(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-07
(45)【発行日】2025-03-17
(54)【発明の名称】コイル選択のためのシングルFET MUXスイッチ
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20250310BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20250310BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20250310BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/40
H02J50/80
(21)【出願番号】P 2024526693
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 US2022046342
(87)【国際公開番号】W WO2023080997
(87)【国際公開日】2023-05-11
【審査請求日】2024-05-31
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523257761
【氏名又は名称】アイディーケイ・エルエルシー・ディービーエー・インディー・セミコンダクター
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・リャオ
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0214852(US,A1)
【文献】国際公開第2014/096080(WO,A2)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0067324(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0005571(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
H02J 50/40
H02J 50/80
H02J 7/00
H03K 17/567
H03K 17/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、ワイヤレス充電器送信器を備え、前記ワイヤレス充電器送信器が、
多重送信コイルと関連付けられた多重分岐に電気結合されるドライバ回路であり、所与の分岐が、コンデンサ、単一の電界効果トランジスタ(FET)または単一の集積ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備えるマルチプレクサ(MUX)スイッチ、および所与の送信コイルを備え、またはそれらに電気結合するように構成される、ドライバ回路と、
前記所与の分岐における少なくとも前記MUXスイッチを選択的に作動させ、前記分岐の残りにおける残りのMUXスイッチを選択的に停止させる制御信号を前記分岐におけるFETまたは前記IGBTのゲートに提供するように構成される制御回路とを備え、前記ドライバ回路が、基本周波数成分を有する電気信号を使用して、前記作動された所与の分岐における前記所与の送信コイルを駆動することによってワイヤレス充電を行うように構成される、集積回路。
【請求項2】
前記コンデンサ、前記FETもしくは前記IGBT、または前記所与の送信コイルの1つまたは複数が前記集積回路の外部部品である、請求項1の集積回路。
【請求項3】
前記FETまたは前記IGBTが、前記集積回路と別々である第2の集積回路に含まれる、請求項1の集積回路。
【請求項4】
前記制御回路が、前記電気信号の振幅、前記基本周波数、またはそれらの両方を変化させることによって前記ワイヤレス充電を動的に調節するように構成される、請求項1の集積回路。
【請求項5】
前記ワイヤレス充電器送信器が、電子デバイスから前記ワイヤレス充電についてのフィードバックを受信するように構成され、前記動的調節が少なくとも部分的に前記フィードバックに基づく、請求項4の集積回路。
【請求項6】
前記フィードバックが、前記作動された所与の分岐における物理的部品を使用する通信チャネルを介してまたは帯域外通信チャネルを介して受信される、請求項5の集積回路。
【請求項7】
前記FETが、非導通状態では、第1の極性を有するコンデンサ電圧に対して前記所与の分岐における電流フローを遮断するように構成され、前記コンデンサが、前記基本周波数の既定のサイクル数の後に第2の極性を有するコンデンサ電圧に対して前記所与の分岐における電流フローを遮断するために前記FETのボディダイオードを充電およびバイアスするように構成される、請求項1の集積回路。
【請求項8】
前記制御信号が前記分岐の2つ以上におけるMUXスイッチを選択的に作動させる、請求項1の集積回路。
【請求項9】
前記MUXスイッチが前記FETまたは前記IGBTから成る、請求項1の集積回路。
【請求項10】
所与の制御信号および所与のFET状態に対して、前記FETのゲート-ソース電圧が時間の関数としてほぼ一定である、請求項1の集積回路。
【請求項11】
前記基本周波数が、ほぼ前記コンデンサの静電容量および前記所与の送信コイルのインダクタンスに対応する共振周波数である、請求項1の集積回路。
【請求項12】
電子デバイスであって、
ワイヤレス充電器送信器を備える集積回路を備え、前記ワイヤレス充電器送信器が、
多重送信コイルと関連付けられた多重分岐に電気結合されるドライバ回路であり、所与の分岐が、コンデンサ、単一の電界効果トランジスタ(FET)または単一の集積ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備えるマルチプレクサ(MUX)スイッチ、および所与の送信コイルを備え、またはそれらに電気結合するように構成される、ドライバ回路と、
前記所与の分岐における少なくとも前記MUXスイッチを選択的に作動させ、前記分岐の残りにおける残りのMUXスイッチを選択的に停止させる制御信号を前記分岐におけるFETまたは前記IGBTのゲートに提供するように構成される制御回路とを備え、前記ドライバ回路が、基本周波数成分を有する電気信号を使用して、前記作動された所与の分岐における前記所与の送信コイルを駆動することによってワイヤレス充電を行うように構成される、電子デバイス。
【請求項13】
前記コンデンサ、前記FETもしくは前記IGBT、または前記所与の送信コイルの1つまたは複数が前記集積回路の外部部品である、請求項12の電子デバイス。
【請求項14】
前記制御回路が、前記電気信号の振幅、前記基本周波数、またはそれらの両方を変化させることによって前記ワイヤレス充電を動的に調節するように構成される、請求項12の電子デバイス。
【請求項15】
前記ワイヤレス充電器送信器が、第2の電子デバイスから前記ワイヤレス充電についてのフィードバックを受信するように構成され、前記動的調節が少なくとも部分的に前記フィードバックに基づく、請求項14の電子デバイス。
【請求項16】
前記フィードバックが、前記作動された所与の分岐における物理的部品を使用する通信チャネルを介してまたは帯域外通信チャネルを介して受信される、請求項15の電子デバイス。
【請求項17】
前記FETが、非導通状態では、第1の極性を有するコンデンサ電圧に対して前記所与の分岐における電流フローを遮断するように構成され、前記コンデンサが、前記基本周波数の既定のサイクル数の後に第2の極性を有するコンデンサ電圧に対して前記所与の分岐における電流フローを遮断するために前記FETのボディダイオードを充電およびバイアスするように構成される、請求項12の電子デバイス。
【請求項18】
前記MUXスイッチが前記FETまたは前記IGBTから成る、請求項12の電子デバイス。
【請求項19】
ワイヤレス充電を行うための方法であって、
ワイヤレス充電器送信器によって、
多重送信コイルと関連付けられた多重分岐にドライバ回路を電気結合するステップであり、所与の分岐が、コンデンサ、単一の電界効果トランジスタ(FET)または単一の集積ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を備えるマルチプレクサ(MUX)スイッチ、および所与の送信コイルを備え、またはそれらに電気結合される、ステップと、
制御回路から、前記所与の分岐における少なくとも前記MUXスイッチを選択的に作動させ、前記分岐の残りにおける残りのMUXスイッチを選択的に停止させる制御信号を前記分岐におけるFETまたは前記IGBTのゲートに提供するステップと、
前記ドライバ回路を使用して、基本周波数成分を有する電気信号を使用して、前記作動された所与の分岐における前記所与の送信コイルを駆動することによって前記ワイヤレス充電を行うステップとを含む、方法。
【請求項20】
前記方法が、電子デバイスから前記ワイヤレス充電についてのフィードバックを受信するステップを含み、動的調節が少なくとも部分的に前記フィードバックに基づく、請求項19の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレス充電器送信器を使用するワイヤレス充電のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
大面積をカバーするために、ワイヤレス充電器送信器は、多重送信コイルを含んでもよい。一部のワイヤレス充電器送信器では、送信コイルは、各々変圧器の半分として機能しており、時に「ハーフブリッジドライバ」と称される。しかしながら、ワイヤレス充電器送信器に電子デバイス(セルラ電話など)が置かれると、送信コイルのサブセットだけが使用されてもよい。典型的には、ワイヤレス充電器送信器は、所与のスイッチングサイクルにおいて電力ドライバによって駆動される1つまたは複数の送信コイルを選択するためにマルチプレクサ(MUX)スイッチ(時に「コイル選択MUXスイッチ」と称される)を使用する。とりわけ、有効である送信コイルのサブセットは、コンデンサおよびハーフまたはフルブリッジ電力ドライバを含んでもよい、周囲のネットワークに、プリント回路板トレースおよび/またはMUXスイッチによって(更に、より一般的に、低インピーダンス経路によって)接続または電気結合されてもよい。(各有効コイルが1つの関連したコンデンサおよび関連したハーフまたはフルブリッジドライバを有してもよいことに留意されたい。
図1および
図2においては、既存のワイヤレス充電器送信器の回路図および回路モデルを提示しており、所与の時間に1つのコイルだけが有効であるので、単一のコンデンサがある。)その上、残りの送信コイルは無効化されてもよい。例えば、無効化された送信コイルは開回路でもよいので、それらに電流はほとんどまたは全く流れない。
【0003】
更には、電界効果トランジスタ(FET)が寄生ボディダイオードのため1つの方向に電流を遮断することができるだけでもよいので、単一のFETでは、通常MUXスイッチを実装するには不十分である。とりわけ、NFETにとって、事実上FETと並列にソースからドレインの順方向でのボディダイオードがあり得る。結果的に、たとえゲートがソースに短絡されても、依然としてボディダイオードを介してソースからドレインに電流が流れ得る。
【0004】
したがって、多くの既存のワイヤレス充電器送信器が、バックツーバックFETを使用してMUXスイッチを実装する。これは
図1に図示される。とりわけ、
図1において、NMOS MUXスイッチの各々は、2つのバックツーバックFETを含んでもよい。ゲートがソースに短絡されると、2つのバックツーバックFETの各々はオフでもよい。その上、2つのバックツーバックFETと関連付けられた2つのボディダイオードは、両方向に電流を遮断し得る。
【0005】
しかしながら、
図1に図示されるアーキテクチャは、しばしば幾つかの欠点を有する。とりわけ、2つのFETが使用されるので、ワイヤレス充電器送信器のコストが増加される。その上、直列の2つのFETは、MUXスイッチのドレイン-ソースオン抵抗を2倍にし得るため、システム電力効率を低下させ得る。
【0006】
追加的に、両FETをオフに保つために、ゲート電圧は、ソース電圧に追従する必要があり得る。しかしながら、たとえ一対のバックツーバックFETがオフでも、依然としてそれらに流れる小電流があるであろう。例えば、無効化されたコイルが、有効コイルへの相互結合のために、それにわたる電圧を有し得るため、小電流に至り得る。結果的に、ソース電圧が通常グランドと同じでないので、多くの既存のワイヤレス充電器送信器におけるレベルシフタネットワークが、各対のバックツーバックFETを制御するためにグランド参照制御信号をゲート-ソース参照領域にレベルシフトするフローティング駆動回路を含んでもよい。
【0007】
既存のワイヤレス充電器送信器のこれらの制限が
図2に図示される。
図2において、既存のワイヤレス充電器送信器は、2つの送信コイルを含む。V1は、128kHzで、50%デューティサイクルで、および25Vピークツーピーク方形波波形で電圧を出力するハーフブリッジドライバをモデル化している。その上、Lp1は、有効でない送信コイルをモデル化し、Lp2は、有効である/接続されている送信コイルをモデル化している。各対のバックツーバックNFET(M1およびM2またはM3およびM4など)がMUXスイッチを表すことに留意されたい。更には、V_ctrl_1およびV_ctrl_2は、5V領域における制御電圧(例えば、5V汎用入出力(I/O)から発生される)をモデル化しており、E1およびE2は、2の利得を有する電圧制御電圧源である。これらの電圧制御電圧源は、MUXスイッチをオンおよびオフするレベルシフタおよび駆動ネットワークをモデル化している。
【0008】
図3は、
図1の既存のワイヤレス充電器送信器においてシミュレートされた定常電気波形を提示する。
図3において、Lp1を通る電流がLp2を通る電流より非常に小さいことに留意されたい。その上、切断された分岐におけるMUXスイッチのゲートおよびソース電圧は、128kHzの周波数でサイクルによって数十ボルトも変動する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
集積回路の実施形態が記載される。本集積回路は、ワイヤレス充電器送信器を含み、ワイヤレス充電器送信器は、多重送信コイルと関連付けられた多重分岐に電気結合されるドライバ回路を含む。所与の分岐が、コンデンサ、単一のFETまたは単一の集積ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を含むMUXスイッチ、および所与の送信コイルを含み、またはそれらに電気結合する。その上、ワイヤレス充電器送信器は、所与の分岐における少なくともMUXスイッチを選択的に作動させ、分岐の残りにおける残りのMUXスイッチを選択的に停止させる制御信号を分岐におけるFETまたはIGBTのゲートに提供する制御回路を含む。更には、ドライバ回路は、基本周波数成分を有する電気信号を使用して、作動された所与の分岐における所与の送信コイルを駆動することによってワイヤレス充電を行う。
【0010】
コンデンサ、FETもしくはIGBT、および/または所与の送信コイルの1つまたは複数が集積回路の外部部品でもよいことに留意されたい。
【0011】
その上、FETまたはIGBTは、集積回路と別々である第2の集積回路に含まれてもよい。
【0012】
更には、制御回路は、電気信号の振幅、および/または基本周波数を変化させることによってワイヤレス充電を動的に調節してもよい。追加的に、ワイヤレス充電器送信器は、電子デバイスからワイヤレス充電についてのフィードバックを受信してもよく、動的調節は、少なくとも部分的にフィードバックに基づいてもよい。一部の実施形態において、フィードバックは、作動された所与の分岐における物理的部品を使用する通信チャネルを介しておよび/または帯域外通信チャネルを介して受信されてもよい。
【0013】
FETが、非導通状態では、第1の極性を有するコンデンサ電圧に対して所与の分岐における電流フローを遮断してもよく、コンデンサが、基本周波数の既定のサイクル数の後に第2の極性を有するコンデンサ電圧に対して所与の分岐における電流フローを遮断するためにFETのボディダイオードを充電およびバイアスしてもよいことに留意されたい。
【0014】
その上、制御信号は、分岐の2つ以上におけるMUXスイッチを選択的に作動させてもよい。
【0015】
更には、MUXスイッチは、FETまたはIGBTを含むだけでもよい。
【0016】
追加的に、所与の制御信号および所与のFET状態に対して、FETのゲート-ソース電圧が時間の関数としてほぼ一定でもよい。
【0017】
一部の実施形態において、基本周波数は、ほぼコンデンサの静電容量および所与の送信コイルのインダクタンスに対応する共振周波数でもよい。
【0018】
別の実施形態は、集積回路を含む電子デバイスを提供する。
【0019】
別の実施形態は、集積回路を含むシステムを提供する。
【0020】
別の実施形態は、ワイヤレス充電を行うための方法を提供する。本方法は、ワイヤレス充電器送信器によって行われる動作の少なくとも一部を含む。
【0021】
この「発明の概要」は、本明細書に記載される対象の一部の態様の基本的な理解を提供するように、一部の例証的な実施形態を例示する目的で設けられる。したがって、上記の特徴が例であり、いかなる形であれ本明細書に記載される対象の範囲または趣旨を狭めると解釈されるべきでないことが認識されるであろう。本明細書に記載される対象の他の特徴、態様および利点は、以下の「発明を実施するための形態」、「図面」および「特許請求の範囲」から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】既存のワイヤレス充電器送信器の回路図を例示するブロック図である。
【
図2】既存のワイヤレス充電器送信器の回路モデルを例示するブロック図である。
【
図3】
図1の既存のワイヤレス充電器送信器においてシミュレートされた定常電気波形を例示する図面である。
【
図4】本開示の一部の実施形態に係るワイヤレス充電器送信器の一例を例示するブロック図である。
【
図5】本開示の一部の実施形態に係る
図4のワイヤレス充電器送信器の回路モデルの一例を例示するブロック図である。
【
図6】本開示の一部の実施形態に係る
図4のワイヤレス充電器送信器においてシミュレートされた定常電気波形を例示する図面である。
【
図7】本開示の一部の実施形態に係る
図4のワイヤレス充電器送信器におけるコンデンサのシミュレートされた電気波形を例示する図面である。
【
図8】本開示の一部の実施形態に係るワイヤレス充電を行うための方法の一例を例示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
同様の参照数字が図面を通して対応する部品を指すことに留意されたい。その上、同じ部品の複数インスタンスが、ダッシュによってインスタンス番号から分離される共通のプレフィックスによって示される。
【0024】
集積回路が記載される。本集積回路は、ワイヤレス充電器送信器を含んでもよく、ワイヤレス充電器送信器は、多重送信コイルと関連付けられた多重分岐に電気結合されるドライバ回路を含む。所与の分岐が、コンデンサ、単一の電界効果トランジスタ(FET)または単一の集積ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を含むマルチプレクサ(MUX)スイッチ、および所与の送信コイルを含んでもよく、またはそれらに電気結合されてもよい。一部の実施形態において、MUXスイッチは、FETまたはIGBTを含むだけでもよい。その上、ワイヤレス充電器送信器は、所与の分岐における少なくともMUXスイッチを選択的に作動させ、分岐の残りにおける残りのMUXスイッチを選択的に停止させる制御信号を分岐におけるFETまたはIGBTのゲートに提供する制御回路を含んでもよい。更には、ドライバ回路は、基本周波数成分を有する電気信号を使用して、作動された所与の分岐における所与の送信コイルを駆動することによってワイヤレス充電を行ってもよい。
【0025】
所与のMUXスイッチに単一のFETまたは単一のIGBTを使用することによって、開示される回路技術は、既存のワイヤレス充電器送信器におけるFETの1つを排除し得る。これは、ワイヤレス充電器送信器の複雑さ、ダイ面積およびコストを低減させ得、システム電力効率を改善し得る。加えて、開示される回路技術は、既存のワイヤレス充電器送信器において制御信号をシフトするために使用される、ワイヤレス充電器送信器におけるレベルシフタネットワークの必要性も排除し得る。結果的に、回路技術は、多種多様なシステム、電子デバイスおよびアプリケーションにおけるワイヤレス充電器送信器の使用にUSB2.0の使用を促進し得る。
【0026】
我々は、ここで回路技術の実施形態を記載する。これらの回路技術は、記載される1つまたは複数の集積回路を使用して行われてもよい。1つまたは複数の集積回路は、多重送信コイルを持つワイヤレス充電器送信器の部品および関連した機能性の一部または全てを含んでもよい。その上、動作中、1つまたは複数の集積回路は、MUXスイッチを使用して送信コイルの少なくともサブセットを選択してもよい。所与のMUXスイッチは、多くの既存のワイヤレス充電器送信器に使用される2つのバックツーバックFETの代わりに、1つのFETを含んでもよい。
【0027】
更には、回路技術は、オンまたはオフチップで実装されてもよい、ワイヤレス充電器送信器のための解決策を提供し得る。このワイヤレス充電器送信器は、含まれる能動部品が減らされてもよく、そのため、あまり複雑でなくてもよく、コストが削減されてもよく、使用するダイ面積が小さめでもよく(チップに集積される場合)、システム電力効率が改善されてもよい。とりわけ、ワイヤレス充電器送信器は、1つのFET(または集積ゲートバイポーラトランジスタ)を使用してMUXスイッチを実装してもよい。これは、ワイヤレス充電器送信器400の一例のブロック図を提示する、
図4に図示される。ワイヤレス充電器送信器400が、異なる送信コイル416を駆動する分岐412の各々に(第2のFETの代わりに)コンデンサ(コンデンサ414-1など)を持つドライバ回路410を含むことに留意されたい。追加的に、分岐412の各々は、1つのFET(FET418-1など)を含んでもよく、1つのFET(FET418-1など)は、少なくとも部分的に制御回路420によって提供される制御信号に基づいて1つの方向に(正電圧に対してなど)電流フローをオフにするMUXスイッチ(M1、M2またはM3によって示される)でもよい。(とりわけ、所与の分岐における少なくともMUXスイッチを選択的に作動させ、分岐412の少なくとも一部または残りにおける残りのMUXスイッチを選択的に停止させる、制御回路420からの制御信号が分岐412におけるFET418のゲートに印加されてもよい。)寄生ボディダイオードが他方の方向に(負電圧に対してなど)電流フローを遮断できないのに対して、コンデンサ414-1が充電されると(例えば、数スイッチングサイクルの後)、それは、寄生ボディダイオードを逆バイアスさせることになり(それで、それはオンにならないであろう)、そして電流は流れを止めるであろう。その上、以下に更に記載されるように、ワイヤレス充電器送信器400は、FET418-1のソースがグランドにあるので、レベルシフタネットワーク(例えば、制御回路420において、前述したように、レベルシフタネットワークはワイヤレス充電器送信器において制御信号をシフトするために使用され得る)を単純化または排除してもよい。
【0028】
一部の実施形態において、所与の送信コイル(送信コイル416-1など)の所与のインダクタンス(Lp1、Lp2またはLp3など)は12μHでもよく、所与のコンデンサ(コンデンサ414-1など)の所与の静電容量(Cp1、Cp2またはCp3など)は200nFでもよい。所与の送信コイルが磁性線またはリッツコイル(編組磁性線など)を使用して製作されてもよいことに留意されたい。その上、ワイヤレス充電器送信器400は、15Wの消費電力を有してもよい。
【0029】
図5は、ワイヤレス充電器送信器400(
図4)の回路モデル500の一例を提示する。
図5において、M1はオフであり、M2はオンである。Lp2、Cp2およびM2が接続された分岐を形成してもよいことに留意されたい。その上、M1のボディダイオードが最初に電流を導通するであろうが、M1のボディダイオードがもはやオンになることができなくなるまでCp1電圧上の電圧が上昇することになり、定常状態で両方向に電流を効果的に遮断する。
図6は、ワイヤレス充電器送信器400(
図4)においてシミュレートされた定常電気波形を提示する。
【0030】
図6に図示されるように、Lp1を通る電流は、Lp2を通る電流より非常に小さくてもよい。その上、MUXスイッチの制御信号の電圧は、典型的にはグランド基準または参照でもよく、ワイヤレス充電器送信器400(
図4)における駆動ネットワークを単純化してもよい。換言すると、駆動ネットワークは、十分に制御されたソース電圧(5~10Vのゲート-ソース電圧など)を有してもよく、レベルシフタネットワークを単純化または排除し得る。更には、
図6において、V(LX, v_coil1)は、Cp1コンデンサにわたる電圧である。それはDC電圧を保持する。この電圧は、M1のボディダイオードが常に逆バイアスされるように十分に高くてもよい。
図7は、ワイヤレス充電器送信器400(
図4)のCp1の充電を例示するシミュレートされた波形を提示する。所与の制御信号および所与のFET状態に対して、FETのゲート-ソース電圧が時間の関数としてほぼ一定でもよいことに留意されたい。
【0031】
開示される回路技術は、各送信コイル分岐における追加のコンデンサの代価で、各送信コイル分岐に1つのFETだけおよびドライバ回路のためにより少ない(全)部品を使用することを含め、利益を与え得る。結局、このアーキテクチャは、ワイヤレス充電器送信器のコストを削減し得る。その上、既存のワイヤレス充電器送信器に使用される同じ種類のFETのために、ドレイン-ソース抵抗が半減され得る。結果的に、システム電力効率が上昇され得る。
【0032】
一部の実施形態において、電力を受けているユニット(ワイヤレス充電されている電子デバイスなど)が、帯域内および/または帯域外通信を介してワイヤレス充電器送信器により多くのまたはより少ない電力を要求してもよい。ワイヤレス充電が共振充電または非共振充電を使用してもよいことに留意されたい。そのため、ドライバ回路において作動された所与の分岐を駆動する電気信号の基本周波数は、ほぼコンデンサの静電容量および所与の送信コイルのインダクタンスに対応する共振周波数でもよい。より多くのまたはより少ない電力の要求に応答して、ワイヤレス充電器送信器は固定動作周波数を有してもよく、駆動電圧が動的に変化されてもよい(例えば、自動車ワイヤレス充電に使用され得る)。代替的または追加的に、ワイヤレス充電器送信器は可変動作周波数を有してもよい。例えば、ワイヤレス充電器送信器におけるドライバ回路は、ドライバ回路において作動された所与の分岐における所与の送信コイルを駆動する電気信号における基本周波数成分を変化させることによってワイヤレス充電を行ってもよい。ワイヤレス充電器送信器と電力を受けているユニットとの間のワイヤレス結合係数が変化されてもよいことに留意されたい。
【0033】
我々は、ここで方法の実施形態を記載する。
図8は、ワイヤレス充電器送信器400(
図4)のような、ワイヤレス充電器送信器を使用してワイヤレス充電を行うための方法800の一例を例示するフロー図を提示する。動作中、ワイヤレス充電器送信器は、多重送信コイルと関連付けられた多重分岐にドライバ回路を電気結合してもよく(動作810)、所与の分岐が、コンデンサ、単一のFETまたは単一のIGBTを含むMUXスイッチ、および所与の送信コイルを含んでもよく、またはそれらに電気結合されてもよい。次いで、ワイヤレス充電器送信器は、制御回路から、所与の分岐における少なくともMUXスイッチを選択的に作動させ、分岐の残りにおける残りのMUXスイッチを選択的に停止させる制御信号を分岐におけるFETまたはIGBTのゲートに提供してもよい(動作812)。次に、ワイヤレス充電器送信器は、ドライバ回路を使用して、基本周波数成分を有する電気信号を使用して、作動された所与の分岐における所与の送信コイルを駆動することによってワイヤレス充電を行ってもよい(動作814)。
【0034】
方法800の一部の実施形態において、動作が追加されても減らされてもよい。その上、動作の順序が変えられてもよく、および/または2つ以上の動作が単一の動作に組み合わされてもよい。
【0035】
例えば、制御回路は、電気信号の振幅、および/または基本周波数を変化させることによってワイヤレス充電を動的に調節してもよい。更には、ワイヤレス充電器送信器は、電子デバイスからワイヤレス充電についてのフィードバックを受信してもよく、動的調節は、少なくとも部分的にフィードバックに基づいてもよい。一部の実施形態において、フィードバックは、作動された所与の分岐における物理的部品を使用する通信チャネルを介しておよび/または帯域外通信チャネルを介して受信されてもよい。追加的に、制御信号は、分岐の2つ以上におけるMUXスイッチを選択的に作動させてもよい。
【0036】
開示されたワイヤレス充電器送信器および回路技術は、任意の電子デバイスまたはシステムであることができる(またはそれに含むことができる)。例えば、電子デバイスは、セルラ電話もしくはスマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、パーソナルもしくはデスクトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、メディアプレーヤデバイス、電子ブックデバイス、MiFi(登録商標)デバイス、ワイヤレス充電器デバイス、ワイヤレス充電システム、スマートウォッチ、ウェアラブルコンピューティングデバイス、ポータブルコンピューティングデバイス、消費者電子デバイス、アクセスポイント、ルータ、スイッチ、通信機器、テスト機器、車両、船、飛行機、車、トラック、バス、自動2輪車、製造機器、農用機器、建設機械、または別の種類の電子デバイス含んでもよい。
【0037】
ワイヤレス充電器送信器および/またはワイヤレス充電器送信器を含む集積回路の実施形態を記載するために具体的な部品が使用されるが、代替実施形態において、ワイヤレス充電器送信器および/またはワイヤレス充電器送信器を含む集積回路に異なる部品および/またはサブシステムが存在し得る。そのため、ワイヤレス充電器送信器および/もしくはワイヤレス充電器送信器を含む集積回路の実施形態は、より少ない部品、追加の部品、異なる部品を含んでもよく、2つ以上の部品が単一の部品に組み合わされてもよく、単一の部品が2つ以上の部品に分割されてもよく、1つもしくは複数の部品の1つもしくは複数の位置が変えられてもよく、および/または異なる種類の部品があってもよい。例えば、ワイヤレス充電器送信器における所与の分岐が、単一のFETの代わりに単一のIGBTを含んでもよい。コンデンサ、FETもしくはIGBT、および/または所与の送信コイルの1つまたは複数がワイヤレス充電器送信器の外部部品でもよいことに留意されたい。一部の実施形態において、FETまたはIGBTは、ワイヤレス充電器送信器を含む集積回路と別々である第2の集積回路に含まれてもよい。追加的に、一部の実施形態において、MUXスイッチは、FETまたはIGBTを含むだけでもよい。一部の実施形態において、ワイヤレス充電器電力段は、ワイヤレス充電器送信器の外部部品でもよい。
【0038】
その上、ワイヤレス充電器送信器および/またはワイヤレス充電器送信器を含む集積回路の実施形態における回路および部品は、バイポーラ、PMOSおよび/またはNMOSゲートまたはトランジスタを含め、アナログおよび/またはデジタル回路網の任意の組合せを使用して実装されてもよい。更には、これらの実施形態における信号は、近似離散値を有するデジタル信号および/または連続値を有するアナログ信号を含んでもよい。追加的に、部品および回路はシングルエンドまたは差動でもよく、電源はユニポーラまたはバイポーラでもよい。前述の実施形態における電気結合または接続が直接的または間接的でもよいことに留意されたい。前述の実施形態において、ルートに相当する単線が1つまたは複数の単線またはルートを示してもよい。
【0039】
前述したように、集積回路が回路技術の機能性の一部または全てを実装してもよい。本集積回路は、回路技術と関連付けられた機能性を実装するために使用されるハードウェアおよび/またはソフトウェア機構を含んでもよい。
【0040】
一部の実施形態において、本明細書に記載される回路の1つまたは複数を含む、集積回路または集積回路の一部分を設計するためのプロセスの出力が、例えば、磁気テープまたは光もしくは磁気ディスクのような、コンピュータ可読媒体でもよい。コンピュータ可読媒体には、集積回路または集積回路の一部分として物理的にインスタンス化され得る回路網を記載するデータ構造または他の情報がエンコードされてもよい。そのようなエンコードのために様々なフォーマットが使用され得るが、これらのデータ構造は通例、Caltech中間フォーマット(CIF)、Calma GDS IIストリームフォーマット(GDSII)、電子設計交換フォーマット(EDIF)、OpenAccess(OA)、またはOpen Artworkシステム交換標準(OASIS)で書かれる。集積回路設計の当業者は、上で詳述された種類の概要図および対応する記述からそのようなデータ構造を開発し、コンピュータ可読媒体にデータ構造をエンコードできる。集積回路製作の当業者は、そのようなエンコードされたデータを使用して、本明細書に記載される回路の1つまたは複数を含む集積回路を製作できる。
【0041】
前述の実施形態における動作の一部がハードウェアまたはソフトウェアで実装されたのに対して、一般に前述の実施形態における動作は、多種多様な構成およびアーキテクチャに実装できる。したがって、前述の実施形態における動作の一部または全てがハードウェアで、ソフトウェアで、またはそれらの両方で行われ得る。例えば、回路技術における動作の少なくとも一部が、プロセッサによって実行されるプログラム命令を使用してまたは集積回路にファームウェアで実装され得る。
【0042】
その上、前述の考察において数値の例が提供されるのに対して、他の実施形態において異なる数値が使用される。結果的に、提供される数値は、限定しているとは意図されない。
【0043】
前述の説明において、我々は「一部の実施形態」を参照する。「一部の実施形態」が可能な実施形態の全てのうちのサブセットについて記載するが、必ずしも実施形態の同じサブセットを指定するわけではないことに留意されたい。
【0044】
上記の説明は、当業者が本開示を作成および使用することを可能にすると意図され、特定の用途およびその要件の文脈で提供される。その上、本開示の実施形態の上記の説明は、例示および説明だけの目的で提示された。それらは、網羅的であるとはまたは本開示を開示された形態に限定するとは意図されない。したがって、多くの修正および変更が当業者に明らかであろうし、本明細書に定められる一般原則は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく他の実施形態および応用例に適用されてもよい。追加的に、前述の実施形態の考察は、本開示を限定するとは意図されない。そのため、本開示は、図示された実施形態に限定されると意図されるのではなく、本明細書に開示される原則および特徴に合わせた最も広い範囲を与えられることになる。
【符号の説明】
【0045】
400 ワイヤレス充電器送信器
410 ドライバ回路
412-1、412-2、412-3 分岐
414-1、414-2、414-3 コンデンサ
416-1、416-2、416-3 送信コイル
418-1、418-2、418-3 FET
420 制御回路
800 方法