(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】製袋包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20250310BHJP
B65B 9/207 20120101ALI20250310BHJP
B65B 51/14 20060101ALI20250310BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20250310BHJP
B65B 57/02 20060101ALI20250310BHJP
【FI】
B65B51/10 200
B65B9/207
B65B51/14
B65B57/00 H
B65B57/02 F
(21)【出願番号】P 2018174197
(22)【出願日】2018-09-18
【審査請求日】2021-08-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 涼
(72)【発明者】
【氏名】市川 誠
(72)【発明者】
【氏名】橋本 哲
(72)【発明者】
【氏名】長島 良太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘樹
【合議体】
【審判長】神山 茂樹
【審判官】岩谷 一臣
【審判官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-36257(JP,A)
【文献】特開2005-41559(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横シール動作を行うシールジョーと、
前記シールジョーを水平方向に移動させる水平移動装置と、
前記シールジョーを鉛直方向に移動させる鉛直移動装置と、
制御部と、
を備え、
前記鉛直移動装置が、
正回転及び逆回転が可能な回転軸と、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記回転軸の回転力を前記シールジョーに伝えるリンク機構と、
を有し、
前記制御部が、
1回の横シール動作の開始から次の横シール動作の開始までの間に、前記回転軸を正回転及び逆回転させる第1制御、又は、
1回の横シール動作と次の横シール動作との一方を前記回転軸の正回転、他方を前記回転軸の逆回転で行わせる第2制御、
を行うように構成されており、
前記リンク機構は、
第1リンクと、
第2リンクと、
を有し、
前記第1リンクは、第1リンク長を有し、前記回転軸に連結される第1リンク第1端、及び、前記第2リンクに連結される第1リンク第2端を有し、
前記第2リンクは、前記第1リンクに連結される第2リンク第1端、及び、前記シールジョー又は前記シールジョーを支持する支持体に連結される第2リンク第2端を有し、
前記第1リンク第2端は、上死点、下死点、前記上死点と前記下死点を繋ぐ第1半円、前記第1半円とは反対側の第2半円を含む、半径が前記第1リンク長である円上の部分を動き、
前記制御部は、前記第1制御及び前記第2制御のいずれかを、選択的に行
い、
前記制御部は、前記第2制御を行う場合、
前記横シール動作の開始における前記第1リンク第2端を、前記上死点に位置することなく、前記上死点よりも下に位置させ、
前記横シール動作の終了時に前記第1リンク第2端を、前記第1半円又は前記第2半円の一方に位置させ、その後、前記下死点を通過させて、前記第1半円又は前記第2半円の他方へ移動させ、
前記シールジョーを、前記横シール動作の終了時における位置から下方に移動させながら互いに離間させる、
製袋包装機。
【請求項2】
前記横シール動作の終了における前記第1リンク第2端は、前記下死点に位置することなく、前記下死点よりも上に位置する、
請求項
1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記横シール動作の終了における前記第1リンク第2端は、前記下死点より、30°の回転角に相当する分以上、上に位置する、
請求項
1又は請求項2に記載の製袋包装機。
【請求項4】
前記横シール動作の開始における前記第1リンク第2端は、前記上死点より、30°の回転角に相当する分以上、下に位置する、
請求項
1から
3のいずれか1項に記載の製袋包装機。
【請求項5】
前記横シール動作の終了後、前記シールジョーは、少なくとも1度、下方に移動する、請求項1から
4のいずれか1項に記載の製袋包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2003-160102号公報)に開示される製袋包装機は、横シール動作を行うシールジョーを有する。シールジョーは、包装用のフィルムの搬送方向である上下方向に移動することができる。シールジョーを上下に動かす機構は、一方向に回転するサーボモータと、その回転力を上下往復運動に変換してシールジョーへ伝達するリンク機構を含んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
サーボモータを正逆両方向に回転させることについては、特許文献1には記載がない。
【0004】
本開示の課題は、製袋包装機において、モータの両方向の回転を駆使することにより、製袋包装機が実行する動作の自由度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点に係る製袋包装機は、シールジョーと、水平移動装置と、鉛直移動装置と、制御部と、を備える。シールジョーは、横シール動作を行う。水平移動装置は、シールジョーを水平方向に移動させる。鉛直移動装置は、シールジョーを鉛直方向に移動させる。鉛直移動装置は、回転軸と、モータと、リンク機構と、を有する。回転軸は、正回転及び逆回転が可能である。モータは、回転軸を回転させる。リンク機構は、回転軸の回転力をシールジョーに伝える。制御部が、第1制御、又は、第2制御、を行う。第1制御は、1回の横シール動作の開始から次の横シール動作の開始までの間に、回転軸を正回転及び逆回転させる。第2制御は、1回の横シール動作と次の横シール動作との一方を回転軸の正回転、他方を回転軸の逆回転で行わせる。
【0006】
この構成によれば、制御部は第1制御と第2制御を行うことができる。したがって、製袋包装機が実行する動作の自由度が大きい。
【0007】
第2観点に係る製袋包装機は、第1観点に係る製袋包装機において、リンク機構は、第1リンクと、第2リンクと、を有する。第1リンクは、第1リンク長を有し、回転軸に連結される第1リンク第1端、及び、第2リンクに連結される第1リンク第2端を有する。第2リンクは、第1リンクに連結される第2リンク第1端、及び、シールジョー又はシールジョーを支持する支持体に連結される第2リンク第2端を有する。第1リンク第2端は、上死点、下死点、上死点と下死点を繋ぐ第1半円、第1半円とは反対側の第2半円を含む、半径が第1リンク長である円上の部分を動く。
【0008】
この構成によれば、リンク機構は、第1リンクと第2リンクを有する。したがって、第1リンクと第2リンクにより、回転軸の回転力をシールジョーに伝達することができる。
【0009】
第3観点に係る製袋包装機は、第2観点に係る製袋包装機において、横シール動作の終了における第1リンク第2端は、下死点に位置することなく、下死点よりも上に位置する。この構成によれば、横シール動作の終了において、第1リンク第2端は、下死点に位置しない。したがって、横シール動作の次の動作を円滑に開始することができる。
【0010】
第4観点に係る製袋包装機は、第2観点又は第3観点に係る製袋包装機において、横シール動作の開始における第1リンク第2端は、上死点に位置することなく、上死点よりも下に位置する。
【0011】
この構成によれば、横シール動作の開始において、第1リンク第2端は、上死点に位置しない。したがって、横シール動作を円滑に開始することができる。
【0012】
第5観点に係る製袋包装機は、第2観点から第4観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、横シール動作の終了における第1リンク第2端は、下死点より、30°の回転角に相当する分以上、上に位置する。
【0013】
この構成によれば、横シール動作の開始において、第1リンク第2端は、30°の回転角に相当する分以上、下死点より上に位置する。したがって、横シール動作の終了時にさらにシールジョーが下方へ動くことができるので、搬送されるフィルムの詰まりを抑制できる。
【0014】
第6観点に係る製袋包装機は、第2観点から第5観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、横シール動作の開始における第1リンク第2端は、上死点より、30°の回転角に相当する分以上、下に位置する。
【0015】
この構成によれば、横シール動作の開始において、第1リンク第2端は、30°の回転角に相当する分以上、上死点より下に位置する。したがって、シールジョーがしごき動作を行うための鉛直方向の速度が確保できる。
【0016】
第7観点に係る製袋包装機は、第2観点から第6観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、制御部は第2制御を行う。横シール動作の終了時に第1リンク第2端は、第1半円又は第2半円の一方に位置し、その後、下死点を通過して、第1半円又は第2半円の他方へ移動する。
【0017】
この構成によれば、横シール動作2回につき、回転軸の正回転と逆回転がそれぞれ1回ずつ実行される。したがって、正回転と逆回転の切り換えの頻度が少ないので、横シール動作を迅速に行うことができる。
【0018】
第8観点に係る製袋包装機は、第1観点から第7観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、横シール動作の終了後、シールジョーは、少なくとも1度、下方に移動する。
【0019】
この構成によれば、第1リンク第2端が横シール動作の終了後に下方に移動する。したがって、搬送されるフィルムの詰まりを抑制できる。
【0020】
第9観点に係る製袋包装機は、第1観点から第8観点のいずれか1つに係る製袋包装機において、制御部は、第1制御及び第2制御のいずれかを、選択的に行う。
【0021】
この構成によれば、制御部は第1制御及び第2制御のどちらをも実行可能である。したがって、制御の自由度が上がる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の製袋包装機によれば、製袋包装機が実行する動作の自由度が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図5】第1シールジョー56及び第2シールジョー57の1サイクルの動作を示す模式図である。
【
図7】鉛直リンク機構90の第1リンク91の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0025】
(1)全体構成
図1は、製袋包装機10の全体構成である。製袋包装機10は、フィルムFから袋Wを作り、その中に物品Aを入れることによって物品Aを包装する。製袋包装機10は、フィルムロール支持部11、フォーマ12、プルダウンベルト13、縦シール装置14、横シール装置15、及び制御部16を有する。
【0026】
(2)詳細構成
(2-1)フィルムロール支持部11
フィルムロール支持部11は、フィルムロールFRを支持する。フィルムロール支持部11から引き出されたフィルムFは、複数のローラを経由して、フォーマ12へ向かう。
【0027】
(2-2)フォーマ12
フォーマ12は、フィルムFを曲げて、フィルムFの2つの縦辺を重ねることにより、フィルムFを筒状にする。フォーマ12は、チューブ21とセーラ22を有する。チューブ21は、物品Aの案内路としても機能する。セーラ22は、フィルムFを湾曲させながら、セーラ22とチューブ21の間にフィルムFを案内する。
【0028】
(2-3)プルダウンベルト13
プルダウンベルト13は、図示しないモータによって駆動されることにより、筒状のフィルムFをチューブ21に沿って下方へ搬送する。
【0029】
(2-4)縦シール装置14
縦シール装置14は、フィルムFの搬送方向に延びる平行な2辺を固着させて、フィルム筒FTを作る。縦シール装置14は、チューブ21の上で重なり合ったフィルムFの2辺を押圧しながら加熱する。縦シール装置14は、例えば、ヒータ及びヒータベルトを有する。
【0030】
(2-5)横シール装置15
横シール装置15は、フィルム筒FTの対向する2面を固着させて、袋Wを作る。横シール装置15は、第1シールジョー56及び第2シールジョー57を有する。第1シールジョー56及び第2シールジョー57は互いに接近又は離間するように、それぞれ水平方向Hに移動できる。加えて、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、鉛直方向Vにも移動できる。
【0031】
(2-6)制御部16
制御部16は、プルダウンベルト13のモータ、縦シール装置14、横シール装置15、その他のアクチュエータ等を制御するとともに、各種センサからの信号を処理する。制御部16は、例えばプロセッサからなる。
【0032】
(3)横シール装置15の詳細構成
図2は、横シール装置15の詳細構成を示す。横シール装置15は、架台51、水平移動枠52、摺動部材53、水平移動装置54、鉛直移動装置55、第1シールジョー56、第2シールジョー57を有する。
【0033】
(3-1)架台51
図2に示す架台51は、第1サイドフレーム61、第2サイドフレーム62、第1連結部材63、第2連結部材64、複数のガイド65を有する。第1連結部材63及び第2連結部材64は、いずれも、第1サイドフレーム61及び第2サイドフレーム62を連結する。各ガイド65は、第1サイドフレーム61又は第2サイドフレーム62に固定されている。
【0034】
(3-2)水平移動枠52
水平移動枠52は、四角形の形状を有する。水平移動枠52は、架台51に対して水平方向Hに移動可能である。水平移動枠52は、第1摺動ロッド71、第2摺動ロッド72、第1ベース部材73、第2ベース部材74を有する。第1摺動ロッド71は、第1サイドフレーム61に沿うように配置されている。第2摺動ロッド72は、第2サイドフレーム62に沿うように配置されている。第1摺動ロッド71及び第2摺動ロッド72の両端には、それぞれ、第1ベース部材73と第2ベース部材74が固定されている。第1摺動ロッド71及び第2摺動ロッド72は、架台51の複数のガイド65によって、摺動可能に支持されている。
【0035】
(3-3)摺動部材53
摺動部材53は、第1摺動ロッド71及び第2摺動ロッド72の間に架け渡されている。摺動部材53の両端にはスライダ75が設けられている。スライダ75は、第1摺動ロッド71及び第2摺動ロッド72に対して水平方向Hにスライドすることができる。
【0036】
(3-4)水平移動装置54
水平移動装置54は、水平移動モータ58、水平リンク機構80を有する。
【0037】
水平移動モータ58は、第1シールジョー56及び第2シールジョー57を水平方向Hに移動させる動力を発生する。水平移動モータ58は正方向及び逆方向のいずれにも回転できる。
【0038】
水平リンク機構80は、水平移動モータ58の動力を、水平移動枠52及び摺動部材53に伝達する。
図2に示すように、水平リンク機構80は、第1リンク81、第2リンク82、第3リンク83を有する。第1リンク81の中央には、回転軸58aが固定されている。回転軸58aは、水平移動モータ58によって回転させられる。回転軸58aは、正方向及び逆方向のいずれにも回転できる。回転軸58aは、水平移動モータ58のロータに直結した軸であってもよい。あるいは、回転軸58aは、水平移動モータ58に取り付けられたギアボックス又はベルトによって回転させられる軸であってもよい。回転軸58aの回転に伴って、第1リンク81も回転する。第1リンク81の両端部には、それぞれ、第2リンク82、及び第3リンク83が、回転可能に連結されている。第2リンク82は、第2ベース部材74と連結されている。第3リンク83は、摺動部材53に連結されている。
【0039】
(3-5)第1シールジョー56、第2シールジョー57
第1シールジョー56は、水平移動枠52の第1ベース部材73に設置されている。第2シールジョー57は、摺動部材53に設置されている。第1シールジョー56及び第2シールジョー57には、図示しないヒータが設けられている。さらに、第1シールジョー56及び第2シールジョー57の少なくとも一方には、図示しない可動ナイフが設けられている。
【0040】
図2において、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、互いに接近した位置にある。回転軸58aが所定の角度だけ回転すると、水平リンク機構80は
図3に示す配置となる。
図3において、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、互いに離間した位置にある。
図3の状態において、回転軸58aが逆方向に回転すると、水平リンク機構80は
図2に示す配置に戻る。
【0041】
(3-6)鉛直移動装置55
図4に示す鉛直移動装置55は、鉛直移動モータ59、鉛直リンク機構90を有する。
【0042】
鉛直移動モータ59は、第1シールジョー56及び第2シールジョー57を鉛直方向Vに移動させるための動力を発生する。鉛直移動モータ59は正方向及び逆方向のいずれにも回転できる。
【0043】
鉛直リンク機構90は、鉛直移動モータ59の動力を架台51へ伝達する。鉛直リンク機構90は、第1リンク91、第2リンク92を有する。第1リンク91の一端には、回転軸59aが固定されている。回転軸59aは、鉛直移動モータ59によって回転させられる。回転軸59aは、正方向及び逆方向のいずれにも回転できる。回転軸59aは、鉛直移動モータ59のロータに直結した軸であってもよい。あるいは、回転軸59aは、鉛直移動モータ59に取り付けられたギアボックス又はベルトによって回転させられる軸であってもよい。回転軸59aの回転に伴って、第1リンク91も回転する。第1リンク91の他端には、第2リンク92が回転可能に連結されている。第2リンク92は、架台51の第1サイドフレーム61又は第2サイドフレーム62と連結されている。回転軸59aが回転すると、架台51は鉛直方向Vに移動し、ひいては、第1シールジョー56及び第2シールジョー57が上下に移動する。
【0044】
(4)第1シールジョー56及び第2シールジョー57の動作
図5は、第1シールジョー56及び第2シールジョー57の動作を示す。横シール動作が行われる周期をサイクルと呼ぶ。1つのサイクルは4つのフェーズ、すなわち、第1フェーズ~第4フェーズからなる。
【0045】
第1フェーズの開始時、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は互いに離間している。第1フェーズにおいて、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は互いに接近するように水平方向Hに移動する。第1シールジョー56及び第2シールジョー57がフィルム筒FTを押圧し始めたとき、第1フェーズが終了する。
【0046】
第2フェーズの開始時に、第1シールジョー56及び第2シールジョー57がフィルム筒FTを押圧する。これは、横シール動作の開始を意味する。次いで、第1シールジョー56及び第2シールジョー57はフィルム筒FTの搬送速度よりも速く、鉛直方向Vの下方へ所定距離だけ移動することによって、フィルム筒FTをしごく。次いで、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は熱をフィルム筒FTに加えることによって、袋Wの横シール部を作る。次いで、第1シールジョー56又は第2シールジョーに設けられたナイフが、横シール部を切断する。横シール部の切断は、横シール動作の終了を意味する。これとともに、第2フェーズも終了する。なお、横シール動作の間、フィルム筒FTの搬送を停止してもよい。
【0047】
第3フェーズにおいて、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、少なくとも、互いに離間するように水平方向Hに移動する。第1シールジョー56及び第2シールジョー57の離間距離が最大になると、第3フェーズが終了する。
【0048】
第4フェーズにおいて、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、鉛直方向Vの上方へ所定距離だけ移動する。上方への移動が終わると、第4フェーズが終了する。
【0049】
(5)鉛直リンク機構90の動作
図6は、鉛直リンク機構90の模式図である。第1リンク91の長さは第1リンク長rである。第1リンク91は、第1リンク第1端91a及び第1リンク第2端91bを有する。第2リンク92は、第2リンク第1端92a及び第2リンク第2端92bを有する。第1リンク第1端91aは、回転軸59aに固定されている。第1リンク第2端91bは、第2リンク第1端92aと連結されている。第2リンク第2端92bは、架台51に連結されている。回転軸59aの回転により、架台51は鉛直方向Vに移動する。
【0050】
図7は、鉛直リンク機構90の第1リンク91の模式図である。回転軸59aが正方向又は逆方向に回転することによって、第1リンク91は正方向R又は逆方向-Rに回転することができる。
図7に示した第1リンク91の角度θは、第1リンクの回転の度合いを示す。第1リンク91が正方向Rに回転するとき、角度θは増加する。第1リンク第2端91bの軌跡Pは、半径が第1リンク長rである円形になる。0°の角度θは上死点Tに相当する。180°の角度θは下死点Bに相当する。円形の軌跡のうち、0°以上かつ180°未満の角度θに相当する領域を第1半円h1という。円形の軌跡Pのうち、180°以上かつ360°未満の角度θに相当する領域を第2半円h2という。
【0051】
(6)第1制御と第2制御
制御部16は、以下に説明する第1制御と第2制御のいずれかを選択的に実施する。
【0052】
(6-1)第1制御
第1制御とは、1回の横シール動作の開始から次の横シール動作の開始までの間(すなわち、1サイクルの間)に、回転軸59aを正回転及び逆回転させる制御である。
図8は、2サイクル分における第1制御による第1リンク91の動作を示す模式図である。
【0053】
第1サイクルの第1フェーズの開始時、第1リンク第2端91bは第1半円h1にある。第1リンク91の角度θは初期値θ0に設定されている。初期値θ0は、少なくとも0°を越え、第1リンク第2端91bは上死点Tより下である。初期値θ0は、例えば30°以上かつ90°以下である。すなわち、横シール動作の開始における第1リンク第2端91bは、上死点Tより、30°の回転角に相当する分以上、下に位置する。
【0054】
第1サイクルの第2フェーズにおいて、第1リンク91は正方向Rに回転し、角度θが値θ1に達する。値θ1は、少なくとも180°未満であり、第1リンク第2端91bは下死点Bより上である。値θ1は、例えば135°以上かつ150°以下である。すなわち、横シール動作の終了における第1リンク第2端91bは、下死点Bより、30°の回転角に相当する分以上、上に位置する。
【0055】
第1サイクルの第3フェーズにおいて、第1リンク91は停止する。このとき、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、互いに離間していく。あるいは、第1リンク91は、停止する代わりに、さらにわずかに正方向Rに回転する。このとき、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、フィルム筒FTの搬送方向、すなわち下方に移動しながら、互いに離間していく。
【0056】
第1サイクルの第4フェーズにおいて、第1リンク91は逆方向-Rに回転する。
【0057】
以上の通り、第1制御においては、1サイクルの間の動作は、回転軸59aの正方向Rの回転、及び逆方向-Rの回転の両方を含む。
【0058】
第2サイクルにおいて、第1リンク91は、第1サイクルと全く同様に動作する。
【0059】
(6-2)第2制御
第2制御とは、1回の横シール動作と次の横シール動作との一方を回転軸59aの正回転、他方を回転軸59aの逆回転で行わせる制御である。
図9は、2サイクル分における第2制御による第1リンク91の動作を示す模式図である。
【0060】
第1サイクルの第1フェーズの開始時、第1リンク第2端91bは第1半円h1にある。第1リンク91の角度θは初期値θ0に設定されている。初期値θ0は、少なくとも0°を越え、第1リンク第2端91bは上死点Tより下である。初期値θ0は、例えば30°以上かつ90°以下である。すなわち、横シール動作の開始における第1リンク第2端91bは、上死点Tより、30°の回転角に相当する分以上、下に位置する。
【0061】
第1サイクルの第2フェーズにおいて、第1リンク91は正方向Rに回転し、角度θが値θ1に達する。値θ1は、少なくとも180°未満であり、第1リンク第2端91bは下死点Bより上である。値θ1は、例えば135°以上かつ150°以下である。すなわち、横シール動作の終了における第1リンク第2端91bは、下死点Bより、30°の回転角に相当する分以上、上に位置する。
【0062】
第1サイクルの第3フェーズにおいて、第1リンク91はさらに正方向Rに回転する。このとき、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、フィルム筒FTの搬送方向、すなわち下方に移動しながら、互いに離間していく。
【0063】
第1サイクルの第4フェーズにおいて、第1リンク第2端91bは第2半円h2へ移る。第1リンク91は、さらに正方向Rに回転する。
【0064】
第2サイクルの第1フェーズの開始時、第1リンク第2端91bは第2半円h2にある。第1リンク91の角度θは初期値θ2に設定されている。初期値θ2は、少なくとも360°未満であり、第1リンク第2端91bは上死点Tより下である。初期値θ2は、例えば270°以上かつ330°以下である。すなわち、横シール動作の開始における第1リンク第2端91bは、上死点Tより、30°の回転角に相当する分以上、下に位置する。
【0065】
第1サイクルの第2フェーズにおいて、第1リンク91は逆方向-Rに回転し、角度θが値θ3に達する。値θ3は、少なくとも180°を越え、第1リンク第2端91bは下死点Bより上である。値θ3は、例えば210°以上かつ225°以下である。すなわち、横シール動作の終了における第1リンク第2端91bは、下死点Bより、30°の回転角に相当する分以上、上に位置する。
【0066】
第2サイクルの第3フェーズにおいて、第1リンク91はさらに逆方向-Rに回転する。このとき、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、フィルム筒FTの搬送方向、すなわち下方に移動しながら、互いに離間していく。
【0067】
第1サイクルの第4フェーズにおいて、第1リンク第2端91bは第1半円h1へ移る。第1リンク91は、さらに逆方向-Rに回転する。
【0068】
以上の通り、第2制御においては、回転軸59aの正方向Rの回転による横シール動作と、回転軸59aの逆方向-Rの回転による横シール動作が、交互に行われる。
【0069】
(7)特徴
(7-1)
制御部16は第1制御と第2制御を行うことができる。したがって、製袋包装機10が実行する動作の自由度が大きい。
【0070】
(7-2)
鉛直リンク機構90は、第1リンク91と第2リンク92を有する。したがって、第1リンク91と第2リンク92により、回転軸59aの回転力を第1シールジョー56及び第2シールジョー57に伝達することができる。
【0071】
(7-3)
横シール動作の終了において、第1リンク第2端91bは、下死点Bに位置しない。したがって、横シール動作の次の動作を円滑に開始することができる。
【0072】
(7-4)
横シール動作の開始において、第1リンク第2端91bは、上死点Tに位置しない。したがって、横シール動作を円滑に開始することができる。
【0073】
(7-5)
横シール動作の開始において、第1リンク第2端91bは、30°の回転角に相当する分以上、下死点Bより上に位置する。したがって、横シール動作の終了時にさらに第1シールジョー56及び第2シールジョー57が下方へ動くことができるので、搬送されるフィルムFの詰まりを抑制できる。
【0074】
(7-6)
横シール動作の開始において、第1リンク第2端91bは、30°の回転角に相当する分以上、上死点Tより下に位置する。したがって、第1シールジョー56及び第2シールジョー57がしごき動作を行うための鉛直方向の速度が確保できる。
【0075】
(7-7)
横シール動作2回につき、回転軸59aの正回転と逆回転がそれぞれ1回ずつ実行される。したがって、正回転と逆回転の切り換えの頻度が少ないので、横シール動作を迅速に行うことができる。
【0076】
(7-8)
第1リンク第2端91bが横シール動作の終了後に下方に移動する。したがって、搬送されるフィルムFの詰まりを抑制できる。
【0077】
(7-9)
この構成によれば、制御部は第1制御及び第2制御のどちらをも実行可能である。したがって、制御の自由度が上がる。
【符号の説明】
【0078】
10 :製袋包装機
15 :横シール装置
16 :制御部
51 :架台
56 :第1シールジョー
57 :第2シールジョー
58 :水平移動モータ
58a :回転軸
59 :鉛直移動モータ
59a :回転軸
80 :水平リンク機構
81 :第1リンク
82 :第2リンク
83 :第3リンク
90 :鉛直リンク機構
91 :第1リンク
91a :第1リンク第1端
91b :第1リンク第2端
92 :第2リンク
92a :第2リンク第1端
92b :第2リンク第2端
B :下死点
F :フィルム
FT :フィルム筒
H :水平方向
T :上死点
V :鉛直方向
W :袋
h1 :第1半円
h2 :第2半円
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】