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特許7646082電流供給コンバータを過電圧から保護する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】電流供給コンバータを過電圧から保護する方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20250307BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20250307BHJP
   H03K 17/567 20060101ALI20250307BHJP
【FI】
H02M1/00 E
H03K17/08 Z
H03K17/567
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024519144
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2022003907
(87)【国際公開番号】W WO2023042417
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】21306293.8
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】ル・レスル、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ルフェーブル、ギョーム
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102973(JP,A)
【文献】特開2010-283986(JP,A)
【文献】特開平10-150764(JP,A)
【文献】特表2021-511003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流供給コンバータを開回路故障状態における過電圧から保護する方法であって、前記電流供給コンバータは、2つ以上のレッグを有するスイッチングセルを備え、各前記レッグには、少なくとも1つの上部スイッチングデバイスおよび少なくとも1つの下部スイッチングデバイスが設けられ、開回路故障状態が前記スイッチングセルの少なくとも1つの前記レッグ内の或るスイッチングデバイスにおいて発生するとき、前記方法は、
前記電流供給コンバータのコントローラによって開始されるスイッチング遷移が発生するとき、前記レッグのうちの少なくとも2つの前記上部スイッチングデバイスにおいて電流微分信号を測定すること又は前記レッグのうちの少なくとも2つの前記下部スイッチングデバイスにおいて電流微分信号を測定することであって、前記スイッチング遷移は、前記上部スイッチングデバイスの導通状態の変化及び前記下部スイッチングデバイスの導通状態の変化を含むことと、
前記スイッチング遷移の少なくとも1つの期間に、前記電流微分信号に基づいて、
前記電流微分信号のうちの1つの絶対値が第1の既定値よりも小さいか若しくはヌルであるとき、又は
前記電流微分信号の絶対値の和が第2の既定値よりも小さいとき、
のいずれかであるときに、保護をトリガーすることと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記電流微分信号を測定することを、前記電流供給コンバータのコントローラによって生成される前記スイッチングデバイス間のスイッチング遷移と同期させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記同期させることは、前記スイッチング遷移の開始とともに開始し、前記スイッチング遷移の終了前、終了時又は終了後に終了するブランキングウィンドウを調整することを含み、前記ブランキングウィンドウは、前記スイッチング遷移中に前記保護をトリガーすることを抑制する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ブランキングウィンドウの幅を画定するために、前記スイッチング遷移中に、前記スイッチングセルの中のどのデバイスがリーディングデバイスであり、前記スイッチングセルの中のどのデバイスがフリーホイーリングデバイスであるかを特定して、前記スイッチングセルの両端の出力電圧の正負符号を測定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記保護をトリガーすることは、前記電流供給コンバータに電流供給する電流源に前記スイッチングセルの外部の電流パスを提供することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記保護をトリガーすることの後に、前記電流供給コンバータのコントローラにおいて障害状態を記録すること及び/又はリモートコントローラにおいて前記電流供給コンバータの障害状態を転送することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法を実行する電子デバイスであって、前記電子デバイスは、
前記スイッチング遷移を検知する手段と、
前記スイッチング遷移中に前記電流微分信号を測定する手段と、
前記電流微分信号を前記第1の既定値又は前記第2の既定値と比較し、前記保護をトリガーするように構成される電子回路と、
前記電子回路による保護のトリガーの際に、前記スイッチングセルの外部において、電流源から供給される電流の代替パスを確保する保護デバイスと、
を備えることを特徴とする、電子デバイス。
【請求項8】
a.前記電流微分信号を測定する手段は、前記スイッチングセルの各前記レッグを通って流れる電流の電流微分を検知するセンサと、前記センサから発行される電流微分信号を調整する手段とを備え、
b.前記電子回路は、
第1の電流微分信号の第1の絶対値を提供する手段及び第2の微分信号から第2の絶対値を提供する手段と、
前記第1の絶対値を前記第1の既定値と比較し、比較した結果に応じて第1の論理出力を提供する第1の比較器、前記第2の絶対値を前記第1の既定値と比較し、比較した結果に応じて第2の論理出力を提供する第2の比較器、並びに前記第1の比較器及び前記第2の比較器の出力に接続されて、前記第1の絶対値及び前記第2の絶対値のうちのいずれか一方が前記第1の既定値よりも小さいときに前記保護デバイスをトリガーするトリガー信号を提供する論理ゲート、
又は、
前記第1の絶対値及び前記第2の絶対値の和を提供する加算手段、及び、前記和を前記第2の既定値と比較し、比較した結果に応じて第3の論理出力を提供し、前記和が前記第2の既定値よりも小さい場合に前記保護デバイスをトリガーするトリガー信号を提供する第3の比較器、
のいずれかと、
を備える、請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記電流微分を検知するセンサはロゴスキーコイルである、請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記電流微分信号を調整する手段は、フィルタ及び/又は増幅器を備える、請求項8又は9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記電流微分信号を測定する手段及び前記電子回路は、アナログ回路及び論理回路から構成される、請求項7~10のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記保護デバイスは、前記スイッチングセルに供給する電流をフリーホイールする保護スイッチを備える、請求項7~11のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記トリガー信号を有効にするゲートを備え、前記ゲートは、第1の入力としての前記トリガー信号と、第2の入力としてのブランキング回路から発行される前記スイッチング遷移の少なくとも一部の間前記トリガー信号を抑制するブランキング信号とを有し、前記ブランキング信号は前記電流供給コンバータのコントローラから発行され、前記ゲートは、前記ブランキング信号の発生中に前記トリガー信号を抑制するように構成される、請求項8~10のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項14】
請求項7~13のいずれか1項に記載の電子デバイスを備える電流供給コンバータであって、前記電子デバイスは、前記電流供給コンバータ内のPCB基板上に設けられる、電流供給コンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電力電流供給コンバータ及びそのようなコンバータの過電圧保護に関する。
【背景技術】
【0002】
電流供給コンバータは、HVDC、モータドライブ又は力率補正器等の種々のアプリケーションに広く使用されている。そのようなコンバータの主な制約は、大きな入力インダクタンスを使用することにあった。しかしながら、導電損失及びスイッチング損失がより低いワイドバンドギャップ半導体デバイス、例えば、炭化ケイ素半導体デバイス及び/又は窒化ガリウム半導体デバイスの出現によって、電流供給コンバータの小型化及び効率改善によって、設計に新たな視点が切り開かれた。それにもかかわらず、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の使用は、依然として高電力用途では先端的であり、特に保護対策にはまだ改善の余地がある。
【0003】
少なくとも2つのレッグから構成される電流供給パワーコンバータでは、異なるレッグのスイッチは、導通から遮断へ及び遮断から導通への制御が独立にかつ相補的な方法で行われる。2つのスイッチの間のスイッチング遷移(又はスイッチングイベント)の間には、オーバーラップ(双方のスイッチがОN)が使用される。オーバーラップの主な理由は、入力源の誘導性に起因する。DCリンク電流遮断は、2つのスイッチのうちの一方の制御信号が不良であること、障害のあるデバイスが開回路において故障すること、又はゲートドライバが故障することを含む複数の要因に起因する可能性がある。その結果、DC電流用の電流パスがなくなり、甚大なダメージにつながる可能性がある。電流供給コンバータ内の電流遮断は、パワーデバイスの絶縁破壊電圧よりも高いDC電圧の急速な上昇を誘発し、パワーコンバータの破壊を引き起こす。なぜならば、アバランシェモードに入り、インダクタンスに蓄積されたエネルギーを放散するため、それほどの長時間、そのような高電圧状態及び高電流状態に耐えることができないからである。電流供給コンバータ内の電流遮断は、時折発生するものであり、ほとんどの場合にコンバータの絶縁破壊につながる障害である。
【0004】
加えて、大電力アプリケーションでは、対応するIGCT(集積化ゲート転流型サイリスタ)よりも高速の高速IGBTの使用が増加しているため、保護機能の応答時間の短縮が必要とされる。電流遮断の際のDC電圧の上昇及びパワーコンバータの破壊を回避するためには、DCリンク電流へのフリーホイールパスを確保する高速保護回路を実装しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、高速検出保護回路が必要とされ、本発明は、この課題に対応するものである。
【0006】
問題は、通常の保護回路が大きく、ダイオード、TVS(過渡電圧サプレッサ)、サイリスタ、金属酸化物バリスタ(MOV)等のいくつかのパワーデバイスを必要とすることである。
【0007】
ほとんどの場合、そのような回路は、過電圧を許容範囲内でクランプするために使用されるにすぎず、コンバータをシャットダウンする障害を適切に検出することはしない。その上、これらの保護回路は電圧測定に依存しているため、過電圧事象が既に進行していることを意味する。
【0008】
さらに、通常の解決策のうちのいくつかは、パワー構成要素(ダイオード等)が多いことに起因して寄生要素をもたらし、寄生キャパシタの追加は、コンバータのスイッチング損失を増加させるため、損失を増加させる。いくつかの場合には、保護回路も、電源電流の一部を導通させ、電流源インバータに当てはまる可能性がある。
【0009】
加えて、コンバータのコントローラによるDCリンク電流へのフリーホイールパスの検出及び確保に基づく解決策は十分に高速なものではない。
【0010】
本開示の目的は、電流供給コンバータにおいて電流遮断に起因する過電圧保護を迅速に確保することである。問題解決への取り組み方法は、電流遮断である根本原因を監視することによって、電圧上昇を可能な限り多く防止することを意図することである。
【0011】
本開示は、電流へのフリーホイールパスを確保する1つのパワーデバイスのみを制御する検出用の低電圧アナログ回路及び論理回路を使用することによって、ダイオード、サイリスタ又はTVS等の大きなパワーデバイスの使用を制限することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
より正確には、本開示は、2つ以上のレッグを有するスイッチングセルを備える電流供給コンバータを過電圧から保護する方法であって、各レッグには、少なくとも1つのスイッチングデバイスが設けられ、スイッチングセルの或るレッグ内のスイッチングデバイスの開回路故障状態において、本方法は、
スイッチング遷移が発生するレッグのうちの少なくとも2つの上部スイッチングデバイス又は下部スイッチングデバイスのそれぞれにおいて電流微分信号dI/dtを測定することであって、スイッチング遷移は、上部スイッチングデバイス又は下部スイッチングデバイス内の電流導通スイッチングデバイスの変化を含むことと、
スイッチング遷移中に、電流微分信号に基づいて、
電流微分信号のうちの1つの絶対値が第1の既定値k1よりも小さいか若しくはヌルであるとき、又は
電流微分信号の絶対値の和が第2の既定値k2よりも小さいとき、
のいずれかであるときに、保護をトリガーすることと、
を含む、方法に関する。
【0013】
そのような方法は、アナログ構成要素及び論理構成要素を保護の高速検出及びトリガーに使用することで、容易に実施することができる。
【0014】
本方法は、電流微分信号を測定することを、コンバータのコントローラによって生成されるスイッチングデバイス間のスイッチング遷移と同期させることを含むことができる。
【0015】
同期させることは、スイッチング遷移の開始とともに開始し、スイッチング遷移の終了前、終了時又は終了後に終了するブランキングウィンドウを調整することを含み、ブランキングウィンドウは、スイッチング遷移中に保護をトリガーすることを抑制する。
【0016】
本方法は、スイッチングセルにおけるリーディングデバイス及びフリーホイーリングデバイスを特定してブランキングウィンドウの幅を画定するためのスイッチングセルの両端の出力電圧の正負符号の測定を含むことができる。
【0017】
保護をトリガーすることは、コンバータに電流供給する電流源にスイッチングセルの外部の電流パスを提供することを含むことができる。
【0018】
本方法は、保護をトリガーした後にコンバータコントローラにおいて障害状態を記録すること及び/又はリモートコントローラにおけるコンバータの障害状態の転送を含むことができる。
【0019】
本開示はまた、上述した方法を実行する電子デバイスであって、
電流微分信号を測定する手段と、
電流微分信号を第1の既定値又は第2の既定値と比較し、保護をトリガーするように構成される電子回路と、
電子回路による保護のトリガーの際に、スイッチングセルの外部において、電流源から供給される電流の代替パスを確保する保護デバイスと、
を備えることを特徴とする、電子デバイスに関する。
【0020】
上記の電子デバイスにおいて、
a.電流微分信号を測定する手段は、スイッチングセルの各レッグを通って流れる電流の電流微分を検知するセンサと、センサから発行される電流微分信号を調整する手段とを備えることができ、
b.電子回路は、
第1の電流微分信号の第1の絶対値を提供する手段及び第2の微分信号から第2の絶対値を提供する手段と、
第1の絶対値を第1の既定値K1と比較し、第1の比較器の出力状態に応じて第1の論理出力を提供する第1の比較器、第2の絶対値を第1の既定値K1と比較し、第2の比較器の出力状態に応じて第2の論理出力を提供する第2の比較器、並びに第1の比較器及び第2の比較器の出力に接続されて、絶対値のうちのいずれか一方が第1の既定値よりも小さいときに保護デバイスをトリガーするトリガー信号を提供する論理ゲート、
又は、
絶対値の和を提供する加算手段、及び、和を第2の既定値と比較し、第3の比較器の出力状態に応じて第3の論理出力を提供し、絶対値の和が第2の既定値よりも小さい場合に保護デバイスをトリガーするトリガー信号を提供する第3の比較器、
のいずれかと、
を備えることができる。
【0021】
電流微分を検知するセンサはロゴスキーコイルである。
【0022】
電流微分信号を調整する手段は、フィルタ及び/又は増幅器を備えることができる。
【0023】
電流微分信号を測定する手段及び電子回路は、アナログ回路及び論理回路から構成されることが好ましい。これにより高速な検出が可能となる。
【0024】
保護デバイスは、スイッチングセルに供給する電流をフリーホイールする保護スイッチを備えることができる。
【0025】
電子デバイスは、トリガー信号を有効にするゲートを備えることができ、ゲートは、第1の入力としてのトリガー信号と、ブランキング回路から発行されるスイッチング遷移の少なくとも一部の間、トリガー信号を抑制する、第2の入力としてのブランキング信号とを有し、ブランキング信号はコンバータコントローラから発行され、ゲートは、ブランキング信号の発生中にトリガー信号を抑制するように構成される。
【0026】
本開示はまた、電子デバイスを備える電流供給コンバータであって、電子デバイスは、コンバータ内のPCB基板上に設けられる、電流供給コンバータに関する。
【0027】
提案された方法は、各レッグが少なくとも1つの制御可能なスイッチングデバイスを含む少なくとも2つのレッグから構成される任意の電流供給コンバータに適用することができる。スイッチングデバイスは、二者択一的に制御され、遷移が発生するスイッチングデバイスにおいて電流連続性を確保する制御信号のオーバーラップが正常動作中に含まれる。
【0028】
過電圧保護を設計するために電流微分センサ出力の複数の組み合わせを実施することができる。論理回路及び調整回路は、信号の組み合わせに従って設計されなければならない。
【0029】
本発明の例示的な実施形態の詳細な説明を、添付図面を参照して下記に論述する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】簡略化された2レッグ電流供給コンバータの設計を示す図である。
図2】電流微分検出センサを有する電流供給コンバータの上部の簡略図である。
図3A】本開示による方法ステップの第1の実施形態を示す図である。
図3B】本開示による方法ステップの第2の実施形態を示す図である。
図4】第1の実施形態における、より詳細な方法ステップを示す図である。
図5】開回路障害を伴わない第1の遷移事象による波形を示す図である。
図6図5の第1の遷移事象において開回路障害を伴う場合を示す図である。
図7】開回路障害を伴わない第2の遷移事象による波形を示す図である。
図8図7の第2の遷移事象において開回路障害を伴う場合を示す図である。
図9A】障害検出回路の1つの実施形態を示す図である。
図9B】障害検出回路の1つの実施形態を示す図である。
図10】本開示に適用可能なロゴスキーコイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、電流供給コンバータにおいて過電圧を防止する方法及びデバイスに関する。
【0032】
そのようなコンバータの簡略概略図を図1に示す。図1において、コンバータは、インダクタンス2を通してDC電圧源1によって電流供給され、2つのレッグを有するスイッチングセルを備える。各レッグは、それぞれスイッチングデバイス31、32を有する上部ブランチを備えるとともに、それぞれスイッチングデバイス41、42を有する下部ブランチを備える。これらのスイッチングデバイスはIGBT等である。各ブランチには、IGBTの両端に発生する逆電圧を阻止する直列ダイオード71、72、81、82が更に設けられている。
【0033】
IGBTのゲートは、上部IGBT31、32用のゲートドライバ51、52と、下部IGBT41、42用のゲートドライバ61、62との制御下にある。各ゲートドライバは、交流を負荷9に提供するためにコンバータのスイッチングシーケンスに従ってゲートドライバの制御信号を提供するコントローラの制御下にある。
【0034】
拡大表示窓11に見られるように、電流の双方向の通電が必要とされる場合には、IGBTと直列ダイオードとの組み合わせを2つの共通エミッタIGBT32’a、32’b及び逆並列ダイオード72’に置き換えることができる。以下の説明は、IGBTアプリケーションに基づいているが、任意のユニポーラJFET、IGFET、HEMT、MOSFET32”a、32”b又はバイポーラBJTトランジスタに拡張することができ、電極の名称のみを変更すればよい。
【0035】
図2は、ゲートドライバ51、52が設けられた上部スイッチデバイスQ1 31及びQ3 32と、それぞれに直列に配置された本開示による電流微分検知手段91、92を有するスイッチングセルの上側部分の簡略概略図である。図1の電圧源1及びインダクタンス2を含む電流源が、参照符号1’で示され、保護デバイスが保護スイッチ93として示されている。同様の回路が、Q2及びQ4を有するスイッチングセルの下側部分に設けられる。以下の方法は、セルの上側部分及びセルの下側部分の双方に同一の方法で適用される。図3A及び図3Bは、スイッチングセルのレッグの上側部分のスイッチQ1、Q3の間にスイッチング事象がある場合の本開示の方法の基本原理を示している。
【0036】
図3Aには、第1の実施形態が開示されている。第1の実施形態では、本方法は、ステップ100において、Q1とQ3との間のスイッチング事象を検出することと、ステップ110において、Q1及びQ3において電流微分信号を測定することと、ステップ120aにおいて、そのような電流微分信号の絶対値を第1の既定値k1と比較することと、2つの微分信号の絶対値のうちの一方が第1の既定値k1よりも小さい場合には、ステップ130において、保護をトリガーすることとを含む。
【0037】
図3Bには、本方法の第2の実施形態が開示されている。第2の実施形態では、2つの電流微分信号の絶対値の和が第2の既定値k2と比較され、そのような和が第2の既定値k2よりも小さい場合には、ステップ130において保護をトリガーすることが行われる。
【0038】
本方法はフローチャートとして示されているが、測定ステップ110、比較ステップ120a、120b及びトリガーステップ130は、応答をリアルタイムにするために、コンバータのコントローラに組み込まれたソフトウェアではなく、アナログ構成要素及び論理構成要素を使用して実施される。
【0039】
ステップ100は、コンバータのコントローラ10によって開始されるステップであり、スイッチングセルの2つのスイッチデバイス31及び32の間の導通状態を変化させるものである。第1のスイッチング事象は、Q1が遮断状態から導電状態に変化すること、及びQ3がQ1に対して遅延して導電状態から遮断状態に変化することを含み、第2のスイッチング事象は、Q3が遮断状態から導電状態に変化すること、及びQ1がQ3に対して遅延して導電状態から遮断状態に変化することを含む。
【0040】
2つの絶対値を加算することは、より高い信号/雑音比を提供するとともにより簡単な検出回路を提供する利点を有する。
【0041】
図4は、より詳細な内容を有するとともに、信号波形を示す図5図8に見られるように、スイッチング事象が終了していないときに障害信号が保護をトリガーすることを抑制するようにステップ104においてブランキングウィンドウを設定する準備を含む第1の実施形態の一例を提供している。
【0042】
そのようなブランキングウィンドウは、事前のステップ102において求められる出力電圧VOUTの極性に従った継続時間を有する。
【0043】
ブランキングウィンドウが設定されると直ちに、検出信号VCOMPは、ステップ106においてコントローラ10によってリセットされ、検出の準備が完了する。この検出信号は、その後、コンバータの監視されたレッグにおける十分に高いdI/dt信号の存在に応じて、セットされるか又はセットされない。検出信号をリセットするステップ及びブランキングウィンドウを設定するステップは、コンバータのコントローラ内に設けられることに留意すべきである。極性を確認することは、スイッチング事象の開始前に行うことができ、ブランキングウィンドウは、スイッチング事象の開始時又は開始前にコントローラによって設定される。ブランキングウィンドウを設定した後、双方のdI/dtの絶対値がステップ120aにおいて既定値k1を上回って検出された場合には、VCOMP信号がステップ122においてセットされ、ブランキングウィンドウの終了後にステップ124が実施される。そのような場合には、保護は開始されず、本方法は、別のスイッチング事象を待機することを含む。dI/dt信号が余りにも小さく、VCOMPをセットすることができない場合には、そのような検出信号はリセット状態を維持し、コンバータの保護がステップ130においてトリガーされる。
【0044】
図9Aは、本開示の検出回路の第1の実施形態の概略図を提供している。
【0045】
2つのレッグセンサ91、92から開始して、この回路は、増幅器回路12a、12bと、絶対値検出器又は整流器13a、13bと、ラッチ付き比較器14a、14bとを備える。比較器14a、14bは、コンバータのコントローラからのリセット信号19用のリセット信号入力と、2つの絶対値が比較される第1の既定信号値k1の入力とを有する。ラッチ付き比較器の論理出力は、論理ANDゲート15に入力される。その出力13は、ORゲート16に入力される。ORゲート16は、第2の入力として、コントローラ10のブランキング回路18の出力信号20を有する。ORゲート16の出力は、2つの電流微分信号のうちの一方が弱すぎる場合に保護デバイス93をトリガーする最終的なトリガー信号を提供する。
【0046】
この例では、ANDゲート15の出力信号は、論理0トリガー信号を提供する一方、ブランキング信号は、ゲート16を、ブランキングウィンドウが終了するまでトリガー信号を抑制するORゲートにする論理1信号である。論理1トリガー信号及び/又は論理0ブランキング信号の場合には他の論理ゲートが使用されてもよい。
【0047】
図9Bは、第2の実施形態に対応する。第2の実施形態では、絶対値検出器又は整流器13a、13bの出力は、加算器22において加算される。その結果は、ラッチ付き比較器14cにおいて比較される。そのような場合、比較器14cの論理出力は、ブランキングウィンドウ信号20とともにORゲート16の入力になる。
【0048】
図9A図9Bの実施形態では、絶対値機能13a、13bが、電流微分の正負符号と関係なく、センサから正の信号を取得するのに使用される。そのような機能を実施するためには、フルブリッジダイオード整流器又は精密演算増幅器整流器等のいくつかの方法が可能である。任意の交流信号の絶対値を取得することができる任意の回路を使用することができる。
【0049】
ラッチ機能付き比較器14a、14b、14cは、サンプルホールド回路と同様のものであり、任意の種類のピーク検出器回路又は出力をハイ(high)状態に維持するラッチピンを有する任意の比較器を使用することによって実施することができる。電流微分センサからの信号は、最大定格よりも高くなる可能性があるので、安全性の理由からクランプ回路を入力に挿入することができる。
【0050】
電流微分センサ出力の加算22は、センサを直列に接続することによって行うこともできるし、演算増幅器回路を使用する専用回路を使用することによって行うこともできる。
【0051】
正負符号モジュール17及びブランキングモジュール18に関して、ほとんどの場合、電流供給コンバータは、コントローラ10においてベクトル変調によって制御される。これは、スイッチングデバイスが、多相コンバータにおいても、コントローラによって知られていることを意味し、これによって、上記正負符号モジュール及び上記ブランキングモジュールがコントローラによってハンドリングされることが可能になる。加えて、出力電圧の正負符号、特にスイッチングセルの両端の電圧の正負符号が得られることによって、スイッチングセルにおけるリーディングデバイス及びフリーホイーリングデバイスを特定することが可能になる。したがって、以下で見られるように全てのスイッチング構成においてコンバータを保護することができるようにブランキングウィンドウの継続時間をコントローラにおいて調整することができる。
【0052】
AND機能15は、dI/dtセンサごとに1つの比較器が使用されるので、第1の実施形態とともに必要とされる。比較器の2つの出力のうちの少なくとも一方がロー(low)である場合に、この出力は保護をトリガーする。
【0053】
OR機能16は、偽トリガーを回避するためにブランキング信号とともに使用される。この機能は、単純なダイオード、専用IC又はディスクリートトランジスタを使用して実施することができる。
【0054】
リセット信号RST19は、新たなスイッチング事象転流を開始する前に比較器出力をプルダウンするのに使用される。
【0055】
保護デバイス93は、電圧オーバーシュートを回避するためにDC電流へのフリーホイーリングパスとして使用される。このデバイスは、コンバータにおいて使用されるパワーデバイス(IGBT、MOSFET等)と同じタイプのものとすることができる。
【0056】
増幅器12a、12bは、過渡信号が偽検出を生み出すことを回避するローパスフィルタを備えることができる。
【0057】
信号に関する本方法の動作は、図5図8に開示され、図5及び図6のスイッチング事象ST1と、図7及び図8のスイッチング事象ST2との2つの異なるタイプのスイッチング事象について開示されている。図5及び図7は、開回路障害を伴わないスイッチング事象を表し、図6及び図8は、障害が発生するスイッチング事象を示している。これらの説明は、以下の仮定及び初期状態に従って行われる。
・直列ダイオードを有するIGBTデバイスがスイッチングセルにあるとみなされる、
・負荷9のVOUTに対応する出力は、スイッチング時間スケールにおいて一定とみなされる。
・出力電圧の正負符号は既知である。
・DC電流は、遷移時間スケール中は一定とみなされる。
・スイッチQ1は、電流変動がQ1における変化に起因してのみ発生することを意味するリーディングデバイスとみなされる。
・保護デバイスは、正常動作において開放スイッチとして表され、1つ又は複数の制御可能な半導体デバイスとすることができる。
【0058】
以下の説明は、電流微分絶対値が加算され、所定の値k2と比較されることを考察する。
【0059】
論述する2つのタイプのスイッチング事象又は遷移において、Q1はリーディングデバイスとみなされ、Q3はフリーホイーリングデバイスとみなされる。同様の説明は、逆の状況にも当てはまる。図5及び図6は、それぞれ正常状態下及び障害状態下におけるQ1のターンオンを伴うスイッチング遷移ST1を示している。図7及び図8は、それぞれ正常状態下及び障害状態下におけるQ1のターンオフを伴うスイッチング遷移ST2を示している。検出/保護回路は、スイッチング遷移に従って異なって動作する。実際、出力電圧の正負符号が既知であることによって、リーディングデバイスを特定することが可能になり、したがって、スイッチングタイプも特定することが可能になる。
【0060】
図5において、0≦t<t1の間の正常動作では、上部スイッチQ3はОNであり、スイッチQ1はOFFである。ゲート電圧VGE3210及びVGE1200はそれぞれハイ(正)状態及びロー(負)状態にある。DC電流は、コレクタ(C)からエミッタ(E)へQ3を通って流れており、これはIQ3240がIDCに等しいことを意味する。t=t1において、コントローラからの制御信号がQ1に送信され、これは、オーバーラップ時点に対応する。t=t1において、ブランキングウィンドウ信号VBLANK220も、ロー状態からハイ状態にトグルし、過電圧検出回路を瞬間的に無効にする。パワーデバイスに依存する或る遅延(ターンオン遅延時間又はターンオフ遅延時間)の後、Q1を通って流れる電流250は、正の電流微分で増加する一方、Q3の電流微分は正常動作において負である。図2に示すように配置されたdI(t)/dtセンサが反応し、その結果、センサ出力電圧の絶対値の和は、信号270によって表されるように増加する。正常動作では、検知されたdI/dtの絶対値の和は、固定基準k2よりも大きく、したがって、比較器出力VCOMP230は次の転流までラッチされる。t=t2において、Q3のゲート電圧はプルダウンされ、これは、オーバーラップ時間が終わったことを意味し、そのようなQ1の正の遷移の場合にt1からt2に進むブランキングウィンドウVBLANK220も終了する。
【0061】
図6に表すようなQ1の障害状態下では、スイッチQ1はターンオンすることができない。初期条件は上記と同じであり、Q3の電流241は負荷のDC電流である。ブランキングウィンドウVBLANK220はt1において開始する。正常動作とは反対に、t1とt2との間において、Q1電流251に変化は発生せず、VGE1201はローのままである。その結果、abs(dIQ1/dt)はヌルである。比較器出力VCOMP231はラッチされず、リセットされたままである。t=t2において、Q3のゲート信号211は、ブランキング信号としてプルダウンされ、これは、障害が発生したことを意味する。保護デバイスは、DC電流が遮断されようとする前にトリガーされる。
【0062】
図6では、Q3の転流がt3において到達していたはずであるが、abs(dIQ3/dt)271が基準k2よりも大きい場合であっても、保護がt2においてターンオンされるので、コンバータは停止される。t3とt4との間の電流遷移は、Q3から、保護回路によって提供されるフリーホイーリング回路に流れる電流に対応すると言うことができる。
【0063】
図7及び図8に示すターンオフシーケンスは僅かに異なる。障害を伴わない図7では、t1の前に、スイッチQ1はОNであり、スイッチQ3はOFFである。Q1のゲート電圧VGE1102及びQ3のゲート電圧VGE3112は、それぞれハイ(正)状態及びロー(負)状態である。DC電流は、コレクタ(C)からエミッタ(E)へQ1を通って流れており、これはIQ1=IDCであることを意味する。t=t1において、コントローラからの制御信号はQ3に送信され、これは、オーバーラップ時点に対応し、スイッチQ1及びQ3の双方が、DC電流を流すことができる。Q3の状態変化にもかかわらず、何も起こらず、電流は引き続きQ1を通って流れる。t=t1において、ブランキング信号VBLANK122もロー状態からハイ状態にトグルし、過電圧検出回路を瞬間的に無効にする。t=t2において、Q1のゲート電圧はプルダウンされ、これは、オーバーラップ時間が終わったことを意味する。パワーデバイスに依存する或る遅延(ターンオン遅延時間又はターンオフ遅延時間)の後、t=t3において、Q3を通って流れる電流は、正の電流微分で増加する一方、Q1の電流微分は正常動作において負である。図2に示すように配置されたdI(t)/dtセンサが反応し、その結果、センサ出力電圧は、既定の電圧値k2よりも高いdI/dt信号272によって表されるように増加し、したがって、次の転流まで比較器出力VCOMP232をラッチすることがトリガーされる。
【0064】
そのようなQ1の負の遷移の場合には、電流遷移はt3とt4との間で発生するが、この遷移は、コントローラがQ3をターンオンしようとすることで開始するので、ブランキングウィンドウは、t1~t4の継続時間を有する。
【0065】
スイッチQ3がDC電流をターンオンせず、VGE3213がローのままである図8のような異常動作では、Q1のターンオフは異なる。実際、半導体は、対応する制御信号VGE1203に起因してt2において電流を遮断しようとするが、ソースの誘導性の性質が電流を強制する。Q1のコレクタにおける電位は上昇し、Q1をアバランシェモードにする。その結果、電流微分センサからそれぞれQ1及びQ3への出力信号は、正常状態よりも低く、擬似的にヌルであり、dI/dt273は既定電圧値k2よりも低い。したがって、比較器出力は、回路に保護デバイスをトリガーさせるブランキング信号の終了前にラッチすることができない。
【0066】
これらの分析によれば、障害は、入力としてVCOMP及びVBLANKを有するANDゲートの出力において発行される制御信号の最後の立ち下がりエッジ後に常に発生すると言うことができる。
【0067】
IGBTのスイッチング遷移事象の通常の継続時間は、以下のとおりである。
t1~t2:10μs~数百マイクロ秒であり、オーバーラップ時間である;
t2~t3:デバイス、定格電圧、定格電流、チップ設計及びゲートドライバの性能に依存し、10μs~100μsの範囲のターンON/OFF遅延時間に対応する;
t3~t4:正常動作における電流遷移に対応することができ、同じくデバイス及びゲートドライバ性能に依存し、したがって、その範囲も10μs~数百マイクロ秒の幅を有することができる。
【0068】
以下のステップは、異常状態における保護の動作を要約したものである。
1.Q1がターンオンすることができない間:
a.制御がQ1をターンオンしようとする(正常状態におけるt=t1)。
b.ブランキング信号が同時にローからハイにトグルする(ステップ1)。
c.制御が、t=t2においてターンオフする信号をQ3に送信する。
d.ブランキング信号がハイからローにトグルし、電流微分信号はブランキングウィンドウの間は発生しない。
e.ハイ状態にある信号(VBLANK又はVCOMP)が存在しないことによって、電流遮断が起こる前に保護デバイスがトリガーされる。
2.Q1がターンオフであり、Q3がターンオンすることができない間:
a.制御が、t=t1においてターンオフする信号をQ3に送信し、Q1は、引き続きDC電流を導通させている。
b.ブランキング信号が同時にローからハイにトグルする。
c.制御が、t=t2においてターンオフする信号をQ1に送信する。
d.或る遅延の後、Q1が、t=t3から開始するアバランシェモードに入るので、Q1における電流がゆっくりと減衰する。
e.対応する電流微分信号が固定閾値よりも低い。
f.ブランキング信号がハイからローにトグルする。
g.ハイ状態にある信号(VBLANK又はVCOMP)が存在しないことによって、保護デバイスがトリガーされる。
【0069】
スイッチデバイスを有するPCB上に配置することができるディスクリート構成要素を使用する本開示の方法及びデバイスは、特にリーディングデバイスのターンオン中に極めて高速の検出能力を提供する。そのようなデバイスは、スイッチング遷移継続時間の点で特に有用である。
【0070】
同じ方法及びデバイスは、コンバータのレッグの下側部分におけるQ2及びQ4並びにスイッチングデバイス間の他の遷移事象に適用される。
【0071】
電流微分センサに関して、dI/dtセンサの目的は、パワースイッチのコレクタ電流の時間変化率に比例する信号を生成することである。パワーデバイスを通って流れる電流ICがハイからローの値に向かっているとき、出力信号は正である。逆に、パワーデバイスの電流ICがローからハイの値に向かっているとき、出力信号は負である。この機能は、図10に示すように主導体を取り囲む巻きコイルであるロゴスキーコイルを使用することによって行うことができる。ロゴスキーコイルは、そのようなPCBの導体のいくつかの層を使用してPCB内に統合することができ、数ボルトの信号を提供するように設計することができる。
【0072】
他のタイプの電流微分センサも使用することができる。
【0073】
本発明は、提供した例に限定されるものではなく、上述したように、同じ原理は、下部レッグ部分のスイッチデバイスに適用することができる。また、保護デバイスの出力は、リモートコントローラ又は管理システムに更に送信することができる警報信号を提供するために、コンバータのコントローラの入力に更に接続することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10