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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20250310BHJP
   B65H 3/66 20060101ALI20250310BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20250310BHJP
【FI】
B65H3/06 330G
B65H3/66
B65H5/38
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024010163
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2019161729の分割
【原出願日】2019-09-05
(65)【公開番号】P2024038491
(43)【公開日】2024-03-19
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕己
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-221707(JP,A)
【文献】特開2004-137049(JP,A)
【文献】特開2000-253197(JP,A)
【文献】特開2002-226073(JP,A)
【文献】特開2002-060074(JP,A)
【文献】特開2006-023347(JP,A)
【文献】特開昭59-207333(JP,A)
【文献】特開2017-048008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/06
B65H 3/66
B65H 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き出し方向に引き出し可能に設けられ、シートを収納する収納庫と、
前記収納庫に収納されたシートに接して給送するピックアップローラと、
軸に回転可能に支持され、前記ピックアップローラによって給送されたシートの上面に接して給送する給送ローラと、
前記給送ローラの下部に接してシートをニップするニップ部を前記給送ローラとともに形成し、シートを分離する分離部材と、
前記引き出し方向において前記給送ローラよりも下流側に設けられ、シート給送方向における前記ピックアップローラと前記ニップ部との間において、前記ピックアップローラによって給送されるシートの上面を、下部で案内する透明なガイド部材と、
前記給送ローラよりも前記引き出し方向における上流から前記給送ローラよりも前記引き出し方向における下流まで連続するように配置され、前記ガイド部材を支持するフレームと、を有し、
前記給送ローラは、前記軸から前記引き出し方向に取り外すことができ、
前記ガイド部材は、前記引き出し方向から見た場合に前記給送ローラの回転中心と重複し且つ前記ガイド部材の下部が前記給送ローラの回転中心よりも下方となるように配置され、
前記ガイド部材は、前記引き出し方向から見た場合に前記ピックアップローラと重複することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
引き出し方向に引き出し可能に設けられ、シートを収納する収納庫と、
前記収納庫に収納されたシートに接して給送するピックアップローラと、
軸に回転可能に支持され、前記ピックアップローラによって給送されたシートの上面に接して給送する給送ローラと、
前記給送ローラの下部に接してシートをニップするニップ部を前記給送ローラとともに形成し、シートを分離する分離部材と、
前記引き出し方向において前記給送ローラよりも下流側に設けられ、シート給送方向における前記ピックアップローラと前記ニップ部との間において、前記ピックアップローラによって給送されるシートの上面を、下部で案内する透明なガイド部材と、
前記給送ローラよりも前記引き出し方向における上流から前記給送ローラよりも前記引き出し方向における下流まで連続するように配置され、前記ガイド部材を支持するフレームと、を有し、
前記給送ローラは、前記軸から前記引き出し方向に取り外すことができ、
前記ガイド部材は、前記引き出し方向から見た場合に前記給送ローラと重複し、且つ、前記引き出し方向から見た場合に前記ピックアップローラと重複することを特徴とするシート給送装置。
【請求項3】
前記給送ローラは、コアと、前記コアの外周に設けられ、シートと接する外周部材とを有し、
前記コアの前記引き出し方向側の端部には、前記軸の溝に係合する爪と、前記爪と前記溝との係合を解除する解除部が設けられ、前記爪と前記溝との係合がしている場合には前記軸から前記給送ローラを取り外すことができず、前記爪と前記溝との係合が解除されるように前記解除部を操作された場合には前記給送ローラが前記軸から前記引き出し方向に取り出すことができるように構成される、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記給送ローラから退避できるように、前記引き出し方向に移動可能に前記フレームに支持される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記フレームに対して着脱可能に設けられる、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記フレームは、前記給送ローラの一部とは異なる色である、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記引き出し方向および前記引き出し方向とは反対の挿入方向に移動できるように収納庫を支持するレールを有し、
前記レールは、前記ガイド部材と、上から見て重なる位置に設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至6に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記フレームは、前記ガイド部材とは異なる色である、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記ピックアップローラは前記ピックアップローラの軸から前記引き出し方向に取り外すことができることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置によって給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給送するシート給送装置及びシート給送装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置では、積載されたシートを記録装置あるいは画像読取装置等に1枚ずつ分離して給送するシート給送装置が搭載されているものが一般的である。シートを1枚ずつ分離する構成として、積載されたシートをピックアップローラで送り出し、シート給送方向と同方向に回転するフィードローラと、フィードローラにバネで圧接されたリタードローラとの間でシートを一枚ずつ分離して搬送する構成が挙げられる。
【0003】
しかし、前述のシート給送装置において、ローラは耐久により摩耗してシートの搬送不良が生じる。そこで、特許文献1や特許文献2に開示されているように、ローラの交換ができるように構成されている。
【0004】
特許文献1は、搬送ローラが搬送するシートを案内する搬送ガイドが、搬送ローラの駆動軸の軸方向に移動可能に設けられており、この搬送ガイドの軸方向への移動によって、搬送ローラにアクセス可能になっている。
【0005】
特許文献2は、シートの搬送を案内するガイド板が装置本体に開閉自在に支持されており、ガイド板を開放することによって、給紙ローラを駆動軸に対して着脱する際に作業を行うための空間部が露呈される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-221707号公報
【文献】特開2007-126228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、シート給送装置のローラを交換する際に、シートが収納されているカセットなどの収納庫を画像形成装置から外し、その収納庫を外して空いたスペースからローラを視認する構成の場合、ローラが搬送ガイドに隠れて見つけることが困難である。これはローラのニップ位置に対して搬送ガイドを近づける必要があるためである。一般にシート搬送方向と直交する高さ方向において、ローラのニップ位置と搬送ガイドのシートガイド面との距離が離れるほど、シート先端がローラ周面に当たった際にめくれが発生しやすくなる。そのため、前記高さ方向におけるローラのニップ位置と搬送ガイドのシートガイド面との距離を、可能なかぎり小さく設計する。これらの位置関係から、前述したように収納庫を外して空いたスペースから視認できるのは、搬送ガイドから出ているローラのわずかな範囲でしかない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ローラからガイドを退避させなくても、交換するローラを容易に視認できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の代表的な構成は、引き出し方向に引き出し可能に設けられ、シートを収納する収納庫と、前記収納庫に収納されたシートに接して給送するピックアップローラと、軸に回転可能に支持され、前記ピックアップローラによって給送されたシートの上面に接して給送する給送ローラと、前記給送ローラの下部に接してシートをニップするニップ部を前記給送ローラとともに形成し、シートを分離する分離部材と、前記引き出し方向において前記給送ローラよりも下流側に設けられ、シート給送方向における前記ピックアップローラと前記ニップ部との間において、前記ピックアップローラによって給送されるシートの上面を、下部で案内する透明なガイド部材と、前記給送ローラよりも前記引き出し方向における上流から前記給送ローラよりも前記引き出し方向における下流まで連続するように配置され、前記ガイド部材を支持するフレームと、を有し、前記給送ローラは、前記軸から前記引き出し方向に取り外すことができ、前記ガイド部材は、前記引き出し方向から見た場合に前記給送ローラの回転中心と重複し且つ前記ガイド部材の下部が前記給送ローラの回転中心よりも下方となるように配置され、前記ガイド部材は、前記引き出し方向から見た場合に前記ピックアップローラと重複することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガイド部材が透明であるため、給送ローラから搬送ガイドを退避させなくても、交換するローラを容易に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】画像形成装置の模式断面図
図2】シート給送装置の概略図
図3】シート給送部における給送ユニットの構成を示す斜視図
図4】シート給送部における給送ユニットの構成を示す斜視図
図5】シート給送装置の上面図
図6】シート給送装置の上面図
図7】シート給送装置の上面図
図8】画像形成装置に収納庫が支持されている状態図
図9】給送ユニットのローラ周辺の構成を示す斜視図
図10】(a)、(b)は給送ローラの断面図
図11】(a)、(b)、(c)図2に示す矢印C方向から見た収納庫と給送ユニットの状態図
図12】搬送ガイドと給送部フレームの位置関係を示す斜視図
図13図11(b)の空間から見た給送ユニットの各ローラ付近の図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
[画像形成装置]
図1を用いて本実施形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例を説明する。ここでは、画像形成装置の一例として、電子写真方式を用いた中間転写方式のカラー画像形成装置を例示している。図1は本実施形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の断面図である。
【0014】
画像形成装置200は、シートに画像を形成する画像形成部20、シートに画像を定着させる定着部40、画像が定着されたシートを排出するシート排出部50、画像形成部20にシートを給送するシート給送部100,60などを備えている。シート給送部は、装置本体200Aの下部に配置されたシート給送装置としてのシート給送部100と、装置本体200Aの一方の側部(図1の右側部)に配置されたマルチ給送部60と、を有している。シート給送装置としてのシート給送部100については後で詳しく説明する。
【0015】
画像形成部20は、レーザスキャナ70と、4個のプロセスカートリッジPと、中間転写部30とを備えた、所謂4ドラムフルカラー方式の画像形成部である。これらプロセスカートリッジPは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナー画像を形成する。各プロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)は、感光ドラム21(21Y,21M,21C,21K)、帯電器22(22Y,22M,22C,22K)、現像器23(23Y,23M,23C,23K)、及び不図示のクリーニング器などを備えている。なお、各プロセスカートリッジPは、トナーの色が異なる以外は、同じ構成である。
【0016】
中間転写部30は、駆動ローラ32、従動ローラ33、及びテンションローラ34などに巻き掛けられる中間転写ベルト31を有している。中間転写ベルト31は、4つのプロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)の上方に配置されている。中間転写ベルト31は、各プロセスカートリッジPの感光ドラム21に接触するように配置されると共に、不図示の駆動部に駆動される駆動ローラ32によって、反時計回り方向に回転駆動される。中間転写部30は、各感光ドラム21と対向する位置において中間転写ベルト31の内周面に当接する1次転写ローラ35(35Y,35M,35C,35K)を備えており、中間転写ベルト31と感光ドラム21との間のニップ部として1次転写部が形成されている。また、画像形成部20は、駆動ローラ32と対向する位置において中間転写ベルト31の外周面に当接する2次転写ローラ36を備えている。この2次転写ローラ36と中間転写ベルト31との間のニップ部として、中間転写ベルト31に担持されたトナー像がシートに転写される2次転写部が形成されている。
【0017】
上述のように構成される各プロセスカートリッジPにおいて、感光ドラム21の表面には、レーザスキャナ70によって静電潜像が描き込まれた後、現像器23からトナーが供給されることで負極性に帯電した各色のトナー像が形成される。これらのトナー像は、1次転写ローラ35に正極性の転写バイアス電圧が印加されることで、各1次転写部において順次中間転写ベルト31へと多重転写(1次転写)されて、中間転写ベルト31にフルカラーのトナー像が形成される。このようなトナー像の形成プロセスに並行して、シート給送部100又はマルチ給送部60から給送されたシートは、搬送ローラ対11によりレジストレーションローラ対12へ向けて搬送され、このレジストレーションローラ対12によって斜行補正される。レジストレーションローラ対12は、中間転写ベルト31に形成されたフルカラーのトナー像の転写タイミングに合わせたタイミングで、シートSを2次転写部に搬送する。中間転写ベルト31に担持されたトナー像は、2次転写ローラ36に正極性の転写バイアス電圧が印加されることで、2次転写部においてシートへと2次転写される。トナー像を転写されたシートSは、定着部40において定着ローラ対41により加熱及び加圧され、カラー画像がシートに定着させられる。画像が定着されたシートSは、定着部より下流に位置するシート排出部50にて排出ローラ対52によって排出トレイ51へと排出されて積載される。なお、図1中の矢印Aは、シート給送部100より給送されたシートがシート排出部50の排出トレイ51に排出されるまでの搬送経路である。
【0018】
また、不定型サイズのシートを使用する場合には、マルチ給送部60により給送する。具体的には、不定型サイズのシートをマルチトレイ61にセットする。マルチトレイ61にセットされたシートは、マルチ給送ローラ62により給送された後、搬送ローラ対11に搬送されることで、シート給送部100から給送された場合と同様の工程で画像を形成されて排出トレイ51に排出される。
【0019】
[シート給送部]
図1図2図3図4及び図12を用いて本実施形態に係るシート給送装置としてのシート給送部について説明する。図2は本実施形態に係るシート給送部の概略説明図である。図3及び図4はシート給送部における給送ユニットの構成を示す斜視図である。図12は搬送ガイドと給送ユニットのフレームの位置関係を示す斜視図である。
【0020】
画像形成部20にシートSを給送するシート給送装置としてのシート給送部100は、装置本体200Aに対して引き出し可能に設けられ、シートSを収納する収納庫106と、収納庫106からシートSを給送する給送ユニット10と、を備えている。
【0021】
収納庫106には、昇降可能なトレイ105と、トレイ105を昇降するためのトレイ昇降板109とが備えられている。トレイ昇降板109は不図示のトレイ昇降モータ及び駆動伝達手段により駆動を伝達されることで回転中心109aを中心に回動してトレイ105をリフトアップする。トレイ105は回転中心105aを中心として回動するよう構成されている。
【0022】
給送ユニット10は、収納庫106に積載されたシートを送り出すピックアップローラ102と、ピックアップローラ102によって送り出されたシートを給送する給送ローラ107と、を有している。また、給送ユニット10は、給送ローラ107とともに分離ニップを形成し、シートを一枚に分離するための分離部材としてのリタードローラ108と、分離ニップにシートを案内するガイド部材としての搬送ガイド400と、を有している。ピックアップローラ102の近傍には、リフトアップされたトレイ105に積載されたシートSの最上位のシート面Stの高さ(位置)を検出するための検出センサ110が配置されている。
【0023】
給送ローラ107は、一端が装置本体200Aに設けられた給送部フレーム119に支持された支持軸である駆動軸117の他端に着脱可能に支持されている。ピックアップローラ102は、シート給送方向において前記給送ローラ107よりも上流側に配置されている。ピックアップローラ102は、昇降プレート111に支持された支持軸121の端部に着脱可能に支持されている。昇降プレート111は、給送ローラ107を支持する駆動軸117に支持されている。分離部材としてのリタードローラ108は、前記給送ローラ107の対向位置に配置されており、給送ローラ107とともに分離ニップを形成している。リタードローラ108は、ピックアップローラ102により複数枚のシートが送り出された場合に、給送ローラ107とともにシートを一枚に分離する。
【0024】
ガイド部材としての搬送ガイド400は、収納庫106の引き出し方向において給送ローラ107よりも下流側に配置されている。搬送ガイド400は、収納庫106を引き出した装置本体の内部の空間にて、給送ローラ107を駆動軸117から外すために、装置本体200Aに対して給送ローラ107から退避可能に設けられている。搬送ガイド400は、図12に示すように、搬送ガイド400に設けた引掛け部400bが、給送ユニット10の給送部フレーム119に設けたスライド穴119bに支持されている。スライド穴119bは給送ローラの軸方向に延設されており、搬送ガイド400はスライド穴119bの開口幅分だけ給送部フレーム119に対して前記軸方向にスライド移動可能となっている。搬送ガイド400を、図3に示すガイド位置から図4に示す退避位置に移動させることで、各ローラとの間にスペース(図11(c)に示す空間501)が形成され、ローラの交換が可能となる。なお、本実施形態では搬送ガイド400を装置本体に対して移動可能に構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば搬送ガイドを装置本体に対して着脱可能に構成しても良い。また、搬送ガイド400は、色が透明である樹脂材からなる。
【0025】
[収納庫]
図5図6図7及び図8を用いてシート給送部100における収納庫106の構成について更に詳しく説明する。図5図6及び図7は、図2に示す矢印B方向から見たシート給送部の上面図である。図8は、図1に示す矢印E方向から見たシート給送部の一部を示す側面図であり、画像形成装置に収納庫が支持されている状態図である。
【0026】
収納庫106には、トレイ105にセットされたシートSの位置を規制するための側端規制板104F,104R及び後端規制板120が移動可能に設けられている。側端規制板104F,104Rは、シートの給送方向と直交する幅方向に移動可能に設けられている。後端規制板120は、シートの給送方向に移動可能に設けられている。したがって、収納庫106に収納されたシートのサイズに応じて、側端規制板104F,104Rを幅方向に移動させることで側端規制板104F,104Rによりシートの幅方向の端部の位置を規制し、後端規制板120を給送方向に移動させることで後端規制板120によりシートの給送方向の上流側の端部の位置を規制することができる。
【0027】
また収納庫106には、装置本体200Aに対して収納庫106が引き出し可能に支持されるように収納庫レール106bが設けられている。収納庫レール106bには、収納庫レールコロ106cが回転可能に設けられている。また、画像形成装置200の装置本体200Aには、収納庫106に設けた収納庫レール106bの上下を挟み込むように1対の収納庫支持レール300a,300aが設けられている。1対の収納庫支持レール300a,300aのうち、収納庫レール106bの下側に位置する収納庫支持レール300aには、収納庫レール106bの下面に接触して回転する収納庫支持レールコロ300bが回転可能に設けられている。1対の収納庫支持レール300a,300aのうち、収納庫レール106bの上側に位置する収納庫支持レール300aには、収納庫レール106bに設けた収納庫レールコロ106cが回転可能に接触している。収納庫106は、収納庫レール106bが1対の収納庫支持レール300a,300aに挟まれることによって画像形成装置200の装置本体200Aに引き出し可能に支持されている。収納庫レール106b及び1対の収納庫支持レール300a,300aは、給送ローラ107を支持する駆動軸117の軸方向に沿って設けられている。したがって、収納庫106は、装置本体200Aに対して給送ローラ107の駆動軸117の軸方向に引き出し可能に設けられている。
【0028】
収納庫106は、画像形成時には図5に示すように画像形成装置200の装置本体200Aの内部に収容されている。シートSを収納庫106の内部にセットする際に、収納庫106を装置本体200Aから矢印Y方向に引き出し、図6に示すシートセット位置に移動する。その際に、収納庫レール106bに設けた収納庫レールコロ106cが上側に位置する収納庫支持レール300aに接触して回転されるとともに、下側に位置する収納庫支持レール300aに設けた収納庫支持レールコロ300bが収納庫レール106bに接触して回転される。これにより、収納庫106が装置本体200Aに対して低抵抗で引き出され、図6に示すシートセット位置に移動される。収納庫106を装置本体200Aからさらに引き出すと、図7に示すように画像形成装置の装置本体200Aから外すことができる。また画像形成装置の装置本体200Aの内部には、収納庫106が装置本体200Aの内部に収容されているかを検出するための収納庫検出センサ103が配置されている。
【0029】
[給送ユニット]
次に図2図3及び図9を用いてピックアップローラ102、給送ローラ107、リタードローラ108を含む給送ユニットの構成及び動作について更に詳しく説明する。図9は給送ユニットのローラ周辺の構成を示す斜視図である。
【0030】
不図示の給送駆動モータ及び駆動伝達手段により駆動軸117に駆動力(回転力)が伝達されることで給送ローラ107がシートを給送する方向に回転される。給送ローラ107にはリタードローラ108が圧接され、分離ニップを形成している。リタードローラ108は不図示のトルクリミッタを介してシート給送方向とは逆方向にトルクを受けている。このトルクリミッタのトルク値は、シートとシートの間の摩擦力よりも大きく、シートと給送ローラ107との間の摩擦力よりも小さく設定されている。これにより、給送ローラ107とリタードローラ108の分離ニップに入り込んだシートが1枚の場合、またはシートが入り込んでいない場合は、リタードローラ108は給送ローラ107に連れ回りする。一方、給送ローラ107とリタードローラ108の分離ニップに入り込んだシートが2枚以上の場合は、リタードローラ108はトルクリミッタの作用により給送方向に対して逆方向の力がかかることになり、シートを1枚ずつ分離する。すなわち、リタードローラ108は、ピックアップローラ102により複数枚のシートが送り出された場合は、給送ローラ107に接触したシートから他のシートを分離する。
【0031】
また、給送ローラ107の駆動軸117にはアイドラギヤ114が支持されている。給送ローラ107の駆動軸117に伝達された回転力は、駆動軸117に連動して回転するアイドラギヤ114を回転させる。駆動軸117には、昇降プレート111が回動可能(揺動可能)に支持されている。後述するが、昇降プレート111にはピックアップローラ102を回動可能に支持している支持軸121が支持されており、ピックアップローラ102は昇降プレート111によって駆動軸117を中心に回動可能(揺動可能)に支持されている。また、昇降プレート111には、駆動軸117に支持されたアイドラギヤ114と噛み合うアイドラギヤ113を支持しているアイドラ軸113Aが設けられている。さらに昇降プレート111には、前述したようにピックアップローラ102を支持している支持軸121が支持されている。ピックアップローラ102の支持軸121には、アイドラギヤ113と噛み合うアイドラギヤ112が支持されている。したがって、不図示の給送駆動モータから給送ローラ107の駆動軸117に伝達された回転力は、アイドラギヤ114へ伝達され、さらにアイドラギヤ113を介してアイドラギヤ112へと伝達される。アイドラギヤ112へと伝達された回転力は、カップリング機構112Aによりアイドラギヤ112からピックアップローラ102へと伝達され、ピックアップローラ102を回転させる。給送ローラ107の下流に配置されている搬送ローラ対11は、不図示の搬送駆動モータ及び駆動伝達手段により駆動力(回転力)が伝達されることでシートを搬送する方向に回転される。
【0032】
[ローラの着脱構成]
次に図9及び図10を用いて給送ユニットのローラの着脱構成について説明する。給送ユニット10を構成するピックアップローラ102、給送ローラ107、リタードローラ108は、装置本体200Aに対してそれぞれ着脱可能に設けられている。ここでは給送ローラ107を例示して説明する。図10(a)及び図10(b)は給送ローラ107部の断面図である。
【0033】
給送ローラ107の支持軸である駆動軸117の他端側の端部の周面には溝部である係合溝117Aが形成されている。給送ローラ107は、樹脂等から形成されるコア部107Aと、コア部107Aの外側に設けられ、ゴム等から形成されシートSに当接する外周部107Bで構成されている。コア部107Aは、係合爪107a、係合解除部107b、及び把手部107cを有している。ここでは、コア部107Aは、係合爪107a、係合解除部107b、及び把手部107cを有する一体成形品である。係合解除部107bには、ユーザによって弾性変形されることで、係合溝117Aに係合又は係合解除可能な係合爪107aが形成されている。係合解除部107bは、駆動軸117の他端側に向けて係合爪107aから延伸するように設けられている。把手部107cは、給送ローラ107の回転中心に対して係合爪107aよりも外側に設けられている。したがって、コア部107Aの係合爪107aが駆動軸117の係合溝117Aに係合された状態では、給送ローラ107は駆動軸117から抜けることを抑制される。一方、ユーザは、例えば1つの指で把手部107cを押えた状態で、他の指で係合解除部107bを半径方向外側に弾性変形させることで、係合溝117Aに対する係合爪107aの係合が解除され、給送ローラ107を駆動軸117から取り外すことができる。なお、ピックアップローラ102及びリタードローラ108の取り外し構成については、給送ローラ107と同様であるため説明を省略する。
【0034】
次に図11及び図13を用いて本実施形態の特徴となるローラ交換に係る構成について説明する。図11(a)、図11(b)、図11(c)は図2に示す矢印C方向から見た収納庫106と給送ユニット10の状態を示す断面図である。図13図11(b)の矢印D方向から見た空間における給送ユニットの各ローラ付近の図である。
【0035】
ユーザは画像形成装置の装置本体200Aから収納庫106を引き出して、図11(a)から図11(b)の状態にする。すると、収納庫106を引き出すことで空いた装置本体の内部の空間500から給送ユニット10の各ローラへアクセスできるようになる。
【0036】
図13に示すように、搬送ガイド400は、給送ローラ107にシートが突入する際にシート先端のめくれを防止するために、給送ローラ107とリタードローラ108のニップ位置との距離dを小さくしている。そのため、収納庫106を引き出した側から装置本体200Aの内部の空間500を見た際に、特に給送ローラ107はその大部分が搬送ガイド400に隠れる位置関係となる。そこで、本実施形態では、前述したようにガイド部材としての搬送ガイド400の材料に色が透明である樹脂材を用いている。これにより、ユーザは収納庫106を引き出した側から装置本体200Aの内部の空間500を見た際に、搬送ガイド400を給送ローラ107から退避させなくても、透明な搬送ガイド400ごしに給送ローラ107の全体を視認しやすくなっている。
【0037】
また、給送ローラ107のコア部に設けた係合爪107a、係合解除部107b、把手部107c(図10参照)は、装置本体をなす給送ユニット10の給送部フレーム119とは異なる色となっている。本実施形態では、給送ユニット10の給送部フレーム119は黒色であり、給送ローラ107のコア部に設けた係合爪107a、係合解除部107b、把手部107cは白色となっている。これにより、給送ユニット10の給送部フレーム119に対して、交換を要するローラを目立たせることができ、さらに視認性を高めている。
【0038】
上述したように、本実施形態によれば、搬送ガイド400が透明であるため、収納庫106を装置本体200Aから引き出した後、給送ローラ107から搬送ガイド400を退避させなくとも、交換するローラを容易に視認することができる。そして、交換するローラを視認した後、図11(c)に示すように搬送ガイド400を矢印F方向に引くことで、ローラを着脱するために必要な空間501を確保することができる。
【0039】
なお、前述した実施形態では、シート給送部がピックアップローラ、給送ローラ、リタードローラを有する構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、1つの給送ローラにより収納庫からシートを一枚ずつ給送する構成のシート給送部であっても本発明は有効である。
【0040】
また前述した実施形態では、画像形成装置に一体的に設けられたシート給送装置を例示して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置に対して選択的に接続することが可能な給送オプションとしてのシート給送装置であっても良い。この場合、例えば給送オプションとしてのシート給送装置は、画像形成装置の下部に1段重ねて増設するだけに限定されず、複数段を重ねて増設することも可能であり、ユーザのニーズに応じて適宜選択することが可能である。このようなシート給送装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0041】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。また中間転写体を使用し、該中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像をシートに一括して転写する画像形成装置を例示したが、これに限定されるものではない。シート担持体を使用し、該シート担持体に担持されたシートに各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に用いられるシート給送装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
P …プロセスカートリッジ
S …シート
10 …給送ユニット
20 …画像形成部
21 …感光ドラム
22 …帯電器
23 …現像器
30 …中間転写部
35 …1次転写ローラ
36 …2次転写ローラ
40 …定着部
50 …シート排出部
60 …マルチ給送部
70 …レーザスキャナ
100 …シート給送部
102 …ピックアップローラ
106 …収納庫
107 …給送ローラ
108 …リタードローラ
117 …駆動軸
119 …給送部フレーム
121 …支持軸
200 …画像形成装置
200A …装置本体
400 …搬送ガイド
500,501 …空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13