(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】位置情報表示装置、方法およびプログラム、並びに放射線画像撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/12 20060101AFI20250310BHJP
A61B 6/02 20060101ALI20250310BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20250310BHJP
【FI】
A61B6/12
A61B6/02 351M
G06T7/70 A
(21)【出願番号】P 2019060369
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-01-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜渦 紳
【合議体】
【審判長】南 宏輔
【審判官】宮澤 浩
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-70259(JP,A)
【文献】特開2009-34494(JP,A)
【文献】特開2009-66396(JP,A)
【文献】特開2017-185007号公報(JP,A)
【文献】特開2014-102746号公報(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0257551(US,A1)
【文献】米国特許第9510771(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を正面の方向および前記正面の方向と直交する側面の方向から撮影することにより取得された2つの放射線画像を用いて、前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する第1の位置情報導出部と、
予め定められた間隔により並べられて配置された複数の放射線源を切り換えて
前記被検体に予め定められた時間間隔で放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を、1つの検出部により検出することにより生成された前記被検体内の目標構造物を含む複数の放射線画像からなる放射線画像の組を取得する画像取得部と、
前記複数の放射線画像のうちの前記
並べられて配置された前記複数の放射線源の少なくとも2つを用いて取得した少なくとも2つの放射線画像から、前記被検体内に挿入された手術器具上の点である共通の特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの共通の特徴点を検出する特徴点検出部と、
前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記少なくとも1つの共通の特徴点の前記検出部の検出面上におけるそれぞれの位置と、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像の取得に用いた放射線源のそれぞれの位置との位置関係を用いて、前記被検体内の前記少なくとも1つの共通の特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する第2の位置情報導出部と、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記目標点と前記特徴点との位置関係を
前記目標点と前記特徴点との共通の座標系上で表す位置情報画面を表示部に表示する表示制御部とを備え
、
前記目標構造物は前記被検体の血管に挿入されたステントであり、前記目標点は前記ステントの端部の中心位置であり、前記挿入構造物は前記ステントを広げるためのガイドワイヤであり、前記特徴点は前記ガイドワイヤの先端であり、
前記位置情報画面は放射線画像表示領域および位置情報表示領域を有し、
前記放射線画像表示領域には、前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像のうちの1つの放射線画像が表示され、
前記位置情報表示領域には、前記1つの放射線画像の撮影方向とは異なる方向からの撮影に対応する前記目標構造物を模式的に表す画像、および前記特徴点を表すマークが、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づく位置関係により表示される、位置情報表示装置。
【請求項2】
被検体を3次元撮影装置により撮影することにより取得された3次元画像を用いて、前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する第1の位置情報導出部と、
予め定められた間隔により並べられて配置された複数の放射線源を切り換えて
前記被検体に予め定められた時間間隔で放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を、1つの検出部により検出することにより生成された前記被検体内の目標構造物を含む複数の放射線画像からなる放射線画像の組を取得する画像取得部と、
前記複数の放射線画像のうちの前記
並べられて配置された前記複数の放射線源の少なくとも2つを用いて取得した少なくとも2つの放射線画像から、前記被検体内に挿入された手術器具上の点である共通の特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの共通の特徴点を検出する特徴点検出部と、
前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記少なくとも1つの共通の特徴点の前記検出部の検出面上におけるそれぞれの位置と、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像の取得に用いた放射線源のそれぞれの位置との位置関係を用いて、前記被検体内の前記少なくとも1つの共通の特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する第2の位置情報導出部と、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記目標点と前記特徴点との位置関係を
前記目標点と前記特徴点との共通の座標系上で表す位置情報画面を表示部に表示する表示制御部とを備え
、
前記目標構造物は前記被検体の腰椎であり、前記目標点は前記腰椎に挿入されるスクリューの刺入位置および到達位置の少なくとも一方であり、前記挿入構造物は前記スクリューであり、前記特徴点は前記スクリューの先端および後端の少なくとも一方であり、
前記位置情報画面は放射線画像表示領域および位置情報表示領域を有し、
前記放射線画像表示領域には、
前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像の
うちの1つの放射線画像が表示され、
前記位置情報表示領域には、前記1つの放射線画像の撮影方向とは異なる方向からの撮影に対応する前記目標構造物の断層画像、前記目標点を表すマークおよび前記特徴点を表すマークが、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づく位置関係により表示される、位置情報表示装置。
【請求項3】
前記特徴点が前記目標点へ到達したことを通知する通知部をさらに備えた請求項1
または2に記載の位置情報表示装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記特徴点が前記目標点から予め定められた距離または角度外れた場合に、警告を行う請求項
3に記載の位置情報表示装置。
【請求項5】
予め定められた間隔により
並べられて配置された複数の放射線源と、
前記複数の放射線源に対向して配置され、前記複数の放射線源のそれぞれから発せられて被検体を透過した放射線を検出することにより、前記被検体の放射線画像を生成する検出部と、
前記複数の放射線源のそれぞれからの放射線の出射のタイミングおよび前記検出部による前記被検体を透過した放射線の検出のタイミングを制御して、前記複数の放射線源から前記被検体に予め定められた時間間隔で放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を前記検出部によって検出することにより、
前記被検体内の目標構造物を含む複数の放射線画像からなる放射線画像の組を予め定められた時間間隔で生成する撮影制御部と、
前記被検体を正面の方向および前記正面の方向と直交する側面の方向から撮影することにより取得された2つの放射線画像を用いて、前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する第1の位置情報導出部と、
前記撮影制御部により生成された前記放射線画像の組を取得する画像取得部と、
前記複数の放射線画像のうちの前記並べられて配置された前記複数の放射線源の少なくとも2つを用いて取得した少なくとも2つの放射線画像から、前記被検体内に挿入された手術器具上の点である共通の特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの共通の特徴点を検出する特徴点検出部と、
前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記少なくとも1つの共通の特徴点の前記検出部の検出面上におけるそれぞれの位置と、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像の取得に用いた放射線源のそれぞれの位置との位置関係を用いて、前記被検体内の前記少なくとも1つの共通の特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する第2の位置情報導出部と、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記目標点と前記特徴点との位置関係を前記目標点と前記特徴点との共通の座標系上で表す位置情報画面を表示部に表示する表示制御部とを備え
、
前記目標構造物は前記被検体の血管に挿入されたステントであり、前記目標点は前記ステントの端部の中心位置であり、前記挿入構造物は前記ステントを広げるためのガイドワイヤであり、前記特徴点は前記ガイドワイヤの先端であり、
前記位置情報画面は放射線画像表示領域および位置情報表示領域を有し、
前記放射線画像表示領域には、前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像のうちの1つの放射線画像が表示され、
前記位置情報表示領域には、前記1つの放射線画像の撮影方向とは異なる方向からの撮影に対応する前記目標構造物を模式的に表す画像、および前記特徴点を表すマークが、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づく位置関係により表示される、放射線画像撮影装置。
【請求項6】
予め定められた間隔により
並べられて配置された複数の放射線源と、
前記複数の放射線源に対向して配置され、前記複数の放射線源のそれぞれから発せられて被検体を透過した放射線を検出することにより、前記被検体の放射線画像を生成する検出部と、
前記複数の放射線源のそれぞれからの放射線の出射のタイミングおよび前記検出部による前記被検体を透過した放射線の検出のタイミングを制御して、前記複数の放射線源から前記被検体に予め定められた時間間隔で放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を前記検出部によって検出することにより、
前記被検体内の目標構造物を含む複数の放射線画像からなる放射線画像の組を予め定められた時間間隔で生成する撮影制御部と、
前記被検体を3次元撮影装置により撮影することにより取得された3次元画像を用いて、前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する第1の位置情報導出部と、
前記撮影制御部により生成された前記放射線画像の組を取得する画像取得部と、
前記複数の放射線画像のうちの前記並べられて配置された前記複数の放射線源の少なくとも2つを用いて取得した少なくとも2つの放射線画像から、前記被検体内に挿入された手術器具上の点である共通の特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの共通の特徴点を検出する特徴点検出部と、
前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記少なくとも1つの共通の特徴点の前記検出部の検出面上におけるそれぞれの位置と、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像の取得に用いた放射線源のそれぞれの位置との位置関係を用いて、前記被検体内の前記少なくとも1つの共通の特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する第2の位置情報導出部と、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記目標点と前記特徴点との位置関係を前記目標点と前記特徴点との共通の座標系上で表す位置情報画面を表示部に表示する表示制御部とを備え
、
前記目標構造物は前記被検体の腰椎であり、前記目標点は前記腰椎に挿入されるスクリューの刺入位置および到達位置の少なくとも一方であり、前記挿入構造物は前記スクリューであり、前記特徴点は前記スクリューの先端および後端の少なくとも一方であり、
前記位置情報画面は放射線画像表示領域および位置情報表示領域を有し、
前記放射線画像表示領域には、前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像のうちの1つの放射線画像が表示され、
前記位置情報表示領域には、前記1つの放射線画像の撮影方向とは異なる方向からの撮影に対応する前記目標構造物の断層画像、前記目標点を表すマークおよび前記特徴点を表すマークが、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づく位置関係により表示される、放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記放射線源は2つである請求項
5または6に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
コンピュータが、
被検体を正面の方向および前記正面の方向と直交する側面の方向から撮影することにより取得された2つの放射線画像を用いて、前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する導出工程と、
予め定められた間隔により並べられて配置された複数の放射線源を切り換えて
前記被検体に予め定められた時間間隔で放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を、1つの検出部により検出することにより生成された前記被検体内の目標構造物を含む複数の放射線画像からなる放射線画像の組を取得する取得工程と、
前記複数の放射線画像のうちの前記
並べられて配置された前記複数の放射線源の少なくとも2つを用いて取得した少なくとも2つの放射線画像から、前記被検体内に挿入された手術器具上の点である共通の特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの共通の特徴点を検出する検出工程と、
前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記少なくとも1つの共通の特徴点の前記検出部の検出面上におけるそれぞれの位置と、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像の取得に用いた放射線源のそれぞれの位置との位置関係を用いて、前記被検体内の前記少なくとも1つの共通の特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する導出工程と、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記目標点と前記特徴点との位置関係を
前記目標点と前記特徴点との共通の座標系上で表す位置情報画面を表示部に表示する表示工程とを有
し、
前記目標構造物は前記被検体の血管に挿入されたステントであり、前記目標点は前記ステントの端部の中心位置であり、前記挿入構造物は前記ステントを広げるためのガイドワイヤであり、前記特徴点は前記ガイドワイヤの先端であり、
前記位置情報画面は放射線画像表示領域および位置情報表示領域を有し、
前記放射線画像表示領域には、前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像のうちの1つの放射線画像が表示され、
前記位置情報表示領域には、前記1つの放射線画像の撮影方向とは異なる方向からの撮影に対応する前記目標構造物を模式的に表す画像、および前記特徴点を表すマークが、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づく位置関係により表示される、位置情報表示方法。
【請求項9】
コンピュータが、
被検体を3次元撮影装置により撮影することにより取得された3次元画像を用いて、前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する導出工程と、
予め定められた間隔により並べられて配置された複数の放射線源を切り換えて
前記被検体に予め定められた時間間隔で放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を、1つの検出部により検出することにより生成された前記被検体内の目標構造物を含む複数の放射線画像からなる放射線画像の組を取得する取得工程と、
前記複数の放射線画像のうちの前記
並べられて配置された前記複数の放射線源の少なくとも2つを用いて取得した少なくとも2つの放射線画像から、前記被検体内に挿入された手術器具上の点である共通の特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの共通の特徴点を検出する検出工程と、
前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記少なくとも1つの共通の特徴点の前記検出部の検出面上におけるそれぞれの位置と、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像の取得に用いた放射線源のそれぞれの位置との位置関係を用いて、前記被検体内の前記少なくとも1つの共通の特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する導出工程と、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記目標点と前記特徴点との位置関係を
前記目標点と前記特徴点との共通の座標系上で表す位置情報画面を表示部に表示する表示工程とを有
し、
前記目標構造物は前記被検体の腰椎であり、前記目標点は前記腰椎に挿入されるスクリューの刺入位置および到達位置の少なくとも一方であり、前記挿入構造物は前記スクリューであり、前記特徴点は前記スクリューの先端および後端の少なくとも一方であり、
前記位置情報画面は放射線画像表示領域および位置情報表示領域を有し、
前記放射線画像表示領域には、
前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像の
うちの1つの放射線画像が表示され、
前記位置情報表示領域には、前記1つの放射線画像の撮影方向とは異なる方向からの撮影に対応する前記目標構造物の断層画像、前記目標点を表すマークおよび前記特徴点を表すマークが、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づく位置関係により表示される、位置情報表示方法。
【請求項10】
被検体を正面の方向および前記正面の方向と直交する側面の方向から撮影することにより取得された2つの放射線画像を用いて、前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する手順と、
予め定められた間隔により並べられて配置された複数の放射線源を切り換えて
前記被検体に予め定められた時間間隔で放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を、1つの検出部により検出することにより生成された前記被検体内の目標構造物を含む複数の放射線画像からなる放射線画像の組を取得する手順と、
前記複数の放射線画像のうちの前記
並べられて配置された前記複数の放射線源の少なくとも2つを用いて取得した少なくとも2つの放射線画像から、前記被検体内に挿入された手術器具上の点である共通の特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの共通の特徴点を検出する手順と、
前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記少なくとも1つの共通の特徴点の前記検出部の検出面上におけるそれぞれの位置と、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像の取得に用いた放射線源のそれぞれの位置との位置関係を用いて、前記被検体内の前記少なくとも1つの共通の特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する手順と、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記目標点と前記特徴点との位置関係を
前記目標点と前記特徴点との共通の座標系上で表す位置情報画面を表示部に表示する手順とをコンピュータに実行させ
、
前記目標構造物は前記被検体の血管に挿入されたステントであり、前記目標点は前記ステントの端部の中心位置であり、前記挿入構造物は前記ステントを広げるためのガイドワイヤであり、前記特徴点は前記ガイドワイヤの先端であり、
前記位置情報画面は放射線画像表示領域および位置情報表示領域を有し、
前記放射線画像表示領域には、前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像のうちの1つの放射線画像が表示され、
前記位置情報表示領域には、前記1つの放射線画像の撮影方向とは異なる方向からの撮影に対応する前記目標構造物を模式的に表す画像、および前記特徴点を表すマークが、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づく位置関係により表示される、位置情報表示プログラム。
【請求項11】
被検体を3次元撮影装置により撮影することにより取得された3次元画像を用いて、前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する手順と、
予め定められた間隔により並べられて配置された複数の放射線源を切り換えて
前記被検体に予め定められた時間間隔で放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を、1つの検出部により検出することにより生成された前記被検体内の目標構造物を含む複数の放射線画像からなる放射線画像の組を取得する手順と、
前記複数の放射線画像のうちの前記
並べられて配置された前記複数の放射線源の少なくとも2つを用いて取得した少なくとも2つの放射線画像から、前記被検体内に挿入された手術器具上の点である共通の特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの共通の特徴点を検出する手順と、
前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記少なくとも1つの共通の特徴点の前記検出部の検出面上におけるそれぞれの位置と、前記放射線画像の組に含まれる少なくとも2つの放射線画像の取得に用いた放射線源のそれぞれの位置との位置関係を用いて、前記被検体内の前記少なくとも1つの共通の特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する手順と、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づいて、前記目標点と前記特徴点との位置関係を
前記目標点と前記特徴点との共通の座標系上で表す位置情報画面を表示部に表示する手順とをコンピュータに実行させ
、
前記目標構造物は前記被検体の腰椎であり、前記目標点は前記腰椎に挿入されるスクリューの刺入位置および到達位置の少なくとも一方であり、前記挿入構造物は前記スクリューであり、前記特徴点は前記スクリューの先端および後端の少なくとも一方であり、
前記位置情報画面は放射線画像表示領域および位置情報表示領域を有し、
前記放射線画像表示領域には、
前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像の
うちの1つの放射線画像が表示され、
前記位置情報表示領域には、前記1つの放射線画像の撮影方向とは異なる方向からの撮影に対応する前記目標構造物の断層画像、前記目標点を表すマークおよび前記特徴点を表すマークが、前記第1の位置情報および前記第2の位置情報に基づく位置関係により表示される、位置情報表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置情報表示装置、方法およびプログラム、並びに放射線画像撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外科手術およびカテーテル治療では、手術器具と骨および血管等の人体構造との位置関係を把握することが必要である。しかしながら、従来では、手術器具と人体構造との位置関係の把握は、医師の経験および勘に頼ることが多く、手術器具の誤挿入および手術時間の超過の問題が起こっている。このため、手術中に放射線透視装置により被検体を撮影し、撮影によりディスプレイに表示された放射線透視画像を用いて、手術器具と人体構造との位置関係を把握することが行われている。ところが、手術器具と人体構造とは3次元的な位置関係にあるのに対して、放射線透視画像は2次元画像である。2次元の放射線透視画像を見ても手術器具と人体構造との3次元的な位置関係を把握することは難しい。
【0003】
このため、施術中に角度を変えながら被検体である患者を撮影したり、複数の撮影装置を同時に使用したりすることにより取得した、複数方向からの放射線透視画像により、手術器具と人体構造との3次元的な位置関係を把握することが行われている。また、手術器具にセンサを取り付けて、手術器具の3次元的な位置を把握する手法も提案されている。
【0004】
しかしながら、角度を変えながら被検体を撮影する場合、施術中に撮影装置を移動させる必要がある。また、複数の撮影装置を同時に使用する場合、撮影装置を移動させる必要はなくなるが、手術を行う際の医師の作業スペースが小さくなるため、手技が妨げられる可能性がある。また、センサを用いる手法は、センサを用意する必要がある。
【0005】
このため、CT(Computed Tomography)装置およびMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等により予め取得された、複数の断層画像からなる3次元画像と、カテーテルの先端を撮影した2次元の放射線画像との位置合わせを行い、放射線画像と、3次元画像におけるカテーテルの先端位置を含む断面画像とを同期させて更新表示する手法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された手法によれば、医師は断面画像を見ることにより、カテーテルの先端位置の被写体内における位置を確認することができるため、施術を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
外科手術およびカテーテル治療では、手術器具と人体構造との位置関係をリアルタイムに把握することが必要である。しかしながら、特許文献1に記載された手法では、3次元画像と放射線画像との位置合わせを行うための処理時間が必要となる。近年、放射線画像の解像度および濃度分解能は向上しているため、3次元画像および放射線画像を表す画像データのデータ量が非常に大きいものとなっている。このようなデータ量が大きい放射線画像と3次元画像との位置合わせを行うためには、処理に時間を要する。このため、特許文献1に記載された手法では、被検体内における手術器具と人体構造との位置、さらには位置関係をリアルタイムに把握することが難しい。
【0008】
本開示は上記事情に鑑みなされたものであり、手術器具等の被検体内に挿入された構造物と、被検体内の目標となる構造物との位置関係をリアルタイムに把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示による位置情報表示装置は、被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する第1の位置情報導出部と、
被検体内において、目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する第2の位置情報導出部と、
目標点と特徴点との位置関係を表す位置情報画面を表示部に表示する表示制御部とを備える。
【0010】
なお、本開示による位置情報表示装置においては、異なる位置に配置された複数の放射線源から、被検体に交互に放射線を照射し、被検体を透過した放射線を、1つの検出部により交互に検出することにより生成された複数の放射線画像からなる放射線画像の組を、予め定められた時間間隔で取得する画像取得部と、
放射線画像の組に含まれる複数の放射線画像のそれぞれから、被検体内にある挿入構造物上の特徴点を検出する特徴点検出部とをさらに備えるものとし、
第2の位置情報導出部は、複数の放射線画像のそれぞれから検出された特徴点の検出部の検出面上における位置と、複数の放射線源の位置との位置関係を用いて、第2の位置情報を導出するものであってもよい。
【0011】
「予め定められた時間間隔で」、とは、例えば動画のフレームレートに相当する時間間隔で、という意味である。予め時間間隔としては、例えば25~60fps等を採用することができ、その結果、本開示においては、動画像のように放射線画像の組み合わせが取得される。なお、複数の放射線画像のすべてが同一の時間間隔であってもよく、複数の放射線画像のそれぞれにおいて異なる時間間隔であってもよい。
【0012】
また、本開示による位置情報表示装置においては、表示制御部は、複数の放射線画像の一部を表示する放射線画像表示領域と、位置関係を表示する位置関係表示領域とを含む位置情報画面を表示部に表示するものであってもよい。
【0013】
「放射線画像の一部」とは、複数の放射線源のうちの1つの放射線源から出射される放射遷移基づいて取得される放射線画像を意味する。
【0014】
また、本開示による位置情報表示装置においては、特徴点が目標点へ到達したことを通知する通知部をさらに備えるものであってもよい。
【0015】
また、本開示による位置情報表示装置においては、通知部は、特徴点が目標点から予め定められた距離または角度外れた場合に、警告を行うものであってもよい。
【0016】
また、本開示による位置情報表示装置においては、挿入構造物は、被検体内に挿入された手術器具であってもよい。
【0017】
また、本開示による位置情報表示装置においては、目標構造物は被検体の血管に挿入されたステントであり、目標点はステントの端部の中心位置であり、挿入構造物はステントを広げるためのガイドワイヤであり、特徴点はガイドワイヤの先端であってもよい。
【0018】
また、本開示による位置情報表示装置においては、目標構造物は被検体の腰椎であり、目標点は腰椎に挿入されるスクリューの刺入位置および到達位置の少なくとも一方であり、挿入構造物はスクリューであり、特徴点はスクリューの先端および後端の少なくとも一方であってもよい。
【0019】
本開示による放射線画像撮影装置は、予め定められた間隔により配置された複数の放射線源と、
複数の放射線源に対向して配置され、複数の放射線源のそれぞれから発せられて被検体を透過した放射線を検出することにより、被検体の放射線画像を生成する検出部と、
複数の放射線源のそれぞれからの放射線の出射のタイミングおよび検出部による被検体を透過した放射線の検出のタイミングを制御して、複数の放射線源から被検体に交互に放射線を照射し、被検体を透過した放射線を検出部により交互に検出することにより、複数の放射線画像からなる放射線画像の組を予め定められた時間間隔で生成する撮影制御部と、
本開示による位置情報表示装置とを備える。
【0020】
なお、本開示による放射線画像撮影装置においては、放射線源は2つであってもよい。
【0021】
また、本開示による放射線画像撮影装置においては、撮影制御部は、2つの放射線源のうちの一方の放射線源から第1の時間間隔で順次放射線を出射し、第1の時間間隔以上の第2の時間間隔により、他方の放射線源から順次放射線を出射し、2つの放射線源から放射線が出射されたすべてのタイミングで放射線を検出するように検出部を制御し、
画像取得部は、2つの放射線源から時間的に隣接して出射された2つの放射線を検出部により検出することにより生成された2つの放射線画像を、放射線画像の組として取得するものであってもよい。
【0022】
「第1の時間間隔以上」とは、第1の時間間隔と同一であること、および第1の時間間隔よりも大きいことを意味する。
【0023】
本開示による位置情報表示方法は、被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出し、
被検体内において、目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出し、
目標点と特徴点との位置関係を表す位置情報画面を表示部に表示する。
【0024】
なお、本開示による位置情報表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【0025】
本開示による他の位置情報表示装置は、コンピュータに実行させるための命令を記憶するメモリと、
記憶された命令を実行するよう構成されたプロセッサとを備え、プロセッサは、
被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出し、
被検体内において、目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出し、
目標点と特徴点との位置関係を表す位置情報画面を表示部に表示する処理を実行する。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、被検体内の目標構造物と挿入構造物との位置関係をリアルタイムに把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示の実施形態による位置情報表示装置を適用した放射線画像撮影装置の概略構成図
【
図3】本実施形態において、コンピュータに位置情報表示プログラムをインストールすることにより実現された位置情報表示装置の概略構成を示す図
【
図4】第1および第2の放射線源からの放射線の出射のタイミング、並びに放射線検出器による放射線の検出のタイミングを説明するための図
【
図5】カテーテル治療を行う際に表示される放射線透視画像を示す図
【
図6】ステントおよびガイドワイヤの位置が相違している状態を示す図
【
図8】特徴点の3次元的な位置情報の導出を説明するための図
【
図10】2方向からの撮影により取得される放射線画像を示す図
【
図11】3次元画像から生成された2方向からの投影画像を示す図
【
図12】2方向からの撮影により取得される放射線画像を示す図
【
図13】カテーテル治療の場合における位置情報画面を示す図
【
図14】腰椎固定術の場合における位置情報画面を示す図
【
図15】本実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【
図16】第1および第2の放射線源からの放射線の出射のタイミング、並びに放射線検出器による放射線の検出のタイミングを説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
図1は、本開示の実施形態による位置情報表示装置を適用した放射線画像撮影装置の概略構成図である。本実施形態による放射線画像撮影装置は、被検体Hの外科手術およびカテーテル治療等を行う際に、被検体Hの放射線透視画像を動画像として取得および表示するためのものである。
【0029】
なお、本実施形態においては、
図1の左右方向にx軸を、
図1の奥行き方向にy軸を、
図1に示す放射線画像撮影装置1が置かれた面に対して垂直方向にz軸を、それぞれ設定するものとする。
【0030】
図1に示すように、本実施形態による放射線画像撮影装置1は、Cアーム2を備える。Cアーム2の一方の端部には撮影部3が、その他方の端部には撮影部3と対向するように放射線照射部4が取り付けられている。
【0031】
撮影部3の内部には、フラットパネルディテクタ等の放射線検出器5が備えられている。放射線検出器5が本開示の検出部に対応する。また、撮影部3の内部には、放射線検出器5から読み出された電荷信号を電圧信号に変換するチャージアンプ、チャージアンプから出力された電圧信号をサンプリングする相関2重サンプリング回路、および電圧信号をデジタル信号に変換するAD(Analog Digital)変換部等が設けられた回路基板等も設置されている。また、本実施形態においては、放射線検出器5を用いているが、放射線を検出して画像に変換することができれば、放射線検出器5に限定されるものではない。例えば、イメージインテンシファイア等の検出装置を用いることも可能である。
【0032】
放射線検出器5は、放射線画像の記録および読み出しを繰り返して行うことができるものであり、X線等の放射線を直接電荷に変換する、いわゆる直接型の放射線検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電荷信号に変換する、いわゆる間接型の放射線検出器を用いるようにしてもよい。また、放射線画像信号の読出方式としては、TFT(Thin Film Transistor)スイッチをオンおよびオフすることによって放射線画像信号が読み出される、いわゆるTFT読出方式のもの、または読取光を照射することによって放射線画像信号が読み出される、いわゆる光読出方式のものを用いることが望ましいが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
【0033】
図2は放射線照射部4の構成を示す概略図である。
図2に示すように、放射線照射部4の内部には、第1の放射線源6Aおよび第2の放射線源6Bが収納されている。第1および第2の放射線源6A,6Bは、予め定められた間隔により、
図1に示す奥行き方向(すなわちy軸方向)に並べて配置されている。第1および第2の放射線源6A,6Bから出射される第1および第2の放射線R1,R2は、それぞれ第1および第2の出射部4A,4Bから撮影部3に向けて出射される。
【0034】
第1および第2の放射線源6A,6Bは放射線としてX線を出射するものであり、第1および第2の放射線源6A,6Bから放射線を出射するタイミング、並びに放射線検出器5による第1および第2の放射線R1,R2の検出のタイミングは、後述する撮影制御部14により制御される。また、第1および第2の放射線源6A,6Bにおける放射線発生条件、すなわちターゲットおよびフィルタの材質の選択、管電圧並びに照射時間等も撮影制御部14により制御される。
【0035】
なお、本実施形態の放射線画像撮影装置1では、放射線検出器5の検出面5Aと放射線照射部4の第1および第2の放射線源6A,6Bとの距離である、いわゆるSID(Source Image Distance)が固定値とされている。
【0036】
本実施形態のCアーム2は、
図1に示すz方向(垂直方向)に対する撮影部3および放射線照射部4の角度を一体的に変更可能なように、Cアーム保持部7によって
図1に示す矢印A方向に移動可能に保持されている。また、Cアーム保持部7は軸部8を有しており、軸部8は、Cアーム2を軸受け9に回動自在に連結する。これにより、Cアーム2は、軸部8を回転軸として
図1に示す矢印B方向に回転可能とされている。
【0037】
また、
図1に示すように本実施形態の放射線画像撮影装置1は、本体部10を備える。本体部10は底部に複数の車輪11が取り付けられており、これにより、本実施形態の放射線画像撮影装置1は、移動可能とされている。本体部10の筐体の
図1における上部には、
図1のz軸方向に伸縮する支軸12が設けられている。支軸12の上部には、軸受け9が、矢印C方向に移動可能に保持されている。
【0038】
本実施形態による放射線画像撮影装置1は、上記のような構成を有することにより、撮影台40に仰臥している被検体Hの下方から被検体Hに放射線を照射し、被検体Hを透過した放射線を撮影部3の放射線検出器5により検出して、被検体Hの放射線画像を取得する。ここで、Cアーム2は、矢印A方向、矢印B方向および矢印C方向に移動可能であり、かつ放射線画像撮影装置1は車輪11により移動可能である。このため、本実施形態による放射線画像撮影装置1は、撮影台40に仰臥している被検体Hの所望とする部位を、所望とする方向から撮影することが可能である。
【0039】
また、本体部10には、I/F(Interface)部13、撮影制御部14、および本実施形態による位置情報表示装置15が内蔵されている。
【0040】
I/F部13は、放射線画像撮影装置1による放射線画像の撮影に関する全体的な制御を行うコンソールおよび外部装置(いずれも図示省略)と、無線または有線により通信を行う機能を有している。本実施形態の放射線画像撮影装置1は、コンソールからI/F部13を介して受信した撮影指示に基づいて、被検体Hの撮影を行う。
【0041】
撮影制御部14は、コンソールからの撮影指示に付随する撮影条件に基づいて、放射線照射部4が有する第1および第2の放射線源6A,6Bからそれぞれ第1および第2の放射線R1,R2を出射させる。また、撮影制御部14は、第1および第2の放射線源6A,6Bから第1および第2の放射線R1,R2が出射されたタイミングに応じて、被検体Hを透過した第1および第2の放射線R1,R2を撮影部3の放射線検出器5により検出して、被検体Hの第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2を生成する。生成された第1および第2の放射線画像G1,G2は本体部10に出力される。第1および第2の放射線源6A,6Bからの第1および第2の放射線R1,R2の出射のタイミング、並びに放射線検出器5による第1および第2の放射線R1,R2の検出のタイミングについては、後述する。
【0042】
また、本体部10の上部には、ユーザインタフェース16が設けられている。ユーザインタフェース16は、放射線画像撮影装置1により放射線画像の撮影を行う技師および医師等のユーザが、放射線画像の撮影に関する指示を行う機能、撮影により取得された放射線画像を放射線透視画像として表示する機能、およびユーザに対して放射線画像の撮影に関する情報を提供する機能を有している。ユーザインタフェース16の一例としては、タッチパネルディスプレイ等が挙げられる。
【0043】
次いで、本実施形態による位置情報表示装置について説明する。
図3は本実施形態による位置情報表示装置の概略構成を示す図である。
図3に示すように、位置情報表示装置15はコンピュータであり、標準的なコンピュータの構成として、CPU(Central Processing Unit)21、メモリ22およびストレージ23を備えている。
【0044】
本実施形態による位置情報表示装置15には、本実施形態による位置情報表示プログラムがインストールされている。位置情報表示プログラムは、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置、あるいはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じてI/F部13を介して位置情報表示装置15にダウンロードされ、インストールされる。もしくは、DVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体から位置情報表示装置15にインストールされる。
【0045】
ストレージ23は、ハードディスクドライブまたはSSD(Solid State Drive)等のストレージデバイスからなり、位置情報表示プログラムを含む各種情報が記憶されている。撮影により取得された放射線画像も、ストレージ23に記憶される。
【0046】
メモリ22には、各種処理をCPU21に実行させるために、ストレージ23に記憶されたプログラム等が一時的に記憶される。位置情報表示プログラムは、CPU21に実行させる処理として、被検体H内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する第1の位置情報導出処理、後述するように放射線画像撮影装置1により取得された、第1および第2の放射線画像G1,G2からなる放射線画像の組を、予め定められた時間間隔で取得する画像取得処理、放射線画像の組に含まれる第1および第2の放射線画像G1,G2のそれぞれから、被検体H内において、目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの共通の特徴点を検出する特徴点検出処理、第1および第2の放射線画像G1,G2から検出された特徴点の放射線検出器5の検出面5A上における位置と第1および第2の放射線源6A,6Bの位置との位置関係を用いて、被検体H内の少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する第2の位置情報導出処理、目標点と特徴点との位置関係を表す位置情報画面をユーザインタフェース16に表示する表示制御処理、並びに特徴点が目標点へ到達したことを通知する通知処理を規定する。
【0047】
そして、CPU21が位置情報表示プログラムに従いこれらの処理を実行することで、コンピュータは、第1の位置情報導出部30、画像取得部31、特徴点検出部32、第2の位置情報導出部33、表示制御部34および通知部35を備えた位置情報表示装置15として機能する。
【0048】
第1の位置情報導出部30は、被検体H内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する。第1の位置情報導出部30については、後述する。
【0049】
画像取得部31は、撮影制御部14が第1および第2の放射線源6A,6B、並びに放射線検出器5を制御することにより生成された、被検体Hの第1および第2の放射線画像G1,G2からなる放射線画像の組を取得する。以下、第1および第2の放射線源6A,6Bからの第1および第2の放射線R1,R2の出射のタイミング、並びに放射線検出器5による第1および第2の放射線画像G1,G2の検出のタイミングについて説明する。
図4は第1および第2の放射線源6A,6Bからの第1および第2の放射線R1,R2の出射のタイミング、並びに放射線検出器5による第1および第2の放射線R1,R2の検出のタイミングを説明するための図である。
【0050】
なお、
図4には、第1の放射線源6Aからの第1の放射線R1の出射のタイミングT1、第2の放射線源6Bからの第2の放射線R2の出射のタイミングT2、並びに放射線検出器5による第1および第2の放射線R1,R2の検出のタイミングT3が示されている。なお、T4は後述する第2の位置情報導出のタイミングである。
【0051】
図4に示すように、第1の放射線源6Aから第1の放射線R1が出射されると、放射線検出器5が被検体Hを透過した第1の放射線R1を検出して第1の放射線画像G1を生成する。放射線検出器5が第1の放射線画像G1を生成すると、第2の放射線源6Bから第2の放射線R2が出射され、放射線検出器5が被検体Hを透過した第2の放射線R2を検出して第2の放射線画像G2を生成する。放射線検出器5が第2の放射線画像G2を生成すると、第1の放射線源6Aから次の第1の放射線R1が出射され、放射線検出器5が被検体Hを透過した次の第1の放射線R1を検出して、次の第1の放射線画像G1を生成する。これを繰り返すことにより、第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2が交互に繰り返し取得される。画像取得部31は、時間的に隣接する第1および第2の放射線画像G1,G2を放射線画像の組として取得する。
【0052】
なお、放射線検出器5による第1および第2の放射線画像G1,G2の生成の時間間隔は、25~60fps、例えば30fpsである。第1および第2の放射線画像G1,G2の生成の時間間隔を30fpsとした場合、第1および第2の放射線源6A,6Bのそれぞれからの第1および第2の放射線R1,R2の出射のタイミングは、15fpsとなる。
【0053】
ここで、本実施形態による放射線画像撮影装置1を用いて、被検体Hの腹部動脈瘤のカテーテル治療を行う場合の施術について説明する。
図5は、カテーテル治療を行う際に、ユーザインタフェース16に表示される放射線透視画像を示す図である。
図5に示すように、腹部動脈瘤のカテーテル治療に際しては、ガイドワイヤ52に挿入された二股のステント51が、一方の足の付け根の動脈から大動脈50に挿入され、ステント51の一方の分岐51Aがガイドワイヤ52により広げられる。その後、他方の足の付け根の動脈から別のガイドワイヤ53が大動脈50に挿入され、ガイドワイヤ53をステント51の他方の分岐51B内に通して、ステント51の分岐51Bを広げる作業が行われる。この際、本実施形態においては、被検体Hの腹部動脈瘤の第1の放射線画像G1または第2の放射線画像G2が、動画像の放射線透視画像としてユーザインタフェース16に表示される。ユーザはユーザインタフェース16に表示された放射線透視画像を見ながら、ステント51の分岐51Bにガイドワイヤ53を通す作業を行う。
【0054】
ここで、ステント51の分岐51Bの径は小さく、また、ユーザインタフェース16に表示される放射線透視画像は2次元画像である。このため、ステント51の分岐51Bの端部とガイドワイヤ53の先端53Aとの3次元的な位置関係が分かりにくい。例えば、
図5に示す放射線透視画像においては、ステント51の分岐51Bにガイドワイヤ53が挿入されているように見える。しかしながら、実際には、
図6に示すように、分岐51Bにガイドワイヤ53が挿入されていない可能性もある。
【0055】
また、腰椎固定術を行う場合、被検体Hの正面の放射線画像を撮影して、スクリューの刺入位置を決定し、
図7に示す被検体Hの側面の放射線透視画像を動画像として表示しつつ、深さおよび角度を確認しながら、スクリュー55を腰椎56に刺入する。しかしながら、放射線透視画像は2次元画像であるため、スクリュー55の刺入位置および刺入角度が分かりにくく、誤刺入を起こす可能性がある。本実施形態は、この問題を解決するためになされたものである。
【0056】
特徴点検出部32は、放射線画像の組に含まれる第1および第2の放射線画像G1,G2のそれぞれから、被検体H内にある少なくとも1つの共通の特徴点を検出する。例えば、カテーテル治療の場合には、第1および第2の放射線画像G1,G2のそれぞれに含まれるガイドワイヤ53の先端53Aを特徴点として検出する。ガイドワイヤ53が本開示の挿入構造物である。また、腰椎固定術の場合には、第1および第2の放射線画像G1,G2のそれぞれに含まれるスクリュー55の先端55Aおよび後端55Bを特徴点として検出する。スクリュー55が本開示の挿入構造物である。本実施形態においては、特徴点検出部32は、第1および第2の放射線画像G1,G2に含まれる特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを有する。
【0057】
なお、特徴点とは、1つの画素のみならず、複数画素からなるある程度の面積を持った領域も含む。例えば、ガイドワイヤ53の先端53A、スクリュー55の先端55Aおよびスクリュー55の後端55Bはある程度の領域を有するが、本実施形態においては、特徴点に含まれる。
【0058】
学習済みモデルは、第1および第2の放射線画像G1,G2に含まれる特徴点を検出できるようにディープラーニング(深層学習)がなされたニューラルネットワークからなる。学習済みモデルは、特徴点が既知の多数の画像を教師データとして用いて、ニューラルネットワークを学習することにより生成される。これにより、特徴点検出部32は、第1および第2の放射線画像G1,G2が入力されると、第1および第2の放射線画像G1,G2から共通の特徴点を検出し、検出した特徴点の2次元の位置座標を出力する。
【0059】
なお、学習済みモデルは、ディープラーニングがなされたニューラルネットワークの他、例えばサポートベクタマシン(SVM(Support Vector Machine))、畳み込みニューラルネットワーク(CNN(Convolutional Neural Network))、およびリカレントニューラルネットワーク(RNN(Recurrent Neural Network))等からなるものであってもよい。
【0060】
また、特徴点検出部32は、学習済みモデルにより特徴点を検出するものには限定されない。例えば、特徴点の検出の手法としては、テンプレートマッチングにより第1および第2の放射線画像G1,G2に含まれる特徴点を検出する手法等、任意の手法を用いることができる。
【0061】
第2の位置情報導出部33は、第1および第2の放射線画像G1,G2から検出された特徴点の放射線検出器5の検出面5A上における位置と、第1および第2の放射線源6A,6Bの位置との位置関係を用いて、被検体H内の特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する。
図8は、特徴点の3次元的な位置情報の導出を説明するための図である。第2の位置情報導出部33は、
図8に示す第1の放射線源6Aの線源位置S1(sx1,sy1,sz1)、第2の放射線源6Bの線源位置S2(sx2,sy2,sz2)、第1の放射線画像G1において検出した特徴点の位置D1(dx1,dy1,dz1)、および第2の放射線画像G2において検出した特徴点の位置D2(dx2,dy2,dz2)の情報を取得する。
【0062】
線源位置S1の3次元座標(sx1,sy1,sz1)および線源位置S2の3次元座標(sx2,sy2,sz2)は、放射線画像撮影装置1のCアーム2上の任意の位置を原点とした座標系を設定したときに、原点と第1および第2の放射線源6A,6Bとの位置関係に基づいて導出することができる。例えば、本実施形態においては、放射線照射部4における出射部4A,4Bの中心を結ぶ線を2等分する点を原点とした座標系を設定することができる。
【0063】
一方、SIDは既知であるため、上記原点を基準とした放射線検出器5の検出面5Aの中心位置の3次元座標を導出することができる。また、放射線検出器5の検出面5Aの中心位置の3次元座標を用いて、特徴点検出部32が検出した第1および第2の放射線画像G1,G2における特徴点の2次元の位置座標から、特徴点の位置D1,D2の3次元座標を導出することができる。
【0064】
第2の位置情報導出部33は、線源位置S1と特徴点の位置D1とを結ぶ直線L1および線源位置S2と特徴点の位置D2とを結ぶ直線L2を設定する。直線L1上の任意の点P1および直線L2上の任意の点P2を、線源位置S1,S2および特徴点の位置D1,D2を用いて表現すると下記の式(1)となる。式(1)において、t、sはそれぞれ媒介変数である。
【0065】
P1=(1-t)・S1+t・D1
P2=(1-s)・S2+s・D2 (1)
【0066】
理想的には、直線L1上の点P1と直線L2上の点P2との3次元空間における交点に、第1および第2の放射線画像G1,G2において検出された被検体H内の特徴点が位置することとなる。このため、本実施形態においては、第2の位置情報導出部33は、下記の式(2)により、点P1と点P2との距離が最小となる点の3次元座標を、第1および第2の放射線画像G1,G2において検出された特徴点の3次元的な位置情報である第2の位置情報P0(x0,y0,z0)として導出する。
P0=min(P1-P2)2 (2)
【0067】
第2の位置情報導出部33は、挿入構造物がガイドワイヤ53の場合、ガイドワイヤ53の先端53Aの3次元座標を第2の位置情報として導出する。第2の位置情報導出部33は、挿入構造物がスクリュー55の場合、スクリュー55の先端55Aおよび後端の3次元座標を第2の位置情報として導出する。
【0068】
なお、第2の位置情報導出部33は、画像取得部31が連続するタイミングで第1および第2の放射線画像G1,G2からなる放射線画像の組を取得すると、取得した放射線画像の組に含まれる第1および第2の放射線画像G1,G2を用いて位置情報P0を導出する。このため、第2の位置情報導出部33が第2の位置情報P0を導出するタイミングは、
図4に示すタイミングT4となる。
【0069】
次いで、第1の位置情報導出部30について説明する。第1の位置情報導出部30は、被検体Hを2方向から撮影して、被検体Hに含まれる施術の際の目標となる目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する。例えば、腹部動脈瘤のカテーテル治療の場合、まずステント51が挿入された後に分岐51Aを拡張し、その後、分岐51Bにガイドワイヤ53を挿入する作業を行うこととなる。このため、第1の位置情報導出部30は、ステント51の分岐51Bの端部の中心位置の3次元座標を第1の位置情報として導出する。なお、ステント51が本開示の目標構造物であり、ステント51の分岐51Bの端部の中心位置が本開示の目標点である。なお、目標点は、1つの画素のみならず、複数画素からなるある程度の面積を持った領域も含む。
図9は被検体Hの2方向からの撮影を説明するための図、
図10は2方向からの撮影により取得される放射線画像を示す図である。
【0070】
Cアーム2が
図1に示す状態に移動して、ユーザの指示により、撮影制御部14が
図9に示す矢印E1方向から被検体Hに放射線を照射することにより、
図10に示す放射線画像GE1が取得される。また、放射線照射部4を被検体Hの
図1における右側に移動させて、矢印E2方向から被検体Hに放射線を照射することにより、
図10に示す放射線画像GE2が取得される。放射線画像GE1,GE2には、ステント51の像が含まれる。放射線画像GE1,GE2の中心位置の座標は、放射線検出器5の検出面5Aの中心位置の座標と一致するため既知である。このため、第1の位置情報導出部30は、特徴点を検出した場合と同一の座標系において、放射線画像GE1,GE2におけるステント51のガイドワイヤを挿入すべき分岐51Bの端部の中心位置の3次元座標を、目標点の3次元的な位置情報である第1の位置情報として導出する。
【0071】
ここで、座標系は、特徴点を検出した場合と同一のものには限定されない。例えば、ステント51の分岐51Bの端部の中心位置を原点とする座標系を設定してもよい。
【0072】
なお、第1の位置情報導出部30は、放射線画像撮影装置1にトモシンセシス撮影を行わせて、被検体Hの対象部位の3次元画像を生成し、トモシンセシス撮影により取得された3次元画像から第1の位置情報を導出してもよい。
【0073】
トモシンセシス撮影では、Cアーム2を矢印A方向に回転させつつ、複数の線源位置から第1および第2の放射線源6A,6Bのうちの一方の放射線源(ここでは第1の放射線源6Aとする)から放射線を出射して被検体Hを撮影することにより、複数の投影画像を取得する。そして、第1の位置情報導出部30は、単純逆投影法またはフィルタ逆投影法等の逆投影法等を用いて複数の投影画像を再構成して、被検体Hの複数の断層面のそれぞれにおける断層画像を生成する。そして、複数の断層画像からなる3次元画像を生成する。
【0074】
第1の位置情報導出部30は、3次元画像の座標系と、特徴点の座標系とを一致させるように座標変換を行い、ステント51の分岐51Bの端部の中心位置の3次元座標を、第1の位置情報として導出する。この際、ステント51の分岐51Bの端部の中心位置を原点とする座標系を設定してもよい。
【0075】
なお、第1の位置情報導出部30は、CT装置およびMRI装置等により予め取得された3次元画像から、第1の位置情報を導出してもよい。この場合、上記トモシンセシス撮影により取得された3次元画像と同様に、予め取得された3次元画像の座標系と、特徴点の座標系とを一致させるように座標変換を行い、ステント51の分岐51Bの端部の中心位置の3次元座標を、第1の位置情報として導出すればよい。この際も、ステント51の分岐51Bの端部の中心位置を原点とする座標系を設定してもよい。
【0076】
一方、腰椎固定術を行う場合には、第1の位置情報導出部30は、施術前にCT装置またはMRI装置により取得した被検体Hの3次元画像において、予め指定された腰椎における刺入位置および到達位置の3次元座標を、第1の位置情報として導出する。なお、腰椎が本開示の目標構造物であり、刺入位置および到達位置が本開示の目標点である。この場合、第1の位置情報導出部30は、3次元画像を、
図9に示す矢印E1方法および矢印E2方向のそれぞれに投影した投影画像GP1,GP2を生成する。
図11は2方向の投影画像を示す図である。
図11に示すように、投影画像GP1は被検体Hの腰椎の正面像であり、投影画像GP2は被検体Hの腰椎の側面像である。ここで、術前の検討により、スクリュー55の刺入位置および到達位置が予め定められて、3次元画像上に設定されている。このため、投影画像GP1,GP2には刺入位置PSおよび到達位置PEが特定されている。
【0077】
また、第1の位置情報導出部30は、被検体Hを
図9に示す2方向から撮影して、
図12に示す放射線画像GE11,GE12を取得する。そして、放射線画像GE11,GE12の座標系を、投影画像GP1,GP2の座標系と一致させて、放射線画像GE11,GE12における刺入位置PS1および到達位置PE1を特定する。この場合、一致させる座標系は、投影画像GP1,GP2における刺入位置PSを原点とする座標系とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。放射線画像GE11,GE12の座標系を、投影画像GP1,GP2上の任意の点を原点とする座標系に一致させてもよく、投影画像GP1,GP2の座標系を、放射線画像GE11,GE12の座標系に一致させてもよい。
【0078】
表示制御部34は、目標点と特徴点との位置関係を表す位置情報画面をユーザインタフェース16に表示する。
図13は、カテーテル治療を行う場合における、位置情報画面を示す図である。
図13に示すように位置情報画面60は、放射線透視画像の表示領域61および位置関係の表示領域62を有する。表示領域61には、放射線画像の組の一部である第1の放射線画像G1が放射線透視画像として順次表示される。このため、表示領域61には、放射線透視画像が動画像として表示される。なお、表示領域61には第2の放射線画像G2を放射線透視画像として順次表示してもよい。
【0079】
ここで、第1の位置情報導出部30は、ステント51の分岐51Bの中心位置の3次元座標を、第1の位置情報として導出しており、第2の位置情報導出部33は、ガイドワイヤ53の先端53Aの3次元座標を第2の位置情報P0として導出している。また、ステント51の分岐51Bの径は既知である。このため、表示制御部34は、ステント51の分岐51Bの形状を模式的に表すステント画像GT0を生成し、位置関係の表示領域62に表示する。なお、ステント画像GT0は、ステント51の分岐51Bの端部をその中心軸の方向に見た画像となる。さらに、表示制御部34は、ガイドワイヤ53の先端53Aの位置を表すマークM0を表示領域62に表示する。この際、表示制御部34は、第1の位置情報および第2の位置情報P0に基づいて、マークM0とステント画像GT0との位置関係を、ガイドワイヤ53の先端53Aとステント51の分岐51Bの中心位置との位置関係と一致させる。ここで、ガイドワイヤ53の先端53Aの位置は3次元座標で取得されている。このため、マークM0は、ステント51の分岐51Bをその中心軸の方向に見た画像における、ガイドワイヤ53の先端53Aの位置を表すものとなる。
【0080】
ユーザは、ステント画像GT0における分岐51Bの端部を表す円の内部にマークM0が位置するように、位置情報画面60を見ながらガイドワイヤ53を被検体Hの体内に挿入する作業を行う。ここで、
図13に示すステント画像GT0とマークM0との位置関係は、ガイドワイヤ53の先端53Aが、ステント51の分岐51Bの端部から離れていることを表している。ユーザは、位置情報画面60を見ながら、マークM0がステント画像GT0の内部に位置するように、被検体Hに挿入するガイドワイヤ53の位置を調整することができる。これにより、上述した
図6に示すような、ガイドワイヤ53のステント51への挿入ミスを減らすことができる。
【0081】
通知部35は、特徴点が目標点へ到達したことを通知する。具体的には、通知部35は、ガイドワイヤ53がステント51の分岐51Bの中心位置に到達して分岐51B内に挿入されたことを、ユーザインタフェース16において通知する。通知は、テキストの表示によるものであってもよく、音声によるものであってもよい。また、表示および音声の双方を用いてもよい。
【0082】
また、音声は、ガイドワイヤ53の先端53Aと分岐51Bの中心位置との距離に応じて変化するものとしてもよい。例えば、音声としてビープ音を断続的に出力するものとし、ガイドワイヤ53の先端53Aが分岐51Bの中心位置に近づくほど、ビープ音の間隔を小さくしてもよい。また、ガイドワイヤ53の先端53Aが分岐51B内に挿入された場合に、音声を変化させてもよい。
【0083】
また、ガイドワイヤ53の先端53Aが分岐51B内に挿入されることなく、分岐51Bの端部を通過した場合、またはガイドワイヤ53の先端53Aと分岐51Bの中心位置との距離が予め定められたしきい値以上となった場合、通知部35は、その旨の警告をユーザインタフェース16において行ってもよい。
【0084】
一方、腰椎固定術を行う場合の位置情報画面を
図14に示す。
図14に示すように位置情報画面70は、放射線透視画像の表示領域71および位置関係の表示領域72を有する。表示領域71には、放射線画像の組の一部である腰椎を側方から撮影した第1の放射線画像G1が順次表示される。このため、表示領域71には、放射線透視画像が動画像として表示される。なお、第1の放射線画像G1にはスクリュー55の像が含まれる。また、表示領域71には第2の放射線画像G2を放射線透視画像として順次表示してもよい。
【0085】
ここで、第1の位置情報導出部30は、腰椎におけるスクリュー55の刺入位置PSおよび到達位置PEの3次元座標を、第1の位置情報として導出している。第2の位置情報導出部33は、スクリュー55の先端55Aおよび後端55Bの3次元座標を第2の位置情報P0として導出している。このため、表示制御部34は、予め取得された被検体Hの3次元画像を用いて、スクリュー55が刺入される腰椎の断層画像GD0を生成し、生成した断層画像GD0を位置情報の表示領域72に表示する。なお、表示領域72に表示される腰椎の断層画像GD0はアキシャル断面を表す。
【0086】
また、表示制御部34は、第2の位置情報導出部33が導出したスクリュー55を断層画像GD0の断層面に投影したマークM1を位置情報の表示領域72に表示する。この際、表示制御部34は、第1の位置情報および第2の位置情報P0に基づいて、マークM1の先端および後端と断層画像GD0上の刺入位置PSおよび到達位置PEとの位置関係を、スクリュー55の先端55Aおよび後端55Bと、3次元画像上における刺入位置PSおよび到達位置PEとの位置関係と一致させる。また、表示制御部34は、スクリュー55が刺入位置PSに到達するまでは、第2の位置情報導出部33が導出したスクリュー55の先端55Aから、第1の位置情報導出部30が導出した刺入位置PSまでの残りの距離を情報表示領域74に表示する。情報表示領域74の表示は、通知部35が行ってもよい。本実施形態においては、刺入位置PSを原点とする座標系が放射線画像G1,G2に対しても設定されているため、スクリュー55の先端55Aの現在位置の原点からの距離を、スクリュー55の先端55Aから刺入位置PSまでの残りの距離として導出することができる。
【0087】
また、表示制御部34は、第2の位置情報導出部33が導出したスクリュー55の先端55Aの位置と後端55Bの位置とから、スクリュー55の軸のアキシャル断面に対する角度(第1の角度とする)を導出する。また、第1の位置情報導出部30が導出した刺入位置PSと到達位置PEとから、スクリュー55が挿入されるべき角度(第2の角度とする)を導出する。そして、第2の角度に対する第1の角度の相違を導出し、導出した角度を情報表示領域74に表示する。
図14においては、残りの距離が10mm、角度が0度であることが表示されている。角度が0度であるとは、スクリュー55が挿入されている角度が、刺入位置PSと到達位置PEとがなす角度と一致していることを表している。なお、スクリュー55が刺入位置PSから腰椎に刺入された後は、スクリュー55の先端55Aから到達位置PEまでの残りの距離を情報表示領域74に表示すればよい。
【0088】
なお、スクリュー55の先端55Aが刺入位置PSから予め定められたしきい値以上離れた位置にある場合に、通知部35が警告を行うようにしてもよい。また、スクリュー55の角度が予め定められたしきい値(例えば10度)を超えた場合に、表示制御部34が警告を行うようにしてもよい。
【0089】
ユーザは、断層画像GD0、マークM1および情報表示領域74の表示を見ながら、スクリュー55が刺入位置PSから腰椎に刺入されるように、スクリュー55を被検体Hの体内に挿入することができる。また、挿入されたスクリュー55が到達位置PEに正しく到達するように、スクリュー55を被検体Hの腰椎に挿入することができる。
【0090】
なお、腰椎固定術の場合においても、通知部35は、スクリュー55の先端55Aが刺入位置PSに到達したこと、およびスクリュー55の先端55Aが到達位置PEに到達したことを、ユーザインタフェース16において通知するようにしてもよい。また、スクリュー55の角度と、スクリュー55を挿入すべき角度とが一致したときにも通知を行うようにしてもよい。通知は、テキストの表示によるものであってもよく、音声によるものであってもよい。また、表示および音声の双方を用いてもよい。
【0091】
また、音声は、スクリュー55の先端55Aと、刺入位置PSおよび到達位置PEとの距離に応じて変化するものとしてもよい。例えば、音声としてビープ音を断続的に出力するものとし、スクリュー55の先端55Aが刺入位置PSおよび到達位置PEに近づくほど、ビープ音の間隔を小さくしてもよい。また、スクリュー55の先端55Aが刺入位置PSおよび到達位置PEに到達した場合に、音声を変化させてもよい。
【0092】
次いで、本実施形態において行われる処理について説明する。
図15は本実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。まず、第1の位置情報導出部30が、被検体H内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を、第1の位置情報として導出する(ステップST1)。
【0093】
そして、ユーザがユーザインタフェース16から撮影開始の指示を行うことにより被検体Hの撮影が開始され、画像取得部31が第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2の組を取得する(放射線画像の組取得;ステップST2)。第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2の組が取得されると、特徴点検出部32は、第1および第2の放射線画像G1,G2から少なくとも1つの共通する特徴点を検出する(ステップST3)。次いで、第2の位置情報導出部33が、第1および第2の放射線画像G1,G2のそれぞれから検出された少なくとも1つの特徴点の放射線検出器5の検出面5A上における位置と、第1および第2の放射線源6A,6Bの位置との位置関係を用いて、被検体H内の少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する(ステップST4)。
【0094】
さらに、表示制御部34が、位置情報画面をユーザインタフェース16に表示し(ステップST5)、ステップST2へリターンする。なお、ステップST2からステップST5の処理は、処理終了の指示がなされるまで繰り返し行われる。
【0095】
このように、本実施形態においては、被検体H内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の第1の位置情報を導出し、被検体H内において、目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの特徴点の3次元的な第2の位置情報を導出する。そして、目標点と特徴点との位置関係を表す位置情報画面をユーザインタフェース16に表示するようにした。このため、画像同士を位置合わせする場合と比較して、少ない演算量により目標点と特徴点との位置関係を表示することが可能になる。したがって、本実施形態によれば、被検体H内の目標構造物と挿入構造物との位置関係をリアルタイムに把握できる。
【0096】
なお、上記実施形態においては、第1の放射線画像G1および第2の放射線画像G2を交互に取得しているが、これに限定されるものではない。
図16に示すように第2の放射線画像G2を第1の放射線画像G1の数フレームに1回取得するようにしてもよい。なお、
図16においては、第1の放射線画像G1を4フレーム取得する間に、第2の放射線画像G2を1回取得している。この場合、位置情報の導出は、第1の放射線画像G1を4フレーム取得する間に1回行われることとなる。
【0097】
また、上記実施形態においては、カテーテル治療を行うに際して、第1の位置情報導出部30が、放射線画像GE1,GE2または被検体Hの3次元画像から、ステント51の分岐51Bの中心位置の3次元座標を第1の位置情報として導出しているが、これに限定されるものではない。特徴点検出部32が、第1および第2の放射線画像G1,G2からステント51の分岐51Bの中心位置を目標点として検出し、第1の位置情報導出部30が、第2の位置情報導出部33と同様の処理を行って、特徴点検出部32が検出した目標点に基づいて、分岐51Bの中心位置の3次元座標を第1の位置情報として導出するようにしてもよい。
【0098】
また、上記実施形態においては、第1の位置情報導出部30は、放射線画像GE1,GE2、被検体Hの3次元画像から生成した投影画像GP1,GP2等から、目標構造物における目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出しているが、これに限定されるものではない。放射線画像GE1,GE2等をユーザインタフェース16に表示し、表示された画像に対するユーザの目標点設定の指示を受け付けることにより、第1の位置情報を導出するようにしてもよい。
【0099】
また、上記実施形態においては、放射線は、とくに限定されるものではなく、X線の他、α線またはγ線等を適用することができる。
【0100】
また、上記実施形態においては、カテーテル治療および腰椎固定術を行う際に、本開示による位置情報表示装置および放射線画像撮影装置を適用しているが、これに限定されるものではなく、放射線透視画像を用いた施術であれば、任意の施術を行う際に本開示を適用することができる。
【0101】
また、上記実施形態においては、放射線照射部4において
図1に示すy方向に第1および第2の放射線源6A,6Bを並べているが、x軸方向に第1および第2の放射線源6A,6Bを並べるようにしてもよい。
【0102】
また、上記実施形態においては、放射線照射部4が2つの放射線源6A,6Bを有するものとしているが、これに限定されるものではない。3以上の放射線源を有するものとしてもよい。この場合、3以上の放射線源から被検体Hに放射線を照射することにより取得した複数の放射線画像を用いて、位置情報を導出すればよい。具体的には3以上の放射線源のうちの2つの放射線源から出射された放射線により生成された2つの放射線画像の組み合わせを用いて位置情報を導出すればよい。
【0103】
また、上記実施形態において、例えば、第1の位置情報導出部30、画像取得部31、特徴点検出部32、第2の位置情報導出部33、表示制御部34および通知部35といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0104】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせまたはCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0105】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0106】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
以下、本開示の付記項を記載する。
(付記項1)
被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する第1の位置情報導出部と、
異なる位置に配置された複数の放射線源から、前記被検体に交互に放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を、1つの検出部により交互に検出することにより生成された複数の放射線画像からなる放射線画像の組を、予め定められた時間間隔で取得する画像取得部と、
放射線画像から特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの特徴点を検出する特徴点検出部と、
前記複数の放射線画像のそれぞれから検出された前記特徴点の前記検出部の検出面上における位置と、前記複数の放射線源の位置との位置関係を用いて、前記少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する第2の位置情報導出部と、
前記目標点と前記特徴点との位置関係を表す位置情報画面を表示部に表示する表示制御部とを備えた位置情報表示装置。
(付記項2)
前記表示制御部は、前記複数の放射線画像の一部を表示する放射線画像表示領域と、前記位置関係を表示する位置関係表示領域とを含む前記位置情報画面を前記表示部に表示する付記項1に記載の位置情報表示装置。
(付記項3)
前記特徴点が前記目標点へ到達したことを通知する通知部をさらに備えた付記項1または2に記載の位置情報表示装置。
(付記項4)
前記通知部は、前記特徴点が前記目標点から予め定められた距離または角度外れた場合に、警告を行う付記項3に記載の位置情報表示装置。
(付記項5)
前記挿入構造物は、前記被検体内に挿入された手術器具である付記項1から4のいずれか1項に記載の位置情報表示装置。
(付記項6)
前記目標構造物は前記被検体の血管に挿入されたステントであり、前記目標点は前記ステントの端部の中心位置であり、前記挿入構造物は前記ステントを広げるためのガイドワイヤであり、前記特徴点は前記ガイドワイヤの先端である付記項1から5のいずれか1項に記載の位置情報表示装置。
(付記項7)
前記目標構造物は前記被検体の腰椎であり、前記目標点は前記腰椎に挿入されるスクリューの刺入位置および到達位置の少なくとも一方であり、前記挿入構造物は前記スクリューであり、前記特徴点は前記スクリューの先端および後端の少なくとも一方である付記項1から5のいずれか1項に記載の位置情報表示装置。
(付記項8)
予め定められた間隔により配置された複数の放射線源と、
前記複数の放射線源に対向して配置され、前記複数の放射線源のそれぞれから発せられて被検体を透過した放射線を検出することにより、前記被検体の放射線画像を生成する検出部と、
前記複数の放射線源のそれぞれからの放射線の出射のタイミングおよび前記検出部による前記被検体を透過した放射線の検出のタイミングを制御して、前記複数の放射線源から前記被検体に交互に放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を前記検出部により交互に検出することにより、複数の放射線画像からなる放射線画像の組を予め定められた時間間隔で生成する撮影制御部と、
付記項1から7のいずれか1項に記載の位置情報表示装置とを備えた放射線画像撮影装置。
(付記項9)
前記放射線源は2つである付記項8に記載の放射線画像撮影装置。
(付記項10)
前記撮影制御部は、前記2つの放射線源のうちの一方の放射線源から第1の時間間隔で順次放射線を出射し、前記第1の時間間隔以上の第2の時間間隔により、他方の放射線源から順次放射線を出射し、前記2つの放射線源から前記放射線が出射されたすべてのタイミングで前記放射線を検出するように前記検出部を制御し、
前記画像取得部は、前記2つの放射線源から時間的に隣接して出射された2つの放射線を前記検出部により検出することにより生成された2つの放射線画像を、前記放射線画像の組として取得する付記項9に記載の放射線画像撮影装置。
(付記項11)
被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出し、
異なる位置に配置された複数の放射線源から、前記被検体に交互に放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を、1つの検出部により交互に検出することにより生成された複数の放射線画像からなる放射線画像の組を、予め定められた時間間隔で取得し、
放射線画像から特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの特徴点を検出し、
前記複数の放射線画像のそれぞれから検出された前記特徴点の前記検出部の検出面上における位置と、前記複数の放射線源の位置との位置関係を用いて、前記少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出し、
前記目標点と前記特徴点との位置関係を表す位置情報画面を表示部に表示する位置情報表示方法。
(付記項12)
被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する手順と、
異なる位置に配置された複数の放射線源から、前記被検体に交互に放射線を照射し、前記被検体を透過した前記放射線を、1つの検出部により交互に検出することにより生成された複数の放射線画像からなる放射線画像の組を、予め定められた時間間隔で取得する手順と、
放射線画像から特徴点を検出するように学習がなされた学習済みモデルを用いて、前記放射線画像の組に含まれる前記複数の放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの特徴点を検出する手順と、
前記複数の放射線画像のそれぞれから検出された前記特徴点の前記検出部の検出面上における位置と、前記複数の放射線源の位置との位置関係を用いて、前記少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する手順と、
前記目標点と前記特徴点との位置関係を表す位置情報画面を表示部に表示する手順とをコンピュータに実行させる位置情報表示プログラム。
(付記項13)
予め定められた間隔により配置された2つの放射線源と、
前記2つの放射線源に対向して配置され、前記2つの放射線源のそれぞれから発せられて被検体を透過した放射線を検出することにより、前記被検体の放射線画像を生成する検出部と、
前記2つの放射線源のうちの一方の放射線源から第1の時間間隔で順次放射線を出射し、前記第1の時間間隔以上の第2の時間間隔により、他方の放射線源から順次放射線を出射し、前記2つの放射線源から前記放射線が出射されたすべてのタイミングで前記放射線を検出するように、前記2つの放射線源のそれぞれからの放射線の出射のタイミングおよび前記検出部による前記被検体を透過した放射線の検出のタイミングを制御して、前記被検体の放射線画像を生成する撮影制御部と、
前記2つの放射線源から時間的に隣接して出射された2つの放射線を前記検出部により検出することにより生成された2つの放射線画像からなる放射線画像の組を取得する画像取得部と、
前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する第1の位置情報導出部と、
前記放射線画像の組に含まれる前記2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの特徴点を検出する特徴点検出部と、
前記2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記特徴点の前記検出部の検出面上における位置と、前記2つの放射線源の位置との位置関係を用いて、前記少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する第2の位置情報導出部と、
前記目標点と前記特徴点との位置関係を表す位置情報画面を表示部に表示する表示制御部とを備えた放射線画像撮影装置。
(付記項14)
予め定められた間隔により配置された2つの放射線源と、
前記2つの放射線源に対向して配置され、前記2つの放射線源のそれぞれから発せられて被検体を透過した放射線を検出することにより、前記被検体の放射線画像を生成する検出部と、
前記2つの放射線源のうちの一方の放射線源から第1の時間間隔で順次放射線を出射し、前記第1の時間間隔以上の第2の時間間隔により、他方の放射線源から順次放射線を出射し、前記2つの放射線源から前記放射線が出射されたすべてのタイミングで前記放射線を検出するように、前記2つの放射線源のそれぞれからの放射線の出射のタイミングおよび前記検出部による前記被検体を透過した放射線の検出のタイミングを制御して、前記被検体の放射線画像を生成する撮影制御部と、
前記2つの放射線源から時間的に隣接して出射された2つの放射線を前記検出部により検出することにより生成された2つの放射線画像からなる放射線画像の組を取得する画像取得部とを備えた放射線画像撮影装置における放射線画像撮影方法であって、
前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出し、
前記放射線画像の組に含まれる前記2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの特徴点を検出し、
前記2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記特徴点の前記検出部の検出面上における位置と、前記2つの放射線源の位置との位置関係を用いて、前記少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出し、
前記目標点と前記特徴点との位置関係を表す位置情報画面を表示部に表示する放射線画像撮影方法。
(付記項15)
予め定められた間隔により配置された2つの放射線源と、
前記2つの放射線源に対向して配置され、前記2つの放射線源のそれぞれから発せられて被検体を透過した放射線を検出することにより、前記被検体の放射線画像を生成する検出部と、
前記2つの放射線源のうちの一方の放射線源から第1の時間間隔で順次放射線を出射し、前記第1の時間間隔以上の第2の時間間隔により、他方の放射線源から順次放射線を出射し、前記2つの放射線源から前記放射線が出射されたすべてのタイミングで前記放射線を検出するように、前記2つの放射線源のそれぞれからの放射線の出射のタイミングおよび前記検出部による前記被検体を透過した放射線の検出のタイミングを制御して、前記被検体の放射線画像を生成する撮影制御部と、
前記2つの放射線源から時間的に隣接して出射された2つの放射線を前記検出部により検出することにより生成された2つの放射線画像からなる放射線画像の組を取得する画像取得部とを備えた放射線画像撮影装置における放射線画像撮影方法をコンピュータに実行させる放射線画像撮影プログラムであって、
前記被検体内の目標構造物における少なくとも1つの目標点の3次元的な位置情報を第1の位置情報として導出する手順と、
前記放射線画像の組に含まれる前記2つの放射線画像のそれぞれから、前記被検体内において前記目標構造物に向けて挿入される挿入構造物上の少なくとも1つの特徴点を検出する手順と、
前記2つの放射線画像のそれぞれから検出された前記特徴点の前記検出部の検出面上における位置と、前記2つの放射線源の位置との位置関係を用いて、前記少なくとも1つの特徴点の3次元的な位置情報を第2の位置情報として導出する手順と、
前記目標点と前記特徴点との位置関係を表す位置情報画面を表示部に表示する手順とをコンピュータに実行させる放射線画像撮影プログラム。
【符号の説明】
【0107】
1 放射線画像撮影装置
2 Cアーム
3 撮影部
4 放射線照射部
4A,4B 出射部
5 放射線検出器
5A 検出面
6A 第1の放射線源
6B 第2の放射線源
7 Cアーム保持部
8 軸部
9 軸受け
10 本体部
11 車輪
12 支軸
13 I/F部
14 撮影制御部
15 位置情報表示装置
16 ユーザインタフェース
21 CPU
22 メモリ
23 ストレージ
30 第1の位置情報導出部
31 画像取得部
32 特徴点検出部
33 第2の位置情報導出部
34 表示制御部
35 通知部
40 撮影台
50 大動脈
51 ステント
52,53 ガイドワイヤ
53A ガイドワイヤの先端
55 スクリュー
55A スクリューの先端
55B スクリューの後端
56 腰椎
60,70 位置情報画面
61,71 放射線透視画像の表示領域
62,72 位置関係の表示領域
74 情報表示領域
D1,D2 第1および第2の放射線画像における特徴点の位置
G1 第1の放射線画像
G2 第2の放射線画像
GD0 断層画像
GE1,GE2,GE11,GE12 放射線画像
GP1,GP2 投影画像
GT0 ステント画像
H 被検体
M0,M1 マーク
PS 刺入位置
PE 到達位置
P0 第2の位置情報
R1,R2 放射線
S1,S2 放射線源の位置
T1~T4 タイミング