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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】回転電機、および駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20250311BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20250311BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20250311BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K5/20
H02K11/33
H02K1/18 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021036633
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136836
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】黒柳 均志
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】中田 恵介
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/179219(WO,A1)
【文献】特開2014-135817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 5/20
H02K 11/33
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータと隙間を介して対向するステータコアを有するステータと、
前記ロータおよび前記ステータを内部に収容するハウジングと、
前記ステータに電気的に接続されたインバータ装置と、
前記ステータと前記インバータ装置とを電気的に接続するバスバーと、
前記ハウジングの内部に収容された中空の管部材と、
を備え、
前記ハウジングの内部には、
軸方向に見て、前記ステータコアの外面と前記ハウジングの内面との間に位置する第1領域と、
軸方向に見て、前記ステータコアの外面と前記ハウジングの内面との間に位置し、前記第1領域に対して周方向に間隔を空けて配置された第2領域と、
が設けられ、
前記第2領域は、前記第1領域よりも広く、
前記管部材は、軸方向に見て、前記第1領域に重なり、
前記バスバーは、軸方向に見て、前記第2領域に重なり、
前記管部材と前記バスバーとは、軸方向に見て、前記中心軸を通り第1方向に延びる仮想線を挟んだ両側にそれぞれ配置され、
前記インバータ装置は、
パワー素子と、
前記パワー素子を内部に収容するインバータケースと、
を有し、
前記インバータケースは、前記ハウジングの前記第1方向の一方側に位置し、かつ、軸方向に見て、前記第1方向と直交する第2方向において前記ハウジングよりも一方側に突出し、
前記第1領域は、軸方向に見て、前記仮想線よりも前記第2方向の一方側に位置し、
前記第2領域は、軸方向に見て、前記仮想線よりも前記第2方向の他方側に位置し、
前記バスバーと前記パワー素子とは、軸方向に見て、前記ステータコアの前記第1方向の一方側に位置し、
前記パワー素子は、軸方向に見て、前記バスバーよりも前記第2方向の一方側に位置する、回転電機。
【請求項2】
前記ステータコアは、
前記ロータを囲む円筒状の外周面を有するステータコア本体と、
前記ステータコア本体から径方向外側に突出する突出部と、
を有し、
前記第1領域は、軸方向に見て、前記ステータコアの外面のうち前記ステータコア本体と前記突出部との境界部を含む部分と前記ハウジングの内面との間に位置する領域を含む、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記ハウジングの内面には前記ハウジングの外面側に向かって凹む第1凹部が設けられ、
前記第1領域は、軸方向に見て、前記ステータコアの外面と前記ハウジングの内面のうち前記第1凹部の内面を含む部分との間に位置する領域を含む、請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記管部材は、前記ステータコアの外面と前記ハウジングの内面との間に位置する介在部を有し、
軸方向に見て、前記ステータコアの外面と前記ハウジングの内面とが前記介在部を挟む挟持方向における前記介在部の寸法は、前記挟持方向と直交する方向における前記介在部の寸法よりも小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項5】
記インバータ装置は、コンデンサを有し、
前記パワー素子の少なくとも一部は、前記第1方向に見て、前記ステータコアと重なり、
前記コンデンサは、前記第1方向に見て、前記ステータコアの外側に位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項6】
記ステータコアは、前記第1方向の一方側を向く傾斜面を有し、
前記傾斜面は、軸方向に見て、前記第1方向と直交する第2方向に前記管部材から離れるに従って前記第1方向の他方側に向かう向きに延び、
前記バスバーは、軸方向に見て、前記傾斜面の前記第1方向の一方側に位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項7】
方向に見て、前記第2方向における前記ハウジングの中心は、前記仮想線に対して、前記バスバーが位置する側にずれて配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記管部材は、軸方向に見て、前記ステータコアの前記第1方向の一方側に位置する、請求項から7のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記第1方向は、鉛直方向である、請求項から8のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項10】
前記ステータコアの外面には、
前記中心軸側に向かって凹む第2凹部と、
前記中心軸側に向かって凹み、前記第2凹部よりも径方向の寸法が大きい第3凹部と、
が設けられ、
前記第1領域は、軸方向に見て、前記ステータコアの外面のうち前記第2凹部の内面を含む部分と前記ハウジングの内面との間に位置する領域を含み、
前記第2領域は、軸方向に見て、前記ステータコアの外面のうち前記第3凹部の内面を含む部分と前記ハウジングの内面との間に位置する領域を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項11】
車両に搭載される駆動装置であって、
請求項1から10のいずれか一項に記載の回転電機と、
前記回転電機に接続され、前記回転電機の回転を前記車両の車軸に伝達する伝達装置と、
を備える、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機、および駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却パイプを備える回転電機が知られている。例えば、特許文献1には、ステータヨークの外周面における最も鉛直上方位置より鉛直上方に配置された冷却パイプを備える回転電機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-35882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような回転電機においては、冷却パイプが設けられる分だけ回転電機が大型化する。また、上記のような回転電機には、インバータ装置が設けられる場合がある。この場合、インバータ装置を設ける分だけ回転電機がさらに大型化する。このように、冷却パイプおよびインバータ装置を備える回転電機は大型化しやすい問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、小型化できる構造を有する回転電機、および駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転電機の一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータと隙間を介して対向するステータコアを有するステータと、前記ロータおよび前記ステータを内部に収容するハウジングと、前記ステータに電気的に接続されたインバータ装置と、前記ステータと前記インバータ装置とを電気的に接続するバスバーと、前記ハウジングの内部に収容された中空の管部材と、を備える。前記ハウジングの内部には、軸方向に見て、前記ステータコアの外面と前記ハウジングの内面との間に位置する第1領域と、軸方向に見て、前記ステータコアの外面と前記ハウジングの内面との間に位置し、前記第1領域に対して周方向に間隔を空けて配置された第2領域と、が設けられている。前記第2領域は、前記第1領域よりも広い。前記管部材は、軸方向に見て、前記第1領域に重なる。前記バスバーは、軸方向に見て、前記第2領域に重なる。
【0007】
本発明の駆動装置の一つの態様は、車両に搭載される駆動装置であって、上記の回転電機と、前記回転電機に接続され、前記回転電機の回転を前記車両の車軸に伝達する伝達装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、回転電機および駆動装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の駆動装置を模式的に示す概略構成図である。
図2図2は、第1実施形態の駆動装置を示す断面図であって、図1におけるII-II断面図である。
図3図3は、第1実施形態のステータコアおよび管部材を示す斜視図である。
図4図4は、第2実施形態の回転電機を模式的に示す断面図である。
図5図5は、第3実施形態の回転電機を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、実施形態の駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。つまり、以下の実施形態において説明する鉛直方向に関する相対位置関係は、駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合に少なくとも満たしていればよい。
【0011】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。Z軸の矢印が向く側(+Z側)は、鉛直方向上側であり、Z軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置が搭載される車両の前後方向である。以下の実施形態において、X軸の矢印が向く側(+X側)は、車両における前側であり、X軸の矢印が向く側と逆側(-X側)は、車両における後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の実施形態において、Y軸の矢印が向く側(+Y側)は、車両における左側であり、Y軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)は、車両における右側である。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
【0012】
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、X軸の矢印が向く側(+X側)が車両の後側であり、X軸の矢印が向く側と逆側(-X側)が車両の前側であってもよい。この場合には、Y軸の矢印が向く側(+Y側)は、車両の右側であり、Y軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)は、車両の左側である。また、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0013】
適宜図に示す中心軸Jは、鉛直方向と交差する方向に延びる仮想軸である。より詳細には、中心軸Jは、鉛直方向と直交するY軸方向、つまり車両の左右方向に延びている。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、つまり中心軸Jの軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。以下の実施形態においては、右側(-Y側)を「軸方向一方側」と呼び、左側(+Y側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。
【0014】
適宜図に示す矢印θは、周方向を示している。以下の説明においては、周方向のうち右側から見て中心軸Jを中心として時計回りに進む側、すなわち矢印θが向く側(+θ側)を「周方向一方側」と呼び、周方向のうち右側から見て中心軸Jを中心として反時計回りに進む側、すなわち矢印θが向く側と逆側(-θ側)を「周方向他方側」と呼ぶ。
【0015】
以下の実施形態において、Z軸が延びる方向、つまり鉛直方向は「第1方向」に相当し、X軸が延びる方向、つまり前後方向は「第2方向」に相当する。上側は「第1方向の一方側」に相当し、下側は「第1方向の他方側」に相当する。
【0016】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の駆動装置100は、車両に搭載され、車軸64を回転させる駆動装置である。駆動装置100が搭載される車両は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などのモータを動力源とする車両である。図1に示すように、駆動装置100は、回転電機10と、伝達装置60と、を備える。伝達装置60は、回転電機10に接続され、回転電機10の回転、つまり後述するロータ30の回転を車両の車軸64に伝達する。本実施形態の伝達装置60は、ギヤハウジング61と、回転電機10に接続される減速装置62と、減速装置62に接続される差動装置63と、を有する。
【0017】
ギヤハウジング61は、減速装置62と差動装置63とオイルOとを内部に収容している。オイルOは、ギヤハウジング61内の下部領域に貯留されている。オイルOは、後述する冷媒流路90内を循環する。オイルOは、回転電機10を冷却する冷媒として使用される。また、オイルOは、減速装置62および差動装置63に対して潤滑油として使用される。オイルOとしては、例えば、冷媒および潤滑油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0018】
差動装置63は、リングギヤ63aを有する。リングギヤ63aには、回転電機10から出力されるトルクが減速装置62を介して伝えられる。リングギヤ63aの下側の端部は、ギヤハウジング61内に貯留されたオイルOに浸漬している。リングギヤ63aが回転することで、オイルOがかき上げられる。かき上げられたオイルOは、例えば、減速装置62および差動装置63に潤滑油として供給される。
【0019】
回転電機10は、駆動装置100を駆動する部分である。回転電機10は、例えば、伝達装置60の軸方向一方側(-Y側)に位置する。本実施形態において回転電機10は、モータである。回転電機10は、モータハウジング20と、シャフト31を有するロータ30と、ロータ30を回転可能に支持するベアリング34,35と、ステータ40と、レゾルバ72と、ノズル部材70と、除電装置71と、を備える。ベアリング34,35は、例えば、ボールベアリングである。
【0020】
モータハウジング20は、ロータ30およびステータ40を内部に収容するハウジングである。モータハウジング20は、ギヤハウジング61の軸方向一方側(-Y側)に繋がっている。モータハウジング20は、本体部21と、隔壁部22と、蓋部23と、を有する。本体部21と隔壁部22とは、例えば、同一の単一部材の一部である。蓋部23は、例えば、本体部21および隔壁部22とは別体である。
【0021】
本体部21は、中心軸Jを囲み、軸方向一方側(-Y側)に開口する筒状である。図2に示すように、本体部21は、第1筒状部21aと、フランジ部21bと、第2筒状部21cと、を有する。第1筒状部21aは、内部にステータ40を収容する筒状の部分である。第1筒状部21aの内周面は、後述するステータコア41の外周面に沿った形状である。図2において、第1筒状部21aの内周面は、ステータコア41の外周面と隙間を介して対向している。なお、図示は省略するが、第1筒状部21aの内周面には、ステータコア41の外周面に接触する支持部が設けられている。
【0022】
第1筒状部21aの内周面には、第1筒状部21aの外周面に向かって凹む第1凹部21iが設けられている。つまり、モータハウジング20の内面にはモータハウジング20の外面側に向かって凹む第1凹部21iが設けられている。本実施形態において第1凹部21iは、第1筒状部21aの内周面のうち上側に位置する部分における後側(-X側)の部分に設けられている。本実施形態において第1凹部21iは、上側に凹んでいる。第1凹部21iの内面は、例えば、軸方向に見て、上側に凹となる円弧状である。第1凹部21iは、軸方向に延びている。第1凹部21iは、後述する境界部P2aの上側に位置する。
【0023】
フランジ部21bは、第1筒状部21aの軸方向一方側(-Y側)の端部から径方向外側に広がる部分である。フランジ部21bは、中心軸Jを囲む環状である。軸方向に見て、フランジ部21bの外形は、角丸の四角形状である。フランジ部21bの上側の縁部は、前後方向に対して鉛直方向に斜めに傾いている。フランジ部21bの上側の縁部は、前側(+X側)に向かうに従って上側に位置する向きに直線状に延びている。フランジ部21bには、フランジ部21bを軸方向に貫通する貫通孔21dが設けられている。貫通孔21dは、フランジ部21bの上側部分における前側(+X側)の端部に設けられている。本実施形態において貫通孔21dは、円形状の孔である。貫通孔21dは、モータハウジング20の内部と後述するインバータケース81の内部とを繋いでいる。
【0024】
第2筒状部21cは、フランジ部21bを介して、第1筒状部21aの軸方向一方側(-Y側)に繋がっている。第2筒状部21cは、フランジ部21bの径方向外縁部から軸方向一方側に突出している。第2筒状部21cの内径は、第1筒状部21aの内径よりも大きい。本実施形態において第2筒状部21cは、角丸の四角筒状である。第2筒状部21cは、4つの側壁部21e,21f,21g,21hを有する。側壁部21eは、第2筒状部21cを構成する壁部のうち下側に位置する壁部である。側壁部21fは、第2筒状部21cを構成する壁部のうち前側(+X側)に位置する壁部である。側壁部21gは、第2筒状部21cを構成する壁部のうち後側(-X側)に位置する壁部である。側壁部21hは、第2筒状部21cを構成する壁部のうち上側に位置する壁部である。側壁部21eは、前後方向に沿って配置されている。側壁部21f,21gは、鉛直方向に沿って配置されている。側壁部21hは、前後方向に対して斜めに配置されている。側壁部21hは、前側に向かうに従って上側に位置する。
【0025】
図1に示すように、隔壁部22は、本体部21の軸方向他方側(+Y側)の端部に繋がっている。隔壁部22は、モータハウジング20の内部とギヤハウジング61の内部とを軸方向に隔てている。隔壁部22は、モータハウジング20の内部とギヤハウジング61の内部とを繋ぐ隔壁開口22aを有する。隔壁部22には、ベアリング34が保持されている。
【0026】
蓋部23は、本体部21の軸方向一方側(-Y側)の端部に固定されている。蓋部23は、本体部21の軸方向一方側の開口を塞いでいる。蓋部23は、蓋部23の軸方向他方側(+Y側)の面から軸方向一方側に窪む穴部23fを有する。穴部23fは、軸方向一方側に底部を有し、軸方向他方側に開口する穴である。本実施形態において穴部23fは、中心軸Jを中心とする円形状の穴である。穴部23f内には、ベアリング35、除電装置71、およびノズル部材70が保持されている。
【0027】
除電装置71は、シャフト31とモータハウジング20とに電気的に接触している。そのため、シャフト31に生じた電流を、モータハウジング20に流すことができる。これにより、シャフト31を回転可能に支持するベアリング34,35に、シャフト31から電流が流れることを抑制できる。したがって、ベアリング34,35に電食が生じることを抑制できる。ノズル部材70は、シャフト31の内部に流体としてのオイルOを供給するための部材である。ノズル部材70の一部は、シャフト31の内部に軸方向一方側(-Y側)から挿入されている。蓋部23の軸方向他方側(+Y側)の面には、レゾルバ72が保持されている。レゾルバ72は、ロータ30の回転を検出可能である。レゾルバ72は、シャフト31に固定されたレゾルバロータ72aと、レゾルバロータ72aを囲むレゾルバステータ72bと、を有する。
【0028】
ロータ30は、中心軸Jを中心として回転可能である。ロータ30は、シャフト31と、ロータ本体32と、を有する。図示は省略するが、ロータ本体32は、ロータコアと、ロータコアに固定されたロータマグネットと、を有する。ロータ30のトルクは、伝達装置60に伝達される。
【0029】
シャフト31は、中心軸Jを中心として回転可能である。シャフト31は、ベアリング34,35によって回転可能に支持されている。シャフト31は、中空のシャフトである。シャフト31は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。シャフト31には、シャフト31の内部とシャフト31の外部とを繋ぐ孔部33が設けられている。シャフト31は、モータハウジング20の内部とギヤハウジング61の内部とに跨って延びている。シャフト31の軸方向他方側(+Y側)の端部は、ギヤハウジング61の内部に突出している。シャフト31の軸方向他方側の端部には、減速装置62が接続されている。シャフト31は、軸方向両側に開口している。
【0030】
ステータ40は、ロータ30と径方向に隙間を介して対向している。より詳細には、ステータ40は、ロータ30の径方向外側に位置する。ステータ40は、モータハウジング20の内部に固定されている。ステータ40は、ステータコア41と、コイルアセンブリ42と、を有する。
【0031】
ステータコア41は、回転電機10の中心軸Jを囲む環状である。ステータコア41は、ロータ30の径方向外側に位置する。ステータコア41は、ロータ30を囲んでいる。ステータコア41は、例えば、電磁鋼板などの板部材が軸方向に複数積層されて構成されている。図2および図3に示すように、本実施形態においてステータコア41は、中心軸J回りに4回対称な形状である。
【0032】
ステータコア41は、ステータコア本体43と、突出部49と、を有する。ステータコア本体43は、ロータ30を囲む環状である。より詳細には、ステータコア本体43は、中心軸Jを中心として軸方向両側に開口する円筒状である。ステータコア本体43は、ロータ30を囲む円筒状の外周面43cを有する。本実施形態において外周面43cは、中心軸Jを中心とする円筒状である。外周面43cは、ステータコア41の外周面の一部を構成している。本実施形態においてステータコア41の外周面は、外周面43cと、突出部49の径方向外側面と、によって構成されている。図示は省略するが、外周面43cは、モータハウジング20の内周面に設けられた支持部によって径方向外側から支持されている。外周面43cは、モータハウジング20の内周面のうち支持部が設けられていない部分と隙間を介して径方向に対向して配置されている。
【0033】
ステータコア本体43は、軸方向に延びる円筒状のコアバック43aと、コアバック43aから径方向内側に延びる複数のティース43bと、を有する。コアバック43aの外周面は、ステータコア本体43の外周面43cである。複数のティース43bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。
【0034】
突出部49は、ステータコア本体43の外周面43cから径方向外側に突出している。突出部49は、モータハウジング20に固定された固定部である。図3に示すように、突出部49は、軸方向に延びている。突出部49は、例えば、ステータコア本体43の軸方向一方側の端部からステータコア本体43の軸方向他方側の端部まで延びている。突出部49は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。突出部49は、例えば、4つ設けられている。
【0035】
各突出部49は、各突出部49を軸方向に貫通する貫通孔49aを有する。貫通孔49aは、例えば、円形状の孔である。図示は省略するが、貫通孔49aには、軸方向に延びるボルトが通されている。図示は省略するが、ボルトは、例えば、軸方向一方側(-Y側)から貫通孔49aに通されて、モータハウジング20に設けられた雌ネジ穴に締め込まれている。これにより、突出部49は、ボルトによってモータハウジング20に固定されている。
【0036】
突出部49は、第1突出部44と、第2突出部45と、第3突出部46と、第4突出部47と、を含む。第1突出部44と第2突出部45と第3突出部46と第4突出部47とは、互いに周方向に間隔を空けて配置されている。本実施形態において第1突出部44および第2突出部45は、中心軸Jよりも上側に位置する。本実施形態において第3突出部46および第4突出部47は、中心軸Jよりも下側に位置する。第1突出部44と第2突出部45と第3突出部46と第4突出部47とは、例えば、周方向の一周に亘って等間隔に配置されている。第1突出部44と第2突出部45と第3突出部46と第4突出部47とは、例えば、互いに同じ形状である。そのため、以下の説明においては、第1突出部44以外の突出部49については、形状の説明を省略する場合がある。本実施形態において各突出部49は、周方向に非対称な形状である。
【0037】
第1突出部44は、ステータコア本体43の前側部分の上側の端部に設けられている。第1突出部44は、ステータコア本体43から上側斜め前方に突出している。第2突出部45は、ステータコア本体43の後側部分の上側の端部に設けられている。第2突出部45は、ステータコア本体43から上側斜め後方に突出している。第3突出部46は、ステータコア本体43の後側部分の下側の端部に設けられている。第3突出部46は、ステータコア本体43から下側斜め後方に突出している。第4突出部47は、ステータコア本体43の前側部分の下側の端部に設けられている。第4突出部47は、ステータコア本体43から下側斜め前方に突出している。
【0038】
図2に示すように、第1突出部44は、管部材50の周方向一方側(+θ側)に位置する。本実施形態において第1突出部44は、ステータコア本体43の上側の頂点VPよりも周方向一方側に位置する。頂点VPは、ステータコア本体43の外周面43cのうち最も上側に位置する部分である。頂点VPは、軸方向に見て、ステータコア本体43の外周面43cのうち、中心軸Jを通って鉛直方向に延びる仮想線ILと交わる部分である。本実施形態において第1突出部44の径方向外端部は、頂点VPよりも下側に位置する。
【0039】
第1突出部44は、モータハウジング20の内周面から離れて配置されている。第1突出部44の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなっている。第1突出部44の径方向外端部の外形は、軸方向に見て、径方向外側に凸となる円弧状である。第1突出部44のうち周方向他方側(-θ側)を向く第1側面44aは、ステータコア本体43の外周面43cから径方向外側に向かうに従って周方向一方側(+θ側)に位置する傾斜面である。本実施形態において第1側面44aは、上側斜め前方を向いている。
【0040】
第1側面44aの径方向内側の端部は、ステータコア本体43の外周面43cに繋がっている。中心軸Jの軸方向に見て、第1側面44aは、ステータコア本体43の外周面43cのうち第1側面44aの径方向内側の端部が繋がる境界部P1aに接する接線に沿って延びている。本実施形態において境界部P1aは、頂点VPよりも前側かつ下側に位置する。図示は省略するが、境界部P1aに接する接線は、軸方向に見て、前後方向(X軸方向)に対して斜めに傾いている。境界部P1aに接する接線は、前側に向かうに従って下側に位置する。
【0041】
第1側面44aは、ステータコア本体43の外周面43cに滑らかに繋がっている。第1側面44aは、例えば、軸方向に見て、直線状に延びている。第1側面44aは、軸方向に見て、境界部P1aから前側斜め下方に延びている。本実施形態において第1側面44aは、後述する第1供給口54から周方向に離れるに従って下側に位置する。第1側面44aは、駆動装置100が搭載される車両における前側に向かうに従って下側に位置する。つまり、本実施形態において第1側面44aは、軸方向に見て、鉛直方向と直交する前後方向に管部材50から離れるに従って下側に向かう向きに延びている。
【0042】
なお、本実施形態において第1側面44aは、第1方向の一方側を向く傾斜面に相当する。つまり、本実施形態においてステータコア41は、第1方向の一方側を向く傾斜面として第1側面44aを有する。
【0043】
第1突出部44のうち周方向一方側(+θ側)を向く第2側面44bは、ステータコア本体43の外周面43cから径方向外側に向かうに従って周方向他方側(-θ側)に位置する傾斜面である。本実施形態において第2側面44bは、前側斜め下方を向いている。
【0044】
第2側面44bの径方向内側の端部は、ステータコア本体43の外周面43cに繋がっている。中心軸Jの軸方向に見て、第2側面44bは、ステータコア本体43の外周面43cのうち第2側面44bの径方向内側の端部が繋がる境界部P1bに接する接線よりも径方向外側に傾いた向きに延びている。本実施形態において境界部P1bは、境界部P1aよりも前側かつ下側に位置する。図示は省略するが、境界部P1bに接する接線は、軸方向に見て、前後方向に対して斜めに傾いている。境界部P1bに接する接線は、前側に向かうに従って下側に位置する。境界部P1bに接する接線の前後方向に対する傾きは、境界部P1aに接する接線の前後方向に対する傾きよりも大きい。
【0045】
第2側面44bは、ステータコア本体43の外周面43cに滑らかに繋がっている。第2側面44bは、例えば、軸方向に見て、直線状に延びている。第2側面44bは、軸方向に見て、境界部P1bから上側斜め前方に延びている。
【0046】
第2突出部45は、管部材50の周方向他方側(-θ側)に位置する。本実施形態において第2突出部45は、ステータコア本体43の上側の頂点VPよりも周方向他方側に位置する。本実施形態において第2突出部45の径方向外端部は、第1突出部44の径方向外端部よりも上側に位置する。第2突出部45の上側の端部は、例えば、頂点VPよりも下側に位置する。
【0047】
第2突出部45のうち周方向一方側(+θ側)を向く第3側面45aは、ステータコア本体43の外周面43cから径方向外側に向かうに従って周方向他方側(-θ側)に位置する傾斜面である。本実施形態において第3側面45aは、上側斜め前方を向いている。
【0048】
第3側面45aの径方向内側の端部は、ステータコア本体43の外周面43cに繋がっている。中心軸Jの軸方向に見て、第3側面45aは、ステータコア本体43の外周面43cのうち第3側面45aの径方向内側の端部が繋がる境界部P2aに接する接線よりも径方向外側に傾いた向きに延びている。本実施形態において境界部P2aは、頂点VPよりも後側かつ下側に位置する。図示は省略するが、境界部P2aに接する接線は、軸方向に見て、前後方向に対して斜めに傾いている。境界部P2aに接する接線は、前側に向かうに従って上側に位置する。
【0049】
第3側面45aは、ステータコア本体43の外周面43cに滑らかに繋がっている。第3側面45aは、例えば、軸方向に見て、直線状に延びている。第3側面45aは、軸方向に見て、境界部P2aから後側斜め上方に延びている。
【0050】
第2突出部45のうち周方向他方側(-θ側)を向く第4側面45bは、ステータコア本体43の外周面43cから径方向外側に向かうに従って周方向一方側(+θ側)に位置する傾斜面である。本実施形態において第4側面45bは、後側斜め上方を向いている。
【0051】
第4側面45bの径方向内側の端部は、ステータコア本体43の外周面43cに繋がっている。中心軸Jの軸方向に見て、第4側面45bは、ステータコア本体43の外周面43cのうち第4側面45bの径方向内側の端部が繋がる境界部P2bに接する接線に沿って延びている。本実施形態において境界部P2bは、境界部P2aよりも後側かつ下側に位置する。図示は省略するが、境界部P2bに接する接線は、軸方向に見て、前後方向に対して斜めに傾いている。境界部P2bに接する接線は、前側に向かうに従って上側に位置する。境界部P2bに接する接線の前後方向に対する傾きは、境界部P2aに接する接線の前後方向に対する傾きよりも大きい。
【0052】
第4側面45bは、ステータコア本体43の外周面43cに滑らかに繋がっている。第4側面45bは、例えば、軸方向に見て、直線状に延びている。第4側面45bは、軸方向に見て、境界部P2bから上側斜め前方に延びている。
【0053】
図1に示すように、コイルアセンブリ42は、周方向に沿ってステータコア41に取り付けられる複数のコイル42cを有する。複数のコイル42cは、図示しないインシュレータを介してステータコア41の各ティースにそれぞれ装着されている。コイルアセンブリ42は、ステータコア41から軸方向に突出するコイルエンド42a,42bを有する。
【0054】
回転電機10は、モータハウジング20の内部に収容された中空の管部材50を備える。本実施形態において管部材50は、軸方向に延びる管状である。管部材50の軸方向両端部は、モータハウジング20に支持されている。管部材50の軸方向他方側(+Y側)の端部は、例えば、隔壁部22に支持されている。管部材50の軸方向一方側(-Y側)の端部は、例えば、蓋部23に支持されている。管部材50は、ステータ40の径方向外側に位置する。本実施形態において管部材50は、ステータ40の上側に位置する。
【0055】
図2に示すように、管部材50は、第1突出部44と第2突出部45との周方向の間に位置する。本実施形態において管部材50は、周方向において第1突出部44よりも第2突出部45に近い位置に配置されている。管部材50は、例えば、第2突出部45とステータコア本体43との境界部P2aの上側に位置する。管部材50は、鉛直方向に見て、第2突出部45の第3側面45aにおける周方向一方側(+θ側)の端部、およびステータコア本体43の外周面43cに重なって配置されている。管部材50は、第1筒状部21aの内部に位置する。より詳細には、管部材50は、第1筒状部21aの内周面のうち上側に位置する部分とステータコア41の上側の面との間に挿し込まれている。図3に示すように、管部材50は、介在部51と、第1端部52と、第2端部53と、を有する。
【0056】
図2に示すように、介在部51は、ステータコア41の外面とモータハウジング20の内面との間に位置する。本実施形態において介在部51は、ステータコア41の上側の面と、第1筒状部21aの内周面のうち上側に位置する部分との間に位置する。介在部51の上側部分は、第1凹部21iの内部に位置する。本実施形態では、管部材50のうち第1端部52および第2端部53を除く全体が介在部51となっている。本実施形態において介在部51は、管部材50の本体部分である。ステータコア41に対する介在部51の配置関係は、上述したステータコア41に対する管部材50に対する配置関係と同様である。介在部51は、ステータ40の径方向外側に位置する。本実施形態において介在部51は、ステータ40の上側に位置する。
【0057】
図3に示すように、介在部51の軸方向の寸法は、ステータコア41の軸方向の寸法よりも大きい。介在部51は、ステータコア41よりも軸方向両側に突出している。介在部51は、ステータコア41の上側とコイルエンド42a,42bの上側とに跨って配置されている。図2に示すように、軸方向に見て、ステータコア41の外面とモータハウジング20の内面とが介在部51を挟む挟持方向における介在部51の寸法は、当該挟持方向と直交する方向における介在部51の寸法よりも小さい。本実施形態においてステータコア41の外面とモータハウジング20の内面とが介在部51を挟む挟持方向は、鉛直方向である。つまり、介在部51の鉛直方向の寸法は、介在部51の前後方向の寸法よりも小さい。介在部51は、例えば、円筒が鉛直方向に潰されたような形状、つまり軸方向と直交する断面が扁平な略楕円形の筒状である。
【0058】
図3に示すように、第1端部52は、介在部51の軸方向一方側(-Y側)の端部に繋がっている。第1端部52は、軸方向一方側に開口する円筒状である。第1端部52は、管部材50の軸方向一方側の端部である。第1端部52は、例えば、蓋部23に設けられた図示しない穴に嵌め込まれて、蓋部23に支持されている。管部材50の内部には、第1端部52からオイルOが流入する。
【0059】
第2端部53は、介在部51の軸方向他方側(+Y側)の端部に繋がっている。第2端部53は、軸方向他方側に開口する円筒状である。第2端部53は、管部材50の軸方向他方側の端部である。第2端部53は、例えば、隔壁部22に設けられた図示しない穴に嵌め込まれて、隔壁部22に支持されている。本実施形態において管部材50内におけるオイルOの流れる向きは、軸方向一方側(-Y側)から軸方向他方側(+Y側)に流れる向きである。つまり、管部材50内のオイルOの流れ方向において、軸方向一方側は上流側であり、軸方向他方側は下流側である。
【0060】
管部材50は、ステータ40に冷媒としてのオイルOを供給する供給口50aを有する。本実施形態において供給口50aは、管部材50内に流入したオイルOの一部を管部材50の外部に噴射させる噴射口である。供給口50aは、複数設けられている。本実施形態において、全ての供給口50aは、介在部51に設けられている。供給口50aは、例えば、円形状である。本実施形態において介在部51に設けられた供給口50aは、周方向一方側(+θ側)を向く複数の第1供給口54と、周方向他方側(-θ側)を向く複数の第2供給口55と、を含む。
【0061】
図2に示すように、管部材50は、軸方向に見て、モータハウジング20の内部に設けられた第1領域24aに重なる。第1領域24aは、軸方向に見て、ステータコア41の外面とモータハウジング20の内面との間に位置する領域である。本実施形態において第1領域24aは、軸方向に見て、ステータコア41の上側の面と第2筒状部21cにおける側壁部21hの下側の面との間に位置する領域である。第1領域24aは、ステータコア41の上側に位置する。第1領域24aは、軸方向に見て、仮想線ILよりも後側(-X側)に位置する。
【0062】
本実施形態において第1領域24aは、配置領域24cを含む。軸方向に見て、配置領域24cには、管部材50が重なっている。本実施形態において配置領域24cは、軸方向に見て、ステータコア41の外面のうちステータコア本体43と第2突出部45との境界部P2aを含む部分と、モータハウジング20の内面のうち第1凹部21iの内面を含む部分と、の間に位置する領域である。本実施形態において配置領域24cは、第1領域24aの下側部分である。
【0063】
回転電機10は、ステータ40に電気的に接続されたインバータ装置80を備える。インバータ装置80は、パワー素子82と、コンデンサ83と、パワー素子82およびコンデンサ83を内部に収容するインバータケース81と、を有する。本実施形態においてインバータケース81は、モータハウジング20の上側に位置する。より詳細には、インバータケース81の前側部分が本体部21の上側に位置する。インバータケース81の後側部分は、モータハウジング20よりも後側(-X側)に突出している。インバータケース81の後側部分における鉛直方向の寸法は、インバータケース81の前側部分における鉛直方向の寸法よりも大きい。インバータケース81の後側部分は、インバータケース81の前側部分よりも下側に突出している。インバータケース81の後側部分は、第1筒状部21aの上側部分における後側(-X側)に繋がっている。インバータケース81は、ケース本体部81aと、カバー81bと、を有する。
【0064】
ケース本体部81aは、上側に開口する箱状である。ケース本体部81aは、モータハウジング20の本体部21の上側に繋がっている。より詳細には、ケース本体部81aは、第1筒状部21aの上側に繋がっている。本実施形態においてケース本体部81aと本体部21とは、同一の単一部材の一部である。ケース本体部81aを構成する壁部のうち軸方向一方側(-Y側)に位置する壁部81cの一部は、フランジ部21bの上側部分を構成している。壁部81cのうちフランジ部21bを構成している部分には、上述した貫通孔21dが設けられている。本実施形態において貫通孔21dは、壁部81cを軸方向に貫通している。カバー81bは、ケース本体部81aの上側に固定されている。カバー81bは、ケース本体部81aの上側の開口を塞いでいる。
【0065】
パワー素子82は、例えば、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)などのトランジスタである。図示は省略するがパワー素子82は、複数設けられている。複数のパワー素子82によって、ステータ40に電気的に接続されたインバータ回路が構成されている。本実施形態においてパワー素子82は、インバータケース81の前側部分の内部に位置する。パワー素子82は、ステータコア41の上側に位置する。パワー素子82の少なくとも一部は、鉛直方向に見て、ステータコア41と重なっている。本実施形態では、パワー素子82の全体が、鉛直方向に見て、ステータコア41と重なっている。
【0066】
コンデンサ83は、例えば、電解コンデンサである。本実施形態においてコンデンサ83は、インバータケース81の後側部分の内部に位置する。コンデンサ83は、鉛直方向に見て、ステータコア41の外側に位置する。言い換えれば、コンデンサ83は、鉛直方向に見て、ステータコア41と重なっていない。コンデンサ83の鉛直方向の寸法は、パワー素子82の鉛直方向の寸法よりも大きい。コンデンサ83は、パワー素子82と電気的に接続されている。コンデンサ83の少なくとも一部は、前後方向に見て、ステータコア41と重なっている。本実施形態では、コンデンサ83の下側部分が、前後方向に見て、ステータコア41と重なっている。
【0067】
回転電機10は、バスバーユニット84を備える。図示は省略するが、バスバーユニット84は、軸方向に延びている。バスバーユニット84は、貫通孔21dに軸方向に通されている。バスバーユニット84は、モータハウジング20の内部とインバータケース81の内部とに跨って配置されている。バスバーユニット84は、ステータ40とインバータ装置80とを電気的に接続するバスバー84aと、バスバー84aを保持するバスバーホルダ84bと、を有する。つまり、回転電機10は、バスバー84aと、バスバーホルダ84bと、を備える。
【0068】
本実施形態においてバスバー84aは、軸方向に延び、貫通孔21dに軸方向に通されている。バスバー84aは、コイル42cとパワー素子82とを電気的に接続している。バスバー84aは、複数設けられている。バスバー84aは、例えば、3つ設けられている。バスバー84aのうち貫通孔21d内に通された部分は、板面が鉛直方向を向く板状である。貫通孔21d内において複数のバスバー84aは、鉛直方向に隙間を介して並んで配置されている。本実施形態においてバスバー84aは、軸方向に見て、第1側面44aの上側に位置する。
【0069】
本実施形態においてバスバーホルダ84bは、絶縁性を有する樹脂製である。バスバーホルダ84bには、バスバー84aの一部が埋め込まれて保持されている。バスバーホルダ84bは、例えば、インサート部材をバスバー84aとするインサート成形によって作られている。バスバーホルダ84bは、例えば、軸方向に延びる四角柱状である。
【0070】
バスバー84aおよびバスバーホルダ84bは、軸方向に見て、モータハウジング20の内部に設けられた第2領域24bに重なる。第2領域24bは、軸方向に見て、ステータコア41の外面とモータハウジング20の内面との間に位置する領域である。本実施形態において第2領域24bは、軸方向に見て、ステータコア41の上側の面と第2筒状部21cにおける側壁部21hの下側の面との間に位置する領域である。第2領域24bは、第1領域24aに対して周方向に間隔を空けて配置されている。第2領域24bは、第1領域24aの周方向一方側(+θ側)に位置する。第2領域24bは、第1領域24aの前側(+X側)に離れて位置する。
【0071】
第2領域24bは、ステータコア41の上側に位置する。第2領域24bは、軸方向に見て、仮想線ILよりも前側(+X側)に位置する。本実施形態において、第1領域24aと第2領域24bとは、軸方向に見て、仮想線ILを前後方向に挟んで配置されている。そのため、第1領域24aに重なる管部材50と第2領域24bに重なるバスバー84aとは、軸方向に見て、中心軸Jを通り鉛直方向に延びる仮想線ILを挟んだ両側にそれぞれ配置されている。本実施形態において第2領域24bには、軸方向に見て、バスバーユニット84の全体および貫通孔21dが重なる。
【0072】
第2領域24bは、第1領域24aよりも広い。本明細書において「第2領域が第1領域よりも広い」とは、少なくとも1つの方向において第2領域の寸法が、第1領域の寸法より大きければよい。本実施形態において第2領域24bの鉛直方向の寸法は、第1領域24aの鉛直方向の寸法よりも大きい。第2領域24bの前後方向の寸法は、第1領域24aの前後方向の寸法よりも大きい。第2領域24bの径方向の寸法は、第1領域24aの径方向の寸法よりも大きい。第2領域24bの面積は、第1領域24aの面積よりも大きい。
【0073】
図1に示すように、本実施形態において駆動装置100には、冷媒としてのオイルOが循環する冷媒流路90が設けられている。冷媒流路90は、モータハウジング20の内部とギヤハウジング61の内部とに跨って設けられている。冷媒流路90は、ギヤハウジング61内に貯留されたオイルOが回転電機10に供給されて再びギヤハウジング61内に戻る経路である。冷媒流路90には、ポンプ96と、クーラ97と、管部材50と、が設けられている。以下の説明においては、冷媒流路90内のオイルOの流れ方向における上流側を単に「上流側」と呼び、冷媒流路90内のオイルOの流れ方向における下流側を単に「下流側」と呼ぶ。冷媒流路90は、ギヤ側流路部91と、接続流路部92と、回転電機側流路部93と、を有する。
【0074】
ギヤ側流路部91は、第1部分91aと、第2部分91bと、を有する。第1部分91aおよび第2部分91bは、例えば、ギヤハウジング61の壁部に設けられている。第1部分91aは、ギヤハウジング61の内部のうちオイルOが貯留されている部分とポンプ96とを繋いでいる。第2部分91bは、ポンプ96とクーラ97とを繋いでいる。
【0075】
接続流路部92は、ギヤハウジング61の壁部とモータハウジング20の壁部とに跨って設けられている。接続流路部92は、ギヤ側流路部91と回転電機側流路部93とを繋いでいる。より詳細には、接続流路部92は、クーラ97と後述する第3流路部93cとを繋いでいる。
【0076】
回転電機側流路部93は、回転電機10に設けられている。回転電機側流路部93は、第1流路部93aと、第2流路部93bと、第3流路部93cと、を有する。つまり、回転電機10は、第1流路部93aと、第2流路部93bと、第3流路部93cと、を備える。第1流路部93aおよび第3流路部93cは、モータハウジング20の壁部に設けられている。第2流路部93bは、モータハウジング20の壁部に設けられたハウジング流路部93dと、管部材50と、を有する。本実施形態において、第1流路部93a、第3流路部93c、およびハウジング流路部93dは、蓋部23に設けられている。第3流路部93cには、第1流路部93aおよび第2流路部93bが繋がっている。本実施形態において第1流路部93aと第2流路部93bとは、第3流路部93cから分岐している。
【0077】
第1流路部93aは、穴部23fの内部に流体としてのオイルOを供給する流路部である。第1流路部93aの上流側の端部は、第3流路部93cの下流側の端部に繋がっている。第1流路部93aの下流側の端部は、穴部23fの内部に開口している。図示は省略するが、第1流路部93aの下流側の端部は、例えば、穴部23fの内周面のうち軸方向一方側(-Y側)の端部に開口している。
【0078】
第2流路部93bは、ステータ40に流体としてのオイルOを供給する流路部である。第2流路部93bのうちハウジング流路部93dの上流側の端部は、第3流路部93cの下流側の端部に繋がっている。ハウジング流路部93dの下流側の端部は、管部材50の上流側の端部に繋がっている。
【0079】
ポンプ96が駆動されると、ギヤハウジング61内に貯留されたオイルOが第1部分91aを通って吸い上げられ、第2部分91bを通ってクーラ97内に流入する。クーラ97内に流入したオイルOは、クーラ97内で冷却された後、接続流路部92を通って、第3流路部93cから回転電機側流路部93に流入する。第3流路部93cに流入したオイルOは、第1流路部93aと第2流路部93bとに分岐する。第1流路部93aに流入したオイルOは、穴部23fの内部に流入する。
【0080】
穴部23fの内部に流入したオイルOの一部は、ノズル部材70内を通って、シャフト31の内部に流入する。ノズル部材70からシャフト31内に流入したオイルOは、孔部33からロータ本体32の内部を通過して、ステータ40に飛散する。穴部23fの内部に流入したオイルOの他の一部は、ベアリング35に供給される。
【0081】
第2流路部93bに流入したオイルOは、ハウジング流路部93dを通って、管部材50の内部へと流れる。管部材50内に流入したオイルOは、供給口50aから噴射されて、ステータ40に供給される。このように、第3流路部93cから分岐する第1流路部93aと第2流路部93bとが設けられることで、ギヤハウジング61内から送られてきたオイルOを、好適かつ容易に、穴部23f内を介してシャフト31内に供給できるとともに管部材50からステータ40に供給できる。
【0082】
本実施形態では、リングギヤ63aによってかき上げられたオイルOの一部がギヤハウジング61内に設けられたリザーバ98内に入る。リザーバ98内に入ったオイルOは、シャフト31内に軸方向他方側(+Y側)の端部から流入する。リザーバ98からシャフト31内に流入したオイルOは、孔部33からロータ本体32の内部を通過して、ステータ40に飛散する。
【0083】
供給口50aからステータ40に供給されたオイルOおよびシャフト31内からステータ40に供給されたオイルOは、ステータ40から熱を奪う。ステータ40を冷却したオイルOは、下側に落下して、モータハウジング20内の下部領域に溜まる。モータハウジング20内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁部22に設けられた隔壁開口22aを介してギヤハウジング61内に戻る。以上のようにして、冷媒流路90は、ギヤハウジング61内に貯留されたオイルOをロータ30およびステータ40に供給する。
【0084】
本実施形態によれば、モータハウジング20の内部には、軸方向に見て、第1領域24aと、第1領域24aよりも広い第2領域24bと、が設けられている。管部材50は、軸方向に見て、第1領域24aに重なる。バスバー84aは、軸方向に見て、第2領域24bに重なる。ここで、バスバー84aは、管部材50に比べて大きくなりやすい。そのため、第1領域24aと第2領域24bとのうち広い方の第2領域24bに軸方向に見て重なる位置にバスバー84aを配置することで、モータハウジング20内にバスバー84aを配置しやすくできる。一方、バスバー84aに比べて小さくなりやすい管部材50を、第1領域24aと第2領域24bとのうち狭い方の第1領域24aに軸方向に見て重なる位置に配置することで、モータハウジング20の内部空間が不必要に大きくなることを抑制できる。このように、モータハウジング20内に広さの異なる2つの領域を設け、管部材50とバスバー84aとを、各部材の大きさに合わせて各領域と軸方向に重なる位置にそれぞれ配置することで、モータハウジング20の内部において管部材50とバスバー84aとを空間効率よく配置できる。これにより、モータハウジング20を小型化しやすい。したがって、本実施形態によれば、管部材50およびインバータ装置80を備える回転電機10を小型化できる。また、回転電機10を備える駆動装置100を小型化できる。本実施形態では、モータハウジング20を鉛直方向に小型化しやすく、回転電機10および駆動装置100を鉛直方向に小型化できる。
【0085】
また、本実施形態によれば、第1領域24aは、軸方向に見て、ステータコア41の外面のうちステータコア本体43と第2突出部45との境界部P2aを含む部分とモータハウジング20の内面との間に位置する配置領域24cを含む。そのため、軸方向に見て配置領域24cと重なる位置に管部材50を配置することで、管部材50と第2突出部45とを周方向に並べてまとめて配置できる。これにより、管部材50を配置するための空間を第2突出部45と異なる位置に別に設ける場合に比べて、モータハウジング20の内部空間を小さくしやすい。したがって、モータハウジング20をより小型化しやすく、回転電機10をより小型化しやすい。
【0086】
また、本実施形態によれば、第1領域24aは、軸方向に見て、ステータコア41の外面とモータハウジング20の内面のうち第1凹部21iの内面を含む部分との間に位置する配置領域24cを含む。そのため、モータハウジング20の内面をステータコア41の外面に近づけつつ、配置領域24cを確保しやすい。これにより、軸方向に見て配置領域24cと重なる位置に管部材50を配置することで、モータハウジング20の内部に管部材50を好適に配置しつつ、モータハウジング20をより小型化しやすい。したがって、回転電機10をより小型化しやすい。
【0087】
また、本実施形態によれば、管部材50は、ステータコア41の外面とモータハウジング20の内面との間に位置する介在部51を有する。軸方向に見て、ステータコア41の外面とモータハウジング20の内面とが介在部51を挟む挟持方向における介在部51の寸法は、当該挟持方向と直交する方向における介在部51の寸法よりも小さい。そのため、介在部51の挟持方向における寸法を比較的小さくしやすい。これにより、ステータコア41の外面とモータハウジング20の内面との間に介在部51を配置しつつ、ステータコア41の外面とモータハウジング20の内面とをより近づけて配置することができる。したがって、モータハウジング20をより小型化しやすく、回転電機10をより小型化しやすい。
【0088】
また、本実施形態によれば、パワー素子82の少なくとも一部は、鉛直方向に見て、ステータコア41と重なる。コンデンサ83は、鉛直方向に見て、ステータコア41の外側に位置する。コンデンサ83は、パワー素子82に比べて大きくなりやすい。比較的大きいコンデンサ83を鉛直方向に見てステータコア41の外側に配置することで、コンデンサ83の少なくとも一部を、鉛直方向と直交する方向にステータコア41と並べて配置することができる。そのため、コンデンサ83が鉛直方向に見てステータコア41に重なる場合に比べて、インバータ装置80がモータハウジング20に対して鉛直方向に突出することを抑制できる。これにより、回転電機10を鉛直方向に小型化しやすい。また、比較的小さいパワー素子82を鉛直方向に見てステータコア41と重ねて配置しても、回転電機10が鉛直方向に大型化しにくい。一方、インバータ装置80の一部をモータハウジング20と鉛直方向に重ねて配置できる。そのため、インバータ装置80全体が鉛直方向に見てステータコア41と重ならない場合に比べて、インバータ装置80がモータハウジング20に対して鉛直方向と直交する方向に突出することを抑制できる。これにより、回転電機10を鉛直方向と直交する方向に小型化しやすい。以上により、インバータ装置80を設けつつ、回転電機10を鉛直方向、および鉛直方向と直交する方向に小型化できる。
【0089】
また、本実施形態によれば、ステータコア41は、上側を向く傾斜面として第1側面44aを有する。第1側面44aは、軸方向に見て、鉛直方向と直交する前後方向に管部材50から離れるに従って下側に向かう向きに延びている。バスバー84aは、軸方向に見て、傾斜面である第1側面44aの上側に位置する。このように、第1側面44aを、管部材50から離れるに従って下側に向かう向きに傾斜させることで、仮想線ILを挟んで第1領域24aと反対側に位置する第2領域24bを鉛直方向に大きくしつつ、第2領域24bが設けられる部分においてモータハウジング20が上側に突出することを抑制できる。これにより、軸方向に見てバスバー84aが重なる第2領域24bを比較的大きく確保しつつ、モータハウジング20が鉛直方向に大型化することを抑制できる。したがって、回転電機10をより鉛直方向に小型化できる。
【0090】
また、本実施形態によれば、管部材50とバスバー84aとは、軸方向に見て、ステータコア41の上側に位置する。このように、管部材50とバスバー84aとをステータコア41に対して鉛直方向の同じ側に配置することで、管部材50とバスバー84aとをステータコア41に対して鉛直方向の反対側に配置する場合に比べて、モータハウジング20が鉛直方向に大型化することを抑制できる。したがって、回転電機10をより鉛直方向に小型化できる。
【0091】
また、本実施形態によれば、仮想線ILが延びる第1方向は、鉛直方向である。そのため、上述したように、回転電機10および駆動装置100を鉛直方向に小型化できる。これにより、駆動装置100を車両に搭載しやすくできる。
【0092】
<第2実施形態>
図4に示すように、本実施形態の回転電機210においてモータハウジング220は、矩形筒状の本体部221を有する。本実施形態において本体部221の軸方向に見た外形は、前後方向に長い長方形状である。図4には、軸方向に見て本体部221の前後方向の中心を通り鉛直方向に延びる中心線CLを仮想的に示している。軸方向に見て、中心線CLは、モータハウジング220の前後方向の中心を通っている。本実施形態において中心線CLは、仮想線ILよりも前側(+X側)にずれて配置されている。
【0093】
本実施形態においてステータ240のステータコア241における外周面は、中心軸Jを中心とする円筒状である。管部材250は、第1実施形態の管部材50と異なり軸方向と直交する断面が扁平な形状ではなく、円筒状である。管部材250は、軸方向に見て、中心軸Jを通り鉛直方向に延びる仮想線ILよりも後側(-X側)に設けられた第1領域224aに重なる。バスバーユニット284は、軸方向に見て、仮想線ILよりも前側(+X側)に設けられた第2領域224bに重なる。つまり、バスバー284aおよびバスバーホルダ284bは、軸方向に見て、第2領域224bに重なる。第1領域224aおよび第2領域224bは、軸方向に見て、ステータコア241の外面と本体部221の内面との間の位置する領域である。
【0094】
本実施形態では、上述したように、中心線CLが仮想線ILよりも前側(+X側)にずれて配置されている。つまり、軸方向に見て、鉛直方向と直交する前後方向におけるモータハウジング220の中心は、仮想線ILに対して、バスバー284aが位置する側にずれて配置されている。そのため、モータハウジング220のうち前側に位置する壁部とステータコア241との前後方向の間隔を、モータハウジング220のうち後側(-X側)に位置する壁部とステータコア241との前後方向の間隔よりも大きくできる。これにより、例えばステータコア241に第1側面44aのような傾斜面を設けなくても、第1領域224aよりも広い第2領域224bをモータハウジング220内に容易に設けることができる。回転電機210のその他の構成は、回転電機10のその他の構成と同様にできる。なお、管部材250は、第1実施形態の管部材50と同様に、軸方向と直交する断面が扁平な形状であってもよい。この場合、ステータコア241を、軸方向に見て、鉛直方向上側(+Z側)にモータハウジング220の内面に近づけることができる。そのため、モータハウジング220の鉛直方向の寸法を小さくすることができ、モータハウジング220を小型化することができる。
【0095】
<第3実施形態>
図5に示すように、本実施形態の回転電機310においてモータハウジング320は、矩形筒状の本体部321を有する。本実施形態において本体部321の軸方向に見た外形は、正方形状である。本実施形態においてステータ340のステータコア341における外周面は、中心軸Jを中心とする円筒状である。軸方向に見て、ステータコア341の外面には、中心軸J側に向かって凹む第2凹部341aおよび第3凹部341bが設けられている。第2凹部341aおよび第3凹部341bは、ステータコア341の外周面から径方向内側に凹んでいる。本実施形態において第2凹部341aの内面および第3凹部341bの内面は、軸方向に見て、略円弧状である。第2凹部341aおよび第3凹部341bは、中心軸Jよりも上側に位置する。第2凹部341aは、仮想線ILよりも後側(-X側)に位置する。第3凹部341bは、仮想線ILよりも前側(+X側)に位置する。第2凹部341aは、前側かつ下側向きに斜めに凹んでいる。第3凹部341bは、後側かつ下側向きに斜めに凹んでいる。第3凹部341bの径方向の寸法は、第2凹部341aの径方向の寸法よりも大きい。
【0096】
本実施形態において第1領域324aは、軸方向に見て、ステータコア341の外面のうち第2凹部341aの内面を含む部分とモータハウジング320の内面との間に位置する領域を含む。そのため、モータハウジング320を大きくすることなく、ステータコア341の外面とモータハウジング320の内面との間の第1領域324aを大きくできる。これにより、回転電機310の大型化を抑制しつつ、管部材350を軸方向に見て第1領域324aに重ねることが容易である。本実施形態では、管部材350は、第2実施形態の管部材250と同様に円筒状である。管部材350の一部は、第2凹部341aの内部に位置する。なお、管部材350は、第1実施形態の管部材50と同様に、軸方向と直交する断面が扁平な筒状であってもよい。この場合、ステータコア341を、鉛直方向上側(+Z側)にモータハウジング320の内面に近づけることができる。そのため、モータハウジング320の鉛直方向における寸法を小さくすることでき、モータハウジング320を小型化することができる。
【0097】
本実施形態において第2領域324bは、軸方向に見て、ステータコア341の外面のうち第3凹部341bの内面を含む部分とモータハウジング320の内面との間に位置する領域を含む。そのため、モータハウジング320を大きくすることなく、ステータコア341の外面とモータハウジング320の内面との間の第2領域324bを大きくできる。これにより、回転電機310の大型化を抑制しつつ、バスバー384aおよびバスバーホルダ384bを有するバスバーユニット384を軸方向に見て第2領域324bに重ねることが容易である。また、上述したように第3凹部341bの径方向の寸法が第2凹部341aの径方向の寸法よりも大きいため、第2領域324bを第1領域324aよりも容易に広くできる。本実施形態においてバスバー384aの一部およびバスバーホルダ384bの一部は、第3凹部341bの内部に位置する。回転電機310のその他の構成は、回転電機10のその他の構成と同様にできる。
【0098】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。第1領域の形状および第2領域の形状は、特に限定されない。第1領域と第2領域とは、軸方向に見て、周方向に間隔を空けて配置されるならば、ハウジングの内部においてどのような位置に設けられていてもよい。インバータ装置におけるパワー素子およびコンデンサは、どのように配置されてもよい。パワー素子およびコンデンサの両方が、第1方向に見て、ステータコアと重なってもよいし、ステータコアの外側に位置してもよい。軸方向に見て中心軸を通る仮想線が延びる第1方向は、特に限定されず、鉛直方向以外の方向に延びてもよい。ステータコアの形状は、特に限定されない。
【0099】
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、例えば、車軸を回転させる用途以外の用途で車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。回転電機が用いられる際の姿勢は、特に限定されない。回転電機の中心軸は、鉛直方向に延びてもよい。以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0100】
10,210,310…回転電機、20,220,320…モータハウジング(ハウジング)、21i…第1凹部、24a,224a,324a…第1領域、24b,224b,324b…第2領域、30…ロータ、40,240,340…ステータ、41,241,341…ステータコア、43…ステータコア本体、43c…外周面、44a…第1側面(傾斜面)、45…第2突出部(突出部)、49…突出部、50,250,350…管部材、51…介在部、60…伝達装置、64…車軸、80…インバータ装置、82…パワー素子、83…コンデンサ、84a,284a,384a…バスバー、100…駆動装置、341a…第2凹部、341b…第3凹部、IL…仮想線、J…中心軸、P2a…境界部
図1
図2
図3
図4
図5