(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】撮像素子
(51)【国際特許分類】
H04N 25/703 20230101AFI20250311BHJP
H04N 25/704 20230101ALI20250311BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20250311BHJP
G02B 7/34 20210101ALI20250311BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20250311BHJP
【FI】
H04N25/703
H04N25/704
H04N23/54
G02B7/34
G03B13/36
(21)【出願番号】P 2020176488
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中山 史人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-101722(JP,A)
【文献】特開2012-230172(JP,A)
【文献】特開2017-005509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/33
H04N 23/11
H04N 23/20-23/30
H04N 25/00
H04N 25/20-25/61
H04N 25/615-25/79
H04N 23/54
G02B 7/34
G03B 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズと、第1の光電変換部および第2の光電変換部とを含み、光学系の瞳の第1および第2の領域を通過した第1および第2の光束をそれぞれ光電変換する画素が、前記光学系からの光が入射される領域に複数配置され、
前記画素は、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第1の射出瞳の位置に対応する第1の位置関係を有する第1画素と、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第2の射出瞳の位置に対応する第2の位置関係を有する第2画素と、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第3の射出瞳の位置に対応する第3の位置関係を有する第3画素と、を含み、
前記領域内の第1領域と、前記領域内において前記第1領域よりも第1方向の端部側に位置する第2領域との両方に、前記第1画素が前記第1方向に複数並ぶ第1の画素行が第2方向に複数行配置され、
前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第2画素が前記第1方向に複数並ぶ第2の画素行が配置され、
前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第3画素が前記第1方向に複数並ぶ第3の画素行が配置され、
前記第2領域に配置される複数の前記第1の画素行のうち少なくとも一つの画素行は、前記第2の画素行と前記第3の画素行の間に配置される撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第2の画素行および前記第3の画素行の長さは、前記領域の前記第1方向の長さより短い撮像素子。
【請求項3】
請求項
2に記載の撮像素子において、
前記第2の画素行は前記第2領域に複数配置され、前記第2方向に隣り合う前記第2の画素行は、
前記第1方向において前記領域の中央からの距離が異なる撮像素子。
【請求項4】
請求項
3に記載の撮像素子において、
前記第3の画素行は前記第2領域に複数配置され、前記第2方向に隣り合う前記第3の画素行は、
前記第1方向において前記領域の中央からの距離が異なる撮像素子。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2の画素行および前記第3の画素行は、前記第2方向の全行数のうち予め定めた割合で配置される撮像素子。
【請求項6】
請求項
5に記載の撮像素子において、
前記第2の画素行および前記第3の画素行は、前記第2方向において周期的に配置される撮像素子。
【請求項7】
請求項
5に記載の撮像素子において、
前記第2の画素行および前記第3の画素行は、前記第2方向において非周期的に配置される撮像素子。
【請求項8】
請求項
5に記載の撮像素子において、
前記第2の画素行および前記第3の画素行は、それぞれ前記第2方向に少なくとも3行並べて配置される撮像素子。
【請求項9】
マイクロレンズと、第1の光電変換部および第2の光電変換部とを含み、光学系の瞳の第1および第2の領域を通過した第1および第2の光束をそれぞれ光電変換する画素が、前記光学系からの光が入射される領域に複数配置され、
前記画素は、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第1の射出瞳の位置に対応する第1の位置関係を有する第1画素と、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第2の射出瞳の位置に対応する第2の位置関係を有する第2画素と、を含み、
前記領域内の第1領域と、前記領域内において前記第1領域よりも第1方向の端部側に位置する第2領域との両方に、前記第1画素が前記第1方向に複数並ぶ第1の画素行が第2方向に複数行配置され、
前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第2画素が前記第1方向に複数並ぶ第2の画素行が複数配置され、
前記第2方向に隣り合う前記第2の画素行は、
前記第1方向において前記領域の中央からの距離が異なる撮像素子。
【請求項10】
請求項
9に記載の撮像素子において、
前記画素は、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第3の射出瞳の位置に対応する第3の位置関係を有する第3画素を含み、
前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第3画素が前記第1方向に複数並ぶ第3の画素行が配置され、
前記第2方向に隣り合う前記第3の画素行は、
前記第1方向において前記領域の中央からの距離が異なる撮像素子。
【請求項11】
マイクロレンズと、第1の光電変換部および第2の光電変換部とを含み、光学系の瞳の第1および第2の領域を通過した第1および第2の光束をそれぞれ光電変換する画素が、前記光学系からの光が入射される領域に複数配置され、
前記画素は、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第1の射出瞳の位置に対応する第1の位置関係を有する第1画素と、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第2の射出瞳の位置に対応する第2の位置関係を有する第2画素と、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第3の射出瞳の位置に対応する第3の位置関係を有する第3画素と、を含み、
前記領域内の第1領域と、前記領域内において前記第1領域よりも第1方向の端部側に位置する第2領域との両方に、前記第1画素が前記第1方向に複数並ぶ第1の画素行が第2方向に複数行配置され、
前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第2画素が前記第1方向に複数並ぶ第2の画素行が配置され、
前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第3画素が前記第1方向に複数並ぶ第3の画素行が配置され、
前記第2の画素行および前記第3の画素行は、前記第2方向において非周期的に配置される撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの光電変換部を設けた画素が光電変換領域に配置され、瞳分割位相差方式の焦点検出を行う技術が知られている(特許文献1参照)。このような技術では、光電変換領域の像高が高い位置に配置された画素において検出精度が悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
発明の一態様による撮像素子は、マイクロレンズと、第1の光電変換部および第2の光電変換部とを含み、光学系の瞳の第1および第2の領域を通過した第1および第2の光束をそれぞれ光電変換する画素が、前記光学系からの光が入射される領域に複数配置され、前記画素は、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第1の射出瞳の位置に対応する第1の位置関係を有する第1画素と、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第2の射出瞳の位置に対応する第2の位置関係を有する第2画素と、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第3の射出瞳の位置に対応する第3の位置関係を有する第3画素と、を含み、前記領域内の第1領域と、前記領域内において前記第1領域よりも第1方向の端部側に位置する第2領域との両方に、前記第1画素が前記第1方向に複数並ぶ第1の画素行が第2方向に複数行配置され、前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第2画素が前記第1方向に複数並ぶ第2の画素行が配置され、前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第3画素が前記第1方向に複数並ぶ第3の画素行が配置され、前記第2領域に配置される複数の前記第1の画素行のうち少なくとも一つの画素行は、前記第2の画素行と前記第3の画素行の間に配置される。
発明の一態様による撮像素子は、マイクロレンズと、第1の光電変換部および第2の光電変換部とを含み、光学系の瞳の第1および第2の領域を通過した第1および第2の光束をそれぞれ光電変換する画素が、前記光学系からの光が入射される領域に複数配置され、前記画素は、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第1の射出瞳の位置に対応する第1の位置関係を有する第1画素と、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第2の射出瞳の位置に対応する第2の位置関係を有する第2画素と、を含み、前記領域内の第1領域と、前記領域内において前記第1領域よりも第1方向の端部側に位置する第2領域との両方に、前記第1画素が前記第1方向に複数並ぶ第1の画素行が第2方向に複数行配置され、前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第2画素が前記第1方向に複数並ぶ第2の画素行が複数配置され、前記第2方向に隣り合う前記第2の画素行は、前記第1方向において前記領域の中央からの距離が異なる。
発明の一態様による撮像素子は、マイクロレンズと、第1の光電変換部および第2の光電変換部とを含み、光学系の瞳の第1および第2の領域を通過した第1および第2の光束をそれぞれ光電変換する画素が、前記光学系からの光が入射される領域に複数配置され、前記画素は、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第1の射出瞳の位置に対応する第1の位置関係を有する第1画素と、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第2の射出瞳の位置に対応する第2の位置関係を有する第2画素と、前記マイクロレンズと前記第1および前記第2の光電変換部とが前記光学系の第3の射出瞳の位置に対応する第3の位置関係を有する第3画素と、を含み、前記領域内の第1領域と、前記領域内において前記第1領域よりも第1方向の端部側に位置する第2領域との両方に、前記第1画素が前記第1方向に複数並ぶ第1の画素行が第2方向に複数行配置され、前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第2画素が前記第1方向に複数並ぶ第2の画素行が配置され、前記第1領域および前記第2領域のうち前記第2領域のみに、前記第3画素が前記第1方向に複数並ぶ第3の画素行が配置され、前記第2の画素行および前記第3の画素行は、前記第2方向において非周期的に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】第1の実施形態によるカメラを例示するブロック図である。
【
図5】a系列およびb系列の信号を例示する図である。
【
図6】撮像素子の光電変換領域を説明する図である。
【
図7】瞳分割位相差方式による焦点検出光束を説明するための撮像素子の断面図である。
【
図8】瞳分割位相差方式による焦点検出光束を説明するための撮像素子の断面図である。
【
図9】第1の実施形態の変形例1において、短距離対応ML行および長距離対応ML行を設ける領域を説明する図である。
【
図10】第1の実施形態の変形例2において、短距離対応ML行および長距離対応ML行を設ける領域を説明する図である。
【
図11】第2の実施形態による撮像素子の像高が高い位置に配置されている画素のマイクロレンズの拡大図である。
【
図12】第2の実施形態による撮像素子の像高が高い位置に配置されている画素のマイクロレンズの拡大図である。
【
図13】第2の実施形態の変形例3による撮像素子の像高が高い位置に配置されている画素のマイクロレンズの拡大図である。
【
図14】第2の実施形態の変形例3による撮像素子の像高が高い位置に配置されている画素のマイクロレンズの拡大図である。
【
図15】短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第1態様を説明する図である。
【
図16】短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第2態様を説明する図である。
【
図17】短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第3態様を説明する図である。
【
図18】短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第4態様を説明する図である。
【
図19】短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第5態様を説明する図である。
【
図20】短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第6態様を説明する図である。
【
図21】短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第7態様を説明する図である。
【
図22】短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第8態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による固体撮像素子3(以降、撮像素子3と称する)を用いた焦点検出装置を搭載するデジタルカメラ1(以降、カメラ1と称する)を例示するブロック図である。
撮像素子3は、1つのマイクロレンズに対して複数の光電変換部を有する画素が、撮像素子3で画像を生成する光電変換領域の全域にわたって配置される。そして、画素ごとに読み出された光電変換信号が、瞳分割位相差方式の焦点検出に用いられる。
【0007】
一般に、光電変換領域の中央部では、光電変換部に対して略垂直に光が入射するのに対し、光電変換領域の中央部より外側(中央部より像高が高い領域)に位置する周辺部では、光電変換部に対して斜めに光が入射される。このため、光電変換領域の周辺部には、光が斜めに入射される場合に適した画素をあらかじめ設けておく。
【0008】
ところが、カメラ1に用いられる撮影レンズの特性により、射出瞳から撮像素子3までの距離が変化すると、上記周辺部に対して斜めに入射される光の角度が変わる。そこで、本実施形態では、複数の異なる撮影レンズに対応させて、光が斜めに入射される場合に適した画素を光電変換領域の周辺部に複数通り設けておく。これにより、撮影レンズの特性が異なる場合にも、光電変換領域の周辺部において瞳分割位相差方式の焦点検出を適切に行うことが可能になる。
【0009】
以下、図面を参照して詳細に説明する。第1の実施形態において、一眼レフタイプやミラーレスタイプ等のレンズ交換式のカメラ1を例に説明するが、レンズ交換式のカメラでなくてもよい。例えば、ズームレンズを備えるレンズ一体型のカメラ、あるいはスマートフォン等の携帯端末に搭載されるカメラのような撮像装置として構成してもよい。また、静止画に限らず、動画を撮像するビデオカメラ、モバイルカメラ等の撮像装置として構成してもよい。
【0010】
<カメラの構成>
カメラ1には、撮像光学系として撮影レンズ2が装着される。撮影レンズ2は、フォーカシングレンズや絞りを有する。撮影レンズ2が有するフォーカシングレンズや絞りは、マイクロプロセッサ9から指示を受けたレンズ制御部2aによって制御される。撮影レンズ2は、撮像素子3の撮像面に光学像(被写体像)を結像させる。撮影レンズ2は、結像光学系とも称する。
【0011】
撮像素子3は、複数の画素を有する。後述するように、複数の画素は、撮影レンズ2を透過し入射した光を光電変換して電荷を生成する2つの光電変換部をそれぞれ有する。2つの光電変換部は、光電変換により生成された電荷に基づく信号をそれぞれ出力する。撮像素子3は、マイクロプロセッサ9から指示を受けた撮像制御部4によって制御される。撮像素子3が有する複数の画素から出力される信号は、信号処理部5、およびA/D変換部6を介して処理された後、メモリ7に一旦記憶される。バス8には、レンズ制御部2a、撮像制御部4、メモリ7、マイクロプロセッサ9、焦点演算部(焦点検出処理部)10、記録部11、画像圧縮部12および画像処理部13などが接続される。
なお、撮像素子3が、信号処理部5と、A/D変換部6と、メモリ7との一部または全部を含む積層構成にしてもよい。撮像素子3は、信号処理部5およびA/D変換部6およびメモリ7のうち少なくとも1つと、複数の画素とが積層される構成であってもよい。
【0012】
マイクロプロセッサ9には、レリーズ釦などの操作部9aから操作信号が入力される。マイクロプロセッサ9は、操作部9aからの操作信号に基づいて各ブロックへ指示を送り、カメラ1を制御する。
【0013】
焦点演算部10は、撮像素子3が有する画素からの信号に基づき、瞳分割型の位相差検出方式によって撮影レンズ2による焦点調節状態を算出する。焦点演算部10は、後述する画素20が有する第1および第2のフォトダイオードS1およびS2で生成される電荷に基づく信号に基づいて、撮影レンズ2による像が撮像素子3の撮像面上に合焦するためのフォーカスレンズの合焦位置を算出する。具体的には、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した複数の光束による像の像ズレ量を検出し、検出した像ズレ量に基づいてデフォーカス量を算出する。デフォーカス量は、撮影レンズ2による像が結像する結像面と撮像素子3の撮像面とのずれ量である。位相差検出方式によるデフォーカス量の演算は公知であるため、詳細な説明は省略する。焦点演算部10は、算出したデフォーカス量に基づいて、合焦位置までのフォーカスレンズの移動量を算出する。
マイクロプロセッサ9は、レンズ制御部2aへフォーカシングレンズの移動を指示するとともに、算出したフォーカスレンズの移動量を送る。これにより、焦点調節が自動で行われる。焦点演算部10、マイクロプロセッサ9およびレンズ制御部2aは、焦点調節部として動作する。
【0014】
画像処理部13は、メモリ7に記憶された撮像素子3からの信号に対して所定の画像処理を行って画像データを生成する。画像処理部13は、画像生成部として動作する。画像圧縮部12は、画像処理後の画像データを所定形式でデータ圧縮する。記録部11は、圧縮後の画像データを所定のファイル形式で記録媒体11aに記録したり、記録媒体11aに記録されている画像データを読み出したりする。記録媒体11aは、記録部11に対して着脱自在のメモリカードなどで構成される。
【0015】
また、画像処理部13は、画像を表示部14に表示させるための画像データを生成する。表示部14は、画像処理部13で生成された画像データに基づく画像を表示する。表示部14が表示する画像には、記録媒体11aに記録されている画像データに基づく再生画像(静止画、動画)や、撮像素子3によって所定の間隔(例えば60fps)で取得されるモニタ用画像(ライブビュー画像とも称される)が含まれる。
【0016】
<撮像素子の概要>
図2は、撮像素子3の概略構成を例示する図である。撮像素子3は、マトリクス状に配置された複数の画素20と、各画素20からの信号を出力するための周辺回路とを有する。一般に、画像を構成する最小単位が「画素」と称されるが、本実施形態では、画像を構成する最小単位の信号を生成する構成を「画素」と称する。
光電変換領域31は、画素20がマトリクス状に配置されている領域を示す。
図2の例では、光電変換領域31として水平に4行×垂直に4列の16画素分の範囲を例示しているが、実際の画素数は
図2に例示するものよりはるかに多い。
【0017】
図3は、撮像素子3の画素配置を例示する図である。画素20には、マイクロレンズMLと不図示のカラーフィルタとが設けられる。カラーフィルタは、一画素20につき、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の異なる分光特性を有する3つのカラーフィルタのいずれか一つが設けられる。Rのカラーフィルタは、主に赤色の波長域の光を透過する。また、Gのカラーフィルタは、主に緑色の波長域の光を透過する。さらに、Bのカラーフィルタは、主に青色の波長域の光を透過する。Gのカラーフィルタは、Rのカラーフィルタよりも波長が短い波長域の光を透過する。Bのカラーフィルタは、Gのカラーフィルタよりも波長が短い波長域の光を透過する。これにより、各画素20は、配置されたカラーフィルタによって異なる分光特性を有する。
【0018】
撮像素子3には、RおよびGのカラーフィルタを有する画素20(以下、それぞれ画素20R、画素20Gと称する)が交互に配置される画素行(RG行とも称する)と、GおよびBのカラーフィルタを有する画素20(以下、それぞれ画素20G、画素20Bと称する)が交互に配置される画素行(GB行とも称する)とが、二次元状に繰り返し配置される。第1の実施形態では、画素20R、画素20G、および画素20Bが、ベイヤー配列に従って配置される。
なお、以降の説明において、R、G、Bを付さずに画素20と称する場合は、画素20R、画素20G、および画素20Bを全て含むものとする。
【0019】
各画素20には、それぞれ2つの光電変換部が設けられる。一般に、1画素当たり2つの光電変換部が設けられる場合、2つの光電変換部が水平方向、すなわち行方向に並ぶ場合(水平分割とも称される)と、2つの光電変換部が垂直方向、すなわち列方向に並ぶ場合(垂直分割とも称される)とが存在する。第1の実施形態では、光電変換領域31の全域にわたって水平分割の画素20が配される。ただし、所定の領域には、水平分割の画素20に代えて垂直分割の画素20を配してもよい。
【0020】
図3では、各画素20の2つの光電変換部のうちの一方をハッチングして示す。ハッチングされた光電変換部は、この光電変換部で生成された電荷に基づいて後述する第1信号が生成されることを示す。また、ハッチングされない光電変換部は、この光電変換部で生成された電荷に基づいて、後述する第2信号が生成されることを示す。
各画素20は、周辺回路からの制御信号にしたがって2つの光電変換部で光電変換を行い、光電変換部で生成された電荷に基づく信号を出力する。
【0021】
再び
図2を用いて説明する。周辺回路は、例えば、垂直走査回路21と、水平走査回路22と、これらと接続されている制御信号線23、24と、画素20からの信号を受け取る第1および第2の垂直信号線25aおよび25bと、第1および第2の垂直信号線25aおよび25bに接続される定電流源26と、相関二重サンプリング回路(CDS回路)27と、CDS回路27から出力される信号を受け取る水平信号線28と、出力アンプ29等により構成される。本実施形態では、列方向に配置された複数の画素20からなる1画素列に対し、2本の垂直信号線、すなわち第1および第2の垂直信号線25aおよび25bが設けられている。
【0022】
垂直走査回路21および水平走査回路22は、撮像制御部4からの指示により所定の制御信号を出力する。各画素20は、垂直走査回路21から出力される制御信号によって駆動され、光電変換で生成された電荷に基づく信号を第1および第2の垂直信号線25aおよび25bに出力する。画素20から出力された信号は、CDS回路27にてノイズ除去が施され、水平走査回路22からの制御信号によって水平信号線28および出力アンプ29を介して外部へ出力される。
【0023】
<1画素に2つのフォトダイオードPDを有する構成>
図4は、
図3においてM列に並ぶ(垂直方向に並ぶ)画素20、すなわち、例えばN行目の画素20Gと、N+1行目の画素20Rとを説明する回路図である。各画素20は、マイクロレンズMLおよびカラーフィルタの内側(背後)に光電変換部として2つのフォトダイオードS1およびS2を有する。すなわち、各画素20は、画素20の左側に配置された第1のフォトダイオードS1と、画素20の右側に配置された第2のフォトダイオードS2とを有する。
したがって、各画素20の第1のフォトダイオードS1には、撮影レンズ2の瞳の第1の領域を通過した光束が入射し、第2のフォトダイオードS2には、撮影レンズ2の瞳の第2の領域を通過した光束が入射する。
【0024】
本実施形態では、例えば、第1のフォトダイオードS1および第2のフォトダイオードS2と、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2で生成された電荷に基づく信号を読み出す読み出し部とを含めて「画素」と呼ぶ。読み出し部は、後述する転送トランジスタ、FD領域、増幅トランジスタ、および選択トランジスタを含む例を説明するが、読み出し部の範囲は、必ずしも本例の通りでなくてもよい。
【0025】
各画素20において、上述のように、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2には、それぞれ撮影レンズ2の瞳の異なる領域、すなわち第1および第2の領域を通過した光が入射される。第1および第2のフォトダイオードS1およびS2は、それぞれ入射光を光電変換して電荷を生成する。第1のフォトダイオードS1で生成された電荷は、第1の転送トランジスタTx-1を介して第1のFD(フローティング拡散)領域FD1へ転送される。また、第2のフォトダイオードS2で生成された電荷は、第2の転送トランジスタTx-2を介して第2のFD領域FD2へ転送される。
【0026】
第1のFD領域FD1は、受け取った電荷を蓄積し、電圧に変換する。第1のFD領域FD1の電位に応じた信号は、第1の増幅トランジスタAMP1によって増幅される。第1のFD領域FD1および第1の増幅トランジスタAMP1は、第1信号生成部として動作する。そして、生成された信号は、行を選択する第1の選択トランジスタSEL1によって選択された行の信号として、第1の垂直信号線25a(出力部)を介して読み出される。第1のリセットトランジスタRES1は、第1のFD領域FD1の電位をリセットするリセット部として動作する。本実施形態では、第1のフォトダイオードS1で生成された電荷に基づいて生成された信号を第1信号と称する。
【0027】
同様に、第2のFD領域FD2は、受け取った電荷を蓄積し、電圧に変換する。第2のFD領域FD2の電位に応じた信号は、第2の増幅トランジスタAMP2によって増幅される。第2のFD領域FD2および第2の増幅トランジスタAMP2は、第2信号生成部として動作する。そして、生成された信号は、行を選択する第2の選択トランジスタSEL2によって選択された行の信号として、第2の垂直信号線25b(出力部)を介して読み出される。第2のリセットトランジスタRES2は、第2のFD領域FD2の電位をリセットするリセット部として動作する。本実施形態では、第2のフォトダイオードS2で生成された電荷に基づいて生成された信号を第2信号と称する。
【0028】
なお、第1のフォトダイオードS1で生成された電荷に基づく第1信号が第1の垂直信号線25aを介して読み出され、第2のフォトダイオードS2で生成された電荷に基づく第2信号が第2の垂直信号線25bを介して読み出される場合を例示したが、第1のフォトダイオードS1と第2のフォトダイオードS2との間で共通のFD領域を用いることにより、第1のフォトダイオードS1で生成された電荷に基づく第1信号と、第2のフォトダイオードS2で生成された電荷に基づく第2信号とを1本の垂直信号線、すなわち第1の垂直信号線25aまたは第2の垂直信号線25bを介して時分割的に読み出す構成にしてもよい。
【0029】
<制御信号>
画素20において、第1のフォトダイオードS1で生成された電荷を転送する第1の転送トランジスタTx-1は、第1の制御信号φTx1によってオンされる。また、第2のフォトダイオードS2で生成された電荷を転送する第2の転送トランジスタTx-2は、第2の制御信号φTx2によってオンされる。
第1信号を第1の垂直信号線25aに出力させる行選択用の第1の選択トランジスタSEL1は、第1の制御信号φSEL1によってオンされる。第1のFD領域FD1の電位をリセットさせる第1のリセットトランジスタRES1は、第1の制御信号φRES1によってオンされる。
また、第2信号を第2の垂直信号線25bに出力させる行選択用の第2の選択トランジスタSEL2は、第2の制御信号φSEL2によってオンされる。第2のFD領域FD2の電位をリセットさせる第2のリセットトランジスタRES2は、第2の制御信号φRES2によってオンされる。
【0030】
<焦点調節>
本実施形態のカメラ1は、焦点検出(合焦位置の検出)に用いる一対の焦点検出信号を、例えば、フォーカスエリアに対応する画素行のうち、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)から読み出された、画素20Gの第1信号と第2信号とに基づいて生成する。フォーカスエリアは、焦点演算部10が位相差情報としての像ズレ量を検出するエリアであり、焦点検出エリア、測距点、オートフォーカス(AF)ポイントとも称される。
【0031】
マイクロプロセッサ9は、例えば、レリーズ釦が半押し操作されたことを示す操作信号が操作部9aから入力されると、撮像制御部4に焦点調節用の撮像を指示する。焦点調節用の撮像では、撮像素子3の読み出し対象となる画素行に対し、垂直走査回路21および水平走査回路22から焦点調節用の制御信号を供給して焦点調節用の読み出しを行う。焦点調節用の読み出しは、画素行の各画素20Gに第1の制御信号φTx1等を供給して画素20Gから第1のフォトダイオードS1で生成された電荷に基づく第1信号を読み出すとともに、画素行の各画素20Gに第2の制御信号φTx2等を供給して画素20Gから第2のフォトダイオードS2で生成された電荷に基づく第2信号を読み出すことをいう。
【0032】
焦点調節用の読み出しにより、各画素20Gから読み出された第1信号と第2信号とがメモリ7に記憶される。メモリ7に記憶された複数の第1信号A1,A2,…,An(a系列の信号と称する)と、メモリ7に記憶された複数の第2信号B1,B2,…,Bn(b系列の信号と称する)とは、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した複数の光束による像の強度分布を表す。
【0033】
図5は、複数の第1信号からなるa系列の信号と、複数の第2信号からなるb系列の信号とを例示する図である。
図5において、n個のa系列の信号をハッチング処理した丸で表す。また、n個のb系列の信号を白丸で表す。画素20Gからのa系列の信号およびb系列の信号は、それぞれ
図3の1列おきに読み出される。
図5の縦の破線は、画素列に対応する。
焦点演算部10は、上記a系列の信号とb系列の信号とに基づき、像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって複数の像の像ズレ量を算出し、像ズレ量に所定の変換係数を乗算することによってデフォーカス量を算出する。
【0034】
次に、マイクロプロセッサ9は、焦点演算部10によって算出されたデフォーカス量が許容値以内か否かを判定する。マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が許容値を超えている場合は合焦していないと判断し、レンズ制御部2aへレンズ駆動指示を送る。レンズ制御部2aは、デフォーカス量を許容値以内に納める位置(合焦位置)へフォーカシングレンズを移動させる。一方、マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が許容値以内であれば合焦していると判断し、レンズ駆動指示を送らない。
【0035】
なお、上述したカメラ1では、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)から読み出された、画素20Gの第1信号と第2信号とに基づいて焦点調節に用いる画像データを生成した。焦点調節に用いる画像データは、画素20Gによる第1信号と第2信号とに限らず、画素20Bによる第1信号と第2信号とに基づいて生成してもよい。また、画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)から読み出された、画素20Gまたは画素20Rの第1信号と第2信号とに基づいて焦点調節に用いる画像データを生成してもよい。
【0036】
<画像データの生成>
本実施形態のカメラ1は、被写体像に関する画像データを、光電変換領域31(
図2)の各画素20から読み出された第1信号と第2信号とに基づいて生成する。マイクロプロセッサ9は、例えば、レリーズ釦が全押し操作されたことを示す操作信号が操作部9aから入力されると、撮像制御部4に記録用の撮像を指示する。記録用の撮像では、撮像素子3の各画素行に対し、垂直走査回路21および水平走査回路22から画像用の制御信号を供給して画像用の読み出しを行う。画像用の読み出しは、画素行の各画素20に第1の制御信号φTx1等を供給して画素20から第1のフォトダイオードS1で生成された電荷に基づく第1信号を読み出すとともに、画素行の各画素20に第2の制御信号φTx2等を供給して画素20から第2のフォトダイオードS2で生成された電荷に基づく第2信号を読み出すことをいう。
【0037】
画像用の読み出しにより、各画素20から読み出された第1信号と第2信号とがメモリ7に記憶される。画像処理部13は、メモリ7に記憶された第1信号および第2信号を画素20ごとに加算して画像用の信号を生成し、さらに階調処理や色補間処理などを施して、被写体像に関する画像データを生成する。
【0038】
<スケーリング>
本実施形態では、光電変換領域31に各画素20が等間隔で配置される。すなわち、画素20の第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の行方向、列方向の間隔は、光電変換領域31の全域にわたって等間隔である。等間隔に配置することで、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の周りの配線位置や配線密度等を各画素20において同等にできるため、各画素20の電気的な特性(例えば、寄生容量等)のばらつきを抑えることができる。
【0039】
一方、本実施形態では、光電変換領域31に配置されている画素20の位置により、その画素20に光を集光するマイクロレンズMLの中心位置を、画素20の中心位置からずらして配置する。ずらし量は、画素20が配置された位置の像高が高いほど(光電変換領域31の中心から離れるほど)大きくする。本例では、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の中心位置を、画素20の中心位置とする。マイクロレンズMLの中心位置と画素20の中心位置とのずらし量を、光電変換領域31の中で徐々に変化させることをスケーリングと称する。画素20の中心位置とマイクロレンズMLの中心位置とのずらし量を、画素20の位置により変化させるのは、撮影レンズ2の瞳の異なる領域、すなわち瞳の第1および第2の領域を通過した光を、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2に適切に入射させるためである。
図6を参照して、さらに詳細に説明する。
【0040】
図6は、撮像素子3の光電変換領域31を説明する図である。上述したように、光電変換領域31の全域に画素20が等間隔で配置される。そして、標準の特性(例えば35mm判換算で焦点距離f=50mm)を有する撮影レンズ2を介して入射される光に適したスケーリングにより、画素20の中心位置に対してマイクロレンズMLの中心位置をずらして配置する。
図6の例では、マイクロレンズMLをずらす方向は行方向(水平方向)であり、光電変換領域31の中心に向かう方向である。本実施形態において、標準の特性に適合させてマイクロレンズMLをずらして配置する画素行を、中距離対応ML行と称する。光電変換領域31の全域の画素行を中距離対応ML行によって構成することによって、全ての画素20で、標準の特性を有する撮影レンズ2の瞳の第1および第2の領域を通過した光が、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2に適切に入射される。
【0041】
本実施形態では、標準の特性と異なる特性を有する撮影レンズ2を用いる場合にも、撮影レンズ2の瞳の第1および第2の領域を通過した光が、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2に適切に入射されるように、中距離対応ML行と異なるスケーリングによりマイクロレンズMLを配置した画素行を設ける。具体的には、例えば光電変換領域31の左右端30%の領域、すなわち、像高が高い領域の一部において、中距離対応ML行に代えて短距離対応ML行と長距離対応ML行とを設ける。本実施形態において、例えば上記焦点距離f=50mmよりも短い焦点距離を有する広角レンズの特性に適合させてマイクロレンズMLをずらして配置する画素行を、短距離対応ML行と称する。また、上記焦点距離f=50mmよりも長い焦点距離を有する望遠レンズの特性に適合させてマイクロレンズMLをずらして配置する画素行を、長距離対応ML行と称する。
【0042】
図6の下部において、光電変換領域31の周辺部、例えば、像高が高い位置にある領域31bに配置されている画素20のマイクロレンズMLの拡大図を示す。本実施形態では、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)を焦点検出に用いるので、GB行の一部を短距離対応ML行や長距離対応ML行と置換する。拡大図において、短距離対応ML行を挟んで上側2行と下側2行は、それぞれ中距離対応ML行である。中距離対応ML行では、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(中)との間隔がGである。すなわち、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量はGである。
なお、
図6では、画素20Gを白、画素20Bを斜線、画素20Rをハッチングで示す。
【0043】
一方、短距離対応ML行では、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(短)との間隔がGsである。すなわち、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量はGsである。G<Gsが成立するように、短距離対応ML行におけるずらし量Gsは、中距離対応ML行におけるずらし量Gよりも大きい。この理由を
図7、
図8を参照して説明する。
【0044】
<撮像素子の中央部>
図7は、瞳分割位相差方式による焦点検出光束を説明するための撮像素子3の中距離対応ML行の断面図である。
図7では、
図6の光電変換領域31の中央部、すなわち像高が低い位置にある領域31aの画素20に対して光が略垂直に入射される場合を示す。
図7において、中距離対応ML行の画素20のうち5つの画素20Ga、20Bb、20Gc、20Bd、20Geが例示される。画素20Ga~画素20Geはそれぞれ、マイクロレンズMLa~MLeと、第1のフォトダイオードS1a、第2のフォトダイオードS2a、第1のフォトダイオードS1b、第2のフォトダイオードS2b、第1のフォトダイオードS1c、第2のフォトダイオードS2c、第1のフォトダイオードS1d、第2のフォトダイオードS2d、第1のフォトダイオードS1e、第2のフォトダイオードS2eとを有する。
【0045】
光電変換領域31の中央部では画素20に対して光が略垂直に入射される。このため、マイクロレンズMLの中心位置を、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の中心位置と合わせて配置する。つまり、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらしは不要である。また、画素20に対して光が略垂直に入射される光電変換領域31の中央部では、短距離対応ML行および長距離対応ML行を設ける必要もない。
図7によれば、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(中)とが一致する。
【0046】
また、第1のフォトダイオードS1a、S1b、S1c、S1d、S1eの平面形状は、マイクロレンズMLa~MLeから測距瞳距離dだけ離間した測距瞳面90上において第1のフォトダイオードS1a、S1b、S1c、S1d、S1eの全てに共通する領域91に投影される。
【0047】
さらに、第2のフォトダイオードS2a、S2b、S2c、S2d、S2eの平面形状は、マイクロレンズMLa~MLeから測距瞳距離dだけ離間した測距瞳面90上において第2のフォトダイオードS2a、S2b、S2c、S2d、S2eの全てに共通する領域92に投影される。領域91および領域92は、光軸を通る線Axに対して対称である。この場合には、測距瞳面90上の第1および第2の領域91、92を通過した光が、画素20の第1および第2のフォトダイオードS1およびS2に適切に入射される。
【0048】
上記平面形状がそれぞれ投影された測距瞳面90上の一対の領域91、92を、測距瞳と呼ぶ。説明を容易にするために、測距瞳面90は、撮影レンズ2の光学系の射出瞳面と実質的に同じ位置にあるものとする。すなわち、マイクロレンズMLa~MLeから測距瞳面90までの測距瞳距離dが、マイクロレンズMLa~MLeから撮影レンズ2の光学系の射出瞳面までの射出瞳距離と実質的に等しいとみなす。このため、上記の測距瞳面90上の第1および第2の領域91、92を通過した光は、撮影レンズ2の瞳の第1および第2の領域を通過した光に対応する。
【0049】
画素20Ga~画素20Geのうちの画素20Gcおよび20Bdを例にあげて説明すると、画素20Gcは、第1のフォトダイオードS1cにより、測距瞳91とマイクロレンズMLcとを通過する焦点検出光束81を受光するとともに、第2のフォトダイオードS2cにより、測距瞳92とマイクロレンズMLcとを通過する焦点検出光束82を受光する。
【0050】
また、画素20Bdは、第1のフォトダイオードS1dにより、測距瞳91とマイクロレンズMLdとを通過する焦点検出光束71を受光するとともに、第2のフォトダイオードS2dにより、測距瞳92とマイクロレンズMLdとを通過する焦点検出光束72を受光する。
【0051】
図7における画素20Gcおよび20Bd以外の画素20Ga、20Bb、20Geにおいても同様である。以上説明したように、光電変換領域31の中央部では、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置をずらすことなく、撮影レンズ2の瞳の第1および第2の領域を通過した光に対応する、測距瞳91および92を通過した焦点検出光束が、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2に適切に入射する。
【0052】
これにより、中距離対応ML行では、複数の画素20における第1のフォトダイオードS1が、それぞれ測距瞳91に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応した第1信号を出力する。また、複数の画素20における第2のフォトダイオードS2が、それぞれ測距瞳92に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応した第2信号を出力する。以上により、焦点検出用の瞳分割を精度よく行うことができる。
【0053】
<撮像素子の周辺部>
図8は、瞳分割位相差方式による焦点検出光束を説明するための撮像素子3の中距離対応ML行の断面図である。
図8では、
図6の光電変換領域31の周辺部、すなわち中央部に比べて像高が高い位置ある領域31bの画素20に対して光が斜めに入射される場合を示す。
図8において、中距離対応ML行の画素20のうち5つの画素20Gg~20Gkが例示される。画素20Gg~画素20Gkはそれぞれ、マイクロレンズMLg~MLkと、第1のフォトダイオードS1g、第2のフォトダイオードS2g、第1のフォトダイオードS1h、第2のフォトダイオードS2h、第1のフォトダイオードS1i、第2のフォトダイオードS2i、第1のフォトダイオードS1j、第2のフォトダイオードS2j、第1のフォトダイオードS1k、第2のフォトダイオードS2kとを有する。
【0054】
光電変換領域31の周辺部では画素20に対して光が斜めに入射される。このため、マイクロレンズMLの中心位置を、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の中心位置からずらして配置する。つまり、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(中)とのずらし量はGである。
【0055】
図8によれば、第1のフォトダイオードS1g、S1h、S1i、S1j、S1kの平面形状は、マイクロレンズMLg~MLkから測距瞳距離dだけ離間した測距瞳面90上において第1のフォトダイオードS1g、S1h、S1i、S1j、S1kの全てに共通する領域91に投影される。
【0056】
また、第2のフォトダイオードS2g、S2h、S2i、S2j、S2kの平面形状は、マイクロレンズMLg~MLkから測距瞳距離dだけ離間した測距瞳面90上において第2のフォトダイオードS2g、S2h、S2i、S2j、S2kの全てに共通する領域92に投影される。領域91および領域92は、光軸を通る線Axに対して対称である。この場合には、測距瞳面90上の第1および第2の領域91、92を通過した光が、画素20の第1および第2のフォトダイオードS1およびS2に適切に入射される。
【0057】
図7の場合と同様に、上記平面形状がそれぞれ投影された測距瞳面90上の一対の領域91、92を、測距瞳と呼ぶ。また、説明を容易にするために、マイクロレンズMLg~MLkから測距瞳面90までの測距瞳距離dが、マイクロレンズMLg~MLkから撮影レンズ2の光学系の射出瞳面までの射出瞳距離と実質的に等しいとみなす。このため、上記の測距瞳面90上の第1および第2の領域91、92を通過した光は、撮影レンズ2の瞳の第1および第2の領域を通過した光に対応する。
【0058】
画素20Gg~画素20Gkのうち画素20Bhおよび20Giを例にあげて説明すると、画素20Bhは、第1のフォトダイオードS1hにより、測距瞳91とマイクロレンズMLhとを通過する焦点検出光束171を受光するとともに、第2のフォトダイオードS2hにより、測距瞳92とマイクロレンズMLhとを通過する焦点検出光束172を受光する。
【0059】
また、画素20Giは、第1のフォトダイオードS1iにより、測距瞳91とマイクロレンズMLiとを通過する焦点検出光束181を受光するとともに、第2のフォトダイオードS2iにより、測距瞳92とマイクロレンズMLiとを通過する焦点検出光束182を受光する。
【0060】
図8における画素20Bhおよび20Gi以外の画素20Gg、20Bj、20Gkにおいても同様である。以上説明したように、光電変換領域31の周辺部では、中距離対応ML行の画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置をずらしたことにより、撮影レンズ2の瞳の第1および第2の領域を通過した光に対応する、測距瞳91および92を通過した焦点検出光束が、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2に適切に入射する。
【0061】
これにより、中距離対応ML行では、複数の画素20における第1のフォトダイオードS1が、それぞれ測距瞳91に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応した第1信号を出力する。また、複数の画素20における第2のフォトダイオードS2が、それぞれ測距瞳92に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応した第2信号を出力する。以上により、焦点検出用の瞳分割を精度よく行うことができる。
【0062】
一般に、マイクロレンズMLg~MLkから撮影レンズ2の光学系の射出瞳面までの射出瞳距離は、交換レンズ2の特性によって変化する。このため、上記射出瞳距離と実質的に等しいとみなした測距瞳距離dが
図8の例よりも短くなる場合は、画素20には
図8よりもさらに斜めに光が入射される。そこで、
図6に例示した短距離対応ML行として、中距離対応ML行におけるずらし量Gよりも大きなずらし量GsでマイクロレンズMLを配置した画素行を設ける。短距離対応ML行は、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(短)との間隔がGs(G<Gs)である。
【0063】
反対に、測距瞳距離dが
図8の例よりも長くなる場合は、画素20には
図8よりも垂直に近い光(
図7の例に近い)が入射される。そこで、
図6に例示した長距離対応ML行として、中距離対応ML行におけるずらし量Gよりも小さなずらし量GLでマイクロレンズMLを配置した画素行を設ける。長距離対応ML行の図示は省略するが、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(長)との間隔はGL(GL<G)である。
【0064】
短距離対応ML行と長距離対応ML行とを設けることにより、測距瞳距離dが
図8の例よりも短くなる場合は、短距離対応ML行において、複数の画素20における第1のフォトダイオードS1が、それぞれ測距瞳91に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応した第1信号を出力する。また、複数の画素20における第2のフォトダイオードS2が、それぞれ測距瞳92に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応した第2信号を出力する。以上により、焦点検出用の瞳分割を精度よく行うことができる。
【0065】
また、測距瞳距離dが長くなる場合には、長距離対応ML行において、複数の画素20における第1のフォトダイオードS1が、それぞれ測距瞳91に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応した第1信号を出力する。また、複数の画素20における第2のフォトダイオードS2が、それぞれ測距瞳92に対応する焦点検出光束によって形成される像の強度に対応した第2信号を出力する。以上により、焦点検出用の瞳分割を精度よく行うことができる。
【0066】
なお、以上の説明では、
図6において光電変換領域31の中央より左側に位置する領域31bにおいて、マイクロレンズMLの中心位置を、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の中心位置より左方向にずらして配置する例を説明した。
図6において光電変換領域31の中央より右側に位置する領域31dにおいては、マイクロレンズMLの中心位置を、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の中心位置より右方向にずらして配置する。図示を省略するが、中距離対応ML行におけるずらし量Gと、短距離対応ML行におけるずらし量Gsと、長距離対応ML行におけるずらし量GLとは、上述した例と同様に、GL<G<Gsの関係を有する。
【0067】
以上説明した第1の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、マイクロレンズMLと、第1のフォトダイオードS1および第2のフォトダイオードS2とを含み、撮影レンズ2の瞳の第1および第2の領域を通過した第1および第2の光束をそれぞれ光電変換する画素20が、撮影レンズ2からの光が入射される領域に複数配置され、画素20は、マイクロレンズMLと第1および第2のフォトダイオードS1およびS2とが撮影レンズ2の第1の射出瞳の位置に対応する第1の位置関係を有する(標準の特性を有する撮影レンズ2を介して入射される光に適したスケーリングにより、画素20の中心位置に対してマイクロレンズMLの中心位置をずらして配置する)第1画素と、マイクロレンズMLと第1および第2のフォトダイオードS1およびS2とが撮影レンズ2の第2の射出瞳の位置に対応する第2の位置関係を有する(中距離対応ML行と異なるスケーリングにより、画素20の中心位置に対してマイクロレンズMLの中心位置をずらして配置する)第2画素とを含み、第1画素が第1(水平)方向に複数並ぶ中距離対応ML行が第2(垂直)方向に複数行形成されるとともに、第2画素が第1方向に複数並ぶ、例えば短距離対応ML行が、中距離対応ML行の一部に代えて配置される。
このように構成したので、標準の特性と異なる特性を有する撮影レンズ2を用いる場合にも、撮影レンズ2の瞳の異なる領域、すなわち瞳の第1および第2の領域を通過した光を、短距離対応ML行における第1および第2のフォトダイオードS1およびS2に適切に入射させることができる。この結果、焦点検出用の瞳分割を精度よく行うことができる。
【0068】
(2)撮像素子3の画素20は、マイクロレンズMLと第1および第2のフォトダイオードS1およびS2とが撮影レンズ2の第3の射出瞳の位置に対応する第3の位置関係を有する(さらに異なるスケーリングにより、画素20の中心位置に対してマイクロレンズMLの中心位置をずらして配置する)第3画素を含み、第3画素が第1方向に複数並ぶ、例えば長距離対応ML行が中距離対応ML行の一部に代えて配置され、短距離対応ML行と長距離対応ML行との間に中距離対応ML行を有する。このように構成したので、さらに異なる特性を有する撮影レンズ2を用いる場合にも、撮影レンズ2の瞳の異なる領域、すなわち瞳の第1および第2の領域を通過した光を、長距離対応ML行における第1および第2のフォトダイオードS1およびS2に適切に入射させることができる。この結果、焦点検出用の瞳分割を精度よく行うことができる。
【0069】
(3)撮像素子3の短距離対応ML行および長距離対応ML行の長さは、撮影レンズ2からの光が入射される領域の第1(水平)方向の長さより短い。このように構成したので、第1の画素に代えて配置する第2の画素、第3の画素の数を抑え、第1の画素を数多く残すことができる。
【0070】
(4)撮像素子3の短距離対応ML行および長距離対応ML行は、撮影レンズ2からの光が入射される領域の中央からの距離が予め定めた値より遠い領域、換言すると像高が高い領域に配置される。このように構成したので、とくに、画素20に対して光が斜めに入射されやすい領域では、撮影レンズ2の瞳の第1および第2の領域を通過した光を、短距離対応ML行または長距離対応ML行における第1および第2のフォトダイオードS1およびS2に適切に入射させることができる。この結果、焦点検出用の瞳分割を精度よく行うことができる。
【0071】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
第1の実施形態では、
図6に例示したように、中距離対応ML行の一部に代えて設ける短距離対応ML行および長距離対応ML行の長さを、光電変換領域31においてどの画素行も共通にした。すなわち、光電変換領域31の左右端30%の領域の一部において、中距離対応ML行を短距離対応ML行と長距離対応ML行とに置換した。これに対して、第1の実施形態の変形例1では、短距離対応ML行と長距離対応ML行とを設ける光電変換領域31の左右端の領域の範囲(水平方向の長さ)を変化させる。
【0072】
図9は、第1の実施形態の変形例1において、中距離対応ML行に代えて短距離対応ML行および長距離対応ML行を設ける光電変換領域31の左右端の領域を説明する図である。
図9において、中距離対応ML行の一部と置換する短距離対応ML行および長距離対応ML行の長さを、光電変換領域31において不統一にする。例えば、光電変換領域31の左右端25%の領域の一部において中距離対応ML行を短距離対応ML行および長距離対応ML行と置換したり、光電変換領域31の左右端35%の領域の一部において中距離対応ML行を短距離対応ML行および長距離対応ML行と置換したりする。
【0073】
上述したように、画像データを生成する場合において、画像処理部13は、撮像素子3の各画素20から読み出された第1信号と第2信号とを画素20ごとに加算して画像用の信号を生成する。すなわち、中距離対応ML行だけでなく、短距離対応ML行や長距離対応ML行に含まれる画素20も画像用の信号の生成に用いる。
【0074】
ところが、短距離対応ML行に含まれる画素20によって光電変換された第1信号および第2信号に基づく画像用の信号は、中距離対応ML行に含まれる画素20によって光電変換された第1信号および第2信号に基づく画像用の信号と比べると、厳密には一致しない。
また、長距離対応ML行に含まれる画素20によって光電変換された第1信号および第2信号に基づく画像用の信号は、中距離対応ML行に含まれる画素20によって光電変換された第1信号および第2信号に基づく画像用の信号と比べると、厳密には一致しない。
【0075】
以上のことから、光電変換領域31において中距離対応ML行と置換する短距離対応ML行や長距離対応ML行の長さを光電変換領域31のいずれの画素行においても同じにすると、水平方向において中距離対応ML行から短距離対応ML行に変化する境界、または、水平方向において中距離対応ML行から長距離対応ML行に変化する境界が、上記第1信号および第2信号に基づいて生成された画像において目立ってしまうおそれが生じる。
【0076】
しかしながら、第1の実施形態の変形例1によれば、中距離対応ML行の一部と置換する短距離対応ML行および長距離対応ML行の長さを、光電変換領域31の中で不統一、すなわち不揃いにしたので、水平方向において中距離対応ML行から短距離対応ML行に変化する境界、または、水平方向において中距離対応ML行から長距離対応ML行に変化する境界を、上記第1信号および第2信号に基づいて生成された画像において目立ちにくくすることができる。
【0077】
上述した通り、第1の実施形態の変形例1によれば、以下の作用効果を得ることができる。すなわち、撮像素子3の短距離対応ML行が複数配置され、第2(垂直)方向に隣り合う短距離対応ML行の配置は、撮影レンズ2からの光が入射される領域の中央からの距離が異なる。このように構成したので、第1(水平)方向において中距離対応ML行から短距離対応ML行に変化する境界、第1(水平)方向において短距離対応ML行から中距離対応ML行に変化する境界を、上記第1信号および第2信号に基づいて生成された画像において目立ちにくくすることができる。
【0078】
同様に、撮像素子3の長距離対応ML行が複数配置され、第2(垂直)方向に隣り合う長距離対応ML行の配置は、撮影レンズ2からの光が入射される領域の中央からの距離が異なる。このように構成したので、第1(水平)方向において中距離対応ML行から長距離対応ML行に変化する境界、第1(水平)方向において長距離対応ML行から中距離対応ML行に変化する境界を、上記第1信号および第2信号に基づいて生成された画像において目立ちにくくすることができる。
【0079】
(変形例2)
第1の実施形態の変形例2では、中距離対応ML行の一部と置換する短距離対応ML行および長距離対応ML行の行間隔を、光電変換領域31の中で不揃いにする。
図10は、第1の実施形態の変形例2において、中距離対応ML行に代えて短距離対応ML行および長距離対応ML行を設ける領域を説明する図である。
図10において、中距離対応ML行の一部と置換する短距離対応ML行と長距離対応ML行との間隔や、長距離対応ML行と短距離対応ML行との間隔を、光電変換領域31の列方向(垂直方向)において不揃いにする。
【0080】
例えば、短距離対応ML行と長距離対応ML行との間の中距離対応ML行の数、および、長距離対応ML行と短距離対応ML行との間の中距離対応ML行の数を、それぞれ不規則に変化させる。なお、不規則な変化とは、長距離対応ML行および短距離対応ML行の間の中距離対応ML行の数を光電変換領域31の列方向(垂直方向)において非周期的に変化させるこという。
ただし、変形例2においては、長距離対応ML行および短距離対応ML行の間の中距離対応ML行の数の変化を、例えば5乃至8パターン用意し、これらの5乃至8パターンを光電変換領域31の列方向(垂直方向)において周期的に繰り返すことも不規則な変化に含むものとする。
【0081】
第1の実施形態の変形例2によれば、中距離対応ML行の一部と置換する短距離対応ML行と長距離対応ML行に関し、短距離対応ML行と長距離対応ML行との間の中距離対応ML行の数、および、長距離対応ML行と短距離対応ML行との間の中距離対応ML行の数を、光電変換領域31の列方向(垂直方向)において不規則に変化させたので、水平方向において中距離対応ML行から短距離対応ML行に変化する境界、または、水平方向において中距離対応ML行から長距離対応ML行に変化する境界を、上記第1信号および第2信号に基づいて生成された画像において目立ちにくくすることができる。
【0082】
上述した通り、第1の実施形態の変形例2によれば、以下の作用効果を得ることができる。すなわち、撮像素子3の短距離対応ML行および長距離対応ML行は、第2(垂直)方向において非周期的に、中距離対応ML行に代えて配置される。このように構成したので、第1(水平)方向において中距離対応ML行から短距離対応ML行に変化する境界、または、第1(水平)方向において中距離対応ML行から長距離対応ML行に変化する境界を、上記第1信号および第2信号に基づいて生成された画像において目立ちにくくすることができる。
【0083】
なお、第1の実施形態の変形例1と第1の実施形態の変形例2とを組み合わせてもよい。すなわち、中距離対応ML行の一部と置換する短距離対応ML行および長距離対応ML行の長さを、光電変換領域31の中で不揃いにする(不規則に変化させる)とともに、短距離対応ML行と長距離対応ML行との間の中距離対応ML行の数、および、長距離対応ML行と短距離対応ML行との間の中距離対応ML行の数を、光電変換領域31の列方向(垂直方向)において不規則に変化させてもよい。
【0084】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態と比べて、中距離対応ML行の一部と置換する短距離対応ML行および長距離対応ML行を、それぞれ隣り合う3行ずつセットで置換する点で相違する。
第2の実施形態におけるカメラ1は、第1の実施形態と同様に、レンズ交換式であってもなくてもよい。また、スマートフォンやビデオカメラ等の撮像装置として構成してもよい。
【0085】
図11は、第2の実施形態による撮像素子3において、
図6の光電変換領域31の周辺部、例えば、像高が高い位置にある領域31bに配置されている画素20のマイクロレンズMLの拡大図である。第2の実施形態でも、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)を焦点検出に用いることとし、GB行の一部を短距離対応ML行や長距離対応ML行と置換する。
【0086】
図11において、短距離対応ML行を3行セットで設ける。3行の短距離対応ML行を挟んで上側3行と下側3行は、それぞれ中距離対応ML行である。中距離対応ML行では、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(中)との間隔がGである。すなわち、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量はGである。
なお、
図11では、画素20Gを白、画素20Bを斜線、画素20Rをハッチングで示す。
【0087】
図11の短距離対応ML行では、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(短)との間隔がGsである。すなわち、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量はGsである。G<Gsが成立するように、短距離対応ML行におけるずらし量Gsは、中距離対応ML行におけるずらし量Gよりも大きい。この理由は、第1の実施形態において説明した通りである。
【0088】
また、
図11の短距離対応ML行のうち焦点検出に用いるのは、3行の短距離対応ML行の中1行に配置されている、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)である。短距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行は、焦点検出に用いない。この理由は、上記境界に接する2行の画素行では、行間のマイクロレンズMLのずらし量が異なるので、マイクロレンズMLの製造上の理由による微小な歪みがマイクロレンズMLに生じる可能性が否定できないことによる。仮に、マイクロレンズMLに歪みが生じていると仮定した場合、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量を上述したように厳密に制御しても、マイクロレンズMLの歪みによって焦点検出用の瞳分割の精度が低下してしまう。このようなリスクを避けるため、短距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行については、焦点検出に用いないこととする。
【0089】
同様の理由から、
図11の中距離対応ML行のうち焦点検出に用いてよいのは、短距離対応ML行との境界に接していない、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)と、画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)である。この場合、中距離対応ML行の画素20G、画素20Bまたは画素20Rの第1信号と第2信号とに基づいて焦点調節に用いる画像データを生成する。
【0090】
長距離対応ML行の場合も同様である。
図12は、第2の実施形態による撮像素子3の光電変換領域31の像高が高い位置にある領域31c(
図6)に配置されている画素20のマイクロレンズMLの拡大図である。
図12において、長距離対応ML行を3行セットで設ける。3行の長距離対応ML行を挟んで上側3行と下側3行は、それぞれ中距離対応ML行である。中距離対応ML行では、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量はGである。
なお、
図12でも、画素20Gを白、画素20Bを斜線、画素20Rをハッチングで示す。
【0091】
図12の長距離対応ML行では、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(長)との間隔がGLである。すなわち、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量はGLである。GL<Gが成立するように、長距離対応ML行におけるずらし量GLは、中距離対応ML行におけるずらし量Gよりも小さい。この理由は、第1の実施形態において説明した通りである。
【0092】
また、
図12の長距離対応ML行のうち焦点検出に用いるのは、3行の長距離対応ML行の中1行に配置されている、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)である。長距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行は、焦点検出に用いない。この理由は、上述した短距離対応ML行の場合と同様である。
【0093】
同様の理由から、
図12の中距離対応ML行のうち焦点検出に用いてよいのは、長距離対応ML行との境界に接していない、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)と、画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)である。この場合、中距離対応ML行の画素20G、画素20Bまたは画素20Rの第1信号と第2信号とに基づいて焦点調節に用いる画像データを生成する。
【0094】
以上の説明では、
図6において光電変換領域31の中央より左側に位置する領域31b、31cにおいて、マイクロレンズMLの中心位置を、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の中心位置より左方向にずらして配置する例を説明した。
図6において光電変換領域31の中央より右側に位置する領域31d、31eにおいては、マイクロレンズMLの中心位置を、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の中心位置より右方向にずらして配置する。中距離対応ML行におけるずらし量Gと、短距離対応ML行におけるずらし量Gsと、長距離対応ML行におけるずらし量GLとは、GL<G<Gsの関係を有する。
【0095】
以上説明した第2の実施形態によれば、第1の実施形態の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3の短距離対応ML行および長距離対応ML行は、第2(垂直)方向の全行数のうち予め定めた割合の中距離対応ML行に代えて配置される。このように構成したので、例えば、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量が同じである画素行を第2(垂直)方向に所定数連続させて、ずらし量が変化する境界の画素行を焦点検出に用いないようにすることができる。この結果、焦点検出用の瞳分割を精度よく行うことができる。
【0096】
(2)撮像素子3の短距離対応ML行および長距離対応ML行は、それぞれ第2(垂直)方向に3行並べて配置される。このように構成したので、3行のうちの真ん中の画素行を焦点検出に用いることにより、焦点検出用の瞳分割を精度よく行うことができる。
【0097】
(3)撮像素子3の短距離対応ML行および長距離対応ML行は、第2(垂直)方向において周期的に、中距離対応ML行に代えて配置される。このように構成したので、短距離対応ML行および長距離対応ML行を、光電変換領域31の上部または下部に偏らないように配置することができる。この結果、光電変換領域31において偏りなく焦点検出用の瞳分割を行うことができる。
【0098】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例3)
第2の実施形態の変形例3では、第2の実施形態と比べて、中距離対応ML行の一部と置換する短距離対応ML行および長距離対応ML行を、それぞれ隣り合う4行ずつセットで置換する点で相違する。
第2の実施形態の変形例3におけるカメラ1は、第2の実施形態と同様に、レンズ交換式であってもなくてもよい。また、スマートフォンやビデオカメラ等の撮像装置として構成してもよい。
【0099】
図13は、第2の実施形態の変形例3による撮像素子3において、
図6の光電変換領域31の像高が高い位置にある領域31bに配置されている画素20のマイクロレンズMLの拡大図である。第2の実施形態の変形例3では、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)と、画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)とをいずれも焦点検出に用いることとし、GB行と、RG行との一部を短距離対応ML行や長距離対応ML行と置換する。
【0100】
図13において、短距離対応ML行を4行セットで設ける。4行の短距離対応ML行を挟んで上側3行と下側4行は、それぞれ中距離対応ML行である。中距離対応ML行では、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(中)との間隔がGである。すなわち、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量はGである。
なお、
図13では、画素20Gを白、画素20Bを斜線、画素20Rをハッチングで示す。
【0101】
図13の短距離対応ML行では、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(短)との間隔がGsである。すなわち、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量はGsである。G<Gsが成立するように、短距離対応ML行におけるずらし量Gsは、中距離対応ML行におけるずらし量Gよりも大きい。この理由は、第1の実施形態において説明した通りである。
【0102】
また、
図13の短距離対応ML行のうち焦点検出に用いるのは、4行の短距離対応ML行の中2行に配置されている、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)と、画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)である。短距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行は、焦点検出に用いない。この理由は、第2の実施形態において説明した通りである。
【0103】
同様の理由から、
図13の中距離対応ML行のうち焦点検出に用いてよいのは、短距離対応ML行との境界に接していない、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)と、画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)である。この場合、中距離対応ML行の画素20G、画素20B、または画素20Rの第1信号と第2信号とに基づいて焦点調節に用いる画像データを生成する。
【0104】
長距離対応ML行の場合も同様である。
図14は、第2の実施形態の変形例3による撮像素子3の光電変換領域31の像高が高い位置にある領域31c(
図6)に配置されている画素20のマイクロレンズMLの拡大図である。
図14において、長距離対応ML行を4行セットで設ける。4行の長距離対応ML行を挟んで上側3行と下側4行は、それぞれ中距離対応ML行である。中距離対応ML行では、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量はGである。
なお、
図14でも、画素20Gを白、画素20Bを斜線、画素20Rをハッチングで示す。
【0105】
図14の長距離対応ML行では、画素20の中心を通る線CSとマイクロレンズMLの中心を通る線CL(長)との間隔がGLである。すなわち、画素20の中心位置に対するマイクロレンズMLの中心位置のずらし量はGLである。GL<Gが成立するように、長距離対応ML行におけるずらし量GLは、中距離対応ML行におけるずらし量Gよりも小さい。この理由は、第1の実施形態において説明した通りである。
【0106】
また、
図14の長距離対応ML行のうち焦点検出に用いるのは、4行の長距離対応ML行の中2行に配置されている、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)と、画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)である。長距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行は、焦点検出に用いない。この理由は、上述した短距離対応ML行の場合と同様である。
【0107】
同様の理由から、
図14の中距離対応ML行のうち焦点検出に用いてよいのは、長距離対応ML行との境界に接していない、画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)と、画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)である。この場合、中距離対応ML行の画素20G、画素20B、または画素20Rの第1信号と第2信号とに基づいて焦点調節に用いる画像データを生成する。
【0108】
以上の説明では、
図6において光電変換領域31の中央より左側に位置する領域31b、31cにおいて、マイクロレンズMLの中心位置を、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の中心位置より左方向にずらして配置する例を説明した。
図6において光電変換領域31の中央より右側に位置する領域31d、31eにおいては、マイクロレンズMLの中心位置を、第1および第2のフォトダイオードS1およびS2の中心位置より右方向にずらして配置する。中距離対応ML行におけるずらし量Gと、短距離対応ML行におけるずらし量Gsと、長距離対応ML行におけるずらし量GLとは、GL<G<Gsの関係を有する。
【0109】
上述の通り、第2の実施形態の変形例3によれば、以下の作用効果を得ることができる。すなわち、撮像素子3の短距離対応ML行および長距離対応ML行は、それぞれ第2(垂直)方向に4行並べて配置される。このように構成したので、4行のうちの中寄り2つの画素行を焦点検出に用いることにより、焦点検出用の瞳分割を精度よく行うことができる。
【0110】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、光電変換領域31に配置する短距離対応ML行および長距離対応ML行の位置について説明する。具体的には、中距離対応ML行の一部に代えて置換する短距離対応ML行と長距離対応ML行との配置のバリエーションを例示する。以降に(例1)から(例8)の8態様を例示するが、いずれの配置を採用してもよく、これらの配置の一部を適宜変更しても構わない。
【0111】
(例1)
図15は、短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第1態様を説明する図である。
図15は、例えば
図6の光電変換領域31の領域31xに注目した場合に、中距離対応ML行、短距離対応ML行、および長距離対応ML行がどのような順番で配置されているかを示す。(例1)は、上述した第1の実施形態に対応する。このため、中距離対応ML行のうちの焦点検出に用いるGB行のみを、短距離対応ML行または長距離対応ML行と置換する。
【0112】
図15において、中距離対応ML行の画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)のうち、行No.1と、行No.13と、行No.25…とに短距離対応ML行が配置される。これにより、短距離対応ML行が、11行の中距離対応ML行をはさんで繰り返し現れる。このような配置を96行繰り返した後に、97行目以降において、中距離対応ML行の画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)のうち、行No.97と、行No.109…とに長距離対応ML行が配置される。これにより、長距離対応ML行が、11行の中距離対応ML行をはさんで繰り返し現れる。
このように、(例1)によれば、11行おきに短距離対応ML行が繰り返し現れる配置と、11行おきに長距離対応ML行が繰り返し現れる配置とが、96行周期で繰り返される。
【0113】
(例2)
図16は、短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第2態様を説明する図である。
図16は、
図15と同様に、光電変換領域31の領域31x(
図6)に注目した場合に、中距離対応ML行、短距離対応ML行、および長距離対応ML行がどのような順番で配置されているかを示す。(例2)は、GB行に加えてRB行も焦点検出に用いる場合を想定した配置である。このため、中距離対応ML行のうちの焦点検出に用いるGB行およびRB行を、短距離対応ML行または長距離対応ML行と置換する。
【0114】
図16において、中距離対応ML行の画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)のうち、行No.1と、行No.13と、行No.25…とに短距離対応ML行が配置される。また、中距離対応ML行の画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)のうち、行No.2と、行No.14と、行No.26…とに短距離対応ML行が配置される。これにより、列方向(垂直方向)に隣り合う2行の短距離対応ML行が、10行の中距離対応ML行をはさんで繰り返し現れる。
【0115】
このような配置を96行繰り返した後に、97行目以降において、中距離対応ML行の画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)のうち、行No.97と、行No.109…とに長距離対応ML行が配置される。また、中距離対応ML行の画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)のうち、行No.98と、行No.110…とに長距離対応ML行が配置される。これにより、列方向(垂直方向)に隣り合う2行の長距離対応ML行が、10行の中距離対応ML行をはさんで繰り返し現れる。
このように、(例2)によれば、10行おきに2行続けて短距離対応ML行が現れる配置と、10行おきに2行続けて長距離対応ML行が現れる配置とが、96行周期で繰り返される。
【0116】
(例3)
図17は、短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第3態様を説明する図である。
図17は、
図15と同様に、光電変換領域31の領域31x(
図6)に注目した場合に、中距離対応ML行、短距離対応ML行、および長距離対応ML行がどのような順番で配置されているかを示す。(例3)は、GB行に加えてRB行も焦点検出に用いる場合を想定した配置である。このため、中距離対応ML行のうちの焦点検出に用いるGB行およびRB行を、短距離対応ML行または長距離対応ML行と置換する。
【0117】
図17において、中距離対応ML行の画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)のうち、行No.1と、行No.21と、行No.41…とに短距離対応ML行が配置される。また、中距離対応ML行の画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)のうち、行No.6と、行No.26と、行No.46…とに短距離対応ML行が配置される。
【0118】
また、中距離対応ML行の画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)のうち、行No.11と、行No.31…とに長距離対応ML行が配置される。また、中距離対応ML行の画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)のうち、行No.16と、行No.36…とに長距離対応ML行が配置される。
【0119】
このように、(例3)によれば、4行おきに短距離対応ML行が繰り返し現れる配置と、4行おきに長距離対応ML行が繰り返し現れる配置とが、10行周期で繰り返される。
【0120】
(例4)
図18は、短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第4態様を説明する図である。
図18は、
図15と同様に、光電変換領域31の領域31x(
図6)に注目した場合に、中距離対応ML行、短距離対応ML行、および長距離対応ML行がどのような順番で配置されているかを示す。(例4)は、GB行に加えてRB行も焦点検出に用いる場合を想定した配置である。このため、中距離対応ML行のうちの焦点検出に用いるGB行およびRB行を、短距離対応ML行または長距離対応ML行と置換する。
【0121】
図18において、中距離対応ML行の画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)のうち、行No.1と、行No.13と、行No.25と、行No.37…とに短距離対応ML行が配置される。また、中距離対応ML行の画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)のうち、行No.4と、行No.16と、行No.28と、行No.40…とに短距離対応ML行が配置される。
【0122】
また、中距離対応ML行の画素20Gと画素20Bとが交互に配置される画素行(GB行)のうち、行No.7と、行No.19と、行No.31と、行No.43…とに長距離対応ML行が配置される。また、中距離対応ML行の画素20Rと画素20Gとが交互に配置される画素行(RG行)のうち、行No.10と、行No.22と、行No.34と、行No.46…とに長距離対応ML行が配置される。
【0123】
このように、(例4)によれば、2行おきに短距離対応ML行が繰り返し現れる配置と、2行おきに長距離対応ML行が繰り返し現れる配置とが、6行周期で繰り返される。
【0124】
(例5)
図19は、短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第5態様を説明する図である。
図19は、
図15と同様に、光電変換領域31の領域31x(
図6)に注目した場合に、中距離対応ML行、短距離対応ML行、および長距離対応ML行がどのような順番で配置されているかを示す。(例5)は、上述した第2の実施形態に対応する。このため、例えば行No.12~14に示すように、短距離対応ML行を3行セットで設ける。また、例えば行No.96~98に示すように、長距離対応ML行を3行セットで設ける。
【0125】
図19において、列方向(垂直方向)に隣り合う3行の短距離対応ML行が、9行の中距離対応ML行をはさんで繰り返し現れる。このような配置を96行繰り返した後に、97行目以降において、列方向(垂直方向)に隣り合う3行の長距離対応ML行が、9行の中距離対応ML行をはさんで繰り返し現れる。
このように、(例5)によれば、9行おきに3行続けて短距離対応ML行が繰り返し現れる配置と、9行おきに3行続けて長距離対応ML行が繰り返し現れる配置とが、96行周期で繰り返される。
なお、(例5)においては、上述したように、短距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行、および、長距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行は、いずれも焦点検出に用いない。
【0126】
(例6)
図20は、短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第6態様を説明する図である。
図20は、
図15と同様に、光電変換領域31の領域31x(
図6)に注目した場合に、中距離対応ML行、短距離対応ML行、および長距離対応ML行がどのような順番で配置されているかを示す。(例6)は、上述した第2の実施形態の変形例3に対応する。このため、例えば行No.12~15に示すように、短距離対応ML行を4行セットで設ける。また、例えば行No.96~99に示すように、長距離対応ML行を4行セットで設ける。
【0127】
図20において、列方向(垂直方向)に隣り合う4行の短距離対応ML行が、8行の中距離対応ML行をはさんで繰り返し現れる。このような配置を96行繰り返した後に、97行目以降において、列方向(垂直方向)に隣り合う4行の長距離対応ML行が、8行の中距離対応ML行をはさんで繰り返し現れる。
このように、(例6)によれば、8行おきに4行続けて短距離対応ML行が繰り返し現れる配置と、8行おきに4行続けて長距離対応ML行が繰り返し現れる配置とが、96行周期で繰り返される。
なお、(例6)においては、上述したように、短距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行、および、長距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行は、いずれも焦点検出に用いない。
【0128】
(例7)
図21は、短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第7態様を説明する図である。
図21は、
図15と同様に、光電変換領域31の領域31x(
図6)に注目した場合に、中距離対応ML行、短距離対応ML行、および長距離対応ML行がどのような順番で配置されているかを示す。(例7)は、上述した第2の実施形態に対応する。このため、例えば行No.24~26に示すように、短距離対応ML行を3行セットで設ける。また、例えば行No.12~14に示すように、長距離対応ML行を3行セットで設ける。
【0129】
図21において、列方向(垂直方向)に隣り合う3行の短距離対応ML行と、列方向(垂直方向)に隣り合う3行の長距離対応ML行とが、9行の中距離対応ML行をはさんで交互に繰り返し現れる。
なお、(例7)においては、上述したように、短距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行、および、長距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行は、いずれも焦点検出に用いない。
【0130】
(例8)
図22は、短距離対応ML行および長距離対応ML行の配置の第8態様を説明する図である。
図22は、
図15と同様に、光電変換領域31の領域31x(
図6)に注目した場合に、中距離対応ML行、短距離対応ML行、および長距離対応ML行がどのような順番で配置されているかを示す。(例8)は、上述した第2の実施形態の変形例3に対応する。このため、例えば行No.24~27に示すように、短距離対応ML行を4行セットで設ける。また、例えば行No.12~15に示すように、長距離対応ML行を4行セットで設ける。
【0131】
図22において、列方向(垂直方向)に隣り合う4行の短距離対応ML行と、列方向(垂直方向)に隣り合う4行の長距離対応ML行とが、8行の中距離対応ML行をはさんで交互に繰り返し現れる。
なお、(例8)においては、上述したように、短距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行、および、長距離対応ML行と中距離対応ML行との境界に接する2行の画素行は、いずれも焦点検出に用いない。
【0132】
以上説明した第3の実施形態によれば、第1の実施形態の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。すなわち、撮像素子3の短距離対応ML行および長距離対応ML行は、第2(垂直)方向の全行数のうち、上記各例に示したような割合で中距離対応ML行に代えて配置される。このように構成したので、例えば、ずらし量が変化する境界の画素行を焦点検出に用いないようにすることができる他、短距離対応ML行および長距離対応ML行を、光電変換領域31の上部または下部に偏らないように配置することができる。この結果、光電変換領域31において偏りなく、精度よく焦点検出用の瞳分割を行うことができる。
【0133】
上記では、種々の実施形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0134】
1…カメラ
2…撮影レンズ
3…撮像素子
9…マイクロプロセッサ
10…焦点演算部
13…画像処理部
20、20G、20R、20B…画素
21…垂直走査回路
22…水平走査回路
23、24…制御信号線
25…垂直信号線
AMP…増幅トランジスタ
FD…FD領域
ML…マイクロレンズ
S1、S2…フォトダイオード
SEL…選択トランジスタ
Tx-1、Tx-2…転送トランジスタ