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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】高電圧燃料セルスタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/249 20160101AFI20250310BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20250310BHJP
   H01M 8/2465 20160101ALI20250310BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20250310BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20250310BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20250310BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20250310BHJP
   C25B 9/70 20210101ALI20250310BHJP
【FI】
H01M8/249
H01M8/10 101
H01M8/2465
H01M8/2475
H01M8/2484
H01M8/04 J
H01M8/04 Z
C25B9/00 A
C25B9/70
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020543868
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019018146
(87)【国際公開番号】W WO2019164757
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】62/632,937
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505163578
【氏名又は名称】ヌヴェラ・フュエル・セルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ブランシェット,スコット
【審査官】川口 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-171926(JP,A)
【文献】特開2008-176945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02-8/0297
H01M 8/24-8/249
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気化学セルサブスタック
を備えた電気化学セルスタック接合体であって、
第1の電気化学セルサブスタックおよび第2の電気化学セルサブスタックは、直列に電気的に接続され、並列に流体的に接続され、
前記第1の電気化学セルサブスタックおよび前記第2の電気化学セルサブスタックは、複数の電気化学セルを備え、該複数の電気化学セルは、
カソード触媒層、アノード触媒層、および前記カソード触媒層と前記アノード触媒層との間に介在させられる高分子膜を備える膜電極接合体と、
アノードプレートおよびカソードプレートであって、前記膜電極接合体が、前記アノードプレートと前記カソードプレートとの間に介在させられる、アノードプレートおよびカソードプレートと、
前記カソードプレートと前記カソード触媒層との間に配置されるカソード流れ場と
を備え、
前記電気化学セルスタック接合体は、前記第1の電気化学セルサブスタックの第1の端部および前記第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に接続されるマニホールド分配プレートをさらに備え、前記マニホールド分配プレートは、燃料、酸化剤、または冷却剤のうちの少なくとも1つの供給を、前記第1および第2の電気化学セルサブスタックに対して流体的に分けるように構成され、
前記電気化学セルスタック接合体は、前記第1および第2の電気化学セルサブスタックの前記第1の端部に配設され、前記第1および第2の電気化学セルサブスタックを電気的に結合する1枚のプレートとして構成された電気伝導性構造をさらに備え
前記マニホールド分配プレートは、前記電気伝導性構造に対して設置される、
電気化学セルスタック接合体。
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学セルスタック接合体であって、電流が、前記第1の電気化学セルサブスタックから前記第2の電気化学セルサブスタックに通過する、電気化学セルスタック接合体。
【請求項3】
請求項1に記載の電気化学セルスタック接合体であって前記電気伝導性構造は、前記電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームに電気的に結合される、電気化学セルスタック接合体。
【請求項4】
請求項に記載の電気化学セルスタック接合体であって、前記電気伝導性構造は、前記電気化学セルスタック接合体を収容する前記機構の前記フレームと共通の電位にある、電気化学セルスタック接合体。
【請求項5】
請求項1に記載の電気化学セルスタック接合体であって、
前記第1の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設される第1の電流コレクタと、
前記第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設される第2の電流コレクタと
をさらに備える電気化学セルスタック接合体。
【請求項6】
請求項に記載の電気化学セルスタック接合体であって、前記第1の電流コレクタは、前記電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームより高い電位にあり、前記第2の電流コレクタは、前記電気化学セルスタック接合体を収容する前記機構の前記フレームより低い電位にある、電気化学セルスタック接合体。
【請求項7】
請求項に記載の電気化学セルスタック接合体であって、前記第1の電流コレクタは、-1000ボルトから+1000ボルトの電位にあり、前記第2の電流コレクタは、-1000ボルトから+1000ボルトの電位にある、電気化学セルスタック接合体。
【請求項8】
請求項に記載の電気化学セルスタック接合体であって、電子が、(i)前記第1の電流コレクタから、前記第1の電気化学セルサブスタックの第2の端部への第1の方向において、および、(ii)前記第2の電気化学セルサブスタックの第2の端部から、前記第2の電流コレクタへの第2の方向において流れ、前記第1の方向は、前記第2の方向と反対である、電気化学セルスタック接合体。
【請求項9】
請求項1に記載の電気化学セルスタック接合体であって、電気絶縁体が、前記第1の電気化学セルサブスタックと前記第2の電気化学セルサブスタックとの間に配設される、電気化学セルスタック接合体。
【請求項10】
請求項1に記載の電気化学セルスタック接合体であって、燃料、酸化剤、または冷却剤のうちの少なくとも1つの供給が、並列に流体接続される前記第1の電気化学セルサブスタックと前記第2の電気化学セルサブスタックとの間で分けられる、電気化学セルスタック接合体。
【請求項11】
請求項1に記載の電気化学セルスタック接合体であって、前記カソード流れ場は多孔質構造を含み、前記複数の電気化学セルサブスタックは、0アンペアから1000アンペアの電流を発生させる、電気化学セルスタック接合体。
【請求項12】
電気化学セルスタック接合体を配置構成する方法であって、
第1の電気化学セルサブスタックおよび第2の電気化学セルサブスタックを直列に電気的に接続するステップと、
前記第1の電気化学セルサブスタックおよび前記第2の電気化学セルサブスタックを並列に流体的に接続するステップであって、
前記第1の電気化学セルサブスタックおよび前記第2の電気化学セルサブスタックは、複数の電気化学セルを備え、該複数の電気化学セルは、
カソード触媒層、アノード触媒層、および前記カソード触媒層と前記アノード触媒層との間に介在させられる高分子膜を備える膜電極接合体と、
アノードプレートおよびカソードプレートであって、前記膜電極接合体が、前記アノードプレートと前記カソードプレートとの間に介在させられる、アノードプレートおよびカソードプレートと、
カソード流れ場およびアノード流れ場と
を備える、
ステップと、
前記第1および第2の電気化学セルサブスタックを電気的に結合する1枚のプレートとして構成された電気伝導性構造を、前記第1および第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設するステップと、
前記第1の電気化学セルサブスタックの前記第1の端部および前記第2の電気化学セルサブスタックの前記第1の端部にマニホールド分配プレートを接続するステップであって、前記マニホールド分配プレートは、燃料、酸化剤、または冷却剤のうちの少なくとも1つの供給を、前記第1および第2の電気化学セルサブスタックに対して流体的に分けるように構成される、ステップ
を含み、前記マニホールド分配プレートは、前記電気伝導性構造に対して設置される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
電気絶縁体を、前記第1の電気化学セルサブスタックと前記第2の電気化学セルサブスタックとの間に配設するステッ
をさらに含む方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって前記電気伝導性構造は、前記電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームに電気的に結合される、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記電気伝導性構造は、前記電気化学セルスタック接合体を収容する前記機構の前記フレームと共通の電位にある、方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法であって、
第1の電流コレクタを、前記第1の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設するステップと、
第2の電流コレクタを、前記第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設するステップと
をさらに含み、
前記第1の電流コレクタは、前記電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームより高い電位にあり、前記第2の電流コレクタは、前記電気化学セルスタック接合体を収容する前記機構の前記フレームより低い電位にある、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本出願は、2018年2月20日に出願された、米国仮出願第62/632,937号の利益を主張するものであり、その米国仮出願は、その全体が参照により組み込まれている。
【0002】
[002]本開示は、燃料セルスタック、より詳細には、高電圧燃料セルスタックを対象とする。
【背景技術】
【0003】
[003]普通は燃料セルまたは電解セルと分類される電気化学セルは、化学反応から電流を発生させるために、または、電流の流れを使用して化学反応を誘導するために使用されるデバイスである。例えば、燃料セルは、燃料(例えば、水素、天然ガス、メタノール、ガソリン、その他)および酸化剤(空気または酸素)の化学エネルギーを、電気、ならびに、熱および水の廃棄生成物へと変換し得る。基本的な燃料セルは、負帯電アノードと、正帯電カソードと、電解質と呼ばれるイオン伝導材料とを備え得る。
【0004】
[004]異なる燃料セル技術は、異なる電解質材料を利用する。プロトン交換膜(PEM)燃料セルは、例えば、電解質として高分子イオン伝導膜を利用する。水素PEM燃料セルにおいて、水素原子が、アノードにおいて電子およびプロトン(水素イオン)へと電気化学的に分けられる。電子は、次いで、回路を通ってカソードに流れ、電気を発生させ、一方で、プロトンは、電解質膜を通ってカソードに拡散する。カソードにおいて、水素プロトンは、電子および酸素(カソードに供給される)と組み合わさって、水および熱を生成する。
【0005】
[005]電解セルは、逆に動作させられる燃料セルを表す。基本的な電解セルは、外部電位が付与されるときに、水を水素および酸素ガスへと分解することにより、水素発生器として機能し得る。水素燃料セルまたは電解セルの基本的な技術は、電気化学的水素圧縮、精製、または膨張などの電気化学的水素操作に応用され得る。電気化学的水素操作は、水素管理に対して従前から使用される機械的システムに対する存立可能な代替案として出現した。エネルギー担体としての水素の成功裏の商業化、および、「水素経済」の長期の持続可能性は、主として、燃料セル、電解セル、および他の水素操作/管理システムの、効率およびコスト有効度に依存し得る。
【0006】
[006]動作において、単一の燃料セルは、一般的には、負荷を負わないと(すなわち、電流を電気的負荷に供給しないとき)約1ボルトを、または、負荷を負うと(すなわち、電流を電気的負荷に供給するとき)約0.75ボルトを発生させることができる。各々の燃料セルは、カソードと、電解質膜と、アノードとを含み得る。カソード/膜/アノード接合体は、典型的にはバイポーラプレートにより両方の側で支持される、「膜電極接合体」すなわち「MEA」の構成物である。MEAの1平方センチメートルの活性区域は、一般的には、1アンペアの電流を持続させ得る。所望される量の電力を発生させるために、個々の燃料セルは、燃料セルスタックを形成するために組み合わされ得るものであり、燃料セルは、順次的に一体に積層される。発生させられる電力の量は、一般的には、積層される燃料セルの数、および、使用されるMEAの活性区域に比例し得る。積層される燃料セルの数は、一般的には、燃料セルスタックにより発生させられる電圧に比例し得る。使用されるMEAの活性区域は、一般的には、燃料セルスタックが持続させ得る電流に比例し得る。反応物ガス、すなわち、燃料(例えば、水素)および酸化剤(例えば、空気または酸素)が、流れ場を通してMEAの電極に供給される。機械的支持を提供することに加えて、バイポーラプレート(さらには流れ場プレートまたはセパレータプレートとして知られている)は、スタック内の個々のセルを物理的に分離し、一方で、それらのセルを電気的に接続する。典型的には、燃料セルスタックは、燃料および酸化剤を、アノードおよびカソード流れ場それぞれに導くための、マニホールドおよび入口ポートを含む。燃料セルスタックは、さらには、過剰燃料および酸化剤を駆逐するための、排気マニホールドおよび出口ポートを含む。燃料セルスタックは、さらには、燃料セルスタックにより発生させられる熱を駆逐する助けとなる冷却剤流体を循環させるためのマニホールドを含み得る。
【0007】
[007]一部の燃料セル用途において、高い量の電力を電気的負荷に送達することが望ましくあり得る。このことは、高い電位、高い電流、または両方において電力を送達することにより達成され得る。一部の用途において、高い電位において、ただし低い電流を伴って、高い電力を送達することが望ましくあり得る。そのようにすることは、電流を搬送する電気伝導体のサイズを減少し、以て、燃料セルスタックを使用する機構またはデバイスのサイズを減少し得る。それゆえに、燃料セルを積層して、燃料セルスタックにより発生させられる電位を増大することが望ましくあり得る。しかしながら、燃料セルを積層することは、燃料、酸化剤、および冷却剤を搬送するマニホールドの長さを増大し得る。マニホールドの長さを増大することは、それらのマニホールド内を進行する流体の速度を増大し、燃料セルによる流体の不均一な利用を結果的に生じさせ得る。燃料セルによる流体の不均一な利用は、MEA活性区域の不均一な使用、および、減少される効率を結果的に生じさせ得る。マニホールドのサイズを増大して、流体速度を減少することは、より大きい燃料セルスタックを結果的に生じさせ得る。さらに、他のものより実質的に長い1つの寸法を伴う燃料セルスタックは、望ましくなくあり得るものであり、なぜならば、そのような燃料セルスタックを収納するために現在利用可能な既存のハウジングは、ほとんど存しないことがあるからである。それゆえに、高電圧燃料セルスタックの設計を改善しようとする継続的な挑戦が存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[008]開示される高電圧燃料セルスタック設計は、上記で論述された1つもしくは複数の問題、および/または、既存の技術に関する他の問題を克服することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[009]1つの態様において、本開示は、電気化学セルスタック接合体を対象とする。電気化学セルスタック接合体は、複数の電気化学セルサブスタックを備え得る。第1の電気化学セルサブスタックおよび第2の電気化学セルサブスタックは、直列に電気的に接続され、並列に流体的に接続され得る。第1の電気化学セルサブスタックおよび第2の電気化学セルサブスタックは、複数の電気化学セルを備え得る。電気化学セルは、カソード触媒層、アノード触媒層、およびカソード触媒層とアノード触媒層との間に介在させられる高分子膜を備え得る膜電極接合体を備え得る。第1の電気化学セルサブスタックおよび第2の電気化学セルサブスタックは、アノードプレートおよびカソードプレートであって、膜電極接合体が、それらのアノードプレートとカソードプレートとの間に介在させられる、アノードプレートおよびカソードプレートを備え得る。第1の電気化学セルサブスタックおよび第2の電気化学セルサブスタックは、カソードプレートとカソード触媒層との間に配置されるカソード流れ場を備え得る。電流が、第1の電気化学セルサブスタックから第2の電気化学セルサブスタックに通過し得る。第1の電気伝導性構造が、第1の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設され得るものであり、第2の電気伝導性構造が、第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設され得る。第1の電気伝導性構造は、第2の電気伝導性構造に電気的に結合され得る。電気伝導性構造が、第1および第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設され得る。電気伝導性構造が、第1または第2の電気化学セルサブスタックのうちの少なくとも1つの第1の端部に配設され得る。電気伝導性構造は、電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームに電気的に結合され得る。電気伝導性構造は、電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームとともに、共通の電位にあり得る。第1の電流コレクタが、第1の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設され得るものであり、第2の電流コレクタが、第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設され得る。第1の電流コレクタは、電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームより高い電位にあり得る。第2の電流コレクタは、電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームより低い電位にあり得る。第1の電流コレクタは、約-1000ボルトから約+1000ボルトの電位にあり得るものであり、第2のコレクタは、約-1000ボルトから約+1000ボルトの電位にあり得る。電子が、(i)第1の電流コレクタから、第1の電気化学セルサブスタックの第2の端部への第1の方向において、および、(ii)第2の電気化学セルサブスタックの第2の端部から、第2の電流コレクタへの第2の方向において流れ得る。第1の方向は、第2の方向に対して反対であり得る。電気絶縁体が、第1の電気化学セルサブスタックと第2の電気化学セルサブスタックとの間に配設され得る。燃料、酸化剤、または冷却剤のうちの少なくとも1つの供給が、並列に流体接続される、第1の電気化学セルサブスタックと第2の電気化学セルサブスタックとの間で分けられ得る。マニホールド分配プレートが、第1および第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に接続され得る。マニホールド分配プレートは、燃料、酸化剤、または冷却剤のうちの少なくとも1つの供給を、第1および第2の電気化学セルサブスタックに対して流体的に分け得る。カソード流れ場は、多孔質構造を含み得る。複数の電気化学セルサブスタックは、約0アンペアから約1000アンペアの電流を発生させ得る。
【0010】
[010]別の態様において、本開示は、電気化学セルスタック接合体を配置構成する方法を対象とする。方法は、第1の電気化学セルサブスタックおよび第2の電気化学セルサブスタックを、直列に電気的に接続するステップを含み得る。方法は、第1の電気化学セルサブスタックおよび第2の電気化学セルサブスタックを、並列に流体的に接続するステップをさらに含み得る。第1の電気化学セルサブスタックおよび第2の電気化学セルサブスタックは、複数の電気化学セルを備え得る。電気化学セルは、カソード触媒層、アノード触媒層、およびカソード触媒層とアノード触媒層との間に介在させられる高分子膜を備える膜電極接合体を備え得る。電気化学セルは、アノードプレートおよびカソードプレートであって、膜電極接合体が、それらのアノードプレートとカソードプレートとの間に介在させられる、アノードプレートおよびカソードプレートと、カソード流れ場と、アノード流れ場とを備え得る。方法は、第1の電気伝導性構造を、第1の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設するステップと、第2の電気伝導性構造を、第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設するステップと、第1の電気伝導性構造を、第2の電気伝導性構造に電気的に結合するステップとをさらに含み得る。方法は、電気伝導性構造を、第1および第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設するステップをさらに含み得る。方法は、電気伝導性構造を、第1または第2の電気化学セルサブスタックのうちの少なくとも1つの第1の端部に配設するステップをさらに含み得る。電気伝導性構造は、電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームに電気的に結合され得る。電気伝導性構造は、電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームとともに、共通の電位にあり得る。方法は、第1の電流コレクタを、第1の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設するステップと、第2の電流コレクタを、第2の電気化学セルサブスタックの第1の端部に配設するステップとをさらに含み得る。第1の電流コレクタは、電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームより高い電位にあり得る。第2の電流コレクタは、電気化学セルスタック接合体を収容する機構のフレームより低い電位にあり得る。方法は、電気絶縁体を、第1の電気化学セルサブスタックと第2の電気化学セルサブスタックとの間に配設するステップをさらに含み得る。
【0011】
[011]上述の全体的な説明、および、後に続く詳細な説明の両方は、請求される際、本開示について、単に例示的および解説的であり、限定的ではないということが理解されるべきである。
【0012】
[012]本明細書に組み込まれ、本明細書の部分の構成物である、添付図面は、本開示の実施形態を例解し、説明とともに、本開示の原理を解説するように働く。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[013]例示的な実施形態による、一体に積層される複数の電気化学セル(例えば、燃料セル)の側面概略図である。
図2】[014]例示的な実施形態による、図1のアノードプレートの正面図である。
図3】[015]例示的な実施形態による、燃料セルスタックの正面斜視線図である。
図4】[016]別の例示的な実施形態による、燃料セルスタックの正面斜視線図である。
図5】[017]別の例示的な実施形態による、燃料セルスタックの正面斜視線図である。
図6】[018]別の例示的な実施形態による、伝導性プレートを伴う燃料セルスタックの正面斜視線図である。
図7】[019]例示的な実施形態による、マニホールド分配プレートの線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[020]本開示の例示的な実施形態に対する言及が、今から詳細に為されることになり、それらの実施形態の例が、添付図面において例解される。可能である場合はいつでも、同じ参照番号が、同じまたは類する部分を指すために、図面の全体を通して使用されることになる。電気を発生させるための電気化学燃料セルスタックとの関係において説明されるが、本開示のデバイスおよび方法は、電解セル、水素精製器、水素エキスパンダ、および水素ポンプを含むが、それらに制限されない、様々なタイプの燃料セルまたは電気化学セルによって用いられ得るということが理解される。
【0015】
[021]図1は、例示的な実施形態による、燃料セルスタック11の少なくとも一部分を形成するために、長手方向軸5に沿って一体に積層される複数の電気化学セル、例えば、燃料セル10の側面概略側面図である。燃料セル10は、一括して膜電極接合体(MEA)18と呼称され得る、さらには本明細書においてカソードと呼称され得るカソード触媒層12と、さらには本明細書においてアノードと呼称され得るアノード触媒層14と、カソード触媒層12とアノード触媒層14との間に配設されるプロトン交換膜(PEM)16とを備えることができる。PEM16は、純粋な高分子膜、または、他の材料を伴う複合膜を含むことができる。例えば、シリカ、ヘテロポリ酸、層状金属リン酸塩、リン酸塩、およびリン酸ジルコニウムが、高分子マトリクス内に埋め込まれ得る。PEM16は、プロトンに対して透過性であり得るものであり、一方で、電子を伝導しない。カソード触媒層12およびアノード触媒層14は、触媒を内包する多孔質炭素電極を含むことができる。触媒材料、例えば白金が、酸素および燃料の反応を増大することができる。一部の実施形態において、カソード触媒層12およびアノード触媒層14は、約1μmの平均孔サイズを有し得る。
【0016】
[022]燃料セル10は、2つのバイポーラプレート、例えば、カソードプレート20およびアノードプレート22を備えることができる。カソードプレート20は、カソード触媒層12に近接して配置され得るものであり、アノードプレート22は、アノード触媒層14に近接して配置され得る。MEA18は、カソードプレート20とアノードプレート22との間に介在させられ、それらのプレートの間で囲繞され得る。カソード区画19が、MEA18とカソードプレート20との間に形成され得るものであり、アノード区画21が、MEA18とアノードプレート22との間に形成され得る。カソードプレート20およびアノードプレート22は、電流コレクタの役割を果たし、それぞれの電極表面(例えば、アノード触媒層14およびカソード触媒層12)への燃料および酸化剤に対するアクセス流れ通路を提供し、燃料セル10の動作の間に形成される水の除去のための流れ通路を提供することができる。異なる1つまたは複数の伝導性構造が、カソードプレート20およびアノードプレート22の代わりに、または、それらのプレートに加えて、電流コレクタとして機能し得る。カソードプレート20およびアノードプレート22は、さらには、冷却剤流体(例えば、水、グリコール、または、水グリコール混合物)に対する流れ通路を規定することができる。例えば、近接する燃料セル10のカソードプレート20とアノードプレート22との間に、冷却剤区画23が形成され得るものであり、その冷却剤区画23は、近接する燃料セル10の間で冷却剤流体を循環させるように構成される。燃料セル10により発生させられる熱は、冷却剤流体に伝達され、冷却剤流体の循環により別のところに搬送され得る。カソードプレート20およびアノードプレート22は、例えば、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、チタン、銅、Ni-Cr合金、グラファイト、または、任意の他の適した電気伝導性材料から作製され得る。
【0017】
[023]一部の実施形態において、例えば、図1において例解されるように、燃料セル10は、さらには、MEA18の各々の側で、燃料セル10の中に、電気伝導性ガス拡散層(例えば、カソードガス拡散層24およびアノードガス拡散層26)を含み得る。ガス拡散層24、26は、セルの中でのガスおよび液体の輸送を可能にする拡散媒体として働き、カソードプレート20、アノードプレート22と、MEA18との間の電気的伝導を提供し、燃料セル10からの熱およびプロセス水の除去において助力となり、一部の事例において、PEM16に対する機械的支持を提供し得る。ガス拡散層24、26は、PEM16に面する側にコーティングされるカソード触媒層12およびアノード触媒層14を伴う、織布または不織布の炭素布を含むことができる。一部の実施形態において、カソード触媒層12およびアノード触媒層14は、近接するGDL24、26またはPEM16のいずれか上へとコーティングされ得る。一部の実施形態において、ガス拡散層24、26は、約10μmの平均孔サイズを有し得る。
【0018】
[024]燃料セル10は、MEA18の各々の側に配置される流れ場をさらに含み得る。流れ場は、MEA18の各々の側の燃料および酸化剤が、場を通って流れる、および、MEA18に達することを可能にするように構成され得る。これらの流れ場は、カソードおよびアノード触媒層12、14への、燃料および酸化剤の均一な分配を手助けし得る。触媒層12、14への、燃料および酸化剤の均一な分配は、燃料セル10の性能を増大し得る。一部の実施形態において、燃料セル10は、カソードプレート20とGDL24との間に配置される多孔質構造を含むカソード流れ場28を含み得る。一部の実施形態において、別個の多孔質構造よりむしろ、燃料セル10は、カソードプレート20内に形成されるカソード流れ場を備え得る。一部の実施形態において、燃料セル10は、図2に関して本明細書においてさらに説明されるように、アノードプレート22により形成され得るアノード流れ場30を含み得る。一部の実施形態において、燃料セル10は、アノードプレート22とGDL26との間に配置される多孔質構造を含むアノード流れ場を含み得る。燃料セル10の様々な実施形態において、上記で説明された流れ場の任意の組合せが利用され得るということが思索される。GDL24は、カソード流れ場28からのカソード触媒層12の機械的保護を提供し得る。
【0019】
[025]図1においての1つの燃料セル10のみが、カソード触媒層12、アノード触媒層14、プロトン交換膜16、膜電極接合体(MEA)18、カソード区画19、カソードプレート20、アノード区画21、アノードプレート22、冷却剤区画23、ガス拡散層24、ガス拡散層26、カソード流れ場28、およびアノード流れ場30に対する参照番号を含むが、スタック11の他の燃料セル10は、同じ要素を含み得るということが理解されるべきである。
【0020】
[026]燃料セルスタック11は、さらには、燃料セル10の積層されるカソードプレート20およびアノードプレート22の系列により規定される長手方向軸5に沿って延びる複数の流体マニホールド31a、31bを含み得る。流体マニホールド31a、31bは、燃料(例えば、水素)および酸化剤(例えば、酸素)を各々の燃料セル10のMEA18にフィードし、反応物生成物(例えば、未反応の燃料、未反応の酸化剤、および水)を各々の燃料セルのMEA18から排出するために構成され得る。流体マニホールド31A、31Bは、さらには、冷却剤流体をフィードおよび排出するために構成され得る。流体マニホールド31a、31bを通る流れの方向は変動し得る。例えば、一部の実施形態において、マニホールドおよび区画を通る流れは並流であり得るものであり、一方で、他の実施形態において、流れ経路のうちの1つまたは複数は向流であり得る。例えば、一部の実施形態において、アノードフィードマニホールド32a、32b(図3に関して下記で論考される)を通る燃料の流れは、カソードフィードマニホールド44a、44b(図3に関して下記で論考される)を通る酸化剤の流れに対して向流であり得る。流体マニホールド31a、31bは、通路およびポートを介してMEA18に流体接続し得る。特定のマニホールド、通路、およびポートが、本明細書において「フィード」、「排出」、「入口」または「出口」として識別されることがあるが、これらの名称は、流れの方向に基づいて決定され得るものであり、流れの方向は、切り替えられ得るということが理解されるべきである。流れの方向を変化させることは、これらの名称を変化させ得る。
【0021】
[027]図2は、例示的な実施形態による、アノードプレート22の正面図である。図2において可視の側は、MEA18のアノード側(すなわち、アノード触媒層14およびガス拡散層26)に面し、アノード区画21の1つの側を規定するように構成される側である(例えば、図1を確認されたい)。アノードプレート22は、いろいろなセクションを含み得る。これらのセクションは、例えば、第1のマニホールドセクション31Aおよび第2のマニホールドセクション31B、第1のアノード分配チャネル69および第2のアノード分配チャネル71などの分配チャネルセクション、ならびに、アノード流れ場30を含み得る。図2において示されるように、アノードプレート22は、第1のマニホールドセクション31A内に、アノードフィードマニホールド32と、カソード排出マニホールド54と、冷却剤フィードマニホールド56とを含み得るものであり、一方で、第2のマニホールドセクション31Bは、アノード排出マニホールド42と、カソードフィードマニホールド44と、冷却剤排出マニホールド62とを含み得る。各々のマニホールドに対する入口および出口の名称は、例えば、燃料セル10を通る燃料、酸化剤、または冷却剤流体流れの、それぞれの流れ方向を切り替えることにより切り替えられ得るということが理解されるべきである。
【0022】
[028]図2において示されるように、第1および第2のマニホールドセクション31A、31Bとアノード流れ場30との間に配設されるのが、第1および第2のアノード分配チャネル69、71である。第1のアノード分配チャネル69は、アノードフィードマニホールド32から供給される燃料を、アノード入口ポート35を経て、アノード流れ場30に分配するように構成され得る。第2のアノード分配チャネル71は、アノード流れ場30からの燃料(例えば、未反応の燃料)を収集し、燃料を、アノード出口ポート37を通し、アノード排出マニホールド42に導くように構成され得る。第1のアノード分配チャネル69および第2のアノード分配チャネル71は、MEA18とアノードプレート22との間のサンドイッチであり、MEA18およびアノードプレート22により規定され得る。第1のアノード分配チャネル69および第2のアノード分配チャネル71の周辺部は、図2において例解されるように、表面ガスケット43により封止され得る。一部の実施形態において、第1のアノード分配チャネル69の幅、および、第2のアノード分配チャネル71の幅は、アノード流れ場30の幅に全体的に等しくあり得る。
【0023】
[029]図3は、長さ34、幅36、および高さ38の燃料セルスタック11の線図を示す。燃料セルスタック11は、積層されるセルを備え得るものであり、それらのセルの面積は、燃料セルスタック11の正面端部39の面積と実質的に同様である。燃料セルスタック11は、概念的に2つに分割され得るセルを備え得るものであり、各々のセルの半分体は、第1および第2のサブスタック40、41を成り立たせる。サブスタック40は、サブスタック41のそばにあり得る。サブスタック41などのサブスタックは、流体マニホールドのセットを有し得る。サブスタック40、41内のマニホールド31aは、アノードフィードマニホールド32a、32bそれぞれと、カソード排出マニホールド54a、54bそれぞれと、冷却剤フィードマニホールド56a、56bそれぞれとを備え得る。サブスタック40、41内のマニホールド31bは、アノード排出マニホールド42a、42bそれぞれと、カソードフィードマニホールド44a、44bそれぞれと、冷却剤排出マニホールド62a、62bそれぞれとを備え得る。各々のマニホールドに対する入口および出口の名称は、例えば、燃料セル10を通る燃料、酸化剤、または冷却剤流体流れの、それぞれの流れ方向を切り替えることにより切り替えられ得るということが理解されるべきである。
【0024】
[030]各々のマニホールドの断面積は変動し得る。例えば、図3において示されるように、カソードフィードおよび排出マニホールド44a、44b、54a、54bは、冷却剤フィードおよび排出マニホールド56a、56b、62a、62bより大きい断面積を有し得る。冷却剤フィードおよび排出マニホールド56a、56b、62a、62bは、アノードフィードおよび排出マニホールド32a、32b、42a、42bより大きい断面積を有し得る。
【0025】
[031]サブスタック40、41内のマニホールドの配置構成は変動し得る。図3において示されるように、マニホールドの配置構成は、マニホールドセクション31a、31bの間で異なり得る。1つの例解的な例において、図3において示されるように、冷却剤フィードマニホールド56aは、アノードフィードマニホールド32aと、カソード排出マニホールド54aとの間に配置され得るものであり、冷却剤排出マニホールド62aは、アノード排出マニホールド42aと、カソードフィードマニホールド44aとの間に配置され得る。一部の実施形態において、カソード排出マニホールド54aは、冷却剤フィードマニホールド56aの左であり得るものであり、アノードフィードマニホールド32aは、冷却剤フィードマニホールド56aの右であり得るものであり、一方で、カソードフィードマニホールド44aは、冷却剤排出マニホールド62aの右であり得るものであり、アノード排出マニホールド42aは、冷却剤排出マニホールド62aの左であり得る。第1のマニホールドセクション31aと、第2のマニホールドセクション31bとの間で、冷却剤マニホールドに相対的なアノードおよびカソードマニホールドの配置を取り替えることは、直線的横断流れよりむしろ、対角線交差向流の流れ、すなわち「z流れ」を助長し得る。対角線交差向流の流れは、活性区域にわたって、燃料および酸化剤の改善された一様な分配を提供し得るものであり、そのことは、燃料セル性能を改善し得る。性能は、対角線交差向流の流れが、利用される活性区域を最大化し得るので、改善され得る。
【0026】
[032]第1の流体マニホールド31aおよび第2の流体マニホールド31bの中央においての冷却剤マニホールド56a、62aの配置は、冷却剤区画の中央領域が、最も多い冷却剤流体流れを受けることを結果的に生じさせ得る。冷却剤区画の中央領域は、燃料セル10の活性区域の中央領域に対応し得る。燃料セル10の活性区域の中央領域は、増大される熱発生に遭遇し得る。一部の実施形態において、最も多い熱を発生させ得る燃料セルスタック11の中の燃料セルの領域は、最も多い冷却剤流体流れを受ける領域と対応し得る。
【0027】
[033]電位が、燃料セルスタック11の正面端部39と背面端部66との間で発生させられ得る。燃料セルスタック11が負荷を負う(例えば、電流を外部電気的負荷に送達している)とき、電流は、より高い電位を伴う燃料セルスタック11上の点から、負荷を通り、より低い電位を伴う燃料セルスタック11上の点に流れ得る。例えば、電流は、正面端部39から、外部負荷(図示せず)を通り、背面端部66に流れ得る。このことが起こるとき、電子は、正面端部39から背面端部66への方向において、燃料セル10にわたって流れ得る。
【0028】
[034]燃料セルスタック11は、電力を発生させ得る。発生させられる電力の量は、燃料セルスタック11にわたって発生させられる電位、および、燃料セルスタック11を通過する電流により決定され得る。燃料セルスタック11の代替の構成は、より高い電位を発生させ、より小さい電流を通過させることにより、同じ量の電力を送達する能力があり得る。例えば、図4は、例示的な実施形態による、燃料セルスタック11の別の構成の線図である。図3において例解されるような燃料セルスタック11のセルが、各々のセルの面積が各々のサブスタック40の正面端部の面積と実質的に同様であるように2つに分割される(例えば、半分に分割される)ならば、サブスタック41の中のセルは、サブスタック40の中のセルの背後に配置され得る(すなわち、サブスタック41は、サブスタック40の背後のポジションであり得る)。一部の実施形態において、サブスタック41は、サブスタック40の前方に配置され得る。これらの配置構成のいずれにおいても、発生させられる電位は、図3において例解される実施形態においてより高くあり得るものであり、なぜならば、直列に電気的に接続される、より多いセルが存するからである。通過させられる電流は、図3において例解される実施形態においてより低くあり得るものであり、なぜならば、活性区域は、サブスタック40およびサブスタック41の両方内のセルの面積よりむしろ、サブスタック40内のセルの面積に制限されるからである。図4において例解される実施形態において、マニホールド54a、56a、32a、42a、62a、および44aの長さは、燃料、冷却剤、および酸化剤を、より大である距離で、サブスタック41に送達するために、図3において例解される実施形態の長さから増大され得る。これらのマニホールドの長さを増大することは、燃料セルスタック11を通る燃料、冷却剤、または酸化剤のうちの少なくとも1つの速度を増大し得る。増大される速度は、これらの物質のうちの1つまたは複数の不均一な消費を結果的に生じさせ得る。速度を減少し、これらの物質の消費の一様性を増大するために、マニホールドのサイズが増大され得る。しかしながら、マニホールドのサイズを増大することは、燃料セルスタック11の総体的なサイズを増大し得る。サブスタック41を収納するために長さ34を増大することは、長さ68を、高さ38および/または幅70より実質的に大きくし得る。一部の実施形態において、燃料セルスタック11が、互いと同様な2つ以上の寸法を有することが好ましくあり得る。例えば、一部の実施形態において、燃料セルスタック11が、長さ68を、高さ38の30.48cm(1フィート)の範囲内にすることが好ましくあり得る。一部の実施形態において、燃料セルスタック11が、長さ68を、幅70の30.48cm(1フィート)の範囲内にすることが好ましくあり得る。一部の実施形態において、寸法の間の関係性と関連付けられる好ましさは存しないことがある。
【0029】
[035]図5は、例示的な実施形態による、燃料セルスタック11の別の構成の線図である。サブスタック40、41は、互いのそばに配置構成され得る。一部の実施形態において、サブスタック40の正面端部39aは、サブスタック41の背面端部66bに近接し得る。この様式において、電位が、サブスタック40の正面端部39aと、サブスタック40の背面端部66aとの間で確立され得るものであり、電位が、サブスタック41の正面端部39bと、サブスタック41の背面端部66bとの間で確立され得る。電位を、サブスタック40の正面端部39aと、サブスタック41の背面端部66bとの間で確立するために、サブスタック40の背面端部66a、および、サブスタック41の正面端部39bが、電気的に結合され得る。例えば、サブスタック40の背面端部66a、および、サブスタック41の正面端部39bは、一体にハード配線され得る。一部の実施形態において、電気伝導材料(例えば、金属プレート)が、サブスタック40の背面端部66aの少なくとも一部分、および、サブスタック41の正面端部39bの少なくとも一部分にわたって設置され得る。図6において例解されるように、電気伝導金属プレート104が、サブスタック40の背面端部66a、および、サブスタック41の正面端部39bにわたって設置され得る。この配置構成によって、サブスタック40およびサブスタック41は、直列に電気的に接続されると考えられ得る。サブスタック40の正面端部39aにおいての電位は、サブスタック41の背面端部66bより高い電位にあり得る。一部の実施形態において、サブスタック40の正面端部39aにおいての電位は、約-1000ボルトから約+1000ボルトであり得る。一部の実施形態において、サブスタック41の背面端部66bにおいての電位は、約-1000ボルトから約+1000ボルトであり得る。燃料セルスタック11が電気的負荷を負うとき、電流は、サブスタック40の正面端部39aから電気的負荷を通り、電気的負荷からサブスタック41の背面端部66bに流れ得る。電子は、サブスタック40の正面端部39aからサブスタック40の背面端部66aへの方向において、サブスタック40内のセルにわたって流れ得る。この方向は、矢印106aにより指示される。電子は、矢印106bにより指示される方向において、電気伝導材料を越えるなどして、サブスタック40の背面端部66aからサブスタック41の正面端部39bに渡り得る。電子は、サブスタック41の正面端部39bからサブスタック41の背面端部66bへの方向において、サブスタック41内のセルにわたって流れ得る。この方向は、矢印106cにより指示される。サブスタック40、41は、約0アンペアから約1000アンペアの電流を発生させ得る。
【0030】
[036]一部の実施形態において、電気絶縁材料72が、サブスタック40、41の間に配設され得る。絶縁材料72は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのプラスチックであり得る。絶縁材料72は、短絡がサブスタック40、41の間で確立されることを防止し得る。
【0031】
[037]一部の実施形態において、サブスタック41の背面端部66bは、例えば、サブスタック41の背面端部66bを、サブスタック41の背面端部66bが保持されることになる電位にある、別の点にハード配線または結合することにより、1つまたは複数の電位に保持され得る。この電位は、例えば、燃料セルスタック11を収容する機構のフレーム(例えば、乗物シャーシ)の電位であり得る。一部の実施形態において、サブスタック40、41が互いに接続される点は、1つまたは複数の電位に保持され得る。この電位は、例えば、燃料セルスタック11を収容する機構のフレーム(例えば、乗物シャーシ)の電位であり得る。そのような接続を為すことは、燃料セルスタック11を収容する機構のフレームの電位より下の、サブスタック41の背面端部66bにおいての電位を強制し得る。そのような接続を為すことは、燃料セルスタック11を収容する機構のフレームの電位より上の、サブスタック40の正面端部39aにおいての電位を強制し得る。そのような接続を、サブスタック41の背面端部66bをフレームに接続することの代わりに為すことは、燃料セルスタック11上の一部またはすべての場所が、燃料セルスタック11を収容する機構のフレーム(例えば、乗物シャーシ)の電位に、より近くなることを許し得る。例えば、燃料セルスタック11にわたる電位が560Vであり、サブスタック40の正面端部39aと背面端部66aとの間の電位が、サブスタック41の正面端部39bと背面端部66bとの間の電位と同じであるならば、サブスタック40、41が互いに接続される点を、燃料セルスタック11を収容する乗物のシャーシに接続することは、燃料セルスタック11上の点と乗物シャーシとの間の、電位においての最も大である差を、280V(2で除算された560V)に実質的に等しくし得る。この例において、サブスタック40の正面端部39aにおいての電位は、乗物シャーシより280V上であり得るものであり、サブスタック41の背面端部66bにおいての電位は、乗物シャーシより280V下であり得る。サブスタック41の背面端部66bが、サブスタック40、41が互いに接続される点が乗物シャーシに接続されることの代わりに、乗物シャーシに接続されるならば、燃料セルスタック11上の点と乗物シャーシとの間の、電位においての最も大である差は、560Vであり得る。この例において、サブスタック40の正面端部39aにおいての電位は、乗物シャーシより560V上であり得る。燃料セルスタック11上の一部またはすべての場所を、燃料セルスタック11を収容する機構のフレーム(例えば、乗物シャーシ)の電位に、より近くすることは、燃料セルスタック11と、フレームと同じ電位に保持される構成要素、または、他のより低い電位においての構成要素との間の短絡の事象において、損傷または傷害の程度を減少し得る。
【0032】
[038]一部の実施形態において、マニホールド44a、44bは、酸化剤をサブスタック40、41それぞれに送達し得る。マニホールド54a、54bは、酸化剤をサブスタック40、41それぞれから受け得る。マニホールド32a、32bは、燃料をサブスタック40、41それぞれに送達し得る。マニホールド42a、42bは、燃料をサブスタック40、41それぞれから受け得る。マニホールド62a、62bは、冷却剤をサブスタック40、41それぞれに送達し得る。マニホールド56a、56bは、冷却剤をサブスタック40、41それぞれから受け得る。一部の実施形態において、サブスタック40、41は、各々、酸化剤、燃料、および/または冷却剤の、それらのサブスタック自体のストリームを受け得る。この配置構成において、サブスタック40、41は、流体的に並列に接続されると考えられ得る。
【0033】
[039]図5において例解される実施形態において、燃料セルスタック11は、互いと同様な2つ以上の寸法を有し得る。例えば、幅70および長さ34は、互いの30.48cm(1フィート)の範囲内にあり得る。
【0034】
[040]図7は、マニホールド分配プレート74の例示的な実施形態の線図である。マニホールド分配プレート74は、図5の燃料セルスタック11に対して、燃料、冷却剤、および酸化剤をそれぞれのフィードマニホールドに分配し、燃料、冷却剤、および酸化剤をそれぞれの排出マニホールドから受け得る。マニホールド分配プレート74は、プレート背面端部76上のポートが燃料セルスタック11のマニホールドと位置合わせするように、図5において例解される燃料セルスタック11の、サブスタック40の背面端部66a、および、サブスタック41の正面端部39bに対して設置され得る。一部の実施形態において、マニホールド分配プレート74は、電気伝導金属プレート104に対して設置され得る。一部の実施形態において、電気絶縁材料(図示せず)が、マニホールド分配プレート74とサブスタック40、41との間に、および/または、マニホールド分配プレート74と電気伝導金属プレート104との間に介在させられ得る。プレート正面端部78上のポートが、実線によって例解され、プレート背面端部76上のポートが、破線によって例解される。マニホールド分配プレート74は、単一の流体源接続(例えば、燃料源接続)が、流体を複数個のマニホールドに供給することを許し得る。マニホールド分配プレート74は、プレート正面端部78上の、流体を受けるための単一のポートと、流体を放出するための、プレート背面端部76上の2つのポートとを有し得るものであり、流体を受けるための単一のポートは、流体を放出するための2つのポートに流体結合される。例えば、プレート正面端部78上に位置するアノード受けポート80は、燃料を受け、その燃料を、プレート背面端部76上に位置するアノード放出ポート84a、84bに導き得る。燃料は、アノード放出ポート84a、84bから、燃料セルスタック11のマニホールド32a、32b内へと導かれ得る。プレート正面端部78上に位置するカソード受けポート88は、酸化剤を受け、その酸化剤を、プレート背面端部76上に位置するカソード放出ポート92a、92bに導き得る。酸化剤は、カソード放出ポート92a、92bから、燃料セルスタック11のマニホールド44a、44b内へと導かれ得る。プレート正面端部78上に位置する冷却剤受けポート96は、冷却剤を受け、その冷却剤を、プレート背面端部76上に位置する冷却剤放出ポート98a、98bに導き得る。冷却剤は、冷却剤放出ポート98a、98bから、燃料セルスタック11のマニホールド62a、62b内へと導かれ得る。マニホールド分配プレート74は、プレート背面端部76上の、流体を受けるための2つのポートと、流体を放出するための、プレート正面端部78上の1つのポートとを有し得るものであり、流体を受けるための2つのポートは、流体を放出するための単一のポートに流体結合される。例えば、プレート背面端部76上に位置するアノード受けポート82a、82bは、燃料を燃料セルスタック11のマニホールド42a、42bから受け、その燃料を、プレート正面端部78上に位置するアノード放出ポート86に導き得る。燃料は、燃料セルスタック11から排出される燃料を受けるように構成される外部システム内へと放出され得る。プレート背面端部76上に位置するカソード受けポート90a、90bは、酸化剤をマニホールド54a、54bから受け、その酸化剤を、プレート正面端部78上に位置するカソード放出ポート94に導き得る。酸化剤は、燃料セルスタック11からの酸化剤排出を受けるように構成される外部システム内へと放出され得る。プレート背面端部76上に位置する冷却剤受けポート100a、100bは、冷却剤をマニホールド56a、56bから受け、その冷却剤を、プレート正面端部78上に位置する冷却剤放出ポート102に導き得る。冷却剤は、燃料セルスタック11からの冷却剤排出を受けるように構成される外部システム内へと放出され得る。
【0035】
[041]上述は、プレート背面端部76上の2つのポートに結合される、プレート正面端部78上の単一のポートの複数個のセットを有すると、マニホールド分配プレート74を説明しているが、他の配置構成が構想され得るということが理解されるべきである。例えば、プレート背面端部76上の、より少ないポートに結合される、プレート正面端部78上の、より多いポートが存し得る。異なる流体が、マニホールド分配プレート74内のポートの異なる配置構成の間で分配され得る。
【0036】
[042]上述の説明は、例解の目的のために提示されたものである。その説明は、網羅的ではなく、開示される寸分違わない形式または実施形態に限定されない。実施形態の修正および適合が、本明細書の考察、および、開示される実施形態の実践から明白であろう。
【0037】
[043]なおまた、例解的な実施形態が本明細書において説明されたが、範囲は、本開示に基づく均等な要素、修正、省略、組合せ(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)、適合、および/または改変を有する一切の実施形態を含む。特許請求の範囲においての要素は、特許請求の範囲において用いられる文言に基づいて広範に解釈されるべきであり、本明細書において、または、本出願の手続処理の間に説明される例に限定されるべきではなく、それらの例は、非排他的と解されるべきである。さらに、開示される方法のステップは、ステップを並べ替えること、および/または、ステップを挿入もしくは削除することを含む、任意の様式で修正され得る。
【0038】
[044]用語「約」または「近似的に」は、本明細書において使用される際、当業者により決定されるような、個別の値に対する容認可能な誤差範囲の中を意味し、その誤差範囲は、部分的には、どのように値が測定または決定されるか、例えば、測定システムの制限に依存することになる。例えば、「約」は、当技術分野においての慣例によって、1または1を超える標準偏差の中を意味することがある。代替的には、「約」は、所与の値の10%まで、5%まで、および、1%までなど、20%までの範囲を意味することがある。
【0039】
[045]本開示の特徴部および利点は、詳細な明細書から明白であり、かくして、添付される特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨および範囲の中に収まる、すべてのシステムおよび方法を包含するということが意図される。本明細書において使用される際、不定冠詞「a」および「an」は、「1つまたは複数の」を意味する。同様に、複数形用語の使用は、その用語が所与の文脈において曖昧さのないものでない限り、必ずしも複数を表象するとは限らない。「および」または「または」などの単語は、別段に具体的に指図されない限り、「および/または」を意味する。さらに、数多くの修正および変更が、本開示を考究することから、たやすく浮かぶことになるので、本開示を、例解および説明される、そのままの構築物および動作に限定することは所望されず、よって、本開示の範囲の中に収まる、すべての適した修正および均等物が、頼むところにされることがある。
【0040】
[046]本開示の他の実施形態が、本明細書の考察、および、本明細書においての本開示の実践から、当業者には明白であろう。本明細書および例は、単に例示的と考えられ、本開示の真の範囲および趣旨は、後に続く特許請求の範囲により指示されるということが意図される。
図1
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図7