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特許7647057光学積層体及びそれを用いた液晶表示装置
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  • 特許-光学積層体及びそれを用いた液晶表示装置 図1
  • 特許-光学積層体及びそれを用いた液晶表示装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】光学積層体及びそれを用いた液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20250311BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20250311BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20250311BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250311BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20250311BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20250311BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
G02B5/30
H10K50/86
H10K59/10
G09F9/30 365
G09F9/33
G09F9/30 349E
G02F1/1335 510
G02F1/13363
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020171332
(22)【出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2021063984
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2019187940
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】牛山 章伸
(72)【発明者】
【氏名】黒田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】杉田 浩行
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038417(WO,A1)
【文献】特開2013-235272(JP,A)
【文献】特開2008-197351(JP,A)
【文献】特開2019-132913(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0301129(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
λ/4位相差層、透明基材及び偏光子をこの順に備えてなり、
前記透明基材は、正の複屈折又は負の複屈折を有し、かつ、厚み方向の位相差が500nm以上又は-125nm以下であり、
前記透明基材は、面内における遅相軸方向の屈折率をnx、面内においてnxに直交する方向の屈折率をny、nx及びnyに直交する方向の屈折率をnzと定義した際に、nx>ny≒nzの関係を示す正のAプレート、又は、nx>ny>nzの関係を示す負のBプレートであり、
前記透明基材の遅相軸と、前記偏光子の吸収軸とが、略平行又は略垂直に配置されてなる、光学積層体。
【請求項2】
前記透明基材の面内位相差が1000nm以上である、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記透明基材が、ポリエステルフィルム又はポリカーボネートフィルムである、請求項1又は2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記λ/4位相差層と前記透明基材との間に、λ/2位相差層を有する、請求項1~3の何れか1項に記載の光学積層体。
【請求項5】
全光線透過率が35%以上80%以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の光学積層体。
【請求項6】
下記の測定1から算出される3σΔX及び3σΔYが何れも0.019未満である、請求項1~3の何れか1項に記載の光学積層体。
<測定1>
波長380nm以上780nm以下の分光反射率の平均が20%のアルミ板上に、前記光学積層体を積層してなるサンプルを作製する。前記サンプルにおいて、前記光学積層体は、透明基材を基準としたλ/4位相差層側の面が前記アルミ板側を向くように配置する。
前記サンプルの表面に対して、積分球で拡散した光を法線方向から入射し、反射光を測定する。測定された反射光からXYZ表色系のX値及びY値を算出する。前記測定及び前記算出を、仰角を前記サンプルの表面に対する法線から60度傾いた角度に固定した状態で、方位角0度以上359.5度以下の範囲で0.5度ずつ実施し、720点のX値及びY値を得る。
720点のX値の平均値を「Xave」とする。Xaveに対するn番目の測定点のX値のずれを「ΔXn」とする。720点のΔXnのバラツキ3σを「3σΔX」とする。
720点のY値の平均値を「Yave」とする。Yaveに対するn番目の測定点のY値のずれを「ΔYn」とする。720点のΔYnのバラツキ3σを「3σΔY」とする。
【請求項7】
下記の測定1から算出される3σΔXと3σΔYとの平均が0.018未満である、請求項1~3の何れか1項に記載の光学積層体。
<測定1>
波長380nm以上780nm以下の分光反射率の平均が20%のアルミ板上に、前記光学積層体を積層してなるサンプルを作製する。前記サンプルにおいて、前記光学積層体は、透明基材を基準としたλ/4位相差層側の面が前記アルミ板側を向くように配置する。
前記サンプルの表面に対して、積分球で拡散した光を法線方向から入射し、反射光を測定する。測定された反射光からXYZ表色系のX値及びY値を算出する。前記測定及び前記算出を、仰角を前記サンプルの表面に対する法線から60度傾いた角度に固定した状態で、方位角0度以上359.5度以下の範囲で0.5度ずつ実施し、720点のX値及びY値を得る。
720点のX値の平均値を「Xave」とする。Xaveに対するn番目の測定点のX値のずれを「ΔXn」とする。720点のΔXnのバラツキ3σを「3σΔX」とする。
720点のY値の平均値を「Yave」とする。Yaveに対するn番目の測定点のY値のずれを「ΔYn」とする。720点のΔYnのバラツキ3σを「3σΔY」とする。
【請求項8】
λ/4位相差層、透明基材及び偏光子をこの順に備えてなり、
前記透明基材は、正の複屈折又は負の複屈折を有し、かつ、厚み方向の位相差が125nm以上又は-125nm以下、面内位相差が500nm以上であり、
前記透明基材の遅相軸と、前記偏光子の吸収軸とが、略平行又は略垂直に配置されてなる、光学積層体。
【請求項9】
λ/4位相差層、透明基材及び偏光子をこの順に備えてなり、
前記透明基材は、正の複屈折又は負の複屈折を有し、かつ、厚み方向の位相差が500nm以上であり、
前記透明基材の遅相軸と、前記偏光子の吸収軸とが、略平行又は略垂直に配置されてなる、光学積層体。
【請求項10】
有機EL表示素子の前面用である、請求項1~9の何れか1項に記載の光学積層体。
【請求項11】
表示素子上に光学積層体を有する画像表示装置であって、前記光学積層体が請求項1~9の何れか1項に記載の光学積層体であり、かつ、前記光学積層体の透明基材を基準としたλ/4位相差層側の面が前記表示素子側を向くように配置してなる、画像表示装置。
【請求項12】
前記表示素子が有機EL表示素子又はマイクロLED表示素子である、請求項11に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光表示素子(以下、EL素子と略す場合がある。)は、自己発光のため視域が広く、またプラズマ発光素子等に比べて低消費電力であることから、近年、画像表示装置への適用が実用化されつつある。特に、発光材料として有機化合物を用いる有機EL素子は、無機化合物を用いる無機EL素子よりも印加電圧を大幅に低減できることから、表示装置としての利用が種々検討されている。
【0003】
有機EL素子は、一般的に、透明基板上に第一電極、発光層、および第二電極を順次積層した構造のものが知られており、第一電極として透明電極を使用し、第二電極として金属電極を使用し、発光層からの発光を透明基板側から取り出すボトムエミッション型のものと、第一電極として金属電極を使用し、第二電極として透明電極を使用し、発光層からの発光を第二電極側から取り出すトップエミッション型のものがある。
有機EL素子は、いずれの型においても発光層の光を効率よく利用するため、金属電極は反射性に優れたものが用いられることが多い。一方、このような金属電極を用いた有機EL素子は、外光反射が大きく、コントラストが低下する場合があった。また、有機EL素子を含む表示装置以外の表示装置(例えば、マイクロLED表示素子を含む表示装置、表示素子上に抵抗膜式タッチパネルを配置した表示装置)においても、外光反射によるコントラストの低下は問題となっている。
【0004】
表示装置における外光反射を抑制する手法は、種々検討されている。このような手法の一つとして、位相差板と偏光板とを積層してなる、いわゆる円偏光板を用いることが知られている。
【0005】
しかし、汎用的な位相差板は、長波長で測定した位相差が短波長で測定した位相差より小さくなるという位相差の波長依存性(位相差の正分散性)を有する。このため、汎用的な位相差板を用いてなる円偏光板は、波長550nm近傍の反射率は十分に低減できるものの、低波長域及び高波長域の反射率の低減が不十分であり、反射光の漏れを生じるという問題がある。
【0006】
上記の問題を解決する手法として、例えば、λ/4位相差層とλ/2位相差層とを積層してなる位相差板を用いる方法、及び、逆分散特性を有する液晶化合物を用いた位相差板を用いる方法が提案されている(特許文献1等)。逆分散特性とは、長波長で測定した位相差が短波長で測定した位相差より大きくなるという位相差の波長依存性である。
【0007】
特許文献1等の位相差板フィルムを用いた円偏光板は、正面方向の反射率は十分に低減し得るものである。しかし、特許文献1等の位相差板フィルムを用いた円偏光板は、正面方向に対して斜め方向の反射率の低減が不十分なものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平5-100114号公報
【文献】特開2007-188033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2には、λ/4位相差層及びλ/2位相差層に加えて、さらにポジティブC層を有する楕円偏光板が開示されている。
特許文献2の楕円偏光板は斜め方向の反射率を正面方向の反射率に近づけることができる。しかし、特許文献2の楕円偏光板は、斜めから視認した際に色味が強く感じられるものであった。
斜め方向の色味の問題は、特許文献1も有している問題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、外光の反射を抑制するとともに、斜めから視認した際の色味を抑制する光学積層体及び、及び、これを用いた画像表示装置を提供することを課題とする。
【0011】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[10]を提供する。
[1]λ/4位相差層、透明基材及び偏光子をこの順に備えてなり、前記透明基材は、正の複屈折又は負の複屈折を有し、かつ、厚み方向の位相差が125nm以上又は-125nm以下であり、前記透明基材の遅相軸と、前記偏光子の吸収軸とが、略平行又は略垂直に配置されてなる、光学積層体。
[2]前記透明基材の面内位相差が40nm以上である、[1]に記載の光学積層体。
[3]前記透明基材がポリエステルフィルム又はポリカーボネートフィルムである、[1]又は[2]に記載の光学積層体。
[4]前記λ/4位相差層と前記透明基材との間に、λ/2位相差層を有する、[1]~[3]の何れかに記載の光学積層体。
[5]全光線透過率が35%以上80%以下である、[1]~[4]の何れかに記載の光学積層体。
【0012】
[6]下記の測定1から算出される3σΔX及び3σΔYが何れも0.019未満である、[1]~[5]の何れかに記載の光学積層体。
<測定1>
波長380nm以上780nm以下の分光反射率の平均が20%のアルミ板上に、前記光学積層体を積層してなるサンプルを作製する。前記サンプルにおいて、前記光学積層体は、透明基材を基準としたλ/4位相差層側の面が前記アルミ板側を向くように配置する。
前記サンプルの表面に対して、積分球で拡散した光を法線方向から入射し、反射光を測定する。測定された反射光からXYZ表色系のX値及びY値を算出する。前記測定及び前記算出を、仰角を前記サンプルの表面に対する法線から60度傾いた角度に固定した状態で、方位角0度以上359.5度以下の範囲で0.5度ずつ実施し、720点のX値及びY値を得る。
720点のX値の平均値を「Xave」とする。Xaveに対するn番目の測定点のX値のずれを「ΔXn」とする。720点のΔXnのバラツキ3σを「3σΔX」とする。
720点のY値の平均値を「Yave」とする。Yaveに対するn番目の測定点のY値のずれを「ΔYn」とする。720点のΔYnのバラツキ3σを「3σΔY」とする。
[7]下記の測定1から算出される3σΔXと3σΔYとの平均が0.018未満である、[1]~[6]の何れかにに記載の光学積層体。
<測定1>
波長380nm以上780nm以下の分光反射率の平均が20%のアルミ板上に、前記光学積層体を積層してなるサンプルを作製する。前記サンプルにおいて、前記光学積層体は、透明基材を基準としたλ/4位相差層側の面が前記アルミ板側を向くように配置する。
前記サンプルの表面に対して、積分球で拡散した光を法線方向から入射し、反射光を測定する。測定された反射光からXYZ表色系のX値及びY値を算出する。前記測定及び前記算出を、仰角を前記サンプルの表面に対する法線から60度傾いた角度に固定した状態で、方位角0度以上359.5度以下の範囲で0.5度ずつ実施し、720点のX値及びY値を得る。
720点のX値の平均値を「Xave」とする。Xaveに対するn番目の測定点のX値のずれを「ΔXn」とする。720点のΔXnのバラツキ3σを「3σΔX」とする。
720点のY値の平均値を「Yave」とする。Yaveに対するn番目の測定点のY値のずれを「ΔYn」とする。720点のΔYnのバラツキ3σを「3σΔY」とする。
[8]有機EL表示素子の前面用である、[1]~[7]の何れかに記載の光学積層体。
【0013】
[9]表示素子上に光学積層体を有する画像表示装置であって、前記光学積層体が[1]~[7]の何れかに記載の光学積層体であり、かつ、前記光学積層体の透明基材を基準としたλ/4位相差層側の面が前記表示素子側を向くように配置してなる、画像表示装置。
[10]前記表示素子が有機EL表示素子又はマイクロLED表示素子である、[9]に記載の画像表示装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学積層体及び液晶表示装置は、外光の反射を抑制するとともに、斜めから視認した際の色味を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の光学積層体の一実施形態を示す模式断面図である。
図2】本発明の光学積層体の他の実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明する。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、λ/4位相差層、透明基材及び偏光子をこの順に備えてなり、前記透明基材は、正の複屈折又は負の複屈折を有し、かつ、厚み方向の位相差が125nm以上又は-125nm以下であり、前記透明基材の遅相軸と、前記偏光子の吸収軸とが、略平行又は略垂直に配置されてなるものである。
【0017】
図1及び図2は、本発明の光学積層体(100)の実施の形態を示す模式断面図である。図1及び図2の光学積層体(100)は、λ/4位相差層(10)、透明基材(30)及び偏光子(40)をこの順に備えている。また、図2の光学積層体(100)は、λ/4位相差層(10)と透明基材(30)との間にλ/2位相差層(20)を有し、偏光子(40)の透明基材(30)とは反対側に表面保護材(50)を有している。
【0018】
本発明の光学積層体による外光反射の抑制の原理を、図1を引用して簡単に説明する。
図1の光学積層体(100)の偏光子(40)側から外光が入射すると、偏光子(40)を通過した外光は直線偏光となる。当該直線偏光はλ/4位相差層(10)を透過して右回り又は左回りの円偏光となる。表示素子の表面で反射した当該円偏光は、逆回りの円偏光となる。反射光である当該逆回りの円偏光は、λ/4位相差層(10)を再透過すると、偏光子(40)を透過しない向きの直線偏光となるため、反射が抑制される。
図2の光学積層体(100)では、λ/4位相差層(10)及びλ/2位相差層(20)により、幅広い波長域を円偏光に変換することができ、外光の反射をより抑制することができる。
以上のように、本発明の光学積層体は、外光の反射を抑制することができる。
なお、上記の原理で外光の反射を抑制するためには、透明基材(30)の遅相軸と、偏光子(40)の吸収軸とが、略平行又は略垂直に配置されてなることを要する。透明基材(30)の遅相軸と、偏光子(40)の吸収軸とが、略平行又は略垂直に配置されていない場合、直線偏光が透明基材(30)を透過する際に偏光の状態が乱れるためである。
なお、透明基材の面内で遅相軸の方向が均一ではない場合には、透明基材の遅相軸の方向は、透明基材の面内の遅相軸の平均的な方向を意味するものとする。
【0019】
本明細書において、略平行とは、0度±5度以内を意味し、好ましくは0度±3度以内、より好ましくは0度±1度以内である。
また、本明細書において、略垂直とは、90度±5度以内を意味し、好ましくは90度±3度以内、より好ましくは90度±1度以内である。
【0020】
本明細書において、面内位相差(Re)及び厚み方向の位相差(Rth)は、面内における遅相軸方向の屈折率をnx、面内においてnxに直交する方向の屈折率をny、nx及びnyに直交する方向の屈折率をnz、膜厚をd(nm)とした際に、下記式で表すことができる。
面内位相差(Re)=(nx-ny)×d
厚み方向の位相差(Rth)=((nx+ny)/2-nz)×d
【0021】
本明細書において、面内位相差(Re)及び厚み方向の位相差(Rth)は、特に断りがない限り、波長550nmにおける値を意味する。
なお、本明細書において、波長Xnmにおける面内位相差を「Re(X)」、波長Xnmにおける厚み方向の位相差を「Rth(X)」と表記する場合がある。例えば、波長450nmにおける面内位相差を「Re(450)」、波長650nmにおける面内位相差を「Re(650)」と表記する場合がある。
【0022】
面内位相差(Re)及び厚み方向の位相差(Rth)は、例えば、大塚電子社製の商品名「RETS-100」、王子計測機器社製の商品名「KOBRA-WR」、「KOBRA-WPR」、「PAM-UHR100」により測定できる。
大塚電子社製の商品名「RETS-100」を用いて面内位相差(Re)等を測定する場合には、以下の手順(A1)~(A4)に沿って測定の準備をすることが好ましい。
【0023】
(A1)まず、RETS-100の光源を安定させるため、光源をつけてから60分以上放置する。その後、回転検光子法を選択するとともに、θモード(角度方向位相差測定およびRth算出のモード)選択する。このθモードを選択することにより、ステージは傾斜回転ステージとなる。
(A2)次いで、RETS-100に以下の測定条件を入力する。
(測定条件)
・リタデーション測定範囲:回転検光子法
・測定スポット径:φ5mm
・傾斜角度範囲:0°
・測定波長範囲:400nm以上800nm以下
・透明基材の平均屈折率。例えば、PETフィルムの場合には、N=1.617とする。なお、透明基材の平均屈折率Nは、nx、ny及びnzを元に、(N=(nx+ny+nz)/3)の式で算出できる。
・厚み:SEM又は光学顕微鏡で別途測定した厚み
(A3)次いで、この装置にサンプルを設置せずに、バックグラウンドデータを得る。装置は閉鎖系とし、光源を点灯させる毎にこれを実施する。
(A4)その後、装置内のステージ上にサンプルを設置して、測定する。
【0024】
本明細書において、面内位相差(Re)、厚み方向の位相差(Rth)、全光線透過率及び分光反射率等の各種のパラメータは、特に断りのない限り、16箇所の測定値の最小値及び最大値を除外した14箇所の測定値の平均値として算出するものとする。なお、透明基材の配向主軸の角度のバラツキ3σは、16箇所でそれぞれバラツキ3σを測定し、最小値及び最大値を除外した14箇所のバラツキ3σを平均化したものをいう。
測定サンプルが四角形の場合には、四角形の外縁から0.5cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域を縦方向及び横方向に5等分した線の交点の16箇所を中心として測定を行い、その平均値を算出することが好ましい。なお、測定サンプルが円形、楕円形、三角形、五角形等の四角形以外の形状の場合、これらの形状に内接する最大面積の四角形を書き、該四角形に関して、上記手法により16箇所の測定を行うことが好ましい。
また、本明細書において、各種のパラメータは、温度23℃±5℃、相対湿度40%以上65%以下で測定した値とする。また、各測定の開始前に、対象サンプルを上記雰囲気に30分以上晒してから測定及び評価を行うものとする。
【0025】
<位相差層>
本発明の光学積層体は、λ/4位相差層を有することを要する。
本発明の光学積層体は、λ/4位相差層に加えてλ/2位相差層を有することが好ましい。λ/4位相差層及びλ/2位相差層を有する場合、λ/2位相差層が透明基材側となるように配置することが好ましい。
また、本発明の光学積層体は、λ/4位相差層に加えてλ/8位相差層を有することも好ましい。
【0026】
λ/4位相差層は、面内位相差が100nm以上180nm以下であることが好ましく、より好ましくは110nm以上160nm以下、更に好ましくは110nm以上150nm以下である。
λ/2位相差層は、面内位相差が200nm以上300nm以下、より好ましくは220nm以上280nm以下、更に好ましくは220nm以上270nm以下である。
【0027】
λ/4位相差層及びλ/2位相差層は、厚み方向の位相差が30nm以上120nm以下であることが好ましく、50nm以上100nm以下であることがより好ましい。前述した厚み方向の位相差は、λ/4位相差層とλ/2位相差層とを併用する場合の数値として特に好適である。λ/4位相差層のみを用いる場合、λ/4位相差層の厚み方向の位相差は120nm以下であることが好ましく、30nm以上100nm以下であることがより好ましい。
【0028】
λ/4位相差層及びλ/2位相差層は、正分散性を示すものであってもよいし、逆分散性を示すものであってもよいが、幅広い波長域を円偏光に変換する観点から、逆分散性を示すものが好ましい。
なお、逆分散性とは、透過光の波長が長くなるに従って透過光に与える位相差が増大する特性である。具体的には、波長450nmにおける面内位相差(Re450)と、波長550nmにおける面内位相差(Re550)との関係が、Re450<Re550となる特性である。一方の正分散性は、Re450>Re550となる特性である。
【0029】
逆分散特性を付与する場合、λ/4位相差層のRe450と、λ/4位相差層のRe550との比(Re450/Re550))は、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.93以下、更に好ましくは0.91以下、より更に好ましくは0.89以下である。また、Re450/Re550は、好ましくは0.78以上、より好ましくは0.80以上、更に好ましくは0.82以上である。
【0030】
逆分散特性を付与する場合、λ/2位相差層のRe450と、λ/2位相差層のRe550との比(Re450/Re550))は、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.93以下、更に好ましくは0.91以下、より更に好ましくは0.89以下である。また、Re450/Re550は、好ましくは0.78以上、より好ましくは0.80以上、更に好ましくは0.82以上である。
【0031】
λ/4位相差層及びλ/2位相差層の厚みは、付与する位相差を考慮して、0.1μm以上40μm以下の範囲で適宜調整することができる。
【0032】
λ/4位相差層及びλ/2位相差層等の位相差層は、例えば、重合性液晶化合物等の液晶性化合物を含む組成物から形成したり、ポリマーフィルムを延伸したりすることにより形成することができる。液晶化合物としては、ネマティック液晶化合物及びスメクティック液晶化合物等の棒状液晶化合物、コレステリック液晶化合物、ディスコティック液晶化合物(円盤状液晶化合物)等が挙げられる。λ/4位相差層及びλ/2位相差層等の位相差層は、汎用の位相差層を用いることができる。
【0033】
液晶性化合物を含む組成物から形成する位相差層は支持体上に形成することが好ましい。支持体上に形成した位相差層は、そのまま用いてもよいし、他の部材(例えば、透明基材)に転写して用いてもよい。なお、前記支持体として透明基材を用いてもよい。
【0034】
λ/4位相差層及びλ/2位相差層の遅相軸と、偏光子の吸収軸とは、以下のようにすることが好ましい。
図1の光学積層体のように、λ/4位相差層を有する場合、λ/4位相差層の遅相軸と、偏光子の吸収軸とがなす角度は45±5°とすることが好ましく、45±2°とすることがより好ましい。
図2の光学積層体のように、λ/4位相差層及びλ/2位相差層を用いる場合、各位相差層の配向軸と、偏光子の吸収軸とがなす角度は、λ/4位相差層及びλ/2位相差層の波長分散により異なるが、下記(i)又は(ii)の範囲が好ましい。
(i)第1の例として、λ/2位相差層の遅相軸と、偏光子層の吸収軸とがなす角度は15±8°であることが好ましく、15±6°であることがより好ましい。そして、このとき、λ/4位相差層の遅相軸と、偏光子層の吸収軸とのなす角度は75±15°であることが好ましく、75±13°であることがより好ましい。
(ii)第2の例として、λ/2位相差層の遅相軸と、偏光子層の吸収軸とがなす角度は75±15°であることが好ましく、75±13°であることがより好ましい。そして、このとき、λ/4位相差層の遅相軸と、偏光子層の吸収軸とのなす角度は15±8°であることが好ましく、15±6°であることがより好ましい。
【0035】
また、図2のように、λ/4位相差層及びλ/2位相差層を用いる場合、λ/4位相差層の面内位相差(Re)と、λ/2位相差層の面内位相差(Re)とは、1.8≦Re/Re≦2.2を満たすことが好ましく、1.9≦Re/Re≦2.1を満たすことがより好ましい。
【0036】
<偏光子>
偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子のいずれを用いてもよい。
ヨウ素系偏光子及び染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光子の吸収軸は、フィルムの延伸方向に相当する。従って、縦方向(搬送方向)に延伸された偏光子は縦方向に対して平行に吸収軸を有し、横方向(搬送方向と垂直方向)に延伸された偏光子は縦方向に対して垂直に吸収軸を有する。
【0037】
偏光子は、偏光度99.00%以上かつ全光線透過率35%以上のものが好ましく、より好ましくは偏光度99.90%以上かつ全光線透過率37%以上であり、さらに好ましくは偏光度99.95%以上かつ全光線透過率40%以上である。偏光子の全光線透過率は、65%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましく、45%以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、全光線透過率とは、JIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率をいうものとする。
【0038】
偏光子の両側の面には保護層を有することが好ましい。
保護層としては、例えば、汎用のプラスチックフィルム等を用いることができる。また、保護層のうち、λ/4位相差層側の保護層としては、後述する透明基材を用いることができる。また、保護層のうち、λ/4位相差層とは反対側の保護層としては、後述する表面保護材を用いることができる。
【0039】
<透明基材>
本発明の光学積層体は、λ/4位相差層と偏光子との間に特定の透明基材を有する。
【0040】
以下、λ/4位相差層と偏光子との間に特定の透明基材を有することにより、斜めから視認した際の色味を抑制し得る原因を説明する。
まず、従来の円偏光板が、斜め方向において色味が視認される理由を説明する。
位相差層と偏光子とを備えた円偏光板は、「正面方向の反射を抑制すること」及び「視感度の高い550nm近傍の反射を抑制すること」が設計の基本となっているため、「斜め方向の反射の抑制」及び「550nmから外れた波長の反射の抑制」が弱点である。かかる弱点を解消する円偏光板として、特許文献1及び2に示すものが提案されているが、前記弱点を完全に解消することは難しい。このため、従来の円偏光板では、斜め方向において550nmから外れた波長の色味が視認されることとなる。
一方、本発明の光学積層体は、λ/4位相差層と偏光子との間に特定の透明基材を有する。かかる特定の透明基材は、透明基材の遅相軸と偏光子の吸収軸とが略平行又は略垂直に配置されてなるため、直線偏光に対しては実質的に作用しない。すなわち、偏光子を通過した外光は直線偏光となり、直線偏光のまま透明基材を透過する。このため、透明基材は外光の反射を抑制することを損なわない。
なお、透明基材の配向主軸の方向(正の複屈折性を示す場合、配向主軸の向きが遅相軸の向きとなり、負の複屈折性を示す場合、配向主軸と直交する向きが遅相軸の向きとなる。)は、一軸延伸であっても完全に均一にすることは難しく、僅かなバラツキがある。また、光学積層体の製造時及び加工時において、透明基材の配向主軸の方向に僅かなバラツキを生じる場合がある。透明基材の配向主軸の方向に僅かなバラツキを有する場合、偏光状態が僅かに乱れる。後述するように、かかる配向主軸の僅かなバラツキが斜め方向の色味を目立ちにくくし得る一因であると考えられる。なお、光学積層体の製造時とは、例えば、各部材を貼り合わせる時のことをいう。また、光学積層体の加工時とは、例えば、光学積層体を断裁する時のことをいう。
透明基材を透過した直線偏光はλ/4位相差層(又はλ/2位相差層及びλ/4位相差層)を透過して右回り又は左回りの円偏光となるが、斜め方向の550nmを外れた波長域は円偏光の状態から外れやすい。このため、従来の円偏光板では、表示素子の表面で反射した光のうち、斜め方向の550nmを外れた波長域は、λ/4位相差層(又はλ/2位相差層及びλ/4位相差層)を再透過した際に直線偏光にならず、偏光子を透過してしまう。
本発明の光学積層体は、λ/4位相差層(又はλ/2位相差層及びλ/4位相差層)を再透過した際に直線偏光とならなかった波長域の光を、特定の透明基材(正の複屈折又は負の複屈折を有し、かつ、厚み方向の位相差が125nm以上又は-125nm以下である透明基材)によって乱すことにより、斜め方向の色味をニュートラル化して目立ちにくくすることができる。なお、直線偏光とならなかった波長域の光が透明基材によって乱れる原因は、前述した特性(正の複屈折又は負の複屈折を有し、かつ、厚み方向の位相差が125nm以上又は-125nm以下)の他に、透明基材の配向主軸の方向の僅かなバラツキが作用していると考えられる。
【0041】
透明基材は、正の複屈折又は負の複屈折を有することを要する。
かかる要件を満たさない透明基材は、斜め方向の色味の問題を解消できない。例えば、透明基材の厚み方向の位相差が125nm以上又は-125nm以下であったとしても、当該透明基材が正の複屈折又は負の複屈折を有さない場合には、斜め方向の色味の問題は解消できない。
なお、正の複屈折とは、面内の配向主軸の方向の屈折率(n1)と、配向主軸に直交する方向の屈折率(n2)とが、n1>n2の関係を満たすものをいう。また、負の複屈折とは、n1<2の関係を満たすものをいう。
正の複屈折又は負の複屈折を有する透明基材としては、正のAプレート、負のAプレート、正のBプレート及び負のBプレートが挙げられる。
正のAプレートとは、nx>ny≒nzの関係を示すものであり、負のAプレートとは、nz≒nx>nyの関係を示すものである。また、正のBプレートとは、nz>nx>nyの関係を示すものであり、負のBプレートとは、nx>ny>nzの関係を示すものである。
【0042】
透明基材は、厚み方向の位相差が125nm以上又は-125nm以下であることを要する。
かかる要件を満たさない透明基材は、斜め方向の色味の問題を解消できない。例えば、透明基材が、正の複屈折又は負の複屈折を有していたとしても、当該透明基材の厚み方向の位相差が125nm以上又は-125nm以下でない場合には、斜め方向の色味の問題は解消できない。
【0043】
透明基材の厚み方向の位相差は、500nm以上又は-500nm以下であることが好ましく、1000nm以上又は-1000nm以下であることがより好ましく、3000nm以上又は-3000nm以下であることがさらに好ましく、5000nm以上又は-5000nm以下であることがよりさらに好ましい。
【0044】
透明基材の厚み方向の位相差は30000nm以下又は-30000nm以上であることが好ましく、15000nm以下又は-15000nm以上であることがより好ましく、10000nm以下又は-10000nm以上であることがさらに好ましく、8000nm以下又は-8000nm以上であることがよりさらに好ましい。
【0045】
透明基材の面内位相差は、斜めから視認した際の色味を抑制しやすくする観点から、40nm以上であることが好ましく、125nm以上であることがより好ましく、500nm以上であることがより好ましく、1000nm以上であることがより好ましく、3000nm以上であることがより好ましく、5000nm以上であることがより好ましい。
透明基材の面内位相差が大きすぎると、透明基材の厚みが増したり、透明基材の耐引裂き性が低下したりする場合がある。このため、透明基材の面内位相差は、50000nm以下であることが好ましく、30000nm以下であることがより好ましく、20000nm以下であることがさらに好ましく、10000nm以下であることがよりさらに好ましい。
【0046】
透明基材は、配向主軸の角度のバラツキ3σが0.01以上であることが好ましい。配向主軸の角度のバラツキ3σが0.01以上であることにより、λ/4位相差層(又はλ/2位相差層及びλ/4位相差層)を再透過した際に直線偏光とならなかった波長域の光を乱しやすくすることができ、ひいては、斜め方向の色味をニュートラル化して目立ちにくくすることができる。
なお、透明基材の配向主軸の角度のバラツキ3σが大きすぎると、光学積層体の外光反射防止性が低下するおそれがある。このため、透明基材の配向主軸の角度のバラツキ3σは、3.00以下であることが好ましく、1.50以下であることがより好ましい。
【0047】
透明基材の配向主軸の角度のバラツキ3σは、上述したように16箇所で測定することが好ましい。各測定箇所において、光軸の角度のバラツキ3σは、各測定箇所を微小領域に分割し、分割した微小領域ごとに測定される光軸の角度に基づき、3σの統計処理をすることにより算出できる。微小領域の面積は100[μm]以上500[μm]以下とすることが好ましい。また、バラツキ3σの信頼度を高めるため、各測定箇所の分割数(各測定箇所の微小領域の数)は1,000以上とすることが好ましく、10,000以上とすることがより好ましい。
【0048】
配向主軸の角度のバラツキ3σは、例えば、Axomecrics社製の商品名「AxoStep」を用いて、下記の手順により測定できる。
【0049】
<操作手順>
1.Calibration実行
(1)Measurementタブにて、wavelengthの値を「550」、number to averageの値を「20」に設定し、「Set Axostep」を押す。
(2)Calibrationタブにて、「DarkImage」を押す。さらに「single calibrate」を押す。
(3)Calibration結果がCalibrationResultウインドウに表示される。ここで、Y値(RMS Error値)が3以下である事を確認する。
(4)Baselineを押す。
(5)Measurementタブにて「Measure Once」を押し測定し、結果を保存する。
(6)Parameter to Plotを押し、「TotalRetardance(nm)」を選択する。
(7)Statisticsウインドウを開き「FullGraph」を選択し、Statisticsウインドウ内のMean値が0.0±0.1nmである事を確認する。
2.標準板の測定
(1)標準板「CAL-VIS-1」をステージに置き測定を行う。
(2)Parameter to Plot から「Total Retardance(nm)」を選択し、Mean値が191.6±1.0nmである事を確認する。同時に「RetardanceOrientation(°)」を選択し、Mean値が0.0±0.05°であることを確認する。
3.実測
サンプルをステージに置き測定を行う。実測時は、Measurementタブにて、wavelengthの値を「550」、number to averageの値を「20」に設定する。
【0050】
上記手順による測定では、1つの測定箇所ごとに、160×128=20,480ピクセル分の光軸(配向主軸)の角度が測定される。そして、20,480の光軸の角度から、測定箇所ごとの光軸の角度のバラツキ3σが算出される。なお、1ピクセルの大きさは432[μm]である。
【0051】
光学積層体において、透明基材は、透明基材の遅相軸と、偏光子の吸収軸とが、略平行又は略垂直に配置されてなることを要する。
かかる要件を満たさない場合、直線偏光が透明基材を透過する際に偏光の状態が乱れ、外光の反射を抑制することができない。
なお、略平行又は略垂直の範囲は上述した通りである。
【0052】
透明基材は、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、アクリルフィルム、ポリスチレン等のプラスチックフィルムを延伸してなる延伸プラスチックフィルムが好ましい。これらの中でも、面内位相差を大きくしやすいという観点から、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルムを延伸したものが好ましい。
また、透明基材は、正分散性(短波長側に向かうにつれて複屈折率が大きくなる性質)を示すものが好ましい。かかる観点から、透明基材はポリエステルフィルムを延伸したもの(延伸ポリエステルフィルム)が好ましい。
ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)等が好適である。
また、透明基材は、プラスチックフィルム等の透明支持体上に円盤状液晶化合物等の液晶化合物を含む液晶層を形成したものであってもよい。また、前述したような透明支持体上に形成した液晶層を、他の層(λ/4位相差層、偏光子等)に転写してなるものを透明基材としてもよい。
【0053】
延伸は、縦一軸延伸、テンター延伸、逐次二軸延伸及び同時二軸延伸等が挙げられる。
透明基材の厚みは、取り扱い性及び薄膜化の観点から、5μm以上300μm以下であることが好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましく、15μm以上100μm以下であることがさらに好ましく、20μm以上50μm以下であることがよりさらに好ましい。
【0054】
<表面保護材>
光学積層体は、偏光子の透明基材とは反対側の面に表面保護材を有していてもよい。
表面保護材としては、例えば、プラスチックフィルム及びガラス等の透明支持体が挙げられる。
また、表面保護材は、前記透明支持体に機能層を有するものであってもよい。機能層としては、ハードコート層、防汚層、防眩層及び反射防止層等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0055】
<その他の層>
光学積層体は、さらにその他の層を有していてもよい。
その他の層としては、各層を接着するための接着剤層及び帯電防止層等が挙げられる。
【0056】
<全光線透過率>
本発明の光学積層体は、全光線透過率が35%以上80%以下であることが好ましく、37%以上65%以下であることがより好ましく、40%以上55%以下であることがさらに好ましい。
光学積層体の全光線透過率を35%以上とすることにより、表示素子の視認性を良好にしやすくできる。また、光学積層体の全光線透過率を80%以下とすることにより、外光の反射を抑制しやすく、さらには、斜めから視認した際の色味を抑制しやすくできる。
全光線透過率は、光学積層体の何れの側から光を入射しても、上記値を示すことが好ましい。
【0057】
<3σΔX、3σΔY>
本発明の光学積層体は、下記の測定1から算出される3σΔX及び3σΔYが何れも0.019未満であることが好ましい。
<測定1>
波長380nm以上780nm以下の分光反射率の平均が20%のアルミ板上に、前記光学積層体を積層してなるサンプルを作製する。前記サンプルにおいて、前記光学積層体は、透明基材を基準としたλ/4位相差層側の面が前記アルミ板側を向くように配置する。
前記サンプルの表面に対して、積分球で拡散した光を法線方向から入射し、反射光を測定する。測定された反射光からXYZ表色系のX値及びY値を算出する。前記測定及び前記算出を、仰角を前記サンプルの表面に対する法線から60度傾いた角度に固定した状態で、方位角0度以上359.5度以下の範囲で0.5度ずつ実施し、720点のX値及びY値を得る。
720点のX値の平均値を「Xave」とする。Xaveに対するn番目の測定点のX値のずれを「ΔXn」とする。720点のΔXnのバラツキ3σを「3σΔX」とする。
720点のY値の平均値を「Yave」とする。Yaveに対するn番目の測定点のY値のずれを「ΔYn」とする。720点のΔYnのバラツキ3σを「3σΔY」とする。
【0058】
「前記サンプルの表面に対する法線から60度傾いた角度」とは、言い換えると、「前記サンプルの表面に平行な方向から30度浮いた角度」である。
【0059】
3σΔX及び3σΔYを何れも0.019未満とすることにより、斜めから視認した際の色味の変化をより抑制することができる。
3σΔX及び3σΔYは、何れも、0.018以下であることがより好ましく、0.017以下であることがさらに好ましく、0.016以下であることがよりさらに好ましい。3σΔX及び3σΔYの下限は制限されないが、何れも、0.005以上であることが好ましく、0.010以上であることがより好ましい。
【0060】
本発明の光学積層体は、前記測定1から算出される3σΔXと3σΔYとの平均が0.018未満であることが好ましい。
3σΔXと3σΔYとの平均を0.018未満とすることにより、斜めから視認した際の色味の変化をより抑制することができる。
3σΔXと3σΔYとの平均は、何れも、0.017以下であることがより好ましく、0.016以下であることがさらに好ましく、0.015以下であることがよりさらに好ましい。3σΔXと3σΔYとの平均の下限は制限されないが、0.005以上であることが好ましく、0.010以上であることがより好ましい。
【0061】
前記サンプルにおいて、前記アルミ板と前記光学積層体とは、前記アルミ板と前記光学積層体との間に空気界面が存在しないように積層することが好ましい。このため、前記アルミ板と前記光学積層体とは、接着剤層を介して貼り合わせたり、水を介して水貼りすることが好ましい。
【0062】
測定1において「波長380nm以上780nm以下の分光反射率の平均が20%のアルミ板」を用いた理由は、有機EL表示素子及びマイクロLED表示素子等の反射率が高い表示素子の代替えのためである。
【0063】
本明細書において、波長380nm以上780nm以下の分光反射率の平均は、SCI方式の反射率のことをいう。SCIは、積分球を用いてサンプル表面にあらゆる方向から光を与え、ライトトラップを閉じて正反射方向を含む全ての反射光を測定し、該測定値から算出される反射率である。代表的なSCIの測定装置は、JIS Z8722:2009の幾何条件cに準拠した構成となっている。より具体的には、代表的なSCI及びSCEの測定装置は、受光器の位置はサンプルの法線に対して+8度であり、受光器の開口角は10度であり、ライトトラップの位置はサンプルの法線に対して-8度であり、ライトトラップのカバー範囲は10度である。このような測定装置としては、コニカミノルタ株式会社製の商品名CM-2002が挙げられる。
【0064】
前記測定1は、仰角を前記サンプルの表面に対する法線から60度傾いた角度に固定し、方位角を0~359.5度の範囲で0.5度ずつ変動させて実施する。このような測定が可能な装置としては、例えば、ELDIM社の商品名「Ez-Contrast160」が挙げられる。
【0065】
<用途>
本発明の光学積層体は、例えば、表示素子の前面用の光学積層体として用いることができる。
表示素子としては、液晶表示素子、有機EL表示素子及びマイクロLED表示素子等が挙げられる。これらの中でも、有機EL表示素子及びマイクロLED表示素子は、表示素子の反射率が高く、本発明の効果を発揮しやすい点で好ましい。
【0066】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、表示素子上に光学積層体を有してなり、前記光学積層体が上述した本発明の光学積層体であり、かつ、前記光学積層体の透明基材を基準としたλ/4位相差層側の面が前記表示素子側を向くように配置してなるものである。
【0067】
表示素子としては、液晶表示素子、有機EL表示素子及びマイクロLED表示素子等が挙げられる。これらの中でも、有機EL表示素子及びマイクロLED表示素子は、表示素子の反射率が高く、本発明の効果を発揮しやすい点で好ましい。
【0068】
また、表示素子は、波長380nm以上780nm以下の分光反射率の平均が10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、17%以上であることがさらに好ましい。かかる表示素子は、本発明の効果を発揮しやすい点で好ましい。
なお、表示素子の分光反射率の平均が大きすぎると、斜めから視認した際の色味を抑制しにくくなる傾向がある。このため、表示素子は、分光反射率の平均が50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、35%以下であることがさらに好ましく、30%以下であることがよりさらに好ましい。
【実施例
【0069】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準とする。
【0070】
1.材料の準備及び作製
1-1.偏光板の準備
下記の偏光板A~Cを準備した。
<偏光板A>
ポリビニルアルコール及びヨウ素から形成されてなるヨウ素系偏光子の両面を光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルムで保護してなる偏光板(偏光度99.95%、全光線透過率40.5%)。
<偏光板B>
ポリビニルアルコール及び二色性染料から形成されてなる染料系偏光子の両面を光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルムで保護してなる偏光板(偏光度99.5%、全光線透過率43%)。
<偏光板C>
液晶材料及び二色性染料から形成されてなる染料系偏光子の両面を光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルムで保護してなる偏光板(偏光度90%、全光線透過率45%)。
【0071】
1-2.λ/4位相差層の準備
下記のλ/4位相差層A~Jを準備した。
<λ/4位相差層A>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶化合物からなるλ/4位相差層を有してなる積層体。Re(550)=140nm、Re(450)/Re(550)=0.85。
<λ/4位相差層B>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に逆分散液晶と正分散液晶のミックスからなる重合性液晶化合物からなるλ/4位相差層を有してなる積層体。Re(550)=140nm、Re(450)/Re(550)=1.00。
<λ/4位相差層C>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶化合物からなるλ/4位相差層を有してなる積層体。Re(550)=140nm、Re(450)/Re(550)=1.09。
<λ/4位相差層D>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶化合物からなるλ/4位相差層を有してなる積層体。Re(550)=140nm、Re(450)/Re(550)=0.90。
<λ/4位相差層E>
シクロオレフィンポリマーからなるλ/4位相差層。Re(550)=140nm、Re(450)/Re(550)=1.0。
<λ/4位相差層F>
ポリカーボネートポリマーからなるλ/4位相差層。Re(550)=140nm、Re(450)/Re(550)=1.1。
<λ/4位相差層G>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶化合物からなるλ/4位相差層を有してなる積層体。Re(550)=120nm、Re(450)/Re(550)=1.09。
<λ/4位相差層H>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶化合物からなるλ/4位相差層を有してなる積層体。Re(550)=120nm、Re(450)/Re(550)=1.0。
<λ/4位相差層I>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶化合物からなるλ/4位相差層を有してなる積層体。Re(550)=80nm、Re(450)/Re(550)=1.09。
<λ/4位相差層J>
ポリカーボネートポリマーからなるλ/4位相差層。Re(550)=120nm、Re(450)/Re(550)=1.1。
【0072】
1-3.λ/2位相差層の準備
下記のλ/2位相差層A~Eを準備した。
<λ/2位相差層A>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶化合物からなるλ/2位相差層を有してなる積層体。Re(550)=260nm、Re(450)/Re(550)=1.09。
<λ/2位相差層B>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶化合物からなるλ/2位相差層を有してなる積層体。Re(550)=240nm、Re(450)/Re(550)=1.0。
<λ/2位相差層C>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶化合物からなるλ/2位相差層を有してなる積層体。Re(550)=160nm、Re(450)/Re(550)=1.09。
<λ/2位相差層D>
シクロオレフィンポリマーからなるλ/2位相差層。Re(550)=275nm、Re(450)/Re(550)=1.0。
<λ/2位相差層E>
ポリカーボネートポリマーからなるλ/2位相差層。Re(550)=240nm、Re(450)/Re(550)=1.1。
【0073】
1-4.透明基材の準備
下記の透明基材A~Iを準備した。
なお、透明基材A~F、Iは、配向主軸の角度のバラツキ3σが0.01以上のものであった。
<透明基材A>
ポリエチレンテレフタレートフィルム、nx>nyを満たす正のAプレート、厚み方向の位相差:2500nm、面内位相差:5000nm。
<透明基材B>
ポリエチレンテレフタレートフィルム、nx>nyを満たす正のAプレート、厚み方向の位相差:5000nm、面内位相差:10000nm。
<透明基材C>
ポリエチレンナフタレートフィルム、nx>nyを満たす正のAプレート、厚み方向の位相差:7500nm、面内位相差:15000nm。
<透明基材D>
ポリエチレンテレフタレートフィルム、nx>nyを満たす正のAプレート、厚み方向の位相差:2000nm、面内位相差:1000nm。
<透明基材E>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶化合物からなる液晶層を有するフィルム、nx>nyを満たす正のAプレート、厚み方向の位相差:25nm、面内位相差:50nm。
<透明基材F>
ポリエチレンナフタレートフィルム、nx>nyを満たす正のAプレート、厚み方向の位相差:5000nm、面内位相差:10000nm。
<透明基材G>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上に重合性液晶を垂直に配向させてなる液晶層を有するフィルム、正のCプレート、厚み方向の位相差:-1000nm
<透明基材H>
光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルム上にコレステリック液晶層を有するフィルム、負のCプレート、厚み方向の位相差:1000nm
<透明基材I>
トリアセチルセルロースフィルム、nx>ny>nzを満たす負の2軸フィルム(負のBプレート)、厚み方向の位相差:250nm、面内位相差:60nm。
【0074】
2.光学積層体の作製
[実施例1]
λ/4位相差層A、透明基材A及び偏光板Aを接着剤層を介してこの順に積層し、実施例1の光学積層体を得た。偏光子の吸収軸と透明基材の遅相軸との成す角度は90度とした。また、偏光子の吸収軸とλ/4位相差層の遅相軸との成す角度は45度とした。
【0075】
[実施例2~7、13~17]、[比較例1~4]
λ/4位相差層、透明基材及び偏光板の材料として表1に記載のものを用い、偏光子の吸収軸と透明基材の遅相軸との成す角度を表1に記載の角度に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~7、13~17及び比較例1~4の光学積層体を得た。
【0076】
[実施例8]
λ/4位相差層H、λ/2位相差層B、透明基材B及び偏光板Aを接着剤層を介してこの順に積層し、実施例8の光学積層体を得た。偏光子の吸収軸と透明基材の遅相軸との成す角度は90度とした。また、偏光子の吸収軸とλ/4位相差層の遅相軸との成す角度は75度とした。また、偏光子の吸収軸とλ/2位相差層の遅相軸との成す角度は15度とした。
【0077】
[実施例9~12]、[比較例5]
λ/4位相差層、λ/2位相差層、透明基材及び偏光板の材料として表1に記載のものを用い、偏光子の吸収軸とλ/4位相差層の遅相軸との成す角度及び偏光子の吸収軸とλ/2位相差層の遅相軸との成す角度を表1に記載の角度に変更した以外は、実施例8と同様にして、実施例9~12及び比較例5の光学積層体を得た。
【0078】
[比較例6~7]
λ/4位相差層E及び偏光板Aを接着剤層を介して積層し、比較例6の光学積層体を得た。また、λ/4位相差層F及び偏光板Aを接着剤層を介して積層し、比較例7の光学積層体を得た。偏光子の吸収軸とλ/4位相差層の遅相軸との成す角度は45度とした。
【0079】
3.模擬画像表示装置の作製
光学的等方性を有するアクリルフィルム上にアルミ蒸着膜を有してなるアルミ蒸着フィルムを作製した。その際、蒸着膜の厚みを変更し、波長380~780nmの分光反射率の平均が20%、30%及び40%の3種類のアルミ蒸着フィルムを作製した。
分光反射率40%のアルミ蒸着フィルムの蒸着膜側の面と、実施例1の光学積層体のλ/4位相差層側の面とを、接着剤層を介して貼り合せ、実施例1の模擬画像表示装置を得た。
アルミ蒸着フィルムを表1に記載の分光反射率を有するものに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~17及び比較例1~7の模擬画像表示装置を得た。
【0080】
4.測定、評価
実施例及び比較例の模擬画像表示装置の偏光板側から三波長蛍光灯で光を照射し、下記の基準で反射防止性及び斜め方向の色味を評価した。光源は三波長蛍光灯のみとして、模擬画像表示装置上の明るさが300~1000ルクスとなる環境とした。結果を表1及び2に示す。
また、実施例及び比較例の光学積層体に関して、全光線透過率を測定した。結果を表1及び2に示す。
また、一部の実施例及び比較例の光学積層体に関して、3σΔX及び3σΔYを算出した。結果を表2に示す。
【0081】
4-1.外光の反射防止性
模擬画像表示装置を正面及び斜めから目視した際に、反射防止性の不足による光漏れが気にならないものを3点、どちらとも言えないものを2点、反射防止性の不足による光漏れが気になるものを1点とした。20人の被験者の平均点を算出し、下記の基準でランク分けした。
<評価基準>
A:平均点が2.5以上
B:平均点が2.0以上2.5未満
C:平均点が1.5以上2.0未満
D:平均点が1.5未満
【0082】
4-2.斜め方向の色味
模擬画像表示装置を斜めから目視した際に、表面の色味が気にならないものを3点、どちらとも言えないものを2点、表面の色味が強く気になるものを1点として、20人の被験者の平均点を算出し、下記の基準でランク分けした。
<評価基準>
A:平均点が2.7以上
B+:平均点が2.5以上2.7未満
B:平均点が2.0以上2.5未満
C:平均点が1.5以上2.0未満
D:平均点が1.5未満
【0083】
4-3.全光線透過率
実施例及び比較例の光学積層体の波長380nm以上780nm以下の全光線透過率を測定し、平均値を算出した。測定器は村上色彩社製の商品名「HM-150」を用いた。光入射面は偏光板側とした。
【0084】
4-4.3σΔX、3σΔY
波長380nm以上780nm以下の分光反射率の平均が20%のアルミ板上に、実施例14の光学積層体を積層してなるサンプルを作製した。サンプルに対して明細書本文の記載の測定1を実施し、サンプルの3σΔX、3σΔYを算出した。実施例14の光学積層体を、実施例15~17の光学積層体、並びに、比較例6の光学積層体に変更して、同様にサンプルの3σΔX、3σΔYを算出した。測定装置はELDIM社の商品名「Ez-Contrast160」を用いた。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
注1:表1及び2中、「角度1」は、偏光子の吸収軸と透明基材の遅相軸とが成す角を意味する。
注2:表1中、「角度2」は、偏光子の吸収軸とλ/2位相差層の遅相軸とが成す角を意味する。
注3:表1及び2中、「角度3」は、偏光子の吸収軸とλ/4位相差層の遅相軸とが成す角を意味する。
【0088】
表1及び2の結果から、実施例の光学積層体は、外光の反射を抑制し得るとともに、斜めから視認した際の色味を抑制し得ることが確認できる。
また、実施例13から、透明基材が「正の複屈折又は負の複屈折を有し、かつ、厚み方向の位相差が125nm以上又は-125nm以下」のものであれば、透明基材の面内位相差が低くても斜め方向の色味を抑制し得ることが確認できる。なお、実施例13と、他の実施例との対比などから、厚み方向の位相差及び面内位相差が大きい方が、斜め方向の色味をより抑制しやすいことが確認できる。
【符号の説明】
【0089】
10:λ/4位相差層
20:λ/2位相差層
30:透明基材
40:偏光子
50:表面保護材
100:光学積層体
図1
図2