(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】ネットショップの信用情報提供システムにおける情報処理装置、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20250310BHJP
【FI】
G06Q30/0601 308
(21)【出願番号】P 2021055271
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100120167
【氏名又は名称】木田 博
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【氏名又は名称】大石 敏弘
(74)【代理人】
【識別番号】100144244
【氏名又は名称】成毛 敏明
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 茜
【審査官】野村 和史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-163588(JP,A)
【文献】特開2021-033421(JP,A)
【文献】特開2002-007801(JP,A)
【文献】特開2016-062401(JP,A)
【文献】特開2015-069394(JP,A)
【文献】特開2019-36195(JP,A)
【文献】特開2008-15989(JP,A)
【文献】特開2011-227714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットショップの信用情報提供システムにおける情報処理装置であって、
ネットショップの信用情報を蓄積するネットショップ信用情報蓄積部と、
ユーザ端末を用いてユーザが所定のネットショップで購入予定の商品を選択した後であって、商品の代金を決済する前のタイミングで、前記ネットショップ信用情報蓄積部に蓄積された前記所定のネットショップの信用情報を前記ユーザ端末に提供するネットショップ信用情報提供部
と、
前記ネットショップ信用情報蓄積部に蓄積されたネットショップの信用情報に基づいて、前記所定のネットショップの評価変動を判定する評価変動判定部とを備え、
前記ネットショップ信用情報提供部は、前記評価変動判定部が判定した前記所定のネットショップの評価変動速度又は評価変動加速度を前記ユーザ端末に更に提供する、情報処理装置。
【請求項2】
前記所定のネットショップと所定の同一性を有する類似ネットショップを特定する類似ネットショップ特定部を更に備え、
前記ネットショップ信用情報提供部は、前記ネットショップ信用情報蓄積部に蓄積された前記類似ネットショップの信用情報を前記ユーザ端末に更に提供する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記類似ネットショップ特定部は、クレジットカード加盟店情報、振込銀行口座、ネットワーク上のアドレス、取り扱う商品、商品の説明文のうち、少なくとも1つの同一性に基づいて、前記所定のネットショップと前記類似ネットショップとの類似性を判断する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ネットショップの信用情報提供システムにおける情報処理装置であって、
ネットショップの信用情報を蓄積するネットショップ信用情報蓄積部と、
ユーザ端末を用いてユーザが所定のネットショップで購入予定の商品を選択した後であって、商品の代金を決済する前のタイミングで、前記ネットショップ信用情報蓄積部に蓄積された前記所定のネットショップの信用情報を前記ユーザ端末に提供するネットショップ信用情報提供部と、
あらかじめユーザが登録した知人、又はソーシャル・ネットワーキング・サービス上でユーザと関連付けられた知人が、過去に前記所定のネットショップで商品を購入したか否かを判定する知人購入実績判定部とを備え、
前記ネットショップ信用情報提供部は、前記知人購入実績判定部の判定結果を前記ユーザ端末に更に提供する、情報処理装置。
【請求項5】
ネットショップの信用情報提供システムにおける情報処理装置であって、
ネットショップの信用情報を蓄積するネットショップ信用情報蓄積部と、
ユーザ端末を用いてユーザが所定のネットショップで購入予定の商品を選択した後であって、商品の代金を決済する前のタイミングで、前記ネットショップ信用情報蓄積部に蓄積された前記所定のネットショップの信用情報を前記ユーザ端末に提供するネットショップ信用情報提供部
と、
前記所定のネットショップでユーザが商品を購入した後、前記ネットショップ信用情報蓄積部に蓄積されるネットショップの信用情報に基づいて、前記所定のネットショップの評価変動を判定する購入後評価変動判定部と、
前記購入後評価変動判定部が前記所定のネットショップの評価が商品購入後に低下したと判定した場合、前記ユーザ端末に通知する購入後評価低下通知部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項6】
ネットショップの信用情報提供システムにおける処理方法であって、
ネットショップの信用情報を蓄積するステップと、
ユーザ端末を用いてユーザが所定のネットショップで購入予定の商品を選択した後であって、商品の代金を決済する前のタイミングで、前記蓄積された前記所定のネットショップの信用情報を前記ユーザ端末に提供するステップ
と、
前記ネットショップの信用情報を蓄積するステップにおいて蓄積されたネットショップの信用情報に基づいて、前記所定のネットショップの評価変動を判定するステップと、
前記評価変動を判定するステップにおいて判定された前記所定のネットショップの評価変動速度又は評価変動加速度を前記ユーザ端末に更に提供するステップと、
をコンピュータが実行する、ことを特徴とする処理方法。
【請求項7】
ネットショップの信用情報提供システムのプログラムであって、請求項
6に記載の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットショップの信用情報提供システムにおける情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ネットショピンッグにおいては、実店舗ではないため本当に商品が届くのか不信感があったり、詐欺にあっても気付かなかったり、たとえ気付いても少額であるため諦めてしまったりするケースがあり、ネットショッピングそのものに対する不信感から、キャッシュレス決済に踏み込めない、などの課題がある。そのため、ネットショップに対する信頼性を評価するシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、実際に店舗を使用した顧客の評価情報を集計して、他の顧客に広く提供可能な店舗の評価情報提供システムが開示されている。このシステムでは、ネット店舗は、営業情報を、インターネットを介してサーバに登録し、ユーザ登録されたユーザは、パソコンとインターネットを介して、店舗を利用したとき、その評価をサーバに登録する。サーバは、一般のユーザから、パソコンとインターネットを介して、店舗の検索があったとき、検索条件に合った店舗について、その営業情報と、入力された評価を処理して得たその店舗についてランク情報を、当該ユーザに提供する。一方、店舗に対しては、その店舗について入力された評価情報を提供する。
【0004】
また、特許文献2には、ネットショップの運営に関わる客観的な評価を行うことができるネットショップ評価装置が記載されている。この評価装置によれば、ネットショップ評価サーバは、モール管理サーバの電子ショッピングモールに出店する各ネットショップから収集した情報に基づいて、所望のネットショップについての売上高推定値や、偏差値、ネットショップの順位、月商予測、ランキング指数、商品数指数、商品レビュー指数、基礎体力指数、サービス指数、SEO(検索エンジン最適化)対策指数、経営安全度などの各数値を算出するとともに、総合的な格付けを判定する。これにより、ネットショップの運営に関わる客観的な評価を行うことができるため、ネットショップの運営状況に応じた適切な対策を講じることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-58672号公報
【文献】特開2014-032442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ユーザによっては、ネットショップの評価や口コミを参考にすることなく、購入予定の商品を選択し(カートに入れ)、そのまま購入手続きに進んでしまうことがあり、これが悪意のあるネットショプであった場合、購入商品が届かないなどの詐欺被害に遭う可能性がある。また、サイトの評価や口コミの情報が必ずしも適切なタイミングで得られないこともある。
【0007】
そこで、本開示は、適切なタイミングでユーザにネットショップの信用情報を提供し、悪意のあるネットショップの利用を抑制できる情報処理装置等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
1つの側面では、以下のような解決手段を提供する。
(1)ネットショップの信用情報提供システムにおける情報処理装置であって、ネットショップの信用情報を蓄積するネットショップ信用情報蓄積部と、ユーザ端末を用いてユーザが所定のネットショップで購入予定の商品を選択した後であって、商品の代金を決済する前のタイミングで、前記ネットショップ信用情報蓄積部に蓄積された前記所定のネットショップの信用情報を前記ユーザ端末に提供するネットショップ信用情報提供部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
(2)上記(1)に記載の構成において、前記所定のネットショップと所定の同一性を有する類似ネットショップを特定する類似ネットショップ特定部を更に備え、前記ネットショップ信用情報提供部は、前記ネットショップ信用情報蓄積部に蓄積された前記類似ネットショップの信用情報を前記ユーザ端末に更に提供することを特徴とする。
【0011】
(3)上記(2)に記載の構成において、前記類似ネットショップ特定部は、クレジットカード加盟店情報、振込銀行口座、ネットワーク上のアドレス、取り扱う商品、商品の説明文のうち、少なくとも1つの同一性に基づいて、前記所定のネットショップと前記類似ネットショップとの類似性を判断することを特徴とする。
【0012】
(4)上記(1)から(3)までのいずれか1つに記載の構成において、前記ネットショップ信用情報蓄積部に蓄積されるネットショップの信用情報に基づいて、前記所定のネットショップの評価変動を判定する評価変動判定部を更に備え、前記ネットショップ信用情報提供部は、前記評価変動判定部が判定した前記所定のネットショップの評価変動速度又は評価変動加速度を前記ユーザ端末に更に提供することを特徴とする。
【0013】
(5)上記(1)から(4)までのいずれか1つに記載の構成において、あらかじめユーザが登録した知人、又はソーシャル・ネットワーキング・サービス上でユーザと関連付けられた知人が、過去に前記所定のネットショップで商品を購入したか否かを判定する知人購入実績判定部を更に備え、前記ネットショップ信用情報提供部は、前記知人購入実績判定部の判定結果を前記ユーザ端末に更に提供することを特徴とする。
【0014】
(6)上記(1)から(5)までのいずれか1つに記載の構成において、前記所定のネットショップでユーザが商品を購入した後、前記ネットショップ信用情報蓄積部に蓄積されるネットショップの信用情報に基づいて、前記所定のネットショップの評価変動を判定する購入後評価変動判定部と、前記購入後評価変動判定部が前記所定のネットショップの評価が商品購入後に低下したと判定した場合、前記ユーザ端末に通知する購入後評価低下通知部と、を更に備えることを特徴とする。
【0015】
(7)ネットショップの信用情報提供システムにおける処理方法であって、ネットショップの信用情報を蓄積するステップと、ユーザ端末を用いてユーザが所定のネットショップで購入予定の商品を選択した後であって、商品の代金を決済する前のタイミングで、前記蓄積された前記所定のネットショップの信用情報を前記ユーザ端末に提供するステップと、をコンピュータが実行することを特徴とする。
【0016】
(8)ネットショップの信用情報提供システムのプログラムであって、上記(7)に記載の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、適切なタイミングでユーザにネットショップの信用情報を提供し、悪意のあるネットショップの利用を抑制できる情報処理装置等の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置を用いたネットショップの信用情報提供システムの基本動作を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置を用いたネットショップの信用情報提供システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理装置を用いた類似ネットショップの信用情報表示画面の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理装置を用いたネットショップの評価変動表示画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理装置を用いたネットショップの信用情報提供システムの処理手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(基本動作)
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施例について詳細に説明する。まず、ネットショップの信用情報提供システム100の基本動作について、
図1を参照して説明する。
図1に示すように、ユーザは、ネットショップで商品を購入する場合、通常、選択した商品をカートに入れた後(S1)、個人情報や決済情報の入力画面に進み、入力した個人情報や決済情報を確認する(S8)。その後、注文確定操作を行うと、ネットショップ側が決済処理を行い(S9)、商品を発送する。
【0020】
ネットショップの信用情報提供システム100では、ユーザが選択した商品をカートに入れたタイミングで、当該ネットショップの調査依頼を情報処理装置1に送信する(S2)。
ここで、情報処理装置1は、例えば、信用調査機関などネットショップとは独立した機関が運営するコンピュータである。この調査依頼の送信は、ユーザ端末2及びネットショップサーバ3のいずれから行ってもよい。本実施形態では、ユーザ端末2にインストールされる専用アプリが、ネットショップにおけるユーザのカート投入操作を検出し、そのネットショップを特定可能なネットショップ情報(例えば、店名、URL、IPアドレス、MACアドレスなど)を調査依頼として情報処理装置1に送信するものとする。
【0021】
情報処理装置1は、ネットショップの信用情報、例えば、取引実績、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上での評価や口コミなど、を蓄積しておりユーザ端末2から調査依頼を受信すると、調査依頼に含まれるネットショップ情報に基づいて特定したネットショップの信用情報を抽出し、ユーザ端末2に回答として送信する(S3)。なお、評価や口コミなどは、SNS上だけでなく、比較のために当該ネットショップ上、又はその他のサイト上の評価や口コミも取得するようにしてもよい。
【0022】
ユーザ端末2は、情報処理装置1から回答を受信すると、回答に含まれるネットショップの信用情報を別ウインドウでポップアップ表示する(S4)。表示される信用情報には、例えば、ネットショップの店名又は会社名と、ネットショップの信用レベル(例えば、高、中、低の3段階)と、取引実績(例えば、販売件数)と、ユーザからの通報件数と、その通報内容と、知り合いの取引実績と、SNS上でのネットショップの評価(例えば、良い評価の件数及び悪い評価の件数)と、ネットショップの口コミ(例えば、良い口コミの件数及び悪い口コミの件数)と、が含まれる。また、ネットショップの評価や口コミについては、件数だけでなく、所定の操作に応じて評価や口コミの詳細が表示される。
【0023】
ユーザは、商品をカートに入れたタイミングでユーザ端末2に表示されるネットショップの信用情報を参考にして、ネットショップでの買い物を続けるか否かを決めることができる。ここで、ユーザが購入を中止すると(S5)、当該ユーザに関するネットショップ側の処理は終了する(S6)。
【0024】
一方、ユーザが購入の意思を固めたときは、購入手続(決済手続)に進み(S7)、個人情報及び決済情報の入力画面で必要な情報を入力するとともに、入力情報の確認を行う(S8)。その後、注文確定操作を行うと、ネットショップ側が決済処理を行い(S9)、商品を発送する。
【0025】
なお、情報処理装置1は、商品の代金を決済するときに、ユーザがネットショップの信用情報を確認していないときは、ユーザに確認するように促してもよい。信用情報をより適切なタイミングで確認させるためである。また、情報処理装置1は、ユーザが商品の代金を決済するときに、ユーザが確認したネットショップの信用情報を決済情報ともに蓄積してもよい。その時点の信用情報をより有効に活用するためである。また、情報処理装置1は、ユーザがカートに商品を入れたが決済をしなかったとき、ユーザが確認したネットショップの信用情報をそのネットショップに送信してもよい。ネットショップ自身がその原因を探れる可能性を高めるためである。
【0026】
(機能ブロック)
つぎに、上記のような基本動作を実現する情報処理装置1の機能構成について、
図2を参照して説明する。
図2に示すように、情報処理装置1は、インターネット等のネットワーク4を介して、ユーザ端末2とネットショップサーバ3に接続され、情報処理装置1は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能的な構成として、ネットショップ信用情報蓄積部11、ネットショップ信用情報提供部12、類似ネットショップ特定部13、評価変動判定部14、知人購入実績判定部15、購入後評価変動判定部16、及び購入後評価低下通知部17を備える。
【0027】
ネットショップ信用情報蓄積部11は、ネットショップの信用情報を蓄積する。蓄積するネットショップの信用情報には、SNS上での評価や口コミ、販売実績、銀行やクレジットカード会社との取引状況などが含まれる。
【0028】
ネットショップ信用情報提供部12は、ユーザ端末2を用いてユーザが所定のネットショップで購入予定の商品を選択した後であって、商品の代金を決済する前のタイミングで、ネットショップ信用情報蓄積部11に蓄積された所定のネットショップの信用情報をユーザ端末2に提供する。また、本実施形態のネットショップ信用情報提供部12は、上記の信用情報だけでなく、類似ネットショップ特定部13が特定した類似ネットショップの信用情報、評価変動判定部14が判定したネットショップの評価変動(後述する評価変動速度又は評価変動加速度)、知人購入実績判定部15の判定結果などもユーザ端末2に提供する。
【0029】
類似ネットショップ特定部13は、所定のネットショップと類似する(所定の同一性を有する)「類似ネットショップ」を特定する。ここでいう「類似ネットショップ」は、同じ商品やサービスを取り扱うようなネットショップだけでなく、なんらかの問題が疑われるネットショップも含まれる。例えば、所定のネットショップが、店名を変えながら詐欺行為を繰り返す悪意のあるネットショップである場合、現在の店名で蓄積されている信用情報では、詐欺行為の痕跡が見つからない可能性があるが、このような悪意のあるネットショップは、店名を変えていても、クレジットカード加盟店情報、振込銀行口座、ネットワーク上のアドレス(IPアドレスやMACアドレス)、取り扱う商品、商品の説明文などは同一である可能性があるため、クレジットカード加盟店情報、振込銀行口座、ネットワーク上のアドレス、取り扱う商品、商品の説明文のうち、少なくとも1つの同一性に基づいて、所定のネットショップと類似ネットショップとの類似性を判断し、類似性の高い類似ネットショップの信用情報もユーザ端末2に提供する。
【0030】
なお、
図1に示す画面イメージでは示していないが、この画面で所定の操作(例えば、追加メッセージがある旨をクリックするなど)をすると、
図3に示すような類似ネットショップの信用情報画面に遷移し、「類似性が高いネットショップがあります。」というメッセージを表示し、当該類似ネットショップの信用情報をユーザに提供するようにしてもよい。そのとき、類似ネットショップと判断した理由、例えば、「ネットワークアドレスが同一です」なども示すようにしてもよい。ただし、これだけで、悪意のあるネットショップでないかと疑うことはできないので、詳細な信用情報をチェックする必要がある。また、システムが類似ネットショップと判断した理由が商品の同一性だけであり、かつ信用情報が高評価の場合は、ユーザにとって比較対象となる他の良いネットショップを知るきっかけともなる。
【0031】
評価変動判定部14は、ネットショップ信用情報蓄積部11に蓄積されるネットショップの信用情報に基づいて、所定のネットショップの評価変動、すなわち、評価変動速度又は評価変動加速度(所定の評価値の所定期間中の速度又は加速度の変動を示す値)を判定する。例えば、あるネットショップが、店名を変えながら詐欺行為を繰り返す悪意のあるネットショップである場合、SNS上の評価や口コミで良い評価を得た後、短期間で集中的に詐欺行為を行って閉店する可能性がある。このような悪意のあるネットショップの場合、SNS上の評価や口コミにおける良い評価の件数及び悪い評価の件数だけでは、悪意のあるネットショップであると見抜くことが難しいが、このような悪意のあるネットショップの評価は、詐欺行為を行っている期間において急速に低下する傾向が高いため、ネットショップの評価変動速度又は評価変動加速度を判定し、判定した評価変動速度又は評価変動加速度(特に、評価低下速度又は評価低下加速度)をユーザ端末2に提供する。
【0032】
なお、
図1に示す画面イメージでは示していないが、この画面で所定の操作(例えば、追加メッセージがある旨をクリックするなど)をすると、例えば、
図4に示すようなネットショップの評価変動表示画面に遷移し、「このショップの評価は急激に低下しています。」などのメッセージを表示し、当該ネットショップの評価変動速度又は評価変動加速度をユーザに提供するようにしてもよい。
図4では評価変動速度だけを表示しているが、評価変動加速度も合わせて表示してもよい。評価変動速度は、様々な表現方法があるが、
図4の例では、所定期間ごと(例えば、週ごと、月ごと、3か月ごとなど)の良い評価と悪い評価の件数を用いて、評価変動速度を、「悪い評価件数÷良い評価件数」の値の所定期間中の変動、又は「良い評価件数―悪い評価件数×重み係数(例えば10)」の値の所定期間中の変動で表現している。また、評価値の所定期間中の変動をグラフ化して表現してもよい。
【0033】
評価変動速度は、上記のように所定期間中の良い評価又は悪い評価の増加件数÷所定時間で算出できるが、一方、評価変動加速度は、所定期間中の評価変動速度の増加量÷所定時間で算出できる。すなわち、評価変動加速度a[件数/時間2]は、時刻t1時点における評価変動速度をv1[件数/時間]、時刻t2時点における評価変動速度をv2[件数/時間]とすると、時刻t1からt2に至る間の速度変化量を時間で除したものであるから、(v2-v1)÷(t2-t1)で算出できる。評価変動加速度が高ければ急激にネットショップの評価が変わっていることになるので、良い評価の加速度が高いならよいが悪い評価の加速度が高い場合は、対応を急ぐ必要があるとしてユーザに警鐘をならすことができる。また、通報先をネットショップとした場合は、ネットショップ自身が、原因を究明し、いち早く評価の回復を図ることが可能になる。
【0034】
知人購入実績判定部15は、あらかじめユーザが登録した知人、又はSNS上でユーザと関連付けられた知人が、過去に所定のネットショップで商品を購入した
か否かを判定する。例えば、知人のSNSの投稿や、知人のネット購入履歴を検索し、過去に所定のネットショップで商品を購入していることが判明した場合、その情報をユーザ端末2に提供する。
【0035】
購入後評価変動判定部16は、所定のネットショップでユーザが商品を購入した後、ネットショップ信用情報蓄積部11に蓄積されるネットショップの信用情報に基づいて、所定のネットショップの評価変動を判定する。
【0036】
購入後評価低下通知部17は、購入後評価変動判定部16が所定のネットショップの評価が商品購入後に低下したと判定した場合、購入後であっても評価の低下をユーザ端末2に通知する。例えば、専用アプリの通知機能を利用してユーザに通知する。
【0037】
なお、上記の機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0038】
(処理フロー)
つぎに、ネットショップの信用情報提供システム100の処理手順について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置を用いたネットショップの信用情報提供システムにおける情報処理装置1、ユーザ端末2、ネットショップサーバ3の処理手順を示す図である。
図5に示すように、ネットショッピングを行うユーザは、ユーザ端末2を用いてネットショップサーバ3にアクセスするとともに(S101)、ネットショップサーバ3から送られてくるショップ画面データ(S102)を受信し、ユーザ端末2の画面に表示する(S103)。ユーザがショップ画面において購入予定の商品を選択し、カートに入れる操作を行うと(S104)、ネットショップサーバ3側では、その商品をユーザに関連付けられたカート(購入予定商品リスト)に追加する処理を行う(S105)。
【0039】
一方、ユーザ端末2にインストールされている専用アプリは、ユーザのカート投入操作を検出し、そのネットショップを特定可能なネットショップ情報(例えば、店名、URL、IPアドレス、MACアドレスなど)を調査依頼として情報処理装置1に送信する(S106)。
【0040】
情報処理装置1は、ユーザ端末2から調査依頼を受信すると、調査依頼に含まれるネットショップ情報に基づいて特定したネットショップの信用情報を抽出し(S107)、ユーザ端末2に送信する(S108)。
【0041】
ユーザ端末2は、情報処理装置1からネットショップの信用情報を受信すると、ネットショップの信用情報を別ウインドウでポップアップ表示する(S109)。これにより、ユーザは、商品をカートに入れたタイミングでユーザ端末2に表示されるネットショップの信用情報を参考にして、このネットショップで商品を購入するか否かを決めることができる。ユーザがこのネットショップで商品を購入する場合は、ユーザ端末2で決済手続きに進むための操作を行う(S110)。
【0042】
なお、前述したように、情報処理装置1は、商品の代金を決済するときに、ユーザがネットショップの信用情報を確認していないときは、ユーザに確認するように促してもよい。また、商品の代金を決済するときに、ユーザが確認したネットショップの信用情報を決済情報ともに蓄積してもよい。また、ユーザがカートに商品をいれて決済をしなかったとき、ユーザが確認したネットショップの信用情報をそのネットショップに送信してもよい。
【0043】
ネットショップサーバ3は、ユーザ端末2の決済手続きに進む操作に応じて、決済情報や配送先情報などを入力するための画面データをユーザ端末2に送信し(S111)、ユーザ端末2から入力された決済情報や配送先情報を受け取ったら(S112)、決済処理を実行する(S113)。
【0044】
一方、ユーザ端末2の専用アプリは、ユーザによる商品の購入を検出すると、情報処理装置1に購入が完了した旨の通知を送信する(S114)。購入完了通知を受信した情報処理装置1は、購入後の所定の期間にわたって、ユーザが購入したネットショップの評価を追跡するとともに(S115)、評価が低下したか否かを判断し(S116)、この判断結果がYESの場合は、利用したネットショップの評価が低下していることをユーザ端末2に通知する(S117)。
【0045】
(実施形態の効果)
上述した本実施形態によれば、ネットショップの信用情報を蓄積するネットショップ信用情報蓄積部11と、ユーザ端末2を用いてユーザが所定のネットショップで購入予定の商品を選択した後であって、商品の代金を決済する前のタイミングで、ネットショップ信用情報蓄積部11に蓄積された所定のネットショップの信用情報をユーザ端末2に提供するネットショップ信用情報提供部12と、を備えるので、適切なタイミングでユーザにネットショップの信用情報を提供し、悪意のあるネットショップの利用を抑制できる。
【0046】
また、情報処理装置1は、所定のネットショップと類似する類似ネットショップを特定する類似ネットショップ特定部13を更に備え、ネットショップ信用情報提供部12は、ネットショップ信用情報蓄積部11に蓄積された類似ネットショップの信用情報をユーザ端末2に更に提供するので、店名を変えながら詐欺行為を繰り返す悪意のあるネットショップである可能性をユーザに提示し、悪意のあるネットショップの利用を更に抑制できる。
【0047】
また、類似ネットショップ特定部13は、クレジットカード加盟店情報、振込銀行口座、ネットワーク上のアドレス、取り扱う商品、商品の説明文のうち、少なくとも1つの同一性に基づいて、所定のネットショップと類似ネットショップとの類似性を判断するので、悪意のあるネットショップの手口を踏まえて、類似ネットショップを高精度に特定することができる。
【0048】
また、情報処理装置1は、ネットショップ信用情報蓄積部11に蓄積されるネットショップの信用情報に基づいて、所定のネットショップの評価変動(評価変動速度又は評価変動加速度)を判定する評価変動判定部14を更に備え、ネットショップ信用情報提供部12は、評価変動判定部14が判定した所定のネットショップの評価変動速度又は評価変動加速度をユーザ端末2に更に提供するので、SNS上の評価や口コミで良い評価を得た後、短期間で集中的に詐欺行為を行う悪意のあるネットショップを特定可能とし、悪意のあるネットショップの利用を更に抑制できる。
【0049】
また、情報処理装置1は、あらかじめユーザが登録した知人、又はSNS上でユーザと関連付けられた知人が、過去に所定のネットショップで商品を購入したか否かを判定する知人購入実績判定部15を更に備え、ネットショップ信用情報提供部12は、知人購入実績判定部15の判定結果をユーザ端末2に更に提供するので、安心感が増すだけでなく、所定のネットショップの評価を知人に確認できる。
【0050】
また、情報処理装置1は、所定のネットショップでユーザが商品を購入した後、ネットショップ信用情報蓄積部11に蓄積されるネットショップの信用情報に基づいて、所定のネットショップの評価変動を判定する購入後評価変動判定部16と、購入後評価変動判定部16が所定のネットショップの評価が商品購入後に低下したと判定した場合、ユーザ端末2に通知する購入後評価低下通知部17と、を更に備えるので、商品のキャンセルやクレジットカード会社への通知を迅速に行うことができる。
なお、上記の実施形態では、ネットショップの信用情報について説明したが、他のエンティティの信用情報にも適用(応用)が可能である。
【0051】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0052】
なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、ネットショップの信用情報提供システム100における情報処理装置1について説明したが、本発明は、処理方法の発明又はコンピュータ・プログラムの発明としても捉えることができる。
【符号の説明】
【0053】
100 ネットショップの信用情報提供システム
1 情報処理装置
11 ネットショップ信用情報蓄積部
12 ネットショップ信用情報提供部
13 類似ネットショップ特定部
14 評価変動判定部
15 知人購入実績判定部
16 購入後評価変動判定部
17 購入後評価低下通知部
2 ユーザ端末
3 ネットショップサーバ
4 ネットワーク