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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】空気調和機の監視システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/32 20180101AFI20250307BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20250307BHJP
【FI】
F24F11/32
F24F11/49
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024514767
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 JP2022017884
(87)【国際公開番号】W WO2023199499
(87)【国際公開日】2023-10-19
【審査請求日】2024-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 慶
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋平
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-014960(JP,A)
【文献】特開2017-083033(JP,A)
【文献】国際公開第2018/134969(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/32
F24F 11/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機に異常状態が生じたことを遠隔で確認することができるかどうかを確認する動作試験を実施可能な空気調和機の監視システムであって、
前記空気調和機と、
前記空気調和機と通信可能であり前記空気調和機を遠隔制御するリモートコントローラと、
前記空気調和機と通信可能であり、前記空気調和機において異常状態が発生した旨を報知するための異常発生情報の報知を指示する信号である異常発生報知信号を受信した場合に前記異常発生情報を表示する監視装置と、
を備え、
前記リモートコントローラは、
前記空気調和機の制御に関する設定操作を受け付ける操作ボタンを備えて前記空気調和機の制御に関する設定操作を受け付ける操作部と、
前記操作ボタンを予め決められた特定回数だけ連続して押下する操作である予め決められた特定操作を前記操作部が受け付けた場合に前記空気調和機における異常状態の発生を示す信号である異常信号を前記空気調和機に送信するリモートコントローラ制御部と、
前記操作部が前記特定操作を受け付けた場合に、前記リモートコントローラから前記空気調和機に送信される前記異常信号についての情報が表示される画面である試験専用画面を表示するリモートコントローラ表示部と、
を有し、
前記空気調和機は、前記異常信号を前記リモートコントローラから受信した場合に、前記異常発生報知信号を前記監視装置に送信する制御を行う空気調和制御部を有する、
空気調和機の監視システム。
【請求項2】
前記試験専用画面には、前記リモートコントローラから前記空気調和機に送信される前記異常信号に対応する異常の名称が表示される、
請求項に記載の空気調和機の監視システム。
【請求項3】
前記試験専用画面には、前記リモートコントローラから前記空気調和機に送信される前記異常信号を選択するための異常信号の選択肢が表示される、
請求項に記載の空気調和機の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機と、空気調和機を監視する監視装置と、空気調和機を操作するリモートコントローラとから構成される空気調和機の監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機に異常が生じたことを遠隔で確認することができるかどうかを確認するための動作試験を行うために、空気調和機に意図的に異常信号を発信させる構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、動作試験に掛かる手間を軽減させることを目的として、異常状態を知らせる信号の発報を行うことのできる空気調和機と、空気調和機の運転を監視する監視装置と、空気調和機と監視装置とに接続されて空気調和機と監視装置との間の通信を中継する通信中継装置と、を備える空気調和機器監視システムが記載されている。特許文献1に記載された空気調和機器監視システムでは、通信中継装置は、空気調和機に対して異常信号の出力を指令するとともに、異常信号の出力停止を指令する異常信号制御部を備える。そして、動作試験の対象である通信中継装置が、試験の対象となる空気調和機に対して異常信号の出力および出力停止を行わせるように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-122741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された空気調和機器監視システムでは、動作試験を行う際に、作業者が動作試験専用の試験操作用機器を別途用意する必要がある。そして、作業者は、動作試験を行う際に試験操作用機器と通信中継装置とを接続する必要があり、また動作試験後には試験操作用機器を通信中継装置から取り外して持ち帰る必要がある。このため、特許文献1に記載された空気調和機器監視システムでは、必ずしも作業を簡単に行うことができない、という問題があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、専用の試験操作用機器を用いることなく、作業者が動作試験を簡単に行うことができる空気調和機の監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる空気調和機の監視システムは、空気調和機に異常状態が生じたことを遠隔で確認することができるかどうかを確認する動作試験を実施可能な空気調和機の監視システムである。空気調和機の監視システムは、空気調和機と、空気調和機と通信可能であり空気調和機を遠隔制御するリモートコントローラと、空気調和機と通信可能であり、空気調和機において異常状態が発生した旨を報知するための異常発生情報の報知を指示する信号である異常発生報知信号を受信した場合に異常発生情報を表示する監視装置と、を備える。リモートコントローラは、空気調和機の制御に関する設定操作を受け付ける操作ボタンを備えて空気調和機の制御に関する設定操作を受け付ける操作部と、操作ボタンを予め決められた特定回数だけ連続して押下する操作である予め決められた特定操作を操作部が受け付けた場合に空気調和機における異常状態の発生を示す信号である異常信号を空気調和機に送信するリモートコントローラ制御部と、操作部が特定操作を受け付けた場合に、リモートコントローラから空気調和機に送信される異常信号についての情報が表示される画面である試験専用画面を表示するリモートコントローラ表示部と、を有する。空気調和機は、異常信号をリモートコントローラから受信した場合に、異常発生報知信号を監視装置に送信する制御を行う空気調和制御部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、専用の試験操作用機器を用いることなく、作業者が動作試験を簡単に行うことができる空気調和機の監視システムが得られる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる空気調和機監視システムの構成を示すブロック図
図2】実施の形態1にかかる空気調和機監視システムの空気調和機の室内機の機能構成を示すブロック図
図3】実施の形態1にかかる空気調和機監視システムのリモートコントローラの機能構成を示すブロック図
図4】実施の形態1にかかる空気調和機監視システムのリモートコントローラを示す正面図
図5】実施の形態1かかる空気調和機監視システムの監視装置の機能構成を示すブロック図
図6】実施の形態1にかかる空気調和機監視システムにおける異常発生報知信号の送信動作の動作試験時の動作の手順を説明するフローチャート
図7】実施の形態2における空気調和機監視システムの異常発生報知信号の送信動作の動作試験時の動作の手順を説明するフローチャート
図8】実施の形態2においてリモコン表示部に表示される試験専用画面の一例を示す図
図9】実施の形態3における空気調和機監視システムの異常発生報知信号の送信動作の動作試験時の動作の手順を説明するフローチャート
図10】実施の形態3においてリモコン表示部に表示される試験専用画面の一例を示す図
図11】実施の形態1にかかる制御部のそれぞれの機能をハードウェアで実現した構成を示す図
図12】実施の形態1にかかる制御部のそれぞれの機能をソフトウェアで実現した構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる空気調和機の監視システムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100は、空気調和機1と、リモートコントローラ2と、監視装置3と、を備える。以下では、リモートコントローラをリモコンと呼ぶ場合がある。
【0012】
空気調和機の監視システム100は、空気調和機1に異常状態が生じたことを遠隔で確認することができるかどうかを確認する動作試験を実施可能な監視システムである。空気調和機1に異常状態が生じたことを遠隔で確認することができるかどうかを確認する動作試験は、空気調和機1が異常発生報知信号を監視装置3に送信できていることを確認する動作試験といえる。また、空気調和機1に異常状態が生じたことを遠隔で確認することができるかどうかを確認する動作試験は、異常発生報知信号の送信動作の動作試験といえる。以下では、上記の動作試験を、単に動作試験と呼ぶ場合がある。
【0013】
異常信号は、空気調和機1における異常状態の発生を示す信号である。異常信号は、空気調和機1に発生した異常の種類によって異なる信号が送信される。異常信号には、空気調和機1に発生した異常の種類を示す情報が含まれている。異常発生報知信号は、異常発生情報の報知を指示する信号である。異常発生報知信号には、異常信号に含まれている、空気調和機1に発生した異常の種類を示す情報が含まれている。異常発生情報は、空気調和機1において異常状態が発生した旨をユーザに報知するための情報である。
【0014】
空気調和機1は、屋内に設置された室内機11と、室外に設置された室外機12とを備え、空気調和機1の空気調和対象領域である室内の空気調和を行う。空気調和機1は、1つの完結した冷凍サイクルを室内機11と室外機12とで形成している。空気調和機1は、不図示の冷媒管を通って室内機11と室外機12との間を循環する冷媒を使用して、空気調和対象領域である室内の空気と室外の空気との間で熱移動を行い、室内に対する空気調和を実現している。
【0015】
図2は、実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100の空気調和機1の室内機11の機能構成を示すブロック図である。室内機11は、室内機空気調和部111と、センサ112と、室内機記憶部113と、室内機通信部114と、空気調和制御部115と、を有する。室内機記憶部113と室内機通信部114と空気調和制御部115とは、室内機11用の制御基板である室内機制御基板116に実装されている。
【0016】
室内機空気調和部111は、一般的な空気調和機の室内機における空気調和機能を有する。室内機空気調和部111は、室内機11に取り込まれた空気と冷媒回路中を流れる冷媒との熱交換を行う不図示の室内熱交換器、室内熱交換器で熱交換された調和空気を室内機11から室内に送り出す不図示の送風ファン、調和空気を室内機11から送り出す方向を調整する不図示の風向調整部などの構成部を備えている。室内機11に取り込まれる空気は、室内機11が設置された部屋の室内空気である。
【0017】
センサ112は、室内機11に内蔵されており、室内機11の運転状態および空気調和対象領域である室内の空気の状態といった情報を検知する。センサ112は、検知結果をセンサ情報として空気調和制御部115に送信する。
【0018】
センサ112は、検知結果に基づいて、空気調和機1に異常状態が発生したと判定した場合には、空気調和機1に異常状態が発生したことを示す信号である異常信号をセンサ情報として空気調和制御部115に送信する。センサ112は、検知結果に基づいて、空気調和機1に異常状態が発生していないと判定した場合には、空気調和機1が正常に動作していることを示す正常信号をセンサ情報として空気調和制御部115に送信する。
【0019】
センサ112には、室内空気の温度である室内温度を予め決められた周期で検知する不図示の室内温度センサ、および室内にいる人を検知する不図示の人感センサなどのセンサが挙げられる。なお、室外機12には、屋外の空気の温度である外気温度を予め決められた周期で検知する不図示の外気温度センサ、および室外機12が備える圧縮機の圧力を検知する不図示の圧力センサなどのセンサが設けられている。
【0020】
室内機記憶部113は、空気調和機1の運転を制御するための各種の制御設定値およびプログラムなどの情報が記憶されている記憶部である。室内機記憶部113は、不揮発性の記憶部であり、フラッシュメモリなどの半導体記憶媒体で構成される。
【0021】
室内機通信部114は、リモートコントローラ2の後述するリモートコントローラ通信部24との間、および監視装置3の後述する監視装置通信部33との間で、通信を行う。
【0022】
空気調和制御部115は、空気調和機1の全体の動作を制御する制御部であり、室内機11および室外機12の動作を制御して空気調和機1の運転を制御する。空気調和制御部115は、リモコン2から送信されて空気調和機1の運転の制御を指示する制御指示信号を受信し、当該制御指示信号に基づいて空気調和機1の運転を制御する。空気調和制御部115は、空気調和制御部115に設定される設定温度と、室内温度と、室外温度とに基づいて、室外機12が備える不図示の圧縮機を動作させ、冷房または暖房運転を実施する。
【0023】
また、空気調和制御部115は、センサ112から送信されるセンサ情報を受信し、当該センサ情報に基づいて空気調和機1の異常状態の発生の有無を判定する。空気調和制御部115は、センサ112から異常信号を受信した場合に、空気調和機1に異常状態が発生したと判定する。そして、空気調和制御部115は、空気調和機1に発生した異常の種類を異常信号に基づいて判定し、判定した異常に対応した異常発生報知信号を、監視装置3に送信する。空気調和制御部115は、異常信号に含まれている、空気調和機1に発生した異常の種類を示す情報に基づいて、空気調和機1に発生した異常の種類を判定する。
【0024】
また、空気調和制御部115は、リモコン2から意図的に送信された動作試験用の異常信号を受信した場合に、空気調和機1に異常状態が発生したと判定する。そして、空気調和制御部115は、リモコン2から送信された動作試験用の異常信号に基づいて、空気調和機1に発生した異常の種類を判定し、判定した異常に対応した異常発生報知信号を、監視装置3に送信する。空気調和制御部115は、リモコン2から送信された動作試験用の異常信号に含まれている、空気調和機1に発生した異常の種類を示す情報に基づいて、空気調和機1に発生した異常の種類を判定する。
【0025】
動作試験用の異常信号は、空気調和機1における異常状態の発生を示す信号であるが、センサ112から送信された信号ではなく、リモコン2から意図的に送信された異常信号である。
【0026】
リモコン2は、空気調和機1を遠隔制御する。すなわち、リモコン2は、空気調和機1に対する制御指示信号を室内機11に送信して空気調和機1の運転を制御するための、空気調和機1の遠隔操作装置である。リモコン2は、空気調和機1用のリモコンであってもよく、空気調和機1の遠隔操作が可能なアプリケーションソフトがインストールされて空気調和機1との間の通信が可能なスマートフォンといった端末機器であってもよい。実施の形態1では、リモコン2が空気調和機1用のリモコンである場合について説明する。また、実施の形態1では、リモコン2と空気調和機1とが有線接続されており、空気調和機1からリモコン2に電源を供給可能とされているものとする。なお、リモコン2に対する電源の供給方法は、特に限定されない。
【0027】
また、リモコン2は、空気調和機1が異常信号を監視装置3に送信できていることを確認する動作試験を行う場合に、作業者によるリモコン2に対する操作に基づいて、動作試験用の異常信号を空気調和機1に送信する。作業者は、空気調和機1のメーカのサービスマンまたは空気調和機1が設置されたビルの設備管理者など、空気調和機1の管理を行う人が例示される。
【0028】
図3は、実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100のリモートコントローラ2の機能構成を示すブロック図である。図4は、実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100のリモートコントローラ2を示す正面図である。リモコン2は、リモートコントローラ操作部21と、リモートコントローラ表示部22と、リモートコントローラ記憶部23と、リモートコントローラ通信部24と、リモートコントローラ制御部25と、を備える。上記のリモコン2の各構成部は、互いに情報の授受が可能である。
【0029】
リモコン操作部21は、ユーザが要求する空気調和機1の制御に関する設定操作を受け付ける。すなわち、リモコン操作部21は、空気調和機1の運転を遠隔制御するためのインタフェースであり、ユーザから空気調和機1の運転に関わる操作を受け付ける。リモコン操作部21は、ユーザからの操作を受け付けると、ユーザの操作に対応した信号を操作信号としてリモコン制御部25に送信する。
【0030】
リモコン操作部21は、空気調和機1の運転開始、空気調和機1の運転停止を含む空気調和機1の運転モードの選択、設定温度の変更、設定湿度の変更、風量の設定、風向の設定といった、空気調和機1における空気調和運転に関わる各種の機能をユーザが任意に選択できるように構成されている。
【0031】
リモコン操作部21には、空気調和機1に対する各種動作の制御指令を入力する操作をユーザから受け付ける複数の操作ボタンとして、第1操作ボタン211と、第2操作ボタン212と、第3操作ボタン213と、を備える。すなわち、リモコン操作部21は、複数の操作ボタンを有し、当該操作ボタンに対してなされたユーザからの操作を受け付けると、ユーザの操作に対応した信号を操作信号としてリモコン制御部25に送信する。
【0032】
操作ボタンは、ユーザが空気調和機1の運転の制御を操作するときには、空気調和機1の暖房運転、冷房運転および送風運転といった運転の開始あるいは停止の指令の入力、および空気調和機1に関する各種の情報をリモコン表示部22に表示させる指令の入力といった指令を入力する操作に用いられる。
【0033】
また、操作ボタンは、作業者が空気調和機1の動作試験を実施するときには、後述するように、リモコン2から空気調和機1に異常信号を送信するための特定操作を行うために用いられる。特定操作の詳細については、後述する。
【0034】
リモコン表示部22は、空気調和機1に関する各種の情報が表示される。すなわち、リモコン表示部22は、空気調和機1における空気調和運転に関わる各種の設定情報および空気調和機1の状態といった空気調和機1による空気調和において必要となる情報および状態の表示を行い、リモコン操作部21での操作に対応した画面を切り替えて表示する。リモコン表示部22は、リモコン制御部25から送信された信号を受信し、当該信号に基づいて各種の情報を表示する。空気調和機1の状態には、暖房運転、冷房運転、送風運転および異常発生などの状態が挙げられる。
【0035】
リモコン記憶部23は、空気調和機1における空気調和処理に必要な各種の情報を記憶し、リモコン表示部22に表示するための設定内容、設定内容に関する画像データなどの情報を一時的または長期的に記憶する。また、リモコン記憶部23は、動作試験を行うために必要な各種の情報を記憶し、リモコン表示部22に表示するための設定内容、設定内容に関する画像データなどの情報を一時的または長期的に記憶する。
【0036】
リモコン通信部24は、空気調和機1の室内機11の室内機通信部114との間で通信が可能である。リモコン通信部24は、リモコン制御部25から送信された信号を受信し、当該信号を空気調和機1に送信する。また、リモコン通信部24は、空気調和機1から送信された信号を受信し、当該信号をリモコン制御部25に送信する。
【0037】
なお、リモコン通信部24と室内機通信部114との間の通信は、無線通信であってもよく、有線通信であってもよい。実施の形態1では、リモコン2が空気調和機1用のリモコンであり、リモコン2と空気調和機1とが有線接続されており、リモコン通信部24と室内機通信部114との間の通信が有線通信であるものとする。
【0038】
リモコン制御部25は、リモコン2全体の動作を制御する。リモコン制御部25は、リモコン操作部21から送信される操作信号に基づいて、リモコン2の制御を行う。また、リモコン制御部25は、リモコン操作部21から送信された操作信号を室内機11の空気調和制御部115に送信する。
【0039】
また、リモコン制御部25は、空気調和機1が異常信号を監視装置3に送信できていることを確認する動作試験を行う場合に、リモコン操作部21の複数の操作ボタンのうち少なくとも1つに対して特定操作がなされた場合に、動作試験用の異常信号を空気調和機1に送信する。すなわち、リモコン制御部25は、リモコン操作部21がユーザによる特定操作を受け付けた場合に、動作試験用の異常信号を空気調和機1に送信する異常信号送信部としての機能を有する。
【0040】
異常信号の送信指令は、リモコン制御部25から空気調和機1への動作試験用の異常信号の送信を指示する旨の指令である。
【0041】
したがって、リモコン制御部25は、リモコン操作部21から受信した信号が空気調和機1に対して何の動作を指示する信号であるのかを判定する機能および判定した結果に基づいて空気調和機1に対して動作を指示する信号を送信する機能、リモコン通信部24から受信した信号を何の動作を指示する信号であるのかを判定する機能および判定した結果に基づいてリモコン2を制御する信号処理部としての機能を有する。
【0042】
監視装置3は、空気調和機1の運転を監視する。監視装置3は、センサ112から送信された異常信号を空気調和機1が受信したときに空気調和機1から送信された異常発生報知信号を受信した場合に、当該異常発生報知信号に基づいて、異常発生情報を表示する。すなわち、監視装置3は、空気調和機1と通信可能とされ、空気調和機1から送信される信号に基づいて空気調和機1の運転状態および異常状態を監視する。そして、監視装置3は、センサ112から送信された異常信号に基づいて空気調和機1から送信された異常発生報知信号を受信した場合に異常発生情報を表示して、空気調和機1の異常状態に対する対応をユーザに促す。
【0043】
これにより、ユーザは、監視装置3に表示された異常発生情報を見ることにより、空気調和機1の異常状態に対する適切な対応を取ることができる。また、実施の形態1では、監視装置3と空気調和機1とが有線接続されており、空気調和機1から監視装置3に電源を供給可能とされているものとする。
【0044】
また、監視装置3は、空気調和機1が異常発生報知信号を監視装置3に送信できていることを確認する動作試験に用いることができる装置であり、空気調和機1の空気調和制御部115と直接接続されるものである。すなわち、監視装置3は、空気調和機1の室内機通信部114を介して空気調和制御部115と直接通信可能である。
【0045】
そして、監視装置3は、リモコン2から送信された動作試験用の異常信号を空気調和機1が受信したときに空気調和機1から送信された異常発生報知信号を受信した場合にも、当該異常発生報知信号に基づいて異常発生情報を表示することができる。これにより、作業者は、動作試験においてリモコン2から空気調和機1に動作試験用の異常信号を送信した場合に、監視装置3に異常発生情報が表示されることを確認することで、空気調和機1が正常に異常発生報知信号を監視装置3に送信できていることを確認することができる。
【0046】
監視装置3の設置場所は、特に限定されない。空気調和機1が家庭用の空気調和機である場合には、監視装置3は、ユーザまたは動作試験の作業者が監視装置3に表示される情報を見られるように、例えば住宅の屋内に設置される。空気調和機1が業務用の空気調和機である場合には、監視装置3は、ビルの管理者または動作試験の作業者が監視装置3に表示される情報を見られるように、例えばビルのテナント用の室内に設置されてもよく、またビルの管理室あるいは機械室などのビルの管理側のスペースに設置されてもよい。
【0047】
図5は、実施の形態1かかる空気調和機の監視システム100の監視装置3の機能構成を示すブロック図である。監視装置3は、監視装置表示部31と、監視装置記憶部32と、監視装置通信部33と、監視装置制御部34と、を備える。上記の監視装置3の各構成部は、互いに情報の授受が可能である。
【0048】
監視装置表示部31は、空気調和機1の運転状態の情報および異常状態の情報が表示される。すなわち、監視装置表示部31は、空気調和機1の状態を表示する表示部である。空気調和機1の状態には、暖房運転、冷房運転、送風運転および異常が発生している異常発生状態などの状態が挙げられる。
【0049】
監視装置記憶部32は、監視装置3の制御に必要な各種の情報を記憶する。監視装置記憶部32は、監視装置3が空気調和機1における異常状態の発生の報知を指示する信号である異常発生報知信号を受信した場合に監視装置表示部31に表示される異常発生情報の画像データなどの情報を記憶する。
【0050】
監視装置通信部33は、空気調和機1の室内機11の室内機通信部114との間で通信を行う。監視装置通信部33は、空気調和機1の状態を示す信号を受信すると、当該信号を監視装置制御部34に送信する。
【0051】
監視装置通信部33は、室内機通信部114から送信された異常発生報知信号を受信すると、当該異常発生報知信号を監視装置制御部34に送信する。なお、監視装置通信部33と室内機通信部114との間の通信は、無線通信であってもよく、有線通信であってもよい。実施の形態1では、監視装置3と空気調和機1とが有線接続されており、監視装置通信部33と室内機通信部114との間の通信が有線通信であるものとする。
【0052】
監視装置制御部34は、監視装置3全体の動作を制御する。監視装置制御部34は、監視装置通信部33から送信された、空気調和機1の状態を示す信号を受信する。監視装置制御部34は、当該信号に基づいて、空気調和機1の状態の情報を監視装置表示部31に表示させる。
【0053】
監視装置制御部34は、センサ112から送信された異常信号を空気調和機1が受信したときに空気調和機1から送信された異常発生報知信号を受信した場合に、当該異常発生報知信号に基づいて、空気調和機1において異常状態が発生した旨の情報である異常発生情報を監視装置表示部31に表示させて、空気調和機1の異常状態に対する対応をユーザに促す。これにより、ユーザは、監視装置3に表示された異常発生情報を見ることにより、空気調和機1の異常状態に対する適切な対応を取ることができる。
【0054】
また、監視装置制御部34は、リモコン2から送信された動作試験用の異常信号を空気調和機1が受信したときに空気調和機1から送信された異常発生報知信号を受信した場合にも、当該異常発生報知信号に基づいて異常発生情報を監視装置表示部31に表示させることができる。これにより、作業者は、動作試験においてリモコン2から空気調和機1に動作試験用の異常信号を送信した場合に、監視装置3に異常発生情報が表示されることを確認することで、空気調和機1が正常に異常発生報知信号を監視装置3に送信できていることを確認することができる。
【0055】
つぎに、実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100における、空気調和機1が異常信号を監視装置3に送信できていることを確認する動作試験時の動作について説明する。図6は、実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100における異常発生報知信号の送信動作の動作試験時の動作の手順を説明するフローチャートである。
【0056】
ステップS110において、空気調和機1に電源が、投入される。空気調和機1に電源が投入されると、リモコン2および監視装置3に空気調和機1から電源が供給される。具体的に、空気調和機1に電源が投入されると、室内機11が備える不図示の電源供給部が不図示の外部電源から供給された電源を用いてリモコン2および監視装置3を駆動させるための駆動電源を生成する。電源供給部は、生成した駆動電源をリモコン2および監視装置3に供給する。その後、ステップS120に進む。
【0057】
ステップS120では、異常信号の送信指令を入力するための予め決められた特定操作が、リモコン2のリモコン操作部21において受け付けられる。具体的に、リモコン2のリモコン操作部21において特定操作が作業者によって行われる。これにより、異常信号の送信指令が、リモコン2のリモコン操作部21からリモコン2に入力される。ここで、特定操作の一例は、リモコン2のリモコン操作部21における複数の操作ボタンのうち予め決められた1つの操作ボタンを予め決められた特定回数だけ連続して押下する操作である。
【0058】
リモコン操作部21は、作業者によりリモコン操作部21に対して行われた操作に対応した信号を操作信号としてリモコン制御部25に送信する。具体的に、リモコン操作部21は、作業者によりリモコン操作部21に対して行われた特定操作に対応した信号を異常信号の送信指令信号としてリモコン制御部25に送信する。リモコン制御部25は、リモコン操作部21から送信された異常信号の送信指令信号を受信する。その後、ステップS130に進む。
【0059】
異常信号の送信指令は、動作試験においてリモコン2から空気調和機1への動作試験用の異常信号の送信を指示する指令である。異常信号の送信指令信号は、動作試験においてリモコン2から空気調和機1への動作試験用の異常信号の送信を指示する指令信号である。
【0060】
特定操作は、動作試験において異常信号の送信指令をリモコン2に入力するための操作であり、予め決められている。
【0061】
ステップS130では、異常信号が、リモコン2から空気調和機1に送信される。具体的に、リモコン制御部25が、異常信号を空気調和機1に送信する。リモコン制御部25は、リモコン操作部21から送信された異常信号の送信指令信号を受信すると、当該異常信号の送信指令信号に基づいて、異常信号をリモコン通信部24に送信する。リモコン通信部24は、リモコン制御部25から送信された異常信号を受信すると、当該異常信号を空気調和機1に送信する。その後、ステップS140に進む。
【0062】
ここで、リモコン制御部25から空気調和機1に送信される異常信号の例としては、温度異常信号、通信異常信号、センサ異常信号、圧力異常信号および動作異常信号が挙げられる。温度異常信号は、温度異常状態の発生を示す信号である。通信異常信号は、通信異常状態の発生を示す信号である。センサ異常信号は、センサ異常状態の発生を示す信号である。圧力異常信号は、圧力異常状態の発生を示す信号である。
【0063】
温度異常は、空気調和機1の空気調和対象領域である室内の温度のセンサ112による実測温度と、空気調和機1における設定温度との乖離が予め決められた閾値よりも大きい異常が例示される。
【0064】
通信異常は、リモコン2と室内機11との間の通信または室内機11と室外機12との間の通信が行えない異常が例示される。
【0065】
センサ異常は、センサ112が故障することによって生じる、センサ112における測定値が予め決められた測定値の範囲を超えている異常、あるいはセンサ112が動作しない異常が例示される。
【0066】
圧力異常は、室外機12が備える圧縮機の圧力異常が例示される。
【0067】
動作異常は、リモコン2において空気調和機1の運転の制御を操作しても空気調和機1が稼働しない異常、および空気調和機1がリモコン2において指示された空気調和機1の運転内容と異なる意図しない動作をする異常が例示される。
【0068】
リモコン2では、特定操作の操作内容を異ならせることにより、空気調和機1の異常の内容が異なる異常信号を空気調和機1に送信することができる。
【0069】
例えば、温度異常信号をリモコン2から空気調和機1に送信させるための特定操作の一例は、リモコン2のリモコン操作部21における複数の操作ボタンのうち予め決められた1つの操作ボタンを予め決められた第1の特定回数だけ連続して押下する操作である。また、通信異常信号をリモコン2から空気調和機1に送信させるための特定操作の一例は、リモコン2のリモコン操作部21における複数の操作ボタンのうち予め決められた1つの操作ボタンを予め決められた第2の特定回数だけ連続して押下する操作である。また、センサ異常信号をリモコン2から空気調和機1に送信させるための特定操作の一例は、リモコン2のリモコン操作部21における複数の操作ボタンのうち予め決められた1つの操作ボタンを予め決められた第3の特定回数だけ連続して押下する操作である。また、圧力異常信号をリモコン2から空気調和機1に送信させるための特定操作の一例は、リモコン2のリモコン操作部21における複数の操作ボタンのうち予め決められた1つの操作ボタンを予め決められた第4の特定回数だけ連続して押下する操作である。また、動作異常信号をリモコン2から空気調和機1に送信させるための特定操作の一例は、リモコン2のリモコン操作部21における複数の操作ボタンのうち予め決められた1つの操作ボタンを予め決められた第の特定回数だけ連続して押下する操作である。なお、異なる異常信号をリモコン2から空気調和機1に送信させるための特定操作は、上記の例に限定されない。
【0070】
ステップS140では、異常信号が、空気調和機1において検出される。具体的に、空気調和機1の室内機11の空気調和制御部115が、室内機通信部114から送信された異常信号を受信することにより、異常信号を検出する。空気調和機1の室内機11の室内機通信部114は、リモコン通信部24から送信された異常信号を受信する。室内機通信部114は、異常信号を受信すると、当該異常信号を空気調和機1の室内機11の空気調和制御部115に送信する。空気調和制御部115は、室内機通信部114から送信された異常信号を受信する。その後、ステップS150に進む。
【0071】
ステップS150では、異常発生報知信号が、監視装置3に送信される。具体的に、空気調和制御部115が、異常発生報知信号を監視装置3に送信する。空気調和制御部115は、室内機通信部114から送信された異常信号を検出すると、当該異常信号に基づいて、異常発生報知信号を空気調和機1の室内機11の室内機通信部114に送信する。室内機通信部114は、空気調和制御部115から送信された異常発生報知信号を受信すると、当該異常発生報知信号を監視装置3に送信する。
【0072】
監視装置3の監視装置通信部33は、室内機通信部114から送信された異常発生報知信号を受信する。監視装置通信部33は、異常発生報知信号を受信すると、当該異常発生報知信号を監視装置3の監視装置制御部34に送信する。監視装置制御部34は、監視装置通信部33から送信された異常発生報知信号を受信する。その後、ステップS160に進む。
【0073】
なお、異常発生報知信号は、異常信号と異なる信号として空気調和制御部115において生成されてもよく、また異常信号がそのまま用いられてもよい。空気調和制御部115は、異常発生報知信号として異常信号をそのまま用いることにより、処理負荷を減らすことができる。
【0074】
ステップS160では、異常発生情報が、監視装置3において表示される。具体的に、監視装置制御部34が、異常発生情報を監視装置表示部31に表示させる。監視装置制御部34は、監視装置通信部33から送信された異常発生報知信号を受信すると、当該異常発生報知信号に基づいて、異常発生報知信号に対応した異常発生情報を監視装置表示部31に表示させる。これにより、空気調和機1に発生した異常についての異常発生情報が、監視装置表示部31に表示される。
【0075】
作業員は、監視装置表示部31に異常発生情報が表示されることを確認することにより、空気調和制御部115から監視装置3に正常に異常発生報知信号が送信されること、室内機通信部114と監視装置通信部33との間の通信が正常に行われていること、および監視装置表示部31に異常発生情報が正常に表示されることを、確認することができる。
【0076】
上述したように、実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100は、空気調和機1に異常状態が生じたことを遠隔で確認することができるかどうかを確認する動作試験、すなわち空気調和機1が異常信号を受信した場合に当該空気調和機1が異常発生報知信号を監視装置3に送信できていることを確認する動作試験を実施することができる。
【0077】
空気調和機の監視システム100では、動作試験において、リモコン2のリモコン操作部21は、特定操作を受け付けた場合に、異常信号の送信指令信号をリモコン2のリモコン制御部25に送信する。リモコン制御部25は、リモコン操作部21から送信された異常信号の送信指令信号を受信すると、当該異常信号の送信指令信号に基づいて、異常信号を空気調和機1に送信する。空気調和機1の空気調和制御部115は、リモコン2から送信された異常信号を検出すると、当該異常信号に基づいて、異常発生報知信号を監視装置3に送信する。監視装置3の監視装置制御部34は、空気調和機1から送信された異常発生報知信号を受信すると、当該異常発生報知信号に基づいて、異常発生報知信号に対応した異常発生情報を監視装置表示部31に表示させる。
【0078】
そして、作業員は、監視装置表示部31に異常発生情報が表示されることを確認することにより、空気調和制御部115から監視装置3に正常に異常発生報知信号が送信されること、室内機通信部114と監視装置通信部33との間の通信が正常に行われていること、および監視装置表示部31に異常発生情報が正常に表示されることを、確認することができる。
【0079】
動作試験の主たる対象は、空気調和機1の空気調和制御部115である。すなわち、実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100では、上述した動作試験を行うことにより、空気調和機1の空気調和制御部115が異常発生報知信号を監視装置3に送信することができるかどうかを確認することができる。
【0080】
また、空気調和機の監視システム100では、上述した動作試験を行うことにより、空気調和機1の室内機11の室内機通信部114と監視装置3の監視装置通信部33との間の通信が正常に機能しているかどうかを確認することができる。
【0081】
また、空気調和機の監視システム100では、上述した動作試験を行うことにより、監視装置3の監視装置制御部34と監視装置表示部31とが正常に機能しているかどうかを確認することができる。
【0082】
上述した空気調和機の監視システム100によれば、空気調和機1と、空気調和機1と通信可能であり空気調和機1を遠隔制御するリモートコントローラ2と、空気調和機1と通信可能であり、空気調和機1において異常状態が発生した旨を報知するための異常発生情報の報知を指示する信号である異常発生報知信号を受信した場合に異常発生情報を表示する監視装置3と、を備え、リモートコントローラ2が、空気調和機1の制御に関する設定操作を受け付けるリモートコントローラ操作部21と、リモートコントローラ操作部21が予め決められた特定操作を受け付けた場合に空気調和機1における異常状態の発生を示す信号である異常信号を空気調和機1に送信するリモートコントローラ制御部25と、を有し、空気調和機1が、異常信号をリモートコントローラ2から受信した場合に、異常発生報知信号を監視装置3に送信する制御を行う空気調和制御部115を有する、空気調和機の監視システムが実現される。
【0083】
上記のように、空気調和機の監視システム100では、作業者が動作試験を行う場合に、ユーザが空気調和機1の運転を制御するために用いるリモコン2を操作することにより当該リモコン2から疑似的な異常信号を意図的に空気調和機1に送信することで、動作試験を行うことができる。これにより、空気調和機の監視システム100では、動作試験を行う場合に、異常信号を発生させるための専用の試験操作用機器を別途用意する必要がない。すなわち、空気調和機の監視システム100では、動作試験を行う場合に作業者が試験操作用機器と空気調和機1とを接続する作業、および動作試験後に作業者が試験操作用機器を空気調和機1から取り外して持ち帰るといった作業が生じない。
【0084】
このため、空気調和機の監視システム100では、専用の試験操作用機器を用いることなく、作業者が動作試験を簡単に行うことができる。また、空気調和機の監視システム100では、異常信号を発生させるための専用の試験操作用機器を別途用意する必要がないため、コストを抑制することができる。
【0085】
また、作業者が動作試験を行う場合に、作業者は、例えばリモコン2のリモコン操作部21の複数の操作ボタンのうちの1つの操作ボタンを特定回数だけ連続して押下する。しかしながら、当該操作は、ユーザが空気調和機1の運転を制御する際において通常行わない操作である。このため、空気調和機の監視システム100では、ユーザが誤って異常信号を発信させるおそれがない。
【0086】
また、上記においては、特定操作として、リモコン2のリモコン操作部21における複数の操作ボタンのうち予め決められた1つの操作ボタンを予め決められた特定回数だけ連続して押下する操作について説明したが、特定操作は、上記の例に限定されない。例えば、特定操作は、リモコン操作部21における複数の操作ボタンのうちの少なくとも2つの操作ボタンをあらかじめ設定されている順番で連続して押下する操作であってもよい。
【0087】
例えば、暖房運転の開始を指示する機能が第1操作ボタン211に割り当てられており、冷房運転の開始を指示する機能が第2操作ボタン212に割り当てられているものとする。この場合において、特定操作は、第1操作ボタン211と第2操作ボタン212とを交互に各3回ずつ押下する操作であってもよい。なお、当該操作は、ユーザが空気調和機1の運転を制御する際において通常行わない操作である。このため、空気調和機の監視システム100では、ユーザが誤って異常信号を発信させるおそれがない。
【0088】
また、リモコン2では、特定操作の操作内容を異ならせることにより、空気調和機1の異常の内容が異なる異常信号を空気調和機1に送信することができる。これにより、異なる異常信号の全てについて、容易に動作試験を行うことができる。
【0089】
したがって、空気調和機の監視システム100によれば、専用の試験操作用機器を用いることなく、作業者が動作試験を簡単に行うことができる、という効果を奏する。
【0090】
実施の形態2.
実施の形態2では、上述した実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100における動作試験の他の動作例について説明する。図7は、実施の形態2における空気調和機の監視システム100の異常発生報知信号の送信動作の動作試験時の動作の手順を説明するフローチャートである。以下では、上述した実施の形態1における図6のフローチャートと異なるステップについて説明する。
【0091】
まず、実施の形態1の場合と同様に、ステップS110およびステップS120が行われる。その後、ステップS210に進む。
【0092】
ステップS210では、後述する試験専用画面221が、リモコン2において表示される。具体的に、リモコン制御部25が、試験専用画面221をリモコン2において表示させる。リモコン制御部25は、リモコン操作部21から送信された異常信号の送信指令信号を受信すると、当該異常信号の送信指令信号に基づいて、試験専用画面221をリモコン2のリモコン表示部22に表示させる。
【0093】
そして、リモコン制御部25は、1つの異常の名称の情報を、試験専用画面221に表示させる。すなわち、実施の形態2では、リモコン制御部25は、動作試験においてリモコン2から空気調和機1に送信される1つの異常信号に対応する異常の名称の情報であって、ステップS120における特定操作に対応した1つの異常信号に対応する異常の名称の情報を、試験専用画面221に表示させる。
【0094】
試験専用画面221は、動作試験に関する情報が表示される画面である。具体的に、試験専用画面221は、リモコン2から空気調和機1に送信される異常信号についての情報が表示される画面である。試験専用画面221は、ステップS120において特定操作が行われ、特定操作に対応した信号である異常信号の送信指令信号をリモコン制御部25が受信した場合に、リモコン表示部22に表示される。実施の形態2では、試験専用画面221には、動作試験においてリモコン2から空気調和機1に送信される1つの異常信号に対応する異常の名称が表示される。
【0095】
試験専用画面221がリモコン表示部22に表示されることにより、作業者は、リモコン操作部21における特定操作によってリモコン2のリモコン制御部25が動作試験モードに移行したこと、リモコン2において動作試験の処理が正常に行われていること、および動作試験においてリモコン2から空気調和機1に送信される異常信号に対応する異常の名称を、リモコン表示部22で容易に確認することができる。
【0096】
試験専用画面221には、空気調和機1において発生が想定される異常の種類の情報が表示される。動作試験時においてリモコン2から空気調和機1に送信される異常信号の種類は、特定操作の操作手順によって異なる。したがって、動作試験時において試験専用画面221に表示される異常の種類の情報は、特定操作の操作手順によって異なる。試験専用画面221に表示される異常の種類は、温度異常、通信異常、センサ異常および圧力異常などの異常が例示される。
【0097】
図8は、実施の形態2においてリモコン表示部22に表示される試験専用画面221の一例を示す図である。図8では、リモコン2から空気調和機1に送信される異常信号に対応する異常の名称を示す表示として、温度異常表示222がリモコン表示部22の試験専用画面221に表示された状態を示している。温度異常表示222は、リモコン2から空気調和機1に送信される異常信号に対応する異常が温度異常であることを示す表示である。
【0098】
なお、試験専用画面221に表示される、異常信号に対応する異常の種類の情報を示す表示は、温度異常表示222に限定されない。ステップS120において行われた特定操作が通信異常に対応する特定操作である場合には、リモコン制御部25は、リモコン2から空気調和機1に送信される異常信号に対応する異常の種類の情報を示す表示として、後述する通信異常表示223をリモコン表示部22の試験専用画面221に表示させる。
【0099】
また、ステップS120において行われた特定操作がセンサ異常に対応する特定操作である場合には、リモコン制御部25は、リモコン2から空気調和機1に送信される異常信号に対応する異常の種類の情報を示す表示として、後述するセンサ異常表示224をリモコン表示部22の試験専用画面221に表示させる。
【0100】
また、ステップS120において行われた特定操作が圧力異常に対応する特定操作である場合には、リモコン制御部25は、リモコン2から空気調和機1に送信される異常信号に対応する異常の種類の情報を示す表示として、後述する圧力異常表示225をリモコン表示部22の試験専用画面221に表示させる。
【0101】
空気調和機1の通常運転時においては、リモコン表示部22には、空気調和機1の運転状態の情報が表示される。一方、空気調和機の監視システム100の動作試験時においては、リモコン制御部25が異常信号の送信指令信号を受信すると、リモコン表示部22に試験専用画面221が表示される。その後、ステップS130に進む。
【0102】
上述したように、実施の形態2では、リモコン制御部25は、リモコン操作部21において行われた特定操作に対応した信号である異常信号の送信指令信号を受信すると、試験専用画面221をリモコン表示部22に表示させる。また、リモコン制御部25は、リモコン操作部21において行われた特定操作に対応した異常信号に対応する異常の種類の情報を試験専用画面221に表示させる。
【0103】
これにより、作業者は、リモコン操作部21における特定操作によってリモコン2のリモコン制御部25が動作試験モードに移行したこと、リモコン2において動作試験の処理が正常に行われていること、および動作試験においてリモコン2から空気調和機1に送信される異常信号の詳細を、リモコン表示部22で容易に確認することができる。したがって、作業者は、動作試験時におけるリモコン2の処理を確認しながら、容易に且つ確実に動作試験を行うことができる。
【0104】
実施の形態3.
実施の形態3では、上述した実施の形態1にかかる空気調和機の監視システム100における動作試験の他の動作例について説明する。図9は、実施の形態3における空気調和機の監視システム100の異常発生報知信号の送信動作の動作試験時の動作の手順を説明するフローチャートである。以下では、上述した実施の形態1における図6のフローチャートと異なるステップについて説明する。
【0105】
まず、実施の形態1の場合と同様に、ステップS110およびステップS120が行われる。その後、ステップS310に進む。
【0106】
ステップS310では、試験専用画面221が、リモコン2において表示される。具体的に、リモコン制御部25が、試験専用画面221をリモコン2において表示させる。リモコン制御部25は、リモコン操作部21から送信された異常信号の送信指令信号を受信すると、当該異常信号の送信指令信号に基づいて、試験専用画面221をリモコン2のリモコン表示部22に表示させる。
【0107】
そして、リモコン制御部25は、動作試験においてリモコン2から空気調和機1に送信させる異常信号を選択するための異常信号の選択肢である複数の異常信号選択肢を、試験専用画面221に表示させる。すなわち、実施の形態3では、リモコン制御部25は、動作試験においてリモコン2から空気調和機1に送信可能な複数の異常信号の名称の情報を、試験専用画面221に表示させる。
【0108】
上述した実施の形態2では、リモコン制御部25は、ステップS120において特定操作が行われ、特定操作に対応した信号である異常信号の送信指令信号を受信した場合に、特定操作に対応した1つの異常の名称の情報を、試験専用画面221に表示させる。実施の形態3では、リモコン制御部25は、ステップS120において特定操作が行われ、特定操作に対応した信号である異常信号の送信指令信号を受信した場合に、動作試験においてリモコン2から空気調和機1に送信させる異常信号を選択するための異常信号選択肢を、試験専用画面221に表示させる。すなわち、実施の形態3では、リモコン2は、異常信号選択肢を試験専用画面221に表示することにより、リモコン2から空気調和機1に送信させる異常信号の選択を作業者に促す。
【0109】
図10は、実施の形態3においてリモコン表示部22に表示される試験専用画面221の一例を示す図である。図10では、動作試験においてリモコン2から空気調和機1に送信させる異常信号を選択するための異常信号選択肢として、温度異常表示222と、通信異常表示223と、センサ異常表示224と、圧力異常表示225とがリモコン表示部22の試験専用画面221に表示された状態を示している。
【0110】
通信異常表示223は、リモコン2から空気調和機1に送信される異常信号に対応する異常が通信異常であることを示す表示である。センサ異常表示224は、リモコン2から空気調和機1に送信される異常信号に対応する異常がセンサ異常であることを示す表示である。圧力異常表示225は、リモコン2から空気調和機1に送信される異常信号に対応する異常が圧力異常であることを示す表示である。
【0111】
作業者は、リモコン操作部21の操作ボタンを用いて、リモコン2から空気調和機1に送信させる異常信号を複数の異常信号選択肢の中から選択する操作である異常信号選択操作を行う。その後、ステップS320に進む。
【0112】
ステップS320では、リモコン制御部25が、異常信号の選択信号を受信する。具体的に、リモコン操作部21は、作業者によりリモコン操作部21に対して行われた異常信号選択操作に対応した信号を異常信号の選択信号としてリモコン制御部25に送信する。そして、リモコン制御部25は、リモコン操作部21から送信された異常信号の選択信号を受信する。その後、ステップS330に進む。
【0113】
ステップS330では、異常信号が、リモコン2から空気調和機1に送信される。具体的に、リモコン制御部25が、異常信号を空気調和機1に送信する。リモコン制御部25は、リモコン操作部21から送信された異常信号の選択信号を受信すると、当該異常信号の選択信号に基づいて、異常信号をリモコン通信部24に送信する。リモコン制御部25は、異常信号の選択信号に対応した異常信号、すなわち異常信号の選択信号において指定されている異常信号をリモコン通信部24に送信する。リモコン通信部24は、リモコン制御部25から送信された異常信号を受信すると、当該異常信号を空気調和機1に送信する。その後、ステップS140に進む。
【0114】
上述したように、実施の形態3では、リモコン制御部25は、リモコン操作部21において行われた特定操作に対応した信号である異常信号の送信指令信号を受信すると、試験専用画面221をリモコン表示部22に表示させる。また、リモコン制御部25は、動作試験においてリモコン2から空気調和機1に送信可能な複数の異常信号の名称の情報を、試験専用画面221に表示させる。これにより、作業者は、リモコン2から空気調和機1に送信させる異常信号を、リモコン表示部22に表示された複数の異常信号選択肢の中から選択することができる。
【0115】
これにより、作業者は、リモコン操作部21における特定操作によってリモコン2のリモコン制御部25が動作試験モードに移行したこと、およびリモコン2において動作試験の処理が正常に進んでいることを、リモコン表示部22で容易に確認することができる。また、作業者は、リモコン2から空気調和機1に送信させる異常信号を試験専用画面221に表示された複数の異常信号選択肢の中から選択する操作を行うことにより、異常信号を送信することを選択した認識を得られる。これにより、実施の形態3では、作業者は、上述した実施の形態2の場合よりも、より確実に動作試験時におけるリモコン2の処理を確認しながら、容易に且つ確実に動作試験を行うことができる。
【0116】
続いて、実施の形態1にかかる制御部80のそれぞれのハードウェア構成について説明する。実施の形態1にかかる制御部80は、実施の形態1にかかる、空気調和機1の室内機11の空気調和制御部115、リモコン2のリモコン制御部25、および監視装置3の監視装置制御部34のそれぞれに対応する。実施の形態1にかかる制御部80のそれぞれの機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、記憶装置に格納されるプログラムを実行する処理装置であってもよい。
【0117】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらを組み合わせたものが該当する。図11は、実施の形態1にかかる制御部80のそれぞれの機能をハードウェアで実現した構成を示す図である。処理回路81には、制御部80の機能を実現する論理回路81aが組み込まれている。
【0118】
処理回路81が処理装置の場合、制御部80の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0119】
図12は、実施の形態1にかかる制御部80のそれぞれの機能をソフトウェアで実現した構成を示す図である。処理回路81は、プログラム81bを実行するプロセッサ811と、プロセッサ811がワークエリアに用いるランダムアクセスメモリ812と、プログラム81bを記憶する記憶装置813を有する。記憶装置813に記憶されているプログラム81bをプロセッサ811がランダムアクセスメモリ812上に展開し、実行することにより、制御部80の機能が実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラム言語で記述され、記憶装置813に格納される。プロセッサ811は、中央処理装置を例示できるがこれに限定はされない。記憶装置813は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリを適用できる。半導体メモリは、不揮発性メモリでもよいし揮発性メモリでもよい。また、記憶装置813は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)を適用できる。なお、プロセッサ811は、演算結果といったデータを記憶装置813に出力して記憶させてもよいし、ランダムアクセスメモリ812を介して不図示の補助記憶装置に当該データを記憶させてもよい。プロセッサ811、ランダムアクセスメモリ812および記憶装置813を1チップに集積することにより、制御部80の機能をマイクロコンピュータにより実現することができる。
【0120】
処理回路81は、記憶装置813に記憶されたプログラム81bを読み出して実行することにより、制御部80の機能を実現する。プログラム81bは、制御部80の機能を実現する手順および方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。
【0121】
なお、処理回路81は、制御部80の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、制御部80の機能の一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0122】
このように、処理回路81は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0123】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 空気調和機、2 リモートコントローラ、3 監視装置、11 室内機、12 室外機、21 リモートコントローラ操作部、22 リモートコントローラ表示部、23 リモートコントローラ記憶部、24 リモートコントローラ通信部、25 リモートコントローラ制御部、31 監視装置表示部、32 監視装置記憶部、33 監視装置通信部、34 監視装置制御部、80 制御部、81 処理回路、81a 論理回路、81b プログラム、100 空気調和機の監視システム、111 室内機空気調和部、112 センサ、113 室内機記憶部、114 室内機通信部、115 空気調和制御部、116 室内機制御基板、211 第1操作ボタン、212 第2操作ボタン、213 第3操作ボタン、221 試験専用画面、222 温度異常表示、223 通信異常表示、224 センサ異常表示、225 圧力異常表示、811 プロセッサ、812 ランダムアクセスメモリ、813 記憶装置。
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