(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】被介護者の状態を判断する情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、行動検知装置、および、システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20250311BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20250311BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20250311BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20250311BHJP
G06Q 50/22 20240101ALI20250311BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20250311BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B25/00 510M
G08B21/02
H04M11/00 301
G06Q50/22
A61B5/11 200
A61B5/00 102C
A61B5/00 102B
(21)【出願番号】P 2020156269
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水島 彰宏
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/142451(WO,A1)
【文献】特開2012-230610(JP,A)
【文献】特開2011-048450(JP,A)
【文献】特開2005-301778(JP,A)
【文献】特開2016-099768(JP,A)
【文献】特開2016-059458(JP,A)
【文献】特開2013-149156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0025817(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/00-31/00
H04M 11/00
G06Q 50/22
A61B 5/11
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者の状態を判断する情報を提供するためにコンピューターで実行される方法であって、
前記被介護者の居室を撮影するために設けられた映像センサーから出力される映像信号を受信するステップと、
加速度センサーを有し、ユーザーに装着された第1の通信端末から、前記ユーザーの識別情報と、前記加速度センサーの出力を受信するステップと、
前記居室の映像と、前記加速度センサーの出力とに基づいて、前記被介護者の状態を判定するステップとを備え、
前記第1の通信端末によって発信される信号は、前記第1の通信端末の位置情報をさらに含み、
前記方法は、
加速度センサーを有し、他のユーザーに装着された第2の通信端末から、前記他のユーザーの識別情報と、前記加速度センサーの出力と、前記第2の通信端末の位置情報と、を受信するステップをさらに備え、
前記判定するステップは、
前記ユーザーと前記他のユーザーとの間隔が予め定められた閾値未満であるときに、前記被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することと、
前記間隔が前記予め定められた閾値以上であるときに、前記被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することとを含む、方法。
【請求項2】
前記判定するステップは、
前記出力が予め定められた閾値を上回ることに基づいて、前記被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することと、
前記出力が前記閾値を下回ることに基づいて、前記被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の通信端末および前記第2の通信端末は、それぞれ、アレイアンテナを含み、
前記第1の通信端末の位置情報および前記第2の通信端末の位置情報は、それぞれ、前記第1の通信端末と前記第2の通信端末との間の通信により取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記判定の結果と、要介護度を判定するために予め定められた基準時間との比較に基づいて、当該被介護者の要介護度の判定結果を出力するステップをさらに備える、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記映像信号に基づいて、前記居室への入室および退室を検知するステップをさらに備え、
前記判定するステップは、前記第1の通信端末からの加速度センサーの出力が予め設定された閾値以下である場合に、前記居室への入室から退出までの時間が予め定められた時間を上回ることに基づいて、前記被介護者は介護を必要とする状態であると判定することを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
映像信号の入力を受ける入力インターフェイスと、
無線信号を受信する受信装置と、
前記映像信号および前記無線信号に基づいて行動を検知するプロセッサーとを備え、
前記プロセッサーは、
被介護者の居室を撮影するために設けられた映像センサーから出力される映像信号を受信し、
加速度センサーを有し、ユーザーに装着された第1の通信端末から、前記ユーザーの識別情報と、前記加速度センサーの出力を受信し、
前記居室の映像と、前記加速度センサーの出力とに基づいて、前記被介護者の状態を判定し、
前記第1の通信端末によって発信される信号は、前記第1の通信端末の位置情報をさらに含み、
前記プロセッサーは、加速度センサーを有し、他のユーザーに装着された第2の通信端末から、前記他のユーザーの識別情報と、前記加速度センサーの出力と、前記第2の通信端末の位置情報と、をさらに受信し、
前記判定することは、
前記ユーザーと前記他のユーザーとの間隔が予め定められた閾値未満であるときに、前記被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することと、
前記間隔が前記予め定められた閾値以上であるときに、前記被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することとを含む、行動検知装置。
【請求項7】
前記判定することは、
前記出力が予め定められた閾値を上回ることに基づいて、前記被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することと、
前記出力が前記閾値を下回ることに基づいて、前記被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することとを含む、請求項6に記載の行動検知装置。
【請求項8】
前記第1の通信端末および前記第2の通信端末は、それぞれ、アレイアンテナを含み、
前記第1の通信端末の位置情報および前記第2の通信端末の位置情報は、それぞれ、前記第1の通信端末と前記第2の通信端末との間の通信により取得される、請求項6に記載の行動検知装置。
【請求項9】
前記プロセッサーは、前記判定の結果と、要介護度を判定するために予め定められた基準時間との比較に基づいて、当該被介護者の要介護度の判定結果を出力する、請求項6~8のいずれかに記載の行動検知装置。
【請求項10】
前記プロセッサーは、さらに、前記映像信号に基づいて、前記居室への入室および退室を検知し、
前記判定することは、前記第1の通信端末からの加速度センサーの出力が予め設定された閾値以下である場合に、前記居室への入室から退出までの時間が予め定められた時間を上回ることに基づいて、前記被介護者は介護を必要とする状態であると判定することを含む、請求項6~9のいずれかに記載の行動検知装置。
【請求項11】
加速度センサーを有する第1の通信端末と、
無線信号を受信するためのセンサー装置とを備え
るシステムであって、
前記センサー装置は、
カメラと、
信号を受信する受信装置と、
前記信号を用いて演算処理を実行するプロセッサーとを含み、
前記プロセッサーは、
被介護者の居室を撮影するために前記居室に設けられた映像センサーから出力される映像信号を受信し、
前記第1の通信端末から、前記第1の通信端末のユーザーの識別情報と、前記加速度センサーの出力を受信し、
前記居室の映像と、前記加速度センサーの出力とに基づいて、前記被介護者の状態を判定し、
前記第1の通信端末によって発信される信号は、前記第1の通信端末の位置情報をさらに含み、
前記システムは、加速度センサーを有する第2の通信端末をさらに備え、
前記プロセッサーは、前記第2の通信端末から、前記第2の通信端末のユーザーの識別情報と、前記加速度センサーの出力と、前記第2の通信端末の位置情報と、を受信し、
前記判定することは、
前記第1の通信端末のユーザーと前記第2の通信端末のユーザーとの間隔が予め定められた閾値未満であるときに、前記被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することと、
前記間隔が前記予め定められた閾値以上であるときに、前記被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することとを含む、システム。
【請求項12】
前記判定することは、
前記出力が予め定められた閾値を上回ることに基づいて、前記被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することと、
前記出力が前記閾値を下回ることに基づいて、前記被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することとを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の通信端末および前記第2の通信端末は、それぞれ、アレイアンテナを含み、
前記第1の通信端末の位置情報および前記第2の通信端末の位置情報は、それぞれ、前記第1の通信端末と前記第2の通信端末との間の通信により取得される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサーは、前記判定の結果と、要介護度を判定するために予め定められた基準時間との比較に基づいて、当該被介護者の要介護度の判定結果を出力する、請求項11~13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサーは、さらに、前記映像信号に基づいて、前記居室への入室および退室を検知し、
前記判定することは、前記第1の通信端末からの加速度センサーの出力が予め設定された閾値以下である場合に、前記居室への入室から退出までの時間が予め定められた時間を上回ることに基づいて、前記被介護者は介護を必要とする状態であると判定することを含む、請求項11~14のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は日常生活行動の定量化に関し、より特定的には、被介護者が介護者による介護を受けている時間を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設において、被介護者(施設の入居者)の日常生活行動を把握するための見守りシステムが使用される場合がある。見守りシステムに関し、例えば、特開2017-117423号公報(特許文献1)は、「見守り対象者の歩速を含む日常行動を把握可能な見守りシステム」を開示している。この見守りシステムは、「住居Hに設置された複数の子機2(2A~2G)と親機3とを備える。各子機2は、対象者を感知すると通知信号を親機3に送信する。親機3は、子機2Dからの通知信号の時刻データと子機2Eからの通知信号の時刻データとに基づいて、見守り対象者の寝室PDからトイレPDまでの移動時間を算出し、当該移動時間に基づき見守り対象者の歩速を算出する」というものである([要約]参照)。また、特開2015-42241号公報(特許文献2)は、「歩行状況を評価しやすい表示情報を提供することを可能にする医用情報処理装置」を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-117423号公報
【文献】特開2015-42241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、被介護者の要介護認定は、調査員による目視と主治医の診断結果とに基づいて行なわれている。調査員による目視の際、被介護者はたまたま動けない場合があり、あるいは、動けないような振る舞いをする可能性も有る。そのため、要介護認定が精確に行なわれない可能性も有る。したがって、被介護者の要介護認定を精確に行なう技術が必要とされている。
【0005】
本開示は上述のような背景に鑑みてなされたものであって、ある実施の形態に従うと、要介護認定を支援するための情報を提供する技術が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従うと、被介護者の状態を判断する情報を提供するためにコンピューターで実行される方法が提供される。この方法は、被介護者の居室を撮影するために設けられた映像センサーから出力される映像信号を受信するステップと、加速度センサーを有し、ユーザーに装着された第1の通信端末から、ユーザーの識別情報と、加速度センサーの出力を受信するステップと、居室の映像と、加速度センサーの出力とに基づいて、被介護者の状態を判定するステップとを備える。
【0007】
他の実施の形態に従うと、行動検知装置が提供される。この行動検知装置は、映像信号の入力を受ける入力インターフェイスと、無線信号を受信する受信装置と、映像信号および無線信号に基づいて行動を検知するプロセッサーとを備える。プロセッサーは、被介護者の居室を撮影するために設けられた映像センサーから出力される映像信号を受信し、加速度センサーを有し、ユーザーに装着された第1の通信端末から、ユーザーの識別情報と、加速度センサーの出力を受信し、居室の映像と、加速度センサーの出力とに基づいて、被介護者の状態を判定する。
【0008】
さらに他の実施の形態に従うと、システムが提供される。このシステムは、加速度センサーを有する第1の通信端末と、無線信号を受信するためのセンサー装置とを備える。センサー装置は、カメラと、信号を受信する受信装置と、信号を用いて演算処理を実行するプロセッサーとを含む。プロセッサーは、被介護者の居室を撮影するために居室に設けられた映像センサーから出力される映像信号を受信し、第1の通信端末から、第1の通信端末のユーザーの識別情報と、加速度センサーの出力を受信し、居室の映像と、加速度センサーの出力とに基づいて、被介護者の状態を判定する。
【0009】
ある実施の形態に従うと、介護者による被介護者の介助時間が計測されるので、被介護者の日常生活行動を客観的に把握することができる。
【0010】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ある実施の形態に従って被介護者800の日常生活行動を計測する一例を表わす図である。
【
図2】ある実施の形態に従って介護施設で使用される監視システムの構成の一例を表わすブロック図である。
【
図3】被介護者800が介護者600によって介護されている場合に取得される信号の軌跡を表わす図である。
【
図4】被介護者800および介護者600の各々について、計測デバイスで取得可能なデータの概要を表わす図である。
【
図5】センサーボックス100の制御装置101が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図6】ある実施の形態に従う管理装置200の制御装置201が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図7】他のウェアラブルデバイス400との距離を推定する機能を備えるウェアラブルデバイス400が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
[日常生活行動の把握の概要]
図1を参照して、ある実施の形態に従う被介護者の日常生活行動(ADL(Activities of Daily Living))の把握の一態様について説明する。
図1は、ある実施の形態に従って被介護者800の日常生活行動を計測する一例を表わす図である。日常生活行動は、例えば、被介護者800の自宅または既に介護施設等に入居している場合には当該介護施設において観察される。
【0014】
被介護者800の自宅または介護施設において割り当てられた居室10において、センサーボックス100が天井に取り付けられている。居室10には、ベッド901が配置されている。被介護者800は、要介護の程度に応じて、ベッド901で過ごす時間が長くなり得る。被介護者800は、ウェアラブルデバイス400Aを装着している。
【0015】
ウェアラブルデバイス400Aは、信号の発信機能を有し、予め定められたタイミングで、あるいは、信号の発信要求を受信したことに基づいて、信号140を発信する。信号140は、加速度データ、タイムスタンプ等を含み得る。
【0016】
ある局面において、居室10では、介護者600は、被介護者800を介助する。介護者600は、ウェアラブルデバイス400Bを装着している。被介護者800が自宅で生活している場合には、介護者600は、被介護者800の家族あるいは訪問ヘルパーである。被介護者800が施設で生活している場合には、介護者600は、当該施設の介護スタッフである。
【0017】
ウェアラブルデバイス400Bは、信号の発信機能を有し、予め定められたタイミングで、あるいは、信号の発信要求を受信したことに基づいて、信号150を発信する。信号150は、加速度データ、タイムスタンプ等を含み得る。
【0018】
ウェアラブルデバイス400A,400Bは、総称するときは、ウェアラブルデバイス400と表わす。ウェアラブルデバイス400は、例えば、腕時計型、腕輪型などであるが、その他の形態であってもよい。ウェアラブルデバイス400の通信規格は、一例としては、Bluetooth(登録商標)であるが、その他の無線通信規格が使用されてもよい。また、ウェアラブルデバイス400のカバーを含む筐体は、例えば、カメラに撮影されたときに周囲の物体から目立つように、反射面あるいはミラーのような反射物が形成されていてもよい。
【0019】
センサーボックス100は、信号140および信号150を受信する。センサーボックス100は、さらに、記憶装置、制御装置、通信装置および各センサー(図示しない)を含む。各センサーは、カメラ、ドップラーセンサー等を含み得る。センサーボックス100の構成は、後述する。
【0020】
ある局面において、センサーボックス100は、イメージセンサーとしてのカメラから出力される映像信号と、被介護者800が装着しているウェアラブルデバイス400Aから送信される出力信号とを用いて、被介護者800の居室10における状態を検知する。映像信号は、被介護者800の移動の軌跡を含む。出力信号は、ウェアラブルデバイス400Aの使用者の識別情報(たとえば、被介護者800の氏名または入居者番号など)と、検知された加速度信号とを含み得る。なお、別の局面において、当該使用者の識別情報は、ウェアラブルデバイス400Aに関連付けられている他の装置(たとえば、ウェアラブルデバイス400の使用者を管理するサーバー、管理装置200など)に格納されていてもよい。この場合、ウェアラブルデバイス400Aは、信号140を送信する前に、当該他の装置に格納されている当該使用者の識別情報を取得し得る。
【0021】
たとえば、センサーボックス100は、居室10におけるベッド、トイレその他の設備の場所として予め準備されたレイアウト情報をメモリーに保持している。センサーボックス100は、そのレイアウト情報と、画像信号とを用いて、被介護者800の大凡の位置を推定する。
【0022】
さらに、センサーボックス100は、ウェアラブルデバイス400Aから送られる出力信号を用いて、被介護者800の動きを検知する。一例として、被介護者800がゆっくりではあるものの自立歩行できる場合、加速度の変動(たとえば、体の上下動に応じた周期的な変動)が検出され得る。他方、被介護者800が自分で動けない程度に介護を必要とする状態であれば、加速度の周期的な変動は検出されない可能性がある。そこで、ある局面において、画像信号から被介護者800の移動が検出され、さらに、加速度の変動が検出されると、センサーボックス100は、被介護者800は、自立歩行できる程度の状態であると判定できる。他の局面において、画像信号から被介護者800が検出された場合において、ウェアラブルデバイス400Aからの出力信号から加速度の変動が検出されない時間が予め定められた時間を超えた場合、センサーボックス100は、被介護者800は独力で歩行できない状態であると判定し得る。
【0023】
センサーボックス100は、信号140および150並びに各センサーによって取得された信号を用いて、被介護者800と介護者600との間の近接度を算出する。ある局面において、近接度は、被介護者800と介護者600との間の距離として算出される。距離は、例えば、居室10を撮影した画像において、介護者600と被介護者800とを検出し、介護者600と被介護者800との間隔を算出することにより得られる。他の局面において、被介護者800が装着したウェアラブルデバイス400Aと、介護者600が装着したウェアラブルデバイス400Bとが通信し、たとえば、AoA手法を用いて、信号の発信源となるウェアラブルデバイス400の位置を特定してもよい。
【0024】
被介護者800が居室10にいる場合、介護者600による介護が行なわれると、センサーボックス100は、ウェアラブルデバイス400Aから発信された信号140と、ウェアラブルデバイス400Bから発信された信号150とを受信し得る。さらに、センサーボックス100は、内蔵するカメラ(後述する)から居室10を撮影することにより得られた画像データと、信号140および信号150から取得したデータとを用いて、画像においてウェアラブルデバイス400Aおよび400Bを特定する。ウェアラブルデバイス400A,400Bの特定は、例えば、画像の中から(例えば反射光として示される)特定の色を有する2つの領域を抽出することにより行なわれる。
【0025】
センサーボックス100は、さらに、2つの領域の重心を算出し、各領域の距離として、重心間の距離を算出する。この距離が予め定められた距離よりも小さい場合には、介護者600は被介護者800に近接していることになるので、センサーボックス100は、被介護者800は介護者600による介助を受けていると判定し得る。逆に、当該距離が予め定められた距離よりも大きい場合には、センサーボックス100は、介護者600は被介護者800から離れていると判定し、介護者600は被介護者800による介助を受けていないと推定し得る。
【0026】
[システムのハードウェア構成]
図2を参照して、介護施設で使用される機器の構成について説明する。
図2は、ある実施の形態に従って介護施設で使用される監視システム20の構成の一例を表わすブロック図である。監視システム20は、センサーボックス100と、管理装置200と、携帯端末300と、ウェアラブルデバイス400と、ケアコール子機500と、ドアセンサー510と、トイレセンサー520と、臭いセンサー530と、バイタルセンサー540とを備える。
【0027】
[センサーボックス100]
センサーボックス100は、施設あるいは被介護者800の自宅における居室10の天井に設けられる。センサーボックス100は、居室900内での被介護者800の移動履歴と、居室900内の映像および/または写真とを取得し、管理装置200に送信する。
【0028】
センサーボックス100は、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、カメラ105と、ドップラーセンサー106と、無線通信装置107と、記憶装置108と、ビーコン受信装置109とを備える。
【0029】
制御装置101は、センサーボックス100の動作を制御する。制御装置101は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせ等によって構成される。
【0030】
ROM102は、制御装置101が実行する各種プログラムおよび設定を保存し得る。RAM103は、ROM102または記憶装置108からロードされたプログラム、または、無線通信装置107またはビーコン受信装置109を介して受信されたデータ等を一時的に記憶する。制御装置101は、RAM103に読み込まれたプログラムを実行する。
【0031】
通信インターフェイス104は、管理装置200と有線または無線で通信するためのインターフェイスと、アンテナ(図示しない)とを含み得る。センサーボックス100は、有線または無線により、管理装置200その他の通信機器との間でデータを送受信する。他の通信機器は、例えば、管理装置200、携帯端末300およびその他の通信端末等を含む。さらに他の局面において、通信インターフェイス104は、SIM(Subscriber Identity Module)カードの装着を受け付けるスロットを含み得る。SIMカードが当該スロットに装着されることにより、センサーボックス100は、携帯電話回線を介して、他の情報通信装置との間で、データを通信できる。
【0032】
カメラ105は、一実現例では、近赤外カメラである。近赤外カメラは、近赤外光を投光するIR(Infrared)投光器を含み、夜間でも居室900の内部を表わす映像および/または写真を撮影できる。他の実現例では、カメラ105は、可視光のみを受光する監視カメラである。さらに他の実現例では、カメラ105として、3Dセンサーやサーモグラフィーカメラが用いられてもよい。センサーボックス100およびカメラ105は、一体的に構成されてもよいし、別体で構成されてもよい。
【0033】
ドップラーセンサー106は、例えばマイクロ波ドップラーセンサーであり、電波を放射および受信して、居室900内の物体の挙動(動作)を検出する。これにより、居室900内の被介護者800の生体情報が検出され得る。一例では、ドップラーセンサー106は、24GHz帯のマイクロ波を各居室900のベッド901に向けて放射し、被介護者800で反射された反射波を受信する。反射波は、被介護者800の動作により、ドップラーシフトしている。ドップラーセンサー106は、当該反射波から、被介護者800の呼吸状態や心拍数を検出し得る。
【0034】
無線通信装置107は、ケアコール子機500、ドアセンサー510、トイレセンサー520、臭いセンサー530、および、バイタルセンサー540から発せられる各信号をそれぞれ受信し、当該受信した信号を制御装置101に送信する。例えば、ケアコール子機500は、ケアコールボタン501を備える。ケアコールボタン501が操作されると、ケアコール子機500は、当該操作があったことを示す信号を無線通信装置107に送信する。ドアセンサー510、トイレセンサー520、臭いセンサー530、および、バイタルセンサー540は、それぞれに応じた検知信号を無線通信装置107に送信する。
【0035】
記憶装置108は、例えば、内蔵されたHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)によって実現される。他の局面において、記憶装置108は、着脱可能に構成されてもよい。この場合、記憶装置108は、メモリーカードとして実現され得る。記憶装置108は、カメラ105によって撮影された映像および/または写真と、ドップラーセンサー106の検出情報とを保存し得る。
【0036】
ある局面において、記憶装置108は、センサーボックス100が設置される空間(たとえば、家庭または施設における自室、リビング、廊下など)の配置情報を保持する。配置情報は、当該部屋の使用者(たとえば、家庭の住人または施設の入居者など)の位置および状態を推定するために使用される。
【0037】
ビーコン受信装置109は、アレイアンテナを含み、ビーコン信号を受信する。ビーコン信号は、例えば、ウェアラブルデバイス400その他のビーコン信号発信装置によって発信される。ある局面において、ビーコン信号は、ウェアラブルデバイスの識別番号を含む。また、ビーコン受信装置109は、Bluetooth 5.1規格に従う場合、受信角度(AoA(Angle of Arrival))手法により、ウェアラブルデバイス400から発信された信号から、信号の相対的な方向を計算し、リアルタイムでウェアラブルデバイス400の位置を検知することができる。
【0038】
また、ウェアラブルデバイス400もBluetooth 5.1規格に従う場合、ウェアラブルデバイス400(例えば、ウェアラブルデバイス400A)は、アレイアンテナを含み、受信角度手法により、他のウェアラブルデバイス400(例えば、ウェアラブルデバイス400B)から発信された信号から、信号の相対的な方向を計算し、リアルタイムで位置を検知することができる。ウェアラブルデバイス400Aは、検知したウェアラブルデバイス400Bの位置情報と、ウェアラブルデバイス400Bの識別データとを含む信号140を発信し、センサーボックス100は当該信号を受信し得る。
【0039】
他の局面において、逆に、ウェアラブルデバイス400Bがウェアラブルデバイス400Aから受信した信号を用いてAoA手法によりウェアラブルデバイス400Bの位置を検知し得る。この場合、ウェアラブルデバイス400Bは、ウェアラブルデバイス400Bの識別データおよび時刻データに加えて、ウェアラブルデバイス400Aの識別データおよび位置情報を発信し得る。発信された信号150は、センサーボックス100によって受信され得る。
【0040】
ある局面において、制御装置101は、映像および/または写真と、ドップラーセンサー106の検出情報との両方またはいずれかを解析することで取得した被介護者800の移動履歴を記憶装置108に保存してもよい。被介護者800の移動履歴は、少なくとも被介護者800の位置情報およびタイムスタンプを含む。他の局面において、制御装置201は映像および/または写真を解析することで取得した居室900内の家具の配置情報を記憶装置108に保存してもよい。
【0041】
センサーボックス100は、受信した信号から、映像および/または写真およびドップラーセンサー106の検出情報を定期的に取得する。そして、センサーボックス100は、これらの映像および/または写真と、ドップラーセンサー106の検出情報とを管理装置200に送信し得る。また、センサーボックス100は、被介護者800の移動履歴および居室900内のベッドその他の家具の配置情報を管理装置200に送信し得る。センサーボックス100は、管理装置200に各種情報を送信する際に、居室900またはセンサーボックス100を一意に識別する識別子を送信する情報に含め得る。管理装置200は、受信情報に含まれる当該識別子を参照することで、どの居室900の情報を受信したのかを特定することができる。
【0042】
信号140および信号150は、ウェアラブルデバイス400の識別情報を含むことにより、センサーボックス100は、誰が居室10に存在しているかを検知できる。
【0043】
また、被介護者800が介護者600による介護を受けている場合、被介護者800が動作に不自由をきたしている可能性があることから、被介護者800の移動あるいは状態の変動は、介護者600の移動あるいは状態の変動よりも小さい可能性がある。その場合、被介護者800が装着したウェアラブルデバイス400Aから発信される信号140に含まれる加速度の変動は、介護者600が装着したウェアラブルデバイス400Bの加速度の変動よりも小さい可能性がある。
【0044】
そこで、たとえば、制御装置101は、居室10において人の画像信号を検出し、さらに、信号140の受信を検知した場合には、被介護者800が在室していると判定し得る。その場合、信号140に含まれる加速度の変動が予め設定された閾値よりも小さい場合、あるいは、加速度が殆ど変化していない場合には、制御装置101は、被介護者800が横になっていると判定し得る。このとき、信号140がセンサーボックス100に受信された時間が就寝時間帯(たとえば夜の9時から朝の7時)である場合は、被介護者800は就寝している可能性があると判定し得る。他方、信号140がセンサーボックス100に受信された時間が食後その他就寝時間帯とは異なる時間帯である場合には、制御装置101は、被介護者800が体を動かすことができず、介護が必要な状態であると推定し得る。
【0045】
他の局面において、制御装置101は、カメラ105からの信号に基づいて人を検出し、さらに、信号140および信号150を受信する場合があり得る。この場合、制御装置101は、居室10に二人が存在していることを検知する。さらに、信号140に含まれる加速度が信号150に含まれる加速度よりも小さい場合、あるいは、信号140に含まれる加速度の変化率が信号150に含まれる加速度の変化率よりも小さい場合、制御装置101は、介護者600が被介護者800のために移動していると判定し得る。この場合において、介護者600と被介護者800とに相当する画像が一体として(つながった状態で)検出された場合には、制御装置101は、介護者600が被介護者800を介護するために近接していると判定し得る。
【0046】
他の局面において、介護者600と被介護者800との間隔が予め定められた閾値(たとえば、0.3m、0.5m等)以下である状態が一定時間継続している場合には、制御装置101は、被介護者800は介護者600による介護を受けていると判定し得る。この場合、被介護者800と介護者600との間隔は、ウェアラブルデバイス400Bとウェアラブルデバイス400Aとの間隔として、たとえば、AoA手法等により計算され、信号140Aまたは信号150に含まれ得る。
【0047】
[管理装置200]
管理装置200は、制御装置201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、表示インターフェイス205と、操作インターフェイス207と、記憶装置220とを含む。
【0048】
管理装置200は、施設に配置されたセンサーボックス100に接続されている場合には、それぞれの居室900から得られた各被介護者800の情報を集約し、各被介護者800の状態を定常的に監視し得る。他の局面において、センサーボックス100が被介護者800の自宅に設けられている場合には、管理装置200は、インターネット回線または携帯電話回線網を介して、センサーボックス100の通信インターフェイス104と通信し得る。
【0049】
制御装置201は、管理装置200の動作を制御する。制御装置201は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはこれらの組み合わせ等によって構成される。
【0050】
ROM202は、制御装置201が実行する各種プログラムおよび設定を保存し得る。RAM203は、ROM202または記憶装置220からロードされたプログラム、制御装置201によって生成されたデータ、または、センサーボックス100から送信されたデータ等を一時的に保持する。制御装置201は、RAM203に読み込まれたプログラムを実行する。
【0051】
通信インターフェイス204は、有線又は無線で他の通信機器と通信するためのインターフェイスと、アンテナ(図示しない)とを含み得る。管理装置200は、通信インターフェイス204を介して、外部の通信機器との間でデータを送受信する。外部の通信機器は、例えば、センサーボックス100を含む。
【0052】
表示インターフェイス205は、ディスプレイ206に接続され、制御装置201から出力される指令に従って、画像を表示するための画像信号をディスプレイ206に送出する。
【0053】
操作インターフェイス207は、入力デバイス209の接続を受け付ける。入力デバイス209は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザーの入力操作を受け付けることが可能なその他の装置である。操作インターフェイス207は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子を含む。操作インターフェイス207は、入力デバイス209からのユーザー操作に応じて出力される信号を受信し、当該信号を制御装置201に送出する。
【0054】
記憶装置220は、センサーボックス100から受信した各種情報と、被介護者800のプロファイル情報と、居室900のプロファイル情報とを保持し得る。記憶装置220は、例えば、HDDまたはSSDによって実現され得る。他の局面において、メモリーカード、DVDその他の着脱可能な不揮発性のデータ記録媒体が、記憶装置220を構成してもよい。
【0055】
ある局面において、制御装置201は、操作インターフェイス207を介して、被介護者800を選択する入力を受け付ける。制御装置201は、その選択された被介護者800について、記憶装置220に格納されているデータまたはセンサーボックス100から受信したデータに基づいて、例えば、ある期間(1週間、1ヶ月など)内に、介護者600による介助を受けた時間を集計し得る。さらに、制御装置201は、その集計した時間と、要介護度の判定のために予め定められた基準とを比較して、被介護者800のその時点の日常生活行動を計測し、その計測結果をディスプレイ206に出力し得る。計測結果は、例えば、介助時間に応じて想定される要介護認定の判定結果を含んでもよい。
【0056】
他の局面において、管理装置200は、センサーボックス100が受信した各信号を受信することにより、センサーボックス100の制御装置101が実行した各処理を実行し得る。この場合、管理装置200の制御装置201は、カメラ105からの映像信号と、信号140および信号150に含まれる各データとを用いて、被介護者800が介護を受けている状態であるか否かを推定し得る。
【0057】
[携帯端末300]
携帯端末300は、介護者600が管理装置200または他の介護者600と通信するために使用する。携帯端末300は、制御装置301と、RAM303と、通信インターフェイス304と、ディスプレイ305と、入力デバイス306と、内部メモリー320とを含む。
【0058】
制御装置301は、携帯端末300の動作を制御する。制御装置301は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせ等によって構成される。RAM303は、内部メモリー320からロードされたプログラム等を一時的に記憶する。制御装置301は、RAM303に読み込まれたプログラムを実行する。
【0059】
通信インターフェイス304は、無線インターフェイスと、アンテナ(図示しない)とを含む。携帯端末300は、当該アンテナおよびアクセスポイント(図示しない)を介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、例えば、センサーボックス100、管理装置200、他の介護者600が使用する携帯端末300等を含む。
【0060】
ディスプレイ305は、例えば液晶モニターまたは有機EL(Electro Luminescence)モニターによって実現される。入力デバイス306は、例えばディスプレイ305に重ねられたタッチセンサーによって実現される。当該タッチセンサーは、携帯端末300に対する命令を与えるタッチ操作を受け付け、当該操作の内容を制御装置301へ出力する。
【0061】
内部メモリー320は、例えば、eMMC(Embedded Multimedia Card)等の記憶媒体である。一例として、内部メモリー320は、制御装置301によって実行されるプログラムを格納するが、当該プログラムは、制御装置301がアクセス可能な記憶装置であれば、内部メモリー320以外の記憶装置に格納されていてもよい。
【0062】
[ウェアラブルデバイス400]
ウェアラブルデバイス400は、ビーコン発信装置410と、ビーコン受信装置420と、通信インターフェイス403と、記憶装置404と、RAM405と、制御装置406と、加速度センサー407とを備える。
【0063】
ビーコン発信装置401は、BLE(Bluetooth Low Energy)等の近距離無線技術を用いたビーコン信号を発信する。ビーコン信号は、予め定められた時間間隔で、または、発信の指示がウェアラブルデバイス400に与えられたことに基づいて、発信される。発信されたビーコン信号は、センサーボックス100、他のウェアラブルデバイス400その他のビーコン信号受信装置によって受信される。
【0064】
ビーコン受信装置402は、他のウェアラブルデバイス400その他のビーコン信号発信装置から発信されたビーコン信号を受信し得る。
【0065】
通信インターフェイス403は、WiFi(登録商標)(Wireless Fidelity)またはBluetoothの他の無線通信方式を用いてセンサーボックス100と通信する。
【0066】
記憶装置404は、データを不揮発的に保持する。記憶装置404は、たとえば、フラッシュメモリー等により実現される。他の局面において、SDメモリーカードその他の着脱可能なデータ記録媒体が使用されてもよい。ある局面において、記憶装置404は、例えば、当該ウェアラブルデバイスの識別データを保持している。さらに、記憶装置404は、他のウェアラブルデバイス400から受信した信号から検知した当該他のウェアラブルデバイス400の位置情報と、検知時刻とを逐次記憶し得る。
【0067】
RAM405は、データを一時的に保持する。保持されるデータは、他のウェアラブルデバイス400から受信した信号から検知した当該他のウェアラブルデバイス400の位置情報と、検知時刻とを含む。
【0068】
制御装置406は、ウェアラブルデバイス400の動作を制御する。制御装置406は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはこれらの組み合わせ等によって構成される。
【0069】
加速度センサー407は、ウェアラブルデバイス400の上下運動の速度の変化を検知する。検知結果は、ウェアラブルデバイス400の使用者の歩数の算出に使用される。
【0070】
[介護状態の検知]
図3を参照して、介護者600による被介護者800の介護が行なわれていることの検知について説明する。
図3は、被介護者800が介護者600によって介護されている場合に取得される信号の軌跡を表わす図である。軌跡は、介護者600あるいは被介護者800がドア390を介して入室した後に、センサーボックス100により取得した信号から導出され得る。
【0071】
被介護者800はウェアラブルデバイス400Aを装着している。介護者600はウェアラブルデバイス400Bを装着している。介護者600が被介護者800に近接している間、ウェアラブルデバイス400A,400Bは、信号140,150をそれぞれ発信し得る。ある局面において、信号140,150は予め定められた時間間隔で発信される。
【0072】
ウェアラブルデバイス400Aが発信する信号140は、ウェアラブルデバイス400Aの識別データと、ウェアラブルデバイス400Bの識別データおよび位置情報とを含み得る。ウェアラブルデバイス400Aが発信する信号140は、ウェアラブルデバイス400Aの識別データと、ウェアラブルデバイス400Bの識別データおよび位置情報とを含み得る。ウェアラブルデバイス400Bが発信する信号150は、ウェアラブルデバイス400Bの識別データと、ウェアラブルデバイス400Aの識別データおよび位置情報とを含み得る。信号140,150は、それぞれ、センサーボックス100によって受信される。
【0073】
センサーボックス100において、制御装置101は、ビーコン受信装置109によって受信された信号を用いた解析処理を実行する。例えば、制御装置101は、RAM103に、居室900の領域を展開し、その領域に、ウェアラブルデバイス400Aの識別データおよび位置情報、ならびに、ウェアラブルデバイス400Bの識別データおよび位置情報をプロットする。他の局面において、カメラ105が視認可能なマーカー(図示しない)がウェアラブルデバイス400に装着されている場合には、制御装置101は、当該マーカーを当該ウェアラブルデバイス400の位置として居室900に相当する画像領域から抽出し得る。この場合、制御装置101は、ウェアラブルデバイス400Aのマーカーと、ウェアラブルデバイス400Bのマーカーとの距離を、介護者600と被介護者800との間隔として算出し得る。
【0074】
軌跡351は、介護者600の軌跡を表わす。軌跡352は、被介護者800の軌跡を表わす。制御装置101が一定の時間間隔で信号140,150を処理する場合、軌跡351,352は、点の集合として表現され得る。この場合、軌跡351を構成する点の間隔と、軌跡352を構成する点の間隔とは、介護者600および被介護者800の各歩行速度に応じて、異なり得る。
【0075】
領域361は、被介護者800のベッド901に対応する領域を表わす。領域362は、介護者600が被介護者800に対する介助を行なうために被介護者800に近接していたと推定される領域を表わす。領域362は、例えば、ビーコン信号が受信された各時刻において、介護者600と被介護者800との間隔が、予め定められた距離(例えば、50cm、75cm、1m等)以下である時の軌跡を含む領域である。制御装置101は、この時、介護者600が、介助のために、被介護者800に近接していたと推定し得る。
【0076】
他の局面において、信号140は、ウェアラブルデバイス400Aがウェアラブルデバイス400Bと近接することでペアリングが行なわれたことを検知したことに基づいて、発信され得る。信号140同様に、信号150は、ウェアラブルデバイス400Bがウェアラブルデバイス400Aと近接することでペアリングが行なわれたことを検知したことに基づいて、発信され得る。これにより、介護者600が被介護者800を介助できない程度に離れている場合には、信号140,150は発信されないので、センサーボックス100も信号140,150を受信しないことになる。センサーボックス100は、信号140,150を受信した場合に軌跡の解析処理を実行することになるので、介護者600と被介護者800とが近接していない間は、解析処理の対象とならない。これにより、介助が行なわれている時間の検知の精度が向上し得る。
【0077】
なお、居室10の外部においても、ウェアラブルデバイス400の振動に基づく加速度の変化が検知され得る。居室10における被介護者800の状態を正確に推定するために、制御装置101または制御装置201は、居室10の外部で検知されたデータを除外し得る。一例として、居室10のドアが開かれた時刻が、センサーボックス100に無線または有線で送信される場合において、信号140または信号150が加速度その他のデータと共に時刻データとしてタイムスタンプを発信するとき、制御装置101または制御装置201は、当該時刻よりも前のタイムスタンプを含む信号140または信号150を、推定の対象から除外してもよい。
【0078】
他の局面において、被介護者800が廊下を歩いて居室10に戻る場合があり得る。この場合は、居室10の外部で受信された信号140および信号150に含まれる加速度の変動がいずれも同様の変動になる場合があり得る。これは、介護者600が被介護者800を介助するために、歩行速度を被介護者800の歩行速度に合わせるためである。このような場合には、被介護者800は介護者600による介護を受けていたと推定できるので、管理装置200は、このような場合を検知したときには、被介護者800は介護を必要とする状態にあったと推定し得る。
【0079】
他方、被介護者800が廊下や食堂のような共用スペースにおいて普通に歩ける場合には、加速度の変動も大きくなり得る。そこで、管理装置200は、信号140を受信した場合において信号150の受信を検知していないとき、信号140に含まれる加速度の変動が予め定められた閾値よりも大きいことを検知すると、被介護者800は介護を必要としない状態であると判定し得る。
【0080】
なお、他の局面において、被介護者800のみの状態を正確に推定するために、介護者600および被介護者800が居室10に居る場合には、制御装置101は、その間の介護者600に関するデータを削除してもよい。たとえば、制御装置101は、介護者600のウェアラブルデバイス400Bからの信号150を受信すると、信号150に含まれている識別情報から介護者600の存在を検知し得る。そこで、制御装置101は、信号150を受信している間の時間をデータから除外してもよい。
【0081】
[取得されるデータ]
図4を参照して、計測デバイスで取得可能なデータについて説明する。
図4は、被介護者800および介護者600の各々について、計測デバイスで取得可能なデータの概要を表わす図である。
【0082】
図4に示されるように、データは、被介護者および介護者のそれぞれから取得され得る。取得可能なデータは、アウトプットの欄に記載のように、被介護者800の移動速度、活動時間、歩数、動画および位置情報と、介護者600の介助時間、位置情報および動画と、を含む。各データは、センサーボックス100またはウェアラブルデバイス400によって取得され得る。
【0083】
[介護者に関するデータ]
被介護者800の移動速度は、最大値、平均値、および中間値を含む。たとえば、最大値は予め設定された期間(1日、1週間、1ヶ月等)で観察された歩行速度のうち最大の歩行速度である。平均値は、当該期間で観察された歩行速度の平均値である。中間値は、観察された歩行速度を降順(または昇順)に並べた場合に中央に位置する歩行速度である。被介護者800の移動速度は、居室の外部(たとえば、自宅のリビング、トイレその他の自室以外の場所、施設における共用スペースなど)では、ウェアラブルデバイス400Aから取得した信号に基づいて得られる軌跡とタイムスタンプとから導出される。
【0084】
また、居室の内部では、移動速度は、センサーボックス100のカメラ105の撮影により得られる画像、または、ビーコン受信装置109によって受信される信号に基づいて導出され得る。また、被介護者800がウェアラブルデバイス400Aを装着している場合には、移動速度は、ウェアラブルデバイス400Aから連続して発信される各信号と、各信号の受信時刻とを用いて、算出され得る。
【0085】
活動時間は、被介護者800が、ベッド901の外で活動している1日当たりの時間を表わす。活動時間は、センサーボックス100が受信した信号と、居室900に対応する領域とを用いて算出される。例えば、被介護者800に相当する画像が当該領域から外れている場合には、その外れている時間を積算することにより、ベッド901の外で活動している時間を導出する。
【0086】
歩数は、ウェアラブルデバイス400Aに含まれる加速度センサー407で検知される加速度を用いて導出される。
【0087】
動画は、センサーボックス100のカメラ105によって撮影される。管理者は、動画を見ることにより、被介護者800と介護者600との位置関係を容易に認識できる。
【0088】
位置情報は、センサーボックス100がウェアラブルデバイス400Aから発信されるビーコン信号を受信することによって検知され得る。他の局面において、位置情報は、被介護者800が装着したウェアラブルデバイス400Aから発せられた信号を受信したウェアラブルデバイス400Bによって検知され得る。他の局面において、センサーボックス100は、ウェアラブルデバイス400Aによって発信された信号を受信し、AoA手法により、ウェアラブルデバイス400Aの位置を検知し得る。
【0089】
[介護者に関するデータ]
介助時間は、介護者600と被介護者800とが近接した状態が継続した時間を用いて推定される。たとえば、センサーボックス100は、ウェアラブルデバイス400Aから受信した信号と、ウェアラブルデバイス400Bから受信した信号とを用いて、介護者600と被介護者800とが近接した状態が継続した時間を検出する。近接した状態とは、介護者600と被介護者800との距離が一定以内であるということになり、介助が行なわれた時間と推定できる。そこで、センサーボックス100は、当該状態が継続した時間を介助時間として導出する。
【0090】
介護者600の位置情報は、当該介護者600が装着したウェアラブルデバイス400Bから発せられた信号を受信したウェアラブルデバイス400Aによって検知され得る。他の局面において、センサーボックス100は、ウェアラブルデバイス400Bによって発信された信号を受信し、AoA手法により、ウェアラブルデバイス400Bの位置を検知し得る。
【0091】
動画は、センサーボックス100のカメラ105によって撮影される。管理者は、動画を見ることにより、被介護者800と介護者600との位置関係を容易に認識できる。ある局面において、介助時間は、介護者600と被介護者800とが近接している時間の和、として規定される。この場合、管理者は、動画を視聴することにより、算出された介助時間が実際に介助が行なわれた時間に妥当するかどうかを確認できる。
【0092】
[制御構造]
図5~
図7を参照して、ある実施の形態に従う監視システム20の制御構造について説明する。
図5は、センサーボックス100の制御装置101が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0093】
ステップS510にて、制御装置101は、第1のデバイスから情報を取得する。たとえば、センサーボックス100は、ビーコン受信装置109を介して、ウェアラブルデバイス400Aによって発信された信号140を受信する。信号140は、ウェアラブルデバイス400Aの識別データを含む。制御装置101は、信号140を受信した時刻を、信号140に関連付ける。したがって、制御装置101は、ウェアラブルデバイス400Aの識別データと、受信した時刻情報とを取得できる。他の局面において、信号140は、ウェアラブルデバイス400Bから受信した信号に基づいて検知されたウェアラブルデバイス400Bの位置情報を含み得る。
【0094】
ステップS520にて、制御装置101は、第2のデバイスから情報を取得する。たとえば、センサーボックス100は、ビーコン受信装置109を介して、ウェアラブルデバイス400Bによって発信された信号150を受信する。信号150は、ウェアラブルデバイス400Bの識別データを含む。制御装置101は、信号150を受信した時刻を、信号150に関連付ける。したがって、制御装置101は、ウェアラブルデバイス400Bの識別データと、受信した時刻情報とを取得できる。他の局面において、信号150は、ウェアラブルデバイス400Aから受信した信号に基づいて検知されたウェアラブルデバイス400Aの位置情報を含み得る。
【0095】
ステップS530にて、制御装置101は、各センサーから情報を取得する。各センサーは、ドアセンサー510と、トイレセンサー520と、臭いセンサー530と、バイタルセンサー540とを含む。例えば、バイタルセンサー540は、予め定められた時間間隔毎に、検知した被介護者800のバイタルサインを送信する。バイタルサインは、脈拍或いは心拍数、呼吸数、血圧及び体温を含み得る。ドアセンサー510、トイレセンサー520および臭いセンサー530は、送信のトリガーを検知した場合に、検知信号をセンサーボックス100に送信する。送信のトリガーは、例えば、ドア390が開閉された時、トイレのドアが開閉された時、あるいは、臭いが検知された時である。
【0096】
ステップS540にて、制御装置101は、取得した情報に基づいて、介護者600および被介護者800の状態を推定する。例えば、制御装置101は、ウェアラブルデバイス400Aの位置の変化を表わす軌跡データと、ウェアラブルデバイス400Bの位置の変化を表わす軌跡データとを用いて、ウェアラブルデバイス400Aとウェアラブルデバイス400Bとの間隔が予め定められた距離以下である状態を検知し、その状態が継続する期間を計測する。この状態は、介護者600が被介護者800に近接していることを示すので、介護者600が被介護者800を介助していると推定され得る。
【0097】
ステップS550にて、制御装置101は、介護者600および被介護者800の状態情報を記憶装置108に保存する。状態情報は、例えば、時系列に、介護者600の位置データと、被介護者800の位置データと、推定される距離と、被介護者800が介護者600による介助を受けているか否かを示すフラグとを含む。
【0098】
ステップS560にて、制御装置101は、予め定められた時間が経過したことを検知する。その後、制御装置101は、制御をステップS510に戻し、再び、被介護者800および介護者600の位置情報を取得する。
【0099】
[要介護認定のための参考情報の出力]
図6を参照して、要介護認定の判定について説明する。
図6は、ある実施の形態に従う管理装置200の制御装置201が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0100】
ステップS610にて、制御装置201は、入力デバイス209に与えられた操作に基づいて、介護情報の要求を受信する。より具体的には、管理者その他のスタッフは、被介護者800の名前その他の識別情報と、当該被介護者800の介護情報の要求とを、管理装置200に入力する。
【0101】
ステップS620にて、制御装置201は、記憶装置220に格納されている、被介護者800の介護情報のデータベースにアクセスして、被介護者800の介助時間を取得する。
【0102】
ステップS630にて、制御装置201は、要介護認定のために予め定められた基準時間(以下「要介護認定等基準時間」ともいう。)を記憶装置から読み出す。
【0103】
ステップS640にて、制御装置201は、介助時間と要介護認定等基準時間とを比較し、当該介助時間が妥当し得る要介護レベル(たとえば、要支援1,2、要介護1~5等)を推定する。
【0104】
ステップS650にて、制御装置201は、比較の結果推定される要介護認定の結果を出力する。たとえば、管理装置200は、ディスプレイ206に、被介護者800の氏名と認定の結果とを表示する。
【0105】
[ウェアラブルデバイス400の動作]
図7を参照して、ある実施の形態に従うウェアラブルデバイス400の制御構造について説明する。
図7は、他のウェアラブルデバイス400との距離を推定する機能を備えるウェアラブルデバイス400が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。以下、ウェアラブルデバイス400Aがウェアラブルデバイス400Bまでの距離を推定する場合について説明するが、逆に、ウェアラブルデバイス400Bがウェアラブルデバイス400Aまでの距離を推定する場合も同様である。
【0106】
ステップS710にて、ウェアラブルデバイス400Aの制御装置406は、他のデバイス(例えば、ウェアラブルデバイス400B)から発信されたビーコン信号を受信する。
【0107】
ステップS720にて、制御装置406は、当該ビーコン信号を用いて、AoA手法により、他のデバイス(例、ウェアラブルデバイス400B)までの距離を推定する。
【0108】
ステップS730にて、制御装置406は、推定した距離を記憶装置404に保存する。
【0109】
ステップS740にて、制御装置406は、センサーボックス100から距離の送信要求を受信したことを検知する。例えば、センサーボックス100は、予め設定された時間間隔(例えば、10秒毎、30秒毎、1分毎等)で、距離の送信要求を発信する。
【0110】
ステップS750にて、制御装置406は、当該送信要求の受信に応答して、センサーボックス100に当該距離を送信する。より詳しくは、まず、制御装置406は、記憶装置404にアクセスして、前回の送信要求以降に取得した距離を読み出し、その読み出した距離をビーコン発信装置401を介して発信する。発信された信号は、センサーボックス100のビーコン受信装置109によって受信される。センサーボックス100において、制御装置101は、受信した信号から距離を取得し、介護者600と被介護者800とが近接した状態にあるか否かを判定し得る。
【0111】
以上のようにして、ある実施の形態に従うと、センサーボックス100の制御装置101または管理装置200の制御装置201は、カメラ105によって取得された画像信号と、被介護者800に装着されたウェアラブルデバイス400Aによって発信された信号140と、介護者600に装着されたウェアラブルデバイス400Bによって発信された信号150とを用いて、被介護者800に対する介護者600による介護が行なわれた時間を推定し得る。これにより、被介護者800の普段の動作が把握されるので、被介護者800の要介護度を判断する情報が提供される。その結果、客観的な情報に基づいて要介護認定を行なうことができるので、要介護認定の精度が向上し得る。
【0112】
また、施設に限らず被介護者800の自宅においても被介護者800の日常生活行動が把握されることになるので、調査員が不在の場合でも、被介護者800の要介護度を判定するための情報が取得できるので、客観的な判定が可能になる。
【0113】
また、介護者600による介護が行なわれた介助時間も収集されるので、被介護者800に対する介助負担が把握され得る。
【0114】
本明細書で開示された技術的特徴の一部は、例えば、以下のように要約され得る。
[構成1]ある実施の形態に従うと、被介護者(例えば被介護者800)の状態を判断する情報を提供するためにコンピューター(たとえば、制御装置101、制御装置201)で実行される方法が提供される。この方法は、コンピューターのプロセッサーが、被介護者の居室を撮影するために設けられた映像センサーから出力される映像信号を受信するステップと、当該プロセッサーが、加速度センサーを有し、ユーザー(例えば、被介護者800)に装着された第1の通信端末(例えば、ウェアラブルデバイス400A)から、ユーザーの識別情報(たとえば、氏名、番号)と、加速度センサーの出力(例えば、加速度、歩数)を受信するステップと、居室の映像と、加速度センサーの出力とに基づいて、被介護者の状態を判定するステップとを備える。当該状態は、たとえば、被介護者800が介護者600による介護を受けている状態と、被介護者800が独力で行動できている状態とを含む。
【0115】
[構成2]ある局面に従う方法において、判定するステップは、出力が予め定められた閾値を上回ることに基づいて、被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することと、出力が閾値を下回ることに基づいて、被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することとを含む。
【0116】
[構成3]ある局面に従う方法において、第1の通信端末によって発信される信号は、第1の通信端末の位置情報をさらに含む。当該方法は、加速度センサーを有し、他のユーザーに装着された第2の通信端末(例えば、ウェアラブルデバイス400B)から、他のユーザーの識別情報と、加速度センサーの出力と、第2の通信端末の位置情報と、を受信するステップをさらに備える。判定するステップは、ユーザーと他のユーザーとの間隔が予め定められた閾値未満であるときに、被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することと、間隔が予め定められた閾値以上であるときに、被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することとを含む。
【0117】
[構成4]ある局面に従う方法において、第1の通信端末および第2の通信端末は、それぞれ、アレイアンテナを含む。第1の通信端末の位置情報および第2の通信端末の位置情報は、それぞれ、第1の通信端末と第2の通信端末との間の通信により取得される。
【0118】
[構成5]ある局面に従う方法は、判定の結果と、要介護度を判定するために予め定められた基準時間との比較に基づいて、当該被介護者の要介護度の判定結果を出力するステップをさらに備える。
【0119】
[構成6]ある局面に従う方法は、映像信号に基づいて、居室への入室および退室を検知するステップをさらに備える。判定するステップは、第1の通信端末からの加速度センサーの出力が予め設定された閾値以下である場合に、居室への入室から退出までの時間が予め定められた時間を上回ることに基づいて、被介護者は介護を必要とする状態であると判定することを含む。
【0120】
[構成7]他の実施の形態に従うと、被介護者800の日常生活行動その他の行動を検知する行動検知装置(たとえば、センサーボックス100)が提供される。この行動検知装置は、映像信号の入力を受ける入力インターフェイスと、無線信号を受信する受信装置と、映像信号および無線信号に基づいて行動を検知するプロセッサー(たとえば、制御装置101)とを備える。プロセッサーは、被介護者の居室を撮影するために設けられた映像センサー(たとえばカメラ105)から出力される映像信号を受信する。プロセッサーは、加速度センサーを有し、ユーザーに装着された第1の通信端末(たとえば、ウェアラブルデバイス400A)から、ユーザーの識別情報と、加速度センサーの出力とを受信する。さらに、プロセッサーは、居室の映像と、加速度センサーの出力とに基づいて、被介護者の状態を判定する。
【0121】
[構成8]ある局面に従う行動検知装置において、判定することは、出力が予め定められた閾値を上回ることに基づいて、被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することと、出力が閾値を下回ることに基づいて、被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することとを含む。
【0122】
[構成9]ある局面に従う行動検知装置において、第1の通信端末によって発信される信号は、第1の通信端末の位置情報をさらに含む。プロセッサーは、加速度センサーを有し、他のユーザーに装着された第2の通信端末から、他のユーザーの識別情報と、加速度センサーの出力と、第2の通信端末の位置情報と、をさらに受信する。判定することは、ユーザーと他のユーザーとの間隔が予め定められた閾値未満であるときに、被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することと、間隔が予め定められた閾値以上であるときに、被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することとを含む。
【0123】
[構成10]ある局面に従う行動検知装置において、第1の通信端末および第2の通信端末は、それぞれ、アレイアンテナを含む。第1の通信端末の位置情報および第2の通信端末の位置情報は、それぞれ、第1の通信端末と第2の通信端末との間の通信により取得される。
【0124】
[構成11]ある局面に従う行動検知装置において、プロセッサーは、判定の結果と、要介護度を判定するために予め定められた基準時間との比較に基づいて、当該被介護者の要介護度の判定結果を出力する。
【0125】
[構成12]ある局面に従う行動検知装置において、プロセッサーは、さらに、映像信号に基づいて、居室への入室および退室を検知する。判定することは、第1の通信端末からの加速度センサーの出力が予め設定された閾値以下である場合に、居室への入室から退出までの時間が予め定められた時間を上回ることに基づいて、被介護者は介護を必要とする状態であると判定することを含む。
【0126】
[構成13]他の実施の形態に従うと、被介護者の日常生活行動その他の行動を検知するシステム(たとえば、監視システム20)が提供される。このシステムは、加速度センサーを有する第1の通信端末(たとえば、ウェアラブルデバイス400A)と、無線信号を受信するためのセンサー装置(たとえば、センサーボックス100)とを備える。センサー装置は、カメラ(カメラ105)と、信号を受信する受信装置と、信号を用いて演算処理を実行するプロセッサー(制御装置101)とを含む。プロセッサーは、被介護者の居室を撮影するために居室に設けられた映像センサーから出力される映像信号を受信し、第1の通信端末から、第1の通信端末のユーザーの識別情報と、加速度センサーの出力を受信し、居室の映像と、加速度センサーの出力とに基づいて、被介護者の状態を判定する。
【0127】
[構成14]ある局面に従うシステムにおいて、判定することは、出力が予め定められた閾値を上回ることに基づいて、被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することと、出力が閾値を下回ることに基づいて、被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することとを含む。
【0128】
[構成15]ある局面に従うシステムにおいて、第1の通信端末によって発信される信号は、第1の通信端末の位置情報をさらに含む。当該システムは、加速度センサーを有する第2の通信端末をさらに備える。プロセッサーは、第2の通信端末から、第2の通信端末のユーザーの識別情報と、加速度センサーの出力と、第2の通信端末の位置情報と、を受信する。判定することは、第1の通信端末のユーザーと第2の通信端末のユーザーとの間隔が予め定められた閾値未満であるときに、被介護者は介護を必要とする状態にあると判定することと、間隔が予め定められた閾値以上であるときに、被介護者は正常に行動できる状態にあると判定することとを含む。
【0129】
[構成16]ある局面に従うシステムにおいて、第1の通信端末および第2の通信端末は、それぞれ、アレイアンテナを含む。第1の通信端末の位置情報および第2の通信端末の位置情報は、それぞれ、第1の通信端末と第2の通信端末との間の通信により取得される。
【0130】
[構成17]ある局面に従うシステムにおいて、プロセッサーは、判定の結果と、要介護度を判定するために予め定められた基準時間との比較に基づいて、当該被介護者の要介護度の判定結果を出力する。
【0131】
[構成18]ある局面に従うシステムにおいて、プロセッサーは、さらに、映像信号に基づいて、居室への入室および退室を検知する。判定することは、第1の通信端末からの加速度センサーの出力が予め設定された閾値以下である場合に、居室への入室から退出までの時間が予め定められた時間を上回ることに基づいて、被介護者は介護を必要とする状態であると判定することを含む。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0133】
開示された技術的特徴は、被介護者の自宅、被介護者が入居する施設その他の居住空間において利用可能である。
【符号の説明】
【0134】
10,900 居室、20 監視システム、100 センサーボックス、101,201,301,406 制御装置、102,202 ROM、103,203,303,405 RAM、104,204,304,403 通信インターフェイス、105 カメラ、106 ドップラーセンサー、107 無線通信装置、108,220,404 記憶装置、109,402,420 ビーコン受信装置、140,150 信号、200 管理装置、205 表示インターフェイス、206,305 ディスプレイ、207 操作インターフェイス、209,306 入力デバイス、300 携帯端末、320 内部メモリー、351,352 軌跡、361,362 領域、390 ドア、400,400A,400B ウェアラブルデバイス、401,410 ビーコン発信装置、407 加速度センサー、500 ケアコール子機、501 ケアコールボタン、510 ドアセンサー、520 トイレセンサー、530 センサー、540 バイタルセンサー、600 介護者、800 被介護者、901 ベッド。