(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】可変弧状遠位アセンブリのためのテーパ状支持部材を有するカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20250311BHJP
A61M 25/092 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/092
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022142329
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2017250665の分割
【原出願日】2017-12-27
【審査請求日】2022-09-07
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517156539
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel) Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, P.O. BOX 275, Yokneam, ISRAEL 2066717
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ブイ・セルキー
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・エル・ヒメネス
【審査官】白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-013726(JP,A)
【文献】特開2004-275767(JP,A)
【文献】特表2002-501769(JP,A)
【文献】国際公開第02/083017(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-18/28
A61M 25/00-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的カテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
収縮ワイヤと、
前記収縮ワイヤによって収縮するように構成された3D弧状遠位アセンブリであって、前記
3D弧状遠位アセンブリは内周を画定し、前記
3D弧状遠位アセンブリは、無拘束の場合において渦巻状螺旋構成を有し、
ルーメンを有する第1の管と、
前記ルーメンを通って延在する細長い支持部材であって、前記細長い支持部材は、
長手方向平坦面を有し、
円形遠位端部を有し、
遠位尾部部分を有し、前記遠位尾部部分は略矩形断面形状を有し、前記略矩形断面形状の高さ及び幅の寸法は、前記略矩形断面形状の断面積についての一方の寸法がその近位端部から前記円形遠位端部前の遠位端部まで狭くなるにつれて、前記略矩形断面形状の前記断面積についての他方の寸法が前記近位端部から前記遠位端部まで広くなるように変化し、前記遠位尾部部分の前記略矩形断面形状の前記断面積は、前記遠位尾部部分の長さに沿って、一定のままであり、
前記円形遠位端部は、円形断面を
保持する
非平坦化区域を
有する、細長い支持部材と、
前記ルーメンを通って延在する第2の管
と、を有する、3D弧状遠位アセンブリと、
を備え
、
前記収縮ワイヤは、摩擦低減管を有し、前記ルーメンを通って延在し、かつ前記細長い支持部材の前記平坦面と位置合わせされていて、前記細長い支持部材と共同で断面プロフィールを画定する同延区間を有し、前記第2の管は、前記細長い支持部材及び前記摩擦低減管を有する前記収縮ワイヤの周りに周囲収縮を提供するように嵌合され、前記断面プロフィールにほぼ一致して前記細長い支持部材と前記同延区間とを周方向に囲み、これにより、前記収縮ワイヤの前記同延区間は、前記細長い支持部材の前記平坦面と位置合わせされた状態に維持するように構成されている、電気生理学的カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、侵襲的医療処置のための方法及びデバイスに関し、具体的には、カテーテル、特に、選択された解剖学的構造のマッピング及びアブレーションに適合された遠位区域を有する、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心筋組織のアブレーションは、心不整脈の処置として周知である。無線周波数(RF)アブレーションでは、例えばカテーテルを心臓に挿入し、標的位置において組織と接触させる。次いで、カテーテル上の電極を介してRFエネルギーを印加し、組織内の催不整脈性の電流の道筋を破壊することを目的として損傷を作り出す。
【0003】
肺静脈の心門の周方向アブレーションは、現在、心房性不整脈に対する治療、特に、心房細動に対する治療として認められている。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,064,902号は、肺静脈等の血管の内壁の組織をアブレーションするためのカテーテルについて記載している。カテーテルの先端部分は、近位及び遠位区域が実質的に同一線上にある第1の概ね真っ直ぐな構成から、近位及び遠位区域が、その間に実質的に血管の内径に相当する分離距離を持って概ね平行である、第2のJ字形状の構成へと偏向可能である。カテーテルの遠位端部分は、肺静脈の内壁に沿ったカテーテル上の近位及び遠位アブレーション電極の周方向の変位を引き起こすようにカテーテルの長手方向軸線の周囲で回転される。このような方法で、電極カテーテルは、各円周位置において1つ又は2つの部位をアブレーションすることにより、肺静脈の内壁上の円周状に間隔のあいた多数の部位をアブレーションするために用いられ得る。
【0004】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,973,339号は、肺静脈マッピング及びアブレーションのためのラッソについて記載している。肺静脈(PV)を周方向にマッピングするためのカテーテルは、PVの内面の形状と概してぴったり一致するように形作られた湾曲区域を含む。この湾曲区域は、「オンエッジ」の構成の、概ね真っ直ぐな軸方向基部区域によって、カテーテルに連結され、この場合、基部軸方向区域は、湾曲区域の周囲上で、湾曲区域に連結する。湾曲区域は、1つ又は2つ以上の検出電極を備え、その近位端は、カテーテルの基部区域に対して一定の角度又は概して既知の角度で接合される。位置センサーは、カテーテルの湾曲区域及び基部区域の遠位端に固定される。カテーテルは、心臓に挿入され、湾曲区域は、PVの壁と接触するように位置付けられるが、基部区域は、左心房内に、典型的には湾曲区域と共にその接合部が静脈口に位置付けられるようにして残される。3つの位置センサーによって生成される情報を使用して、検出電極の場所及び配向を算定することにより、PVの表面のマッピングが可能になる。検出電極は、加えて、選択された部位のアブレーションを行うことが可能であり、また、カテーテルは、アブレーション要素を更に備えることができる。
【0005】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,008,401号は、複数平面又は複雑曲線内でカテーテルの遠位区域を操舵するための、診断用途及び治療用途の双方で使用可能な複合的操舵アセンブリについて記載している。これらのアセンブリにより、医師は、アブレーション及び/又はマッピング電極を、内部身体表面と緊密に接触した状態に、迅速かつ正確に位置付け及び維持することが可能になると述べられている。その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,820,591号は、同様に、この種の複合的操舵アセンブリについて記載している。
【0006】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,608,735号は、長手方向軸線を有し、患者の身体内への挿入に適した遠位端部を有する挿入シャフトを含む医療装置について記載している。弾力的な端部区域が、挿入シャフトの遠位端部に固定され、無拘束状態のときに、軸に対して斜めに向いており、そして、軸上に曲率中心を有する弧を画定するように形成される。1つ又は2つ以上の電極が、端部区域に沿ったそれぞれの場所に配設される。
【0007】
しかしながら、ヒトの解剖学的構造が個々の間で異なるため、心門の形状及びサイズが変化し、弧状遠位区域が、特定の標的心門に常に嵌合し得るとは限らない。更に、ある直径の標的心門と、また、有意により小さい直径を有し得るその心門のPVとに対して、同じカテーテルを使用することが望ましい場合がある。加えて、ラッソカテーテルが可変弧状遠位アセンブリを有する場合、弧状遠位アセンブリの収縮によって、弧状遠位アセンブリの略円形の形態が、その構成要素のうちの1つ又は2つ以上が望ましい態様で比較的密着してコイル化するには剛性が大きすぎるために、歪むことがある。
【0008】
現在の円形ループカテーテルは、ループ収縮中に円形構成を一貫して維持することができない一定の一様断面を有するニチノールスパイン等の支持部材を利用して構成される。そのような現在の円形ループカテーテルは、また、より小さいループ収縮のためにより小さい収縮ワイヤ引張力を必要とする際に、それの収縮及び偏向特性に限界がある。更に、現在の円形ループカテーテルは、収縮ワイヤの支持部材からの切断又は解放の可能性を除去するような、収縮ワイヤと支持部材との間の信頼性のある取付けを欠いている場合がある。現在の円形ループカテーテルは、それの全長に沿って同一の一様断面二次モーメントを有するニチノールスパインを有し、そして、ニチノールスパインは、同一の断面積を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、より優れた耐久性に加えて、改善された収縮及び曲げ半径特性を有する可変の弧状遠位部を有するカテーテルを目的とする。可変弧状遠位区域は、カテーテルのオペレータに円形診断及び治療カテーテルに対して繰返し可能でより正しい円形収縮を提供するときに、収縮ワイヤ、及びループの全ての別の構造支持部分での力を減少させながら、略円形のカテーテルループの収縮の程度を大きく増加させるための可変テーパ状支持部材を含む。可変テーパ状支持部材は、また、収縮の軸に沿ってカテーテルループの剛性を増大させることにより、ループに担持された環状電極と心臓組織との間に増加したより一様な接触力を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、可変円形ループを有するカテーテルは、テーパ状の全長に沿って一様な断面積を維持しつつ、円形断面から略矩形断面まで遷移するテーパ状遠位区域を有する部材によって支持され、テーパ状遠位区域は、第1の図心軸に沿って減少する断面二次モーメントと、第1の図心軸に略直交する第2の図心軸に沿って増加する断面二次モーメントと、を提供する。したがって、テーパ状区域は、付勢されることにより、断面二次モーメントの増加を伴う第2の図心軸に沿ってより小さく偏向し、断面二次モーメントの減少を伴う第1の図心軸に沿ってより大きく偏向する。
【0011】
いくつかの実施形態では、電気生理学的カテーテルは、細長いカテーテル本体と、収縮ワイヤと、収縮ワイヤの作動によって収縮するように構成された遠位アセンブリと、を含む。遠位アセンブリは、遠位半径によって画定された遠位部分を有する3D構成を有する形状記憶支持部材を有する。略矩形断面を有する形状記憶支持部材は、幅及び高さによって画定される。略矩形断面が遠位部分においてテーパ状にされていることにより、遠位部分の遠位場所が、より大きい高さ及びより小さい幅を有し、そして、遠位部分の近位場所が、より小さい高さ及びより大きい幅を有する。
【0012】
より詳細な実施形態では、支持部材は、3D構成の内周に面する内側面を有し、遠位アセンブリを通って延在する収縮ワイヤの同延部分が内側面と位置合わせされている。
【0013】
いくつかの詳細な実施形態では、遠位アセンブリは、支持部材及び収縮ワイヤの支持部材との同延部分を囲む半径方向収縮性スリーブを含む。
【0014】
いくつかの詳細な実施形態では、遠位アセンブリは、支持部材及び収縮ワイヤの遠位端部のレーザ溶接結合を含み、支持部材の遠位端部は、略矩形断面とは異なる断面を有する。
【0015】
別の実施形態では、電気生理学的カテーテルであって、細長いカテーテル本体と、収縮ワイヤと、この収縮ワイヤによって収縮するように構成された3D弧状遠位アセンブリであって、遠位アセンブリは内周を画定し、内周上又はその近傍にルーメンを有する第1の管と、ルーメンを通って延在する細長い支持部材であって、支持部材は、長手方向平坦面を有する、細長い支持部材と、を含む。収縮ワイヤは、ルーメンを通って延在し、かつ支持部材の1つ又は2つ以上の平坦面に沿って同延区間を有する。遠位アセンブリは、また、支持部材を周方向に囲むスリーブと、収縮ワイヤの同延区間と、を含む。
【0016】
いくつかの詳細な実施形態では、支持部材と、収縮ワイヤの同延区間とは、共同で断面プロフィールを画定し、スリーブは、断面プロフィールにほぼ一致して支持部材と同延区間とを囲む。
【0017】
いくつかの詳細な実施形態では、収縮ワイヤの同延部分は、遠位アセンブリの収縮中に、支持部材の平坦面と位置合わせされており、そして、収縮ワイヤの同延区間を平坦面とほぼ位置合わせした状態に維持するように構成されている。
【0018】
いくつかの詳細な実施形態では、支持部材は、遠位尾部部分を有し、支持部材は、幅及び高さによって画定された略矩形断面を有し、略矩形断面は、遠位尾部部分においてテーパ状にされている。
【0019】
いくつかの詳細な実施形態では、遠位尾部部分の遠位場所は、より大きい高さ及びより小さい幅を有し、遠位尾部部分の近位場所は、より小さい高さ及びより大きい幅を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、電気生理学的カテーテルであって、長手方向軸線を画定する細長いカテーテル本体と、収縮ワイヤと、この収縮ワイヤの長手方向移動に反応して、中立構成と収縮構成との間で移動可能な3D遠位アセンブリと、を有する。3D遠位アセンブリは、エルボ接合部と、遠位部分と、を有する。エルボ接合部は、少なくとも近位直径によって画定され、遠位部分は、遠位直径によって画定される。中立構成の場合、近位直径は、遠位直径よりも小さい。収縮構成の場合、遠位直径は、近位直径にほぼ等しいか、又はそれよりも小さい。
【0021】
いくつかの詳細な実施形態では、エルボ接合部が、長手方向軸線を略横断する遠位部分を支持するように構成された捩じり部を有することにより、長手方向軸線は、遠位部分の中心を通って延在する。
【0022】
いくつかの詳細な実施形態では、遠位アセンブリは、内側平坦面と、反対側の平坦面と、を有する細長い支持部材を有し、収縮ワイヤは、それの全長に沿って内側平坦面と同延の遠位区間を有する。
【0023】
いくつかの詳細な実施形態では、支持部材の内側面は、3D遠位アセンブリの遠位部分の内周上又はその近傍にある。
【0024】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリは、細長い支持部材及び収縮ワイヤを囲む摩擦低減管の両方を周方向に囲む半径方向収縮性スリーブを更に含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、半径方向収縮性スリーブは、支持部材に対する収縮ワイヤの側方移動を最小化する際に、支持部材及び摩擦低減管の周囲で周方向に収縮性である。
【0026】
別の実施形態では、電気生理学的カテーテルであって、長手方向軸線を画定する細長いカテーテル本体と、収縮ワイヤと、3D弧状形態を有する遠位アセンブリとを有し、遠位アセンブリは、収縮ワイヤの長手方向移動に反応して、中立構成と収縮構成との間で移動可能である。遠位アセンブリは、3D弧状形態を提供する支持部材を有し、3D弧状形態は、エルボ接合部と、遠位部分と、を有し、エルボ接合部は、少なくとも近位直径によって画定され、遠位部分は、遠位直径によって画定され、半径方向収縮性スリーブは、支持部材及び収縮ワイヤの同延部分を囲んでいる。中立構成の場合、近位直径は、遠位直径よりも小さい。収縮構成の場合、遠位直径は、遠位直径よりもほぼ小さい直径まで減少する。
【0027】
いくつかの詳細な実施形態では、3D弧状形態は、内周を画定し、遠位アセンブリは、内周に最も近いルーメンを含む複数ルーメンを有する管を含み、支持部材と収縮ワイヤの同延部分とは、内周に最も近いルーメン内にある。
【0028】
いくつかの詳細な実施形態では、支持部材は、略矩形断面を有し、支持部材は、遠位部分を有し、略矩形断面の幅寸法及び高さ寸法は、遠位部分の長さに沿って変化する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明のこれらの特徴及び利点、並びに他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することによってより充分な理解がなされるであろう。選択された構造及び機構が、残りの構造及び機構を見やすくするために、特定の図面では示されていないことを理解されたい。
【
図1】一実施形態による、本発明のカテーテルの平面図である。
【
図2A】中立の無拘束構成にある、
図1のカテーテルの3D弧状遠位アセンブリの詳細図である。
【
図2B】収縮構成にある、
図2の3D弧状遠位アセンブリの詳細図である。
【
図3】線A-Aに沿ってとられた、
図1のカテーテルのカテーテル本体の端部断面図である。
【
図4】線B-Bに沿ってとられた、
図1のカテーテルの偏向可能な中間区域の端部断面図である。
【
図5A】線C-Cに沿ってとられた、
図1のカテーテルのコネクタ区域の端部断面図である。
【
図5B】領域D-Dに沿ってとられた、
図1のコネクタ区域の側面断面図である。
【
図6A】半径方向収縮性管と共に、支持部材及び同延収縮ワイヤの斜視図である。
【
図6B】
図6Aの支持部材及び収縮ワイヤの遠位端部のアセンブルされた構造の詳細平面図である。
【
図8】線E-Eに沿ってとられた、
図2Aの遠位アセンブリの端部断面図である。
【
図9】線F-Fに沿ってとられた、
図2Aの遠位アセンブリの側面断面図である。
【
図10】一実施形態による、リード線取り付け部を有する潅注アブレーション電極の斜視図である。
【
図11】一実施形態による、制御ハンドルの側面断面図である。
【
図13A】新形態になる前の、
図6の支持部材の端部断面図である。
【
図13B】線G-Gに沿ってとられた、
図6の支持部材の端部断面図である。
【
図13C】線J-Jに沿ってとられた、
図6の支持部材の端部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下で説明される本発明の実施形態は、心臓での、特に、患者の身体内の様々なサイズの管状領域、及び管状領域内の様々な周辺場所での操縦及び位置決めを容易にするように改善された弧状遠位電極担持構造を有する、カテーテル等のプローブを提供する。そのようなカテーテルを使用することにより、略円形又は略螺旋形のアブレーション経路を作成できるだけでなく、電位及び解剖学マッピングのための略曲線又は略螺旋形のパターンに沿った電気活性を感知できる。
【0031】
図1を参照すると、開示された実施形態によるカテーテル10は、長手方向軸線13を有する可撓性の挿入シャフト又はカテーテル本体12を含んでもよい本体と、長手方向軸線13から軸外に1方向又は2方向に偏向され得る、カテーテル本体の遠位にある中間区域14と、を備える。
図2Aに示すように、有意により大きく、かつより一様なループ収縮に対して有利に構成されている弾力性の3次元(3D)弧状遠位アセンブリ17が、中間区域14から延在している。下記で更に詳細に説明するように、遠位アセンブリ17は、
図2Bに示すように、その半径を減少させてコイル化を増大させる際に制御ハンドル16のオペレータ操作に反応する。
【0032】
図1及び
図3に表す実施形態では、カテーテル本体12は、単一の、軸方向又は中央のルーメン18を有する細長い管状構造を備える。カテーテル本体12は、可撓性、すなわち屈曲可能であるが、その長さ方向に沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造を有していてもよく、任意の好適な材料で作製することができる。いくつかの実施形態では、構造は、ポリウレタン又はPEBAXで作製された外壁20を備える。外壁20は、カテーテル本体12の捩じり剛性を増大させるために、当該技術分野において一般的に既知の、ステンレス鋼等の埋め込み式編組みメッシュを含むことにより、制御ハンドル16を回転させると、中間区域14が、対応する方式で回転することになる。
【0033】
カテーテル本体12の外径は、重要ではないが、いくつかの実施形態では、約8フレンチ以下、より好ましくは7フレンチである。同様に、外壁20の厚さは、重要ではないが、中央ルーメン18が任意の所望のワイヤ、ケーブル、及び/又は管を収容できるように充分に薄いものである。外壁20の内面が、補強管22で裏打ちされることにより、捩じり安定性が改善される。補強管22の外径は、外壁20の内径とおよそ同じであるか、又はわずかに小さいものである。補強管22は、非常に高い剛性を与えると共に体温で軟化することがない、ポリイミド等の任意の好適な材料で作製することができる。
【0034】
偏向可能な中間区域14は、複数のルーメンを有する管23のより短い区域を備え、ルーメンのそれぞれは、カテーテル12から中間区域14の中まで様々な構成要素によって占められている。
図4に示す実施形態では、6つのルーメンが存在する。環状電極19に結合されると、それぞれのリード線/熱電対40、41が、第1のルーメン31を通過する。非導電性保護シース39が、対線40/41を囲むように提供されてもよい。遠位アセンブリ17に灌注流体を送達するための潅注管43が、第2のルーメン32を通過している。中間区域14の偏向を可能にするために、偏向牽引具ワイヤ44が、第3のルーメン33を通過している。遠位アセンブリ17に担持された1つ又は2つ以上の単軸センサー(SAS)を含む位置センサーケーブルアセンブリ48が、第4のルーメン34を通過している。ユーザによる制御ハンドルの操作に反応して、遠位アセンブリ17の弧状遠位部分15の形状及びサイズ、例えば曲率半径を可変にするために、収縮ワイヤ24が、第6のルーメン36を通過している。下記のように、収縮ワイヤ24は、遠位アセンブリ17の3D形状を提供する形状記憶支持部材50に作用する。
【0035】
中間区域14の複数ルーメン型管23は、好ましくは、カテーテル本体12よりもより可撓性である好適な無害材料で作製される。好適な材料は、編組みポリウレタン又はPEBAX、即ち、編み組まれたステンレス鋼などの埋込みメッシュを有するポリウレタン又はPEBAXである。ルーメンの数及びサイズは、関連する構成要素を収容するのに十分な空間が存在するならば、重要ではない。図示した実施形態では、偏向牽引具ワイヤ44及び収縮ワイヤ24のための第3のルーメン33及び第6のルーメン36が、軸外にあって互いに直径方向に対向しており、そして、支持部材50のための第5のルーメン35が、軸上にある。
【0036】
カテーテルの有用な長さ、すなわち、身体内に挿入することができる、遠位アセンブリ17を除く部分は、必要に応じて変化させることができる。好ましくは、有用な長さは、約110cm~約120cmの範囲内にある。中間区域14の長さは、有用な長さの比較的小さい部分であり、好ましくは約3.5cm~約10cm、より好ましくは約5cm~約6.5cmの範囲である。
【0037】
中間区域14の遠位には、遠位アセンブリ17がある。
図2A及び
図5Aに示すように、PEEK等の好適な材料の管を有する略直線のコネクタ区域30が、中間区域14と遠位アセンブリ17との間に延在し、このコネクタ区域が有する中央ルーメン37は、中間区域14と遠位アセンブリ17との間に延在する様々な構成要素が、
図5Bに示すように、その間で遷移するために必要に応じて向きを変え、別の位置に移ることを可能にする。構成要素は、好適な接着剤112によって区域30のルーメン37内で詰め込み状態にされる。遠位アセンブリ17を支持し、それの3D形状を提供するとき、形状記憶支持部材50は、遠位アセンブリ17から近位に比較的短い距離だけコネクタ区域30の遠位部分の中に延在する。
【0038】
図2A及び
図6に示すように、3D遠位アセンブリ17は、予め形成された弧状遠位部分15と、エルボ部分21と、近位線形ステム26と、を含む。弧状遠位部分15は、複数の潅注される環状電極19を担持する。エルボ部分21は、遠位部分15を長手方向軸線13に対して斜めに向けることにより、長手方向軸線は、
図7に示すように、遠位部分15の中心を概ね通って延在する。したがって、斜角θ(
図2A)は、長手方向軸線13と、遠位アセンブリ17によって概ね画定された平面Pとの間で画定されており、斜角θは、約45度~135度の範囲に亘り、好ましくは約75度~100度、好ましくは約90度である。
【0039】
図2A、
図6及び
図7を参照すると、エルボ部分21は、近位曲線区域21Pと、エルボ接合部又は「捩じれ部」42と、遠位曲線区域21Dと、を有する。近位曲線区域21Pは、長手方向軸線13に対する第1の(又は近位の)半径R1によって画定された第1の弧をトレースする。遠位曲線区域21Dは、長手方向軸線13に斜めの軸27に対する第2の(又は中間の)半径R2によって画定された第2の弧をトレースする。第1の半径R1は、第2の半径R2よりも小さい。しかし、半径R1及びR2の両方は、遠位部分15によってトレースされる第3の弧を画定する第3の(又は遠位の)半径R3よりも小さい。いくつかの実施形態では、半径R1は、約0.25cm~0.64cm(0.1インチ~0.25インチ)の範囲に亘り、半径R2は、約0.38cm~0.97cm(0.15インチ~0.38インチ)範囲に亘り、半径R3は、約1.0cm~1.5cm(0.4インチ~0.6インチ)範囲に亘る。このように、遠位アセンブリ17の3D構成は、無拘束の場合、半径R2よりも大きい半径R3を有する螺旋形特徴を有する。例えば、斜角θが約90度であり、長手方向軸線13がZ軸を画定する場合、
図6に示すように、半径R1によって画定される第1の弧は、Y/Z平面内にあってもよく、それぞれ半径R2及びR3によって画定される第2及び第3の弧は、両方ともX/Y平面内にあってもよい。遠位アセンブリ17は、上記の半径R1、R2、及びR3に限定されず、必要又は所望に応じて、より大きいか又はより小さい半径を含んでもよいことを理解されたい。
【0040】
遠位アセンブリ17の3D構成は、また、無拘束の場合、螺旋状特徴を有し、この螺旋状特徴では、遠位アセンブリ17は、
図2Aに最もよく示すように、遠位アセンブリ17の遠位端部25が、遠位アセンブリ17の最遠位部分であるように螺旋を描くように遠位に延在する。
【0041】
したがって、遠位アセンブリ17は、第1の分離間隙が、長手方向軸線13に沿った遠位端部25と遠位曲線区域21Dとの間にあり、第2の分離間隙が、斜め軸27に沿った遠位端部25と遠位曲線区域21Dとの間にあるように、渦巻状螺旋構成(又は螺旋状渦巻構成)を有する。遠位アセンブリ17の渦巻状螺旋構成は、
図2Aに示すように、それの近位端部から遠位端部まで長手方向軸線の軸上にある拡張螺旋がトレースすると説明することができる。
【0042】
遠位部分15の長さに基づいて、遠位アセンブリ17は、それの中立の無拘束3D構成では、捩じり部42と遠位端部25との間に約360度の半径角αを定めることができる。別の実施形態では、遠位アセンブリ17は、360度よりも大きい、例えば約380度の半径角α(
図6)を定める。
図2Bに示すように、遠位アセンブリ17が収縮されると、渦巻状螺旋は「巻上げ」を形成して締まり、併せて、遠位アセンブリ17によってトレースされる半径R1、R2、R3のうちの1つ又は2つ以上が減少し、そして、遠位アセンブリ17による弧に対応する半径角αが、捩じり部42と遠位端部25との間で、例えば、約360度又は380度から約540度又はそれを上回るまで増加する。したがって、中立の無拘束構成にある遠位アセンブリ17が、より大きい半径を有する心門と周辺が接触するように使用され、次いで、有意により小さい半径を有する心門のPV内で周辺が接触するように収縮構成へと調節され得る。
【0043】
図8に示すように、遠位アセンブリ17は、複数ルーメン型管56を含む。開示されている実施形態では、管56は、4つの軸外のルーメン、すなわち、(例えばTEFLON(登録商標)の摩擦低減被覆38によって周方向に囲まれている)SASケーブルアセンブリ48のための第1のルーメン51と、環状電極対線40、41のための第2のルーメン52と、潅注管43を通って供給される潅注流体のための第3のルーメン53と、支持部材50及び収縮ワイヤ24のための第4のルーメン54であって、その収縮ワイヤの区間がルーメン54内で支持部材50と同延である、第4のルーメン54と、を有する。この場合も、ルーメンの位置及びサイズは、以下の点を除いて重要ではなく、収縮ワイヤ24の近位移動が渦巻状螺旋形態を締めてそれのコイル化を増大させる際により効果的に作用し得るように、収縮ワイヤ24のための第4のルーメン54の位置は、遠位アセンブリ17の渦巻状螺旋形態の内周上又はその近傍にあることが望ましい。複数ルーメン型管56は、任意の好適な材料で作製されてもよく、好ましくは、ポリウレタン又はPEBAX等の生体適合性プラスチックで作製される。
【0044】
表している実施形態では、遠位アセンブリ17の予備成形の支持部材50は、管56の第4のルーメン54を通って延在することにより、遠位アセンブリ17の3D渦巻状螺旋形態を提供及び画定し、この3D渦巻状螺旋形態は、近位区域21P及び遠位区域21Dの捩じり部42及び弧と、半径R1、R2、及びR3によって画定される遠位部分15と、を含む。支持部材50は、形状記憶を有する材料、すなわち、力が行使されると、その本来の形状から離れて真っ直ぐに伸ばすか又は屈曲させることができ、かつ力を取り除くと、実質的に本来の形状に戻ることが可能である材料で、作製される。いくつかの実施形態では、支持部材50に好適な材料は、ニッケル/チタン合金である。そのような合金は、典型的には、約55%のニッケル及び約45%のチタンを含むが、約54%~約57%のニッケルを含み、残部をチタンとすることができる。ニッケル/チタン合金は、ニチノールであって、このニチノールは、延性、強度、耐食性、電気抵抗、及び温度安定性と共に優れた形状記憶を有する。
【0045】
いくつかの実施例では、
図5A[]に示すように、支持部材50は、コネクタ区域30に受け取られて固定される近位端部を有する。いくつかの実施形態では、近位端部は、コネクタ区域30の遠位端部から約2~3mmだけ近位の深さまで延在する。あるいは、支持部材50は、所望又は必要に応じて、中間区域14の全長を通って、中間区域14のルーメン35の中へ、そして、中央ルーメン18を介してカテーテル本体12の中へさえ、更に近位に延在してもよい。
【0046】
有利にも、支持部材50は、略矩形断面形状を有し、この断面形状の高さ及び幅の寸法は、部材50の長さに沿って所定の態様で変化する。
図13B及び
図13Cに示すように、長さに沿った任意の場所での略矩形断面積は、その幅寸法W及び高さ寸法が異なる場所で変化するけれども、一定のままである。支持部材50の長さに沿ったより近位の場所とより遠位の場所との間において、一方の寸法の任意の得失が他方の寸法と釣り合って得失されるので、長さに沿った任意の場所での断面積に増減がない。支持部材50のテーパ状部分又は「尾部」は、断面積についての一方の寸法が部材の近位端部から遠位端部まで狭くなるにつれて、断面積についての他方の寸法は、近位端部から遠位端部まで広くなる。寸法(例えば、
図13B及び
図13CでのX軸に沿った幅寸法W)が減少すると、近位端部から遠位端部までのその寸法での曲げに対する抵抗を減少させ、一方、寸法(例えば
図13B及び
図13CでのY軸に沿った高さ寸法H)が増加すると、テーパ状部分の近位端部から遠位端部までの寸法での曲げに対する抵抗を増加させる。
【0047】
図6に示すように、支持部材50の近位端部での略矩形断面は、最大幅W1及び最小高さH1を有する。遠位アセンブリ17の収縮中での半径R1及びR2の変化又は変形を最小にするために、支持部材50の断面積の幅及び高さ寸法は、半径R2の遠位の所定場所で(例えば、場所L2において又はその付近で)変化(又はテーパ化)を開始する。遠位アセンブリ17のテーパ状尾部にあるその所定の場所から遠位で、幅は、W2(<W1)までの減少を開始し、一方、高さは、H2(>H1)までの増加を開始する。幅は、遠位位置L3においてW3(<W2<W1)まで更に減少し、一方、高さは、H3(>H2>H1)まで更に増加する。これらの減少及び増加は、滑らかで連続的である。このテーパ状構成は、支持部材50を付勢することにより、収縮ワイヤ24によって収縮させられる等のときには、遠位端部25に向かってコイル化することに対する比較的小さい抵抗を増加させ、一方、遠位アセンブリ17が頭を前にして組織表面と接触する等のときには、遠位端部25に向かう斜めの力に対して次第により大きい抵抗を付与させる。したがって、断面形状のこの変化は、遠位アセンブリ17が、遠位部分15がエルボ接合部21の最小の変形によって容易に収縮してコイル化することが可能であること、及び、遠位アセンブリ17が標的組織と接触するときに加えられる軸方向力からの荷重にエルボ接合部21が耐えることがより可能であることを含む、改善された収縮特徴を示すことを可能にする。支持部材50に適用される断面形状のこの変化によって、遠位アセンブリ17は、収縮ワイヤ24の作動時に、例えば、遠位部分15が遠位区域21Dの曲率にほぼ等しいか、又はそれよりも小さくさえある曲率を呈するところの、より小さいループサイズ(
図2Bを参照)を呈するように調節され得る。
【0048】
図6に示すように、略矩形断面によって、支持部材50は、略矩形断面の高さ寸法を画定する面/表面62及び63と、略矩形断面の幅寸法を画定する縁部75と、を有する「コイル状リボン」に似ている。有利には、内側平坦面/表面62は、それの長さに沿って、遠位アセンブリの渦巻状螺旋構成の内周に連続的に面し、そして、内側平坦面62の反対側にある外側平坦面/表面63は、渦巻状螺旋構成の内周から離れる方に外向きに連続的に向いている。支持部材50がテーパ状になることによって、次第に幅広になり薄くなるリボンに似ている遠位アセンブリ17の「テーパ状尾部」が生じる。
【0049】
その上、支持部材50の近位端部の略矩形断面は、近位端部を偏向可能区域14の管23のルーメン35内に定着させるのを助け、そして、近位端部がエポキシ等の接着剤(
図4を参照)によって詰め込み状態にされた場合、支持部材がそれの軸の周りで回転する危険性を低減する。
【0050】
いくつかの実施形態では、
図13Aに示すように、支持部材50は、円形断面形状から始まる。支持部材50、例えば、円形ワイヤは、次第に平坦化されて、略矩形断面でテーパ状尾部になる。したがって、高さ寸法の平行な平坦化面の間の幅寸法の2つの対向する端部は、元の円形断面形状のうちの残された円形形状を担持する。支持部材は、次に円形の対向する端部ではなく平坦な対向する端部になる正方形/矩形断面形状から始まり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、円形ワイヤの使用によって、製造がより経済的になり、円形の対向する端部は、半径方向収縮性の可撓性チューブ又はスリーブ60の中への支持部材の挿入を含む、遠位アセンブリ17の組立てを容易にし、この点については以下で更に論じる。円形の対向する端部は、支持部材50を管60の中に挿入するのに使用される挿入力、及び支持部材50が管60を裂いて損傷を与える危険性もまた低減し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、円形ワイヤのような支持部材50は、約0.048センチメートル(0.019インチ)の初期の(平坦化前の)直径、及び約10.8(4.25インチ)の長さを有する。平坦化されると、支持部材50は、それの近位端部から場所L2まで、約0.053cm×0.038cm(0.021インチ×0.015インチ)の略矩形断面寸法を有する。(
図6の場所L2から遠位にある)支持部材50のテーパ状尾部は、長さが約7.37センチメートル(2.9インチ)であり、それの遠位端部25で又はその近傍で約0.089cm×0.020cm(0.035インチ×0.008インチ)の略矩形断面寸法を有する。いくつかの実施形態では、以下で更に詳細に説明するように、支持部材50の遠位端部は、それの円形断面を保持する非平坦化区域50Dを有する。
【0052】
0.048センチメートル(0.019インチ)の直径の支持部材50(平坦化前)の断面二次モーメントは、図心軸方向に関係なく同一であるが、第1の図心軸についての、それの遠位端部での又はその近傍での断面二次モーメントは、近位端部での慣性モーメントの2.5分の1の剛性である。遠位端部での第2の図心軸についての慣性モーメントは、近位端部での慣性モーメントの4.5倍の剛性である。遠位端部での2つの図心軸についての断面二次モーメントを相互に比較すると、第1の図心軸は、第2の図心軸の18.5分の1の剛性である。収縮ワイヤ24が一定の内向き力線(摩擦を無視する)を支持部材50に及ぼすことにより、小規模な略円形の収縮を達成するので、支持部材50の断面二次モーメントは、それが収縮ワイヤ24に付着されている場合、遠位端部に向かって絶えず減少するはずである。
【0053】
収縮ワイヤ24は、制御ハンドル16内に定着された近位端部を有し、この制御ハンドルは、オペレータによる操作を介して収縮ワイヤ24を作動させるための回転式操作ノブ59(
図1を参照)を提供する。収縮ワイヤ24は、カテーテル本体12の中央ルーメン18(
図3)、中間区域14の第6のルーメン36(
図4)、コネクタ区域30の中央ルーメン37(
図5A)、及び、支持部材50に沿って遠位アセンブリ17の管56の第4のルーメン54(
図8)を通って、遠位端部25(
図9)まで延在する。
【0054】
収縮ワイヤ24が摩擦低減管61(
図8)、例えばTEFLON(登録商標)内径被覆のポリイミド又はPEEK管によって覆われることにより、収縮ワイヤ24は、支持部材50の側面62、並びに収縮ワイヤ24及び支持部材50を囲む収縮性管60の内面から物理的に分離されて絶縁され得るが、この点については以下で更に詳細に説明する。摩擦低減管61は、支持部材50の遠位端部に比較的近くなければ、近位端部をコネクタ区域30に、そして、遠位端部を半径R2から少なくとも遠位で、場所L2に又はその近傍に有してもよい。
【0055】
有利には、遠位アセンブリ17のルーメン54を通る、支持部材50、並びに収縮ワイヤ24(及びそれの管61)の同延区間は、
図6に示すように、締まり嵌め可撓性管60によって囲まれて一緒に結合される。いくつかの実施形態では、締まり嵌め管60は、(第1の押出し膜又は層として形成される)TEFLON(登録商標)等の摩擦低減材料から構成された内径91を有し、この内径は、ステンレス鋼平打紐92によって覆われ、この平打紐は、(第2の押出し膜又は層として形成された)ナイロン等の外径93によって覆われている。収縮性管60は、以下で更に説明するように、支持部材50及び(摩擦低減管61を有する)収縮ワイヤ24の上を、これらの遠位端部が一緒に付着された後に滑らされる。管60は、遠位端部を半径R2とR3との接合部に又はその近傍に有し、近位端部をエルボ接合部21に又はその近傍に有する。管60が、支持部材50及び摩擦低減管61を有する収縮ワイヤ24の周りに周囲収縮を提供するように嵌合されることにより(
図8を参照)、収縮ワイヤ24を内側面62と(又は内面の側に)位置合わせした状態に維持する際に管61を支持部材50の内側面62に対して固着させ、その結果、円形形状維持及び有意により締まった収縮及びコイル化の改善、並びに収縮ワイヤ24が遠位アセンブリ17の管56に切れ込むことに対する耐久性の改善を含む、遠位アセンブリ17の収縮特性の改善を行う。そのような収縮特性の改善、特に遠位アセンブリのテーパ状尾部についての収縮特性の改善は、支持部材50の全長に亘って内側面62に対する収縮24を維持することによって可能である。例えば、遠位アセンブリ17が無拘束であるときに、遠位部分15の弧の半径R3が約17mmである場合、遠位アセンブリ17がより締まったコイルに収縮されることにより、遠位曲線部分21D及び遠位部分15の弧が、遠位部分15の弧の半径R3が約60%以上だけ減少することに対して、両方とも約10mmの半径によって画定される。
【0056】
図6に示すように、管61内の収縮ワイヤ24は、遠位アセンブリ17の遠位端部25とコネクタ区域30との間に延在する支持部材50の内向き側面62の全長に沿って走っている。この予め決められたパターンが有利に収縮ワイヤ24のいずれかに向かう傾向を最小化することにより、収縮ワイヤ24が近位に引かれるときに支持部材50から分離して持ち上がる。いくつかの実施形態では、収縮ワイヤ24は、また、それの長さに沿って、又はその1つ又は2つ以上の区間に沿って矩形断面を有してもよい。
【0057】
図8及び
図9を参照すると、支持部材50、収縮ワイヤ24、及び収縮性管60の遠位端部のアセンブルされた構造は、遠位アセンブリ17の管56の第4のルーメン54内で、収縮ワイヤ24が遠位アセンブリ17の中心に向くように遠位アセンブリ17の内周に最も隣接するように向けられている。管56の別のルーメンよりも内周のより近くに設置された第4のルーメン54と、支持部材50よりも内周のより近くにまた設置された、ルーメン54内の収縮ワイヤ24とによって、収縮ワイヤ24は、遠位アセンブリ17を効果的に収縮させ得る。
【0058】
ルーメン54への挿入前に、支持部材50、収縮ワイヤ24、及び収縮性管60の遠位端部のアセンブルされた構造が調整される。いくつかの実施形態では、収縮ワイヤ24と支持部材50との遠位端部の結合は、ステンレス鋼フェルール65(例えば304又は316系)を有するレーザ溶接結合を含み、このフェルールは、平坦化されないで、それ自体の元の円形断面形状を保持する支持部材50の遠位端部25D上に置かれる。フェルール65は、それが遠位端部25D上に置かれた後に平坦化される。支持部材50の平坦化部分は、収縮ワイヤ張力が支持部材50に適用されたときに、フェルール65の任意の近位移動又は転移を防止する停止部として機能する。フェルール65は、支持部材50の表面62に平行にクロックされる平坦部分を有する圧着ダイによって支持部材50の円形遠位端部50Dに固着される。収縮ワイヤ24の遠位端部は、フェルール65の平坦部分にもまた固定される平坦部分を有する圧着されたフェルール80を有する。レーザシーム溶接101が、収縮ワイヤ24及び支持部材50の遠位端部を接合するフェルール65及び80の1つの共通(底)面上で行われる。
【0059】
ニチノール支持部材を収縮ワイヤに接合するために無鉛はんだが使用される、支持部材と収縮ワイヤとを結合する先行技術の結合とは対照的に、本明細書で説明されるレーザ溶接結合は、はんだ付けの前にニチノール及びステンレス鋼から酸化物を除去するための強酸フラックスの使用を含む。更に、レーザ溶接結合は、無鉛はんだが非露出空隙を含むか、又はコールドはんだ接続として形成されたときに、ニチノール支持部材からの牽引具ワイヤ分離破壊の起因となり得る低いせん断強度及び引張強度(約27.6MPa(4000psi))を有する先行技術の無鉛はんだと比較して一層より強い付着を提供する。
【0060】
収縮性管60は、次いで、収縮ワイヤ24上をそれ自体の近位端部で摺動させられ、支持部材50上をそれ自体の近位端部で進行させられ、そして、管60の遠位端部がアセンブルされた構造に到達してそれを覆うまで更に進行させられる。
【0061】
収縮性管60が収縮ワイヤ24及び支持部材50上に適切に設置されると、収縮性管60は、近位端部を半径R2とR3との接合部の近傍に有し、遠位端部は、トリムされるか、又はステンレス鋼フェルール65の直ぐ近位で終端する仕上げられた遠位端部を別途備える。収縮性管60の仕上げられた遠位端部は、次いで、LOCTITE(登録商標)等の接着剤111の周囲適用によって摩擦低減管61及び支持部材50に付着される。特に、収縮ワイヤ24を囲む摩擦低減管61がはんだ付けされたステンレス鋼フェルール65の十分近位にある遠位端部を有することにより、接着剤101が、収縮性管60の遠位端部を収縮ワイヤ24及び支持部材50に直接接着できる。
【0062】
収縮ワイヤ24、支持部材50、及び収縮性管60のアセンブルされた構造は、次いで、ルーメン54の中に挿入され、そこで、ステンレス鋼フェルール65及びそれが含む構成要素は、
図9に示すように、先端ドームを形成するように遠位端部25の遠位面全体を覆うポリウレタン等の接着剤64によって、複数ルーメン型管56の遠位端部に固定されて定着させられる。この配列によって、収縮ワイヤ24と支持部材50との相対位置は、収縮ワイヤ24が、上記のように、渦巻状螺旋形態の中心より近くに、遠位アセンブリ17の内周上又はその近傍に設置されるように制御され得る。収縮性管60は、遠位アセンブリ17の収縮中に、収縮ワイヤ24が複数ルーメン型管56の側壁に切れ込むことから複数ルーメン型管56を保護する。
【0063】
図3及び
図4を参照すると、収縮ワイヤ24を囲む圧縮コイル68が、カテーテル本体12の近位端部から中間区域14の第6のルーメン36の全長を通って延在している。したがって、圧縮コイルは、コネクタ区域30の中間位置に、又はその近傍に遠位端部を有する。圧縮コイル68は、任意の好適な金属、好ましくは、ステンレス鋼で作製され、そして、可撓性、すなわち屈曲を提供するが圧縮には抵抗するように、それ自体に密着して巻かれている。圧縮コイルの内径は、好ましくは、収縮ワイヤ24の直径よりもわずかに大きい。圧縮コイルの外面は、例えばポリイミド管で作製された可撓性で非導電性のシース67によって覆われる。圧縮コイルは、好ましくは、正方形又は矩形の断面を有するワイヤで形成されることにより、円形の断面を有するワイヤから形成された圧縮コイルよりも、圧縮性が小さくなる。その結果、圧縮コイル68は、収縮ワイヤ24が遠位アセンブリ17を収縮させるために近位に引かれるときに、圧縮コイル68がより多くの圧縮を吸収するので、カテーテル本体12、及び特に中間区域14が偏向しないように保持する。
【0064】
環状電極19が、
図2A及び
図2Bに示すように、遠位部分15上の所定の場所に装着される。電極は、白金又は金、好ましくは、白金とイリジウムとの組み合わせ、又は金と白金との組み合わせなどの、任意の好適な固体導電性材料で作製され、接着剤などで、管上に載置することができる。アブレーション及び潅注に適した電極の好適な実施形態を
図10に示す。アブレーション貯留(「AR」)電極は、その直径よりも大きい長さを有する略円筒形のものである。一実施形態では、長さが約3.0mmであり、外径が約2.8mmであり、内径が約2.33mmである。
【0065】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリ17上の複数のAR環状電極19は、約6個~約20個、好ましくは約8個~約12個の範囲内にあってもよい。いくつかの実施形態では、遠位アセンブリ17は、10個のAR電極を担持する。電極は、遠位部分15に沿ってほぼ均等に間隔をあけられてもよい。
【0066】
対線40、41のそれぞれの線の近位端部は、制御ハンドル16の遠位にある好適なコネクタ(図示せず)に電気接続される。開示されている実施形態では、対線の線40は、「40」番銅線等の同線であり、対線の別の線41は、コンスタンタン線である。対線は、制御ハンドル16から、カテーテル本体12の中央ルーメン18(
図3)、中間区域14の第1のルーメン31(
図4)、コネクタ区域30の中央ルーメン37(
図5A)、及び遠位アセンブリ17の第2のルーメン52(
図8)を通って延在する。対線の遠位端部は、管56の側壁に形成された貫通孔74(
図9)を通過してAR電極19に到達する。それぞれの対の線は、それらが露出されている遠位端部以外では、相互に電気絶縁されている。それぞれの対線40、41の露出された遠位端部は、サンドブラストを掛けられ、そして、
図10に示すように、折られた金属箔72(例えば銅箔)の中に包まれてそれに溶接され、次いで、対線のAR電極19の近位端部71の近傍の内面70に溶接される。
【0067】
RFエネルギー等のアブレーションエネルギーが、対線の線40を介してAR電極19まで供給される。しかし、それらのそれぞれのコンスタンタン線41を含む対線は、また、それぞれのAR電極19の温度を感知する温度センサー又は熱電対として機能し得る。
【0068】
対線の全ては、これらを囲む関係にある1つの非導電性保護シース39(
図3及び
図4)を通過し、このシースは、ポリイミド等の任意の好適な材料で作成され得る。シース39は、対線と共に、制御ハンドル16から、カテーテル本体12、中間区域14、コネクタ区域30、そして、遠位アセンブリ17の第2のルーメン52の中へと、例えば、約5mmだけ第2のルーメン52の中へと延在して、コネクタ区域30と遠位アセンブリ17との間の接合部のちょうど遠位で終端する。遠位端部は、例えばポリウレタン接着剤等の接着剤によって、第2のルーメン52内に定着される。
【0069】
潅注流体が、潅注管43によって遠位アセンブリまで供給され、この潅注管の近位端部は、制御ハンドル16の近位にあるルアーハブ73(
図1)に付着され、そしてポンプ(図示せず)によって供給された流体を受け取る。潅注管43は、制御ハンドル16、カテーテル本体12の中央ルーメン18(
図3)、中間区域14の第2のルーメン32(
図4)、コネクタ区域30の中央ルーメン37(
図5A)、及び約5mm等の短い距離を通って、遠位にアセンブリ17の複数ルーメン型管56の第3のルーメン53の中へと延在する。流体は、第3のルーメン53に入り、管56の側壁に形成された開口部(図示せず)を介してそこを出てAR環状電極19に入り、そして、電極側壁(
図10)に形成された出口開口78から出る。遠位部分15は、所望又は必要に応じて、上述のAR環状電極、インピーダンス環状電極、及び/又はその組合せを含む任意形式の電極を担持してもよいことを理解されたい。
【0070】
偏向牽引具ワイヤ44は、中間シャフト14の偏向のために提供される。偏向ワイヤ44は、カテーテル本体12の中央ルーメン18(
図3)、及び中間区域14の第3のルーメン33(
図4)を通って延在する。偏向ワイヤは、その近位端部を制御ハンドル16に定着され、そして、その遠位端部を中間区域14の遠位端部に又はその近傍の場所に、ポリウレタン69等の好適な材料によって管15の側壁に固着されたT形バー76(
図4)によって定着される。牽引具ワイヤ54は、ステンレス鋼又はニチノール等の任意の好適な金属で作製され、好ましくは、TEFLON(登録商標)等によって被覆される。被覆は、牽引具ワイヤに潤滑性を付与する。牽引具ワイヤ44は、約0.015~約0.025センチメートル(0.006~約0.010インチ)の範囲にある直径を有してもよい。
【0071】
第2の圧縮コイル47は、牽引具ワイヤ44(
図3)に対して囲む関係にあるカテーテル本体12の中央ルーメン18内にある。第2の圧縮コイル47は、カテーテル本体12の近位端部から、中間区域14の近位端部又はその近傍まで延在する。第2の圧縮コイル47は、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作製され、可撓性、すなわち屈曲を提供するが圧縮には抵抗するように、それ自体に密着して巻かれている。第2の圧縮コイル47の内径は、好ましくは、牽引具ワイヤ44の直径よりもわずかに大きい。牽引具ワイヤ上のTEFLON(登録商標)被覆(図示せず)は、牽引具ワイヤが第2の圧縮コイル内で自由に摺動することを可能にする。カテーテル本体12内で、第2の圧縮コイル47の外面は、例えばポリイミド管で作製された可撓性で非導電性のシース49によって覆われている。第2の圧縮コイル47は、その近位端部が近位接着部によってカテーテル本体12の外壁20に定着され、そして、遠位接着部によって中間区域14に定着される。
【0072】
中間区域14の第3のルーメン33内で、牽引具ワイヤ44は、好ましくはTEFLON(登録商標)のプラスチックシース(図示せず)を通って延在し、このシースは、中間区域14が偏向させられるときに、牽引具ワイヤ44が中間区域14の管23の壁に切れ込むことを防止する。
【0073】
カテーテル本体12に対する収縮ワイヤ24の長手方向移動は、遠位アセンブリ17の渦巻状螺旋形態の収縮をもたらすものであって、制御ハンドル16の好適な操作によって達成される。同様に、カテーテル本体12に対する偏向ワイヤ44の長手方向移動は、中間区域14の偏向をもたらすものであって、制御ハンドル16の好適な操作によって達成される。2つ以上のワイヤを操作するための好適な制御ハンドルは、例えば、米国特許第6,468,260号、同第6,500,167号、及び同第6,522,933号に記載されており、これらの特許の開示全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0074】
一実施形態では、カテーテルは、
図11及び
図12に示すように、制御ハンドル16を含む。制御ハンドル16は、コア86が中に固定的に取り付けられたハンドル本体84と、コア86の遠位領域に摺動可能に装着されているピストン87と、を有する偏向制御アセンブリを含む。ピストン87は、ハンドル本体の外側に延在する遠位部分を有する。摘みノブ58が遠位部分に装着されることにより、ユーザは、ピストン87をコア86及びハンドル本体84に対して長手方向により容易に動かすことができる。カテーテル本体12の近位端部は、ピストン87の遠位端部に固定的に取り付けられている。軸方向通路88が、ピストン87の遠位端部に提供されることにより、カテーテル本体12を通って延在するリード線40、41、収縮ワイヤ24、偏向ワイヤ44、位置感知ケーブルアセンブリ48、及び潅注管43を含む様々な構成要素は、制御ハンドルの中に入ることができる。リード線40、41は、概して当該技術分野で公知であるように、制御ハンドル16の近位端部から外に延在してもよく、又は制御ハンドルに組み込まれるコネクタに接続されてもよい。潅注管43は、また、ルアーハブを介して潅水源(図示せず)と接続するために、制御16の近位端部から外に延在してもよい。
【0075】
偏向ワイヤ44の近位端部は、制御ハンドル16に入り、そして、プーリ83の周りに巻き付けられて、コア86に定着される。摘みノブ58及びピストン87が、ハンドル本体84及びコア86に対して遠位に長手方向移動することにより、偏向ワイヤ44の近位端部を遠位に引く。その結果、偏向ワイヤ44は、それが定着されている中間区域14の側面を引くことにより、中間区域をその方向に偏向させる。中間区域14を解放して直線化するために、摘みノブ58が近位に動かされることにより、ピストン87は、ハンドル本体84及びコア86に対してそれの元の位置まで近位に戻される。
【0076】
制御ハンドル16は、また、回転式制御アセンブリを介して収縮ワイヤ24を長手方向移動させるために使用される。図示した実施形態では、回転式制御アセンブリは、カムハンドル81と、カムレシーバ82と、を含む。カムハンドルを1つの方向に回転させることによって、カムレシーバは、近位に引かれて収縮ワイヤ24を引き寄せる。カムハンドルを別の方向に回転させることによって、カムレシーバは、遠位に進められて収縮ワイヤ24を解放する。収縮ワイヤ24は、カテーテル本体12から制御ハンドル16の中まで、ピストン88内の軸方向通路を通り、そして、収縮ワイヤの張力を調整できる調整装置85に定着されるべきコア86を通って延在する。
【0077】
一実施形態では、複数の単軸センサー(「SAS」)を含む位置センサーケーブルアセンブリ48が、遠位アセンブリ17の第1のルーメン51(
図8)を通って延在し、そこで、それぞれのSASは、遠位アセンブリ17の渦巻状螺旋形態における既知又は所定の位置を占める。ケーブルアセンブリ48は、遠位アセンブリ17から近位に、コネクタ区域30の中央ルーメン37、中間区域14の第4のルーメン34(
図4)、カテーテル本体12の中央ルーメン18(
図3)を通って、制御ハンドル16の中へと延在する。それぞれのSASは、隣接するSASを分離する既知の等しい間隔で設置されてもよい。開示された実施形態では、ケーブルは、遠位アセンブリ17の場所及び/又は位置を感知するために、最遠位AR電極、最近位AR電極、及び中間AR電極の下に設置された3つのSASを担持する。SASは、CARTO、CARTO XP、及びNOGAマッピングシステムを含むBiosense Webster社から製造販売されるマッピングシステムの下で渦巻状螺旋形態を見ることを可能にする。好適なSASが、米国特許第8,792,962号に記載されており、その特許の開示全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0078】
上記の説明は、現時点における本発明の好ましい実施形態に関連して示したものである。本発明が関連する分野及び技術の当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を大きく逸脱することなく、記載される構成に改変及び変更を実施しうる点は認識されるであろう。1つの実施形態に開示される任意の特徴又は構成は、必要に応じて又は適宜、他の任意の実施形態の他の特徴に代えて、又はそれに加えて組み込むことができる。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺どおりではない。したがって、上記の説明文は、添付図面に記載及び例示される正確な構成のみに関連したものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するものとされる特許請求の範囲と一致し、かつこれを支持するものとして読まれるべきである。
【0079】
〔実施の態様〕
(1) 電気生理学的カテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
収縮ワイヤと、
前記収縮ワイヤの作動によって収縮するように構成された遠位アセンブリであって、前記遠位アセンブリは、遠位半径によって画定された遠位部分を有する3D構成を有する形状記憶支持部材を有し、前記形状記憶支持部材は、幅及び高さによって画定された略矩形断面を有し、前記略矩形断面は、前記遠位部分においてテーパ状にされていることにより、前記遠位部分の遠位場所は、より大きい高さ及びより小さい幅を有し、前記遠位部分の近位場所は、より小さい高さ及びより大きい幅を有する、遠位アセンブリと、
を備える、電気生理学的カテーテル。
(2) 前記支持部材は、前記3D構成の内周に面する内側面を有し、前記遠位アセンブリを通って延在する前記収縮ワイヤの同延部分は、前記内側面と位置合わせされている、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
(3) 前記遠位アセンブリは、前記支持部材及び前記収縮ワイヤの前記支持部材との同延部分を囲む半径方向収縮性スリーブを含む、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
(4) 前記遠位アセンブリは、前記支持部材及び前記収縮ワイヤの遠位端部のレーザ溶接結合を含み、前記支持部材の前記遠位端部は、前記略矩形断面とは異なる断面を有する、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
(5) 前記遠位アセンブリは、複数の環状電極を担持する、実施態様1に記載の電気生理学的カテーテル。
【0080】
(6) 電気生理学的カテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
収縮ワイヤと、
前記収縮ワイヤによって収縮するように構成された3D弧状遠位アセンブリであって、前記遠位アセンブリは内周を画定し、前記遠位アセンブリは、
前記内周上又はその近傍にルーメンを有する第1の管と、
前記ルーメンを通って延在する細長い支持部材であって、前記支持部材は、長手方向平坦面を有し、
前記収縮ワイヤは、前記ルーメンを通って延在し、かつ前記支持部材の前記平坦面に沿って同延区間を有する、細長い支持部材と、
前記ルーメンを通って延在する第2の管であって、前記第2の管は、前記支持部材、及び前記収縮ワイヤの前記同延区間を周方向に囲む、第2の管と、を有する、3D弧状遠位アセンブリと、
を備える、電気生理学的カテーテル。
(7) 前記支持部材と、前記収縮ワイヤの前記同延区間とは、共同で断面プロフィールを画定し、前記第2の管は、前記断面プロフィールにほぼ一致して前記支持部材と前記同延区間とを囲む、実施態様6に記載の電気生理学的カテーテル。
(8) 前記収縮ワイヤの前記同延部分は、前記支持部材の平坦面と位置合わせされており、前記第2の管は、前記収縮ワイヤの前記同延区間を、前記遠位アセンブリの収縮中に前記支持部材の平坦面とほぼ位置合わせした状態に維持するように構成されている、実施態様6に記載の電気生理学的カテーテル。
(9) 前記第2の管は、前記収縮ワイヤの前記同延区間を、前記支持部材の前記平坦面に沿って維持するように構成されている、実施態様6に記載の電気生理学的カテーテル。
(10) 前記支持部材は遠位尾部部分を有し、前記支持部材は、幅及び高さによって画定された略矩形断面を有し、前記略矩形断面は、前記遠位尾部部分においてテーパ状にされている、実施態様6に記載の電気生理学的カテーテル。
【0081】
(11) 前記遠位尾部部分の遠位場所は、より大きい高さ及びより小さい幅を有し、前記遠位尾部部分の近位場所は、より小さい高さ及びより大きい幅を有する、実施態様10に記載の電気生理学的カテーテル。
(12) 電気生理学的カテーテルであって、
長手方向軸線を画定する細長いカテーテル本体と、
収縮ワイヤと、
前記収縮ワイヤの長手方向移動に反応して、中立構成と収縮構成との間で移動可能な3D遠位アセンブリであって、
前記3D遠位アセンブリは、エルボ接合部と、遠位部分と、を有し、前記エルボ接合部は、少なくとも近位直径によって画定され、前記遠位部分は、遠位直径によって画定され、
前記中立構成の場合、前記近位直径は、前記遠位直径よりも小さく、前記収縮構成の場合、前記遠位直径は、前記近位直径にほぼ等しいか、又はそれよりも小さい、3D遠位アセンブリと、
を有する、電気生理学的カテーテル。
(13) 前記エルボ接合部が、前記長手方向軸線を略横断する前記遠位部分を支持するように構成された捩じり部を有することにより、前記長手方向軸線は、前記遠位部分の中心を通って延在する、実施態様12に記載の電気生理学的カテーテル。
(14) 前記遠位アセンブリは、内側平坦面と、反対側の平坦面と、を有する細長い支持部材を有し、前記収縮ワイヤは、それの全長に沿って前記内側平坦面と同延の遠位区間を有する、実施態様12に記載の電気生理学的カテーテル。
(15) 前記支持部材の前記内側面は、前記3D遠位アセンブリの前記遠位部分の内周上又はその近傍にある、実施態様14に記載の電気生理学的カテーテル。
【0082】
(16) 前記遠位アセンブリは、前記細長い支持部材を周方向に囲む半径方向収縮性管と、前記収縮ワイヤを囲む摩擦低減管と、を更に含む、実施態様14に記載の電気生理学的カテーテル。
(17) 前記半径方向収縮性管は、前記支持部材に対する前記摩擦低減管の移動を最小化する際に、前記支持部材及び前記摩擦低減管の周囲で周方向に収縮性である、実施態様16に記載の電気生理学的カテーテル。
(18) 電気生理学的カテーテルであって、
長手方向軸線を画定する細長いカテーテル本体と、
収縮ワイヤと、
3D弧状形態を有する遠位アセンブリであって、前記遠位アセンブリは、前記収縮ワイヤの長手方向移動に反応して、中立構成と収縮構成との間で移動可能であり、前記遠位アセンブリは、
前記3D弧状形態を提供する支持部材であって、前記3D弧状形態は、エルボ接合部と、遠位部分と、を有し、前記エルボ接合部は、少なくとも近位直径によって画定され、前記遠位部分は、遠位直径によって画定される、支持部材と、
前記支持部材及び前記収縮ワイヤの同延部分を周方向に囲む半径方向収縮性管と、を有し、
前記中立構成の場合、前記近位直径は、前記遠位直径よりも小さく、前記収縮構成の場合、前記遠位直径は、前記遠位直径よりもほぼ小さい直径まで減少させられる、遠位アセンブリと、
を有する、電気生理学的カテーテル。
(19) 前記3D弧状形態は、内周を画定し、前記遠位アセンブリは、前記内周に最も近いルーメンを含む複数のルーメンを有する管を含み、前記支持部材と前記収縮ワイヤとは、前記内周に最も近い前記ルーメン内で同延である、実施態様18に記載の電気生理学的カテーテル。
(20) 前記支持部材は、略矩形断面を有し、前記支持部材は、遠位部分を有し、前記略矩形断面の幅寸法及び高さ寸法は、前記遠位部分の長さに沿って変化する、実施態様19に記載の電気生理学的カテーテル。