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特許7647188車両重量計測システム、車両重量計測方法、および、車両重量計測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】車両重量計測システム、車両重量計測方法、および、車両重量計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/03 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
G01G19/03
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021038204
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138361
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久世 尚之
(72)【発明者】
【氏名】中尾 慎一
(72)【発明者】
【氏名】堀 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 功
(72)【発明者】
【氏名】南川 卓也
(72)【発明者】
【氏名】足羽 康行
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-196982(JP,A)
【文献】特開2020-46331(JP,A)
【文献】特開2017-67723(JP,A)
【文献】特開2020-91206(JP,A)
【文献】特開2012-42219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/03
G01G 19/02
G08G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに異なる複数の地点に配置され、それぞれの地点で車両の重量を計測するとともに前記車両の識別情報を取得する複数の車両重量計測器と、
前記複数の車両重量計測器毎に車両の種類に応じて基準データを記憶する基準データ記憶部と、
前記複数の車両重量計測器が計測した車両重量を前記基準データから得られる補正値で補正して判定用車両重量を算出し、該判定用車両重量を用いて所定の重量規定に対する合否の判定を行う判定部と、を備え、
前記判定部は、前記車両の識別情報に基づいて前記車両の種類に応じた基準データを用いて前記補正値を算出する、
車両重量計測システム。
【請求項2】
前記判定部は、
前記複数の車両重量計測器毎の計測値と前記基準データとの差分値を用いて前記補正値を算出する、
請求項1に記載の車両重量計測システム。
【請求項3】
前記判定部は、
前記複数の車両重量計測器毎の計測値の平均値の差分値を用いて前記補正値を算出する、
請求項2に記載の車両重量計測システム。
【請求項4】
前記判定部は、
前記差分値の統計演算値と前記差分値とを用いて、前記補正値を算出する、
請求項2または請求項3に記載の車両重量計測システム。
【請求項5】
前記判定のタイミングよりも過去の複数回に計測された前記複数の車両重量計測器毎の車両重量を判定対象データとして記憶する判定対象データ記憶部を備え、
前記判定部は、
前記判定のタイミングに前記複数の車両重量計測器毎が計測した車両重量と前記判定対象データとを用いて前記判定用車両重量を算出する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両重量計測システム。
【請求項6】
前記判定の結果を用いて警告情報を生成し送信する警告情報送信部を備える、
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の車両重量計測システム。
【請求項7】
前記警告情報を通知する警告装置を備える、
請求項に記載の車両重量計測システム。
【請求項8】
車両重量を計測するコンピュータが、
それぞれに異なる複数の地点で計測された車両重量を取得するとともに車両の識別情報を取得する取得ステップと、
車両の種類に応じて前記車両重量の正常な計測値によって設定される前記複数の地点毎の基準データを記憶する記憶ステップと、
前記複数の地点で計測された車両重量を前記基準データから得られる補正値で補正して判定用車両重量を算出し、該判定用車両重量を用いて所定の重量規定に対する合否の判定を行う判定ステップと、を実行し、
前記判定ステップは、前記車両の識別情報に基づいて前記車両の種類に応じた基準データを用いて前記補正値を算出するステップである、車両重量計測方法。
【請求項9】
車両重量を計測するコンピュータに、
それぞれに異なる複数の地点で計測された車両重量を取得するとともに車両の識別情報を取得する取得ステップと、
車両の種類に応じて前記車両重量の正常な計測値によって設定される前記複数の地点毎の基準データを記憶する記憶ステップと、
前記複数の地点で計測された車両重量を前記基準データから得られる補正値で補正して判定用車両重量を算出し、該判定用車両重量を用いて所定の重量規定に対する合否の判定を行う判定ステップと、を実行させ、
前記判定ステップは、前記車両の識別情報に基づいて前記車両の種類に応じた基準データを用いて前記補正値を算出するステップである、車両重量計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行中の車両の重量を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路を走行する車両の重量を計測する技術が各種考案されている。例えば、特許文献1の軸重計測システムは、道路に設置した軸重センサの出力から、走行中の車両の重量を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-216674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軸重センサの計測値は、誤差を含む。この誤差は、振動等による突発的な要因による誤差と軸重センサの経年劣化による誤差とを含む。
【0005】
しかしながら、従来の車両重量計測システムでは、このような誤差を抑圧して、車両重量を高精度に計測することが難しかった。
【0006】
この発明の目的は、車両重量を高精度に計測することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の車両重量計測システムは、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0008】
この車両重量計測システムは、複数の車両重量計測器、基準データ記憶部、および判定部を備える。複数の車両重量計測器は、それぞれに異なる複数の地点に配置され、それぞれの地点で車両の重量を計測する。基準データ記憶部は、複数の車両重量計測器毎、車種毎の基準データを記憶する。判定部は、複数の車両重量計測器が計測した車両重量を基準データから得られる補正値で補正して判定用車両重量を算出し、この判定用車両重量を用いて所定の重量規定に対する合否の判定を行う。
【0009】
この構成では、過去の正常に計測された車両重量を用い、さらに、複数地点での結果を用いて、補正値が設定される。これにより、経年劣化による誤差、および、突発的な要因による誤差は抑制される。したがって、判定用車両重量は、これらの誤差が抑圧された高精度な値になる。
【0010】
判定部は、複数の車両重量計測器毎の計測値と基準データとの差分値を用いて補正値を算出してもよい。
【0011】
判定部は、複数の車両重量計測器毎の差分値の平均値を用いて補正値を算出してもよい。
【0012】
判定部は、差分値の統計演算値と差分値とを用いて補正値を算出してもよい。
【0013】
判定のタイミングよりも過去の複数回に計測された複数の車両重量計測器毎の車両重量を判定対象データとして記憶する判定対象データ記憶部を備え、記判定部は、判定のタイミングに複数の車両重量計測器毎が計測した車両重量と判定対象データとを用いて判定用車両重量を算出してもよい。
【0014】
基準データ記憶部は、車両の種類に応じて前記基準データを記憶し、複数の車両重量計測器は、車両の識別情報を取得し、判定部は、車両の識別情報に基づいて車種に応じた基準データを用いて補正値を算出してもよい。
【0015】
基準データ記憶部は、計測日の種類に応じて前記基準データを記憶し、判定部は、計測日の種類に応じた基準データを用いて補正値を算出してもよい。
【0016】
判定の結果を用いて警告情報を生成し送信する警告情報送信部を備えてもよい。
【0017】
警告情報を通知する警告装置を備えてもよい。
【0018】
請求項7に記載の車両重量計測システム。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、車両重量を高精度に計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この例に係る車両重量計測技術の概念を示す図である。
図2】この例に係る車両重量計測システムの構成例を示すブロック図である。
図3】この例に係る車両重量計測システムのサーバの構成例を示すブロック図である。
図4】基準データの作成方法の一例を示すフローチャートである。
図5】判定方法の一例を示すフローチャートである。
図6】判定対象データ記憶部での車両重量の記憶方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0022】
<1.適用例>
図1は、この例に係る車両重量計測技術の概念を示す図である。
【0023】
複数の計測器20A、20B、・・・、20N(以下、まとめて記載する場合、複数の計測器20A-20Nとする。)は、道路RDの複数の地点A、B、・・・、N(以下、まとめて記載する場合、複数の地点A-N)に設置されている。複数の計測器20A-20Nは、例えば、軸重計である。
【0024】
複数の計測器20A-20Nは、道路RDを走行する車両90の車両重量を計測するとともに、ナンバープレート情報(NB情報:車両識別情報に対応する。)を取得する。複数の計測器20A-20Nは、車両重量とNB情報とを、ネットワーク100を通じて、サーバ30に送信する。
【0025】
サーバ30は、複数の計測器20A-20N、車種、計測日の種類によってカテゴライズされた基準データを記憶する。基準データは、例えば、複数の計測器20A-20Nが設置された日から所定の学習期間内に計測された車両重量によって作成されている。すなわち、基準データは、複数の計測器20A-20Nが正常に車両重量を計測できた期間(正常に車両重量が計測できた確率が非常に高い期間)に計測された車両重量によって作成されている。
【0026】
サーバ30は、複数の計測器20A-20Nから送信された車両90の計測車両重量と基準データとを用いて、補正値を算出する。補正値は、計測車両重量と基準データと差分値であり、経年劣化に応じた第1補正値と、複数の計測器を用いることによって生じる第1補正値の分散であり、突発要因を抑制する第2補正値とを有する。
【0027】
サーバ30は、計測車両重量を補正値で補正して、判定用車両重量を算出する。
【0028】
サーバ30は、判定用車両重量を用いて、重量超過車両であるか否かを判定する。サーバ30は、重量超過車両であることを判定すると、警告装置40に、重量超過であることを示す警告情報を送信する。
【0029】
警告装置40は、警告情報を受信すると、警告情報を表示し、車両90のドライバに通知する。
【0030】
このように、この例に係る車両重量計測技術を用いることで、複数の計測器20A-20Nの経年劣化による誤差および突発要因による誤差は抑制され、車両重量を高精度に計測できる。
【0031】
<2.構成例>
図2は、この例に係る車両重量計測システムの構成例を示すブロック図である。図2に示すように、車両重量計測システム10は、複数の計測器20A-20N、サーバ30、警告装置40、および、ネットワーク100を備える。
【0032】
複数の計測器20A-20Nは、同じ計測器であり、例えば、軸重計である。複数の計測器20A-20Nは、図1に示すように、道路RDに沿った複数の地点A-Nにそれぞれ配置される。
【0033】
複数の計測器20A-20Nは、それぞれに、重量計測センサ21、計測処理部22、および、通信部23を備える。重量計測センサ21は、例えば、地点毎に複数配置されており、道路RDを走行する車両90の車両重量を既知の方法によって計測する。計測処理部22は、複数の重量計測センサ21が計測した車両重量から、既知の方法によって計測器20A-20Nとして出力する車両重量を算出する。通信部23は、計測処理部22から出力された車両重量を、ネットワーク100を通じてサーバ30に送信する。
【0034】
この際、複数の計測器20A-20Nは、図示を省略したカメラおよび画像処理装置によって、車両90のナンバープレート情報(NB情報:車両識別情報)を取得する。通信部23は、車両重量とNB情報とを紐付けして、サーバ30に送信する。
【0035】
例えば、計測器20Aは、地点Aに設置され、地点Aで計測した車両90の車両重量をNB情報とともにサーバ30に送信する。計測器20Bは、地点Bに設置され、地点Bで計測した車両90の車両重量をNB情報とともにサーバ30に送信する。計測器20Nは地点Nに設置され、地点Nで計測した車両90の車両重量をNB情報とともにサーバ30に送信する。
【0036】
図3は、この例に係る車両重量計測システムのサーバの構成例を示すブロック図である。図3に示すように、サーバ30は、データ受信部31、マッチング処理部32、判定部33、警告情報送信部34、基準データ記憶部391、および、判定対象データ記憶部392を備える。判定部33は、情報取得部331、補正値演算部332、判定演算部333を備える。
【0037】
サーバ30は、例えば、コンピュータと、このコンピュータで実行され、サーバ30を構成するこれらの機能部の機能を実現するプログラムと、このプログラムの記憶領域およびこのプログラムの実行用の作業領域を備える記憶媒体とによって構成される。
【0038】
データ受信部31は、複数の計測器20A-20Nからの車両重量(計測車両重量)とNB情報とを受信する。データ受信部31は、計測車両重量とNB情報とを、判定対象データ記憶部392に出力する。また、データ受信部31は、NB情報をマッチング処理部32に出力する。
【0039】
判定対象データ記憶部392は、地点A-N毎のデータベース392A-392Nを備える。データベース392A-392Nには、地点A-N毎の直近の複数日の計測車両重量がNB情報に紐付けられて記憶されている。
【0040】
例えば、データベース392Aには、地点Aにおける直近の複数日の計測車両重量がNB情報に紐付けられて記憶されている。データベース392Bには、地点Bにおける直近の複数日の計測車両重量がNB情報に紐付けられて記憶されている。データベース392Nには、地点Nにおける直近の複数日の計測車両重量がNB情報に紐付けられて記憶されている。
【0041】
データベース392A-392Nは、最新の計測車両が入力される毎に、最新の計測車両を含むように、直近の複数日の計測車両重量を更新する。なお、データベース392A-392Nは、地点A-N毎の直近の複数日の計測車両重量の平均値を、NB情報に紐付けて記憶することもできる。
【0042】
マッチング処理部32は、データ受信部31からのNB情報を用いて、判定対象データ記憶部392に、当該NB情報に紐付けられた直近の複数日の計測車両重量が記憶されているか照会する。マッチング処理部32は、当該NB情報に紐付けられた直近の複数日の計測車両重量が記憶されていれば、NB情報を情報取得部331に出力する。
【0043】
情報取得部331は、NB情報に基づいて、判定対象データ記憶部392から計測車両重量を取得する。また、情報取得部331は、NB情報に基づいて基準データ記憶部391から基準データを取得する。
【0044】
基準データ記憶部391は、地点A-N毎のデータベース391A-391Nを備える。データベース391A-391Nには、地点A-N毎の基準データがNB情報に紐付けられて記憶されている。
【0045】
基準データは、過去の複数日の計測車両重量の平均値である。より具体的には、基準データは、過去における複数の計測器20A-20Nが正常に車両重量を計測できている期間の計測車両重量の平均値である。例えば、基準データは、複数の計測器20A-20Nが設置された日から所定日数の期間(学習期間)の計測車両重量の平均値である。
【0046】
例えば、データベース391Aには、地点Aにおける学習期間の計測車両重量の平均値(地点Aの基準データ)がNB情報に紐付けられて記憶されている。データベース391Bには、地点Aにおける学習期間の計測車両重量の平均値(地点Bの基準データ)がNB情報に紐付けられて記憶されている。データベース391Nには、地点Nにおける学習期間の計測車両重量の平均値(地点の基準データ)がNB情報に紐付けられて記憶されている。なお、データベース391A-391Nは、NB情報に基づく車両のカテゴリー(中型車、大型車等)毎に基準データを記憶していてもよい。
【0047】
情報取得部331は、取得した直近の複数日の計測車両重量と基準データとを、補正値演算部332と判定演算部333とに出力する。
【0048】
補正値演算部332は、取得した直近の複数日の計測車両重量の平均値と基準データ(学習期間の計測車両重量の平均値)とを用いて補正値を算出する、より具体的には、補正値演算部332は、直近の複数日の計測車両重量の平均値と基準データとの差分値を、地点A-N毎に算出する。補正値演算部332は、複数地点A-Nの差分値の平均値を算出し、この平均値を第1補正値に設定する。これにより、第1補正値は、計測車両重量に含まれる複数の計測器20A-20Nの経年劣化による誤差を表す補正値となる。
【0049】
補正値演算部332は、第1補正値の分散、より具体的には、複数地点A-Nの違いによるバラツキを示す分散を算出し、この分散を第2補正値に設定する。これにより、第2補正値は、計測車両重量に含まれる単体の計測器で発生する突発要因による誤差を表す補正値となる。なお、ここでは、分散を用いるが、他の統計演算値(標準偏差等)を用いることも可能である。
【0050】
補正値演算部332は、第1補正値と第2補正値とを判定演算部333に出力する。
【0051】
判定演算部333は、今回の計測車両重量に対して、第1補正値および第2補正値を用いた補正を行い、判定用車両重量を算出する。例えば、判定演算部333は、今回の計測車両重量から第1補正値を減算し、第2補正値とサンプルデータ数とによって設定される補正値を加算することで、判定用車両重量を算出する。
【0052】
判定用車両重量が上述のように算出されることで、判定用車両重量に含まれる計測器の経年劣化による誤差および突発要因による誤差は抑圧される。したがって、判定演算部333は、車両90の車両重量を高精度に算出できる。
【0053】
判定演算部333は、NB情報に基づく重量規定と判定用車両重量とを比較する。NB情報に基づく重量規定とは、例えば、NB情報から得られる車両種類の上限の車両重量によって設定される。
【0054】
判定演算部333は、判定用車両重量が重量規定を超えていれば、重量超過と判定する。この際、上述のように車両90の車両重量が高精度に算出されることによって、判定演算部333は、重量超過の判定を高精度に行える。言い換えれば、判定演算部333は、誤判定を抑制できる。
【0055】
判定演算部333は、重量超過と判定すると警告情報を生成する。判定演算部333は、警告情報を警告情報送信部34に出力する。
【0056】
警告情報送信部34は、警告情報を警告装置40に送信する。
【0057】
警告装置40は、例えば、道路RDの地点Nよりも先に設置された表示器を備える。警告装置40は、警告情報を受信すると、警告情報を表示する。
【0058】
これにより、車両重量計測システム10は、車両90のドライバに、重量超過を通知できる。
【0059】
<3.動作例>
以下に、この例の車両重量計測システム10の動作について説明する。図4は、基準データの作成方法の一例を示すフローチャートである。
【0060】
サーバ30および複数の計測器20A-20Nは、基準データの学習開始トリガを受け付ける(S50)。複数の計測器20A-20Nは、車両重量を計測し、NB情報を取得する。サーバ30は、複数の計測器20A-20Nで計測、取得した車両重量およびNB情報を、複数の計測器20A-20Nから取得する(S51)。
【0061】
サーバ30は、NB情報に基づいて車両モデルを同定し、車両モデルに応じたカテゴリー毎に車両重量を分類する(S52)。この際、サーバ30は、地点A-N毎に車両重量を分類する。
【0062】
サーバ30は、学習期間が終わるまで(S53:NO)、車両重量、NB情報の取得、分類を繰り返す。
【0063】
サーバ30は、学習期間が終了すると、地点A-N毎、カテゴリー毎に、車両重量の平均値を算出し、基準データに設定する(S54)。
【0064】
サーバ30は、各平均値の統計値(例えば分散)を算出する(S55)。サーバ30は、統計値が基準データとしての許容範囲内(許容のバラツキ範囲内)であれば(S56:YES)、この基準データを採用し(S57)、基準データ記憶部391のデータベース391A-391Nに記憶させる。
【0065】
サーバ30は、統計値が許容範囲内(許容のバラツキ範囲内)でなければ(S56:NO)、この基準データを採用しない(S58)。この場合、例えば、サーバ30は、再度基準データの設定を行う。なお、この際、過去に基準データが存在すれば、サーバ30は、この過去の基準データを採用してもよい。
【0066】
図5は、判定方法の一例を示すフローチャートである。なお、図5に示す各処理の具体的な内容は上述しており、必要箇所を除いて説明は省略する。
【0067】
判定部33は、判定タイミングまで待機し(S11:NO)、判定タイミングになると(S11:YES)、NB情報を用いてマッチング処理を行う(S12)。判定タイミングは、例えば、図1に示すような警告判断地点(地点N)の計測器20Nから計測車両重量を取得したタイミングである。
【0068】
判定部33は、判定対象データ記憶部392および基準データ記憶部391に照会し、NB情報に紐付く計測記録(計測車両重量、基準データ)があれば(S13:YES)、データの読み出しを行う。判定部33は、NB情報に紐付く計測記録(計測車両重量、基準データ)がなければ(S13:NO)、今回の判定を見送る。
【0069】
判定部33は、判定対象データ記憶部392から判定対象データ(直近の複数日の計測車両重量)を読み出す(S14)。判定部33は、基準データ記憶部391から基準データを読み出す(S15)。
【0070】
判定部33は、判定対象データと基準データとから、経年劣化に対応する補正値(上述の第1補正値)を算出する(S16)。判定部33は、さらに、計測器毎の突発的なバラツキに対応する補正値の分散(上述の第2補正値)を算出する(S17)。
【0071】
判定部33は、計測車両重量、補正値、および補正値の分散を用いて、判定用車両重量を算出する(S18)。
【0072】
判定部33は、判定用車両重量が警告対象(重量規定の重量を超える状態)であれば(S19:YES)、警告情報を生成、送信する(S20)。判定部33は、警告対象でなければ(S19:NO)、警告情報の生成を行わない。
【0073】
この処理によって、車両重量計測システム10が実行する車両重量計測方法は、車両重量を高精度に計測し、重量超過を高精度に判定できる。
【0074】
<4.変形例>
次に、車両重量計測システムの変形例について説明する。
【0075】
・変形例1
図6は、判定対象データ記憶部での車両重量の記憶方法の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、この判定対象データ記憶部での車両重量の記憶方法では、記憶する計測車両重量を、逐次的に最新のものに更新する。
【0076】
サーバ30は、複数の計測器20A-20Nから、車両重量(計測車両重量)とNB情報を取得し(S41)、地点毎に分類する(S42)。
【0077】
サーバ30は、判定対象データ記憶部392の記憶状態を確認し、各データベースの記憶容量の上限に達していなければ(S43:NO)、車両重量とNB情報とを判定対象データ記憶部392の各データベースに追加記憶する(S44)。
【0078】
サーバ30は、各データベースの記憶容量の上限に達していれば(S43:YES)、車両重量とNB情報とを判定対象データ記憶部392の各データベースに更新記憶する(S45)。より具体的には、例えば、サーバ30は、最新の計測車両重量が記憶されるように、最も古い計測車両重量に最新の計測車両重量を判定対象データ記憶部392の各データベースに上書き記憶する。
【0079】
このような処理を繰り返すことによって、判定対象データ記憶部392には、常に最新の所定日数の計測車両重量が記憶される。これにより、補正値演算部332は、計測器の現状をより反映した補正値を算出できる。
【0080】
なお、ここでは、データベースの容量によって、データの蓄積の上限を決めているが、日数によって決めてもよい。例えば、判定対象データ記憶部392には、今回の計測日を起点日として過去の所定日数の計測車両重量を記憶してもよい。
【0081】
・変形例2
上述の基準データ記憶部391の記憶処理において、基準データの統計値を算出して、採用、不採用を決定する処理を省略できる。例えば、予め工場出荷時等に校正された複数の計測器20A-20Nを設置した場合に、この設置日を起点日に所定の学習期間を設定する。この場合、基準データの統計値を算出して、採用、不採用を決定する処理は、省略できる。
【0082】
・変形例3
上述の説明では、複数の地点A-Nで計測を行う態様を示した。しかしながら、少なくとも2地点で計測を行うことで、上述のように、車両重量を高精度に計測できる。
【0083】
この場合、例えば、次の処理を採用することも可能である。
【0084】
2地点の計測器は、それぞれに車両重量を計測し、サーバに送信する。サーバは、2地点の計測器の基準データを記憶している。基準データは、例えば、2地点に対する学習期間内に計測した車両重量の平均値である。
【0085】
サーバは、各地点に対する基準データで計測車両重量を補正する。より具体的には、サーバの補正値演算部は、2地点の直近の所定日数の計測車両重量の平均値を算出する。サーバの補正値演算部は、地点毎に計測車両重量の平均値から基準データ(学習期間の計測車両重量の平均値)で減算することで、地点毎の補正値を算出する。
【0086】
サーバの判定演算部は、地点毎の計測車両重量を地点毎の補正値で補正する。サーバの判定演算部は、補正後の地点毎の計測車両重量の平均値を算出することで、判定用車両重量を算出する。
【0087】
このような処理によって、変形例3の車両重量計測システムは、車両重量を高精度に計測できる。
【0088】
<付記>
それぞれに異なる複数の地点(A-N)に配置され、それぞれの地点(A-N)で車両90の重量を計測する複数の車両重量計測器(20A-20N)と、
複数の車両重量計測器(20A-20N)毎の基準データを記憶する基準データ記憶部391と、
複数の車両重量計測器(20A-20N)が計測した車両重量を基準データから得られる補正値で補正して判定用車両重量を算出し、該判定用車両重量を用いて所定の重量規定に対する合否の判定を行う判定部33と、
を備えた、
車両重量計測システム(10)。
【符号の説明】
【0089】
10:車両重量計測システム
20A、20B、20N:計測器
21:重量計測センサ
22:計測処理部
23:通信部
30:サーバ
31:データ受信部
32:マッチング処理部
33:判定部
34:警告情報送信部
40:警告装置
90:車両
100:ネットワーク
331:情報取得部
332:補正値演算部
333:判定演算部
391:基準データ記憶部
391A、391B、391N:データベース
392:判定対象データ記憶部
392A、392B、392N:データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6