(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】アスファルトフィニッシャ、及びアスファルトフィニッシャの施工支援システム
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
E01C19/48 A
(21)【出願番号】P 2023511319
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2022015230
(87)【国際公開番号】W WO2022210622
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2021056024
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】美濃 寿保
(72)【発明者】
【氏名】萩原 和明
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-031908(JP,U)
【文献】実開昭64-057110(JP,U)
【文献】特開平10-219614(JP,A)
【文献】国際公開第2017/010541(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00-19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタと、
前記トラクタの前側に設置されたホッパと、
前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ搬送するコンベアと、
前記コンベアによって搬送されて路面上に撒かれた舗装材を車幅方向に敷き拡げるスクリュと、
前記スクリュによって敷き拡げられた舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリード装置と、を備え
るアスファルトフィニッシャであって、
運搬車両の動作を、
前記アスファルトフィニッシャの動作に対応するよう同期させるために、
前記アスファルトフィニッシャの施工対象の領域を示した施工計画図と、
前記アスファルトフィニッシャの位置情報と、に基づいて生成された、前記運搬車両を操舵させる操舵情報を、前記運搬車両に送信する、
アスファルトフィニッシャ。
【請求項2】
前記運搬車両に送信する前記操舵情報は、第2の経路に従うような操舵が示された情報であり、
前記第2の経路は、前記路面の湾曲部において、
前記アスファルトフィニッシャが操舵される第1の経路より外周側を移動する経路である、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項3】
さらに、
前記アスファルトフィニッシャの施工対象の領域を示した施工計画図に基づいて、
前記アスファルトフィニッシャが移動する経路を生成する、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項4】
生成された前記経路を補正する、
請求項3に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項5】
前記運搬車両の荷台と、前記ホッパと、が鉛直方向において重なっている状態を維持するよう制御する、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項6】
前記運搬車両から、前記運搬車両の前方に設けられた検出装置で検出された情報を受信する、
請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項7】
前記検出装置で検出された情報に基づいて、障害物の有無を判定する、
請求項6に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項8】
トラクタと、前記トラクタの前側に設置されたホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ搬送するコンベアと、前記コンベアによって搬送されて路面上に撒かれた舗装材を車幅方向に敷き拡げるスクリュと、前記スクリュによって敷き拡げられた舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリード装置と、通信装置と、を備えるアスファルトフィニッシャに用いられるアスファルトフィニッシャの施工支援システムであって、
運搬車両の動作を、前記アスファルトフィニッシャの動作に対応するよう同期させるために、前記アスファルトフィニッシャの施工対象の領域を示した施工計画図と、当該アスファルトフィニッシャの位置情報と、に基づいて生成された、前記運搬車両を操舵させる操舵情報を、前記通信装置を用いて前記運搬車両に送信するように構成されている制御装置を有する、
アスファルトフィニッシャの施工支援システム。
【請求項9】
前記運搬車両に送信する前記操舵情報は、第2の経路に従うような操舵が示された情報であり、
前記第2の経路は、前記路面の湾曲部において、前記アスファルトフィニッシャが操舵される第1の経路より外周側を移動する経路である、
請求項8に記載のアスファルトフィニッシャの施工支援システム。
【請求項10】
さらに、前記制御装置は、当該アスファルトフィニッシャの施工対象の領域を示した施工計画図に基づいて、当該アスファルトフィニッシャが移動する経路を生成するように構成されている、
請求項8に記載のアスファルトフィニッシャの施工支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルトフィニッシャ、及びアスファルトフィニッシャの施工支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタと、トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、ホッパ内の舗装材をトラクタの後側へ給送するコンベアと、コンベアにより給送された舗装材をトラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、スクリュにより敷き拡げられた舗装材をスクリュの後側で敷き均すスクリードとを備えたアスファルトフィニッシャが知られている。
【0003】
アスファルトフィニッシャが施工を行う際には、アスファルトフィニッシャの前方に、運搬車両(例えば、ダンプトラック)が存在する。そして、アスファルトフィニッシャは、運搬車両から舗装材が供給される。アスファルトフィニッシャは、継続して施工を行う必要がある。このため、運搬車両は、アスファルトフィニッシャに位置付けした後、アスファルトフィニッシャとともに前進して、アスファルトフィニッシャの施工を継続させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
運搬車両からアスファルトフィニッシャに舗装材を供給している間、アスファルトフィニッシャは、運搬車両の後方に存在する。このため、運搬車両の運転者は、アスファルトフィニッシャの状況を確認し難い。
【0006】
上述に鑑み、アスファルトフィニッシャの状況に応じて運搬車両を適切に制御できるアスファルトフィニッシャを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るアスファルトフィニッシャは、トラクタと、前記トラクタの前側に設置されたホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ搬送するコンベアと、前記コンベアによって搬送されて路面上に撒かれた舗装材を車幅方向に敷き拡げるスクリュと、前記スクリュによって敷き拡げられた舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリード装置と、を備えるアスファルトフィニッシャであって、運搬車両の動作を、前記アスファルトフィニッシャの動作に対応するよう同期させるために、前記アスファルトフィニッシャ置の施工対象の領域を示した施工計画図と、前記アスファルトフィニッシャの位置情報と、に基づいて生成された、前記運搬車両を操舵させる操舵情報を、前記運搬車両に送信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、運搬車両の動作と、アスファルトフィニッシャの動作と、を同期させることで、運搬車両に搭乗している運転者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、第1の実施形態に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ及びダンプトラックを示した左側面図である。
【
図1B】
図1Bは、第1の実施形態に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ及びダンプトラックを示した上面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るアスファルトフィニッシャ及びダンプトラックの構成を示したブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るアスファルトフィニッシャで行われる処理手順を示した図である。
【
図4】
図4は、道路の湾曲部(左カーブ)を施工するための、経路生成部により生成された第1移動経路及び第2移動経路を示した、施工現場の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100及びダンプトラック200を示した図である。具体的には、
図1Aは左側面図であり、
図1Bは上面図である。
図1は、ダンプトラック200が、後退しながらアスファルトフィニッシャ100に接近する例を示す。
【0012】
アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2、及びスクリード装置3で構成される。
【0013】
スクリード装置3は舗装材を敷き均すための機構である。本実施形態では、スクリード装置3はトラクタ1によって牽引される浮動スクリード装置であり、レベリングアーム3aを介してトラクタ1と連結される。
【0014】
ホッパ2は、トラクタ1の前側に、舗装材を受け入れるための機構として設けられている。本実施形態のホッパ2は、可動機構部81a、81bを軸として、ホッパシリンダ2aによって車幅方向に開閉可能な機構を有する。そして、アスファルトフィニッシャ100は、ホッパ2の舗装材(例えばアスファルト合材である。)がなくなりそうになると、ホッパ2を全開状態にして舗装材運搬車両としてのダンプトラック200の荷台201から舗装材を受け入れ可能とする。そして、ダンプトラック200がアスファルトフィニッシャ100と接触した状態で、ダンプトラック200の荷台201からホッパ2に舗装材が供給される。
【0015】
また、ダンプトラック200の荷台201から舗装材を受け入れているときも、アスファルトフィニッシャ100はダンプトラック200とともに進行方向に進みながら走行(施工)を継続する。具体的には、コンベアが、ホッパ2内に受け入れられた舗装材をトラクタ1の後側へ搬送する。スクリュは、コンベアによって搬送されて路面上に撒かれた舗装材を車幅方向に敷き拡げる。スクリード装置3は、スクリュによって敷き拡げられた舗装材をスクリュの後側で敷き均す。
【0016】
ダンプトラック200の荷台201から舗装材を受け入れた後、アスファルトフィニッシャ100の操作者は、ホッパ2を徐々に閉じていくことで、ホッパ2に供給された舗装材をコンベアに乗せることができる。その後、ホッパ2に供給された舗装材が後方に搬送されてホッパ2内の舗装材がほとんど無くなると、操作者はホッパ2を開く。そして、ホッパ2が再び全開状態になった段階で、ホッパ2は、ダンプトラック200から舗装材を受け入れ可能となる。このため、ダンプトラック200の運転者は、ホッパ2が全開状態になったことを確認してから、ダンプトラック200をアスファルトフィニッシャ100に接近させるのが好ましい。
【0017】
さらに、アスファルトフィニッシャ100は、ローラ2bを備えている。ローラ2bは、ホッパ2より前方に設置されている。ローラ2bは、ダンプトラック200の後輪202に接触可能な構成であって、ダンプトラック200の後輪202が接触している場合には、後輪202とともに回転可能である。
【0018】
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を走行させるための機構である。本実施形態では、トラクタ1は走行用油圧モータを用いて前輪及び後輪を回転させてアスファルトフィニッシャ100を移動させる。走行用油圧モータは、油圧源から作動油の供給を受けて回転する。なお、トラクタ1は、車輪の代わりにクローラを備えていてもよい。
【0019】
また、トラクタ1は、コントローラ30、無線通信装置40、GPSモジュール50、メインモニタ60、運転席61、撮像装置62、及び音声出力装置63等を搭載している。具体的には、メインモニタ60及び運転席61を含むキャブがトラクタ1の上面に設置される。撮像装置62及び音声出力装置63がトラクタ1の上面の前端中央部に設置される。
【0020】
無線通信装置40は、アスファルトフィニッシャ100の周囲に存在する装置、例えばダンプトラック200等と、直接、近距離無線通信を行う。本実施形態は、無線通信装置40の無線通信規格として、例えば、Wi-Fi(登録商標)を用いることが考えられる。なお、本実施形態の無線通信は、Wi-Fi(登録商標)を用いる手法に限定されるものではなく、無線LAN又はBluetooth(登録商標)等を用いてもよい。
【0021】
GPSモジュール50は、GNSS(Global Navigation Satellite System)モジュールの一例であり、GPS(Global Positioning System)による2次元測位 (二次元測位)の結果を示した位置情報を受信する。位置情報は、アスファルトフィニッシャ100の位置を緯度及び経度で表した情報を含む。なお、本実施形態は、位置情報の取得手法として、GPSを用いるが、位置情報の取得手法を限定するものではなく、周知の他の手法を用いてもよい。
【0022】
メインモニタ60はアスファルトフィニッシャ100の操作者に各種情報を表示する装置である。本実施形態ではメインモニタ60は液晶ディスプレイであり、コントローラ30からの指令に応じて各種情報を表示可能である。また、メインモニタ60は、アスファルトフィニッシャ100の操作者の操作入力を受ける入力装置60aを含んでいる。
【0023】
撮像装置62は、アスファルトフィニッシャ100の前方にある空間の画像を取得する装置である。本実施形態では撮像装置62はカメラであり、取得した画像をコントローラ30に対して出力する。なお、撮像装置62は、距離画像カメラ、赤外線カメラ、又はステレオカメラ等であってもよい。
【0024】
本実施形態に係る撮像装置62(検出装置の一例)は、アスファルトフィニッシャ100の前方に存在する、
図1A及び
図1Bの一点鎖線で示す撮像領域RA1(検出範囲の一例)内の空間を撮影する。そして、撮像装置62は、撮影した画像に関する画像情報(検出情報の一例)をコントローラ30に出力する。
図1A及び
図1Bに示される例では、撮像装置62は、撮像領域RA1に存在するダンプトラック200を撮像可能である。本実施形態は、空間を認識可能な装置の一例として撮像装置62を用いた例について説明する。しかしながら、本実施形態は、空間認識装置を、撮像装置62に制限するものではない。つまり、アスファルトフィニッシャ100を基準とした空間を認識可能な空間認識装置であればよく、例えば、レーザセンサ等を用いてもよい。
【0025】
音声出力装置63はアスファルトフィニッシャ100の周囲に向けて音声を出力する装置である。本実施形態では音声出力装置63はアスファルトフィニッシャ100の前方に向けて音声を出力するスピーカであり、コントローラ30からの指令に応じて警報を出力可能である。なお、音声出力装置63は音声メッセージを出力してもよい。
【0026】
コントローラ30は、アスファルトフィニッシャ100を制御する制御装置である。コントローラ30は、例えばコンピュータで構成され、CPU、内部メモリ、及び記憶媒体等を有する。コントローラ30は、記憶媒体に記憶されたプログラムをCPUに実行させることにより、各種の制御を行う。
【0027】
コントローラ30は、撮像装置62から受信した画像情報、及び(図示しない)様々な検出センサから受信した検出信号に基づいて、ADAS(Advanced driver-assistance systems)により、アスファルトフィニッシャ100の運転操作を支援できる。なお、本実施形態に係るコントローラ30が利用する運転操作支援システムは、ADASによる運転操作システムに限定されるものではなく、他の運転操作支援システムであってもよい。例えば、コントローラ30は、AD(Autonomous Driving)を用いてもよい。さらには、コントローラ30は、予め生成されている移動経路に従ってアスファルトフィニッシャ100の移動制御が可能なシステムであれば、どのようなシステムを用いてもよい。
【0028】
ダンプトラック200は、荷台201、図示しないホイストシリンダ、第1撮像装置261、第2撮像装置262、コントローラ230、及び無線通信装置240で構成される。荷台201は、アスファルトフィニッシャ100のホッパ2に供給するための舗装材を搭載可能である。ホイストシリンダは、荷台201を後方に傾ける機構であって、コントローラ230からの指令に従って伸縮することで、荷台201を後方に傾ける傾倒状態と、荷台201を水平にする水平状態と、を切り替える。
【0029】
第1撮像装置261は、例えば、ダンプトラック200のエンブレム近傍に設けられ、ダンプトラック200の前方にある空間の画像を取得する装置である。第2撮像装置262は、ダンプトラック200の後方にある空間の画像を取得する装置である。本実施形態に係る第1撮像装置261及び第2撮像装置262はカメラであり、取得した画像をコントローラ230に対して出力する。なお、第1撮像装置261及び第2撮像装置262は、距離画像カメラ、赤外線カメラ、又はステレオカメラ等であってもよい。本実施形態は、空間を認識可能な装置の一例として第1撮像装置261及び第2撮像装置262を用いた例について説明する。しかしながら、本実施形態は、空間認識装置を、第1撮像装置261及び第2撮像装置262に制限するものではない。つまり、ダンプトラック200を基準とした空間を認識可能な空間認識装置であればよく、例えば、レーザセンサ等を用いてもよい。
【0030】
本実施形態に係る第1撮像装置261は、ダンプトラック200の前方に存在する、
図1A及び
図1Bの2点鎖線で示す撮像領域RT1内の空間を撮影する。第1撮像装置261は、撮影した画像に関する画像情報をコントローラ230に出力する。
【0031】
本実施形態に係る第2撮像装置262は、ダンプトラック200の後方に存在する、
図1A及び
図1Bの2点鎖線で示す撮像領域RT2内の空間を撮影する。第2撮像装置262は、撮影した画像に関する画像情報をコントローラ230に出力する。
【0032】
無線通信装置240は、ダンプトラック200の周囲に存在する装置、例えばアスファルトフィニッシャ100の無線通信装置40等と無線通信を行う。本実施形態は、無線通信装置240の無線通信規格として、例えば、Wi-Fi(登録商標)を用いることが考えられる。なお、本実施形態の無線通信は、Wi-Fi(登録商標)を用いる手法に制限するものではなく、無線LAN又はBluetooth(登録商標)等を用いてもよい。
【0033】
コントローラ230は、ダンプトラック200を制御する制御装置である。コントローラ230は、例えばコンピュータで構成され、CPU、内部メモリ、及び記憶媒体等を有する。コントローラ230は、記憶媒体に記憶されたプログラムをCPUに実行させることにより、各種の制御を行う。
【0034】
本実施形態に係るコントローラ230は、第1撮像装置261から受信した画像情報、及び第2撮像装置262から受信した画像情報、及び(図示しない)様々な検出センサから受信した検出信号に基づいて、ADASにより、ダンプトラック200の運転操作を支援できる。なお、本実施形態に係るコントローラ230が利用する運転操作支援システムは、ADASによる運転操作システムに限定されるものではなく、他の運転操作支援システムであってもよい。例えば、コントローラ230は、ADを用いてもよい。さらには、コントローラ230は、移動経路や様々な制御指令に従って移動制御可能なシステムであれば、どのようなシステムを用いてもよい。
【0035】
例えば、本実施形態に係るコントローラ230は、ADASの駐車支援によって、アスファルトフィニッシャ100のホッパ2近傍でダンプトラック200を停止させる制御を実現する。その際、本実施形態のコントローラ230は、アスファルトフィニッシャ100から無線通信装置240を介して制御指令を受信し、受信した制御指令に基づいてダンプトラック200の駆動制御を行ってもよい。
【0036】
ダンプトラック200がアスファルトフィニッシャ100のホッパ2の近傍に位置付けられた際、アスファルトフィニッシャ100は施工中である。このため、ダンプトラック200がアスファルトフィニッシャ100のホッパ2の近傍に位置付けられた後、ダンプトラック200が、荷台201から舗装材をホッパ2に供給している間、ダンプトラック200は、アスファルトフィニッシャ100とともに走行する必要がある。
【0037】
そこで、本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100のコントローラ30は、ダンプトラック200の動作を、アスファルトフィニッシャ100の動作に対応するよう同期させる制御を行う。
【0038】
本実施形態では、アスファルトフィニッシャ100のコントローラ30は、施工計画図に基づいて、施工対象となる領域を舗装するようにアスファルトフィニッシャ100を移動させるための、アスファルトフィニッシャ100用の第1移動経路を生成する。そして、コントローラ30は、第1移動経路に従うようにアスファルトフィニッシャ100を制御する。
【0039】
コントローラ30の記憶媒体に記憶可能な施工計画図には、基準座標系における、当該アスファルトフィニッシャ100が舗装対象とする路面の領域を示す情報が含まれている。
【0040】
施工計画図で用いられる基準座標系は、例えば世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、グリニッジ子午線と赤道との交点と原点とを通過する軸をX軸とし、東経90度の子午線と赤道との交点と原点とを通過する軸をY軸とし、北極点と原点とを通過する軸をZ軸とする三次元直交XYZ座標系である。換言すれば、施工計画図には、施工対象となる路面の領域を三次元直交XYZ座標系(世界測地系)で示した情報が含まれている。
【0041】
また、施工計画図には、施工対象となる路面に関する様々な情報が含まれていてもよい。例えば、施工計画図には、施工対象となる路面に存在する障害物の位置を示す情報が含まれていてもよい。障害物としては、例えば、路面上に存在する段差情報がある。段差情報は、例えば、路面に存在するマンホールに関する情報等である。
【0042】
アスファルトフィニッシャ100は、GPSモジュール50を介して、アスファルトフィニッシャ100の位置を緯度及び経度で表した位置情報を取得している。このため、アスファルトフィニッシャ100のコントローラ30は、GPSモジュール50が取得した位置情報で示される位置を、施工計画図上で特定できる。
【0043】
コントローラ30は、施工計画図に基づいて、ダンプトラック200の荷台201とアスファルトフィニッシャ100のホッパ2とのオーバーラップ状態を維持した状態(換言すれば、同期した状態)でダンプトラック200が走行するように、ダンプトラック200用の第2移動経路を生成する。そして、コントローラ30は、第2移動経路に従ってダンプトラック200が走行するように、ダンプトラック200の舵角及び速度等を指示する制御指令を生成する。そして、コントローラ30は、生成した制御指令を、無線通信装置40を介して、ダンプトラック200の無線通信装置240に送信する。これにより、コントローラ30は、ダンプトラック200の動作を、アスファルトフィニッシャ100の動作に対応するよう同期させる。
【0044】
図2は、本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100及びダンプトラック200の構成を示したブロック図である。
図2に示されるように、ダンプトラック200は、第1撮像装置261と、第2撮像装置262と、入力装置263と、コントローラ230と、無線通信装置240と、駆動系コントローラ250と、を備えている。つまり、本実施形態では、アスファルトフィニッシャ100と、ダンプトラック200と、を備えたアスファルトフィニッシャの施工支援システムにおいて、コントローラ30が、ダンプトラック200の動作を、アスファルトフィニッシャ100の動作に対応するよう同期させる例とする。
【0045】
コントローラ230は、(例えば、ダンプトラック200の前面のエンブレム近傍に設けられた)第1撮像装置261からの画像情報、(例えば、ダンプトラック200の後端部に設けられた)第2撮像装置262からの画像情報、及び(図示しない)検出センサによる制御信号等に基づいて、駆動制御に関する制御指令を生成する。そして、コントローラ230は、生成した制御指令を駆動系コントローラ250に出力する。これにより、コントローラ230は、ADASによる運転操作の支援を実現している。駆動系コントローラ250は、制御指令に従って、ダンプトラック200の駆動系及びエンジン等を制御する。
【0046】
また、コントローラ230は、入力装置263を介して運転者から操作を受け付けることで、様々な制御を行う。
【0047】
コントローラ230は、無線通信装置240を介してアスファルトフィニッシャ100から制御指令を受け付けた場合に、受け付けた制御指令を駆動系コントローラ250に出力する。これにより、ダンプトラック200は、アスファルトフィニッシャ100からの要求に応じたADASによる運転操作の支援を実現している。
【0048】
また、コントローラ230は、第1撮像装置261が撮影した画像情報、及び第2撮像装置262が撮影した画像情報を、無線通信装置240を介してアスファルトフィニッシャ100に送信してもよい。
【0049】
アスファルトフィニッシャ100は、撮像装置62と、入力装置60aと、コントローラ30と、駆動系コントローラ55と、無線通信装置40と、を備えている。駆動系コントローラ55は、制御指令に従って、トラクタ1を制御する。
【0050】
本実施形態に係るコントローラ30は、撮像装置62から受信した画像情報、及び(図示しない)様々な検出センサから受信した検出信号に基づいて、ADAS(Advanced driver-assistance systems)による運転操作の支援を可能とする。なお、本実施形態に係るコントローラ30は、ADASによる運転操作の支援ではなく、他の運転操作支援を利用してもよい。例えば、コントローラ30は、AD(Autonomous Driving)を用いてもよい。
【0051】
本実施形態のコントローラ30は、図示しない接続I/F、又は無線通信装置40を介して、施工計画図の入力を受け付ける。
【0052】
そして、コントローラ30は、施工計画図等に基づいて、アスファルトフィニッシャ100及びダンプトラック200が舗装対象となる路面を移動するために、様々な制御を行う。
【0053】
図2に示されるコントローラ30が備える各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されている必要はない。各機能ブロックの全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成されていてもよい。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムによって実現される。或いは、各機能ブロックは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
図2に示されるように、コントローラ30は、ダンプトラック識別情報記憶部31と、取得部32と、経路生成部33と、経路補正部34と、検出部35と、判定部36と、指令生成部37と、通信制御部38と、を備える。
【0054】
ダンプトラック識別情報記憶部31は、コントローラ30内の記憶媒体上に設けられている。ダンプトラック識別情報記憶部31は、アスファルトフィニッシャ100が通信対象となるダンプトラック200を識別するための情報を記憶している。例えば、ダンプトラック識別情報記憶部31は、ダンプトラック200のナンバープレート情報と、ダンプトラック200に搭載されている無線通信装置240の識別情報(例えばSSID)と、を対応付けて記憶している。これにより、コントローラ30は、撮像装置62でダンプトラック200の後部を撮影した際に、写っているナンバープレートに基づいて、通信対象となる無線通信装置240を特定できる。
【0055】
取得部32は、撮像装置62で撮像された画像情報を取得する。また、取得部32は、入力装置60aを介して、操作者からの操作情報を取得する。
【0056】
また、取得部32は、施工計画図を取得する。例えば、取得部32は、図示しない接続I/F(例えば、USB I/F)を介して接続された不揮発性記憶媒体から、施工計画図を取得してもよい。さらには、取得部32は、無線通信装置40を介して、外部装置から通信制御部38が受信した施工計画図を取得してもよい。
【0057】
経路生成部33は、取得部32が取得した施工計画図に基づいて、アスファルトフィニッシャ100及びダンプトラック200の移動経路を生成する。本実施形態では、移動経路の生成は、施工計画図を取得した後であって、アスファルトフィニッシャ100による施工が開始される前に行われる。これにより、経路生成部33は、アスファルトフィニッシャ100の施工の開始位置を含めた移動経路を生成できる。
【0058】
本実施形態の経路生成部33は、施工計画図で示された舗装対象となる全領域を施工できるようにアスファルトフィニッシャ100の第1移動経路を生成する。さらに、経路生成部33は、第1移動経路に従って走行しているアスファルトフィニッシャ100に接触した状態で走行した場合のダンプトラック200の第2移動経路を生成する。
【0059】
施工計画図で示されている施工対象となる道路に、マンホール等の段差がある領域がある場合、経路生成部33は、段差がある領域を、アスファルトフィニッシャ100及びダンプトラック200の車輪が通らないよう、第1移動経路及び第2移動経路を生成する。
【0060】
検出部35は、アスファルトフィニッシャ100が施工を開始した後、撮像装置62から取得した画像情報に基づいて、アスファルトフィニッシャ100の前方空間に存在するダンプトラック200等の運搬車両を検出する。画像からダンプトラック200等の運搬車両を検出する技術は、公知の画像処理技術を含め、どのような技術であってもよい。検出部35は、画像から運搬車両を検出する際に、他の物体を検出してもよい。他の物体は、例えば、ロードコーン、人(作業者等)、及び小型機械(ランマ、タンパ等)等を含んでいてもよい。また、判定部36が、空間認識装置の一種である撮像装置62の画像情報(出力値)に基づいて、アスファルトフィニッシャ100(作業機械の一例)の周囲に存在する物体を認識(検知)するように構成してもよい。認識の対象となる物体は、例えば、ダンプトラック200、地形形状(傾斜、穴等)、電線、電柱、人、動物、車両、建設機械、建造物、壁、ヘルメット、安全ベスト、作業服、又は、ヘルメットにおける所定のマーク等である。このようにして、判定部36は、物体の種類、位置、及び形状等の少なくとも1つを識別できるように構成されていてもよい。例えば、判定部36は、ダンプトラック200とダンプトラック以外の物体とを区別できるように構成されていてもよい。
【0061】
判定部36は、撮像装置62(検出装置の一例)からの画像情報(検出情報の一例)に基づいて様々な判定を行う。
【0062】
例えば、判定部36は、撮像装置62からの画像情報に基づいて、アスファルトフィニッシャ100の前方に存在する、ダンプトラック200のナンバープレート情報を判定する。これにより、判定部36は、制御の対象となるダンプトラック200のナンバープレート情報を識別できる。
【0063】
さらには、判定部36は、ダンプトラック200とアスファルトフィニッシャ100との間の距離を判定してもよい。本実施形態に係る判定部36は、画像に写っているダンプトラック200のサイズと、ダンプトラック200の後輪202とアスファルトフィニッシャ100のローラ2bとの間の距離と、の対応関係を有している。これにより、判定部36は、取得部32が取得した画像情報から、ダンプトラック200の後輪202とアスファルトフィニッシャ100のローラ2bとの間の距離を特定できる。
【0064】
例えば、判定部36は、撮像装置62が撮影した画像からダンプトラック200を検出した後、当該ダンプトラック200の荷台201を指定位置に位置付けることが可能か否かを判定する。指定位置は、荷台201にある舗装材をホッパ2内に移すのに適した荷台201の位置であり、鉛直方向においてアスファルトフィニッシャ100のホッパ2の位置と部分的に重なる位置である。また、指定位置は、アスファルトフィニッシャ100の移動に伴って移動する位置である。指定位置に関する情報は、典型的には、コントローラ30の記憶媒体に予め記憶されている。本実施形態では、指定位置に関する情報は、上面視において荷台201と略同じ大きさ(面積)を有する矩形領域に関する情報である。換言すれば、指定位置に関する情報は、荷台201と略同じ大きさ(体積)を有する直方体状の空間に関する情報である。そのため、「ダンプトラック200の荷台201を指定位置に位置付けること」は、例えば、実際の荷台201に対応する矩形領域と指定位置に対応する矩形領域とを一致させることを意味する。
図1Bの点線で示された矩形領域ZNは、指定位置に対応する矩形領域の一例である。
【0065】
経路補正部34は、経路生成部33によって生成された移動経路を補正する。本実施形態の経路補正部34は、判定部36の判定結果に基づいて、移動経路(第1移動経路又は第2移動経路)を補正する。
【0066】
例えば、判定部36は、GPSモジュール50から入力された位置情報と、撮像装置62が撮影している画像と、第1移動経路と、に基づいて、当該画像にアスファルトフィニッシャ100の第1移動経路に対応する空間が写っているか否かを判定する。判定部36は、アスファルトフィニッシャ100の第1移動経路に対応する空間が写っていると判定した場合に、第1移動経路に従って移動するアスファルトフィニッシャ100の車輪の経路上に障害物(例えばマンホール等)が存在するか否かを判定する。
【0067】
判定部36が、アスファルトフィニッシャ100の車輪の経路上に障害物(例えばマンホール等)が存在すると判定した場合、経路補正部34は、アスファルトフィニッシャ100の車輪の経路上に障害物が重ならないように、第1移動経路を補正する。これにより、経路補正部34は、アスファルトフィニッシャ100の車輪が障害物に乗り上げることを抑止できる。また、経路補正部34は、当該補正を行うことで、上述した舗装されたアスファルトの品質が低下するのを抑止できる。
【0068】
さらに、判定部36は、GPSモジュール50から入力された位置情報と、撮像装置62が撮影している画像と、第2移動経路と、に基づいて、当該画像にダンプトラック200の第2移動経路に対応する空間が写っているか否かを判定する。そして、判定部36は、第2移動経路に対応する空間が写っていると判定した場合に、第2移動経路に従って移動するダンプトラック200の車輪の経路上に障害物(例えばマンホール等)が存在するか否かを判定する。
【0069】
判定部36が、ダンプトラック200の車輪の経路上に障害物(例えばマンホール等)が存在すると判定した場合、経路補正部34は、ダンプトラック200の車輪の経路上に障害物が重ならないように、第2移動経路を補正する。これにより、経路補正部34は、ダンプトラック200の車輪が障害物に乗り上げることを抑止できる。また、経路補正部34は、当該補正を行うことで、上述した舗装されたアスファルトの品質が低下するのを抑止できる。
【0070】
さらには、判定部36は、施工計画図に記載されている障害物(例えば、マンホール等の段差)と、撮像装置62が撮像している画像から検出部35によって検出された障害物と、の位置がずれているか否かを判定する。当該位置がずれているか否かの判定は、撮像している画像で表された障害物の位置を、世界測地系における座標に変換した後に、画像に写っている障害物の位置と施工計画図の障害物の位置とを比較することで可能となる。世界測地系における座標に変換する手法は、周知の手法を用いることで実現され得る。なお、施工計画図に記載されている障害物(例えば、マンホール等の段差)の位置と、実際の障害物の位置とがずれているか否かの判定手法は、撮像装置62が撮像している画像に基づいた判定に限定されない。例えば、判定部36は、操作者からの入力に従って、施工計画図の障害物の位置がずれていることを認識してもよい。
【0071】
そして、施工計画図の障害物の位置がずれていると判定部36が判定した場合、経路補正部34は、撮像装置62が撮像している画像に写っている障害物の位置に基づいて、施工計画図における障害物の位置を補正する。そして、経路補正部34は、アスファルトフィニッシャ100の車輪の経路上に障害物が重ならないように、第1移動経路を補正する。さらに、経路補正部34は、ダンプトラック200の車輪の経路上に障害物が重ならないように、第2移動経路を補正する。経路補正部34は、第1移動経路及び第2移動経路の補正手法として、アスファルトフィニッシャ100が施工を開始する位置を、例えば左方向又は右方向にずらす補正をしてもよい。
【0072】
指令生成部37は、第1移動経路に従ってアスファルトフィニッシャ100を走行させるための制御指令を生成する。具体的には、本実施形態の指令生成部37は、施工を継続するためのアスファルトフィニッシャ100の加速指令又は減速指令を生成する。さらに、指令生成部37は、第1移動経路、加速指令又は減速指令、及びGPSモジュール50から受信したアスファルトフィニッシャ100の位置情報に基づいて、第1移動経路に従って移動するための操舵に関する制御指令を生成する。さらに、指令生成部37は、必要に応じて制動(ブレーキング)を行う制御指令等を生成してもよい。そして、指令生成部37は、生成した制御指令を、駆動系コントローラ55に出力する。
【0073】
本実施形態の指令生成部37が生成する制御指令は、例えば、ダンプトラック200の荷台201を指定位置に位置付けるように操舵を行うための制御指令を含む。他の制御指令は、例えば、ダンプトラック200の後輪202をローラ2bに接触させるために、ダンプトラック200に対して後退又は停止を指示する制御指令を含む。
【0074】
さらに指令生成部37は、ダンプトラック200の荷台201を指定位置に位置付けるように操舵を行った後、第2移動経路に従って運搬車両(例えば、ダンプトラック200)を走行させるための制御指令を生成する。そして、指令生成部37は、生成した制御指令を通信制御部38に出力する。第2移動経路に従って走行させるための制御指令は、例えば、右方向若しくは左方向への操舵指令、減速指令、又は制動(ブレーキング)指令等である。
【0075】
指令生成部37は、第2移動経路に従ってダンプトラック200を走行させるための制御指令を生成する。具体的には、本実施形態の指令生成部37は、アスファルトフィニッシャ100のホッパ2とダンプトラック200の荷台201とが鉛直方向で重なる状態を維持するように、ダンプトラック200の加速指令又は減速指令を生成する。さらに、指令生成部37は、第2移動経路、ダンプトラック200の加速指令又は減速指令、及びダンプトラック200の位置情報に基づいて、第2移動経路に従って移動するための操舵に関する制御指令を生成する。なお、ダンプトラック200の位置情報は、GPSモジュール50から取得したアスファルトフィニッシャ100の位置情報と、アスファルトフィニッシャ100とダンプトラック200との間の相対的な位置関係から、指令生成部37により算出される。さらに、指令生成部37は、必要に応じてダンプトラック200の制動(ブレーキング)を行う制御指令等を生成してもよい。そして、指令生成部37は、生成したダンプトラック200の制御指令を、無線通信装置40に出力する。
【0076】
なお、指令生成部37が生成する制御指令は、上述した指令に限定されるものではなく、他の様々な制御指令であってもよい。例えば、指令生成部37が生成する制御指令は、アスファルトフィニッシャ100のヘッドライトのオン/オフ、又はアスファルトフィニッシャ100の操作者への警告等、アスファルトフィニッシャ100のADAS等で実行可能な指令であればよい。同様に、指令生成部37が生成する制御指令は、ダンプトラック200のヘッドライトのオン/オフ、又はダンプトラック200の運転者への警告等、ダンプトラック200のADAS等で実行可能な指令を含んでいてもよい。
【0077】
通信制御部38は、無線通信装置240を介して、ダンプトラック200等の運搬車両との間で通信制御を行う。例えば、通信制御部38は、指令生成部37で判定されたナンバープレート情報と対応付けられた識別情報で示された無線通信装置240との間における通信の制御を行う。これにより、コントローラ30は、ダンプトラック200に対して、ダンプトラック200用に生成した制御指令を送信することが可能となる。例えば、通信制御部38は、無線通信装置240に対して、指令生成部37で生成された第2移動経路に従ってダンプトラック200を移動させるための制御指令を送信する。
【0078】
さらに、通信制御部38は、無線通信装置240を介して、ダンプトラック200の第1撮像装置261で撮影された画像に関する画像情報を受信する。
【0079】
アスファルトフィニッシャ100の操作者は、前方にダンプトラック200が存在する場合に、進行方向を視覚にて確認するのは難しい。そこで、本実施形態に係る通信制御部38は、ダンプトラック200の第1撮像装置261で撮影された、ダンプトラック200の前方が写っている画像に関する画像情報を受信する。通信制御部38は、受信した画像情報を、メインモニタ60に出力する。これにより、アスファルトフィニッシャ100の操作者は、ダンプトラック200の前方の状況を把握できる。
【0080】
そして、判定部36は、受信した画像情報に基づいて、ダンプトラック200及びアスファルトフィニッシャ100の移動経路上に障害物が存在するか否かを判定する。判定の対象となる障害物は、どのような物体でもよい。例えば、判定の対象となる障害物は、スコップ、又はパイロン等である。
【0081】
そして、障害物が存在すると判定部36が判定した場合には、音声出力装置63は、判定部36からの指示に従って、障害物が存在する旨を示した警告情報を出力する。これにより、操作者は、移動経路における障害物の有無を認識できる。さらには、操作者は、画像情報を視認することで、移動経路の状況を認識できる。
【0082】
図3は、本実施形態に係るアスファルトフィニッシャ100で行われる処理手順を示した図である。
図3に示される処理手順は、アスファルトフィニッシャ100が施工を行う前に実行される。ダンプトラック200は、運転者が運転していてもよいし、ADAS等による自動操舵が行われていてもよい。
【0083】
取得部32は、施工計画図を取得する(S301)。
【0084】
経路生成部33は、取得部32が取得した施工計画図に基づいて、アスファルトフィニッシャ100の第1移動経路、及びダンプトラック200の第2移動経路を生成する(S302)。
【0085】
判定部36は、アスファルトフィニッシャ100の第1移動経路上、又はダンプトラック200の第2移動経路上に障害物が存在するか否かを判定する(S303)。障害物が存在するか否かの判定は、撮像装置62が撮像した画像に基づいてもよいし、入力装置60aが受け付けた操作者からの操作に基づいてもよい。障害物が存在しないと判定部36が判定した場合(S303:No)、コントローラ30は、S305の処理を実行する。
【0086】
一方、アスファルトフィニッシャ100の第1移動経路上、又はダンプトラック200の第2移動経路上に障害物が存在すると判定部36が判定した場合(S303:Yes)、経路補正部34は、障害物に接触しないように、移動経路(第1移動経路、及び第2移動経路)を補正する(S304)。
【0087】
そして、コントローラ30はアスファルトフィニッシャ100の第1移動経路に従ったアスファルトフィニッシャ100の移動制御を開始する(S305)。
【0088】
取得部32は、撮像装置62が撮像した画像を示す画像情報を取得する(S306)。
【0089】
そして、検出部35は、画像情報に基づいて、アスファルトフィニッシャ100の前方にダンプトラック200が存在するか否かを判定する(S307)。ダンプトラック200が存在しないと検出部35が判定した場合(S307:No)、コントローラ30は所定時間後、再びS307の処理を実行する。
【0090】
ダンプトラック200が存在すると検出部35が判定した場合(S307:Yes)、通信制御部38は、ダンプトラック200のナンバープレート情報から、無線通信装置240の識別情報を特定する。そして、通信制御部38は、特定された識別情報で示される無線通信装置240を搭載したダンプトラック200との間で通信を開始する(S308)。これにより、コントローラ30は、ダンプトラック200に対する自動制御を開始する。
【0091】
通信制御部38は、ダンプトラック200の荷台201を指定位置に位置付けるようにダンプトラック200の操舵を行うために指令生成部37により生成された制御指令を、ダンプトラック200の無線通信装置240に送信する(S309)。これにより、ダンプトラック200は、ダンプトラック200の荷台201がアスファルトフィニッシャ100のホッパ2に鉛直方向で重なる位置まで移動する。その後、ダンプトラック200は、アスファルトフィニッシャ100とともに移動可能となる。
【0092】
取得部32は、GPSモジュール50から位置情報を取得する(S310)。これにより、コントローラ30は、アスファルトフィニッシャ100の位置情報、及びダンプトラック200の位置情報を認識できる。
【0093】
指令生成部37は、ダンプトラック200とアスファルトフィニッシャ100とのオーバーラップ状態(ダンプトラック200の荷台201がアスファルトフィニッシャ100のホッパ2に鉛直方向で重なっている状態)を維持するよう、ダンプトラック200の加速又は減速等の制御指令を生成する(S311)。より具体的には、ダンプトラック200の構成部品(例えば、後輪等)とアスファルトフィニッシャ100の構成部品(例えば、ローラ等)との間の距離を監視し、距離の変化は生じても、ダンプトラック200の速度がアスファルトフィニッシャ100の速度と略同一になるように制御を行う。
【0094】
さらに、指令生成部37は、ダンプトラック200の位置情報、ダンプトラック200の第2移動経路、及び、ダンプトラック200の現在の速度、加速、減速、又は速度維持に関する制御指令に基づいて、ダンプトラック200が第2移動経路に沿って移動するための操舵の制御指令を生成する(S312)。
【0095】
そして、通信制御部38は、無線通信装置40を介して、ダンプトラック200の無線通信装置240に対して、操舵の制御指令、及び加速又は減速等の制御指令を送信する(S313)。
【0096】
指令生成部37は、第1移動経路、及びアスファルトフィニッシャ100の位置情報に基づいて、第1移動経路に従って移動するためのアスファルトフィニッシャ100の操舵の制御指令を生成する。そして、駆動系コントローラ55は、当該制御指令に従って操舵制御を行う(S314)。次に指令生成部37により生成される制御指令について説明する。
【0097】
図4は、道路の湾曲部(左カーブ部)を施工するために経路生成部33により生成された第1移動経路及び第2移動経路を示した施工現場の上面図である。
図4に示される例では、アスファルトフィニッシャ100は、左側境界線LPと右側境界線RPとの間の路面をアスファルト合材で舗装する。このため、アスファルトフィニッシャ100は、左側境界線LP及び右側境界線RPのそれぞれに達するまでスクリード装置3を広げている。
【0098】
第1移動経路AFLは、左側境界線LPと右側境界線RPとの間の路面にアスファルトフィニッシャ100によってアスファルト合材を敷設できるように経路生成部33により生成されている。第1移動経路AFLは、施工計画図に従って、施工対象となる道路をアスファルト合材で舗装できるようにする、アスファルトフィニッシャ100に関する移動経路として経路生成部33により生成される。
【0099】
本実施形態においては、経路生成部33は、アスファルトフィニッシャ100の第1移動経路AFLを基準として、第2移動経路DTLを生成している。第2移動経路DTLは、アスファルトフィニッシャ100が第1移動経路AFLに従って移動している間、ダンプトラック200の荷台201とアスファルトフィニッシャ100のホッパ2とが鉛直方向で重なっている状態を維持するようにする、ダンプトラック200に関する移動経路である。このため、ダンプトラック200は、ダンプトラック200からアスファルトフィニッシャ100への舗装材の安定供給を実現できる。
【0100】
なお、第2移動経路DTLは、ダンプトラック200の荷台201が指定位置に位置付けた後の制御に用いられる移動経路である。換言すれば、コントローラ30は、ダンプトラック200に対して、ダンプトラック200の荷台201を指定位置に位置付ける制御をした後に、第2移動経路DTLに従った自動制御を行っている。
【0101】
そして、ダンプトラック200からアスファルトフィニッシャ100への舗装材の供給が完了した後、コントローラ30は、第2移動経路DTLに従ったダンプトラック200の制御を終了する。このように、本実施形態のコントローラ30は、ダンプトラック200の荷台201が指定位置に位置付けられている間だけ、第2移動経路DTLによってダンプトラック200を制御する。これにより、コントローラ30は、複数のダンプトラック200を、第2移動経路DTLに従って制御できる。
【0102】
第1移動経路AFL及び第2移動経路DTLは、基準座標系を用いて表される。基準座標系は、例えば世界測地系である。なお、基準座標系は、世界測地系に限定されるものではなく、アスファルトフィニッシャ100が受信した位置情報に対応付けることができる位置座標系であればよい。
【0103】
点AP1は、施工開始時である第1時点におけるアスファルトフィニッシャ100の前端の位置を示す。点AP2は、第1時点から第1移動経路AFLに従ってアスファルトフィニッシャ100が所定距離だけ進んだ後の第2時点におけるアスファルトフィニッシャ100の前端の位置を示す。点AP3は、第2時点から第1移動経路AFLに従ってアスファルトフィニッシャ100が所定距離だけ進んだ後の第3時点におけるアスファルトフィニッシャ100の前端の位置を示す。本実施形態の経路生成部33は、施工の対象である路面の湾曲部(左カーブ部)において、第2移動経路DTL(第2の経路の一例)を、第1移動経路AFL(第1の経路の一例)よりも外周側に生成する。これにより、本実施形態は、湾曲部においても、オーバーラップ状態を維持できる。
【0104】
指令生成部37は、アスファルトフィニッシャ100の前端の位置(例えば、点AP1、点AP2、又は点AP3)で示される実際の位置座標が、第1移動経路AFLを構成する位置座標の1つと一致するように、アスファルトフィニッシャ100を動作させる制御指令を生成する。
【0105】
具体的には、操舵制御部50bは、GPSモジュール50からの位置情報に基づき、アスファルトフィニッシャ100の前端の位置(例えば、点AP1、点AP2、点AP3)を示す位置情報を算出する。そして、操舵制御部50bは、算出した位置情報に基づき、第1移動経路AFLに従うために右方向又は左方向に操舵する必要があると判定した場合は、右方向又は左方向に操舵させる制御指令を生成する。また、操舵制御部50bは、アスファルトフィニッシャ100の現在の速度及び加速度等の少なくとも一つに従って、第1移動経路AFLに従うための操舵角を算出する。算出した操舵角は、制御指令に含まれる。
【0106】
点DP1は、施工開始時である第1時点におけるダンプトラック200の前端の位置を示す。点DP2は、第1時点から第2移動経路DTLに従ってダンプトラック200が所定距離だけ進んだ後の第2時点におけるダンプトラック200の前端の位置を示す。点DP3は、第2時点から第2移動経路DTLに従ってダンプトラック200が所定距離だけ進んだ後の第3時点におけるダンプトラック200の前端の位置を示す。
【0107】
指令生成部37は、ダンプトラック200の前端の位置(例えば、点DP1、点DP2、又は点DP3)で示される実際の位置座標が、第2移動経路DTLを構成する位置座標の1つと一致するように、ダンプトラック200を動作させる制御指令を生成する。さらに、指令生成部37は、アスファルトフィニッシャ100のホッパ2とダンプトラック200の荷台201とが鉛直方向で重なる状態を維持させる制御指令を生成する。アスファルトフィニッシャ100の速度に基づいてダンプトラック200を速度制御してもよい。
【0108】
具体的には、指令生成部37は、アスファルトフィニッシャ100の速度及び加速度等の少なくとも一つに基づいて、ダンプトラック200の加速、減速、又は速度維持を示した制御指令を生成する。さらに、指令生成部37は、GPSモジュール50からの位置情報に基づき、ダンプトラック200の前端の位置(例えば、点DP1、点DP2、点DP3)を示す位置情報を算出する。そして、指令生成部37は、算出した位置情報に基づき、第2移動経路に従うために右方向又は左方向に操舵する必要があると判定した場合は、右方向又は左方向に操舵させる制御指令を生成する。また、指令生成部37は、ダンプトラック200の現在の速度及び加速度等の少なくとも一つに従って、第2移動経路に従うための操舵角を算出する。算出した操舵角は、制御指令に含まれる。そして、通信制御部38は、無線通信装置40を介して、ダンプトラック200用の制御指令を、ダンプトラック200の無線通信装置240に送信する。
【0109】
図3に戻り、通信制御部38は、無線通信装置40を介してダンプトラック200の第1撮像装置261が撮像した画像情報を受信する(S315)。
【0110】
判定部36は、通信制御部38が受信した画像情報に基づいて、アスファルトフィニッシャ100の第1移動経路及びダンプトラック200の第2移動経路上に障害物が存在するか否かを判定する(S316)。障害物が存在しないと判定部36が判定した場合(S316:No)、コントローラ30は、S318の処理を実行する。
【0111】
一方、障害物が存在すると判定部36が判定した場合(S316:Yes)、音声出力装置63は、判定部36からの指示に従って、障害物が存在する旨を示した警告情報を出力する(S317)。
【0112】
その後、コントローラ30は、ダンプトラック200からのアスファルト合材の供給が終了したか否かを判定する(S318)。アスファルト合材の供給が終了したか否かの判定手法は、どのような手法でもよく、例えばダンプトラック200からの通知に基づく判定でもよい。アスファルト合材の供給が終了していないとコントローラ30が判定した場合(S318:No)、コントローラ30は、S310以降の処理を実行する。
【0113】
アスファルト合材の供給が終了したとコントローラ30が判定した場合(S318:No)、通信制御部38は、ダンプトラック200をアスファルトフィニッシャ100から離脱させるために指令生成部37により生成された制御指令を、ダンプトラック200の無線通信装置240に送信する(S319)。
【0114】
その後、コントローラ30は、第1移動経路に従った施工が完了したか否かを判定する(S320)。施工が完了していないと判定した場合(S320:No)、コントローラ30は、再びS307以降の処理を実行する。
【0115】
一方、施工が完了したと判定した場合(S320:No)、コントローラ30は、処理を終了する。
【0116】
本実施形態のアスファルトフィニッシャ100は、上述した処理を行うことで、施工対象の路面をアスファルト合材で舗装できる。
【0117】
上述した実施形態のコントローラ30は、アスファルトフィニッシャ100が第1移動経路に従って走行した場合に、オーバーラップ状態を維持できるようにダンプトラック200等の運搬車両の第2移動経路を生成する。これにより、コントローラ30は、アスファルトフィニッシャ100の操舵と、ダンプトラック200の操舵と、を同期させることができる。さらに、本実施形態のコントローラ30は、アスファルトフィニッシャ100とダンプトラック200との間の位置関係に応じて、ダンプトラック200の加速及び減速に関する制御指令を生成している。これにより、コントローラ30は、アスファルトフィニッシャ100の速度とダンプトラック200の速度とを同期させることができる。本実施形態に係るコントローラ30は、ダンプトラック20の後輪と、アスファルトフィニッシャ100のローラ2bと、の位置関係に基づき、ホッパ2が荷台201とオーバーラップ状態を維持しているか否かを判定できる。しかしながら、本実施形態は、オーバーラップ状態を維持しているか否かの判定に、必ずしもダンプトラック20の後輪やアスファルトフィニッシャ100のローラ2bを用いなくてもよい。例えば、ホッパ2の前端と荷台201の後端との位置関係に基づいて、ホッパ2が荷台201とオーバーラップ状態を維持しているか否かを判定してもよい。換言すれば、本実施形態に係るコントローラ30は、ホッパ2の前端と荷台201の後端との位置関係に基づいて、オーバーラップ状態を維持するように制御を行ってもよい。
【0118】
本実施形態のコントローラ30は、上述した制御によって、ダンプトラック200等の運搬車両の動作と、アスファルトフィニッシャ100の動作と、を同期させる。なお、同期させる動作は、操舵、及び速度に限定されるものではなく、ヘッドライト若しくはウィンカーのオン/オフ、又は、警告情報の出力等であってもよい。
【0119】
上述の例では、撮像装置62がアスファルトフィニッシャ100の前方に存在する空間を撮影する場合が説明された。そして、アスファルトフィニッシャ100の前方にダンプトラック200を検出した場合に、コントローラ30は、当該ダンプトラック200を制御した。しかしながら、本実施形態は、制御の対象となる運搬車両が、アスファルトフィニッシャ100の前方に存在する場合に限定されない。コントローラ30は、アスファルトフィニッシャ100の周囲に存在する運搬車両を制御対象としてもよい。例えば、アスファルトフィニッシャ100が、左右方向を撮像可能な撮像装置をさらに備えている場合に、コントローラ30は、当該撮像装置で検出したダンプトラックを制御対象としてもよい。この場合、例えば、アスファルトフィニッシャ100のコントローラ30は、検出したダンプトラックに対して、前方に進んだ後、後退するように制御指令を送信する。以降の制御については、上述した実施形態と同様である。このように、撮像装置等の検出装置は、アスファルトフィニッシャ100の周囲であれば検出範囲としてよい。そして、コントローラ30は、当該検出範囲内で検出された運搬車両を制御してよい。
【0120】
また、上述の例では、撮像装置62で、ダンプトラック200等の運搬車両を検出する場合が説明された。しかしながら、本実施形態は、運搬車両を検出する検出装置を、撮像装置に限定するものでない。検出装置は、ダンプトラック200の位置を検出可能なセンサ等であればよい。例えば、検出装置は、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)又はミリ波レーダ等の距離センサ等であってもよい。
【0121】
アスファルトフィニッシャ100がダンプトラック200に送信する、ダンプトラック200を操舵させる操舵情報は、操舵(ステアリング)の制御指令に限定されるものではなく、ダンプトラック200の操舵に必要な情報であればよい。例えばダンプトラック200が、第2移動経路を受け取った場合に当該第2移動経路に従って操舵が可能であれば、アスファルトフィニッシャ100は、操舵情報として、第2移動経路を送信してもよい。
【0122】
上述した実施形態においては、アスファルトフィニッシャ100は、上述した構成によって、アスファルトフィニッシャ100の動作と、ダンプトラック200の動作と、を同期させることで、ダンプトラック200の運転者による手動操舵に関する負担を軽減できる。
【0123】
さらには、アスファルトフィニッシャ100は、アスファルトフィニッシャ100の操舵と、ダンプトラック200の操舵と、を同期させることで、ダンプトラック200の荷台201と、アスファルトフィニッシャ100のホッパ2と、の位置関係がずれるのを抑止できるので、ダンプトラック200からアスファルトフィニッシャ100への舗装材の供給を安定させることができる。これにより、アスファルトフィニッシャ100は、施工後の舗装面の品質の低下を抑制できる。
【0124】
(変形例)
上述した実施形態においては、アスファルトフィニッシャ100において、アスファルトフィニッシャ100用の第1移動経路と、ダンプトラック200用の第2移動経路と、を生成する例について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、アスファルトフィニッシャ100用の第1移動経路と、ダンプトラック200用の第2移動経路と、の生成を、アスファルトフィニッシャ100で行う場合に限定するものではない。そこで、変形例では、外部に設けられた情報処理装置で移動経路が生成される。つまり、本変形例は、アスファルトフィニッシャ100と、ダンプトラック200と、情報処理装置と、を備えたアスファルトフィニッシャの施工支援システムにおいて、情報処理装置が、ダンプトラック200の動作を、アスファルトフィニッシャ100の動作に対応するよう同期させるために、アスファルトフィニッシャ100用の第1移動経路と、ダンプトラック200用の第2移動経路と、の生成をする例とする。
【0125】
外部に設けられた情報処理装置は、施工計画図を入力処理した後、アスファルトフィニッシャ100用の第1移動経路と、ダンプトラック200用の第2移動経路と、を生成する。
【0126】
そして、情報処理装置は、アスファルトフィニッシャ100の無線通信装置40に、アスファルトフィニッシャ100用の第1移動経路と、ダンプトラック200用の第2移動経路と、を送信する。以降の処理については、上述した実施形態と同様として説明を省略する。本変形例のように、アスファルトフィニッシャの施工支援システムに含まれる装置であれば、ダンプトラック200の動作を、アスファルトフィニッシャ100の動作に対応するよう同期させるための制御を実行してよい。
【0127】
上述した実施形態及び変形例においては、道路舗装の現場において、施工対象の道路に従うように、運搬車両及びアスファルトフィニッシャの自動制御が行われるため、道路舗装に関する安全性が向上する。さらには、上述した実施形態及び変形例においては、アスファルトフィニッシャの操作者が、運搬車両の前方を撮影した画像情報に基づいて周囲の状況を確認できるので、操作者及び周囲の作業者の安全性が向上する。
【0128】
以上、アスファルトフィニッシャ、ダンプトラック(運搬車両の一例)、及びアスファルトフィニッシャの施工支援システムの実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例等に限定されない。請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【0129】
本願は、2021年3月29日に出願した日本国特許出願2021-056024号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0130】
100・・・アスファルトフィニッシャ 30・・・コントローラ 31・・・ダンプトラック識別情報記憶部 32・・・取得部 33・・・経路生成部 34・・・経路補正部 35・・・検出部 36・・・判定部 37・・・指令生成部 38・・・通信制御部 62・・・撮像装置