(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】光軸調整システム、光軸調整方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03B 15/00 20210101AFI20250307BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20250307BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20250307BHJP
【FI】
G03B15/00 T
G03B17/56 Z
H04N23/60
(21)【出願番号】P 2024514472
(86)(22)【出願日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 JP2023039071
【審査請求日】2024-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】永谷 達也
(72)【発明者】
【氏名】久田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】浅野 祐司
(72)【発明者】
【氏名】李 偉浩
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0257552(US,A1)
【文献】特開2008-070218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/00
G03B 17/02
H01L 21/30
H04N 23/40-23/76
G01B 11/00-11/30
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置の撮像対象面と、前記撮像装置の光軸を調整する光軸調整システムであって、
前記撮像対象面には鏡が配置され、前記鏡の鏡面には、調整に使用される治具が配置され、前記治具は、前記撮像装置によって撮像されうるガイドと、前記ガイドを前記鏡面から予め定められた距離離れた位置に支持する支持部とを含み、
前記鏡が載置された撮像対象面を移動させる撮像対象面駆動部と、
前記撮像装置を移動させる撮像装置駆動部と、
前記撮像装置の撮像画像上で、前記ガイドの実像及び鏡像からそれぞれ導出される特定の特徴点の位置が互いに一致するように前記撮像対象面駆動部または前記撮像装置駆動部を制御する制御手段と、
前記撮像対象面駆動部または前記撮像装置駆動部の移動量または傾斜角度の調整量を保存する記憶手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記ガイドの実像と鏡像の一方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との一方を水平方向に移動させ、または、前記ガイドの実像と鏡像の他方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との他方の傾斜角度を調整させ、その後更に、
前記制御手段は、
前記ガイドの実像と鏡像の一方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との一方を少なくとも1回水平方向に移動させ、該移動量を前記記憶手段に保存し、かつ、
前記ガイドの実像と鏡像の他方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との他方を少なくとも1回、傾斜角度を調整させ、該傾斜角度の調整量を前記記憶手段に保存し、その後更に、
前記制御手段は、
前記実像と前記鏡像の一方の位置を求め、求めた前記一方の位置と、求めた時点よりも予め定められた期間前に求めた前記一方の位置とに基づいて、前記実像と前記鏡像の一方の位置を前記撮像画像の中心に移動させるために必要な前記移動量を調整する割合を表す調整率を求め、求めた調整率と、前記
記憶手段に保存された移動量または調整量
とに基づいて、前記特徴点の位置
を前記撮像画像の中心に移動させるように前記撮像対象面駆動部または前記撮像装置駆動部を制御する、
光軸調整システム。
【請求項2】
撮像装置の撮像対象面と、前記撮像装置の光軸を調整する光軸調整システムであって、
前記撮像対象面には鏡が配置され、前記鏡の鏡面には、調整に使用される治具が配置され、前記治具は、前記撮像装置によって撮像されうるガイドと、前記ガイドを前記鏡面から予め定められた距離離れた位置に支持する支持部とを含み、
前記鏡が載置された撮像対象面を移動させる撮像対象面駆動部と、
前記撮像装置を移動させる撮像装置駆動部と、
前記撮像装置の撮像画像上で、前記ガイドの実像と、前記ガイドの前記鏡面に写った鏡像とが、重なるように前記撮像対象面駆動部または前記撮像装置駆動部を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記ガイドの実像と鏡像の一方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面駆動部と前記撮像装置駆動部との一方を
水平方向に移動させ、その後更に、
前記制御手段は、前記ガイドの実像と前記ガイドの鏡像とが重なっていないと判定された場合、前記実像と前記鏡像の他方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面駆動部と前記撮像装置駆動部との他方
の傾斜角度を調整させ、
前記制御手段は、前記実像と前記鏡像の一方の位置を求め、求めた前記一方の位置と、求めた時点よりも予め定められた期間前に求めた前記一方の位置とに基づいて、前記実像と前記鏡像の一方の位置を前記撮像画像の中心に移動させるために必要な移動量を調整する割合を表す調整率を求め、
前記制御手段は、前記調整率と、前記実像と前記鏡像の一方の位置と前記撮像画像の中心との距離とに基づいて、前記実像と前記鏡像の一方の位置を前記撮像画像の中心に移動するように、前記撮像対象面駆動部と前記撮像装置駆動部との一方を
水平方向に移動させ、
前記制御手段は、前記調整率と、前記実像と前記鏡像の
他方の位置と前記撮像画像
の中心との距離とに基づいて
、前記実像と前記鏡像の他方の位置を
前記撮像画像の中心へ移動するように、前記撮像対象面駆動部と前記撮像装置駆動部との他方
の傾斜角度を調整させる、
光軸調整システム。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記ガイドの実像と前記ガイドの鏡像の距離を求め、距離が基準値以下の時に光軸を調整する処理を終了し、
前記基準値と、前記撮像画像の1画素当たりの前記撮像対象面の移動距離又は傾斜角との積と、
前記基準値と、前記撮像画像の1画素当たりの前記撮像装置の移動距離又は傾斜角との積と、を最大誤差として記録する、
請求項
2に記載の光軸調整システム。
【請求項4】
撮像対象面の上に鏡を配置し、鏡の上に該鏡から離間してガイドを配置し、
撮像装置によって撮像された撮像画像上の前記ガイドの実像の位置と鏡像の位置とを判定し、
前記撮像画像上で前記実像
及び前記鏡像
からそれぞれ導出される特定の特徴点の位置が互いに一致するように前記撮像対象面と前記撮像装置との相対位置を制御し、
前記ガイドの実像と鏡像の一方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との一方を水平方向に移動させ、または、前記ガイドの実像と鏡像の他方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との他方の傾斜角度を調整させ、その後更に、
前記ガイドの実像と鏡像の一方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との一方を少なくとも1回水平方向に移動させ、該移動量を記憶し、かつ、前記ガイドの実像と鏡像の他方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との他方を少なくとも1回、傾斜角度を調整させ、該傾斜角度の調整量を記憶し、その後更に、
前記実像と前記鏡像の一方の位置を求め、求めた前記一方の位置と、求めた時点よりも予め定められた期間前に求めた前記一方の位置とに基づいて、前記実像と前記鏡像の一方の位置を前記撮像画像の中心に移動させるために必要な前記移動量を調整する割合を表す調整率を求め、求めた調整率と、記憶した前記移動量または前記調整量
とに基づいて、
前記特徴点の位置を前記撮像画像の中心に移動させるように前記撮像対象面と前記撮像装置との相対位置を制御する、
光軸調整方法。
【請求項5】
コンピュータに、
撮像装置によって撮像された、鏡とガイドとが配置された撮像対象面の撮像画像上の前記ガイドの実像の位置と鏡像の位置とを判定し、
前記撮像画像上で前記実像
及び前記鏡像
からそれぞれ導出される特定の特徴点の位置が互いに一致するように前記撮像対象面と前記撮像装置との相対位置を制御し、
前記ガイドの実像と鏡像の一方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との一方を水平方向に移動させ、または、前記ガイドの実像と鏡像の他方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との他方の傾斜角度を調整させ、その後更に、
前記制御手段は、前記ガイドの実像と鏡像の一方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との一方を少なくとも1回水平方向に移動させ、該移動量を記憶し、かつ、前記ガイドの実像と鏡像の他方を前記撮像画像の中心へ移動させるように、前記撮像対象面と前記撮像装置との他方を少なくとも1回、傾斜角度を調整させ、該傾斜角度の調整量を記憶し、その後更に、
前記実像と前記鏡像の一方の位置を求め、求めた前記一方の位置と、求めた時点よりも予め定められた期間前に求めた前記一方の位置とに基づいて、前記実像と前記鏡像の一方の位置を前記撮像画像の中心に移動させるために必要な前記移動量を調整する割合を表す調整率を求め、求めた調整率と、記憶した前記移動量または前記調整量とに基づいて、
前記特徴点の位置を前記撮像画像の中心に移動させるように前記撮像対象面と前記撮像装置との相対位置を制御する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発開示は、光軸調整システム、光軸調整方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置の光軸を調整する技術が知られている。例えば、特許文献1には、孔を有する二枚の板を離して固定した調整治具をカメラで撮影し、前面板と背面板の孔が真ん中で重なって撮影できるようにカメラの角度を調整する方法が開示されている。また、特許文献2には、製品組立用の調整治具に鏡を配置し、実像と調整治具の鏡に映った鏡像が合致するように、顕微鏡の傾きを調整する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-049590号公報
【文献】特開2008-070218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
調整治具を用いて光軸を調整する場合、高精度な調整治具が求められることが多い。しかし、調整治具の製作は手間がかかり、作業効率に大きな影響を及ぼす。例えば、特許文献1の技術では、調整治具の製作精度が、光軸調整の精度に直結するため、調整治具を高精度に製作し校正し、保持する必要があり、作業効率が低い。また、特許文献2の技術では、製品組立用に高精度で製作された調整治具に、光軸調整専用の鏡の装着部を形成し、光軸調整時に、装着部に鏡を平行度に配慮しつつ装着し、光軸調整終了後、鏡を取り外す必要がある。製品組立用の高精度で製作される調整治具の製造と保持がより困難となり、作業効率が低い。さらに、調整治具に装着された鏡の光軸の精度が、光軸調整の精度に直結するため、実質的には、光学調整前に鏡の光学調整が必要となる。
【0005】
このため、簡易な治具を用いて、光軸調整を容易に行うことが求められる。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な治具を用いて容易に光軸調整を行う光軸調整システム、光軸調整方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る光軸調整システムは、撮像装置の撮像対象面と、撮像装置の光軸を調整する光軸調整システムであって、撮像対象面には鏡が配置され、鏡の鏡面には、調整に使用される治具が配置され、治具は、撮像装置によって撮像されうるガイドと、ガイドを鏡面から予め定められた距離離れた位置に支持する支持部とを含み、鏡が載置された撮像対象面を移動させる撮像対象面駆動部と、撮像装置を移動させる撮像装置駆動部と、撮像装置の撮像画像上で、ガイドの実像及び鏡像からそれぞれ導出される特定の特徴点の位置が互いに一致するように撮像対象面駆動部または撮像装置駆動部を制御する制御手段と、撮像対象面駆動部または撮像装置駆動部の移動量または傾斜角度の調整量を保存する記憶手段と、を備える。制御手段は、ガイドの実像と鏡像の一方を撮像画像の中心へ移動させるように、撮像対象面と撮像装置との一方を水平方向に移動させ、または、ガイドの実像と鏡像の他方を撮像画像の中心へ移動させるように、撮像対象面と撮像装置との他方の傾斜角度を調整させ、その後更に、制御手段は、ガイドの実像と鏡像の一方を撮像画像の中心へ移動させるように、撮像対象面と撮像装置との一方を少なくとも1回水平方向に移動させ、該移動量を記憶手段に保存し、かつ、ガイドの実像と鏡像の他方を撮像画像の中心へ移動させるように、撮像対象面と撮像装置との他方を少なくとも1回、傾斜角度を調整させ、該傾斜角度の調整量を記憶手段に保存し、その後更に、制御手段は、実像と鏡像の一方の位置を求め、求めた一方の位置と、求めた時点よりも予め定められた期間前に求めた一方の位置とに基づいて、実像と鏡像の一方の位置を撮像画像の中心に移動させるために必要な移動量を調整する割合を表す調整率を求め、求めた調整率と、記憶手段に保存された移動量または調整量とに基づいて、特徴点の位置を撮像画像の中心に移動させるように撮像対象面駆動部または撮像装置駆動部を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、撮像対象面に鏡と治具を配置して撮像することで、光軸調製が可能となる。このため、容易に光軸調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る光軸調整システムの全体構成例を示すブロック図
【
図2】実施形態1に係る光軸調整システムによる光軸調整後に実施される位置合わせの一例を説明するための図
【
図3】(A)と(B)は、実施形態1に係る撮像装置と鏡と治具を説明するための図
【
図4】実施形態1に係る光軸調整を説明するための図
【
図5】実施形態1に係る光軸調整を説明するための図
【
図6】実施形態1における載置台の水平移動を説明するための平面図
【
図7】実施形態1における撮像装置の角度調整を説明するための側面図
【
図8】実施形態1に係る動作制御ユニットの構成例を示すブロック図
【
図9】実施形態1に係る画像処理ユニットの構成例を示すブロック図
【
図10】実施形態1に係る光軸調整制御処理を示すフローチャート
【
図11】実施形態1の変形例に係る平行移動の案内の一例を示す図
【
図12】実施形態1の変形例に係る角度調整の案内の一例を示す図
【
図13】実施形態2に係る光軸調整制御処理を示すフローチャート
【
図14】実施形態2に係る光軸調整を説明するための図
【
図15】実施形態2の変形例に係る光軸調整を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下に、本実施形態に係る光軸調整システム、光軸調整方法及びプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当する部分には同じ符号を付す。
【0011】
本実施の形態に係る光軸調整システムは、ワークが載置される載置台とワークを撮像する撮像装置とを備え、載置台の載置面と撮像装置の光軸とを直角に調整する光軸調整が必要な様々なシステムに適用可能である。
【0012】
適用対象の一例として、半導体製造工程において、二枚の、半導体基板等の板状ワークを高精度に張り合わせる基板貼り合わせ装置について
図2を参照して説明する。
【0013】
貼り合わせ対象の二枚のワーク1001と1002にはそれぞれ位置決め用のマーカMkが形成されている。基板貼り合わせ装置は、二つのワーク1001と1002を、それらのマーカMkが重なるように位置決めを行って貼り合わせる。
【0014】
被組付けワーク1002は平行移動と回転移動が可能なアライメント機構100の載置台101の平坦な載置面102に載置される。組付けワーク1001は図示せぬハンド等に把持されて移動される。組付けワーク1001は、供給位置から貼り付け位置までの移動距離が最終的な張り合わせで要求される精度と比較して長いため、微細な位置調整が不得意であり、毎回同じ動きをする。一方で、アライメント機構100は最大調整距離が短いけれど高精度に移動可能なため、撮像装置300で取得した映像から得た2つのマーカMkの間の相対距離からの位置補正を行う。これによって、マーカMkが重なる位置で二つのワーク1001、1002の高精度な張り合わせを実現している。
【0015】
位置決めで利用する撮像装置300が被撮影面、すなわち、ワーク1001,1002の表面に対して傾いていると、画像素子の撮像領域全体において一画素当たりの距離に偏りが生じてしまい、結果として画像認識の精度が劣化する。画像補正で対応することも考えられるが、画像補正では、引き延ばし等の処理を行うため、画像内の偏りは補正できるが、一画素当たりの情報量の偏りは原理的に残ってしまう。このため、正対している場合と比較して、画像認識の精度は劣化する。
【0016】
また、従来技術の欄で説明したように、高精度の治具を制作し校正して利用し、高精度のまま保持するにはコストが高い。
【0017】
そこで、本実施の形態では、撮像装置と撮影対象の相対的な平行移動と撮像装置の光軸調整を行うことによって、治具の工作精度を要求しない、光軸調整機能を提供する。さらに、調整作業を補助する機能も提供することで、安価でかつ利便性の高い光軸調整装置を提供する。
【0018】
次に、
図1を参照して、実施形態1に係る光軸調整システム1の全体構成を説明する。なお、以下の構成は、光軸調整を必要とする装置、例えば、前述の基板貼り合わせ装置の構成のうち、光軸調整に使用される部分を抽出した構成に相当する。
【0019】
図1に示すように、光軸調整システム1は、アライメント機構100と、撮像装置300と、アライメント機構100と撮像装置300を制御する動作制御ユニット200と、撮像装置300が撮像した画像を処理する画像処理ユニット400と、画像処理ユニット400での処理に用いる各種設定を行う設定端末500と、を備える。
【0020】
アライメント機構100は、載置台101と、載置台101を水平方向に移動するX軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113とを備える。X軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113は、それぞれ、アクチュエータを備え、全体として、X-Y-θステージを構成する。このX-Y-θステージは、
図6に示すように、載置台101を水平方向のX軸方向、X軸に垂直なY軸方向、鉛直方向のθ軸周りに移動する。また、X軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113は、それぞれ、エンコーダ等の位置センサを有しており、その位置を検出し、位置信号を出力する。
【0021】
X-Y-θステージが載置台101を水平移動することにより、
図6に例示する撮像装置300の撮影範囲Arが移動する。載置台101の水平移動の量即ち、載置台101上の距離と、撮像された画像の対応する画素数とは、予め、対応付けて求められて、動作制御ユニット200に格納されている。このため、載置台101の移動量から画像の移動量が画素単位で特定可能であり、また、画像上の画素数から載置台101の移動量を求めることも可能である。
【0022】
図1に示すように、X軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113には、駆動制御装置121,122,123がそれぞれ接続されている。駆動制御装置121,122,123は、それぞれ、動作制御ユニット200からの制御信号とX軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113からの各位置信号に基づいて、X軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113の位置を制御する。駆動制御装置121,122,123は、それぞれ、例えばサーボアンプから構成される。X軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113、駆動制御装置121~123は、全体として、撮像対象面を駆動する撮像対象面駆動部の一例である。
【0023】
撮像装置300は、アライメント機構100の上方から載置台101を撮像する撮像装置であり、光軸調整システム1の光軸調整の精度を実現させるのに十分な解像度を有するカメラである。撮像は様々な条件で実行されうる。例えば、他装置から撮像装置300への撮像指令に従って実行されたり、調整作業中で、撮像画像を連続して目視確認する場合には一定間隔で連続して実行されたりする。撮像装置300は、アライメント機構100の載置台101のおおよそ中央部の上方に設置されている。
撮像装置300の撮像の対象は、載置台101の載置面102であり、その光軸は載置面102、即ち、撮像対象面に垂直になるように調製される。
【0024】
図3(A)に示すように、撮像装置300は、画像素子302と、レンズ304とを備える。画像素子302は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子等の半導体画像素子を含む。レンズ304は、画像素子302の撮像面上に被写体像を結像させる。
【0025】
撮像装置300には、撮像装置300の傾斜角度を調整するジンバル機構301が設置されている。
図1に示すように、ジンバル機構301には、ジンバル駆動部311が接続されている。ジンバル駆動部311は、アクチュエータを備え、ジンバル機構301を駆動し、
図7に示すように、撮像装置300をX軸周りの傾斜角φxとY軸周りの傾斜角φyを個別に調整する。また、ジンバル駆動部311は、ロータリーエンコーダ等の角度センサを有しており、傾斜角φxとφyを検出し、傾斜角信号を出力する。なお、
図7において、傾斜角φyは、鉛直方向Agとの角度差によって示されている。
【0026】
撮像装置300の傾斜角φx、φyの変化により、撮像装置300の撮像位置が変化する。例えば、
図7に示すように、y軸周りの傾斜角φyが変化することにより、撮影範囲ArがX軸方向に移動する。傾斜角φx、φyの変化量と、傾斜角φx、φyの変化量に対応する撮像された画像上の画素数とは、予め、対応付けて求められて、動作制御ユニット200に格納されている。
【0027】
図1に示すように、ジンバル駆動部311には、駆動制御装置321が接続されている。駆動制御装置321は、動作制御ユニット200からの制御信号とジンバル駆動部311からの傾斜角信号とに基づいて、ジンバル駆動部311を制御し、傾斜角φxとφyを調整する。駆動制御装置321は、例えばサーボアンプである。ジンバル駆動部311と駆動制御装置321は、全体として、撮像装置300を傾斜または移動させる撮像装置駆動部の一例である。
【0028】
動作制御ユニット200は、駆動制御装置121,122,123,321に対してX軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113、ジンバル駆動部311の動作に係る指令を行うモーションコントローラであり、例えばPLC(Programmable Logic Controller)を含む。動作制御ユニット200は、駆動制御装置121,122,123,321及び画像処理ユニット400から取得した情報に基づいて、制御信号を生成し、駆動制御装置121,122,123,321に対して出力する。
【0029】
動作制御ユニット200は、
図8に示すように、プロセッサ210、揮発性メモリ220、不揮発性メモリ230、クロック240、通信インタフェース250を備える。プロセッサ210と、揮発性メモリ220と、不揮発性メモリ230と、クロック240と、通信インタフェース250とは、バスB1を介して互いに通信接続されている。
【0030】
プロセッサ210は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)を含み、不揮発性メモリ230の制御プログラム記憶部231に記憶された制御プログラムを読み込んで実行することにより、移動量算出部212、指令部213として機能する。
【0031】
プロセッサ210の移動量算出部212は、画像処理ユニット400が撮像画像を処理し、載置台101をX方向、Y方向及びθ方向へ移動させる移動量を算出する。また、移動量算出部212は、画像処理ユニット400が撮像画像を処理して、撮像装置300の傾斜角の調整量を算出する。指令部213は、移動量算出部212が算出した移動量に基づく制御信号を駆動制御装置121,122,123に出力する。また、指令部213は、移動量算出部212が算出した調整量に基づく制御信号を駆動制御装置321に出力する。移動量算出部212が実施する処理の詳細については、後述する。
【0032】
揮発性メモリ220は、プロセッサ210が実行する演算処理の際に、高速でデータの読み書きが可能なワークメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。不揮発性メモリ230は、動作制御ユニット200の各種機能を実現するための制御プログラムを記憶する制御プログラム記憶部231と、制御プログラムの実行時に使用されるパラメータ、過去の検出データ及び指令データを含む制御データを記憶する制御データ記憶部232と、を備える。不揮発性メモリ230は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリ、磁気ディスク、又は、光ディスクを含む。
【0033】
クロック240は、リアルタイムクロック(RTC)を含み、駆動制御装置121,122,123,321の動作を同期させる。
【0034】
通信インタフェース250は、動作制御ユニット200が駆動制御装置121,122,123,321、撮像装置300、画像処理ユニット400と通信するためのインタフェースであり、例えば、CC-Link IE/field、CC-Link IE/TSN等の通信規格に準拠したインタフェースを含む。
【0035】
図1に示す画像処理ユニット400は、撮像装置300から取得した撮像画像を処理し、アライメント機構100の位置と撮像装置300の傾斜角度の調整に関する情報を表す調整情報を求める。画像処理ユニット400が実行する処理の詳細については後述する。
【0036】
画像処理ユニット400は、
図9に示すように、プロセッサ410、揮発性メモリ420、不揮発性メモリ430、通信インタフェース440を備える。プロセッサ410と、揮発性メモリ420と、不揮発性メモリ430と、通信インタフェース440とは、バスB2を介して互いに通信接続されている。
【0037】
プロセッサ410は、例えばCPUを含み、不揮発性メモリ430の制御プログラム記憶部431に記憶された制御プログラムを読み込んで実行することにより、画像取得部411、調整情報算出部414として機能する。
【0038】
プロセッサ410の画像取得部411は、撮像装置300が撮像した画像を取得する。調整情報算出部414は、撮像画像を処理し、調整情報を求める。処理の詳細については後述する。
【0039】
揮発性メモリ420は、プロセッサ410が実行する演算処理の際に、高速でデータの読み書きが可能なワークメモリであり、例えば、RAMを含む。不揮発性メモリ430は、画像処理ユニット400の各種機能を実現するための制御プログラムを記憶する制御プログラム記憶部431と、制御プログラムの実行時に使用されるパラメータ、過去の検出データを含む制御データを記憶する制御データ記憶部432と、を備える。不揮発性メモリ430は、例えば、EEPROM、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリ、磁気ディスク、又は、光ディスクを含む。
【0040】
通信インタフェース440は、画像処理ユニット400が駆動制御装置121,122,123,321、動作制御ユニット200、撮像装置300と通信するためのインタフェースであり、例えば、CC-Link IE/field、CC-Link IE/TSN等の通信規格に準拠したインタフェースを含む。
【0041】
図1示す設定端末500は、画像処理ユニット400を管理可能なアプリケーションプログラムをインストールした端末であり、例えば、パーソナルコンピュータを含む。設定端末500は、画像処理ユニット400の不揮発性メモリ430に記憶されているパラメータの入力又は変更を含む画像処理ユニット400の管理機能を有する。また、設定端末500は、画像処理ユニット400または動作制御ユニット200が出力した算出値を含む情報を表示する。設定端末500が画像処理ユニット400と通信接続するための通信インタフェースは、画像処理ユニット400が有するインタフェースに対応した任意のインタフェースであり、例えば、USBインタフェース又はRS232Cインタフェースを含む。
動作制御ユニット200と画像処理ユニット400は、制御手段の一例である。
【0042】
本実施形態に係る光軸調整では、
図3(A)(B)に示すように、鏡11と治具12が使用される。
【0043】
鏡11は、光軸調整時に、載置台101の載置面102のおおよそ中央部に配置される。鏡11は、
図3(B)に示すように、平板の形状を有し、載置台101に配置される背面11bと背面11bに平行な鏡面11aを備える。背面11bと鏡面11aとが平行であるため、鏡11を載置台101上に配置すると、鏡面11aは、載置台101の載置面102に平行になる。従って、撮像装置300の光軸を鏡面11aに垂直に制御することで、撮像装置300の光軸を載置面102に垂直に調整することができる。
【0044】
治具12は、
図3(A)に示すように、光軸調整時に、載置台101の載置面102に配置された鏡11の鏡面11aに設置される。治具12は、ガイド12aと、ガイド12aを支持する支持部12bと、鏡面11aに接する脚部12cと、脚部12cと支持部12bとを鉛直方向に接続する柱部12dとを有する。
【0045】
ガイド12aは、真円の円環形状に形成され、鏡面11aにほぼ平行に支持されている。ガイド12aの中心点Hpの位置は、ガイド12aの実像の画像処理、及び、鏡像の画像処理により求めることができる。
【0046】
支持部12bは水平方向に延びて、ガイド12aを支持する。支持部12bの先端は、ガイド12aの真円の中心点Hpまで延在している。ガイド12aの中心点Hp及び支持部12bの先端Hpは、治具12を鏡面11aに垂直な方向から見たときに、実像の中心点Hpと鏡像の中心点Hpが重なる位置であり、特徴点の一例である。なお、本開示において、実像と鏡像とが重なるとは、「撮像画像上で、ガイド12aの像と、鏡面11aに写ったガイド12aの鏡像の像とが重なる」ことを意味する。また、鏡像とは、撮像画像上の鏡像の像を意味する。ここでは、鏡像の像のことを略して、「鏡像」という。
【0047】
脚部12cは、ガイド12aの円形形状よりもサイズの大きい略円形を有するリング形状を有する。柱部12dは、脚部12cから鉛直上方に延びた棒状形状である。支持部12bは、柱部12dの鉛直上方の先端部から、水平方向に延びた棒状形状である。
【0048】
このような構造であるため、撮像装置300は、ガイド12aの実像と鏡面11aに映った鏡像とを撮影可能である。なお、鏡面11aのサイズは、撮像装置300によってガイド12aを撮像した際にその鏡像が映る大きさである。また、ガイド12aを、設置面である鏡面11aから離す距離は、撮像装置300の被写界深度を基に、ガイド12aの実像と鏡像が認識され易い高さであり、距離は長い方が望ましい。また、ガイド12aは、鏡面11aに平行な面に関して対称に配置される。
【0049】
次に、
図4に示すように、載置台101に鏡11と治具12とを配置したときに、光線がどのようにガイド12aを通過して、実像および鏡像として画像素子302上に結像するかという点について、光軸調整の観点から説明する。
【0050】
図4は、鏡面11a及び画像素子302を横から見た状態を示しており、画像素子302の撮像面に結像するガイド12aの実像と鏡像の位置をそれぞれ示している。実線で示される光線Ax1は、鏡面11aで反射してガイド12aとレンズ304の中心部LCを通過して画像素子302上に実像として結像している。また、破線で示す光線Ax2は、ガイド12aを通過した後、鏡面11aで反射してレンズの中心部LCを通過して画像素子302上に鏡像として結像している。一点鎖線は、鏡面11aの垂線VLを示している。この例では、画像素子302と鏡面11aとは互いに正対していない。また、実像と鏡像は画像素子302の撮像面上の離れた位置に結像している。ここで、レンズ304の中心部LCとガイド12aとが、鏡面11aの同一の垂線VL上に位置するように、調整すると、光線Ax1と光線Ax2が重なり、ガイド12aの実像と鏡像とが画像素子302の撮像面上で重なって結像する。
【0051】
図5では、
図4と同様に、画像素子302と鏡面11aとは互いに正対していない。ただし、
図5では、レンズ304の中心部LCを通過する鏡面11aの垂線VL上にガイド12aが位置する。このため、実像と鏡像とが重なる。しかし、実像と鏡像の結像位置は、画像素子302の中心部から離れている。このように、レンズ304の中心部LCが画像素子302の中心部から垂線方向に位置する様に光学系が調整されている場合には、画像素子302の中心部で実像と鏡像が一致する時に、画像素子302と鏡面11aとが正対している。
【0052】
従って、画像素子302の中心部の垂線方向にレンズ304の中心部LCが位置している様に光学系が調整されていれば、画像素子302の中心部において撮像装置300で撮影されたガイド12aの実像と鏡像が重なるように、アライメント機構100と撮像装置300を調整することで、撮像装置300の光軸を載置台101に垂直に調整することができる。実像と鏡像が正確に重なっているか否かを判別するためには、例えば、ガイド12aの中心点Hpが実像と鏡像で重なっていることを判別すればよい。
なお、撮像装置300のレンズ304の収差の影響、光軸調整時の移動範囲の余裕確保の観点から、ガイド12aの実像及び鏡像は、画像素子302の撮像面の中央近傍に位置することが望ましい。このため、本実施の形態では、実像と鏡像の結像位置を、画像素子302の中心部とする調整も行う。
【0053】
以上説明した構成を有する光軸調整システム1による具体的な光軸調整処理を説明する。
光軸調整処理は、例えば、
図2を参照して説明した基板貼り合わせ作業の開始時、予め設定されたロット数を処理したとき等に適宜実行される。
作業者は、まず、アライメント機構100を基準位置に戻し、ジンバル機構301を基準傾斜角度に戻す。次に、作業者は、載置台101のほぼ中央位置に鏡面11aを上にして鏡11を配置する。続いて、作業者は、鏡11のほぼ中央位置に治具12を配置する。この例では、支持部12bがX軸方向に延在する向きで、治具12を鏡11上に配置する。これにより、撮像装置300の撮影範囲Ar内に、鏡11と治具12とが配置される。
【0054】
続いて、作業者は、設定端末500から画像処理ユニット400に光軸調整制御処理の開始の指令を送信する。指令に応答して、画像処理ユニット400は、撮像装置300に対して撮像の開始を指示する指令を送る。撮像装置300は、指令に応答して、撮像を開始し、
図10に示すように、画像取得部411は撮像装置300から撮像画像を取得する(ステップS101)。なお、撮像装置300は、予め定められた時間間隔で、撮像を行う。撮像装置300は、例えば、10ms(ミリ秒)の間隔で撮像を行う。
【0055】
調整情報算出部414は、画像処理技術を利用して、撮像画像におけるガイド12aの実像の中心点Hpの座標を求める。調整情報算出部414は、求めたガイド12aの実像の中心点Hpの座標を、動作制御ユニット200に出力する。
【0056】
動作制御ユニット200における移動量算出部212は、実像の中心点Hpを、撮像画像の中心に移動させるために鏡11を移動させるべき量を求める。鏡11の移動すべき量は、実像の中心点Hpの画像上の座標(Xr,Yr)と、撮像画像の中心点の座標(0,0)との差分によって求められる。動作制御ユニット200における指令部213は、実像の中心点Hpを、撮像画像の中心に移動させる指令を行う(ステップS102)。具体的には、動作制御ユニット200が、駆動制御装置121,122,123に対して、各方向の移動を実現させる制御信号を出力する。そして、制御信号に基づく駆動制御装置121,122,123の制御によりX軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113が、鏡11を載置した載置台101を移動させる。
【0057】
載置台101を移動させた後、画像取得部411は撮像装置300から撮像画像を取得する(ステップS103)。調整情報算出部414は、画像処理技術を利用して、撮像画像におけるガイド12aの実像の中心点Hpの座標と、ガイド12aの鏡像の中心点Hpの座標とを求める。なお、ステップS102の処理によって、ガイド12aの実像の中心点Hpは、撮像画像の中心(0,0)に移動している。
【0058】
調整情報算出部414は、ガイド12aの実像の中心点Hpの画像上の座標(Xr,Yr)と、ガイド12aの鏡像の中心点Hpの画像上の座標(Xi,Yi)との距離L=√{(Xr-Xi)2+(Yr-Yi)2}が予め定められた基準距離Lr以下であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0059】
距離L>Lrであると判定された場合(ステップS104:No)、動作制御ユニット200における指令部213は、鏡像の中心点Hpの座標(Xi,Yi)を、撮像画像の中心座標(0,0)に移動させる指令を駆動制御装置321に送信する(ステップS105)。
【0060】
駆動制御装置321は、指令に従って、ジンバル駆動部311を駆動して、ジンバル機構301を制御し、撮像装置300の傾き角φx、φyを調整する。例えば、右手系座標の場合、撮像装置300の傾きを調整して原点へ移動させるには、X座標でプラスの場合は、Y軸周りプラス方向に回転させる指示となる。また、Y座標でプラスの場合は、X軸周りマイナス方向に回転させる指示となる。
【0061】
ステップS105の処理によって、撮像装置300の傾斜角の調整が行われると、ガイド12aの実像の中心点は画像中心から移動する。このため、処理はステップS101へ戻り、撮像画像の取得処理(ステップS101)が行われて、再度、実像の中心点を画像中心へ移動させる指令処理が行われる(ステップS102)。そして、ステップS103の処理を経て、ステップS104において、実像中心と鏡像中心との距離が予め定められた距離の範囲内であると判定される(ステップS104:Yes)まで、ステップS101~S105の処理が繰り返される。
【0062】
一方、距離L≦Lrであると判定された場合(ステップS104:Yes)、実像中心と鏡像中心の距離の差があるものの、ガイド12bの実像と鏡像が実質的に重なって結像している状態にあるといえる。
図4を参照して説明したように、この状態では、撮像装置300の光軸は、ガイド12aの中心点Hpをほぼ通過し、光軸と鏡11の鏡面11aは垂直である。また、鏡面11aと載置面102は平行なので、撮像装置300の光軸と載置面102は垂直である。従って、光軸調整制御処理は終了する。
【0063】
画像処理ユニット400は、設定端末500を介して、作業者に、光軸調整が完了したことを報知する。
報知に応答して、作業者は、載置台101から鏡11及び治具12を取り除き、作業を、通常の基板貼り合わせ処理に移行する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る光軸調整システム1において、載置台101に鏡11と治具12を配置し、撮像装置300で治具12のガイド12aを撮影し、画像中心部においてガイド12aの実像の中心点と鏡像の中心点とを一致させるようにアライメント機構100と撮像装置300を調整することにより、撮像装置300の光軸調整を行う。このため、撮像装置300の光軸と載置台101の載置面102とを垂直にする光軸調整を容易に行うことができる。
【0065】
(実施形態1の変形例)
実施形態1では、ガイド12aは円形であったが円形に限定されない。四角形、三角形などの中心点、重心点などの特徴点を特定できる他の形状でもよい。また、例えば、ガイド12aを配置せず、支持部12bの先端を特徴点としてもよい。その他、撮像装置300の光軸が載置面102に垂直な状態になったときに、実像上の位置と鏡像上の位置が一致して重なる点ならば、任意の点を特徴点とすることができる。また、支持部12b、脚部12c、柱部12dの形状、構造、数などは、ガイド12aが鏡面11aから一定距離離れ、撮像装置300がガイド12aの実像と鏡像とを観察できる範囲において、任意である。
また、実施形態1では、ガイド12aの実像と鏡像の位置を画像素子302の中央部とする調整を行った。ここで「中央部」とは厳格な中央或いは中心を意味せず、光軸調整に与える悪影響が十分に小さくなる程度に中央と予め設定されたその周辺部とを含む中央部分の意味である。
【0066】
実施形態1では、ガイド12aの実像と鏡像の中心点Hpの距離Lが基準値Lr以下か否かにより、実像と鏡像とが重なったか否かを判別した。この開示はこれに限定されない。例えば、ガイド12aを実像と鏡像とが一致する形状とし、実像の撮像パターンと鏡像の撮像パターンが一致するか否かにより、実像と鏡像が重なったか否かを判別してもよい。その他、任意の手法により、ガイド12aの実像と鏡像とが重なって、撮像装置300の光軸が撮像対象面、鏡面11a、載置面102に垂直であることを判別してもよい。
【0067】
実施形態1では、撮像装置300の角度の調整量は、ガイド12aの鏡像の中心点が画像中心に移動する量であったが、本開示はこれに限られない。例えば、撮像装置300の最初の角度調整量は、ガイド12aの鏡像の中心点が画像中心に移動する量よりも大きい値、例えば、2倍、1.5倍等であってもよい。このような移動量を設定することにより、鏡11の平行移動と、撮像装置300の角度調整を繰り返して、漸近的に画像中心に近づくので、最初の大きな振れ幅によって試行回数が減らされる。
【0068】
また、撮像装置300の角度調整の過程で、より精密な調整を可能とするように、撮像装置300の撮像倍率を、通常処理時の倍率よりも低い倍率に下げてもよい。例えば、最初に鏡像中心の位置が(X,Y)=(30,20)であり、画像中心の位置(X,Y)=(0,0)への角度調整として、(a,b)=(-20×5,30×5)程度の高倍率で調整される。そして、鏡像中心の位置が(X,Y)=(6,4)に近づいてきた場合には、オーバーシュートしない様に(a,b)=(-4×2,6×2)として倍率を下げて調整されてもよい。(a,b)の計算は、(鏡像中心の位置の変換値×倍率)ではなく、距離情報のない方向だけを表現する単位ベクトルが使用されてもよく、その場合は鏡像の中心までの距離に比例した倍率を掛けた(単位ベクトル×倍率)で角度調整が行われてもよい。
【0069】
また、鏡11の平行移動、または、撮像装置300の角度調整に関する情報を、駆動制御装置121~123及び321に直接供給するのではなく、設定端末500に画面表示して調整作業者に伝え、調整作業者が移動量等を設定端末500から指示するようにしてもよい。
【0070】
例えば、
図11に例示するように、例えば、X軸駆動部111、Y軸駆動部112が操作された際のガイド12aの中心点が移動する方向を画面端等に表示してもよい。また、ガイド12aの実像の近傍等に、X軸とY軸の交点となる、画像の中心点までの移動量を表示してもよい。
図11に示す例では、X軸駆動部111をプラス方向に26、Y軸駆動部112をマイナス方向に29だけ移動させればよいと表示されている。また、画像の中心部と、X軸駆動部111、Y軸駆動部112の移動方向が分かり易いように点線のガイドラインも表示されている。
【0071】
また、
図12に示すように、例えば、ジンバル駆動部311の操作によりガイド12aの実像及び鏡像が移動する方向、移動量等を画面端等に表示してもよい。
図12の例では、右方向と手前方向に撮像装置300の角度を調整するような指示である。この指示に基づく操作が行われると、ガイド12aの鏡像の位置は、画像中心へ移動する。数値は画像中心部から、ガイド12aの鏡像の中心点までの画素数から計算された調整量であり、撮像装置300の角度と画素数とのキャリブレーションが完了していれば、そのキャリブレーションに則った数値となる。
【0072】
図11,
図12に例示したような画面表示を参考に、調整作業者が鏡11の平行移動及び撮像装置300の角度調整を、設定端末500から指示することができる。この場合、画像処理ユニット400は、動作制御ユニット200を介して駆動制御装置121~123及び321に対して指示に従った制御信号を送信する。
【0073】
また、撮像装置300の角度調整は作業者によって手動で行われ、ガイド12aの実像の中心点を画像中心へ移動させる平行移動は、指令部213から駆動制御装置121~123に対して移動指令が行われ、X軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113によって実現されてもよい。
【0074】
光軸調整システム1に係る鏡11の平行移動の移動ステージ、言い換えるとX-Y-θステージは、画像の中心部にガイド12aの中心点を移動させる機能を有していれば、その実現方式は任意である。例えば、鏡11の平行移動における移動指令は、X軸方向、Y軸方向、θ軸周りの各駆動部単体への移動量ではなく、各駆動部の合成移動が可能な構成であれば、その合成移動での指令値によって行われてもよい。
【0075】
実施形態1に係る光軸調整システム1では、ガイド12aの実像を基準にして光軸調整が行われたが、ガイド12aの鏡像を基準にして光軸調整が行われてもよい。実像と鏡像は本開示の光軸調整においては入れ替え可能であり、どちらを基準にして光軸調整されてもよい。
【0076】
また、撮像装置300と鏡11の鏡面11aとの相対位置の制御、言い換えると、相対的な移動及び傾斜の調整ができれば、構成は任意である。例えば、実施形態1の構成とは逆の構成であってもよい。具体的には、撮像装置300側に平行移動の駆動部が設けられ、鏡11側に傾斜調整が可能なゴニオステージを配置する等してもよい。
【0077】
また、撮像装置300の光学系に対して、ミラー、プリズム、レンズ等を利用して、撮像装置300の設置方向を実施形態1から変更してもよい。また、複数の画像素子を利用してもよく、複数の画像素子が一体となった撮像装置300と撮像面との光軸調整が行われてもよい。異なる画像素子が利用される場合、例えば、ビームスプレッタで光が分割され、二つの画像素子に結像する。この場合、光学系は共通で、角度調整は一つである。なお、機器内の複数画像素子のキャリブレーションは別途実施されている。
【0078】
実施形態1に係る光軸調整制御処理では、実像中心Hpと鏡像中心Hpとの画像上の座標距離が予め定められた距離の範囲内であるときに、光軸調整制御処理を終了した。本開示はこれに限られない。例えば、ステップS102及びS105での移動処理を予め定められた回数実行したときに、終了するようにしてもよい。また、1回当たりの移動量が基準範囲内になったときに終了としてもよい。
【0079】
また、実施形態1に係る光軸調整制御処理では、ステップS104で、終了条件が成立したか否かを判別し、終了条件が成立したと判別した場合に、光軸調整制御処理を自動的に終了した。本開示はこれに限られない。光軸調整制御処理を終了するか否かを、調整作業者が判断してもよい。例えば、
図10の光軸調整制御処理のステップS104において、
図11、
図12に例示するように、実像中心Hpの座標位置と鏡像中心Hpの座標位置とを設定端末500に表示し、調整作業者が、それらの距離が予め定められた範囲内にあると判断した場合に、光軸調整制御処理の終了を設定端末500から指示して、処理を終了させてもよい。
【0080】
光軸調整制御処理を完了した際に、移動量算出部212が、調整後の光軸に含まれる誤差の大きさを記録或いは表示するようにしてもよい。
ここで、平均化等の画像処理による推測を行わない限り、画像認識では1画素より小さい変化を認識できない量子化誤差が残る。画像認識のアルゴリズムによって最小の認識精度は異なるが、1画素当たりの変化量は一つの目安となる。
例えば、
図10のステップS104では、実像中心Hpと鏡像中心Hpの距離Lが予め定められた範囲内にある場合に、光軸調整制御処理を終了した。このため、予め定められた範囲の最大画素数、即ち、基準値をTnとすると、距離Lは最大でTn画素分の誤差を含む。このため、例えば、移動量算出部212が、Tn×(1画素当たりの載置台101の移動距離)を、その光軸調整処理での最大誤差ΔLとして求め、求めた最大誤差ΔLを画像処理ユニット400の制御データ記憶部432に記録し、或いは、設定端末500に記録或いは表示するようにしてもよい。
【0081】
同様に、移動量算出部212が、1画素当たりの撮像装置300の角度φの変化量Δφを計算し、計算した変化量Δφと予め定められた基準値Tnとの積を、残存する可能性のある光軸の傾きの最大値として、記録或いは表示してもよい。
例えば、撮像装置300の傾斜角φに関しては、1画素当たりの角度変化量は、角度調整した量と画像内のガイド12aの鏡像の中心点の移動量とに基づいて計算することができる。これは、鏡11の平行移動とは切り離した、撮像装置300の角度調整のみに着目した例である。例えば、X軸周りで0.01度の角度調整によって、Y軸方向に5画素だけ鏡像の中心点が移動した場合、1画素当たりの角度変化量は、0.01/5として求められる。
例えば、このようにして求めた、光軸に含まれる誤差の最大値と、その光軸を用いて実行された処理の製品ロットとを対応付けて、画像処理ユニット400の制御データ記憶部432に記録し、或いは、設定端末500に表示して、事後の不良解析などに使用することにより、不良と光軸の精度との関係を解析できるようにしてもよい。
【0082】
(実施形態2)
以下に、本開示を実施するための実施形態2について図面を参照して説明する。なお、図中同一または相当する部分には同じ符号を付す。
【0083】
実施形態2に係る光軸調整システム1の全体構成及び各部のハードウェア構成は実施形態1と同様である。実施形態2に係る光軸調整システム1において、
図10に示す光軸調整制御処理に代えて、
図13に示す光軸調整制御処理を行う点が、実施形態1と異なる。以下、実施形態2について実施形態1と異なる点を中心に説明する。
【0084】
以下、実施形態2に係る光軸調整制御処理について、
図13および
図14を用いて説明する。
【0085】
図13に示すステップS101,S102の処理は、実施形態1と同様である。ステップS102の処理後、移動量算出部212は、ステップS102における鏡11の平行移動量を、制御データ記憶部232に保存する(ステップS211)。なお、鏡11の平行移動量は、周期的に制御データ記憶部232に保存される。
【0086】
ステップS211の後、実施形態1と同様のステップS103を経て、調整情報算出部414は、ガイド12aの鏡像の中心点Hpの位置、例えば
図14に示す点a1を、制御データ記憶部432に保存する(ステップS212)。なお、鏡像の中心点Hpの位置は、以後、ステップS212の処理が繰り返された場合であっても、更新されるのではなく蓄積される。鏡像の中心点Hpの位置は、周期的に制御データ記憶部432に保存される。
【0087】
ステップS212の後、実施形態1と同様のステップS104の処理が行われる。ステップS104において、実像の中心点Hpの位置と鏡像の中心点Hpの位置との距離Lが、基準値Lr以下であると判定された場合(ステップS104:Yes)、実施形態1と同様に、光軸調整制御処理は終了する。
【0088】
ステップS104において、実像の中心点Hpの位置と鏡像の中心点Hpの位置との距離Lが、基準値Lrより大きいと判定された場合(ステップS104:No)、調整情報算出部414は、ステップS212で保存された鏡像の中心点の数は2以上であるか否かを判定する(ステップS213)。この時点では、保存された鏡像の中心点は、
図14に示す点a1の1つである。このため、保存された鏡像の中心点の数は、2以上ではないと判定され(ステップS213:No)、処理はステップS105へ移る。ステップS105の処理は、実施形態1と同様である。
【0089】
ステップS105の処理後、移動量算出部212は、ステップS105における撮像装置300の角度調整量を、制御データ記憶部232に保存する(ステップS215)。なお、撮像装置300の角度調整量は、周期的に制御データ記憶部232に保存される。ステップS215の後、処理はステップS101へ戻り、ステップS101、S102、S211、S103の処理が行われる。
【0090】
ステップS103の後、ステップS212において、調整情報算出部414は、鏡像の中心点の位置、例えば
図14に示す点a2を、制御データ記憶部432に保存する(ステップS212)。ステップS212の後、ステップS104において、実像の中心点Hpの位置と鏡像の中心点Hpの位置との距離Lが、基準値Lrより大きいと判定された場合(ステップS104:No)、処理はステップS213へ移る。
【0091】
ここでは、鏡像のガイド12aの中心点Hpは、
図14に示す点a1,a2の2つであるため、鏡像のガイド12aの中心点Hpの保存数は2以上であると判定される(ステップS213:Yes)。
【0092】
調整情報算出部414は、調整率αを求める(ステップS214)。ここで、調整率αとは、鏡11の平行移動量と、撮像装置300の角度調整量とを調整するための割合を意味する。具体的には、現在の鏡像の中心点Hp位置から画像中心位置までの距離が、今回の鏡像の中心点Hpの位置と前回の鏡像の中心点Hpの位置の差分の何倍であるかの計算式によって求められる。例えば、
図14の場合、画像中心から点a1、点a2までの距離を、それぞれ、距離d1,d2とすると、調整率αは、α=d2/(d1-d2)によって求められる。調整率αは、動作制御ユニット200へ出力される。
【0093】
ステップS214の後、処理はステップS105へ移る。ステップS214を経て、ステップS105の処理が行われる場合、移動量算出部212は、制御データ記憶部232に保存された角度調整量に、ステップS214で算出された調整率αを乗算することによって、新たな角度調整量を求める。新たな角度調整量に基づいて、指令部213は、鏡像を移動させる指令を、駆動制御装置321へ送る(ステップS105)。駆動制御装置321は、指令部213からの制御信号に基づいて、ジンバル駆動部311を制御する。
【0094】
移動量算出部212は、ステップS105における撮像装置300の角度調整量を、制御データ記憶部232に保存する(ステップS215)。ステップS215の後、処理はステップS101へ戻り、ステップS101の処理が行われる。
【0095】
ステップS101の後、移動量算出部212は、制御データ記憶部232に保存された平行移動量に、ステップS214で算出された調整率αを乗算することによって、新たな平行移動量を求める。新たな平行移動量に基づいて、指令部213は、実像を移動させる指令を、駆動制御装置121,122,123へ送る(ステップS102)。駆動制御装置121,122,123は、指令部213からの制御信号に基づいて、X軸駆動部111,Y軸駆動部112,θ駆動部113を制御する。
【0096】
移動量算出部212は、ステップS102における鏡11の平行移動量を、制御データ記憶部232に保存する(ステップS211)。ステップS211の後、処理はステップS103を経て、ステップS212へと移る。
【0097】
ステップS212において、調整情報算出部414は、鏡像の中心点Hpの位置、例えば
図14に示す点a3を、制御データ記憶部432に保存する(ステップS212)。実像の中心点Hpの位置と鏡像の中心点Hpの位置の距離Lが、基準値Lr以下であると判定された場合(ステップS104:Yes)、光軸調整制御処理は終了する。距離Lが、基準値Lrより大きいと判定された場合(ステップS104:No)、ステップS213~S214、S105、S215、S101、S102、S211、S103、S212、S104の処理を繰り返す。
【0098】
以上説明したように、実施形態2の光軸調整制御処理では、ガイド12aの実像の中心点Hpを画像中心へ移動させた時の、ガイド12aの鏡像の中心点Hpの位置に基づいて、調整情報算出部414によって調整率αが求められた。移動量算出部212は、前回の鏡11の平行移動量に、調整率αを乗算することによって、新たな平行移動量を求めた。また、移動量算出部212は、前回の撮像装置300の角度調整量に、調整率αを乗算することによって、新たな角度調整量を求めた。新たな平行移動量に基づいた鏡11の平行移動、および、新たな角度調整量に基づいた撮像装置300の角度調整によって、光軸調整の試行回数を減らすことができる。
【0099】
(実施形態2の変形例)
光軸調整制御処理は、プラスマイナス両方向から実施して、それぞれ調整完了した位置の中間点を最終調整位置としてもよい。具体的には、例えば
図15に示すように、角度調整が画像のX軸及びY軸周りの場合、1回目の光軸調整制御によって、点a1,・・・,点a4と移動して、画像素子上でXY共にプラス方向から画像中心へ近づく。2回目の光軸調整制御では、点b1,・・・,点b4と移動して、共にマイナス方向から画像中心へ近づく。この1回目の光軸調整制御の最終位置の点a4と、2回目の光軸調整制御の最終位置の点b4との中間位置を、最終位置としてもよい。例えば、画像素子302の量子化誤差により、調整作業を1方向から実施しただけでは誤差が残る場合がある。調整制御をプラス方向とマイナス方向の両方から実施し、その中間点を最終調整位置とすることで、光軸調整作業の精度向上が図られる。
【0100】
本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0101】
1 光軸調整システム、11 鏡、11a 鏡面、11b 背面、12 治具、12a ガイド、12b 支持部、12c 脚部、12d 柱部、100 アライメント機構、101 載置台、102 載置面、111 X軸駆動部,112 Y軸駆動部,113 θ駆動部、121,122,123,321 駆動制御装置、200 動作制御ユニット、210 プロセッサ、212 移動量算出部、213 指令部、220 揮発性メモリ、230 不揮発性メモリ、231 制御プログラム記憶部、232 制御データ記憶部、240 クロック、250 通信インタフェース、300 撮像装置、301 ジンバル機構、302 画像素子、304 レンズ、311 ジンバル駆動部、400 画像処理ユニット、410 プロセッサ、411 画像取得部、414 調整情報算出部、420 揮発性メモリ、430 不揮発性メモリ、431 制御プログラム記憶部、432 制御データ記憶部、440 通信インタフェース、500 設定端末、1001,1002 ワーク、a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4 点、LC 中心部、VL 垂線、Ax1,Ax2 光線、Ag 鉛直方向、Ar 撮影範囲、B1,B2 バス、d1,d2 距離、HP 中心点,先端、φx,φy 傾斜角、Mk マーカ。
【要約】
撮像装置(300)の撮像対象面と、撮像装置(300)の光軸を調整する光軸調整システム(1)である。撮像対象面には鏡(11)が配置され、鏡(11)の鏡面には、治具が配置される。治具は、撮像装置(300)によって撮像されうるガイドと、ガイドを鏡面から予め定められた距離離れた位置に支持する支持部とを含む。撮像対象面を移動または傾斜させる撮像対象面駆動部と、撮像装置(300)を移動または傾斜させる撮像装置駆動部と、撮像画像上で、ガイドの実像と鏡像とが、重なるように撮像対象面駆動部または撮像装置駆動部を制御する制御手段と、を備える。