(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】化合物、及びそれを含む組成物、並びに、レジストパターンの形成方法及び絶縁膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
C07C 39/367 20060101AFI20250310BHJP
C07C 35/36 20060101ALI20250310BHJP
C07D 311/78 20060101ALI20250310BHJP
C08K 5/136 20060101ALI20250310BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20250310BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20250310BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20250310BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20250310BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20250310BHJP
【FI】
C07C39/367 CSP
C07C35/36
C07D311/78
C08K5/136
C08L101/00
G03F7/004 531
G03F7/038 601
G03F7/039 601
G03F7/20 501
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2020538415
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(86)【国際出願番号】 JP2019032528
(87)【国際公開番号】W WO2020040162
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2018157622
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】越後 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】牧野嶋 高史
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特許第7248956(JP,B2)
【文献】国際公開第2016/158168(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/158169(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/158170(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/158456(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/158457(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/158458(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/043561(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/038643(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/038645(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/040161(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/027206(WO,A1)
【文献】特表2010-529961(JP,A)
【文献】特開2015-161823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/16
C09D 1/00-201/10
C09J 1/00-201/10
C08G 2/00- 85/00
G03F 7/00- 7/42
C07C 35/00- 39/44
C07C 69/00- 69/96
C07D311/00-311/96
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェノール化合物(B)を含む組成物であって、
前記ポリフェノール化合物(B)が、下記式で表される構造を有する
化合物からなる群より選ばれる1種以上である、組成物。
【化1】
【化2】
【請求項2】
基材(A)をさらに含有し、前記基材(A)が、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ヒドロキシスチレン-(メタ)アクリル共重合体、シクロオレフィン-マレイン酸無水物共重合体
、ビニルエーテル-マレイン酸無水物共重合体、及び、金属元素を有する無機レジスト材料、並びに、
これらを架橋性基または解離性基を導入することにより誘導体化したものからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記基材(A)とポリフェノール化合物(B)との質量比が、5:95~95:5である、請求
項2に記載の組成物。
【請求項4】
溶媒をさらに含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
酸発生剤をさらに含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
架橋剤をさらに含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
リソグラフィー用膜形成に用いられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
レジスト用膜形成に用いられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物を用いて基板上にフォトレジスト層を形成し、前記基板上に形成された前記フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、前記放射線照射後の前記フォトレジスト層の現像を行う工程を含む、レジストパターンの形成方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物を用いて基板上にフォトレジスト層を形成し、前記基板上に形成された前記フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、前記放射線照射後の前記フォトレジスト層の現像を行う工程を含む、絶縁膜の形成方法。
【請求項11】
下記式で表される化合物。
【化3】
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物、及びそれを含む組成物、並びに、レジストパターンの形成方法及び絶縁膜の形成方法に関し、特に、リソグラフィー用膜形成用途、レジスト用膜形成用途に用いられる組成物、及び、これを用いた膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩によって急速に半導体(パターン)や画素の微細化が進んでいる。画素の微細化の手法としては一般に露光光源の短波長化がおこなわれている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在ではKrFエキシマレーザー(248nm)やArFエキシマレーザー(193nm)等の遠紫外線露光が量産の中心になってきており、更には極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)リソグラフィー(13.5nm)の導入が進んできている。また、微細パターンの形成の為に電子線(EB:Electron Beam)も用いられる。
【0003】
これまでの一般的なレジスト材料は、アモルファス膜を形成可能な高分子系レジスト材料である。例えば、ポリメチルメタクリレートや、酸解離性基を有するポリヒドロキシスチレン又はポリアルキルメタクリレート等の高分子系レジスト材料が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
従来においては、これらレジスト材料の溶液を基板上に塗布することによって作製したレジスト薄膜に、紫外線、遠紫外線、電子線、極端紫外線などを照射することで、10~100nm程度のラインパターンを形成している。
【0004】
また、電子線又は極端紫外線によるリソグラフィーは、反応メカニズムが通常の光リソグラフィーと異なる。更に、電子線又は極端紫外線によるリソグラフィーにおいては、数nm~十数nmの微細なパターン形成を目標としている。このようにレジストパターン寸法が小さくなると、露光光源に対してさらに高感度であるレジスト材料が求められる。特に極端紫外線によるリソグラフィーでは、スループットの点でさらなる高感度化を図ることが求められている。
上述のような問題を改善するレジスト材料としては、チタン、スズ、ハフニウムやジルコニウム等の金属元素を有する無機レジスト材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】岡崎信次、他8名「リソグラフィ技術その40年」S&T出版、2016年12月9日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来開発されたレジスト組成物は、膜の欠陥が多い、感度不足、エッチング耐性不足又はレジストパターン不良といった課題がある。特に、3D NANDデバイス作製には厚膜のレジストの形成が必要となり、これらの課題(特にエッチング耐性不足)の解決が喫緊に求められている。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、高いエッチング耐性を有する膜を形成可能な組成物、並びに、これを用いたレジストパターンの形成方法及び絶縁膜の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上述の課題を解決するため鋭意検討した結果、特定構造を有する化合物及び樹脂が、安全溶媒に対する溶解性が高く、且つ、これら化合物等をフォトグラフィー用膜形成用途やレジスト用膜形成用途の組成物に用いた場合に、高いエッチング耐性を有する膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次のとおりである。
【0010】
[1]
ポリフェノール化合物(B)を含む組成物であって、
前記ポリフェノール化合物(B)が、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される構造を有する樹脂からなる群より選ばれる1種以上である、組成物。
【0011】
【0012】
(式(1)中、RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RZは、置換基を有していてもよい炭素数1~60のN価の基又は単結合であり;
RTは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
ただし、RZは少なくとも2つのヨウ素原子を含み;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
【0013】
【0014】
(式(2)中、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシレン基又は単結合であり、前記アルキレン基、前記アリーレン基、前記アルコキシレン基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RZは、置換基を有していてもよい炭素数1~60のN価の基又は単結合であり;
RTは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
ただし、RZは少なくとも2つのヨウ素原子を含み;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
[2]
基材(A)をさらに含有し、前記基材(A)が、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ヒドロキシスチレン-(メタ)アクリル共重合体、シクロオレフィン-マレイン酸無水物共重合体、シクロオレフィン、ビニルエーテル-マレイン酸無水物共重合体、及び、金属元素を有する無機レジスト材料、並びに、これらの誘導体からなる群から選ばれる1種以上である、上記[1]に記載の組成物。
[3]
前記ポリフェノール化合物(B)が、下記式(1A)で表される化合物及び下記式(2A)で表される構造を有する樹脂からなる群より選ばれる1種以上である、上記[1]又は[2]に記載の組成物。
【0015】
【0016】
(式(1A)中、RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RT及びRWは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
nは、各々独立して0~3の整数であり;
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
【0017】
【0018】
(式(2A)中、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシレン基又は単結合であり、前記アルキレン基、前記アリーレン基、前記アルコキシレン基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RT及びRWは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);、
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
nは、各々独立して0~3の整数であり;
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
[4]
前記基材(A)とポリフェノール化合物(B)との質量比が、5:95~95:5である、上記[2]又は[3]に記載の組成物。
[5]
溶媒をさらに含有する、上記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]
酸発生剤をさらに含有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
架橋剤をさらに含有する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]
リソグラフィー用膜形成に用いられる、上記[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]
レジスト用膜形成に用いられる、上記[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[10]
上記[1]~[7]のいずれかに記載の組成物を用いて基板上にフォトレジスト層を形成し、前記基板上に形成された前記フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、前記放射線照射後の前記フォトレジスト層の現像を行う工程を含む、レジストパターンの形成方法。
[11]
上記[1]~[7]のいずれかに記載の組成物を用いて基板上にフォトレジスト層を形成し、前記基板上に形成された前記フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、前記放射線照射後の前記フォトレジスト層の現像を行う工程を含む、絶縁膜の形成方法。
[12]
下記式(1)で表される化合物。
【0019】
【0020】
(式(1)中、RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RZは、置換基を有していてもよい炭素数1~60のN価の基又は単結合であり;
RTは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
ただし、RZは少なくとも2つのヨウ素原子を含み;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
[13]
下記式(2)で表される構造を有する樹脂。
【0021】
【0022】
(式(2)中、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシレン基又は単結合であり、前記アルキレン基、前記アリーレン基、前記アルコキシレン基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RZは、置換基を有していてもよい炭素数1~60のN価の基又は単結合であり;
RTは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
ただし、RZは少なくとも2つのヨウ素原子を含み;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
[14]
下記式(1A)で表される化合物。
【0023】
【0024】
(式(1A)中、RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RT及びRWは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
nは、各々独立して0~3の整数であり;
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
[15]
下記式(2A)で表される構造を有する樹脂。
【0025】
【0026】
(式(2A)中、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシレン基又は単結合であり、前記アルキレン基、前記アリーレン基、前記アルコキシレン基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RT及びRWは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);、
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
nは、各々独立して0~3の整数であり、
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
[16]
下記式(1B)で表される化合物。
【0027】
【0028】
[17]
下記式(2B)で表される化合物。
【0029】
【発明の効果】
【0030】
本発明により、高いエッチング耐性を有する膜を形成可能な組成物、並びに、これを用いたレジストパターンの形成方法及び絶縁膜の形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について説明する(以下、「本実施形態」と称する場合がある)。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されるものではない。
【0032】
本実施形態の組成物は、ヨウ素原子を2つ以上含有するポリフェノール化合物(B)を含み、特にリソグラフィー技術に好適な組成物であり、特に限定されるものではないが、リソグラフィー用膜形成用途、例えば、レジスト膜形成用途(即ち、“レジスト膜形成用組成物”)に用いることができる。更には、上層膜形成用途(即ち、“上層膜形成用組成物”)、中間層形成用途(即ち、“中間層形成用組成物”)、下層膜形成用途(即ち、“下層膜形成用組成物”)等に用いることができる。本実施形態の組成物によれば、高い感度を有する膜を形成でき、かつ良好なレジストパターン形状を付与することも可能である。
【0033】
本実施形態の組成物は、リソグラフィー技術を応用した光学部品形成組成物としても使用できる。光学部品は、フィルム状、シート状で使われるほか、プラスチックレンズ(プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ、視野角制御レンズ、コントラスト向上レンズ等)、位相差フィルム、電磁波シールド用フィルム、プリズム、光ファイバー、フレキシブルプリント配線用ソルダーレジスト、メッキレジスト、多層プリント配線板用層間絶縁膜、感光性光導波路、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、光半導体(LED)素子、固体撮像素子、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、および有機薄膜トランジスタ(TFT)として有用である。特に高屈折率が求められている固体撮像素子の部材である、フォトダイオード上の埋め込み膜および平坦化膜、カラーフィルター前後の平坦化膜、マイクロレンズ、マイクロレンズ上の平坦化膜およびコンフォーマル膜として好適に利用できる。
【0034】
≪組成物≫
本実施形態の組成物は、ヨウ素原子を2つ以上含有するポリフェノール化合物(B)を含み、ポリフェノール化合物(B)以外に、必要に応じて、基材(A)、溶媒(S)、酸発生剤(C)、架橋剤(G)、酸拡散制御剤(E)等の他の成分を含んでいてもよい。以下、各成分について説明する。
【0035】
[基材(A)]
本実施形態において「基材(A)」とは、後述するポリフェノール化合物以外の化合物(樹脂を含む)であって、例えば、g線、i線、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、極端紫外線(EUV)リソグラフィー(13.5nm)や電子線(EB)用レジストとして適用される基材(例えば、リソグラフィー用基材やレジスト用基材)を意味する。これら基材であれば特に限定されることはなく本実施形態における基材(A)として使用できる。基材(A)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ヒドロキシスチレン-(メタ)アクリル共重合体、シクロオレフィン-マレイン酸無水物共重合体、シクロオレフィン、ビニルエーテル-マレイン酸無水物共重合体、及び、チタン、スズ、ハフニウムやジルコニウム等の金属元素を有する無機レジスト材料、並びに、それらの誘導体が挙げられる。その中でも得られるレジストパターンの形状の観点から、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ヒドロキシスチレン-(メタ)アクリル共重合体、及び、チタン、スズ、ハフニウムやジルコニウム等の金属元素を有する無機レジスト材料、並びに、これらの誘導体が好ましい。
前記誘導体としては、特に限定されるものではないが、例えば、解離性基を導入したものや架橋性基を導入したもの等が挙げられる。前記解離性基や架橋性基を導入した誘導体は、光や酸等の作用によって解離反応や架橋反応を発現させることができる。解離性基及び架橋性基としては、後述するポリフェノール化合物(B)で説明されるものと同様のものを例示することができる。
【0036】
本実施形態において、基材(A)の重量平均分子量は、組成物を用いて形成した膜の欠陥の低減、及び、良好なパターン形状の観点から、200~4990が好ましく、200~2990がより好ましく、200~1490がさらに好ましい。前記重量平均分子量は、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した値を用いることができる。
【0037】
本実施形態において、基材(A)とポリフェノール化合物(B)との質量比〔基材(A):ポリフェノール化合物(B)〕は、5:95~95:5が好ましい。基材(A)とポリフェノール化合物(B)との質量比が当該範囲内であると、感度が向上し、膜の欠陥が少なくなるため、得られるレジストパターンが良好となる傾向にある。また、前記質量比としては、欠陥低減の観点から、31:69~95:5であることが好ましく、51:49~95:5が更に好ましい。
【0038】
[ポリフェノール化合物(B)]
本実施形態において、ポリフェノール化合物(B)は、分子内に複数のヨウ素原子を有し、フェノール性水酸基、架橋性基、解離性基のいずれかを有する化合物である。ポリフェノール化合物(B)は、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される構造を有する樹脂からなる群から選ばれる1種以上である。
【0039】
【0040】
(式(1)中、RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RZは、置換基を有していてもよい炭素数1~60のN価の基又は単結合であり;
RTは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
ただし、RZは少なくとも2つのヨウ素原子を含み;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
【0041】
【0042】
(式(2)中、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシレン基又は単結合であり、前記アルキレン基、前記アリーレン基、前記アルコキシレン基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RZは、置換基を有していてもよい炭素数1~60のN価の基又は単結合であり;
RTは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
ただし、RZは少なくとも2つのヨウ素原子を含み;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
【0043】
ポリフェノール化合物(B)は、溶媒への溶解性が高く、耐熱性が高く、ガラス転移温度が低く、分子量が低く、エッチング耐性が高いことから、膜の欠陥低減が可能で、高感度かつ良好なレジストパターン形状を付与できる保存安定性の高いレジスト組成物等に好適に用いることができる。また、基材(A)との親和性も高いことから、レジストの増感剤用途にも用いることができる。
【0044】
ポリフェノール化合物(B)は、容易入手性の観点から、下記式(1A)で表される化合物及び下記式(2A)で表される構造を有する樹脂からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0045】
【0046】
(式(1A)中、RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RT及びRWは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
nは、各々独立して0~3の整数であり;
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
【0047】
【0048】
(式(2A)中、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシレン基又は単結合であり、前記アルキレン基、前記アリーレン基、前記アルコキシレン基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RT及びRWは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
nは、各々独立して0~3の整数であり、
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
【0049】
本実施形態におけるポリフェノール化合物(B)は、ヨウ素原子を2個以上有する。ヨウ素原子を含む基を2個以上有することで、極端紫外線(EUV)の吸収を高め、EUVの増感作用を発現させることができる傾向にある。また、高感度化の観点から、ポリフェノール(B)は、2個以上のヨウ素原子を含む基に加え、フッ素原子を含む基及び/又は臭素原子を含む基を有してもよい。
【0050】
ヨウ素原子を含む基としては特に限定されないが、例えば、ヨウ素原子で置換された炭素数1~30の直鎖状炭化水素基、ヨウ素原子で置換された炭素数3~30の分岐状炭化水素基、ヨウ素原子で置換された炭素数3~30の脂環式炭化水素基、ヨウ素原子で置換された炭素数6~30の芳香族基又はヨウ素原子で置換された炭素数6~30の芳香族基を有する基等が挙げられる。上述の中でも、耐熱性の観点から、ヨウ素原子で置換された炭素数3~30の分岐状炭化水素基、ヨウ素原子で置換された炭素数3~30の脂環式炭化水素基、ヨウ素原子で置換された炭素数6~30の芳香族基又はヨウ素原子で置換された炭素数6~30の芳香族基を有する基が好ましく、ヨウ素原子で置換された炭素数3~30の脂環式炭化水素基、ヨウ素原子で置換された炭素数6~30の芳香族基又はヨウ素原子で置換された炭素数6~30の芳香族基を有する基より好ましく、ヨウ素原子で置換された炭素数6~30の芳香族基を有する基がさらに好ましい。
ヨウ素原子を含む基の好ましい例としては、ヨード基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、ジヨードフェニル基、トリヨードメチル基、ジヨードメチレン基、ヒドロキシヘキサヨードプロピル基、ヒドロキシジヨードフェニル基等が挙げられる。
【0051】
なお、本明細書において「置換」とは別段定義がない限り、官能基中の一つ以上の水素原子が、置換基で置換されることを意味する。「置換基」としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、チオール基、複素環基、炭素数1~20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3~20の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3~20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数0~20のアミノ基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数1~20のアシル基、炭素数2~20のアルコキシカルボニル基、炭素数1~20のアルキロイルオキシ基、炭素数7~30のアリーロイルオキシ基又は炭素数1~20のアルキルシリル基が挙げられる。
【0052】
本実施形態におけるポリフェノール化合物(B)は誘導体化して使用することが好ましい。このような誘導体化により、さらに良好なレジストパターン形状を付与できる傾向にある。前記誘導体化における誘導体としては特に限定されないが、架橋性基を導入したものや解離性基を導入したもの等が挙げられ、これらの基が導入されたポリフェノール化合物(B)は、光や酸等の作用によって架橋反応や解離反応を発現することができる。
【0053】
「架橋性基」とは、触媒存在下、又は無触媒下で架橋する基をいう。架橋性基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1~20のアルコキシ基、アリル基を有する基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ(メタ)アクリロイル基を有する基、ウレタン(メタ)アクリロイル基を有する基、水酸基を有する基、グリシジル基を有する基、含ビニルフェニルメチル基を有する基、スチレン基を有する基、、アルキニル基を有する基、炭素-炭素二重結合を有する基、炭素-炭素三重結合を有する基、及びこれらの基を含む基が挙げられる。
【0054】
アリル基を有する基としては、特に限定されないが、例えば、下記式(X-1)で表される基が挙げられる。
【0055】
【0056】
式(X-1)において、nX1は、1~5の整数である。
【0057】
(メタ)アクリロイル基を有する基としては、特に限定されないが、例えば、下記式(X-2)で表される基が挙げられる。
【0058】
【0059】
式(X-2)において、nX2は、1~5の整数であり、RXは水素原子、又はメチル基である。
【0060】
エポキシ(メタ)アクリロイル基を有する基としては、特に限定されないが、例えば、下記式(X-3)で表される基が挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリロイル基とは、エポキシ(メタ)アクリレートと水酸基が反応して生成する基をいう。
【0061】
【0062】
式(X-3)において、nx3は、0~5の整数であり、RXは水素原子、又はメチル基である。
【0063】
ウレタン(メタ)アクリロイル基を有する基としては、特に限定されないが、例えば、下記式(X-4)で表される基が挙げられる。
【0064】
【0065】
式(X-4)において、nx4は、0~5の整数であり、sは、0~3の整数であり、RXは水素原子、又はメチル基である。
【0066】
水酸基を有する基としては、特に限定されないが、例えば、下記式(X-5)で表される基が挙げられる。
【0067】
【0068】
式(X-5)において、nx5は、1~5の整数である。
【0069】
グリシジル基を有する基としては、特に限定されないが、例えば、下記式(X-6)で表される基が挙げられる。
【0070】
【0071】
式(X-6)において、nx6は、1~5の整数である。
【0072】
含ビニルフェニルメチル基を有する基としては、特に限定されないが、例えば、下記式(X-7)で表される基が挙げられる。
【0073】
【0074】
式(X-7)において、nx7は、1~5の整数である。
【0075】
スチレン基を有する基としては、特に限定されないが、例えば、下記式(X-8)で表される基が挙げられる。
【0076】
【0077】
式(X-8)において、nx8は、1~5の整数である。
【0078】
各種アルキニル基を有する基としては、特に限定されないが、例えば、下記式(X-9)で表される基が挙げられる。
【0079】
【0080】
(式(X-9)において、nx9は、1~5の整数である。)
【0081】
前記炭素-炭素二重結合を有する基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、置換又は非置換のビニルフェニル基、下記式(X-10-1)で表される基等が挙げられる。
また、前記炭素-炭素三重結合を有する基としては、例えば、置換又は非置換のエチニル基、置換又は非置換のプロパギル基、下記式(X-10-2)、(X-10-3)で表される基等が挙げられる。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
前記式(X-10-1)中、RX10A、RX10B及びRX10Cは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の1価の炭化水素基である。また、前記式(X-10-2)、(X-10-3)中、RX10D、RX10E及びRX10Fは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の1価の炭化水素基である。
【0086】
上述の中でも、架橋性基としては、紫外線硬化性の観点から、(メタ)アクリロイル基、エポキシ(メタ)アクリロイル基、ウレタン(メタ)アクリロイル基、グリシジル基を有する基、スチレン基を含有する基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、エポキシ(メタ)アクリロイル基、ウレタン(メタ)アクリロイル基を有する基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する基がさらに好ましい。
【0087】
ここで、「解離性基」とは、触媒存在下、又は無触媒下で解離する基をいう。解離性基の中でも、酸解離性基とは、酸の存在下で開裂して、アルカリ可溶性基等に変化を生じる特性基をいう。アルカリ可溶性基としては、特に限定されないが、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ヘキサフルオロイソプロパノール基等が挙げられ、中でも、導入試薬の入手容易性の観点から、フェノール性水酸基及びカルボキシル基が好ましく、フェノール性水酸基が特に好ましい。酸解離性基は、高感度・高解像度なパターン形成を可能にするために、酸の存在下で連鎖的に開裂反応を起こす性質を有することが好ましい。酸解離性基としては、特に限定されないが、例えば、KrFやArF用の化学増幅型レジスト組成物に用いられるヒドロキシスチレン樹脂、(メタ)アクリル酸樹脂等において提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
【0088】
酸解離性基の具体例としては、国際公開第2016/158168号に記載のものを挙げることができる。酸解離性基の好ましい例としては、酸により解離する性質を有する、1-置換エチル基、1-置換-n-プロピル基、1-分岐アルキル基、シリル基、アシル基、1-置換アルコキシメチル基、環状エーテル基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシカルボニルアルキル基からなる群より選ばれる基が挙げられる。
【0089】
なお、本実施形態の組成物をポジ型とする場合、基材(A)及びポリフェノール化合物(B)の少なくともいずれかが解離性基を有するか、又は、露光の作用によって現像液への溶解性変化を生じる添加剤を併用させることができる。同様に、本実施形態の組成物をネガ型とする場合、別途架橋剤を併用してもよいし、又は、基材(A)及びポリフェノール化合物(B)の少なくともいずれかが架橋性基を有していてもよい。
【0090】
(式(1)で表される化合物)
本実施形態においては、ポリフェノール化合物(B)として、下記式(1)で表される化合物を用いることができる。式(1)で表される化合物は、比較的低分子量ながらも、その構造の剛直さによって高い耐熱性を有するため、高温ベーク条件でも使用することが可能である。また、分子中に3級炭素又は4級炭素を有しており、結晶性が抑制されるため、リソグラフィー用膜やレジスト用膜の製造に用いられるリソグラフィー用組成物やレジスト組成物として好適に用いられる。
【0091】
本実施形態において、式(1)で表される化合物の分子量は、これを含む組成物を用いて形成した膜の欠陥の低減、及び、良好なパターン形状の観点から、200~9900が好ましく、200~4900がより好ましく、200~2900がさらに好ましい。前記重量平均分子量は、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した値を用いることができる。
【0092】
また、下記式(1)で表される化合物は、安全溶媒に対する溶解性が高く、製膜性及び感度が良好であるため、当該化合物を含む組成物を用いて膜を形成すると、良好なレジストパターン形状を得ることができる。さらに、式(1)で表される化合物は、比較的高い炭素濃度を有する化合物であることから、これを用いて得られた膜に高いエッチング耐性をも付与することができる。
【0093】
【0094】
(式(1)中、RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RZは、置換基を有していてもよい炭素数1~60のN価の基又は単結合であり;
RTは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
ただし、RZは少なくとも2つのヨウ素原子を含み;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
【0095】
式(1)中、RYについて、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、無置換のメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基等が挙げられる、さらに、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、チオール基、水酸基又は水酸基の水素原子が酸解離性基で置換された基等の置換基を有するメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基としては、例えば、無置換のフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基等が挙げられ、さらに、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、チオール基、水酸基又は水酸基の水素原子が酸解離性基で置換された基等の置換基を有するフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基等が挙げられる。
【0096】
式(1)中、Rzについて、前記置換基を有していてもよい炭素数1~60のN価の基とは、N=1の場合は、置換基を有していてもよい炭素数1~60のアルキル基、N=2の場合は、炭素数1~60のアルキレン基、N=3の場合は、炭素数1~60のアルカントリイル基、N=4の場合は、炭素数1~60のアルカンテトライル基を示す。前記N価の基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基又は脂環式炭化水素基を有するもの等が挙げられる。ここで、前記脂環式炭化水素基については、有橋脂環式炭化水素基も含まれる。また、前記N価の基は、炭素数6~60の芳香族基を有していてもよい。
また、前記N価の基は、脂環式炭化水素基、二重結合、ヘテロ原子もしくは炭素数6~60の芳香族基を有していてもよい。ここで、前記脂環式炭化水素基については、有橋脂環式炭化水素基も含まれる。
置換基を有していてもよい炭素数1~60のN価の基は、置換基を有していてもよい炭素数6~60の基であってもよく、例えば、無置換のフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラシル基、ピレニル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基、ジシクロペンチル基、トリシクロデシル基、アダマンチル基、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロドデカンジイル基、ジシクロペンタンジイル基、トリシクロデカンジイル基、アダマンタンジイル基、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基、ビフェニルトリイル基、アントラセントリイル基、ピレントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロドデカントリイル基、ジシクロペンタントリイル基、トリシクロデカントリイル基、アダマンタントリイル基、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基、ビフェニルテトライル基、アントラセンテトライル基、ピレンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、ジシクロペンタンテトライル基、トリシクロデカンテトライル基、アダマンタンテトライル基等が挙げられる。さらに、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、チオール基、水酸基又は水酸基の水素原子が酸解離性基で置換された基等の置換基を有するフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラシル基、ピレニル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基、ジシクロペンチル基、トリシクロデシル基、アダマンチル基、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロドデカンジイル基、ジシクロペンタンジイル基、トリシクロデカンジイル基、アダマンタンジイル基、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基、ビフェニルトリイル基、アントラセントリイル基、ピレントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロドデカントリイル基、ジシクロペンタントリイル基、トリシクロデカントリイル基、アダマンタントリイル基、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基、ビフェニルテトライル基、アントラセンテトライル基、ピレンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、ジシクロペンタンテトライル基、トリシクロデカンテトライル基、アダマンタンテトライル基等が挙げられる。
【0097】
式(1)中、RTについて、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基としては、特に限定されず、例えば、無置換のメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基等が挙げられ、さらに、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、チオール基、水酸基又は水酸基の水素原子が酸解離性基で置換された基等の置換基を有するメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基としては、特に限定されず、例えば、無置換のフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基等が挙げられ、さらに、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、チオール基、水酸基又は水酸基の水素原子が酸解離性基で置換された基等の置換基を有するフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基としては、特に限定されず、例えば、無置換のプロペニル基、ブテニル基等が挙げられ、さらに、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、チオール基、水酸基又は水酸基の水素原子が酸解離性基で置換された基等の置換基を有するプロペニル基、ブテニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基としては、特に限定されず、例えば、エチニル基、プロパギル基が挙げられ、さらに、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、チオール基、水酸基又は水酸基の水素原子が酸解離性基で置換された基等の置換基を有するエチニル基、プロパギル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基としては、特に限定されず、例えば、無置換のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシロキシ基、フェノキシ基、ナフタレンオキシ基ビフェニル基等が挙げられ、さらに、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、チオール基、水酸基又は水酸基の水素原子が酸解離性基で置換された基等の置換基を有するメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシロキシ基、フェノキシ基、ナフタレンオキシ基等が挙げられる。
架橋性基、解離性基としては、上述したものが挙げられる。
【0098】
式(1)において、r=0の場合、括弧内で示される環状構造はベンゼン環であり、r=1の場合、括弧内で示される環状構造はナフタレン環となる。r=2の場合、括弧内で示される環状構造は、アントラセン環、フェナントレン環等の三環構造となる。
【0099】
(式(1A)で表される化合物)
本実施形態において、式(1)で表される化合物は、容易入手性の観点から、下記式(1A)で表される化合物であることが好ましい。
【0100】
【0101】
(式(1A)中、RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RT及びRWは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
nは、各々独立して0~3の整数であり;
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
【0102】
以下に前記式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、前記式(1)で表される化合物はこれらに限定されない。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
ここで、RTは、式(1)で定義したものと同様である。RX、及びRWは、式(1A)で定義したRWと同様である。nは、式(1A)で定義したものと同様である。ただし、1分子中の全てのRXに含まれるヨウ素原子の和は2個以上である。n04は、各々独立して0~4の整数である。n06は、各々独立して0~6の整数である。n08は、各々独立して0~8の整数である。n09は、各々独立して0~9の整数である。n13は、各々独立して1~3の整数である。n14は、各々独立して1~4の整数である。n15は、各々独立して1~5の整数である。n17は、各々独立して1~7の整数である。n19は、各々独立して1~9の整数である。ただし、1分子中のn04、n06、n08、n09のうち、少なくとも1つは1以上である。
【0111】
(式(2)で表される構造を有する樹脂)
本実施形態の組成物は、下記式(2)で表される構造を有する樹脂を含有するものであってもよい。式(2)で表される構造を有する樹脂は、上述した式(1)で表される化合物をモノマーとして得られる樹脂である。当該樹脂は、例えば、前記式(1)で表される化合物と架橋反応性のある化合物とを反応させて得ることができる。
【0112】
【0113】
(式(2)中、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシレン基又は単結合であり、前記アルキレン基、前記アリーレン基、前記アルコキシレン基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RZは、置換基を有していてもよい炭素数1~60のN価の基又は単結合であり;
RTは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
ただし、RZは少なくとも2つのヨウ素原子を含み;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
【0114】
式(2)中、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシレン基又は単結合であり、前記アルキレン基、前記アリーレン基、前記アルコキシレン基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよい。前記アルキレン基、アルコキシレン基は、直鎖状、分岐状若しくは環状の基であってもよい。
【0115】
本実施形態において、式(2)で表される構造を有する樹脂の重量平均分子量は、組成物を用いて形成した膜の欠陥の低減、及び、良好なパターン形状の観点から、300~10000が好ましく、300~5000がより好ましく、300~3000がさらに好ましい。前記重量平均分子量は、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した値を用いることができる。
【0116】
(式(2A)で表される樹脂)
本実施形態において、式(2)で表される樹脂は、容易入手性の観点から、下記式(2A)で表される樹脂であることが好ましい。
【0117】
【0118】
(式(2A)中、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシレン基又は単結合であり、前記アルキレン基、前記アリーレン基、前記アルコキシレン基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
RYは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基であり;
RT及びRWは、各々独立して、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2~30のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボン酸基、架橋性基、解離性基、チオール基又は水酸基であり(ただし、RTの少なくとも1つは架橋性基、解離性基、又は、水酸基を含む)、前記アルキル基、前記アリール基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アルコキシ基は、エーテル結合、ケトン結合又はエステル結合を含んでいてもよく;
Xは、酸素原子、硫黄原子又は無架橋であり;
mは、各々独立して0~9の整数であり(ただし、mの少なくとも1つは1~9の整数である);
rは、各々独立して0~2の整数であり(ただし、rの少なくとも1つは1~2の整数である);
nは、各々独立して0~3の整数であり;
Nは、1~4の整数である(ただし、Nが2以上の整数の場合、N個の[ ]内の構造式は同一であっても異なっていてもよい)。)
【0119】
(式(2)で表される構造を有する樹脂の製造方法)
式(2)で表される構造を有する樹脂は、前記式(1)で表される化合物を、架橋反応性のある化合物と反応させることにより得られる。架橋反応性のある化合物としては、前記式(1)で表される化合物をオリゴマ-化又はポリマー化し得る化合物であれば、公知のものを特に制限なく使用することができる。架橋反応性のある化合物の具体例としては、例えば、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、カルボン酸ハライド、ハロゲン含有化合物、アミノ化合物、イミノ化合物、イソシアネ-ト、不飽和炭化水素基含有化合物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
前記式(2)で表される構造を有する樹脂の具体例としては、例えば、前記式(1)で表される化合物を、架橋反応性のある化合物であるアルデヒド及び/又はケトンとの縮合反応等によってノボラック化した樹脂が挙げられる。
【0120】
なお、式(2)で表される構造を有する樹脂は、前記式(1)で表される化合物の合成反応時にも得ることができる。例えば、前記式(1)で表される化合物を合成する際に、前記式(1)で表される化合物がアルデヒドやケトンと縮合反応して、式(2)で表される構造を有する樹脂が、得られることがある。
【0121】
[溶媒(S)]
本実施形態における溶媒は、上述したポリフェノール化合物(B)が少なくとも溶解するものであれば、公知のものを適宜用いることができる。溶媒の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-プロピル、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミル等の乳酸エステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸n-アミル、酢酸n-ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチルプロピオン酸ブチル、3-メトキシ-3-メチル酪酸ブチル、アセト酢酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロペンタノン(CPN)、シクロヘキサノン(CHN)等のケトン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;γ-ラクトン等のラクトン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。本実施形態で使用される溶媒は、安全溶媒であることが好ましく、より好ましくは、PGMEA、PGME、CHN、CPN、2-ヘプタノン、アニソ-ル、酢酸ブチル及び乳酸エチルから選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくはPGMEA、PGME、CHN、CPN及び乳酸エチルから選ばれる少なくとも一種である。
【0122】
本実施形態において固形成分の量と溶媒との量は、特に限定されないが、固形成分の量と溶媒との合計質量に対して、固形成分1~80質量%及び溶媒20~99質量%であることが好ましく、より好ましくは固形成分1~50質量%及び溶媒50~99質量%、さらに好ましくは固形成分2~40質量%及び溶媒60~98質量%であり、特に好ましくは固形成分2~10質量%及び溶媒90~98質量%である。
【0123】
[酸発生剤(C)]
本実施形態の組成物において、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線及びイオンビ-ムから選ばれるいずれかの放射線の照射により直接的又は間接的に酸を発生する酸発生剤(C)を一種以上含むことが好ましい。酸発生剤(C)は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2013/024778号に記載のものを用いることができる。酸発生剤(C)は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0124】
酸発生剤(C)の使用量は、固形成分全質量の0.001~49質量%が好ましく、1~40質量%がより好ましく、3~30質量%がさらに好ましく、10~25質量%が特に好ましい。酸発生剤(C)を前記範囲内で使用することにより、高感度でかつ低エッジラフネスのパターンプロファイルが得られる傾向にある。本実施形態では、系内に酸が発生すれば、酸の発生方法は特に限定されない。g線、i線などの紫外線の代わりにエキシマレーザーを使用すれば、より微細加工が可能であり、また高エネルギー線として電子線、極端紫外線、X線、イオンビ-ムを使用すればさらなる微細加工が可能である。
【0125】
[架橋剤(G)]
本実施形態において、組成物中に、架橋剤(G)を一種以上含めることができる。架橋剤(G)は少なくとも基材(A)又はポリフェノール化合物(B)のいずれかを架橋し得る化合物を意味する。前記架橋剤(G)としては、酸発生剤(C)から発生した酸の存在下で、基材(A)を分子内又は分子間架橋し得る酸架橋剤であることが好ましい。このような酸架橋剤としては、例えば基材(A)を架橋し得る1種以上の基(以下、「架橋性基」という。)を有する化合物を挙げることができる。
【0126】
前記架橋性基としては、例えば(i)ヒドロキシ(炭素数1~6のアルキル基)、炭素数1~6のアルコキシ(炭素数1~6のアルキル基)、アセトキシ(炭素数1~6のアルキル基)等のヒドロキシアルキル基又はそれらから誘導される基;(ii)ホルミル基、カルボキシ(炭素数1~6のアルキル基)等のカルボニル基又はそれらから誘導される基;(iii)ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロ-ルアミノメチル基、ジエチロ-ルアミノメチル基、モルホリノメチル基等の含窒素基含有基;(iv)グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基等のグリシジル基含有基;(v)ベンジルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基等の、炭素数1~6のアリルオキシ(炭素数1~6のアルキル基)、炭素数1~6のアラルキルオキシ(炭素数1~6のアルキル基)等の芳香族基から誘導される基;(vi)ビニル基、イソプロペニル基等の重合性多重結合含有基等を挙げることができる。本実施形態における架橋剤(G)の架橋性基としては、ヒドロキシアルキル基、及びアルコキシアルキル基等が好ましく、特にアルコキシメチル基が好ましい。
【0127】
前記架橋性基を有する架橋剤(G)としては、特に限定されないが、例えば、国際公開第2013/024778号に記載の酸架橋剤を用いることができる。架橋剤(G)は単独で又は2種以上を使用することができる。
【0128】
本実施形態において架橋剤(G)の使用量は、固形成分全質量の0.5~50質量%が好ましく、0.5~40質量%がより好ましく、1~30質量%がさらに好ましく、2~20質量%が特に好ましい。前記架橋剤(G)の配合割合を0.5質量%以上とすると、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性の抑制効果を向上させ、残膜率が低下したり、パターンの膨潤や蛇行が生じたりするのを抑制することができる傾向にあり、一方、50質量%以下とすると、レジストとしての耐熱性の低下を抑制できる傾向にある。
【0129】
[酸拡散制御剤(E)]
本実施形態においては、放射線照射により酸発生剤から生じた酸のレジスト膜中における拡散を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を阻止する作用等を有する酸拡散制御剤(E)を本実施形態の組成物に配合してもよい。酸拡散制御剤(E)を使用することによって、本実施形態の組成物の貯蔵安定性を向上させることができる傾向にある。また、酸拡散制御剤(E)を使用することによって、本実施形態の組成物を用いて形成した膜の解像度を向上させることができるとともに、放射線照射前の引き置き時間と放射線照射後の引き置き時間との変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れたものとなる傾向にある。酸拡散制御剤(E)としては、特に限定されないが、窒素原子含有塩基性化合物、塩基性スルホニウム化合物、塩基性ヨ-ドニウム化合物等の放射線分解性塩基性化合物が挙げられる。
【0130】
酸拡散制御剤(E)としては、特に限定されないが、例えば、国際公開第2013/024778号に記載のものを用いることができる。酸拡散制御剤(E)は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0131】
酸拡散制御剤(E)の配合量は、固形成分全質量の0.001~49質量%が好ましく、0.01~10質量%がより好ましく、0.01~5質量%がさらに好ましく、0.01~3質量%が特に好ましい。酸拡散制御剤(E)の配合量が前記範囲内であると、解像度の低下、パターン形状、寸法忠実度等の劣化を防止することができる傾向にある。さらに、電子線照射から放射線照射後加熱までの引き置き時間が長くなっても、パターン上層部の形状が劣化することを抑制することができる。また、配合量が10質量%以下であると、感度、未露光部の現像性等の低下を防ぐことができる傾向にある。またこの様な酸拡散制御剤を使用することにより、レジスト組成物の貯蔵安定性が向上し、また解像度が向上するとともに、放射線照射前の引き置き時間、放射線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる傾向にある。
【0132】
[その他の成分(F)]
本実施形態の組成物には、その他の成分(F)として、必要に応じて、溶解促進剤、溶解制御剤、増感剤、界面活性剤及び有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体等の各種添加剤を1種又は2種以上添加することができる。
【0133】
(溶解促進剤)
溶解促進剤は、固形成分の現像液に対する溶解性が低すぎる場合に、その溶解性を高めて、現像時の前記化合物の溶解速度を適度に増大させる作用を有する成分である。前記溶解促進剤としては、低分子量のものが好ましく、例えば、低分子量のフェノール性化合物を挙げることができる。低分子量のフェノール性化合物としては、例えば、ビスフェノール類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等を挙げることができる。これらの溶解促進剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0134】
溶解促進剤の配合量は、使用する前記固形成分の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分全質量の0~49質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましく、0~1質量%がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0135】
(溶解制御剤)
溶解制御剤は、固形成分の現像液に対する溶解性が高すぎる場合に、その溶解性を制御して現像時の溶解速度を適度に減少させる作用を有する成分である。このような溶解制御剤としては、レジスト被膜の焼成、放射線照射、現像等の工程において化学変化しないものが好ましい。
【0136】
溶解制御剤としては、特に限定されないが、例えば、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン等の芳香族炭化水素類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、フェニルナフチルケトン等のケトン類;メチルフェニルスルホン、ジフェニルスルホン、ジナフチルスルホン等のスルホン類等を挙げることができる。これらの溶解制御剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
溶解制御剤の配合量は、使用する前記化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分全質量の0~49質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましく、0~1質量%がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0137】
(増感剤)
増感剤は、照射された放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤(C)に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、レジストの見掛けの感度を向上させる成分である。このような増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ビアセチル類、ピレン類、フェノチアジン類、フルオレン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの増感剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0138】
増感剤の配合量は使用する前記化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分全質量の0~49質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましく、0~1質量%がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0139】
(界面活性剤)
界面活性剤は、本実施形態の組成物の塗布性やストリエーション、レジストの現像性等を改良する作用を有する成分である。界面活性剤は、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤又は両性界面活性剤のいずれでもよい。好ましい界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が挙げられる。ノニオン系界面活性剤は、本実施形態の組成物の製造に用いる溶媒との親和性がよく、本実施形態の組成物の効果をより高めることができる。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類等が挙げられるが、特に限定されない。これら界面活性剤の市販品としては、以下商品名で、エフトップ(ジェムコ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業社製)、フロラ-ド(住友スリ-エム社製)、アサヒガ-ド、サ-フロン(以上、旭硝子社製)、ペポ-ル(東邦化学工業社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロ-(共栄社油脂化学工業社製)等を挙げることができる。
【0140】
界面活性剤の配合量は、使用する前記固形成分の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分全質量の0~49質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましく、0~1質量%がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0141】
(有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体)
感度劣化防止又はレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。なお、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体は、酸拡散制御剤と併用することもできるし、単独で用いてもよい。有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ-n-ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルなどの誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ-n-ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸又はそれらのエステルなどの誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルなどの誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
【0142】
有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体は、単独で又は2種以上を使用することができる。有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体の配合量は、使用する前記化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分全質量の0~49質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましく、0~1質量%がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0143】
[その他添加剤]
さらに、本実施形態の組成物には、必要に応じて、上述した成分以外の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。このような添加剤としては、例えば、染料、顔料、及び接着助剤等が挙げられる。例えば、染料又は顔料を配合すると、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレ-ションの影響を緩和できるので好ましい。また、接着助剤を配合すると、基板との接着性を改善することができるので好ましい。さらに、他の添加剤としては、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、形状改良剤等、具体的には4-ヒドロキシ-4’-メチルカルコン等を挙げることができる。
【0144】
本実施形態の組成物において、任意成分(F)の合計量は、固形成分全質量の0~99質量%とすることができ、0~49質量%が好ましく、0~10質量%がより好ましく、0~5質量%がさらに好ましく、0~1質量%がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0145】
[組成物における各成分の配合割合]
本実施形態の組成物において基材(A)とポリフェノール化合物(B)との総量は、固形成分の全質量(基材(A)、ポリフェノール化合物(B)、酸発生剤(C)、架橋剤(G)、酸拡散制御剤(E)及びその他の成分(F)などの任意に使用される成分を含む固形成分の総和、以下同様。)の50~99.4質量%であることが好ましく、より好ましくは55~90質量%、さらに好ましくは60~80質量%、特に好ましくは60~70質量%である。基材(A)とポリフェノール化合物(B)との総量が上記含有量の場合、解像度が一層向上し、ラインエッジラフネス(LER)が一層小さくなる傾向にある。なお、組成物が、本実施形態における化合物及び樹脂との両方を含有する場合、上記含有量は、本実施形態における化合物及び樹脂の両方を含む量である。
【0146】
本実施形態の組成物において、本実施形態における基材(A)、ポリフェノール化合物(B)、酸発生剤(C)、架橋剤(G)、酸拡散制御剤(E)、任意成分(F)の含有量比(基材(A)/ポリフェノール化合物(B)/酸発生剤(C)/架橋剤(G)/酸拡散制御剤(E)/任意成分(F))は、本実施形態の組成物の固形分全質量に対して、
好ましくは、0~99.4質量%/0.1~99.5質量%/0.001~49質量%/0.5~49質量%/0.001~49質量%/0~49質量%であり、
より好ましくは、0~97.5質量%/1~99質量%/1~40質量%/0.5~40質量%/0.01~10質量%/0~5質量%であり、
さらに好ましくは0~95質量%/1~50質量%/3~30質量%/1~30質量%/0.01~5質量%/0~1質量%であり、
特に好ましくは0~91質量%/5~30質量%/3~30質量%/1~30質量%/0.01~3質量%/0質量%、である。
各成分の配合割合は、その総和が100質量%になるように各範囲から選ばれる。前記配合にすると、感度、解像度、現像性等の性能に優れる傾向にある。なお、「固形分」とは、溶媒を除いた成分をいい、「固形分全質量」とは、組成物を構成する成分から溶媒を除いた成分の合計を100質量%とすることをいう。
【0147】
本実施形態の組成物は、通常は、使用時に各成分を溶媒に溶解して均一溶液とし、その後、必要に応じて、例えば、孔径0.2μm程度のフィルタ-等でろ過することにより調製される。
【0148】
[組成物の物性等]
本実施形態の組成物は、スピンコートによってアモルファス膜を形成することができる。また、本実施形態の組成物は、一般的な半導体製造プロセスに適用することができる。また、本実施形態の組成物は、用いる現像液の種類によって、ポジ型レジストパターン及びネガ型レジストパターンのいずれかを作り分けることができる。
【0149】
ポジ型レジストパターンの場合、本実施形態の組成物を用いてスピンコートによって形成したアモルファス膜の23℃における現像液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましく、0.05~5Å/secがより好ましく、0.0005~5Å/secがさらに好ましい。当該溶解速度が5Å/sec以下であると現像液に不溶なレジストとすることができる傾向にある。また、0.0005Å/sec以上の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、基材(A)の露光前後の溶解性の変化により、現像液に溶解する露光部と、現像液に溶解しない未露光部との界面のコントラストが大きくなるからと推測される。また、0.0005Å/sec以上の溶解速度を有すると、LERの低減、ディフェクトの低減効果が得られる傾向にある。
【0150】
ネガ型レジストパターンの場合、本実施形態の組成物を用いてスピンコートによって形成したアモルファス膜の23℃における現像液に対する溶解速度は、10Å/sec以上であることが好ましい。当該溶解速度が10Å/sec以上であると現像液に易溶で、レジストに一層向いている。また、10Å/sec以上の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、基材(A)のミクロの表面部位が溶解し、LERを低減するからと推測される。また、10Å/sec以上の溶解速度を有すると、ディフェクトの低減効果が得られる傾向にある。
【0151】
前記溶解速度は、23℃にて、アモルファス膜を所定時間現像液に浸漬させ、その浸漬前後の膜厚を、目視、エリプソメーター又はQCM法等の公知の方法によって測定し決定できる。
【0152】
ポジ型レジストパターンの場合、スピンコートによって本実施形態の組成物を形成したアモルファス膜のKrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線等の放射線により露光した部分の23℃における現像液に対する溶解速度は、10Å/sec以上であることが好ましい。当該溶解速度が10Å/sec以上であると現像液に易溶で、レジストに一層向いている。また、10Å/sec以上の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、基材(A)のミクロの表面部位が溶解し、LERを低減するからと推測される。また、溶解速度が10Å/sec以上であるとディフェクトの低減効果が得られる傾向にある。
【0153】
ネガ型レジストパターンの場合、本実施形態の組成物を用いてスピンコートによって形成したアモルファス膜のKrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線等の放射線により露光した部分の23℃における現像液に対する溶解速度は、5Å/sec以下が好ましく、0.05~5Å/secがより好ましく、0.0005~5Å/secがさらに好ましい。当該溶解速度が5Å/sec以下であると現像液に不溶なレジストとすることができる。また、0.0005Å/sec以上の溶解速度を有すると、解像性が向上する場合もある。これは、基材(A)の露光前後の溶解性の変化により、現像液に溶解する未露光部と、現像液に溶解しない露光部との界面のコントラストが大きくなるからと推測される。また、0.0005Å/sec以上の溶解速度を有するとLERの低減、ディフェクトの低減効果が得られる傾向にある。
【0154】
[アモルファス膜の製造方法]
本実施形態の組成物を用いて、基板上にアモルファス膜を形成することが可能である。
【0155】
[組成物を用いたレジストパターンの形成方法]
本実施形態の組成物を用いたレジストパターン形成方法は、上述した本実施形態の組成物を用いて、基板上にフォトレジスト層を形成し、前記基板上に形成された前記フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、前記放射線照射後のフォトレジスト層の現像を行う工程、を含む。
【0156】
本実施形態の組成物を用いたレジストパターンの形成方法は、上述した本実施形態の組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、形成されたレジスト膜の少なくとも一部を露光する工程と、露光した前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程とを備える。本実施形態におけるレジストパターンは多層プロセスにおける上層レジストとして形成することもできる。
【0157】
レジストパターンを形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、従来公知の基板上に前記本実施形態の組成物を、回転塗布、流延塗布、ロ-ル塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜(フォトレジスト層)を形成する。従来公知の基板とは、特に限定されず、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例表することができる。より具体的には、シリコンウェハー、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が挙げられる。また必要に応じて、前述基板上に無機系及び/又は有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。ヘキサメチレンジシラザン等による表面処理を行ってもよい。
【0158】
次に、必要に応じて、塗布した基板を加熱する。加熱条件は、組成物の配合組成等により変わるが、20~250℃が好ましく、より好ましくは20~150℃である。加熱することによって、組成物の基板に対する密着性が向上する場合があるため好ましい。次いで、可視光線、紫外線、エキシマレーザー、電子線、極端紫外線(EUV)、X線、及びイオンビ-ムからなる群から選ばれるいずれかの放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光する。露光条件等は、組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本実施形態においては、露光における高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後に加熱するのが好ましい。
【0159】
次いで、露光されたレジスト膜を現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。前記現像液としては、使用する基材(A)に対して溶解度パラメーター(SP値)の近い溶剤を選択することが好ましい。例えば、国際公開第2013/24778公報に記載されているケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤又はアルカリ水溶液を用いることができる。
【0160】
上述の溶剤は、複数混合してもよいし、性能を有する範囲内で、前記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。ただし、本実施形態の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が70質量%未満であり、50質量%未満であることが好ましく、30質量%未満であることがより好ましく、10質量%未満であることがさらに好ましく、実質的に水分を含有しないことが特に好ましい。すなわち、現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、30質量%以上100質量%以下であり、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
【0161】
特に、現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を含有する現像液が、レジストパターンの解像性やラフネス等のレジスト性能を改善するため好ましい。
【0162】
現像液の蒸気圧は、20℃において、5kPa以下が好ましく、3kPa以下がさらに好ましく、2kPa以下が特に好ましい。現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上あるいは現像カップ内での蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウェハ面内の寸法均一性が良化する傾向にある。
【0163】
5kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、例えば、国際公開第2013/24778公報に記載されているものが挙げられる。
【0164】
特に好ましい範囲である2kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、例えば、国際公開第2013/24778公報に記載されているものが挙げられる。
【0165】
現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば、特開昭62-36663号公報、特開昭61-226746号公報、特開昭61-226745号公報、特開昭62-170950号公報、特開昭63-34540号公報、特開平7-230165号公報、特開平8-62834号公報、特開平9-54432号公報、特開平9-5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることがさらに好ましい。
【0166】
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、通常0.001~5質量%、好ましくは0.005~2質量%、さらに好ましくは0.01~0.5質量%である。
【0167】
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。パターンの現像を行なう時間には特に制限はないが、好ましくは10秒間~90秒間である。
【0168】
また、現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
【0169】
現像の後には、有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄する工程を含むことが好ましい。
【0170】
現像後のリンス工程に用いるリンス液としては、架橋により硬化したレジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液又は水を使用することができる。前記リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。より好ましくは、現像の後に、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。さらにより好ましくは、現像の後に、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。さらにより好ましくは、現像の後に、1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。特に好ましくは、現像の後に、炭素数5以上の1価アルコールを含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行う。パターンのリンスを行なう時間には特に制限はないが、好ましくは10秒間~90秒間である。
【0171】
ここで、現像後のリンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐状、環状の1価アルコールが挙げられる。例えば、国際公開第2013/24778公報に記載されているものを用いることができる。炭素数5以上の1価アルコールとしては、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノールが特に好ましい。
【0172】
前記各成分は、複数混合してもよいし、前記以外の有機溶剤と混合し使用してもよい。
【0173】
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、より良好な現像特性を得ることができる傾向にある。
【0174】
現像後に用いるリンス液の蒸気圧は、20℃において0.05kPa以上、5kPa以下が好ましく、0.1kPa以上、5kPa以下がさらに好ましく、0.12kPa以上、3kPa以下が最も好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上、5kPa以下にすることにより、ウェハ面内の温度均一性がより向上し、さらにはリンス液の浸透に起因した膨潤がより抑制され、ウェハ面内の寸法均一性がより良化する。
【0175】
リンス液には、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0176】
リンス工程においては、現像を行ったウェハを上述の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を塗出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレ-法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm~4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。
【0177】
レジストパターンを形成した後、エッチングすることによりパターン配線基板が得られる。エッチングの方法はプラズマガスを使用するドライエッチング及びアルカリ溶液、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液等によるウェットエッチングなど公知の方法で行うことができる。
【0178】
レジストパターンを形成した後、めっきを行うこともできる。前記めっき法としては、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっきなどがある。
【0179】
エッチング後の残存レジストパターンは、ドライ剥離及びウェット剥離等の公知の方法で行なうことができる。ドライ剥離としてはオゾンや酸素ガスに紫外線等の光を照射してガスとレジストの化学反応を使ってレジスト剥離をする光励起アッシングやガスを高周波等でプラズマ化し、そのプラズマを利用してレジストを剥離するプラズマアッシングにて剥離することができる。ウェット剥離としては、レジスト剥離剤、有機溶剤で剥離することができる。前記有機溶剤としては、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート),PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル),EL(乳酸エチル)等が挙げられる。前記剥離方法としては、例えば、浸漬方法、スプレイ方式等が挙げられる。また、レジストパターンが形成された配線基板は、多層配線基板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【0180】
本実施形態において得られる配線基板は、レジストパターン形成後、金属を真空中で蒸着し、その後レジストパターンを溶液で溶かす方法、すなわちリフトオフ法により形成することもできる。
【0181】
[絶縁膜の形成方法]
また、本実施形態においては、上述のレジストパターンの形成方法と同様にして、本実施形態の組成物を用いてフォトレジスト層を基板上に形成し、前記基板上に形成された前記フォトレジスト層の所定の領域に放射線を照射し、前記放射線照射後の前記フォトレジスト層の現像を行う工程によって、絶縁膜を形成することができる。
【実施例】
【0182】
以下、本実施形態を合成例及び実施例によってさらに詳細に説明するが、本実施形態は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0183】
[測定法]
化合物の構造
化合物の構造は、Bruker社製Advance600II spectrometerを用いて、以下の条件で、1H-NMR測定を行い、確認した。
周波数:400MHz
溶媒:d6-DMSO
内部標準:TMS
測定温度:23℃
【0184】
[評価方法]
(1)化合物の安全溶媒溶解度試験
化合物のPGME、PGMEA及びCHNへの溶解性は、各溶媒への溶解量を用いて以下の基準で評価した。なお、溶解量の測定は23℃にて、化合物を試験管に精秤し、対象となる溶媒を所定の濃度となるよう加え、超音波洗浄機にて30分間超音波をかけ、その後の液の状態を目視にて観察することにより測定した。
A:5.0質量% ≦ 溶解量
B:2.0質量%≦ 溶解量 <5.0質量%
C:溶解量 <2.0質量%
【0185】
(2)レジスト組成物の保存安定性及び薄膜形成
化合物を含むレジスト組成物の保存安定性は、レジスト組成物を作成後、23℃にて3日間静置し、析出の有無を目視にて観察することにより評価した。また、レジスト組成物を清浄なシリコンウェハー上に回転塗布した後、110℃のホットプレート上で露光前ベーク(PB)して、厚さ50nmのレジスト膜を形成した。作成したレジスト組成物について、均一溶液であり薄膜形成が良好な場合には○、均一溶液だが薄膜に欠陥がある場合には△、析出がある場合は×と評価した。
【0186】
(3)レジストパターンのパターン評価(パターン形成)
上記(2)で得られたレジスト膜に対して、電子線描画装置(ELS-7500、(株)エリオニクス社製)を用いて、50nm間隔の1:1のラインアンドスペース設定の電子線を照射した。
当該照射後に、レジスト膜を、それぞれ110℃、90秒間加熱し、TMAH2.38質量%アルカリ現像液に60秒間浸漬して現像を行った。その後、レジスト膜を、超純水で30秒間洗浄し、乾燥して、レジストパターンを形成した。
得られた50nmL/S(1:1)のレジストパターンの形状を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4800)を用いて観察した。現像後の『レジストパターン形状』については、パターン倒れがなく、矩形性が比較例1より良好なものを“A”とし、比較例1と同等又は劣るものを“C”として評価した。さらに、良好なパターン形状を描画可能な最小の電子線エネルギー量を『感度』として、比較例1より10%以上優れるものを“S”、10%未満であるが優れるものを“A”とし、比較例1と同等又は劣るものを“C”として評価した。
【0187】
(4)エッチング耐性
エッチング装置:サムコインターナショナル社製 RIE-10NR
出力:50W
圧力:20Pa
時間:2min
エッチングガス
Arガス流量:CF4ガス流量:O2ガス流量=50:5:5(sccm)
【0188】
各実施例及び比較例で得られた膜について、上述の条件でエッチング試験をおこない、そのときのエッチングレートを測定した。そして、ノボラック(群栄化学社製「PSM4357」)を用いて作製した下層膜のエッチングレートを基準として、以下の評価基準でエッチング耐性を評価した。
評価基準
A:ノボラックの下層膜に比べてエッチングレートが、小さい
C:ノボラックの下層膜に比べてエッチングレートが、大きい
【0189】
〔基材(A)〕
合成比較例1(アクリル系ポリマー1の合成)
2-メチル-2-メタクリロイルオキシアダマンタン4.15g、メタクリルロイルオキシ-γ-ブチロラクトン3.00g、3-ヒドロキシ-1-アダマンチルメタクリレート2.08g、及び、アゾビスイソブチロニトリル0.38gを、テトラヒドロフラン80mLに溶解させて反応溶液とした。当該反応溶液を、窒素雰囲気下で、反応温度を63℃に保持して22時間重合させた後、反応溶液を400mLのn-ヘキサン中に滴下した。得られた生成樹脂を凝固精製し、生成した白色粉末をろ過した後、減圧下40℃で一晩乾燥させて、下記式(11)で示されるアクリル系ポリマー1を得た。
【0190】
【0191】
前記式(11)中、“40”,“40”,“20”とあるのは、各構成単位の比率を示すものであり、ブロック共重合体を示すものではない。
【0192】
(ポリフェノール(B)の製造)
合成実施例1:MGR216の合成
攪拌機、冷却管、及びビュレットを備えた内容積500mLの容器に、4,4’-ビフェノール東京化成社製試薬42.8g(230mmol)と、3,5-ジヨードサリチルアルデヒド(東京化成製試薬)21.5g(57.5mmol)と、γ-ブチロラクトン428mLとを仕込み、硫酸5.8g(58mmol)を加えて、反応液を調製した。この反応液を90℃で56時間攪拌して反応を行った。反応終了後、反応液に純水1Lを加え、水酸化ナトリウムで中和し、酢酸エチルにより抽出、濃縮し溶液を得た。得られた溶液を、カラムクロマトによる分離精製を行うことにより、下記式で表される目的化合物(MGR216)10gを得た。得られた化合物(MGR216)について、前記測定条件でNMR測定を行ったところ、以下のピークが見いだされ、下記式(MGR216)の化学構造を有することを確認した。
δ(ppm)9.4(4H、-O-H)、8.9(1H、-O-H)、6.2~7.8(16H、Ph-H)、6.3(1H、C-H)
【0193】
【0194】
合成実施例2:MGR216-MeBOCの合成
攪拌機、冷却管、及びビュレットを備えた内容積500mLの容器に、上記で得られた化合物(MGR216)9.0g(12.4mmol)とブロモ酢酸t-ブチル(アルドリッチ社製)13.5g(68mmol)、アセトン200mLを仕込み、炭酸カリウム(アルドリッチ社製)9.5g(68mmol)、及び18-クラウン-6 1.0gを加えて、内容物を還流下で3時間攪拌して反応を行い、反応液を得た。次に反応液を濃縮し、濃縮液に純水200gを加えて反応生成物を析出させ、室温まで冷却した後、ろ過を行って固形物を分離した。
得られた固形物を乾燥させて後、カラムクロマトによる分離精製を行って、下記式(MGR216-MeBOC)を1.5g得た。
得られた化合物(MGR216-MeBOC)について、前記測定条件でNMR測定を行ったところ、以下のピークが見いだされ、下記式(MGR216-MeBOC)の化学構造を有することを確認した。
δ(ppm)6.2~7.8(16H、Ph-H)、6.3(1H、C-H)、5.0(10H、O-CH2-C)、1.4(45H、O-C-CH3)
【0195】
【0196】
合成実施例3:X-27DHN4H35Iの合成
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積300mLの容器において、2,7-ナフタレンジオール(シグマ-アルドリッチ社製試薬)7.0g(40mmol)と4-ヒドロキシ-3,5-ジヨードベンズアルデヒド(東京化成工業社製試薬)7.5g(20mmol)とを100mLのγ―ブチロラクトンに仕込み、p-トルエンスルホン酸0.5gを加えて、内容物を90℃で23時間撹拌して反応を行って反応液を得た。次に反応液を純水1000gに加えたあと、酢酸エチルにより抽出、濃縮を行って溶液を得た。
得られた溶液を、カラムクロマトによる分離後、クロロホルム洗浄を行い、下記式(X-27DHN4H35I)で示される目的化合物が0.5g得られた。
得られた化合物(X-27DHN4H35I)について、前記測定条件で、NMR測定を行ったところ、以下のピークが見出され、下記式(X-27DHN4H35I)の化学構造を有することを確認した。
δ(ppm)9.6(1H,O-H)、9.2(2H,O-H)、6.8~7.8(12H,Ph-H)、5.3(1H,C-H)
【0197】
【0198】
合成実施例4:MGR216-BOCの合成
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積200mLの容器において、合成実施例1で得られた化合物(MGR216)9.1g(12.5mmol)とジ-t-ブチルジカーボネート(アルドリッチ社製)13.7g(62.8mmol)とをアセトン100mLに仕込み、炭酸カリウム(アルドリッチ社製)8.64g(62.5mmol)を加えて、内容物を20℃で6時間撹拌して反応を行って反応液を得た。次に反応液を濃縮し、濃縮液に純水100gを加えて反応生成物を析出させ、室温まで冷却した後、濾過を行って固形物を分離した。
得られた固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行うことで、下記式(MGR216-BOC)で示される目的化合物(MGR216-BOC)を1.2g得た。
得られた化合物(MGR216-BOC)について、前記方法により分子量を測定した結果、716であった。
得られた化合物(MGR216-BOC)について、前記測定条件で、NMR測定を行ったところ、以下のピークが見出され、下記式(MGR216-BOC)の化学構造を有することを確認した。
δ(ppm)6.2~7.8(16H、Ph-H)、6.3(1H、C-H)、1.4(45H、O-C-CH3)
【0199】
【0200】
合成実施例5:MGR216-ALの合成
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積1000mLの容器に、合成実施例1で得られた化合物(MGR216)9.1g(12.5mmol)、炭酸カリウム108g(810mmol)と、ジメチルホルムアミド200mLとを仕込み、アリルブロマイド200g(1.65mol)を加えて、反応液を110℃で24時間撹拌して反応を行った。つぎに、反応液を濃縮し、純水500gを加えて反応生成物を析出させ、室温まで冷却した後、濾過を行って分離した。得られた固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行うことにより、下記式で表される目的化合物(MGR216-AL)5.5gを得た。
得られた化合物について、前記測定条件でNMR測定を行ったところ、以下のピークが見出され、下記式(MGR216-AL)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d6-DMSO、内部標準TMS):δ(ppm)6.9~7.7(16H,Ph-H)、6.3(1H,C-H)、6.1(5H,-CH=CH2)、5.3~5.4(10H,-CH=CH2)、4.7(10H,-CH2-)
【0201】
【0202】
合成実施例6:MGR216-Acの合成
上述のアリルブロマイド200g(1.65mol)の代わりにアクリル酸119g(1.65mol)を用いたこと以外は、合成実施例5と同様にして、下記式で表される(MGR216-Ac)5.3gを得た。
得られた化合物について、前記測定条件でNMR測定を行ったところ、以下のピークが見出され、下記式(MGR216-Ac)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d6-DMSO、内部標準TMS):δ(ppm)7.1~7.9(16H,Ph-H)、6.2(5H,=C-H)、6.1(5H、-CH=C)、5.7(5H、=C-H)、5.3(1H,C-H)
【0203】
【0204】
合成実施例7:MGR216-Eaの合成
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mlの容器に合成実施例1で得られた化合物(MGR216)7.3g(10mmol)と、グリシジルメタクリレート9.2g、トリエチルアミン0.75g、及びp-メトキシフェノール0.08gとを70mlメチルイソブチルケトンに仕込み、80℃に加温して撹拌した状態で、24時間撹拌して反応を行った。
50℃まで冷却し、反応液を純水中に滴下して析出した固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトグラフによる分離精製を行い、下記式(MGR216-Ea)で表される目的化合物を2.0g得た。
得られた化合物について、400MHz-1H-NMRにより、下記式(MGR216-Ea)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d-DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)
7.0~7.9(16H,Ph-H)、6.4~6.5(10H,C=CH2)、5.5(1H,C-H)、5.8(5H,-OH)、4.7(5H、C-H)、4.0~4.4(20H,-CH2-)、2.0(15H,-CH3)
【0205】
【0206】
合成実施例8:MGR216-Uaの合成
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mLの容器に合成実施例1で得られた化合物(MGR216)7.3g(10mmol)と、2-イソシアナトエチルメタクリレート9.2g、トリエチルアミン0.75g、及びp-メトキシフェノール0.08gとを70mLメチルイソブチルケトンに仕込み、80℃に加温して撹拌した状態で、24時間撹拌して反応を行った。50℃まで冷却し、反応液を純水中に滴下して析出した固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行い、下記式(MGR216-Ua)で表される目的化合物が1.9g得られた。得られた化合物について、400MHz-1H-NMRにより、下記式(MGR216-Ua)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d-DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)
7.1~7.9(16H,Ph-H)、6.8(5H,-NH-)、6.4~6.5(10H,=CH2)、5.5(1H,C-H)、4.6(10H,-CH2-)、3.2(10H,-CH2-)、2.0(15H,-CH3)
【0207】
【0208】
合成実施例9:MGR216-Eの合成
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mLの容器に合成実施例1で得られた化合物(MGR216)7.3g(10mmol)と炭酸カリウム18.0g(130mmol)とを60mLジメチルホルムアミドに仕込み、酢酸-2-クロロエチル8.0g(65mmol)を加えて、反応液を90℃で12時間撹拌して反応を行った。つぎに反応液を氷浴で冷却し結晶を析出させ、濾過を行って分離した。続いて攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mLの容器に上述の結晶40g、メタノール40g、THF100g及び24%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、反応液を還流下で4時間撹拌して反応を行った。その後、氷浴で冷却し、反応液を濃縮し析出した固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行い、下記式(MGR216-E)で示される目的化合物が3.8g得られた。得られた化合物について、400MHz-1H-NMRにより下記式(MGR216-E)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d-DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)7.0~8.0(16H,Ph-H)、5.5(1H,C-H)、4.9(5H,-OH)、4.3(10H,-CH2-)、3.7(10H,-CH2-)
【0209】
【0210】
合成実施例10:MGR216-PXの合成
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積1000mLの容器に合成実施例1で得られた化合物(MGR216)72.5g(42mmol)と、ヨードアニソール78.6g、炭酸セシウム145.9g、ジメチルグリシム塩酸塩2.35g、及びヨウ化銅0.85gとを400mL1,4-ジオキサンに仕込み、95℃に加温して22時間撹拌して反応を行った。つぎに不溶分をろ別し、ろ液を濃縮し純水中に滴下して析出した固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行い、下記式(MGR216-M)で表される中間体化合物が25g得られた。
【0211】
【0212】
つぎに、攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積1000mLの容器に上述の式(MGR216-M)で表される化合物10.6gとピリジン塩酸塩80gを仕込み、190℃2時間撹拌して反応を行なった。つぎに温水160mLを追加し撹拌を行い、固体を析出させた。その後、酢酸エチル250mL、水100mLを加え撹拌、静置し、分液させた有機層を濃縮し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行い、下記式(MGR216-PX)で表される目的化合物が6g得られた。
得られた化合物について、400MHz-1H-NMRにより、下記式(MGR216-PX)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d-DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)9.5(4H,O-H)、7.0~7.9(36H,Ph-H)、5.5(1H,C-H)
【0213】
【0214】
合成実施例11:MGR216-PEの合成
上述の式(MGR216)で表される化合物の代わりに、上述の式(MGR216-E)で表される化合物を用いた以外、合成実施例10と同様に反応させ、下記式(MGR216-PE)で表される目的化合物が4g得られた。
得られた化合物について、400MHz-1H-NMRにより、下記式(MGR216-PE)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d-DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)9.1(5H,O-H)、6.6~8.0(36H,Ph-H)、5.5(1H,C-H)、4.3(10H,-CH2-)、3.1(10H,-CH2-)
【0215】
【0216】
合成実施例12:MGR216-Gの合成
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mlの容器に合成実施例1で得られた化合物(MGR216)6.1g(8.4mmol)と炭酸カリウム6.2g(45mmol)とを100mlジメチルホルムアミドに加えた液を仕込み、さらにエピクロルヒドリン4.1g(45mmol)を加えて、得られた反応液を90℃で6.5時間撹拌して反応を行なった。つぎに反応液から固形分をろ過で除去し、氷浴で冷却し、結晶を析出させ、濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行い、下記式(MGR216-G)で表される目的化合物が2.2g得られた。
得られた化合物(MGR216-G)について、上述の測定条件で、NMR測定を行ったところ、以下のピークが見出され、下記式(MGR216-G)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d-DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)6.9~8.0(16H,Ph-H)、5.5(C-H)、3.9~4.2(10H,-CH2-)、2.3~3.1(15H,-CH(CH2)O)
【0217】
【0218】
合成実施例13:MGR216-GEの合成
前記式(MGR216)で表される化合物の代わりに、前記式(MGR216-E)で表される化合物を用いた以外、合成実施例12と同様に反応させ、下記式(MGR216-GE)で表される目的化合物が1.5g得られた。
400MHz-1H-NMRにより、下記式(MGR216-GE)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d-DMSO、内部標準TMS)
δ(ppm)6.9~8.0(16H,Ph-H)、5.5(C-H)、3.3~4.3(30H,-CH2-)、2.3~2.8(15H,-CH(CH2)O)
【0219】
【0220】
合成実施例14:MGR216-SXの合成
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積100mlの容器に合成実施例1で得られた化合物(MGR216)6.1g(8.4mmol)とビニルベンジルクロライド(商品名CMS-P;セイミケミカル(株)製)6.4gとを50mlジメチルホルムアミドに仕込み、50℃に加温して撹拌した状態で、28質量%ナトリウムメトキシド(メタノール溶液)8.0gを滴下ロートより20分間かけて加えて、反応液を50℃で1時間撹拌して反応を行った。つぎに28質量%ナトリウムメトキシド(メタノール溶液)1.6gを加え、反応液を60℃加温して3時間撹拌し、さらに85質量%燐酸1.2gを加え、10分間撹拌した後、40℃まで冷却し、反応液を純水中に滴下して析出した固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行い、下記式(MGR216-SX)で表される目的化合物が2.1g得られた。
得られた化合物について、400mhz-1H-NMRにより、下記式(MGR216-SX)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d-DMSO、内部標準TMS)
Δ(ppm)7.0~7.9(36H,Ph-H)、5.1~5.8(21H、-CH2-、-C=CH、C-H)、6.7(5H,-C=CH)
【0221】
【0222】
合成実施例15:MGR216-SEの合成
前記式(MGR216)で表される化合物の代わりに、前記式(MGR216-E)で表される化合物を用いた以外、合成実施例16と同様に反応させ、下記式(MGR216-SE)で表される目的化合物が2.0g得られた。
得られた化合物について、400mhz-1H-NMRにより、下記式(MGR216-SE)の化学構造を有することを確認した。
1H-NMR:(d-DMSO、内部標準TMS)
Δ(ppm)7.0~8.0(36H、Ph-H)、6.7(5H、-CH=C)、5.8(5H、-C=CH)、5.5(1H、C-H)、5.3(5H、-C=CH)、4.8(10H、-CH2-)、4.3(10H、-CH2-)、3.8(10H、-CH2-)
【0223】
【0224】
合成実施例16:MGR216-Prの合成
攪拌機、冷却管及びビュレットを備えた内容積300mLの容器において、合成実施例1で得られた化合物(MGR216)6.1g(8.4mmol)とプロパギルブロミド7.9g(66mmol)とを100mLのジメチルホルムアミドに仕込み、室温で3時間撹拌して反応を行って反応液を得た。つぎに反応液を濃縮し、濃縮液に純水300gを加えて反応生成物を析出させ、室温まで冷却した後、濾過を行って固形物を分離した。
得られた固形物を濾過し、乾燥させた後、カラムクロマトによる分離精製を行うことで、下記式(MGR216-Pr)で表される目的化合物(MGR216-Pr)を6.0g得た。
得られた化合物(MGR216-Pr)について、上述の測定条件で、NMR測定を行ったところ、以下のピークが見出され、下記式(MGR216-Pr)の化学構造を有することを確認した。
δ(ppm):7.0~8.0(16H,Ph-H)、5.5(1H,C-H)、4.7(10H,-CH2-)、3.4(5H,≡CH)
【0225】
【0226】
前記合成実施例1~16、及び合成比較例1で得られた化合物について、前記方法により安全溶媒への溶解性を評価した結果を表1に示す。
【0227】
【0228】
[実施例1~20、比較例1]
下記表2に示す組成のリソグラフィー用組成物を各々調整した。次に、これらのリソグラフィー用組成物をシリコン基板上に回転塗布し、その後、110℃で90秒間ベークして、膜厚50nmのレジスト膜を各々作製した。酸発生剤、酸拡散制御剤、及び有機溶媒については次のものを用いた。
酸発生剤:みどり化学社製 トリフェニルスルホニウムノナフルオロメタンスルホナート(TPS-109)
酸拡散制御剤:関東化学製 トリ-n-オクチルアミン(TOA)
架橋剤:三和ケミカル製 ニカラックMW-100LM
有機溶媒:関東化学製 プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
【0229】
【0230】
まず、実施例1~20、及び比較例1の組成物をシリコン基板上に回転塗布し、その後、110℃で90秒間ベークして、膜厚50nmのレジスト膜を各々作製した。
次いで、各々前述の方法によって評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0231】
【0232】
上述のように、本実施形態の組成物は、良好な保存安定性と薄膜形成性を保持し、高感度で高エッチング耐性かつ良好なレジストパターン形状を付与できるレジスト組成物等に用いることができる。
そのため、リソグラフィー組成物及びパターン形成方法はこれらの性能が要求される各種用途において、広く且つ有効に利用可能である。
【0233】
本出願は、2018年8月24日に日本国特許庁へ出願された日本特許出願(特願2018-157622)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0234】
本発明の組成物は、レジスト用膜形成用途に用いられる組成物としての産業上利用可能性を有する。