(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】素子の製造方法及びウエハ切断装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
H01L21/78 F
(21)【出願番号】P 2021005192
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 恭彰
(72)【発明者】
【氏名】森川 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】最上 逸生
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-038028(JP,A)
【文献】特開2001-129822(JP,A)
【文献】特開2017-098567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを回転する刃で格子状に切断し、一辺の長さが該ウエハの厚み以下の矩形状の素子を切り出す素子の製造方法であって、
該刃を該一辺方向と交差する交差方向に相対移動させて該ウエハに
深さが該ウエハの厚みの半分以下の凹溝を形成し、該凹溝を撮像する工程と、
該刃を該交差方向に相対移動させて、該凹溝で該ウエハを切断する工程と、
該凹溝の撮像画像から該一辺方向の該刃の送り量を補正し、該刃を該一辺方向に送る工程と、
を備えた素子の製造方法。
【請求項2】
該凹溝の形成及び撮像をしないで該刃を該交差方向に相対移動させて該ウエハを切断し、該補正をすることなく該刃を該一辺方向に送る他の工程を有している、
請求項1に記載の素子の製造方法。
【請求項3】
ウエハを回転する刃で格子状に切断し、一辺の長さが該ウエハの厚み以下の矩形状の素子を切り出す素子の製造方法であって、
該刃を該一辺方向と交差する交差方向に相対移動させて該ウエハに
深さが該ウエハの厚みの半分以下の凹溝を形成し、該凹溝を撮像する工程と、
該凹溝の撮像画像から該一辺方向の該刃のずれ量を補正し、該刃を該交差方向に相対移動させて、該凹溝で該ウエハを切断する工程と、
該刃を該一辺方向に送る工程と、
を備えた素子の製造方法。
【請求項4】
該凹溝の形成及び撮像並びに該刃のずれ量の補正をしないで該刃を該交差方向に相対移動させて該ウエハを切断する他の工程を有している、
請求項3に記載の素子の製造方法。
【請求項5】
該他の工程は、該素子の角部から該交差方向の該ウエハの外周端までの距離が、該ウエハの厚み以下の場合に行う、
請求項2又は4に記載の素子の製造方法。
【請求項6】
該凹溝の深さは、該ウエハから切り出した該素子を実装する際に位置決めする位置決め部材の先端部の高さよりも大きく設定されている、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の素子の製造方法。
【請求項7】
該ウエハは、該凹溝が形成される面と反対側の面にエッチング溝が予め形成されており、
該凹溝と該エッチング溝との合計の深さは、該ウエハの厚みの半分以下に設定されている、
請求項
1~請求項6のいずれか1項に記載の素子の製造方法。
【請求項8】
ウエハを格子状に切断し、一辺の長さが該ウエハの厚み以下の矩形状の素子を切り出す回転刃と、
該ウエハに対して該回転刃を相対移動させる相対移動部と、
撮像装置と、
該相対移動部を制御し、該回転刃を該一辺方向と交差する方向に相対移動させて該ウエハに形成した
深さが該ウエハの厚みの半分以下の凹溝を該撮像装置で撮像し、該撮像装置が撮像した撮像画像から該一辺方向の該回転刃の送り量又はずれ量を補正し、該回転刃を該一辺方向に送る制御部と、
を備えたウエハ切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子の製造方法及びウエハ切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体の製造工程において、ウエハ上に正確に配列されて作られたチップをチップ間のストリートに沿って切溝を入れ分割するダイシング装置に関する技術が開示されている。この先行技術では、ダイシング装置は、テーブル上に載置された半導体ウエハの表面に配列されたチップ間のストリートに対して回転刃に並設した顕微鏡の基準線をアライメントし、回転刃又はテーブルをX方向に切削送りすることによって1ラインの溝切りを行い、続いてチップのY方向ピッチだけ回転刃又はテーブルをY方向にピッチ送りしたのち、回転刃又はテーブルをX方向に切削送りすることによって次のラインの溝切りを行う。このダイシング装置の溝切制御装置は、顕微鏡の視野を撮像する撮像手段と、所定のラインの溝切り後に撮像手段から得られる画像情報に基づいて所定のラインの切溝と顕微鏡の基準線とのずれ量を算出するずれ量算出手段と、算出したずれ量を補正データとして次のラインのY方向のピッチ送り量を補正する補正手段と、が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
矩形状の素子は、ウエハを回転する刃で格子状に切断して、ウエハから切り出している。刃の回転軸方向の送り量は、切り出した素子と素子(切り出す前の素子)との間隙を適宜撮像して、補正している。
【0005】
しかし、切り出す素子の一辺の長さがウエハの厚み以下の場合は、切り出した素子が倒れ易い。そして、素子が倒れると、切り出した素子と素子(切り出す前の素子)との間隙の幅(間隔)及び中心位置等が変化し、刃の回転軸方向の送り量の補正の精度が低下する。
【0006】
本発明の課題は、ウエハを切断した後の素子(切り出した素子)と、素子(切り出す前の素子)との間隙を撮像して回転する刃の送り量を補正する場合と比較し、補正の精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一態様は、ウエハを回転する刃で格子状に切断し、一辺の長さが該ウエハの厚み以下の矩形状の素子を切り出す素子の製造方法であって、該刃を該一辺方向と交差する交差方向に相対移動させて該ウエハに凹溝を形成し、該凹溝を撮像する工程と、該刃を該交差方向に相対移動させて、該凹溝で該ウエハを切断する工程と、該凹溝の撮像画像から該一辺方向の該刃の送り量を補正し、該刃を該一辺方向に送る工程と、を備えた素子の製造方法である。
【0008】
第二態様は、該凹溝の形成及び撮像をしないで該刃を該交差方向に相対移動させて該ウエハを切断し、該補正をすることなく該刃を該一辺方向に送る他の工程を有している、第一態様に記載の素子の製造方法である。
【0009】
第三態様は、ウエハを回転する刃で格子状に切断し、一辺の長さが該ウエハの厚み以下の矩形状の素子を切り出す素子の製造方法であって、該刃を該一辺方向と交差する交差方向に相対移動させて該ウエハに凹溝を形成し、該凹溝を撮像する工程と、該凹溝の撮像画像から該一辺方向の該刃のずれ量を補正し、該刃を該交差方向に相対移動させて、該凹溝で該ウエハを切断する工程と、該刃を該一辺方向に送る工程と、を備えた素子の製造方法である。
【0010】
第四態様は、該凹溝の形成及び撮像並びに該刃のずれ量の補正をしないで該刃を該交差方向に相対移動させて該ウエハを切断する他の工程を有している、第三態様に記載の素子の製造方法である。
【0011】
第五態様は、該他の工程は、該素子の角部から該交差方向の該ウエハの外周端までの距離が、該ウエハの厚み以下の場合に行う、第二態様又は第四態様に記載の素子の製造方法である。
【0012】
第六態様は、該凹溝の深さは、該ウエハから切り出した該素子を実装する際に位置決めする位置決め部材の先端部の高さよりも大きく設定されている、第一態様~第五態様のいずれか一態様に記載の素子の製造方法である。
【0013】
第七態様は、該凹溝の深さは、該ウエハの厚みの半分以下に設定されている、第一態様~第六態様のいずれか一態様に記載の素子の製造方法である。
【0014】
第八態様は、該ウエハは、該凹溝が形成される面と反対側の面にエッチング溝が予め形成されており、該凹溝と該エッチング溝との合計の深さは、該ウエハの厚みの半分以下に設定されている、第七態様に記載の素子の製造方法である。
【0015】
第八態様は、ウエハを格子状に切断し、一辺の長さが該ウエハの厚み以下の矩形状の素子を切り出す回転刃と、該ウエハに対して該回転刃を相対移動させる相対移動部と、撮像装置と、該相対移動部を制御し、該回転刃を該一辺方向と交差する方向に相対移動させて該ウエハに形成した凹溝を該撮像装置で撮像し、該撮像装置が撮像した撮像画像から該一辺方向の該回転刃の送り量又はずれ量を補正し、該回転刃を該一辺方向に送る制御部と、を備えたウエハの切断装置である。
【発明の効果】
【0016】
第一態様の素子の製造方法によれば、ウエハを切断した後の素子と素子との間隙を撮像して回転する刃の送り量を補正する場合と比較し、補正の精度が向上する。
【0017】
第二態様の素子の製造方法によれば、ウエハを切断する際常に凹溝を形成して補正する場合と比較し、ウエハから素子を切り出す切断効率が向上する。
【0018】
第三態様の素子の製造方法によれば、ウエハを切断した後の素子と素子との間隙を撮像して回転する刃のずれ量を補正する場合と比較し、補正の精度が向上する。
【0019】
第四態様の素子の製造方法によれば、ウエハを切断する際常に凹溝を形成して補正する場合と比較し、ウエハから素子を切り出す切断効率が向上する。
【0020】
第五態様の素子の製造方法によれば、角部から交差方向のウエハの外周端までの距離が、ウエハの厚み以下の場合にも凹溝を形成する場合と比較し、素子の破損が抑制される。
【0021】
第六態様の素子の製造方法によれば、凹溝の深さが位置決め部材の先端部の高さ以下の場合と比較し、素子を実装する際の位置決め精度の低下が抑制される。
【0022】
第七態様の素子の製造方法によれば、凹溝の深さが、ウエハの厚みの半分よりも大きい場合と比較し、凹溝を形成した際のウエハのひび割れが抑制される。
【0023】
第八態様の素子の製造方法によれば、凹溝とエッチング溝との合計の深さが、ウエハの厚みの半分よりも大きい場合と比較し、凹溝を形成した際のウエハのひび割れが抑制される。
【0024】
第九態様のウエハ切断装置によれば、ウエハを切断した後に素子と素子との間隙を撮像して回転刃の送り量を補正する場合と比較し、補正の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】ウエハ切断装置の切断ユニット及び撮像ユニットをY方向から見た正面図である。
【
図4】(A)は第一切断工程を説明するための平面図であり、(B)は第二切断工程を説明するための平面図である。
【
図6】基板製造装置において半導体素子を実装する工程の工程図である。
【
図8】第一切断工程の補正ラインにおいて凹溝を形成したのち切断する工程の工程図である。
【
図9】第一切断工程後の半導体素子の傾きを模式的に示す断面図である。
【
図10】撮像ユニットで凹溝を撮像した撮像画像の模式図(平面図)である。
【
図11】
図3の半導体ウエハの要部を拡大した拡大平面図である。
【
図13】
図6(B)の半導体素子と位置決め部材の接触部分の拡大図である。
【
図14】(A)は待機位置のブレードをX方向から見た側面図であり、(B)は切断位置のブレードをX方向から見た側面図であり、(C)は凹溝形成位置のブレードをX方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態>
一実施形態の素子の製造方法、この素子の製造方法に用いられるウエハ切断装置及び切り出された素子を基板に実装して基板装置を製造する基板製造装置について説明する。ここで、実装とは、何等かの機能を実現させるために対象物に取り付けることである。本実施形態では、素子の一例としての発光素子を発光できる状態にするために配線基板544に取り付けることである。
【0027】
[ウエハ切断装置]
まずウエハ切断装置について説明する。なお、各図において適宜示される矢印X及び矢印Yは水平方向における直交する二方向を示し、矢印Zは鉛直方向を示している。
【0028】
(全体構成)
図1に示すように、ウエハ切断装置10は、ウエハの一例としての半導体ウエハ22が積載される収納ボックス18と、切断される半導体ウエハ22が固定される固定台の一例としてのチャックテーブル12と、収納ボックス18に収納されている半導体ウエハ22をチャックテーブル12に搬送する搬送ユニット14と、チャックテーブル12を移動させる移動ユニット32と、移動ユニット32によって移動するチャックテーブル12に固定された半導体ウエハ22を切断する切断ユニット36と、切断ユニット36に向けて切削水を吐出する吐出ユニット62(
図2参照)と、撮像ユニット38と、切断装置制御部84(
図7参照)と、を含んで構成されている。
【0029】
〔収納ボックス〕
ウエハ切断装置10の筐体20は、直方体状とされた本体部位20Aと、本体部位20Aの一端側から鉛直方向上方に突出した突出部位20Bと、を備えている。
【0030】
半導体ウエハ22が積載される収納ボックス18は、本体部位20Aの他端側の角部に配置され、収納ボックス18の上部は開放されている。
【0031】
また、収納ボックス18には、積載された半導体ウエハ22を昇降させる図示せぬ昇降部材が備えられており、最上位の半導体ウエハ22が一定の位置に配置されるようになっている。
【0032】
〔半導体ウエハ〕
図3に示すように、収納ボックス18(
図1参照)に収納される半導体ウエハ22は、円形の一部が切りかかれた形状とされ、ダイシングテープ26の上に貼り付けられている。このダイシングテープ26の外周側は、リング状の基本リング28に貼り付けられている。このように、半導体ウエハ22は、基本リング28にダイシングテープ26を介して支持された状態で、前述した収納ボックス18に積載されている。
【0033】
図3における半導体ウエハ22に図示されている平面視で格子状の二点鎖線は、切断ユニット36によって切断される第一切断ラインSC及び第二切断ラインSTである。なお、これら第一切断ラインSC及び第二切断ラインSTは、直交しており、実際に線が引かれているものではなく、仮想線である。
【0034】
これら二点鎖線の第一切断ラインSC及び第二切断ラインSTは格子状である。よって、半導体ウエハ22を格子状の第一切断ラインSC及び第二切断ラインSTに沿って切断することで切り出される素子の一例としての半導体素子30は、平面視で矩形状である。なお、本実施形態の素子の一例としての半導体素子30は、発光素子であるが、発光素子に限定されるものではない。
【0035】
矩形状の半導体素子30の長辺の長さはL1であり、短辺の長さはL2である。よって、第一切断ラインSCの間隔はL2である。また、L2は、後述する切断ユニット36の短辺方向の送り量である。
【0036】
本実施形態では、半導体ウエハ22の厚みt(
図12参照)は0.50mmであり、半導体素子30の長辺の長さL1は1.20mmであり、短辺の長さL2は0.12mmである。よって、半導体素子30の短辺の長さL2は、半導体ウエハ22の厚みt以下である。更に、本実施形態では、半導体素子30の短辺の長さL2は、半導体ウエハ22の厚みtの1/2以下になっている。なお、これらの数値は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0037】
また、本実施形態の半導体ウエハ22の一方の面は、第一切断ラインSC及び第二切断ラインSTに沿って予めエッチングによってエッチング溝100(
図8(A)参照)が格子状に形成されている。
【0038】
〔搬送ユニット〕
図1に示すように、チャックテーブル12に半導体ウエハ22を搬送する搬送ユニット14は、基端部が突出部位20Bの内部に支持されると共に水平方向に移動可能とされるアーム部位14Aと、アーム部位14Aの先端部に基端部が取り付けられると共に鉛直方向に伸縮可能とされる伸縮部位14Bと、伸縮部位14Bの先端部に取り付けられると共に基本リング28を吸着する吸着部位14Cと、を備えている。
【0039】
この構成により、搬送ユニット14は、収納ボックス18に収納(収容)された最上位の半導体ウエハ22を、基本リング28を介して持ち上げてチャックテーブル12に向けて搬送するようになっている。
【0040】
〔チャックテーブル〕
図1に示すチャックテーブル12は、半導体ウエハ22を下方から支持する図示されていない支持部を備えている。支持部は、半導体ウエハ22を、ダイシングテープ26を介して吸着するための図示されていない吸引孔が複数形成されている。また、チャックテーブル12は、図示されていない支持部を周方向に回転移動させる回転移動装置24(
図7参照)を備えている。
【0041】
〔移動ユニット〕
図1に示すように、ウエハ切断装置10は、前述した移動ユニット32が備えられている。
【0042】
移動ユニット32は、X方向にチャックテーブル12を移動させる。
【0043】
そして、移動ユニット32が、チャックテーブル12をX方向に往復移動させることで、切断ユニット36によって半導体ウエハ22が切断されるようになっている。
【0044】
なお、半導体ウエハ22を切断する工程については、詳細を後述する。
【0045】
〔切断ユニット〕
図1に示すように、切断ユニット36は、移動ユニット32の上方に配置されている。言い換えると、切断ユニット36は、移動ユニット32により突出部位20B側(本体部位20Aの一端側)に移動したチャックテーブル12の鉛直方向の上方に配置されている。
【0046】
図2に示すように、切断ユニット36は、円筒状のハウジング40(
図1及び
図4参照)によって回転可能に支持されたスピンドル42と、スピンドル42の先端に取り付けられたフランジ44に固定された円形のブレード46と、このブレード46を上方から覆うカバー部材70と、を備えている。なお、ブレード46は、刃及び回転刃の一例である。
【0047】
図1に示すように、ハウジング40は、鉛直方向及びX方向に対して直交するY方向に延びる円筒状に形成されている(
図4も参照)。
【0048】
図1に示すように、ハウジング40の基端側には、ハウジング40の基端部を支持する駆動ユニット48が備えられている。駆動ユニット48は、突出部位20Bの内部に固定(支持)されている。
【0049】
この駆動ユニット48が、ハウジング40をZ方向(鉛直方向)及びY方向に移動させると共に、ブレード46をZ方向及びY方向に移動させる。また、駆動ユニット48は、スピンドル42(
図2参照)を介して半導体ウエハ22を切断するブレード46を回転させる。
【0050】
Z方向(鉛直方向)については、駆動ユニット48は、ブレード46を用いて半導体ウエハ22を切断する切断位置(
図14(B)参照)と、ブレード46を半導体ウエハ22から退避させた退避位置(
図14(A)参照)と、後述する凹溝110(
図8参照)を形成するときの凹溝位置(
図14(C)参照)と、にハウジング40を移動させるようになっている。
【0051】
Y方向については、駆動ユニット48は、切断ユニット36をY方向に送り、Y方向における半導体ウエハ22の切断ラインを変えるようになっている。
【0052】
〔撮像ユニット〕
図1に示すように、撮像装置の一例としての撮像ユニット38は、移動ユニット32の上方に配置されている。言い換えると、撮像ユニット38は、移動ユニット32により突出部位20B側に移動したチャックテーブル12の鉛直方向の上方に配置されている。撮像ユニット38は、その基端部が突出部位20Bの側面に固定(支持)されており、後述する凹溝110(
図8(C)参照)を撮像する機能を有している。
【0053】
〔吐出ユニット〕
図2に示すように、ウエハ切断装置10は、切断ユニット36の回転するブレード46に向けて切削水を吐出する吐出ユニット62を備えている。
【0054】
吐出ユニット62はブレード46に向けて切削水を吐出する吐出管72と、ブレード46の外周端面に向けて切削水を吐出する吐出管74と、ブレード46によって切断される半導体ウエハ22の切断部位に向けて切削水を吐出する吐出管76と、を備えている。なお、吐出管72及び吐出管76は、ブレード46の両面に向けて切削水を吐出する必要があるため、図示されていないが、ブレード46の両面のそれぞれに設けられている。
【0055】
そして、吐出管72、吐出管74及び吐出管76は、カバー部材70に固定されており、切断ユニット36の移動に伴って一緒に移動するようになっている。
【0056】
更に、吐出管72、吐出管74及び吐出管76には、図示されていないバルブが接続されている。バルブの開閉は、後述する切断装置制御部84によって制御されるようになっている。
【0057】
〔切断装置制御部〕
図7に示すように、ウエハ切断装置10は切断装置制御部84を備えている。切断装置制御部84は、ウエハ切断装置10の全体を制御する機能を有している。
【0058】
つまり、切断装置制御部84は、チャックテーブル12(
図1参照)を回転移動させる回転移動装置24と、チャックテーブル12をX方向に移動させる移動ユニット32(
図1参照)と、切断ユニット36に備えられた駆動ユニット48(
図1参照)と、吐出管72、吐出管74及び吐出管76の図示されていない各バルブの開閉と、撮像ユニット38と、を制御する機能を有している。
【0059】
また、切断装置制御部84は、後述する凹溝110を撮像後の切断ユニット36の短辺方向の送り量であるL2(
図3参照)を補正する補正部83を備えている。言い換えると、切断装置制御部84は、後述する凹溝110を撮像後の切断ユニット36の短辺方向のずれ量であるΔL2(
図10参照)を補正する補正部83を備えている。
【0060】
なお、切断装置制御部84による各部材の制御については、後述する半導体素子30の切断工程で説明する。
【0061】
[基板製造装置]
つぎに、基板製造装置について説明する。なお、各図において適宜示される矢印X及び矢印Yは水平方向における直交する二方向を示し、矢印Zは鉛直方向を示している。また、前述のウエハ切断装置10と基板製造装置とのX方向及びY方向は一致していない。
【0062】
(基板製造装置の全体構成)
図5に示す基板製造装置11は、基板装置の一例としてのプリント配線基板を製造する装置である。
【0063】
基板製造装置11は、ウエハ切断装置10(
図1参照)により半導体ウエハ22から切り出された複数の半導体素子30(ウエハ切断装置10で各半導体素子30に切断された状態の半導体ウエハ22)を供給する供給部513と、半導体素子30を位置決めする位置決め装置520と、基板の一例としての配線基板544(ベアボード)を位置決めする基板位置決め部540と、供給部513から位置決め装置520へ半導体素子30を移送する移送装置550と、位置決め装置520で位置決めされた半導体素子30を基板位置決め部540で位置決めされた配線基板544へ移送する移送装置560と、を備えている。
【0064】
更に、基板製造装置11は、供給部513、位置決め装置520、位置決め部540、移送装置550及び移送装置560等の動作を制御する製造装置制御部589を備えている。
【0065】
基板製造装置11では、半導体素子30を配線基板544に実装する実装装置500が、位置決め装置520と、位置決め部540と、移送装置560と、を有して構成されている。
【0066】
〔供給部〕
図5に示すように、供給部513は半導体ウエハ22を保持する保持部515と、保持部515をX方向及びY方向へ移動させる移動機構517と、を備えている。そして、移動機構517が保持部515をX方向及びY方向へ移動させることで、実装対象の半導体素子30を移送装置550による予め定められたピックアップ位置に位置させる。
【0067】
なお、供給部513では、ウエハ切断装置10(
図1参照)で各半導体素子30に切断された状態の半導体ウエハ22とは、上下が逆に保持されている。
【0068】
〔移送装置〕
図5に示す移送装置550は、半導体素子30を保持する保持具の一例としてのコレット590を有している。また、移送装置550は、コレット590が装着されコレット590が半導体素子30を保持するための吸引力を発生させる吸引器552と、吸引器552を移動させる移動機構553と、を備えている。
【0069】
〔位置決め装置〕
図5に示すように、位置決め装置520は、半導体素子30が載せられる位置決め台530と、位置決め台530上に仮置きされた半導体素子30を予め定められた位置決め位置に位置決めする位置決め部材522と、位置決め部材522をX方向及びY方向へ移動させる移動機構529と、を備えている。
【0070】
位置決め台530は、上部に図示しない開口部を有する円筒部532と、円筒部532の開口部に設けられたプレート534と、円筒部532の内部空間の空気を吸引して該内部空間を負圧にする吸引装置536と、を備えている。プレート534には、複数の吸引孔538が形成されている。
【0071】
なお、半導体素子30は、半導体ウエハ22のエッチング溝100(
図8(A)参照)側が上方としてプレート534に載せられている。
【0072】
位置決め部材522は、板状をしており、本体部522Aと、本体部522AからX方向に延び出た一対の爪部522Bと、を備えて構成されている。一対の爪部522Bは、その間に半導体素子30を配置可能にY方向に離れて設けられている。この一対の爪部522Bと本体部522Aとによって、位置決め部材522は、平面視(-Z方向視)にてコの字状(Uの字状)に構成されている。
【0073】
なお、位置決め部材522は、プレート534に吸着されて移動抵抗を受けないように、プレート534に対して非接触な状態を保って移動するようになっている。
【0074】
図6に示す、位置決め部材522は、爪部522Bに半導体素子30の側面30Aを突き当てて、半導体素子30を移動させ、予め定められた位置に半導体素子30を位置決めする。
【0075】
なお、各爪部522Bには、下面に溝部523が形成されており、吸引孔538を通じた吸引力が溝部523を介して半導体素子30の一方の側面30Aに作用する。このため、爪部522Bに突き当てられた半導体素子30の一方の側面30Aは、爪部522Bに吸引されるようになっている。
【0076】
また、本実施形態では、一対の爪部522Bのいずれか一方を選択して半導体素子30の位置決めを行うようになっている。従って、位置決め部材522としては、一対の爪部522Bの一方を有さない構成であってもよい。
【0077】
〔位置決め部〕
図5に示す位置決め部540は、配線基板544をX方向に搬送するコンベア等の一対の搬送部材542を備えている。一対の搬送部材542は、その間に配線基板544が導入可能にY方向に離れて配置されている。
【0078】
位置決め部540では、一対の搬送部材542の間に導入された配線基板544が、一対の搬送部材542に対してX方向、Y方向及びZ方向に位置決めされるようになっている。そして、一対の搬送部材542が配線基板544をX方向に搬送することで、配線基板544は、後述のコレット570に対して、Y方向に位置決めされた状態でX方向へ相対移動するようになっている。
【0079】
〔移送装置〕
図5に示す移送装置560は、半導体素子30を保持する保持具の一例としてのコレット570と、コレット570が装着されコレット570が半導体素子30を保持するための吸引力を発生させる吸引器562と、吸引器562を配線基板544に対して相対移動させる移動機構563と、を備えている。
【0080】
吸引器562は、コレット570が装着される吸引ノズル564を有している。コレット570では、吸引器562によって半導体素子30が吸引されて、Y方向、Z方向及びX方向で位置決めされた状態の半導体素子30が保持されるようになっている。また、コレット570は、吸引器562による吸引を停止することにより、コレット570による半導体素子30の保持状態が解除されるようになっている。
【0081】
移動機構563は、吸引器562をY方向に移動させることにより、コレット570を配線基板544に対してY方向へ相対移動させるようになっている。
【0082】
このように、本実施形態では、移動機構563によって吸引器562がY方向に移動し、基板位置決め部540の搬送部材542によって配線基板544がX方向に移動することで、コレット570を配線基板544に対してX方向、Y方向に相対移動させるようになっている。
【0083】
また、移動機構563は、吸引器562を上下方向であるZ方向に移動させることにより、コレット570を配線基板544に対してZ方向に相対移動させるようになっている。本実施形態では、コレット570を配線基板544に対して、X方向及びY方向に相対移動させた後、コレット570を下方に降下させることで、半導体素子30を配線基板544に置き実装する。
【0084】
なお、移動機構563としては、例えば、Y方向及びZ方向に移動可能な二軸ロボットが用いられる。
【0085】
[切断工程の概要]
次に、切断工程の概要について説明する。
【0086】
〔準備工程〕
図1及び
図3に示すように、略円形で板状の半導体ウエハ22は、ダイシングテープ26を介して基本リング28に支持され、収納ボックス18に積載されている。
【0087】
チャックテーブル12は、予め突出部位20Bとは反対側の受取可能位置に配置されている(
図1参照)。搬送ユニット14は、収納ボックス18に積載された最上位の半導体ウエハ22を、基本リング28を介して持ち上げ、受取可能位置に配置されるチャックテーブル12に向けて搬送する。
【0088】
チャックテーブル12に搬送された半導体ウエハ22は、チャックテーブル12に吸着されて固定される。なお、この状態で、半導体ウエハ22から切り出される半導体素子30の長手方向がX方向に沿うように、半導体ウエハ22は、チャックテーブル12に固定されている。
【0089】
〔第一切断工程〕
図4(A)に示すように、第一切断工程では、半導体ウエハ22を半導体素子30の長辺方向である第一切断ラインSCに沿って切断する。なお、半導体ウエハ22はX方向に往復移動するが、切断ユニット36の半導体ウエハ22に対する相対移動方向がX方向に沿うF方向のときにのみ切断する。言い換えると、切断ユニット36が半導体ウエハ22に対してF方向(矢印Fの向き)に相対移動するときの移動方向が切断方向である。なお、半導体素子30の長辺方向およびX方向は、交差方向の一例である。
【0090】
図7に示す切断装置制御部84は、駆動ユニット48及び移動ユニット32を制御し、
図4(A)に示すように、ブレード46を切断位置(
図14(B)参照)とした状態で、チャックテーブル12をF方向と反対方向に移動させる。言い換えると、切断装置制御部84は、駆動ユニット48を用いて回転するブレード46を切断位置に移動させた後(このときブレード46は半導体ウエハ22に接触していない)、移動ユニット32を用いてチャックテーブル12を矢印Fの向きとは反対の向き(受取可能位置から突出部位20B側)に移動させる。これにより、回転するブレード46は、半導体ウエハ22の一方の外周端の外側(
図4(A)の紙面上方側)から半導体ウエハ22の他方の外周端の外側(
図4(A)の紙面下方側)に通り抜ける。このため、半導体ウエハ22が、第一切断ラインSCに沿って切断される。
【0091】
次に、
図7に示す切断装置制御部84は、駆動ユニット48及び移動ユニット32を制御して、
図4(A)に示す切断ユニット36を上方の退避位置(
図14(A)参照)へ移動させると共にチャックテーブル12をF方向に向けて移動させる。言い換えると、切断装置制御部84は、駆動ユニット48を用いて回転するブレード46を退避位置に移動させた後、移動ユニット32を用いてチャックテーブル12を矢印Fの向き(突出部位20B側から受取可能位置側)に移動させる。これにより、回転するブレード46は、半導体ウエハ22に接触することなく、半導体ウエハ22の他方の外周端の外側(
図4(A)の紙面下方側)から半導体ウエハ22の一方の外周端の外側(
図4(A)の紙面上方側)に相対移動される。
【0092】
また、切断ユニット36が退避位置(
図14(A)参照)へ移動した後、
図7に示す切断装置制御部84は、駆動ユニット48を制御して退避位置の切断ユニット36を、退避位置を維持したまま、
図4(A)におけるY方向に送り、切断するライン(切断ライン)を
図4(A)における紙面左右方向の右側の次の第一切断ラインSCに変える。なお、このときの切断ユニット36の送り量は、L2である。この送り量L2は、ブレード46の厚み方向の中心位置の移動量である。また、送り量L2は、前述したように半導体素子30の短辺の長さL2である。
【0093】
そして、切断装置制御部84が、切断ユニット36を切断位置(
図14(B)参照)へ移動させた後、チャックテーブル12をF方向と反対方向に移動させて第一切断ラインSCに沿って切断する。言い換えると、切断装置制御部84は、駆動ユニット48を用いて回転するブレード46を切断位置に移動させた後(このときブレード46は半導体ウエハ22に接触していない)、移動ユニット32を用いてチャックテーブル12を矢印Fの向きとは反対の向き(受取可能位置側から突出部位20B側)に移動させる。これにより、回転するブレード46は、半導体ウエハ22の一方の外周端の外側(
図4(A)の紙面上方側)から半導体ウエハ22の他方の外周端の外側(
図4(A)の紙面下方側)に通り抜ける。このため、半導体ウエハ22は、第一切断ラインSCに沿って切断される。
【0094】
この手順を繰り返すことで、半導体ウエハ22の全ての第一切断ラインSCが順に切断され、半導体素子30の長辺が形成される。
【0095】
なお、
図7に示す切断装置制御部84は、ブレード46で第一切断ラインSCに沿って半導体ウエハ22を切断する際、図示されていないバルブを開閉し、
図2の吐出ユニット62を構成する各吐出管72、74、76、78から切削水を適宜吐出させる。
【0096】
〔第二切断工程〕
図4(B)に示すように、第二切断工程では、第一切断工程が終了したのち、半導体ウエハ22をZ方向から見て90°回転させて半導体ウエハ22を半導体素子30の短辺方向である第二切断ラインSTに沿って切断する。第一切断工程と同様に、第二切断工程における半導体ウエハ22を切断する切断方向は、F方向である。
【0097】
具体的には、
図7に示す切断装置制御部84は、駆動ユニット48を制御して、切断ユニット36を退避位置(
図14(A)参照)へ移動させ、移動ユニット32を制御して、チャックテーブル12を移動させて半導体ウエハ22を切断ユニット36から離間させ、回転移動装置24を制御して、チャックテーブル12を90度回転させる。換言すると、切断装置制御部84は、駆動ユニット48を用いて回転するブレード46を切断位置から退避位置に移動させる。その後、移動ユニット32は、チャックテーブル12を矢印Fの向き(突出部位20B側から受取可能位置側)に移動させる。回転移動装置24は、受取可能位置にあるチャックテーブル12を平面視で90度回転させる。
【0098】
そして、第一切断工程と同様に、第二切断工程では、半導体ウエハ22の全ての第二切断ラインSTを順に切断し、半導体素子30の短辺を形成する。
【0099】
なお、このときの切断ユニット36の送り量は、L1である。この送り量L1は、ブレード46の厚み方向の中心位置の移動量である。
【0100】
また、第一切断工程と同様に、第二切断工程でも
図7に示す切断装置制御部84は、ブレード46で第二切断ラインSTに沿って半導体ウエハ22を切断する際、図示されていないバルブを開閉し、
図2に示す吐出ユニット62を構成する各吐出管72、74、76、78から切削水を適宜吐出させる。
【0101】
[補正制御1]
次に、
図7に示す切断装置制御部84が、第一切断工程での切断ユニット36のブレード46(
図1及び
図2参照)のY方向の送り量L2(
図3参照)を補正する補正制御について説明する。
【0102】
既に説明したように、ウエハ切断装置10は、半導体ウエハ22を切断ユニット36のブレード46(
図1及び
図2参照)で格子状に切断し、短辺L2の長さがウエハの厚みt以下の矩形状の半導体素子30を切り出す。
【0103】
第一切断工程において、複数の第一切断ラインSCの内、予め定めた第一切断ラインSCが送り量を補正する補正ラインHL(
図8参照)となっている。補正ラインHLとなっていない第一切断ラインSCは、前述した「第一切断工程」により半導体ウエハ22を切断する。補正ラインHLとなっている第一切断ラインSCは、後述する「補正ラインHLでの切断工程」により半導体ウエハ22を切断する。本実施形態では、第一切断ラインSCの40ライン毎に1ラインの補正ラインHLとしているが、これに限定されるものではない。
【0104】
また、
図11に示すように、補正ラインHL(
図8参照)は、切り出される半導体素子30の角部31から第一切断ラインSC方向の半導体ウエハ22の外周端22Eまでの距離Wが、半導体ウエハ22の厚みt(
図12参照)以下の場合には、適用しないようになっている。
図11では、第一切断ラインSCAは、距離Wが半導体ウエハ22の厚みt以下であるので、補正ラインHLとしない。換言すると、補正ラインHLは、複数の第一切断ラインの内、距離Wが半導体ウエハ22の厚みtよりも大きい第一切断ラインが設定される。
【0105】
図8(B)~(D)は、補正ラインHLでの切断工程を示している。
図8(A)及び
図8(B)のように補正ラインHLでない第一切断ラインSCでは、切断ユニット36のブレード46(
図1及び
図2参照)の一回のF方向(
図4参照)の相対移動で半導体ウエハ22を切断する(前述した第一切断工程)。
【0106】
図8(C)に示すように、補正ラインHLにおいては、切断装置制御部84は、駆動ユニット48及び移動ユニット32(
図7参照)を制御し、切断ユニット36のブレード46(
図1及び
図2)を凹溝形成位置(
図14(C)参照)にし、F方向(
図4参照)に相対移動させて凹溝110を形成する。
【0107】
言い換えると、切断装置制御部84は、駆動ユニット48を用いて回転するブレード46を凹溝形成位置に移動させた後(このときブレード46は半導体ウエハ22に接触していない)、移動ユニット32を用いてチャックテーブル12を矢印Fの向きとは反対の向き(受取可能位置側から突出部位20B側)に移動させる。これにより、回転するブレード46は、半導体ウエハ22の一方の外周端の外側(
図4(A)の紙面上方側)から半導体ウエハ22の他方の外周端の外側(
図4(A)の紙面下方側)に通り抜ける。このため、半導体ウエハ22には、補正ラインHLに沿って凹溝110が形成される。
【0108】
次に、切断装置制御部84は、駆動ユニット48を用いて回転するブレード46を退避位置に移動させた後、移動ユニット32を用いてチャックテーブル12を矢印Fの向き(突出部位20B側から受取可能位置側)に移動させる。このチャックテーブル12の矢印Fの向きへの移動の際に、切断装置制御部84は、後述するように、撮像ユニット38を用いて凹溝110を撮像する。これにより、回転するブレード46は、半導体ウエハ22に接触することなく、半導体ウエハ22の他方の外周端の外側(
図4(A)の紙面下方側)から半導体ウエハ22の一方の外周端の外側(
図4(A)の紙面上方側)に相対移動される。また、当該相対移動時に、撮像ユニット38は、凹溝110の一端から他端までを撮像する。
【0109】
次に、
図8(D)に示すように、切断装置制御部84は、駆動ユニット48及び移動ユニット32(
図7参照)を制御し、切断ユニット36(
図1及び
図2参照)を切断位置(
図14(B)参照)にして、同じようにF方向に切断ユニット36を相対移動させて凹溝110で半導体ウエハ22を切断する。言い換えると、切断装置制御部84は、駆動ユニット48を用いて回転するブレード46を切断位置に移動させた後(このときブレード46は半導体ウエハ22に接触していない)、移動ユニット32を用いてチャックテーブル12を矢印Fの向きとは反対の向き(受取可能位置側から突出部位20B側)に移動させる。これにより、凹溝110を形成したブレード46は、半導体ウエハ22の一方の外周端の外側(
図4(A)の紙面上方側)から半導体ウエハ22の他方の外周端の外側(
図4(A)の紙面下方側)に凹溝110に沿って通り抜ける。このため、半導体ウエハ22は、補正ラインHLに沿って凹溝110で切断される。
【0110】
つまり、補正ラインHLでの切断工程において、切断装置制御部84は、駆動ユニット48及び移動ユニット32を制御して、ブレード46の一回目の相対移動により半導体ウエハ22に凹溝110を形成し、凹溝110を形成したブレード46の二回目の相対移動により凹溝110において半導体ウエハ22を切断する。なお、半導体ウエハ22への凹溝110の形成と、当該凹溝110での半導体ウエハ22の切断は同一のブレード46を用いており、かつ、ブレード46は回転軸方向(
図4(A)における紙面左右方向(Y方向))に移動させていない。このため、理論的には、半導体ウエハ22に形成される凹溝110のラインと、半導体ウエハ22が切断されるラインは一致するはずである。しかし、ブレード46(
図1及び
図2参照)の二回目の相対移動で半導体ウエハ22を切断する際には、駆動ユニット48及び移動ユニット32の機械精度等により若干であるが凹溝110との位置がY方向にずれる場合がある。そして、このようなずれが生じた場合は、
図8(D)及び
図12に示すように段差部112が形成される。
【0111】
図8(C)及び
図12に示す凹溝110の深さK1は、
図13に示すように、半導体ウエハ22から切り出した半導体素子30(
図8(D)参照)を上下反転させて配線基板544に実装する際に、位置決め装置520における位置決め部材522の爪部522Bの先端部522Cの高さSよりも大きく設定されている。つまり、段差部112の位置よりも先端部522Cの高さSは低い。言い換えると、半導体ウエハ22の他方の面が下になるように半導体素子30を位置決め装置520の位置決め台530上に置いたとき(
図6及び
図13参照)、位置決め台530の表面(上面)からの段差部112の高さK1(凹溝110の深さK1)は、位置決め台530の表面(上面)からの先端部522Cの高さSよりも大きく設定されている。さらに換言すると、凹溝110の深さK1は、半導体ウエハ22の他方の面が下になるように半導体素子30を位置決め台530上に置いたとき(
図6及び
図13参照)、先端部522Cの先端面を半導体素子30に接触させても先端部522Cが段差部112に接触しないように設定されている。これは、先端部522Cの先端面を半導体素子30に接触させた際に、先端部522Cが段差部112に接触すると、位置決め装置520の位置決め台530上において爪部522Bを用いて半導体素子30を正確に位置決めできなくなるからである。
【0112】
また、凹溝110の深さK1とエッチング溝100の深さK2との合計の深さは、半導体ウエハ22の厚みtの半分以下に設定されている。つまり、K1+K2≦1/2tの関係になるように設定されている。凹溝110は半導体ウエハ22の一方の面に形成されたエッチング溝100と対向する補正ラインHLに沿って半導体ウエハ22の他方の面に形成されるため、凹溝110を形成する際に、凹溝110で半導体ウエハ22に割れが生じることを抑制するためである。本実施形態では、半導体ウエハ22の厚みt(
図12参照)は0.50mmであり、凹溝110の深さK1は0.20mmであり、エッチング溝100の深さK2は0.05mmであり、K1+K2≦1/2tの関係に設定されている。なお、これらの数値は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0113】
そして、切断ユニット36が退避位置(
図14(A)参照)へ移動した後、
図7に示す切断装置制御部84は、駆動ユニット48を制御して、退避位置の切断ユニット36を、
図4のY方向(
図4の紙面左右方向)の右側に送り、切断ラインを次の第一切断ラインSCに変える。言い換えると、切断装置制御部84は、駆動ユニット48を用いて回転するブレード46を退避位置に移動させた後、ブレード46を未切断の半導体ウエハ22に向かって短辺方向にL2移動させる。L2は、半導体素子30の短辺の長さであり、第一切断ラインSCの間隔である。
【0114】
ここで、このときの切断ユニット36の送り量L2は、切断ユニット36を送る前に補正されている。ここで、この送り量L2の補正について説明する。
【0115】
前述したように、切断装置制御部84は、
図8(C)に示す補正ラインHLで形成した凹溝110を、移動ユニット32及び撮像ユニット38を制御して撮像する。つまり、切断装置制御部84は、移動ユニット32を用いてチャックテーブル12を矢印Fの向きへ移動させるときに、撮像ユニット38を用いて凹溝110の一端から他端までを撮像する。切断装置制御部84は、撮像ユニット38が撮像した撮像画像を用いて、
図4のY方向へのブレード46の送り量L2を補正部83で補正する。
【0116】
具体的には、補正部83は、
図10に示す撮像画像から凹溝110の溝幅方向(
図10のY方向)の中心同士を結ぶ仮想直線である中心線CAを求める。次に、補正部83は、求めた中心線CAと、切断装置制御部84に記憶されている第一切断ラインSCの基準線KAとを比較し、そのずれ量であるΔL2を求める。そして、そのずれ量ΔL2から次に送る際の送り量L2を補正して、切断ユニット36を送る。例えば、切断ユニット36を
図10の紙面上方に基準線KAを基準にして送るとした場合の送り量は、L2+ΔL2に補正する。また、例えば、切断ユニット36を
図10の紙面下方に基準線KAを基準にして送るとした場合の送り量は、L2-ΔL2に補正する。なお、送り量L2の補正は、補正ラインHLの次に切断する第一切断ラインSCのみである。つまり、当該第一切断ラインSCの次の第一切断ラインSCに
図4のY方向へブレード46を送る場合の送り量は、上記補正をすることなく、L2である。
【0117】
切断装置制御部84は、求めたずれ量ΔL2から次に送る際の送り量L2を補正してブレード46を
図4のY方向に送ると共に、移動ユニット32を用いてチャックテーブル12を矢印Fの向き(突出部位20B側から受取可能位置側)に移動させる。これにより、回転するブレード46は、半導体ウエハ22に接触することなく、半導体ウエハ22の他方の外周端の外側(
図4(A)の紙面下方側)から半導体ウエハ22の一方の外周端の外側(
図4(A)の紙面上方側)に相対移動される。
【0118】
その後、切断装置制御部84は、駆動ユニット48を用いて回転するブレード46を退避位置から切断位置に移動させた後(このときブレード46は半導体ウエハ22に接触していない)、移動ユニット32を用いてチャックテーブル12を矢印Fの向きとは反対の向き(受取可能位置側から突出部位20B側)に移動させる。これにより、回転するブレード46は、半導体ウエハ22の一方の外周端の外側(
図4(A)の紙面上方側)から半導体ウエハ22の他方の外周端の外側(
図4(A)の紙面下方側)に通り抜ける。このため、半導体ウエハ22は、第一切断ラインSCに沿って、より正確に切断される。
【0119】
[作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0120】
本実施形態の半導体素子30の製造方法及びウエハ切断装置10では、半導体ウエハ22の凹溝110を撮像して、切断ユニット36のブレード46の送り量L2を補正している。よって、半導体ウエハ22を切断した後の半導体素子30と、この半導体素子30に隣接し、半導体ウエハ22を切断する前の半導体素子30との間隙を撮像して送り量L2を補正する場合と比較し、補正の精度が向上する。
【0121】
ここで、
図9は、第一切断ラインSCに沿って半導体ウエハ22を切断した切断後の半導体素子30の状態を模式的に図示している。
【0122】
半導体素子30の短辺の長さL2は、半導体ウエハ22の厚みt以下であり、上下方向に長く短辺方向の安定性が十分ではない。また、半導体素子30は、柔らかく、弾性のあるダイシングテープ26に張り付けられているので、この点においても安定性が十分ではない。よって、
図9に示すように、切断後の半導体素子30は、切断時の衝撃、切削水の水圧及び切削水が流れて排出される際の水流の影響等で短辺方向に傾き易い。
【0123】
また、本実施形態では、半導体ウエハ22に予め第一切断ラインSC及び第二切断ラインSTに沿ってエッチング溝100が形成されている。よって、半導体ウエハ22を切断する際に、ブレード46からの圧力により、切断前にエッチング溝100までクラックが入り、これにより半導体ウエハ22の切断後に切断後の半導体素子30が傾くことがある。
【0124】
なお、
図9は、判りやすくするために、図におけるダイシングテープ26の厚みは実際よりも厚く図示され、切断後の半導体素子30の傾きは実際よりも大きく図示している。
【0125】
そして、このように半導体素子30が傾いた状態で、切り出された半導体素子30と、この半導体素子30に隣接する切り出された半導体素子30との間隙を撮像して送り量L2を補正すると、当該間隙の間隔が安定していない(ばらつく)ため、当該補正を正確に行うことができない。
【0126】
これに対して、前述したように補正ラインHLでは、半導体ウエハ22を切断せずに、隣接する半導体素子30の間にまず凹溝110を形成し、当該隣接する半導体素子30の間隙の間隔(凹溝110の幅)が安定した状態で凹溝110を撮像することで、送り量L2の補正の精度が向上する。
【0127】
また、凹溝110を形成して補正する補正ラインHLは、第一切断ラインSCが40ライン毎である。換言すると、補正ラインHLは、40ラインの第一切断ラインHL毎に1ラインが設定される。よって、半導体ウエハ22を第一切断ラインSC毎に凹溝110を形成して補正する場合と比較し、半導体ウエハ22から半導体素子30を切り出す切断効率が向上する。つまり、半導体ウエハ22から全ての半導体素子30を切り出す時間は、短くできる。
【0128】
また、
図11に示すように、補正ラインHL(
図8参照)は、切り出される半導体素子30の角部31から第一切断ラインSC方向の半導体ウエハ22の外周端22Eまでの距離Wが、半導体ウエハ22の厚みt以下の場合には、適用しないようになっている。
【0129】
ここで、前述したように補正ラインHLでは、ブレード46により凹溝110の形成をした後に、凹溝110を形成したブレード46と同一のブレード46を再度凹溝110に侵入させて半導体ウエハ22を切断する。しかし、駆動ユニット48及び移動ユニット32の機械精度等に起因して、ブレード46は、凹溝110から第一切断ラインSC方向とは交差する方向(第二切断ラインST方向)に若干ずれる場合がある。このようにずれが生じた場合、角部31と外周端22Eとの距離Wが近いと、凹溝110にブレード46が再度侵入する際に、半導体素子30の角部31に割れ及び欠け等の破損が発生しやすい。
【0130】
しかし、前述したように、角部31から第一切断ラインSC方向の半導体ウエハ22の外周端22Eまでの距離Wが半導体ウエハ22の厚みt以下の第一切断ラインHLは補正ラインHLとしないことで、半導体素子30の破損が抑制される。
【0131】
また、凹溝110の深さK1は、半導体ウエハ22から切り出した半導体素子30を実装する際に位置決めする位置決め部材522の爪部522Bの先端部522Cの高さSよりも大きく設定されている。
【0132】
ここで、前述したように、凹溝110を形成後にブレード46で半導体ウエハ22を切断する際には、ブレード46の位置が補正ラインHL方向(第一切断ラインSC方向)とは交差する方向(第二切断ラインST方向)にずれた場合に、半導体ウエハ22から切り出した半導体素子30の側面に段差部112が形成される。仮に凹溝110の深さK1が位置決め部材522の先端部522Cの高さS以下の場合、半導体素子30を実装する際に、段差部112の位置が先端部522Cの高さSよりも低くなり、段差部112に先端部522Cが当たり、爪部522Bを用いた半導体素子30の位置決め精度が低下する。そうすると、配線基板544への半導体素子30の実装不良が多発することになる。
【0133】
しかし、凹溝110の深さK1は、半導体ウエハ22から切り出した半導体素子30を実装する際に位置決めする位置決め部材522の爪部522Bの先端部522Cの高さSよりも大きく設定されているので、段差部112の位置が先端部522Cの高さSよりも高くなり、段差部112に先端部522Cが当たることによる位置決め精度の低下が防止される。
【0134】
また、半導体ウエハ22に形成する凹溝110の深さK1とエッチング溝100の深さK2との合計の深さが、半導体ウエハ22の厚みtの1/2以下となるように凹溝110の深さK1が設定されているので、半導体ウエハ22に凹溝110を形成した際に、当該凹溝110の底部における半導体ウエハ22のひび割れが抑制される。
【0135】
<その他>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0136】
例えば、上記実施形態では、ブレード46の送り量L2の補正は、補正ラインHLに隣接する第一切断ラインSCにブレード46を送り量L2分送る際に実施していた。つまり、ブレード46の
図4のY方向への送り量は、L2ではなく、L2+ΔL2又はL2-ΔL2にしていた。これは、言い方を変えると、ブレード46のずれ量ΔL2の補正であるとも言える。しかし、このブレード46のずれ量ΔL2の補正は、上記実施形態に限るものではなく、補正ラインHLにおける半導体ウエハ22の凹溝110での切断において実施しても良い。すなわち、上記実施形態では、半導体ウエハ22に形成した凹溝110を撮像した後、ブレード46により半導体ウエハ22を凹溝110で切断し、その後、ブレード46を
図4のY方向に送るときに、ずれ量ΔL2の補正をしていた。つまり、上記実施形態では、ブレード46の第一切断ラインSCへの送り量をL2ではなく、L2+ΔL2又はL2-ΔL2とすることにより、補正ラインHLに隣接する第一切断ラインSCを切断する精度を向上させていた。しかし、ブレード46の
図4のY方向へのずれ量ΔL2の補正は、凹溝110で半導体ウエハ22を切断する際に行っても良い。次に、この点について詳細に説明する。なお、ブレード46による凹溝110の形成及びその後の撮像ユニット38による凹溝110の一端から他端までの撮像までは上記実施形態と同一であるため、説明は省略する。
【0137】
撮像ユニット38による凹溝110の撮像後、ずれ量ΔL2は、上記実施形態で説明した方法と同じ方法で求めることができる。つまり、補正部83は、
図10に示す撮像画像から凹溝110の溝幅方向(
図10のY方向)の中心同士を結ぶ仮想直線である中心線CAを求める。次に、補正部83は、求めた中心線CAと、切断装置制御部84に記憶されている第一切断ラインSCの基準線KAとを比較し、そのずれ量であるΔL2を求める。
【0138】
その後、切断装置制御部84は、駆動ユニット48を用いて回転するブレード46を切断位置に移動させる際に、ブレード46を
図4のY方向にずれ量ΔL2を補正して移動させる(このときブレード46は半導体ウエハ22に接触していない)。そして、移動ユニット32を用いてチャックテーブル12を矢印Fの向きとは反対の向き(受取可能位置側から突出部位20B側)に移動させる。これにより、凹溝110を形成した後、ずれ量ΔL2の補正がされたブレード46は、半導体ウエハ22の一方の外周端の外側(
図4(A)の紙面上方側)から半導体ウエハ22の他方の外周端の外側(
図4(A)の紙面下方側)に凹溝110に沿って通り抜ける。このため、半導体ウエハ22は、補正ラインHLに沿って凹溝110で高精度に切断される。
【0139】
つまり、補正ラインHLでの切断工程において、切断装置制御部84は、駆動ユニット48及び移動ユニット32を制御して、ブレード46の一回目の相対移動により半導体ウエハ22に凹溝110を形成した後、ずれ量ΔL2を補正したブレード46の二回目の相対移動により、凹溝110において半導体ウエハ22を切断する。なお、言うまでもなく、半導体ウエハ22への凹溝110の形成と、当該凹溝110での半導体ウエハ22の切断は同一のブレード46を用いている。また、ブレード46(
図1及び
図2参照)の二回目の相対移動で半導体ウエハ22を切断する際には、ずれ量ΔL2分、切断位置(切断するライン)が
図4のY方向にずれる場合がある。そして、このようなずれが生じた場合は、
図8(D)及び
図12に示すように段差部112が形成される。この段差部112の構成及び取り扱い等は、上記実施形態と同じであるため、説明は省略する。なお、ずれ量ΔL2の補正は補正ラインHLでの切断工程で実施しているので、その後、ブレード46を
図4のY方向に(補正ラインHLに隣接する第一切断ラインSCに)送る際の送り量は、ΔL2の補正をしない(上記実施形態のようにL2+ΔL2又はL2-ΔL2にするのではなく、L2である)。
【0140】
また、例えば、上記実施形態では、凹溝110の深さK1とエッチング溝100の深さK2との合計の深さが、半導体ウエハ22の厚みtの1/2以下としたが、これに限定されるものではない。凹溝110の深さK1とエッチング溝100の深さK2との合計の深さが、半導体ウエハ22の厚みtの1/2よりも大きくてもよい。
【0141】
また、例えば、上記実施形態では、半導体ウエハ22は、第一切断ラインSC及び第二切断ラインSTに沿って予めエッチングによってエッチング溝100が格子状に形成されていた。しかし、エッチング溝100が形成されていなくてもよい。なお、エッチング溝100が形成されていない場合の凹溝110の深さK1は、半導体ウエハ22の厚みtの1/2以下が望ましい。また、エッチング溝100が形成されている場合でも凹溝110の深さK1は、半導体ウエハ22の厚みtの1/2以下であってもよい。
【0142】
また、例えば、上記実施形態では、凹溝110の深さK1は、半導体ウエハ22から切り出した半導体素子30を実装する際に位置決めする位置決め部材522の爪部522Bの先端部522Cの高さSよりも大きく設定されている。しかし、これに限定されるのではなく、凹溝110の深さK1は、位置決め部材522の先端部522Cの高さS以下であってもよい。
【0143】
要は、凹溝110の深さK1は、適宜設定されればよい。
【0144】
また、例えば、上記実施形態では、第一切断工程において、予め定めた第一切断ラインSCにおいてのみブレード46の短辺方向の送り量L2を補正する補正ラインHLとした。しかし、これに限定されるのではなく、例えば、全ての第一切断ラインSCを補正ラインHLとして、半導体ウエハ22の切断毎にブレード46の短辺方向の送り量L2を補正してもよい。
【0145】
また、例えば、上記実施形態では、第一切断ラインSCに沿って切断する第一切断工程の際のブレード46の短辺方向の送り量L2が半導体ウエハ22の厚みt以下であるので、適宜凹溝110を形成して送り量L2を補正した。そして、第二切断ラインSCに沿って切断する第二切断工程の際のブレード46の長辺方向の送り量L1は半導体ウエハ22の厚みtよりも大きいので、凹溝を形成した送り量L1の補正はしていない。しかし、第二切断ラインSTに沿って切断する第二切断工程の際のブレード46の長辺方向の送り量L1が半導体ウエハ22の厚み以下の場合は、第二切断工程においても適宜凹溝110を形成してブレード46の長辺方向の送り量L1を補正してもよい。
【0146】
また、例えば、上記実施形態では、補正部83は、撮像画像から凹溝110の溝幅方向の中心線CAを求め、求めた中心線CAと記憶されている第一切断ラインSCの基準線KAとを比較し、そのずれ量であるΔL2を求め、そのずれ量ΔL2から次に送る際の送り量L2を補正していた。しかし、凹溝110の撮像画像から送り量を補正する方法は、前述の方法に限定されるものではない。例えば、撮像画像から求めた凹溝110の側壁位置と記憶された基準となる側壁位置とから補正してもよい。
【0147】
また、例えば、上記実施形態では、第一切断工程及び第二切断工程では、切断ユニット36のブレード46は、半導体ウエハ22に対して
図1及び
図4(A)のX方向に相対的に往復移動する。また、切断ユニット36のブレード46は、半導体ウエハ22に対する相対移動方向がF方向のときにのみ切断する。しかし、切断ユニット36のブレード46は、半導体ウエハ22に対する相対移動方向がF方向と反対方向のときも切断してもよい。つまり、切断ユニット36のブレード46が半導体ウエハ22に対して
図1及び
図4(A)のX方向の往方向に移動するときと復方向に移動するときとの両方で切断してもよい。また、例えば、切断ユニット36のブレード46が半導体ウエハ22に対して
図1及び
図4(A)のX方向の往方向に移動するときに半導体ウエハ22に凹溝110を形成し、復方向に移動するときに当該凹溝110で半導体ウエハ22を切断してもよい。
【0148】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0149】
10 ウエハ切断装置
22 半導体ウエハ(ウエハの一例)
30 半導体素子(素子の一例)
31 角部
46 ブレード(回転する刃の一例、回転刃の一例)
83 補正部
84 切断装置制御部(制御部の一例)
100 エッチング溝
110 凹溝
522 位置決め部材
522C 先端部