(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】多色化粧料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20250310BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20250310BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q1/00
(21)【出願番号】P 2024518134
(86)(22)【出願日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2023023964
(87)【国際公開番号】W WO2024057666
(87)【国際公開日】2024-03-21
【審査請求日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2022145433
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優
(72)【発明者】
【氏名】宮本 貴文
(72)【発明者】
【氏名】丸山 連吾
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 慧
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-079202(JP,A)
【文献】特開平02-172903(JP,A)
【文献】特開昭63-188616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
B05C 19/00 - 19/16
B05D 1/00 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2色以上の多色の化粧料をそれぞれ棒状に形成してなる多色の棒状化粧料の外周側に粉末化粧料を付着させる粉末付着工程と、
前記多色の棒状化粧料の外周側にそれぞれ前記粉末化粧料を付着してなる多色の粉末付き棒状化粧料を当該粉末付き棒状化粧料の長手方向に直交する方向に切断して得られた複数の単位化粧料を並列に配置して集合させたものを押し固めるプレス成型工程と、
を含み、
前記粉末付着工程では、前記棒状化粧料が、前記粉末化粧料が敷かれたコンベアの上に前記コンベアの進行方向に並列に載置された状態で搬送され、この搬送中において前記コンベアと対向する側から押圧力が付与された状態で前記コンベアが移動することに伴い前記コンベアの上に敷かれた前記粉末化粧料の上で自転することをもって、前記粉末付き棒状化粧料が形成される、
ことを特徴とする多色化粧料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の多色化粧料の製造方法であって、
前記押圧力は、前記コンベアに対向して配置された押さえ治具によって付与され、
前記押さえ治具は、前記コンベアの進行方向反対側の端部において前記棒状化粧料と接触し、かつ前記コンベアの進行方向の端部において前記棒状化粧料と接触しないように、前記コンベアの進行方向に向かって前記コンベアとの距離が漸次拡大するように傾斜して配置されている、
ことを特徴とする多色化粧料の製造方法。
【請求項3】
2色以上の多色の化粧料をそれぞれ棒状に形成してなる多色の棒状化粧料の外周側に粉末化粧料を付着させる粉末付着工程と、
前記多色の棒状化粧料の外周側にそれぞれ前記粉末化粧料を付着してなる多色の粉末付き棒状化粧料を当該粉末付き棒状化粧料の長手方向に直交する方向に切断して得られた多色の複数の単位化粧料を並列に配置して集合させたものを押し固めるプレス成型工程と、
を含み、
前記粉末付着工程は、
シートの上に前記粉末化粧料を敷く粉末化粧料充填工程と、
前記シート上に敷かれた前記粉末化粧料の上に前記棒状化粧料を横たえて配置する棒状化粧料配置工程と、
前記シートのうち前記棒状化粧料の長手方向に直交する方向の一端部を把持し、当該シートの一端部を他端側へ折り返すことにより、前記棒状化粧料を前記粉末化粧料の上で転動させて前記粉末付き棒状化粧料を形成する棒状化粧料転動工程と、
を含む、
ことを特徴とする多色化粧料の製造方法。
【請求項4】
2色以上の多色の化粧料をそれぞれ棒状に形成してなる多色の棒状化粧料の外周側に粉末化粧料を付着させる粉末付着工程と、
前記多色の棒状化粧料の外周側にそれぞれ前記粉末化粧料を付着してなる多色の粉末付き棒状化粧料を当該粉末付き棒状化粧料の長手方向に直交する方向に切断して得られた多色の複数の単位化粧料を並列に配置して集合させたものを押し固めるプレス成型工程と、
を含み、
前記粉末付着工程では、
帯状のシートを長手方向に沿って回転させてなるコンベアの上流側において前記コンベアの上に前記粉末化粧料を敷き、
前記コンベア上に敷かれた前記粉末化粧料の上に前記コンベアの進行方向に沿って前記棒状化粧料を配置し、
前記棒状化粧料の上からさらに前記粉末化粧料を振りかけて前記棒状化粧料を前記粉末化粧料の中に埋没させ、
前記コンベアの下流側において、前記コンベアの幅方向両側部を重ねるように丸め込むことにより、前記粉末付き棒状化粧料を形成する、
ことを特徴とする多色化粧料の製造方法。
【請求項5】
2色以上の多色の化粧料をそれぞれ棒状に形成してなる多色の棒状化粧料の外周側に粉末化粧料を付着させる粉末付着工程と、
前記多色の棒状化粧料の外周側にそれぞれ前記粉末化粧料を付着してなる多色の粉末付き棒状化粧料を当該粉末付き棒状化粧料の長手方向に直交する方向に切断して得られた多色の複数の単位化粧料を並列に配置して集合させたものを押し固めるプレス成型工程と、
を含み、
前記粉末付着工程では、
帯状のシートを長手方向に沿って回転させてなるコンベアの上流側において前記コンベアの上に前記粉末化粧料を敷き、
前記コンベア上に敷かれた前記粉末化粧料の上に前記コンベアの進行方向に沿って前記棒状化粧料を配置し、
前記棒状化粧料の上からさらに前記粉末化粧料を振りかけて前記棒状化粧料を前記粉末化粧料の中に埋没させ、
前記コンベアの下流側において、前記粉末化粧料に埋没した前記棒状化粧料を、前記コンベアの幅方向に対向するかたちで対をなして配置されて両者間に円弧状又は円形状の隙間を形成する一対のローラの前記隙間を通過させることにより、前記粉末付き棒状化粧料が形成される、
ことを特徴とする多色化粧料の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の多色化粧料の製造方法であって、
前記一対のローラは、前記コンベアの幅方向外側へ凹む凹円弧面が前記コンベアの幅方向に対向するように配置され、前記一対のローラ間に前記円弧状の隙間を形成し、かつ前記コンベアとの間に半円状の前記隙間を形成する、
ことを特徴とする多色化粧料の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の多色化粧料の製造方法であって、
前記一対のローラは、前記コンベアの幅方向外側へ凹む半円状の凹円弧面が前記コンベアの幅方向に対向するように配置され、当該一対のローラの間に前記円形状の前記隙間を形成する、
ことを特徴とする多色化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多色化粧料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多色化粧料の製造方法の一例として、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
概略を説明すれば、この多色化粧料の製造方法では、棒状化粧料の外周側に粉末化粧料を付着させてなる粉末付き棒状化粧料を角筒状の容器内に2つ以上収容し、これらを当該容器から所定量押し出して棒状化粧料の長軸に直交する方向に切断することによって多色化粧料バルクを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の多色化粧料の製造方法では、粉末付き棒状化粧料を得るにあたり、容器に充填された粉末化粧料の上で棒状化粧料を回転させるなど、粉末化粧料の付着作業を自動化することについて何ら考慮されていない点で、改善の余地が残されていた。
【0006】
そこで、本発明は、前記従来の化粧料の製造方法の技術的課題に鑑みて案出されたものであり、粉末化粧料の付着作業を自動化することができる多色化粧料の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る多色化粧料の製造方法は、その一態様として、2色以上の多色の化粧料をそれぞれ棒状に形成してなる多色の棒状化粧料の外周側に粉末化粧料を付着させる粉末付着工程と、前記多色の棒状化粧料の外周側にそれぞれ前記粉末化粧料を付着してなる多色の粉末付き棒状化粧料を当該粉末付き棒状化粧料の長手方向に直交する方向に切断して得られた複数の単位化粧料を並列に配置して集合させたものを押し固めるプレス成型工程と、を含み、前記粉末付着工程では、前記棒状化粧料が、前記粉末化粧料が敷かれたコンベアの上に前記コンベアの進行方向に並列に載置された状態で搬送され、この搬送中において前記コンベアと対向する側から押圧力が付与された状態で前記コンベアが移動することに伴い前記コンベアの上に敷かれた前記粉末化粧料の上で自転することをもって、前記粉末付き棒状化粧料が形成される。
【0008】
このように、本発明によれば、粉末付着工程において、棒状化粧料に対してコンベアと対向する側から押圧力が付与された状態で、コンベアの移動に伴い棒状化粧料がコンベア上に敷かれた粉末化粧料の上で自転することによって、棒状化粧料に対する粉末化粧料の付着作業を自動化することができる。
【0009】
また、前記多色化粧料の製造方法の別の態様として、前記押圧力は、前記コンベアに対向して配置された押さえ治具によって付与され、前記押さえ治具は、前記コンベアの進行方向反対側の端部において前記棒状化粧料と接触し、かつ前記コンベアの進行方向の端部において前記棒状化粧料と接触しないように、前記コンベアの進行方向に向かって前記コンベアとの距離が漸次拡大するように傾斜して配置されている。
【0010】
このように、本発明によれば、コンベアの進行方向反対側の端部で棒状化粧料と接触し、かつコンベアの進行方向の端部で棒状化粧料と接触しないように、押さえ治具を傾斜して配置することとした。このため、コンベアの進行方向反対側の端部で粉末化粧料を付着させた粉末付き棒状化粧料をコンベアの進行方向に円滑に搬送することが可能となる。これにより、粉末化粧料の付着後に粉末付き棒状化粧料が押さえ治具と接触して粉末化粧料が減少することが抑制され、十分な粉末化粧料が付着した粉末付き棒状化粧料を得ることができる。
【0011】
また、別の観点から、本発明に係る多色化粧料の製造方法の他の態様として、2色以上の多色の化粧料をそれぞれ棒状に形成してなる多色の棒状化粧料の外周側に粉末化粧料を付着させる粉末付着工程と、前記多色の棒状化粧料の外周側にそれぞれ前記粉末化粧料を付着してなる多色の粉末付き棒状化粧料を当該粉末付き棒状化粧料の長手方向に直交する方向に切断して得られた多色の複数の単位化粧料を並列に配置して集合させたものを押し固めるプレス成型工程と、を含み、前記粉末付着工程は、シートの上に前記粉末化粧料を敷く粉末化粧料充填工程と、前記シート上に敷かれた前記粉末化粧料の上に前記棒状化粧料を横たえて配置する棒状化粧料配置工程と、前記シートのうち前記棒状化粧料の長手方向に直交する方向の一端部を把持し、当該シートの一端部を他端側へ折り返すことにより、前記棒状化粧料を前記粉末化粧料の上で転動させて前記粉末付き棒状化粧料を形成する棒状化粧料転動工程と、を含む。
【0012】
このように、本発明によれば、粉末付着工程において、粉末化粧料を敷いたシート上に棒状化粧料を横たえて配置した後、シートの一端部を他端側へ折り返して棒状化粧料を粉末化粧料の上で転動させることにより、棒状化粧料に対する粉末化粧料の付着作業を自動化することができる。
【0013】
また、本発明では、シートを折り返すことにより粉末化粧料の上で棒状化粧料を転動させて粉末付き棒状化粧料を得るため、棒状化粧料の回転数を制御することが比較的容易であり、棒状化粧料に対する粉末化粧料の付着量を容易に制御できるメリットがある。
【0014】
また、本発明では、粉末化粧料の上で棒状化粧料を転動させることによって粉末付き棒状化粧料を得るため、棒状化粧料は円柱形状のほか角柱形状であってもよく、棒状化粧料の形状の自由度を高めることができる。
【0015】
また、別の観点から、本発明に係る多色化粧料の製造方法の他の態様として、2色以上の多色の化粧料をそれぞれ棒状に形成してなる多色の棒状化粧料の外周側に粉末化粧料を付着させる粉末付着工程と、前記多色の棒状化粧料の外周側にそれぞれ前記粉末化粧料を付着してなる多色の粉末付き棒状化粧料を当該粉末付き棒状化粧料の長手方向に直交する方向に切断して得られた多色の複数の単位化粧料を並列に配置して集合させたものを押し固めるプレス成型工程と、を含み、前記粉末付着工程では、帯状のシートを長手方向に沿って回転させてなるコンベアの上流側において前記コンベアの上に前記粉末化粧料を敷き、前記コンベア上に敷かれた前記粉末化粧料の上に前記コンベアの進行方向に沿って前記棒状化粧料を配置し、前記棒状化粧料の上からさらに前記粉末化粧料を振りかけて前記棒状化粧料を前記粉末化粧料の中に埋没させ、前記コンベアの下流側において、前記コンベアの幅方向両側部を重ねるように丸め込むことにより、前記粉末付き棒状化粧料を形成する。
【0016】
このように、本発明によれば、粉末付着工程において、粉末化粧料が敷かれたシート上にコンベアの進行方向に沿って棒状化粧料を配置し、棒状化粧料の上からさらに粉末化粧料を振りかけて棒状化粧料を粉末化粧料に埋没させた後、コンベアの下流側において当該コンベアの幅方向の両側部を重ねるように丸め込むことにより、棒状化粧料に対する粉末化粧料の付着作業を自動化することができる。
【0017】
また、本発明では、コンベアの進行方向に沿って棒状化粧料を配置するため、比較的長尺の棒状化粧料に対して粉末化粧料を付着させることが可能となる。その結果、長尺の粉末付き棒状化粧料を得て、後に必要な単位長さに裁断することが可能となるため、製造作業効率が良い。
【0018】
また、別の観点から、本発明に係る多色化粧料の製造方法の他の態様として、2色以上の多色の化粧料をそれぞれ棒状に形成してなる多色の棒状化粧料の外周側に粉末化粧料を付着させる粉末付着工程と、前記多色の棒状化粧料の外周側にそれぞれ前記粉末化粧料を付着してなる多色の粉末付き棒状化粧料を当該粉末付き棒状化粧料の長手方向に直交する方向に切断して得られた多色の複数の単位化粧料を並列に配置して集合させたものを押し固めるプレス成型工程と、を含み、前記粉末付着工程では、帯状のシートを長手方向に沿って回転させてなるコンベアの上流側において前記コンベアの上に前記粉末化粧料を敷き、前記コンベア上に敷かれた前記粉末化粧料の上に前記コンベアの進行方向に沿って前記棒状化粧料を配置し、前記棒状化粧料の上からさらに前記粉末化粧料を振りかけて前記棒状化粧料を前記粉末化粧料の中に埋没させ、前記コンベアの下流側において、前記粉末化粧料に埋没した前記棒状化粧料を、前記コンベアの幅方向に対向するかたちで対をなして配置されて両者間に円弧状又は円形状の隙間を形成する一対のローラの前記隙間を通過させることにより、前記粉末付き棒状化粧料が形成される。
【0019】
このように、本発明によれば、粉末化粧料が敷かれたシート上にコンベアの進行方向に沿って棒状化粧料を配置し、当該棒状化粧料の上からさらに粉末化粧料を振りかけて棒状化粧料を粉末化粧料に埋没させた後、コンベアの下流側において、一対のローラとの隙間に前記粉末化粧料に埋没させた棒状化粧料を通過させることによって、棒状化粧料に対する粉末化粧料の付着作業を自動化することができる。
【0020】
また、本発明では、粉末化粧料に埋没した棒状化粧料をローラの隙間に通すだけでよいため、棒状化粧料に対する粉末化粧料の付着作業の自動化を、比較的容易に実現することができる。
【0021】
さらに、本発明の場合は、コンベアの進行方向に沿って棒状化粧料を配置するため、比較的長尺の棒状化粧料に対して粉末化粧料を付着させることが可能となる。その結果、長尺の粉末付き棒状化粧料を得て、後に必要な単位長さに裁断することが可能となるため、製造作業効率が良い。
【0022】
また、本発明に係る多色化粧料の製造方法の別の態様として、前記一対のローラは、前記コンベアの幅方向外側へ凹む凹円弧面が前記コンベアの幅方向に対向するように配置され、前記一対のローラ間に前記円弧状の隙間を形成し、かつ前記コンベアとの間に半円状の前記隙間を形成する。
【0023】
このように、本発明によれば、粉末付き棒状化粧料を得る際、粉末化粧料の中に埋没させた棒状化粧料をコンベアに対向して配置された一対のローラとの隙間に通すだけでよく、棒状化粧料をコンベアから浮かせる必要がない。これにより、棒状化粧料に対する粉末化粧料の付着作業を比較的容易に行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る多色化粧料の製造方法のさらに別の態様として、前記一対のローラは、前記コンベアの幅方向外側へ凹む半円状の凹円弧面が前記コンベアの幅方向に対向するように配置され、当該一対のローラの間に前記円形状の前記隙間を形成する。
【0025】
このように、本発明によれば、粉末付き棒状化粧料を得る際、粉末化粧料の中に埋没させた棒状化粧料を、コンベアの幅方向に配置された一対のローラによって形成された円形の隙間に通すことにより、断面円形の粉末付き棒状化粧料を直接得ることができる。このため、断面円形の粉末付き棒状化粧料を効率的に形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、棒状化粧料に対する粉末化粧料の付着作業を、自動化することができる。これにより、多色化粧料の生産性及び品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る多色化粧料を示す平面図である。
【
図2】本発明に係る多色化粧料の製造方法の第1、第2工程の概略を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【
図3】本発明に係る多色化粧料の製造方法の第3工程を示す概略図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る多色化粧料の製造方法の第4工程の概略を示す図であって、(a)は平面図、(b)は同図(a)のA-A線断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る多色化粧料の製造方法の第5工程以降の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は同図(a)のB-B線断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る多色化粧料の製造方法の変形例を示し、当該製造方法における第4工程の他例を示す断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の変形例に係る多色化粧料の製造方法の第5工程以降の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は同図(a)のC-C線断面図である。
【
図8】本発明に係る多色化粧料の製造方法の第2実施形態を示す図であり、第2工程の他例を表した粉末付着装置の平面図である。
【
図9】
図8のD-D線断面図であって、棒状化粧料に対する粉末化粧料の付着作業の具体的態様を示す図である。
【
図10】本発明に係る多色化粧料の製造方法の第3実施形態を示す図であり、(a)は第2工程の側面図、(b)は第2工程の平面図である。
【
図11】(a)は
図10(a)のE-E線断面図、(b)は
図10(a)のF-F線断面図、(c)は
図10(a)のG-G線断面図、(d)は
図10(a)のH-H線断面図、である。
【
図12】本発明に係る多色化粧料の製造方法の第4実施形態を示す図であり、(a)は第2工程の側面図、(b)は第2工程の平面図である。
【
図14】本発明の第4実施形態に係る多色化粧料の製造方法の変形例を示し、(a)は第2工程の平面図、(b)は同図(a)のJ-J線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る多色化粧料の製造方法の実施形態を、図面に基づいて詳述する。
【0029】
(多色化粧料の説明)
図1は、本発明に係る多色化粧料の製造方法によって製造される多色化粧料を示している。
【0030】
例えば
図1に示すように、本発明によって製造される多色化粧料1は、任意の色彩を有する複数色(本実施形態では4色)の単位化粧料14a,14b,14c,14dがそれぞれ所定の位置に配置されてなるもので、当該単位化粧料14a,14b,14c,14dが一体となって一つの固形化粧料として形成されたものである。また、この多色化粧料1では、各単位化粧料14a,14b,14c,14dの境界が所定の色彩(単位化粧料14a,14b,14c,14dとは異なる色)の粉末化粧料12によって仕切られている。そして、この多色化粧料1は、例えば金属製の収容皿40に収容されると共に、例えばコンパクトケースなどの筐体(図示外)に収容される。なお、この収容皿40及び前記図示外の筐体の材質については、製品の仕様等に応じて任意に選択することができる。
【0031】
[第1実施形態]
(多色化粧料の製造方法の説明)
本発明に係る多色化粧料1の製造方法の第1実施形態について、以下に詳述する。なお、多色化粧料1は、上述のように、複数色(本実施形態では4色)の単位化粧料14a,14b,14c,14dを一体化して一つの固形化粧料として形成したものであるが、各単位化粧料14a,14b,14c,14dの製造工程はいずれも同一であることから、以下では、便宜上、一の単位化粧料14の製造工程についてのみ説明し、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの製造工程の個別説明については省略する。
【0032】
図2は、本実施形態に係る多色化粧料の製造方法の第1、第2工程の概略を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図を示している。
【0033】
図2に示すように、多色化粧料の製造方法の第1工程(棒状化粧料成型工程)においては、所定の色彩を有する粉末化粧料を棒状に形成することによって、棒状化粧料11を成型する。なお、この棒状化粧料11の成型方法としては、例えばプレス成型や押出成形など、製造する多色化粧料、すなわち製品の仕様に応じて任意の手段を採択可能である。本実施形態では、前記押出成形により棒状化粧料11を形成する態様を例示する。
【0034】
すなわち、第1工程では、押出成形機2により概ね円柱状をなす棒状化粧料11を成形する。押出成形機2は、鉛直方向に沿って配置された縦型を呈し、スクリュ21により内部で混錬された粉末化粧料10が押出成形機2の下端部から吐出され、この吐出された粉末化粧料10が所定の長さL1で切断されることで、概ね円柱状の棒状化粧料11が形成される。ここで、押出成形機2は、後述する第2工程に係るコンベア31に対して鉛直上側に対向するように配置されていて、第1工程で形成された棒状化粧料11が第2工程に係るコンベア31に直接配置することができ、第1工程から第2工程に連続して移行可能となっている。
【0035】
なお、第1工程において、押出成形機2は、当該工程で形成する棒状化粧料11の色彩の種類(数)の分だけ設けることが望ましい。すなわち、化粧料1を形成する色彩についてそれぞれ押出成形機2を配置することで、1台の押出成形機2で色替えを行う必要がなくなるため、化粧料1の生産性の向上を図ることができる。
【0036】
棒状化粧料11は、後述する搬送、転動及び切断作業を行うことに鑑みれば、ある程度形状を維持可能な定型性を備えた硬さを有することが望ましい。また、棒状化粧料11については、必要に応じて揮発性溶剤を適量添加して調整することが可能である。さらに、棒状化粧料11については、本実施形態において例示する「円柱状」のほか、例えば「角柱状」など、化粧料の柄や模様に応じた所望の断面形状を有していればよい。なお、「所定の長さL1」は、後述するコンベア31の幅寸法Wよりも小さく、後述する複数の単位化粧料14が無駄なく(歩留まりよく)得られる長さであることが望ましい。
【0037】
続いて、多色化粧料の製造方法の第2工程(粉末付着工程)では、
図2に示す粉末付着装置3によって、棒状化粧料11の外周側に粉末化粧料12を付着する。すなわち、本実施形態に係る粉末付着装置3は、長手方向に沿って
図2中の矢印Dの方向に回転してなるコンベア31と、コンベア31の上流側の端部に設けられ、内部に粉末化粧料12を収容する粉末収容部30と、コンベア31の下流側に設けられ、コンベア31によって搬送される棒状化粧料11を押さえてコンベア31上において棒状化粧料11を回転させる押さえ治具32と、を有する。
【0038】
すなわち、当該第2工程では、前記第1工程で形成された棒状化粧料11が、粉末化粧料12が敷かれたコンベア31上に所定の間隔Iをもってコンベア31の進行方向(
図2中の矢印D参照)に並列に配置され、このコンベア31に敷かれた粉末化粧料12の上で棒状化粧料11を転動させることで、当該棒状化粧料11の外周側に粉末化粧料12を付着させる。なお、粉末化粧料12は、コンベア31の進行方向反対側の端部に配置された粉末収容部30に収容され、この粉末収容部30の下部からコンベア31上に供給される。ここで、本実施形態では、棒状化粧料11の外周側に粉末化粧料12を付着させる態様の一例として、棒状化粧料11の外周側の全周に粉末化粧料12を付着させる態様を例示するが、粉末化粧料12は棒状化粧料11の外周側全周のみならず、例えば棒状化粧料11の外周側の一部に付着されていてもよい。
【0039】
具体的には、第2工程では、コンベア31の途中に、コンベア31の上側に対向するかたちで、コンベア31により搬送される棒状化粧料11が接触可能な間隔Xをもって押さえ治具32が設けられている。ここで、押さえ治具32は、コンベア31の進行方向に向かってコンベア31との間隔Xが徐々に拡大するように、傾斜した状態で配置されている。これにより、押さえ治具32は、コンベア31の進行方向反対側の端部において棒状化粧料11と接触し、かつコンベア31の進行方向の端部において棒状化粧料11(粉末付き棒状化粧料13)と接触しないようになっている。
【0040】
そして、この第2工程では、コンベア31の搬送中において棒状化粧料11が押さえ治具32の下を通過する際、押さえ治具32により棒状化粧料11に対して上側から押圧力が作用すると共に、コンベア31の移動に伴い棒状化粧料11に対して下側から棒状化粧料11の断面の接線方向(コンベア31の進行方向)に回転力(トルク)が発生することにより、棒状化粧料11がコンベア31上に敷かれた粉末化粧料12の上で自転する。この自転により、棒状化粧料11の外周側に粉末化粧料12が付着し、粉末付き棒状化粧料13が形成される。この形成された粉末付き棒状化粧料13は、前記間隔Iと同様の間隔でコンベア31によって搬送され、コンベア31の下流側端部に隣接して下り傾斜状に設けられた傾斜板33の上を転がり、次々に排出トレー34へと排出される。
【0041】
図3は、本実施形態に係る多色化粧料の製造方法の第3工程の概略図であり、粉末付き棒状化粧料13及び粉末付き単位化粧料14の斜視図を示している。
【0042】
図3に示すように、多色化粧料の製造方法の第3工程(化粧料切断工程)では、前記第2工程において排出トレー34に排出された粉末付き棒状化粧料13が、カッターCTによりそれぞれ所定の長さL2に細切れに切断され、粉末付き単位化粧料14が形成される。なお、前記「所定の長さL2」については、収容皿40の周壁402の高さよりも高く、かつ後述するプレス成型及び表面カットの作業を経て収容皿40の周壁402と同じ高さになるような大きさに設定されている。
【0043】
また、本実施形態では、前記第3工程について、粉末付き棒状化粧料13を、当該粉末付き棒状化粧料13の長軸方向に直交する方向に沿って切断する態様を例示しているが、本発明は、当該態様に限定されるものではなく、製造する固形化粧料の柄や模様に応じて任意の方向に切断することができる。換言すれば、前記第3工程では、粉末付き棒状化粧料13を、当該粉末付き棒状化粧料13の長軸方向に対して非直角に交差する方向に切断してもよく、また、当該粉末付き棒状化粧料13の長軸方向に平行に切断してもよい。
【0044】
図4は、本発明の第1実施形態に係る多色化粧料の製造方法の第4工程の概略を示す図であって、(a)は平面図、(b)は同図(a)のA-A線に沿って切断した断面図を示している。
【0045】
図4に示すように、多色化粧料の製造方法の第4工程(化粧料配置工程)では、まず、概ね厚板状をなすホルダ部材41の中央部上面に設けられた円形の凹部410に鉛直上側へ開口する収容皿40がセットされ、このセットされた収容皿40の内側に、鉛直上側から仕切り430を具備する治具43が挿入される。治具43は、一端側から他端側に向かって段差状に縮径するように形成されていて、先端側に最小径状に形成され、収容皿40の内側に挿入可能な挿入部431と、基端側に大径状に形成され、収容皿40の周壁402の上端部に着座する基部432と、が一体に形成されている。
【0046】
続いて、治具43の仕切り430によって形成された複数の挿入孔433を介して収容皿40に各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dがそれぞれ挿入され、当該各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dが所定の位置に位置決め配置される。そして、これら各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの位置決め配置が完了した後、収容皿40から治具43が取り外される。ここで、本実施形態では、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dを配置する作業について、作業者(人)が前記仕切り430を有する治具43を用いて各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dを手作業で配置する態様を例示している。
【0047】
換言すれば、この第4工程では、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dをロボット等により自動化して配置することも可能である。すなわち、収容皿40に配置する各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの配置をプログラムしておき、かかるプログラムに基づいてロボットが各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dを所定位置に位置決め配置することとしてもよい。なお、このロボット等を用いた自動化によって各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの位置決め配置を行う場合には、当該各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの位置決め配置に供する前記仕切り430を具備した治具43は不要であって、省略することが可能である。
【0048】
また、第4工程において、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dを位置決め配置した後に、例えば図示外のカメラによって各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの配置を撮影し、この撮影した画像に基づいて各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの配置の良否を判定するようにしてもよい。かかる判定手段を用いることによって、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの位置決め配置の精度を担保することが可能となり、化粧料1の歩留まりを向上させることができる。
【0049】
図5は、本発明の第1実施形態に係る多色化粧料の製造方法の第5工程以降の工程の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は同図(a)のB-B線に沿って切断した断面図を示している。
【0050】
図5に示すように、多色化粧料の製造方法の第5工程(プレス成型工程)では、まず、前記第4工程において各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dが位置決め配置された収容皿40が、プレス機5にセットされる。このプレス機5は、鉛直方向に沿って中央部に貫通形成された型収容部510を有する概ね円筒状に形成された固定型51と、固定型51の型収容部510内に摺動可能に収容される移動型52と、移動型52の鉛直下側に配置され、当該移動型52を鉛直上側に押圧するラムシリンダ53と、移動型52の鉛直上側に対向するように配置され、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの上端面に接触して当該単位化粧料14a,14b,14c,14dの上端面を押さえるプレスパッド54と、を備えている。
【0051】
続いて、収容皿40がプレス機5にセットされると、プレスパッド54が下降して各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの上端面に接触した後、ラムシリンダ53が上昇して移動型52が鉛直上側、すなわちプレスパッド54側へ押圧される。その結果、移動型52と共に収容皿40が上昇し、この収容皿40に位置決め配置された各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの全体がプレスパッド54との間に挟み込まれる。そして、このプレス作用により各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dが押しつぶされることによって、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dが横へと広がり、水平方向において各色の単位化粧料14a,14b,14c,14d同士が押し合うことによって、当該各色の単位化粧料14a,14b,14c,14d同士が密着して一体化する。これにより、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dが一体化してなる単位化粧料集合体15が形成される。
【0052】
ここで、第5工程では、各単位化粧料14をプレスパッド54に押圧するにあたり、各単位化粧料14とプレスパッド54の間に、紙製のシート部材STを挟むことが望ましい。このように、各単位化粧料14とプレスパッド54の間にシート部材STを挟むことにより、プレス時に各単位化粧料14がプレスパッド54に張り付くおそれがない。これにより、プレス後の単位化粧料集合体15の上面を滑らかに形成することができる。
【0053】
前記第5工程の完了後、化粧料の製造方法の第6工程(表面剥離工程)では、プレス作用により押しつぶされた単位化粧料集合体15の上端面を剥くようにカッターCTを水平方向に移動させることにより、単位化粧料集合体15の上端部が薄くカットされる。これにより、単位化粧料集合体15の断面が露出し、滑らかな表面を有する多色化粧料1が形成される。その後、エアシリンダ55が上昇して移動型52が鉛直上側に押し上げられ、収容皿40と共に多色化粧料1が排出されることにより、多色化粧料1の製造が完了する。
【0054】
(本実施形態の作用効果)
前記従来の多色化粧料の製造方法では、粉末付き棒状化粧料を得るにあたり、容器に充填された粉末化粧料の上で棒状化粧料を回転させるなど、粉末化粧料の付着作業を自動化することについて何ら考慮されていない点で、改善の余地が残されていた。
【0055】
これに対して、本実施形態に係る多色化粧料1の製造方法によれば、以下の作用効果が奏せられることにより、前記従来の多色化粧料の製造方法の課題を解決することができる。
【0056】
すなわち、本実施形態に係る多色化粧料1の製造方法によれば、第2工程である粉末付着工程において、棒状化粧料11に対しコンベア31と対向する側から押圧力が付与された状態で、コンベア31の移動に伴い棒状化粧料11がコンベア31上に敷かれた粉末化粧料12の上で自転することにより、棒状化粧料11に対する粉末化粧料12の付着作業を自動化することができる。これにより、多色化粧料1の生産性及び品質の向上を図ることができる。
【0057】
さらに、粉末化粧料12の上で棒状化粧料11を転動させて当該棒状化粧料11の外周面に粉末化粧料12を付着させることとしたため、粉末化粧料12を棒状化粧料11の外周側に満遍なく付着させることが可能となり、多色化粧料1の品質の向上に寄与することができる。
【0058】
また、本実施形態では、第2工程において、コンベア31の進行方向反対側の端部で棒状化粧料11と接触し、かつコンベア31の進行方向の端部で棒状化粧料11(粉末付き棒状化粧料13)と接触しないように、押さえ治具32を傾斜して配置することとした。このため、コンベア31の進行方向反対側の端部で粉末化粧料12を付着させた粉末付き棒状化粧料13をコンベア31の進行方向に円滑に搬送することが可能となる。これにより、粉末化粧料12を付着させた後に粉末付き棒状化粧料13が押さえ治具32と接触して粉末化粧料12が減少することが抑制され、十分な粉末化粧料12が付着した粉末付き棒状化粧料13を得ることができる。
【0059】
(変形例)
図6は、本発明に係る多色化粧料の製造方法の第1実施形態の変形例を示し、多色化粧料の製造方法の第4工程で使用する治具の構成を示す断面図を示している。また、
図7は、本変形例に係る多色化粧料の製造方法の第5工程以降の工程を示す図であり、(a)は平面図、(b)は同図(a)のC-C線に沿って切断した断面図を示している。
【0060】
図6に示すように、本変形例では、多色化粧料の製造方法の第4工程において、ホルダ部材41の中央部の上面に形成された凹部410に収容皿40がセットされ、このセットされた収容皿40の外周側に、内側に収容皿40を受容可能な貫通孔420を有する概ね円環状のサイドリング42が配置される。その後、このサイドリング42の貫通孔420を介して鉛直上側から仕切り430を具備する治具43が挿入され、この治具43の仕切り430によって形成された複数の挿入孔433を介して収容皿40に各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dが位置決め配置される。そして、この各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの位置決め配置が完了した後、収容皿40から治具43が取り外される。
【0061】
ここで、サイドリング42は、貫通孔420が段差径状に形成されていて、当該貫通孔420は、収容皿40との対向端部に設けられ、収容皿40の周壁402の外周側を保持する大径部421と、大径部421に対して段差縮径状に形成され、収容皿40の周壁402の内径を延長する小径部422と、大径部421と小径部422との間に形成され、収容皿40の周壁402の上端部に着座可能な段部423と、を有する。
【0062】
また、治具43は、一端側から他端側に向かって段差状に縮径するように形成されていて、先端側に最小径状に形成され、収容皿40の内側に挿入可能な挿入部431と、基端側に大径状に形成され、サイドリング42の上端面に着座する基部432と、が一体に形成されている。
【0063】
続いて、
図7に示すように、本変形例では、前記第5工程において、ホルダ部材41の凹部410に載置され、かつサイドリング42によって保持された収容皿40に対して予備プレスパッド44が下降して、当該予備プレスパッド44の先端部がサイドリング42の貫通孔420内に挿入されることにより、いわゆる予備プレスとして収容皿40に位置決め配置された各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dが比較的浅く押圧される。具体的には、前記位置決め配置後の各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dが互いに接触可能な程度に押圧されることにより、当該予備プレスが完了する。そして、この予備プレスが完了した後、サイドリング42が取り外され、収容皿40がホルダ部材41より離脱して、プレス機5にセットされる。なお、プレス機5の構成については、前記第1実施形態と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0064】
次に、収容皿40がプレス機5にセットされると、プレスパッド54が下降して各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの上端面に接触した後に、ラムシリンダ53が上昇して移動型52がプレスパッド54側へ押圧される。これにより、前記予備プレスが施された各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dの全体がプレスパッド54との間に挟み込まれ、当該プレス作用によって押しつぶされることで、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dがさらに横へと広がり、当該各色の単位化粧料14a,14b,14c,14d同士が密着して一体化する。その結果、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dが一体化してなる単位化粧料集合体15が形成される。なお、第5工程では、前記第1実施形態と同様に、各単位化粧料14a,14b,14c,14dとプレスパッド54の間に、紙製のシート部材STを挟むことが望ましい。
【0065】
続いて、前記第5工程の完了後は、多色化粧料の製造方法の第6工程では、前記第5工程で形成された単位化粧料集合体15の上端部が、カッターCTにより薄くカットされる。これにより、単位化粧料集合体15の断面が露出する。続いて、前記第6工程の完了後は、多色化粧料の製造方法の第7工程(仕上げプレス工程)では、前記第6工程で露出された単位化粧料集合体15の断面がプレスパッド54により僅かに押圧され、当該単位化粧料集合体15の断面が仕上げプレスされる。これにより、前記カッターCTによって露出された断面よりも滑らかな表面を有する多色化粧料1が形成される。その後、エアシリンダ55が上昇して移動型52が鉛直上側へと押し上げられて、収容皿40と共に多色化粧料1が排出されることにより、多色化粧料1の製造が完了する。
【0066】
以上のように、本変形例では、第5工程において、プレス成型を行う前に、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dを比較的浅く押圧する、予備成型を行うこととしている。このように、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dを2段階でプレス成型することにより、当該各色の単位化粧料14a,14b,14c,14dが段階的に押圧されることとなり、各色の単位化粧料14a,14b,14c,14d同士がより馴染みやすく、当該各色の単位化粧料14a,14b,14c,14d同士を良好に密着させることが可能となる。その結果、多色化粧料1の品質をさらに向上させることができる。
【0067】
また、本変形例では、前記第6工程の後、露出させた単位化粧料集合体15の断面を、仕上げプレスにより押圧して表面を整えることとした。これにより、多色化粧料1の表面粗さがより滑らかなものとすることができ、多色化粧料1の使用感を向上させることができる。
【0068】
[第2実施形態]
(多色化粧料の製造方法の説明)
図8、
図9は、本発明に係る多色化粧料の製造方法の第2実施形態を示し、本実施形態は、前記第1実施形態における多色化粧料の製造方法の第2工程を変更したものである。なお、かかる変更点以外の各工程については、前記第1実施形態と同様であるため、本実施形態では、前記変更点のみについて説明し、前記第1実施形態と同一の工程については説明を省略する。
【0069】
図8は、本発明に係る多色化粧料の製造方法の第2実施形態を示し、多色化粧料の製造方法の第2工程の他例を表した粉末付着装置の平面図を示している。
図9は、
図8のD-D線に沿って切断した断面図であって、棒状化粧料11に対する粉末化粧料12の付着作業の具体的態様を示している。
【0070】
図8に示すように、本実施形態に係る多色化粧料の第2工程は、シートSPを配置するシート配置工程S1と、シートSPの上に粉末化粧料12を敷く粉末化粧料充填工程S2と、シートSP上に敷かれた粉末化粧料12の上に棒状化粧料11を配置する棒状化粧料配置工程S3と、シートSPを丸めることによって棒状化粧料11を粉末化粧料12の上で転動させて粉末付き棒状化粧料13を得る棒状化粧料転動工程S4と、得られた粉末付き棒状化粧料13を排出する粉末付き化粧料排出工程S5と、を有する。すなわち、
図8に示す粉末付着装置3は、概ね円形の回転可能なターンテーブル35を有し、当該ターンテーブル35上に、シート配置工程S1と、粉末化粧料充填工程S2と、棒状化粧料配置工程S3と、棒状化粧料転動工程S4と、粉末付き化粧料排出工程S5とが、矢印Dが示すターンテーブル35の回転方向(反時計方向)に配置される。
【0071】
シート配置工程S1では、ターンテーブル35上の第1角度位置(
図8中の4時方向の位置)に配置されたベースBSの上に、概ね矩形状のシートSPが配置される。ここで、シートSPは、化粧料(棒状化粧料11及び粉末化粧料12)が付着しにくい材質によって形成され、粉末付き棒状化粧料13の形成の妨げとならないように構成されている。
【0072】
粉末化粧料充填工程S2では、シート配置工程S1から反時計方向に回転した第2角度位置(
図8中の2時方向の位置)に位置するベースBSの上に配置されたシートSPの表面に、粉末化粧料12を敷き詰める。この際、粉末化粧料12は、第2角度位置においてターンテーブル35の上方に当該ターンテーブル35の径方向に沿って移動可能に設けられた粉末収容部30内に収容されていて、ターンテーブル35の径方向に沿って移動する粉末収容部30の下部からシートSPの表面に振りかけるように供給される。
【0073】
棒状化粧料配置工程S3では、粉末化粧料充填工程S2から反時計方向に回転した第3角度位置(
図8中の12時方向の位置)に位置するベースBS上のシートSPの表面に敷かれた粉末化粧料12の上に、棒状化粧料11を横たえるように配置する。この際、棒状化粧料11は、後工程にてシートSPを丸める方向に直交する方向、すなわちシートSPの幅方向に沿って配置される。なお、棒状化粧料11は、後工程においてシートSPを丸めて棒状化粧料11を転動させる方向と直交する方向に横たえて配置されていればよく、棒状化粧料11を横たえる方向については、粉末付着装置3の仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0074】
棒状化粧料転動工程S4では、棒状化粧料配置工程S3から反時計方向に回転した第4角度位置(
図8中の8時方向の位置)に位置するベースBS上に配置されたシートSPを、ターンテーブル35の径方向内側から外側へ向かって丸める。具体的には、
図8、
図9に示すように、シートSPのうち棒状化粧料11の長手方向に直交する方向の一端部(本実施形態ではターンテーブル35の径方向内側の端部)を、巻締機36により挟み込んで把持する(
図9(a)参照)。そして、当該シートSPの一端部を他端側へと折り返して(
図9(b)参照)、当該シートSPの一端部を他端側へ引くことにより(
図9(c)(d)参照)、棒状化粧料11を粉末化粧料12の上で転動させ、粉末付き棒状化粧料13を形成する。その後、把持されたシートSPの端部を一端側へ戻すようにシートSPを開いて(
図9(e)参照)、平面状のシートSPの中央部に粉末付き棒状化粧料13を存置する(
図9(f)参照)。
【0075】
粉末付き化粧料排出工程S5では、棒状化粧料転動工程S4から反時計方向に回転した第5角度位置(
図8中の6時方向の位置)に位置するベースBS上の粉末付き棒状化粧料13を排出する。この際、粉末付き棒状化粧料13は、ベースBS上に配置されたシートSPを介して粉末付き棒状化粧料13を排出することが望ましい。すなわち、シートSPを介して粉末付き棒状化粧料13を排出することで、粉末付き棒状化粧料13と共にシートSPについても排出することが可能となり、シートSPを別途排除する必要がなくなる。このため、次工程において直ちにベースBS上に新たなシートSPを配置することが可能となり、製造作業効率が良い。
【0076】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態によれば、粉末付着工程である第2工程において、粉末化粧料12が敷かれたシートSP上に棒状化粧料11を横たえて配置した後に、シートSPの一端部を他端側へ折り返して棒状化粧料11を粉末化粧料12の上で転動させることにより、棒状化粧料11に対する粉末化粧料12の付着作業を自動化することができる。これにより、多色化粧料1の生産性及び品質の向上を図ることができる。
【0077】
また、本実施形態では、粉末化粧料12の上で棒状化粧料11を転動させることによって粉末付き棒状化粧料13を得る。このため、棒状化粧料11の回転数(転動回数)を制御することにより、棒状化粧料11に対する粉末化粧料12の付着量を比較的容易に制御することができる。
【0078】
また、本実施形態では、シートSPを折り返すことによって粉末化粧料12の上で棒状化粧料11を転動させて粉末付き棒状化粧料13を得る。このため、棒状化粧料11は円柱形状のほか、例えば角柱形状であってもよく、棒状化粧料11の形状の自由度を高めることができる。
【0079】
(変形例)
(1)本実施形態では、本発明の一例として、シートSP上に1種類(単層)の粉末化粧料12を敷いておき、当該1種類(単層)の粉末化粧料12の上で棒状化粧料11を転動させて巻き締める態様を例示したが、当該実施態様に限定されるものではない。換言すれば、他例として、予めシートSPの上に複数色の粉末化粧料12を層状に重ねて敷いておき、当該複数層の粉末化粧料12の上で棒状化粧料11を1転動させて巻き締めることによって、複数層の粉末化粧料12が付着した多色の粉末付き棒状化粧料13を作製してもよい。また、上記複数層の粉末化粧料12の上で棒状化粧料11を複数回転動させることによって、渦巻状をなす複数層の粉末化粧料12が付着した多色の粉末付き棒状化粧料13を作製することも可能である。
【0080】
(2)本実施形態では、本発明の一例として、シートSP上に敷かれた粉末化粧料12の上で単一(1色)の棒状化粧料11を転動させて巻き締める態様を例示したが、当該実施態様に限定されるものではない。換言すれば、他例として、シートSPに敷かれた粉末化粧料12の上で複数色の棒状化粧料11を配置し、当該複数色の棒状化粧料11をまとめて転動させて巻き締めることによって、いわゆる太巻きのように、内部に複数色の棒状化粧料11が包まれた粉末付き多色棒状化粧料を作製してもよい。
【0081】
[第3実施形態]
(多色化粧料の製造方法の説明)
図10、
図11は、本発明に係る多色化粧料の製造方法の第3実施形態を示し、本実施形態は、前記第1実施形態における多色化粧料の製造方法の第2工程を変更したものである。なお、かかる変更点以外の各工程については、前記第1実施形態と同様であるため、本実施形態では、前記変更点のみについて説明し、前記第1実施形態と同一の工程については説明を省略する。
【0082】
図10は、本発明に係る多色化粧料の製造方法の第3実施形態を示し、(a)は第2工程の側面図、(b)は第2工程の平面図を示している。
図11(a)は
図10(a)のE-E線断面図、
図11(b)は
図10(a)のF-F線断面図、
図11(c)は
図10(a)のG-G線断面図、
図11(d)は
図10(a)のH-H線断面図を、それぞれ示している。
【0083】
特に
図10に示すように、本実施形態に係る粉末付着装置3は、長手方向に沿って
図10中の矢印Dの方向に回転してなるコンベア31と、コンベア31の上流側の端部に設けられ、内部に粉末化粧料12を収容する第1粉末収容部301と、コンベア31の下流側に設けられ、粉末付き棒状化粧料13を形成する狭窄部37と、コンベア31の進行方向において第1粉末収容部301と狭窄部37の間に移動可能に設けられ、内部に粉末化粧料12を収容する第2粉末収容部302と、を有する。
【0084】
すなわち、本実施形態に係る多色化粧料の第2工程では、帯状のシートSVを長手方向に沿って
図10中の矢印Dの方向に回転させてなるコンベア31の上流側において、コンベア31の上面310に粉末化粧料12を敷き詰める。この際、粉末化粧料12は、コンベア31の進行方向反対側の端部(コンベア31の上流側端部)に配置された第1粉末収容部301内に収容されていて、当該第1粉末収容部301の下部からコンベア31上に供給される。
【0085】
そして、コンベア31の上面に敷かれた粉末化粧料12の上にコンベア31の進行方向に沿って棒状化粧料11を配置した後に、この棒状化粧料11の上からさらに粉末化粧料12を振りかけて棒状化粧料11を粉末化粧料12の中に埋没させる。この際、棒状化粧料11の上から振りかける粉末化粧料12は、コンベア31の上方に当該コンベア31の進行方向反対側へ移動に可能に設けられた第2粉末収容部302内に収容され、コンベア31の進行方向反対側へ移動する当該第2粉末収容部302の下部からコンベア31上に供給される。
【0086】
その後、コンベア31の下流側に設けられた狭窄部37において、コンベア31の幅方向両側部を重ねるように当該コンベア31の幅方向両側を丸め込むことによって、棒状化粧料11の外周側に粉末化粧料12が付着する。狭窄部37は、コンベア31の進行方向に沿って貫通する概ね円形の貫通孔370をするトンネル状を呈し、コンベア31が貫通孔370を通過することによってコンベア31の幅方向両側を丸めるように構成されている。
【0087】
具体的には、
図11(a)(b)に示すように、粉末化粧料12に埋没した棒状化粧料11を載せたコンベア31の幅方向両側が、狭窄部37に向かって徐々に丸められる。そして、狭窄部37において、
図11(c)に示すように、コンベア31の幅方向両端部が重なることにより、棒状化粧料11の外周側が横断面ほぼ円形となるように丸められたコンベア31により完全に包囲される。その結果、コンベア31の上面に敷き詰められた粉末化粧料12が、棒状化粧料11の外周側に概ね均一に付着し、粉末付き棒状化粧料13が形成される。
【0088】
なお、上記狭窄部37では、コンベア31を丸めて棒状化粧料11及び粉末化粧料12を包囲する際、棒状化粧料11を包囲する粉末化粧料12に適度な押圧力F(
図11(c)参照)を作用させることが望ましい。かかる押圧力Fを作用させることにより、棒状化粧料11の外周側に付着した粉末化粧料12が適度に押し固められる。その結果、当該粉末化粧料12の脱落が抑制され、粉末付き棒状化粧料13の形態の安定化を図ることができる。
【0089】
狭窄部37を通過すると、コンベア31の幅方向両側の丸め込みが徐々に解放されていき、コンベア31の下流側端部において、
図11(d)に示すように、コンベア31の中央部に、粉末付き棒状化粧料13が残存する。すなわち、狭窄部37の下流側では、コンベア31の上流側において当該コンベア31の上面に敷き詰められていた粉末化粧料12の大概が棒状化粧料11の外周側に付着することとなり、コンベア31の下流側端部では、コンベア31の上面に粉末付き棒状化粧料13のみが残存する。なお、コンベア31の下流側端部に残存した粉末付き棒状化粧料13は、例えばコンベア31の下流側端部に隣接して配置される図示外の排出用コンベア等によって排出される。
【0090】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態によれば、粉末付着工程である第2工程において、粉末化粧料12が敷き詰められたコンベア31(シートSV)上にコンベア31の進行方向に沿って棒状化粧料11を配置し、当該棒状化粧料11の上からさらに粉末化粧料12を振りかけることによって棒状化粧料11を粉末化粧料12に埋没させた後、コンベア31の下流側に設けられた狭窄部37において、コンベア31の幅方向両端部を重ねるように当該コンベア31の幅方向両側を丸め込むことで、棒状化粧料11に対する粉末化粧料12の付着作業を自動化することができる。これにより、多色化粧料1の生産性及び品質の向上を図ることができる。
【0091】
また、本実施形態では、コンベア31の進行方向に沿って棒状化粧料11を配置する。このため、比較的長尺の棒状化粧料11に対して粉末化粧料12を付着させることが可能となる。その結果、比較的長尺の粉末付き棒状化粧料13を得て、後に必要な単位長さに裁断することが可能となるため、単位化粧料14の製造作業効率が良い。
【0092】
[第4実施形態]
(多色化粧料の製造方法の説明)
図12、
図13は、本発明に係る多色化粧料の製造方法の第4実施形態を示し、本実施形態は、前記第1実施形態における多色化粧料の製造方法の第2工程を変更したものである。なお、かかる変更点以外の各工程については、前記第1実施形態と同様であるため、本実施形態では、前記変更点のみについて説明し、前記第1実施形態と同一の工程については説明を省略する。
【0093】
図12は、本発明に係る多色化粧料の製造方法の第4実施形態を示し、(a)は第2工程の側面図、(b)は第2工程の平面図を示している。
図13は、
図12(a)のI-I線に沿って切断した断面図を示している。
【0094】
特に
図12に示すように、本実施形態に係る粉末付着装置3は、長手方向に沿って
図12中の矢印Dの方向に回転してなるコンベア31と、コンベア31の上流側の端部に設けられ、内部に粉末化粧料12を収容する第1粉末収容部301と、コンベア31の下流側に設けられ、粉末付き棒状化粧料13を形成する狭窄部38と、コンベア31の進行方向において第1粉末収容部301と狭窄部38の間に移動可能に設けられ、内部に粉末化粧料12を収容する第2粉末収容部302と、を有する。
【0095】
すなわち、本実施形態に係る多色化粧料の第2工程では、長手方向に沿って
図12中の矢印Dの方向に回転してなるコンベア31の上流側において、コンベア31の上面310に粉末化粧料12を敷き詰める。この際、粉末化粧料12は、コンベア31の進行方向反対側の端部(コンベア31の上流側端部)に配置された第1粉末収容部301の内部に収容されていて、当該第1粉末収容部301の下部からコンベア31上に供給される。
【0096】
そして、コンベア31の上面に敷かれた粉末化粧料12の上にコンベア31の進行方向に沿って棒状化粧料11を配置した後に、この棒状化粧料11の上からさらに粉末化粧料12を振りかけて棒状化粧料11を粉末化粧料12の中に埋没させる。この際、棒状化粧料11の上から振りかける粉末化粧料12は、コンベア31の上方に当該コンベア31の進行方向反対側へ移動に可能に設けられた第2粉末収容部302内に収容され、コンベア31の進行方向反対側へ移動する当該第2粉末収容部302の下部からコンベア31上に供給される。
【0097】
その後、コンベア31の下流側に設けられた狭窄部38において、棒状化粧料11の外周側に付着する粉末化粧料12を削ぎ落とすことにより、粉末付き棒状化粧料13を形成する。狭窄部38は、コンベア31と逆方向に回転するローラ380により構成される。
【0098】
本実施形態では、ローラ380は、コンベア31の幅方向外側へ凹む概ね円弧状の凹円弧面381a,382aが形成された一対の第1ローラ381及び第2ローラ382がコンベア31の幅方向に対向して配置され、かつ支持軸385によって連結されて一体化されることにより構成される。なお、凹円弧面381a,382aは、粉末付き棒状化粧料13の外径に対応する所定の曲率Rに設定される。第1ローラ381と第2ローラ382は、それぞれ外側縁部381b,382bがコンベア31の上面310に摺接(又は近接)するように配置されていて、支持軸385を介して回転駆動され、協働してコンベア31との間に当該コンベア31の進行方向(
図12中の矢印D参照)に沿って貫通する概ね半円状の隙間(トンネル)Cを形成する。
【0099】
具体的には、
図12、
図13に示すように、支持軸385により連結された第1ローラ381と第2ローラ382とが一体に(同期して)回転することにより、コンベア31によって搬送される粉末化粧料12に埋もれた棒状化粧料11が第1ローラ381と第2ローラ382との隙間Cを通過することに伴い、前記隙間Cに対応する概ね半円状の横断面を有する粉末付き棒状化粧料13が形成される。
【0100】
なお、この際、第1ローラ381と第2ローラ382からなるローラ380には、コンベア31側へ向けて押圧力(付勢力)Fが付与され、粉末付き棒状化粧料13を外周側から加圧することが望ましい。このように、ローラ380に対し押圧力Fを付与して粉末付き棒状化粧料13を外周側から加圧することにより、棒状化粧料11の外周側に付着した粉末化粧料12が押し固められる。その結果、当該粉末化粧料12の脱落が抑制され、粉末付き棒状化粧料13の形態の安定化を図ることができる。
【0101】
狭窄部38を通過すると、当該狭窄部38の下流側では、コンベア31の幅方向両側に粉末化粧料12が積もった状態で、コンベア31の中央部に、前記隙間Cの形状にかたどられた粉末付き棒状化粧料13が残存する。すなわち、狭窄部38の下流側では、棒状化粧料11の外周側に付着する余分な粉末化粧料12が削ぎ落とされ、棒状化粧料11の外周側に適量の粉末化粧料12が付着した粉末付き棒状化粧料13が残存する。なお、狭窄部38の下流側に形成された粉末付き棒状化粧料13については、例えばコンベア31の下流側端部に隣接して配置される図示外の排出用コンベア等によって排出される。
【0102】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態によれば、粉末付着工程である第2工程において、粉末化粧料12が敷かれたコンベア31上にコンベア31の進行方向に沿って棒状化粧料11を配置し、当該棒状化粧料11の上からさらに粉末化粧料12を振りかけることによって棒状化粧料11を粉末化粧料12に埋没させた後、コンベア31の下流側に設けられた狭窄部38において、ローラ380(第1ローラ381及び第2ローラ382)とコンベア31との隙間Cに粉末化粧料12に埋もれた棒状化粧料11を通過させることで、棒状化粧料11に対する粉末化粧料12の付着作業を自動化することができる。これにより、多色化粧料1の生産性及び品質の向上を図ることができる。
【0103】
また、本実施形態では、粉末化粧料12に埋没した棒状化粧料11をローラ380(第1ローラ381及び第2ローラ382)の隙間Cに通すだけでよい。このため、棒状化粧料11に対する粉末化粧料12の付着作業の自動化を比較的容易に実現することができる。
【0104】
さらに、本実施形態では、コンベア31の進行方向に沿って棒状化粧料11を配置する。このため、比較的長尺の棒状化粧料11に対して粉末化粧料12を付着させることが可能となる。その結果、比較的長尺の粉末付き棒状化粧料13を得て、後に必要な単位長さに裁断することが可能となるため、単位化粧料14の製造作業効率が良い。
【0105】
また、本実施形態では、粉末付き棒状化粧料13を得るにあたり、粉末化粧料12の中に埋没させた棒状化粧料11をコンベア31に対向して配置された一対の第1ローラ381及び第2ローラ382との隙間Cに通すだけでよく、例えば後述する変形例のように、狭窄部38の通過時において棒状化粧料11をコンベア31から浮かせる(
図14(b)参照)必要がない。これにより、棒状化粧料11に対する粉末化粧料12の付着作業を比較的容易に行うことができる。
【0106】
(変形例)
図14は、本発明の第4実施形態に係る多色化粧料の製造方法の変形例を示し、(a)は第2工程の平面図、(b)は同図(a)のJ-J線断面図を示している。
【0107】
図14に示すように、本変形例では、前記第4実施形態に係る狭窄部38が、コンベア31の幅方向に対向して配置される左右一対の左側ローラ383及び右側ローラ384によって構成される。この左側ローラ383及び右側ローラ384は、それぞれ前記第4実施形態で開示した、支持軸385を介して連結された一対の第1ローラ381及び第2ローラ382により構成されていて、コンベア31の幅方向外側へ凹む概ね半円状の凹円弧面383a,384aを有し、両ローラ383,384間にコンベア31の進行方向(
図14中の矢印D参照)に沿って貫通する概ね円形状の隙間(トンネル)Cを形成する。なお、凹円弧面383a,384aは、それぞれ第1ローラ381の凹円弧面381aと第2ローラ382の凹円弧面382aとを組み合わせてなるものであり、粉末付き棒状化粧料13の外径に対応する所定の曲率Rを有する。
【0108】
具体的には、
図14に示すように、左側ローラ383と右側ローラ384とがコンベア31の進行方向に沿って互いに逆方向に回転することにより、コンベア31によって搬送される粉末化粧料12に埋もれた棒状化粧料11が左側ローラ383と右側ローラ384との隙間Cを通過することに伴い、前記隙間Cに対応する概ね円形の横断面を有する粉末付き棒状化粧料13が形成される。
【0109】
なお、この際、左側ローラ383及び右側ローラ384には、相互に押圧力(付勢力)Fが付与され、粉末付き棒状化粧料13を外周側から加圧することが望ましい。このように、左側ローラ383及び右側ローラ384に対し押圧力Fを付与して粉末付き棒状化粧料13を外周側から加圧することにより、棒状化粧料11の外周側に付着した粉末化粧料12が押し固められる。その結果、当該粉末化粧料12の脱落が抑制され、粉末付き棒状化粧料13の形態の安定化を図ることができる。
【0110】
以上のように、本変形例によれば、粉末付き棒状化粧料13を得るにあたり、粉末化粧料12に埋没させた棒状化粧料11を、コンベア31の幅方向に対向配置された一対のローラ383,384により形成される概ね円形の隙間Cに通すことにより、断面円形の粉末付き棒状化粧料13を直接得ることができる。換言すれば、例えば前記第4実施形態によって得られる断面半円状の粉末付き棒状化粧料13の外形を断面円形に修正する必要がなく、断面円形の粉末付き棒状化粧料13を効率的に形成することができる。
【0111】
本発明は、前記各実施形態で例示した構成や態様に限定されるものではなく、前述した本発明の作用効果を奏し得るような形態であれば、適用対象の仕様やコスト等に応じて自由に変更可能である。
【0112】
特に、多色化粧料1の彩色については、前記各実施形態等で例示した4色に限定されず、2色以上の複数色であれば、多色化粧料1に形成される柄や模様に応じて任意に変更可能である。
【0113】
また、前記第2工程(粉末付着工程)では、本発明に係る多色化粧料の製造方法の一例として、棒状化粧料11の外周側に単層(一層)の粉末化粧料12を付着させる態様を例示しているが、本発明は、当該実施態様、すなわち棒状化粧料11の外周側に単層(一層)の粉末化粧料12を付着させる態様に限定されるものではない。換言すれば、粉体付き棒状化粧料13を作製した後に、使用する粉末化粧料12を変更(例えば色など)し、再度上記実施形態に示す付着方法によって粉体付き棒状化粧料13の外周側にさらに粉末化粧料12を付着させることにより、同心円状に多層の粉末化粧料12が付着した多色粉体付き棒状化粧料を作製してもよい。
【0114】
また、前記第3工程で行われる棒状化粧料11の切断作業については、前記各実施形態で例示した各色の単位化粧料14a,14b,14c,14d毎に切断する態様に限られず、例えば粉末付き棒状化粧料13を束ねて筒状の容器に収容し、この束ねた粉末付き棒状化粧料13の集合体を切断することによって、板状の多色化粧料バルクを形成してもよい。この場合、得られた多色化粧料バルクを収容皿40に収容して直ちにプレス機5にかけることが可能となるため、多色化粧料1の生産性向上に供する。
【0115】
また、前記第4工程において複数の粉末付き単位化粧料14を位置決め配置する手段については、前記各実施形態において例示した仕切り430を有する治具43を用いてもよく、また、ロボット等により自動化してもよい。
【0116】
また、本発明の前記第1実施形態及び第2実施形態では、単色の粉末化粧料12を敷いたコンベア31又はシートSPの上で棒状化粧料11を転動させる態様を例示したが、本発明は、当該実施態様に限定されるものではない。換言すれば、前記第1実施形態及び第2実施形態の他例として、コンベア31又はシートSPの上に複数色の粉末化粧料12を縞状に敷き、当該縞状に敷かれた粉末化粧料12の上で棒状化粧料11を転動させることによって、棒状化粧料11の外周側にいわゆる横縞(ボーダー)状の複数色の粉末化粧料12が付着した粉末付き棒状化粧料13を作製してもよい。
【0117】
なお、上記第1、第2実施形態の他例にて、複数色の粉末化粧料12を縞状に敷くにあたり、当該複数色の粉末化粧料12を棒状化粧料11の転動方向に直角に敷いてなる前記横縞(いわゆるボーダー)状のほか、例えば当該複数色の粉末化粧料12を棒状化粧料11の転動方向に対して斜めに敷いて棒状化粧料11を転動させることによって、棒状化粧料11の外周側に斜め縞状の粉末化粧料12が付着した粉末付き棒状化粧料13を作製することも可能である。換言すれば、コンベア31又はシートSPの上に複数色の粉末化粧料12を任意の模様状に敷いて棒状化粧料11を転動させることによって、当該棒状化粧料11の外周側に任意の模様が形成された粉末化粧料12を付着させることができる。
【符号の説明】
【0118】
1…多色化粧料
11…棒状化粧料
12…粉末化粧料
13…粉末付き棒状化粧料
14…単位化粧料
14a…単位化粧料
14b…単位化粧料
14c…単位化粧料
14d…単位化粧料
15…単位化粧料集合体
2…押出成形機
21…スクリュ
3…粉末付着装置
30…粉末収容部
31…コンベア
32…押さえ治具
33…傾斜板
34…排出トレー
35…ターンテーブル
36…狭窄部
37…狭窄部
38…狭窄部
380…ローラ
381…第1ローラ
382…第2ローラ
383…第1ローラ
384…第2ローラ
41…ホルダ部材
42…サイドリング
43…治具
430…仕切り
5…プレス機
51…固定型
52…可動型
53…ラムシリンダ
54…プレスパッド
55…エアシリンダ
CT…カッター
C…隙間
SP…シート
SV…シート