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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】リニアモータおよび工作機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20250307BHJP
   B23Q 1/58 20060101ALI20250307BHJP
   B23Q 5/027 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
H02K41/03 A
B23Q1/58 Z
B23Q5/027
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024507868
(86)(22)【出願日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2023003351
(87)【国際公開番号】W WO2024161582
(87)【国際公開日】2024-08-08
【審査請求日】2024-02-07
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】河本 道生
(72)【発明者】
【氏名】樫原 圭蔵
(72)【発明者】
【氏名】池上 貴一
(72)【発明者】
【氏名】森本 亮太
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-070166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
B23Q 1/58
B23Q 5/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械に用いられるリニアモータであって、
複数の磁石が第1方向に並べて設けられている磁石板と、
前記磁石板に対して前記第1方向にスライド可能に構成されたスライダとを備え、
前記スライダは、
前記複数の磁石と対向するように複数のティースが形成されているスライダコアと、
前記第1方向に並べて前記スライダコアに設けられている複数のコイルと、
固定用部材とを含み、
前記複数のティースは、前記第1方向に並べて前記スライダコアに形成されており、
前記複数のティースには、前記複数のコイルがそれぞれ巻かれており、
前記スライダコアには、孔が形成されており、前記孔は、前記磁石板の表面と平行でかつ前記第1方向と直交する第2方向に延在しており、前記孔の一部は、前記第1方向から見たときに前記複数のコイルと重なっており、前記孔には、前記固定用部材が挿入されており、
前記固定用部材には、前記第1方向および前記第2方向の両方に直交する第3方向においてねじ穴が形成されているとともに、前記スライダコアには、前記第3方向に前記ねじ穴と連通する貫通孔が形成されており、前記ねじ穴の一部は、前記第1方向から見たときに前記複数のコイルと重なっており、
前記固定用部材は、少なくとも2つに分割された状態で前記孔に挿入されており、
少なくとも2つに分割された前記固定用部材は、互いに前記孔内において接触するように設けられている、リニアモータ。
【請求項2】
前記固定用部材の分割数は、前記ねじ穴の数と同じである、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記孔は、前記第2方向において前記スライダコアを貫通している貫通孔である、請求項1または2に記載のリニアモータ。
【請求項4】
前記スライダは、前記磁石板に対向する面とは反対側の面に配管されている冷却配管を含み、
前記ねじ穴は、前記第3方向から見たときに前記冷却配管と重ならない、請求項1または2に記載のリニアモータ。
【請求項5】
前記固定用部材は、少なくとも3つに分割されており、
前記固定用部材の分割箇所は、前記第2方向における前記スライダコアの中心を基準として対称に位置している、請求項1または2に記載のリニアモータ。
【請求項6】
前記第2方向において前記スライダを貫通している前記貫通孔は、前記スライダに複数形成されており、
複数の前記貫通孔は、前記第1方向における前記スライダコアの中心を基準として対称に位置している、請求項3に記載のリニアモータ。
【請求項7】
前記スライダコアは、積層鋼鈑で構成されており、
前記固定用部材は、前記積層鋼鈑とは異なる部材で構成されている、請求項1または2に記載のリニアモータ。
【請求項8】
請求項1または2に記載のリニアモータと、
ワークまたは工具を回転可能に保持するための主軸とを備え、
前記リニアモータは、前記主軸の位置を移動するために用いられている、工作機械。
【請求項9】
請求項1または2に記載のリニアモータと、
ワークを載置するためのテーブルとを備え、
前記リニアモータは、前記テーブルを駆動するために用いられている、工作機械。
【請求項10】
請求項1または2に記載のリニアモータと、
部材を搬送するためのローダとを備え、
前記リニアモータは、前記ローダを駆動するために用いられている、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リニアモータおよび工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-042423号公報(特許文献1)は、リニアモータに関する発明を開示している。当該リニアモータは、固定子として機能する界磁部と、可動子として機能する電機子とを備える。電機子は、コアと、ティースと、コイルとを有する。コアは、電機子の本体を成す部材であり、電磁鋼板で構成されている。コアの下部には、永久磁石に向けて複数のティースが突設されている。電機子は、当該コイルに電流を流すことで電磁誘導作用に伴う駆動力を発生させ、界磁部上を移動する。
【0003】
コアの上面には、T溝ナットが埋め込まれている。加工装置などの駆動対象物を配設するための可動ステージは、当該T溝ナットにボルトを螺合することにより固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-042423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記コアは電磁鋼板で構成されているため、当該コアにねじ穴を形成することは難しい。このことを解決するための方法として、固定用部材をコア内に設け、当該固定用部材にねじ穴を形成する方法がある。この場合、コイルにより発生する磁束は、電磁鋼板のコアだけでなく固定用部材も通る。その結果、鉄損が生じ、リニアモータの効率が低下してしまう。したがって、リニアモータに固定用部材を設けた場合において鉄損を抑制するための技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例では、工作機械に用いられるリニアモータが提供される。当該リニアモータは、複数の磁石が第1方向に並べて設けられている磁石板と、上記磁石板に対して上記第1方向にスライド可能に構成されたスライダとを備える。上記スライダは、スライダコアと、上記第1方向に並べて上記スライダコアに設けられている複数のコイルと、固定用部材とを含む。上記スライダコアには、孔が形成されている。上記孔は、上記磁石板の表面と平行でかつ上記第1方向と直交する第2方向に延在している。上記孔には、上記固定用部材が挿入されている。上記固定用部材には、上記第1方向および上記第2方向の両方に直交する第3方向においてねじ穴が形成されているとともに、上記スライダコアには、上記第3方向に上記ねじ穴と連通する貫通孔が形成されている。上記固定用部材は、少なくとも2つに分割された状態で上記孔に挿入されている。
【0007】
本開示の一例では、上記固定用部材の分割数は、上記ねじ穴の数と同じである。
【0008】
本開示の一例では、上記孔は、上記第2方向において上記スライダコアを貫通している貫通孔である。
【0009】
本開示の一例では、上記スライダは、上記第1方向に並べて設けられている複数のティースを含む。上記複数のティースは、上記複数の磁石と対向するように上記スライダに設けられている。上記複数のティースには、上記複数のコイルがそれぞれ巻かれている。上記孔は、上記複数のティースの内の少なくとも1つに形成されている。
【0010】
本開示の一例では、上記スライダは、上記磁石板に対向する面とは反対側の面に配管されている冷却配管を含む。上記ねじ穴は、上記第3方向から見たときに上記冷却配管と重ならない。
【0011】
本開示の一例では、上記固定用部材は、少なくとも3つに分割されている。上記固定用部材の分割箇所は、上記第2方向における上記スライダコアの中心を基準として対称に位置している。
【0012】
本開示の一例では、上記第2方向において上記スライダを貫通している上記貫通孔は、上記スライダに複数形成されている。複数の上記貫通孔は、上記第1方向における上記スライダコアの中心を基準として対称に位置している。
【0013】
本開示の一例では、上記スライダコアは、積層鋼鈑で構成されている。上記固定用部材は、上記積層鋼鈑とは異なる部材で構成されている。
【0014】
本開示の他の例では、工作機械が提供される。上記工作機械は、上記リニアモータと、ワークまたは工具を回転可能に保持するための主軸とを備える。上記リニアモータは、上記主軸の位置を移動するために用いられている。
【0015】
本開示の他の例では、工作機械が提供される。上記工作機械は、上記リニアモータと、ワークを載置するためのテーブルとを備える。上記リニアモータは、上記テーブルを駆動するために用いられている。
【0016】
本開示の他の例では、工作機械が提供される。上記工作機械は、リニアモータと、部材を搬送するためのローダとを備える。前記リニアモータは、前記ローダを駆動するために用いられている。
【0017】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に従うリニアモータを斜め方向から表わす斜視図である。
図2】Z軸方向からスライダを表わした図である。
図3図2に示されるIII-III線に沿ったスライダの断面図である。
図4】スライダをZ軸方向から表わした図である。
図5図4に示されるV-V線に沿ったスライダの断面図である。
図6図4に示されるVI-VI線に沿ったスライダの断面図である。
図7】Z軸方向からスライダを表わした図である。
図8図7に示されるVIII-VIII線に沿ったスライダの断面図である。
図9】分割した固定用部材をリニアモータに用いた場合における鉄損の推移と、分割していない固定用部材をリニアモータに用いた場合における鉄損の推移とを示す図である。
図10】工作機械の装置構成の一例を示す図である。
図11】工作機械の装置構成の他の例を示す図である。
図12】工作機械の装置構成の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0020】
<A.リニアモータ100>
まず、図1を参照して、リニアモータ100の概要について説明する。図1は、実施の形態に従うリニアモータ100を斜め方向から表わす斜視図である。
【0021】
図1に示されるように、リニアモータ100は、磁石板10と、スライダ50とを含む。
【0022】
磁石板10は、固定子として機能する。磁石板10には、複数の磁石12が並べられている。説明の便宜のために、以下では、磁石12が並べられている方向をX軸方向(第1方向)とも称する。磁石板10の表面と平行でかつX軸方向と直交する方向をY軸方向(第2方向)とも称する。X軸方向およびY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向(第3方向)とも称する。
【0023】
複数の磁石12の各々は、X軸方向において所定の間隔を空けて磁石板10上に配置されている。磁石12の各々は、永久磁石である。磁石12の各々は、隣接する磁石12と極性が反対になるように磁石板10上に設けられている。一例として、一の磁石12の表面がN極で、当該一の磁石12の裏面がS極であったとする。この場合、当該一の磁石12の隣に配置されている磁石12については、表面がS極で、裏面がN極となる。
【0024】
スライダ50は、可動子として機能する。スライダ50は、複数のコイル52を有する。複数のコイル52は、X軸方向に並べてスライダ50に設けられている。コイル52の各々は、スライダ50に形成されている後述のティース53(図5参照)に長円状に巻かれている。
【0025】
複数のコイル52は、複数の磁石12と対向するようにスライダ50に設けられている。異なる言い方をすれば、複数のコイル52は、Z軸方向から見て複数の磁石12と重なるようにスライダ50に設けられている。
【0026】
スライダ50は、複数のコイル52に交流電流を印加することにより発生する磁場を複数の磁石12に作用させることで推力を受け、磁石板10上をX軸方向にスライドする。交流電流は、たとえば、コイル52に電気的に接続される電源(図示しない)から供給される。
【0027】
<B.固定用部材58>
次に、図2および図3を参照して、スライダ50の内部に設けられている固定用部材58について説明する。図2は、Z軸方向からスライダ50を表わした図である。図3は、図2に示されるIII-III線に沿ったスライダ50の断面図である。
【0028】
上述のスライダ50は、スライダコア51と、固定用部材58A~58Dとを含む。説明の便宜のために、以下では、固定用部材58A~58Dを特に区別しない場合には、固定用部材58A~58Dのいずれか1つを固定用部材58とも称する。
【0029】
スライダコア51は、スライダ50の本体を成す部材である。スライダコア51は、磁束を通しやすいように電磁鋼板で構成されている。典型的には、スライダコア51は、薄い電磁鋼板を積み重ねた積層鋼板である。スライダコア51が積層鋼板で構成されることで、鉄損の原因となる渦電流を低減することができる。
【0030】
スライダコア51には、Y軸方向に延在している孔Hが形成されている。スライダコア51に形成される孔Hの数は、任意である。図3の例では、スライダコア51において、4つの孔HA~HDが形成されている。説明の便宜のために、以下では、孔HA~HDを特に区別しない場合には、孔HA~HDのいずれか1つを孔Hとも称する。
【0031】
孔Hの形状は、任意である。孔Hは、直方体形状の孔であってもよいし、円柱形状の孔であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0032】
また、孔Hは、Y軸方向にスライダコア51を貫通している貫通孔であってもよいし、間切りされることで分割されている孔であってもよい。図2および図3の例では、貫通孔としての孔Hが示されている。
【0033】
孔Hには、固定用部材58が挿入されている。固定用部材58は、スライダコア51に形成さえる孔Hの数に合わせて設けられる。図2および図3の例では、孔HAには、固定用部材58Aが挿入されている。孔HBには、固定用部材58Bが挿入されている。孔HCには、固定用部材58Cが挿入されている。孔HDには、固定用部材58Dが挿入されている。
【0034】
固定用部材58には、Z軸方向においてねじ穴が形成されるとともに、スライダコア51には、Z軸方向に当該ねじ穴と連通する貫通孔が形成されている。
【0035】
図2および図3の例では、固定用部材58Aには、ねじ穴59Aが形成されるとともに、スライダコア51には、貫通孔51Aが形成されている。ねじ穴59Aは、貫通孔51Aと連通している。異なる言い方をすれば、ねじ穴59Aは、Z軸方向から見て貫通孔51Aと重なる。
【0036】
また、固定用部材58Bには、ねじ穴59Bが形成されるとともに、スライダコア51には、貫通孔51Bが形成されている。ねじ穴59Bは、貫通孔51Bと連通している。異なる言い方をすれば、ねじ穴59Bは、Z軸方向から見て貫通孔51Bと重なる。
【0037】
固定用部材58Cには、ねじ穴59Cが形成されるとともに、スライダコア51には貫通孔51Cが形成されている。ねじ穴59Cは、貫通孔51Cと連通している。異なる言い方をすれば、ねじ穴59Cは、Z軸方向から見て貫通孔51Cと重なる。
【0038】
固定用部材58Dには、ねじ穴59Dが形成されるとともに、スライダコア51には貫通孔51Dが形成されている。ねじ穴59Dは、貫通孔51Dと連通している。異なる言い方をすれば、ねじ穴59Dは、Z軸方向から見て貫通孔51Dと重なる。
【0039】
ねじ穴59A~59Dに嵌められるねじの種類は任意である。一例として、ねじ穴59A~59Dには、ボルトが嵌められる。駆動対象の部品に当該ボルトを通すとともに、当該ボルトをねじ穴59A~59Dに嵌めることで、当該駆動対象の部品がスライダ50に固定される。すなわち、ねじ穴59A~59Dは、駆動対象の部品をリニアモータ100に固定するために用いられる。駆動対象の部品の例については後述する。
【0040】
固定用部材58は、少なくとも2つに分割された状態で孔Hに挿入されている。これにより、固定用部材58に発生する渦電流が少なくなり、鉄損が抑制される。結果的に、モーター効率が向上する。
【0041】
なお、固定用部材58の分割数は任意である。図2の例では、固定用部材58A~58Dの各々は、3つに分割されている。
【0042】
好ましくは、固定用部材58の分割数は、固定用部材58に形成されるねじ穴の数と同じである。これにより、固定用部材58による固定強度を維持しつつ、鉄損を抑制することができる。
【0043】
図2および図3の例では、固定用部材58Aが3つに分割されているのに対して、固定用部材58Aには同数の3つのねじ穴59Aが形成されている。また、固定用部材58Bが3つに分割されているのに対して、固定用部材58Bには同数の3つのねじ穴59Bが形成されている。さらに、固定用部材58Cが3つに分割されているのに対して、固定用部材58Cには同数の3つのねじ穴59Cが形成されている。さらに、固定用部材58Dが3つに分割されているのに対して、固定用部材58Dには同数の3つのねじ穴59Dが形成されている。
【0044】
固定用部材58は、スライダコア51とは異なる種類の部材で構成される。典型的には、コイル52により発生した磁束が固定用部材58を通る場合における鉄損は、当該磁束がスライダコア51を通る場合における鉄損よりも大きい。一例として、スライダコア51が積層鋼鈑で構成されているのに対して、固定用部材58は、積層鋼鈑以外の金属で構成される。固定用部材58は、たとえば、鉄で構成されてもよいし、その他の種類の金属で構成されてもよい。
【0045】
固定用部材58の形状は、任意である。一例として、固定用部材58の形状は、直方体形状の角材であってもよいし、円柱形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。典型的には、固定用部材58の形状は、孔Hの形状と同じである。
【0046】
<C.スライダ50>
次に、図4図6を参照して、上述のスライダ50についてさらに詳細に説明する。図4は、スライダ50をZ軸方向から表わした図である。図5は、図4に示されるV-V線に沿ったスライダ50の断面図である。図6は、図4に示されるVI-VI線に沿ったスライダ50の断面図である。
【0047】
スライダ50は、その外観を成す筐体60を有する。筐体60は、たとえば、樹脂製である。筐体60の内部には、スライダコア51と、複数のコイル52と、冷却配管56と、固定用部材58とが収容されている。
【0048】
スライダコア51には、複数のティース53が形成されている。ティース53の各々は、スライダコア51の下面(すなわち、磁石板10に近い側の面)からZ軸方向に突き出ており、上述の複数の磁石12と対向している。異なる言い方をすれば、複数のティース53は、Z軸方向から見て複数の磁石12と重なるようにスライダコア51に形成されている。また、ティース53の各々は、Y軸方向に延在している。
【0049】
ティース53には、コイル52がそれぞれ巻かれている。上述の固定用部材58を挿入するための孔Hは、複数のティース53の内の少なくとも1つに形成されている。図5および図6の例では、孔HAは、ティース53Aに形成されている。孔HBは、ティース53Bに形成されている。孔HCは、ティース53Cに形成されている。孔HDは、ティース53Dに形成されている。
【0050】
冷却配管56は、スライダコア51の上面(すなわち、磁石板10から離れている側の面)に設けられる。より具体的には、スライダコア51の上面には、複数の溝が形成されている。各溝は、等間隔に形成され、Y軸方向に延在している。冷却配管56は、スライダコア51の上面に形成されている各溝に沿って蛇行するように配管される。
【0051】
冷却配管56は、冷媒の流入口と、冷媒の流出口とを有する。当該流入口と当該流出口とは、冷却器(図示しない)に繋げられている。冷媒は、冷却配管56の流入口から冷却配管56の流出口まで流れ、スライダ50を冷却する。流出口に到達した冷媒は、冷却器に送られ、冷やされる。その後、冷やされた冷媒は、冷却配管56の流入口に再び送られる。このように、冷媒は、スライダコア51の上面を循環することでスライダ50から排熱する。冷媒は、たとえば、水などを含む液体である。
【0052】
冷却配管56は、たとえば、熱伝導性の良い金属管で構成される。一例として、冷却配管56は、銅管で構成されてもよいし、アルミニウム管で構成されてもよいし、ステンレス鋼管で構成されてもよい。
【0053】
冷却配管56の断面形状は、任意である。冷却配管56の断面形状は、たとえば、円形であってもよいし、矩形であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0054】
また、スライダコア51には、Y軸方向に延在している孔HA~HDが形成されている。孔HAには固定用部材58Aが挿入されている。上述のように、固定用部材58Aには、Z軸方向に延在しているねじ穴59Aが形成されるとともに、スライダコア51には、ねじ穴59Aと連通している貫通孔51Aが形成されている。貫通孔51Aおよびねじ穴59Aは、Z軸方向から見たときに冷却配管56と重ならないように形成される。これにより、ボルトがねじ穴59Aに挿入された際に、当該ボルトが冷却配管56に接触しない。
【0055】
同様に、孔HBには固定用部材58Bが挿入されている。上述のように、固定用部材58Bには、Z軸方向に延在しているねじ穴59Bが形成されるとともに、スライダコア51には、ねじ穴59Bと連通している貫通孔51Bが形成されている。貫通孔51Bおよびねじ穴59Bは、Z軸方向から見たときに冷却配管56と重ならないように形成される。これにより、ボルトがねじ穴59Bに挿入された際に、当該ボルトは、冷却配管56に接触しない。
【0056】
同様に、孔HCには固定用部材58Cが挿入されている。上述のように、固定用部材58Cには、Z軸方向に延在しているねじ穴59Cが形成されるとともに、スライダコア51には、ねじ穴59Cと連通している貫通孔51Cが形成されている。貫通孔51Cおよびねじ穴59Cは、Z軸方向から見たときに冷却配管56と重ならないように形成される。これにより、ボルトがねじ穴59Cに挿入された際に、当該ボルトは、冷却配管56に接触しない。
【0057】
同様に、孔HDには固定用部材58Dが挿入されている。上述のように、固定用部材58Dには、Z軸方向に延在しているねじ穴59Dが形成されるとともに、スライダコア51には、ねじ穴59Dと連通している貫通孔51Dが形成されている。貫通孔51Dおよびねじ穴59Dは、Z軸方向から見たときに冷却配管56と重ならないように形成される。これにより、ボルトがねじ穴59Dに挿入された際に、当該ボルトは、冷却配管56に接触しない。
【0058】
<D.固定用部材58の分割箇所>
次に、図7を参照して、上述の固定用部材58における分割箇所について説明する。図7は、Z軸方向からスライダ50を表わした図である。図7は、中心線CX,CYが付加されている点で上述の図2と異なる。図7のその他の点については、上述の図2と同じである。
【0059】
中心線CXは、X軸方向におけるスライダコア51の中心を表わす。より具体的には、中心線CXは、X軸方向におけるスライダコア51の一端と、X軸方向におけるスライダコア51の他端との中心を表わす。
【0060】
中心線CYは、Y軸方向におけるスライダコア51の中心を表わす。より具体的には、中心線CYは、Y軸方向におけるスライダコア51の一端と、Y軸方向におけるスライダコア51の他端との中心を表わす。
【0061】
上述の通り、固定用部材58は、少なくとも2つに分割された状態でスライダコア51の孔Hに挿入されている。固定用部材58が3つ以上に分割される場合、固定用部材58の分割箇所は、中心線CYを基準として対称に位置している。
【0062】
より具体的な例として、固定用部材58がN個に分割されるとする。Nは、3以上の自然数とする。また、Y軸方向におけるn番目の分割箇所に着目した場合(nは自然数)、当該n番目の分割箇所と対称な位置にある分割箇所は、N-n番目となる。この場合、n番目の分割箇所から中心線CYまでの距離は、N-n番目の分割箇所から中心線CYまでの距離と等しい。
【0063】
一例として、固定用部材58が3つの小部材(以下、「第1~第3小部材」ともいう。)に分割されており、第1小部材と第2小部材との間の分割箇所を第1分割箇所と称し、第2小部材と第3小部材との間の分割箇所を第2分割箇所と称する。この場合、第1分割箇所から中心線CYまでの距離は、第2分割箇所から中心線CYまでの距離と等しい。
【0064】
このように、固定用部材58の分割箇所が中心線CYを基準に対称に位置する場合、磁束の変化が中心線CYを基準に略対称になる。その結果、リニアモータ100の駆動が安定する。
【0065】
なお、上述では、固定用部材58の分割箇所の対称性について説明を行ったが、固定用部材58に形成されるねじ穴59A~59Dの位置についても同様のことが言える。より具体的には、ねじ穴59A~59Dは、中心線CYを基準として対称な位置に形成される。また、ねじ穴59A~59Dは、中心線CXを基準として対称な位置に形成される。
【0066】
また、スライダコア51に形成される貫通孔51A~51Dについても同様のことが言える。より具体的には、貫通孔51A~51Dは、中心線CYを基準として対称な位置に形成される。また、貫通孔51A~51Dは、中心線CXを基準として対称な位置に形成される。
【0067】
<E.孔Hの位置>
次に、図8を参照して、上述の固定用部材58に形成される孔Hの位置について説明する。図8は、図7に示されるVIII-VIII線に沿ったスライダ50の断面図である。図8は、中心線CXが付加されている点で上述の図3と異なる。図8のその他の点については、上述の図3と同じである。
【0068】
中心線CXは、X軸方向におけるスライダコア51の中心を表わす。より具体的には、中心線CXは、X軸方向におけるスライダコア51の一端と、X軸方向におけるスライダコア51の他端との中心を表わす。
【0069】
上述の通り、スライダコア51には、Y軸方向に貫通している孔Hが形成されている。当該孔Hがスライダコア51に複数形成される場合、孔Hは、中心線CXを基準として対称に位置している。
【0070】
より具体的な例として、N個の孔Hがスライダコア51に形成されているとする。Nは2以上の自然数とする。また、X軸方向におけるn番目の孔Hに着目した場合(nは自然数)、n番目の孔Hと対称な位置にある孔Hは、N-n+1番目となる。この場合、n番目の孔Hから中心線CXまでの距離は、N-n+1番目の孔Hから中心線CXまでの距離と等しい。
【0071】
一例として、4つの孔HA~HDがスライダコア51に形成されているとする。この場合、1番目の孔HAから中心線CXまでの距離は、4番目の孔HDから中心線CXまでの距離と等しい。同様に、2番目の孔HBから中心線CXまでの距離は、3番目の孔HCから中心線CXまでの距離と等しい。
【0072】
このように、複数の孔Hが中心線CXを基準に対称に位置するように形成される場合、磁束の変化が中心線CXを基準に略対称になる。その結果、リニアモータ100の駆動が安定する。
【0073】
なお、上述では、スライダコア51に形成される孔Hの位置関係について説明を行ったが、固定用部材58の位置関係も孔Hの位置関係と同様である。より具体的には、固定用部材58A~58Dは、中心線CXを基準として対称な場所に位置している。
【0074】
<F.解析結果>
次に、図9を参照して、上述の固定用部材58を分割したことの有効性を裏付ける解析結果について説明する。図9は、分割した固定用部材58を用いた場合における鉄損の推移と、分割していない固定用部材58を用いた場合における鉄損の推移とを示す図である。
【0075】
図9に示されるグラフの横軸は、時間を表わす。時間の単位は、たとえば、秒(S)で表わされる。
【0076】
図9に示されるグラフの縦軸は、固定用部材58における鉄損の度合いを表わす。鉄損の単位は、たとえば、ワット(W)で表わされる。
【0077】
図9には、解析結果R1,R2が示されている。解析結果R1は、固定用部材58を分割しない場合における鉄損の推移を示す。解析結果R2は、固定用部材58を3つに分割した場合における鉄損の推移を示す。各解析の際には、リニアモータ100が同条件で駆動された。
【0078】
解析結果R1,R2が示すように、固定用部材58を分割した場合における鉄損は、固定用部材58を分割しない場合における鉄損よりも少なかった。このように、固定用部材58を分割することで鉄損が抑制されることが確認された。
【0079】
<G.リニアモータ100の応用例>
次に、図10図12を参照して、上述のリニアモータ100の応用例について説明する。リニアモータ100は、たとえば、工作機械内の様々な部品を駆動するために用いられ得る。
【0080】
ここでいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械200は、横形のマシニングセンタであってもよいし、立形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械200は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。
【0081】
リニアモータ100が工作機械内で使用される場合には、固定子として機能する磁石板10が工作機械内の不動部品に取り付けられる。一方で、可動子として機能するスライダ50は、工作機械内における駆動対象の部品に取り付けられる。この場合、ボルトが駆動対象の部品を通されるとともに、当該ボルトは、スライダ50内に形成されている上述のねじ穴59A~59Dに嵌められる。これにより、駆動対象の部品がスライダ50に固定される。
【0082】
(G1.主軸)
まず、図10を参照して、リニアモータ100を主軸の駆動に応用する例について説明する。図10は、工作機械200の装置構成の一例を示す図である。
【0083】
リニアモータ100は、たとえば、ワークまたは工具を回転可能に保持するための主軸250の位置を移動するために用いられる。主軸250は、ワークを回転するためのワーク主軸であってもよいし、工具を回転するための工具主軸であってもよい。
【0084】
説明の便宜のために、以下では、主軸250を基準とする座標系をX'軸,Y'軸およびZ'軸で表わす。X'軸、Y'軸およびZ'軸は、互いに直交している。
【0085】
図10に示されるように、工作機械200は、制御部200Aと、駆動部240Aと、主軸250とを含む。
【0086】
制御部200Aは、たとえば、CNC(Computer Numerical Control)装置である。CNC装置は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。制御部200Aは、加工プログラムなど各種プログラムを実行することで駆動部240Aの動作を制御する。
【0087】
駆動部240Aは、主軸250を駆動するための機構である。駆動部240Aの装置構成は、任意である。駆動部240Aは、単体の駆動ユニットで構成されてもよし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図10の例では、駆動部240Aは、モータドライバ241A~241Cと、リニアモータ242A~242Cと、エンコーダ243A~243Cとで構成されている。リニアモータ242A~242Cの各々は、上述のリニアモータ100に対応する。
【0088】
モータドライバ241Aは、主軸250のX'軸方向における駆動を制御する。モータドライバ241Aは、制御部200Aから制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた電流をリニアモータ242Aに出力する。
【0089】
より具体的には、制御部200Aは、目標位置を含む制御信号をモータドライバ241Aに逐次的に出力する。モータドライバ241Aは、エンコーダ243Aのフィードバック信号から主軸250の実位置を算出し、当該実位置と当該目標位置との差分が小さくなるようにリニアモータ242Aに電流を出力する。これにより、モータドライバ241Aは、X'軸方向の任意の位置に主軸250を移動する。
【0090】
モータドライバ241Bは、主軸250のY'軸方向における駆動を制御する。モータドライバ241Bは、制御部200Aから制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた電流をリニアモータ242Bに出力する。
【0091】
より具体的には、制御部200Aは、目標位置を含む制御信号をモータドライバ241Bに逐次的に出力する。モータドライバ241Bは、エンコーダ243Bのフィードバック信号から主軸250の実位置を算出し、当該実位置と当該目標位置との差分が小さくなるようにリニアモータ242Bに電流を出力する。これにより、モータドライバ241Bは、Y'軸方向の任意の位置に主軸250を移動する。
【0092】
モータドライバ241Cは、主軸250のZ'軸方向における駆動を制御する。モータドライバ241Cは、制御部200Aから制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた電流をリニアモータ242Cに出力する。
【0093】
より具体的には、制御部200Aは、目標位置を含む制御信号をモータドライバ241Cに逐次的に出力する。モータドライバ241Cは、エンコーダ243Cのフィードバック信号から主軸250の実位置を算出し、当該実位置と当該目標位置との差分が小さくなるようにリニアモータ242Cに電流を出力する。これにより、モータドライバ241Cは、Z'軸方向の任意の位置に主軸250を移動する。
【0094】
(G2.テーブル)
次に、図11を参照して、リニアモータ100をテーブルの駆動に応用する例について説明する。図11は、工作機械200の装置構成の他の例を示す図である。
【0095】
リニアモータ100は、たとえば、工作機械内に設けられているテーブル260を駆動するために用いられる。テーブル260は、加工対象のワークを載置するための台である。
【0096】
図11に示されるように、工作機械200は、制御部200Aと、駆動部240Bと、テーブル260とを含む。
【0097】
駆動部240Bは、テーブル260を駆動するための機構である。駆動部240Bの装置構成は、任意である。駆動部240Bは、単体の駆動ユニットで構成されてもよし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図11の例では、駆動部240Bは、モータドライバ241D,241Eと、リニアモータ242D,242Eと、エンコーダ243D,243Eとで構成されている。リニアモータ242D,242Eの各々は、上述のリニアモータ100に対応する。
【0098】
モータドライバ241Dは、テーブル260のX'軸方向における駆動を制御する。モータドライバ241Dは、制御部200Aから制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた電流をリニアモータ242Dに出力する。
【0099】
より具体的には、制御部200Aは、目標位置を含む制御信号をモータドライバ241Dに逐次的に出力する。モータドライバ241Dは、エンコーダ243Dのフィードバック信号からテーブル260の実位置を算出し、当該実位置と当該目標位置との差分が小さくなるようにリニアモータ242Dに電流を出力する。これにより、モータドライバ241Dは、X'軸方向の任意の位置にテーブル260を移動する。
【0100】
モータドライバ241Eは、テーブル260のY'軸方向における駆動を制御する。モータドライバ241Eは、制御部200Aから制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた電流をリニアモータ242Eに出力する。
【0101】
より具体的には、制御部200Aは、目標位置を含む制御信号をモータドライバ241Eに逐次的に出力する。モータドライバ241Eは、エンコーダ243Eのフィードバック信号からテーブル260の実位置を算出し、当該実位置と当該目標位置との差分が小さくなるようにリニアモータ242Eに電流を出力する。これにより、モータドライバ241Eは、Y'軸方向の任意の位置にテーブル260を移動する。
【0102】
(G3.ローダ)
次に、図12を参照して、リニアモータ100をローダの駆動に応用する例について説明する。図12は、工作機械200の装置構成の他の例を示す図である。
【0103】
リニアモータ100は、たとえば、部材を搬送するためのローダ270を駆動するために用いられる。当該部材は、加工前または加工後のワークであってもよいし、工具であってもよい。
【0104】
図12に示されるように、工作機械200は、制御部200Aと、駆動部240Cと、ローダ270とを含む。
【0105】
駆動部240Cは、ローダ270を駆動するための機構である。駆動部240Cの装置構成は、任意である。駆動部240Cは、単体の駆動ユニットで構成されてもよし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図12の例では、駆動部240Cは、モータドライバ241F,241G,241Hと、リニアモータ242F,242G,242Hと、エンコーダ243F,243G,243Hとで構成されている。リニアモータ242F,242G,242Hの各々は、上述のリニアモータ100に対応する。
【0106】
モータドライバ241Fは、ローダ270のX'軸方向における駆動を制御する。モータドライバ241Fは、制御部200Aから制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた電流をリニアモータ242Fに出力する。
【0107】
より具体的には、制御部200Aは、目標位置を含む制御信号をモータドライバ241Fに逐次的に出力する。モータドライバ241Fは、エンコーダ243Fのフィードバック信号からローダ270の実位置を算出し、当該実位置と当該目標位置との差分が小さくなるようにリニアモータ242Fに電流を出力する。これにより、モータドライバ241Fは、X'軸方向の任意の位置にローダ270を移動する。
【0108】
モータドライバ241Gは、ローダ270のY'軸方向における駆動を制御する。モータドライバ241Gは、制御部200Aから制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた電流をリニアモータ242Gに出力する。
【0109】
より具体的には、制御部200Aは、目標位置を含む制御信号をモータドライバ241Gに逐次的に出力する。モータドライバ241Gは、エンコーダ243Gのフィードバック信号からローダ270の実位置を算出し、当該実位置と当該目標位置との差分が小さくなるようにリニアモータ242Gに電流を出力する。これにより、モータドライバ241Gは、Y'軸方向の任意の位置にローダ270を移動する。
【0110】
モータドライバ241Hは、ローダ270のZ'軸方向における駆動を制御する。モータドライバ241Hは、制御部200Aから制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた電流をリニアモータ242Hに出力する。
【0111】
より具体的には、制御部200Aは、目標位置を含む制御信号をモータドライバ241Hに逐次的に出力する。モータドライバ241Hは、エンコーダ243Hのフィードバック信号からローダ270の実位置を算出し、当該実位置と当該目標位置との差分が小さくなるようにリニアモータ242Hに電流を出力する。これにより、モータドライバ241Hは、Z'軸方向の任意の位置にローダ270を移動する。
【0112】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
10 磁石板、12 磁石、50 スライダ、51 スライダコア、51A 貫通孔、51B 貫通孔、51C 貫通孔、51D 貫通孔、52 コイル、53 ティース、53A ティース、53B ティース、53C ティース、53D ティース、56 冷却配管、58 固定用部材、58A 固定用部材、58B 固定用部材、58C 固定用部材、58D 固定用部材、59A ねじ穴、59B ねじ穴、59C ねじ穴、59D ねじ穴、60 筐体、100 リニアモータ、200 工作機械、200A 制御部、240A 駆動部、240B 駆動部、240C 駆動部、241A モータドライバ、241B モータドライバ、241C モータドライバ、241D モータドライバ、241E モータドライバ、241F モータドライバ、241G モータドライバ、241H モータドライバ、242A リニアモータ、242B リニアモータ、242C リニアモータ、242D リニアモータ、242E リニアモータ、242F リニアモータ、242G リニアモータ、242H リニアモータ、243A エンコーダ、243B エンコーダ、243C エンコーダ、243D エンコーダ、243E エンコーダ、243F エンコーダ、243G エンコーダ、243H エンコーダ、250 主軸、260 テーブル、270 ローダ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12