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7646899アンモニア脱気装置及びそれを用いた資源回収型の高濃度下廃水処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】アンモニア脱気装置及びそれを用いた資源回収型の高濃度下廃水処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/20 20230101AFI20250310BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20250310BHJP
   B01D 71/64 20060101ALI20250310BHJP
   B01D 69/08 20060101ALI20250310BHJP
   B01D 71/32 20060101ALI20250310BHJP
   C02F 1/36 20230101ALI20250310BHJP
【FI】
C02F1/20 B
B01D53/22
B01D71/64
B01D69/08
B01D71/32
C02F1/36
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024017415
(22)【出願日】2024-02-07
【審査請求日】2024-02-07
(31)【優先権主張番号】10-2023-0186032
(32)【優先日】2023-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524053029
【氏名又は名称】コリア コンフォーミティ ラボラトリーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】パク、チョル
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ムン、ス ヨン
(72)【発明者】
【氏名】コン、チャン イン
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4793829(JP,B2)
【文献】特公昭49-15720(JP,B1)
【文献】特開昭55-18226(JP,A)
【文献】特開2012-135734(JP,A)
【文献】特開2007-182359(JP,A)
【文献】特表2001-504034(JP,A)
【文献】特許第3202566(JP,B2)
【文献】特許第5521592(JP,B2)
【文献】特開2016-112516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20
B01D 53/22
B01D 71/64
B01D 69/08
B01D 71/32
C02F 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高濃度下水から前処理後に流入した原水が減圧型反応器内で圧力が0.5~2barに制御された減圧条件で連続運転され、前記減圧型反応器から流入したアンモニアが放熱通路を通過する熱交換器、前記放熱通路に水を提供する冷却器、前記熱交換器から凝縮された水が回収されるトラップ及び前記トラップを通過したアンモニア混合ガスが脱気ガス捕集部に移動して回収されるアンモニア脱気工程と、
前記脱気工程を通じて回収されたアンモニア混合ガスが圧力制御段階を経て高分子ガス分離膜に流入し、前記高分子ガス分離膜を経て相変化なしに選択的に透過されたアンモニアガスが圧力調節及び流量測定段階の後、成分分析段階を通過して高純度で回収される工程と、
前記回収されたアンモニアを資源化する工程とを有する
ことを特徴とする資源回収型高濃度下廃水処理方法。
【請求項2】
前記原水がpHは8.8~11である
請求項1に記載の資源回収型高濃度下廃水処理方法。
【請求項3】
前記原水のpHを維持するために塩基性物質が追加投入されたことを特徴とする
請求項2に記載の資源回収型高濃度下廃水処理方法。
【請求項4】
前記減圧型リアクターの圧力条件で温度35~60℃条件下で行われる
請求項1に記載の資源回収型高濃度下廃水処理方法。
【請求項5】
前記減圧型リアクター内に超音波発生器が取り付けられている
請求項1に記載の資源回収型高濃度下廃水処理方法。
【請求項6】
前記高分子気体分離膜は、ペルフルオロ化スルホン酸ポリマーまたはポリイミド系ポリマーからなる
請求項1に記載の資源回収型高濃度下廃水処理方法。
【請求項7】
前記高分子ガス分離膜が、膜の表面が緻密な構造(dense structure, selective layer)であり、内側には溶媒が迅速に抜けることで形成されたフィンガー構造(finger structure)のポリイミド系高分子からなる中空糸膜である
請求項6に記載の資源回収型高濃度下廃水処理方法。
【請求項8】
前記中空糸膜が化学的架橋によって熱的安定性が確保されている
請求項7に記載の資源回収型高濃度下廃水処理方法。
【請求項9】
前記脱気工程を通じて回収されたアンモニア混合ガスが圧力制御段階を経て高分子ガス分離膜に流入し、前記高分子ガス分離膜を通過した後に残留ガスが圧力測定、逆圧調整および流量測定段階を通過して廃棄される
請求項1に記載の資源回収型高濃度下廃水処理方法。
【請求項10】
前記廃棄直前にアンモニア中和段階を経る
請求項9に記載の資源回収型高濃度下廃水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア脱気装置及びそれを用いた資源回収型の高濃度下廃水処理システムに関し、より具体的には、高濃度の下廃水を採取して固形物を除去した原水を対象とし、減圧型リアクター内のpH、温度及び圧力条件を最適化し、真空脱気または真空及び超音波脱気を併用して高効率でアンモニアを除去するアンモニア脱気工程を経て、前記脱気工程によって回収されたアンモニア混合ガスを、高分子気体分離膜を通過させる分離膜工程によって相変化なしにアンモニアを気相で選択的に高純度化して回収し、前記回収された高純度のアンモニアを資源化する工程で行われる資源回収型の高濃度下廃水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家畜飼育頭数の増加に伴い、家畜糞尿発生量は持続的に増加しつつあり、家畜糞尿は、主に堆肥または液肥として資源化されて農耕地に還元されている。
【0003】
しかし、家畜糞尿発生量は、家畜飼育頭数の増加によって今後も増える見込みであることに対し、資源化された堆肥と液肥を消費する境地面積は持続的に減少することと展望されているから、堆肥・液肥の需要先の確保の困難さが指摘されている。
【0004】
したがって、堆肥・液肥の資源化では活用の限界があり、資源化の代案が必要な状況であり、具体的に、堆肥・液肥の資源化に加えてバイオガスのエネルギー化、固体燃料化などを通じて肥料資源化の代替が求められる。
【0005】
したがって、養豚農場の大型化を基盤としてバイオエネルギー、畜産廃水処理の高度化、単純堆肥以外の高付加価値資源回収の戦略樹立が必要である。
【0006】
家畜糞尿の資源化活用に関して、中国企業の場合は、農場で発生する豚糞が全量バイオガスに変換活用され、発電および熱源として活用され、廃水の無放流、悪臭発生の最小化、特に、2050年を目処に炭素中立の実現が進行中にある。
【0007】
炭素中立の実現は、非常に挑戦的な目標であるが、国際社会ではこれよりも一層高い目標を求められる可能性があり、強化される環境規制の中で革新を通じた温室ガスの減縮を実現するために、前向きなエネルギー技術の開発及び早期商用化を裏付けることができる投資が強調されている。この時、温室ガス減縮の加速化のためのアンモニアは、一種の水素エネルギーであると見られ、生産された水素をアンモニアの形態で移送して活用するという差がある。全世界的に水素経済が渡来するとしたら、水素キャリアとしてアンモニアの生産、移送及び活用先が増加するはずなので、アンモニアの産業は水素産業と一緒に成長していく見通しである。
【0008】
現在、窒素濃度の高い廃水及び廃棄物から窒素を回収する工程として、廃水に含まれたアンモニウムイオンをガス形態で抽出した後、硫酸溶液を利用して抽出されたアンモニアを回収するストリッピング工程が最も盛んに活用されている。
【0009】
一般に、ストリッピング(Stripping)工程は、アンモニアガスの回収率を増加させるためにはアンモニアガス形態の割合が高くなければならないので、pHを9.5~11.5程度に高めた後回収塔(Stripping column)に空気を注入してアンモニアガスを回収し、回収した空気を硫酸溶液のある吸収塔(Absorption column)に注入して硫酸とアンモニアガスとを結合させて硫酸アンモニウム((NHSO)に切り替えながら最終的にアンモニアを回収する。この時、ストリッピング工程に流入される廃水に含有されている窒素は、アンモニアガス(NH)とアンモニウムイオン(NH )の形態で存在するが、これらの二つの物質の占有率は、廃水のpHによって異なる特徴がある。具体的に、pH9.25よりも高い条件下ではNHの比重が増加し、低い条件下ではNH の比重が増加するが、流入水のpHが高いほど除去効率は増加するが、薬品の添加による運転コストとストリッピング後に残った溶液を処理する過程で必要な薬品量が増加する。
【0010】
また、ストリッピング工程の遂行に際して、高い温度でアンモニアガスの溶解度が減少する特徴を持っているので、流入水内におけるアンモニア除去効率を高めるために、70℃以上の高い温度条件でストリッピングを適用するが、高い処理温度はエネルギー要求量を高めるだけでなく、有機物分解速度が促進されて流入水のpHが急激に減少するようになって処理中のpHの維持のためのアルカリ薬品の添加量が増加するという問題をもたらす。
【0011】
現在までストリッピング技術を基盤とした窒素回収工程が、国内・外で活用されているが、高い薬品費用、高い窒素回収費用と低等級の最終副産物の発生のため商用化に困難を持つ。
【0012】
このような問題点を解消するための一環として、特許文献1は、二酸化炭素脱気塔では高温(45℃)で気体の不溶化度を高めることで二酸化炭素の脱気効率を増加させ、pHを8.5~9.0まで上昇させてアルカリ度を取り除いて後段のpH調整剤の使用量を節減し、pH調整槽ではpHを10以上に維持してアンモニア脱気効率を向上させ、脱気塔では水中のアンモニアイオンをアンモニアガス状態で脱気し、吸収塔ではアンモニアガスをpH5以下で吸収した後にリン酸(HPO)を注入して液肥((NHPO)の形態で有価資源を回収する。
【0013】
しかし、薬品費用を減らすために流入水のpHを10以下で適用したが、窒素除去効率が大きく減少し、この問題を乗り越えるために、二酸化炭素脱気工程を適用したりしたが脱気過程中にアンモニア損失が発生するだけでなく、多量の悪臭が排出されるという問題が発生する。
【0014】
特許文献2は、アンモニア脱気を利用した高濃度の窒素及びリンの除去並びに回収システムに関する発明であって、アンモニアストリッピング槽、生物学的水処里部、アンモニアガス回収工程、リン回収工程を連携させて、廃水中の高濃度の窒素及びリンを回収または除去することができる装置が開示されている。
【0015】
前記アンモニア脱気及び生物学的水処里部によって、嫌気性消化脱離液または廃水内に含有された高濃度アンモニア性窒素でアンモニアガスを効果的に脱気させた後、吸着剤を利用してアンモニアを吸着・脱着させてアンモニアガスを回収する工程である。
【0016】
しかし、前記発明は吸着剤を開発してこれを熱圧力変動吸着システムに適用してアンモニアを回収するが、これは分離膜工程に比べてエネルギー消費が大きいことと予想され、当該工程を通じて得られるアンモニアは低濃度のアンモニアガスまたはアンモニア水の形態に当たる。
【0017】
また、特許文献3は、有価資源回収が可能な膜蒸留システムに関し、高濃度の窒素、リンが含まれた廃水である家畜糞尿嫌気性消化脱離液を利用して窒素とリンを除去と同時に有価資源(肥料)として回収し、窒素、リンの除去された廃水は膜蒸留(Membrane Distillation、MD)工程を利用して農業用水として利用可能な水準の処理水を生産する技術が開示されている。
【0018】
しかし、前記発明は、窒素とリンを除去して廃水を農業用水として使用するための目的で進められたので、窒素の回収に対する詳しい研究は進められておらず、当該工程でアンモニアは吸収法によってアンモニア水の形態で得られたし、これを高純度で回収する方法については進められなかった。
【0019】
以上のような従来のアンモニア回収技術の場合、脱気工程の適用のために、高いpHと50~60℃程度の高温を用いて、それ以外のイオン交換、逆浸透膜工程を用いる場合、ファウリング(fouling)の恐れがあり、アンモニアは硫酸アンモニウム(ammonium sulphate)、MAP、DAPなどの形態で回収されており、その活用範囲が低付加価置製品である肥料のみに限定されており、従来の技術は二酸化炭素を除去する工程がないか、または廃水から二酸化炭素を脱気するために空気を用いるから二酸化炭素が含まれた排出ガスが増加するという問題点が発生する。
【0020】
また、吸収法を用いてアンモニアを回収する工程の場合、低付加価置のアンモニア水として回収され、吸着によってアンモニアを気相で回収する場合には濃度が低いという限界点を持っている。
【0021】
そこで、本発明者らは廃水からアンモニアの高純度回収方法に関して鋭意研究した結果、高濃度下廃水を採取して固形物を除去した原水を対象として減圧型リアクターによって高い効率でアンモニアを脱気し、前記脱気されたアンモニアを、高分子気体分離膜を通過させる分離膜工程を通じて脱気されたアンモニアを相変化なしに気相で高純度化して選択的回収が可能であることを確認することで、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】韓国登録特許第1804011号公報(2017.12.06.公告)
【文献】韓国登録特許第1785505号公報(2017.10.17.公告)
【文献】韓国公開特許許第2016-0117838号公報(2016.10.11.公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、前記した問題を解決するためになされたもので、その目的は、高濃度下廃水を採取して固形物を除去した原水を対象とする減圧型リアクターを利用したアンモニア脱気装置を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、前記アンモニア脱気装置により脱気されたアンモニアを、高分子気体分離膜を通じてアンモニアを選択的に高純度化して回収可能な資源回収型の高濃度下廃水処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記目的を達成するために、本発明は、高濃度下廃水から前処理後に流入した原水が圧力制御された条件下でアンモニア脱気工程が行われる減圧型リアクターと、
前記減圧型リアクターから流入したアンモニアが放熱通路を通過する熱交換器と、
前記熱交換器の一定温度を維持するために放熱通路に水を提供する冷却器と、
前記熱交換器から凝縮された水が回収されるトラップと、
前記トラップを通過したアンモニアが回収される脱気ガス捕集部と、を含んでなるアンモニア脱気装置を提供する。
【0026】
本発明の高濃度下廃水は、下水スラッジの嫌気性消化流出水、下水スラッジの嫌気性消化液、豚糞尿または牛糞スラリーを含むスラリー型の家畜糞尿、家畜糞尿消化液、豚糞尿及び食べ物の併合消化上清液からなる群より選ばれたいずれか一つに適用される。
【0027】
減圧脱気過程中のpHは8.8~11が望ましく、前記濃度を維持するために塩基性物質をさらに投入して調節することができる。
【0028】
前記減圧型リアクターが0.5~2barの圧力条件で連続運転される条件下で行われ、温度35~60℃条件に最適化されたものである。
【0029】
また、減圧型リアクター内に超音波発生器を取り付けて真空脱気と真空及び超音波脱気を併用して脱気効率を高めることができる。
【0030】
また、本発明は、前記アンモニア脱気装置による真空脱気または真空及び超音波脱気が併用されるアンモニア脱気工程と、前記脱気工程によって回収されたアンモニア混合ガスを、高分子気体分離膜を通過させる分離膜工程と、前記分離膜工程によって選択的に回収された高濃度のアンモニアを資源化する工程とにより行われる資源回収型の高濃度下廃水処理システムを提供する。
【0031】
本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムにおいて、アンモニア脱気工程は、減圧型リアクターによる真空脱気または超音波発生器をさらに取り付けて真空脱気と超音波脱気を併用してアンモニアを除去する低エネルギー型分離工程である。
【0032】
また、本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムにおいて、前記脱気工程によって回収されたアンモニア混合ガスを、高分子気体分離膜を通過させる分離膜工程を連続的に行う。
【0033】
前記高分子気体分離膜は、高分子表面に気体が溶解されて高分子の自由体積によって拡散されて気体を透過させる非多孔性高分子膜であり、特に、NH/N混合ガスを対象として選択度に優れる分離工程である。
【0034】
望ましい高分子気体分離膜は、ペルフルオロ化スルホン酸ポリマー(perfluorinated sulfonic acid polymer)またはポリイミド系ポリマー(polyamide-imide、co-polyimide)からなる素材を用いるものであり、前記高分子気体分離膜は、平膜または中空糸膜であり、前記平膜または中空糸膜からなる膜モジュールで提供される。
【0035】
望ましくは、前記高分子気体分離膜としてポリイミド系ポリマーからなる中空糸膜であり、前記中空糸膜は、外径400~500μmであり、膜厚70~100μmのものである。
【0036】
さらに、前記中空糸膜に化学的架橋によって熱的安定性が改善された分離膜工程を行うことができる。
【0037】
本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムにおいて、分離膜工程は、前記脱気工程によって回収されたアンモニア混合ガスが圧力制御段階を経て高分子気体分離膜に流入し、前記高分子気体分離膜を経て選択的に透過されたアンモニアガスが圧力調節及び流量測定段階後に成分分析段階を経て高純度で回収または捕集されるものである。
【0038】
また、前記脱気工程によって回収されたアンモニア混合ガスは、圧力制御段階を経て高分子気体分離膜に流入し、残留されたガスは、圧力測定、排圧調整及び流量測定段階を経て廃棄され、前記廃棄直前にアンモニア中和段階を経ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明のアンモニア脱気装置によって高濃度下廃水から減圧型リアクターによる真空脱気と真空及び超音波脱気を併用して高い脱気効率でアンモニアを除去することで、従来の空気注入段階及び高いpHを維持するための別途の薬品投入が不要な低エネルギー型の分離工程を提供することができる。
【0040】
また、前記アンモニア脱気装置によって回収されたアンモニア混合ガスを、高分子気体分離膜を通過させる分離膜工程で相変化なしにアンモニア気相で選択的に高純度化して回収する資源回収型の高濃度下廃水処理システムを提供することができる。
【0041】
前記資源回収型の高濃度下廃水処理システムによって、下水スラッジ嫌気性消化流出水、下水スラッジ嫌気性消化液、豚糞尿または牛糞スラリーを含むスラリー型家畜糞尿、家畜糞尿消化液、豚糞尿及び食べ物の併合消化上清液などの高濃度下廃水からアンモニア回収率90%以上、純度99%の高純度で回収して資源として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明のアンモニア脱気装置の模式図である。
図2】本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムの工程順序を示す図である。
図3】本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムにおいて、気体分離対象の主なガスに対する物理的性質を示す図である。
図4】本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムの分離膜工程に用いられる高分子気体分離膜のSEM写真である。
図5図4のポリイミド中空糸膜の膜モジュール工程を示す図である。
図6図5のポリイミド中空糸膜に化学架橋反応によって改質した膜の架橋前後の熱分析結果を示す図である。
図7】本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムにおいて、分離膜工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0044】
図1は、本発明のアンモニア脱気装置の模式図であって、高濃度下廃水から前処理後流入した原水が圧力制御された条件下でアンモニア脱気工程が行われる減圧型リアクター10と、前記減圧型リアクターから流入したアンモニアが放熱通路を通過する熱交換器20と、前記熱交換器の一定温度を維持するために放熱通路に水を提供する冷却器50と、前記熱交換器から凝縮された水が回収されるトラップ30と、前記トラップを通過したアンモニアが回収される脱気ガス捕集部60とを含んでなるアンモニア脱気装置を提供する。
【0045】
本発明の高濃度下廃水は下水スラッジ嫌気性消化流出水、下水スラッジ嫌気性消化液、豚糞尿または牛糞スラリーを含むスラリー型家畜糞尿、家畜糞尿消化液、豚糞尿及び食べ物の併合消化上清液からなる群より選ばれたいずれか一つであり、前記高濃度下廃水を採取して固形物を除去した原水を対象とする。この時、前記固形物にアンモニア濃度が高いほど回収可能なアンモニア濃度が高いことを意味するので、本発明の実施例ではTN3,500mg/L、NH -N2,500mg/L、TP300mg/L、PO -P100mg/L濃度を限定して説明するが、これに限定されるものではない。
【0046】
また、減圧型リアクターによるアンモニア脱気工程において、減圧脱気過程中にpHを一定に維持すると、脱気のための反応時間がより減少するか、最終アンモニア濃度をより低く維持することができる。この時、減圧脱気過程中におけるpHは8.8~11が望ましく、高濃度を維持するためにNaOH、CaO及びCa(OH)からなる群より選ばれるいずれか一つの塩基性物質をさらに投入して調節することができる。
【0047】
従来のアンモニア脱気法は、下廃水のpHを11以上の条件下でアンモニウムイオン(NH )をアンモニア(NH)に切り替えて気相で除去するものであり、この時、pHを高めるために消石灰、水酸化ナトリウムを主に使用し、リンの凝集・沈澱を通じてリン成分を同時除去する方法である。しかし、従来のアンモニア脱気法は、高いpH条件を設定して大部分のアンモニアを気相で存在するようにした後、ストリッピング(stripping)することでアンモニアを除去するものであって、窒素回収率が高いという長所があるが、過飽和されたアンモニアの大気排出のための長期間の空気吹き込み(air-blowing)が必要であり、高温および高いpH条件、pHを維持するための化学物質などが過量要求されるという問題点が指摘される。
【0048】
これに対し、本発明の減圧型リアクターによるアンモニア脱気装置は、流入した原水を一定した減圧条件下で連続運転してアンモニア脱気現象とpH減少を確認することができる。
【0049】
この時、本発明の減圧型リアクター内における遂行条件は、pH、温度及び圧力変化の条件によってアンモニア脱気に影響を及ぼす結果を確保することで、pH、温度及び圧力条件を最適化して低エネルギーで駆動されることができる。
【0050】
望ましい減圧条件は、0.5~2barで行い、本発明の実施例では1bar条件に固定してアンモニア脱気現象とpH減少の結果を提示しているが、圧力条件がこれに限定されるものではない。
【0051】
また、前記圧力条件の下でpH8.8~11であり、より望ましくは、pH条件9.5~10で行う場合、反応時間の短縮と共にアンモニア濃度は初期濃度2,500mg/Lに比して90~95%水準に減少された結果が確認できる。この時、pH条件が11を超えると、pHの増加によって反応時間の減少やアンモニア除去効率の上昇効果が微々たるので、高いpHを維持するための費用対効果が低い。
【0052】
また、望ましい温度条件は、35~60℃であり、より望ましくは、35~50℃である。温度が増加するほどアンモニア除去効率が増加するが、前記60℃を超えると、リアクター温度を上げるのに所要となる費用に比してアンモニア除去効率の上昇効果が微々たる。
【0053】
アンモニア脱気効率を高めるために、本発明のアンモニア脱気装置は減圧型リアクター内の超音波発生器を取り付けて真空脱気と超音波脱気を併用して実施することができる。
【0054】
高濃度下廃水から前処理後に流入した原水に超音波を発振させると、高圧から低圧に落ちる瞬間に気泡が生成されて低圧に落ちたときに気泡は大きくなるようになり、気泡が形成されて大きくなる時、アンモニアガスが気泡内に捕集されるようになる。このような超音波発振で瞬間的に多量発生する気泡を、真空脱気装置を利用して除去することで脱気効率を高めることができる。
【0055】
超音波発生器から20kHz以上の音波を発生させて機械的振動による脱気工程を行うことで、真空脱気装置の効率を増加させることができる。
【0056】
図2は、本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムの工程順序を示すもので、高濃度下廃水を採取して固形物を除去した原水を対象として前記アンモニア脱気装置による真空脱気または真空及び超音波脱気が併用されるアンモニア脱気工程と、前記脱気されたアンモニアを、高分子気体分離膜を通過させる分離膜工程と、前記分離膜工程により選択的に回収された高濃度のアンモニアを資源化する工程とによって行われる資源回収型の高濃度下廃水処理システムを提供する。
【0057】
本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムにおいて、高濃度下廃水を採取して固形物除去後スクリーニング、凝集・沈澱、沈渣、浮上及び電気分解などの前処理工程を行うことができ、前処理に必要な公知の工程を適用し得る。
【0058】
前記前処理後、本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムは、前記原水を対象とし減圧型リアクターによってアンモニアを除去するアンモニア脱気工程を行う。
【0059】
従来、同一の目的のために行われるアンモニア脱気法は、下廃水のpHを11以上の条件下でアンモニウムイオン(NH )をアンモニア(NH)に切り替えて気相で除去するもので、この時、pHを高めるために消石灰、水酸化ナトリウムを主に使用し、リンの凝集・沈澱によってリン成分を同時除去する方法である。しかし、従来のアンモニア脱気法は、高いpH条件を設定して大部分のアンモニアを気相で存在するようにした後ストリッピング(stripping)することでアンモニアを除去するものであって、窒素回収率が高いという長所があるが、過飽和されたアンモニアの大気排出のための長期間の空気吹き込み(air-blowing)が必要であり、高温と高いpH条件、pHを維持するための化学物質などが過量要求されるという問題点が指摘される。
【0060】
これに対し、本発明の減圧型リアクターによるアンモニア脱気工程は、流入した原水を一定した減圧条件下で連続運転してアンモニア脱気現象とpHの減少を確認することができる。
【0061】
また、減圧型リアクター内の任意の位置に超音波発生器を取り付けて真空脱気と超音波脱気を併用して実施することで、脱気効率を高めることができる。
【0062】
本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムは、前記脱気工程によって回収されたアンモニア混合ガスを、高分子気体分離膜を通過させる分離膜工程を行う。
【0063】
前記高分子気体分離膜は、高分子表面に気体が溶解されて高分子の自由体積によって拡散されて気体を透過させる非多孔性高分子膜であり、このとき、気体透過度は、溶解/拡散モデルによって拡散係数と溶解度の積で算出する。
【0064】
図3は、本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムにおいて、気体分離対象の主なガスに対する物理的性質を示したもので、NH/O、NH/Nの場合、溶解度の差と分子寸法(拡散度)の差が大きいので、透過選択度が高いことと予想される。したがって、本発明の高分子気体分離膜は、特に、NH/N混合ガスを対象として選択度に優れるアンモニア高透過選択性分離膜である。
【0065】
前記NH/OまたはNH/N(最大の比重を占める)、NH/CO(溶解度の差が小さい)、NH/HeまたはNH/H(拡散度の差が小さい)に対する分離特性を有する高分子分離膜は、溶媒溶解性、加工性、合成容易性などを考慮して選定され、ペルフルオロ化スルホン酸ポリマー(perfluorinated sulfonic acid polymer)またはポリイミド系ポリマー(polyamide-imide、co-polyimide)素材が望ましい。
【0066】
前記ペルフルオロ化スルホン酸ポリマー(perfluorinated sulfonicacidpolymer)は、主鎖(main chain)がフッ素化されていて物理・化学的に安定性を有し、側鎖(side chain)のスルホン酸基(sulfonic acid group)とNHの高い親和力(affinity)によって高いNH透過度を持つ。
【0067】
また、前記ポリイミド系ポリマー(polyamide-imide、co-polyimide)は、高い耐火学性、耐熱性に優れており、多様な化学的構造の導入及び改質の可能性が高いという長所を持っている。
【0068】
図4は、本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムの分離膜工程に用いられる高分子気体分離膜の望ましい実施例であって、ポリイミド中空糸膜の断面及び厚さに対するSEM写真結果であり、前記中空糸膜が外径400~500μmで、膜厚70~100μmである。
【0069】
前記分離膜素材の厚さを薄膜化することで、アンモニア透過度を極大化することができる。
【0070】
また、前記高分子気体分離膜は、平膜または中空糸膜に適用されることができ、前記平膜または中空糸膜からなる膜モジュールで提供される。
【0071】
図5は、図4のポリイミド中空糸膜の膜モジュール工程を示すもので、中空糸膜の形態で製造した後、チューブ型にモジュール化して使用することで、中空糸膜モジュールは平膜型モジュールに比して単位体積当たり高い有効面積を持つことができ、工程結合と作動の容易性に優れるのでより望ましい。
【0072】
また、高濃度アンモニア回収工程まで苛酷な環境下で耐えられるように、200℃まで熱的安定性を持つポリイミド中空糸膜を架橋剤(p-xylenediamine)含有溶液に10分間担持して架橋後乾燥過程を経た結果、顕著な熱的安定性を確認することで、安定した架橋反応によって膜の性能を向上させることができる。
【0073】
図6は、ポリイミド中空糸膜に化学架橋反応によって改質した膜の架橋前後の熱分析結果であって、架橋前に比して熱的安定性を確認することができる。
【0074】
図7は、本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムにおいて、分離膜工程のフローチャートであって、前記脱気工程によって回収されたアンモニア混合ガスが圧力制御段階を経て高分子気体分離膜に流入し、前記高分子気体分離膜を経て選択的に透過されたアンモニアガスが圧力調節及び流量測定段階後に成分分析段階を経て高純度で回収されるものである。
【0075】
また、前記脱気工程によって回収されたアンモニア混合ガスが圧力制御段階を経て高分子気体分離膜に流入し、前記高分子気体分離膜を介して残留されたガスが圧力測定、排圧調整(back pressure regulator、BPR)及び流量測定段階を経て廃棄され、前記廃棄直前にアンモニア中和段階を経ることを特徴とする。
【0076】
本発明の資源回収型の高濃度下廃水処理システムの資源化工程は、前述した低電力アンモニア脱気工程と高分子気体分離膜を通過する分離膜工程によって選択的に高純度化して回収されたアンモニアを尿素水生産、グリーン水素原料、石炭火力発電所のアンモニア混焼発電などに活用することができる。
【0077】
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。
【0078】
本実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
1.減圧型リアクターを利用したアンモニア脱気工程の評価
【0079】
<実施例1>
水再生センターで採取された下水スラッジの嫌気性消化槽からの流出水2L試料を用意し、前記試料は工程試験法によってTN濃度は7,800~10,700mg/L、アンモニア濃度は1,700~9,600mg/Lと分析された。
【0080】
脱離液を対象とし初期NHの濃度を2,500mg/Lに調整し、減圧型リアクターを用い、pHは9.5に設定して35℃及び50℃温度条件下で行った。この時、減圧条件は、ゲージ圧力で1.0barの条件に固定して行った。
【0081】
pH9.5条件下で減圧時間による温度別NH-N濃度及び変化率の結果は下記表1に示した。ただし、以下結果は初期pHを9.5に固定した後、脱気によるpHの低下を人為的に調整しない結果である。
【0082】
【表1】
【0083】
pH9.5条件下で減圧型リアクターを実験した結果、初期アンモニア濃度に比して50%以上の減少にかかる時間は、35℃の場合は約170分、50℃の場合約100分の時間が所要され、減圧型リアクター内の最終アンモニア濃度は、運転300分経過時、35℃及び50℃の温度条件で初期濃度に比してそれぞれ約73%、84%減少した。すなわち、50℃で高いアンモニア脱気効率を示した。
【0084】
前記実験値は、初期pHを9.5に固定した後、脱気によるpHの低下を人為的に調整しない結果であるので、減圧脱気過程中にpHを9.5に一定に維持する場合、脱気のための反応時間が減少するか、または最終アンモニア濃度をより低く維持することができる。
【0085】
<実施例2>
pH10の条件に変更したことを除き前記実施例1と同様に遂行し、pH10の条件下で減圧時間による温度別NH-N濃度及び変化率の結果は下記表2に示した。
【0086】
【表2】
【0087】
前記表2から分かるように、pH10の場合、初期アンモニア濃度に比して50%以上の減少にかかる時間は、35℃の条件で約75分、50℃の場合約60分の時間が所要され、減圧型リアクター内の最終アンモニア濃度は運転300分経過時、それぞれの温度条件で初期濃度に比して約94%(35℃)、97%(50℃)ずつ減少した。pH10の条件下での脱気試験も50℃の条件下で優れた脱気効率を確認することができた。
【0088】
前記表2から分かるように、pH10の条件で反応時間の間人為的なpH調整をしなかったにもかかわらず、反応時間300分後最終アンモニア濃度はそれぞれ35℃、50℃条件下で156mg/L、74mg/Lであって、初期濃度に比して約94%、97%が減少した結果で確認された。
【0089】
<実施例3>
pH11.5の条件に変更したことを除き前記実施例1と同様に遂行し、pH11.5の条件下で減圧時間による温度別NH-N濃度及び変化率の結果は下記表3に示した。
【0090】
【表3】
【0091】
前記表3から分かるように、pH11.5で初期アンモニア濃度に比して50%以上の減少にかかる時間は、35℃条件で約100分、50℃の場合約75分の時間が所要され、リアクター内の最終アンモニア濃度は、運転360分経過時、それぞれの温度条件下で初期濃度に比して約93%(35℃)、96%(50℃)ずつ減少した。
【0092】
すなわち、pH9.5、pH10の条件とは異なるように、温度によるアンモニア脱気効率が類似するように達成されることによって、pH10.0以上ではpH増加に伴う反応時間の減少や除去効率の上昇効果が微々たることが確認された。
【0093】
また、pH10以上の条件下で反応時間300分後アンモニア濃度は、初期濃度2,500mg/Lであったことに対し、90~95%水準に減少された。
【0094】
本実験結果は、初期pHを9.5、10、11.5にそれぞれ設定後、リアクター間の間一定したpHの維持のための更なる薬品投入がなかったにもかかわらず、アンモニア濃度が減少した結果を確認することによって、一定したpH条件を維持する場合、反応時間の短縮、最終アンモニア濃度の減少が可能であるはずである。
【0095】
ただし、アンモニア回収対象量を設定した後、温度・時間条件でアンモニアガスの濃度減縮が可能なので、一定したpHの維持のための薬品投入が不要となり、これは低エネルギー、温室ガス低減型資源回収に有用である。
【0096】
<実験例1>減圧型リアクターの運用因子の評価
減圧型リアクター内のpHと温度によるアンモニア濃度及び除去効率を測定して下記表4に示し、減圧条件による結果を表5に示した。
【0097】
【表4】
【0098】
【表5】
【0099】
前記表5から分かるように、ポンプ運転停止実験結果、アンモニア除去率が30%にも至っていない反面、ポンプ連続運転時アンモニア除去率が最大64%まで確認された。No.5とNo.8の場合、同一のpH条件下であっても温度によってアンモニア除去率に大きい影響を及ぼすという結果を確認した。
【0100】
2.高分子気体分離膜を利用した分離膜工程の評価
【0101】
<実施例4>ポリイミド中空糸膜の製造
ポリイミドブレンド(P84、Torlon)及びNMP溶媒27対73の重量比率でドープ溶液を製造し、ノズルを通じた放射と凝固槽で相分離する過程の乾式/湿式方式で相転移現象を利用して中空糸膜を製造した。巻取機で溶媒を洗浄して乾燥してモジュール化した。
【0102】
<実験例2>高分子気体分離膜のモフォロジー
前記製造されたポリイミド中空糸膜の構造的特性を観察するために断面SEM撮影を遂行して、図4に示した。その結果、中空糸膜の外径と内径はそれぞれ約550、400μmであり、膜厚は約70~80μmであることを確認した。また、分離膜の断面に2,000倍拡大して観察した結果、膜の表面は非常に薄く、緻密な(dense)構造で(selective layer)、内側には溶媒が早く潜り抜けながら形成されたフィンガー(finger)構造が観察されることによって中空糸膜がよく製造されたことを確認した。
【0103】
<実験例3>高分子気体分離膜モジュールの透過性能の評価
気体分離膜の分離性能は、NH/N混合ガスを通じて確認するために、前記製造されたポリイミド中空糸膜を図5に示したようにモジュール化し、ナフィオン中空糸膜は、複数本を一つの束で集めてモジュール化し、それぞれの中空糸膜モジュールは、1/2インチSUSチューブに有効長さ34cm×20本及び17cm×53本で構成した。
【0104】
NH/N混合ガスの分離試験に用いた混合ガスは、濃度別(mol%NH/mol%N:10/90、30/70、50/50、70/30、88/12)に注文して使用した。
【0105】
供給ガスの圧力は、ガスシリンダーに設置したレギュレーターによって調節したし、分離膜が含まれた透過セルを温度チャンバに設置して運転温度を調節した。流量は、MFC(Mass Flow Controller)で調節し、残留側の圧力はBPR(Back Pressure Regulator)で調節して供給圧力と同一に維持し、分離膜を透過したガスはMFM(Mass Flow Meter)を経てGC(Gas Chromatography)に送って流量及び組成を分析した。その結果、ポリイミド中空糸膜モジュールを利用した結果を下記表6に示し、ナフィオン中空糸膜モジュールの結果を表7に示した。
【0106】
【表6】
【0107】
【表7】
【0108】
前記表6及び表7の結果から、供給される混合ガスにアンモニア濃度が30モル%以上で供給される場合、高分子気体分離膜を透過したアンモニアの濃度は、95モル%以上、より望ましくは、99モル%以上で回収されたことを確認した。
【0109】
また、透過流量も供給ガスのアンモニア濃度増加幅に比べて大きく増加して、アンモニア回収率が増加した。
【0110】
<実験例4>高分子気体分離膜モジュールの安定性の評価
前記ポリイミド中空糸膜の熱的安定性を評価するために、TGA分析を遂行して、図6にポリイミド中空糸膜に化学架橋反応によって改質した膜の架橋前後の熱分析結果を示した。
【0111】
その結果、ポリイミド中空糸膜は200℃まで熱安定性が確認される反面、架橋以後約600℃熱安定性が確認されることによって、安定的な架橋反応によって膜の性能を向上させることができることを確認した。
【0112】
以上、本発明に記載の具体例についてのみ詳しく説明したが、本発明の技術的思想範囲内で多様な変形及び修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形及び修正は添付の特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0113】
10 減圧型リアクター
20 熱交換器
30 蒸気トラップ(WATER TRAP)
40 真空ポンプ
50 冷却器
60 脱気ガス捕集部
1 アンモニア脱気装置
【要約】
【課題】アンモニア脱気装置及びそれを用いた資源回収型の高濃度下廃水処理システムを提供すること。
【解決手段】高濃度の下廃水を採取して固形物を除去した原水を対象とし、減圧型リアクター内のpH、温度及び圧力条件を最適化し、真空脱気または真空及び超音波脱気を併用して高効率でアンモニアを脱気し、前記脱気工程によって回収されたアンモニア混合ガスを、高分子気体分離膜を通過させる分離膜工程によって相変化なしにアンモニア気相で選択的に高純度化して回収する資源回収型の高濃度下廃水処理システムによって、回収されたアンモニアを尿素水生産、グリーン水素原料及び混焼発電などの資源化に活用することができる。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7