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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】呼気センサの較正方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
A61B5/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022540464
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 US2020066837
(87)【国際公開番号】W WO2021138195
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】62/955,558
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507362719
【氏名又は名称】マクニール アーベー
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL AB
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェームソン・アレン
(72)【発明者】
【氏名】ヘロルド・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】トリダス・エリック
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0113501(US,A1)
【文献】特開2004-212217(JP,A)
【文献】特開2011-027676(JP,A)
【文献】特開2008-256680(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0117138(US,A1)
【文献】特開2000-283940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/08-5/097
G01N 27/00-27/49、33/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気センサ装置であって、
ユーザからサンプル呼気を受け取るように構成されたハウジングを有するサンプリングユニットと、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジング内に受け入れられたときに前記サンプル呼気と流体連通するセンサと、
前記センサと電気的に通信するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、前記センサが、前記サンプル呼気から検出されたほぼ一定の濃度レベルのCOから、検出された周囲レベルのCOまで曝露されたときの消散時間を決定するように構成され、
前記プロセッサは、前記消散時間及び前記ほぼ一定の濃度レベルから前記周囲レベルへの減少に基づいて時定数を計算するように更に構成され、
前記プロセッサは、前記センサの過渡応答に前記時定数を適用して、前記センサを較正する際のドリフトを考慮するように更に構成されている、呼気センサ装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記時定数を計算する前に前記センサにエージング係数を適用して、時間の経過に伴うセンサ劣化を考慮するように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記センサを較正して前記過渡応答及び定常状態応答におけるドリフトを考慮するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記サンプル呼気を吐き出す前に、所定期間にわたって息を止めるように前記ユーザに指示を与えるように更に構成され、及び任意に、前記プロセッサは、前記サンプル呼気を前記センサから消散させるように前記ユーザに指示を与えるように更に構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
センサを較正する方法であって、
前記センサがサンプル呼気からほぼ一定の濃度レベルのCOを検出するまで、ユーザから前記サンプル呼気を受け取ることと、
前記ほぼ一定の濃度レベルのCOが周囲レベルのCOに消散するまでの時間の長さを決定することと、
前記時間の長さ及び前記ほぼ一定の濃度レベルから前記周囲レベルへの減少に基づいて時定数を計算することと、
前記センサの過渡応答に前記時定数を適用することによって、前記センサを較正してドリフトを考慮することとを含む、方法。
【請求項6】
前記時定数を計算する前に前記センサにエージング係数を適用して、時間の経過に伴うセンサ劣化を考慮することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記エージング係数は、ある期間にわたる前記センサの温度及び湿度への曝露に依存し、及び任意に、前記エージング係数は、年間2%~5%の範囲である、請求項2に記載のシステム又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記センサを較正して定常状態応答のドリフトを考慮することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプル呼気を受け取ることは、前記サンプル呼気を前記センサが配置されているサンプリングユニットに受け取ることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプル呼気を受け取ることは、前記サンプル呼気を吐き出す前に、所定期間にわたって息を止めるように前記ユーザに指示を与えることを更に含み、及び任意に、前記サンプル呼気を前記センサから消散させるように前記ユーザに指示を与えることを更に含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月31日に出願された米国仮出願62/955,558号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、呼気サンプルを受け取り、呼気サンプルから生物学的パラメータを検出するデバイスの経時的な精度を維持するための装置及び方法に関する。特に、本発明は、時間とともに自然に劣化する呼気センサを較正するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
喫煙に関連する健康問題はよく知られている。タバコの煙には、ニコチンだけでなく、多くの他の化合物や添加物が含まれている。タバコの煙は、個人を一酸化炭素(carbon monoxide、CO)及びこれらの他の化合物にさらし、これらの化合物の多くは、喫煙者及び喫煙者の周囲の人々に発がん性及び毒性がある。喫煙者の呼気中のCOの存在及びレベルは、その個人の全体的な喫煙行動を特定するためのマーカーを提供するだけでなく、他の有毒化合物への全体的な曝露のマーカーを提供することもできる。
【0004】
呼気をサンプリングするためには、ユーザが簡単に持ち運びでき、邪魔にならない携帯型呼気センサが望ましい。しかしながら、呼気センサのサイズが比較的小さいため、呼気のサンプルを捕捉して正確に測定する際にも多くの課題が発生する。サイズが比較的小さいため、呼気中の水分含有量及び呼気温度などの要因は、パラメータの測定に使用されるセンサの精度に影響を与える可能性がある。
【0005】
呼気をサンプリングするためには、ユーザが簡単に持ち運びでき、邪魔にならない携帯型呼気センサが望ましい。この携帯型呼気センサは、ユーザの呼気一酸化炭素(exhaled carbon monoxide、eCO)値を測定することができるが、このデータが広く理解されているメトリックではない可能性があるため、すべてのユーザがこのデータの使用方法を直ちに直感的に理解できるとは限らない。
【0006】
通常、呼気から一酸化炭素レベルを検出するための携帯型呼気センサ内に含まれている電気化学センサは、時間とともに劣化する可能性があり、その結果、センサ感度が低下する。時間の経過に伴うセンサ感度の低下は、センサが極端な環境から遠ざけられている限り、通常、そのようなセンサで一貫している。しかしながら、センサの過渡応答は、デバイスで利用可能なセンサ入力の種類では必ずしも予測できない方法で、デバイスごとに変化する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、センサ内の特性の変化を補正することができ、センサのより長い耐用年数と、特に短時間の曝露(例えば、ユーザからの短い呼気期間)に対してより高い精度とを可能にする方法及びデバイスが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
呼気サンプリングデバイスが製造された時点から、デバイスが実際にユーザの手で使用される時点まで、通常、呼気サンプリングデバイスが使用される前に保管される期間がある。この期間の間に、電気化学センサが劣化し始め、センサ感度も低下し、その結果、使用時にセンサの読み取り値が不正確になる可能性がある。
【0009】
ユーザから一酸化炭素(CO)などの分析物を検出するための呼気センサの耐用年数を延ばすために、ユーザに販売される前に呼気サンプリングデバイスの保管寿命を延ばし、またユーザがより長く使用できるようにする様々な方法を採用することができる。これは、呼気センサの精度を向上させるだけでなく、他の方法で許容されるよりも比較的短い呼気期間を有する呼気から高精度の読み取り値を提供することによって、センサの使いやすさを向上させることもできる。
【0010】
ユーザからeCOレベルを決定及び定量化するための呼気サンプリングデバイス及び方法の例は、様々な特許、例えば米国特許第9,861,126号、同第10,206,572号、同第10,306,922号、同第10,335,032号、及び米国特許出願公開第2019/0113501号に更に詳細に記載されており、これらの特許のそれぞれは、任意の目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。記載されているデバイスのいずれも、本明細書に記載の方法及び装置と共に利用することができる。
【0011】
携帯型又は個人用サンプリングユニットは、個人用電子デバイス又はコンピュータのいずれかと通信することができる。個人用電子デバイスは、スマートフォン、携帯電話、又は個人用サンプリングユニットからデータを受信するように設計又はプログラムされた他の個人用送信デバイスを含むが、これらに限定されない。同様に、コンピュータは、パーソナルコンピュータ、ローカルサーバ、リモートサーバなどを含むことが意図されている。個人用サンプリングユニットからのデータ送信は、個人用電子デバイス及び/又はコンピュータの両方又はいずれかに対して行うことができる。更に、個人用電子デバイスとコンピュータとの間の同期は任意である。個人用電子デバイス、コンピュータ、及び/又は個人用サンプリングユニットのいずれかは、本明細書に記載されるように、データ分析のためにデータをリモートサーバに送信することができる。あるいは、データ分析は、サンプリングユニット(又はコンピュータ又は個人用電子デバイス)などのローカルデバイスに含まれているプロセッサを介して、完全に又は部分的に行うことができる。いずれの場合でも、個人用電子デバイス及び/又はコンピュータは、個人、介護者、又は他の個人に情報を提供することができる。
【0012】
個人用サンプリングユニットは、収集入口又は開口部を介して、個人から呼気のサンプルを受け取る。個人用サンプリングユニット内のハードウェアは、呼気サンプル内のCOガスを検出する任意の市販の電気化学ガスセンサ、データを送信する市販の送信ハードウェア(例えば、Bluetooth(登録商標)、セルラー、又は他の電波を介してデータを送信する)を含むことができる。次に、送信されたデータ並びに関連する測定値及び定量化を、コンピュータディスプレイ又は個人用電子デバイスのいずれか(又は両方)に表示する。代替的に、又は組み合わせて、情報のいずれかを携帯型サンプリングユニット上に選択的に表示することができる。
【0013】
サンプリングユニット内に含まれている電気化学センサは、通常、ユーザが最初にサンプリングユニットに息を吹き込んだときなど、ガス濃度の変化に曝露されたときに応答する可能性がある。ユーザがeCOを提供する前に、電気化学センサは、ユニット内のセンサによって検出された周囲COの量に応じて、公称定常状態電圧値のままである可能性がある。呼気サンプルに曝露されると、電気化学センサは、呼気サンプルから検出されたガス濃度の変化により、初期過渡応答とそれに続く定常状態応答を表示することができる。
【0014】
定常状態応答成分は、例えばガス濃度当たりの電圧(mV/ppm CO)で測定されたセンサ感度を示す。時間とともにセンサが劣化した場合のセンサ感度に応じて、この定常状態応答値はドリフトして、電圧値の増加又は減少をもたらす可能性がある。過渡応答成分は、センサの安定化速度を示し、センサ感度に応じて、この過渡応答値もドリフトする可能性があるが、ガス濃度あたりの電圧の割合を増加又は減少させて、その結果、応答曲線を平坦又は急勾配にする可能性がある。
【0015】
ガスセンサの過渡特性が既知であれば、過渡応答を補償することが可能である。これにより、センサが安定する前に、定常状態応答を正確に予測できる可能性がある。センサへの補正を実装して、その初期較正状態からの劣化を説明するために、過渡応答にわたる測定のドリフトと定常状態応答におけるドリフトは、互いに独立して対処することができる。定常状態応答は、定常状態の読み取り値が得られるまでセンサを既知のガス濃度に曝露することによって較正することができる。呼気センサ応用でセンサの定常状態応答を予測することにより、ユーザは、比較的短い期間の呼気を提供することが可能になる場合がある。一般に、センサは、製造時に過渡応答及び定常状態応答の両方について最初に較正される可能性があり、最初の較正値は、ユニット内に記憶される可能性がある。感度が低下する速度を追跡するために、初期較正は、時間の経過に伴うセンサ感度に関するデータを収集することによって、1つの変形例で決定することができる。この情報に基づいて、時間の経過に伴う感度ドリフトを反映する線形又は非線形モデルを開発することができ、このモデルを使用して、時間の係数として感度ドリフトを補償することができる。例えば、センサ感度が特定の割合、例えば年間5%だけ低下することが知られている場合、劣化率の補正係数を、例えばユニット20内のプロセッサによって自動的に適用して、測定された定常状態値を5%だけ調整してセンサ劣化を説明することができる。
【0016】
ユーザによる使用中、ユーザは通常、定常状態較正の目的で既知の濃度を有するCO源にアクセスできない場合がある。したがって、血流中のCO濃度が肺胞中の濃度と等しくなることを可能にするために、呼気検査を実施するようにユーザに指示することができ、そこで、例えば10秒以上息を止めるようにユーザに指示する。口及び気管内のガスはCO濃度が低い可能性が高いため、ユーザがサンプリングユニットに息を吐き出すと、ガスセンサは、口及び気管内の空気がなくなるまで、CO濃度が着実に増加するのを検出することができ、その時点で、センサで検出されるCOガスは、呼気が終わるまで一定濃度に近づく。ユーザが吐き出すのをやめると、電気化学センサでのCOガス濃度は、拡散により周囲空気中の濃度に戻る。
【0017】
一部の変形例では、呼気検査中に、ユニット内のガスレベルを周囲に戻すために、息を止めてからデバイスに最初に息を吐き出した後、デバイスを通して息を吸い込むようにユーザに指示することができる。濃度が等しくなる速さは、デバイスの容量、流路の制限、通気孔へのセンサの近接性、センサがCOを消費する速さなど、呼気センサユニットの設計面によって調整することができる。これらの値は、同じモデルのデバイス内で一貫している可能性があり、ただし、ユーザがガス濃度が周囲と等しくなる速さに影響を与えることも可能である。例えば、使用は、通気孔を塞いで均等化速度を下げたり、デバイスをゆっくりと振ったりデバイスを通して吸い込んだりして均等化速度を上げることができる。
【0018】
ほぼ一定のCO濃度(ユーザの呼気の終わり近く)の測定値から周囲への低下に基づいて、測定された低下の応答を特徴付ける過渡時定数を計算することができ、この計算された時定数値は、センサの劣化程度を示す可能性がある。次に、ユーザが測定のために呼気サンプルをユニットに吐き出すときに、時定数を使用して、補正されたeCO測定値を説明することができる。
【0019】
サンプリングユニットと共に利用できる様々なタイプの電気化学センサでは、異なるセンサタイプが異なる安定性モードを示す場合がある。様々なセンサ安定性モードのそれぞれについて、以下のそれぞれで説明する。
【0020】
1つのタイプのセンサは、時間的に安定しているセンサ感度を有し得るが、安定化速度がドリフトする可能性がある。製造中、センサをガス濃度のステップ関数変化に曝露することによって、センサの感度及び安定化速度の両方を較正することができる。較正パラメータはデバイスに記憶され、センサの電圧出力に対応するCOレベルを計算するために使用される。サンプリングユニット20内のセンサをユーザに提供することができ、その時点で、ユーザは、呼気サンプルを提供することによって使用を開始することができる。安定化速度パラメータは、ユーザの呼気サンプリングを使用して定期的に再較正することができ、この場合、呼気サンプルの終わりのガス濃度は定常状態であると仮定することができる。ユーザが吐き出すのをやめると、センサは、ユーザのCO濃度から周囲空気中の一酸化炭素濃度へのステップ応答を検出することができる。
【0021】
別のタイプのセンサは、両方とも時間的に安定しているセンサ感度及び安定化速度を有する可能性があり、またデバイス内に最小限の変動が存在する可能性がある。デバイス開発中に、感度及び安定化速度は、呼気センサをガス濃度のステップ関数変化に曝露することによって計算することができる。デバイスごとに較正する必要がないため、デバイス開発からの感度及び安定化速度パラメータをデバイス上に事前にロードすることができ、また、較正パラメータをデバイスに記憶して、センサの電圧出力に対応するCOレベルを計算するために使用することもできる。
【0022】
更に別のタイプのセンサは、両方とも時間的に安定しているセンサ感度及び安定化速度を有する可能性がある。製造中、センサの感度及び安定化速度の両方は、呼気センサをガス濃度のステップ関数変化に曝露することによって較正することができる。較正パラメータをデバイスに記憶して、センサの電圧出力に対応するCOレベルを計算するために使用することができる。あるいは、ユーザの呼気サンプルを使用して、安定化速度を1回較正することができる。
【0023】
更に別のタイプのセンサは、ベンダーによって事前に提供されるセンサ感度を有する可能性があるが、安定化速度はデバイスによって異なる場合がある。製造中、ガスセンサの製造業者によって提供される値を使用して、感度パラメータをデバイスにプログラムすることができる。安定化速度パラメータは、デバイス開発中に得られた推定値で初期化することができ、また安定化速度は、ユーザの呼気サンプルを使用して較正することができる。
【0024】
更に別のタイプのセンサは、製造バッチ内で一貫しているセンサ感度を有する可能性があるが、安定化速度は異なるデバイスによって異なる場合がある。製造中、製造バッチからの1つ以上のセンサを較正することによって提供される値を使用して、感度プラメータをデバイスにプログラムすることができる。安定化速度パラメータは、較正ユニットによって計算された値を使用して、又はデバイス開発中に得られた推定値で初期化することができ、また安定化速度は、ユーザの呼気サンプルを使用して較正することができる。
【0025】
更に別のタイプのセンサは、デバイス間で一貫した方法で時間とともに変化するセンサ感度及び/又は安定化速度を有する可能性がある。製造中、較正日に対応するタイムスタンプとともに感度及び/又は安定化速度パラメータをサンプリングデバイスにプログラムすることができる。センサドリフトモデルをデバイスにロードすることもできる。較正パラメータを使用してセンサ出力からCO濃度を計算する前に、最初にモデルに基づいてエージング係数によってパラメータを調整することができる。センサドリフトを決定する前に、エージング係数をセンサ較正に適用することができる。任意選択で、センサドリフトモデルを更新して、任意の数の無線プロトコルを使用する無線オプションを介してユーザのセンサに展開することができる。
【0026】
エージング係数は、センサ応答の低下が既知である場合、又は実験的に検証できる場合に適用することができる。例えば、一般に、保管条件に応じて、センサ感度は、例えば年間2~5%低下する可能性があると想定することができる。倉庫環境に典型的な保管条件では、センサ感度は、例えば、年間3%低下すると想定することができる。一例として、50ppmのCOレベルが200mVのセンサ応答信号を与えた1年前に較正されたデバイスの場合、現在呼気サンプルを提供するユーザは、25ppmのCOレベルに相関する100mVの応答信号を生成することができる。しかしながら、過去1年間のセンサの劣化により、25ppmの値が3%のオフセット(又は他の何らかの割合)だけ増加する可能性があり、その結果、COレベルが25.75ppmに増加し、これは26ppmに丸められてもよい。
【0027】
エージング係数は、異なる条件で十分なデバイスグループを配置し、定期的にテストし、次に多変量回帰分析を実行して各要素(例えば、温度、湿度、時間)の影響を決定することによって経験的に決定することができる。温度と湿度の2つの要素は、劣化率を決定するためのクイックリファレンスを提供するために範囲に細分することができる。十分な数のデータ点が利用可能である場合、連続分布を生成することができる。
【0028】
更に別のタイプのセンサは、環境条件に基づいて時間とともに変化するセンサ感度及び/又は安定化速度を有する可能性がある。上記のように、製造中、較正日に対応するタイムスタンプとともに感度及び/又は安定化速度パラメータをサンプリングデバイスにプログラムすることができる。センサドリフトモデルをデバイスにロードすることもできる。この変形例では、サンプリングユニット20は、センサドリフトモデルに含まれるパラメータ、例えば、温度及び相対湿度を独立して測定することができる環境センサパッケージを組み込むことができる。環境センサパッケージは、これらのパラメータを定期的に測定し、較正パラメータを瞬時に補正及び更新し、及び/又は使用時に較正パラメータを計算する際に使用するためにパラメータを記録及び記憶することができる。
【0029】
較正パラメータを使用してセンサ出力からガス濃度を計算する前に、前述のように、最初にパラメータをエージング係数によって調整することができる。任意選択で、センサドリフトモデルを更新して、無線更新を介してユーザのセンサに展開することができる。
【0030】
センサを較正するための別の変形例は、過渡センサ性能を自己較正するように構成されたサンプリングユニット20を有することを含むことができる。センサは一般的に安定している可能性があるが、安定化速度は時間とともに変化する可能性がある。したがって、センサの過渡性能を改善するために、感度及び安定化速度の工場での較正を、クリアリングのヒューリスティックモデルに基づく感度速度の定期的な再較正と組み合わせることができる。
【0031】
呼気センサ装置の1つの変形例では、装置は、一般に、ユーザからサンプル呼気を受け取るように構成されたハウジングを有するサンプリングユニットと、ハウジング内に配置され、ハウジング内に受け入れられたときにサンプル呼気と流体連通するセンサと、センサと電気的に通信するプロセッサとを含むことができる。プロセッサは、センサが、呼気サンプルから検出されたほぼ一定の濃度レベルのCOから検出された周囲レベルのCOまで曝露されたときの消散時間を決定するように構成されてもよい。プロセッサはまた、消散時間及びほぼ一定の濃度レベルから周囲レベルへの減少に基づいて時定数を計算するように構成されてもよい。更に、プロセッサは、センサの過渡応答に時定数を適用して、センサを較正する際のドリフトを説明するように構成されてもよい。
【0032】
センサを較正する1つの方法では、この方法は、一般に、センサが呼気サンプルからほぼ一定の濃度レベルのCOを検出するまで、ユーザから呼気サンプルを受け取ることと、ほぼ一定の濃度レベルのCOが周囲レベルのCOに消散するまでの時間の長さを決定することと、時間の長さ及びほぼ一定の濃度レベルから周囲レベルへの減少に基づいて時定数を計算することと、センサの過渡応答に時定数を適用することによって、センサを較正してドリフトを説明することとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】被験者からの呼気を受け取り、様々なパラメータを検出することができ、また1つ以上の遠隔装置と通信することができるシステムの変形例を示す図である。
図1B】呼気センサのハウジング内に含まれている内部回路及びセンサの1つの変形例を示す図である。
図2】過渡応答及び定常状態応答を有する、電気化学センサの経時的な電圧応答の一例を示す図である。
図3A】動的補正アルゴリズムを利用することによってセンサの劣化をどのように効果的に補償できるかの一例を示す図である。
図3B】動的補正アルゴリズムを利用することによってセンサの劣化をどのように効果的に補償できるかの一例を示す図である。
図4】喫煙前及び喫煙後に健康な時折喫煙者のサンプル呼気から測定されたeCO及びeCOエクスピログラムの一例を示す図である。
図5】センサを較正するために時定数をどのように計算できるかを示す流れ図である。
図6】センサを較正するために時定数を計算する前に、エージング係数を較正にどのように適用できるかを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ユーザからCOなどの分析物を検出するための呼気センサの耐用年数を延ばすために、ユーザに販売される前に呼気サンプリングデバイスの保管寿命を延ばし、またユーザがより長く使用できるようにする様々な方法を採用することができる。これは、呼気センサの精度を向上させるだけでなく、他の方法で許容されるよりも比較的短い呼気期間を有する呼気から高精度の読み取り値を提供することによって、センサの使いやすさを向上させることもできる。
【0035】
ユーザからeCOを取得する際に、ユーザの生体測定データのうちの1つ以上を測定することに基づいて、ユーザの喫煙行動を非侵襲的に検出及び定量化することによって、ユーザの特定の生体測定データを取得することができ、ただし、他の生体測定データも使用することができる。そのような測定又はデータ収集は、携帯型測定ユニット又は固定測定ユニットを使用することができ、これらのいずれかは、定量分析を実行するために1つ以上の電子デバイスと通信する。あるいは、携帯型/固定ユニットで分析を実施することができる。例えば、携帯型ユニットは、キーホルダ、個人のタバコ用ライター、携帯電話、又は定期的に個人と共にある他の物品に結合することができる。あるいは、携帯型ユニットは、スタンドアロンユニットであってもよく、又は個人が着用してもよい。
【0036】
図1Aは、システム及び/又は方法の1つの変形例を示し、ここで、生体測定データの複数のサンプルをユーザから取得して分析してタバコの煙へのユーザの曝露を定量化し、それにより、定量化された情報を個人、医療介護者、及び/又は個人の健康に関係する他の当事者に中継することができる。以下に議論される例は、呼気のサンプル内のeCOの量を測定する一般的に入手可能なセンサを用いて、個人から呼気の複数のサンプルを取得する携帯型デバイス20を使用する。しかしながら、定量化及び情報転送は、呼気に基づく喫煙の曝露に限定されない。上記のように、ユーザの喫煙曝露を取得するための多くのサンプリングメカニズムがある。本実施例に記載された方法及びデバイスは、本発明の範囲内にとどまりながら、可能であれば、任意の数の異なるサンプリングメカニズムと組み合わせたり、補足したりすることができる。
【0037】
eCOレベルの測定は、個人の喫煙状況を評価するための即時の非侵襲的方法として役立つことが知られている。非喫煙者のeCOレベルは、例えば、0ppm~6ppmの範囲、又はより具体的には、例えば3.61ppm~5.6ppmの範囲であり得る。
【0038】
図示のように、携帯型又は個人用サンプリングユニット20は、個人用電子デバイス10又はコンピュータ12のいずれかと通信することができる。個人用電子デバイス10は、スマートフォン、携帯電話、又は個人用サンプリングユニット20からデータを受信するように設計又はプログラムされた他の個人用送信デバイスを含むが、これらに限定されない。同様に、コンピュータ12は、パーソナルコンピュータ、ローカルサーバ、リモートサーバなどを含むことが意図されている。個人用サンプリングユニット20からのデータ送信14は、個人用電子デバイス10及び/又はコンピュータ12の両方又はいずれかに対して行うことができる。更に、個人用電子デバイス10とコンピュータ12との間の同期16は任意である。個人用電子デバイス10、コンピュータ12、及び/又は個人用サンプリングユニット20のいずれかは、本明細書に記載されるように、データ分析のためにデータをリモートサーバに送信することができる。あるいは、データ分析は、サンプリングユニット20(又はコンピュータ12又は個人用電子デバイス10)などのローカルデバイスに含まれているプロセッサを介して、完全に又は部分的に行うことができる。いずれの場合でも、個人用電子デバイス10及び/又はコンピュータ12は、図1Aに示されるように、個人、介護者、又は他の個人に情報を提供することができる。
【0039】
個人用サンプリングユニット20は、収集入口又は開口部22を介して、個人から呼気18のサンプルを受け取る。個人用サンプリングユニット20内のハードウェアは、呼気サンプル内のCOガスを検出する任意の市販の電気化学ガスセンサ、データを送信する14市販の送信ハードウェア(例えば、Bluetooth(登録商標)、セルラー、又は他の電波を介してデータを送信する)を含むことができる。次に、送信されたデータ並びに関連する測定値及び定量化を、コンピュータディスプレイ12又は個人用電子デバイス10のいずれか(又は両方)に表示する。代替的に、又は組み合わせて、情報のいずれかを携帯型サンプリングユニット20上に選択的に表示することができる。
【0040】
個人用サンプリングユニット20(又は個人用呼気ユニット)はまた、標準ポートを使用して、それぞれのデバイス10及び12との直接有線通信を可能にすることができる。特定の変形例では、個人用サンプリングユニット20はまた、取り外し可能又は内蔵のいずれかのメモリストレージを含むことができ、それにより、メモリはデータの記録及びデータの別個の送信を可能にする。あるいは、個人用サンプリングユニットにより、データの記憶及び送信を同時に行うことができる。デバイス20の更なる変形例は、メモリストレージを必要としない。更に、ユニット20は、任意の数のGPS構成要素、慣性センサ(動きを追跡するため)、及び/又は患者の行動に関する追加情報を提供する他のセンサを使用することができる。
【0041】
個人用サンプリングユニット20はまた、任意の数の入力トリガ(スイッチ又はセンサなど)24、26を含むことができる。以下に記載されるように、入力トリガ24、26は、個人が呼気サンプル18の送達のためにデバイス20を準備すること、又は喫煙したタバコの量、強度などのタバコに関する他の情報を記録することを可能にすることができる。更に、個人用サンプリングユニット20の変形例は、デバイス20への任意の入力のタイムスタンプを関連付けることもできる。例えば、個人用サンプリングユニット20は、データを送信する14際に、サンプルが提供される時間を関連付け、そして測定又は入力されたデータを測定の時間とともに提供することができる。あるいは、個人用サンプリングユニット20は、代替のメカニズムを使用して、サンプルが取得される時間を特定することができる。例えば、一連のサンプルが与えられた場合、各サンプルのタイムスタンプを記録するのではなく、一連のサンプルの各サンプル間の期間を記録することができる。したがって、任意の1つのサンプルのタイムスタンプを識別することにより、一連のサンプルの各サンプルのタイムスタンプを決定することができる。
【0042】
特定の変形例では、個人用サンプリングユニット20は、最小のプロファイルを有し、最小の労力で個人が容易に運ぶことができるように設計されてもよい。したがって、入力トリガ24は、薄型の触覚スイッチ、光学スイッチ、静電容量式タッチスイッチ、又は任意の一般的に使用されているスイッチ若しくはセンサを含むことができる。携帯型サンプリングユニット20はまた、任意の数の一般的に知られている技術を使用して、ユーザにフィードバック又は情報を提供することができる。例えば、図示のように、携帯型サンプリングユニット20は、以下で議論されるように選択情報を示すスクリーン28を含むことができる。代替的に又は追加的に、フィードバックは、振動要素、可聴要素、及び視覚要素(例えば、1つ以上の色の照明源)の形式であり得る。フィードバック構成要素はいずれも、個人にアラームを提供するように構成することができ、このアラームは、サンプルを提供する、及び/又は喫煙行動の測定に関連するフィードバックを提供するためのリマインダとして機能することができる。更に、フィードバック構成要素は、システムが生体測定(eCO、COレベル、Hなど)及び他の行動データ(手動で又はユニットに結合されたGPS構成要素を介して入力された位置、タバコの数、又は他のトリガなど)をキャプチャする期間を延長するために、呼気の定期的なサンプルを提供するように個人に思い出させるように、繰り返し個人にアラートを提供することができる。場合によっては、初期プログラム又はデータキャプチャ中に、リマインダをより高い頻度でトリガすることができる。十分なデータが得られたら、リマインダの頻度を減らすことができる。
【0043】
サンプリングユニット20を用いて呼気サンプルを取得する際には、ユニット20を使用するように被験者を訓練するために、誘導呼気検査において被験者に表示するための指示を個人用電子デバイス10又はコンピュータディスプレイ12上に提供することができる。一般に、例えば、電子デバイス10のスクリーン28上で、被験者に、最初にユニット20から離れて息を吸い込み、次に、設定された期間にわたってユニット20に息を吐き出すように指示することができる。ユニット20は、例えば逆止弁と流体的に結合された1つ以上の圧力センサを任意に組み込んで、被験者がユニット20を通して息を吸い込むか否かを検出することができる。
【0044】
図1Bは、内部に含まれている電気化学センサの上面図を示すために、ハウジング30の一部及び収集入口又は開口部22が除去されたサンプリングユニット20を示す。この変形例では、第1のセンサ38及び第2のセンサ42(センサ38、42のいずれか又は両方がCO及びHセンサを含み得る)は、それぞれのセンサプラットフォーム36、40上に任意に配置されている状態で示されており、センサプラットフォーム36、40は、プリント回路基板44などの基板上に取り付けられてもよい。他の変形例では、検出されるパラメータに応じて、1つ以上のセンサを使用することができる。他の変形例では、1つ以上のセンサは、プリント回路基板44上に直接取り付けられてもよい。電源ポート及び/又はデータアクセスポート46は、プリント回路基板44と一体化されてもよいことも図示され、また、コンピュータ、サーバ、スマートフォン、又は他のデバイスなどの遠隔装置によって容易にアクセス可能である。図示のように、複数のセンサ38、42又は単一のセンサを使用して、サンプリングされた呼気からパラメータを検出することができる。
【0045】
他の変形例では、少なくとも1つのCOセンサ又は複数のCOセンサを単独で実装してもよい。あるいは、1つ以上のCOセンサを、1つ以上のHセンサと組み合わせて使用することができる。COセンサ及びHセンサの両方を使用する場合、多くのCOセンサは、しばしば人の呼気中のCO測定に潜在的に影響を与えるのに十分な量で存在するHに対して交差感度を有するため、Hセンサからの読み取り値を使用して、COセンサによって検出された任意のH信号を説明又は補償することができる。HセンサなしでCOセンサを使用する場合、様々な方法を適用して、H測定干渉を公称許容レベルまで低減することができる。ただし、Hセンサを使用してHの存在を直接測定及び補償すると、CO測定が容易になる場合がある。センサはまた、喫煙関連吸気を検出する場合に、一酸化炭素などの物質を検出するための化学ガスセンサ、電気化学ガスセンサなどを含む任意の数の異なるセンサタイプを含み得る。
【0046】
ユーザからeCOレベルを決定及び定量化するための呼気サンプリングデバイス及び方法の更なる例は、様々な特許、例えば米国特許第9,861,126号、同第10,206,572号、同第10,306,922号、同第10,335,032号、及び米国特許出願公開第2019/0113501号に更に詳細に記載されており、これらの特許のそれぞれは、任意の目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。記載されているデバイスのいずれも、本明細書に記載の方法及び装置と共に利用することができる。
【0047】
サンプリングユニット20内に含まれている電気化学センサは、通常、ユーザが最初にサンプリングユニット20に息を吹き込んだときなど、ガス濃度の変化に曝露されたときに応答する可能性がある。ユーザがeCOを提供する前に、電気化学センサは、電気化学センサの経時的な電圧応答を示す図2の例示的なグラフ50に示されるように、ユニット20内のセンサによって検出された周囲COの量に応じて、公称定常状態電圧値52のままである可能性がある。呼気サンプルに曝露されると、電気化学センサは、呼気サンプルから検出されたガス濃度の変化により、初期過渡応答54とそれに続く定常状態応答56を表示することができる。
【0048】
定常状態応答成分56は、例えばガス濃度当たりの電圧(mV/ppm CO)で測定されたセンサ感度を示す。時間とともにセンサが劣化した場合のセンサ感度に応じて、この定常状態応答値はドリフトして、電圧値の増加又は減少をもたらす可能性がある(例えば、グラフ50に沿った定常状態応答の垂直方向の変位)。過渡応答成分54は、センサの安定化速度を示し、センサ感度に応じて、この過渡応答値もドリフトする可能性があるが、ガス濃度あたりの電圧の割合を増加又は減少させて、その結果、応答曲線を平坦又は急勾配にする可能性がある(例えば、グラフ50に沿った過渡応答の水平方向の収縮又は拡大)。
【0049】
ガスセンサの過渡特性が既知であれば、過渡応答54を補償することが可能である。これにより、センサが安定する前に、定常状態応答56を正確に予測できる可能性がある。図3A及び図3Bは、動的補正アルゴリズムを利用することによってセンサの劣化をどのように効果的に補償できるかの一例を示す。図3Aは、測定目的のためにガスが経時的に様々な濃度レベルC(ppm)で提供される一例を示すグラフ60を示す。図3Bは、図3Aからのガスの様々な濃度レベルに対応する、電気化学センサを介して得られた測定値を示すグラフ62を示す。曲線64は、センサから得られた対応する非補正電圧を示し、曲線66は、センサから得られた対応する補正済み電圧を示し、補正により、実際のガス濃度値に対応する比較的より正確な電圧読み取り値が得られる。
【0050】
センサへの補正を実装してその初期較正状態からの劣化を説明するために、過渡応答54にわたる測定のドリフトと定常状態応答56におけるドリフトは、互いに独立して対処することができる。定常状態応答56は、定常状態の読み取り値が得られるまでセンサを既知のガス濃度に曝露することによって較正することができる。呼気センサ応用でセンサの定常状態応答を予測することにより、ユーザは、比較的短い期間の呼気を提供することが可能になる場合がある。一般に、センサは、製造時に過渡応答及び定常状態応答の両方について最初に較正される可能性があり、最初の較正値は、ユニット20内に記憶される可能性がある。感度が低下する速度を追跡するために、初期較正は、時間の経過に伴うセンサ感度に関するデータを収集することによって、1つの変形例で決定することができる。この情報に基づいて、時間の経過に伴う感度ドリフトを反映する線形又は非線形モデルを開発することができ、このモデルを使用して、時間の係数として感度ドリフトを補償することができる。例えば、センサ感度が特定の割合、例えば年間5%だけ低下することが知られている場合、劣化率の補正係数を、例えばユニット20内のプロセッサによって自動的に適用して、測定された定常状態値を5%だけ調整してセンサ劣化を説明することができる。
【0051】
過渡応答は、センサをガス濃度の既知の変化に曝露することによって較正することができ、センサ電圧出力を変換するモデル内のパラメータは、図3A及び図3Bの間に示される補正曲線66に示されるように、ガス濃度曲線の形状に適合させることができる。濃度対時間曲線の形状は、事前に知る必要があるが(例えば、ある濃度から別の濃度へのステップ応答)、このモデルは、個別に較正される定常状態応答に適合する可能性があるため、ガス濃度値を知る必要はない。
【0052】
ユーザによる使用中、ユーザは通常、定常状態較正の目的で既知の濃度を有するCO源にアクセスできない場合がある。したがって、血流中のCO濃度が肺胞中の濃度と等しくなることを可能にするために、呼気検査を実施するようにユーザに指示することができ、そこで、例えば10秒以上息を止めるようにユーザに指示する。口及び気管内のガスは、CO濃度が低い可能性が高いため、ユーザがサンプリングユニット20に息を吐き出すと、ガスセンサは、口及び気管内の空気がなくなるまで、CO濃度が着実に増加するのを検出することができ、その時点で、センサで検出されるCOガスは、呼気が終わるまで一定又はほぼ一定の濃度に近づく。ユーザが吐き出すのをやめると、電気化学センサでのCOガス濃度は、拡散により周囲空気中の濃度に戻る。
【0053】
図4は、eCOグラフ70及び喫煙15秒後に得られたeCOグラフ72において、喫煙前(最後のタバコを吸ってから19時間後)に健康な時折喫煙者のサンプル呼気から測定されたeCO及びeCOエクスピログラムの一例を示す。対応するeCOエクスピログラム74はeCOグラフ70に対応する値を示し、eCOエクスピログラム76はeCOグラフ72に対応する値を示し、測定されたeCO値が、ユーザが呼気を開始してから一定期間後に定常状態に達し始め、過渡応答で周囲レベルに戻る様子を示す。
【0054】
一部の変形例では、上記の呼気検査中に、ユニット20内のガスレベルを周囲に戻すために、息を止めてからデバイスに最初に息を吐き出した後、デバイスを通して息を吸い込むようにユーザに指示することができる。濃度が等しくなる速さは、デバイスの容量、流路の制限、通気孔へのセンサの近接性、センサがCOを消費する速さなど、呼気センサユニット20の設計面によって調整することができる。これらの値は、同じモデルのデバイス内で一貫している可能性があり、ただし、ユーザがガス濃度が周囲と等しくなる速さに影響を与えることも可能である。例えば、使用は、通気孔を塞いで均等化速度を下げたり、デバイスをゆっくりと振ったりデバイスを通して吸い込んだりして均等化速度を上げることができる。
【0055】
ほぼ一定のCO濃度(ユーザの呼気の終わり近く)の測定値から周囲への低下に基づいて、測定された低下の応答を特徴付ける過渡時定数を計算することができ、この計算された時定数値は、センサの劣化程度を示す可能性がある。次に、ユーザが測定のために呼気サンプルをユニット20に吐き出すときに、時定数を使用して、補正されたeCO測定値を説明することができる。
【0056】
図5は、上記のように、センサを較正するために時定数をどのように計算できるかを示す流れ図を示す。血流中のCO濃度が肺胞中の濃度と等しくなることを可能にするために、例えば10秒以上息を止めるように最初にユーザに指示する80ことができる(例えば、サンプリングユニット20を介して)。次に、サンプル中のCOの濃度が、呼気が終わるまで一定の濃度に近づくことを可能にするために、呼気サンプルをデバイスに吹き込むようにユーザに指示する82ことができる。ユーザが吐き出すのをやめると、電気化学センサでのCOガス濃度は、拡散により周囲空気中の濃度に戻り、又は、デバイス内のCOの周囲への拡散を促進するようにユーザに更に指示することができる。いずれの場合も、ほぼ一定のCO濃度から周囲への低下に基づく過渡時定数を決定する84ことができる。次に、ユーザが測定のために呼気サンプルをユニット20に吐き出すときに、時定数を使用して、センサを較正86して補正されたeCO測定値を説明することができる。
【0057】
説明したように、ユーザが応答速度に影響を与えることが可能であるため(例えば、通気孔を覆ってガス拡散速度を下げたり、センサを振って拡散速度を上げたりするなど)、評価のためにいくつかの過渡応答時間を記憶し、記憶された応答時間を特定の基準に従って評価することができる。例えば、ユーザの呼気濃度から周囲空気中の濃度までのガス濃度のステップ応答を仮定して、応答速度の現在の較正値を最小応答速度のモデルで使用してもよい。記憶されたデータ内の最低応答速度がモデルによって作成された値を下回っている場合、較正パラメータは、記憶されたデータ内の最低値まで減少されてもよい。
【0058】
評価の別の基準は、すべてのセンサ通気孔が塞がれていると仮定して、最大応答速度のモデルで応答速度の現在の較正値を使用することを含み得る。記憶されたデータ内の最高応答速度がモデルによって作成された値を上回っている場合、較正パラメータは、記憶されたデータ内の最高値に変更されてもよい。
【0059】
評価の更に別の基準はまた、濃度均等化速度に影響を与える可能性のあるユーザ動作の各組み合わせに対してモデルを作成することを含み得る。いずれかのモデルが濃度均等化波形と一致する特徴的な波形を有する場合、較正パラメータは、そのモデルに従って更新されてもよい。
【0060】
評価の更に別の基準はまた、記憶されたデータ内のすべての応答が較正値よりも高い場合に、較正値をわずかに増加させることを含み得る。
【0061】
初期感度を割り当てるために、過渡応答速度パラメータを評価できない可能性のあるバッチテストを含む。そのようなバッチテストの場合、製造前及び進行中のテストによって母集団レベルのデフォルトの過渡応答速度パラメータを決定することができ、次にこのパラメータを時間とともに更新することができる。
【0062】
センサ安定性のモード
サンプリングユニット20と共に利用できる様々なタイプの電気化学センサでは、異なるセンサタイプが異なる安定性モードを示す場合がある。様々なセンサ安定性モードのそれぞれについて、以下のそれぞれで説明する。
【0063】
ケース1
このタイプのセンサは、時間的に安定しているセンサ感度を有し得るが、安定化速度がドリフトする可能性がある。製造中、センサをガス濃度のステップ関数変化に曝露することによって、センサの感度及び安定化速度の両方を較正することができる。較正パラメータは、デバイスに記憶され、センサの電圧出力に対応するCOレベルを計算するために使用される。サンプリングユニット20内のセンサをユーザに提供することができ、その時点で、ユーザは、呼気サンプルを提供することによって使用を開始することができる。安定化速度パラメータは、ユーザの呼気サンプリングを使用して定期的に再較正することができ、この場合、呼気サンプルの終わりのガス濃度は、定常状態であると仮定することができる。ユーザが吐き出すのをやめると、センサは、ユーザのCO濃度から周囲空気中の一酸化炭素濃度へのステップ応答を検出することができる。
【0064】
ケース2
このタイプのセンサは、両方とも時間的に安定しているセンサ感度及び安定化速度を有する可能性があり、またデバイス内に最小限の変動が存在する可能性がある。デバイス開発中に、感度及び安定化速度は、呼気センサをガス濃度のステップ関数変化に曝露することによって計算することができる。デバイスごとに較正する必要がないため、デバイス開発からの感度及び安定化速度パラメータをデバイス上に事前にロードすることができ、また、較正パラメータをデバイスに記憶して、センサの電圧出力に対応するCOレベルを計算するために使用することもできる。
【0065】
ケース3
このタイプのセンサは、両方とも時間的に安定しているセンサ感度及び安定化速度を有する可能性がある。製造中、センサの感度及び安定化速度の両方は、呼気センサをガス濃度のステップ関数変化に曝露することによって較正することができる。較正パラメータをデバイスに記憶して、センサの電圧出力に対応するCOレベルを計算するために使用することができる。あるいは、ユーザの呼気サンプルを使用して、安定化速度を1回較正することができる。
【0066】
ケース4
このタイプのセンサは、ベンダーによって事前に提供されるセンサ感度を有する可能性があるが、安定化速度は、デバイスによって異なる場合がある。製造中、ガスセンサの製造業者によって提供される値を使用して、感度パラメータをデバイスにプログラムすることができる。安定化速度パラメータは、デバイス開発中に得られた推定値で初期化することができ、また安定化速度は、ユーザの呼気サンプルを使用して較正することができる。
【0067】
ケース5
このタイプのセンサは、製造バッチ内で一貫しているセンサ感度を有する可能性があるが、安定化速度は、異なるデバイスによって異なる場合がある。製造中、製造バッチからの1つ以上のセンサを較正することによって提供される値を使用して、感度プラメータをデバイスにプログラムすることができる。安定化速度パラメータは、較正ユニットによって計算された値を使用して、又はデバイス開発中に得られた推定値で初期化することができ、また安定化速度は、ユーザの呼気サンプルを使用して較正することができる。
【0068】
ケース6
このタイプのセンサは、デバイス間で一貫した方法で時間とともに変化するセンサ感度及び/又は安定化速度を有する可能性がある。製造中、較正日に対応するタイムスタンプとともに感度及び/又は安定化速度パラメータをサンプリングデバイスにプログラムすることができる。センサドリフトモデルをデバイスにロードすることもできる。較正パラメータを使用してセンサ出力からCO濃度を計算する前に、最初に、上記のケース1で説明されたモデルに基づいて、図6に示されるようにエージング係数によってパラメータを調整することができる。上記のように、センサドリフトを決定する前に、図示されるようにエージング係数をセンサ較正に適用する90ことができる。任意選択で、センサドリフトモデルを更新して、任意の数の無線プロトコルを使用する無線オプションを介してユーザのセンサに展開することができる。
【0069】
エージング係数は、センサ応答の低下が既知である場合、又は実験的に検証できる場合に適用することができる。例えば、一般に、保管条件に応じて、センサ感度は、例えば年間2~5%低下する可能性があると想定することができる。倉庫環境に典型的な保管条件では、センサ感度は、例えば、年間3%低下すると想定することができる。一例として、50ppmのCOレベルが200mVのセンサ応答信号を与えた1年前に較正されたデバイスの場合、現在呼気サンプルを提供するユーザは、25ppmのCOレベルに相関する100mVの応答信号を生成することができる。しかしながら、過去1年間のセンサの劣化により、25ppmの値が3%のオフセット(又は他の何らかの割合)だけ増加する可能性があり、その結果、COレベルが25.75ppmに増加し、これは26ppmに丸められてもよい。
【0070】
エージング係数は、異なる条件で十分なデバイスグループを配置し、定期的にテストし、次に多変量回帰分析を実行して各要素(例えば、温度、湿度、時間)の影響を決定することによって経験的に決定することができる。温度と湿度の2つの要素は、劣化率を決定するためのクイックリファレンスを提供するために範囲に細分することができる。例えば、以下の表は、所与の温度範囲及び相対湿度範囲で得られるセンサ劣化率の一例を示す。
【0071】
【表1】
【0072】
一般に、保管温度が低いほど(例えば、≦26℃)、相対湿度が低いほど(例えば、≦35%RH)、劣化率が比較的高くなるが、保管温度が低いほど(例えば、≦26℃)、相対湿度が高いほど(例えば、≧35%RH)、劣化率が比較的低くなる。同様に、保管温度が高いほど(例えば、≧26℃)、相対湿度が低いほど(例えば、≦35%RH)、劣化率が比較的高くなり、保管温度が高いほど(例えば、≧26℃)、相対湿度が高いほど(例えば、≧35%RH)、劣化率が比較的低くなる。しかしながら、温度及び湿度の影響は、互いに分離できるため、保管温度が比較的高いと劣化率が比較的高くなる可能性があり、保管温度が比較的低いと劣化率が比較的低くなる可能性があるという点で、影響を一般化することもできる。同様に、相対湿度が比較的低いと劣化率が比較的高くなる可能性があり、相対湿度が比較的高いと劣化率が比較的低くなる可能性がある。十分な数のデータ点が利用可能である場合、連続分布を生成することができる。
【0073】
ケース7
このタイプのセンサは、環境条件に基づいて時間とともに変化するセンサ感度及び/又は安定化速度を有する可能性がある。上記のように、製造中、較正日に対応するタイムスタンプとともに感度及び/又は安定化速度パラメータをサンプリングデバイスにプログラムすることができる。センサドリフトモデルをデバイスにロードすることもできる。この変形例では、サンプリングユニット20は、センサドリフトモデルに含まれるパラメータ、例えば、温度及び相対湿度を独立して測定することができる環境センサパッケージを組み込むことができる。環境センサパッケージは、これらのパラメータを定期的に測定し、較正パラメータを瞬時に補正及び更新し、及び/又は使用時に較正パラメータを計算する際に使用するためにパラメータを記録及び記憶することができる。
【0074】
較正パラメータを使用してセンサ出力からガス濃度を計算する前に、前述のように、最初にパラメータをエージング係数によって調整することができる。任意選択で、センサドリフトモデルを更新して、無線更新を介してユーザのセンサに展開することができる。
【0075】
自己較正
センサを較正するための別の変形例は、過渡センサ性能を自己較正するように構成されたサンプリングユニット20を有することを含むことができる。センサは一般的に安定している可能性があるが、安定化速度は、時間とともに変化する可能性がある。したがって、センサの過渡性能を改善するために、感度及び安定化速度の工場での較正を、クリアリングのヒューリスティックモデルに基づく感度速度の定期的な再較正と組み合わせることができる。
【0076】
例示的な例が上述されているが、様々な変更及び修正がその中で行われ得ることは当業者には明らかであろう。更に、上記の様々な装置又は手順はまた、実行可能な限り、互いに組み合わせて利用されることも意図されている。添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲内にあるすべてのそのような変更及び修正をカバーすることを意図している。
【0077】
〔実施の態様〕
(1) 呼気センサ装置であって、
ユーザからサンプル呼気を受け取るように構成されたハウジングを有するサンプリングユニットと、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジング内に受け入れられたときに前記サンプル呼気と流体連通するセンサと、
前記センサと電気的に通信するプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、前記センサが、前記呼気サンプルから検出されたほぼ一定の濃度レベルのCOから、検出された周囲レベルのCOまで曝露されたときの消散時間を決定するように構成され、
前記プロセッサは、前記消散時間及び前記ほぼ一定の濃度レベルから前記周囲レベルへの減少に基づいて時定数を計算するように更に構成され、
前記プロセッサは、前記センサの過渡応答に前記時定数を適用して、前記センサを較正する際のドリフトを考慮するように更に構成されている、呼気センサ装置。
(2) 前記プロセッサは、前記時定数を計算する前に前記センサにエージング係数を適用して、時間の経過に伴うセンサ劣化を考慮するように更に構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記エージング係数は、ある期間にわたる前記センサの温度及び湿度への曝露に依存する、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記エージング係数は、年間2%~5%の範囲である、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記プロセッサは、前記センサを較正して前記過渡応答及び定常状態応答におけるドリフトを考慮するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0078】
(6) 前記プロセッサは、前記呼気サンプルを吐き出す前に、所定期間にわたって息を止めるように前記ユーザに指示を与えるように更に構成されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記プロセッサは、前記呼気サンプルを前記センサから消散させるように前記ユーザに指示を与えるように更に構成されている、実施態様6に記載の方法。
(8) センサを較正する方法であって、
前記センサが呼気サンプルからほぼ一定の濃度レベルのCOを検出するまで、ユーザから前記呼気サンプルを受け取ることと、
前記ほぼ一定の濃度レベルのCOが周囲レベルのCOに消散するまでの時間の長さを決定することと、
前記時間の長さ及び前記ほぼ一定の濃度レベルから前記周囲レベルへの減少に基づいて時定数を計算することと、
前記センサの過渡応答に前記時定数を適用することによって、前記センサを較正してドリフトを考慮することとを含む、方法。
(9) 前記時定数を計算する前に前記センサにエージング係数を適用して、時間の経過に伴うセンサ劣化を考慮することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記エージング係数は、ある期間にわたる前記センサの温度及び湿度への曝露に依存する、実施態様9に記載の方法。
【0079】
(11) 前記エージング係数は、年間2%~5%の範囲である、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記センサを較正して定常状態応答のドリフトを考慮することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記呼気を受け取ることは、前記呼気を前記センサが配置されているサンプリングユニットに受け取ることを含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記呼気を受け取ることは、前記呼気サンプルを吐き出す前に、所定期間にわたって息を止めるように前記ユーザに指示を与えることを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(15) 前記呼気サンプルを前記センサから消散させるように前記ユーザに指示を与えることを更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0080】
(16) 呼気センサ装置であって、
ユーザからサンプル呼気を受け取るように構成されたハウジングを有するサンプリングユニットと、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジング内に受け入れられたときに前記サンプル呼気と流体連通するセンサと、
前記センサと電気的に通信するプロセッサであって、前記プロセッサは、前記サンプル呼気で感知された生物学的パラメータに対応する測定値を前記センサから受信するように構成されている、プロセッサとを備え、
前記プロセッサは、前記センサの初期較正から経過する時間の長さに基づいて前記測定値にエージング係数を適用して、前記時間の長さにわたる前記センサの劣化率を考慮するように構成され、
前記プロセッサは、前記センサが前記時間の長さにわたって曝露される1つ以上の環境要因に基づいて前記エージング係数を修正するように更に構成されている、呼気センサ装置。
(17) 前記プロセッサは、1年という時間の長さごとに前記測定値に3%の前記エージング係数を適用するように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記プロセッサは、前記センサが前記時間の長さにわたって曝露される温度レベル及び湿度レベルに基づいて前記エージング係数を修正するように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(19) 比較的低い保管温度が比較的低い劣化率に対応する、実施態様18に記載の装置。
(20) 比較的高い保管温度が比較的高い劣化率に対応する、実施態様18に記載の装置。
【0081】
(21) 比較的低い相対湿度が比較的高い劣化率に対応する、実施態様18に記載の装置。
(22) 比較的高い相対湿度が比較的低い劣化率に対応する、実施態様18に記載の装置。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6