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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20250310BHJP
   F15B 11/08 20060101ALI20250310BHJP
   F15B 11/16 20060101ALI20250310BHJP
【FI】
E02F9/22 L
E02F9/22 E
F15B11/08 A
F15B11/16 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023570923
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2022047267
(87)【国際公開番号】W WO2023127672
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2021215374
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀井 啓司
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189127(JP,A)
【文献】特開2012-225084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/22
F15B 11/00-11/22
F15B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、
前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記操作部材に対して前記油圧アクチュエータの動作方向を反転させる操作が行われた場合に前記第1制御を行う作業機。
【請求項2】
機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、
前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記操作部材に対して前記油圧アクチュエータの動作方向を反転させる操作が所定時間内に繰り返し行われた場合に前記第1制御を行う作業機。
【請求項3】
機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、
前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制
御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、
前記第1制御と前記第2制御の選択指示を受け付ける切換スイッチを備え、
前記制御装置は、前記切換スイッチで前記第2制御を選択した状態で前記操作部材に対する操作が行われた場合に前記第2制御を行い、前記切換スイッチで前記第1制御を選択した状態で前記操作部材に対する操作が行われた場合に前記第1制御を行い
前記切換スイッチにより前記第1制御が選択された場合に、前記油圧アクチュエータの動作方向を繰り返し反転させる制御を自動的に実行する作業機。
【請求項4】
前記制御バルブは、前記制御装置から送信される制御信号に基づいて制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作され、
前記制御装置は、前記第1制御を行う場合に前記第2制御を行う場合よりも前記パイロット制御圧を高くする請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記制御バルブは、前記制御装置から供給される電流値に応じて制御され、
前記制御装置は、前記第1制御を行う場合に前記第2制御を行う場合よりも前記制御バルブに供給する電流値を高くする請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第1特性線と、前記第2制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第2特性線とを記憶しており、
前記第1特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いは、前記第2特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いよりも大きく設定されている請求項に記載の作業機。
【請求項7】
機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、
前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記操作部材に対する操作が所定の操作状態である場合に前記第1制御を行い、
前記制御バルブは、前記制御装置から供給される電流値に応じて制御され、
前記制御装置は、前記第1制御を行う場合に前記第2制御を行う場合よりも前記制御バルブに供給する電流値を高くし、
前記制御装置は、前記第1制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第1特性線と、前記第2制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第2特性線とを記憶しており、
前記第1特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いは、前記第2特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いよりも大きく設定されており、
前記制御装置は、前記第1特性線において最大電流値となる前記操作部材の操作量を、前記第2特性線において最大電流値となる前記操作部材の操作量よりも小さく設定している作業機。
【請求項8】
機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエー
タと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、
前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記操作部材に対する操作が所定の操作状態である場合に前記第1制御を行い、
前記制御バルブは、前記制御装置から供給される電流値に応じて制御され、
前記制御装置は、前記第1制御を行う場合に前記第2制御を行う場合よりも前記制御バルブに供給する電流値を高くし、
前記制御装置は、前記第1制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第1特性線と、前記第2制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第2特性線とを記憶しており、
前記第1特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いは、前記第2特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いよりも大きく設定されており、
前記操作部材の操作量が最大操作量より手前の所定操作量に到達するまでは前記操作部材の操作量に対応する前記電流値は前記第1特性線の方が前記第2特性線よりも高く設定されており、前記操作部材の操作量が前記所定操作量を超えると、前記第2特性線における前記電流値は前記第1特性線の最大電流値と同じに設定されている作業機。
【請求項9】
前記第1制御と前記第2制御との選択指示を受け付ける切換スイッチを備え、
前記制御装置は、前記切換スイッチにより前記第1制御が選択された場合に、前記操作部材の操作量に対応する前記電流値を最大電流値に設定する請求項に記載の作業機。
【請求項10】
機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、
前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記操作部材に対する操作が所定の操作状態である場合に前記第1制御を行い、
前記制御バルブは、前記制御装置から供給される電流値に応じて制御され、
前記制御装置は、前記第1制御を行う場合に前記第2制御を行う場合よりも前記制御バルブに供給する電流値を高くし、
前記第1制御と前記第2制御との選択指示を受け付ける切換スイッチを備え、
前記制御装置は、前記切換スイッチにより前記第1制御が選択された場合に、前記操作部材の操作量に対応する前記電流値を最大電流値に設定し、前記油圧アクチュエータの動作方向を繰り返し反転させる制御を自動的に実行する作業機。
【請求項11】
前記油圧アクチュエータとは異なる他の油圧アクチュエータを備え、
前記油圧アクチュエータ及び前記他の油圧アクチュエータを含む複数の油圧アクチュエータを作動させる作動油を吐出する可変容量型のポンプと、
前記ポンプの吐出圧と前記複数の油圧アクチュエータのうちの最高負荷圧との差圧を一定圧にするように前記ポンプを制御するロードセンシングシステムとを備えている請求項
1~3、5~10のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項12】
前記機体に揺動可能に支持されたブームと、前記ブームに揺動可能に支持されたアームと、前記アームに揺動可能に支持された作業具とを備え、
前記油圧アクチュエータは、前記ブームを揺動させるブームシリンダ、前記アームを揺動させるアームシリンダ、及び前記作業具を揺動させる作業具シリンダのうちのいずれか1つ以上である請求項1~3、5~10のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項13】
ブレードと、前記ブレードを揺動させるドーザシリンダとを有するドーザ装置を備え、
前記油圧アクチュエータは前記ドーザシリンダである請求項1~3、5~10のいずれか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された作業機は、機体にブームが揺動可能に支持され、該ブームにアームが揺動可能に支持され、該アームに作業具が揺動可能に支持されている。作業具は作業具シリンダによって駆動されると共に、作業具シリンダを制御する作業具制御バルブは制御装置によって制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国公開特許公報「特開2021-105327号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、例えば、作業具を素早く往復揺動動作させて行う作業において、操作部材の動きに作業具制御バルブの動作が追いつかず、所望する揺動量が得られない場合があった。
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑み、所定の作業を行う場合の油圧アクチュエータの応答性を向上させることのできる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る作業機は、機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記操作部材に対して前記油圧アクチュエータの動作方向を反転させる操作が行われた場合に前記第1制御を行う。
【0008】
本発明の他態様に係る作業機は、機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記操作部材に対して前記油圧アクチュエータの動作方向を反転させる操作が所定時間内に繰り返し行われた場合に前記第1制御を行う。
【0009】
本発明の別の態様に係る作業機は、機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記第1制御と前記第2制御の選択指示を受け付ける切換スイッチを備え、前記制御装置は、前記切換スイッチで前記第2制御を選択した状態で前記操作部材に対する操作が行われた場合に前記第2制御を行い、前記切換スイッチで前記第1制御を選択した状態で前記操作部材に対する操作が行われた場合に前記第1制御を行い、前記切換スイッチにより前記第1制御が選択された場合に、前記油圧アクチュエータの動作方向を繰り返し反転させる制御を自動的に実行する。
【0010】
前記制御バルブは、前記制御装置から送信される制御信号に基づいて制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作され、前記制御装置は、前記第1制御を行う場合に前記第2制御を行う場合よりも前記パイロット制御圧を高くしてもよい。
【0013】
前記制御バルブは、前記制御装置から供給される電流値に応じて制御され、前記制御装置は、前記第1制御を行う場合に前記第2制御を行う場合よりも前記制御バルブに供給する電流値を高くしてもよい。
【0014】
前記制御装置は、前記第1制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第1特性線と、前記第2制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第2特性線とを記憶しており、前記第1特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いは、前記第2特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いよりも大きく設定されていてもよい。
【0015】
本発明の別の態様に係る作業機は、機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記操作部材に対する操作が所定の操作状態である場合に前記第1制御を行い、前記制御バルブは、前記制御装置から供給される電流値に応じて制御され、前記制御装置は、前記第1制御を行う場合に前記第2制御を行う場合よりも前記制御バルブに供給する電流値を高くし、前記制御装置は、前記第1制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第1特性線と、前記第2制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第2特性線とを記憶しており、前記第1特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いは、前記第2特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いよりも大きく設定されており、前記制御装置は、前記第1特性線において最大電流値となる前記操作部材の操作量を、前記第2特性線において最大電流値となる前記操作部材の操作量よりも小さく設定している。
【0016】
本発明のさらに別の態様に係る作業機は、機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記操作部材に対する操作が所定の操作状態である場合に前記第1制御を行い、前記制御バルブは、前記制御装置から供給される電流値に応じて制御され、前記制御装置は、前記第1制御を行う場合に前記第2制御を行う場合よりも前記制御バルブに供給する電流値を高くし、前記制御装置は、前記第1制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第1特性線と、前記第2制御を行う場合の前記操作部材の操作量と前記電流値との関係を示す第2特性線とを記憶しており、前記第1特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いは、前記第2特性線における前記操作部材の操作量の変化に対する前記電流値の変化の度合いよりも大きく設定されており、前記操作部材の操作量が最大操作量より手前の所定操作量に到達するまでは前記操作部材の操作量に対応する前記電流値は前記第1特性線の方が前記第2特性線よりも高く設定されており、前記操作部材の操作量が前記所定操作量を超えると、前記第2特性線における前記電流値は前記第1特性線の最大電流値と同じに設定されている。
【0017】
前記作業機は、前記第1制御と前記第2制御との選択指示を受け付ける切換スイッチを備え、前記制御装置は、前記切換スイッチにより前記第1制御が選択された場合に、前記操作部材の操作量に対応する前記電流値を最大電流値に設定してもよい。
【0018】
本発明のさらに別の態様に係る作業機は、機体と、前記機体に搭載された作業装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブと、前記油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材と、前記操作部材に対する操作に応じて前記制御バルブの動作を制御する制御装置とを備えた作業機であって、前記制御装置は、前記操作部材に対する操作量と、予め設定された前記操作部材に対する操作量と前記制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて前記制御バルブの動作を制御する第2制御と、前記操作部材に対する操作量に応じて、前記第2制御よりも前記制御バルブから前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように前記制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、前記操作部材に対する操作が所定の操作状態である場合に前記第1制御を行い、前記制御バルブは、前記制御装置から供給される電流値に応じて制御され、前記制御装置は、前記第1制御を行う場合に前記第2制御を行う場合よりも前記制御バルブに供給する電流値を高くし、前記第1制御と前記第2制御との選択指示を受け付ける切換スイッチを備え、前記制御装置は、前記切換スイッチにより前記第1制御が選択された場合に、前記操作部材の操作量に対応する前記電流値を最大電流値に設定し、前記油圧アクチュエータの動作方向を繰り返し反転させる制御を自動的に実行する。
【0019】
前記作業機は、前記油圧アクチュエータとは異なる他の油圧アクチュエータを備え、さらに、前記作業機は、前記油圧アクチュエータ及び前記他の油圧アクチュエータを含む複数の油圧アクチュエータを作動させる作動油を吐出する可変容量型のポンプと、前記ポンプの吐出圧と前記複数の油圧アクチュエータのうちの最高負荷圧との差圧を一定圧にするように前記ポンプを制御するロードセンシングシステムとを備えていてもよい。
【0020】
前記作業機は、前記機体に揺動可能に支持されたブームと、前記ブームに揺動可能に支持されたアームと、前記アームに揺動可能に支持された作業具とを備え、前記油圧アクチュエータは、前記ブームを揺動させるブームシリンダ、前記アームを揺動させるアームシリンダ、及び前記作業具を揺動させる作業具シリンダのうちのいずれか1つ以上であってもよい。
【0021】
前記作業機は、ブレードと、前記ブレードを揺動させるドーザシリンダとを有するドーザ装置を備え、前記油圧アクチュエータは前記ドーザシリンダであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
上記の作業機によれば、例えば、速い応答が求められる作業など、所定の作業を行う場合に、油圧アクチュエータの応答性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】作業機の側面図である。
図2】作業機の平面図である。
図3】油圧システムの概略図である。
図4】油圧システムの一部の回路図である。
図5】コントロールバルブの一部の回路図である。
図6】コントロールバルブの他の一部の回路図である。
図7】コントロールバルブの他の一部とは異なる別の一部の回路図である。
図8】制御系の簡略図である。
図9A】操作部材の操作量と電流値との関係を示す図である。
図9B】操作部材の操作量と電流値との関係を示す図である。
図9C】操作部材の操作量と電流値との関係を示す図である。
図9D】操作部材の操作量と電流値との関係を示す図である。
図10A】操作部材の操作状態と操作状態の判定とを示す図である。
図10B】操作部材の操作状態と操作状態の判定とを示す図である。
図11】制御バルブ等の他の形態を示す構成図である。
図12】制御バルブ等のさらに他の形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。図2は、作業機1の概略平面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
【0026】
図1図2に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、作業装置4とを備えている。機体2にはキャビン5が搭載されている。キャビン5の室内には、オペレータ(運転者)が着座する運転席6が設けられている。
【0027】
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座したオペレータの前側に向かう方向(図1図2の矢印A1方向)を前方(機体前方)といい、オペレータの後側に向かう方向(図1図2の矢印A2方向)を後方(機体後方)という。また、図1図2の矢印K1方向を前後方向(機体前後方向)という。また、オペレータの左側に向かう方向(図1の手前側、図2の矢印A3方向)を左方といい、オペレータの右側に向かう方向(図1の奥側、図2の矢印A4方向)を右方という。また、前後方向(機体前後方向)K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向K2(図2参照)という。
【0028】
図1図2に示すように、走行装置3は、機体2を走行可能に支持する装置である。この走行装置3は、走行フレーム3Aと、走行フレーム3Aの左側に設けられた第1走行装置3Lと、走行フレーム3Aの右側に設けられた第2走行装置3Rとを有する。第1走行装置3L及び第2走行装置3Rは、クローラ式の走行装置である。走行装置3は、油圧モータ(油圧アクチュエータ)によって構成された走行モータM1によって駆動される。詳しくは、第1走行装置3Lは、第1走行モータMLによって駆動され、第2走行装置3Rは、第2走行モータMRによって駆動される。
【0029】
走行装置3の前部には、ドーザ装置(作業装置)7が装着されている。ドーザ装置7は、ドーザシリンダC1によって駆動される。詳しくは、ドーザシリンダC1は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成され、ドーザシリンダC1を伸縮することによりドーザ装置7のブレード7Aが上げ下げされる。
【0030】
図1に示すように、機体2は、走行装置3(走行フレーム3A)上に旋回ベアリング8を介して旋回軸心X1回りに旋回可能に支持されている。旋回軸心X1は、旋回ベアリング8の中心を通る上下方向に延伸する軸心(縦軸)である。
【0031】
図2に示すように、キャビン5は、機体2の幅方向K2の一側部(左側部)に搭載されている。このキャビン5は、旋回軸心X1を通り且つ前後方向K1に延伸する中央線Y1より機体幅方向K2の一側部(左側部)寄りに配置されている。
【0032】
図2に示すように、機体2の幅方向K2の他側部(右側部)には、原動機E1が搭載されている。原動機E1は、機体2に縦置きに搭載されている。縦置きとは、原動機E1のクランク軸の軸心が前後方向K1に延伸する状態に配置されることである。原動機E1は、ディーゼルエンジンである。なお、原動機E1は、ガソリンエンジン、電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
【0033】
原動機E1の後部には、圧油供給ユニット18が設けられている。圧油供給ユニット18は、原動機E1の動力によって駆動されて油圧駆動部に使用される作動油を加圧して吐出する。油圧駆動部は、例えば、作業機1に装備された油圧アクチュエータ等である。原動機E1の前方には、ラジエータR1、オイルクーラO1及びコンデンサCDが配置されて機体2に搭載されている。ラジエータR1は、原動機E1の冷却水(流体)を冷却する冷却機器であり、オイルクーラO1は、作動油(流体)を冷却する冷却機器である。また、コンデンサCDは、作業機1に装備された空調装置(エアコンディショナ)の冷媒(流体)を冷却する冷却機器(凝縮器)である。
【0034】
ラジエータR1と原動機E1との間には、原動機E1を冷却する冷却風を発生させる冷却ファンF1が設けられている。冷却ファンF1は、原動機E1の動力によって駆動されて前方から後方に流れる冷却風を発生させる。
【0035】
図1に示すように、機体2は、旋回軸心X1回りに旋回する基板(以下、旋回基板という)9を有する。旋回基板9は、鋼板等から形成されており、機体2の底部を構成する。旋回基板9の上面には、補強部材である縦リブ9Aが前部から後部にわたって設けられている。また、旋回基板9に、縦リブ9Aの他、機体2に搭載される機器等の搭載物を支持する部材等が設けられることにより、機体2の骨格となる旋回フレームが構成される。旋回フレームの水平方向の周囲は、旋回カバーによって覆われる。
【0036】
機体2の後部には、ウエイト10が設けられている。ウエイト10は、機体2の後部に配置されて下部が旋回基板9に取り付けられている。
【0037】
図2に示すように、機体2の後部には、機体幅方向K2に沿って並べて配置された燃料タンクT1及び作動油タンクT2が搭載されている。燃料タンクT1は、原動機E1の燃料を貯留するタンクである。作動油タンクT2は、作動油を貯留するタンクである。
【0038】
図2に示すように、旋回基板9(機体2)の前部且つ機体幅方向K2の中央部には、旋回モータMTが配置されている。この旋回モータMTによって旋回基板9が旋回軸心X1回りに旋回駆動される。旋回モータMTは、油圧モータ(油圧アクチュエータ)である。旋回軸心X1位置には、スイベルジョイントS1が設けられている。スイベルジョイントS1は、作動油を流通させる油圧機器であって、機体2側の油圧機器と走行装置3側の油圧機器との間で作動油を流通させる回転継手(ロータリジョイント)である。スイベルジョイントS1の後方にコントロールバルブ(油圧機器)CVが配置されている。コントロールバルブCVは、上下方向に積み重ねて結合された複数の制御バルブを有するセクショナルタイプの複合制御弁(油圧機器)である。キャビン5の下方には、制御装置U1が設けられている。
【0039】
キャビン5内には、作業機1を操縦する操縦装置1Bが設けられている。操縦装置1Bは、運転席6の前方に設置されている。運転席6と操縦装置1Bとで運転部1Cが構成されている。
【0040】
図2に示すように、機体2は、機体幅方向K2の中央のやや右寄りの前部に支持ブラケット13を有している。支持ブラケット13は、縦リブ9Aの前部に固定され、機体2から前方に突出状に設けられている。
【0041】
図1図2に示すように、支持ブラケット13の前部(機体2から突出した部分)には、スイング軸14Aを介してスイングブラケット14が上下方向に延伸する軸心であるスイング軸心X2回りに揺動可能に取り付けられている。したがって、スイングブラケット14は、機体幅方向K2に(スイング軸14Aを中心として水平方向に)回動可能である。
【0042】
図1に示すように、スイングブラケット14(機体2)には、作業装置4が支持されている。
【0043】
作業装置4は、機体2に上下揺動可能(上下方向に揺動可能)に支持されたブーム15と、ブーム15に揺動可能に枢支連結されたアーム16と、アーム16に揺動可能に枢支連結された作業具17とを有している。本実施形態では、作業具17は、バケットである。
【0044】
ブーム15の基部は、枢軸を介してスイングブラケット14の上部に枢支されている。詳しくは、ブーム15の基部は、ブーム15が機体正面方向を向く状態において、スイングブラケット14の上部に横軸(機体幅方向K2に延伸する軸心)回りに回動可能に枢着されている。これによって、ブーム15が上下方向に揺動可能とされている。
【0045】
アーム16は、ブーム15の先端側に枢軸を介して枢支されている。詳しくは、アーム16は、ブーム15が機体正面方向を向く状態において、該ブーム15に横軸回りに回動可能に枢着されている。これによって、アーム16は、前後方向K1或いは上下方向に揺動可能とされている。また、アーム16は、ブーム15に近づく方向であるアームクラウド方向D1及びブーム15から遠ざかる方向であるアームダンプ方向D2に揺動可能である。
【0046】
バケット17は、アーム16の先端側に枢軸を介して枢支されている。詳しくは、バケット17は、ブーム15が機体正面方向を向く状態において、アーム16に横軸回りに回動可能に枢着されている。これによって、バケット17は、アーム16に対して近接する方向(バケットクラウド方向D3)及び離反する方向(バケットダンプ方向D4)に揺動可能である。つまり、バケット17は、アーム16に、スクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。スクイ動作とは、バケット17をブーム15に近づける方向(バケットクラウド方向D3)に揺動させる動作であり、例えば、土砂等を掬う場合の動作である。また、ダンプ動作とは、バケット17をブーム15から遠ざける方向(バケットダンプ方向D4)に揺動させる動作であり、例えば、掬った土砂等を落下(排出)させる場合の動作である。
【0047】
なお、作業具17として、バケットの代わりに、パレットフォーク、マニアフォーク等の作業具(アタッチメント)や、グラップル、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、スノウブロア、スイーパー、モアー、油圧ブレーカ等の油圧アクチュエータを有する作業具(油圧アタッチメント)を取り付け可能である。
【0048】
スイングブラケット14は、機体2内に備えられたスイングシリンダC2の伸縮によって揺動可能である。ブーム15は、ブームシリンダC3によって駆動される。詳しくは、ブーム15は、ブームシリンダC3の伸縮によって上下揺動可能である。アーム16は、アームシリンダC4によって駆動される。詳しくは、アーム16は、アームシリンダC4の伸縮によってアームクラウド方向D1及びアームダンプ方向D2に揺動可能である。バケット17は、作業具シリンダC5によって駆動される。詳しくは、バケット17は、作業具シリンダ(バケットシリンダ)C5の伸縮によってバケットクラウド方向D3及びバケットダンプ方向D4に揺動可能である。スイングシリンダC2、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、作業具シリンダC5は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0049】
次に、図3図7を参照して作業機1に装備された各種油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6を作動させるための油圧システムについて説明する。
【0050】
図3に示すように、油圧システムは、コントロールバルブCVと、圧油供給ユニット18と、流量制御部19とを有する。コントロールバルブCVは、各種油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6を制御する(油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える)制御バルブV1~V10、圧油取入れ用のインレットブロックB2、圧油排出用の一対のアウトレットブロックB1,B3を一方向に配置して集約して構成されている。
【0051】
図3に示すように、コントロールバルブCVは、本実施形態では、第1アウトレットブロックB1、作業具シリンダC5を制御する作業具制御バルブV1、ブームシリンダC3を制御するブーム制御バルブV2、ドーザシリンダC1を制御するドーザ用第1制御バルブV3、第2走行装置3Rの走行モータMRを制御する第2走行制御バルブV4、インレットブロックB2、第1走行装置3Lの走行モータMLを制御する第1走行制御バルブV5、ドーザシリンダC1を制御するドーザ用第2制御バルブV6、アームシリンダC4を制御するアーム制御バルブV7、旋回モータMTを制御する旋回制御バルブV8、スイングシリンダC2を制御するスイング制御バルブV9、作業具17として油圧アタッチメントが取り付けられた場合に該油圧アタッチメントに装備されたアタッチメントアクチュエータ(油圧アクチュエータ)C6を制御するSP制御バルブV10、第2アウトレットブロックB3を、順に配置(図3においては右から順に配置)すると共にこれらを相互に連結してなる。
【0052】
図4図7に示すように、各制御バルブV1~V10は、バルブボディ内に方向切換弁DV1~DV10と圧力補償弁(コンペンセータバルブ)V11とを組み込んで構成されている。方向切換弁DV1~DV10は、制御対象となる油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対して作動油の方向を切り換える弁である。圧力補償弁V11は、方向切換弁DV1~DV10に対する圧油供給下手側で且つ制御対象となる油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対する圧油供給上手側に配備されている。圧力補償弁V11は、制御バルブV1~V10のうちの複数を使用したときに、油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6間の負荷の調整として機能する。
【0053】
第1アウトレットブロックB1には、第1リリーフ弁V12と第1アンロード弁V13とが組み込まれ、インレットブロックB2には走行独立弁V14が組み込まれている。第1リリーフ弁V12は、後述する第1圧油吐出ポートP1から吐出される作動油の圧力を規定するメインリリーフ弁である。
【0054】
走行独立弁V14は、直動スプール形切換弁から構成されていると共にパイロット制御圧によって切換操作されるパイロット操作切換弁によって構成されている。
【0055】
第2アウトレットブロックB3には、第2リリーフ弁V15と第2アンロード弁V16とが組み込まれている。第2リリーフ弁V15は、後述する第2圧油吐出ポートP2から吐出される作動油の圧力を規定するメインリリーフ弁である。
【0056】
各方向切換弁DV1~DV10は、直動スプール形切換弁によって構成されている。また、各方向切換弁DV1~DV10は、制御装置U1によって電気的に制御される制御弁である。詳しくは、各方向切換弁DV1~DV10は、例えば、パイロット式の比例電磁弁が採用される。パイロット式の比例電磁弁は、比例ソレノイドによって制御されるパイロット制御圧によりスプールを動かして作動油の流れの方向及び流量を制御する弁である。詳しくは、パイロット式の比例電磁弁は、2個の比例ソレノイドを有する比例電磁式減圧弁をパイロット部に採用した二段形の方向・流量制御弁で、流量は比例ソレノイドへの入力電流を変えることにより、また、方向は2個のうちのどちらかの比例ソレノイドに電流を加えるかにより制御する。
【0057】
この油圧システムにおける圧油供給源としての油圧ポンプは、図4に示すように、油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6を作動させる作動油の供給用の第1ポンプ21と、パイロット制御圧や検出信号等の信号圧油の供給用の第2ポンプ22とが装備されている。これら第1ポンプ21と第2ポンプ22とは、前記圧油供給ユニット18に備えられ、原動機E1によって駆動される。
【0058】
前記第1ポンプ21は、可変容量型のポンプであって、本実施形態では、独立した2つの圧油吐出ポートP1,P2から等しい量の作動油を吐出する等流量ダブルポンプの機能を有する斜板形可変容量アキシャルポンプで構成されている。詳しくは、第1ポンプ21は、1つのピストン・シリンダバレルキットからバルブプレートの内外に形成した吐出溝へ交互に作動油を吐き出す機構をもったスプリットフロー式の油圧ポンプが採用されている。
【0059】
この第1ポンプ21から吐出される一方の圧油吐出ポートを第1圧油吐出ポートP1といい、他方の圧油吐出ポートを第2圧油吐出ポートP2という。
【0060】
なお、本実施形態では、2つのポンプ機能を有する油圧ポンプから吐出される圧油吐出ポートを第1・2圧油吐出ポートP1,P2としているが、別個に形成された2つの油圧ポンプの一方の油圧ポンプの圧油吐出ポートを第1圧油吐出ポートとし、他方の油圧ポンプの圧油吐出ポートを第2圧油吐出ポートとしてもよい。
【0061】
また、圧油供給ユニット18には、第1ポンプ21の斜板を押圧する押圧ピストン23と、第1ポンプ21の斜板を制御する流量補償用ピストン24とが装備されている。
【0062】
第1ポンプ21は、該第1ポンプ21の自己圧によって押圧ピストン23を介して斜板がポンプ流量を増加する方向に押圧されるよう構成されていると共に、この押圧ピストン23の押圧力に対抗する力を前記流量補償用ピストン24によって斜板に作用させるように構成され、流量補償用ピストン24に作用する圧力を制御することにより、該第1ポンプ21の吐出流量が制御される。
【0063】
したがって、流量補償用ピストン24に作用する圧力が抜けると、第1ポンプ21は、斜板角がMAXとなって最大流量を吐出する。
【0064】
図4に示すように、流量制御部19は第1ポンプ21の斜板制御を行うものであり、該第1ポンプ21の斜板制御は、前記流量補償用ピストン24に作用する圧力を、流量制御部19に装備された流量補償用バルブV17を制御することにより行われる。
【0065】
また、圧油供給ユニット18には、第1ポンプ21のポンプ馬力(トルク)制御用のバネ25とスプール26とが設けられており、第1ポンプ21の吐出圧が、予め設定していた圧力になると、第1ポンプ21が原動機E1から吸収する馬力(トルク)を制限するよう構成されている。
【0066】
前記第2ポンプ22は定容量形のギヤポンプによって構成されており、該第2ポンプ22の吐出油は第3圧油吐出ポートP3から吐出される。
【0067】
第1圧油吐出ポートP1は第1吐出路aを介してインレットブロックB2に接続され、第2圧油吐出ポートP2は第2吐出路bを介してインレットブロックB2に接続されている。
【0068】
第1吐出路aは第1圧油供給路dに接続され、該第1圧油供給路dは、インレットブロックB2から第2走行制御バルブV4のバルブボディ→ドーザ用第1制御バルブV3のバルブボディ→ブーム制御バルブV2のバルブボディ→作業具制御バルブV1のバルブボディを経て第1アウトレットブロックB1に至るように形成され、該第1アウトレットブロックB1にて(流路終端側にて)分岐されて第1リリーフ弁V12と第1アンロード弁V13とに接続されている。
【0069】
前記第1圧油供給路dから第2走行制御バルブV4、ドーザ用第1制御バルブV3、ブーム制御バルブV2、作業具制御バルブV1の各方向切換弁DV4,DV3,DV2,DV1に圧油分岐路fを介して作動油が供給可能とされている。
【0070】
第1リリーフ弁V12と第1アンロード弁V13とはドレン油路gに接続されている。ドレン油路gは、第1アウトレットブロックB1から作業具制御バルブV1のバルブボディ→ブーム制御バルブV2のバルブボディ→ドーザ用第1制御バルブV3のバルブボディ→第2走行制御バルブV4のバルブボディ→インレットブロックB2→第1走行制御バルブV5のバルブボディ→ドーザ用第2制御バルブV6のバルブボディ→アーム制御バルブV7のバルブボディ→旋回制御バルブV8のバルブボディ→スイング制御バルブV9のバルブボディ→SP制御バルブV10のバルブボディを経て第2アウトレットブロックB3に至るように形成されている。ドレン油路gを流れる作動油は、第2アウトレットブロックB3から作動油タンクT2へ排出される。
【0071】
第2吐出路bは第2圧油供給路eに接続されている。第2圧油供給路eはインレットブロックB2から第1走行制御バルブV5のバルブボディ→ドーザ用第2制御バルブV6のバルブボディ→アーム制御バルブV7のバルブボディ→旋回制御バルブV8のバルブボディ→スイング制御バルブV9のバルブボディ→SP制御バルブV10のバルブボディを経て第2アウトレットブロックB3に至るように形成されると共に、第2アウトレットブロックB3にて(流路終端側にて)分岐されて第2リリーフ弁V15と第2アンロード弁V16とに接続されている。
【0072】
前記第2圧油供給路eから第1走行制御バルブV5、ドーザ用第2制御バルブV6、アーム制御バルブV7、旋回制御バルブV8、スイング制御バルブV9、SP制御バルブV10の各方向切換弁DV5,DV6,DV7,DV8,DV9,DV10に圧油分岐路hを介して作動油が供給可能とされている。
【0073】
各制御バルブV1~V10に供給された作動油は、各油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対して給排される。つまり、油圧システムは、各油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に作動油を給排する油圧回路を有している。
【0074】
第2リリーフ弁V15と第2アンロード弁V16とはドレン油路gに接続されている。
【0075】
第1圧油供給路dと第2圧油供給路eとは、インレットブロックB2内において、走行独立弁V14を横切る連通路jを介して相互に接続されている。
【0076】
走行独立弁V14は、連通路jの圧油流通を遮断する独立位置27と、連通路jの圧油流通を許容する合流位置28とに切換自在とされている。
【0077】
走行独立弁V14が独立位置27に切り換えられていると、第1圧油吐出ポートP1からの作動油が第2走行制御バルブV4、ドーザ用第1制御バルブV3の各方向切換弁DV4,DV3に供給可能とされると共に、第2圧油吐出ポートP2からの作動油が第1走行制御バルブV5、ドーザ用第2制御バルブV6の各方向切換弁DV5,DV6に供給可能とされ、第1圧油吐出ポートP1からの作動油が第1走行制御バルブV5、ドーザ用第2制御バルブV6には供給されず、また、第2圧油吐出ポートP2からの作動油が第2走行制御バルブV4、ドーザ用第1制御バルブV3には供給されない。
【0078】
また、走行独立弁V14が合流位置28に切り換えられると、第1圧油吐出ポートP1からの作動油と第2圧油吐出ポートP2からの作動油とが合流されて各制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10に供給可能とされる。
【0079】
第3圧油吐出ポートP3は第3吐出路mを介してインレットブロックB2に接続され、該第3吐出路mは、途中で第1分岐油路m1と第2分岐油路m2とに分岐されてインレットブロックB2に接続されている。
【0080】
第1分岐油路m1は第1信号油路n1を介して走行独立弁V14の一側の受圧部14aに接続され、第2分岐油路m2は第2信号油路n2を介して走行独立弁V14の他側の受圧部14bに接続されている。
【0081】
前記第1信号油路n1には第1検出油路r1が接続され、前記第2信号油路n2には第2検出油路r2が接続されている。
【0082】
前記第1検出油路r1は、第1信号油路n1からドーザ用第2制御バルブV6の方向切換弁DV6→第1走行制御バルブV5の方向切換弁DV5→第2走行制御バルブV4の方向切換弁DV4→ドーザ用第1制御バルブV3の方向切換弁DV3を経てドレン油路gに接続されている。
【0083】
前記第2検出油路r2は、第2信号油路n2からSP制御バルブV10の方向切換弁DV10→スイング制御バルブV9の方向切換弁DV9→旋回制御バルブV8の方向切換弁DV8→アーム制御バルブV7の方向切換弁DV7→ドーザ用第2制御バルブV6の方向切換弁DV6→第1走行制御バルブV5の方向切換弁DV5→第2走行制御バルブV4の方向切換弁DV4→ドーザ用第1制御バルブV3の方向切換弁DV3→ブーム制御バルブV2の方向切換弁DV2→作業具制御バルブV1の方向切換弁DV1を経てドレン油路gに接続されている。
【0084】
前記走行独立弁V14は、各制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10が中立である場合は、バネの力によって合流位置28に保持されている。
【0085】
そして、第2走行制御バルブV4、第1走行制御バルブV5、ドーザ用第1制御バルブV3、ドーザ用第2制御バルブV6の各方向切換弁DVのいずれかが中立位置から操作されたときに、第1検出油路r1及び第1信号油路n1に圧が立って、走行独立弁V14が合流位置28から独立位置27に切り換えられる。
【0086】
したがって、走行のみする場合、走行しながらドーザ装置7を使用する場合、又は、ドーザ装置7のみ使用する場合には、第1圧油吐出ポートP1からの作動油が第2走行制御バルブV4、ドーザ用第1制御バルブV3の各方向切換弁DVに供給され、且つ、第2圧油吐出ポートP2からの作動油が第1走行制御バルブV5、ドーザ用第1制御バルブV3の各方向切換弁DVに供給される。
【0087】
このとき、SP制御バルブV10、スイング制御バルブV9、旋回制御バルブV8、アーム制御バルブV7、ブーム制御バルブV2、作業具制御バルブV1の方向切換弁DV10,DV9,DV8,DV7,DV2,DV1のいずれかが中立位置から操作されたときには、第2検出油路r2及び第2信号油路n2に圧が立って、走行独立弁V14が独立位置27から合流位置28に切り換えられる。
【0088】
また、各制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10が中立である場合において、SP制御バルブV10、スイング制御バルブV9、旋回制御バルブV8、アーム制御バルブV7、ブーム制御バルブV2、作業具制御バルブV1の方向切換弁DV10,DV9,DV8,DV7,DV2,DV1のいずれかが中立位置から操作されたときにも、走行独立弁V14は合流位置28である。
【0089】
したがって、非走行時又は走行時において、ブーム15、アーム16、バケット17、スイングブラケット14、機体2、ドーザ装置7の同時操作が可能とされている。
【0090】
また、この油圧システムにあっては、原動機E1のアクセル装置を自動的に操作するオートアイドリング制御システム(AIシステム)が備えられている。
【0091】
このAIシステムは、第3吐出路mの第1分岐油路m1と第2分岐油路m2とに感知油路s及びシャトル弁V18を介して接続されたAIスイッチ(圧力スイッチ)29と、原動機E1のガバナを制御する電気アクチュエータと、この電気アクチュエータを制御する制御装置とを備え、前記AIスイッチ29は制御装置に接続されている。
【0092】
このAIシステムにあっては、各制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10が中立であるときには、第1分岐油路m1と第2分岐油路m2とに圧が立たないので、AIスイッチ29が感圧作動することがなく、この状態では、ガバナが、予め設定されているアイドリング位置にまでアクセルダウンするよう電気アクチュエータ等によって自動制御される。
【0093】
また、制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10のうちのいずれか一つでも操作されると、第1分岐油路m1又は第2分岐油路m2に圧が立ち、この圧がAIスイッチ29によって感知されて該AIスイッチ29が感圧作動する。すると、制御装置から電気アクチュエータ等に指令信号が出され、該電気アクチュエータ等によってガバナが設定されたアクセル位置までアクセルアップするよう自動制御される。
【0094】
また、この油圧システムにあってはロードセンシングシステムが採用されている。
【0095】
本実施形態のロードセンシングシステムは、各制御バルブV1~V10に設けられた圧力補償弁V11、第1ポンプ21の斜板を制御する流量補償用ピストン24、前記流量制御部19に装備された流量補償用バルブV17、前記第1・2リリーフ弁V12,V15、前記第1・2アンロード弁V13,V16を有する。また、本実施形態のロードセンシングシステムは、圧力補償弁V11が方向切換弁DV1~DV10に対する圧油供給下手側に配備されたアフターオリフィス型のロードセンシングシステムが採用されている。
【0096】
このロードセンシングシステムにあっては、作業機1に装備された油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6の複数を同時操作したとき、該油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6間の負荷の調整として圧力補償弁V11が機能し、低負荷圧側の制御バルブV1~V10に最高負荷圧との差圧分の圧力損失を発生させ、負荷の大きさによらず、方向切換弁DV1~DV10のスプールの操作量に応じた流量を流す(配分する)ことができる。つまり、ロードセンシングシステムは、第1ポンプ21の吐出圧から複数の油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6のうちの最高負荷圧を引いた差圧を一定圧にするように第1ポンプ21を制御する。
【0097】
また、ロードセンシングシステムは、作業機1に装備された各油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6の負荷圧に応じて第1ポンプ21の吐出量を制御して、負荷に必要とされる油圧動力を第1ポンプ21から吐出させることにより、動力の節約と操作性を向上することができる。
【0098】
本実施形態のロードセンシングシステムをさらに詳しく説明する。
【0099】
ロードセンシングシステムは、各制御バルブV1~V10の負荷圧のうちの最高の負荷圧をPLS信号圧として流量補償用バルブV17に伝達するPLS信号油路wと、第1ポンプ21の吐出圧をPPS信号圧として流量補償用バルブV17に伝達するPPS信号油路xとを有する。
【0100】
PLS信号油路wは、第1アウトレットブロックB1から作業具制御バルブV1のバルブボディ→ブーム制御バルブV2のバルブボディ→ドーザ用第1制御バルブV3のバルブボディ→第2走行制御バルブV4のバルブボディにわたって設けられると共に、走行独立弁V14を横切って第1走行制御バルブV5のバルブボディ→ドーザ用第2制御バルブV6のバルブボディ→アーム制御バルブV7のバルブボディ→旋回制御バルブV8のバルブボディ→スイング制御バルブV9のバルブボディ→SP制御バルブV10のバルブボディ→第2アウトレットブロックB3にわたって設けられており、該PLS信号油路wは各制御バルブにおいて、圧力補償弁V11に負荷伝達ラインyを介して接続されている。
【0101】
また、このPLS信号油路wは、第2アウトレットブロックB3から流量補償用バルブV17のスプールの一側に接続され、PPS信号圧が流量補償用バルブV17のスプールの一側に作用する。
【0102】
さらに、PLS信号油路wは、第1アウトレットブロックB1において第1アンロード弁V13とドレン油路gに接続され、第2アウトレットブロックB3において第2アンロード弁V16とドレン油路gに接続されている。
【0103】
前記走行独立弁V14が合流位置28にあるときには、PLS信号油路wの、走行独立弁V14から第1アウトレットブロックB1に至るラインw1と、走行独立弁V14から第2アウトレットブロックB3に至るラインw2とが連通しており、走行独立弁V14が合流位置28から独立位置27に切り換えられると、該走行独立弁V14にてPLS信号油路wが遮断される。
【0104】
これによって、PLS信号油路wが、走行独立弁V14を独立位置27にしたときに、第1圧油吐出ポートP1から作動油が供給される側のラインw1と、第2圧油吐出ポートP2から圧油が供給される側のラインw2とに分断される。
【0105】
PPS信号油路xは、走行独立弁V14から流量補償用バルブV17のスプールの他側にわたって設けられており、該PPS信号油路xは、走行独立弁V14が合流位置28にあるときには第2圧油供給路eに接続油路zを介して連通されていてPPS信号圧(第1ポンプ21の吐出圧)が流量補償用バルブV17のスプールの他側に作用し、走行独立弁V14が独立位置27に切り換えられると、該PPS信号油路xは逃し油路qを介してドレン油路gに連通し、PPS信号圧が零となるよう構成されている。
【0106】
また、流量補償用バルブV17のスプールの一側には、該流量補償用バルブV17に制御差圧を与えるバネ30と差圧ピストン31とが設けられている。
【0107】
前記構成の油圧システムにあっては、各制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10が中立位置にあるときには走行独立弁V14が合流位置28であり、このとき、第1圧油供給路dの流路終端側が第1アンロード弁V13によってブロックされ且つ第2圧油供給路eの流路終端側が第2アンロード弁V16によってブロックされるようになっている。したがって、第1ポンプ21の吐出圧(PPS信号圧)が上昇し、このPPS信号圧とPLS信号圧(この時は零である)との差が制御差圧よりも大きくなると、第1ポンプ21が吐出量を減少させる方向に流量制御されると共に第1・第2アンロード弁V16が開いて第1ポンプ21からの吐出油を作動油タンクT2に落とす。
【0108】
したがって、この状態では、第1ポンプ21の吐出圧は第1・第2アンロード弁V13,V16で設定される圧となり、第1ポンプ21の吐出流量は最小吐出量となる。
【0109】
次に、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、作業具シリンダC5、スイングシリンダC2、旋回モータMT、油圧アタッチメントのうちのいずれか二つ以上を同時操作する場合、又は、これらの一つ以上と、左右走行モータML,MR、ドーザシリンダC1のうちのいずれか一つ以上とを同時操作する場合について説明する。
【0110】
この場合にあっては、走行独立弁V14は合流位置28であり、操作された油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に作用する最高負荷圧がPLS信号圧となり、PPS信号圧-PLS信号圧が制御差圧となるように(PPS信号圧とPLS信号圧との差を設定値に維持するように)第1ポンプ21の吐出圧(吐出流量)が自動制御される。
【0111】
すなわち、第1・第2アンロード弁V13,V16を介してのアンロード流量が零になると、第1ポンプ21の吐出流量が増加し始め、操作された制御バルブの操作量に応じて第1ポンプ21の吐出油の全量が操作された油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に流れる。
【0112】
また、圧力補償弁V11によって、操作された制御バルブV1~V10の方向切換弁DV1~DV10のスプールの前後差圧が一定となり、操作された油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に作用する負荷の大きさの違いにかかわらず、第1ポンプ21の吐出流量が、操作された各油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対して操作量に応じた量、分流される。
【0113】
なお、油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6の要求流量が第1ポンプ21の最大吐出流量を超える場合は、第1ポンプ21の吐出油は操作された各油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に比例配分される。
【0114】
前記場合にあっては、効率的なシステムで同時操作(複合操作)が可能となる。
【0115】
走行しながらドーザ装置7によって土工作業をする場合にあっては、走行独立弁V14が独立位置27に切り換えられ、該走行独立弁V14によって、連通路j及びPLS信号油路wが遮断され、また、PPS信号油路xは逃し油路qを介してドレン油路gに連通し、PPS信号圧が零となる。
【0116】
したがって、第1圧油吐出ポートP1からの作動油は第2走行制御バルブV4及びドーザ用第1制御バルブV3に流れ、第1走行制御バルブV5及びドーザ用第2制御バルブV6には流れない。また、第2圧油吐出ポートP2からの作動油は第1走行制御バルブV5及びドーザ用第2制御バルブV6に流れ、第2走行制御バルブV4及びドーザ用第1制御バルブV3には流れない。さらに、PPS信号圧が零であるので、第1ポンプ21は斜板角がMAXとなって最大流量を吐出する。
【0117】
図8に示すように、各方向切換弁DV1~DV10の比例ソレノイドso1~so10は、制御装置U1に接続されている。各方向切換弁DV1~DV10(各制御バルブV1~V10)は、制御装置U1から比例ソレノイドso1~so10に送信される制御信号(比例ソレノイドso1~so10に供給される電流値)に応じたパイロット制御圧により、制御対象となる油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対する作動油の流れの方向及び流量が制御されるようにパイロット操作される。つまり、各制御バルブV1~V10は、制御装置U1から送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作される。言い換えると、各制御バルブV1~V10は、制御装置U1が供給する電流値に応じて制御される。
【0118】
制御装置U1には、各方向切換弁DV1~DV10(各制御バルブV1~V10)を操作する(油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に対する操作指示を受け付ける)操作部材41(第1操作具41A~第7操作具41G)が接続されている。制御装置U1は、操作部材41の操作量に応じた電流値(制御信号)を操作対象の方向切換弁DV1~DV10の比例ソレノイドso1~so10に供給(送信)する。つまり、制御装置U1は、操作部材41に対する操作に応じて制御バルブV1~V10の動作を制御する。
【0119】
第1操作具41A、第2操作具41Bは、操縦装置1Bに設けられ、例えば、運転席6に着座したオペレータが把持して操作するハンドルによって構成される。
【0120】
第1操作具41Aは、作業機1に装備された2つの操作対象を操作可能である。例えば、第1操作具41Aは、方向切換弁DV8(旋回モータMT)を操作可能(機体2を旋回操作可能)であり且つ方向切換弁DV7(アームシリンダC4)を操作可能(アーム16を揺動操作可能)である。また、第1操作具41Aは、操作方向及び操作量を検出するセンサ(操作検出部)42(第1センサ42A)を有している。第1センサ42Aは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第1センサ42Aからの検出信号に基づいて、旋回制御バルブV8(機体2)及びアーム制御バルブV7(アーム16)を制御する。
【0121】
第2操作具41Bも、作業機1に装備された2つの操作対象を操作可能である。例えば、第2操作具41Bは、方向切換弁DV2(ブームシリンダC3)を操作可能(ブーム15を揺動操作可能)であり且つ方向切換弁DV1(作業具シリンダC5)を操作可能(作業具(バケット)17を揺動操作可能)である。また、第2操作具41Bは、操作方向及び操作量を検出するセンサ(操作検出部)42(第2センサ42B)を有している。第2センサ42Bは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第2センサ42Bからの検出信号に基づいて、ブーム制御バルブV2(ブーム15)及び作業具制御バルブV1(バケット17)を制御する。
【0122】
第1操作具41A及び第2操作具41Bは、前後方向K1及び機体幅方向K2に揺動操作可能である。例えば、第1操作具41Aを中立位置から前方に揺動させるとアーム16がアームダンプ方向D2に動き、後方に揺動させるとアーム16がアームクラウド方向D1に動く。また、第1操作具41Aを中立位置から左方に揺動させると機体2が左に旋回し、右方に揺動させると機体2が右に旋回する。第2操作具41Bを中立位置から前方に揺動させるとブーム15が下方に揺動し、後方に揺動させるとブーム15が上方に揺動する。また、第2操作具41Bを中立位置から左方に揺動させるとバケット(作業具)17がバケットクラウド方向D3に動き、右方に揺動させるとバケット(作業具)17がバケットダンプ方向D4に動く。
【0123】
第3操作具41Cは、操縦装置1Bに設けられ、例えば、レバーによって構成される。第3操作具41Cは、方向切換弁DV3及び方向切換弁DV6(ドーザシリンダC1)を操作可能(ドーザ装置7を操作可能)である。また、第3操作具41Cは、操作方向及び操作量を検出するセンサ42(第3センサ42C)を有している。第3センサ42Cは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第3センサ42Cからの検出信号に基づいて、ドーザ用第1制御バルブV3及びドーザ用第2制御バルブV6(ドーザ装置7)を制御する。
【0124】
第4操作具41D及び第5操作具41Eは、例えば、運転席6の前方の床部に設けられ、オペレータの踏み操作によって操作されるペダルによって構成される。
【0125】
第4操作具41Dは、方向切換弁DV5(第1走行モータML)を操作可能(第1走行装置3Lを操作可能)である。また、第4操作具41Dは、操作方向及び操作量を検出するセンサ42(第4センサ42D)を有している。第4センサ42Dは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第4センサ42Dからの検出信号に基づいて、第1走行制御バルブV5(第1走行装置3L)を制御する。
【0126】
第5操作具41Eは、方向切換弁DV4(第2走行モータMR)を操作可能(第2走行装置3Rを操作可能)である。また、第5操作具41Eは、操作方向及び操作量を検出するセンサ42(第5センサ42E)を有している。第5センサ42Eは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第5センサ42Eからの検出信号に基づいて、第2走行制御バルブV4(第2走行装置3R)を制御する。
【0127】
第6操作具41Fは、例えば、第1操作具41Aまたは第2操作具41Bに設けられるスイッチ(シーソースイッチ、スライドスイッチ等)によって構成される。第6操作具41Fは、方向切換弁DV9(スイングシリンダC2)を操作可能(スイングブラケット14を操作可能)である。また、第6操作具41Fは、操作方向及び操作量を検出するセンサ42(第6センサ42F)を有している。第6センサ42Fは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第6センサ42Fからの検出信号に基づいて、スイング制御バルブV9(スイングブラケット14)を制御する。
【0128】
第7操作具41Gは、例えば、第1操作具41Aまたは第2操作具41Bに設けられるスイッチ(シーソースイッチ、スライドスイッチ等)によって構成される。第7操作具41Gは、方向切換弁DV10(油圧アタッチメントの油圧アクチュエータ)を操作可能(作業具としての油圧アタッチメントを操作可能)である。また、第7操作具41Gは、操作方向及び操作量を検出するセンサ42(第7センサ42G)を有している。第7センサ42Gは、制御装置U1に接続されている。制御装置U1は、第7センサ42Gからの検出信号に基づいて、SP制御バルブV10(油圧アタッチメント)を制御する。
【0129】
センサ42(第1センサ42A~第7センサ42G)の構成は特に限定されるものではないが、例えば、ポテンショメータ等を用いることができる。
【0130】
各方向切換弁DV1~DV10のスプールは、該各方向切換弁DV1~DV10(各制御バルブV1~V10)を操作する各操作部材41の操作量に比例して動かされ、各方向切換弁DV1~DV10が動かされた量に比例する量の作動油を制御対象の油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6に供給するように構成されている。つまり、各操作部材41の操作量に比例して操作対象(制御対象)の作動速度が変速可能とされている。
【0131】
以上のように、操作部材41の操作によって各制御バルブV1~V10が操作され、それによって、対応する油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6が操作される。そして、油圧アクチュエータML,MR,MT,C1~C6によって駆動部位(機体2、走行装置3、ドーザ装置7、ブーム15、アーム16、バケット17、油圧アタッチメント)が駆動される。
【0132】
図8に示すように、制御装置U1は、第1制御部Uaと、第2制御部Ubと、記憶部Ufとを有している。
【0133】
第1制御部Uaは、作業具シリンダC5(作業具制御バルブV1)を単独で操作(単独操作)する場合に、作業具制御バルブV1を制御する。言い換えると、第1制御部Uaは、作業具シリンダC5を単独操作する場合に、作業具シリンダC5の操作量に対する、作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油の流量(作動油流量とも言う)を制御する。
【0134】
第2制御部Ubは、作業具シリンダC5(作業具制御バルブV1)と、作業具シリンダC5とは異なる他の油圧アクチュエータAC(走行モータM1、旋回モータMT、ドーザシリンダC1、スイングシリンダC2、ブームシリンダC3、作業具シリンダC5、アームシリンダC4、アタッチメントアクチュエータC6の少なくとも1つ)とを同時操作(複合操作)する場合に、作業具制御バルブV1を制御する。言い換えると、第2制御部Ubは、作業具シリンダC5と他の油圧アクチュエータACとを複合操作した場合に、作業具シリンダC5の操作量に対する、作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油流量を制御する。
【0135】
第2制御部Ubは、操作部材41に対する操作量と、予め設定された操作部材41に対する操作量と制御バルブ(作業具制御バルブV1)の動作量との対応関係とに基づいて制御バルブ(作業具制御バルブV1)の動作を制御する第2制御を行う(実行する)。第1制御部Uaは、操作部材41に対する操作量に応じて、第2制御よりも制御バルブ(作業具制御バルブV1)から油圧アクチュエータ(作業具シリンダC5)に供給される作動油の流量が増大するように制御バルブ(作業具制御バルブV1)の動作を制御する第1制御を行う(実行する)。
【0136】
つまり、制御装置U1は、操作状態が油圧アクチュエータ(作業具シリンダC5)の単独操作である場合に第1制御を行い、操作状態が油圧アクチュエータ(作業具シリンダC5)と他の油圧アクチュエータACとの複合操作である場合に第2制御を行う。言い換えると、制御装置U1は、第2制御と、第1制御とを実行可能であり、操作部材41に対する操作が所定の操作状態である場合に第1制御を行う。
【0137】
なお、第1制御部Ua、第2制御部Ubによって制御される対象は、作業具制御バルブV1に限ることはなく、例えば、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、ドーザシリンダC1等であってもよい。また、制御される対象の数は、少なくとも1つであればよい。
【0138】
記憶部Uf(制御装置U1)は、第1制御部Uaで制御する(第1制御を行う)場合の第1特性線55と、第2制御部Ubで制御する(第2制御を行う)場合の第2特性線56とを記憶している。
【0139】
図9Aは、横軸を操作部材41(第2操作具41B)の操作量とし、縦軸を作業具制御バルブV1に供給される電流値=作業具制御バルブV1をパイロット操作するパイロット制御圧(作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油の流量)とした場合の、操作部材41の操作量と電流値(作動油流量)との関係を示すグラフである。
【0140】
図9Aにおいて、電流値(作動油流量)は、グラフの原点から離れるにつれて大きくなる。また、操作部材41の操作量は、グラフの原点で零であり、原点から離れるにつれて操作量が大となる。操作量G0は、操作部材41の操作の始点(操作されていない状態)であり、零である。つまり、操作部材41が中立位置のときの操作量である。操作量G0から操作量G1までは、電流値(作動油流量)が零であり、操作部材41(第2操作具41B)を操作してもバケット17が動作しない不感領域(中立ゾーン)である。操作量G1において、電流値(作動油流量)は、零からH1に一気に上がる。
【0141】
一気に上がるとは、図9Aに示すように、操作部材41の操作量はそのままで(操作部材41の操作位置はそのままで)、電流値(作動油流量)だけが上がること、言い換えると、図9Aにおいて、操作部材41の操作量はそのままで、電流値(作動油流量)だけが縦軸と平行に上方に推移することである。
【0142】
図9A中の第1特性線(pa-pb-pc-pd)55は、第1制御部Uaが、作業具制御バルブV1のソレノイドso1に供給される電流値(操作部材41の操作量の変化に対して作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5へ供給される作動油の流量)を制御する場合を示している。言い換えると、作業具シリンダC5を単独操作する場合における、操作部材41の操作量に応じた電流値(作動油流量)の変化を示している。
【0143】
図9A中の第2特性線(pa-pe-pf-pd)56は、第2制御部Ubが、作業具制御バルブV1のソレノイドso1に供給される電流値(操作部材41の操作量に対して作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5へ供給される作動油流量)を制御する場合を示している。言い換えると、作業具シリンダC5と他の油圧アクチュエータACとを複合操作する場合における、操作部材41の操作量の変化に応じた電流値(作動油流量)の変化を示している。
【0144】
第1特性線55と、第2特性線56とは、記憶部Ufに記憶されている。つまり、制御装置U1は、第1特性線55と、第2特性線56とを記憶する記憶部Ufを有している。
【0145】
第1特性線55及び第2特性線56の始端(点pa)は、同位置である。第1特性線55及び第2特性線56の始端paでの操作部材41の操作量はG1であり、始端paでの電流値(作動油流量)はH1である。また、第1特性線55及び第2特性線56は、点paから右肩上がりに傾斜する傾きを有している。第1特性線55の傾きは、第2特性線56の傾きよりも大きく設定されている。言い換えると、第1特性線55における操作部材41の操作量の変化に対する電流値の変化の度合いは、第2特性線56における操作部材41の操作量の変化に対する電流値の変化の度合いよりも大きく設定されている。つまり、第1制御部Uaは、操作部材41の操作量に対する作動油の流量を、第2制御部Ubに比べて増大させて制御する。
【0146】
第1特性線55にあっては、操作部材41が操作量G1から操作量G2まで操作されると、点paから点pbまで右肩上がりの傾斜で上がって電流値(作動油流量)がH2となり、点pb(操作量G2の位置)で電流値(作動油流量)がH2から最大電流値(最大流量)H3(点pc)に一気に上がる。その後は、電流値(作動油流量)は、点pcから点pd(操作部材41の操作の終点(フル操作位置)であるフル操作量G4)まで最大電流値(最大流量)H3で推移する。
【0147】
第2特性線56にあっては、操作部材41が操作量G1から操作量G3まで操作されると、点paから点peまで右肩上がりの傾斜で上がって電流値(作動油流量)がH2となり、点pe(操作量G3の位置)で電流値(作動油流量)がH2から最大電流値(最大流量)H3(点pf)に一気に上がる。その後は、電流値(作動油流量)は、点pfから点pd(フル操作量G4)まで最大電流値(最大流量)H3で推移する。
【0148】
本実施形態では、制御装置U1から作業具制御バルブV1に送信される制御信号によって制御されるパイロット制御圧を上げることによって作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油の流量を増加させる。言い換えると、制御装置U1が作業具制御バルブV1に供給する電流値を上げることで、作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油の流量を増加させる。
【0149】
図9A中の第1特性線55と第2特性線56とからわかるように、作業具シリンダC5(作業具制御バルブV1)を単独で操作する場合と、作業具シリンダC5と他のアクチュエータAVとを複合操作する場合とで、操作部材41の操作量が同じ操作量である場合に、作業具シリンダC5と他の油圧アクチュエータAVとを複合操作する場合に比べて作業具シリンダC5を単独で操作する場合の方が電流値が高い(作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油の流量が多い)。つまり、作業具シリンダC5を単独操作する際には、操作部材41(第2操作具41B)の操作量に対する作業具シリンダC5への作動油の供給流量が増大する。言い換えると、第1制御部Uaは、操作部材41の同じ操作量に対して、第2制御部Ubが制御する作動油の流量よりも多い流量の作動油を作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給させる。
【0150】
図9Aに示すように、第1特性線55の点pbにおける操作量G2は、第2特性線56の点peにおける操作量G3よりも小さい。つまり、制御装置U1は、第1特性線55において最大電流値H3となる操作部材41の操作量G2を、第2特性線56において最大電流値H3となる操作部材41の操作量G3よりも小さく設定している。これにより、第1特性線55の傾きを第2特性線56の傾きに対して大きくしており、第1制御部Uaが制御する、操作部材41の操作量に対する作動油の流量を、第2制御部Ubに比べて増大させている。点pbの位置は自由に変更することができる。点pbの位置を変更することにより、点pe-点pb間の距離57が変わり、第1特性線55の傾きを変更することができる。つまり、第1特性線55の傾きの変化量に自由度をもたせることができる。
【0151】
ところで、作業具17としてスケルトンバケットと呼ばれるバケットがある。スケルトンバケットとは、バケット17の一部を格子状の穴空き状態に形成し、バケット17ですくった物の一部がその穴から脱落するように構成したバケットである。このスケルトンバケットを往復揺動(バケットシェイク)させることによって、ふるい作業を行う場合、操作部材41(第2操作具41B)を左右に速い速度で(素早く)往復揺動させて操作する。操作部材41を往復揺動させるとは、例えば、中立位置→バケットクラウド側フル操作→中立位置→バケットダンプ側フル操作→中立位置に操作することである。操作部材41を速い速度で往復揺動させる場合、操作部材41の操作に対して作業具制御バルブV1の動作(スプールの移動動作)が追いつかなく、バケット17の応答性が悪い場合がある。詳しくは、操作部材41を速い速度で往復揺動させても、作業具制御バルブV1のスプールが操作部材41の動きに対して常にフルストローク動いてくれないので、作業具シリンダC5への作動油の供給量が不足し、バケット17の応答性が悪くなる。
【0152】
本実施形態にあっては、バケット17を単独操作する場合に、第1制御部Uaが作業具シリンダC5(作業具制御バルブV1)の操作量に対する作動油流量を増大させて制御するので、例えば、操作部材41を速い速度で往復揺動操作させることで作業具制御バルブV1が操作されたときに、操作部材41の操作量に対する作動油流量の確保が図れ、バケット17の応答性を確保することができる。
【0153】
本実施形態にあっては、図9Aに示すように、第1特性線55の点pbにおける操作量G2を、第2特性線56の点peにおける操作量G3よりも小さくすることにより、第1制御部Uaを第2制御部Ubよりも、操作部材41の操作量に対する作動油流量を増大させるように構成しているが、これに限定されることはない。例えば、第1特性線55及び第2特性線56を図9Bに示すようにしてもよい。図9Bでは、操作部材41の操作量が最大操作量G4より手前の所定操作量G3に到達するまでは操作部材41の操作量に対応する電流値は第1特性線55の方が第2特性線56よりも高く設定されており、操作部材41の操作量が所定操作量G3を超えると、第2特性線56における電流値は第1特性線55の最大電流値H3と同じに設定されている。
【0154】
詳しくは、図9Bに示すように、第2特性線56(pa-pe-pd)にあっては、図9Aと同様に、操作部材41が操作量G1から操作部材41の操作の終点のフル操作量G4より手前の操作量G3(フル操作量G4の付近の操作量)まで操作されると、点paから点peまで右肩上がりの傾斜で上がって電流値(作動油流量)がH2となり、操作量G3の位置(点pe)で電流値(作動油流量)がH2から最大電流値(最大流量)H3(点pf)に一気に上がる。その後は、電流値(作動油流量)は、点pfから点pd(操作量G4)まで最大電流値(最大流量)H3で推移する。
【0155】
一方、第1特性線55(pa-pf-pd)にあっては、操作部材41が操作量G1から操作量G3まで操作されると、点paから点pfまで右肩上がりの傾斜で上がって電流値(作動油流量)が最大電流値(最大流量)H3となり、その後は、電流値(作動油流量)は、点pfから点pd(操作量G4)まで最大電流値(最大流量)H3で推移する。
【0156】
つまり、第2特性線56は、操作部材41の操作の終点のフル操作量G4より手前の操作量G3で、最大電流値H3よりも低い電流値H2に達した後に一気に最大電流値H3に上がり、第1特性線55は、上記手前の操作量G3で最大電流値H3に達する。
【0157】
また、第1特性線55及び第2特性線56は図9Cに示すようにしてもよい。図9Cでは、制御装置U1は、切換スイッチSWにより第1制御が選択された場合に、操作部材41の操作量に対応する電流値を最大電流値H3に設定する。
【0158】
詳しくは、図9Cに示すように、第1特性線55にあっては、操作部材41を操作量G1から操作量G2まで操作すると、始点paから右肩上がりに上がり、操作量G2で最大電流値(最大流量)H3に達し、その後は、フル操作量G4まで電流値(作動油流量)は最大電流値(最大流量)H3で推移する。また、第2特性線56にあっては、操作部材41を操作量G1からフル操作量G4まで操作すると、始点paから右肩上がりに上がり、フル操作量G4で最大電流値(最大流量)H3に達する。
【0159】
また、上記した実施形態では、作業具シリンダC5を単独操作する場合は、操作部材41の操作量に対する作動油の流量の制御を第1制御部Uaで制御し、作業具シリンダC5と他の油圧アクチュエータACとを複合操作するときは、操作部材41の操作量に対する作動油の流量の制御を第2制御部Ubで行うようにしているが、これに限定されることはない。つまり、単独操作、複合操作に拘泥されることはない。
【0160】
例えば、図8に示すように、切換スイッチSWを設け、切換スイッチSWによって、操作部材41の操作量に対する作動油の流量の制御を、第1制御部Uaで行う場合と、第2制御部Ubで行う場合とに切り換えるようにしてもよい。
【0161】
詳しくは、切換スイッチSWは、制御装置U1に接続されており、制御装置U1は、切換スイッチSWからの信号を取得可能である。制御装置U1は、切換スイッチSWがONのときに、操作部材41の操作量に対する作動油の流量の制御を第1制御部Uaで行わせ、切換スイッチSWがOFFのときに、操作部材41の操作量に対する作動油の流量の制御を第2制御部Ubで行わせる。言い換えると、切換スイッチSWは、第1制御と第2制御の選択指示を受け付けるスイッチであり、制御装置U1は、切換スイッチSWで第2制御を選択した状態で操作部材41に対する操作が行われた場合に第2制御を行い、切換スイッチSWで第1制御を選択した状態で操作部材41に対する操作が行われた場合に第1制御を行う。
【0162】
この場合、作業具シリンダC5を単独操作して、バケットシェイク等を行う場合に、切換スイッチSWをONにすればよく、作業具シリンダC5を単独操作して行うその他の作業(例えば、クレーン作業等)は、切換スイッチSWをOFFにすることで、安定した速度で作業を行える。また、切換スイッチSWがOFFされていると、作業具シリンダC5と他の油圧アクチュエータACとを複合操作するときも、操作部材41の操作量に対する作業具シリンダC5に供給される作動油の流量制御は、第2制御部Ubで行われる。
【0163】
また、この場合、図9Dに示すように、第1特性線55(pa-pg-pd)を、始端pa位置において、第2制御部Ubの始端paから点pgへと一気に変化させて、電流値(作動油流量)を最大電流値(最大流量)H3まで上げるようにしてもよい。このようにすることで、応答性を最大限向上させることができる。
【0164】
また、切換スイッチSWがONされた場合に、制御装置U1は、バケット(作業具)17を自動で往復揺動動作をさせるようにしてもよい。言い換えると、制御装置U1は、切換スイッチSWにより第1制御が選択された場合に、油圧アクチュエータ(作業具シリンダC5)の動作方向を繰り返し反転させる制御を自動的に実行するようにしてもよい。これにより、手動による操作部材41の往復揺動操作が不要になり、至便である。
【0165】
また、操作部材41の特定の操作状態を検出し、特定の操作状態が検出されれば作業具シリンダC5に供給される作動油の流量の制御を第1制御部Uaで行わせ、特定の操作状態が検出されなければ作業具シリンダC5に供給される作動油の流量の制御を第2制御部Ubで行わせるようにしてもよい。
【0166】
詳しくは、図8に示すように、制御装置U1は、検出部Ucと、判定部Udと、動作部Ueと、を有していてもよい。制御装置U1は、操作部材41のセンサ42からの信号を取得可能であるので、検出部Ucは、操作部材41からの信号によって操作部材41の操作状態を検出することができる。また、操作部材41の操作を検出する検出センサを別途設け、この検出センサからの信号により操作部材41の操作状態を検出するようにしてもよい。
【0167】
判定部Udは、検出部Ucで検出された操作状態が特定の操作状態であるか否かを判定する。特定の操作状態は、例えば、操作部材41に対して油圧アクチュエータ(作業具シリンダD5)の動作方向を反転させる操作状態(バケット17を往復揺動(バケットシェイク)させる操作状態)である。
【0168】
判定部Udは、一定時間内に操作部材41を往復揺動操作する状態である場合は、検出部Ucで検出された操作状態が特定の操作状態であると判定する。したがって、一定時間内に操作部材41を往復揺動操作する状態ではない場合は、検出部Ucで検出された操作状態が特定の操作状態であるとは判定しない。
【0169】
動作部Ueは、判定部Udで操作状態が特定の操作状態であると判定された場合に、操作部材41の操作量に対する作業具シリンダC5に供給される作動油の流量の制御を第1制御部Uaで行わせる。言い換えると、制御装置U1は、油圧アクチュエータ(作業具シリンダD5)の動作方向を反転させる操作が行われた場合に第1制御を行う。詳しくは、制御装置U1は、操作部材41に対して油圧アクチュエータ(作業具シリンダD5)の動作方向を反転させる操作が所定時間内に繰り返し行われた場合に第1制御を行う。
【0170】
また、判定部Udで操作状態が特定の操作状態ではないと判定された場合は、操作部材41の操作量に対する作業具シリンダC5に供給される作動油の流量の制御を第2制御部Ubで行わせる。これにより、例えば、バケット17をバケットシェイクさせるべく、操作部材41が速い速度で往復揺動操作されたときに、作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油流量が自動で増大された流量で制御される。
【0171】
また、操作部材41の操作状態が特定の操作状態でない場合(作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油流量が増大された流量で制御される必要がない場合)は、作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油流量が、通常の作動油流量で制御され、安定した作業具17の操作性を確保することができる。
【0172】
操作部材41の操作がバケットシェイク等をさせる操作状態であることが判定され、作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油流量が増大された流量で制御される場合も、図9Dに示すように、第1特性線55(pa-pg-pd)を、始端pa位置において、第2制御部Ubの始端paから点pgへと一気に変化させて、電流値(作動油流量)を最大電流値(最大流量)H3まで上げるようにしてもよい。
【0173】
図10A図10Bは、操作部材41の操作状態と、該操作状態がバケットシェイクを行う場合の操作状態か否かの判定と、を示した表である。
【0174】
図10A図10Bにおいて、表の横軸は時間軸であって、横軸方向の一目盛り63は、0.1secである。図10Aの符号62A及び図10Bの符号62Bは、操作部材41を3回往復動作させた場合を示している。図10Aは、0.2secで操作部材41が一往復操作(速い操作)される場合を示している。図10Bは、0.4secで操作部材41が一往復操作(遅い操作)される場合を示している。操作部材41の一往復操作は、図例では、中立位置→バケットクラウド側フル操作→中立位置→バケットダンプ側フル操作→中立位置に操作することを示している。
【0175】
図10A及び図10Bにあっては、操作部材41の操作状態を0.5sec間観察して行う判定を0.2secごとに行っている。図10A図10Bにおいて、黒抜きの矢印は、操作部材41の操作状態がバケットシェイクを行う場合の操作状態ではないと判定された場合を示しており、白抜きの矢印は、操作部材41の操作状態がバケットシェイクを行う場合の操作状態であると判定された場合を示している。図10A中の範囲61A(斜線部)、図10B中の範囲61B(斜線部)は、バケットシェイクを行う場合の操作状態であることが判定され且つ作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油流量が増大された流量で制御される範囲を示している。操作部材41の操作状態がバケットシェイクを行う場合の操作状態であると判定された後に、バケットシェイクを行う場合の操作状態ではないと判定された場合は、作業具制御バルブV1から作業具シリンダC5に供給される作動油流量が第1制御部Uaで制御される状態から第2制御部Ubで制御される状態に復帰する。
【0176】
なお、切換スイッチSWによって、操作部材41の操作量に対する作動油の流量制御を、第1制御部Uaで行う場合と第2制御部Ubで行う場合とに切り換えること、及び操作部材41のバケットシェイクを行う場合の操作状態を検出して第1制御部Uaと第2制御部Ubとに切り換える制御と、上記の業具シリンダC5を単独操作する場合と、作業具シリンダC5と他の油圧アクチュエータACとを複合操作する場合とで、第1制御部Uaと第2制御部Ubとに切り換える制御とを併用してもよい。この場合、切換スイッチSWの切換え時、及びバケットシェイクを行う場合の操作状態であると判定された時は、シェイク特性(図9D)を優先するようにすることも可能である。
【0177】
また、操作部材41(ハンドル)を離した際に、操作部材41が自己揺動する場合は、クラウド、ダンプの操作判定に、通常の中立ゾーン+αの不感領域を設けることもできる。
【0178】
上記油圧システムでは、各制御バルブV1~V10(各方向切換弁DV1~DV10)をパイロット式の比例電磁弁で構成し、制御装置U1が各制御バルブV1~V10に供給する電流値を制御することでパイロット制御圧を制御して、各制御バルブV1~V10を制御する構成としたが、これに限定されることはない。
【0179】
例えば、図11に示すように、各制御バルブV1~V10を、一対のパイロット受圧部Va1,Va2に作用するパイロット制御圧によってパイロット操作されるパイロット操作切換弁によって構成すると共に、制御装置U1によって制御される一対の比例電磁弁V21,V22を設け、一方の比例電磁弁V21から一方のパイロット受圧部Va1にパイロット制御圧が供給されると共に、他方の比例電磁弁V22から他方のパイロット受圧部Va2にパイロット制御圧が供給される構成とすることで、油圧アクチュエータMT,ML,MR,C1~C6に対する作動油の流れの方向及び流量を制御するように構成してもよい。
【0180】
また、図12に示すように、各制御バルブV1~V10を、制御装置U1から電流が供給される比例ソレノイドso11でスプールを直接駆動する比例電磁式の方向・流量制御バルブによって構成してもよい。
【0181】
上記作業機1は、機体2と、機体2に搭載された作業装置(作業装置4、ドーザ装置7)と、作業装置を駆動する油圧アクチュエータ(作業具シリンダC5、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、ドーザシリンダC1)と、油圧アクチュエータへの作動油の供給状態を切り換える制御バルブ(作業具制御バルブV1、ブーム制御バルブV2、アーム制御バルブV7、ドーザ用第1制御バルブV3、ドーザ用第2制御バルブV6)と、油圧アクチュエータに対する操作指示を受け付ける操作部材41(第1操作具41A、第2操作具41B、第3操作具41C)と、操作部材41に対する操作に応じて制御バルブの動作を制御する制御装置U1とを備えた作業機であって、制御装置U1は、操作部材41に対する操作量と、予め設定された操作部材41に対する操作量と制御バルブの動作量との対応関係とに基づいて制御バルブの動作を制御する第2制御と、操作部材41に対する操作量に応じて、第2制御よりも制御バルブから油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が増大するように制御バルブの動作を制御する第1制御とを実行可能であり、操作部材41に対する操作が所定の操作状態である場合に第1制御を行う。
【0182】
この構成によれば、例えば、速い応答が求められる作業など、所定の作業を行う場合に、油圧アクチュエータの応答性を向上させることができる。
【0183】
また、作業機1は、油圧アクチュエータとは異なる他の油圧アクチュエータを備え、制御装置U1は、操作状態が油圧アクチュエータの単独操作である場合に第1制御を行い、操作状態が油圧アクチュエータと他の油圧アクチュエータとの複合操作である場合に前記第2制御を行う。
【0184】
この構成によれば、油圧アクチュエータと他の油圧アクチュエータとを複合操作して作業を行うときは、油圧アクチュエータの操作性を確保し、油圧アクチュエータに速い応答が求められるときは、油圧アクチュエータの応答性を向上させることができる。
【0185】
また、作業機1は、第1制御と第2制御の選択指示を受け付ける切換スイッチSWを備え、制御装置U1は、切換スイッチSWで第2制御を選択した状態で操作部材41に対する操作が行われた場合に第2制御を行い、切換スイッチSWで第1制御を選択した状態で操作部材41に対する操作が行われた場合に第1制御を行う。
【0186】
この構成によれば、第1制御と第2制御とを必要時に選択できる。
【0187】
また、制御装置U1は、操作部材41に対して油圧アクチュエータの動作方向を反転させる操作が行われた場合に第1制御を行う。
【0188】
この構成によれば、操作部材41の動作によって第1制御の実行が行われるので、速い応答が求められる場合の応答性がよい。
【0189】
また、制御装置U1は、操作部材41に対して油圧アクチュエータの動作方向を反転させる操作が所定時間内に繰り返し行われた場合に第1制御を行う。
【0190】
この構成によれば、速い応答が求められる場合の制御装置U1の認識の確実性を向上させることができる。
【0191】
また、制御バルブは、制御装置U1から送信される制御信号に基づいて制御されるパイロット制御圧によってパイロット操作され、制御装置U1は、第1制御を行う場合に第2制御を行う場合よりもパイロット制御圧を高くする。
【0192】
この構成によれば、油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を簡単に増大させることができる。
【0193】
また、制御バルブは、制御装置U1から供給される電流値に応じて制御され、制御装置は、第1制御を行う場合に第2制御を行う場合よりも制御バルブに供給する電流値を高くする。
【0194】
この構成によっても、油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を簡単に増大させることができる。
【0195】
また、制御装置U1は、第1制御を行う場合の操作部材41の操作量と電流値との関係を示す第1特性線と、第2制御を行う場合の操作部材41の操作量と電流値との関係を示す第2特性線とを記憶しており、第1特性線における操作部材41の操作量の変化に対する電流値の変化の度合いは、第2特性線における操作部材41の操作量の変化に対する電流値の変化の度合いよりも大きく設定されている。
【0196】
この構成によれば、油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を増大させて制御することができる。
【0197】
また、制御装置U1は、第1特性線55において最大電流値となる操作部材の操作量を、第2特性線において最大電流値となる操作部材41の操作量よりも小さく設定している。
【0198】
この構成によれば、第1特性線55の傾きの変化量に自由度をもたせることができる。
【0199】
また、操作部材41の操作量が最大操作量より手前の所定操作量に到達するまでは操作部材41の操作量に対応する電流値は第1特性線55の方が第2特性線56よりも高く設定されており、操作部材41の操作量が所定操作量を超えると、第2特性線56における電流値は第1特性線55の最大電流値と同じに設定されている。
【0200】
この構成によっても、油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を増大させて制御することができる。
【0201】
また、作業機1は、第1制御と第2制御との選択指示を受け付ける切換スイッチSWを備え、制御装置U1は、切換スイッチSWにより第1制御が選択された場合に、操作部材の操作量に対応する電流値を最大電流値に設定する。
【0202】
この構成によれば、速い応答が求められる場合の応答性を最大限向上させることができる。
【0203】
また、制御装置U1は、切換スイッチSWにより第1制御が選択された場合に、油圧アクチュエータの動作方向を繰り返し反転させる制御を自動的に実行する。
【0204】
この構成によれば、油圧アクチュエータの動作方向を繰り返し反転させる制御を自動で行うので、手動操作が不要であり、至便である。
【0205】
また、作業機1は、油圧アクチュエータとは異なる他の油圧アクチュエータを備え、さらに、作業機1は、油圧アクチュエータ及び他の油圧アクチュエータを含む複数の油圧アクチュエータを作動させる作動油を吐出する可変容量型のポンプと、ポンプの吐出圧と前記複数の油圧アクチュエータのうちの最高負荷圧との差圧を一定圧にするようにポンプを制御するロードセンシングシステムとを備えていてもよい。
【0206】
また、作業機1は、機体2に揺動可能に支持されたブーム15と、ブーム15に揺動可能に支持されたアーム16と、アーム16に揺動可能に支持された作業具17とを備え、油圧アクチュエータは、ブーム15を揺動させるブームシリンダC3、アーム16を揺動させるアームシリンダC4、及び作業具17を揺動させる作業具シリンダC5のうちのいずれか1つ以上である。
【0207】
この構成によれば、ブームシリンダC3、アームシリンダC4及び作業具シリンダC5の少なくとも1つの動作の応答性を向上させることができる。例えば、バケット17をシェイク動作させるときに、バケット17の応答性を確保することができる。
【0208】
また、作業機1は、ブレード7Aと、ブレード7Aを揺動させるドーザシリンダC1とを有するドーザ装置7を備え、油圧アクチュエータはドーザシリンダC1である。
【0209】
この構成によれば、ドーザシリンダC1の動作の応答性を向上させることができる。
【0210】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0211】
1 作業機
2 機体
4 作業装置
7 ドーザ装置
15 ブーム
16 アーム
17 作業具(バケット)
21 ポンプ
41 操作部材
55 第1特性線
56 第2特性線
pa 始端
AC 他の油圧アクチュエータ
C1 ドーザシリンダ
C3 ブームシリンダ
C4 アームシリンダ
C5 作業具シリンダ
G3 手前の操作量
G4 フル操作量
U1 制御装置
Ua 第1制御部
Ub 第2制御部
Uc 検出部
Ud 判定部
Ue 動作部
SW 切換スイッチ
V1 制御バルブ(作業具制御バルブ)
V2 制御バルブ(ブーム制御バルブ)
V7 制御バルブ(アーム制御バルブ)
V3 制御バルブ(ドーザ用第1制御バルブ)
V6 制御バルブ(ドーザ用第2制御バルブ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11
図12