(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
(21)【出願番号】P 2020091832
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2023-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(73)【特許権者】
【識別番号】518385899
【氏名又は名称】AssistMotion株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋本 稔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彩
(72)【発明者】
【氏名】鉄矢 美紀雄
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】三浦 みちる
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-108601(JP,A)
【文献】特開2018-038256(JP,A)
【文献】特開2020-057340(JP,A)
【文献】特開2015-171225(JP,A)
【文献】特開2008-154447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル状のポリ塩化ビニルでシート状に形成された誘電体シートと、前記誘電体シートの両面にそれぞれ配設された可撓性を有するシート状の電極とを備え、前記各電極を介して前記誘電体シートに電圧を供給したときに前記誘電体シートが面方向に伸長するアクチュエータであって、
難撓性を有する材料で線状または帯状に形成されると共に前記誘電体シートの少なくとも一方の面における一の方向に延在するように当該少なくとも一方の面と前記電極との間に配置されて当該誘電体シートの当該一の方向への伸長を規制する規制部材が当該少なくとも一方の面における当該一の方向と交差する交差方向に沿って
間隔を空けて複数並設されていることを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体シートの両面に配設された電極を介して誘電体シートに電圧を供給したときに誘電体シートが面方向に伸長するアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のアクチュエータとして、出願人は、下記特許文献1において誘電アクチュエータを開示している。この誘電アクチュエータは、誘電体シートとしてのPVCゲルシートと、PVCゲルシートの両面に設けた柔軟性を有する電極とを備えて構成され、電極を介してPVCゲルシートに電圧を供給したときに面方向に伸長し、電圧の供給を停止したときに初期状態に復帰する。つまり、この誘電アクチュエータは、電圧の供給および供給停止に伴って面方向に伸縮動作を行うように構成されている。また、この誘電アクチュエータでは、PVCゲルシートの代わりに誘電エラストマーを用いた誘電アクチュエータと比較して、電圧を印加する前後における電極の面積の差と電圧を印加しない状態における電極の面積との比率(伸縮率)が大きく、印加電圧が3000Vのときに12%の伸縮率を得ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した誘電アクチュエータには、解決すべき以下の課題がある。具体的には、上述したPVCゲルシートを用いた誘電アクチュエータでは、誘電エラストマーを用いた誘電アクチュエータと比較して大きな伸縮率を得ることができるものの、12%の伸縮率を得るのに3000Vの電圧を印加する必要がある。一方、この種の誘電アクチュエータは、その柔軟性を生かして、人が装着する機器等への応用が期待されている。このような機器への応用を実現するためには、電圧の低電圧化および大きな伸縮率の発生が必要である。しかしながら、上述した誘電アクチュエータでは、3000Vという高電圧を印加する必要があり、また伸縮率も12%と十分ではないため、低電圧化および伸縮率の増大が望まれている。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、低電圧化および伸縮率の増大を実現し得るアクチュエータを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載のアクチュエータは、ゲル状のポリ塩化ビニルでシート状に形成された誘電体シートと、前記誘電体シートの両面にそれぞれ配設された可撓性を有するシート状の電極とを備え、前記各電極を介して前記誘電体シートに電圧を供給したときに前記誘電体シートが面方向に伸長するアクチュエータであって、難撓性を有する材料で線状または帯状に形成されると共に前記誘電体シートの少なくとも一方の面における一の方向に延在するように当該少なくとも一方の面と前記電極との間に配置されて当該誘電体シートの当該一の方向への伸長を規制する規制部材が当該少なくとも一方の面における当該一の方向と交差する交差方向に沿って間隔を空けて複数並設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るアクチュエータによれば、誘電体シートにおける一の方向に延在する規制部材を一の方向と交差する交差方向に沿って複数並設したことにより、誘電体シートの一の方向の伸縮を規制し、これによって誘電体シートの交差方向の伸縮率を十分に高めることができる。このため、このアクチュエータによれば、従来のアクチュエータと比較して、電圧が低い場合であっても、十分な伸縮率を確保することができる結果、低電圧化および伸縮率の増大を実現することができる。
【0013】
また、このアクチュエータによれば、誘電体シートに一の方向の予歪を付与したことにより、誘電体シートにおける一の方向の伸縮をより確実に規制すことができるため、誘電体シートの交差方向の伸縮率をさらに高めることができる結果、さらなる低電圧化および伸縮率のさらなる増大を実現することができる。
【0014】
また、このアクチュエータによれば、誘電体シートの両面に規制部材をそれぞれ複数並設したことにより、誘電体シートにおける一の方向の伸縮をより確実に規制することができるため、誘電体シートの交差方向の伸縮率をさらに高めることができる結果、さらなる低電圧化および伸縮率のさらなる増大を実現することができる。
【0015】
また、このアクチュエータによれば、規制部材を紙で形成したことにより、十分な難撓性を有する規制部材を軽量に形成することができるため、アクチュエータの軽量化を実現することができる。
【0016】
また、このアクチュエータによれば、導電性オイルコンパウンドで電極を形成したことにより、導電性オイルコンパウンドを誘電体シートの表面に塗布することで電極を形成することができるため、電極を予め別工程で作製する構成と比較して、アクチュエータの製造工程を簡略化することができる。
【0017】
また、このアクチュエータによれば、ゲル状のポリ塩化ビニルと粉末カーボンとの混合物で電極を形成したことにより、予め作製した電極を誘電体シートの各面に配設することができるため、誘電体シートの表面に電極材料を塗布することによって電極を形成する構成と比較してアクチュエータの製造時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】アクチュエータ10の構成を示す構成図である。
【
図3】PVC溶液作製工程50のフローチャートである。
【
図4】アクチュエータ組立工程60のフローチャートである。
【
図5】アクチュエータ10の製造方法を説明する第1の説明図である。
【
図6】アクチュエータ10の製造方法を説明する第2の説明図である。
【
図7】アクチュエータ10の製造方法を説明する第3の説明図である。
【
図8】アクチュエータ10の製造方法を説明する第4の説明図である。
【
図9】アクチュエータ10の製造方法を説明する第5の説明図である。
【
図10】アクチュエータ10の製造方法を説明する第6の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るアクチュエータの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0020】
最初に、
図1に示すアクチュエータ10の構成について説明する。アクチュエータ10は本発明に係るアクチュエータの一例であって、
図1,2に示すように、PVCゲルシート21と、PVCゲルシート21の両面にそれぞれ配設されたシート状の一対の電極22と、帯状(線状または帯状の一例)に形成されてPVCゲルシート21の両面(少なくとも一方の面の一例)に配設された複数の規制部材23とを備えて全体として帯状(長方形)に形成されている。
【0021】
PVCゲルシート21は、本発明における誘電体シートの一例であって、ポリ塩化ビニル(PVC)および可塑剤を含有して構成され、誘電性を有すると共に常温においてゲル状態を呈している。このPVCゲルシート21は、電圧の供給によって変形する特性を有している。また、PVCゲルシート21は、
図1,2に示すように、長方形(帯状)のシート状に形成されている。
【0022】
電極22は、
図1,2に示すように、長方形(帯状)のシート状に形成されて、導電性を有すると共に可撓性を有している。本実施例では、電極22は、シリコーンオイルにカーボンを配合した導電性オイルコンパウンドをPVCゲルシート21の両面に塗布することによって形成される。
【0023】
規制部材23は、難撓性を有する材料で形成されている。本実施例では、規制部材23は、紙で形成されている。また、規制部材23は、
図1,2に示すように、帯状(線状または帯状の一例)に形成されてPVCゲルシート21の両面におけるPVCゲルシート21の幅方向(一の方向の一例)に延在するようにして、PVCゲルシート21の長さ方向(一の方向に交差(この例では直交)する交差方向の一例)に沿って複数並設されている。
【0024】
このアクチュエータ10では、各電極22を介してPVCゲルシート21に電圧を供給しているときにPVCゲルシート21が面方向に伸長するように変形すると共に、PVCゲルシート21に対する電圧の供給を停止したときにPVCゲルシート21の復元(変形の解除)による力を伴ってPVCゲルシート21が面方向に収縮し、PVCゲルシート21の変形に伴って発生する力を駆動力として出力することが可能となっている。また、このアクチュエータ10では、難撓性を有する複数の規制部材23がPVCゲルシート21の幅方向に延在するように配置されているため、PVCゲルシート21の幅方向の伸縮が規制されている。このため、このアクチュエータ10では、PVCゲルシート21の幅方向の伸縮が規制される分、PVCゲルシート21全体の伸縮量が長さ方向に集中し、この結果、規制部材23を設けていない構成と比較して、PVCゲルシート21が長さ方向に大きく伸縮する。
【0025】
次に、アクチュエータ10の製造方法について説明する。
【0026】
最初に、PVCゲルシート21の材料となるPVC溶液の作製方法を、
図3に示すPVC溶液作製工程50のフローチャートを参照して説明する。このPVC溶液作製工程50では、まず、溶剤(一例として、テトラヒドロフラン)を計量して、攪拌容器に投入する(ステップ51)。溶剤は、ポリ塩化ビニル100重量部に対して600~1000重量部の範囲内で用いるのが好ましく、本実施例では、ポリ塩化ビニル100重量部に対して溶剤を800重量部用いる。
【0027】
次いで、ポリ塩化ビニルを計量して、溶剤が投入されている攪拌容器に攪拌しつつ投入する(ステップ52)。本実施例では、溶剤800重量部に対して100重量部のポリ塩化ビニルを計量して投入する。
【0028】
続いて、ポリ塩化ビニルと溶剤とが十分に混合(溶解)した状態で、可塑剤を計量して、ポリ塩化ビニルおよび溶剤が投入されている攪拌容器に攪拌しつつ投入する(ステップ53)。この場合、各種の可塑剤を用いることができるが、本実施例では、アジピン酸ジブチル(DBA)を用いる。また、可塑剤は、ポリ塩化ビニル100重量部に対して100~500重量部の範囲内で用いるのが好ましく、本実施例では、ポリ塩化ビニル100重量部に対して可塑剤を400重量部用いる。次いで、ポリ塩化ビニル、溶剤および可塑剤(これらの混合物)が収容された攪拌容器を脱泡装置にセットして脱泡処理を実行する(ステップ54)。以上により、PVC溶液の作製が完了する。
【0029】
続いて、アクチュエータ10の組立方法を、
図4に示すアクチュエータ組立工程60のフローチャートを参照して説明する。このアクチュエータ組立工程60では、まず、
図5に示すように、PVC溶液200をガラス板上に塗布し成膜機(アプリケータ)を用いて、ガラス板上でPVC溶液200を薄膜化し、次いで、インキュベータに保管して20℃で5日間乾燥させる。これにより、ガラス板100上にPVCゲルシート21が形成される(ステップ61)。
【0030】
続いて、
図6に示すように、カッターを用いてガラス板上のPVCゲルシート21を、所定の形状(一例として、幅20mm、長さ50mmの長方形)に切り出す(ステップ62)。次いで、
図7に示すように、切り出したPVCゲルシート21をガラス板上に載置し、続いて、PVCゲルシート21を幅方向(同図における左右方向)に引っ張ることによって幅方向に予歪(プレストレイン)を付与する(ステップ63)。この実施例では、引っ張り前の幅(この例では、20mm)に対して150%(この例では、30mm)の予歪を付与する(つまり、幅が50mmとなるまで引っ張る)。
【0031】
次いで、規制部材23を取り付ける(ステップ64)。具体的には、
図8に示すように、PVCゲルシート21における一方の面の幅方向に延在するようにして、複数の規制部材23を長さ方向(同図における上下方向)に等間隔で配置する。この場合、一例として、幅2mm、長さ50mmの帯状に切断した厚み70μmの上質紙を規制部材23として用いる。続いて、規制部材23の両端部とPVCゲルシート21の幅方向の縁部とを粘着テープ300で固定する。次いで、PVCゲルシート21を反転し、上述した手順でPVCゲルシート21における他方の面に複数の規制部材23を配置して粘着テープ300で固定する。続いて、
図9に示すように、規制部材23を取り付けたPVCゲルシート21を所定の形状(一例として、幅25mm、長さ40mmの長方形)に切り出す(ステップ65)。
【0032】
次いで、電極22を形成する(ステップ66)。具体的には、
図10に示すように、PVCゲルシート21および規制部材23における一方の面を覆うように導電性オイルコンパウンドを塗布し、導電性オイルコンパウンドの流動性が低下するまで放置する。これにより、一方の面に電極22が形成される。続いて、一方の面に電極22が形成されたPVCゲルシート21および規制部材23を反転し、他方の面を覆うように導電性オイルコンパウンドを塗布し、導電性オイルコンパウンドの流動性が低下するまで放置する。これにより、他方の面に電極22が形成される。次いで、各電極22に図外のリード線をそれぞれ接続する(ステップ67)。以上によりアクチュエータ組立工程60が終了してアクチュエータ10が完成する。
【0033】
次に、本発明に係るアクチュエータの特性試験の結果について説明する。
【0034】
特性試験では、上述した製造方法で製造したアクチュエータ10を実施例1とした。また、上述したアクチュエータ組立工程60において予歪を70%として製造したアクチュエータ10を実施例2とした。また、規制部材23を配設せず、かつ予歪を付与していないアクチュエータ10を比較例1とした。
【0035】
また、この特性試験では、実施例1,2および比較例1の各アクチュエータ10の各電極22を介してPVCゲルシート21に対して電圧を供給したときのPVCゲルシート21の長さ方向の伸縮率を電圧値を変更しつつ測定した。この場合、電圧を供給していない初期状態におけるPVCゲルシート21の長さをL0とし、電圧を供給したときのPVCゲルシート21の長さをL1としたときに、(L1-L0)/L0で表される値(%)を伸縮率とした。また、実施例1および実施例2におけるL0,L1は、規制部材23が配置されていない部分(伸縮に寄与している部分)のみの長さとした。
【0036】
特性試験の結果を
図11に示す。同図から、紙製の規制部材23を配設して150%の予歪を付与した実施例1のアクチュエータ10、および紙製の規制部材23を配設して70%の予歪を付与した実施例2のアクチュエータ10は、規制部材23を配設せず、かつ予歪を付与していない比較例1のアクチュエータ10をと比較して、同じ電圧値における伸縮率が十分に大きいことが明らかである。つまり、規制部材23を配設して予歪を付与することで、十分な低電圧化および伸縮率の十分な増大を実現可能なことが明らかである。
【0037】
また、特性試験の追加試験として、紙製の規制部材23を配設して予歪を付与していないアクチュエータ10を実施例3とし、直径70μmの樹脂ファイバーで形成された規制部材23を配設して70%の予歪を付与したアクチュエータ10を実施例4として、各アクチュエータ10におけるPVCゲルシート21の長さ方向の伸縮率を電圧値を変更しつつ測定した(図示を省略する)。これら実施例3,4のアクチュエータ10では、比較例1のアクチュエータ10と比較して、同じ電圧値における伸縮率が十分に大きかったものの、実施例1,2のアクチュエータ10と比較すると、同じ電圧値における伸縮率は小さかった。
【0038】
このように、このアクチュエータ10によれば、PVCゲルシート21の幅方向に延在する規制部材23を長さ方向に沿って複数並設したことにより、PVCゲルシート21の幅方向の伸縮を規制し、これによってPVCゲルシート21の長さ方向の伸縮率を十分に高めることができる。このため、このアクチュエータ10によれば、従来のアクチュエータと比較して、電圧が低い場合であっても、十分な伸縮率を確保することができる結果、低電圧化および伸縮率の増大を実現することができる。
【0039】
また、このアクチュエータ10によれば、PVCゲルシート21に予歪を付与したことにより、PVCゲルシート21における幅方向の伸縮をより確実に規制すことができるため、PVCゲルシート21の長さ方向の伸縮率をさらに高めることができる結果、さらなる低電圧化および伸縮率のさらなる増大を実現することができる。
【0040】
また、このアクチュエータ10によれば、PVCゲルシート21の両面に規制部材を複数並設したことにより、PVCゲルシート21における幅方向の伸縮をより確実に規制することができるため、PVCゲルシート21の長さ方向の伸縮率をさらに高めることができる結果、さらなる低電圧化および伸縮率のさらなる増大を実現することができる。
【0041】
また、このアクチュエータ10によれば、規制部材23を紙で形成したことにより、十分な難撓性を有する規制部材を軽量に形成することができるため、アクチュエータ10の軽量化を実現することができる。
【0042】
また、このアクチュエータ10によれば、導電性オイルコンパウンドで電極22を形成したことにより、導電性オイルコンパウンドをPVCゲルシート21の表面に塗布することで電極22を形成することができるため、電極22を別工程で作製してPVCゲルシート21の両面に配設する構成と比較して、アクチュエータ10の製造工程を簡略化することができる。
【0043】
なお、上述したアクチュエータ10は、本発明に係るアクチュエータの一例であって、適宜変更した構成を採用することができる。例えば、上述したアクチュエータ10では、PVCゲルシート21の両面に規制部材23が配設されているが、PVCゲルシート21におけるいずれか一方の面にのみ規制部材23が配設されている構成を採用することもできる。また、上述したアクチュエータ10は、PVCゲルシート21を1つだけ備えて構成されているが、複数のPVCゲルシート21と各PVCゲルシート21の両面に配設した電極22とを備え、一つ以上のPVCゲルシート21における少なくとも一方の面に規制部材23を配設した構成を採用することもできる。
【0044】
また、上述したアクチュエータ10では、導電性オイルコンパウンドで形成した電極22を採用しているが、ゲル状のポリ塩化ビニルと粉末カーボンとの混合物でシート状に形成した電極22を採用することもできる。この構成によれば、予め作製した電極22をPVCゲルシート21の各面に配設することができるため、PVCゲルシート21の表面に電極材料を塗布することによって電極22を形成する構成と比較してアクチュエータ10の製造時間を短縮することができる。
【0045】
また、上述したアクチュエータ10の構成では、アクチュエータ10を構成するPVCゲルシート21および電極22がそれぞれ長方形に形成されているが、PVCゲルシート21および電極22を他の平面視形状(例えば、円形、楕円形、四角形以外の多角形)に形成する構成を採用することもできる。
【0046】
また、上述したアクチュエータ10では、幅方向を一の方向として規定し、幅方向に直交する長さ方向を交差方向として規定して規制部材23を配置したが、一の方向および交差方向は任意に規定することができる。例えば、幅方向に対して任意の角度(例えば、30°)傾斜する方向を一の方向として規定し、その一の方向に対して任意の角度(例えば、45°)傾斜する方向を交差方向として規定することもできる。
【符号の説明】
【0047】
10 アクチュエータ
21 PVCゲルシート
22 電極
23 規制部材