(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-06
(45)【発行日】2025-03-14
(54)【発明の名称】前照灯装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/20 20180101AFI20250307BHJP
【FI】
F21S41/20
(21)【出願番号】P 2024530079
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 JP2022025446
(87)【国際公開番号】W WO2024003968
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2024-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】寺島 遥
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 勝重
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/190165(WO,A1)
【文献】特開2009-128659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を有する光源部と、
入射面及び出射面を有し、前記複数の光源の発光面からそれぞれ発せられた複数の光が前記入射面から入射し、入射した前記複数の光を前記出射面から複数の投射光として投射して、前記複数の投射光で配光を形成する単一の光学部と、
前記複数の光源の前記発光面からそれぞれ発せられた前記複数の光の光束径の大きさを制限する構造と、
を備えたことを特徴とする前照灯装置。
【請求項2】
前記光学部の前記入射面は、集光機能を持つ少なくとも1つの集光領域を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の前照灯装置。
【請求項3】
前記構造は、前記発光面と前記入射面との間に配置され、前記発光面からそれぞれ発せられた前記複数の光を通過させる複数の開口を有するシェードを含む
ことを特徴とする請求項
2に記載の前照灯装置。
【請求項4】
前記複数の開口の形状は、矩形又は予め決められた方向に向けて幅が徐々に狭くなる形状である
ことを特徴とする請求項3に記載の前照灯装置。
【請求項5】
前記複数の光の内の前記複数の開口のいずれかを通過して前記入射面に当たる入射光の入射領域の面積は、
前記複数の光源のうちの、前記入射光に対応する光源の発光面の面積より小さい、
ことを特徴とする請求項
4に記載の前照灯装置。
【請求項6】
前記複数の光源の前記発光面は、同一平面上に配置されている
ことを特徴とする請求項
5に記載の前照灯装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの集光領域は、前記光源部に向けて突き出ており、予め決められた延在方向に延在する頂部を持つ凸状部を有し、
前記少なくとも1つの集光領域の、前記延在方向に直交する方向に切る断面形状は、前記延在方向の位置に依存しない同じ形状である
ことを特徴とする請求項
6に記載の前照灯装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの集光領域は、前記光源部に向けて突き出ており、予め決められた方向に延在する頂部を持つ凸状部を有し、
前記少なくとも1つの
集光領域のプロファイルは、前記凸状部の前記頂部を間に挟んで一方の側と他方の側とで互いに異なる、
請求項
7に記載の前照灯装置。
【請求項9】
前記複数の光源の前記発光面から発せられた前記複数の光は、前記光学部の複数の光学面のうちの2つの光学面を通過して、前記複数の投射光として投射される
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の前照灯装置。
【請求項10】
前記光学部の前記出射面は、投射機能を持つ領域である少なくとも1つの投射領域を有する
ことを特徴とする請求項
9に記載の前照灯装置。
【請求項11】
前記複数の光源の前記発光面から発せられた前記複数の光は、前記光学部を介して、それぞれ個別の照射領域に投射される
ことを特徴とする請求項
10に記載の前照灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、前照灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の光源(例えば、発光ダイオード(LED))と複数のレンズとを光学部品として有する前照灯装置であって、配光分布をセグメント化し(すなわち、光の照射範囲を複数のセグメントで構成し)、複数のセグメントにそれぞれ対応する複数の光源を個別に点灯制御する前照灯装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この前照灯装置は、先行車又は対向車などの車両のいるエリアを照射範囲から除外することで車両の運転者の眩惑を防ぐ機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記前照灯装置は、複数の光源と複数のレンズとから構成されており、光学部品の点数が多いので、誤差(特に、組立誤差)が大きくなりやすく(すなわち、位置精度が低くなりやすく)、所望の配光分布を得ることが難しいという問題がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、所望の配光分布を得ることができる前照灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る前照灯装置は、複数の光源を有する光源部と、入射面及び出射面を有し、前記複数の光源の発光面からそれぞれ発せられた複数の光が前記入射面から入射し、入射した前記複数の光を前記出射面から複数の投射光として投射して、前記複数の投射光で配光を形成する単一の光学部と、前記複数の光源の前記発光面からそれぞれ発せられた前記複数の光の光束径の大きさを制限する構造とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、所望の配光分布を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る前照灯装置の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の前照灯装置の主要な構成を概略的に示す側面図である。
【
図3】(A)は、
図1及び
図2の前照灯装置の光源部を示す正面図であり、(B)及び(C)は、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。
【
図4】実施の形態2に係る前照灯装置の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
【
図5】
図4の前照灯装置の主要な構成を概略的に示す側面図である。
【
図6】(A)は、
図4及び
図5の前照灯装置の光源部を示す正面図であり、(B)及び(C)は、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。
【
図7】実施の形態3に係る前照灯装置の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
【
図8】
図7の前照灯装置の主要な構成を概略的に示す側面図である。
【
図9】(A)は、
図7及び
図8の前照灯装置の光源部を示す正面図であり、(B)及び(C)は、2つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。
【
図10】実施の形態4に係る前照灯装置の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
【
図11】
図10の前照灯装置の主要な構成を概略的に示す側面図である。
【
図12】(A)は、
図10及び
図11の前照灯装置の光源部を示す正面図であり、(B)及び(C)は、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。
【
図13】(A)は、実施の形態4の変形例に係る前照灯装置のシェードを概略的に示す斜視図であり、(B)は、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。
【
図14】実施の形態5に係る前照灯装置の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
【
図15】
図14の前照灯装置の主要な構成を概略的に示す側面図である。
【
図16】(A)は、
図14及び
図15の前照灯装置の光源部を示す正面図であり、(B)及び(C)は、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。
【
図17】実施の形態6に係る前照灯装置の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
【
図18】
図17の前照灯装置の主要な構成を概略的に示す側面図である。
【
図19】(A)は、
図17及び
図18の前照灯装置の光源部を示す正面図であり、(B)及び(C)は、2つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態に係る前照灯装置を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、例にすぎず、実施の形態を適宜組み合わせること及び各実施の形態を適宜変更することが可能である。
【0010】
実施の形態に係る前照灯装置は、例えば、車両に搭載される車両用前照灯装置である。車両は、例えば、自動四輪車、自動三輪車、自動二輪車などである。
【0011】
以下の実施の形態では、前照灯装置から照射される光の照射状態が走行時の状態であるハイビ-ムである例を説明する。照射状態がハイビ-ムであるときに前照灯装置から照射される光の配光分布(すなわち、配光パターン)は、照射状態が車両のすれ違い時の状態であるロービームであるときに前照灯装置から照射される光の配光分布よりも、広範囲で且つ高照度である。そのため、前照灯装置の照射状態がハイビ-ムであるときには、その前照灯装置を備えた車両の運転者の視界が良好に確保される。ただし、照射状態がハイビ-ムであるときには、ハイビームの照明光が先行車又は対向車の運転者を眩惑させる可能性がある。この眩惑を生じさせないために、実施の形態に係る前照灯装置では、光の配光配光分布を調節する制御、例えば、ヘッドランプのADB(Adaptive Driving Beam)制御が行われる。実施の形態に係る前照灯装置では、目標とする領域(例えば、先行車及び対向車を除く前方の領域)が光の照射領域となるように、ハイビ-ムによって照射される光の配光分布が調節される。
【0012】
また、以下の実施の形態では、前照灯装置が、1つの前照灯モジュールを有する例を説明する。そのため、各実施の形態では、前照灯装置は、前照灯モジュールとも呼ばれる。ただし、各実施の形態に係る前照灯装置は、前照灯モジュールを複数台有するものであってもよい。
【0013】
図面には、説明の理解を容易にするためにxyz直交座標系の座標軸が示されている。x軸は、前照灯装置が備えられた車両の左右方向に平行な座標軸である。すなわち、x軸方向は、車両の幅方向である。車両の前方を向いたときに、左方向が+x軸方向、右方向が-x軸方向である。y軸は、車両の上下方向に平行な座標軸である。車両の上方向が+y軸方向であり、車両の下方向が-y軸方向である。すなわち、車両の+y軸側は空側であり、-y軸側は路面側である。z軸は、x軸及びy軸に直交する座標軸である。z軸方向は、車両の進行方向である。以下の説明では、+z軸方向を、前方とも呼ぶ。
【0014】
《1》実施の形態1
《1-1》構成
〈構成全体の説明〉
図1は、実施の形態1に係る前照灯装置1の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
図2は、前照灯装置1の主要な構成を概略的に示す側面図である。
図1及び
図2に示されるように、前照灯装置1は、複数の光源11~14を有する光源部10と、入射面110及び出射面120を有する導光投射光学素子(例えば、レンズ)である単一の光学部100とを備えている。複数の光源11~14の発光面11a~14aからそれぞれ発せられた複数の光は、入射面110から光学部100内に入射する。光学部100内に入射した複数の光は、光学部100内を進み、出射面120の投射領域120a、120bから複数の投射光L11~L14として投射される。
図2において、Laは、光学部100内を進み、出射面120から出射される光線の一例を示す。複数の光源11~14を個別に点灯制御(例えば、オン・オフ制御又は調光制御)することによって、複数の投射光L11~L14によって形成される配光分布(すなわち、配光パターン)が調節される。
【0015】
光学部100の出射面120は、複数の投射光L11~L14がそれぞれ通過する1つ以上の投射領域(ここでは、2つの投射領域120a、120b)を有している。出射面120の投射領域120a、120bの光軸A120a、A120bは、複数の光源11~14の光軸A11~A14に対して偏心していてもよい。なお、前照灯装置1の構成は、
図1及び
図2に示されるものに限定されない。本開示で、光軸A120a、A120bが光軸A11~A14に対して偏心しているとは、光軸A120a、A120bと光軸A11~A14とが互いに重ならない状態(すなわち、x方向及びy方向の少なくとも一方の方向にずれている状態)、光軸A120a、A120bの向きと光軸A11~A14の向きとが異なる状態(すなわち、傾斜している状態)、又はこれらの両方の状態をいう。
【0016】
〈光源部10〉
図1に示されるように、実施の形態1では、光源部10は、複数の光源11~14としての複数の発光素子を含んでいる。本開示において、発光素子は、固体光源である。固体光源は、指向性を持つ光源である。固体光源は、例えば、半導体光源である。光源11~14は、例えば、発光ダイオ-ド(LED)である。なお、固体光源は、有機エレクトロルミネッセンス光源であってもよい。また、光源11~14は、平面上に塗布された蛍光体に励起光を照射することによって発光する光源であってもよい。モジュ-ルが小さく、アレイ状にすることが容易である点、高輝度である点、安全である点、及び低コストである点から、光源11~14としてはLEDが好ましい。
【0017】
図3(A)は、前照灯装置1の光源部10を示す正面図であり、
図3(B)及び(C)は、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。光源11~14の+z軸方向を向く面は、発光面11a~14aである。光源部10は、複数(すなわち、N個)の発光面11a~14aを含む。発光面11a~14aは、同一平面(すなわち、xy面に平行な平面)上に配置されていてもよい。実施の形態1では、Nは4であるが、Nは4に限定されない。なお、Nは2以上の整数である。また、実施の形態1では、発光面11a、12aがx軸方向に直線状に配列され、発光面13a、14aがx軸方向に直線状に配列されている。また、実施の形態1では、発光面11a、13aがy軸方向に配列され、発光面12a、14aがy軸方向に配列されている。
【0018】
発光面11a~14aの各々は、例えば、正方形などの矩形状である。ただし、発光面11a~14aの各々は、矩形状に限定されない。発光面11a~14aの各々は、円形状などの他の形状であってもよい。
【0019】
〈光学部100〉
光学部100は、光源部10の+z軸方向に位置している。光学部100は、単一の光学部品で構成された導光投射光学素子である。光学部100は、単一のレンズで構成されている。光学部100には、光源部10の発光面11a~14aから発せられた複数の光が入射する。光学部100は、前方(+z軸方向)に複数のセグメントからなる投射光L11~L14を投射する。
【0020】
光学部100の入射面110は、例えば、光源部10から発せられた光を集光する領域(すなわち、集光機能を持つ領域)である少なくとも1つの集光領域を有している。例えば、入射面110は、複数の集光領域110a、110bと複数の光軸A110a、A110bを有している。ただし、光学部100の入射面110は、単一の集光領域とその光軸とを有してもよい。
図1及び
図2では、入射面110は、2つの集光領域110a、110bを有している。集光領域110a、110bは、光源部10に向けて(すなわち、-z軸方向に向けて)突き出ており、予め決められた延在方向(実施の形態1では、x軸方向)に延在する頂部(すなわち、-z軸方向を高さ方向とみなした場合における頂部)を持つ凸状部を有している。また、集光領域110a、110bのプロファイル(例えば、非球面形状のプロファイル)は、凸状部の頂部(すなわち、x軸方向に延在する稜線)を間に挟んで一方(例えば、+y軸方向)の側と他方(例えば、-y軸方向)の側とで互いに異なる。言い換えれば、集光領域110a、110bのプロファイルを示すサグ量(すなわち、プロファイルを光軸からの距離の関数として示す量)は、凸状部の頂部を間に挟んで一方の側と他方の側とで互いに異なる。図示の例では、集光領域110a、110bは、凸状部の頂部の+y軸方向の側の傾斜は緩やかであり、-y軸方向の側の傾斜が急である。集光領域110a、110bの焦点は、例えば、xy平面に平行な面Fであって、光学部100の-z軸方向を向く端面上にある。
【0021】
光学部100は、例えば、同じ材料によって一体に形成されている。光学部100は、例えば、透明な樹脂などによって作製される。光学部100は、例えば、内部が屈折材で満たされ、入射面110から入射した光を導光し、出射面120から投射する導光投射光学素子である。光利用効率を高くするために、1本の光線が通過する光学部100の光学面の数は少ないことが望ましい。実施の形態1では、1本の光線が通過する光学部100の光学面は、入射面110と出射面120の2つの面である。
【0022】
入射面110は、光学部100の-z軸方向の端部に設けられている。入射面110は、光源部10の+y軸方向に、光源部10から間隔を開けて配置されている。
【0023】
入射面110は、例えば、正のパワーを持つ。入射面110の形状は、製造が容易になるように、x軸方向の位置に依存しない形状であってもよい。入射面110のx軸方向についてのサグ量を表す式は、y軸方向についてのサグ量を表す式と異なっていてもよい。また、入射面110のサグ量を表す式は、集光領域110a、110bの頂部のy座標を0とした場合、y≧0の領域とy<0の領域とで異なっていてもよい。また、入射面110(例えば、集光領域110a、110b)は、自由曲面であってもよい。
【0024】
入射面110の集光領域110a、110bの光軸A120a、A120bは、光源11~14の光軸A11~A14に対して偏心していてもよい。また、入射面110は、不連続であってもよい。つまり、入射面110は、段差などの不連続部分を有してもよい。
【0025】
入射面110が複数の集光領域110a、110bを持つ場合、各集光領域110a、110bは、全て同一形状である。ただし、複数の集光領域110a、110bは、互いに異なる形状であってもよい。
【0026】
入射面110を通過した光(例えば、集光領域110a、110bによって集光された光)は、出射面120の投射領域120a、120bにより、前照灯装置1を備えた車両の前方(+z軸方向)の領域に投射される。出射面120は、投射機能を持つ領域である少なくとも1つの投射領域を有している。つまり、出射面120は、複数の投射領域120a、120bとそれらの複数の光軸A120a、A120bを有している。つまり、出射面120は、複数の投射領域120a、120bと複数の光軸A120a、A120bを有してもよい。ただし、光学部100の出射面120は、単一の投射領域とその光軸とを有してもよい。
図1及び
図2では、出射面120は、2つの投射領域120a、120bを有している。
【0027】
また、光学部100は、入射面110の集光領域110a、110bによって集光された像が出射面120の投射領域120a、120bによってそれぞれ投射されるように、出射面120の投射領域120a、120bにおける焦点は、光学部100の内部に設けられていてもよい。出射面120の投射領域120a、120bは、球面であってもよい。出射面120の投射領域120a、120bは、非球面であってもよい。出射面120のx軸方向についてのプロファイル(例えば、非球面形状のプロファイル)を示すは、y軸方向についてのプロファイル(例えば、非球面形状のプロファイル)と異なっていてもよい。言い換えれば、出射面120のx軸方向についてのプロファイル(例えば、非球面形状のプロファイル)を示すサグ量を表す式は、y軸方向についてのプロファイル(例えば、非球面形状のプロファイル)を示すサグ量を表す式と異なっていてもよい。また、出射面120のサグ量を表す式は、投射領域120a、120bの頂部のy座標を0とした場合、y≧0の領域とy<0の領域とで異なっていてもよい。また、出射面120(例えば、投射領域120a、120b)は、自由曲面であってもよい。なお、サグ量を表す式は、非球面形状のプロファイルを光軸からの距離の関数として表す式であり、公知の式である。
【0028】
出射面120の投射領域120a、120bの光軸A120a、A120bは、光源11~14の光軸A11~A14に対してx軸方向又はy軸方向の少なくとも一方について偏心している。また、前照灯装置1は、出射面120の投射領域120a、120bの光軸A120a、A120bが、対応する光源の光軸に対する偏心の大きさが互いに異なるように、構成されてもよい。つまり、投射領域120aの光軸A120aが光源11の光軸A11(又は光源12の光軸A12)に対する偏心の大きさ(すなわち、ずれ量)は、投射領域120bの光軸A120bが光源13の光軸A13(又は光源14の光軸A14)に対する偏心の大きさ(すなわち、ずれ量)と異なっていてもよい。
【0029】
また、出射面120は、不連続な部分を有してもよい。つまり、出射面120は、段差などの不連続部分を有してもよい。
【0030】
出射面120が集光機能を有する複数の投射領域120a、120bを持つ場合、各投射領域120a、120bの形状は、全て同一である。ただし、投射領域120a、120bの形状は、互いに異なっていてもよい。
【0031】
図1及び
図2に示されるように、入射面110が持つ集光領域110a、110bの数と出射面120が持つ投射領域120a、120bの数が等しく、集光領域110a、110bと投射領域120a、120bとが1対1に対応している。また、集光領域110aと投射領域120aとの組み合わせと、集光領域110bと投射領域120bとの組み合わせは、互いに同様の形状をなしていている。ただし、集光領域110aと投射領域120aとの組み合わせと、集光領域110bと投射領域120bとの組み合わせは、互いに異なる形状であってもよい。
【0032】
なお、光源の発光面から発せられた1本の光線が通過する光学部100の光学面は、3つ以上であってもよい。
【0033】
《1-2》配光
図3(B)及び(C)には、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例、つまり、前照灯装置1の配光パターンの例が示されている。複数の光源11~14の発光面11a~14aの各々から発せられた光は、光学部100を通過して前照灯装置1の前方において、互いに異なる投射光L11~L14(すなわち、複数のセグメント)となって、異なる照射範囲を照明する。配光は、例えば、発光面11a~14aの数と等しい数のセグメントを持つ。
【0034】
複数の投射光L11~L14で形成される配光は、予め決められた第1の方向(例えば、x軸方向又はy軸方向)及び第1の方向に直交する第2の方向(例えば、y軸方向又はx軸方向)のうちの少なくとも一方を配列方向として並ぶ複数のセグメントからなる照射範囲を含む。複数のセグメントのうちの隣り合うセグメントの配列方向における端部が互いに接するように(例えば、
図3(B)のように)、1つ以上の投射領域120a、120bの各々における出射面120の光軸A120a、A120bの位置及び方向が設定されてもよい。複数の光源11~14の発光面11a~14aから発せられる複数の光が、光学部100の出射面120から複数の投射光L11~L14として、互いに異なるセグメントに照射されるように、複数の光源11~14及び光学部100が形成されている。
【0035】
配光の形成において、光学部100の出射面120は複数の光軸を持っていることが望ましい。隣り合うセグメントの投射光(例えば、
図3(B)(C)におけるL12とL14、L14とL11、及びL11とL13)は、出射面120において互いに異なる光軸A120a、A120bを持つ投射領域120a、120bから出射されたものであることが望ましい。
【0036】
互いに異なる出射面120、すなわち、投射領域120a、120bから出た光を隣合わせることで、
図3(B)に示されるように、発光面11a、12aに対応するセグメントと同じx軸方向の列上に、発光面13a、14aに対応するセグメントがを配置することができる。
【0037】
投射光の複数のセグメントの間隔は、出射面120の投射領域120a、120bの光軸A120a、A120bの、光源11~14の光軸A11~A14に対する偏心の大きさと、光源11~14の間隔の大きさと、によって決定される。
【0038】
図3(C)に示されるように、投射光の隣り合うセグメントの端部が一部重なりを持つように接することが望ましい。出射面120の投射領域120a、120bの光軸A120a、A120bは、配光においてセグメントの境界が接するように(部分的に重なる場合を含む)ように偏心している。本開示において、セグメントの境界とは、セグメントの端部において、光度が625cdとなる境界線を表す。接するとは、隣り合うセグメントの両方の境界線が接すること、又は両方の境界線が隣のセグメント上に位置することを表す。
【0039】
出射面120において同じ光軸を含む投射領域から出射されるセグメント同士の間隔は、全て同一であるが、セグメント同士の間隔は同一でなくてもよい。
【0040】
配光の各セグメントについて、x軸方向(車両の水平方向)とy軸方向(車両の垂直方向)の少なくとも一方における幅は、互いに等しい。つまり、光源11~14を全て同様の形状とした条件下で、光学部100の出射面120が複数の光軸を持つ場合、各光軸に対応する投射領域120a、120bにおける焦点距離は、全て等しい。ただし、配光の各セグメントの、水平方向と垂直方向の少なくとも一方における幅は、等しくない幅のものを含んでもよい。各セグメントに対応する発光面11a~14aの面積は、互いに異なっていてもよい。また、出射面120が複数の光軸を持つ場合、各光軸に対応する投射領域における焦点距離は、異なっていてもよい。
【0041】
《1-3》効果
実施の形態1によれば、光学部100は、単一の光学素子によって構成されていることから、入射面110に対する出射面120の焦点位置は、固定される。そのため、光学部100の位置のばらつきが配光分布に与える影響は小さい。
【0042】
また、出射面120が複数の光軸A120a、A120bを有することから、それぞれの光軸A120a、A120bにおける、光源11~14の光軸A11~A14に対する偏心の大きさによって、配光分布を形成する投射光L11~L14の出射方向は、任意に設計することができる。言い換えれば、光学部100の光軸A120a、A120bに対する、光源11~14の光軸A11~A14の偏心を調節すれば、配光分布を形成する投射光のセグメントの位置を設定することができる。
【0043】
また、隣り合う光源11~14間の間隔と、出射面120の光軸A120a、A120bの、光源11~14の光軸A11~A14に対する偏心の大きさとを、パラメータとすることで、セグメント間の間隔の大きさを細かく設計することができる。そのため、照明光の輝度ムラの発生が軽減される。
【0044】
また、投射光の複数のセグメントのうちの隣り合うセグメントを、
図3(B)、(C)に示されるように、互いに異なる光軸A120a、A120bの投射領域120a、120bから投射された投射光のセグメントとしているので、隣り合うセグメントへの光の染み出しが配光に与える影響を軽減できる。
【0045】
《2》実施の形態2
図4は、実施の形態2に係る前照灯装置2の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
図5は、前照灯装置2の主要な構成を概略的に示す側面図である。上記実施の形態1では、光学部100の入射面110に2つのx軸方向に延在する頂部を持つ凸状部である集光領域110a、110bが設けられており、出射面120に2つの凸状部である投射領域120a、120bが設けられている例を説明した。実施の形態2では、
図4及び
図5に示されるように、光学部200の入射面210に単一のx軸方向に延在する頂部を持つ凸状部である集光領域210aが設けられており、出射面220に単一の凸状部である投射領域220aが設けられている例を説明する。ただし、投射領域の個数は、1つ以上であれば、2個以上であってもよい。
【0046】
前照灯装置2は、複数の光源21~24を有する光源部20と、入射面210及び出射面220を有する導光投射光学素子(例えば、レンズ)である単一の光学部200とを備えている。複数の光源21~24の発光面からそれぞれ発せられた複数の光は、入射面210から光学部200内に入射する。
図5において、Laは、光学部200内を進み、出射面220から出射される光線の一例を示す。光学部200内に入射した複数の光は、出射面220の投射領域220aから複数の投射光L21~L24として投射される。複数の光源21~24を個別に点灯制御することによって、複数の投射光L21~L24によって形成される配光分布が調節される。
【0047】
また、出射面220の投射領域220aの光軸A220aは、複数の光源21~24の光軸A21~A24に対して偏心している。
【0048】
図6(A)は、前照灯装置2の光源部20を示す正面図であり、
図6(B)及び(C)は、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。光源21~24の+z軸方向を向く面は、発光面21a~24aである。光源部20は、複数の発光面21a~24aを含む。発光面21a~24aは、例えば、同一平面(すなわち、xy面に平行な平面)上に配置されている。実施の形態2では、発光面21a、22aがx軸方向に配列され、発光面23a、24aがx軸方向に配列されている。また、発光面21a、23aがy軸方向に配列され、発光面22a、24aがy軸方向に配列されている。
【0049】
光学部200は、光源部20の+z軸方向に位置している。光学部200には、光源部20の発光面21a~24aから発せられた複数の光が入射する。光学部200は、前方(+z軸方向)に複数のセグメントからなる投射光L21~L24を投射する。
【0050】
光学部200の入射面210は、例えば、光源部20から発せられた光を集光する領域である単一の集光領域210aを有している。つまり、入射面210は、単一の集光領域210aと単一の光軸A210aとを有している。ただし、光学部200の入射面210は、複数の集光領域とそれらの光軸とを有してもよい。集光領域210aの焦点は、例えば、xy平面に平行な面Fであって、光学部200の-z軸方向を向く端面上である。入射面210の集光領域210aの形状は、実施の形態1における集光領域110aのものと同様である。
【0051】
以上に説明したように、実施の形態2によれば、光学部200は、単一の光学素子によって構成されていることから、入射面210に対する出射面220の焦点位置は、固定される。そのため、光学部200の位置のばらつきが配光分布に与える影響は小さい。
【0052】
また、隣り合う光源21~24間の間隔と、出射面220の光軸A220aの、光源21~24の光軸A21~A24に対する偏心の大きさとを、パラメータとして変更することで、セグメント間の間隔の大きさを細かく設計することができる。
【0053】
なお、上記以外に関し、実施の形態2は、実施の形態1と同じである。
【0054】
《3》実施の形態3
《3-1》構成
図7は、実施の形態3に係る前照灯装置3の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
図8は、前照灯装置3の主要な構成を概略的に示す側面図である。
図7及び
図8に示されるように、前照灯装置3は、複数の光源31、32を有する光源部30と、入射面310及び出射面320を有する導光投射光学素子(例えば、レンズ)である単一の光学部300と、遮光部材であるシェード340とを備えている。複数の光源31、32の発光面からそれぞれ発せられた複数の光は、シェード340の開口341、342を通して入射面310から光学部300内に入射する。光学部300内に入射した複数の光は、出射面320の投射領域320aから複数の投射光L31、L34として投射される。
図8において、Laは、光学部300内を進み、出射面320から出射される光線の一例を示す。複数の光源31、32を個別に点灯制御(例えば、オン・オフ制御又は調光制御)することによって、複数の投射光L31、L32によって形成される配光分布が調節される。
【0055】
光学部300の出射面320は、複数の投射光L11~L14がそれぞれ通過する投射領域320aを有している。出射面320の投射領域320aの光軸A320aは、複数の光源31、32の光軸A31、A34に対して偏心していてもよい。なお、前照灯装置3の構成は、
図7及び
図8に示されるものに限定されない。ここで、光軸A320aが光軸A31、A32に対して偏心しているとは、光軸A320aと光軸A31、A32とが互いに重ならない状態(すなわち、x方向及びy方向の少なくとも一方の方向にずれている状態)、光軸A320aの向きと光軸A31、A32の向きとが異なる状態(すなわち、傾斜している状態)、又はこれらの両方の状態をいう。
【0056】
〈光源部30〉
図7に示されるように、実施の形態3では、光源部30は、複数の光源31、32としての複数の発光素子を含んでいる。発光素子は、実施の形態1で説明したものと同じである。
【0057】
図9(A)は、前照灯装置3の光源部30を示す正面図であり、
図9(B)及び(C)は、2つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。光源31、32の+z軸方向を向く面は、発光面31a、32aである。光源部30は、複数(すなわち、N個)の発光面31a、32aを含む。発光面31a、32aは、同一平面(すなわち、xy面に平行な平面)上に配置されていてもよい。実施の形態3では、Nは2であるが、Nは2に限定されない。なお、Nは2以上の整数である。また、実施の形態3では、発光面31a、32aがx軸方向に配列されている。発光面31a、32aの各々の形状は、実施の形態1で説明したものと同じである。
【0058】
〈シェード340〉
前照灯装置3では、
図7及び
図8に示されるように光源部30の+z軸方向にシェード340が設置されている。シェード340は、各光源31、32の発光面31a、32aに向かい合う開口341、342を有し、発光面31a、32aから発せられる光のx方向の端部を遮光することで、配光に寄与する光束を制限している。つまり、シェード340は、複数の光源31、32の発光面31a、32aからそれぞれ発せられた複数の光の光束径の大きさを制限する構造である。また、各光源31、32の発光面31a、32aから発せられる光のx方向の端部とy方向の端部の両方を遮光することで、配光に寄与する光束を制限してもよい。
【0059】
シェード340の開口341、342の形状は、例えば、矩形である。シェード340の開口341、342の形状は、矩形に限定されない。例えば、開口341、342の形状は、後述の
図13(A)に示される開口のように、他の形状であってもよい。シェード340は、例えば、ステンレスなどの金属によって作製されている。複数の光の内の複数の開口341、342のいずれかを通過して入射面310に当たる入射光の入射領域の面積は、複数の光源31、32のうちの、入射光に対応する光源31又は32の発光面31a又は32aの面積より小さい。
【0060】
〈光学部300〉
光学部300は、光源部30の+z軸方向に位置している。光学部300は、単一の光学部品で構成された導光投射光学素子である。光学部300は、単一のレンズで構成されている。光学部300には、光源部30の発光面31a、32aから発せられた複数の光が入射する。光学部300は、前方(+z軸方向)に複数のセグメントからなる投射光を投射する。複数の光源31、32の発光面31a、32aから発せられた複数の光は、光学部300の複数の光学面のうちの2つの光学面を通過して、複数の投射光L31、L32として投射される。
【0061】
光学部300の入射面310は、例えば、光源部30から発せられた光を集光する領域である少なくとも1つの集光領域を有している。つまり、入射面310は、集光領域310aと光軸A310aを有している。集光領域310aの焦点は、例えば、xy平面に平行な面Fであって、光学部300の-z軸方向を向く端面上にある。なお、入射面310は、集光領域を備えないことも可能である。
【0062】
光学部300は、例えば、同じ材料によって一体に形成されている。光学部300は、例えば、透明な樹脂などによって作製される。光学部300は、例えば、内部が屈折材で満たされ、入射面310から入射した光を導光し、出射面320から投射する導光投射光学素子である。光利用効率を高くするために、1本の光線が通過する光学部300の光学面の数は少ないことが望ましい。実施の形態3では、1本の光線が通過する光学部300の光学面は、入射面310と出射面320の2つの面である。
【0063】
入射面310は、光学部300の-z軸方向の端部に設けられている。入射面310は、光源部30の+y軸方向に、光源部30から間隔を開けて配置されている。
【0064】
入射面310は、例えば、正のパワーを持つ。入射面310の形状は、製造が容易になるように、x軸方向の位置に依存しない形状であってもよい。入射面310のx軸方向についてのサグ量を表す式は、y軸方向についてのサグ量を表す式と異なっていてもよい。また、入射面310のサグ量を表す式は、集光領域310aの頂部のy座標を0とした場合、y≧0の領域とy<0の領域とで異なっていてもよい。また、入射面310(例えば、集光領域310a)は、自由曲面であってもよい。
【0065】
入射面310の集光領域310aの光軸A320aは、光源31、32の光軸A31、A32に対して偏心していてもよい。また、入射面310は、不連続であってもよい。つまり、入射面310は、段差などの不連続部分を有してもよい。
【0066】
入射面310を通過した光(例えば、集光領域310aによって集光された光)は、出射面320の投射領域320aにより、前照灯装置3を備えた車両の前方(+z軸方向)の領域に投射される。出射面320は、投射機能を持つ領域である少なくとも1つの投射領域を有している。つまり、出射面320は、投射領域320aとその光軸A320aとを有している。複数の光源31、32の発光面31a、32aから発せられた複数の光は、光学部300を介して、投射光L31、L32として、それぞれ個別の照射領域に投射される。
【0067】
また、光学部300は、入射面310の集光領域310aによって集光された像が出射面320の投射領域320aによってそれぞれ投射されるように、出射面320の投射領域320aにおける焦点は、光学部300の内部に設けられていてもよい。出射面320の投射領域320aは、球面であってもよい。出射面320の投射領域320aは、非球面であってもよい。出射面320のx軸方向についてのサグ量を表す式は、y軸方向についてのサグ量を表す式と異なっていてもよい。また、出射面320のサグ量を表す式は、投射領域320aの頂部のy座標を0とした場合、y≧0の領域とy<0の領域とで異なっていてもよい。また、出射面320(例えば、投射領域320a)は、自由曲面であってもよい。
【0068】
出射面320の投射領域320aの光軸A320aは、光源31、32の光軸A31、A32に対してx軸方向又はy軸方向の少なくとも一方について偏心している。
【0069】
また、出射面320は、不連続な部分を有してもよい。つまり、出射面320は、段差などの不連続部分を有してもよい。
【0070】
出射面320が集光機能を有する複数の投射領域320aを持つ場合、各投射領域320aの形状は、全て同一である。ただし、投射領域320aの形状は、互いに異なっていてもよい。
【0071】
なお、光源の発光面から発せられた1本の光線が通過する光学部300の光学面は、3つ以上であってもよい。
【0072】
《3-2》配光
図9(B)及び(C)には、2つのセグメントに分割されている照射範囲の例、つまり、前照灯装置3の配光パターンの例が示されている。複数の光源31、32の発光面31a、32aの各々から発せられた光は、光学部300を通過して前照灯装置3の前方において、互いに異なる投射光L31、L32(すなわち、複数のセグメント)となって、異なる照射範囲を照明する。配光は、例えば、発光面31a、32aの数と等しい数のセグメントを持つ。
【0073】
投射光L31、L32の複数のセグメントの間隔は、出射面320の投射領域320aの光軸A320aにおける、光源31、32の光軸A31、A32に対する偏心の大きさと、光源31、32の間隔の大きさと、によって決定される。
【0074】
図9(C)に示されるように、投射光の隣り合うセグメントの端部が一部重なりを持つように接することが望ましい。出射面320の投射領域320aの光軸A320aは、配光においてセグメントの境界が接するように(部分的に重なる場合を含む)ように偏心している。セグメントの境界とは、セグメントの端部において、光度が625cdとなる境界線を表す。接するとは、隣り合うセグメントの両方の境界線が接すること、又は両方の境界線が隣のセグメント上に位置することを表す。
【0075】
光源31、32から発せられた光は、一部が遮光され、配光に寄与する光束が制限されている。
【0076】
《3-3》効果
以上に説明したように、実施の形態3によれば、光学部300は、単一の光学素子によって構成されていることから、入射面310に対する出射面320の焦点位置は、固定される。そのため、光学部300の位置のばらつきが配光分布に与える影響は小さい。
【0077】
また、隣り合う光源31、32間の間隔と、シェード340の開口341、342の位置と、出射面320の光軸A320aの、光源31、32の光軸A31、A32に対する偏心の大きさとを、パラメータとすることで、セグメント間の間隔の大きさを細かく設計することができる。
【0078】
また、シェード340によって配光に寄与する光束を制限しているので、配光において、光源31、32の配置のばらつきに起因して投射光L31、L32に現れる影響の程度を小さくすることができる。
【0079】
また、シェード340を用いて各投射光L31、L32の幅を小さくすることで、光学部300の入射面310についてのx軸方向のサグ量を表す式において、x軸方向における曲率を小さくすることができる。また、それにより、光学部300の形状は、簡易化できる。なお、シェード340により各投射光L31、L32の幅を絞る方向は、x軸方向に限定されず、y軸方向又はx軸とy軸の両方向であってもよい。
【0080】
なお、上記以外に関し、実施の形態3は、実施の形態1又は2と同じである。
【0081】
《4》実施の形態4
《4-1》構成
〈構成全体の説明〉
図10は、実施の形態4に係る前照灯装置4の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
図11は、前照灯装置4の主要な構成を概略的に示す側面図である。
図10及び
図11に示されるように、前照灯装置4は、複数の光源41~44を有する光源部40と、遮光部材としてのシェード440と、入射面410及び出射面420を有する導光投射光学素子(例えば、レンズ)である単一の光学部400とを備えている。複数の光源41~44の発光面からそれぞれ発せられた複数の光は、シェード440の開口441~444をそれぞれ通過して入射面410に向かって進み、入射面410から光学部400内に入射する。光学部400内に入射した複数の光は、出射面420の投射領域420a、420bから複数の投射光L41~L44として投射される。
図11において、Laは、光学部400内を進み、出射面420から出射される光線の一例を示す。複数の光源41~44を個別に点灯制御(例えば、オン・オフ制御又は調光制御)することによって、複数の投射光L41~L44によって形成される配光分布が調節される。
【0082】
光学部400の出射面420は、複数の投射光L41~L44がそれぞれ通過する1つ以上の投射領域(ここでは、2つの投射領域420a、420b)を有している。出射面420の投射領域420a、420bの光軸A420a、A420bは、複数の光源41~44の光軸A41~A44に対して偏心していてもよい。なお、前照灯装置4の構成は、
図10及び
図11に示されるものに限定されない。本開示で、光軸A420a、A420bが光軸A41~A44に対して偏心しているとは、光軸A420a、A420bと光軸A41~A44とが互いに重ならない状態(すなわち、x方向及びy方向の少なくとも一方の方向にずれている状態)、光軸A420a、A420bの向きと光軸A41~A44の向きとが異なる状態(すなわち、傾斜している状態)、又はこれらの両方の状態をいう。
【0083】
〈光源部40〉
図10に示されるように、実施の形態4では、光源部40は、複数の光源41~44としての複数の発光素子を含んでいる。
【0084】
図12(A)は、前照灯装置4の光源部40を示す正面図であり、
図12(B)及び(C)は、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。光源41~44の+z軸方向を向く面は、発光面41a~44aである。光源部40は、複数(すなわち、N個)の発光面41a~44aを含む。発光面41a~44aは、同一平面(すなわち、xy面に平行な平面)上に配置されていてもよい。実施の形態4では、Nは4であるが、Nは4に限定されない。なお、Nは2以上の整数である。また、実施の形態4では、発光面41a、42aがx軸方向に直線状に配列され、発光面43a、44aがx軸方向に直線状に配列されている。また、実施の形態4では、発光面41a、43aがy軸方向に配列され、発光面42a、44aがy軸方向に配列されている。
【0085】
発光面41a~44aの各々は、例えば、正方形などの矩形状である。ただし、発光面41a~44aの各々は、矩形状に限定されない。発光面41a~44aの各々は、円形状などの他の形状であってもよい。
【0086】
〈シェード440〉
前照灯装置4では、
図10及び
図11に示されるように光源部30の+z軸方向にシェード440が設置されている。シェード440は、各光源41~44の発光面41a~44aに向かい合う開口441~444を有し、発光面41a~44aから発せられる光のx方向の端部を遮光することで、配光に寄与する光束を制限している。つまり、シェード440は、複数の光源41~44の発光面41a~44aからそれぞれ発せられた複数の光の光束径の大きさを制限する構造である。また、シェード440は、各光源41~44の発光面41a~44aから発せられる光のx方向の端部とy方向の端部の両方を遮光することで、配光に寄与する光束を制限してもよい。シェード440の開口441~444の形状は、例えば、矩形である。シェード440の開口441~444の形状は、矩形に限定されない。
【0087】
〈光学部400〉
光学部400は、光源部40の+z軸方向に位置している。光学部400は、単一の光学部品で構成された導光投射光学素子である。光学部400は、単一のレンズで構成されている。光学部400には、光源部40の発光面41a~44aから発せられた複数の光が入射する。光学部400は、前方(+z軸方向)に、複数のセグメントからなる投射光L41~L44を投射する。
【0088】
光学部400の入射面410は、例えば、光源部40から発せられた光を集光する領域である少なくとも1つの集光領域を有している。例えば、入射面410は、複数の集光領域410a、410bと複数の光軸A410a、A410bを有している。ただし、光学部100の入射面110は、単一の集光領域とその光軸とを有してもよい。
図10及び
図11では、入射面110は、2つの集光領域410a、410bを有している。集光領域410a、410bの焦点は、例えば、xy平面に平行な面Fであって、光学部400の-z軸方向を向く端面上にある。なお、入射面410は、集光領域を備えないことも可能である。
【0089】
光学部400は、例えば、同じ材料によって一体に形成されている。光学部400は、例えば、透明な樹脂などによって作製される。光学部400は、例えば、内部が屈折材で満たされ、入射面410から入射した光を導光し、出射面420から投射する導光投射光学素子である。光利用効率を高くするために、1本の光線が通過する光学部400の光学面の数は少ないことが望ましい。実施の形態1では、1本の光線が通過する光学部400の光学面は、入射面410と出射面420の2つの面である。
【0090】
入射面410は、光学部400の-z軸方向の端部に設けられている。入射面410は、光源部40の+y軸方向であってシェード440の+y軸方向に、シェード440から間隔を開けて配置されている。
【0091】
入射面410は、例えば、正のパワーを持つ。入射面410の形状は、実施の形態1における入射面110の形状と同じである。
【0092】
入射面410を通過した光(例えば、集光領域410a、410bによって集光された光)は、出射面420の投射領域420a、420bにより、前照灯装置4を備えた車両の前方(+z軸方向)の領域に投射される。出射面420は、投射機能を持つ領域である少なくとも1つの投射領域を有している。つまり、出射面420は、複数の投射領域420a、420bとそれらの複数の光軸A420a、A420bを有している。例えば、出射面420は、複数の投射領域420a、420bと複数の光軸A420a、A420bを有している。ただし、光学部400の出射面420は、単一の投射領域とその光軸とを有してもよい。
【0093】
出射面420は、例えば、正のパワーを持つ。出射面420の形状は、実施の形態1における出射面120の形状と同じである。
【0094】
《4-2》配光
図12(B)及び(C)には、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例、つまり、前照灯装置4の配光パターンの例が示されている。複数の光源41~44の発光面11a~14aの各々から発せられた光は、シェード440の開口441~444をそれぞれ通過し、光学部400を通過して前照灯装置4の前方において、互いに異なる投射光L41~L44(すなわち、複数のセグメント)となって、異なる照射範囲を照明する。配光は、例えば、発光面41a~44aの数と等しい数のセグメントを持つ。
【0095】
配光の形成において、光学部400の出射面420は複数の光軸を持っていることが望ましい。隣り合うセグメントの投射光は、出射面420において互いに異なる光軸A420a、A420bを持つ投射領域420a、420bから出射されたものであることが望ましい。
【0096】
互いに異なる出射面420、すなわち、投射領域420a、420bから出た光を隣合わせることで、
図12(B)に示されるように、発光面41a、42aに対応するセグメントと同じx軸方向の列上に、発光面43a、44aに対応するセグメントを配置することができる。
【0097】
投射光の複数のセグメントの間隔は、出射面420の投射領域420a、420bの光軸A420a、A420bの、光源41~44の光軸A41~A44に対する偏心の大きさと、光源41~44の間隔の大きさと、によって決定される。
【0098】
図12(C)に示されるように、投射光の隣り合うセグメントの端部が一部重なりを持つように接することが望ましい。出射面420の投射領域420a、420bの光軸A420a、A420bは、配光においてセグメントの境界が接するように(部分的に重なる場合を含む)ように偏心している。
【0099】
出射面420において同じ光軸を含む投射領域から出射されるセグメント同士の間隔は、全て同一であるが、セグメント同士の間隔は同一でなくてもよい。
【0100】
配光の各セグメントについて、x軸方向(車両の水平方向)とy軸方向(車両の垂直方向)の少なくとも一方における幅は、互いに等しい。つまり、光源41~44を全て同様の形状とした条件下で、光学部400の出射面420が複数の光軸を持つ場合、各光軸に対応する投射領域420a、420bにおける焦点距離は、全て等しい。ただし、配光の各セグメントの、水平方向と垂直方向の少なくとも一方における幅は、等しくない幅のものを含んでもよい。各セグメントに対応する発光面41a~44aの面積は、互いに異なっていてもよい。また、出射面420が複数の光軸を持つ場合、各光軸に対応する投射領域における焦点距離は、異なっていてもよい。
【0101】
《4-3》効果
以上に説明したように、実施の形態4によれば、光学部400は、単一の光学素子によって構成されていることから、入射面410に対する出射面420の焦点位置は、固定される。そのため、光学部400の位置のばらつきが配光分布に与える影響は小さい。
【0102】
また、隣り合う光源41~44間の間隔と、シェード440の開口441~444の位置と、出射面420の光軸A420a、A420bの、光源41~44の光軸A41~A44に対する偏心の大きさとを、パラメータとすることで、セグメント間の間隔の大きさを細かく設計することができる。
【0103】
また、シェード440によって配光に寄与する光束を制限することによって、配光において、光源41~44の配置のばらつきに起因して投射光L41~L44に現れる影響の程度を小さくすることができる。
【0104】
また、シェード440を用いて各投射光L41~L44の幅を小さくすることで、光学部400の入射面410についてのx軸方向のサグ量を表す式において、x軸方向における曲率を小さくすることができる。また、それにより、光学部400の形状は、簡易化できる。なお、シェード440により各投射光L41~L44の幅を絞る方向は、x軸方向に限定されず、y軸方向又はx軸とy軸の両方向であってもよい。
【0105】
また、投射光L41~L44の複数のセグメントのうちの隣り合うセグメントを、
図12(B)、(C)に示されるように、互いに異なる光軸A420a、A420bの投射領域420a、420bから投射された投射光のセグメントとしているので、隣り合うセグメントへの光の染み出しが配光に与える影響を軽減できる。
【0106】
なお、上記以外に関し、実施の形態4は、実施の形態1から3のいずれかと同じである。
【0107】
《4-4》変形例
図13(A)は、実施の形態4の変形例に係る前照灯装置の遮光部材としてのシェード740を概略的に示す斜視図である。
図13(B)は、シェード740を使用した場合における、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。実施の形態4の変形例に係る前照灯装置は、
図10に示される前照灯装置4のシェード440を、
図13(A)に示されるシェード740に置き換えたものである。シェード740は、貫通孔である開口741~744を有している。開口741~744の形状は、予め決められた方向(図示の例では、-y軸方向)に進むほど予め決められた方向に直交する方向の幅(図示の例では、x軸方向の幅)が狭くなっている形状である。つまり、開口741~744の形状は、予め決められた方向に向けて幅が徐々に狭くなる形状である。開口741~744の形状は、直角三角形の斜辺(すなわち、最も長い辺)を円弧状に膨らませた形状(すなわち、外向きに凸状にした形状)である。ただし、開口741~744の形状は、他の形状であってもよい。例えば、開口741~744の形状は、予め決められた方向に進むほどこの方向に直交する方向の幅が狭くなる他の形状であってもよい。また、開口741~744の個数は、4個に限定されない。また、開口741~744の形状及び大きさは、互いに同一であるが、要求される配光に応じて、互いの形状を異なる形状にすること及び互いの大きを異なる大きさにすることが可能である。
【0108】
図13(A)に示される開口741~744を持つシェード740を用いることにより、
図13(B)に示されるように、投射光L71~L74が並ぶ配光分布を形成することができ、+y軸方向に進むほど徐々に照度が低下する配光分布(すなわち、なめらかに照度が変化する配光分布)を得ることができる。
【0109】
《5》実施の形態5
図14は、実施の形態5に係る前照灯装置5の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
図15は、前照灯装置5の主要な構成を概略的に示す側面図である。上記実施の形態4では、光学部400の入射面410に2つのx軸方向に延在する頂部を持つ凸状部の集光領域410a、410bが設けられており、出射面420に2つの凸状部である投射領域420a、420bが設けられている例を説明した。実施の形態5では、
図14及び
図15に示されるように、光学部500の入射面510に単一の凸状部である集光領域510aが設けられており、出射面520に単一の凸状部である投射領域520aが設けられている例を説明する。
【0110】
前照灯装置5は、複数の光源51~54を有する光源部50と、遮光部材としてのシェード540と、入射面510及び出射面520を有する導光投射光学素子(例えば、レンズ)である単一の光学部500とを備えている。複数の光源51~54の発光面からそれぞれ発せられた複数の光は、シェード540の開口541~544をそれぞれ通過して、入射面510から光学部500内に入射する。シェード540は、複数の光源51~54の発光面51a~54aからそれぞれ発せられた複数の光の光束径の大きさを制限する構造である。光学部500内に入射した複数の光は、出射面520の投射領域520aから複数の投射光L51~L54として投射される。
図15において、Laは、光学部500内を進み、出射面520から出射される光線の一例を示す。複数の光源51~54を個別に点灯制御することによって、複数の投射光L51~L54によって形成される配光分布が調節される。なお、開口541~542の形状は、例えば、
図13(A)に示される開口のように、他の形状であってもよい。
【0111】
また、出射面520の投射領域520aの光軸A520aは、複数の光源51~54の光軸A51~A54に対して偏心している。
【0112】
図16(A)は、前照灯装置5の光源部50を示す正面図であり、
図16(B)及び(C)は、4つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。光源51~54の+z軸方向を向く面は、発光面51a~54aである。光源部50は、複数の発光面51a~54aを含む。発光面51a~54aは、例えば、同一平面(すなわち、xy面に平行な平面)上に配置されている。実施の形態5では、発光面51a、52aがx軸方向に配列され、発光面53a、54aがx軸方向に配列されている。また、発光面51a、53aがy軸方向に配列され、発光面52a、54aがy軸方向に配列されている。
【0113】
光学部500は、光源部50の+z軸方向に位置している。光学部500には、光源部50の発光面51a~54aから発せられた複数の光が入射する。光学部500は、前方(+z軸方向)に複数のセグメントからなる投射光を投射する。
【0114】
光学部500の入射面510は、例えば、光源部50から発せられた光を集光する領域である単一の集光領域510aを有している。つまり、入射面510は、単一の集光領域510aと単一の光軸A510aとを有している。ただし、光学部500の入射面510は、複数の集光領域とそれらの光軸とを有してもよい。集光領域510aの焦点は、例えば、xy平面に平行な面Fであって、光学部500の-z軸方向を向く端面上である。入射面510の集光領域510aの形状は、実施の形態1から4における集光領域のものと同様である。
【0115】
以上に説明したように、実施の形態5によれば、光学部500は、単一の光学素子によって構成されていることから、入射面510に対する出射面520の焦点位置は、固定される。そのため、光学部500の位置のばらつきが配光分布に与える影響は小さい。
【0116】
また、隣り合う光源51~54間の間隔と、シェード540の開口541~544の位置と、出射面520の光軸A520aの、光源51~54の光軸A51~A54に対する偏心の大きさとを、パラメータとして変更することで、セグメント間の間隔の大きさを細かく設計することができる。
【0117】
また、シェード540によって配光に寄与する光束を制限しているので、配光において、光源51、52の配置のばらつきに起因して投射光L51、L52に現れる影響の程度を小さくすることができる。
【0118】
なお、上記以外に関し、実施の形態5は、実施の形態1から4のいずれかと同じである。
【0119】
《6》実施の形態6
図17は、実施の形態6に係る前照灯装置6の主要な構成を概略的に示す斜視図である。
図18は、前照灯装置6の主要な構成を概略的に示す側面図である。
図17及び
図18に示されるように、前照灯装置6は、複数の光源61、62を有する光源部60と、入射面610及び出射面620を有する導光投射光学素子(例えば、レンズ)である単一の光学部600とを備えている。上記実施の形態3においては、シェード340によって光源31、32の発光面からそれぞれ発せられた複数の光の幅を制限していたが、実施の形態6においては、複数の光源61、62として、出射される光の幅が制限されている発光素子を採用している。つまり、実施の形態6では、複数の光源61、62の各々が、発光面からそれぞれ発せられた複数の光の光束径の大きさを制限する構造を有している。光源61、62から発せられた複数の光は入射面410に向かって進み、入射面610から光学部600内に入射する。光学部600内に入射した複数の光は、出射面620の投射領域620a、620bから複数の投射光L61、L62として投射される。
図18において、Laは、光学部600内を進み、出射面620から出射される光線の一例を示す。複数の光源61、62を個別に点灯制御(例えば、オン・オフ制御又は調光制御)することによって、複数の投射光L61、L62によって形成される配光分布が調節される。
【0120】
図19(A)は、前照灯装置6の光源部60を示す正面図であり、
図19(B)及び(C)は、2つのセグメントに分割されている照射範囲の例を示す図である。光源61、62の+z軸方向を向く面は、発光面61a、62aである。光源部60は、複数の発光面61a、62aを含む。発光面61a、62aは、例えば、同一平面(すなわち、xy面に平行な平面)上に配置されている。実施の形態6では、発光面61a、62aがx軸方向に配列されている。
【0121】
光学部600は、光源部60の+z軸方向に位置している。光学部600には、光源部60の発光面61a、62aから発せられた複数の光が入射する。光学部600は、前方(+z軸方向)に複数のセグメントからなる投射光L61、L62を投射する。
【0122】
光学部600の入射面610は、例えば、光源部60から発せられた光を集光する領域を備えていない。ただし、光学部600は、実施の形態2と同様の集光領域を備えてもよい。
【0123】
投射光L61、L62の複数のセグメントの間隔は、出射面620の投射領域620aの光軸A620aにおける、光源61、62の光軸A61、A62に対する偏心の大きさと、光源61、62の間隔の大きさと、によって決定される。
【0124】
図19(C)に示されるように、投射光の隣り合うセグメントの端部が一部重なりを持つように接することが望ましい。出射面620の投射領域620aの光軸A620aは、配光においてセグメントの境界が接するように(部分的に重なる場合を含む)ように偏心している。
【0125】
以上に説明したように、実施の形態6によれば、光学部600は、単一の光学素子によって構成されていることから、入射面610に対する出射面620の焦点位置は、固定される。そのため、光学部600の位置のばらつきが配光分布に与える影響は小さい。
【0126】
また、隣り合う光源61、62間の間隔と、出射面620の光軸A620aの、光源61、62の光軸A61、A62に対する偏心の大きさとを、パラメータとして変更することで、セグメント間の間隔の大きさを細かく設計することができる。
【0127】
なお、上記以外に関し、実施の形態6は、実施の形態1から5のいずれかと同じである。
【符号の説明】
【0128】
1~6 前照灯装置、 10、20、30、40、50、60 光源部、 11~14、21~24、31、32、41~44、51~54、61、62 光源、 11a~14a、21a~24a、31a、32a、41a~44a、51a~54a、61a、62a 発光面、 100、200、300,400、500、600 光学部(レンズ)、 110、210、310、410、510、610 入射面、 110a、110b、210a、310a、410a、410b、510a 集光領域、 120、220、320、420、520、620 出射面、 120a、120b、220a、320a、420a、420b、520a、620a 投射領域、 340、440、540、740 シェード(遮光部材)、 341、342、441~444、541~544、741~744 開口、 A11~A14、A21~A24、A31、A32、A41~A44、A51~A54、A61、A62 光軸(光源の光軸)、 A110a、A110b、A210a、A310a、A410a、A410b、A510a 光軸(入射面の集光領域の光軸)、 A120a、A120b、A220a、A320a、A420a、A420b、A520a、A620a 光軸(出射面の投射領域の光軸)、 L11~L14、L21~L24、L31、L32、L41~L44、L51~L54、L61、L62、L71~L74 投射光。