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7646941移動可能なリソースを用いたサービスを提供するための通信システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】移動可能なリソースを用いたサービスを提供するための通信システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20250310BHJP
【FI】
G06F9/50 150Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024506617
(86)(22)【出願日】2023-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2023079445
(87)【国際公開番号】W WO2024088947
(87)【国際公開日】2024-05-02
【審査請求日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】22203810.1
(32)【優先日】2022-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】肥後 直樹
(72)【発明者】
【氏名】トリアイ マルケス,ヨアン
(72)【発明者】
【氏名】畑中 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】河野 智樹
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第11062164(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2022/029930(US,A1)
【文献】特開2022-054417(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0313959(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0121455(US,A1)
【文献】韓国特許第10-2018-0123430(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムであって、
リソース情報提供構成要素と、サービスを提供するためのサービス提供構成要素と、リソース管理構成要素とを備え、
前記リソース情報提供構成要素は、可動デバイスのハードウェアリソースが一時的に利用可能である1つまたは複数の位置についての情報であって、前記ハードウェアリソースは、前記可動デバイスの移動を制御するための機能性を提供することとネットワーク機能を提供することを切り替えることができるように構成される、情報と、前記位置において前記ハードウェアリソースが利用可能である1つまたは複数の時間期間についての情報と、前記可動デバイスが、それらが提供する前記ハードウェアリソースの使用を許可するかどうかについての情報とを含むリソース可用性情報を前記リソース管理構成要素に提供するように構成され、
前記サービス提供構成要素は、前記サービスを提供するための1つまたは複数のネットワーク機能についての要件を前記リソース管理構成要素に示すように構成され、前記要件は、前記1つまたは複数のネットワーク機能が提供されるべき位置と、前記1つまたは複数のネットワーク機能が提供されるべき時間期間とを含み、
前記リソース管理構成要素は、前記提供されたリソース可用性情報を考慮して、前記1つまたは複数のネットワーク機能についての前記示された要件を前記ハードウェアリソースの特徴とマッチングすることにより、決定されたハードウェアリソースを使用して前記1つまたは複数のネットワーク機能を提供することによって前記1つまたは複数のネットワーク機能についての前記示された要件を満たすことができる、前記1つまたは複数のネットワーク機能を提供するためのハードウェアリソースを前記ハードウェアリソースの中から決定することと、前記決定されたハードウェアリソースを使用して前記1つまたは複数のネットワーク機能の提供を開始することとを行うように構成される、
通信システム。
【請求項2】
前記1つまたは複数のネットワーク機能は、コアネットワーク機能、エッジネットワーク機能、および無線ネットワーク機能のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記リソース管理構成要素は、前記リソース可用性情報を前記サービス提供構成要素に少なくとも部分的に転送するように構成され、前記サービス提供構成要素は、要件を、前記ハードウェアリソースを使用して前記1つまたは複数のネットワーク機能を提供することによって満たすことができる前記要件として決定するように構成される、請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記リソース管理構成要素は、前記リソース可用性情報から機密情報を除去し、前記リソース可用性情報の残りを前記サービス提供構成要素に転送するように構成される、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記リソース管理構成要素は、前記リソース可用性情報を少なくとも部分的に抽象化し、前記抽象化されたリソース可用性情報を前記サービス提供構成要素に転送するように構成される、請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
前記リソース可用性情報を抽象化することは、前記位置についての前記情報の精度を低くすることを含む、請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記リソース管理構成要素は、転送されるべき情報の詳細に関する指示を前記サービス提供構成要素から受信するように構成され、前記指示にしたがって前記リソース可用性情報を少なくとも部分的に転送するように構成される、請求項3に記載の通信システム。
【請求項8】
前記リソース管理構成要素は、前記決定されたハードウェアリソースが前記決定されたハードウェアリソースについての機密情報の転送を許可すべきであることに関する、および/または前記決定されたハードウェアリソースが転送を許可すべきである、前記決定されたハードウェアリソースについての前記情報の詳細に関する、前記サービス提供構成要素による1つまたは複数の要件を考慮して、前記ハードウェアリソースを決定するように構成される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項9】
前記リソース管理構成要素は、前記1つまたは複数のネットワーク機能がステートフルであるかステートレスであるかを考慮して、前記ハードウェアリソースを決定するように構成される、請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記ハードウェアリソースは、計算リソース、ネットワークリソース、および記憶リソースのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の通信システム。
【請求項11】
前記リソース可用性情報は、前記ハードウェアリソースのうちの少なくともいくつかについて、前記ハードウェアリソースが前記示された1つまたは複数の時間期間の間前記示された1つまたは複数の位置において利用可能であるという保証を含み、前記リソース管理構成要素は、ハードウェアリソースについて、前記リソース可用性情報が保証を含むか否かを考慮して、前記1つまたは複数のネットワーク機能を提供するためのハードウェアリソースを決定するように構成される、請求項1に記載の通信システム。
【請求項12】
サービスを提供するための方法であって、
可動デバイスのハードウェアリソースが一時的に利用可能である1つまたは複数の位置についての情報であって、前記ハードウェアリソースは、前記可動デバイスの移動を制御するための機能性を提供することとネットワーク機能を提供することを切り替えることができるように構成される、情報と、前記位置において前記ハードウェアリソースが利用可能である1つまたは複数の時間期間についての情報と、前記可動デバイスが、それらが提供する前記ハードウェアリソースの使用を許可するかどうかについての情報とを含むリソース可用性情報を受信するステップと、
前記サービスを提供するための1つまたは複数のネットワーク機能についての要件を受信するステップであって、前記要件は、前記1つまたは複数のネットワーク機能が提供されるべき位置と、前記1つまたは複数のネットワーク機能が提供されるべき時間期間とを含む、ステップと、
決定されたハードウェアリソースを使用して前記1つまたは複数のネットワーク機能を提供することによって、前記提供されたリソース可用性情報を考慮して、前記1つまたは複数のネットワーク機能についての前記示された要件を前記ハードウェアリソースの特徴とマッチングすることにより、前記1つまたは複数のネットワーク機能についての前記示された要件を満たすことができる、前記1つまたは複数のネットワーク機能を提供するためのハードウェアリソースを前記ハードウェアリソースの中から決定するステップと、
前記決定されたハードウェアリソースを使用して前記1つまたは複数のネットワーク機能の提供を開始するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示用は、移動可能な(したがって動的な)リソースを用いたサービスを提供するための通信システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク機能仮想化のような概念により、(例えば、通信)サービスの提供は、サービスを提供するために使用されるハードウェアリソースに関してますます柔軟になる。同時に、運転者支援機能(または自律運転)を提供するために、例えば車両において、強力なハードウェアリソースが広く展開されるようになってきている。これらのハードウェアリソースは使用されないことが多いので(車両が運転に使用されないとき、例えば、夜間など長期間の場合)、これらのリソースが利用可能であるときに、サービスを提供するためにこれらのリソースを使用する手法が望ましい。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態によれば、ハードウェアリソースが一時的に利用可能である1つまたは複数の位置についての情報と、ハードウェアリソースがその位置において利用可能である1つまたは複数の時間期間についての情報とを含むリソース可用性情報を提供するように構成されたリソース情報提供構成要素と、サービスを提供するための1つまたは複数のネットワーク機能についての要件を示すように構成された、サービス(例えば、通信サービスであるが、あらゆる種類のソフトウェアアプリケーションなどのデータ処理サービスでもあり得る)を提供するためのサービス提供構成要素であって、要件は、1つまたは複数のネットワーク機能が提供されるべき位置と、1つまたは複数のネットワーク機能が提供されるべき時間期間とを含む、サービス提供構成要素と、決定されたハードウェアリソースを使用して1つまたは複数のネットワーク機能を提供することによって1つまたは複数のネットワーク機能についての示された要件を満たすことができるように、1つまたは複数のネットワーク機能を提供するためのハードウェアリソースをハードウェアリソースの中から決定し、決定されたハードウェアリソースを使用して1つまたは複数のネットワーク機能の提供を開始するように構成されたリソース管理構成要素とを備える通信システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図面において、同様の参照符号は、概して、異なる図を通して同じ部分を指す。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。以下の説明では、以下の図面を参照して様々な態様が説明される。
図1】通信システム、特に、通信システムの通信リソースの管理フレームワークを示す。
図2】MANO(Management and orchestration system)によるリソースのクラウドとしての、レンタカー会社の車両の使用を示す。
図3】MANOによるリソースのクラウドとしての、個々の所有者の車両301の使用を示す。
図4】一実施形態による時変リソース管理を示す。
図5】一実施形態による通信システムを示す。
図6】サービスを提供するための方法を示すフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明は、本発明が実施され得る本開示の具体的な詳細および態様を例示として示す添付の図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、他の態様が利用され得、構造的、論理的、および電気的な変更がなされ得る。本開示のいくつかの態様は本開示の1つまたは複数の他の態様と組み合わせられて新しい態様を形成し得るので、本開示の様々な態様は必ずしも相互に排他的ではない。
【0006】
本開示の態様に対応する様々な例が以下で説明される。
【0007】
実施例1は、図4または図5を参照して以下に説明される通信システムである。
【0008】
実施例2は、実施例1の通信システムであって、1つまたは複数のネットワーク機能は、コアネットワーク機能、エッジネットワーク機能、および無線ネットワーク機能のうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
実施例3は、実施例1または2の通信システムであって、リソース管理構成要素は、リソース可用性情報をサービス提供構成要素に少なくとも部分的に転送するように構成され、サービス提供構成要素は、ハードウェアリソースを使用して1つまたは複数のネットワーク機能を提供することによって満たすことができるように要件を決定するように構成される。
【0010】
実施例4は、実施例3の通信システムであって、リソース管理構成要素は、リソース可用性情報から機密情報を除去し、リソース可用性情報の残りをサービス提供構成要素に転送するように構成される。
【0011】
実施例5は、実施例3または4の通信システムであって、リソース管理構成要素は、リソース可用性情報を少なくとも部分的に抽象化し、抽象化されたリソース可用性情報をサービス提供構成要素に転送するように構成される。
【0012】
実施例6は、実施例5の通信システムであり、リソース可用性情報を抽象化することは、位置についての情報の精度を低くすることを含む。
【0013】
実施例7は、実施例3から6のいずれか1つの通信システムであって、リソース管理構成要素は、機密情報が転送されるべきかどうかに関する指示、および/または転送されるべき情報の詳細の指示をサービス提供構成要素から受信するように構成され、指示にしたがってリソース可用性情報を少なくとも部分的に転送するように構成される。
【0014】
実施例8は、実施例1から7のいずれか1つの通信システムであって、リソース管理構成要素は、位置および時間期間に加えて、位置および時間期間以外の1つまたは複数のネットワーク機能の1つまたは複数の要件および/または特性を考慮して、ハードウェアリソースを決定するように構成される。
【0015】
実施例9は、実施例1から8のいずれか1つの通信システムであって、リソース管理構成要素は、決定されたハードウェアリソースが決定されたハードウェアリソースについての機密情報の転送を許可すべきであることに関する、および/または決定されたハードウェアリソースが転送を許可すべきである、決定されたハードウェアリソースについての情報の詳細に関する、サービス提供構成要素による1つまたは複数の要件を考慮して、ハードウェアリソースを決定するように構成される。
【0016】
実施例10は、実施例9の通信システムであって、リソース管理構成要素は、1つまたは複数のネットワーク機能がステートフルであるかステートレスであるかを考慮して、ハードウェアリソースを決定するように構成される。
【0017】
実施例11は、実施例1から10のいずれか1つの通信システムであって、ハードウェアリソースは、計算リソース、ネットワークリソース、および記憶リソースのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
実施例12は、実施例1から11のいずれか1つの通信システムであって、ハードウェアリソースは、可動デバイスのリソースである。
【0019】
実施例13は、実施例12の通信システムであって、可動デバイスは車両であり、ハードウェアリソースは、車両を運転するための機能性を提供することと、ネットワーク機能を提供することを切り替えることができるように構成される。
【0020】
実施例14は、実施例12または13の通信システムであって、リソース情報提供構成要素は、モバイルデバイスからリソース可用性情報を受信するように構成される。
【0021】
実施例15は、実施例1から14のいずれか1つの通信システムであって、サービスは、ホットスポット無線アクセス、データストリーミングサービス、ユーザデータプレーンゲートウェイサービス、およびデータキャッシングサービスのうちの少なくとも1つである。
【0022】
実施例16は、実施例1から15のいずれか1つの通信システムであって、リソース可用性情報は、ハードウェアリソースのうちの少なくともいくつかについて、ハードウェアリソースが示された1つまたは複数の時間期間の間示された1つまたは複数の位置において利用可能であるという保証を含み、リソース管理構成要素は、ハードウェアリソースについて、リソース可用性情報が保証を含むか否かを考慮して、1つまたは複数のネットワーク機能を提供するためのハードウェアリソースを決定するように構成される。
【0023】
実施例17は、図5を参照して以下に説明されるような、サービスを提供するための方法である。
【0024】
上記の実施例のいずれか実施例の特徴のうちの1つまたは複数は、他の実施例のいずれか1つと組み合わせられ得ることに留意されたい。特に、デバイスに関連して説明された実施例は、方法についても同様に有効である。
【0025】
さらなる実施形態によれば、コンピュータプログラムと、コンピュータによって実行されたときに、上記の実施例のうちのいずれか1つの方法をコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体とが提供される。
【0026】
以下では、様々な例がより詳細に説明される。
【0027】
図1は、通信システム100、特に、通信システムの通信リソースのための管理フレームワークを示す。
【0028】
通信システム100は、インフラストラクチャマネージャまたはリソースマネージャ104によって管理される通信システムリソース101、102、103を備える。通信システムのハードウェアリソースは、例えば、計算サーバ、特定のタスクのための専用アクセラレータ(例えば、クラウド内に提供される)、プログラマブルメタサーフェスのような特別なハードウェアなどの形態で、計算、記憶、および/またはネットワークリソースを含む。
【0029】
リソース101、102、103は、リソースコンシューマによって使用(または「消費」)される。図1の例では、サービスオーケストレータ(特に、サービス提供構成要素として動作する)105、106、例えば、通信サービスを提供するテナント(すなわち、通信プロバイダ)は、リソースコンシューマと見なすことができる。各サービスオーケストレータは、リソースコンシューマに割り当てられた通信システムリソースを使用して機能を提供するそれぞれのリソースオーケストレータ(特に、リソース管理構成要素として動作する)107によって(通信システム)機能(特に、ネットワーク機能)が提供される。また、テナント105、106は、そのリソースオーケストレータ107(すなわち、それに機能を提供するリソースオーケストレータ107)と共に、リソースコンシューマと見なされ得ることに留意されたい。さらに、代替的に、リソースオーケストレータ107はまた、(機能を提供するためにリソースを使用する、または言い換えると、機能提供のためにリソースを割り当てるという意味で)リソースコンシューマと見なされてもよい。
【0030】
そのため、例えば、1つまたは複数のリソースオーケストレータ107は、例えば、同じ領域またはゾーンに位置するリソース101、102、103を管理し、リソースオーケストレータは、特定のスコープマネジメント、例えば、ドメイン、ある種のアプリケーション、テナントなどを担い、各リソース101、102、103は、ある時点で、リソースオーケストレータ107およびテナント105、106のうちの1つに関連付けられる(または、割り当てられていない場合もある)。
【0031】
様々な実施形態によれば、リソース101、102、103は、可動(すなわち、非固定)デバイス、特に、車両(ただし、衛星などの他の可動デバイスも適用可能であり得る)によって提供されるハードウェアリソースを含む。
【0032】
したがって、様々な実施形態は、特に、コンピューティング能力を有するコモディティ化された車両の再使用可能性およびリソース共有を提供し、例えば、ネットワークエッジにクラウド化を適用する、クラウドとしての車両(vehicles-as-a-cloud)サービスの実現を提供する。そのため、様々な実施形態によれば、リソースオーケストレータ(例えば、MANO(Management and orchestration
system))またはその管理者(例えば、電気通信システムオペレータ)は、一時的に駐車されている車両上のリソースを、それがクラウド化されたリソースであるかのように活用することができる。車両は、個人の車両であってもよいし、例えば、レンタカー会社のフリートに属していてもよい。
【0033】
図2は、MANO202によるリソースのクラウドとしての、レンタカー会社の車両201の使用を示す。
【0034】
車両は、例えば、夜間、ガレージに駐車され、アクセスポイント203に接続されているときに、MANO202によって使用される。
【0035】
図3は、MANO302によるリソースのクラウドとしての、個々の所有者の車両301の使用を示す。
【0036】
車両は、基地局303に接続されることで、どこにいてもMANO302によって使用され得る。
【0037】
そのため、様々な実施形態によれば、例えば、自動運転を実現するために高性能計算が可能な車両が多数存在し、したがって、計算、記憶、および/または通信(すなわち、ネットワーク)ハードウェアリソースを有すると仮定される。これらのハードウェアリソースは、車両が特定の場所(すなわち、特定の地理的領域204、304内)に駐車されているとき、またはある特定の条件下で(特定の地理的領域内で)群で移動しているときに、(例えば、クラウドを構築するための)リソースとして活用することができる。
【0038】
ここで、地理的領域の概念は、事前に領域およびゾーンを決定するのではなく、計算クラスタが時間的にかつ(潜在的に)至る所で構成され得るように、すなわち、地理的グルーピングが(例えば、それぞれのリソースオーケストレータ107によって)柔軟に決定され得るように、柔軟であり得る。
【0039】
当然、リソースは、動的に参加したり(すなわち、利用可能になったり)、なくなったり(すなわち、利用不可能になったり)し得る。そのため、リソースオーケストレータ107は、サービスのためのリソースを提供する際、アプリケーション(例えば、ネットワーク機能)の要件(例えば、必要とされるリソースの量)および/または特性(例えば、ステートレスまたはステートフル)を考慮に入れ、いくつかのリソースが後の時点で利用不可能になることを前もって決定しなければならないこともある。例えば、ステートフルアプリケーションの場合、特に、ステートフルアプリケーションをデプロイすることは、デプロイされたアプリケーションの寿命の間に利用不可能になる可能性があるようなリソースには適していない。
【0040】
ステートフルとは、ネットワーク機能(またはアプリケーション)が、その機能性を実行するために使用される状態情報を保持し、有することを意味し、例えば、パケットをルーティング/転送するために、パケットをルーティング/転送するために使用される特定の情報をそのデータベース内に有するアプリケーションであり、すなわち、ルーティング/転送は、転送されている個々のパケットによって受信される情報のみに基づくのではなく、アプリケーションが有する情報によって決定される。したがって、「ステートフル」アプリケーションとは、アプリケーションが何らかの種類の状態を有し、それによって別のリソースに容易に移動できないことを意味する。したがって、アプリケーションがステートフルであり、通信サービスがそれに依存する場合、アプリケーションをデプロイするために使用されるリソースがなくなると、アプリケーションの可用性に影響を及ぼし、その結果、アプリケーションが提供している通信サービスの可用性に影響を及ぼす。そのため、アプリケーションをそのようなリソース上にデプロイすることができるかどうかは、リソースの可用性も考慮する必要がある。
【0041】
リソースオーケストレータ107は、サービスの要件を満たすためにネットワーク機能についての配置制約を考慮し得る。例えば、リソースオーケストレータ107は、1つまたは複数の車両のリソースがリソースオーケストレータ107のための特定の位置(これは、1ブロック、駐車場などのより大きな領域であってもよい)でリソースとして利用可能であると予想され得るよりも長い時間期間にわたってネットワーク機能が(特定のサービスについて)提供される必要があるときには、1つまたは複数の車両を使用してネットワーク機能をデプロイしなくてもよい。
【0042】
リソースは、上記のシナリオでは、MANO202、302の管理者によって所有されていないので、リソース所有者(すなわち、車両201、301)とMANO(の管理者)との間でメタデータおよび識別子を交換して、リソースの使用のネゴシエーションを実現することができる。
【0043】
サービスオーケストレータ105、106およびリソースオーケストレータ107は、プライバシーを確保するための自家用車301の正確な位置など、機密とすべき特定の情報についての知識を持たない可能性があることに留意されたい。
【0044】
例えば、リソースに関する地理情報をリソースオーケストレータ(例えば、MANO)に入力するメカニズムがある。MANOは、例えば、NFVI(ネットワーク機能仮想化インフラストラクチャ)にしたがって仮想リソースとしてリソースを埋め込み得る。
【0045】
図4は、一実施形態による時変リソース管理を示す。
【0046】
車両401は、1つまたは複数のハードウェアリソースを提供する。NFV(ネットワーク機能仮想化)の観点から、車両201によって提供されるということ、リソースが移動する可能性があることを意味し、これは、アプリケーション(ネットワーク機能を含む)配置に使用される情報が時間を通して変化する可能性があることを意味する。
【0047】
時変リソース情報およびメタデータを提供する機能性をサポートするために、(特に、リソース情報提供構成要素として動作する)時変リソース情報マネージャとして示されるエンティティ402が、時変リソース情報を管理するために提供される。
【0048】
時変リソース情報マネージャ402は、例えば、データベース403またはメッセージキュー408を介して、車両401によって提供されるリソースについての情報を受信する。この情報は、可用性(例えば、特定の位置にどのくらい長く駐車されることとなるか)、その位置など、車両およびそのリソースについての情報である。
【0049】
時変リソース情報マネージャ402は、メタデータ(車両401に割り当てられた識別情報など)を含む利用可能なリソースについての情報を保持するリソースデータベース405を維持し得るリソースオーケストレータ404(例えば、リソースオーケストレータ107および/またはMANO202、302に対応する)にこの情報を提供する。
【0050】
リソースを使用して、サービスオーケストレータ407(例えば、サービスオーケストレータ105、106のうちの1つに対応する)が通信サービスを提供することを可能にするためのネットワーク機能406を提供し得る。
【0051】
例えば、リソースオーケストレータ404は、車両201の無線通信能力を使ってホットスポットを提供し得る(すなわち、通信サービスは、ここではホットスポットサービスである)。別の例は、例えば、車両付近のデータへのより高速なアクセスをユーザに提供するために、データをキャッシュまたはストリーミングするための車両の使用である(すなわち、サービスは、特定のデータの提供であり得る)。車両によって提供されるリソースはまた、他のリソースへの負担を低減するために、あらゆる種類のサービスのためのオフロードに使用され得る。したがって、リソースは、特に、1つまたは複数の他のユーザへの近接度(したがって、ネットワーク機能の配置)が、特定の品質でそれぞれの通信サービスを提供するのに重要である無線ネットワーク機能またはエッジネットワーク機能を提供するために使用される。リソースは、同じく配置が、近接度、カバレッジ、または必要とされる帯域幅能力により、1つまたは複数の他のユーザに利益をもたらし得るコアネットワーク機能(例えば、特定の位置における無線ネットワークからのトラフィックを転送するためのユーザプレーン機能)を提供するためにも使用され得る。
【0052】
リソースオーケストレータ404は、要件を、提供される(提供されるべき)リソースの時間的に変化する特徴とマッチングするために、リソースについての情報を使用する。サービスオーケストレータ407は、アプリケーション(特に、ネットワーク機能)要件をリソースオーケストレータ404に送信し、リソースオーケストレータ150は、マッチングおよび配置を実行し、すなわち、要件にマッチングするリソースを見つけ、マッチングしたリソースを使用して、要求されたアプリケーション(特に、ネットワーク機能)をデプロイする。時変リソース情報マネージャ402は、これに必要な(時間的に変化する)情報をリソースオーケストレータ404に提供する。
【0053】
(時間的に変化する)情報は、例えば、以下の情報要素のうちの1つまたは複数を含み得る:
・ 情報のレベルに関するインジケータ、例えば、1分毎の車両の位置についてのGPS情報を情報が含むことができるかどうか
・ コミットするか否か(すなわち、車両(またはその所有者)が、例えば、特定の示された時間の間、そのリソースを使用させることをコミットするかどうか)についてのインジケータ
・ (コミットされる場合)決定された時間的に変化する情報(例えば、車両がいつ遠ざかるか、例えば、車両が特定の地点を通過する、すなわち、特定の領域を出るのはいつか)。
【0054】
車両によって提供されるリソースに関連する時間的に変化する情報は、車両から送信され得る。上述したように、それは、リソースオーケストレータ404(例えば、MANOまたはMANO管理者)を介してサービスオーケストレータ407(例えば、テナント)に送信される。しかしながら、その内容は、インターフェースに応じて(すなわち、サービスオーケストレータ-リソースオーケストレータインターフェースを介して送信されるか、車両-リソースオーケストレータインターフェースを介して送信されるかに応じて)異なり得る。情報はまた、車両に関連付けられたデバイス(所有者のモバイル端末など)を介してリソースオーケストレータ404に送信されてもよく、すなわち、必ずしも車両自体によって送信される必要はないことに留意されたい。リソースオーケストレータ404は、車両所有者がどれだけの詳細な情報を提供できるかを考慮に入れることができる。例えば、いくつかのサービスオーケストレータは、インフラストラクチャ要素の位置に応じてサービス動作を変更することができるように、インフラストラクチャ構成要素(すなわち、車両)の移動に関する詳細情報を知ることを望む場合がある。これを行うために、リソースオーケストレータは、(選択されたインフラストラクチャ要素の)車両所有者が、リソースオーケストレータ404が、例えば、車両の動きまたは位置の詳細情報を明らかにすることを可能にし、すなわち、決定されたハードウェアリソースが、リソースオーケストレータ404に機密情報および/またはそれらについての情報を特定の詳細レベルで転送することを可能にするような、適切なインフラストラクチャ要素(すなわち、ハードウェアリソース)を選択する必要がある。
【0055】
表1は、転送される情報の異なるレベルの例を示す。
【表1】
【0056】
ここで、詳細情報は、例えば、車両の正確な位置(例えば、住所)であり、抽象化された情報は、よりざっくりとした(higher level)位置である。機密情報は、ナンバープレート番号、所有者の名前などの情報であり得る。
【0057】
そのため、現在の情報(例えば、情報が抽象化されるか否かに応じて詳細度が決まる可用性、位置)を含む時間的に変化する情報を含む情報要素がインターフェースを介して送信される。車両(またはその所有者)が、車両のリソースが使用されることにコミットしていない場合、情報は、近い将来に予想されるもの(例えば、車両が特定の位置にあると予想される期間)を含む可能性はあるが、保証はない。
【0058】
リソースオーケストレータ404は、情報のマスキングを実行し(すなわち、機密情報を除去し)、情報を抽象化する(例えば、住所をより大きな領域に変換する)。
【0059】
要約すると、様々な実施形態によれば、図5に示すような通信システムが提供される。
【0060】
図5は、一実施形態による通信システム500を示す。
【0061】
通信システム500は、ハードウェアリソースが一時的に利用可能である1つまたは複数の位置についての情報と、ハードウェアリソースがその位置において利用可能である1つまたは複数の時間期間についての情報とを含むリソース可用性情報を提供するように構成されたリソース情報提供構成要素501を備える。
【0062】
通信システム500は、サービスを提供するための1つまたは複数のネットワーク機能についての要件を示すように構成された、サービス(例えば、通信サービスであるが、あらゆる種類のソフトウェアアプリケーションなどのデータ処理サービスでもあり得る)を提供するためのサービス提供構成要素502であって、要件は、1つまたは複数のネットワーク機能が提供されるべき位置と、1つまたは複数のネットワーク機能が提供されるべき時間期間とを含む、サービス提供構成要素502をさらに備る。
【0063】
さらに、通信システム500は、決定されたハードウェアリソースを使用して1つまたは複数のネットワーク機能を提供することによって1つまたは複数のネットワーク機能についての示された要件を満たすことができるように、1つまたは複数のネットワーク機能を提供するためのハードウェアリソースをハードウェアリソースの中から決定し、決定されたハードウェアリソースを使用して1つまたは複数のネットワーク機能の提供を開始するように構成されたリソース管理構成要素503を備える。
【0064】
様々な実施形態によれば、言い換えると、ハードウェアリソースの時間的な可用性についての情報が、サービス提供のために考慮される。この情報は、ハードウェアリソースが特定の時間に特定の位置で利用可能であり得るが、その後利用不可能になり得るか、または(例えば、車両が異なる駐車場に移動されるために)異なる位置では利用可能であり得るという意味で、時間的に変化する情報または時間的に変化する可用性についての情報と見なされ得る。
【0065】
したがって、図5の手法は、特定の位置における可用性が(それらが移動しているので)時間を通して変化し得るデータ処理ハードウェアリソースを考慮し、したがって、データ処理システムにおいてデータ処理ハードウェアリソースを有する車両または他の移動物体(例えば、衛星またはウェアラブルデバイス)などのモバイルインフラストラクチャ要素から利用可能なデータ処理ハードウェアリソース(計算リソース、ネットワークリソース、記憶リソース)を活用することを可能にする。データ処理リソースハードウェアは、クラウドのようなデータ処理システム(例えば、通信システム)に動的に参加したり離脱したりすることができる。データ処理リソースが使用される地理的領域は、柔軟に定義することができる。例えば、位置は、サービス提供構成要素(またはそのオペレータ)が特定のサービスを提供したい場所に応じて、駐車場、広場、もう1つの通りなどであってもよい。リソース管理構成要素は、必要とされる時間にわたってその位置でサービスを提供することができるハードウェアリソース(例えば、車両)を決定(すなわち、選択)する。
【0066】
したがって、様々な実施形態によれば、電気通信オペレータオーケストレーション機構は、車両上のデータ処理システムリソース(車両を運転するための機能性、例えば、運転者支援機能のために提供される)を、例えば、分散データセンターのためのクラウドサービスの一部であるかのように活用することを可能にすることができる方法、機構、およびインターフェースを用いて強化される。
【0067】
通信システム500は、例えば、図6に示すような方法を実行する。
【0068】
図6は、サービスを提供するための方法を示すフロー図600を示す。
【0069】
601において、ハードウェアリソースが一時的に利用可能である1つまたは複数の位置についての情報と、ハードウェアリソースがその位置において利用可能である1つまたは複数の時間期間についての情報とを含むリソース可用性情報が受信される。
【0070】
602において、サービスを提供するための1つまたは複数のネットワーク機能についての要件が受信され、ここで、要件は、1つまたは複数のネットワーク機能が提供されるべき位置と、1つまたは複数のネットワーク機能が提供されるべき時間期間とを含む。
【0071】
603において、決定されたハードウェアリソースを使用して1つまたは複数のネットワーク機能を提供することによって1つまたは複数のネットワーク機能についての示された要件を満たすことができるように、1つまたは複数のネットワーク機能を提供するためのハードウェアリソースがハードウェアリソースの中から決定され、決定されたハードウェアリソースを使用して1つまたは複数のネットワーク機能の提供を開始される。
【0072】
上記(特に、602、603)は、示された順序で厳密に実行される必要はなく、少なくとも部分的に交互に、または並行して、または反対の順序で行われてもよいことに留意されたい。
【0073】
通信システムの構成要素は、例えば、1つまたは複数の回路によって実装され得る。「回路」は、メモリに記憶されたソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せを実行する専用回路またはプロセッサであり得る、あらゆる種類の論理実装エンティティとして理解され得る。したがって、「回路」は、ハードワイヤード論理回路、またはプログラマブルプロセッサ、例えば、マイクロプロセッサなどのプログラマブル論理回路であり得る。「回路」はまた、ソフトウェアを実行するプロセッサ、例えば、あらゆる種類のコンピュータプログラムであり得る。上述のそれぞれの機能の任意の他の種類の実装もまた、「回路」として理解され得る。
【0074】
特定の態様が説明されたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の態様の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更がその中で行われ得ることを、当業者は理解されたい。したがって、範囲は添付の特許請求の範囲によって示され、したがって、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に入るすべての変更が包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6