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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】溶接治具、および回転電機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/04 20250101AFI20250310BHJP
   H02K 15/085 20060101ALI20250310BHJP
【FI】
H02K15/04
H02K15/085
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022543224
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2020031471
(87)【国際公開番号】W WO2022038746
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】黄川田 昌和
(72)【発明者】
【氏名】坂井 哲男
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光夫
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-219614(JP,A)
【文献】特開2000-350422(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092528(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/04
H02K 15/085
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセグメントの一方の端部と、前記第1のセグメントに隣接する第2のセグメントの一方の端部と、を重ね合わせた状態で保持する溶接治具であって、
環状を呈し、前記第1のセグメントの一方の端部に接触可能な第1の環状部材と、
環状を呈し、前記第1のセグメントと前記第2のセグメントとを挟んで、前記第1の環状部材の外側に設けられ、前記第2のセグメントの一方の端部に接触可能な第2の環状部材と、
板状を呈し、前記第1の環状部材および前記第2の環状部材の上に設けられた一対のカバーと、
を有し、
前記第1の環状部材は、前記第1のセグメントの一方の端部に接触可能な第1の凹部を有する、および、
前記第2の環状部材は、前記第2のセグメントの一方の端部に接触可能な第2の凹部を有する、の少なくともいずれかであり、
前記第1の環状部材および前記第2の環状部材の上方から見た場合に、前記一対のカバーの間には、前記第1のセグメントの一方の端部と、前記第2のセグメントの一方の端部とが設けられている溶接治具。
【請求項2】
前記第1の凹部は、前記第1のセグメントの一方の端部に線接触または面接触が可能である請求項1記載の溶接治具。
【請求項3】
前記第2の凹部は、前記第2のセグメントの一方の端部に線接触または面接触が可能である請求項1記載の溶接治具。
【請求項4】
前記第1の環状部材には、前記第2の環状部材に向けて延びる第1の孔が設けられ、
前記第2の環状部材には、前記第1の孔に対向する第2の孔が設けられ
前記第1の孔と、前記第2の孔と、に挿入されたボルトにより、前記第1の環状部材と、前記第2の環状部材と、が、前記第1のセグメントと、前記第2のセグメントと、が近接する方向に締め付けられている請求項1~3のいずれか1つに記載の溶接治具。
【請求項5】
前記第1の孔、または、前記第2の孔は、雌ネジである請求項4記載の溶接治具。
【請求項6】
前記一対のカバーの間の空間は、パージガスが流通可能である請求項1~5のいずれか1つに記載の溶接治具。
【請求項7】
板状を呈し、前記一対のカバーの上に設けられ、厚み方向を貫通する第3の孔を有する蓋をさらに備え、
前記第1の環状部材および前記第2の環状部材の上方から見た場合に、前記第3の孔の内部には、前記第1のセグメントの一方の端部の端面と、前記第2のセグメントの一方の端部の端面とが設けられている請求項1~6のいずれか1つに記載の溶接治具。
【請求項8】
前記第1の環状部材は、前記第1のセグメントの一方の端部の端面から離隔した位置に設けられ、
前記第2の環状部材は、前記第2のセグメントの一方の端部の端面から離隔した位置に設けられている請求項1~のいずれか1つに記載の溶接治具。
【請求項9】
前記第1の環状部材の一方の面は、前記第1のセグメントの一方の端部の端面と略同一平面内に設けられ、
前記第1の凹部の縁には、曲面または傾斜面が設けられている請求項1~のいずれか1つに記載の溶接治具。
【請求項10】
前記第2の環状部材の一方の面は、前記第2のセグメントの一方の端部の端面と略同一平面内に設けられ、
前記第2の凹部の縁には、曲面または傾斜面が設けられている請求項1~のいずれか1つに記載の溶接治具。
【請求項11】
複数のスロットに、コイルを設ける工程を備えた回転電機の製造方法であって、
前記コイルは、複数のセグメントを含み、
前記コイルを設ける工程において、前記複数のセグメントの端部が、請求項1~10のいずれか1つに記載の溶接治具により保持され、
前記溶接治具により保持された前記複数のセグメントの端部の端面にレーザ光を照射する回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、溶接治具、および回転電機の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、モータや発電機などの回転電機には、コアに巻き付けられたコイルが設けられている。コイルは、銅線を複数回巻いて形成されるため柔軟性が乏しく、形成されたコイルをコアのスロットに挿入するようにすると作業性が著しく悪くなる。そのため、複数のセグメントをスロットに挿入した後に、セグメントの端面とこれに隣接するセグメントの端面とにレーザ光を照射して、コアに巻き付けられたコイルを形成している。この場合、セグメントの端面同士の間に隙間があると、溶接断面積が小さくなったり、端面同士の間の隙間からレーザ光が漏れたりするおそれがある。
【0003】
そのため、複数の第1の挿入窓が設けられた第1の環状部材と、第1の環状部材の上に設けられ、複数の第2の挿入窓が設けられた第2の環状部材と、を有する溶接治具が提案されている。この溶接治具において、上下方向に重ねて設けられた第1の環状部材と第2の環状部材を互いに逆方向に回転させると、セグメントの端部が、第1の挿入窓と第2の挿入窓の内部に誘い込まれる。第1の挿入窓と第2の挿入窓のそれぞれには傾斜面が設けられているので、コアの周方向から侵入する傾斜面により、コアの周方向において重なる位置に設けられたセグメントの端部が、コアの径方向において互いに近接する方向に押される。
【0004】
しかしながら、傾斜面によりセグメントの端部を押すと、セグメントの端部同士を近接させる方向の力が小さくなる。そのため、セグメントの端面同士の間に隙間が生じ易くなり、溶接強度が低下するおそれがある。またさらに、セグメントの端部と、溶接治具の傾斜面とが点接触となっているため、溶接時の熱が治具に伝わり難くなる。そのため、溶接時の熱がセグメントの外面にある絶縁膜に伝わり易くなり、絶縁膜が損傷するおそれもある。
そこで、溶接部分の品質を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4114588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、溶接部分の品質を向上させることができる溶接治具、および回転電機の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る溶接治具は、第1のセグメントの一方の端部と、前記第1のセグメントに隣接する第2のセグメントの一方の端部と、を重ね合わせた状態で保持する溶接治具である。溶接治具は、環状を呈し、前記第1のセグメントの一方の端部に接触可能な第1の環状部材と、環状を呈し、前記第1のセグメントと前記第2のセグメントとを挟んで、前記第1の環状部材の外側に設けられ、前記第2のセグメントの一方の端部に接触可能な第2の環状部材と、板状を呈し、前記第1の環状部材および前記第2の環状部材の上に設けられた一対のカバーと、を有する。前記第1の環状部材は、前記第1のセグメントの一方の端部に接触可能な第1の凹部を有する、および、前記第2の環状部材は、前記第2のセグメントの一方の端部に接触可能な第2の凹部を有する、の少なくともいずれかである。前記第1の環状部材および前記第2の環状部材の上方から見た場合に、前記一対のカバーの間には、前記第1のセグメントの一方の端部と、前記第2のセグメントの一方の端部とが設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ステータを例示するための模式斜視図である。
図2】コアに取り付けられる前のセグメントを例示するための模式図である。
図3】コアに取り付けられたコイルを例示するための模式図である。
図4】溶接治具を例示するための模式斜視図である。
図5図4におけるA部の模式拡大平面図である。
図6】溶接治具の取り付けを例示するための模式斜視図である。
図7図6におけるB部の模式平面図である。
図8】環状部材とセグメントの端部との接触を例示するための模式断面図である。
図9】他の実施形態に係る溶接治具を例示するための模式斜視図である。
図10】他の実施形態に係る溶接治具を例示するための模式平面図である。
図11図10におけるC部の模式拡大平面図である。
図12】溶接治具の取り付けを例示するための模式斜視図である。
図13】他の実施形態に係る溶接治具を例示するための模式斜視図である。
図14】他の実施形態に係る溶接治具を例示するための模式斜視図である。
図15】他の実施形態に係る溶接治具を例示するための模式斜視図である。
図16】(a)は、曲面を例示するための模式断面図である。(b)は、斜面を例示するための模式断面図である。
図17】(a)、(b)は、複数のセグメントの端部を溶接する工程を例示するための模式斜視図である。
図18】(a)、(b)は、複数のセグメントの端部を溶接する工程を例示するための模式斜視図である。
図19】(a)、(b)は、複数のセグメントの端部を溶接する工程を例示するための模式斜視図である。
図20】(a)、(b)は、複数のセグメントの端部を溶接する工程を例示するための模式斜視図である。
図21】複数のセグメントの端部を溶接する工程を例示するための模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態に係る溶接治具は、例えば、モータや発電機などの回転電機に設けられるコイルを形成する際に用いることができる。以下においては、一例として、ステータの製造の際に用いる溶接治具を説明するが、本実施の形態に係る溶接治具は、例えば、ロータの製造の際にも用いることができる。
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(ステータ1)
まず、本実施の形態に係る回転電機の製造方法により製造されるステータ1について説明する。
図1は、ステータ1を例示するための模式斜視図である。
図1に示すように、ステータ1には、コア2、およびコイル3が設けられている。
【0011】
コア2は、環状の磁性体部材が、ステータ1の軸方向(図1中のZ方向)に複数積層されたものとすることができる。磁性体部材は、例えば、電磁鋼板(珪素鋼板)から形成することができる。コア2は、ヨーク21と、複数のティース22を有する。ヨーク21は、筒状を呈し、コア2の外周側に位置する。複数のティース22は、ヨーク21の内周面に等間隔に設けられている。複数のティース22のそれぞれは、ヨーク21の内周面からコア2の中心に向けて突出するとともに、ステータ1の軸方向に延びる形態を有している。また、ティース22とティース22との間に設けられる溝がスロット23となる。なお、ティース22の形状、数、大きさは、例示をしたものに限定されるわけではなく、ステータ1が設けられる回転電機の用途、大きさ、仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0012】
コイル3は、複数のセグメント31を含んでいる。
図2は、コア2に取り付けられる前のセグメント31を例示するための模式図である。
図2に示すように、セグメント31は、導体部31a、および絶縁膜31bを有する。コア2に取り付けられる前の導体部31aの外観形状は、略U字状とすることができる。導体部31aは、導電率の高い材料から形成することができる。導体部31aは、例えば、いわゆる純銅や、銅を主成分とする材料から形成することができる。また、導体部31aは、平角線から形成することができる。平角線は、断面が四角形の線材である。
【0013】
絶縁膜31bは、導体部31aの外面を覆っている。ただし、導体部31aの両側の端部の近傍には、絶縁膜31bが設けられておらず、導体部31aが露出している。絶縁膜31bは、例えば、エナメルなどを含む。
【0014】
図3は、コア2に取り付けられたコイル3を例示するための模式図である。
図3に示すように、セグメント31は、スロット23の内部に設けられている。セグメント31の両端は、コア2の一方の端面から突出している。セグメント31の、コア2の一方の端面から突出している部分は、隣接するセグメント31に近づく方向に延びている。
【0015】
さらに、セグメント31の、導体部31aが露出している部分の近傍は、コア2の軸方向(図3中のZ方向)に延びている。コア2の周方向(コア2の中心軸周りの方向)において、セグメント31の、導体部31aが露出している部分は、隣接するセグメント31の、導体部31aが露出している部分と重ね合わされている。
【0016】
導体部31aの端面にはレーザ光が照射され、端面同士がレーザ溶接される。そのため、複数のセグメント31が、溶接部31cを介して電気的に接続されるので、コイル3が構成される。
【0017】
この場合、複数のコイル3をコア2の径方向(コア2の中心軸を通りZ方向に直交する方向)に並べて設けることができる。例えば、図1に示すように、U相のコイル3、V相のコイル3、およびW相のコイル3をコア2の径方向に並べて設けることができる。なお、コイル3とセグメント31の外観形状、数、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、ステータ1が設けられる回転電機の用途、大きさ、仕様などに応じて適宜変更することができる。例えば、後述する図6に示すように、コア2の径方向に4つのコイル3が並べて設けられていてもよい。
【0018】
ここで、導体部31aの端面にレーザ光を照射する際に、端面同士の間に隙間があると溶接断面積が小さくなり溶接強度が低下するおそれがある。また、隙間が大きいと、レーザ光を走査した際に、レーザ光が隙間を介してステータ1の下方にある部材に照射されるおそれがある。
【0019】
そこで、本実施の形態に係るステータの製造方法においては、レーザ溶接を行う際に、溶接治具100を用いて、導体部31aの端面同士を接触させるようにしている。
【0020】
(溶接治具100)
次に、本実施の形態に係る溶接治具100について説明する。溶接治具100は、セグメント31(第1のセグメントの一例に相当する)の一方の端部と、当該セグメント31に隣接するセグメント31(第2のセグメントの一例に相当する)の一方の端部と、を重ね合わせた状態で保持することができる。
図4は、溶接治具100を例示するための模式斜視図である。
図5は、図4におけるA部の模式拡大平面図である。
図6は、溶接治具100の取り付けを例示するための模式斜視図である。
図7は、図6におけるB部の模式平面図である。
なお、図4図7に示す溶接治具100は、略同芯状に並ぶ4つのコイル3を形成する場合に用いるものである。
【0021】
図4に示すように、溶接治具100は、環状部材101(第1の環状部材の一例に相当する)、環状部材102(第2の環状部材の一例に相当する)、環状部材103、環状部材104、および環状部材105を有する。なお、溶接治具100は、4つのコイルを形成する場合に用いるものであるため、5つの環状部材を有しているが、環状部材の数は、略同芯状に並ぶコイル3の数よりも1つ多くすればよい。
【0022】
図5に示すように、環状部材101は、環状(例えば、略円環状)を呈している。環状部材101の外側面側は、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部に接触することができる。環状部材101の外側の側面101aには、複数の凹部101a1(第1の凹部の一例に相当する)を設けることができる。複数の凹部101a1は、略等間隔で設けることができる。複数の凹部101a1の数は、コア2に設けられたスロット23の数と同じとすることができる。
【0023】
環状部材102は、環状(例えば、略円環状)を呈している。環状部材102は、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31を挟んで、環状部材101の外側に設けられている。環状部材102の内側面側は、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部に接触することができる。環状部材102の外側面側は、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部に接触することができる。環状部材102の外側の側面102aには、複数の凹部102a1を設けることができる。複数の凹部102a1は、略等間隔で設けることができる。凹部102a1の数は、凹部101a1の数と同じとすることができる。
【0024】
環状部材103は、環状(例えば、略円環状)を呈している。環状部材103は、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31を挟んで、環状部材102の外側に設けられている。環状部材103の内側面側は、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部に接触することができる。環状部材103の外側面側は、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部に接触することができる。環状部材103の外側の側面103aには、複数の凹部103a1を設けることができる。複数の凹部103a1は、略等間隔で設けることができる。凹部103a1の数は、凹部101a1の数と同じとすることができる。
【0025】
環状部材104は、環状(例えば、略円環状)を呈している。環状部材104は、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31を挟んで、環状部材103の外側に設けられている。環状部材104の内側面側は、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部に接触することができる。環状部材103の外側面側は、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部に接触することができる。環状部材104の外側の側面104aには、複数の凹部104a1を設けることができる。複数の凹部104a1は、略等間隔で設けることができる。凹部104a1の数は、凹部101a1の数と同じとすることができる。
【0026】
環状部材105は、環状(例えば、略円環状)を呈している。環状部材105は、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31を挟んで、環状部材104の外側に設けられている。環状部材105の内側面側は、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部に接触することができる。
【0027】
コア2の中心軸に沿った方向から見た場合に、1組の凹部101a1~104a1が、コア2の中心を通る線上に並ぶようにすることができる。
環状部材101~105は、ある程度の剛性を有し、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。環状部材101~105は、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。
【0028】
図6および図7に示すように、コア2のスロット23に取り付けらた複数のセグメント31の端部に、溶接治具100を取り付ける際には、環状部材101は、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の内側に設けることができる。環状部材102は、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31と、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31との間に設けることができる。環状部材103は、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31と、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31との間に設けることができる。環状部材104は、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31と、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31との間に設けることができる。環状部材105は、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の外側に設けることができる。
【0029】
この際、環状部材101の凹部101a1の内部には、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。環状部材102の内側の側面102bには、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が接触する。
【0030】
また、環状部材102の凹部102a1の内部には、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。環状部材103の内側の側面103bには、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が接触する。
【0031】
また、環状部材103の凹部103a1の内部には、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。環状部材104の内側の側面104bには、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が接触する。
【0032】
また、環状部材104の凹部104a1の内部には、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。環状部材105の内側の側面105bには、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が接触する。
【0033】
環状部材101~105を取り付けた際には、コア2の周方向に並ぶ複数のセグメント31の内側に配置された環状部材が、複数のセグメント31のそれぞれの一方の端部をコア2の外側に向けて押圧する。コア2の周方向に並ぶ複数のセグメント31の外側に配置された環状部材が、複数のセグメント31のそれぞれの他方の端部をコア2の内側に向けて押圧する。
【0034】
図8は、環状部材とセグメントの端部との接触を例示するための模式断面図である。なお、図8においては、一例として、環状部材101、102とセグメント31の端部との接触を説明するが、他の環状部材103~105についても同様とすることができる。
【0035】
図8に示すように、環状部材101の凹部101a1の底面には、セグメント31の、導体部31aが露出する部分が接触する。この場合、凹部101a1の底面は平坦な面となっているので、断面形状が略四角形の導体部31aの側面と凹部101a1の底面とを線接触または面接触させることができる。また、環状部材102の側面102bには、隣接するセグメント31の、導体部31aが露出する部分が接触する。
【0036】
また、環状部材101は、セグメント31の一方の端部の端面から離隔した位置に設けられている。環状部材102は、当該セグメント31に隣接するセグメントの一方の端部の端面から離隔した位置に設けられている。レーザ溶接を行う際には、突き合わされたセグメント31の端面にレーザ光が照射される。
【0037】
この場合、セグメント31の端面と、環状部材101、102の上面との間の距離Lが小さいと、セグメント31の端面と、環状部材101、102の上面とが接合されるおそれがある。そのため、距離Lは2mm以上とすることが好ましい。
【0038】
本実施の形態によれば、図8に示すように、コア2の周方向に並ぶ複数のセグメント31の内側に設けられた環状部材と、外側に設けられた環状部材とにより、セグメント31の一方の端部と、当該セグメント31に隣接するセグメント31の他方の端部とが、互いに近接する方向に押される。そのため、セグメント31の端部同士を近接させる方向の力を大きくすることができるので、セグメント31の端面同士の間に隙間が生じるのを抑制することができる。また、セグメント31の端部が環状部材の凹部の内部に設けられるので、セグメント31の端部の位置がズレるのを抑制することができる。
【0039】
また、セグメント31の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が、環状部材の凹部の底面に線接触または面接触するので、レーザ溶接を行った際の熱が、環状部材に伝わり易くなる。そのため、エナメルなどを含む絶縁膜31bに伝わる熱を少なくすることができるので、絶縁膜31bが損傷するのを抑制することができる。
以上に説明した様に、本実施の形態に係る溶接治具100とすれば、溶接部分の品質を向上させることができる。
【0040】
またさらに、環状部材101~105が、熱伝導率の高い材料から形成されていれば、レーザ溶接を行った際の熱が、環状部材101~105にさらに伝わり易くなる。そのため、絶縁膜31bが損傷するのを抑制することがさらに容易となる。
【0041】
図9は、他の実施形態に係る溶接治具110を例示するための模式斜視図である。
図9に示すように、溶接治具110は、環状部材111、環状部材112、環状部材113、環状部材114、および環状部材115を有する。
コア2のスロット23に取り付けらた複数のセグメント31の端部に、溶接治具110を取り付ける際には、環状部材111は、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の内側に設けることができる。環状部材112は、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31と、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31との間に設けることができる。環状部材113は、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31と、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31との間に設けることができる。環状部材114は、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31と、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31との間に設けることができる。環状部材115は、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の外側に設けることができる。
【0042】
環状部材111は、前述した環状部材101に複数の孔111a(第1の孔の一例に相当する)をさらに追加したものとすることができる。孔111aは、環状部材102に向けて延びている。複数の孔111aは、環状部材111の外側の側面と、内側の側面との間を貫通している。環状部材112は、前述した環状部材102に複数の孔112a(第2の孔の一例に相当する)をさらに追加したものとすることができる。孔112aは、孔111aに対向している。複数の孔112aは、環状部材112の外側の側面と、内側の側面との間を貫通している。環状部材113は、前述した環状部材103に複数の孔113aをさらに追加したものとすることができる。孔113aは、環状部材104に向けて延びている。複数の孔113aは、環状部材113の外側の側面と、内側の側面との間を貫通している。環状部材114は、前述した環状部材104に複数の孔114aをさらに追加したものとすることができる。孔114aは、環状部材105に向けて延びている。複数の孔114aは、環状部材114の外側の側面と、内側の側面との間を貫通している。環状部材115は、前述した環状部材105に複数の孔115aをさらに追加したものとすることができる。複数の孔115aは、環状部材115の外側の側面と、内側の側面との間を貫通している。
【0043】
コア2の周方向において、孔111a~115aは、セグメント31の一方の端部と他方の端部との間に設けることができる。また、コア2の中心軸に沿った方向から見た場合に、1組の孔111a~115aが、コア2の中心を通る線上に並ぶようにすることができる。1組の孔111a~115aの内部にはボルトが挿入され、ナットを用いてボルトを締め付けることで、前述したセグメント31の端部同士を近接させる方向の力をさらに大きくすることができる。なお、孔111aまたは孔115aが雌ネジであってもよい。例えば、孔111aの内壁または孔115aの内壁にネジ加工を施すようにしてもよい。この様にすれば、ボルトの締め付け作業が容易となる。
【0044】
セグメント31の端部の寸法にばらつきがあると、寸法の小さい端部の端面同士の間に隙間が生じるおそれがある。本実施の形態に係る溶接治具110とすれば、セグメント31の端部の寸法にばらつきがあったとしても、セグメント31の端面同士を接触させのが容易となる。そのため、溶接部分の品質をさらに向上させることができる。
【0045】
図10は、他の実施形態に係る溶接治具120を例示するための模式平面図である。
図11は、図10におけるC部の模式拡大平面図である。
図12は、溶接治具120の取り付けを例示するための模式斜視図である。
図10および図11に示すように、溶接治具120は、環状部材101、環状部材122、環状部材123、環状部材124、および環状部材125を有する。
【0046】
環状部材122は、前述した環状部材102の内側の側面102bに複数の凹部102b1をさらに加えたものとすることができる。環状部材123は、前述した環状部材103の内側の側面103bに複数の凹部103b1をさらに加えたものとすることができる。環状部材124は、前述した環状部材104の内側の側面104bに複数の凹部104b1をさらに加えたものとすることができる。環状部材125は、前述した環状部材105の内側の側面105bに複数の凹部105b1をさらに加えたものとすることができる。
【0047】
コア2の中心軸に沿った方向から見た場合に、1組の凹部101a1~104a1、102b1~105b1が、コア2の中心を通る線上に並ぶようにすることができる。
【0048】
図12に示すように、コア2のスロット23に取り付けらた複数のセグメント31の端部に、溶接治具120を取り付けた際には、環状部材101の凹部101a1(第1の凹部の一例に相当する)の内部には、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。環状部材122の凹部102b1(第2の凹部の一例に相当する)の内部には、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。
【0049】
また、環状部材122の凹部102a1の内部には、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。環状部材123の凹部103b1の内部には、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。
【0050】
また、環状部材123の凹部103a1の内部には、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。環状部材124の凹部104b1の内部には、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。
【0051】
また、環状部材124の凹部104a1の内部には、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の一方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。環状部材125の凹部105b1の内部には、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の他方の端部(セグメント31の、導体部31aが露出する部分)が挿入される。
【0052】
本実施の形態に係る溶接治具120とすれば、セグメント31の両側の端部が凹部の内部に設けられているので、セグメント31の端部の位置がズレるのをさらに抑制することができる。また、セグメント31の両側の端部が、凹部の底面に線接触または面接触するので、レーザ溶接を行った際の熱が、環状部材にさらに伝わり易くなる。そのため、エナメルなどを含む絶縁膜31bに伝わる熱をさらに少なくすることができるので、絶縁膜31bが損傷するのを抑制することがさらに容易となる。
【0053】
なお、以上においては、外側の側面のみに凹部を有する環状部材、または、外側の側面と内側の側面とに凹部を有する環状部材を例示したが、内側の側面のみに凹部を有する環状部材としてもよい。
すなわち、内側に設けられる環状部材は、セグメント31の一方の端部に接触可能な凹部を有する、および、外側に設けられる環状部材は、当該セグメント31に隣接するセグメント31の一方の端部に接触可能な凹部を有する、の少なくともいずれかであればよい。
【0054】
図13は、他の実施形態に係る溶接治具220を例示するための模式斜視図である。
図13に示すように、溶接治具220は、環状部材101、環状部材102、環状部材103、環状部材104、環状部材105、およびカバー221を有する。また、溶接治具220は、ノズル222をさらに有することもできる。
【0055】
前述したように、環状部材101および環状部材102により、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の端部が保持される。環状部材102および環状部材103により、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31の端部が保持される。環状部材103および環状部材104により、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31の端部が保持される。環状部材104および環状部材105により、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の端部が保持される。また、セグメント31の端面は、環状部材101~105の上面よりも突出した位置にある。また、コアの周方向に隣接するセグメント31の端面同士がレーザ溶接される。
【0056】
ここで、レーザ溶接は大気中で行われるため、溶接部分が酸化したり、ブローホールなどが発生したりして溶接部分の品質が低くなるおそれがある。この場合、セグメント31の端部の近傍にパージガスを供給すれば、溶接部分の品質を維持することができる。しかしながら、環状部材101~105の上面からは、セグメント31の端部が多数突出しているため、全てのセグメント31の端部にパージガスを均等に供給するのは困難である。
【0057】
そこで、溶接治具220には、複数のカバー221が設けられている。複数のカバー221は、板状を呈し、環状部材101~105の上に設けられている。複数のカバー221は、コア2の径方向に延びている。複数のカバー221は、コア2の周方向に並べて設けられている。環状部材101~105の上方から見た場合に、一対のカバー221の間には、コア2の径方向に並ぶ複数のセグメント31の端部が設けられている。この場合、一対のカバー221の間の空間には、コア2の径方向に並ぶ複数のセグメント31の端部が露出している。一対のカバー221の間の空間は、パージガスが流通可能とすることができる。この様にすれば、一対のカバー221の間に供給されたパージガスが拡散するのを抑制することができるので、全てのセグメント31の端部にパージガスを供給するのが容易となる。そのため、溶接部分の品質を向上させることができる。
【0058】
複数のカバー221は、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。
パージガスは、例えば、窒素ガスや、アルゴンなどの不活性ガスなどとすることができる。
【0059】
また、溶接治具220には、ノズル222をさらに設けることができる。例えば、ノズル222は、コア2の周方向に延びる管状部材とすることができる。ノズル222には、ノズル222の内部空間にパージガスを供給する供給口222bを設けることができる。ノズル222の外側の側面には、ノズル222の内部空間に連通する複数のノズル孔222aを設けることができる。ノズル孔222aは、一対のカバー221の間の空間に面した位置に設けられている。そのため、供給口222bからノズル222の内部空間に供給されたパージガスを、ノズル孔222aを介して、一対のカバー221の間の空間に供給することができる。
【0060】
ノズル222は、環状部材101の内側、または環状部材105の外側に設けることができる。この場合、図13に示すように、環状部材101の内側にノズル222を設ければ、コア2の内側から外側に向かうパージガスの流れを形成することができる。そのため、溶接の際に発生したガスやゴミをコア2の外側に排出するのが容易となるので、溶接部分の品質をさらに向上させることができる。
【0061】
図14は、他の実施形態に係る溶接治具320を例示するための模式斜視図である。
図14に示すように、溶接治具320は、環状部材101、環状部材102、環状部材103、環状部材104、環状部材105、カバー221、および蓋321を有する。また、溶接治具320は、前述したノズル222をさらに有することもできる。
【0062】
蓋321は、板状を呈するものとすることができる。蓋321の平面形状は、環状(例えば、略円環状)とすることができる。蓋321は、コア2の周方向に並べて設けられた複数のカバー221の上に設けられている。蓋321には、厚み方向に貫通する複数の孔321a(第3の孔の一例に相当する)が設けられている。孔321aは、セグメント31の端部の上方に位置するようにすることができる。すなわち、環状部材101~105の上方から見た場合に、孔321aの内部には、セグメント31の一方の端部の端面と、当該セグメント31に隣接するセグメント31の一方の端部の端面とが設けられている。そのため、孔321aを介して、レーザ光をセグメント31の端面に照射することができる。
【0063】
一対のカバー221と蓋321とにより仕切られた空間は、パージガスの流路となる。この様にすれば、一対のカバー221の間に供給されたパージガスが、カバー221の上方に拡散するのを抑制することができる。そのため、パージガスの有効利用を図ることができるので、パージガスの消費量を低減させることができる。また、パージガスによるパージをより確実に行うことができるので、溶接部分の品質をさらに向上させることができる。
蓋321は、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。
【0064】
図15は、他の実施形態に係る溶接治具420を例示するための模式斜視図である。
図15に示すように、溶接治具420は、環状部材401、環状部材402、環状部材403、環状部材404、および環状部材405を有する。環状部材401、環状部材402、環状部材403、環状部材404、および環状部材405は、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。
【0065】
環状部材401は、環状部401aと複数の凸部401bを有する。環状部401aは、前述した環状部材101と同様とすることができる。すなわち、環状部材401は、前述した環状部材101に、複数の凸部401bをさらに設けたものとすることができる。
【0066】
複数の凸部401bは、環状部401aの上面に設けることができる。複数の凸部401bは、コア2の周方向に並べて設けられている。一対の凸部401bの間には、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の端部が露出している。凸部401bにはコア2の径方向に貫通する孔401b1が設けられている。
【0067】
環状部材402は、環状部402aと複数の凸部402bを有する。環状部402aは、前述した環状部材102と同様とすることができる。すなわち、環状部材402は、前述した環状部材102に、複数の凸部402bをさらに設けたものとすることができる。
【0068】
複数の凸部402bは、環状部402aの上面に設けることができる。複数の凸部402bは、コア2の周方向に並べて設けられている。一対の凸部402bの間には、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31の端部が露出している。凸部402bにはコア2の径方向に貫通する孔402b1が設けられている。
【0069】
環状部材403は、環状部403aと複数の凸部403bを有する。環状部403aは、前述した環状部材103と同様とすることができる。すなわち、環状部材403は、前述した環状部材103に、複数の凸部403bをさらに設けたものとすることができる。
【0070】
複数の凸部403bは、環状部403aの上面に設けることができる。複数の凸部403bは、コア2の周方向に並べて設けられている。一対の凸部403bの間には、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31の端部が露出している。凸部403bにはコア2の径方向に貫通する孔403b1が設けられている。
【0071】
環状部材404は、環状部404aと複数の凸部404bを有する。環状部404aは、前述した環状部材104と同様とすることができる。すなわち、環状部材404は、前述した環状部材104に、複数の凸部404bをさらに設けたものとすることができる。
【0072】
複数の凸部404bは、環状部404aの上面に設けることができる。複数の凸部404bは、コア2の周方向に並べて設けられている。一対の凸部404bの間には、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の端部が露出している。凸部404bにはコア2の径方向に貫通する孔404b1が設けられている。
【0073】
環状部材405は、環状部405aと複数の凸部405bを有する。環状部405aは、前述した環状部材105と同様とすることができる。すなわち、環状部材405は、前述した環状部材105に、複数の凸部405bをさらに設けたものとすることができる。
【0074】
複数の凸部405bは、環状部405aの上面に設けることができる。複数の凸部405bは、コア2の周方向に並べて設けられている。一対の凸部405bの間には、コア2の内側から5番目に並ぶ複数のセグメント31の端部が露出している。凸部405bにはコア2の径方向に貫通する孔405b1が設けられている。
【0075】
コア2の中心軸に沿った方向から見た場合に、1組の孔401b1~405b1が、コア2の中心を通る線上に並ぶようにすることができる。1組の孔401b1~405b1の内部にはボルトが挿入され、ナットを用いてボルトを締め付けることで、前述したセグメント31の端部同士を近接させる方向の力をさらに大きくすることができる。なお、孔401b1または孔405b1の内壁にネジ加工を施すようにしてもよい。この様にすれば、ボルトの締め付け作業が容易となる。
【0076】
なお、少なくとも、凸部401bと凸部405bが設けられていれば、ボルトによる締め付けを行うことができる。そのため、凸部402b、403b、404bは省略することもできる。すなわち、環状部材401、環状部材102、環状部材103、環状部材104、および環状部材405が設けられるようにしてもよい。
【0077】
ただし、凸部401b~405bが設けられていれば、コア2の径方向に並ぶ1組の凸部401b~405bに前述したカバー221の機能を持たせることができる。すなわち、1組の凸部401b~405bと、これに隣接する1組の凸部401b~405bとの間の空間をパージガスの流路とすることができる。そのため、供給されたパージガスが拡散するのを抑制することができるので、溶接部分の品質を向上させることができる。
【0078】
また、図15に示すように、環状部401aの凹部401a1の内部には、コア2の周方向において重なる2つのセグメント31の端部が設けられている。環状部402aの凹部402a1の内部には、コア2の周方向において重なる2つのセグメント31の端部が設けられている。環状部403aの凹部403a1の内部には、コア2の周方向において重なる2つのセグメント31の端部が設けられている。環状部404aの凹部404a1の内部には、コア2の周方向において重なる2つのセグメント31の端部が設けられている。この様にすれば、1つの凹部により、セグメント31と当該セグメント31に隣接するセグメント31の位置決めを行うことができる。そのため、セグメント31の端部の位置がズレるのをさらに効果的に抑制することができる。
【0079】
また、図15に示すように、環状部401a~405aの上面と、セグメント31の端面とが略同一平面内にあるようにすることができる。この様にすれば、1組の凸部401b~405bと、これに隣接する1組の凸部401b~405bとの間を流れるパージガスの流れが、セグメント31の端部により乱されるのを抑制することができる。
【0080】
ここで、図8において説明した様に、セグメント31の端面と、環状部401a~405aの上面とが略同一平面内にあると、セグメント31の端面と、環状部401a~405aの上面とが接合されるおそれがある。
【0081】
そこで、環状部401a~405aの上面と、セグメント31の端面とが略同一平面内にあるようにする場合には、環状部401a~405aの上面の縁に曲面または斜面を設けている。
【0082】
図16(a)は、曲面を例示するための模式断面図である。
図16(b)は、斜面を例示するための模式断面図である。
なお、図16(a)においては、環状部401a、402aに設けられた曲面、図16(b)においては、環状部401a、402aに設けられた斜面を説明するが、他の環状部403a~405aについても同様とすることができる。
【0083】
図16(a)に示すように、環状部401aの上面の、凹部401a1が設けられた部分の縁は、曲面401a2とすることができる。環状部402aの上面の、凹部401a1に対峙する部分の縁は、曲面402a2とすることができる。曲面401a2、402a2の半径は、例えば2mm以上とすることができる。
【0084】
図16(b)に示すように、環状部401aの上面の、凹部401a1が設けられた部分の縁は、斜面401a3とすることができる。環状部402aの上面の、凹部401a1に対峙する部分の縁は、斜面402a3とすることができる。斜面401a3の、環状部401aの上面に平行な方向の長さ、および環状部401aの上面に垂直な方向の長さは、2mm以上とすることができる。斜面402a3の、環状部402aの上面に平行な方向の長さ、および環状部402aの上面に垂直な方向の長さは、2mm以上とすることができる。
【0085】
曲面401a2または斜面401a3を設ければ、セグメント31の端面と、環状部401a、402aの上面との間の距離を離すことができるので、レーザ溶接の際に、セグメント31の端面と、環状部401a、402aの上面とが接合されるのを抑制することができる。
【0086】
(回転電機の製造方法)
次に、本実施の形態に係る回転電機の製造方法として、ステータの製造方法を説明する。
図17(a)~図21は、複数のセグメント31の端部を溶接する工程を例示するための模式斜視図である。
【0087】
まず、コア2を形成する。例えば、ヨーク21と、複数のティース22となる部分を有する板状の磁性体部材を複数形成する。例えば、磁性体部材は、厚みが0.05mm~1.0mm程度の電磁鋼板を打抜き加工により加工することで形成することができる。そして、複数の磁性体部材を積層し、例えば、複数の磁性体部材を溶接したり、カシメたりしてコア2を形成する。なお、コア2は、磁性材粉末と、樹脂バインダを加圧成形することで形成することもできる。
【0088】
次に、コイル3の構成要素となるセグメント31を複数形成する。
まず、所定の長さを有する平角線を略U字状に折り曲げることで導体部31aを形成する。続いて、導体部31aの外面にエナメルなどを含む塗料を塗布して絶縁膜31bを形成する。なお、平角線の表面にエナメルなどを含む塗料を塗布し、これを所定の長さに切断して略U字状に折り曲げるようにしてもよい。
次に、前述した図2に示すように、導体部31aの両側の端部の近傍にある絶縁膜31bを剥がして、導体部31aを露出させる。
なお、複数のセグメント31は、以下の手順で形成することもできる。
まず、導体部31aとなる平角銅線に、絶縁膜31bとなるエナメルなどを含む塗料を塗布する。なお、エナメル塗装などが施された平角銅線を購入などしてもよい。
次に、エナメル塗装などが施された平角銅線を所定の長さに切断して、セグメント31となる線材を形成する。
次に、切断された平角銅線の両端の近傍にあるエナメルなどを剥離する。
次に、エナメルなどが剥離された平角銅線を略U字に折り曲げる。
以上の様にして、セグメント31を複数形成することができる。
【0089】
次に、前述した図3に示すように、複数のセグメント31のそれぞれをコア2の所定のスロット23に装着する。例えば、複数のセグメント31のそれぞれをコア2の軸方向(図1中のZ方向)から所定のスロット23に挿入する。この際、1つのセグメント31は、複数のスロット23を跨いで挿入される。本実施の形態に係るコイル3は、いわゆる分布巻きのコイルとすることができる。また、本実施の形態に係るコイル3は、いわゆる波巻きのコイルとすることができる。
【0090】
続いて、図3に示すように、セグメント31の、コア2から突出している部分を、隣接するセグメント31に近づく方向に折り曲げる。そして、さらに、導体部31aが露出する部分の近傍を、コア2の軸方向(図3中のZ方向)に折り曲げる。コア2の周方向において、セグメント31の、導体部31aが露出する部分は、隣接するセグメント31の、導体部31aが露出する部分と重なるようにする。
【0091】
そして、以上の手順を繰り返し行うことで、コア2の周方向に並ぶ複数のセグメント31を、コア2の径方向に複数組形成する。
【0092】
なお、複数のセグメント31をスロット23に装着した後に折り曲げ加工を行う場合を例示したがこれに限定されるわけではない。例えば、複数のセグメント31に折り曲げ加工を施し、折り曲げ加工が施された複数のセグメント31のそれぞれを所定のスロット23に装着することもできる。この場合、折り曲げ加工が施されたセグメント31を、コア2の内側から外側に向けて装着することができる。また、図17(a)に示すように、コア2の内側に筒状の絶縁カバー2aを設けてスロット23の開口を塞ぐことができる。
【0093】
次に、隣接するセグメント31の端面同士を溶接して、スロット23に装着された複数のコイル3を形成する。
ここでは一例として、図17(a)に示すように、コア2の周方向に並ぶ複数のセグメント31を、コア2の径方向に4組備えたものを溶接する場合を説明する。
【0094】
本実施の形態に係る溶接工程においては、前述した溶接治具100が用いられる。
まず、図17(b)に示すように、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31の内側に、環状部材101を設ける。
続いて、図18(a)に示すように、コア2の最も内側に並ぶ複数のセグメント31と、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31との間に、環状部材102を設ける。
【0095】
続いて、図18(a)に示すように、コア2の内側から2番目に並ぶ複数のセグメント31と、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31との間に、環状部材103を設ける。
また、コア2の内側から3番目に並ぶ複数のセグメント31と、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31との間に、環状部材104を設ける。
また、コア2の内側から4番目に並ぶ複数のセグメント31の外側に、環状部材105を設ける。
【0096】
環状部材101~105を取り付けた際には、コア2の周方向に並ぶ複数のセグメント31の内側に配置された環状部材が、複数のセグメント31のそれぞれの一方の端部をコア2の外側に向けて押圧する。コア2の周方向に並ぶ複数のセグメント31の外側に配置された環状部材が、複数のセグメント31のそれぞれの他方の端部をコア2の内側に向けて押圧する。そのため、セグメント31の端面同士を密着させることができる。
【0097】
また、図9において例示をした孔111a~115aや、図15において例示をした孔401b1~405b1が設けられる場合には、これらの孔にボルトを挿入し、環状部材同士が近接するようにボルトを締め付けることができる。
【0098】
また、図13において例示をした複数のカバー221が設けられる場合には、図19(a)に示すように、コア2の周方向に複数のカバー221を並べて設けることができる。この際、一対のカバー221の間には、コア2の径方向に並ぶ複数のセグメント31の端部が露出するようにする。また、図13において例示をしたように、一対のカバー221の間の空間にパージガスを供給するノズル222を設けることもできる。
【0099】
また、図14において例示をした蓋321が設けられる場合には、図19(a)に示すように、複数のカバー221の上に蓋321を設けることができる。
【0100】
続いて、セグメント31の端面にレーザ光500を照射して、隣接するセグメント31の端面同士を溶接する。この際、パージガスを複数のセグメント31の端部の近傍に供給することができる。例えば、ノズル222から一対のカバー221の間の空間にパージガスを供給することができる。また、蓋321が設けられている場合には、図20(a)に示すように、孔321aを介して、レーザ光500をセグメント31の端面に照射することができる。
【0101】
レーザ光500は、例えば、赤外領域の波長を有することができる。赤外領域の波長を有するレーザ光500とすれば、比較的高い出力のレーザ光を照射するのが容易となる。例えば、レーザ光500の波長は、1040nm~1070nm程度とすることができる。例えば、レーザ光500の出力は、4kW程度とすることができる。
【0102】
この場合、レーザ溶接機は、例えば、ファイバーレーザ(Fiber laser)、ディスクレーザ(Disk laser)などとすることができる。また、レーザ溶接機は、連続的にレーザを出射可能なCWレーザ(Continuous wave laser)とすることが好ましい。また、レーザ溶接機は、レーザを走査可能なもの、例えば、ガルバノミラーなどを備えたものとすることが好ましい。
【0103】
隣接するセグメント31の端面同士を溶接することで、図3において例示をした溶接部31cが形成される。また、複数のセグメント31が直列接続されることで、1つのコイル3が形成される。また、コア2の径方向に並ぶ4つのコイル3が形成される。
【0104】
続いて、溶接治具を取り外す。
蓋321、複数のカバー221、およびノズル222が設けられている場合には、図20(b)に示すように、これらを取り外す。
【0105】
続いて、図21に示すように、環状部材101~105を順次取り外す。
以上の様にして、スロット23に装着された4つのコイル3を形成することができる。
【0106】
次に、コイル3の、導体部31aが露出する部分に樹脂などを塗布して絶縁する。
次に、4つのコイル3をコア2に固定することができる。例えば、スロット23とコイル3との間の隙間に、ワニスを滴下し、ワニスを硬化させることで、コイル3をコア2に固定することができる。
以上のようにしてステータ1を製造することができる。
【0107】
以上に説明した様に、本実施の形態に係る回転電機の製造方法は、複数のスロット23にコイル3を設ける工程を備えている。コイル3は、複数のセグメント31を含んでいる。コイル3を設ける工程において、複数のセグメント31の端部が、前述した溶接治具により保持される。溶接治具により保持された複数のセグメント31の端部の端面にレーザ光を照射する。
【0108】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
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