(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】塗工ヘッド
(51)【国際特許分類】
B05C 5/02 20060101AFI20250310BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20250310BHJP
【FI】
B05C5/02
H01M4/04 Z
(21)【出願番号】P 2021041475
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】森島 秀明
(72)【発明者】
【氏名】高塚 大典
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-275779(JP,A)
【文献】特開2015-192992(JP,A)
【文献】特開2001-029861(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143342(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0374971(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0190818(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/02
H01M 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の内部に形成される第1のマニホールドと、
前記ヘッド本体の前記内部において前記第1のマニホールドに対して前方側に隣接して形成される第1のスリットと、
前記ヘッド本体の前記内部において前記第1のスリットに対して前記前方側に隣接して形成され、前記第1のマニホールドから前記第1のスリットを通して塗液が流入する第2のマニホールドと、
前記ヘッド本体において前記第2のマニホールドに対して前記前方側に隣接して形成され、前記第2のマニホールドから前記塗液を前記前方側へ向かって外部へ吐出する吐出口を形成する第2のスリットであって、前後方向に交差する高さ方向に沿った寸法が前記高さ方向に沿った前記第1のスリットの寸法に比べて大きい第2のスリットと、
を具備
し、
前記ヘッド本体は、第1のブロックと、前記高さ方向の一方側から前記第1のブロックに取付けられる第2のブロックと、を備え、
前記第1のマニホールド、前記第1のスリット、前記第2のマニホールド及び前記第2のスリットは、前記高さ方向について前記第1のブロックと前記第2のブロックとの間に形成され、
前記ヘッド本体は、前記第1のマニホールドと前記第2のマニホールドとの間において、前記第1のブロックと前記第2のブロックとを締結する締結部を備え、
前記締結部は、前記前後方向及び前記高さ方向の両方に交差する幅方向について、前記第1のスリットに対して隣接して形成され、
前記幅方向に沿った前記第1のスリットの寸法は、前記幅方向に沿った前記第2のスリットの寸法に比べて小さい、
塗工ヘッド。
【請求項2】
前記前後方向に沿った前記第2のマニホールドの寸法は、前記前後方向に沿った前記第1のマニホールドの寸法に比べて小さい、請求項
1の塗工ヘッド。
【請求項3】
前記第1のスリットは、前記幅方向に沿って並んだ状態で複数設けられ、
前記締結部は、前記幅方向について隣り合う前記第1のスリットの間に形成される、
請求項
1又は2の塗工ヘッド。
【請求項4】
前記第1のブロックと前記第2のブロックとの間で挟まれるシム板をさらに具備し、
前記シム板は、第1の板厚になる第1の板厚部と、前記第1の板厚より薄い第2の板厚になる第2の板厚部と、を備え、
前記締結部では、前記第1のブロックと前記第2のブロックとの間に前記第1の板厚部が延設され、
前記第1のスリットでは、前記第1のブロックと前記第2のブロックとの間に前記第2の板厚部が延設される
、
請求項
1乃至3のいずれか1項の塗工ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、塗工ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
基材の表面に塗液が塗布された塗工体の形成に、スロットダイ等の塗工ヘッドが用いられている。このような塗工ヘッドでは、マニホールドが、ヘッド本体の内部に形成され、スリットが、マニホールドに対して塗工ヘッドの前方側に隣接して形成される。そして、スリットは、マニホールドから塗液を前方側へ向かって外部へ吐出する吐出口を、形成する。塗工体の形成においては、スリットから吐出された塗液が、基材の表面に塗布される。
【0003】
前述のような塗工ヘッドでは、前後方向に交差する(直交又は略直交する)幅方向について塗液が均一に分配され、幅方向についての位置に関係なく吐出口からの塗液の吐出量が均一になることが、求められている。また、塗液の吐出口及びその近傍において、ヘッド本体の変形が抑制されることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-154302号公報
【文献】特開2013-176736号公報
【文献】特開2007-275779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、幅方向について塗液が均一に分配され、吐出口及びその近傍においてヘッド本体の変形が抑制される塗工ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、塗工ヘッドは、ヘッド本体、第1のマニホールド、第1のスリット、第2のマニホールド及び第2のスリットを備える。第1のマニホールドは、ヘッド本体の内部に形成され、第1のスリットは、ヘッド本体の内部において第1のマニホールドに対して前方側に隣接して形成される。第2のマニホールドは、ヘッド本体の内部において第1のスリットに対して前方側に隣接して形成され、第2のマニホールドには、第1のマニホールドから第1のスリットを通して塗液が流入する。第2のスリットは、ヘッド本体において第2のマニホールドに対して前方側に隣接して形成され、第2のマニホールドから塗液を前方側へ向かって外部へ吐出する吐出口を形成する。前後方向に交差する高さ方向に沿った第2のスリットの寸法は、高さ方向に沿った第1のスリットの寸法に比べて大きい。ヘッド本体は、第1のブロック、及び、高さ方向の一方側から第1のブロックに取付けられる第2のブロックを備え、第1のマニホールド、第1のスリット、第2のマニホールド及び第2のスリットは、高さ方向について第1のブロックと第2のブロックとの間に形成される。ヘッド本体は、第1のマニホールドと第2のマニホールドとの間において、第1のブロックと第2のブロックとを締結する締結部を備え、締結部は、前後方向及び高さ方向の両方に交差する幅方向について、第1のスリットに対して隣接して形成される。幅方向に沿った第1のスリットの寸法は、幅方向に沿った前記第2のスリットの寸法に比べて小さい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る塗工ヘッドを概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る塗工ヘッドを、2つのブロック及びシム板を互いに対して分離した状態で概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る塗工ヘッドを、2つのブロックの一方及びシム板から2つのブロックの他方を分離した状態で概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る塗工ヘッドの2つのブロックの一方及びシム板を、一部断面で概略的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、ある変形例に係る塗工ヘッドの2つのブロックの一方及びシム板を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1乃至
図3は、第1の実施形態に示す塗工ヘッド1を示す。本実施形態では、塗工ヘッド1は、例えば、スロットダイである。
図1乃至
図3に示すように、塗工ヘッド1は、ヘッド本体2を備え、ヘッド本体2は、2つのブロック5,6を備える。また、塗工ヘッド1は、シム板7を備える。ブロック5,6及びシム板7のそれぞれは、例えば、金属から形成される。
図2では、ブロック(第1のブロック)5、ブロック(第2のブロック)6及びシム板7を互いに対して分離した状態で示す。また、
図3では、ブロック6をブロック5及びシム板7から分離した状態で示す。
【0010】
塗工ヘッド1では、前後方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、前後方向に交差する(直交又は略直交する)幅方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)、及び、前後方向及び幅方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。塗工ヘッド1(ヘッド本体2)では、幅方向に沿った寸法は、前後方向に沿った寸法、及び、高さ方向に沿った寸法のそれぞれに比べて大きい。また、
図4は、ブロック5及びシム板7の一部を示し、
図4の一部では、塗工ヘッド1の幅方向に対して直交又は略直交する切断面でブロック5及びシム板7を切断した断面が、示される。
【0011】
図1乃至
図4等に示すように、ブロック5,6のそれぞれは、塗工ヘッド1の幅方向について、塗工ヘッド1の一端から他端に渡って延設され、塗工ヘッド1の前後方向について、塗工ヘッド1の前方端から後方端に渡って延設される。このため、ブロック5,6のそれぞれでは、塗工ヘッド1の幅方向に沿った寸法は、塗工ヘッド1前後方向に沿った寸法、及び、塗工ヘッド1の高さ方向に沿った寸法のそれぞれに比べて大きい。
【0012】
ブロック(第2のブロック)6は、高さ方向の一方側からブロック(第1のブロック)5に取付けられる。ある一例では、塗工ヘッド1(ヘッド本体2)の高さ方向が鉛直方向と一致又は略一致し、ブロック6は、鉛直上側からブロック5に取付けられる。シム板7は、塗工ヘッド1の高さ方向について、ブロック5,6の間で挟まれる。シム板7では、板厚方向が規定される。シム板7は、板厚方向が塗工ヘッド1の高さ方向と一致又は略一致する状態で、ブロック5,6の間に配置される。
【0013】
ブロック5は、塗工ヘッド1の高さ方向についてブロック6が位置する側を向く面(第1の面)11を備え、ブロック6は、塗工ヘッド1の高さ方向についてブロック5が位置する側を向く面(第2の面)12を備える。ヘッド本体2の内部には、マニホールド13,15が形成される。本実施形態では、マニホールド13,15は、ブロック5の面11に形成される。マニホールド13,15のそれぞれは、面11において、高さ方向についてブロック6が位置する側とは反対側へ凹む。
【0014】
マニホールド13,15のそれぞれでは、塗工ヘッド1の幅方向に沿った寸法が、塗工ヘッド1の前後方向に沿った寸法に比べて大きい。このため、マニホールド13,15のそれぞれは、塗工ヘッド1の幅方向に沿った寸法が大きい長溝状に形成される。ブロック5では、塗工ヘッド1の幅方向について一端部から他端部に渡って、マニホールド13,15のそれぞれが延設される。
【0015】
ブロック5の面11では、マニホールド13,15は、塗工ヘッド1の前後方向について互いに対して離れて配置される。本実施形態では、マニホールド(第1のマニホールド)13は、マニホールド(第2のマニホールド)15に対して後方側(矢印X2側)に離れて形成される。また、マニホールド15の凹み量は、マニホールド13の凹み量に比べて小さく、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったマニホールド15の寸法(深さ)は、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったマニホールド13の寸法(深さ)に比べて小さい。
【0016】
塗工ヘッド1の前後方向に沿ったマニホールド15の寸法(溝幅)は、塗工ヘッド1の前後方向に沿ったマニホールド13の寸法(溝幅)に比べて小さい。
図2乃至
図4等の一例では、マニホールド13,15のそれぞれは、塗工ヘッド1の幅方向に直交又は略直交する断面において、半円形状又は略半円形状になる。ただし、マニホールド13,15のそれぞれでは、塗工ヘッド1の幅方向に直交又は略直交する断面において、底面が円弧状又は略円弧状になり、底面が曲面状に形成されていればよい。
【0017】
また、ブロック(第1のブロック)5の内部には、流入路16が形成される。流入路16の一端は、マニホールド13と連通する。流入路16の他端は、塗工ヘッド1の外部に対して開口し、後方側へ向かって開口する。塗工ヘッド1では、流入路16のマニホールド13に接続される側とは反対側の端が、外部から塗工ヘッド1への塗液の流入口となる。
【0018】
シム板7は、板厚部17,18を備える。板厚部(第1の板厚部)17は、板厚方向(塗工ヘッド1の高さ方向)について、第1の板厚になる。板厚部(第2の板厚部)18は、板厚方向(塗工ヘッド1の高さ方向)について、第1の板厚より薄い第2の板厚になる。シム板7では、ブロック5が位置する側を向く表面は、全体に渡って同一又は略同一の平面上に位置する状態に、形成される。そして、シム板7では、ブロック6が位置する側を向く表面は、板厚部18が板厚部17に対してブロック5が位置する側へ凹む状態に、形成される。塗工ヘッド1では、ブロック5,6のそれぞれと板厚部17との間には、隙間が形成されない、又は、ほとんど形成されない。そして、ブロック5と板厚部18との間にも、隙間が形成されない又はほとんど形成されない。ただし、ブロック6と板厚部18との間には、隙間が形成される。
【0019】
シム板7の板厚部(第1の板厚部)17は、延設板部21、及び、本実施形態では4つの突出板部22を備える。延設板部21は、塗工ヘッド1の幅方向について一端から他端に渡って延設される。また、塗工ヘッド1では、延設板部21は、マニホールド13に対して後方側に位置し、延設板部21は、塗工ヘッド1の後方端を形成する。突出板部22のそれぞれは、延設板部21から塗工ヘッド1の前方側へ向かって突出する。突出板部22のそれぞれの突出端は、塗工ヘッド1の前方端を形成する。
【0020】
突出板部22は、塗工ヘッド1の幅方向について、互いに対して離れて配置される。塗工ヘッド1では、突出板部22の1つである突出板部22Aは、幅方向の一方側の端を形成する。そして、塗工ヘッド1では、突出板部22の突出板部22Aとは別の1つである突出板部22Bは、幅方向について突出板部22Aとは反対側の端を形成する。また、突出板部22A,22B以外の突出板部22は、塗工ヘッド1の幅方向について、突出板部22A,22Bの間に配置される。
【0021】
シム板7の板厚部(第2の板厚部)18は、本実施形態では3つの中継板部23を備える。塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う2つの突出板部22の間は、中継板部23の対応する1つによって中継される。したがって、中継板部23のそれぞれは、突出板部22の対応する2つの間に、塗工ヘッド1の幅方向に沿って延設される。また、中継板部23のそれぞれは、延設板部21に対して、塗工ヘッド1の前方側(矢印X1側)に離れて配置され、突出板部22のそれぞれの突出端に対して、塗工ヘッド1の後方側に離れて配置される。
【0022】
中継板部23のそれぞれは、塗工ヘッド1の前後方向について、マニホールド13,15の間に位置する。そして、中継板部23のそれぞれは、マニホールド(第1のマニホールド)13に対して塗工ヘッド1の前方側に隣接し、マニホールド(第2のマニホールド)15に対して塗工ヘッド1の後方側に隣接する。なお、中継板部23のそれぞれは、板厚部18の一部である。このため、中継板部23のそれぞれとブロック5の面11との間には、隙間が形成されない又はほとんど形成されない。そして、中継板部23のそれぞれとブロック6の面12との間には、隙間が形成される。
【0023】
また、シム板7には、中継板部23のそれぞれと延設板部21との間に孔25が形成され、本実施形態では3つの孔25が形成される。孔25のそれぞれは、板厚方向(塗工ヘッド1の高さ方向)に沿ってシム板7を貫通する。孔25のそれぞれでは、延設板部21、突出板部22の対応する2つ、及び、中継板部23の対応する1つによって、縁が形成される。塗工ヘッド1では、孔25は、前後方向について、マニホールド13に対してずれていない、又は、ほとんどずれていない。
【0024】
また、シム板7には、本実施形態では3つの切欠き26が形成され、切欠き26のそれぞれは、中継板部23の対応する1つに対して孔25とは反対側に隣接する。切欠きのそれぞれは、板厚方向(塗工ヘッド1の高さ方向)に沿ってシム板7を貫通する。切欠き26のそれぞれでは、突出板部22の対応する2つ、及び、中継板部23の対応する1つによって、縁が形成される。塗工ヘッドで1では、切欠き26のそれぞれは、突出板部22の対応する2つの突出端の間において、前方側へ向かって開口する。
【0025】
シム板7が前述のような構成であるため、ヘッド本体2の内部では、ブロック5,6の間に、マニホールド13,15に加えて、本実施形態では3つのスリット(第1のスリット)31が形成される。塗工ヘッド1では、スリット31のそれぞれは、マニホールド(第1のマニホールド)13に対して前方側に隣接して形成され、マニホールド15は、スリット31のそれぞれに対して前方側に隣接して形成される。このため、ヘッド本体2の内部では、マニホールド15は、スリット31を間に介して、マニホールド13と連通する。
【0026】
スリット31のそれぞれは、中継板部23の対応する1つとブロック6の面12との間の隙間によって、形成される。このため、スリット31のそれぞれでは、ブロック5,6の間に、シム板7の板厚部18が延設される。本実施形態では、3つのスリット31は、塗工ヘッド1の幅方向に沿って並んだ状態で設けられる。ただし、3つのスリット31は、塗工ヘッド1の幅方向について、互いに対して離れて配置される。そして、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う2つのスリット31の間は、板厚部17の突出板部22の対応する1つによって、仕切られる。
【0027】
また、シム板7が前述のような構成であるため、ヘッド本体2では、ブロック5,6の間に、マニホールド13,15及びスリット31に加えて、本実施形態では3つのスリット(第2のスリット)32が形成される。塗工ヘッド1では、スリット32のそれぞれは、マニホールド(第2のマニホールド)15に対して前方側に隣接して形成される。スリット32のそれぞれにおいてマニホールド15に接続される側とは反対側の端は、塗工ヘッド1の外部に対して開口し、前方側へ向かって開口する。そして、塗工ヘッド1では、スリット32のそれぞれにおいてマニホールド15に接続される側とは反対側の端が、塗工ヘッド1から外部へ塗液を吐出する吐出口となる。
【0028】
スリット32のそれぞれは、ブロック5の面11とブロック6の面12との間の隙間によって、形成される。このため、スリット32のそれぞれでは、ブロック5,6の間に、シム板7が配置されていない。本実施形態では、3つのスリット32は、塗工ヘッド1の幅方向に沿って並んだ状態で設けられる。ただし、3つのスリット32は、塗工ヘッド1の幅方向について、互いに対して離れて配置される。そして、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う2つのスリット32の間は、板厚部17の突出板部22の対応する1つによって、仕切られる。
【0029】
ここで、スリット31のそれぞれでは、ブロック5,6の間にシム板7の板厚部(第2の板厚部)18が延設されるのに対し、スリット32のそれぞれでは、ブロック5,6の間にシム板7が配置されない。このため、本実施形態では、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット(第2のスリット)32のそれぞれの寸法は、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット(第1のスリット)31のそれぞれの寸法に比べて大きい。すなわち、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット31のそれぞれの寸法は、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット32のそれぞれの寸法に比べて小さい。また、本実施形態では、塗工ヘッド1の幅方向に沿ったスリット(第1のスリット)31のそれぞれの寸法は、塗工ヘッド1の幅方向に沿ったスリット(第2のスリット)32のそれぞれの寸法に比べて小さい。
【0030】
本実施形態では、複数の締結部材(図示しない)を介してブロック6をブロック5と締結することにより、ブロック6がブロック5に取付けられる。ヘッド本体2には、マニホールド13,15の間に、1つ以上の締結部33が形成され、本実施形態では、締結部33が複数形成される。締結部33のそれぞれは、ブロック5,6が締結される締結位置の1つである。締結部33のそれぞれでは、シム板7の突出板部22の対応する1つが、ブロック5,6の間で挟まれる。締結部33のそれぞれは、塗工ヘッド1の前後方向について、マニホールド13,15の間に位置する。また、締結部33のそれぞれは、塗工ヘッド1の前後方向について、スリット(第1のスリット)31に対してずれていない、又は、ほとんどずれていない。
【0031】
本実施形態では、締結部33のそれぞれは、塗工ヘッド1の幅方向について、スリット31の対応する1つ以上に対して隣接して形成される。また、締結部33の中で、塗工ヘッド1の幅方向について両端の2つ以外を締結部33Aとする。締結部33Aのそれぞれは、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う2つのスリット31の間に、形成される。なお、締結部33のそれぞれでは、ブロック5,6の間に、シム板7の板厚部(第1の板厚部)17が延設される。このため、締結部33のそれぞれでは、ブロック5,6のそれぞれとシム板7との間には、隙間が形成されない、又は、ほとんど形成されない。
【0032】
本実施形態では、前述のように塗工ヘッド1が形成されるため、マニホールド13,15、流入路16及びスリット31,32によって、塗液の流路が形成される。塗工ヘッド1に形成される塗液の流路では、上流側から下流側へ、流入路16、マニホールド(第1のマニホールド)13、スリット31(第1のスリット)、マニホールド(第2のマニホールド)15及びスリット(第2のスリット)32の順に、配置される。塗液は、流入路16を通してマニホールド13へ流入し、マニホールド13からスリット31のいずれかを通してマニホールド15に流入する。そして、塗液は、マニホールド15からスリット32のいずれかの吐出口を通して、前方側へ向かって塗工ヘッド1の外部へ吐出される。なお、塗工ヘッド1では、前方側が、吐出口からの塗液の吐出方向となる。
【0033】
図1等に示すように、塗工ヘッド1は、塗工体50の形成に用いられる。塗工体50の形成においては、塗工ヘッド1を用いて、基材51の表面に塗液52を塗布する。この際、基材51及び塗液52が基材51に塗布された塗工体50は、ガイドローラ53等から形成される搬送部によって、搬送される。塗工ヘッド1は、スリット(第2のスリット)32のそれぞれの吐出口から基材51に向かって塗液52を吐出し、基材51の表面に塗液52を塗布する。
【0034】
ある一例では、塗工体50として、電池の電極(正極又は負極)となる電極シートが形成される。この場合、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等の集電体が、基材51として用いられる。そして、活物質を懸濁したスラリーが、塗液52として、基材51の表面に塗布される。これにより、集電体の表面に、活物質含有層が形成される。また、
図1等の一例では、1つのスリット32ごとに、塗液52を塗布する対象となる基材が異なる。このため、スリット32と同一の数の基材51へ同時に塗液52を塗布可能であり、
図1等の一例では、3つの基材51へ同時に塗液52を塗布可能である。
【0035】
本実施形態の塗工ヘッド1では、ヘッド本体2の内部に2つのマニホールド13,15が設けられ、マニホールド13からスリット31のいずれかを通して、塗液がマニホールド15に流入する。2つのマニホールド13,15及びマニホールド13,15の間のスリット31が設けられることにより、塗工ヘッド1に形成される塗液の流路では、塗工ヘッド1の幅方向について全体に渡って塗液が到達し易くなる。
【0036】
また、本実施形態では、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット31のそれぞれの寸法は、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット32のそれぞれの寸法に比べて小さい。塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット31のそれぞれの寸法が小さくなることにより、マニホールド13において、塗液が塗工ヘッド1の幅方向に流れ易くなり、塗工ヘッド1に形成される塗液の流路において、塗工ヘッド1の幅方向について全体に渡って塗液がさらに到達し易くなる。これにより、本実施形態では、マニホールド13,15及びスリット31,32等から形成される流路において、塗工ヘッド1の幅方向について塗液が均一に分配される。
【0037】
流路において塗工ヘッド1の幅方向に塗液が均一に分配されることにより、塗工ヘッド1では、幅方向についての位置に関係なく、吐出口からの塗液の吐出量が均一になる。すなわち、複数のスリット32の吐出口の間での吐出量のばらつきが低減され、複数のスリット32の吐出口では、吐出量が互いに対して均一になる。これにより、
図1等のように複数の基材51へ同時に塗液52が塗布される場合において、複数の基材51の間で、塗布される塗液52の量が均一になる。したがって、例えば、複数の電極シートを塗工体50として同時に形成する場合等では、塗布された塗液によって形成される活物質含有層の目付け量が、複数の電極シートの間で均一になる。
【0038】
また、本実施形態では、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット32のそれぞれの寸法は、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット31のそれぞれの寸法に比べて大きい。塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット32のそれぞれの寸法が大きくなることにより、スリット32のそれぞれに形成される吐出口及びそれらの近傍において、塗液からヘッド本体2へ作用する圧力が小さくなる。これにより、吐出口及びそれら近傍において、ヘッド本体2の変形が抑制される。
【0039】
また、本実施形態では、締結部33のそれぞれは、塗工ヘッド1の前後方向について、マニホールド13,15の間に形成される。したがって、塗工ヘッド1の前後方向についてスリット31に対してずれていない、又は、ほとんどずれていない位置に、ブロック5,6を締結する締結部33が形成される。ここで、前述のように塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット31のそれぞれの寸法は小さいため、スリット31のそれぞれ及びそれらの近傍では、塗液からヘッド本体2に作用する圧力が高くなる。本実施形態では、締結部33が前述した位置に形成されるため、塗液からヘッド本体2に作用する圧力が高くなる領域又はその近傍で、ブロック5,6が締結される。これにより、スリット31のそれぞれ及びそれらの近傍では、塗液からヘッド本体2に作用する圧力が高くなっても、ヘッド本体2の変形が適切に抑制される。
【0040】
また、本実施形態では、締結部33のそれぞれは、塗工ヘッド1の幅方向について、スリット31の対応する1つ以上に対して隣接して形成される。そして、締結部33Aのそれぞれは、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う2つのスリット31の間に、形成される。これにより、スリット31のそれぞれの近傍に締結部33が形成され、塗液からヘッド本体2に作用する圧力が高くなる領域又はその近傍で、ブロック5,6が適切に締結される。
【0041】
また、塗工ヘッド1の前後方向に沿ったマニホールド(第2のマニホールド)15の寸法は、塗工ヘッド1の前後方向に沿ったマニホールド(第1のマニホールド)13の寸法に比べて小さい。このため、締結部33からスリット32の吐出口までの塗工ヘッド1の前後方向に沿った距離が、小さくなる。締結部33から吐出口までの距離が小さくなることにより、吐出口及びそれら近傍でのヘッド本体2の変形が、さらに適切に抑制される。
【0042】
また、本実施形態では、塗工ヘッド1の幅方向に沿ったスリット(第1のスリット)31のそれぞれの寸法は、塗工ヘッド1の幅方向に沿ったスリット(第2のスリット)32のそれぞれの寸法に比べて小さい。幅方向に沿ったスリット31のそれぞれの寸法が小さくなることにより、マニホールド13,15の間に締結部33を容易に形成可能となる。また、幅方向に沿ったスリット31のそれぞれの寸法が小さくなることにより、マニホールド13において、塗液が塗工ヘッド1の幅方向にさらに流れ易くなり、塗工ヘッド1に形成される塗液の流路において、塗工ヘッド1の幅方向について全体に渡って塗液がさらに到達し易くなる。
【0043】
また、本実施形態では、シム板7に、板厚部(第1の板厚部)17、及び、板厚部17より板厚が薄い板厚部(第2の板厚部)18が、形成される。そして、スリット31のそれぞれでは、ブロック5,6の間に板厚部18が延設され、スリット32のそれぞれでは、ブロック5,6の間にシム板7が配置されない。そして、締結部33のそれぞれでは、ブロック5,6の間に板厚部17が延設される。このような構成であるため、ブロック5,6の間に、前述したスリット31,32を容易に形成可能となる。
【0044】
(変形例)
なお、
図5に示すある変形例でも、シム板7は、第1の板厚になる板厚部(第1の板厚部)17、及び、第1の板厚より薄い第2の板厚になる板厚部(第2の板厚部)18を備える。そして、板厚部17は、延設板部21及び4つの突出板部22を備え、ヘッド本体2には、3つのスリット(第2のスリット)32が形成される。そして、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う2つのスリット32の間は、板厚部17の突出板部22の対応する1つによって、仕切られる。ただし、本変形例では、シム板7の板厚部17は、複数の凸板部41を備える。凸板部41は、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う突出板部22の間に4つずつ配置され、
図5の一例では、シム板7に12個の凸板部41が形成される。
【0045】
凸板部41のそれぞれは、延設板部21から塗工ヘッド1の前方側へ向かって突出する。ただし、凸板部41のそれぞれの延設板部21からの突出量は、突出板部22のそれぞれの延設板部21からの突出量に比べて小さい。そして、凸板部41のそれぞれの突出端の位置は、塗工ヘッド1の前後方向について、マニホールド15のマニホールド13に近い側の縁に対してずれていない、又は、ほとんどずれていない。塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う突出板部22の間では、4つの凸板部41は、塗工ヘッド1の幅方向について、互いに対して離れて配置される。また、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う突出板部22の間では、凸板部41のそれぞれは、塗工ヘッド1の幅方向について、突出板部22から離れて配置される。
【0046】
本変形例では、シム板7の板厚部(第2の板厚部)18は、中継板部23の代わりに中継板部42を備える。塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う突出板部22の間では、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う2つの凸板部41の間は、中継板部42の対応する1つによって中継される。また、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う突出板部22の間では、突出板部22のそれぞれと凸板部41の対応する1つとの間が、中継板部42の対応する1つによって中継される。このため、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う突出板部22の間には、5つの中継板部42が形成され、シム板7には、15個の中継板部42が形成される。
【0047】
中継板部42のそれぞれは、中継板部23と同様に、延設板部21に対して、塗工ヘッド1の前方側(矢印X1側)に離れて配置され、突出板部22のそれぞれの突出端に対して、塗工ヘッド1の後方側に離れて配置される。また、中継板部42のそれぞれは、マニホールド(第1のマニホールド)13に対して塗工ヘッド1の前方側に隣接し、マニホールド(第2のマニホールド)15に対して塗工ヘッド1の後方側に隣接する。なお、中継板部42のそれぞれは、板厚部18の一部である。このため、中継板部42のそれぞれとブロック5の面11との間には、隙間が形成されない又はほとんど形成されない。そして、中継板部42のそれぞれとブロック6の面12との間には、隙間が形成される。
【0048】
本変形例では、中継板部42のそれぞれとブロック6の面12との間の隙間によって、スリット(第1のスリット)31が形成される。このため、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う突出板部22の間には、5つのスリット31が形成され、ヘッド本体2には、15個のスリット31が形成される。本変形例でも、スリット31のそれぞれは、マニホールド(第1のマニホールド)13に対して前方側に隣接して形成され、マニホールド15は、スリット31のそれぞれに対して前方側に隣接して形成される。このため、ヘッド本体2の内部では、マニホールド15は、スリット31を間に介して、マニホールド13と連通する。また、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う突出板部22の間では、塗工ヘッド1の幅方向について隣り合う2つのスリット31の間は、板厚部17の凸板部41の対応する1つによって、仕切られる。
【0049】
本変形例でも、スリット31のそれぞれでは、ブロック5,6の間にシム板7の板厚部(第2の板厚部)18が延設されるのに対し、スリット32のそれぞれでは、ブロック5,6の間にシム板7が配置されない。このため、本変形例でも、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット(第2のスリット)32のそれぞれの寸法は、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット(第1のスリット)31のそれぞれの寸法に比べて大きい。すなわち、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット31のそれぞれの寸法は、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット32のそれぞれの寸法に比べて小さい。
【0050】
本変形例のヘッド本体2では、マニホールド13,15の間に、締結部33の代わりに1つ以上の締結部43が形成され、
図5の一例等では、締結部43が複数形成される。締結部43のそれぞれは、ブロック5,6が締結される締結位置の1つである。締結部43のそれぞれでは、シム板7の凸板部41の対応する1つが、ブロック5,6の間で挟まれる。締結部43のそれぞれは、塗工ヘッド1の前後方向について、マニホールド13,15の間に位置する。また、締結部43のそれぞれは、塗工ヘッド1の前後方向について、スリット(第1のスリット)31に対してずれていない、又は、ほとんどずれていない。なお、締結部43のそれぞれでは、前述の実施形態等の締結部33と同様に、ブロック5,6の間に、シム板7の板厚部(第1の板厚部)17が延設される。このため、締結部33のそれぞれでは、ブロック5,6のそれぞれとシム板7との間には、隙間が形成されない、又は、ほとんど形成されない。
【0051】
本変形例でも、ヘッド本体2に、2つのマニホールド13,15が設けられ、スリット31は、マニホールド13に対して塗工ヘッド1の前方側に隣接して形成される。そして、塗工ヘッド1では、マニホールド15は、スリット31に対して前方側に隣接して形成され、スリット32は、マニホールド15に対して前方側に隣接して形成される。そして、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット32の寸法は、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット31の寸法に比べて大きい。そして、マニホールド13,15の間に、1つ以上の締結部43が形成される。このような構成であるため、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0052】
また、前述の実施形態等では、マニホールド13,15は、ブロック(第1のブロック)5に形成されるが、ある変形例では、マニホールド13,15の少なくとも一方が、ブロック(第2のブロック)6に形成されてもよい。すなわち、マニホールド13,15の両方がブロック6に形成されてもよく、マニホールド13,15の一方がブロック5に形成され、かつ、マニホールド13,15の他方がブロック6に形成されてもよい。
【0053】
また、前述の実施形態等では、シム板7の板厚部(第2の板厚部)18とブロック6の面12との間の隙間によってスリット(第1のスリット)31が形成されるが、ある変形例では、シム板7の板厚部(第2の板厚部)18とブロック5の面11との間の隙間によって、スリット(第1のスリット)31が形成されてもよい。この場合、シム板7では、ブロック6が位置する側を向く表面は、全体に渡って同一又は略同一の平面上に位置する状態に、形成される。そして、シム板7では、ブロック5が位置する側を向く表面は、板厚部18が板厚部17に対してブロック6が位置する側へ凹む状態に、形成される。本変形例でも、ブロック5,6のそれぞれと板厚部17との間には、隙間が形成されない、又は、ほとんど形成されない。ただし、本変形例では、ブロック6と板厚部18との間には、隙間が形成されない又はほとんど形成されないが、ブロック5と板厚部18との間に、隙間が形成される。
【0054】
また、スリット31の数は、1つ以上であれば、特に限定されるものではない。同様に、スリット32の数は、1つ以上であれば、特に限定されるものではない。また、ある変形例では、シム板7が設けられなくてもよい。この場合、ブロック5の面11及びブロック6の面12のいずれかにマニホールド13,15とは別の溝を形成する等して、ブロック5,6の間にスリット31,32を形成する。スリット(第1のスリット)31を形成する溝、及び、スリット(第2のスリット)32を形成する溝は、マニホールド13,15に比べて、浅く形成される。そして、スリット31を形成する溝は、スリット32を形成する溝に比べて、浅く形成される。
【0055】
ただし、いずれの変形例も、2つのマニホールド13,15が設けられ、スリット31は、マニホールド13に対して塗工ヘッド1の前方側に隣接して形成される。そして、塗工ヘッド1では、マニホールド15は、スリット31に対して前方側に隣接して形成され、スリット32は、マニホールド15に対して前方側に隣接して形成される。そして、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット32寸法は、塗工ヘッド1の高さ方向に沿ったスリット31の寸法に比べて大きい。これにより、前述の実施形態等と同様に、塗工ヘッド1の幅方向について塗液が均一に分配され、吐出口及びその近傍においてヘッド本体2の変形が抑制される。
【0056】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、ヘッド本体の内部において、第1のスリットは、第1のマニホールドに対して前方側に隣接して形成され、第2のマニホールドは、第1のスリットに対して前方側に隣接して形成される。そして、第2のスリットは、ヘッド本体において第2のマニホールドに対して前方側に隣接して形成され、第2のマニホールドから塗液を前方側へ向かって外部へ吐出する吐出口を形成する。そして、高さ方向に沿った第2のスリットの寸法は、高さ方向に沿った第1のスリットの寸法に比べて大きい。これにより、幅方向について塗液が均一に分配され、吐出口及びその近傍においてヘッド本体の変形が抑制される塗工ヘッドを提供することができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、付記を記載する。
[1]ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の内部に形成される第1のマニホールドと、
前記ヘッド本体の前記内部において前記第1のマニホールドに対して前方側に隣接して形成される第1のスリットと、
前記ヘッド本体の前記内部において前記第1のスリットに対して前記前方側に隣接して形成され、前記第1のマニホールドから前記第1のスリットを通して塗液が流入する第2のマニホールドと、
前記ヘッド本体において前記第2のマニホールドに対して前記前方側に隣接して形成され、前記第2のマニホールドから前記塗液を前記前方側へ向かって外部へ吐出する吐出口を形成する第2のスリットであって、前後方向に交差する高さ方向に沿った寸法が前記高さ方向に沿った前記第1のスリットの寸法に比べて大きい第2のスリットと、
を具備する塗工ヘッド。
[2]前記ヘッド本体は、第1のブロックと、前記高さ方向の一方側から前記第1のブロックに取付けられる第2のブロックと、を備え、
前記第1のマニホールド、前記第1のスリット、前記第2のマニホールド及び前記第2のスリットは、前記高さ方向について前記第1のブロックと前記第2のブロックとの間に形成され、
前記ヘッド本体は、前記第1のマニホールドと前記第2のマニホールドとの間において、前記第1のブロックと前記第2のブロックとを締結する締結部を備える、
[1]の塗工ヘッド。
[3]前記前後方向に沿った前記第2のマニホールドの寸法は、前記前後方向に沿った前記第1のマニホールドの寸法に比べて小さい、[2]の塗工ヘッド。
[4]前記締結部は、前記前後方向及び前記高さ方向の両方に交差する幅方向について、前記第1のスリットに対して隣接して形成され、
前記幅方向に沿った前記第1のスリットの寸法は、前記幅方向に沿った前記第2のスリットの寸法に比べて小さい、
[2]又は[3]の塗工ヘッド。
[5]前記第1のスリットは、前記幅方向に沿って並んだ状態で複数設けられ、
前記締結部は、前記幅方向について隣り合う前記第1のスリットの間に形成される、
[4]の塗工ヘッド。
[6]前記第1のブロックと前記第2のブロックとの間で挟まれるシム板をさらに具備し、 前記シム板は、第1の板厚になる第1の板厚部と、前記第1の板厚より薄い第2の板厚になる第2の板厚部と、を備え、
前記締結部では、前記第1のブロックと前記第2のブロックとの間に前記第1の板厚部が延設され、
前記第1のスリットでは、前記第1のブロックと前記第2のブロックとの間に前記第2の板厚部が延設される、
[2]乃至[5]のいずれか1つの塗工ヘッド。
【符号の説明】
【0058】
1…塗工ヘッド、2…ヘッド本体、5…ブロック(第1のブロック)、6…ブロック(第2のブロック)、7…シム板、13…マニホールド(第1のマニホールド)、15…マニホールド(第2のマニホールド)、17…板厚部(第1の板厚部)、18…板厚部(第2の板厚部)、31…スリット(第1のスリット)、32…スリット(第2のスリット)、33,43…締結部。