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  • 特許-電気コネクタおよび電気コネクタ組立体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】電気コネクタおよび電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20250310BHJP
   H01R 13/04 20060101ALI20250310BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20250310BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/04 B
H02K5/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021067588
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2022162669
(43)【公開日】2022-10-25
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】TE Connectivity Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(72)【発明者】
【氏名】前馬 光佑
(72)【発明者】
【氏名】後藤 友葉
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022628(JP,A)
【文献】特開2017-228460(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0203870(US,A1)
【文献】中国実用新案第2711935(CN,Y)
【文献】米国特許第05605150(US,A)
【文献】米国特許第05629574(US,A)
【文献】特開2001-223057(JP,A)
【文献】米国特許第06371790(US,B1)
【文献】米国特許第06322389(US,B1)
【文献】実開平06-005153(JP,U)
【文献】特開平08-273774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/04
H01R 13/56-13/72
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの本体からなる収容孔に収容され、前記ハウジングの本体から所定の向きに延出する単数または複数のコンタクトと、
前記ハウジングの本体に連続的に設けられ、前記ハウジングから前記所定の向きに延出する第1ガイドと、
前記ハウジングの本体に連続的に設けられ、前記ハウジングから前記所定の向きに延出する第2ガイドと、を備え、
前記ハウジングは、
れぞれが直交する幅方向、前後方向および高さ方向を有し、
前記第1ガイドは、
前記方向の位置ずれを防ぎ、前記前後方向および前記高さ方向に延びる板状の前後方向要素と、
前記前後方向の位置ずれを防ぎ、前記前後方向要素の中央に一体的に設けられ、かつ前記幅方向および前記高さ方向に延びる前記前後方向要素よりも幅狭な幅方向要素と、備え、かつ、前記コンタクトよりも前記ハウジングの本体から延出する寸法が大きく、
前記第2ガイドは、
前記第1ガイドよりも前記ハウジングの本体から延出する寸法が小さく、
前記第1ガイドと前記第2ガイドは、前記コンタクトを挟んで、前記幅方向の両端部に設けられ、かつ、
前記幅方向要素と前記第2ガイドは、前記幅方向に列をなしている、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1ガイドは、
先細りの先端部分と、前記先端部分に連なり横断面積が一定の本体部分と、を備え、
前記本体部分だけで、前記コンタクトよりも前記ハウジングから延出する寸法が大きい、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記コンタクトは、
前記ハウジングに収容される固定部と、
前記ハウジングと所定の間隔をあけて配置される遊嵌部と、を備え、
前記固定部は、前記所定の向きとは反対側における前記コンタクトの端部に設けられる、
請求項1または2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
タブ型の前記コンタクトは、
相手側のリセプタクル型の相手コンタクトと嵌合され、金属板を折り曲げて形成される2層の接続端部と、
前記接続端部に連なり、1層の前記金属板から形成される弾性部と、を備え、
前記弾性部は、S字状の屈曲領域を含む、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の電気コネクタと、
前記電気コネクタと接続される相手電気コネクタと、を備える電気コネクタ組立体であって、
前記相手電気コネクタは、
前記電気コネクタの前記コンタクトと電気的に接続される相手コンタクトと、
前記相手コンタクトを保持する相手ハウジングと、を備え、
前記相手ハウジングは、
前記電気コネクタの前記第1ガイドを案内する第1ガイド通路および前記第2ガイドを案内する第2ガイド通路を備える、
ことを特徴とする電気コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のコンタクトを、位置ずれをおこさせることなく精度よく嵌合できる電気コネクタ関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルとモータ側の回路基板との接続に際し、部品点数および組立工数を削減可能とした電気コネクタを備えるモータが特許文献1に記載されている。この電気コネクタは、互いに嵌合可能な第1コネクタおよび第2コネクタを備える。第1コネクタは、第1端子(コンタクト)と、第1端子を収容して保持する第1端子保持部材と、第1端子保持部材の外側に取付けられる第1シェルとを含む。第2コネクタは、第1端子と接続可能な第2端子(コンタクト)と、第2端子を収容して保持する第2端子保持部材と、第2端子保持部材の外側に取付けられる第2シェルとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-48981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一対のコネクタについて嵌合を伴う接続を行う際に、一対のコンタクトが互いに位置ずれを起こすと、嵌合を行うことができなくなるのに加えて、一対のコンタクトの一方または双方に座屈などの損傷が生じるおそれがある。
以上より、本発明は、嵌合を伴う接続を行う際に、嵌合相手となる一対のコンタクトの位置ずれを防ぐことのできる電気コネクタおよび電気コネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電気コネクタは、ハウジングと、ハウジングの本体からなる収容孔に収容され、ハウジング本体から所定の向きに延出する単数または複数のコンタクトと、ハウジング本体に連続的に設けられ、ハウジングから所定の向きに延出するガイドと、を備える。本発明におけるガイドは、コンタクトよりもハウジング本体から延出する寸法が大きい。
【0006】
本発明に係るガイドは、先細りの先端部分と、先端部分に連なり横断面積が一定の本体部分と、を備え、好ましくは、本体部分だけで、コンタクトよりもハウジングから延出する寸法が大きい。
【0007】
本発明に係るハウジングは、所定の向きにそれぞれが直交する幅方向および前後方向を有する。ガイドは、好ましくは、幅方向の位置ずれを防ぐ幅方向要素、前後方向の位置ずれを防ぐ前後方向要素の一方または双方の要素を含む。
【0008】
本発明に係るコンタクトは、好ましくは、ハウジングに収容される固定部と、ハウジングと所定の間隔をあけて配置される遊嵌部と、を備え、固定部は、所定の向きとは反対側におけるコンタクトの端部に設けられる。
【0009】
本発明において、好ましくは、タブ型のコンタクトは、相手側のリセプタクル型の相手コンタクトと嵌合され、金属板を折り曲げて形成される2層の接続端部と、接続端部に連なり、1層の金属板から形成される弾性部と、を備え、弾性部は、S字状の屈曲領域を含む。
【0010】
本発明は、以上で説明したいずれかの電気コネクタと、この電気コネクタと接続される相手電気コネクタと、を備える電気コネクタ組立体をも提供する。
本発明に係る相手電気コネクタは、電気コネクタのコンタクトと電気的に接続される相手コンタクトと、相手コンタクトを保持する相手ハウジングと、を備える。相手ハウジングは、電気コネクタのガイドを案内するガイド通路を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気コネクタによれば、ガイドがコンタクトよりもハウジング本体から延出する寸法が大きい。したがって、相手コネクタと接続される際に、コンタクトよりも先行してガイドが相手ハウジングに案内されるので、コンタクトが相手コンタクトに対して位置合わせかなされるので、コンタクトが相手コンタクトに無理なく挿入、嵌合される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る電気コネクタと相手コネクタを分離して示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る電気コネクタを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る電気コネクタの構成要素である上部ハウジングおよび取付フランジを示し(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る電気コネクタの下部ハウジングを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は側面図、(e)は底面図である。
図5】本発明の実施形態に係る電気コネクタを示す図3のV-V線矢視断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る電気コネクタのコンタクト示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は底面図である。
図7】本発明の実施形態に係る相手コネクタを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は(a)のd-d線矢視図である。
図8】本発明の実施形態に係る電気コネクタが相手コネクタに嵌合されている様子を示す平面図である。
図9図8のIX-IX線矢視断面図である。
図10図8のX-X線矢視断面図である。
図11】本発明の実施形態に係る電気コネクタが相手コネクタに嵌合される過程を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
[全体構成:図1
本実施形態に係るオス型の電気コネクタ1は、メス型の電気コネクタである相手電気コネクタ100と嵌合され、電気コネクタ組立体300(図9図10)を構成する。相手電気コネクタ100は、適用対象200、例えば電動機に設けられる。
【0014】
[電気コネクタ1:図1図5図9
電気コネクタ1は、図1図5および図9示すように、相手電気コネクタ100と嵌合する複数、一例として2つのタブ型の第1コンタクト10と、2つの第1コンタクト10のそれぞれと電気的に接続される第2コンタクト20と、第1コンタクト10および第2コンタクト20を収容し保持するコネクタハウジング70と、を備えている。
なお、電気コネクタ1において、図1に示されるように、前後方向X、幅方向Yおよび高さ方向Zが特定されるものとする。
【0015】
[コネクタハウジング70:図2図5図9
次に、第1コンタクト10を保持するコネクタハウジング70について説明する。コネクタハウジング70は、第1コンタクト10が相手電気コネクタ100のリセプタクル型の第3コンタクト30に相互に嵌合される際に、第1コンタクト10に先行して相手電気コネクタ100に受容される第1ガイド65を備える。第1ガイド65は、後述する下部ハウジング60に設けられる。
【0016】
コネクタハウジング70は、図2および図5に示されるように、上部ハウジング40と、上部ハウジング40を支持する取付フランジ50と、取付フランジ50を介して上部ハウジング40と組み合わされる下部ハウジング60と、を備える。上部ハウジング40、取付フランジ50および下部ハウジング60は、樹脂材料を射出成形することにより、それぞれが一体的に形成される。
【0017】
[上部ハウジング40:図3図5図9
上部ハウジング40は、第1コンタクト10を保持する一方、取付フランジ50、下部ハウジング60を介して相手電気コネクタ100に嵌合される。
上部ハウジング40は、図3および図5に示されるように、上部ハウジング40の周囲を画定する外壁41と、外壁41の内側に設けられるコンタクト収容室43と、を備える。コンタクト収容室43は、平面視して十字状の仕切り42により4つに仕切られている。また、上部ハウジング40は、コンタクト収容室43の下部を仕切る底床45と、底床45の底面から延びる接続筒47と、を備える。接続筒47は、図5に示すように、その外周に取付フランジ50が嵌合される一方、その内部の空隙に下部ハウジング60が嵌合される。
底床45には、第1コンタクト10が貫通して保持される。そのために、底床45には、図9に示すように、コンタクト支持孔46が底床45の高さ方向Zに貫通して形成されている。本実施形態において、一例として2本の第1コンタクト10、2つのコンタクト支持孔46が形成されている。
【0018】
[取付フランジ50:図3図5図9
取付フランジ50は、図3および図5に示すように、上部ハウジング40の接続筒47の外周に嵌合されることで、上部ハウジング40と一体的に接続される。また、取付フランジ50は、図9に示すように、図示が省略される例えばボルトにより適用対象200に取り付けられることによって、上部ハウジング40および後述する下部ハウジング60を適用対象200に固定する。
【0019】
取付フランジ50は、図3および図5に示すように、平面視して矩形の板状の部材であり、その幅方向Yの略中央部に表裏を貫通する保持孔51と、保持孔51の内部において接続筒47との間に設けられる弾性支持体53と、を備える。上部ハウジング40の接続筒47が保持孔51を貫通して配置されることで、接続筒47、つまり上部ハウジング40は取付フランジ50に支持される。
【0020】
取付フランジ50は、図中の下面に円環状に形成される収容溝55と、収容溝55の内部に収容、保持されるシールリング57と、を備える。シールリング57は、図9に示すように、取付フランジ50を適用対象200に固定すると、適用対象200に押し付けられることで、取付フランジ50と適用対象200の間を封止する。
【0021】
[下部ハウジング60:図4図5図9
次に、下部ハウジング60は、図5に示すように、接続筒47を介して上部ハウジング40および取付フランジ50に接続される。この接続において、接続筒47は取付フランジ50と下部ハウジング60の間に設けられる。
【0022】
下部ハウジング60は、図4および図9に示すように、接続筒47の内部に収容、保持される収容体61と、収容体61に連なる本体63と、を備える。収容体61と本体63の内部には、高さ方向Zに連なるコンタクト収容孔64が形成される。また、本体63の上面には接続筒47からの下部ハウジング60の抜け止めを担うロックバー62が形成される。ロックバー62の上端部にはロック爪62Aが設けられている。また、下部ハウジング60は、本体63に連なり図中の下側に向けて延びる第1ガイド65と、第1ガイド65と前後方向Xに間隔を空けて設けられ図中の下側に向けて延びる第2ガイド67と、を備える。
【0023】
第1ガイド65は、第1コンタクト10と相手ハウジング110を接続する際に、第2コンタクト20が第3コンタクト30に受容されるのに先行して、相手ハウジング110に受容されることで、第2コンタクト20を第3コンタクト30に案内する。
第1ガイド65は、図4(d)および図5に示すように、その先端が第2コンタクト20の先端よりも本体63から遠方に位置する。つまり、第1ガイド65は、第2コンタクト20よりも下部ハウジング60から延出する寸法が大きい。詳しくは後述するが、この第1ガイド65と第2コンタクト20との先端の位置関係により、第2コンタクト20が位置ずれすることなく第3コンタクト30に挿入されるのを案内できる。
第1ガイド65は、先細りの先端部分65Cを有するがそれに連なる本体部分は横断面積が一定をなしており、第1ガイド通路113および第2ガイド通路115の内部を安定して進むことができる。また、第1ガイド65は、本体部分だけで、第2コンタクト20よりも下部ハウジング60の本体63から延出する寸法が大きい。先細りの先端部分65Cに連なる本体部分は、後述する第1要素65Aと第2要素65Bとからなる。
【0024】
第1ガイド65は、前後方向Xに幅広に形成される第1要素65Aと、第1要素65Aの前後方向Xの中央に連続的に設けられ第1要素65Aより相当に幅狭に形成される第2要素65Bと、を備える。第1要素65Aは、相手ハウジング110に挿入されることで、方向の案内を担う。第2要素65Bは、相手ハウジング110に挿入されることで、前後方向の案内を担う。つまり、第1要素65Aは方向の位置ずれを防ぐ本発明の前後方向要素の一例であり、第2要素65Bは前後方向の位置ずれを防ぐ本発明の幅方向要素の一例である。なお、電気コネクタ1と相手電気コネクタ100との接続において、第1要素65Aは後述する相手ハウジング110の第1ガイド通路113に挿入され、第2要素65Bは相手ハウジング110の第2ガイド通路115に挿入される。
【0025】
第2ガイド67は、図4(b),(d),(e)および図9に示すように、第2コンタクト20を挟んで、第1ガイド65と前後方向Xの反対側に設けられる。第2ガイド67は、第1ガイド65よりも下部ハウジング60から延出する寸法が小さく、第2コンタクト20と同等である。
第2ガイド67は、後述する相手ハウジング110の第3ガイド通路117に挿入されることで、第2コンタクト20と第3コンタクト30が嵌合する過程における位置ずれを防ぐ。
【0026】
[第1コンタクト10:図5図9
タブ型の第1コンタクト10は、図5および図9に示すように、上部ハウジング40の底床45を貫通して底床45に保持されている。第1コンタクト10は、底床45よりも高さ方向Zの上側はコンタクト収容室43に収容され、底床45よりも高さ方向Zの下側は接続筒47の内部に収容される。第1コンタクト10は、接続筒47の内部において、下部ハウジング60の内部に入り込む。
なお、第1コンタクト10は、銅、銅合金などの導電性金属板を打ち抜き、せん断加工度により形成される。
【0027】
[第2コンタクト20:図6図9図10
それぞれの第2コンタクト20は、銅、銅合金などの導電性金属板を打ち抜き加工および織り曲げ加工を施すことによって形成されるものである。
それぞれの第2コンタクト20は、図9および図10に示されるように、相手電気コネクタ100の第3コンタクト30と電気的に接続される。
第2コンタクト20は、図6に示されるように、第3コンタクト30と接続されるタブ型の接続端部21と、接続端部21とその先端において真っ直ぐに繋がる第1連結部22と、を備える。また、第1コンタクト10は、第1連結部22の後端とその先端において直交しながら繋がる第2連結部23と、第2連結部23の後端とその先端において直交しながら繋がる第3連結部24と、第3連結部24の後端に設けられ、コネクタハウジング70に収容された状態で固定されるとともに第1コンタクト10と接続される固定部25と、を備える。
【0028】
第2コンタクト20は、好ましい形態として、厚さおよび強度が要求される接続端部21および第1連結部22は、導電性金属板が折り返されて2層の構造をなしている。接続端部21および第1連結部22を除く第2連結部23、第3連結部24および固定部25は、強度よりも弾性が要求されるために、1層の金属板からなる弾性部28を構成する。
また、第2コンタクト20は、好ましい形態として、第1連結部22、第2連結部23および第3連結部24にかけて、S字状の屈曲領域29を有する。これにより、第2コンタクト20は、特にこの屈曲領域において、高さ方向Zに対する弾性を備えることができる。
【0029】
[第1コンタクト10と第2コンタクト20の接続関係:図5図9図10
第1コンタクト10と第2コンタクト20とは、図5図9および図10に示すように、第1コンタクト10の図中の下端部が第2コンタクト20の固定部25の内部に挿入されることで、電気的に接続される。
図9に示すように、第2コンタクト20は、その一方の端部にある固定部25において第1コンタクト10と嵌合されるとともに、下部ハウジング60に対して固定部25において固定される。そして、第2コンタクト20は、この固定部25より図中の下方は、コンタクト収容孔64の内部において下部ハウジング60と間隔をあけられている遊嵌部27をなす。
【0030】
[相手電気コネクタ100:図1図9図10
次に、電気コネクタ1の接続相手である相手電気コネクタ100について説明する。
相手電気コネクタ100は、適用対象200に設けられ、電気コネクタ1と相手電気コネクタ100とが接続されることにより、図1図9および図10に示すように、電気コネクタ1および相手電気コネクタ100を通じて、適用対象200に対して必要な電気的な信号が提供される。
【0031】
相手電気コネクタ100は、電気コネクタ1が備える二つの第2コンタクト20のそれぞれと電気的に接続される第3コンタクト30と、第3コンタクト30を保持する相手ハウジング110と、を備える。第3コンタクト30は、電気コネクタ1の第2コンタクト20と電気的に接続される相手コンタクトを構成する。これにより、第1コンタクト10、第2コンタクト20および第3コンタクト30が電気的に接続される。
【0032】
[相手ハウジング110:図1図7図10
相手ハウジング110は、図1および図7に示すように、二つの第3コンタクト30のそれぞれが収容、保持されるコンタクト収容室111と、コンタクト収容室111と前後方向Xに隣接して設けられる第1ガイド通路113、第2ガイド通路115と、を備える。相手ハウジング110は、第1ガイド通路113および第2ガイド通路115を形成するために、四つの柱状の仕切114A,114B,114C,114Dを備える。前述したように、第1ガイド通路113には第1ガイド65の第1要素65Aが挿入、案内され、第2ガイド通路115には第1ガイド65の第2要素65Bが挿入、案内される。
また、相手ハウジング110図1および図7に示すように、コンタクト収容室111を挟んで第1ガイド通路113などとは前後方向Xの反対側に第3ガイド通路117が設けられる。第3ガイド通路117には第2ガイド67が挿入、案内される。
なお、第1ガイド通路113、第2ガイド通路115および第3ガイド通路117は、それぞれに挿入、案内されるガイドに応じた溝の寸法を有するように形成される。この溝の開口寸法は、高さ方向Zに一定である。
【0033】
相手ハウジング110には、図1および図7に示すように、幅方向Yに間隔を空けて二つのコンタクト収容室111が形成される。コンタクト収容室111の内部において、第3コンタクト30は、図7(d)に示すように受容口31が外側を向いて配置される。
【0034】
図1および図7(a)に示すように、仕切114Aと仕切114Bは幅方向Yに一列に並び、かつ所定の間隔をあけて配列され、仕切114Cと仕切114Dも幅方向Yに一列に並び、かつ所定の間隔をあけて配列されている。また、仕切114Aと仕切114Cは前後方向Xに一列に並び、かつ所定の間隔をあけて配列され、仕切114Bと仕切114Dも前後方向Xに一列に並び、かつ所定の間隔をあけて配列されている。
仕切114A,114B,114C,114Dが以上のように配列されていることで、仕切114A,114Bの列と仕切114C,114Dの列との間に第1ガイド通路113が形成される。同様に、仕切114Aと仕切114Bの間に第2ガイド通路115が形成される。第1ガイド通路113と第2ガイド通路115は、平面視してT字状をなしている。
【0035】
[第3コンタクト30:図7図9図10
次に、それぞれの第3コンタクト30は、図9および図10に示されるように、電気コネクタ1の第2コンタクト20と電気的に接続される。
第3コンタクト30は、銅、銅合金などの導電性金属板を打ち抜き加工および曲げ加工を施すことによってU字状に形成される。第3コンタクト30は、図7(d)および図10に示されるように、第2コンタクト20の接続端部21と嵌合されるメス型の受容口31と、受容口31を支持する弾性支持部32と、を備える。
【0036】
[電気コネクタ1と相手電気コネクタ100の接続状態:図9図10
電気コネクタ1と相手電気コネクタ100が正規の接続状態にあると、図9および図10に示すように、適用対象200の内部に相手電気コネクタ100と、相手電気コネクタ100と接続されている電気コネクタ1の一部と、が収容される。電気コネクタ1においては、相手電気コネクタ100と直接的に接続される下部ハウジング60が上部の一部を除いてコネクタ収容部201に収容されるとともに、下部ハウジング60と接続される上部ハウジング40の接続筒47がコネクタ収容部201に収容される。取付フランジ50は、適用対象200の支持台203の上に載せられ、上部ハウジング40と下部ハウジング60の間に位置する。
【0037】
コンタクトについては、第1コンタクト10と第2コンタクト20とが下部ハウジング60の内部で電気的に接続され、第2コンタクト20と第3コンタクト30とが相手ハウジング110の内部で電気的に接続される。第3コンタクト30は、図示が省略されるが、適用対象200の電気的な要素と接続される。
【0038】
[嵌合手順:図11
第2コンタクト20の接続端部21と第3コンタクト30の受容口31との相対的な位置合わせがなされた状態が得られないと、接続端部21と受容口31とを嵌合することができない。接続端部21が受容口31に対して位置ずれを起こしたままで嵌合させようとすると、接続端部21が受容口31を構成する金属板に突き当たってしまい、接続端部21が受容口31に挿入できないか、または、座屈などの損傷を生じさせるおそれがある。この接続端部21と受容口31との間に位置ずれを生じさせないために、電気コネクタ1の下部ハウジング60は第1ガイド65を備え、相手電気コネクタ100の相手ハウジング110は第1ガイド通路113と第2ガイド通路115を備える。以下、第1ガイド65と第1ガイド通路113と第2ガイド通路115とによる、接続端部21と受容口31との嵌合の手順を、図11に基づいて説明する。なお、図11は、下部ハウジング60と相手ハウジング110における説明に必要な範囲だけが示されている。
【0039】
図11(a)に示すように、下部ハウジング60と相手ハウジング110を対峙させる。図11(a)においては、第1ガイド65と第1ガイド通路113とが位置合わせされており、かつ、第2コンタクト20と第3コンタクト30とが位置合わせされているように記載されている。しかし、実際の嵌合の作業の際には位置ずれが生じていることも当然あるが、そうだとしても、本実施形態によれば、第2コンタクト20と第3コンタクト30との位置合わせをし、その状態を維持しつつ第2コンタクト20と第3コンタクト30との嵌合を実現できる。
【0040】
図11(b)に示すように、下部ハウジング60を相手ハウジング110に対して近づける。第1ガイド65が第2コンタクト20よりも下方、つまり接続の向きに延在しているので、第1ガイド65の第1要素65Aが第2コンタクト20よりも先行して第1ガイド通路113に挿入される。このとき、図示されていないが、第1ガイド65の第2要素65Bは第2ガイド通路115に挿入され、以下も第1要素65Aと同様の経過を辿る。第1要素65Aが第1ガイド通路113に対して位置ずれしていても、下部ハウジング60と相手ハウジング110の前後方向Xおよび幅方向Yの一方または双方に微小量だけ移動させれば第1ガイド65と第1ガイド通路113との位置合わせを行うことができる。
図11(b)に示すように、第1要素65Aの先端が第1ガイド通路113に挿入された時点では、第2コンタクト20は第3コンタクト30から離れているが、位置合わせがなされている。第1ガイド65は先端に向けて先細りになっているため、第1ガイド65と第1ガイド通路113との位置合わせは容易である。
【0041】
第1ガイド65は、第2コンタクト20よりも下部ハウジング60から延出する寸法が大きいが、これは、第2コンタクト20が第3コンタクト30の受容口31の近傍に接するよりも前に第1ガイド65が第1ガイド通路113に挿入されることを最低限の条件とする。
【0042】
次に、下部ハウジング60を相手ハウジング110に対してさらに近づけていくと、図11(c)に示すように、第1ガイド65の第1要素65Aは第1ガイド通路113の奥まで挿入され、かつ、第2コンタクト20の接続端部21は第3コンタクト30の受容口31に挿入される。図11(b)のガイド挿入開始から図11(c)のガイド挿入完了までの間、第1ガイド65は第1ガイド通路113の内部を案内されながら移動するので、第2コンタクト20は第3コンタクト30に対して位置ずれすることなく第3コンタクト30に嵌合される。
【0043】
[効 果]
以上説明した電気コネクタ1および相手電気コネクタ100は、以下の効果を奏する。
電気コネクタ1は、相手電気コネクタ100の第3コンタクト30に電気的に接続される第2コンタクト20よりも、接続の向きに延在する第1ガイド65を備えている。したがって、相手電気コネクタ100と接続される際に、第2コンタクト20よりも先行して第1ガイド65が相手ハウジング110の第1ガイド通路113および第2ガイド通路115に案内されることにより、その後に、第3コンタクト30に対して位置合わせされた第2コンタクト20が第3コンタクト30に無理なく挿入、嵌合される。
【0044】
以上で説明した以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、本発明において好ましい形態として、案内の方向が異なる第1ガイド65と第2ガイド67という二つのガイドを設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明は、前後方向Xに対応するガイドおよび幅方向Yに対応するガイドの少なくとも一方を備える形態を包含する。
【0045】
また、上記実施形態においては、本発明において好ましい形態として、案内の方向が異なる第1ガイド65と第2ガイド67とを一体的に形成したが、本発明はこれに限定されず、第1ガイド65と第2ガイド67とを別体として形成してもよい。
【0046】
また、上記実施形態においては、本発明において好ましい形態として、案内の方向が異なる第1ガイド65と第2ガイド67の横断面の形状を矩形としたが、本発明はこれに限定されず、例えば円形、三角形などの矩形を除く多角形としてもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、本発明において好ましい形態として、案内の方向が異なる第1ガイド65と第2ガイド67の高さ方向Zの寸法を同程度としたが、本発明はこれに限定されず、第1ガイド65と第2ガイド67とを異なる寸法にしてもよい。ただし、少なくとも第2コンタクト20よりも長いとこが前提である。
【符号の説明】
【0048】
1 電気コネクタ
10 第1コンタクト
20 第2コンタクト
21 接続端部
22 第1連結部
23 第2連結部
24 第3連結部
25 固定部
27 遊嵌部
28 弾性部
29 屈曲領域
30 第3コンタクト
31 受容口
32 弾性支持部
40 上部ハウジング
41 外壁
43 コンタクト収容室
45 底床
46 コンタクト支持孔
47 接続筒
50 取付フランジ
51 保持孔
53 弾性支持体
55 収容溝
57 シールリング
60 下部ハウジング
61 収容体
62 ロックバー
62A ロック爪
63 本体
64 コンタクト収容孔
65 ガイド
65A 第1要素(前後方向要素)
65B 第2要素(幅方向要素)
67 ガイド
70 コネクタハウジング
100 相手電気コネクタ
110 相手ハウジング
111 コンタクト収容室
113 第1ガイド通路
114A,114B,114C,114D 仕切
115 第2ガイド通路
117 第3ガイド通路
200 適用対象
201 コネクタ収容部
203 支持台
300 電気コネクタ組立体
X 前後方向
Y 幅方向
Z 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11