、ワークを加圧する。すなわち、同加圧装置は、ワークを上下方向(一方向)から加圧する方式(以下「1軸加圧方式」という。)により、ワークを加圧する。その結果、同加圧装置は、例えば、表面の平坦性が求められるワーク(例えば、セラミックグリーンシートのような薄く、変形し易いワーク)に対して、同表面が平坦になるように加圧できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-296746号公報
【文献】特開2001-145911号公報
【文献】特開2024-036929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、電子部品は、多様化している。それに伴い、ワークの形態(例えば、ヒートシンクの有無、積層体を仮固定するクリップの有無など)、加圧後のワークに求められる形状(例えば、表面の平坦度の程度、丸みの有無など)、および、ワークの加工条件(例えば、加圧力、温度条件など)も、多様化している。前述のとおり、ワークにより、最適な加圧方式は、異なる。また、一般的に、加圧装置は、単一の加圧方式による加圧が可能となるように設計されている。そのため、多様化するワークそれぞれを適切に加圧する場合、異なる加圧方式に対応する複数の加圧装置が、必要となる。
【0008】
ここで、特許文献3には、加圧条件の異なる2種の加圧方式(ただし、共に1軸加圧方式)による加圧が可能な加圧システムが、開示されている。同加圧システムでは、2個の加圧装置が、工程ライン上に並列で配置されている。ワークは、第1の加圧装置で加圧された後に、第2の加圧装置で追加圧される。このように、同加圧システムは、複数種の加圧方式により、ワークWを加圧できる。しかし、複数の加圧装置が並列で配置されているため、同加圧システムは大型化してしまう。また、加圧方式の変更には、加圧システムの再設計が、必要となる。すなわち、同加圧システムは、ワークに合わせて、複数の異なる加圧方式を選択できない。
【0009】
本発明は、複数の異なる加圧方式を選択可能な加圧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様における加圧システムは、少なくとも1個のワークに加圧処理を実行する加圧システムであって、複数の加圧ユニットと、前記加圧処理が実行される1個の加圧エリアと、上下方向視において、前記加圧エリアの側方に配置される複数の待機エリアと、前記加圧ユニットそれぞれを、前記加圧ユニットそれぞれに対応する前記待機エリアと、前記加圧エリアと、の間で搬送可能に支持するユニット支持部材と、を有してなり、前記ワークが加圧されるとき、複数の前記加圧ユニットのうち、1個の前記加圧ユニットは、前記加圧エリアにおいて、前記ワークの上方向または下方向に配置されて、前記ワークに対して相対移動可能であり、残りの前記加圧ユニットは、対応する前記待機エリアに配置されて、前記加圧ユニットそれぞれは、前記ワークに対して異なる加圧方式で、前記加圧処理を実行可能に構成され前記加圧方式は、前記ワークに対して、多方向から加圧する疑似等方圧方式と、前記ワークに対して、上下方向のみから加圧する1軸加圧方式と、のうち、いずれか一方と、複数の前記ワークに対して、1個のプレス面で一括に加圧可能な一括加圧方式と、複数の前記ワークそれぞれに対して、区画された複数の個別プレス面それぞれで個別に加圧可能な個別加圧方式と、のうち、いずれか一方と、が組み合わされた4種の方式のうち、少なくとも2種の方式、を含み、前記プレス面は、前記プレス面を備える前記加圧ユニットが前記加圧エリアに配置されたとき、前記ワークの上方向または下方向に、前記ワークに向けられるように配置されて、複数の前記個別プレス面は、前記個別プレス面を備える前記加圧ユニットが前記加圧エリアに配置されたとき、対応する前記ワークの上方向または下方向に、対応する前記ワークに向けられるように配置されて、前記ワークが加圧されていないとき、前記プレス面は、平面状であり、前記個別プレス面それぞれは、平面状である、加圧システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数の異なる加圧方式を選択可能な加圧システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る加圧システムの実施の形態を示す、加圧システムの模式斜視図である。
図2】上記加圧システムの模式平面図である。
図3】上記加圧システムの図2のAA線における模式断面図である。
図4】上記加圧システムの上加圧ユニットの模式断面図である。
図5】上記加圧システムの別の上加圧ユニットの模式断面図である。
図6図5の上加圧ユニットの模式底面図である。
図7図5の上加圧ユニットの部分拡大模式断面図である。
図8】上記加圧システムのさらに別の上加圧ユニットの模式断面図である。
図9】上記加圧システムのさらに別の上加圧ユニットの模式断面図である。
図10】上記加圧システムの第1動作において、図4の上加圧ユニットが上記加圧システムの加圧エリアに搬送された状態を示す、加圧システムの模式平面図である。
図11図10の状態を示す、加圧システムの模式断面図である。
図12】(a)は、図4の上加圧ユニットが上記加圧システムの上熱ユニットに取り付けられる前の状態を示す、上記加圧システムの部分拡大模式断面図であり、(b)は、図4の上加圧ユニットが上記上熱ユニットに取り付けられた後の状態を示す、上記加圧システムの部分拡大模式断面図である。
図13】チャンバユニットが組み立てられた状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図14】ワークが加圧された状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図15】ワークが冷却された状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図16】ワークの急加熱および急冷却の温度プロファイルの一例を示す、グラフである。
図17】上記加圧システムの第2動作において、図5の上加圧ユニットが加圧エリアに搬送された状態を示す、上記加圧システムの模式平面図である。
図18図17の状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図19図5の上加圧ユニットの第1移動規制部材が、上記加圧システムの載置板に当接した状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図20】ワークが加圧された状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図21】ワークの定温加熱の温度プロファイルの一例を示す、グラフである。
図22】上記加圧システムの第3動作において、図8の上加圧ユニットが上記加圧エリアに搬送された状態を示す、上記加圧システムの模式平面図である。
図23図22の状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図24】チャンバユニットが組み立てられた状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図25】ワークが冷却された状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図26】ワークの緩慢な加熱および緩慢な冷却の温度プロファイルの一例を示す、グラフである。
図27】上記加圧システムの第4動作において、図9の上加圧ユニットが上記加圧エリアに搬送された状態を示す、上記加圧システムの模式平面図である。
図28図27の状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図29図9の上加圧ユニットの移動規制部材が上記載置板に当接した状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図30】ワークが加圧された状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図31】上記加圧システムの第1変形例における上加圧ユニットの模式断面図である。
図32図31の上加圧ユニットによりワークが加圧された状態を示す、上記加圧システムの模式断面図である。
図33】上記加圧システムの第2変形例を示す、加圧システムの模式断面図である。
図34】上記加圧システムの第3変形例を示す。加圧システムの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る加圧システムの実施の形態が、以下に説明される。以下の説明において、各図面は、適宜参照される。各図面において、同一の部材および要素については同一の符号が付されて、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、説明の便宜上、誇張されている場合が有り、各図面に示されている比率に限定されない。
【0014】
以下の説明および図面において、空間において相互に直交する3軸がX軸、Y軸およびZ軸であるとき、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は上下方向に平行である。「X軸方向」はX軸に沿う方向であり、「+X方向」はX軸方向の一方向であり、「-X方向」はX軸方向の他方向である。「Y軸方向」はY軸に沿う方向であり、「+Y方向」はY軸方向の一方向であり、「-Y方向」はY軸方向の他方向である。「Z軸方向」は、Z軸に沿う方向であり、上下方向である。「+Z方向」は上方向であり、「-Z方向」は下方向である。「XY方向」はX軸方向およびY軸方向に沿う方向であり、「XY平面」はXY方向(水平方向)に平行な仮想平面である。「XZ方向」はX軸方向およびZ軸方向に沿う方向であり、「XZ平面」はXZ方向(鉛直方向)に平行な仮想平面である。「YZ方向」はY軸方向およびZ軸方向に沿う方向であり、「YZ平面」はYZ方向(鉛直方向)に平行な仮想平面である。
【0015】
以下の説明において、下面は、下方向に面していて、XY方向に平行な面である。上面は、上方向に面していて、XY方向に平行な面である。すなわち、下面および上面の形状は、平面状である。また、各部材の厚さ(高さ)は、上下方向における各部材の長さである。
【0016】
●加圧システム●
●加圧システムの構成
図1は、本発明に係る加圧システムの実施の形態を示す、加圧システムの模式斜視図である。
図2は、加圧システムの模式平面図である。
図1は、後述される各エリアの境界を、太い二点鎖線で示している。図2では、説明の便宜上、加圧システムSの一部の構成の図示は、省略されている。以下の説明において、図1および図2は、適宜参照される。
【0017】
加圧システムSは、ワークWに適した加圧方式により、ワークWに加圧処理を実行する。加圧システムSは、筐体(不図示。以下同じ。)、複数(本実施の形態では、4個)の上加圧ユニット1,2,3,4、加圧装置5、下熱ユニット6、搬送機構7、制御装置8、載置板9、ポンプP(図3参照)、および複数の取付ボルトBo(図12参照。以下同じ。)を有してなる。上加圧ユニット1~4は、本発明における加圧ユニットの一例である。
【0018】
「ワークW」は、加圧システムSにおいて加圧処理が実行される対象(すなわち、被加圧物)であり、例えば、シート状の基材(セラミックグリーンシートなど)、電子部品、回路などが搭載されている基板、などである。
【0019】
「加圧方式」は、ワークWに対する圧力の加え方(圧力を加える方法)を意味する。加圧方式は、例えば、ワークWに加えられる圧力の方向(例えば、多軸方向、1軸方向)、複数のワークWに対するプレス面の数(プレス面が個別に上下動可能な複数の領域に分かれているか否か)、加圧後のワークWの上面Wa(表面)の平坦度、などにより、区別される。
【0020】
具体的には、加圧方式は、疑似等方圧方式および1軸加圧方式を含む。「疑似等方圧方式」は、ワークWに対して多方向(すなわち、多軸方向)から圧力を加える方式である。後述のとおり、疑似等方圧方式では、ワークWは、ワークWの表面の形状に追従するように変形する部材(例えば、加圧パッド15(後述))、および、変形しない部材(例えば、載置板9(後述))により加圧される。このとき、ワークWに対する圧力は、完全な全方向からではなく、加圧システムSの構成上、実現可能な多方向から加えられている。すなわち、疑似等方圧方式は、疑似的に等方圧を実現する方式である。「1軸加圧方式」は、ワークWに対して1軸方向(上下方向)から圧力を加える方式である。ここで、1軸加圧方式により加圧されたワークWの上面Waは、疑似等方圧方式により加圧されたワークWの上面Waよりも平坦になる(平坦度が高い)。また、加圧方式は、一括加圧方式および個別加圧方式を含む。「一括加圧方式」は、複数のワークWに対して、1個のプレス面で一括して加圧する方式である。「個別加圧方式」は、複数のワークWそれぞれに対応する、区画された複数のプレス面(以下「個別プレス面」という。)それぞれで(一括して)加圧する方式である。ここで、個別加圧方式では、複数のワークWのうち、1個のワークWは、複数の個別プレス面のうち、1個の個別プレス面で加圧される。本実施の形態において、加圧方式は、疑似等方圧方式と1軸加圧方式とのうち、いずれか一方と、一括加圧方式と個別加圧方式とのうち、いずれか一方と、が組み合わされた4種の方式のうち、いずれか1種の方式である。
【0021】
また、「加圧方式」は、上加圧ユニット1~4におけるプレス面をワークWに押し当てるための動作と、プレス面の形態(例えば、材質、プレス面の数)と、に基づいて、決定される。すなわち、例えば、2種の加圧方式の間において、同動作とプレス面の形態とのうち、いずれか一方が異なるとき、その2種の加圧方式は、異なる。一方、2種の加圧方式の間において、同動作とプレス面の形態とが同じとき、その2種の加圧方式は、同じである。したがって、ワークWに加えられる圧力の大きさのみ(加圧力のみ)が異なる2種の加圧方式は、同じである。また、プレス面を備える型の大きさのみ(いわゆる、金型のみ)が異なる2種の加圧方式は、同じである。
【0022】
筐体は、上加圧ユニット1~4、加圧装置5、下熱ユニット6、搬送機構7、制御装置8、載置板9、ポンプP、および取付ボルトBoを収容する。筐体の形状は、例えば、上下方向視においてXY方向に沿う直方体状である。
【0023】
上下方向視において、加圧システムSの筐体の内部の空間は、大別すると、1個の加圧エリアA1、および複数(本実施の形態では4個)の待機エリアA2,A3,A4,A5に区分されている。換言すれば、加圧システムSは、1個の加圧エリアA1、および、複数の待機エリアA2~A5を有してなる。
【0024】
「加圧エリアA1」は、ワークWが加圧される(加圧処理が実行される)エリアである。
【0025】
「待機エリアA2」は、上加圧ユニット1が使用されていないとき、上加圧ユニット1が待機している(保管されている)エリアである。上下方向視において、待機エリアA2は、加圧エリアA1の+X方向に、加圧エリアA1に隣接して配置されている。
【0026】
「待機エリアA3」は、上加圧ユニット2が使用されていないとき、上加圧ユニット2が待機している(保管されている)エリアである。上下方向視において、待機エリアA3は、加圧エリアA1の-Y方向に、加圧エリアA1に隣接して配置されている。
【0027】
「待機エリアA4」は、上加圧ユニット3が使用されていないとき、上加圧ユニット3が待機している(保管されている)エリアである。上下方向視において、待機エリアA4は、加圧エリアA1の-X方向に、加圧エリアA1に隣接して配置されている。
【0028】
「待機エリアA5」は、上加圧ユニット4が使用されていないとき、上加圧ユニット4が待機している(保管されている)エリアである。上下方向視において、待機エリアA5は、加圧エリアA1の+Y方向に、加圧エリアA1に隣接して配置されている。
【0029】
上加圧ユニット1~4それぞれは、異なる加圧方式でワークWに加圧処理を実行する。上加圧ユニット1~4は、搬送機構7を介して、対応する待機エリアA2~A5と、加圧エリアA1と、の間で往復搬送可能である。本実施の形態では、上加圧ユニット1~4の搬送は、加圧システムSの使用者により、手動で行われる。上加圧ユニット1~4の具体的な構成は、後述される。
【0030】
図3は、加圧システムSの図2のAA線における模式断面図である。
以下の説明において、図1および図2は、図3と共に適宜参照される。
【0031】
加圧装置5は、加圧エリアA1に搬送された上加圧ユニット1~4を用いて、ワークWを加圧する。加圧装置5は、上ベース50、上熱ユニット51、および昇降装置52を備える。加圧装置5は、加圧エリアA1に配置されている。
【0032】
上ベース50は、上熱ユニット51、上加圧ユニット1~4、およびレールR9~R12を支持する。上ベース50は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。上ベース50の形状は、例えば、上下方向視においてXY軸方向に沿う直方体状である。
【0033】
上熱ユニット51は、上ベース50の下面に取り付けられている。上熱ユニット51は、本体部51a、断熱部材51b、複数の雌ねじ孔51c、複数の加熱源H1、および複数の冷却源C1を備える。本体部51aは、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。本体部51aの形状は、上下方向視においてXY軸方向に沿う直方体状である。断熱部材51bは、本体部51aの上方向を覆うように配置されている。雌ねじ孔51cは、本体部51aの下面の外縁部に等間隔で配置されている。加熱源H1は、本体部51aを加熱する。加熱源H1は、例えば、公知の直管状ヒータである。加熱源H1は、本体部51aの下半部に内包(配置)されている。冷却源C1は、本体部50aを冷却する。冷却源C1は、例えば、冷媒(不図示。以下同じ。)が流れる直管状の流路である。冷媒は、冷却装置(不図示。以下同じ。)により冷却されていて、冷却源C1と冷却装置との間で循環されている。冷却源C1は、本体部51aの上半部内に内包されている。上熱ユニット51は、本発明における熱ユニットの一例である。本体部51aは、本発明における熱金型の一例である。
【0034】
昇降装置52は、上ベース50、上熱ユニット51、および上加圧ユニット1~4を昇降させる。昇降装置52は、例えば、公知の油圧シリンダである。
【0035】
下熱ユニット6は、ワークWを加熱および冷却する。下熱ユニット6は、下加熱ユニット60、下冷却ユニット61、および下熱ユニット搬送装置62を備える。
【0036】
下加熱ユニット60は、ワークWを加熱および冷却する。下加熱ユニット60は、上熱ユニット51の下方向の熱処理位置(加圧エリアA1)と、熱処理位置から水平方向(本実施の形態では、-X方向)に離間した待機位置(待機エリアA4)と、の間で搬送可能である。下加熱ユニット60は、本体部60a、複数の加熱源H2、および複数の冷却源C2を備える。下加熱ユニット60は、本発明における熱ユニットの一例である。待機位置(待機エリアA4)は、本発明における熱ユニット待機エリアの一例である。
【0037】
本体部60aの構成は、本体部51aの構成と共通する。加熱源H2は、本体部60aを加熱する。加熱源H2の構成は、加熱源H1の構成と共通する。加熱源H2は、本体部60aの上半部に内包されている。冷却源C2は、本体部60aを冷却する。冷却源C2の構成は、冷却源C1の構成と共通する。冷却源C2は、本体部60aの下半部に内包されている。本体部60aは、本発明における熱金型の一例である。
【0038】
下冷却ユニット61は、ワークWを冷却する。下冷却ユニット61は、熱処理位置と、熱処理位置から水平方向(本実施の形態では、+X方向)に離間した待機位置(待機エリアA2)と、の間で搬送可能である。下冷却ユニット61は、本体部61a、および複数の冷却源C3を備える。下冷却ユニット61は、本発明における熱ユニットの一例である。待機エリアA2は、本発明における熱ユニット待機エリアの一例である。
【0039】
本体部61aの構成は、本体部51aの構成と共通する。冷却源C3の構成は、冷却源C1の構成と共通する。冷却源C3は、本体部61aに内包されている。本体部61aは、本発明における熱金型の一例である。
【0040】
下熱ユニット搬送装置62は、下加熱ユニット60および下冷却ユニット61を熱処理位置とそれぞれの待機位置との間で搬送する。下熱ユニット搬送装置62は、例えば、公知の動力源(例えば、モータ:不図示)、動力伝達機構(例えば、ギア、ボールねじなど:不図示)、およびレール(不図示)を備える。
【0041】
搬送機構7は、上加圧ユニット1~4を搬送(移動)可能に支持する。搬送機構7は、複数(本実施の形態では、12個)のレールR1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11,R12、複数(本実施形態では、4個)のベースB1,B2,B3,B4(図4図5図8、および図9参照。以下同じ。)、および複数のローラRoを備える。
【0042】
レールR1~R12は、上加圧ユニット1~4が水平方向(X軸方向またはY軸方向)に搬送可能となるように、上加圧ユニット1~4を支持する。レールR1~R12の形状は、例えば、X軸方向またはY軸方向に沿う長尺状である。レールR1~R12の長手方向視において、レールR1~R12の形状は「L字」状である(図4図5図8、および図9参照)。レールR1~R12は、重量物である上加圧ユニット1~4を支持可能な強度を有する。レールR1~R12は、本発明におけるユニット支持部材の一例である。
【0043】
ベースB1~B4の形状は、上下方向視においてXY軸方向に沿う直方体状である。ベースB1は、待機エリアA2に配置されている。ベースB2は、上部空間に配置されている。ベースB3は、待機エリアA4に配置されている。ベースB4は、待機エリアA5に配置されている。ベースB1~B4は、筐体の天井に取り付けられている。
【0044】
レールR1~R8は、対応するベースB1~B4の下面に、突出部同士が対向するように取り付けられている。レールR1,R2はベースB1に対応していて、レールR3,R4はベースB2に対応していて、レールR5,R6はベースB3に対応していて、レールR7,R8はベースB4に対応している。
【0045】
レールR9~R12は、上ベース50の下面に、突出部同士が対向するように取り付けられている。すわなち、レールR9~R12は、上ベース50を介して、(間接的に)昇降装置52に取り付けられている。レールR9~R12は、本発明における個別ユニット支持部材の一例である。本実施の形態では、レールR9~R12は、上ベース50に対して着脱可能である。
【0046】
なお、本発明において、レールR9~R12は、昇降装置52に直接取り付けられていてもよい。
【0047】
レールR1,R2,R5,R6,R9,R10は、長手方向がX軸方向に沿うように配置されている。レールR3,R4,R7,R8,R11,R12は、長手方向がY軸方向に沿うように配置されている。
【0048】
ローラRoは、上加圧ユニット1,3のX軸方向側の側面、および、上加圧ユニット2,4のY軸方向側の側面、に回転可能に取り付けられている。レールR1~R12に載置されたローラRoが回転することにより、上加圧ユニット1~4は、レールR1~R12に沿って搬送される。
【0049】
制御装置8は、加圧システムS全体の動作を制御する。制御装置8は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ、および、制御プログラムなどの各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリ、を備える。制御装置8は、例えば、PC(Personal Computer)やPLC(Programmable Logic Controller)により実現される。
【0050】
載置板9は、ワークWが載置される部材である。載置板9は、例えば、グラファイト、または、高い熱伝導性を有する金属(例えば、銅合金)製である。載置板9の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形板状である。載置板9は、下加熱ユニット60または下冷却ユニット61の上に搬送される。
【0051】
ポンプPは、収容室Ra1~Ra4(後述)内を減圧する。ポンプPは、公知の真空ポンプである。ポンプPは、配管を介して、加圧エリアA1に搬送後の上加圧ユニット1~4の排気孔12a,22a,32a,42a(後述)に接続される。
【0052】
●上加圧ユニットの構成
次に、上加圧ユニット1~4の構成が、以下に説明される。以下の説明において、図1~3は、適宜参照される。
【0053】
●上加圧ユニット(1)の構成
図4は、上加圧ユニット1の模式断面図である。
同図は、上加圧ユニット1がX軸方向における中央部で切断された、YZ平面に沿う上加圧ユニット1の断面を示している。
【0054】
上加圧ユニット1は、ベース10、金型11、サイドユニット12、支持ユニット13、枠部材14、および加圧パッド15を備える。上加圧ユニット1は、待機エリアA2と加圧エリアA1との間で搬送可能に構成されている。
【0055】
ベース10は、金型11、サイドユニット12、および支持ユニット13を支持する。ベース10は、複数のボルト挿通孔10aを備える。ベース10の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う直方体状である。ボルト挿通孔10aは、ベース10を上下方向に貫通している貫通孔である。ボルト挿通孔10aは、ベース10の外縁部に等間隔で配置されている。
【0056】
金型11は、加圧パッド15を下方向に向けて加圧することにより、加圧パッド15を介して、ワークWを加圧する。金型11は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。金型11の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う直方体状である。金型11は、ベース10の下面に取り付けられている。
【0057】
なお、本発明において、金型11は、ベース10と一体に成型されていてもよい。
【0058】
サイドユニット12は、ワークWが加圧されるとき、載置板9およびベース10と共に、ワークWが収容される空間(以下「収容室Ra1」という。図13参照。以下同じ。)を形成する。サイドユニット12は、ベース10の下方向に配置されている。サイドユニット12は、第1サイド部材121、第2サイド部材122、3個のシール部材123,124,125、シリンダ126、および排気孔12aを備える。
【0059】
第1サイド部材121および第2サイド部材122の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形筒状である。第1サイド部材121は、ベース10の下面に取り付けられている。水平方向において、第1サイド部材121は、金型11および支持ユニット13を囲むように配置されている。第2サイド部材122は、シリンダ126を介して、ベース10に支持されている。水平方向において、第2サイド部材122は、第1サイド部材121を囲むように配置されている。排気孔12aは、第2サイド部材122を貫通している貫通孔である。
【0060】
シール部材123~125は、例えば、公知のO-リングである。シール部材123は、ベース10と第1サイド部材121との間に配置されている。シール部材124は、第1サイド部材121と第2サイド部材122との間に配置されている。シール部材125は、第2サイド部材122の下面に取り付けられている。
【0061】
シリンダ126は、ベース10と第2サイド部材122とに取り付けられていて、第2サイド部材122を昇降可能に支持している。シリンダ126は、例えば、公知のエアシリンダである。
【0062】
支持ユニット13は、ベース10の下方向に配置されている。支持ユニット13は、支持部材131および複数のばね部材132を備える。
【0063】
支持部材131は、枠部材14を支持する。支持部材131の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形枠状である。水平方向において、支持部材131は、金型11を囲むように、金型11の側方に配置されている。
【0064】
ばね部材132は、ベース10と支持部材131とに取り付けられていて、支持部材131を金型11に対して上下方向に相対移動可能に支持している。ばね部材132は、例えば、公知のコイルばねである。
【0065】
枠部材14は、加圧パッド15を保持する。枠部材14は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、ステンレス鋼)製である。上下方向視において、枠部材14の形状は、XY軸方向に沿う矩形枠状である。上下方向において、枠部材14は、金型11よりも下方向に位置している。枠部材14は、金型11に対して上下方向に相対移動可能に、支持ユニット13を介して、ベース10に支持されている。
【0066】
加圧パッド15は、ワークWが加圧されるとき、ワークWの表面の形状に追従するように変形して、ワークWを均等に加圧する。加圧パッド15は、枠部材14に保持されていて、金型11の下方向に配置されている。加圧パッド15は、弾性体15aおよび2枚の膜部材15b,15cを備える。
【0067】
弾性体15aは、ワークWが加圧されるとき、金型11からの圧力をワークWへ均等に伝達する。弾性体15aは、例えば、公知の高い流動性および低い反発弾性率を有する弾性体材料製(例えば、(株)ジェルテック製、高ダンピング熱伝導ゲルシート「αGEL(登録商標)」など)である。膜部材15b,15cの外縁部は、全周に亘って枠部材14に挟み込まれるように保持されている。弾性体15aは、弾性体15aの上下方向に配置されている膜部材15b,15cの間に充填されている。その結果、水平方向において、弾性体15aは、枠部材14に囲まれている。
【0068】
下方向視において、加圧パッド15のうち、枠部材14に保持されていない部分(中央部)は、枠部材14により、1個の矩形状の領域に区画されている。その領域の下面15pは、ワークWが加圧されるとき、全てのワークWに向けられて、全てのワークWを一括して加圧する1個のプレス面として機能する。すなわち、同下面15pは、本発明におけるプレス面として機能する。
【0069】
なお、本発明において、上加圧ユニット1は、加圧パッド15の下方向に、高い断熱性を有して、ワークWの表面の形状に追従して変形可能な断熱体を備えていてもよい。
【0070】
●上加圧ユニット(2)の構成
図5は、上加圧ユニット2の模式断面図である。
図6は、上加圧ユニット2の模式底面図である。
図5は、上加圧ユニット2がY軸方向における中央部で切断された、XZ平面に沿う上加圧ユニット2の断面を示している。
【0071】
上加圧ユニット2は、ベース20、金型21、サイドユニット22、支持ユニット23、複数(本実施の形態では9個)の個別保護板24、複数(本実施の形態では9個)の個別加圧パッド25、支持金型26、複数(本実施の形態では9個)の個別加圧部材27、複数(本実施の形態では9個)の付勢ユニット28、および移動規制部材29を備える。上加圧ユニット2は、待機エリアA3と加圧エリアA1との間で搬送可能に構成されている。
【0072】
ベース20は、複数のボルト挿通孔20aを備える。ベース20の構成はベース10の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0073】
金型21は、個別加圧部材27を下方向に向けて加圧することにより、個別加圧部材27を介して、ワークWを加圧する。金型21は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。金型21は、ベース20の下面に取り付けられている。金型21は、ベース部21a、および複数(本実施の形態では9個)の個別金型21bを備える。
【0074】
ベース部21aの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う直方体状である。ベース部21aの下面の一部は、下方向に向けて直方体状に突出していて、個別金型21bを形成している。すなわち、ベース部21aは、個別金型21bと一体に成型されている。
【0075】
個別金型21bは、対応する個別加圧部材27を下方向に向けて加圧して、対応するワークWを加圧する。個別金型21bの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う直方体状である。上下方向視において、個別金型21bは、XY方向に沿って均等(3行×3列)に配列されている。
【0076】
なお、本発明において、金型21は、ベース20と一体に成型されていてもよい。
【0077】
また、本発明において、金型21は、ベース部21aを備えていなくてもよい。この場合、例えば、個別金型21bは、ベース20の下面に取り付けられていてもよい。
【0078】
サイドユニット22は、第1サイド部材221、第2サイド部材222、3個のシール部材223,224,225、シリンダ226、および排気孔22aを備える。サイドユニット22の構成はサイドユニット12の機能および構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0079】
支持ユニット23は、支持金型26を支持する。支持ユニット23は、支持部材231および複数のばね部材232を備える。支持ユニット23の構成は支持ユニット13の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0080】
図7は、上加圧ユニット2の部分拡大模式断面図である。
同図は、上加圧ユニット2の図5のC部を示している。以下の説明において、図5および図6は、図7と共に適宜参照される。
【0081】
個別保護板24は、個別加圧パッド25を保護する。個別保護板24は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。個別保護板24の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形板状である。XY方向において、個別保護板24の長さは、対応する収容孔26a(後述。以下同じ。)の長さよりも僅かに小さい。個別保護板24は、対応する個別金型21bの下方向に配置されていて、対応する収容孔26aに収容されていて、対応する個別加圧パッド25の上に載置されている。
【0082】
個別加圧パッド25は、ワークWが加圧されるとき、対応する個別加圧部材27の支持金型26に対する相対移動量に応じて変形する。個別加圧パッド25は、弾性体25a、および2枚の膜25b,25cを備える。個別加圧パッド25は、対応する収容孔26aに収容されていて、対応する個別加圧部材27の上方向に、同個別加圧部材27に隣接して配置されている。すなわち、個別加圧パッド25は、対応する個別加圧部材27と、対応する個別金型21b(金型21)と、の間に配置されている。個別加圧パッド25は、本発明における加圧パッドの一例である。
【0083】
弾性体25aは、ワークWが加圧されるとき、対応する個別金型21bからの圧力を対応する個別加圧部材27に均等に伝達する。弾性体25aの材質は、弾性体15aの材質と同じである。弾性体25aは、例えば、弾性体25aの上下方向に配置されている膜25b,25cの間に充填されている。
【0084】
膜25b,25cは、対応する個別加圧部材27および個別保護板24の弾性体25aへの付着を防止する。また、膜25b,25cは、対応する収容孔26aと個別加圧部材27との間の隙間、および対応する収容孔26aと個別保護板24との間の隙間への弾性体25aの浸入を防ぐ。膜25b,25cの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形膜状である。XY方向において、膜25b,25cの長さは、対応する収容孔26aの長さと同じ、または、収容孔26aの長さよりも僅かに大きい。
【0085】
支持金型26は、個別加圧部材27を、支持金型26に対して上下方向に相対移動可能に支持する。支持金型26は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。支持金型26の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う直方体状である。支持金型26は、金型21および支持ユニット23の下方向に配置されている。支持金型26は、複数(本実施の形態では9個)の収容孔26aを備える。支持金型26は、支持部材231に支持されている。
【0086】
収容孔26aは、支持金型26を上下方向に貫通する貫通孔である。収容孔26aの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う2段角柱状である。収容孔26aは、内フランジ部26bを備える。収容孔26aの内周面の下端部は、全周に亘り、内方向に向けて突出していて、内フランジ部26bを形成している。内フランジ部26bの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形枠状である。
【0087】
個別加圧部材27は、対応するワークWを上方向から個別に加圧する。個別加圧部材27は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、炭素鋼)製である。個別加圧部材27は、本体部27a、外フランジ部27b、および下面27pを備える。個別加圧部材27それぞれは、対応する収容孔26aに収容されていて、同収容孔26a内を上下方向に移動(摺動)可能である。すなわち、個別加圧部材27は、支持金型26に対して、上下方向に相対移動可能である。
【0088】
本体部27aの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う直方体状である。XY方向において、本体部27aの長さは、内フランジ部26bにおける収容孔26aの長さよりも小さい。上下方向において、本体部27aの長さは、収容孔26aの長さよりも小さい。本体部27aの外周面の上端部は、全周に亘り、外方向に向けて突出していて、外フランジ部27bを形成している。外フランジ部27bの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形枠状である。XY方向において、外フランジ部27bの長さは、収容孔26aの長さよりも僅かに小さい。上下方向において、外フランジ部27bは、対応する内フランジ部26bに対向するように配置されている。
【0089】
下方向視において、各個別加圧部材27の下面27pは、支持金型26により、複数(本実施の形態では、9個)の矩形状の領域に区画されている。各下面27pは、複数のワークWが加圧されるとき、対応する1個のワークWに向けられて、同ワークWを加圧する1個の個別プレス面として機能する。すなわち、同下面27pは、本発明における個別プレス面として機能する。
【0090】
付勢ユニット28は、個別加圧部材27を上方向に向けて付勢する。付勢ユニット28は、例えば、複数の付勢部材(例えば、コイルばね)を備える。付勢ユニット28は、対応する収容孔26aに収容されていて、対応する内フランジ部26bと外フランジ部27bとの間に配置されている。
【0091】
移動規制部材29は、第1移動規制部材291および第2移動規制部材292を備える。
【0092】
第1移動規制部材291は、支持金型26の下方向への移動を規制すると共に、ワークWが加圧されるとき、上下方向において、載置板9に対する支持金型26の位置(高さ)を決定する。第1移動規制部材291は、例えば、公知の硬質断熱材料(例えば、数10MPa~100MPa以上の圧縮強度を有する断熱材料)製である。第1移動規制部材291の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形枠状である。第1移動規制部材291は、支持金型26の下面の外縁部に取付けられている。その結果、第1移動規制部材291は、載置板9に対向している。上下方向において、第1移動規制部材291の長さL29は、ワークWの長さLwよりも大きい。
【0093】
第2移動規制部材292は、付勢ユニット28による、個別加圧部材27、個別加圧パッド25、および個別保護板24の上方向への移動を規制する。第2移動規制部材292の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形板状である。第2移動規制部材292は、支持金型26の上面に取り付けられている。第2移動規制部材292は、複数(本実施の形態では9個)の挿通孔29aを備える。
【0094】
挿通孔29aは、第2移動規制部材292を上下方向に貫通する貫通孔である。挿通孔29aの形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形状である。上下方向視において、挿通孔29aは、対応する個別金型21bおよび収容孔26aと同じ位置に配置されている。上方向視において、第2移動規制部材292のうち、挿通孔29aの周囲の部分は、矩形枠状に、対応する収容孔26aの外縁部を覆っている。XY方向において、挿通孔29aの長さは、対応する個別金型21bの長さよりも大きく、対応する収容孔26aおよび個別保護板24の長さよりも小さい。
【0095】
ワークWが加圧されていないとき、収容孔26aにおいて、付勢ユニット28は、対応する個別加圧部材27、個別加圧パッド25、および個別保護板24を上方向に向けて付勢している。その結果、個別加圧部材27は、対応する収容孔26aに収容されていて、支持金型26から下方向には突出していない。また、個別保護板24は、第2移動規制部材292に当接していて、個別加圧部材27、個別加圧パッド25、および個別保護板24は、収容孔26aから上方向には突出していない。個別金型21bは、対応する収容孔26aおよび挿通孔29aよりも上方向に位置している。
【0096】
なお、本発明において、上加圧ユニット2は、個別保護板24を備えていなくてもよい。
【0097】
また、本発明において、上加圧ユニット2は、第2移動規制部材292を備えていなくてもよい。
【0098】
さらに、本発明において、第1移動規制部材291は、載置板9に取り付けられていてもよい。
【0099】
さらにまた、本発明において、第1移動規制部材291は、支持金型26と一体に成型されていてもよい。
【0100】
●上加圧ユニット(3)の構成
図8は、上加圧ユニット3の模式断面図である。
同図は、上加圧ユニット3がX方向における中央部で切断された、YZ平面に沿う上加圧ユニット3の断面を示している。
【0101】
上加圧ユニット3は、ベース30、金型31、およびサイドユニット32を備える。上加圧ユニット3は、待機エリアA4と加圧エリアA1との間で搬送可能に構成されている。
【0102】
ベース30は、複数のボルト挿通孔30aを備える。ベース30の構成はベース10の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0103】
金型31は、下面31pを備える。金型31の構成は金型11の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。ここで、下面31pは、ワークWが加圧されるとき、ワークWに向けられて、同ワークWを加圧するプレス面として機能する。すなわち、同下面31pは、本発明におけるプレス面として機能する。
【0104】
サイドユニット32は、第1サイド部材321、第2サイド部材322、3個のシール部材323,324,325、シリンダ326、および排気孔32aを備える。サイドユニット32の構成はサイドユニット12の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0105】
なお、本発明において、上加圧ユニット3は、ベース30と金型31との間に、下面31pからワークWへ加えられる圧力の分布を制御する部材を備えていてもよい。ここで、圧力の分布を制御する部材は、例えば、弾性体や、上下方向視において、XY平面に沿う断面の面積が、ワークWの被プレス面よりも小さい面積を有する括れ構造を有する板状の部材である。
【0106】
●上加圧ユニット(4)の構成
図9は、上加圧ユニット4の模式断面図である。
同図は、上加圧ユニット4がY軸方向における中央部で切断された、XZ平面に沿う上加圧ユニット4の断面を示している。
【0107】
上加圧ユニット4は、ベース40、金型41、サイドユニット42、支持ユニット43、枠部材44、加圧パッド45、支持金型46、複数(本実施の形態では9個)の個別加圧部材47、複数(本実施の形態では9個)の付勢ユニット48、および移動規制部材49を備える。上加圧ユニット4は、待機エリアA5と加圧エリアA1との間で搬送可能に構成されている。
【0108】
ベース40は、複数のボルト挿通孔40aを備える。ベース40の構成は、ベース10の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0109】
金型41の構成は金型11の構成と共通するめ、その詳細な説明は省略される。
【0110】
サイドユニット42は、第1サイド部材421、第2サイド部材422、3個のシール部材423,424,425、シリンダ426、および排気孔42aを備える。サイドユニット42の構成はサイドユニット12の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0111】
支持ユニット43は、支持部材431および複数のばね部材432を備える。支持ユニット43の構成は支持ユニット13の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0112】
枠部材44の構成は枠部材14の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0113】
加圧パッド45は、ワークWが加圧されるとき、個別加圧部材47の支持金型46に対する相対移動量に応じて変形する。加圧パッド45は、上方向視において支持金型46の凹部46c(後述)の全面を覆うように支持金型46の上方向に配置されていて、下方向視において金型41の全面を覆うように金型41の下方向に配置されている。すなわち、加圧パッド45は、金型41と個別加圧部材47との間に配置されている。加圧パッド45は、弾性体45aおよび2枚の膜部材45b,45cを備える。加圧パッド45の構成は加圧パッド15の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0114】
支持金型46は、個別加圧部材47を、支持金型46に対して上下方向に相対移動可能に支持する。支持金型46は、複数(本実施の形態では9個)の収容孔46a、内フランジ部46b、および凹部46cを備える。支持金型46の構成は、凹部46cを除き、支持金型26の構成と共通する。そのため、その詳細な説明は、省略される。支持金型46は、枠部材44および加圧パッド45の下方向に配置されている。支持金型26は、枠部材44に支持されている。換言すれば、支持金型26は、枠部材44を介して、(間接的に)支持部材431に支持されている。
【0115】
支持金型46の上面は、外縁部を除き、下方向に矩形板状に凹んでいて、凹部46cを形成している。XY方向において、凹部46cの長さ(幅)は、金型41の長さ(幅)と同じ、または、金型41の長さよりも僅かに小さい。
【0116】
個別加圧部材47は、本体部47a、外フランジ部47b、および下面47pを備える。個別加圧部材47それぞれは、対応する収容孔46aに収容されている。個別加圧部材47の構成は個別加圧部材27の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。ここで、下面47pは、複数のワークWが加圧されるとき、対応する1個のワークWに向けられて、同ワークWを加圧する1個の個別プレス面として機能する。すなわち、同下面47pは、本発明における個別プレス面として機能する。
【0117】
付勢ユニット48は、対応する収容孔46aに収容されている。付勢ユニット48の構成は付勢ユニット28の構成と共通するため、その詳細な説明は省略される。
【0118】
移動規制部材49は、支持金型46の下方向への移動を規制すると共に、ワークWが加圧されるとき、上下方向において、載置板9に対する支持金型46の位置(高さ)を決定する。移動規制部材49の形状は、上下方向視においてXY方向に沿う矩形格子状である。移動規制部材49は、支持金型46の下面のうち、収容孔46aが配置されていない部分に取り付けられている。上下方向において、移動規制部材49の長さは、ワークWの長さよりも大きい。
【0119】
ワークWが加圧されていないとき、個別加圧部材47は、個別加圧部材27と同様に、対応する収容孔46aに収容されていて、支持金型46から下方向には突出していない。
【0120】
●加圧システムの動作●
次に、加圧システムSの動作が、上加圧ユニット1~4を用いた第1動作~第4動作を例として、以下に説明される。以下の説明において、図1図3は、適宜参照される。
【0121】
●第1動作
「第1動作」は、上加圧ユニット1によりワークWが加圧される動作である。以下の説明において、第1動作は、ワークWが急加熱および急冷却される場合を一例として、説明される。以下の第1動作の説明において、図4は、適宜参照される。第1動作では、1個または複数のワークWが、載置板9に載置される。載置板9は、下冷却ユニット61に載置される。下冷却ユニット61の温度は、冷却源C3により所定の温度(例えば、約20℃)に維持されている。一方、上熱ユニット51では、加熱源H1および冷却源C1は動作しておらず、上熱ユニット51の温度は常温である。
【0122】
なお、本発明において、ワークWが急加熱および急冷却されるとき、初期状態の下冷却ユニット61では、冷却源C3は動作しておらず、下冷却ユニット61の温度は常温でもよい。
【0123】
図10は、第1動作において、上加圧ユニット1が加圧エリアA1に搬送された状態を示す、加圧システムSの模式平面図である。
図11は、図10の状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
図10は、説明の便宜上、加圧システムSの一部の構成のみを示している(図17図22図27も同じ)。図11は、図2のAA線における加圧システムSの断面を示している(図13図15図23図25も同じ)。
【0124】
先ず、上加圧ユニット1が、上熱ユニット51に取り付けられる。具体的には、上加圧ユニット1は、待機エリアA2から加圧エリアA1に搬送される。このとき、上加圧ユニット2~4は、対応する待機エリアA3~A5に配置されている。上加圧ユニット1は、例えば、上加圧ユニット1に当接するストッパ(不図示)などにより、加圧エリアA1の所定の位置に位置決めされる。次いで、上加圧ユニット1は、取付ボルトBoにより、上熱ユニット51に取り付けられる。次いで、ポンプPが、排気孔12aに接続される。
【0125】
なお、本発明において、搬送される上加圧ユニット1にレールR12が干渉するとき、レールR12は、取り外されてもよい。
【0126】
図12(a)は、上加圧ユニット1が上熱ユニット51に取り付けられる前の状態を示す、加圧システムSの部分拡大模式断面図であり、(b)は、上加圧ユニット1が上熱ユニット51に取り付けられた後の状態を示す、加圧システムSの部分拡大模式断面図である。
【0127】
同図(a)に示されるとおり、上加圧ユニット1が加圧エリアA1に搬送されたとき、上加圧ユニット1は、上熱ユニット51の下方向に、上熱ユニット51から離間して配置される。次いで、同図(b)に示されるとおり、上加圧ユニット1が取付ボルトBoにより上熱ユニット51に取り付けられたとき、ローラRo(上加圧ユニット1)はレールR9,R10から上方向へ離間している。ここで、取付ボルトBoは、ボルト挿通孔10aに挿通されていて、雌ねじ孔51cに嵌め込まれている。このとき、ベース10(上加圧ユニット1)は、上熱ユニット51を介して、(間接的に)昇降装置52に固定されている。
【0128】
次いで、上加圧ユニット1および載置板9により、チャンバユニットCU1が、組み立てられる(形成される)。
【0129】
図13は、チャンバユニットCU1が組み立てられた状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0130】
先ず、下熱ユニット搬送装置62は、下加熱ユニット60を熱処理位置(加圧エリアA1)から待機位置(待機エリアA4)に搬送して、下冷却ユニット61を待機位置(待機エリアA2)から熱処理位置に搬送する。このとき、上加圧ユニット1は、ワークWの上方向に配置されている。ここで、下加熱ユニット60の温度は、加熱源H2により、予め、所定の温度(例えば、約300℃)に維持されている。
【0131】
次いで、昇降装置52は、シール部材125が載置板9に当接するまで、上ベース50を下降させる。このとき、上加圧ユニット1と載置板9との間には収容室Ra1が形成されていて、ワークWは収容室Ra1に収容されている。
【0132】
次いで、制御装置8は、ポンプPを動作させて、収容室Ra1内を減圧する。その結果、載置板9が、真空圧により、第2サイド部材122に取り付けられる。このとき、加圧パッド15は、ワークWの表面の形状に応じて変形して、ワークWは載置板9および加圧パッド15に保持される。このように、載置板9が上加圧ユニット1に取り付けられることにより、チャンバユニットCU1が組み立てられて、ワークWがチャンバユニットCU1に収容される。
【0133】
次いで、ワークWが、急加熱されて、加圧される。
【0134】
図14は、ワークWが加圧された状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0135】
先ず、昇降装置52は、チャンバユニットCU1が下冷却ユニット61から離間するまで、上ベース50を上昇させる。次いで、下熱ユニット搬送装置62は、下加熱ユニット60を待機位置から熱処理位置に搬送して、下冷却ユニット61を熱処理位置から待機位置に搬送する。次いで、昇降装置52は、載置板9が下加熱ユニット60に当接するまで上ベース50を下降させる。このとき、ワークWは、下加熱ユニット60により所定の温度(例えば、約300℃)まで急加熱される。
【0136】
次いで、昇降装置52は、ワークWに規定の加圧力(例えば、10MPa~20MPa。以下「規定圧力」という。)が加えられるまで、上ベース50を下降させる。このとき、金型11は、枠部材14に対して相対的に下降する。そのため、金型11は、加圧パッド15を下方向へ向けて押圧して、加圧パッド15はワークWの表面の形状に追従するように変形して、ワークWを均等に加圧する。その結果、ワークWは、全方向(多方向)から均等に加圧される。ワークWの加圧は、ワークWの昇温途中、または、昇温後に、実行可能である。
【0137】
ここで、上ベース50が下降するとき、レールR9,R10は、上ベース50と共に下降する。前述のとおり、ローラRoは、レールR9,R10から離間している。そのため、ワークWが加圧されているとき、ローラRoはレールR9,R10を加圧せず、ローラRoおよびレールR9,R10に機械的な負荷は加えられない。
【0138】
次いで、所定時間の経過後、昇降装置52は、上ベース50を上昇させて、ワークWの加圧を終了する。次いで、ワークWは、冷却される。
【0139】
図15は、ワークWが冷却された状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0140】
先ず、昇降装置52は、チャンバユニットCU1が下加熱ユニット60から離間するまで、上ベース50を上昇させる。次いで、下熱ユニット搬送装置62は、下加熱ユニット60を熱処理位置から待機位置に搬送して、下冷却ユニット61を待機位置から熱処理位置に搬送する。次いで、昇降装置52は、載置板9が下冷却ユニット61に当接するまで上ベース50を下降させる。このとき、ワークWは、下冷却ユニット61により所定の温度(例えば、約50℃)まで急冷却される。
【0141】
次いで、制御装置8は、ポンプPを停止させて、収容室Ra1内を不活性ガスでパージする。次いで、昇降装置52は、上ベース50を上昇させる。このとき、ワークWは、チャンバユニットCU1から取り出される。次いで、取付ボルトBoが取り外されて、上加圧ユニット1は上熱ユニット51から取り外される。次いで、上加圧ユニット1は、加圧エリアA1から待機エリアA2に搬送される。
【0142】
図16は、ワークWの急加熱および急冷却の温度プロファイルの一例を示す、グラフである。
【0143】
前述のとおり、下加熱ユニット60および下冷却ユニット61が待機位置と熱処理位置との間で搬送されて、チャンバユニットCU1が昇降する。その結果、同図に示されるとおり、ワークWは、常温から約300℃まで約3分で急加熱されて、約300℃から約100℃以下まで約1分で急冷却される。すなわち、加圧システムSでは、下加熱ユニット60および下冷却ユニット61が用いられると共に、チャンバユニットCU1が形成されることにより、ワークWの急加熱および急冷却が実行可能である。
【0144】
このように、上加圧ユニット1を用いた加圧処理では、上加圧ユニット1は、加圧エリアA1において、ワークWに対して相対移動して、ワークWに加圧処理を実行する。その結果、ワークWは、ワークWの表面の形状に追従して変形する加圧パッド15により、全方向(多方向)から均等に加圧される。また、同加圧処理では、複数のワークWが、1個のプレス面(下面15p)で一括して加圧される。すなわち、同加圧処理における加圧方式は、疑似等方圧方式と一括加圧方式とが組み合わされた方式である。
【0145】
●第2動作
「第2動作」は、上加圧ユニット2によりワークWが加圧される動作である。以下の説明において、第2動作は、ワークWが定温加熱される場合を一例として、第1動作と異なる点を中心に説明される。以下の第2動作の説明において、図4図7は、適宜参照される。第2動作では、複数(本実施の形態では、9個)のワークWが、載置板9に載置される。
【0146】
なお、本発明において、第2動作で加圧されるワークWの数は、上加圧ユニット2が備える個別プレス面の数以下であればよく、9個(個別プレス面の数と同じ数)に限定されない。
【0147】
図17は、第2動作において、上加圧ユニット2が加圧エリアA1に搬送された状態を示す、加圧システムSの模式平面図である。
図18は、図17の状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
図18は、加圧システムSの図2のBB線における断面を示している(図19図20図28図30も同じ)。
【0148】
先ず、第1動作と同様に、上加圧ユニット2が、加圧エリアA1に搬送されて、上熱ユニット51に取り付けられる。このとき、上加圧ユニット1,3,4は、対応する待機エリアA2,A4,A5に配置されている。取付ボルトBoは、ボルト挿通孔20aに挿通されていて、雌ねじ孔51cに嵌め込まれている。このとき、上熱ユニット51は、加熱源H1により、予め、所定の温度(例えば、約180℃)に維持されている。次いで、ワークWが載置された載置板9が、下加熱ユニット60に載置される。このとき、下加熱ユニット60の温度は、加熱源H2により、予め、所定の温度(例えば、約180℃)に維持されている。そのため、ワークWは、所定の温度まで急加熱される。
【0149】
なお、本発明において、使用者の安全上の観点から、上熱ユニット51は、上加圧ユニット2が取り付けられた後に、所定の温度まで加熱されてもよい。
【0150】
次いで、第1動作と同様に、上加圧ユニット2および載置板9により、チャンバユニットCU2が、組み立てられる。
【0151】
次いで、昇降装置52は、第1移動規制部材291が載置板9に当接するまで、上ベース50を下降させる。
【0152】
図19は、第1移動規制部材291が載置板9に当接した状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0153】
第1移動規制部材291が載置板9に当接したとき、第1移動規制部材291は、支持金型26と載置板9との間で挟まれている。このとき、第1移動規制部材291には、支持金型26から下方向に向かう圧力が、加えられる。また、第1移動規制部材291と載置板9との間には、同圧力に起因して、載置板9に対する支持金型26の水平方向の移動を阻止する摩擦力が、生じている。その結果、載置板9に対する支持金型26の水平方向への滑りは、生じない。さらに、上下方向において、載置板9(ワークW)に対する支持金型26の位置は、固定される。この状態では、支持金型26および個別加圧部材27(下面27p)は、ワークWに接触しない。したがって、これらのワークWへの接触に起因する不具合(ワークWの移動や、意図されないワークWの加圧など)は、生じない。
【0154】
次いで、ワークWが、加圧される。
【0155】
図20は、ワークWが加圧された状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0156】
次いで、昇降装置52は、個別加圧部材27それぞれが対応するワークWに当接するまで、上ベース50を下降させる。このとき、個別金型21bは、対応する挿通孔29aに挿通されて、対応する個別保護板24に当接する。また、支持部材231および支持金型26は、金型21に対して上方向に相対移動する。次いで、個別金型21bは、対応する個別保護板24を下方向に向けて押し込む。このとき、個別金型21b、個別加圧部材27、個別加圧パッド25、および個別保護板24は、付勢ユニット28の付勢力に抗して、収容孔26a内を下降(摺動)する。すなわち、個別金型21b、個別加圧部材27、個別加圧パッド25、および個別保護板24は、支持金型26に対して下方向に相対移動する。その結果、個別加圧部材27は、対応するワークWに向けて、収容孔26aから突出して、対応するワークWの加圧が必要な部分(上端部)に当接する。
【0157】
次いで、昇降装置52は、ワークWに対して規定圧力(例えば、10MPa~30MPa)が加えられるまで、上ベース50を下降させる。
【0158】
この状態では、個別加圧パッド25は、対応する個別加圧部材27の相対移動量に応じて変形している。その結果、対応する個別金型21bからの規定圧力は、対応する個別加圧部材27に均等に伝達される。前述のとおり、弾性体25aは、2枚の膜25b,25cにより挟まれている。そのため、弾性体25aは、収容孔26aと、個別加圧部材27および個別保護板24と、の間の隙間へ浸入しない。また、弾性体25aは、対応する個別加圧部材27の相対移動量の差異を吸収する。前述のとおり、弾性体25aは、ゲルシート製であるため、数百μオーダーの差異も吸収可能である。そのため、個別金型21bからの規定圧力は、全てのワークWに対して、均等に伝達される。
【0159】
前述のとおり、個別加圧部材27は、対応するワークWの上端部のみに当接していて、上端部のみを下方向(1軸方向)に向けて加圧している。そのため、仮に、ワークWの一部が水平方向に突出していても、同部分は加圧されず、同部分の割れや欠けなどの不具合は生じない。このように、加圧システムSは、上加圧ユニット2を用いて、複数のワークWそれぞれの加圧が必要な部位のみを、一括に加圧できる。
【0160】
ワークWが加圧されているとき、付勢ユニット28を構成している各コイルばねは、完全には圧縮されていない。そのため、個別加圧部材27に伝達される規定圧力は、ワークWに伝達されて、支持金型26に伝達されない。また、前述のとおり、ワークWが加圧されるとき、支持部材231および支持金型26は、金型31に対して上方向に相対移動している。そのため、金型31からの規定圧力は、個別加圧部材27に集中的に伝達されて、支持金型26には伝達されない。そのため、上加圧ユニット2では、後述される上加圧ユニット4と比較して、ワークWを加圧するために必要な昇降装置52からの圧力は、低減される(例えば、1/4程度)。また、支持金型26に要求される耐圧力は、支持金型26の上面が加圧される場合と比較して、小さくなる。したがって、支持金型26の厚さは縮小できて、支持金型26の重量は低減できる。
【0161】
次いで、所定時間の経過後、昇降装置52は、上ベース50を上昇させて、ワークWの加圧を終了する。次いで、制御装置8は、収容室Ra2内を不活性ガスでパージする。次いで、昇降装置52は、上ベース50を上昇させる。次いで、取付ボルトBoが取り外されて、上加圧ユニット2は上熱ユニット51から取り外される。次いで、上加圧ユニット2は、加圧エリアA1から待機エリアA3に搬送される。
【0162】
図21は、ワークWの定温加熱の温度プロファイルの一例を示す、グラフである。
【0163】
前述のとおり、ワークWが加圧される前に、ワークWは、予め、所定の温度に加熱されている上熱ユニット51および下加熱ユニット60により加熱される。その結果、ワークWの温度は、加圧前から所定の温度に維持される。また、冷却源C1,C2を用いたワークWの強制的な冷却は、実行されない。そのため、加圧後のワークWの温度は低下し難くなり、ワークWの加圧処理に必要な時間は短縮される。すなわち、加圧システムSでは、予め、加熱された上熱ユニット51および下加熱ユニット60が用いられると共に、ワークWの強制的な冷却が実行されないことにより、ワークWの定温加圧が実行可能である。
【0164】
このように、上加圧ユニット2を用いた加圧処理では、上加圧ユニット2は、加圧エリアA1において、ワークWに対して相対移動して、ワークWに加圧処理を実行する。その結果、ワークWは、金属製の個別加圧部材27により、上下方向(1軸方向)から加圧される。また、同加圧処理では、複数のワークWそれぞれは、対応する個別プレス面(下面27p)それぞれで(一括して)加圧される。すなわち、同加圧処理における加圧方式は、1軸加圧方式と個別加圧方式とが組み合わされた方式である。
【0165】
なお、本発明において、ワークWが定温加熱されるとき、上熱ユニット51は、加熱されていなくてもよい。
【0166】
また、本発明において、ワークWが定温加熱されるとき、下加熱ユニット60は、例えば、複数のばねにより、載置板9をフローティング支持していてもよい。この場合、本体部60aは、例えば、ばねが配置される複数の穴を備えていてもよい。この構成では、チャンバユニットCU2が組み立てられたとき、載置板9が上加圧ユニット2により下方向に押されて下加熱ユニット60に当接することにより、ワークWは急加熱される。
【0167】
●第3動作
「第3動作」は、上加圧ユニット3によりワークWが加圧される動作である。以下の説明において、第3動作は、ワークWが緩慢に加熱および緩慢に冷却される場合を一例として、第1動作および第2動作と異なる点を中心に説明される。以下の第3動作の説明において、図8は、適宜参照される。第3動作では、1個のワークWが、載置板9に載置される。ワークWが緩慢に加熱および緩慢に冷却されるとき、載置板9は下加熱ユニット60に載置される。上熱ユニット51および下加熱ユニット60では、加熱源H1,H2および冷却源C1,C2は動作しておらず、上熱ユニット51および下加熱ユニット60の温度は常温である。
【0168】
なお、本発明において、ワークWの厚みが同じであれば、第3動作で加圧されるワークWの数は、複数でもよい。
【0169】
図22は、第3動作において、上加圧ユニット3が加圧エリアA1に搬送された状態を示す、加圧システムSの模式平面図である。
図23は、図22の状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0170】
先ず、第1動作と同様に、上加圧ユニット3が、加圧エリアA1に搬送されて、上熱ユニット51に取り付けられる。このとき、上加圧ユニット1,2,4は、対応する待機エリアA2,A3,A5に配置されている。取付ボルトBoは、ボルト挿通孔30aに挿通されていて、雌ねじ孔51cに嵌め込まれている。次いで、ワークWが載置された載置板9が、下加熱ユニット60に載置される。このとき、ワークWの温度は、常温である。
【0171】
次いで、第1動作と同様に、上加圧ユニット3および載置板9により、チャンバユニットCU3(図24参照)が、組み立てられる。
【0172】
図24は、チャンバユニットCU3が組み立てられた状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0173】
チャンバユニットCU3が組み立てられたとき、ワークWはチャンバユニットCU3(収容室Ra3)に収容されている。このとき、金型31は、ワークWを加圧しない程度(規定圧力よりも十分に小さい圧力)に、ワークWに接触している。
【0174】
次いで、制御装置8は、加熱源H1,H2の動作を制御して、上熱ユニット51および下加熱ユニット60を予備加熱温度(例えば、約150℃)まで加熱する。その結果、ワークWは、上熱ユニット51および下加熱ユニット60と共に、予備加熱温度まで緩慢に加熱される。次いで、所定時間の経過後、制御装置8は、加熱源H1,H2の動作を制御して、上熱ユニット51および下加熱ユニット60を本加熱温度(例えば、約300℃)まで加熱する。その結果、ワークWは、上熱ユニット51および下加熱ユニット60と共に、本加熱温度まで緩慢に加熱される。
【0175】
次いで、昇降装置52は、ワークWに規定圧力(例えば、20MPa~30MPa。)が加えられるまで、上ベース50を下降させる。このとき、金型31は、ワークWを下方向へ向けて均等に押圧する。
【0176】
次いで、所定時間の経過後、昇降装置52は、上ベース50を上昇させて、ワークWの加圧を終了する。次いで、制御装置8は、加熱源H1,H2の動作を停止して、冷却源C1,C2の動作を開始して、上熱ユニット51および下加熱ユニット60を冷却する。
【0177】
図25は、ワークWが冷却された状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0178】
本体部51a,61aの熱容量は、大きい。そのため、上熱ユニット51および下加熱ユニット60は、緩慢に冷却される。その結果、ワークWは、上熱ユニット51および下加熱ユニット60と共に、取り出し可能な温度まで緩慢に冷却される。
【0179】
次いで、制御装置8は、収容室Ra3内を不活性ガスでパージする。次いで、昇降装置52は、上加圧ユニット3を上昇させる。次いで、取付ボルトBoが取り外されて、上加圧ユニット3は上熱ユニット51から取り外される。次いで、上加圧ユニット3は、加圧エリアA1から待機エリアA4に搬送される。
【0180】
図26は、ワークWの緩慢な加熱および緩慢な冷却の温度プロファイルの一例を示す、グラフである。
【0181】
前述のとおり、ワークWは、上熱ユニット51および下加熱ユニット60と共に緩慢に加熱されて、上熱ユニット51および下加熱ユニット60と共に緩慢に冷却される。すなわち、加圧システムSでは、ワークWが上熱ユニット51および下加熱ユニット60と共に加熱および冷却されることにより、ワークWの緩慢な加熱および緩慢な冷却が実行可能である。
【0182】
このように、上加圧ユニット3を用いた加圧処理では、上加圧ユニット3は、加圧エリアA1において、ワークWに対して相対移動して、ワークWに加圧処理を実行する。その結果、ワークWは、金属製のプレス面(下面31p)により、上下方向(1軸方向)から均等に加圧される。また、同加圧処理では、複数のワークWが1個のプレス面(下面31p)で一括して加圧可能である。すなわち、同加圧処理における加圧方式は、1軸加圧方式と一括加圧方式とが組み合わされた方式である。
【0183】
●第4動作
「第4動作」は、上加圧ユニット4によりワークWが加圧される動作である。以下の説明において、第4動作は、ワークWが加熱および冷却されない場合を一例として、第1動作~第3動作と異なる点を中心に説明される。以下に説明される第4動作において、図9は、適宜参照される。第4動作では、複数(本実施の形態では、9個)のワークWが、載置板9に載置される。上熱ユニット51および下加熱ユニット60では、加熱源H1,H2および冷却源C1,C2は動作しておらず、上熱ユニット51および下加熱ユニット60の温度は常温である。
【0184】
図27は、第4動作において、上加圧ユニット4が加圧エリアA1に搬送された状態を示す、加圧システムSの模式平面図である。
図28は、図27の状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0185】
先ず、第1動作と同様に、上加圧ユニット4が、加圧エリアA1に搬送されて、上熱ユニット51に取り付けられる。このとき、上加圧ユニット1~3は、対応する待機エリアA2~A4に配置されている。取付ボルトBoは、ボルト挿通孔40aに挿通されていて、雌ねじ孔51cに嵌め込まれている。次いで、ワークWが載置された載置板9が、下加熱ユニット60に載置される。このとき、ワークWの温度は、常温である。
【0186】
次いで、第1動作と同様に、上加圧ユニット4および載置板9により、チャンバユニットCU4(図29参照)が、組み立てられる。次いで、第2動作と同様に、上ベース50が、移動規制部材49が載置板9に当接するまで下降する。
【0187】
図29は、移動規制部材49が載置板9に当接した状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0188】
移動規制部材49が載置板9に当接したとき、第2動作と同様に、載置板9に対する支持金型46の水平方向への滑りは、生じない。さらに、上下方向において、載置板9(ワークW)に対する支持金型46の位置は、固定される。この状態では、支持金型46および個別加圧部材47(下面47p)は、ワークWに接触しない。したがって、これらのワークWへの接触に起因する不具合は、生じない。
【0189】
次いで、ワークWが、加圧される。
【0190】
図30は、ワークWが加圧された状態を示す、加圧システムSの模式断面図である。
【0191】
昇降装置52は、個別加圧部材47それぞれが対応するワークWに当接するまで、上ベース50を下降させる。このとき、金型41は、加圧パッド45を下方向に向けて加圧しながら、枠部材44の内部空間に進入する。また、支持部材431および枠部材44は、金型41の下降に応じて、金型41に対して上方向に相対移動する。その結果、加圧パッド45は、凹部46cおよび収容孔46aの形状に追従して変形しながら凹部46cおよび収容孔46a内に進入して、個別加圧部材47を下方向に向けて押し込む。このとき、個別加圧部材47は、第2動作と同様に、支持金型46に対して下方向に相対移動する。その結果、個別加圧部材47は、対応するワークWに向けて、収容孔46aから突出して、対応するワークWの加圧が必要な部分(上端部)に当接する。
【0192】
次いで、昇降装置52は、個別加圧部材47それぞれにより対応するワークWに対して規定圧力(例えば、10MPa~30MPa)が加えられるまで、上ベース50を下降させる。
【0193】
この状態では、加圧パッド45は、対応する個別加圧部材47の相対移動量に応じて変形している。その結果、金型41からの規定圧力は、各個別加圧部材47に均等に伝達される。また、第2動作と同様に、弾性体45aは、各個別加圧部材47の相対移動量の差異を吸収する。そのため、金型41からの規定圧力は、全てのワークWに対して、均等に伝達される。
【0194】
前述のとおり、個別加圧部材47は、対応するワークWの上端部のみに当接していて、上端部のみを下方向(1軸方向)に向けて加圧している。そのため、加圧システムSは、支持金型46に対して相対移動する個別加圧部材47を用いて、複数のワークWそれぞれの加圧が必要な部位のみを、一括に加圧できる。
【0195】
前述のとおり、加圧パッド45は、支持金型46の上方向に配置されている。そのため、支持金型46は、弾性体45aを介して、金型41から規定加圧力で加圧される。移動規制部材49は、支持金型46の下面と、載置板9と、の間に、格子状に配置されていて、規定加圧力で加圧される支持金型46を支持している。そのため、支持金型46は、規定加圧力が加えられても変形しない。
【0196】
次いで、所定時間の経過後、昇降装置52は、上ベース50を上昇させて、ワークWの加圧を終了する。次いで、制御装置8は、収容室Ra4内を不活性ガスでパージする。次いで、昇降装置52は、上加圧ユニット4を上昇させる。次いで、取付ボルトBoが取り外されて、上加圧ユニット4は上熱ユニット51から取り外される。次いで、上加圧ユニット4は、加圧エリアA1から待機エリアA5に搬送される。
【0197】
このように、上加圧ユニット4を用いた加圧処理では、上加圧ユニット4は、加圧エリアA1において、ワークWに対して相対移動して、ワークWに加圧処理を実行する。その結果、ワークWは、金属製のプレス面(下面47p)により、上下方向(1軸方向)から均等に加圧される。また、同加圧処理では、複数のワークWそれぞれが対応する個別プレス面(下面47p)それぞれで(一括して)加圧可能である。すなわち、同加圧処理における加圧方式は、1軸加圧方式と個別加圧方式とが組み合わされた方式である。
【0198】
●まとめ
以上説明された実施の形態によれば、加圧システムSは、上加圧ユニット1~4、加圧エリアA1、待機エリアA2~A5、およびレールR1~R12を有してなる。上下方向視において、待機エリアA2~A5は、加圧エリアA1の側方に、加圧エリアA1に隣接して配置されている。ワークWが加圧されるとき、上加圧ユニット1~4のうち、1個の上加圧ユニット1は、加圧エリアA1に配置されていて、ワークWに対して上下方向に相対移動可能である。残りの上加圧ユニット2~4は、対応する待機エリアA3~A5に配置されている。上加圧ユニット1~4それぞれは、ワークWに対して異なる加圧方式で、加圧処理を実行可能に構成されている。この構成によれば、使用者は、加圧エリアA1に搬送される上加圧ユニット1~4を選択することにより、ワークWに合わせて、適切な加圧方式を選択できる。また、選択された上加圧ユニット1~4のみが1個の加圧エリアA1に搬送されて、ワークWは加圧エリアA1に配置されている加圧装置5のみで加圧される。すなわち、加圧システムSは、単一の加圧装置5のみで、複数種の加圧方式によりワークWを加圧できる。したがって、加圧システムSは、複数の加圧方式を選択可能であるにも関わらず、複数の加圧装置を備える加圧システムと比較して、小型化および軽量化される。
【0199】
また、以上説明された実施の形態によれば、加圧方式は、ワークWに対して、多方向から加圧する疑似等方圧方式、および、ワークWに対して、上下方向のみから加圧する1軸加圧方式、を含む。この構成によれば、使用者は、ワークWに応じて、疑似等方圧方式と1軸加圧方式とのうち、いずれか一方を選択できる。
【0200】
さらに、以上説明された実施の形態によれば、加圧方式は、複数のワークWに対して、1個の下面15p,31pで一括に加圧する一括加圧方式、および、複数のワークWそれぞれに対して、区画された複数の下面27p,47pそれぞれで個別に加圧する個別加圧方式、を含む。この構成によれば、使用者は、ワークWに応じて、一括加圧方式と個別加圧方式とのうち、いずれか一方を選択できる。
【0201】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、疑似等方圧方式でワークWを加圧する上加圧ユニット1は、金型11、枠部材14、および加圧パッド15を備える。金型11は、ワークWが加圧されるとき、加圧パッド15をワークWに向けて加圧する。枠部材14は、加圧パッド15を保持する。加圧パッド15は、ワークWが加圧されるとき、ワークWの表面の形状に追従して変形する弾性体15aを備える。この構成によれば、上加圧ユニット1は、疑似等方圧方式による加圧処理を実行するために必要な構成を備えている。したがって、使用者は、上加圧ユニット1を選択して、上加圧ユニット1を加圧エリアA1に搬送することにより、容易に疑似等方圧方式を選択できる。
【0202】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、1軸加圧方式でワークWを加圧する上加圧ユニット2~4は、金属製で平面状の下面27p,31p,47pを備える。下面27p,31p,47pは、ワークWが加圧されるとき、ワークWに向けられる。この構成によれば、使用者は、上加圧ユニット2~4を選択して、これらを加圧エリアA1に搬送することにより、容易に1軸加圧方式を選択できる。また、使用者は、加圧後のワークWの上面Waの平坦性を確保しながら、同じ厚さの複数のワークW、または、異なる厚さの複数のワークWに対して、一括で加圧できる。
【0203】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、個別加圧方式でワークWを加圧する上加圧ユニット4は、金型41、枠部材44、加圧パッド45、支持金型46、および個別加圧部材47を備える。金型41は、個別加圧部材47をワークWに向けて加圧する。枠部材44は、加圧パッド45を保持する。枠部材44は、上下方向視において金型41の側方に配置されていて、金型41に対して上下方向に相対移動可能である。加圧パッド45は、金型41と個別加圧部材47との間に配置されていて、下方向視において、金型41の全面を覆う。加圧パッド45は、個別加圧部材47それぞれの支持金型46に対する相対移動量に応じて変形する。支持金型46は、個別加圧部材47を支持していて、枠部材44および加圧パッド45の下方向に配置されていて、枠部材44に支持されている。個別加圧部材47は、複数のワークWそれぞれを個別に加圧可能であり、下面47pを備える。個別加圧部材47は、支持金型46に対して上下方向に相対移動可能である。ワークWが加圧されるとき、個別加圧部材47は、対応するワークWに向けて支持金型46から突出する。この構成によれば、上加圧ユニット4は、1軸加圧方式と個別加圧方式とが組み合わされた方式による加圧処理を実行するために必要な構成を備えている。したがって、使用者は、上加圧ユニット4を選択して、上加圧ユニット4を加圧エリアA1に搬送することにより、容易に1軸加圧方式と個別加圧方式とが組み合わされた方式を選択できる。
【0204】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、個別加圧方式でワークWを加圧する上加圧ユニット2は、金型21、支持部材231、支持金型26、個別加圧部材27、および個別加圧パッド25を備える。金型21は、個別加圧部材27をワークWに向けて加圧する。支持部材231は、上下方向視において金型21の側方に配置されていて、支持金型26を支持している。支持金型26は、個別加圧部材27を支持している。個別加圧部材27は、複数のワークWそれぞれを個別に加圧可能であり、下面27pを備える。個別加圧部材27は、支持金型26に対して上下方向に相対移動可能である。ワークWが加圧されるとき、個別加圧部材27は、対応するワークWに向けて支持金型26から突出する。個別加圧パッド25は、金型21と個別加圧部材27との間に配置されていて、個別加圧部材27それぞれの支持金型26に対する相対移動量に応じて変形する。この構成によれば、上加圧ユニット2は、1軸加圧方式と個別加圧方式とが組み合わされた方式による加圧処理を実行するために必要な構成を備えている。したがって、使用者は、上加圧ユニット2を選択して、上加圧ユニット2を加圧エリアA1に搬送することにより、容易に1軸加圧方式と個別加圧方式とが組み合わされた方式を選択できる。
【0205】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、加圧システムSは、上熱ユニット51、下加熱ユニット60、および下冷却ユニット61を有してなる。上熱ユニット51および下加熱ユニット60は、ワークWを加熱および冷却可能である。下冷却ユニット61は、ワークWを冷却可能である。上熱ユニット51、下加熱ユニット60、および下冷却ユニット61は、本体部51a,60a,61a、加熱源H1,H2、および冷却源C1~C3を備える。加熱源H1,H2は、本体部51a,60aに内包されていて、本体部51a,60aを加熱する。冷却源C1~C3は、本体部51a,60a,61aに内包されていて、本体部51a,60a,61aを冷却する。この構成によれば、使用者は、これらの熱ユニットおよびその動作を組み合わせることにより、異なる加熱方式および冷却方式を加圧方式に組み合わせ可能である。
【0206】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、加圧システムSは、待機エリアA2,A4、昇降装置52、下熱ユニット搬送装置62、および載置板9を有してなる。上下方向視において、待機エリアA2,A4は、上下方向視において、加圧エリアA1の側方に配置されている。昇降装置52は、加圧エリアA1に搬送された上加圧ユニット1~4を昇降させる。下熱ユニット搬送装置62は、下加熱ユニット60および下冷却ユニット61を待機エリアA2,A4と加圧エリアA1との間で往復搬送する。上加圧ユニット1~4は、加圧エリアA1において、載置板9と共にチャンバユニットCU1~CU4を形成する。昇降装置52は、下加熱ユニット60および下冷却ユニット61が搬送されるとき、チャンバユニットCU1~CU4を上昇させる。昇降装置52は、下加熱ユニット60または下冷却ユニット61が加圧エリアA1に搬送されたとき、チャンバユニットCU1~CU4を下降させて、チャンバユニットCU1~CU4を加圧エリアA1に搬送された下加熱ユニット60または下冷却ユニット61に当接させる。この構成によれば、使用者は、ワークWの急加熱および/または急冷却を加圧方式に組み合わせできる。
【0207】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、加圧システムSは、昇降装置52を有してなる。昇降装置52は、加圧エリアA1に配置されていて、加圧エリアA1に搬送された上加圧ユニット1~4を昇降させる。レールR1~R12は、レールR9~R12を備える。レールR9~R12は、加圧エリアA1に配置されていて、上ベース50を介して、(間接的に)昇降装置52に取り付けられている。上加圧ユニット1~4それぞれは、ベース10,20,30,40、金型11,21,31,41、および下面15p,27p,31p,47p、を備える。ベース10,20,30,40は、金型11,21,31,41を支持している。金型11,21,31,41は、下面15p,27p,31p,47pをワークWに向けて加圧する。下面15p,27p,31p,47pは、ワークWに向けられる。上加圧ユニット1~4が加圧エリアA1に位置しているとき、上加圧ユニット1~4は、ワークWの上方向に配置されている。ベース10,20,30,40は、上ベース50および上熱ユニット51を介して、昇降装置52に固定されている。上加圧ユニット1~4は、レールR9~R12から上方向に離間している。この構成によれば、ワークWが加圧されているとき、ベース10,20,30,40が下降してもローラRoはレールR9~R12を加圧せず、ローラRoおよびレールR9~R12に機械的な負荷は加えられない。
【0208】
●変形例●
次に、加圧システムの変形例が、以上説明された実施の形態(以下「第1実施形態」という。)とは異なる部分を中心に、以下に説明される。以下の変形例の説明において、第1実施形態と同じ要素、および、共通する機能を有する要素には、説明の便宜上、第1実施形態と同一の符号が付されていて、その説明は省略される。以下の説明において、図1図9は、適宜参照される。
【0209】
●第1変形例
図31は、加圧システムの第1変形例における上加圧ユニットの模式断面図である。
同図は、上加圧ユニット1AがX軸方向における中央部で切断された、YZ平面に沿う上加圧ユニット1Aの断面を示している。
【0210】
第1変形例における上加圧ユニット1Aは、上加圧ユニット1Aが金型11、枠部材14、および加圧パッド15に代えて金型16、枠部材17、および加圧パッド18を備える点において、上加圧ユニット1と異なる。上加圧ユニット1Aは、ベース10、サイドユニット12、支持ユニット13、金型16、枠部材17、および加圧パッド18を備える。上加圧ユニット1は、例えば、待機エリアA2と加圧エリアA1との間で搬送可能である。
【0211】
金型16は、加圧パッド18を下方向に向けて加圧することにより、加圧パッド18を介して、ワークWを加圧する。金型16は、本体部16aおよび複数の個別金型16bを備える。金型16の構成は、金型21の構成と共通する。そのため、金型16の詳細な説明は、省略される。
【0212】
枠部材17は、加圧パッド18を保持する。枠部材17は、例えば、高い剛性を有する金属(例えば、ステンレス鋼)製である。上下方向視において、枠部材17の形状は、XY軸方向に沿う矩形格子状である。下方向視において、枠部材17は、複数(本実施の形態では9個)の窓部17aを備える。窓部17aは、枠部材17を上下方向に貫通する矩形状の貫通孔である。上下方向において、枠部材17は、金型16よりも下方向に位置している。枠部材17は、支持ユニット13を介して、金型16に対して上下方向に相対移動可能に、ベース10に支持されている。
【0213】
加圧パッド18は、ワークWが加圧されるとき、ワークWの表面の形状に追従するように変形して、ワークWを均等に加圧する。加圧パッド18は、枠部材17に保持されていて、金型16の下方向に配置されている。加圧パッド18は、弾性体18aおよび膜部材18b,18cを備える。
【0214】
弾性体18aは、ワークWが加圧されるとき、金型16からの圧力をワークWへ均等に伝達する。弾性体18aの材質は、弾性体15aの材質と同じである。膜部材18b,18cは、枠部材17に挟み込まれるように保持されている。弾性体18aは、各窓部17aにおいて、弾性体18aの上下に配置されている2枚の膜部材18b,18cの間に充填されている。
【0215】
下方向視において、加圧パッド18は、枠部材17により、複数(本実施の形態では、9個)の矩形状の領域18dに区画されている。同領域18dは、本発明における個別加圧パッドの一例である。同領域18dの下面18pは、対応する1個のワークWに向けられて、同ワークWを加圧する1個の個別プレス面として機能する。すなわち、同下面18pは、本発明における個別プレス面として機能する。
【0216】
図32は、上加圧ユニット1AによりワークWが加圧された状態を示す、加圧システムSAの模式断面図である。
【0217】
ワークWが加圧されるとき、金型16は、加圧パッド18を下方向へ向けて押圧する。このとき、個別金型16bそれぞれは、加圧パッド18のうち、対応する部分(対応する窓部17aに配置されている部分)を下方向へ向けて押圧する。その結果、加圧パッド18はワークWの表面の形状に追従するように変形して、ワークWを均等に加圧する。ここで、上下方向視において、ワークWに対する個別プレス面(下面18p)の大きさは、ワークWの表面の大きさよりも僅かに大きい。そのため、加圧パッド18は、載置板9まで到達せず、ワークWの一部(側部の載置板9側の部分)は、側方から加圧されない。すなわち、個別プレス面(18p)によりワークWに加えられる圧力の方向は、プレス面(下面15p)によりワークWに加えられる圧力の方向とは、僅かに異なる。このように、上加圧ユニット1Aでは、ワークWは、ほぼ全方向(多方向)から均等に加圧される。
【0218】
このように、上加圧ユニット1Aを用いた加圧処理では、ワークWは、ワークWの表面の形状に追従して変形する加圧パッド18により、ほぼ全方向(多方向)から均等に加圧される。また、同加圧処理では、複数のワークWそれぞれが対応する個別プレス面(下面18p)それぞれで(一括して)加圧可能である。すなわち、同加圧処理における加圧方式は、疑似等方圧方式と個別加圧方式とが組み合わされた方式である。
【0219】
なお、第1変形例において、ワークWに対する個別プレス面(下面18p)の大きさは、ワークWの表面の大きさと同じ、または、ワークWの表面の大きさよりも僅かに小さくてもよい。
【0220】
●第2変形例
図33は、加圧システムの第2変形例を示す、加圧システムの模式断面図である。
【0221】
第2変形例における加圧システムSBでは、加圧システムSに対して上下方向の向きが逆転している。加圧システムSBは、筐体、4個の下加圧ユニット1B,3B(2個は不図示。以下同じ。)、加圧装置5B、上熱ユニット6B、搬送機構(不図示。以下同じ。)、制御装置8、載置フィルム9B、ポンプP、および複数の取付ボルトBoを有してなる。下加圧ユニット1B,3Bは、本発明における加圧ユニットの一例である。
【0222】
下加圧ユニット1B,3Bの構成は、上下方向の向きが逆転している点を除き、上加圧ユニット1,3の構成と共通する。そのため、下加圧ユニット1B,3Bの詳細な説明は、省略される。
【0223】
加圧装置5Bは、加圧エリアA1に移動した下加圧ユニット1B,3Bを用いて、ワークWを加圧する。加圧装置5Bは、下ベース50B、下熱ユニット51B、および昇降装置52Bを備える。加圧装置5Bは、加圧エリアA1に配置されている。加圧装置5Bの構成は、上下方向が逆転している点を除き、加圧装置5の構成と共通する。そのため、加圧装置5Bの詳細な説明は、省略される。
【0224】
上熱ユニット6Bは、ワークWを加熱および冷却する。上熱ユニット6Bは、上加熱ユニット60Bを備える。上加熱ユニット60Bの構成は、上下方向が逆転している点、および、上加熱ユニット60Bが固定されている点を除き、下加熱ユニット60の構成と共通する。そのため、上加熱ユニット60Bの詳細な説明は、省略される。
【0225】
搬送機構は、下加圧ユニット1B,3Bを移動可能に支持する。搬送機構は、例えば、複数のレール(不図示)、複数のベース(不図示)、および複数のローラ(不図示)を備える。搬送機構の構成は、上下方向が逆転している点を除き、搬送機構7の構成と共通する。そのため、搬送機構の詳細な説明は、省略される。
【0226】
載置フィルム9Bは、ワークWが載置されるフィルムである。載置フィルム9Bは、下熱ユニット51Bと上加熱ユニット60Bとの間における上加熱ユニット60Bに近い位置に、所定の張力が加えられた状態で、配置されている。
【0227】
ワークWが下加圧ユニット1Bにより加圧されるとき、下加圧ユニット1Bは、待機エリアA2から加圧エリアA1に搬送されて、下熱ユニット51Bに取り付けられる。次いで、昇降装置52Bは、下加圧ユニット1Bを上昇させる。このとき、載置フィルム9Bは、上加熱ユニット60Bと下加圧ユニット1Bとの間に挟み込まれて、ワークWと共に加圧される。
【0228】
●第3変形例
図34は、加圧システムの第3変形例を示す、加圧システムの模式断面図である。
【0229】
第3変形例では、加圧システムSCは、待機エリアA2~A5に代えて、5個の上加圧ユニット1~4,1Aに対応する1個の待機エリアA6、および、上加圧ユニット1~4,1Aを昇降させる昇降装置(不図示。以下同じ。)を有してなる。上下方向において、待機エリアA6の長さは、待機エリアA2~A5の長さよりも大きい。待機エリアA6の内部は、各上加圧ユニット1~4,1Aが収容される個別待機エリアA61~A65に区画されている。個別待機エリアA61~A65は、上下方向にそって配列されている。個別待機エリアA61~A65は、本発明における待機エリアの一例である。上下方向視において、待機エリアA6は、加圧エリアA1の+X方向に、加圧エリアA1に隣接して配置されている。上加圧ユニット1~4,1Aは、昇降装置により待機エリアA6内を昇降可能である。使用される上加圧ユニット1~4,1Aが適切な高さに昇降することにより、使用される上加圧ユニット1~4,1Aは、加圧エリアA1に搬送される。
【0230】
●その他の実施形態●
●待機エリア
なお、本発明において、待機エリアA2~A5の数は、複数であればよく、「4」に限定されない。すなわち、例えば、加圧システムSは、待機エリアA2~A5のうち、待機エリアA2,A4のみを備えていてもよく、待機エリアA3,A5のみを備えていてもよく、待機エリアA2,A3のみを備えていてもよい。
【0231】
また、本発明において、待機エリアA2~A5は、上下方向視において加圧エリアA1の側方に配置されていればよく、加圧エリアA1に隣接していなくてもよい。
【0232】
さらに、本発明において、待機エリアA2~A5は、個別待機エリアA61~A65のように、上下方向に配列されていてもよい。
【0233】
●上加圧ユニット
さらにまた、本発明において、待機エリアA2~A5に対する上加圧ユニット1~4の配置は、第1実施形態の配置に限定されない。すなわち、例えば、上加圧ユニット1は待機エリアA3~A5に配置されていてもよく、上加圧ユニット2は待機エリアA2,A4,A5に配置されていてもよい。
【0234】
さらにまた、本発明において、加圧システムSは、異なる加圧方式の複数の上加圧ユニット1~4を備えていればよく、上加圧ユニット1~4のうち、いずれか2つを備えていなくてもよい。また、例えば、加圧システムSは、上加圧ユニット1~4のいずれか1つに代えて、上加圧ユニット1Aを備えていてもよい。
【0235】
さらにまた、本発明において、上加圧ユニット1~4は各加圧方式を実現する一例であり、各加圧方式を実現する上加圧ユニット1~4それぞれの構成は第1実施形態の構成に限定されない。
【0236】
さらにまた、上加圧ユニット1~4は、サイドユニット12,22,32,42を備えていなくてもよい。この場合、上加圧ユニット1~4は、チャンバユニットCU1~CU4を形成しない。また、下加熱ユニット60および下冷却ユニット61の入替は、実行されない(ワークWの急加熱および急冷却は、実行されない)。
【0237】
さらにまた、本発明において、金型11,21,31,41の形状は、直方体状でなくてもよい。すなわち、例えば、金型11,21,31,41の形状は、上下方向視において円柱状でもよい。この場合、金型11,21,31,41よりも下方向に配置されている各部材の形状は、金型11,21,31,41の形状に応じて設計される。
【0238】
さらにまた、本発明において、個別加圧部材27,47の数は、複数であればよく、9個に限定されない。この場合、個別金型21b,31b、個別保護板24、収容孔26a,46a、個別加圧パッド25、および付勢ユニット28,48の数および配置は、個別加圧部材27,47の数および配置に応じて適宜設定される。
【0239】
さらにまた、本発明において、個別加圧部材27,47の本体部27a,47aの形状は、直方体状に限定されない。すなわち、例えば、本体部27a,47aの形状は、上下方向視において円柱状でもよい。
【0240】
さらにまた、本発明において、個別加圧部材27,47は、複数の分割可能な部材により形成されていてもよい。この場合、同部材は、弾性体や断熱体を含んでもよい。
【0241】
さらにまた、本発明において、加圧システムSは、ゲルシートよりもワークWの表面への追従性が低い材料(例えば、シリコンゴムなど)製の弾性体を備える上加圧ユニットを備えていてもよい。
【0242】
●熱ユニット
さらにまた、本発明において、加圧システムSは、上熱ユニット51および/または下熱ユニット6を備えていなくてもよい。
【0243】
さらにまた、本発明において、加圧システムSは、下加熱ユニット60または下冷却ユニット61を備えていなくてもよい。
【0244】
さらにまた、本発明において、下加熱ユニット60は、加熱専用に設計されていてもよい。
【0245】
さらにまた、本発明において、加圧システムSは、下熱ユニット6に代えて、加圧エリアA1に固定される1個の熱ユニットを備えていてもよい。
【0246】
さらにまた、本発明において、第1動作~第4動作で実行されるワークWの加熱および冷却の方式は、相互に入れ替えられていてもよい。すなわち、例えば、第1動作において、ワークWは、緩慢に加熱されて、緩慢に冷却されてもよい。このように、加圧システムSは、加圧方式に加えて、加熱方式も適宜選択して組み合わせ可能である。
【0247】
●搬送
さらにまた、本発明において、搬送機構7は、自動で上加圧ユニット1~4を搬送可能な機構を備えていてもよい。
【0248】
さらにまた、本発明において、レールR9~R12は、上加圧ユニット1~4の搬送に干渉しない位置に退避可能に設計されていてもよい。
【0249】
さらにまた、本発明において、搬送機構7は、レールR11,R12(レールR9,R10)を備えていなくてもよい。この場合、例えば、上方向視において、レールR9,R10(レールR11,R12)は、時計回り方向または反時計回り方向に90°回転可能に設計されていてもよい。
【0250】
さらにまた、本発明において、上加圧ユニット1~4の搬送後のポンプPと排気孔12a,22a,32a,42aとの接続は、着脱容易な部材(例えば、カプラなど)により、自動的に実行されていてもよい。
【0251】
さらにまた、本発明において、搬送機構7の構成は、第1実施形態の構成に限定されない。すなわち、例えば、搬送機構7は、搬送テーブルに載置された上加圧ユニット1~4を搬送可能な構成を備えていてもよい。
【0252】
さらにまた、本発明において、上加圧ユニット1~4が上熱ユニット51に取り付けられたとき、ローラRoは、レールR9~R12から離間しなくてもよい。この場合、レールR9~R12は、取り外されてもよい。
【0253】
さらにまた、本発明において、上加圧ユニット1~4は、搬送テーブルに載置された状態で搬送されてもよい。
【0254】
●本発明の実施態様●
次に、以上説明した各実施形態から把握される本発明の実施態様について、各実施形態において記載された用語と符号とを援用しつつ、以下に記載する。
【0255】
本発明の第1の実施態様は、少なくとも1個のワーク(例えば、ワークW)に加圧処理を実行する加圧システム(例えば、加圧システムS,SA,SB)であって、複数の加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット1~4,1A、下加圧ユニット1B~4B)と、前記加圧処理が実行される1個の加圧エリア(例えば、加圧エリアA1)と、上下方向視において、前記加圧エリアの側方に配置される複数の待機エリア(例えば、待機エリアA2~A6、個別待機エリアA61~A65)と、前記加圧ユニットそれぞれを、前記加圧ユニットそれぞれに対応する前記待機エリアと、前記加圧エリアと、の間で搬送可能に支持するユニット支持部材(例えば、レールR1~R12)と、を有してなり、前記ワークが加圧されるとき、複数の前記加圧ユニットのうち、1個の前記加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット1)は、前記加圧エリアにおいて、前記ワークの上方向または下方向に配置されて、前記ワークに対して相対移動可能であり、残りの前記加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット2~4)は、対応する前記待機エリア(例えば、待機エリアA3~A6)に配置されて、前記加圧ユニットそれぞれは、前記ワークに対して異なる加圧方式で、前記加圧処理を実行可能に構成される、加圧システムである。
この構成によれば、使用者は、加圧エリアに搬送される上加圧ユニットを選択することにより、ワークに合わせて、適切な加圧方式を選択できる。
【0256】
本発明の第2の実施態様は、第1の実施態様において、前記加圧方式は、前記ワークに対して、多方向から加圧する疑似等方圧方式と、前記ワークに対して、上下方向のみから加圧する1軸加圧方式と、のうち、いずれか一方、を含む、加圧システムである。
この構成によれば、使用者は、ワークに応じて、疑似等方圧方式と1軸加圧方式とのうち、いずれか一方を選択できる。
【0257】
本発明の第3の実施態様は、第1または第2の実施態様において、前記加圧方式は、複数の前記ワークに対して、1個のプレス面(例えば、下面15p,31p)で一括に加圧する一括加圧方式と、複数の前記ワークそれぞれに対して、区画された複数の個別プレス面(例えば、下面17p,27p,47p)それぞれで個別に加圧する個別加圧方式と、のうち、いずれか一方、を含む、加圧システムである。
この構成によれば、使用者は、ワークに応じて、一括加圧方式と個別加圧方式とのうち、いずれか一方を選択できる。
【0258】
本発明の第4の実施態様は、第2の実施態様において、前記疑似等方圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット1,1A、下加圧ユニット1B)は、前記ワークが加圧されるとき、前記ワークの表面の形状に追従して変形する弾性体(例えば、弾性体15a,18a)を備える加圧パッド(例えば、加圧パッド15,18)と、前記加圧パッドを保持する枠部材(例えば、枠部材14,17)と、前記ワークが加圧されるとき、前記加圧パッドを前記ワークに向けて加圧する金型(例えば、金型11,21)と、を備える、加圧システムである。
この構成によれば、使用者は、上加圧ユニットを選択することにより、容易に疑似等方圧方式を選択できる。
【0259】
本発明の第5の実施態様は、第2の実施態様において、前記1軸加圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット2~4、下加圧ユニット3B)は、前記ワークが加圧されるとき、前記ワークに向けられるプレス面(27p,31p,47p)、を備えて、前記プレス面は、金属製で、平面状である、加圧システムである。
この構成によれば、使用者は、上加圧ユニットを選択することにより、容易に1軸加圧方式を選択できる。
【0260】
本発明の第6の実施態様は、第3の実施態様において、前記個別加圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット4)は、前記ワークそれぞれを個別に加圧可能であり、前記個別プレス面を備える複数の個別加圧部材(例えば、個別加圧部材47)と、前記個別加圧部材を支持する支持金型(例えば、支持金型46)と、前記個別加圧部材を前記ワークに向けて加圧可能な金型(例えば、金型41)と、前記個別加圧部材と、前記金型と、の間に配置される加圧パッド(例えば、加圧パッド45)と、上下方向視において前記金型の側方に配置されて、前記加圧パッドを保持する枠部材(例えば、枠部材44)と、を備えて、前記枠部材は、前記金型に対して上下方向に相対移動可能であり、前記個別加圧部材は、前記支持金型に対して上下方向に相対移動可能であり、前記加圧パッドは、下方向視において、前記金型の全面を覆い、前記個別加圧部材それぞれの前記支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能であり、前記支持金型は、前記加圧パッドと前記枠部材との下方向に配置されて、前記枠部材に支持されて、前記ワークが加圧されるとき、前記個別加圧部材は、対応する前記ワークに向けて前記支持金型から突出する、加圧システムである。
この構成によれば、使用者は、上加圧ユニットを選択することにより、容易に1軸加圧方式と個別加圧方式とが組み合わされた方式を選択できる。
【0261】
本発明の第7の実施態様は、第3の実施態様において、前記個別加圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット2)は、前記ワークそれぞれを個別に加圧可能であり、前記個別プレス面を備える複数の個別加圧部材(例えば、個別加圧部材27)と、前記個別加圧部材を支持する支持金型(例えば、支持金型26)と、前記個別加圧部材を前記ワークに向けて加圧可能な金型(例えば、金型21)と、前記個別加圧部材と、前記金型と、の間に配置される加圧パッド(例えば、個別加圧パッド25)と、上下方向視において前記金型の側方に配置されて、前記支持金型を支持する支持部材(例えば、支持部材231)と、を備えて、前記支持部材は、前記金型に対して上下方向に相対移動可能であり、前記個別加圧部材は、前記支持金型に対して上下方向に相対移動可能であり、前記加圧パッドは、前記個別加圧部材それぞれの前記支持金型に対する相対移動量に応じて変形可能であり、前記ワークが加圧されるとき、前記個別加圧部材は、対応する前記ワークに向けて前記支持金型から突出する、加圧システムである。
この構成によれば、使用者は、上加圧ユニットを選択することにより、容易に1軸加圧方式と個別加圧方式とが組み合わされた方式を選択できる。
【0262】
本発明の第8の実施態様は、第3の実施態様において、前記個別加圧方式で前記ワークを加圧する前記加圧ユニット(例えば、上加圧ユニット1A)は、前記ワークが加圧されるとき、前記ワークの表面の形状に追従して変形する弾性体を備える加圧パッド(例えば、加圧パッド18)と、前記加圧パッドを保持する枠部材(例えば、枠部材17)と、前記ワークが加圧されるとき、前記加圧パッドを前記ワークに向けて加圧する金型(例えば、金型16)と、を備えて、前記枠部材は、前記加圧パッドを複数の個別加圧パッド(例えば、領域18d)に区画して、前記金型は、前記個別加圧パッドそれぞれに対応する複数の個別金型(例えば、個別金型16b)、を備えて、前記個別加圧パッドは、前記個別プレス面(例えば、下面18p)、を備える、加圧システムである。
この構成によれば、使用者は、上加圧ユニットを選択することにより、容易に疑似等方圧方式と個別加圧方式とが組み合わされた方式を選択できる。
【0263】
本発明の第9の実施態様は、第1の実施態様において、前記ワークを加熱または冷却可能な熱ユニット(例えば、上熱ユニット51、下加熱ユニット60、下冷却ユニット61、下熱ユニット51B、上加熱ユニット60B、上冷却ユニット61B)、を有してなり、前記熱ユニットは、前記加圧エリアに移動した前記加圧ユニットよりも上方向に配置される上熱ユニット(例えば、上熱ユニット51、上加熱ユニット60B、上冷却ユニット61B)と、前記ワークよりも下方向に配置される下熱ユニット(例えば、下熱ユニット51B、下加熱ユニット60、下冷却ユニット61)と、を備えて、前記上熱ユニットと前記下熱ユニットそれぞれは、熱金型(例えば、本体部51a,60a,61a)と、前記熱金型に内包されて、前記熱金型を加熱する加熱源(例えば、加熱源H1,H2)と、前記熱金型に内包されて、前記熱金型を冷却する冷却源(例えば、冷却源C1~C3)と、を備える、加圧システムである。
この構成によれば、使用者は、熱ユニットおよびその動作を組み合わせることにより、異なる加熱方式および冷却方式を加圧方式に組み合わせ可能である。
【0264】
本発明の第10の実施態様は、第9の実施態様において、前記ワークが載置される載置板(例えば、載置板9)と、上下方向視において、前記加圧エリアの側方に配置される熱ユニット待機エリア(例えば、待機エリアA2,A4)と、前記下熱ユニット(例えば、下加熱ユニット60、下冷却ユニット61)を、前記熱ユニット待機エリアと前記加圧エリアとの間で往復搬送する熱ユニット搬送装置(例えば、下熱ユニット搬送装置62)と、前記加圧エリアに搬送された前記加圧ユニットを昇降させる昇降装置(例えば、昇降装置52)と、を有してなり、前記下熱ユニットは、前記加熱源(例えば、加熱源H2)を備えて、前記ワークを加熱可能な下加熱ユニット(例えば、下加熱ユニット60)と、前記冷却源(例えば、冷却源C3)を備えて、前記ワークを冷却可能な下冷却ユニット(例えば、下冷却ユニット61)と、を備えて、前記加圧ユニットが前記加圧エリアに位置しているとき、前記加圧ユニットは、前記載置板と共に、前記ワークが収容されるチャンバユニット(例えば、チャンバユニットCU1~CU4)を形成して、前記昇降装置は、前記下加熱ユニットと前記下冷却ユニットとが搬送されるとき、前記チャンバユニットを上昇させて、前記下加熱ユニットまたは前記下冷却ユニットが前記加圧エリアに搬送されたとき、前記チャンバユニットを下降させて、前記チャンバユニットを前記加圧エリアに搬送された前記下加熱ユニットまたは前記下冷却ユニットに当接させる、加圧システム(例えば、加圧システムS)である。
この構成によれば、使用者は、ワークの急加熱および/または急冷却を加圧方式に組み合わせできる。
【0265】
本発明の第11の実施態様は、第1の実施態様において、前記加圧エリアに搬送された前記加圧ユニットを昇降させる昇降装置(例えば、昇降装置52,52B)、を有してなり、前記昇降装置は、前記加圧エリアに配置されて、前記ユニット支持部材は、前記加圧エリアに配置されて、前記昇降装置に取り付けられる個別ユニット支持部材(例えば、レールR9~R12)、を備えて、前記加圧ユニットそれぞれは、前記ワークに向けられるプレス面(例えば、下面15p,17p,27p,31p,47p)と、前記プレス面を前記ワークに向けて加圧可能な金型(金型11,21,31,41)と、前記金型を支持するベース(例えば、ベース10,20,30,40)と、を備えて、前記加圧ユニットが前記加圧エリアに位置しているとき、前記加圧ユニットは、前記ワークの上方向に配置されて、前記ベースは、前記昇降装置に固定されて、前記加圧ユニットは、前記個別ユニット支持部材から離間する、加圧システムである。
この構成によれば、ワークが加圧されているとき、ローラおよびレールに機械的な負荷は、加えられない。
【符号の説明】
【0266】
S 加圧システム
1 上加圧ユニット(加圧ユニット)
10 ベース
11 金型
14 枠部材
15 加圧パッド
15p 下面(プレス面)
2 上加圧ユニット
20 ベース
21 金型
21b 個別金型
231 支持部材
25 個別加圧パッド(加圧パッド)
26 支持金型
27 個別加圧部材
27p 下面(個別プレス面)
3 上加圧ユニット
30 ベース
31 金型
31p 下面(プレス面)
4 上加圧ユニット
40 ベース
41 金型
44 枠部材
45 加圧パッド
46 支持金型
47 個別加圧部材
47p 下面(個別プレス面)
51 上熱ユニット(熱ユニット)
51a 本体部(熱金型)
52 昇降装置
60 下加熱ユニット(熱ユニット)
60a 本体部(熱金型)
61 下冷却ユニット(熱ユニット)
61a 本体部(熱金型)
62 下熱ユニット搬送装置
A1 加圧エリア
A2 待機エリア(熱ユニット待機エリア)
A3 待機エリア
A4 待機エリア(熱ユニット待機エリア)
A5 待機エリア
C1~C3 冷却源
H1,H3 加熱源
SA 加圧システム
1A 上加圧ユニット(加圧ユニット)
16 金型
17 枠部材
18 加圧パッド
18d 領域(個別加圧パッド)
18p 下面(個別プレス面)
SB 加圧システム
1B 下加圧ユニット(加圧ユニット)
3B 下加圧ユニット(加圧ユニット)
51B 下熱ユニット(熱ユニット)
60B 上加熱ユニット(熱ユニット)
A6 待機エリア
A61~A65 個別待機エリア(待機エリア)
【要約】
【課題】複数の異なる加圧方式を選択可能な加圧システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る加圧システムSは、複数の加圧ユニット1~4と、加圧処理が実行される1個の加圧エリアA1と、上下方向視において加圧エリアの側方に配置される複数の待機エリアA2~A5と、加圧ユニットそれぞれを、加圧ユニットそれぞれに対応する待機エリアと加圧エリアとの間で搬送可能に支持するユニット支持部材R1~R12と、を有してなる。ワークWが加圧されるとき、複数の加圧ユニットのうち、1個の加圧ユニットは、加圧エリアにおいてワークの上方向または下方向に配置されて、ワークに対して相対移動可能である。残りの加圧ユニットは、対応する待機エリアに配置されて、加圧ユニットそれぞれは、ワークに対して異なる加圧方式で、加圧処理を実行可能に構成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図28
図29
図30
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図32
図33
図34