(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/78 20060101AFI20250311BHJP
B29C 45/74 20060101ALI20250311BHJP
B22D 17/20 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
B29C45/78
B29C45/74
B22D17/20 J
(21)【出願番号】P 2021030084
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】平野 智裕
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 正悟
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓介
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-177688(JP,A)
【文献】特開2019-177634(JP,A)
【文献】特開平07-176083(JP,A)
【文献】特開平07-024892(JP,A)
【文献】特開平02-204018(JP,A)
【文献】特開平02-128823(JP,A)
【文献】特開平04-185418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/24
B29C 45/46-45/63
B29C 45/70-45/72
B29C 45/74-45/84
B22D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型装置に形成された複数のキャビティ空間のうち第1キャビティ空間に接続されると共に、当該第1キャビティ空間で成形品を成形するために第1成形材料を溶融する第1加熱シリンダと、
前記金型装置に形成された前記複数のキャビティ空間のうち第2キャビティ空間に接続されると共に、当該第2キャビティ空間で成形品を成形するために第2成形材料を溶融する第2加熱シリンダと、
前記金型装置の温度に基づいて、
前記第1加熱シリンダの昇温タイミングと前記第2加熱シリンダの昇温タイミングとを
個別に制御する制御部と、
を備える射出成形機。
【請求項2】
金型装置に形成された複数のキャビティ空間のうち第1キャビティ空間に接続されると共に、当該第1キャビティ空間で成形品を成形するために第1成形材料を溶融する第1加熱シリンダと、
前記金型装置に形成された前記複数のキャビティ空間のうち第2キャビティ空間に接続されると共に、当該第2キャビティ空間で成形品を成形するために第2成形材料を溶融する第2加熱シリンダと、
前記第1加熱シリンダと前記第2加熱シリンダとの各々について個別に昇温
タイミングの制御を行う制御部と、
を備える射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、射出成形機において、作業の開始を所定時刻通りに行うための技術が提案されている。例えば、特許文献1においては、射出成形機のシリンダの温度設定において、運転設定からシリンダ保温を経て、樹脂パージ温度まで連続的に行うことで、無人化するとともに、段取り時間の短縮を図り、生産の効率化の向上を図る技術が提案されている。
【0003】
具体的には、運転開始日と時間設定を行い、シリンダの保温の温度設定を行う。そして、シリンダが保温温度に到達した後に、樹脂パージまでの温度の勾配設定を行う。これにより樹脂パージ温度まで到達させることができる。
【0004】
他の例としては、特許文献2において、カレンダータイマーに基づいて、電源のオン、オフ制御を行うための技術が提案されている。具体的には、ソーラーパネルと蓄電池で構成されている2次電源によって常時動作しており、設定された時刻になるとリレーのコイルがオンになることで、商用電源からの電力が供給されることなるため、加熱シリンダの昇温制御が開始される。これにより、始業開始時刻に成形作業を開始できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平07-176083号公報
【文献】特開平07-024892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び引用文献2で示された技術では、シリンダが、成形材料に応じた目標温度まで昇温した後、当該目標温度の状態を維持し続けていると、成形材料の滞留時間が長いことによるヤケ等の成形不具合などが発生する可能性がある。
【0007】
例えば、射出成形機においては、シリンダだけでなく、金型装置も昇温させる必要がある。シリンダよりも金型装置の昇温の速度が遅い場合がある。このような場合、シリンダ内の成形材料が目標温度に到達した後、金型装置が目標温度に到達するまでの時間が遅いため、シリンダ内で、成形材料の滞留によるヤケ等の成形不具合が生じる可能性がある。
【0008】
他の例としては、射出成形機において複数種類の成形材料を利用する場合がある。この場合、射出装置のシリンダごとに、異なる成形材料が供給される。成形材料ごとに昇温の目標温度が異なるため、複数のシリンダを同時に昇温開始した場合に、一方のシリンダに供給される成形材料に応じた目標温度に到達しても、他方のシリンダに供給される成形材料に応じた目標温度に到達しないという状況が生じる。このような状況では、他方の成形材料が目標温度に到達したときに、一方の成形材料が滞留し続けていることになるため、滞留によるヤケ等の成形不具合が生じる可能性がある。
【0009】
本発明の一態様は、加熱時のシリンダ内で成形材料の滞留時間が長いことによる成形不具合を抑止する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る射出成形機は、金型装置に形成された複数のキャビティ空間のうち第1キャビティ空間に接続されると共に、当該第1キャビティ空間で成形品を成形するために第1成形材料を溶融する第1加熱シリンダと、前記金型装置に形成された前記複数のキャビティ空間のうち第2キャビティ空間に接続されると共に、当該第2キャビティ空間で成形品を成形するために第2成形材料を溶融する第2加熱シリンダと、前記金型装置の温度に基づいて、前記第1加熱シリンダの昇温タイミングと前記第2加熱シリンダの昇温タイミングとを個別に制御する制御部と、を備える。
本発明の一態様に係る射出成形機は、金型装置に形成された複数のキャビティ空間のうち第1キャビティ空間に接続されると共に、当該第1キャビティ空間で成形品を成形するために第1成形材料を溶融する第1加熱シリンダと、前記金型装置に形成された前記複数のキャビティ空間のうち第2キャビティ空間に接続されると共に、当該第2キャビティ空間で成形品を成形するために第2成形材料を溶融する第2加熱シリンダと、前記第1加熱シリンダと前記第2加熱シリンダとの各々について個別に昇温タイミングの制御を行う制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、加熱シリンダに供給された成形材料の滞留時間を低減できるため、加熱シリンダ内の成形材料のヤケ等の成形不具合を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る可動プラテン、回転テーブルおよび可動金型を前方から見た図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図であって、型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に続く型開時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に続く型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線に沿った断面図であって、
図6に示す型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、型開時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第1エジェクタロッドが第1エジェクタプレートに当接する前に第2エジェクタロッドが第2エジェクタプレートに当接する時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第1エジェクタロッドが第1エジェクタプレートに当接すると同時に第2エジェクタロッドが第2エジェクタプレートに当接する時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、第1エジェクタロッドおよび第2エジェクタロッドが突き出し位置にある時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係る制御装置の構成要素を機能ブロックで示す図である。
【
図13】
図13は、カレンダータイマー設定情報の第1例を示した図である。
【
図14】
図14は、一実施形態に係る射出成形機におけるシリンダの昇温制御の全体的な流れを示したフローチャートである。
【
図15】
図15は、一実施形態に係る射出成形機のシリンダ温度制御部における、設定された時刻に基づいた昇温制御のフローチャートである。
【
図16】
図16は、一実施形態に係る射出成形機のシリンダ温度制御部における、検出された金型装置の温度に基づいた昇温制御のフローチャートである。
【
図17】
図17は、カレンダータイマー設定情報の第2例を示した図である。
【
図18】
図18は、カレンダータイマー設定情報の第3例を示した図である。
【
図19】
図19は、カレンダータイマー設定情報の第4例を示した図である。
【
図20】
図20は、カレンダータイマー設定情報の第5例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0014】
(射出成形機)
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。
図1~
図2において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側が操作側であり、Y軸方向正側が反操作側である。
【0015】
図1~
図2に示すように、射出成形機10は、金型装置800を開閉する型締装置100と、金型装置800で成形された第2成形品22を突き出す第1エジェクタ装置201と、金型装置800で成形された第2成形品22を突き出す第2エジェクタ装置202(
図7参照)と、金型装置800に成形材料を射出する第1射出装置301と、金型装置800に成形材料を射出する第2射出装置302(
図7参照)と、金型装置800に対し第1射出装置301を進退させる第1移動装置401と、金型装置800に対し第2射出装置302を進退させる第2移動装置(不図示)と、射出成形機10の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機10の各構成要素を支持するフレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置100を支持する型締装置フレーム910と、第1射出装置301及び第2射出装置302を支持する射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
【0016】
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0017】
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
【0018】
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、回転テーブル190(
図3等参照)、回転機構194(
図3等参照)、および移動機構102、および金型温調器600、および温度検出器610を有する。
【0019】
図3は、一実施形態に係る可動プラテン、回転テーブルおよび可動金型820を前方から見た図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図であって、型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図5は、
図4に続く型開時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図6は、
図5に続く型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図7は、
図6のVII-VII線に沿った断面図であって、
図6に示す型締時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図3~
図7におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、
図1~
図2におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向と同じ方向である。
【0020】
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。固定金型810は、可動金型820との対向面に、第1固定成形面811と、第2固定成形面812とを有する。
【0021】
第1固定成形面811は、第1成形品21が成形される第1キャビティ空間801の壁面の一部を形成する。一方、第2固定成形面812は、第2成形品22が成形される第2キャビティ空間802の壁面の一部を形成する。
【0022】
第1固定成形面811と、第2固定成形面812とは、異なる形状に形成され、それぞれ、例えば凹状に形成される。第1固定成形面811と、第2固定成形面812とは、同一の型板に形成されるが、異なる型板に形成されてもよい。
【0023】
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面には、回転テーブル190を介して可動金型820が取付けられる。
図7に破線で示すように、可動プラテン120は、ベアリング199を介して、回転テーブル190の回転軸191を回転自在に支持する。
【0024】
可動金型820は、固定金型810との対向面に、第1可動成形面821と、第2可動成形面822とを有する。第1可動成形面821と第2可動成形面822とは、それぞれ、第1キャビティ空間801の壁面の一部と、第2キャビティ空間802の壁面の一部とを順番に形成する(
図4および
図6参照)。
【0025】
第1可動成形面821と、第2可動成形面822とは、同一の形状に形成され、それぞれ、例えば凸状に形成される。第1可動成形面821と、第2可動成形面822とは、同一の型板に形成されるが、異なる型板に形成されてもよい。
【0026】
なお、本実施形態では、第1固定成形面811と第2固定成形面812とが凹状に形成され、第1可動成形面821と第2可動成形面822とが凸状に形成されるが、本発明はこれに限定されない。つまり、第1固定成形面811と第2固定成形面812とが凸状に形成され、第1可動成形面821と第2可動成形面822とが凹状に形成されてもよい。
【0027】
回転機構194は、回転テーブル190を回転させる。回転機構194は、回転テーブル190の外周部から後方に延びる円筒状の回転筒195と、回転筒195の外周面の周方向全体に形成される受動歯車196と、受動歯車196と噛み合う駆動歯車197と、駆動歯車197を回転させる回転モータ198とを有する。回転モータ198の回転駆動力は、駆動歯車197、受動歯車196および回転筒195を介して、回転テーブル190に伝達される。
【0028】
なお、回転モータ198は、可動プラテン120の上方(Z軸方向正側)に配置されるが、可動プラテン120の下方(Z軸方向負側)に配置されてもよいし、可動プラテン120の側方(Y軸方向正側またはY軸方向負側)に配置されてもよい。また、回転モータ198の回転駆動力を回転テーブル190に伝達する手段として、タイミングベルトが用いられてもよい。
【0029】
回転機構194は、型開時に回転テーブル190を180°回転することで、第1可動成形面821を第1キャビティ空間801の壁面の一部を形成する位置(
図4参照)と第2キャビティ空間802の壁面の一部を形成する位置(
図6参照)との間で旋回する。同様に、回転機構194は、型開時に回転テーブル190を180°回転することで、第2可動成形面822を第1キャビティ空間801の壁面の一部を形成する位置(
図6参照)と第2キャビティ空間802の壁面の一部を形成する位置(
図4参照)との間で旋回する。
【0030】
図4に示す型締時に、第1可動成形面821と第1固定成形面811とが第1キャビティ空間801を形成すると共に、第2可動成形面822と第2固定成形面812とが第2キャビティ空間802を形成する。また、
図6に示す型締時に、第2可動成形面822と第1固定成形面811とが第1キャビティ空間801を形成すると共に、第1可動成形面821と第2固定成形面812とが第2キャビティ空間802を形成する。
【0031】
回転機構194は、回転テーブル190を180°回転する度に、回転テーブル190の回転方向を逆転してよい。例えば、回転機構194は、回転テーブル190を時計回りに180°回転した後、回転テーブル190を反時計回りに180°回転する。回転テーブル190に固定される配線および配管の配置が元の配置に戻るので、配線および配管の取り回しが容易である。
【0032】
移動機構102(
図1および
図2参照)は、固定プラテン110と可動プラテン120とを相対的に接離させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。型開時に、回転機構194が回転テーブル190を180°回転させる。移動機構102は、固定プラテン110と間隔をおいて配置されるトグルサポート130と、固定プラテン110とトグルサポート130を連結するタイバー140と、トグルサポート130に対して可動プラテン120を型開閉方向に移動させるトグル機構150と、トグル機構150を作動させる型締モータ160と、型締モータ160の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構170と、固定プラテン110とトグルサポート130の間隔Lを調整する型厚調整機構180と、を有する。
【0033】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。なお、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
【0034】
なお、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
【0035】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
【0036】
なお、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0037】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、型開閉方向に移動するクロスヘッド151と、クロスヘッド151の移動によって屈伸する一対のリンク群と、を有する。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0038】
なお、トグル機構150の構成は、
図1および
図2に示す構成に限定されない。例えば
図1および
図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0039】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0040】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0041】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、型開工程、および型回転工程などを行う。型回転工程は、型開工程の完了後、次の型閉工程の開始前に行われる。型回転工程は、本実施形態では突き出し工程の完了後に行われるが、突き出し工程の完了前に行われてもよい。例えば、2次成形品が成形される位置と、2次成形品が突き出される位置とが異なる場合、型開工程の完了後に、型回転工程が行われ、その後、突出し工程が行われる。具体的には、例えば、2次成形品が成形される位置が操作側であって、2次成形品が突き出される位置が反操作側である場合、型開工程の完了後に、型回転工程が行われ、その後、突出し工程が行われる。
【0042】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
【0043】
なお、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0044】
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
【0045】
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間に、
図2に示すように第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが形成される。
【0046】
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
【0047】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。
【0048】
型開工程の完了後、次の型閉工程の開始前に、突き出し工程が行われる。突き出し工程では、詳しくは後述するが、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが可動金型820から第2成形品22を突き出す。突き出し工程の完了後、次の型閉工程の開始前に、型回転工程が行われる。
【0049】
型回転工程では、回転テーブル190を回転し、可動金型820と共に第1成形品21を回転する。その後、型閉工程および昇圧工程が行われることで、第1成形品21が第2キャビティ空間802の一部に配置される。
【0050】
型閉工程および昇圧工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0051】
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0052】
なお、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0053】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0054】
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0055】
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。なお、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0056】
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。なお、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0057】
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。なお、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
【0058】
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。なお、複数の型厚調整機構が組み合わせて用いられてもよい。
【0059】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。なお、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0060】
なお、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0061】
なお、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0062】
温度検出器610は、金型装置800の温度を検出する。温度検出器610は、検出された温度を示す温度信号を、制御装置700に送る。
【0063】
金型温調器600は、金型装置800の温度を調節する。
図4に示されるように、金型装置800は、その内部に、温調媒体の流路813A、813B、813C、813Dを有する。金型温調器600は、金型装置800の流路813A~813Dに供給する温調媒体の温度を調節することで、金型装置800の温度を調節する。金型温調器600は、制御装置700からの制御信号に応じて温度調整を行う。これにより、金型温調器600は、温度検出器610で検出された温度に基づいた金型装置800の温度調節を実現できる。
【0064】
(第1エジェクタ装置および第2エジェクタ装置)
第1エジェクタ装置201および第2エジェクタ装置202(
図8等参照)の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0065】
第1エジェクタ装置201および第2エジェクタ装置202は、可動プラテン120に取り付けられ、可動プラテン120と共に進退する。第1エジェクタ装置201および第2エジェクタ装置202は、型開時に可動金型820から第2成形品22を突き出す。
【0066】
第1エジェクタ装置201は、可動金型820の固定部830に対し進退する第1エジェクタロッド211を有する。第1エジェクタロッド211は、可動金型820の第1可動部840を前方に押すことにより、可動金型820の固定部830から第2成形品22を離型させる。
【0067】
第1エジェクタロッド211は、可動金型820の第1可動部840と連結されてもよいが、本実施形態では可動金型820の回転を目的として、可動金型820の第1可動部840とは連結されていない。
【0068】
第1エジェクタロッド211は、可動金型820の固定部830に対し前進することにより可動金型820の第1可動部840に接近して当接し、第1可動部840を前方に押すことにより固定部830から第2成形品22を離型させる。
【0069】
同様に、第2エジェクタ装置202は、可動金型820の固定部830に対し進退する第2エジェクタロッド212を有する。第2エジェクタロッド212は、可動金型820の第2可動部850を前方に押すことにより、可動金型820の固定部830から第2成形品22を離型させる。
【0070】
第2エジェクタロッド212は、可動金型820の第2可動部850と連結されてもよいが、本実施形態では可動金型820の回転を目的として、可動金型820の第2可動部850とは連結されていない。
【0071】
第2エジェクタロッド212は、可動金型820の固定部830に対し前進することにより可動金型820の第2可動部850に接近して当接し、第2可動部850を前方に押すことにより固定部830から第2成形品22を離型させる。
【0072】
第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。一方、第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とは、Y軸方向に直交するZ軸方向に間隔をおいて配置される(
図6参照)。
【0073】
第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが並ぶ方向と、第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが並ぶ方向とは、直交する。第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが並ぶ方向は、例えばY軸方向である。第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが並ぶ方向は、例えばZ軸方向である。
【0074】
なお、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが並ぶ方向と、第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが並ぶ方向とは、逆でもよい。例えば、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが並ぶ方向は、Z軸方向でもよい。第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが並ぶ方向は、Y軸方向でもよい。
【0075】
第2キャビティ空間802は、例えば、第2成形品22を型締装置100の上方に取り出すべく、第1キャビティ空間801の上方に配置される。この場合、第1エジェクタロッド211および第2エジェクタロッド212は、回転テーブル190の回転中心線190Xよりも上方に配置される(
図3参照)。
【0076】
なお、第2キャビティ空間802は、例えば、第2成形品22を型締装置100の下方に落下させるべく、第1キャビティ空間801の下方に配置されてもよい。この場合、第1エジェクタロッド211および第2エジェクタロッド212は、回転テーブル190の回転中心線190Xよりも下方に配置される。
【0077】
第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とは、Y軸方向に間隔をおいて配置され、Y軸方向に細長い第2成形品22を可動金型820から突き出す。第2成形品22を、第2成形品22の長手方向複数箇所で押すことができるので、第2成形品22の変形を防止でき、第2成形品22の損傷を防止できる。
【0078】
第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とは、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、第1エジェクタロッド211と第2エジェクタロッド212とを設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動金型820から第2成形品22を突き出す。その後、突き出し工程では、第1エジェクタロッド211と第2エジェクタロッド212とを設定移動速度で突き出し位置から待機位置まで後退させる。
【0079】
(第1射出装置および第2射出装置)
第1射出装置301および第2射出装置302(
図7等参照)の説明では、型締装置100等の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0080】
第1射出装置301は第1スライドベース303に設置され、第1スライドベース303は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。第1射出装置301は、金型装置800に対し進退自在に配置される。第1射出装置301は、金型装置800(より詳細には固定金型810)にタッチし、金型装置800内の第1キャビティ空間801に成形材料を充填する。
【0081】
第2射出装置302は第2スライドベースに設置され、第2スライドベースは射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。第2射出装置302は、金型装置800に対し進退自在に配置される。第2射出装置302は、金型装置800(より詳細には固定金型810)にタッチし、金型装置800内の第2キャビティ空間802に成形材料を充填する。
【0082】
第1射出装置301と第2射出装置302とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。一方、第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とは、Y軸方向に直交するZ軸方向に間隔をおいて配置される。第1射出装置301が第1キャビティ空間801に充填する成形材料と、第2射出装置302が第2キャビティ空間802に充填する成形材料とは、異なる材料でもよいし、同じ材料でもよい。
【0083】
第1射出装置301と第2射出装置302とは、同様に構成される。そこで、以下、第1射出装置301の構成について説明し、第2射出装置302の構成について説明を省略する。第1射出装置301は、例えば、成形材料を加熱するシリンダ310と、シリンダ310の前端部に設けられるノズル320と、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置されるスクリュ330と、スクリュ330を回転させる計量モータ340と、スクリュ330を進退させる射出モータ350と、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する荷重検出器360と、を有する(
図1および
図2参照)。
【0084】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。シリンダ310は、加熱シリンダの一例であって、金型装置800で形成された第1キャビティ空間801または第2キャビティ空間802に接続されると共に、シリンダ310内に供給された成形材料を加熱することで、第1キャビティ空間801または第2キャビティ空間802で成形品を成形するために成形材料を溶融する。さらに、第1射出装置301側のシリンダ310を、第1キャビティ空間801に接続される第1加熱シリンダの一例とし、第2射出装置302のシリンダ310を、第2キャビティ空間802に接続される第2加熱シリンダの一例とする。
【0085】
成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0086】
本実施形態の制御装置700は、第1射出装置301のシリンダ310に設けられた加熱器313と、第2射出装置302のシリンダ310に設けられた加熱器313と、を個別に制御する。例えば、制御装置700は、第1射出装置301のシリンダ310に設けられた温度検出器314が検出した温度に基づいて、第1射出装置301のシリンダ310に供給された成形材料に応じた目標温度になるように、第1射出装置301のシリンダ310に設けられた加熱器313の加熱制御を行う。他の例としては、制御装置700は、第2射出装置302のシリンダ310に設けられた温度検出器314が検出した温度に基づいて、第2射出装置302に供給された成形材料に応じた目標温度になるように、第2射出装置302のシリンダ310に設けられた加熱器313の加熱制御を行う。
【0087】
成形材料に応じた目標温度は、当該成形材料がシリンダ310に供給された後、当該加熱器313でシリンダ310を昇温制御する際に、当該昇温制御によってシリンダ310の昇温完了の目標(換言すれば、到達すべき目標)として定められた温度とする。なお、目標温度は、成形の場合と、保温の場合とで、異なる温度が設定されている。
【0088】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0089】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0090】
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
【0091】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0092】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(
図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0093】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(
図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0094】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
【0095】
なお、第1射出装置301は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0096】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
【0097】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
【0098】
荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する。検出した力は、制御装置700で圧力に換算される。荷重検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、荷重検出器360に作用する力を検出する。
【0099】
荷重検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。荷重検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
【0100】
なお、成形材料の圧力を検出する圧力検出器は、荷重検出器360に限定されず、一般的なものを使用できる。例えば、ノズル圧センサ、又は型内圧センサが用いられてもよい。ノズル圧センサは、ノズル320に設置される。型内圧センサは、金型装置800の内部に設置される。
【0101】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0102】
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。荷重検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0103】
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
【0104】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内の第1キャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
【0105】
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
【0106】
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、荷重検出器360によって検出される。スクリュ330の圧力が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、スクリュ330の圧力が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、スクリュ330の圧力が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
【0107】
なお、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0108】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば荷重検出器360を用いて検出する。荷重検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
【0109】
保圧工程では金型装置800内の第1キャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時には第1キャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、第1キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、第1キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0110】
なお、本実施形態の第1射出装置301は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置800内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
【0111】
また、本実施形態の第1射出装置301は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の第1射出装置301と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の第1射出装置301と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0112】
(第1移動装置および第2移動装置)
第1移動装置401および第2移動装置(不図示)の説明では、第1射出装置301および第2射出装置302の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
【0113】
第1移動装置401は、金型装置800に対し第1射出装置301を進退させる。また、第1移動装置401は、金型装置800に対し第1射出装置301のノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
【0114】
第2移動装置は、金型装置800に対し第2射出装置302を進退させる。また、第2移動装置は、金型装置800に対し第2射出装置302のノズルを押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
【0115】
第1移動装置401と第2移動装置とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。第1移動装置401と第2移動装置とは、第1射出装置301と第2射出装置302とを独立に進退させる。
【0116】
第1移動装置401と第2移動装置とは、同様に構成される。そこで、以下、第1移動装置401の構成について説明し、第2移動装置の構成について説明を省略する。第1移動装置401は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む(
図1および
図2参照)。
【0117】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。なお、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
【0118】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
【0119】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、第1射出装置301に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0120】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路413を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路413を介して前室435に供給されることで、第1射出装置301が前方に押される。第1射出装置301が前進され、第1射出装置301のノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0121】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路414を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路414を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、第1射出装置301が後方に押される。第1射出装置301が後退され、第1射出装置301のノズル320が固定金型810から離間される。
【0122】
なお、本実施形態では第1移動装置401は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を第1射出装置301の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0123】
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、
図1~
図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
【0124】
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
【0125】
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
【0126】
なお、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないからである。
【0127】
なお、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程以外の工程を有してもよい。
【0128】
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
【0129】
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
【0130】
制御装置700は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作装置750や画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネル770で構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネル770は、制御装置700による制御下で、画面を表示する。タッチパネル770の画面には、例えば、射出成形機10の設定、現在の射出成形機10の状態等の情報が表示されてもよい。また、タッチパネル770の画面には、例えば、ユーザによる入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネル770は、ユーザによる画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、ユーザは、画面に表示される情報を確認しながら、画面に設けられた操作部を操作して、射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザが画面に設けられた操作部を操作することにより、操作部に対応する射出成形機10の動作を行わせることができる。なお、射出成形機10の動作は、例えば、型締装置100、第1エジェクタ装置201、第2エジェクタ装置202、第1射出装置301、第2射出装置302、第1移動装置401および第2移動装置等の動作(停止も含む)であってもよい。また、射出成形機10の動作は、表示装置760としてのタッチパネル770に表示される画面の切り替え等であってもよい。
【0131】
なお、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネル770として一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)の操作側(Y軸負方向)に配置される。
【0132】
(成形品の離型制御)
可動プラテン120は、
図5等に示すように、前面板121と、中間ブロック124と、後方ブロック126と、トグルリンク取付部128とを有する。前面板121と、中間ブロック124と、後方ブロック126と、トグルリンク取付部128とは、別々に形成され連結されてもよいし、鋳造などで一体に形成されてもよい。
【0133】
前面板121は、回転テーブル190を回転自在に支持する。前面板121には、第1エジェクタロッド211が進退自在に配置される第1貫通穴122が形成される。同様に、前面板121には、第2エジェクタロッド212が進退自在に配置される第2貫通穴123が形成される。
【0134】
中間ブロック124は、回転テーブル190の外周部から後方に延びる円筒状の回転筒195の径方向内側に配置される。中間ブロック124の内部には、第1エジェクタ装置201が配置される空間と、第2エジェクタ装置202が配置される空間とが形成される(
図7参照)。中間ブロック124の前端面に前面板121が取付けられる。前面板121および中間ブロック124には、
図7に破線で示すように、回転テーブル190の回転軸191がベアリング199を介して挿入される挿入穴125が形成される。
【0135】
後方ブロック126は、受動歯車196を回転自在に支持する。後方ブロック126は、X軸方向視で長方形状に形成される(
図3参照)。後方ブロック126の4つの隅部のそれぞれには、タイバー140が挿し通される挿通穴127が形成される。なお、挿通穴127の代わりに、切欠きが形成されてもよい。後方ブロック126の内部には、第1エジェクタ装置201が配置される空間と、第2エジェクタ装置202が配置される空間とが形成される(
図7参照)。
【0136】
トグルリンク取付部128は、後方ブロック126の後端面のY軸方向中央部に、Z軸方向に間隔をおいて一対設けられる。一対のトグルリンク取付部128は、それぞれ、Y軸方向に対し垂直なトグルリンク取付板をY方向に間隔をおいて複数有する。複数のトグルリンク取付板は、それぞれ、後方ブロック126の後端面から後方に突出し、その先端部にピン穴129を有する。ピン穴129にはピンが挿し通され、ピンを介して第1リンク152(
図1および
図2参照)がトグルリンク取付部128に揺動自在に取り付けられる。
【0137】
図4に示すように型締時に、第1可動成形面821と第1固定成形面811とが第1キャビティ空間801を形成すると共に、第2可動成形面822と第2固定成形面812とが第2キャビティ空間802を形成する。第1キャビティ空間801には第1射出装置301から成形材料が供給され、第1成形品21が成形される。
【0138】
第1成形品21は、
図4に示すように型締時に第1キャビティ空間801で成形され、
図5に示すように型開時に可動金型820から突き出されることなく可動金型820と共に180°回転される。その後、
図6に示すように型締時に、第1成形品21は、第2キャビティ空間802の一部に配置され、第2成形品22の一部になる。
【0139】
図6に示すように型締時に、第2可動成形面822と第1固定成形面811とが第1キャビティ空間801を形成すると共に、第1可動成形面821と第2固定成形面812とが第2キャビティ空間802を形成する。第2キャビティ空間802には第2射出装置302から成形材料が供給され、第2成形品22が成形される。第2成形品22の成形と並行して、第1キャビティ空間801には第1射出装置301から成形材料が供給され、第1成形品21が成形される。その後、
図8に示す型開が行われる。
【0140】
図8は、型開時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図9は、第1エジェクタロッドが第1エジェクタプレートに当接する前に第2エジェクタロッドが第2エジェクタプレートに当接する時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図10は、第1エジェクタロッドが第1エジェクタプレートに当接すると同時に第2エジェクタロッドが第2エジェクタプレートに当接する時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図11は、第1エジェクタロッドおよび第2エジェクタロッドが突き出し位置にある時の射出成形機の状態の一例を示す断面図である。
図8~
図11におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、
図1~
図2におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向と同じ方向である。
【0141】
可動金型820は、
図8に示すように、可動プラテン120に対し進退不能な固定部830と、可動プラテン120に対し進退可能な第1可動部840と、可動プラテン120に対し進退可能な第2可動部850とを有する。
【0142】
可動金型820の固定部830は、回転テーブル190に取り付けられる可動取付板831と、可動取付板831の前方に空間834を形成するスペーサブロック835と、スペーサブロック835を介して可動取付板831に固定される可動型板836とを含む。
【0143】
可動取付板831には、第1エジェクタロッド211が挿抜される第1貫通穴832が形成される。第1貫通穴832は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに複数形成される(
図3参照)。複数の第1貫通穴832は、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される。
【0144】
同様に、可動取付板831には、第2エジェクタロッド212が挿抜される第2貫通穴833が形成される。第2貫通穴833は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに複数形成される(
図3参照)。複数の第2貫通穴833は、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される。
【0145】
スペーサブロック835は、可動取付板831と可動型板836との間に空間834を形成する。この空間834には、後述の第1エジェクタプレート841と、後述の第2エジェクタプレート851とが進退自在に配置される。
【0146】
可動型板836は、固定金型810との対向面に、第1可動成形面821と、第2可動成形面822とを有する。第1可動成形面821と第2可動成形面822とは、それぞれ、第1キャビティ空間801の壁面の一部と、第2キャビティ空間802の壁面の一部とを順番に形成する(
図4および
図6参照)。
【0147】
可動金型820の第1可動部840は、
図9に示すように、X軸方向に対し垂直に配置される第1エジェクタプレート841と、第1エジェクタプレート841から前方に延びる棒状の第1エジェクタピン842とを含む。
【0148】
第1エジェクタプレート841は、第1ガイドピン843に沿って進退する。第1ガイドピン843の前端部は、可動型板836に取り付けられる。一方、第1ガイドピン843の後端部には、第1エジェクタプレート841の後退を止める第1ストッパ844が取り付けられる。
【0149】
第1エジェクタプレート841は、第1リターンバネ845によって、可動型板836から第1ストッパ844に向けて付勢される。なお、可動取付板831が第1ストッパ844の役割を兼ねてもよい。この場合、第1ガイドピン843の後端部は、可動取付板831に取り付けられる。
【0150】
第1エジェクタピン842は、可動型板836を貫通する第1貫通穴837に進退自在に配置される。第1貫通穴837は、第1可動成形面821および第2可動成形面822のそれぞれに形成される(
図3参照)。
【0151】
第1エジェクタプレート841は、第1リターンバネ845の付勢力によって第1ストッパ844に押し付けられる。このとき、第1エジェクタピン842の前端面は、第1可動成形面821または第2可動成形面822と面一である。
【0152】
第1エジェクタプレート841は、第1リターンバネ845の付勢力に抗して前進される。そうすると、第1エジェクタピン842の前端面は、第1可動成形面821または第2可動成形面822から前方に突出する。
【0153】
第1可動成形面821からの第2成形品22の離型と、第2可動成形面822からの第2成形品22の離型とを別々に実施すべく、第1可動部840は複数配置される。複数の第1可動部840は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される。
【0154】
可動金型820の第2可動部850は、
図9に示すように、X軸方向に対し垂直に配置される第2エジェクタプレート851と、第2エジェクタプレート851から前方に延びる棒状の第2エジェクタピン852とを含む。
【0155】
第2エジェクタプレート851は、第2ガイドピン853に沿って進退する。第2ガイドピン853の前端部は、可動型板836に取り付けられる。一方、第2ガイドピン853の後端部には、第2エジェクタプレート851の後退を止める第2ストッパ854が取り付けられる。
【0156】
第2エジェクタプレート851は、第2リターンバネ855によって、可動型板836から第2ストッパ854に向けて付勢される。なお、可動取付板831が第2ストッパ854の役割を兼ねてもよい。この場合、第2ガイドピン853の後端部は、可動取付板831に取り付けられる。
【0157】
第2エジェクタピン852は、可動型板836を貫通する第2貫通穴838に進退自在に配置される。第2貫通穴838は、第1可動成形面821および第2可動成形面822のそれぞれに形成される(
図3参照)。
【0158】
第2エジェクタプレート851は、第2リターンバネ855の付勢力によって第2ストッパ854に押し付けられる。このとき、第2エジェクタピン852の前端面は、第1可動成形面821または第2可動成形面822と面一である。
【0159】
第2エジェクタプレート851は、第2リターンバネ855の付勢力に抗して前進される。そうすると、第2エジェクタピン852の前端面は、第1可動成形面821または第2可動成形面822から前方に突出する。
【0160】
第1可動成形面821からの第2成形品22の離型と、第2可動成形面822からの第2成形品22の離型とを別々に実施すべく、第2可動部850は複数配置される。複数の第2可動部850は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される。
【0161】
なお、第1可動部840の第1エジェクタプレート841と、第2可動部850の第2エジェクタプレート851とが、本実施形態では別々に設けられるが、一体に形成されてもよい。第1可動成形面821からの第2成形品22の離型と、第2可動成形面822からの第2成形品22の離型とを別々に実施できればよい。
【0162】
第1エジェクタ装置201は、
図10に示すように、可動プラテン120に対し第1エジェクタロッド211を進退させる第1駆動機構220を有する。第1駆動機構220は、例えば、第1エジェクタモータ221と、第1エジェクタモータ221の回転運動を第1クロスヘッド223の直線運動に変換する第1運動変換機構225とを有する。
【0163】
第1運動変換機構225は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。第1クロスヘッド223には第1エジェクタロッド211の後端部が取り付けられ、第1エジェクタロッド211は第1クロスヘッド223と共に進退する。
【0164】
第1駆動機構220は、第1クロスヘッド223を案内するガイドバー224を有する。ガイドバー224の前端部は、可動プラテン120の前面板121に取り付けられる。可動プラテン120の前面板121の第1貫通穴122には、第1エジェクタロッド211が進退自在に配置される。
【0165】
第1駆動機構220は、第1エジェクタロッド211を待機位置(
図8参照)から前進させ、第1エジェクタロッド211を回転テーブル190の第1貫通穴192に挿し込む。なお、第1貫通穴192は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに複数形成される。複数の第1貫通穴192は、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される(
図3参照)。
【0166】
続いて、第1駆動機構220は、第1エジェクタロッド211をさらに前進させ、第1エジェクタロッド211を可動金型820の可動取付板831の第1貫通穴832に挿し込み、可動金型820の第1エジェクタプレート841に当接させる(
図10参照)。
【0167】
続いて、第1駆動機構220は、第1エジェクタロッド211をさらに突き出し位置(
図11参照)まで前進させ、第1エジェクタプレート841および第1エジェクタピン842を前進させる。第1エジェクタピン842の前端面が可動金型820の第1可動成形面821または第2可動成形面822から前方に突出し、第1可動成形面821または第2可動成形面822から第2成形品22が離型される。
【0168】
その後、第1駆動機構220は、第1エジェクタロッド211を突き出し位置(
図11参照)から後退させ、第1エジェクタロッド211を可動金型820の可動取付板831の第1貫通穴832から引き抜く。これに伴い、第1リターンバネ845が、第1エジェクタプレート841を、第1ストッパ844まで後退させる。
【0169】
続いて、第1駆動機構220は、第1エジェクタロッド211を待機位置(
図8参照)まで後退させ、第1エジェクタロッド211を回転テーブル190の第1貫通穴192から引き抜く。この状態で、回転テーブル190が180°回転される。
【0170】
制御装置700は、第1エジェクタロッド211を待機位置から突き出し位置まで前進させるときに、第1エジェクタロッド211の位置を制御する。制御装置700は、第1エジェクタロッド211の位置の設定値X1sと第1エジェクタロッド211の位置の検出値X1dとの偏差ΔX1(ΔX1=X1s-X1d)に基づき、第1エジェクタモータ221に電流を供給する。
【0171】
第1エジェクタロッド211の位置は、例えば第1エジェクタモータエンコーダ222を用いて検出する。第1エジェクタモータエンコーダ222は、第1エジェクタモータ221の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、第1エジェクタロッド211の位置を検出する第1エジェクタロッド位置検出器は、第1エジェクタモータエンコーダ222に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0172】
第2エジェクタ装置202は、
図10に示すように、可動プラテン120に対し第2エジェクタロッド212を進退させる第2駆動機構230を有する。第2駆動機構230は、例えば、第2エジェクタモータ231と、第2エジェクタモータ231の回転運動を第2クロスヘッド233の直線運動に変換する第2運動変換機構235とを有する。
【0173】
第2運動変換機構235は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。第2クロスヘッド233には第2エジェクタロッド212の後端部が取り付けられ、第2エジェクタロッド212は第2クロスヘッド233と共に進退する。
【0174】
第2駆動機構230は、第2クロスヘッド233を案内するガイドバー234を有する。ガイドバー234の前端部は、可動プラテン120の前面板121に取り付けられる。可動プラテン120の前面板121の第2貫通穴123には、第2エジェクタロッド212が進退自在に配置される。
【0175】
第2駆動機構230と第1駆動機構220とは独立して設けられ、第2クロスヘッド233と第1クロスヘッド223とは独立して進退する。第2クロスヘッド233と第1クロスヘッド223とが一体に形成される場合、つまり、1つのエジェクタ装置が用いられる場合に比べて、クロスヘッドの小型化が可能であり、クロスヘッドの駆動力の低減が可能である。また、エジェクタモータとして汎用の物を使用できる。
【0176】
第2駆動機構230は、第2エジェクタロッド212を待機位置(
図8参照)から前進させ、第2エジェクタロッド212を回転テーブル190の第2貫通穴193に挿し込む。なお、第2貫通穴193は、回転テーブル190の回転中心線190Xの周りに複数形成される。複数の第2貫通穴193は、回転対称に配置され、例えば180°回転対称に配置される(
図3参照)。
【0177】
続いて、第2駆動機構230は、第2エジェクタロッド212をさらに前進させ、第2エジェクタロッド212を可動金型820の可動取付板831の第2貫通穴833に挿し込み、可動金型820の第2エジェクタプレート851に当接させる(
図9および
図10参照)。
【0178】
続いて、第2駆動機構230は、第2エジェクタロッド212をさらに突き出し位置(
図11参照)まで前進させ、第2エジェクタプレート851および第2エジェクタピン852を前進させる。第2エジェクタピン852の前端面が可動金型820の第1可動成形面821または第2可動成形面822から前方に突出し、第1可動成形面821または第2可動成形面822から第2成形品22が離型される。離型された第2成形品22は、射出成形機10の外部に取り出される。
【0179】
その後、第2駆動機構230は、第2エジェクタロッド212を突き出し位置(
図11参照)から後退させ、第2エジェクタロッド212を可動金型820の可動取付板831の第2貫通穴833から引き抜く。これに伴い、第2リターンバネ855が、第2エジェクタプレート851を、第2ストッパ854まで後退させる。
【0180】
続いて、第2駆動機構230は、第2エジェクタロッド212を待機位置(
図8参照)まで後退させ、第2エジェクタロッド212を回転テーブル190の第2貫通穴193から引き抜く。この状態で、回転テーブル190が180°回転される。
【0181】
制御装置700は、第2エジェクタロッド212を待機位置から突き出し位置まで前進させるときに、第2エジェクタロッド212の位置を制御する。制御装置700は、第2エジェクタロッド212の位置の設定値X2sと第2エジェクタロッド212の位置の検出値X2dとの偏差ΔX2(ΔX2=X2s-X2d)に基づき、第2エジェクタモータ231に電流を供給する。
【0182】
第2エジェクタロッド212の位置は、例えば第2エジェクタモータエンコーダ232を用いて検出する。第2エジェクタモータエンコーダ232は、第2エジェクタモータ231の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。なお、第2エジェクタロッド212の位置を検出する第2エジェクタロッド位置検出器は、第2エジェクタモータエンコーダ232に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0183】
図12は、一実施形態に係る制御装置の構成要素を機能ブロックで示す図である。
図12に図示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
図12に示すように、制御装置700は、入力受付部711と、表示処理部712と、取得部713と、金型温度制御部714と、シリンダ温度制御部715と、を有する。入力受付部711は、入力インターフェース703を介して、操作装置750からのユーザによる入力操作を受け付ける。表示処理部712は、操作装置750における入力操作に応じた表示画面を、表示装置760に表示制御を行う。取得部713は、温度検出器610から金型装置800に関する温度信号を取得するとともに、温度検出器314からシリンダ310に関する温度信号を取得する。金型温度制御部714は、取得部713が取得した温度信号で示された、金型装置800の温度に基づいて、金型温調器600を用いて、金型装置800の昇温を制御する。シリンダ温度制御部715は、取得部713が取得した温度信号で示された、シリンダ310の温度に基づいて、加熱器313を用いて、シリンダ310の昇温を制御する。なお、各構成の具体的な説明について後述する。
【0184】
また、制御装置700の記憶媒体702には、カレンダータイマー設定情報721を備えている。カレンダータイマー設定情報721は、第1射出装置301のシリンダ310に設けられた加熱器313(以降、第1射出装置301側の加熱器313と称する)と、第2射出装置302のシリンダ310に設けられた加熱器313(以降、第2射出装置302側の加熱器313と称する)と、を個別に昇温を開始するための条件が示された情報とする。
【0185】
図13は、カレンダータイマー設定情報721の第1例を示した図である。
図13に示されるように、カレンダータイマー設定情報721は、第1射出装置301側の加熱器313(保温)、第1射出装置301側の加熱器313(成形)、第2射出装置302側の加熱器313(保温)、第2射出装置302側の加熱器313(成形)ごとに昇温を開始するための条件が設定されている。
【0186】
図13に示される"第1射出装置側の加熱器(保温)"のレコードは、第1射出装置301のシリンダ310を保温温度まで昇温することを開始する条件が設定されている。"第1射出装置側の加熱器(成形)"のレコードは、第1射出装置301を成形温度まで昇温することを開始する条件が設定されている。保温温度とは、常温と比べて成形までの時間を短縮したいが、すぐに成形しない場合の温度である。例えば、取り出し器などの射出成形機10周辺機器の準備を行う場合や、昼休みなどの場合に保温温度にすることが考えられる。
【0187】
図13に示される"第2射出装置側の加熱器(保温)"のレコードは、第2射出装置302のシリンダ310を保温温度まで昇温することを開始する条件が設定されている。"第2射出装置側の加熱器(成形)"のレコードは、第2射出装置302のシリンダ310を成形温度まで昇温することを開始する条件が設定されている。
【0188】
"状態"は、当該レコードで示された条件を使用するか否かを示したフラグを有する。"状態"に"〇"が設定された場合に、当該条件を使用することを示している。
【0189】
"起動方法"は、昇温を開始するための方法が示されている。
図13に示されるように、"タイマー"及び"金型温度"のうちいずれか一方が設定されている。"タイマー"の場合には、曜日ごとに設定された時刻に昇温を開始することを示している。"金型温度"の場合には、曜日ごとに金型装置800が設定された温度になった場合に昇温を開始することを示している。
【0190】
図13に示されるように、"月曜日"、"火曜日"、"水曜日"、"木曜日"、"金曜日"、"土曜日"、及び"日曜日"で示された曜日ごとに、昇温を開始する時刻、又は昇温を開始する金型温度を設定可能としている。
【0191】
カレンダータイマー設定情報721においては、第1射出装置301側の加熱器313、及び第2射出装置302側の加熱器313に対して、曜日ごとに、昇温を開始する時刻、及び昇温を開始する金型装置800の温度のうちいずれか一つ以上を設定可能としている。
【0192】
本実施形態においては、第1射出装置301側の加熱器313、及び第2射出装置302側の加熱器313について個別に昇温を開始するための設定を可能としている。つまり、第1射出装置301のシリンダ310に供給される成形材料(以下、第1成形材料と称する)と、第2射出装置302のシリンダ310に供給される成形材料(以下、第2成形材料と称する)と、では、材質の違いから、昇温によって到達すべき目標温度が異なる場合がある。このような場合に同時に昇温を開始すると、いずれか一方の成形材料が目標温度に到達したにもかかわらず、他方の成形材料が目標温度に到達しない状態になりえる。このような場合、他方の成形材料が目標温度に到達するまでの間、一方の成形材料が目標温度に到達した状態で滞留し続けると、ヤケ等の成形不具合が生じる可能性がある。そこで、本実施形態においては、第1射出装置301側の加熱器313、及び第2射出装置302側の加熱器313では、個別に昇温を開始する条件を設定可能とした。
【0193】
取得部713は、射出成形機10の各構成から、様々な信号を取得する。例えば、取得部713は、温度検出器610から、金型装置800の温度を示した温度信号を取得する。さらに、取得部713は、第1射出装置301及び第2射出装置302の各々について、温度検出器314から、シリンダ310の温度を示した温度信号を取得する。
【0194】
金型温度制御部714は、取得部が取得した金型装置800の温度を示した温度信号に基づいて、金型装置800の昇温を制御する。本実施形態においては、金型温度制御部714は、金型温調器600に対して制御信号を出力することで、金型装置800の昇温を制御する。本実施形態の金型温度制御部714は、金型装置800用に予め設定された目標温度に到達するまで、金型装置800の昇温を行うように制御する。金型装置800用に予め設定された目標温度とは、成形材料の材質等の実施態様に応じて定められるものとして、説明を省略する。また、本実施形態においては、金型装置800の昇温を開始するための条件は、作業開始時間に成形可能となっていれば、作業者の制御やタイマーなど、どのような条件でもよいため説明を省略する。
【0195】
シリンダ温度制御部715は、取得部713が取得したシリンダ310の温度信号、及びカレンダータイマー設定情報に基づいて、加熱器313を用いて、第1射出装置301及び第2射出装置302の各々に設けられたシリンダ310の昇温を制御する。
【0196】
シリンダ温度制御部715は、カレンダータイマー設定情報で示された条件を満たした場合に、満たした条件に対応付けられた射出装置側の加熱器313による、シリンダ310の昇温を開始する。
【0197】
そして、シリンダ温度制御部715は、昇温を開始した後、シリンダ310の温度に基づいて、シリンダ310に供給されている成形材料に対応する目標温度に到達するまで、シリンダ310の昇温を行うように制御する。本実施形態においては、シリンダ温度制御部715は、昇温対象のシリンダ310に対応する加熱器313に対して制御信号を出力することで、シリンダ310の昇温を制御する。本実施形態の目標温度は、成形材料の違いだけではなく、起動の目的が保温か成形かに応じて異なる値が設定されている。保温用の目標温度は、成形用の目標温度よりも低い。また、保温用の目標温度は、室温よりも高い。
【0198】
次に、射出成形機10のシリンダ310の昇温制御について説明する。
図14は、本実施形態の射出成形機10におけるシリンダ310の昇温制御の全体的な流れを示したフローチャートである。
【0199】
図14に示されるように、シリンダ温度制御部715は、カレンダータイマー設定情報を読み込んで、"第1射出装置側の加熱器(保温)"、"第1射出装置側の加熱器(成形)"、"第2射出装置側の加熱器(保温)"、"第2射出装置側の加熱器(成形)"の各々について、起動方法の"タイマー"側において"状態"に"〇"が設定されているか否かを判定する(S1401)。このように、
図14に示される例では、どの起動方法の"状態"に"〇"が設定されているかを判定している。
【0200】
シリンダ温度制御部715は、"タイマー"側の"状態"に"〇"が設定されていると判定した場合(S1401:Yes)、"タイマー"に設定された曜日と時刻に基づいた昇温制御を行う(S1402)。
【0201】
一方、シリンダ温度制御部715は、"タイマー"側の"状態"に"〇"が設定されていないと判定した場合(S1401:No)、シリンダ温度制御部715は、"第1射出装置側の加熱器(保温)"、"第1射出装置側の加熱器(成形)"、"第2射出装置側の加熱器(保温)"、"第2射出装置側の加熱器(成形)"の各々について、起動方法の"金型温度"側において"状態"に"〇"が設定されているか否かを判定する(S1403)。
【0202】
シリンダ温度制御部715は、"金型温度"側の"状態"に"〇"が設定されていると判定した場合(S1403:Yes)、"金型温度"に設定された曜日と金型装置800の温度に基づいた昇温制御を行う(S1404)。一方、シリンダ温度制御部715は、"金型温度"側の"状態"に"〇"が設定されていないと判定した場合(S1403:No)、再びS1401から処理を行う。
【0203】
次に、S1402で示した"タイマー"に設定された曜日と時刻に基づいた昇温制御について説明する。
図15は、本実施形態のシリンダ温度制御部715における、設定された時刻に基づいた昇温制御のフローチャートである。
図15に示される例では、"第1射出装置側の加熱器(成形)"についての処理を表す例とする。さらに、
図15に示される例では、"タイマー"のみ設定され、"金型温度"は設定されていない例とする。
【0204】
まず、シリンダ温度制御部715は、本日が、"第1射出装置側の加熱器(成形)"における設定された曜日であるか否かを判定する(S1501)。設定された曜日ではないと判定した場合(S1501:No)、処理を終了する。
【0205】
シリンダ温度制御部715は、設定された曜日であると判定した場合(S1501:Yes)、 "第1射出装置側の加熱器(成形)"の設定された曜日の設定された時刻になったか否かを判定する(S1502)。
【0206】
シリンダ温度制御部715は、"第1射出装置側の加熱器(成形)"の設定された曜日の設定された時刻になっていないと判定した場合(S1502:No)、所定時間経過後に再びS1502の処理を繰り返す。
【0207】
一方、シリンダ温度制御部715は、"第1射出装置側の加熱器(成形)"の設定された曜日の設定された時刻になったと判定した場合(S1502:Yes)、第1射出装置側の加熱器313を、成形用の第1目標温度まで昇温を開始する(S1503)。成形用の第1目標温度とは、第1射出装置301側のシリンダ310に供給された第1成形材料の成形に適した温度として、予め設定された目標温度とする。
【0208】
図15に示される例では、"第1射出装置側の加熱器(成形)"の場合について説明したが、"第1射出装置側の加熱器(保温)"、"第2射出装置側の加熱器(成形)"、及び"第2射出装置側の加熱器(保温)"についても同様の処理を行うものとして具体的な説明を省略する。
【0209】
これにより、"第1射出装置側の加熱器(保温)"の昇温では、"第1射出装置側の加熱器(保温)"の"状態"に"〇"が設定され、且つ設定された曜日の設定された時刻になった場合に、シリンダ温度制御部715は、第1射出装置側の加熱器313で、保温用の第1目標温度まで昇温を開始する。保温用の第1目標温度とは、第1射出装置301側のシリンダ310に供給された第1成形材料の保温に適した温度として、予め設定された目標温度とする。
【0210】
保温用の目標温度とは、当該温度で保持していても当該成形材料によるヤケ等が生じない温度とする。保温用の目標温度としては、成形に必要な温度から100℃を減算した値などが考えられ、例えば、150℃や180℃などが考えられる。当該保温用の温度は、昇温する際に、室温と比べて早く成形に必要な温度まで到達できるため作業の効率化を実現できる。
【0211】
さらに、"第2射出装置側の加熱器(成形)"の昇温では、"第2射出装置側の加熱器(成形)"の"状態"に"〇"が設定され、且つ設定された曜日の設定された時刻になった場合に、シリンダ温度制御部715は、第2射出装置側の加熱器313で、成形用の第2目標温度まで昇温を開始する。成形用の第2目標温度とは、第2射出装置302側のシリンダ310に供給された第2成形材料の成形に適した温度として、予め設定された目標温度とする。
【0212】
さらに、"第2射出装置側の加熱器(保温)"の昇温では、"第2射出装置側の加熱器(保温)"の"状態"に"〇"が設定され、且つ設定された曜日の設定された時刻になった場合に、シリンダ温度制御部715は、第2射出装置側の加熱器313で、保温用の第2目標温度まで昇温を開始する。保温用の第2目標温度とは、第2射出装置302側のシリンダ310に供給された第2成形材料の保温に適した温度として、予め設定された目標温度とする。
【0213】
次に、
図13で示されるカレンダータイマー設定情報を用いた場合について具体的な処理の流れとして説明する。
図13に示されるカレンダータイマー設定情報においては、"第1射出装置側の加熱器(成形)"及び"第2射出装置側の加熱器(成形)"の各々について"タイマー"の"月曜日"に時刻が設定されている。そこで、毎週月曜日に、金型温度制御部714による金型装置800の昇温制御が開始された後、シリンダ温度制御部715は、現在時刻"7:40"(第1時刻の一例)になった際に、"第1射出装置側の加熱器(成形)"の設定された曜日であると判定する(S1501:Yes)と共に、当該設定された曜日の設定された時刻になったと判定し(S1502:Yes)、S1503において第1射出装置側の加熱器313を、成形用の第1目標温度まで昇温を開始する。以降の説明についても、
図15と同様の処理手順に従って処理が行われるものとする。
【0214】
その後、シリンダ温度制御部715は、現在時刻"7:50"(第2時刻の一例)になった際に、"第2射出装置側の加熱器(成形)"の設定された曜日であると判定すると共に、当該設定された曜日の設定された時刻になったと判定し、第2射出装置側の加熱器313を、成形用の第2目標温度まで昇温を開始する。
【0215】
本実施形態では、上述したように、射出装置ごとに、昇温を開始する時刻を異ならせることができる。これにより、形成材料の滞留によるヤケ等の成形不具合を抑止できる。
【0216】
次に、S1404で示した金型装置800から検出された温度に基づいた昇温制御について説明する。
図16は、本実施形態のシリンダ温度制御部715における、検出された金型装置800の温度に基づいた昇温制御のフローチャートである。
図16に示される例では、"金型温度"のみ設定され、"タイマー"は設定されていない例とする。
【0217】
まず、取得部713が、温度検出器314から、金型装置800の温度を取得する(S1601)。
【0218】
一方、シリンダ温度制御部715は、本日が、"第1射出装置側の加熱器(成形)"の設定された曜日であるか否かを判定する(S1602)。設定された曜日ではないと判定した場合(S1602:No)、処理を終了する。
【0219】
シリンダ温度制御部715は、設定された曜日であると判定した場合(S1602:Yes)、シリンダ温度制御部715は、設定された曜日の設定された金型温度以上になったか否かを判定する(S1603)。
【0220】
シリンダ温度制御部715は、"第1射出装置側の加熱器(成形)"の本日の曜日に設定された金型温度以上になっていないと判定した場合(S1603:No)、所定時間経過後に再びS1603の処理を繰り返す。
【0221】
一方、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が、"第1射出装置側の加熱器(成形)"の本日の曜日に設定された金型温度以上になったと判定した場合(S1603:Yes)、第1射出装置側の加熱器313を、成形用の第1目標温度まで昇温を開始する(S1604)。
【0222】
図16に示される例では、"第1射出装置側の加熱器(成形)"の場合について説明したが、"第1射出装置側の加熱器(保温)"、"第2射出装置側の加熱器(成形)"、及び"第2射出装置側の加熱器(保温)"についても同様の処理を行うものとして具体的な説明を省略する。
【0223】
これにより、"第1射出装置側の加熱器(保温)"の昇温では、"第1射出装置側の加熱器(保温)"の"状態"に"〇"が設定され、且つ金型装置800の温度が、設定された曜日の設定された金型温度以上になった場合に、シリンダ温度制御部715は、第1射出装置側の加熱器313で、保温用の第1目標温度まで昇温を開始する。
【0224】
さらに、"第2射出装置側の加熱器(成形)"の昇温では、"第2射出装置側の加熱器(成形)"の"状態"に"〇"が設定され、且つ金型装置800の温度が、設定された曜日の設定された金型温度以上になった場合に、シリンダ温度制御部715は、第2射出装置側の加熱器313で、成形用の第2目標温度まで昇温を開始する。
【0225】
さらに、"第2射出装置側の加熱器(保温)"の昇温では、"第2射出装置側の加熱器(保温)"の"状態"に"〇"が設定され、且つ金型装置800の温度が、設定された曜日の設定された金型温度以上になった場合に、シリンダ温度制御部715は、第2射出装置側の加熱器313で、保温用の第2目標温度まで昇温を開始する。
【0226】
次に、カレンダータイマー設定情報の第2例について説明する。
図17は、カレンダータイマー設定情報721の第2例を示した図である。
図17に示されるカレンダータイマー設定情報721の例は、成形温度への昇温を開始する金型温度が設定された場合であって、"第1射出装置側の加熱器(成形)"及び"第2射出装置側の加熱器(成形)"において、"起動方法"が"金型温度"のレコードで、"月曜日"のフィールドに金型温度が設定されている。
【0227】
そこで、毎週月曜日に、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が"60.0℃"になった場合に、"第1射出装置側の加熱器(成形)"に設定された曜日の設定された金型温度に到達したと判定し、第1射出装置側の加熱器313で、成形用の第1目標温度まで昇温を開始する。
【0228】
また、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が"80.0℃"になった場合に、"第2射出装置側の加熱器(成形)"に設定された曜日の設定された金型温度に到達したと判定し、第2射出装置側の加熱器313で、成形用の第2目標温度まで昇温を開始する。
【0229】
次に、カレンダータイマー設定情報の第3例について説明する。
図18は、カレンダータイマー設定情報721の第3例を示した図である。
図18に示されるカレンダータイマー設定情報721の例は、保温温度への昇温を開始する金型温度が設定された場合であって、"第1射出装置側の加熱器(保温)"及び"第2射出装置側の加熱器(保温)"において、"起動方法"が"金型温度"のレコードで、"月曜日"のフィールドに金型温度が設定されている。
【0230】
そこで、毎週月曜日に、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が"40.0℃"になった場合に、"第1射出装置側の加熱器(保温)"に設定された曜日の設定された金型温度に到達したと判定し、第1射出装置側の加熱器313で、保温用の第1目標温度まで昇温を開始する。
【0231】
また、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が"60.0℃"になった場合に、"第2射出装置側の加熱器(保温)"に設定された曜日の設定された金型温度に到達したと判定し、第2射出装置側の加熱器313で、保温用の第2目標温度まで昇温を開始する。
【0232】
本実施形態では、上述したように、射出装置ごとに、昇温を開始するタイミングを異ならせることができる。これにより、形成材料の滞留によるヤケ等の成形不具合を抑止できる。さらに、金型装置800の温度が、あらかじめ定めた設定温度に到達したことをトリガーとして、シリンダ310の昇温を開始している。これにより、金型装置800よりも、シリンダ310の昇温が先に完了し、シリンダ310内の成形材料が滞留することによるヤケ等の成形不具合を抑止できる。
【0233】
次に、カレンダータイマー設定情報の第4例について説明する。
図19は、カレンダータイマー設定情報721の第4例を示した図である。
図19に示されるカレンダータイマー設定情報721の例は、多段制御するための金型温度が設定された場合であって、"第1射出装置側の加熱器(成形)"、"第1射出装置側の加熱器(保温)"、"第2射出装置側の加熱器(成形)"、及び"第2射出装置側の加熱器(保温)"において、"起動方法"が"金型温度"のレコードで、"月曜日"のフィールドに金型温度が設定されている。
図19に示されるように、保温と成形とでは異なる温度が設定されている例とする。
【0234】
このように、カレンダータイマー設定情報には、一つの射出装置に対して、成形と保温の各々に、昇温を開始するための金型温度や時刻を設定する場合がある。このような場合、保温用の目標温度を目指した昇温を行っている間に、成形用の昇温を開始するために設定された金型温度や時刻を満たすような状況が生じる。本実施形態では、このような状況が生じた場合、保温用の目標温度までの昇温の制御を終了して、成形用の目標温度までの昇温の制御を開始する。次に具体的な処理に流れについて説明する。
【0235】
毎週月曜日に、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が"40.0℃"に到達した場合に、"第1射出装置側の加熱器(保温)"に設定された曜日の設定された金型温度に到達したと判定し、第1射出装置側の加熱器313で、保温用の第1目標温度まで昇温を開始する。
【0236】
その後、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が"60.0℃"に到達した場合に、"第2射出装置側の加熱器(保温)"に設定された曜日の設定された金型温度に到達したと判定し、第2射出装置側の加熱器313で、保温用の第2目標温度まで昇温を開始する。
【0237】
その後、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が"70.0℃"に到達した場合に、"第1射出装置側の加熱器(成形)"に設定された曜日の設定された金型温度に到達したと判定する。シリンダ温度制御部715が、第1射出装置側の加熱器313を、保温用の第1目標温度まで昇温を行っている場合、当該昇温処理を終了する。そして、シリンダ温度制御部715は、第1射出装置側の加熱器313で、成形用の第1目標温度まで昇温を開始する。
【0238】
その後、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が"80.0℃"に到達した場合に、"第2射出装置側の加熱器(成形)"に設定された曜日の設定された金型温度に到達したと判定する。シリンダ温度制御部715が、第2射出装置側の加熱器313を、保温用の第2目標温度まで昇温を行っている場合、当該昇温の処理を終了する。そして、シリンダ温度制御部715は、第2射出装置側の加熱器313で、成形用の第2目標温度まで昇温を開始する。
【0239】
このように、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が、"40.0℃"または"60.0℃"(第1の設定温度の一例)に到達した場合に、保温用の第1目標温度または保温用の第2目標温度までのシリンダ310の昇温の制御を開始する。そして、金型装置800の温度が、"70.0℃"または"80.0℃"(第2の設定温度の一例)に到達した場合に、保温用の第1目標温度、または保温用の第2目標温度を目指した昇温の制御は終了する。そして、シリンダ温度制御部715は、"70.0℃"または"80.0℃"に対応する、成形用の第1目標温度または成形用の第2目標温度までのシリンダ310の昇温の制御を開始する。
【0240】
本実施形態では、上述したように、金型装置800の温度に基づいて、射出成形機側のシリンダ310を保温用の目標温度まで昇温した後、さらに金型装置800が昇温された場合に、射出成形機側のシリンダ310を成形用の目標温度に到達させるよう昇温の多段制御を行う。このように、金型装置800の温度に応じて、射出成形機側のシリンダ310の昇温を多段階で行ってもよい。
【0241】
本実施形態では、一つの射出装置に対して、成形と保温の各々に、昇温を開始するための金型温度が設定されている場合、保温用の目標温度を目指した昇温を行っている間に、成形用の昇温を開始するために設定された金型温度を満たすような状況が生じると、保温用の目標温度までの昇温の制御を終了して、成形用の目標温度までの昇温の制御を開始した。しかしながら、本実施形態では、このような制御に制限するものではない。例えば、保温用の目標温度を目指した昇温を行っている間に、成形用の昇温を開始するために設定された金型温度又は時刻を満たすような状況が生じた場合でも、保温用の昇温を継続し、保温用の目標温度を目指した昇温が完了した後に、成形用の昇温を開始してもよい。
【0242】
なお、本実施形態は、射出成形機側のシリンダ310の多段階の昇温制御を、金型装置800の温度に応じたものに制限するものではなく、他の手法を用いてもよい。
【0243】
本実施形態の射出成形機10では、上述したように、金型装置800の温度に基づいて、シリンダ310の昇温制御を行うこととした。これにより、金型装置800の昇温と、シリンダ310の昇温と、が並行に行われるため、作業が開始可能となるまでの時間を短縮できる。さらに、金型装置800がシリンダ310よりも昇温に要する時間が長い場合であっても、金型装置800があらかじめ定めた設定温度まで昇温してから、シリンダ310の昇温が開始されるため、シリンダ310の昇温が完了してから、金型装置800の昇温が完了するまでの間の、シリンダ310に供給された成形材料の滞留時間を低減できる。これにより、シリンダ310内の成形材料のヤケ等の成形不具合を抑止できる。さらには、従来、成形材料が樹脂である場合に、成形材料がシリンダ310内で長時間の滞留することで炭化して、スクリュ330に付着する可能性があった。これに対して、本実施形態の射出成形機10においては、成形可能な温度までの昇温が完了した後の滞留時間を低減できるので、スクリュ330に炭化した成形材料が付着するのを抑止できる。
【0244】
さらに、本実施形態の射出成形機10では、上述した処理によって、射出装置毎に、シリンダ310の昇温を開始するタイミングを異ならせることとした。これにより、射出装置毎に異なる成形材料が供給される際に、成形材料ごとに昇温で到達すべき目標温度が異なる場合でも、一方の成形材料の昇温中に、他方の成形材料の昇温が完了し、当該他方の成形材料の滞留によるヤケ等や、長い間高温にさらされたことによる分解などの成形不具合を抑止できる。
【0245】
(変形例等)
以上、射出成形機の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【0246】
上記実施形態では、第1射出装置301のシリンダ310の昇温と、第2射出装置302のシリンダ310の昇温と、を個別に行う場合について説明した。しかしながら、上記実施形態は、個別にシリンダ310の昇温を行う場合に制限するものではない。そこで変形例として、複数のシリンダが設けられた場合に同時に昇温を行う場合について説明する。
【0247】
図20は、カレンダータイマー設定情報721の第5例を示した図である。
図20に示されるカレンダータイマー設定情報721の例では、"射出装置側の加熱器(成形)"、"射出装置側の加熱器(保温)"の各々について、"金型温度"に基づいて昇温制御を可能としている。
【0248】
シリンダ温度制御部715は、カレンダータイマー設定情報721に設定された条件に基づいて、第1射出装置301及び第2射出装置302のシリンダ310の昇温制御を開始する。
図20に示される例では、毎週月曜日に、金型装置800の温度が"80.0℃"に到達した場合に、"射出装置側の加熱器(成形)"に設定された金型温度に到達したと判定し、第1射出装置301側の加熱器313と、第2射出装置302側の加熱器313と、の昇温制御を開始する。その際、第1射出装置301側の加熱器313、及び第2射出装置302側の加熱器313の目標温度は一致していてもよいし、異なっていてもよい。本変形例では、金型装置800の昇温と、シリンダ310の昇温と、が並行に行われるため、作業が開始可能となるまでの時間を短縮できる。
【0249】
本実施形態では、昇温を2段階制御で行う例についても説明した。本実施形態は、多段階制御を、2段階制御に制限するものではなく、変形例としては、3段階以上の制御を行ってもよい。例えば、カレンダータイマー設定情報に、金型温度として3種類(例えば、80℃、100℃、120℃)以上登録することが考えられる。そして、シリンダ温度制御部715は、金型装置800の温度が"80℃"に到達した場合に、射出成形機側のシリンダ310を目標温度"250℃"に昇温し、金型装置800の温度が"100℃"に到達した場合に、射出成形機側のシリンダ310を目標温度"300℃"に昇温し、金型装置800の温度が"120℃"に到達した場合に、射出成形機側のシリンダ310を目標温度"360℃"に昇温することが考えられる。
【0250】
他にも変形例として様々な態様が考えられる。上記実施形態では、第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とはY軸方向に間隔をおいて配置され、Y軸方向に長い第2成形品22を可動金型820から突き出すが、本発明はこれに限定されない。第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とはZ軸方向に間隔をおいて配置され、Z軸方向に長い第2成形品22を可動金型820から突き出してもよい。
【0251】
上記実施形態では第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とは、Z軸方向に間隔をおいて配置されるが、本発明はこれに限定されない。第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とは、Y軸方向に間隔をおいて配置されてもよい。
【0252】
上記実施形態では金型温度制御部714が、射出成形機10の制御装置700内に設けられた例について説明した。しかしながら、本実施形態は、制御装置700が金型温度の制御を行う例に制限するものではなく、他の構成が金型温度の制御を行ってもよい。例えば、金型温調器600内に、金型温度制御部714を設けてもよい。このような場合、金型温調器600が、金型装置800の温度を取得し、当該温度に基づいて金型装置800の昇温を制御する。制御装置700は、上記実施形態と同様に、取得部713が取得した温度信号で示された、金型装置800の温度等に基づいて、シリンダ310の昇温等を制御する。これにより上記実施形態と同様の効果を得られる。
【0253】
上記実施形態では固定金型810が特許請求の範囲に記載の第1金型に相当し、可動金型820が特許請求の範囲に記載の第2金型に相当するが、本発明はこれに限定されない。固定金型810が特許請求の範囲に記載の第2金型に相当し、可動金型820が特許請求の範囲に記載の第1金型に相当してもよい。
【0254】
上記実施形態では回転テーブル190が用いられるが、回転テーブル190が用いられなくてもよい。この場合、第2金型は、回転テーブルを介さずに第2プラテンに取り付けられる。第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが同一の成形品を第2金型から突き出せば、成形品の変形を抑制でき、成形品の損傷を抑制できる。
【0255】
上記実施形態では第1射出装置301と第2射出装置302とが用いられるが、射出装置の数は1つでもよい。第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とが同一の成形品を第2金型から突き出せば、成形品の変形を抑制でき、成形品の損傷を抑制できる。なお、射出装置の数は3つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0256】
10 射出成形機
700 制御装置
702 記憶媒体
711 入力受付部
712 表示処理部
713 取得部
714 金型温度制御部
715 シリンダ温度制御部