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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】転圧車両
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/28 20060101AFI20250310BHJP
   E01C 19/24 20060101ALI20250310BHJP
   E01C 19/26 20060101ALI20250310BHJP
【FI】
E01C19/28
E01C19/24
E01C19/26
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023529285
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2021023642
(87)【国際公開番号】W WO2022269766
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】杉村 健太郎
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-149009(JP,A)
【文献】特開2019-002199(JP,A)
【文献】特開2013-220908(JP,A)
【文献】特開2012-223124(JP,A)
【文献】特開2001-169602(JP,A)
【文献】特開2000-203476(JP,A)
【文献】特開平10-181651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/28
E01C 19/24
E01C 19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(12)と、前記車体の下部に設けられた前方転圧輪(16)及び後方転圧輪(18)とを備える転圧車両(10)であって、
前記車体の、前記前方転圧輪及び前記後方転圧輪よりも高位に設けられ、着脱式バッテリ(40)を着脱可能に収納するバッテリケース(34)と、
前記車体に設けられ、前記着脱式バッテリから供給された電力によって前記前方転圧輪及び前記後方転圧輪を駆動するモータ(70)と、
を備え、
前記バッテリケースに、該バッテリケースの長手方向に沿って延在して前記着脱式バッテリを収納可能な挿入孔(50)が形成され、
前記挿入孔の長手方向における一端である第1端に、前記着脱式バッテリを前記挿入孔に挿入、又は前記挿入孔から取り出すための開口(62)が形成され、且つ前記挿入孔の長手方向における他端である第2端が前記着脱式バッテリを堰き止める壁部(52)であり、
前記バッテリケースの下端が、前記前方転圧輪及び前記後方転圧輪の各上端よりも高位に設けられ、
前記バッテリケースが、前記開口が前記車体の前方を向き且つ前記壁部が前記車体の後方を向き、前記壁部の下端(52d)が前記開口の下端(62d)よりも低位となる傾斜姿勢とされて前記車体の前方に配置され、
前記開口は、前記車体の前上部において上部を向く転圧車両。
【請求項2】
請求項1記載の転圧車両において、前記バッテリケースが全体にわたって前記車体の外縁よりも内方に位置する転圧車両。
【請求項3】
請求項1又は2記載の転圧車両において、前記モータが前記バッテリケースの後方に配設され、且つ前記バッテリケースの前記第2端の、前記モータを向く部位から、前記着脱式バッテリと前記モータとを電気的に接続するためのハーネス(66)が露呈している転圧車両。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の転圧車両において、前記バッテリケースを少なくとも2個有し且つ少なくとも2個の前記バッテリケースが前記車体の前後方向に沿って隣接し、
前方に位置する前記バッテリケースを第1バッテリケース(34a)、前記第1バッテリケースの後方に位置する前記バッテリケースを第2バッテリケース(34b)とするとき、前記第1バッテリケースの上端(120)が前記第2バッテリケースの上端(122)よりも低位であり、
さらに、前記車体に設けられた開閉可能な覆い部(114)を備え、
前記覆い部は、前記第1バッテリケースと前記第2バッテリケースとの高低差に対応して傾斜して設けられる転圧車両。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の転圧車両において、前記車体に設けられて液体を貯留するための貯留タンク(74)を備え、前記バッテリケースが、前記開口が前記壁部に比べて前記貯留タンクから離間する傾斜姿勢で設けられる転圧車両。
【請求項6】
請求項5記載の転圧車両において、前記バッテリケースの少なくとも一部と、前記モータを収納したモータハウジング(36)の一部とが平面視で前記前方転圧輪に重なり、且つ前記モータハウジングの別の一部と、前記貯留タンクの少なくとも一部とが平面視で前記後方転圧輪に重なる転圧車両。
【請求項7】
請求項5又は6記載の転圧車両において、前記バッテリケースと前記貯留タンクとが前記モータを間に挟む位置に配設される転圧車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、舗装工事等において前方転圧輪と後方転圧輪とで路面の締固めを行う転圧車両に関する。
【背景技術】
【0002】
転圧車両は、舗装工事等において広く用いられている。一層具体的には、転圧車両は、前方転圧輪と後方転圧輪とを備える。前方転圧輪及び後方転圧輪により、例えば、舗装工事が施された直後の路面が締固められる。その結果、路面が均される。
【0003】
代表的な転圧車両として、特開2013-234564号公報に開示された乗用型転圧車両が挙げられる。この場合、車体には、作業者が搭乗する運転席が設けられる。また、作業者が車体を後方から前方に押し出す非乗用型の転圧車両も知られている。特開2019-94669号公報に記載されるように、この種の転圧車両はハンドガイドローラとも言われる。いずれの転圧車両においても、エンジンが車体に搭載されている。エンジンは、前方転圧輪及び後方転圧輪を駆動させる駆動源である。
【発明の概要】
【0004】
環境への負荷を低減するという観点から、エンジンに代替してモータを駆動源とすることが考えられる。この場合、車体にバッテリを搭載する。モータには、バッテリから電力が供給される。
【0005】
交換が不可能な内蔵型のバッテリの場合、バッテリの充電残容量(SOC)が低下して充電を行うとき、充電ケーブル等を介して、転圧車両を外部電源(例えば、商用電源)に接続する。この状態では、転圧車両を進行させることが困難となる。従って、路面の締固めを行うことも困難となる。この不具合を回避するべく、バッテリとして、交換が可能な着脱式バッテリを採用することが考えられる。この場合、転圧車両の稼働に伴って着脱式バッテリのSOCが低下したとき、既に充電済みである別の着脱式バッテリに交換する。これにより、該転圧車両の稼働を継続することができる。
【0006】
この構成においては、SOCが低下した着脱式バッテリを車体から取り外す作業と、充電済みの着脱式バッテリを車体に装着する作業とが必要である。ところで、放電容量がある程度大きな着脱式バッテリは概ね大型である。大型の着脱式バッテリは、かなりの重量物である。このように重量が大きな着脱式バッテリの着脱が円滑に進行しないとき、作業者にとって負担が大きくなる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、車体と、前記車体の下部に設けられた前方転圧輪及び後方転圧輪とを備える転圧車両であって、
前記車体の、前記前方転圧輪及び前記後方転圧輪よりも高位に設けられ、着脱式バッテリを着脱可能に収納するバッテリケースと、
前記車体に設けられ、前記着脱式バッテリから供給された電力によって前記前方転圧輪及び前記後方転圧輪を駆動するモータと、
を備え、
前記バッテリケースに前記着脱式バッテリを収納可能な挿入孔が形成され、
前記挿入孔の第1端に、前記着脱式バッテリを前記挿入孔に挿入、又は前記挿入孔から取り出すための開口が形成され、且つ前記挿入孔の第2端が前記着脱式バッテリを堰き止める壁部であり、
前記バッテリケースが、前記開口が前記車体の外縁を向き且つ前記壁部が前記車体の内部を向き、前記壁部の下端が前記開口の下端よりも低位となる傾斜姿勢とされている転圧車両が提供される。
【0009】
本発明においては、着脱式バッテリを着脱可能に収納するバッテリケースが、前方転圧輪及び後方転圧輪よりも高位に設けられている。このため、バッテリケースの重量と、該バッテリケースに収納される着脱式バッテリの重量とが、前方転圧輪又は後方転圧輪に付加される。従って、路面等に対し、前方転圧輪又は後方転圧輪を介して十分な荷重が付与される。このため、路面等を転圧又は均すこと等が容易である。
【0010】
また、バッテリケースの開口が車体の外縁を向くように、バッテリケースが傾斜している。このため、バッテリケースが傾斜していないときに比べ、開口が低位置となり且つ作業者に近接する。従って、バッテリケースの挿入孔に対して作業者が車体の外方から着脱式バッテリを挿抜するとき、着脱式バッテリを地面等からバッテリケースまで持ち上げる移動距離と、着脱式バッテリをバッテリケースから地面等へ降ろす移動距離とが短くなる。
【0011】
さらに、バッテリケースが傾斜していることから、挿入孔も傾斜している。この場合、内壁の一部が着脱式バッテリの重量を負担する。このため、着脱式バッテリの挿抜が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る非乗用型転圧車両(ハンドガイド式振動ローラ)の全体概略斜視図である。
図2図2は、前記ハンドガイド式振動ローラの概略右側面図である。
図3図3は、ハンドガイド式振動ローラの車体に搭載されるバッテリケースの上方からの概略平面図である。
図4図4は、前記ハンドガイド式振動ローラの概略平面図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る乗用型転圧車両(タンデム式ロードローラ)の全体概略斜視図である。
図6図6は、前記タンデム式ロードローラの概略右側面断面図である。
図7図7は、前記タンデム式ロードローラの積載部の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明において、「前」、「後」、「左」及び「右」は、転圧車両を操作する作業者の前方、後方、左方及び右方を指す。「前後方向」は「車長方向」と同義であり、「左右方向」は「幅方向」と同義である。また、「高位」は、地面(路面)からの直線距離が相対的に大きな高さ位置を表す。「低位」は、地面(路面)からの直線距離が相対的に小さな高さ位置を表す。高位と低位とは、必ずしも鉛直方向に沿って上下に並んでいることを意味しない。
【0014】
先ず、本発明の第1実施形態につき、ハンドガイド式振動ローラを例示して説明する。ハンドガイド式振動ローラは、非乗用型転圧車両の1種である。
【0015】
図1に示すように、ハンドガイド式振動ローラ10は、積載用車体12を有する。該積載用車体12の下部には、走行部14が設けられる。走行部14は、積載用車体12の前部に位置する前方ローラ16と、積載用車体12の後部に位置する後方ローラ18とを含む。前方ローラ16及び後方ローラ18が路面Gに接した状態で後方から前方に向かって回転するとき、ハンドガイド式振動ローラ10が前進する。逆に、前方ローラ16及び後方ローラ18が路面Gに接した状態で前方から後方に向かって回転するとき、ハンドガイド式振動ローラ10が後退する。
【0016】
積載用車体12は、ベースフレーム20を含む。このベースフレーム20には、フロントカバー22、左サイドカバー24L及び右サイドカバー24Rが取り付けられる。さらに、左サイドカバー24L及び右サイドカバー24Rの上端に対し、天板部材28が取り外し可能に連結される。積載用車体12の内部には、フロントカバー22、左サイドカバー24L、右サイドカバー24R及び天板部材28によって、内部空間30が形成される。内部空間30において、積載用車体12の右部には、前方ローラ16及び後方ローラ18を振動させるための振動発生機構が収納される。すなわち、前方ローラ16及び後方ローラ18は、振動発生機構によって振動し、これにより路面Gを締固める。このように、前方ローラ16は前方転圧輪であり、後方ローラ18は後方転圧輪である。なお、非乗用型転圧車両における振動発生機構は公知であるため、図示していない。
【0017】
内部空間30において、積載用車体12の左部前方にバッテリケース34が配設される。また、内部空間30において、積載用車体12の左部後方にモータハウジング36が配設される。すなわち、バッテリケース34とモータハウジング36は、前後方向に沿って並列し且つ隣接する。バッテリケース34は、天板部材28に形成された切欠37を通り、天板部材28から露出する。モータハウジング36は、天板部材28に形成された挿通口38を通り、天板部材28から露出する。代替的に、バッテリケース34及びモータハウジング36の双方の全体を内部空間30に収めるようにしてもよい。
【0018】
図2に示すように、バッテリケース34には、着脱式バッテリ40が着脱可能に収納される。この着脱式バッテリ40につき、概略説明する。
【0019】
着脱式バッテリ40は、特開2019-68720号公報の図1と同様に略直方体形状をなしている。該着脱式バッテリ40の長手方向一端には、作業者WKが把持するための取っ手部42が設けられる。作業者WKは、着脱式バッテリ40をバッテリケース34に収納するとき、又は、着脱式バッテリ40を運搬するとき等で取っ手部42を把持する。取っ手部42が設けられていない長手方向他端は、略平坦な底面44である。該底面44には、雌型の第1コネクタ46が設けられる。
【0020】
図3に詳細を示すように、バッテリケース34はケース本体48を有する。このケース本体48には、着脱式バッテリ40を収納可能な挿入孔50が形成される。挿入孔50は、直方体が刳り抜かれたような形状をなす。従って、挿入孔50は、底壁52、下方壁54、左側壁56、右側壁58及び上方壁60の5壁を内壁として形成される。すなわち、挿入孔50の下端(第2端)は、壁部である底壁52である。また、挿入孔50の上端(第1端)には、着脱式バッテリ40を挿入孔50に挿入するため、又は該挿入孔50から取り出すための開口62が形成されている。
【0021】
図2及び図4に示すように、バッテリケース34の開口62は、積載用車体12の前部外縁を向く。また、バッテリケース34の底壁52は、内部空間30(積載用車体12の内部)を向く。このため、下方壁54の前端が開口62の下端62dに相当する。上方壁60の前端が、開口62の上端62uに相当する。また、下方壁54の後端が底壁52の下端52dに相当する。上方壁60の後端が、底壁52の上端52uに相当する。開口62の下端62dは、底壁52の下端52dよりも高位で且つ前方に位置する。開口62の上端62uは、底壁52の上端52uよりも高位で且つ前方に位置する。
【0022】
従って、バッテリケース34は、積載用車体12の前部外縁から、積載用車体12の内方である内部空間30(後方)に向かうにつれて低位となる。換言すれば、バッテリケース34は前傾姿勢である。従って、挿入孔50の、着脱式バッテリ40の挿抜方向に沿った軸線は、鉛直方向上方から前方に向かって角度θで傾斜する。この角度θは、10°~45°であることが好ましい。角度θがこのような範囲内である場合、挿入孔50に対する着脱式バッテリ40の着脱が容易である。
【0023】
なお、開口62の上端62uは底壁52の上端52uよりも高位であり、且つ開口62の下端62dは底壁52の下端52dよりも高位である。ただし、開口62の下端62dと底壁52の上端52uについては、一方が低位で他方が高位であればよい。すなわち、図2に示すように、底壁52の上端52uを開口62の下端62dよりも低位とすることが可能である。逆に、開口62の下端62dを、底壁52の上端52uよりも低位とすることも可能である。
【0024】
図2では、バッテリケース34の開口62が、積載用車体12の前部外縁に向く構成を例示している。しかしながら、開口62を、積載用車体12の左側部外縁、右側部外縁又は後部外縁に向けることも可能である。
【0025】
底壁52は、下方壁54、左側壁56、右側壁58及び上方壁60に対して直交する。後述するように、底壁52は、挿入孔50に挿入された着脱式バッテリ40を堰き止める壁部である。この底壁52には、上方壁60に近接する位置に第2コネクタ64が設けられる。該第2コネクタ64には、ハーネス66の一端が接続されている。該ハーネス66の他端は、底壁52に形成された図示しない挿通孔に通された後、前記モータハウジング36内のモータ70に対して電気的に接続されている。従って、第2コネクタ64が第1コネクタ46に係合することにより、着脱式バッテリ40とモータ70とがハーネス66を介して電気的に接続される。なお、図示は省略しているが、ハーネス66は、電流変換器を介してモータ70に接続される。
【0026】
バッテリケース34は、蓋部材72をさらに有する。蓋部材72は、ケース本体48に回動可能に設けられている。この蓋部材72は、挿入孔50及び開口62を開閉する。蓋部材72の回動中心は、上方壁60の上部縁である。
【0027】
図1図2及び図4に示すように、蓋部材72の最前端は、バッテリケース34の最前端である。蓋部材72の最前端は、フロントカバー22の最前端(積載用車体12の前部外縁)よりも後方(積載用車体12の内方)に寄っている。また、バッテリケース34の左端は、左サイドカバー24Lよりも右方(積載用車体12の一層内方)に位置する。すなわち、バッテリケース34の全体は、積載用車体12の外縁よりも内方に位置する。換言すれば、バッテリケース34の全体が積載用車体12の内部に収まっている。このため、バッテリケース34の一部が積載用車体12の外縁から突出する場合に比べ、ハンドガイド式振動ローラ10の小型化を図ることができる。
【0028】
バッテリケース34の一部(開口62を含む上端等)は、内部空間30から露出している。内部空間30から露出した当該一部も、積載用車体12の外縁よりも内方に位置している。従って、ハンドガイド式振動ローラ10が進行する最中に、バッテリケース34が何らかの物体に接触することが回避される。このように、バッテリケース34の全体を積載用車体12の内部に収めたことにより、バッテリケース34の、内部空間30から露出した一部を保護することができる。
【0029】
モータハウジング36は、バッテリケース34に隣接する。このモータハウジング36は、例えば、鉛直方向に沿って延在する。モータハウジング36には、モータ70が収納される。モータ70は、電磁コイルを含むステータと、永久磁石を含むロータとを有する。この構成は周知であることから、詳細な図示と説明を省略する。前記電磁コイルには、ハーネス66を介して第2コネクタ64が電気的に接続される。バッテリケース34がモータハウジング36に隣接することから、第2コネクタ64がモータハウジング36に近接する。このため、ハーネス66を短くすることができる。
【0030】
モータ70の動力は、図示しない制御回路を介して前方ローラ16及び後方ローラ18に伝達される。すなわち、前方ローラ16及び後方ローラ18は、モータ70の動力に基づいて駆動されることによって回転する。その結果、ハンドガイド式振動ローラ10が走行する。
【0031】
モータハウジング36、左サイドカバー24L及び右サイドカバー24Rの後方には、貯留タンク74が配置される。該貯留タンク74には、注入口を介して水又は油(液体)が貯留される。水又は油は、例えば、路面Gが高温であるとき等、必要に応じて該路面Gを冷却するために路面Gに供給される。このように、第1実施形態では、バッテリケース34、モータハウジング36及び貯留タンク74が、前後方向に沿って直線状に並列配置される。モータハウジング36は、バッテリケース34と貯留タンク74との間に挟まれる。なお、参照符号76は、貯留タンク74の注入口を閉塞する閉塞蓋を示す。
【0032】
図4から理解されるように、バッテリケース34の底壁52は、全体にわたって前方ローラ16の前端16fと、前方ローラ16の後端16rとの間の上方に位置する。すなわち、積載用車体12を平面視したとき、底壁52は前方ローラ16に重なる。なお、バッテリケース34の開口62は、前方ローラ16の前端16fよりも前方に位置してもよい。
【0033】
また、モータハウジング36の前端36fは、前方ローラ16の前端16fと後端16rとの間の上方に位置する。その一方で、モータハウジング36の後端36rは、後方ローラ18の前端18fと、後方ローラ18の後端18rとの間(例えば、前端18fと後端18rとの略中間)の上方に位置する。換言すれば、積載用車体12を平面視したとき、モータハウジング36の前端36fが前方ローラ16に重なる。また、モータハウジング36の後端36rが後方ローラ18に重なる。
【0034】
さらに、貯留タンク74の前端74fは、後方ローラ18の前端18fよりも後方に位置する。貯留タンク74の前端74fは、後方ローラ18の後端18rよりも前方に位置する。換言すれば、積載用車体12を平面視したとき、貯留タンク74の前端74fが後方ローラ18に重なる。
【0035】
なお、積載用車体12に貯留タンク74を積載することは必須ではない。すなわち、貯留タンク74を省いてハンドガイド式振動ローラ10を構成するようにしてもよい。
【0036】
ベースフレーム20の後方壁には、後方に向かって延在する操作ハンドル80が設けられる。この操作ハンドル80には、電源スイッチ82が設けられる。作業者WKが該電源スイッチ82を押し込んだとき、モータ70が起動する。これにより、ハンドガイド式振動ローラ10が前進又は後退可能な状態となる。その後、操作桿84の近傍に設けられた走行レバー86を作業者WKが手で操作することに伴って、ハンドガイド式振動ローラ10が前進又は後退する。逆に、作業者WKが走行レバー86から手を離すと、該走行レバー86が元の位置に戻る。その結果、ハンドガイド式振動ローラ10が停止する。
【0037】
また、操作ハンドル80には回転方向切替レバー88が設けられる。回転方向切替レバー88は、モータ70の回転方向を切り替えるためのレバーである。すなわち、作業者WKが該回転方向切替レバー88を前方に押し出したとき、ハンドガイド式振動ローラ10が前進する方向にモータ70が回転する。従って、この状態で、作業者WKが走行レバー86を手で押し出すと、ハンドガイド式振動ローラ10が前進する。逆に、作業者WKが該回転方向切替レバー88を後方に引き寄せたとき、ハンドガイド式振動ローラ10が後退する方向にモータ70が回転する。この状態において、作業者WKが走行レバー86を手等で引き寄せると、ハンドガイド式振動ローラ10が後退する。
【0038】
さらに、操作ハンドル80にはオン/オフレバー90が設けられる。作業者WKが該オン/オフレバー90をオン位置に切り替えたとき、前記振動発生機構が駆動される。その結果、前方ローラ16及び後方ローラ18が振動する。逆に、作業者WKが該オン/オフレバー90をオフ位置に切り替えたとき、前記振動発生機構が停止されて前方ローラ16及び後方ローラ18の振動が停止する。
【0039】
第1実施形態に係るハンドガイド式振動ローラ10(非乗用型転圧車両)は、基本的には以上のように構成される。次に、該ハンドガイド式振動ローラ10の作用効果につき説明する。
【0040】
ハンドガイド式振動ローラ10は、例えば、道路の舗装工事が行われたとき、路面Gを均すために用いられる。作業者WKは、回転方向切替レバー88を前方に押し出して電源スイッチ82を押し込み、モータ70を起動させる。また、作業者WKは、一方の手で操作桿84を把持し、他方の手を走行レバー86に添える。この状態で、作業者WKが手で走行レバー86を押し出すことにより、ハンドガイド式振動ローラ10が前進する。前方ローラ16及び後方ローラ18を振動させるには、作業者WKは、オン/オフレバー90をオン位置とする。
【0041】
路面Gに対しては、先ず、前方ローラ16による転圧がなされる。次に、後方ローラ18によって路面Gが均される。ここで、路面Gを最初に転圧する前方ローラ16には、路面Gに大きな荷重を付与することが要求される。
【0042】
このハンドガイド式振動ローラ10では、バッテリケース34の底壁52の全体が、平面視で前方ローラ16に重なる。このため、前方ローラ16に対し、バッテリケース34の重量と、バッテリケース34に収納された着脱式バッテリ40の重量とが付加される。また、前方ローラ16には、モータハウジング36の前端36fも重なっている。従って、前方ローラ16には、モータハウジング36の重量の一部と、モータ70の重量の一部とが合わせて付加される。以上のような理由から、バッテリケース34、着脱式バッテリ40、モータハウジング36及びモータ70の重量が、前方ローラ16を介して路面Gに付与される。
【0043】
このように、第1実施形態によれば、前方ローラ16から路面Gに大きな荷重を付与することができる。従って、前方ローラ16が路面Gを容易に転圧することができる。
【0044】
また、ハンドガイド式振動ローラ10の平面視では、モータハウジング36の後端36rと、貯留タンク74の前端74fとが後方ローラ18に重なる。従って、後方ローラ18に対し、モータハウジング36の重量の一部と、モータ70の重量の一部と、貯留タンク74の重量の一部と、貯留タンク74内の水又は油の重量の一部とが合わせて付加される。以上のような理由から、モータハウジング36、モータ70、貯留タンク74、水又は油の重量が、後方ローラ18を介して路面Gに付与される。
【0045】
このように、第1実施形態によれば、後方ローラ18から路面Gに大きな荷重を付与することも可能である。従って、後方ローラ18が路面Gを円滑に均すことができる。
【0046】
ハンドガイド式振動ローラ10が進行する最中、路面Gが高温であるときには、作業者WKの操作により、貯留タンク74に貯留された水又は油が路面Gに供給される。この水又は油により、路面Gが冷却される。このとき、貯留タンク74内の水又は油の量が減少することに伴い、後方ローラ18に作用する重量が減少する。ここで、後方ローラ18は、前方ローラ16によって均された路面Gを再度均す。従って、後方ローラ18に要求される荷重は、前方ローラ16に要求される荷重に比べて小さい。このため、後方ローラ18に作用する重量が減少しても、路面Gの均しが不十分となることが回避される。
【0047】
その一方で、バッテリケース34、着脱式バッテリ40、モータハウジング36及びモータ70の重量は、ハンドガイド式振動ローラ10の稼働の度合いに拘わらず減少しない。従って、前方ローラ16に作用する荷重も減少しない。従って、ハンドガイド式振動ローラ10の稼働に伴って前方ローラ16による路面Gの均しが不十分となることも回避される。
【0048】
ところで、作業者WKが貯留タンク74に水又は油を貯留した後、閉塞蓋76の注入口への取付を失念することが想定される。また、路面Gを頻繁に冷却する必要がある状況では、貯留タンク74に水又は油が頻繁に補給される。このとき、閉塞蓋76の注入口への取付を行わないことがあり得る。この状態で前方ローラ16及び後方ローラ18が振動すると、水又は油の一部が注入口から飛散する懸念がある。
【0049】
ここで、第1実施形態では、貯留タンク74とバッテリケース34との間にモータハウジング36が位置する。このため、貯留タンク74とバッテリケース34との離間距離が大きい。しかも、注入口から飛散した水又は油は、モータハウジング36に堰き止められる。これにより、水又は油がバッテリケース34に到達することが困難となる。加えて、バッテリケース34が前傾姿勢であるため、開口62が貯留タンク74から離間する方向に傾斜している。従って、仮にバッテリケース34に水又は油が到達したとしても、該水又は該油が挿入孔50に浸入することは困難である。
【0050】
着脱式バッテリ40のバッテリケース34に対する着脱を容易とするために、バッテリケース34の一部(開口62を含む上端等)を内部空間30から露出させる場合がある。この構成においても、上記した理由から、バッテリケース34及び着脱式バッテリ40が、例えば、被水することが回避される。これにより、水を介して漏電又は短絡等が起こる懸念が払拭される。
【0051】
なお、モータハウジング36からモータ70を着脱可能とする必要はない。すなわち、モータハウジング36に開閉可能な蓋体等を設ける必要は特にない。従って、モータハウジング36を、気密又は液密に優れた構造物とすることができる。このため、モータハウジング36が被水したときであっても、モータ70が被水することが十分に回避される。
【0052】
また、貯留物が油である場合には、モータ70、バッテリケース34及び着脱式バッテリ40が油で汚れることが回避される。
【0053】
ハンドガイド式振動ローラ10の進行方向を前方から後方に切り替えるには、作業者WKは、先ず、走行レバー86から手を離す。これにより、走行レバー86が元の位置に戻る。その結果、ハンドガイド式振動ローラ10が停止する。この状態で、作業者WKは、回転方向切替レバー88を後方に引き寄せる。次に、作業者WKが走行レバー86を手で引き寄せることにより、モータ70が、ハンドガイド式振動ローラ10の前進時の回転方向と逆方向に回転し始める。その結果、ハンドガイド式振動ローラ10が後退する。この間、前方ローラ16及び後方ローラ18の振動を停止してもよい。必要に応じ、前方ローラ16及び後方ローラ18の振動を継続してもよい。
【0054】
このように、ハンドガイド式振動ローラ10では、モータ70が前方ローラ16及び後方ローラ18の走行駆動源である。このハンドガイド式振動ローラ10においては、モータ70の回転方向を切り替えることのみで、ハンドガイド式振動ローラ10の進行方向を切り替えることができる。従って、積載用車体12にトランスミッション等をさらに搭載する必要は特にない。このため、ハンドガイド式振動ローラ10の軽量化を図ることができる。また、トランスミッション等をさらに搭載する必要がないので、積載用車体12に搭載する機器(振動発生機構、バッテリケース34、モータハウジング36等)の配設位置の自由度が向上する。
【0055】
着脱式バッテリ40のSOCが低下したとき、作業者WKにより、該着脱式バッテリ40が、充電済みの新たな着脱式バッテリ40に交換される。この交換は、例えば、新たな着脱式バッテリ40をハンドガイド式振動ローラ10まで運搬してから行われる。又は、新たな着脱式バッテリ40が据え置かれた場所まで作業者WKがハンドガイド式振動ローラ10を運転した後に、着脱式バッテリ40の交換を行ってもよい。
【0056】
交換を行うとき、作業者WKは、図2に示すようにバッテリケース34の前方に回り込み、蓋部材72の下端を把持する。次に、作業者WKは、上方壁60の上部縁を回動中心とし、下端が上方に回り込むように蓋部材72を回動させる。これにより、開口62及び挿入孔50が視認可能な状態となる。作業者WKは、次に、挿入孔50内の着脱式バッテリ40の取っ手部42を把持し、前方高位に向かって引き上げる。
【0057】
挿入孔50を形成する下方壁54は、傾斜している。このため、該下方壁54は、着脱式バッテリ40の重量の一部を受けている。従って、作業者WKが着脱式バッテリ40を挿入孔50から引き上げるとき、下方壁54が着脱式バッテリ40の荷重を負担する。このため、作業者WKが着脱式バッテリ40を挿入孔50から引き上げるときの力を、挿入孔50が鉛直方向に沿って延在する場合に比べて小さくすることができる。
【0058】
また、バッテリケース34の開口62が積載用車体12の前方を向く。従って、取り外しに伴って移動する着脱式バッテリ40が、バッテリケース34の後方に配置されたモータハウジング36及び貯留タンク74に干渉することはない。このため、着脱式バッテリ40をバッテリケース34から容易に離脱させることができる。
【0059】
さらに、開口62が積載用車体12の外縁(典型的には前部外縁)に向くように、バッテリケース34が傾斜している。この場合、バッテリケース34が傾斜していない場合(例えば、開口62が鉛直上方を向く場合)に比べ、開口62が低位置となり、且つ開口62と作業者WKとの間の距離が小さくなる。従って、積載用車体12の外方に起立した作業者WKが、バッテリケース34の挿入孔50から着脱式バッテリ40を引き抜くとき、着脱式バッテリ40の、挿入孔50から地面までの移動距離が小さくなる。このため、着脱式バッテリ40をバッテリケース34から容易に離脱させることができる。
【0060】
作業者WKは、次に、バッテリケース34の挿入孔50に新たな着脱式バッテリ40を収納する。このために、作業者WKは、新たな着脱式バッテリ40の取っ手部42を把持して該着脱式バッテリ40を持ち上げる。作業者WKは、さらに、底面44が若干低位で且つ取っ手部42が若干高位となるように、着脱式バッテリ40を傾斜姿勢とする。
【0061】
その後、作業者WKは、挿入孔50を形成する下方壁54に、着脱式バッテリ40の一側面を当接させる。さらに、この状態から着脱式バッテリ40を下方壁54に沿って底壁52の方向に滑動させる。これにより、該着脱式バッテリ40の底面44が挿入孔50の底壁52に当接する。その結果、着脱式バッテリ40がバッテリケース34に支持される。また、着脱式バッテリ40の底面44に設けられた第1コネクタ46と、バッテリケース34の底壁52に設けられた第2コネクタ64とが互いに係合する。
【0062】
下方壁54は、底壁52に向かうにつれて低位となるように鉛直方向及び水平方向に対して傾斜している。このため、着脱式バッテリ40が自重によって下方壁54を容易に滑動する。従って、作業者WKが着脱式バッテリ40を挿入孔50に押し入れるときの力を、挿入孔50が水平方向に沿って延在する場合に比べて小さくすることができる。このように、下方壁54を水平方向及び鉛直方向に対して傾斜させたことにより、バッテリケース34着脱式バッテリ40収納するときもまた、着脱式バッテリ40を下方壁54に沿って滑動させることが容易である。
【0063】
さらに、開口62が積載用車体12の外縁(典型的には前部外縁)に向くように、バッテリケース34が傾斜している。この場合、バッテリケース34が傾斜していない場合(例えば、開口62が鉛直上方を向く場合)に比べ、開口62が低位置となり、且つ開口62と作業者WKとの間の距離が小さくなる。従って、積載用車体12の外方に起立した作業者WKが、バッテリケース34の挿入孔50に着脱式バッテリ40を押し入れるとき、着脱式バッテリ40の、地面から挿入孔50までの移動距離が小さくなる。このため、着脱式バッテリ40をバッテリケース34に容易に装着することができる。
【0064】
以上のようにして着脱式バッテリ40の交換が終了した後、作業者WKは、高位となった蓋部材72の下端を把持し、該蓋部材72を略180°回動させる。これにより、挿入孔50に収納された着脱式バッテリ40が遮蔽される。作業者WKは、以降は上記と同様にして、転圧及び均しを行えばよい。
【0065】
次に、本発明の第2実施形態につき、タンデム式ロードローラを例示して説明する。タンデム式ロードローラは、乗用型転圧車両の1種である。
【0066】
なお、第1実施形態における構成要素と同一又は対応し、且つ特に第1実施形態の構成要素と区別することを要しない構成要素には、同一の参照符号を付している。また、作業者WKは、図5図7には示していない。
【0067】
図5に示すように、タンデム式ロードローラ100の搭乗用車体102は、該搭乗用車体102の前部を構成する積載部104と、搭乗用車体102の略中央部を構成する操作部106と、搭乗用車体102の後部を構成する搭乗部108とを備える。
【0068】
積載部104の前方下部には、前方転圧輪としての前方ローラ16が回転可能及び振動可能に設けられる。また、搭乗部108の下部後方には、後方転圧輪としての後方ローラ18が回転可能及び振動可能に設けられる。前方ローラ16及び後方ローラ18が路面Gに接した状態で後方から前方に向かって回転するとき、タンデム式ロードローラ100が前進する。一方、前方ローラ16及び後方ローラ18が路面Gに接した状態で前方から後方に向かって回転するとき、タンデム式ロードローラ100が後退する。これら前方ローラ16及び後方ローラ18は、鉄系材料からなる、いわゆる鉄輪である。
【0069】
また、積載部104は、図示しないフロントフレームに取り付けられたベースパネル110と、該ベースパネル110に対し、図6に示すヒンジ112を介して連結されたボンネット114とを有する。これらベースパネル110及びボンネット114により、内室116が形成される。ヒンジ112は、ベースパネル110の後端に設けられている。このため、ボンネット114は、ヒンジ112を中心として、前端が後方に向かって上昇するように回動する。
【0070】
内室116は、ボンネット114が閉状態にあるときには遮蔽され、図6中の仮想線で示す開状態にあるときには露呈する。このように、ボンネット114は、内室116を開閉するための覆い部である。なお、閉状態にあるボンネット114は、図5及び図6に示すように前方から後方に向かうにつれて高位となる。すなわち、ボンネット114は、前方が低位(下方)、後方が高位(上方)となるように傾斜している。
【0071】
図5図7に示すように、内室116には、第1バッテリケース34a、第2バッテリケース34b及びモータハウジング36が収納される。すなわち、第2実施形態では、搭乗用車体102に2個のバッテリケースが設けられる。第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bには、第1着脱式バッテリ40a及び第2着脱式バッテリ40bがそれぞれ個別に収納される。なお、第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bの各々は、第1実施形態におけるバッテリケース34のケース本体48と同一構成である。また、第1着脱式バッテリ40a及び第2着脱式バッテリ40bの各々は、第1実施形態における着脱式バッテリ40と同一構成である。
【0072】
ただし、第1バッテリケース34aと第2バッテリケース34bとの区別を容易にするため、この第2実施形態では、第1実施形態で示したケース本体48における構成要素の名称の先頭に「第1」を付した名称を、第1バッテリケース34aの構成要素の名称として使用する(ただし、「第2コネクタ」を除く)。また、第1実施形態で示したケース本体48における構成要素の名称の先頭に「第2」を付した名称を、第2バッテリケース34bの構成要素の名称として使用する(ただし、「第2コネクタ」を除く)。さらに、第1実施形態で示したケース本体48の構成要素の参照符号に「a」又は「b」を付加した参照符号を、第1バッテリケース34a又は第2バッテリケース34bの構成要素の参照符号として使用する。
【0073】
同様に、第1着脱式バッテリ40aと第2着脱式バッテリ40bとの区別を容易にするべく、この第2実施形態では、第1実施形態で示した着脱式バッテリ40における構成要素の名称の先頭に「第1」を付した名称を、第1着脱式バッテリ40aの構成要素の名称として使用する(ただし、「第1コネクタ」を除く)。また、第1実施形態で示した着脱式バッテリ40における構成要素の名称の先頭に「第2」を付した名称を、第2着脱式バッテリ40bの構成要素の名称として使用する(ただし、「第1コネクタ」を除く)。さらに、第1実施形態で示した着脱式バッテリ40の構成要素の参照符号に「a」又は「b」を付加した参照符号を、第1着脱式バッテリ40a又は第2着脱式バッテリ40bの構成要素の参照符号として使用する。
【0074】
積載部104が前方ローラ16よりも高位に位置することから、内室116に設けられた第1バッテリケース34a、第2バッテリケース34b及びモータハウジング36も、前方ローラ16よりも高位に位置する。第1バッテリケース34aは内室116の前部に配設され、第2バッテリケース34bは内室116の後部に配設されている。すなわち、第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bは、内室116において、積載部104の前後方向に沿って並列し且つ隣接している。代替的に、第1バッテリケース34aと第2バッテリケース34bとを、1個のバッテリホルダとして一体的に設けてもよい。
【0075】
従って、第2実施形態においては、特に図6から理解されるように、第1バッテリケース34aは傾斜姿勢である。且つ第1開口62aの下端62adは、第1底壁52aの下端52adよりも高位且つ前方に位置する。第1開口62aの上端62auは、第1底壁52aの上端52auよりも高位且つ前方に位置する。また、第1開口62aは、搭乗用車体102の前部外縁を向く。その一方で、第1底壁52aは内室116(搭乗用車体102の内方)を向く。
【0076】
このため、第1バッテリケース34aは、搭乗用車体102の前部外縁から、搭乗用車体102の内部である内室116(後方)に向かうにつれて低位となる前傾姿勢である。従って、第1挿入孔50aの、第1着脱式バッテリ40aの挿抜方向に沿った軸線は、鉛直方向上方から前方に向かって角度θで傾斜する。この角度θは、10°~45°であることが好ましい。角度θがこのような範囲内に設定される場合、第1挿入孔50aに対する第1着脱式バッテリ40aの着脱が容易である。
【0077】
なお、第1開口62aの上端62auは、第1底壁52aの上端52auよりも高位であり、且つ第1開口62aの下端62adは第1底壁52aの下端52adよりも高位である。ただし、第1開口62aの下端62adは、第1底壁52aの上端52auよりも低位であってもよい。逆に、第1底壁52aの上端52auは、第1開口62aの下端62adよりも低位であってもよい。
【0078】
後述するように、第1底壁52aは、第1挿入孔50aに挿入された第1着脱式バッテリ40aを堰き止める壁部である。この第1底壁52aには、第2コネクタ64aが設けられる。第2コネクタ64aは、第1上方壁60aに寄っている。該第2コネクタ64aには、第1ハーネス66aの一端が接続されている。該第1ハーネス66aの他端は、第1底壁52aに形成された図示しない挿通孔に通され、モータハウジング36内のモータ70に接続されている。
【0079】
第2バッテリケース34bも、前傾姿勢となっている。このため、第2開口62bの下端62bd(第2下方壁54bの前端)が、第2底壁52bの下端52bd(第2下方壁54bの後端)よりも高位且つ前方に位置する。第2開口62bの上端62bu(第2上方壁60bの端)が、第2底壁52bの上端52bu(第2上方60bの後端)よりも高位且つ前方に位置する。図7に示すように、第2下方壁54bと第2上方壁60bは、第2底壁52b、第2左側壁56b及び第2右側壁58bを介して連なる。
【0080】
第2底壁52bは、第2挿入孔50bに挿入された第2着脱式バッテリ40bを堰き止める壁部である。この第2底壁52bには、第2コネクタ64bが設けられている。該第2コネクタ64bには、第2ハーネス66bの一端が接続される。該第2ハーネス66bの他端は、第2底壁52bに形成された図示しない挿通孔を通った後、モータハウジング36内のモータ70に接続される。
【0081】
図6中の参照符号120、122は、それぞれ、第1バッテリケース34aの最高位である第1上端、第2バッテリケース34bの最高位である第2上端を示す。上記したように、内室116の前部に位置する第1バッテリケース34aと、内室116の後部に位置する第2バッテリケース34bとがともに前傾姿勢となっている。従って、第1上端120は、第2上端122よりも低位である。すなわち、第1上端120と第2上端122との間には、高低差が形成されている。
【0082】
ボンネット114は、上記の高低差に対応して傾斜している。すなわち、ボンネット114の前部が低位であり、且つボンネット114の後部が高位である。なお、ボンネット114が開状態にあるとき(内室116が露呈しているとき)には、第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bが露呈する。すなわち、作業者WKは第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bを視認可能である。また、ボンネット114が閉状態にあるとき(内室116が遮蔽されているとき)には、該ボンネット114によって第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bが遮蔽される。閉状態において、作業者WKが第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bを視認することはできない。
【0083】
図7は、積載部104の概略平面図である。この図7に示すように、搭乗用車体102を平面視したとき、第1バッテリケース34aの第1底壁52aの略全体と、第2バッテリケース34bの第2底壁52bの大部分とが前方ローラ16に重なる。なお、第1底壁52a又は第2底壁52bのいずれかの少なくとも一部が、平面視で前方ローラ16に重ならなくてもよい。
【0084】
第2実施形態では、内室116の前部から後部に向かって第1バッテリケース34a、第2バッテリケース34b、及びモータハウジング36がこの順序で並列する。モータハウジング36は、例えば、鉛直方向に沿って延在する。ボンネット114が閉状態であるとき、該ボンネット114がモータハウジング36を覆う。すなわち、第1バッテリケース34a、第2バッテリケース34b、及びモータハウジング36は全て、内室116内に収められている。換言すれば、第1バッテリケース34a、第2バッテリケース34b、及びモータハウジング36には、搭乗用車体102の外縁から延出する部位が存在しない。従って、第1実施形態と同様に、タンデム式ロードローラ100の小型化を図ることができる。
【0085】
また、第2実施形態では、モータ70の電磁コイルに対し、第1ハーネス66aを介して第2コネクタ64aが電気的に接続される。第2コネクタ64bも同様に、第2ハーネス66bを介してモータ70の電磁コイルに電気的に接続される。内室116内でモータハウジング36が第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bに近接するので、第1ハーネス66a及び第2ハーネス66bを短くすることができる。
【0086】
内室116には、前方ローラ16及び後方ローラ18を振動させるための振動発生機構がさらに収納される。乗用型転圧車両における振動発生機構もまた公知であるので、詳細な説明及び図示は省略する。
【0087】
積載部104の後端からは、操作部106に向かって転舵ハンドル130が突出する。作業者WKが転舵ハンドル130を回転させることにより、タンデム式ロードローラ100の進行方向が変更される。操作部106には、さらに、モータ70をオン/オフするための電源スイッチ、振動発生機構をオン/オフするための振動オン/オフスイッチ、各種のレバー等が設けられるが、これらの図示は省略している。
【0088】
搭乗部108には、作業者WKが着座する運転席132が設けられる。また、運転席132を囲繞するようにして貯留タンク74が設けられる。該貯留タンク74には、第1実施形態と同様に水又は油が貯留される。従って、後方ローラ18には、運転席132に着座した作業者WKの体重、貯留タンク74の重量、貯留タンク74に貯留された水又は油の重量が付与される。
【0089】
第2実施形態に係るタンデム式ロードローラ100(乗用型転圧車両)は、基本的には以上のように構成される。次に、タンデム式ロードローラ100の作用効果につき説明する。
【0090】
タンデム式ロードローラ100は、ハンドガイド式振動ローラ10と同様に、舗装工事が行われた道路の路面Gを均すとき等に用いられる。前部が低位で且つ後部が高位となるようにボンネット114が傾斜していることから、タンデム式ロードローラ100が路面G上を前進するとき、ボンネット114の前方からの走行風の抵抗が低減する。また、ボンネット114に対して障害物等が接触したとき、その影響を軽減することができる。
【0091】
タンデム式ロードローラ100が路面G上を進行するときには、振動発生機構によって前方ローラ16及び後方ローラ18が振動される。振動によって、路面Gに対し、先ず、前方ローラ16による転圧がなされる。従って、路面Gを最初に転圧する前方ローラ16には、路面Gに大きな荷重を付与することが要求される。
【0092】
このタンデム式ロードローラ100では、第1バッテリケース34aの第1底壁52aの略全体と、第2バッテリケース34bの第2底壁52bの大部分とが、前方ローラ16に重なる。従って、第1バッテリケース34a、第2バッテリケース34b、第1着脱式バッテリ40a及び第2着脱式バッテリ40bの重量が、前方ローラ16を介して路面Gに付与される。このため、第2実施形態においても、前方ローラ16から路面Gに大きな荷重を付与することができる。これにより、前方ローラ16が路面Gを容易に転圧することができる。
【0093】
また、後方ローラ18に対しては、作業者WKの体重と、貯留タンク74の重量と、貯留タンク74内の水又は油の重量が作用する。従って、作業者WKの体重、貯留タンク74の重量、水又は油の重量が、後方ローラ18を介して路面Gに付与される。これにより、後方ローラ18が路面Gを円滑に均すことができる。
【0094】
タンデム式ロードローラ100が進行する最中、路面Gが高温であるときには、作業者WKの操作により、貯留タンク74に貯留された水又は油が路面Gに供給される。この水又は油により、路面Gが冷却される。
【0095】
タンデム式ロードローラ100では、第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bが搭乗用車体102の前部である積載部104に配設され、且つ貯留タンク74が搭乗用車体102の後部である搭乗部108に配設される。このため、貯留タンク74と、第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bとの離間距離が大きい。しかも、第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bがボンネット114で遮蔽されている。
【0096】
従って、作業者WKが閉塞蓋76を注入口に取り付けることを失念し、水又は油の一部が注入口から飛散した場合であっても、第1着脱式バッテリ40a及び第2着脱式バッテリ40bが水又は油で濡れることが回避される。閉塞蓋76の注入口への取付を行わない場合も同様である。この状況は、例えば、路面Gを頻繁に冷却する必要があり、貯留タンク74に水又は油を頻繁に補給する場合に起こり得る。
【0097】
タンデム式ロードローラ100の進行方向を変更するには、作業者WKが転舵ハンドル130を回転させる。なお、タンデム式ロードローラ100を後方に進行させる場合、作業者WKは、操作部106に設けられた回転方向切替レバーを操作する。これにより、モータ70の回転方向が逆方向に切り替わる。このように、第2実施形態においても、モータ70の回転方向を切り替えることによって、タンデム式ロードローラ100の進行方向を前方から後方に、又はその逆に切り替えることができる。
【0098】
第1着脱式バッテリ40a及び第2着脱式バッテリ40bのSOCが低下したとき、作業者WKにより、これら第1着脱式バッテリ40a及び第2着脱式バッテリ40bが、充電済みの新たな第1着脱式バッテリ40a及び第2着脱式バッテリ40bに交換される。
【0099】
交換を行うとき、作業者WKは、積載部104の前方に回り込み、ボンネット114の前端を把持する。次に、作業者WKは、ボンネット114の後端を回動中心とし、該ボンネット114の前端が上方に回り込むようにボンネット114を回動させる。これにより、作業者WKが、第1バッテリケース34a及び第2バッテリケース34bを視認可能な状態となる。
【0100】
作業者WKは、次に、第1挿入孔50a内の第1着脱式バッテリ40aの第1取っ手部42aを把持し、前方高位に向かって引き上げる。第1挿入孔50aを形成する第1下方壁54aが傾斜していることから、該第1下方壁54aが第1着脱式バッテリ40aの重量の一部を受けている。従って、作業者WKが第1着脱式バッテリ40aを第1挿入孔50aから引き上げるときには、第1下方壁54aが第1着脱式バッテリ40aの荷重を負担する。このため、作業者WKが第1着脱式バッテリ40aを第1挿入孔50aから引き上げるときの力を、第1挿入孔50aが鉛直方向に沿って延在する場合に比べて小さくすることができる。
【0101】
さらに、第1開口62aが搭乗用車体102の外縁(典型的には前部外縁)に向くように、第1バッテリケース34aが傾斜している。この場合、第1バッテリケース34aが傾斜していない場合(例えば、第1開口62aが鉛直上方を向く場合)に比べ、第1開口62aが低位置となり、且つ第1開口62aと作業者WKとの間の距離が小さくなる。従って、搭乗用車体102の外方に起立した作業者WKが、第1バッテリケース34aの第1挿入孔50aから第1着脱式バッテリ40aを引き抜くとき、第1着脱式バッテリ40aの、第1挿入孔50aから地面までの移動距離が小さくなる。このため、第1着脱式バッテリ40aを第1バッテリケース34aから容易に離脱させることができる。
【0102】
作業者WKは、次に、第1バッテリケース34aの第1挿入孔50aに新たな第1着脱式バッテリ40aを収納する。このためには、作業者WKは、新たな第1着脱式バッテリ40aの第1取っ手部42aを把持して該第1着脱式バッテリ40aを持ち上げる。作業者WKは、さらに、第1底面44aが若干低位、第1取っ手部42aが若干高位となるように、第1着脱式バッテリ40aを傾斜姿勢とする。
【0103】
作業者WKは、第1着脱式バッテリ40aの一側面を、第1挿入孔50aを形成する第1下方壁54aに当接させる。さらに、作業者WKは、この状態から第1着脱式バッテリ40aを第1下方壁54aに沿って第1底壁52aの方向に滑動させる。その結果、該第1着脱式バッテリ40aの第1底面44aが第1挿入孔50aの第1底壁52aに当接する。これに伴い、第1着脱式バッテリ40aが第1バッテリケース34aに支持される。また、第1着脱式バッテリ40aの第1底面44aに設けられた第1コネクタ46aと、第1バッテリケース34aの第1底壁52aに設けられた第2コネクタ64aとが互いに係合する。
【0104】
第1下方壁54aは、第1底壁52aに向かうにつれて低位となるように鉛直方向及び水平方向に対して傾斜している。このため、第1着脱式バッテリ40aが自重によって第1下方壁54aを容易に滑動する。従って、第1挿入孔50aが水平方向に沿って延在する場合に比べて、作業者WKが第1着脱式バッテリ40aを第1挿入孔50aに押し入れるときの力を小さくすることができる。このように、第1下方壁54aを傾斜させたことにより、第1バッテリケース34aに第1着脱式バッテリ40aを収納するときにおいても、第1下方壁54aに沿って第1着脱式バッテリ40aを滑動させることが容易である。
【0105】
さらに、第1開口62aが搭乗用車体102の外縁(典型的には前部外縁)に向くように、第1バッテリケース34aが傾斜している。この場合、第1バッテリケース34aが傾斜していない場合(例えば、第1開口62aが鉛直上方を向く場合)に比べ、第1開口62aが低位置となり、且つ第1開口62aと作業者WKとの間の距離が小さくなる。従って、搭乗用車体102の外方に起立した作業者WKが、第1バッテリケース34aの第1挿入孔50aに第1着脱式バッテリ40aを押し入れるとき、第1着脱式バッテリ40aの、地面から第1挿入孔50aまでの移動距離が小さくなる。このため、第1着脱式バッテリ40aを第1バッテリケース34aに容易に装着することができる。
【0106】
以上に関しては、第2着脱式バッテリ40bの交換時においても同様である。
【0107】
上記のようにして第1着脱式バッテリ40a及び第2着脱式バッテリ40bの交換が終了した後、作業者WKは、高位となったボンネット114の前端を把持し、該ボンネット114を略90°回動させる。これにより、第1挿入孔50aに収納された第1着脱式バッテリ40aと、第2挿入孔50bに収納された第2着脱式バッテリ40bとがボンネット114で遮蔽される。作業者WKは、以降は上記と同様にして、転圧及び均し作業を行う。
【0108】
このように、第2実施形態に係る乗用型転圧車両においても、第1実施形態に係る非乗用型転圧車両と同様の作用効果が得られる。
【0109】
以上説明したように、本実施形態は、車体(12)と、前記車体の下部に設けられた前方転圧輪(16)及び後方転圧輪(18)とを備える転圧車両(10)であって、
前記車体の、前記前方転圧輪及び前記後方転圧輪よりも高位に設けられ、着脱式バッテリ(40)を着脱可能に収納するバッテリケース(34)と、
前記車体に設けられ、前記着脱式バッテリから供給された電力によって前記前方転圧輪及び前記後方転圧輪を駆動するモータ(70)と、
を備え、
前記バッテリケースに前記着脱式バッテリを収納可能な挿入孔(50)が形成され、
前記挿入孔の第1端に、前記着脱式バッテリを前記挿入孔に挿入、又は前記挿入孔から取り出すための開口(62)が形成され、且つ前記挿入孔の第2端が前記着脱式バッテリを堰き止める壁部(52)であり、
前記バッテリケースが、前記開口が前記車体の外縁を向き且つ前記壁部が前記車体の内部を向き、前記壁部の下端(52d)が前記開口の下端(62d)よりも低位となる傾斜姿勢とされている転圧車両が開示される。
【0110】
この転圧車両では、着脱式バッテリを着脱可能に収納するバッテリケースが、前方転圧輪及び後方転圧輪よりも高位に設けられている。このため、バッテリケースの重量と、該バッテリケースに収納される着脱式バッテリの重量とが、前方転圧輪又は後方転圧輪に付加される。これにより、路面(G)等に対し、前方転圧輪又は後方転圧輪を介して十分な荷重が付与される。このため、路面等を転圧又は均すこと等が容易である。
【0111】
また、バッテリケースの開口が車体の外縁を向くように、バッテリケースが傾斜している。このため、バッテリケースが傾斜していないときに比べ、開口が低位置となり且つ作業者に近接する。従って、バッテリケースの挿入孔に対して作業者が車体の外方から着脱式バッテリを挿抜するとき、着脱式バッテリを地面等からバッテリケースまで持ち上げる移動距離と、着脱式バッテリをバッテリケースから地面等へ降ろす移動距離とが短くなる。
【0112】
さらに、バッテリケースが傾斜していることから、挿入孔も傾斜している。この場合、内壁の一部が着脱式バッテリの重量を負担する。このため、着脱式バッテリの挿抜が容易である。
【0113】
バッテリケースの全体が車体の外縁よりも内方に位置することが好ましい。この構成によれば、バッテリケースが車体の外縁から延出(露出)している場合に比べて、転圧車両の小型化を図ることができる。
【0114】
バッテリケースを、車体の前方に配置することが好ましい。この場合、モータをバッテリケースの後方に配設する。さらに、バッテリケースの前記第2端の、モータに向く部位から、着脱式バッテリとモータとを電気的に接続するためのハーネス(66)を露呈させる。
【0115】
この場合、バッテリケースがモータに隣接する。従って、バッテリケースに設けられたコネクタ(第2コネクタ64)が、バッテリケースに近接する。このため、ハーネスを短くすることができる。
【0116】
本実施形態では、少なくとも2個のバッテリケースを車体に設ける構成も開示される。この場合、少なくとも2個のバッテリケースを車体の前後方向に沿って隣接させる。前方に位置するバッテリケースを第1バッテリケース(34a)、該第1バッテリケースの後方に位置するバッテリケースを第2バッテリケース(34b)とする。第1バッテリケースの上端(120)は、第2バッテリケースの上端(122)よりも低位である。
【0117】
車体には、開閉可能な覆い部(114)を設けることが好ましい。該覆い部は、第1バッテリケースと第2バッテリケースとの高低差に対応して傾斜する。このように覆い部を設け、且つ覆い部を閉状態とすることにより、2個のバッテリケース及び着脱式バッテリを同時に保護することができる。また、覆い部を開状態とすることにより、少なくとも2個の着脱式バッテリを交換する作業を実施することが容易である。
【0118】
液体を貯留するための貯留タンク(74)を車体に設けることが好ましい。この場合、貯留タンクの重量と、該貯留タンクに貯留される液体の重量とが、前方転圧輪又は後方転圧輪に付加される。従って、路面等を転圧又は均すこと等が容易である。
【0119】
ここで、バッテリケースは傾斜姿勢とされる。具体的には、第1端の開口が第2端の壁部に比べて貯留タンクから離間するように、バッテリケースが傾斜される。貯留タンク内の液体が、何らかの原因で飛散することが起こり得る。この事態が発生した場合であっても、飛散した液体がバッテリケースの開口に到達することは困難である。開口が貯留タンクから離間する方向にバッテリケースが傾斜しているからである。
【0120】
貯留タンクを車体に設ける場合、バッテリケースの少なくとも一部と、モータを収納したモータハウジング(36)の一部とが平面視で前方転圧輪に重なることが好ましい。且つ、モータハウジングの別の一部と、貯留タンクの少なくとも一部とが平面視で後方転圧輪に重なることが好ましい。これにより、前方転圧輪と後方転圧輪の双方に十分な荷重をバランスよく付与することができる。
【0121】
バッテリケースと貯留タンクとを、モータを間に挟む位置に配設することが好ましい。この構成では、バッテリケースと貯留タンクとの間にモータが介在する。このため、モータハウジングが、貯留タンクから飛散した液体からバッテリケースを保護する。しかも、バッテリケースが貯留タンクから大きく離間する。従って、貯留タンクから飛散した液体が、バッテリケースに到達することが困難である。以上のように、バッテリケースと、該バッテリケースに収納された着脱式バッテリとが、液体で濡れることが回避される。
【0122】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0123】
例えば、第1実施形態においても2個のバッテリケースを積載するようにしてもよい。また、第2実施形態では、第1バッテリケース又は第2バッテリケースのいずれかを積載せず、バッテリケースの個数を1個としてもよい。
【0124】
また、2個又はそれ以上のバッテリケースを、ハンドガイド式振動ローラ又はタンデム式ロードローラの車幅方向に沿って並列させることも可能である。
【0125】
さらに、第2実施形態に係る乗用型転圧車両は、タンデム式ロードローラに限定されない。その他の具体例としては、マカダム式ロードローラ、タイヤ式ロードローラ等が挙げられる。
【符号の説明】
【0126】
10…ハンドガイド式振動ローラ 12…積載用車体
16…前方ローラ 18…後方ローラ
34、34a、34b…バッテリケース 36…モータハウジング
40、40a、40b…着脱式バッテリ
46、46a、46b…第1コネクタ 48…ケース本体
50、50a、50b…挿入孔 52、52a、52b…底壁
54、54a、54b…下方壁
60、60a、60b…上方壁
62、62a、62b…開口
64、64a、64b…第2コネクタ
66、66a、66b…ハーネス
70…モータ 72…蓋部材
74…貯留タンク 76…閉塞蓋
80…操作ハンドル 82…電源スイッチ
100…タンデム式ロードローラ 102…搭乗用車体
104…積載部 106…操作部
108…搭乗部 112…ヒンジ
114…ボンネット 116…内室
120…第1上端 122…第2上端
130…転舵ハンドル 132…運転席
G…路面 WK…作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7