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特許7646720椎弓根スクリュー固定術のための拡張可能な骨コア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】椎弓根スクリュー固定術のための拡張可能な骨コア
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20250310BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20250310BHJP
   A61F 2/44 20060101ALI20250310BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/86
A61F2/44
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023054745
(22)【出願日】2023-03-30
(65)【公開番号】P2023152972
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】17/711,490
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チャ-ド,グレラム
(72)【発明者】
【氏名】タイラー,ヘスラ
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-502374(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0070986(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
A61B 17/86
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能なインプラントであって、
複数の拡張ジョイントによって分離された複数の細長く拡張可能なセクションを備える本体を有する拡張可能なアンカーであって、前記拡張ジョイントはそれぞれ、隣接する2つの前記拡張可能なセクションを繋ぎ、前記アンカーは、前記アンカーの中央長手方向軸に沿って配置された中央貫通孔を含み、前記拡張ジョイントはそれぞれ、前記拡張可能なセクション同士の距離が増加し、それによって、前記拡張可能なアンカーの直径を増加させるように、可撓性材料から形成されている、拡張可能なアンカーと、
ヘッド及びシャフトを有する、椎弓根スクリューであって、前記椎弓根スクリューは、挿入された前記拡張可能なアンカー内に受容可能であり、前記拡張可能なアンカーは、折り畳まれた構成及び拡張された構成を有し、それによって、骨内への圧入を作り出す、椎弓根スクリューと、を備え
前記拡張可能なアンカーは、各々が1つの拡張ジョイントに隣接する4つの拡張可能なセクションを含む、拡張可能なインプラント。
【請求項2】
前記複数の拡張可能なセクションは、半径方向外向きに、かつ互いから離れて拡張し、それによって、前記アンカーの外径を増加させるように構成されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記拡張可能なアンカーは円筒形状を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記中央貫通孔は、雌ねじ山が設けられており、前記椎弓根スクリューの前記シャフトに沿って対応するねじ山に係合するように構成されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記アンカーは、前記拡張可能なセクションの周囲の周りに並んで配置された複数の歯を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記複数の歯はピラミッド形状である、請求項に記載のインプラント。
【請求項7】
前記拡張可能なアンカーの長さは、前記椎弓根スクリューの長さよりも短い、請求項1に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用デバイスに関し、より詳細には、椎弓根骨アンカー及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外傷又は老化などの様々な要因によって変性した椎間板に関連する苦痛に対処するための一般的な処置には、1つ以上の隣接する椎体を癒合するための椎弓根スクリュー固定術及び/又は椎体間癒合術の使用が含まれ得る。一般的に、例えばロッド構造による両側椎弓根スクリュー固定術は、2つ以上の隣接する椎体を安定化させるための治療の標準として、椎間板変性症及び多数の他の脊椎病態を治療するために使用され得る。
【0003】
椎弓根スクリューの形態は、スクリューの一次安定化を更に改善するために時間とともに進化してきた。しかしながら、通常の患者の生活様式からの周期的な負荷と対になって、ねじの緩みは依然として主要な関心事である。この問題は、ロッド構造体の端部におけるねじの引き抜きに一般的に関連する、骨の質が悪い患者によって悪化する。現在、特に骨粗鬆症の患者において、椎弓根スクリューの初期及び長期安定性を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
この及び他の必要性を満たすために、椎弓根インプラント、アセンブリ、及び方法が提供される。特に、特殊な椎弓根スクリューは、拡張可能な圧入骨アンカーとともに使用されてもよい。インプラントは、骨内に排出される歯又はアンカーを備える拡張可能なプラグを含んでもよい。インプラントは、椎弓根空間内のてこ作用を増加させるように構成された拡張可能な近位部分を有する椎弓根スクリューを含んでよい。拡張可能なアンカーは、骨-インプラント界面の一体性を増加及び改善するように構成されている。インプラントは、一次安定性を改善し、微小運動の影響を低減し、かつ/又はインプラントと周囲の骨とのオッセオインテグレーションを容易にすることができる。
【0005】
一実施形態によれば、拡張可能なインプラントは、拡張可能なアンカー及び椎弓根スクリューを含む。拡張可能なアンカーは、1つ以上の拡張ジョイントによって分離された複数の拡張可能なセクションを備える本体を有する。アンカーは、アンカーの中央長手方向軸に沿って配置された中央貫通孔を含む。椎弓根スクリューは、ヘッド及びシャフトを有する。椎弓根スクリューは、拡張可能なアンカー内に受容可能である。拡張可能なアンカーは、折り畳まれた構成及び拡張された構成を有し、それによって、隣接する骨内への圧入を作り出す。
【0006】
拡張可能なインプラントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。複数の拡張可能なセクションは、半径方向外向きに、かつ互いから離れて拡張し、それによって、アンカーの外径を増加させるように構成されてもよい。拡張可能なセクションが離れて拡張されるとき、各拡張ジョイントの幅は、アンカーを拡大するように増加し得る。拡張可能なアンカーは、略円筒形状を有してもよい。拡張可能なアンカーは、それぞれが1つの拡張ジョイントに隣接する4つの拡張可能なセクションを含んでもよい。拡張ジョイントは、可鍛性又は可撓性材料を含んでもよい。中央貫通孔は、雌ねじ山が設けられており、椎弓根スクリューのシャフトに沿って対応するねじ山に係合するように構成されてもよい。アンカーは、拡張可能なセクションの周囲の周りに並んで配置された複数の歯を含んでもよい。歯は、ピラミッド形状であるか、又は骨と係合するようにそれ以外の方法で構成されてもよい。拡張可能なアンカーの長さは、椎弓根スクリューの長さより短くてもよく、椎弓根スクリューの遠位端に沿って配置され、椎骨の椎体内に固定されてもよい。
【0007】
別の実施形態によれば、展開可能な歯を備える拡張可能なインプラントが提供される。拡張可能なインプラントは、拡大ヘッドと、中央長手方向軸に沿って延在するシャンクとを含む。シャンクは、複数の開口部と流体連通する中心チャネルを画定する。インプラントは、複数の移動可能な歯を更に含む。各歯は、中央チャネル内に受容可能な内側端部と、シャンクの開口部から排出されるように構成された外側端部とを備える細長い本体を有する。歯は、後退位置と、歯がシャンクから半径方向外向きに延在する展開位置とを有する。
【0008】
拡張可能なインプラントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。歯は、シャンクの中央長手方向軸に対して略垂直に配置されていてよい。各歯の内側端部は、歯を拡張するのを助けるように構成された傾斜部分を含んでよい。歯は、シャンクの周囲を中心としたパターンで配置されてもよい。歯は、例えば、空気圧で、加圧液体又は骨セメントを用いて排出され得る。
【0009】
別の実施形態によれば、椎骨を安定化させるための方法は、任意の好適な順序で以下のステップのうちの1つ以上を含む。(1)患者の脊椎に後方からアクセスするステップ、(2)椎骨の椎弓根及び椎体を通るチャネル(例えば、一対の両側チャネル)を準備するステップ、(3)拡張可能なアンカーを、チャネルを通して椎骨の椎体内に挿入するステップであって、アンカーが、1つ以上の拡張ジョイントによって分離された複数の拡張可能なセクションと、中央貫通孔と、拡張可能なセクションの周りに配置された複数の歯とを備える本体を有する、挿入するステップ、(4)拡張可能なアンカーを拡張させて、椎骨内への強力な圧入を作り出すステップ、及び(5)チャネルを通して拡張可能なアンカーの中央貫通孔内に椎弓根スクリューを挿入し、椎弓根スクリューを拡張可能なアンカーに固定するステップ。拡張可能なアンカーは、椎弓根スクリューの遠位領域及び椎骨の椎体内にのみ設けられてもよい。アンカーは、椎弓根スクリューを拡張されたアンカーに挿入する前に、器具によって拡張されてもよい。代替的に、アンカー内への椎弓根スクリューの挿入は、椎弓根スクリューがアンカーを通してねじ込まれるときにアンカーを同時に拡張させる。
【0010】
様々なタイプ及びサイズの椎弓根インプラント、様々なタイプ及びサイズの椎体間癒合デバイス、ロッド、締結具又はアンカー、Kワイヤ、挿入ツール、器具、及び手順を行うための他の構成要素を含むキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明のより完全な理解、及びその付随する利点及び特徴は、添付の図面と併せて考慮される場合、以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解されるであろう。
図1】一実施形態による、拡張可能な骨アンカー内に受容された椎弓根スクリューを含む整形外科用固定アセンブリを備える椎骨の矢状図である。
図2】一実施形態による図1の拡張可能な骨アンカーの斜視図を示す。
図3】一実施形態による図1の椎弓根スクリューの側面図を示す。
図4】一実施形態による拡張状態にある拡張可能な骨アンカーの側面図である。
図5】一実施形態による、折り畳まれた状態にある拡張可能な骨アンカーの断面図である。
図6】椎弓根を通って椎体内に切られた骨チャネル又はトンネルを示す椎骨の矢状図である。
図7】代替的なタイプの骨チャネル又はトンネルを示す。
図8】両方の椎弓根を通る両側の骨チャネルを備える椎骨の軸方向図を示す。
図9】一実施形態による、準備された骨チャネルを充填するように構成された展開可能な歯を備える拡張可能なプラグを示す。
図10】一実施形態による、図9の拡張可能なプラグから排出された移動可能なアンカー歯を示す図である。
図11】椎弓根を通る骨チャネル及び各椎弓根スクリューの周りの未使用の椎弓根空間を含む脊椎の一部の後面図である。
図12】一実施形態による、未使用の椎弓根空間を充填するように拡張されたインプラントを備える椎骨の後面図である。
図13】一実施形態による、拡張可能なヘッド及び近位部分を備える拡張可能なインプラントである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
両側椎弓根スクリュー固定術は、椎間板変性症及び他の脊椎病態を治療するために使用され得る。1つ以上の拡張可能なインプラントは、椎骨の椎弓根及び/又は椎体内にデバイスを固定するために使用されてもよい。拡張可能なインプラントは、椎弓根スクリューを受容するための拡張可能なアンカー、展開可能なプロング又は歯を有する拡張可能な骨プラグ、拡張部材を受容するための拡張可能なヘッド及び近位シャフトを備える拡張可能な締結具、又は他の同様の拡張機構を含むアセンブリを含んでもよい。拡張可能な構成は、未使用の椎弓根空間が充填され、利用されることを可能にしてもよい。拡張可能なインプラントは、構築物の一次安定性を改善することができ、これは、微小運動の影響を低減し、インプラントと周囲の骨とのオッセオインテグレーションを容易にするのに役立ち得る。デバイス、固定デバイス、アセンブリ、及びインプラントという用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0013】
ここで図1を参照すると、一実施形態による整形外科用固定アセンブリ、椎弓根骨締結具アセンブリ、又はインプラント10が、椎骨2内に埋め込まれて示されている。固定方法は、例えば、後方から脊柱にアクセスし、インプラント10を椎骨2の椎弓根6に挿入することを含むことができる。必要であれば、デバイス10の配置を容易にするために、椎弓根6及び/又は椎体4から骨を除去してもよい。1つ以上の椎弓根デバイス10は、単独で、又は従来の椎体間癒合デバイスと併せて使用されてもよい。本方法は、単一の椎弓根6に関して示されているが、他の椎弓根(図示せず)もまた、同一又は類似のデバイスを受容し得ることが理解されるであろう。特に、一対のインプラント10は、椎体4において、両側に埋め込まれ、互いに向かって内側に角度を付けられ得るが、デバイス10の最終的な位置及び配向は、外科医によって選択される。同じ又は同様のデバイスが、隣接するレベル又は他のレベルで使用されてもよいことも理解されよう。
【0014】
ここで図2図5を参照すると、椎弓根固定インプラント10がより詳細に示されている。椎弓根インプラント10は、拡張可能な骨アンカー12及び椎弓根スクリュー14を含んでよい。図2に最もよく見られるように、拡張可能な骨アンカー12は、折り畳まれた構成を有し、それによって、アンカー12が、椎弓根6を通して椎骨2の椎体4内に、例えば、低侵襲的に挿入されることを可能にする。椎体4に挿入されると、骨アンカー12は、図4に最もよく示されているように、拡張された構成に拡張され、それによって、骨内への強力な圧入を作り出すことができる。あるいは、アンカー12が、椎弓根6又は海綿骨のみに配置されてもよい。骨アンカー12が設置された後、椎弓根スクリュー14は、椎弓根6を通して挿入され、拡張された骨アンカー12内に駆動されて、最終アセンブリ10を完成させてよい。アンカー12は、例えば、器具を用いて所定のサイズに拡張されてもよく、その後、椎弓根スクリューが挿入されてもよい。あるいは、椎弓根スクリュー14は、アンカー12内への椎弓根スクリュー14の挿入中にアンカー12を拡張させてもよい。
【0015】
骨インプラント又はその構成要素は、チタン、ステンレス鋼、コバルトクロム、コバルト-クロム-モリブデン、炭化タングステン、炭素複合材、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK)、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(ultra-high molecular weight polyethylene、UHMWPE)、再吸収性ポリ乳酸(resorbable polylactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)などのプラスチック若しくはポリマー、このような材料の組み合わせ若しくはアロイ、又は骨に固着されて骨を保持するのに十分な強度を有し、身体に埋め込まれるのに十分な生体適合性も有する任意の他の適切な材料からなり得る。上記の材料のリストは、そのうちからインプラントが作製され得る多くの典型的な材料を含むが、任意の適切な材料からなるインプラントが想定されていることを理解されたい。
【0016】
図2に更に重点を置くと、拡張可能なアンカー12は、中央長手方向軸に沿って第1の端部16から第2の端部18まで延在する本体を有してよい。第1の端部16は近位端であってもよく、第2の端部18は、椎弓根6を通って椎骨2の椎体4内に挿入されるように構成された遠位端であってもよい。アンカー12は、その折り畳まれた及び/又は拡張された構成において、略円筒形の外形を有してもよい。しかしながら、アンカー12の拡張中に生成される圧入力を増加させるために、様々な外形形状を利用することができる。
【0017】
アンカー12は、マルチコンポーネントの本体20を含むことができる。例えば、本体20は、半径方向外向きに、かつ互いから離れて拡張するように構成された、複数の拡張可能なセクション22を含んでもよい。拡張可能なセクション22は、1つ以上の拡張ジョイント24によって互いに分離され得る。拡張ジョイント24は、アンカー12が拡張して、椎弓根6及び/又は椎体4を通る準備された穴8を充填することを可能にする。一実施形態では、図5に最もよく示されるように、アンカー12は、各々が拡張ジョイント24に隣接する4つの拡張可能なセクション22又は四半部に分割されてもよい。4つの拡張可能なジョイント24が例示されているが、アンカー12は、拡張を容易にし、椎体4及び/又は椎弓根6内の所望の穴サイズ及び形状に適合するために、様々な数のセクション/ジョイントを有することができる。
【0018】
アンカーセクション22は、拡張ジョイント24における可鍛性又は可撓性材料によって一緒に取り付けられてもよく、拡張ジョイント24は、互いの接続を依然として維持しながら拡張可能なセクション22を拡張させることができる。可鍛性又は可撓性材料は、ポリマー材料、又は形状記憶合金などの他の天然弾性材料、あるいは拡張可能なセクション22を拡張及び固着するための十分な強度及び耐久性の他の弾性生体適合性材料から製造されてもよい。あるいは、拡張ジョイント24は、ヒンジ、ばねなどの機械的ジョイントを含んでよい。拡張可能なセクション22が離れて拡張されるとき、拡張ジョイント24の幅が増加し、それによって、アンカー12の全体の直径を増加させる。
【0019】
アンカー12は、カニューレ状であってもよく、アンカー12の中央長手方向軸に沿って配置された貫通孔26を含んでもよい。拡張可能なセクション22は、貫通孔26を取り囲む複数のセグメント又は円弧を形成してもよい。貫通孔26は、近位端16から遠位端18まで、又はその一部に沿って延在してもよい。貫通孔26は、一定の直径を有してもよく、又はアンカー12の長さに沿って変化してもよい。貫通孔26は、雌ねじ山が設けられていてよく、椎弓根スクリュー14に沿って対応するねじ山36に係合するように構成されてもよい。貫通孔26の直径は、アンカー12が外向きに拡張されるにつれて増加し得る。
【0020】
アンカー12は、例えば、複数の鋸歯、摩擦強化表面、リッジ、又は歯28を含んでもよい。鋸歯又は歯28は、椎骨2の骨を把持するように構成されてもよい。鋸歯又は歯28は、アンカー12の全長又はその一部に沿って延在してもよい。アンカー12の外側は、骨とインプラント表面領域との接触を増加させるために、歯28のパターンを含んでもよい。この実施形態では、歯28はピラミッド状であるように示されているが、歯の幾何学的形状の変化は無限である。アンカー12が拡張させられる領域における骨ミネラル密度を考慮して、患者の骨との相互作用を最適化する歯の幾何学的形状を選択することが理想的である。アンカー12が拡張させられると、歯28は、周囲の骨に押し込まれてアンカー12を更に安定させるように構成されている。
【0021】
図3に更に重点を置くと、椎弓根スクリュー14は、中央長手方向軸に沿って第1の端部30から第2の端部32まで延在する本体を有してよい。椎弓根スクリュー14の第1の端部30は、近位端であってもよく、椎弓根スクリュー14を挿入するための器具を受容するように構成された凹部34を含んでもよい。第1の端部30は、拡大されたヘッド部分38を有してもよく、又はそれ以外の態様で構成されてもよい(例えば、ヘッドレス)。図1に最もよく見られるように、設置されたとき、椎弓根スクリュー14のヘッド38は、ロッド又は同様の構造体を取り付けるためのチューリップ又は他のアセンブリを受けるように、椎骨2の外側に突出してもよい。第2の端部32は、椎骨2の椎弓根6内及びアンカー12の近位端16内の貫通孔26内に挿入されるように構成された遠位端であってもよい。このようにして、椎弓根スクリュー14の中央長手方向軸は、拡張可能なアンカー12の中央長手方向軸と概ね整列させられてよい。椎弓根スクリュー14の第2の端部32は、骨及び/又はアンカー12と係合するように、尖っていない、尖った、又はそれ以外の態様で構成された遠位先端部を有することができる。
【0022】
図1に示すように、拡張可能なアンカー12の長さは、拡張可能なアンカー12がスクリュー14の遠位領域(例えば、椎体4内)にのみ設けられるように、椎弓根スクリュー14の長さより短くてもよい。代替的に、椎弓根スクリュー14は、拡張可能なアンカー12がスクリュー14の近位領域(例えば、椎弓根6内)に提供され得るように、拡張可能なアンカー12内を通過させられてもよい。代替的に、拡張可能なアンカー12は、スクリュー14のシャフトの長さと同様の長さを有してもよく、それによって、椎体4及び椎骨2の椎弓根6における固定を可能にする。
【0023】
椎弓根スクリュー14の本体は、シャフトの全長又はその一部に沿って1つ以上のねじ山36を含んでよい。ねじ山36は、挿入及び/又は骨との係合及び/又はアンカー12への係合を強化するために、適切な角度、リード、ピッチなどを有してよい。椎弓根スクリュー14の外径は、一定であってもよく、又はその長さに沿って変化してもよい。例えば、遠位端32は、減少した直径を有してもよい。この実施形態では椎弓根スクリュー14が例示されているが、椎弓根スクリュー14は、釘又は他の固定デバイスなどの別の締結具で置き換えることができることが理解されよう。
【0024】
ここで図6図8を参照すると、1つ以上のトンネル又はチャネル8が、椎弓根6を通して椎体4内に作り出され得る。チャネル8は、骨ドリル又は他の好適な器具を用いて作り出され得る。図7に示されるように、チャネル8は、滑らかな表面8A(例えば、一定の直径を有する)、隆起した表面8B(例えば、等間隔の隆起を有する)、又はランダム化された表面8Cを有し得る。図8に示すように、一対の両側チャネル8が、椎骨2の各椎弓根6を通って椎体4内に切り込まれてもよい。両側チャネル8は、互いに向かって、又は外科医によって選択される別の好適な軌道に沿って、内側に向いていてもよい。
【0025】
一実施形態によれば、システム10は、以下のように埋め込まれてもよい。(1)骨アンカー12のための穴又はチャネル8は、例えば、通常の椎弓根スクリューが配置されるのと同じ軌道に沿って、椎弓根6を通って椎骨2内に穿孔することによって準備される。(2)骨アンカー12は、先に準備された穴8の端部に完全に着座させられる。(3)骨アンカー12が拡張され、それによって、骨への強力な圧入を作り出す。(4)椎弓根スクリュー14は、準備された穴8に挿入され、拡張された骨アンカー12に打ち込まれ、それによって、椎弓根スクリュー14を拡張されたアンカー12に固定及び係留する。
【0026】
アンカー12の拡張は、1つ以上の方法によって達成されてよい。特殊な器具(図示せず)が、準備された穴8内へ、アンカー12を通って挿入されてよく、アンカー12は、次いで、器具から生じる力の下で拡張させられる。この拡張力は、拡張可能なセクション22を半径方向外向きに拡張させるアンカー12の内側の小さめの又はテーパ状のねじ山に器具を通すことによるものであり得る。代替として、器具先端は、機械的に拡張するか、又はバルーン展開ステントに類似するバルーンのように膨張してもよい。代替方法では、アンカー12内への椎弓根スクリュー14の挿入は、椎弓根スクリュー14がアンカー12を通してねじ込まれるときにアンカー12を同時に拡張させる。
【0027】
ここで図9及び図10を参照すると、別の実施形態による整形外科用固定アセンブリ、拡張可能なプラグ、又はインプラント40が示されている。この実施形態では、インプラント40を骨に固定するために、個々のアンカー又は歯54がアンカー本体48から展開可能である。インプラント40は、中央長手方向軸に沿って第1の端部42から第2の端部44まで延在する本体を有してもよい。インプラント40の第1の端部42は、近位端であってもよく、第2の端部44は、準備された骨孔8を充填するために椎弓根6を通して椎骨2の椎体4内に挿入されるように構成された遠位端であってもよい。近位端42は、拡大ヘッド、フランジ、又は平坦ヘッド46を画定していてもよく、遠位端44は、骨と係合するように構成された、尖った、鋭利な、又は尖っていない端部を画定していてもよい。
【0028】
インプラント40は、平坦な頭部46から遠位端44まで中央長手方向軸に沿って延在するシャンク48を含む。シャンク48は、略円筒形状を有してもよいが、骨チャネル8におけるインプラント40の嵌合を増加させるために、種々の外形幾何学形状を利用することができる。インプラント40は、その長さに沿って延在する中心チャネル50でカニューレ化されている。中心チャネル50は、展開可能な歯54を案内するように構成された複数の穿孔又は開口部52と流体連通している。
【0029】
展開可能な歯54は、インプラント40を骨に固定するように構成されたプロング、スパイク、又は他のアンカーを含んでよい。各アンカー又は歯54は細長くてよく、内側端部56が中央チャネル50内に受容可能であり、外側端部58が開口部52から排出されるように構成されている。各歯54の内側端部56は、例えば、機械的に、空気圧で、又は液圧で歯54を拡張させるのを助けるように構成された角度付き又は傾斜部分を有してよい。外側端部58は、尖っていても、鋭利であっても、尖っていなくてもよく、あるいは、排出された又は拡張させられたときに骨と係合するようにそれ以外の態様で構成されていてもよい。歯54は、シャンク48の中央長手方向軸に対して概ね横方向に位置決めされてよい。例えば、歯54は、シャンク48の中央長手方向軸に対して概ね垂直に整列させられていてよい。歯54は、シャンク48の周囲を中心としたパターン又は配列で、あるいは代替的にランダムな構成で配置されていてもよい。歯54の配列は、シャンク48の全長に沿って、又はその一部に沿って延在してもよい。
【0030】
歯54は、空気圧で、又は加圧液体、骨セメントなどを用いて排出され得る。あるいは、歯54は、例えば、歯54と相互作用するように構成されたピストン、駆動部材、又はねじ山付き内部シャフトを用いて機械的に排出され得る。図9に示すように、後退位置では、歯54はシャンク48の本体内に後退させられている。図10に示される展開位置では、歯54は、半径方向外向きに、かつ互いから離れて延在する。この実施形態では、アンカー直径は固定されているが、アンカー表面上の歯54は、インプラント40を骨内に固定するためにアンカー本体48から展開される。
【0031】
ここで図11図13を参照すると、別の実施形態による拡張可能なインプラント80が示されている。この実施形態では、インプラント80の近位部分は、椎弓根6内の使用されない空間72を充填するように拡張するように構成されている。図11に示されるように、脊椎の後面図が、椎弓根6を通して切断された両側チャネル8とともに示されている。円筒状の椎弓根スクリュー70がチャネル8に挿入されているが、スクリュー70の周囲には使用されない空間72が存在する。スクリュー引き抜き強度の60%までは、脊椎椎弓根8自体から引き出され得ると考えられる。腰椎椎弓根6の解剖学的調査は、椎弓根6が卵形であることを示しており、これは周囲の骨組織、特に皮質骨の多くが従来の椎弓根スクリュー70によって利用されていないことを意味する。図11は、間隙72と、円筒状の椎弓根スクリュー70によってアクセスされない椎弓根6内の使用されない骨とを示している。この骨を安全に使用することができれば、椎弓根6内に埋め込まれた椎弓根スクリュー70の安定性を増加させる可能性がある。安定性の増加は、スクリューの緩み及び構造体の破損の可能性を低減し得る。
【0032】
図12及び図13に示す実施形態では、椎弓根スクリュー80は、椎弓根6内のスクリュー80の特定のセクションにおいて拡張するように構成されている。これにより、スクリューは皮質骨の使用されない領域を獲得することができ、これは、最大の強度及び安定性を提供する。拡張可能なインプラント80は、中央長手方向軸に沿って第1の端部82から第2の端部84まで延在する本体を有してもよい。インプラント80の第1の端部82は、近位端であってもよく、椎弓根スクリュー80を挿入するための器具を受容するように構成された凹部86を含んでもよい。第1の端部82は、拡大されたヘッド部分88を有してもよく、又はそれ以外の態様で構成されてもよい(例えば、ヘッドレス)。ヘッド86は、ロッド又は同様の構造体を取り付けるためのチューリップ又は他のアセンブリを受容するように構成され得る。インプラント80のヘッド88及び近位部分は、スロット又はスリット90によって分岐されてもよい。スリット90は、長手方向平面に沿って延在してもよい。スリット90は、シャンク92の近位セクションを通って(例えば、シャンク92の約半分を通って)延在してもよい。単一のスリット90が例示されているが、ヘッド88及び近位シャンク92を拡大させるために追加のスリットが設けられてもよいことが理解されよう。インプラント80の第2の端部84は、椎骨2の椎弓根6に挿入されるように構成された遠位端であってもよい。第2の端部84は、鋭利であるか、尖っているか、尖っていないか、又は骨と係合するようにそれ以外の態様で構成された遠位先端を有してよい。
【0033】
椎弓根スクリュー80のシャンク92は、シャンク92の全長又はその一部に沿って1つ以上のねじ山94を含んでよい。ねじ山94は、挿入及び/又は骨との係合を強化するために、適切な角度、リード、ピッチなどを有してよい。椎弓根スクリュー80の外径は、一定であってもよく、又はその長さに沿って変化してもよい。例えば、遠位端84は、減少した直径を有してもよい。この実施形態では拡張可能な椎弓根スクリュー84が例示されているが、インプラントは必ずしもスクリュー又はねじ山付きである必要はなく、脊椎椎弓根6内での拡張を容易にするために様々な形状の幾何形状を有することができることが理解されよう。
【0034】
図12に最もよく見られるように、インプラント80の近位端82は、椎弓根6内での把持を増加させるために拡張されてもよい。具体的には、ドライブ、シャフト、ウェッジ、又は他の器具(図示せず)をスリット90内に導入し、それによって、ヘッド88及びシャフト92の対向する部分を互いに離れて駆動してよい。このようにして、拡大又は拡張されたアンカー80は、皮質骨と係合する、以前は使用されていなかった椎弓根空間72を利用するように構成されており、それによって、スクリュー引き抜き強度を増加させる。椎弓根スクリューインプラント80は、拡張可能なアンカー12とともに前に説明された椎弓根スクリュー14の代わりに使用されてもよく、それにより、生じるインプラントが椎体4及び椎弓根6において両端をそれぞれ固定することが理解されよう。
【0035】
椎弓根スクリューの緩みによる不十分な構造安定性は、主要な臨床的懸念である。脊椎を安定させることができないと、癒合のための対象とされた脊椎セグメントの癒合プロセスが妨げられる場合がある。これは、外科医及び患者の両方にとって独自の一連のリスク及び問題を伴う再置換術につながる可能性がある。アンカー-椎弓根スクリュー構造は、患者がロッド及び椎弓根スクリュー構造に周期的に負荷をかけることによる微小運動の影響を抑制しながら、インプラントの初期安定性の全てを向上させることを目的とする。これは、埋め込まれたデバイスの周囲及びその上の骨のより良好なオッセオインテグレーションを可能にしてよく、これは、構造安定性を改善し、脊椎分節の癒合を促進し得る。
【0036】
更に、本発明の性質を説明するために記載及び図示された部品の詳細、材料、及び配置における様々な変更が、特許請求の範囲に表される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって行われ得ることが理解されるであろう。当業者は、上記の実施形態が非限定的であることを理解できよう。一実施形態の1つ以上の特徴が、本明細書に記載の1つ以上の他の実施形態に部分的又は完全に組み込まれ得ることも理解されるであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13