IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ヒータ、および画像形成装置 図1
  • 特許-ヒータ、および画像形成装置 図2
  • 特許-ヒータ、および画像形成装置 図3
  • 特許-ヒータ、および画像形成装置 図4
  • 特許-ヒータ、および画像形成装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】ヒータ、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20250311BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20250311BHJP
   H05B 3/16 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
H05B3/20 393
G03G15/20 505
H05B3/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021066851
(22)【出願日】2021-04-12
(65)【公開番号】P2022162177
(43)【公開日】2022-10-24
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】上野 宏輔
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-149832(JP,A)
【文献】特開2021-012813(JP,A)
【文献】特開2020-187319(JP,A)
【文献】特開2017-073196(JP,A)
【文献】特開2007-121955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00- 3/86
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と;
前記基板の第1の面に設けられ、前記基板の長手方向に沿って延びる発熱体と;
前記第1の面に設けられ、前記基板の長手方向に沿って延び、前記発熱体を覆う保護部と;
前記基板の、前記第1の面に対向する第2の面に、前記基板の長手方向に沿って並べて設けられた複数の緩和部と;
を具備し、
前記保護部の熱膨張率と、前記緩和部の熱膨張率は、前記基板の熱膨張率とは異なり、
前記緩和部の材料は、前記保護部の材料と同じ、または、
前記緩和部の材料の主成分は、前記保護部の材料の主成分と同じであり、
前記複数の緩和部のそれぞれの、配設位置、前記材料、平面寸法、および厚みの少なくともいずれかが、ヒータの反りが抑制されるように設定されているヒータ。
【請求項2】
記緩和部と、前記緩和部との間の距離は7mm以下である請求項1記載のヒータ。
【請求項3】
前記保護部の体積をV1(mm)とし、
前記複数の緩和部の体積をV2(mm)とした場合に、以下の式を満足する請求項1または2に記載のヒータ。
0.9≦V2/V1≦1.1
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のヒータを具備した画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ヒータ、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの画像形成装置には、トナーを定着させるためのヒータが設けられている。一般的に、この様なヒータは、長尺状の基板と、基板の一方の面に設けられ、基板の長手方向に延びる発熱体と、発熱体を覆う保護部と、を有している。
【0003】
基板は、耐熱性および絶縁性を有し、熱伝導率の高い材料から形成される。例えば、基板は、酸化アルミニウムなどのセラミックス、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板などから形成される。
保護部は、耐熱性および絶縁性を有し、熱伝導率が高く、化学的安定性の高い材料から形成される。例えば、保護部は、セラミックス、ガラスなどから形成される。
【0004】
ここで、基板の材料と、保護部の材料とが異なるものとなる場合がある。基板の材料と、保護部の材料とが異なると、材料の熱膨張率の差に起因して熱応力が発生し、ヒータに反りが発生する場合がある。この場合、基板の熱膨張率と保護部の熱膨張率との差が大きくなるほど、ヒータに反りが発生し易くなる。
【0005】
ヒータに反りが発生すると、ヒータと加熱対象物との間の距離がばらついて、加熱対象物に加熱ムラが生じるおそれがある。
そこで、ヒータに反りが発生するのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-240606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、反りが発生するのを抑制することができるヒータ、および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係るヒータは、基板と;前記基板の第1の面に設けられ、前記基板の長手方向に沿って延びる発熱体と;前記第1の面に設けられ、前記基板の長手方向に沿って延び、前記発熱体を覆う保護部と;前記基板の、前記第1の面に対向する第2の面に、前記基板の長手方向に沿って並べて設けられた複数の緩和部と;を具備している。前記保護部の熱膨張率と、前記緩和部の熱膨張率は、前記基板の熱膨張率とは異なり、前記緩和部の材料は、前記保護部の材料と同じ、または、前記緩和部の材料の主成分は、前記保護部の材料の主成分と同じであり、前記複数の緩和部のそれぞれの、配設位置、前記材料、平面寸法、および厚みの少なくともいずれかが、ヒータの反りが抑制されるように設定されている
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、反りが発生するのを抑制することができるヒータ、および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係るヒータを例示するための模式正面図である。
図2】ヒータを例示するための模式背面図である。
図3図1におけるヒータのA-A線方向の模式断面図である。
図4】本実施の形態に係る画像形成装置を例示するための模式図である。
図5】定着部を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、各図面中の矢印X、Y、Zは互いに直交する三方向を表している。例えば、基板の長手方向をX方向、基板の短手方向(幅方向)をY方向、基板の面に垂直な方向をZ方向としている。
【0012】
(ヒータ)
図1は、本実施の形態に係るヒータ1を例示するための模式正面図である。
なお、図1は、発熱部20および保護部40が設けられた側からヒータ1を見た図である。
図2は、ヒータ1を例示するための模式背面図である。
なお、図2は、緩和部50が設けられた側からヒータ1を見た図である。
図3は、図1におけるヒータ1のA-A線方向の模式断面図である。
図1図3に示すように、ヒータ1は、例えば、基板10、発熱部20、配線部30、保護部40、および緩和部50を有する。
【0013】
基板10は、板状を呈し、一方の方向(例えば、X方向)に延びる形状を有している。基板10の平面形状は、例えば、長尺状の長方形である。基板10の厚みは、例えば、0.5mm~1.0mm程度とすることができる。基板10の平面寸法は、加熱対象物(例えば、紙)のサイズなどに応じて適宜変更することができる。
【0014】
基板10は、耐熱性および絶縁性を有し、熱伝導率の高い材料から形成される。基板10は、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、結晶化ガラス(ガラスセラミックス)、メタルコア基板などから形成される。
【0015】
メタルコア基板は、例えば、ステンレスなどから形成された金属板と、金属板の表面を覆う絶縁層と、を有する。絶縁層は、例えば、セラミックスなどの無機材料から形成することができる。金属板を含んでいるメタルコア基板の熱伝導率は、セラミックスなどの熱伝導率よりも高い。そのため、基板10がメタルコア基板から形成されていれば、ヒータ1の温度に面内分布が生じるのを抑制することができる。
【0016】
発熱部20は、印加された電力を熱(ジュール熱)に変換する。発熱部20は、基板10の面10a(第1の面の一例に相当する)に設けることができる。
発熱部20は、例えば、発熱体21、および発熱体22を有する。なお、一例として、発熱体21、および発熱体22が設けられる場合を例示したが、発熱体の数や大きさは、加熱対象物のサイズなどに応じて適宜変更することができる。また、長さ、幅、形状などが異なる複数種類の発熱体を設けることもできる。すなわち、発熱体は少なくとも1つ設けられていればよい。
【0017】
発熱体21および発熱体22は、例えば、Y方向(基板10の短手方向)に所定の間隔をあけて並べて設けられる。発熱体21および発熱体22は、例えば、X方向(基板10の長手方向)に沿って延びる形態を有する。
【0018】
発熱体21および発熱体22のX方向の寸法(長さ寸法)は、例えば、略同一とすることができる。この場合、発熱体21および発熱体22のそれぞれの中心が、直線1aの上に位置するようにすることが好ましい。すなわち、発熱体21および発熱体22のそれぞれは、直線1aを対称軸として線対称となるように設けることが好ましい。
【0019】
ヒータ1を画像形成装置100に取り付ける際には、例えば、直線1aが加熱対象物の搬送経路の中心線に重なるようにする。この様にすれば、加熱対象物の、搬送方向に直交する方向の寸法が変化した場合であっても、加熱対象物を略均一に加熱することが容易となる。
【0020】
発熱体21および発熱体22の電気抵抗値は、略同一とすることもできるし、異なるものとすることもできる。例えば、発熱体21および発熱体22の、X方向の寸法(長さ寸法)、Y方向の寸法(幅寸法)、およびZ方向の寸法(厚み寸法)をそれぞれ略同一とすることで、電気抵抗値が略同一となるようにすることができる。また、これらの寸法の少なくともいずれかを変えることで、電気抵抗値が異なるようにすることができる。また、材料を変えることで、電気抵抗値が異なるようにすることができる。
【0021】
また、発熱体21の、単位長さ当たりの電気抵抗値は、X方向において略均一とすることができる。例えば、発熱体21の、Y方向の寸法(幅寸法)およびZ方向の寸法(厚み寸法)は、略一定とすることができる。発熱体21の平面形状は、例えば、X方向(基板10の長手方向)に沿って延びる略長方形とすることができる。
【0022】
また、発熱体22の、単位長さ当たりの電気抵抗値は、X方向において略均一とすることができる。例えば、発熱体22の、Y方向の寸法(幅寸法)およびZ方向の寸法(厚み寸法)は、略一定とすることができる。発熱体22の平面形状は、例えば、X方向(基板10の長手方向)に沿って延びる略長方形とすることができる。
【0023】
発熱体21および発熱体22は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)、銀・パラジウム(Ag-Pd)合金などを用いて形成することができる。発熱体21および発熱体22は、例えば、スクリーン印刷法などを用いてペースト状の材料を基板10の上に塗布し、焼成法などを用いてこれを硬化させることで形成することができる。
【0024】
配線部30は、例えば、基板10の、発熱部20(発熱体21および発熱体22)が設けられる面10aに設けられる。
配線部30は、例えば、端子31、端子32、配線33、配線34、および配線35を有する。
【0025】
端子31、32は、例えば、X方向における基板10の一方の端部の近傍に設けられる。端子31、32は、X方向に並べて設けることができる。端子31、32は、コネクタおよび配線などを介して、例えば、電源などと電気的に接続される。
【0026】
配線33は、例えば、X方向において、基板10の、端子31が設けられる側に設けられる。配線33は、X方向に延びる形態を有する。配線33は、端子31と、発熱体21の端子31側の端部とに電気的に接続されている。
【0027】
配線34は、例えば、X方向において、基板10の、端子31、32が設けられる側とは反対側の端部の近傍に設けられる。配線34には、発熱体21の、配線33側とは反対側の端部、および、発熱体22の、配線35側とは反対側の端部が電気的に接続されている。
【0028】
配線35は、例えば、X方向において、基板10の、端子32が設けられる側に設けられる。配線35は、X方向に延びる形態を有する。配線35は、端子32と、発熱体22の端子32側の端部とに電気的に接続されている。
【0029】
配線部30(端子31、32および配線33~35)は、例えば、銀や銅などを含む材料を用いて形成される。例えば、端子31、32、配線33~35は、スクリーン印刷法などを用いてペースト状の材料を基板10の上に塗布し、焼成法などを用いてこれを硬化させることで形成することができる。
【0030】
保護部40は、例えば、基板10の、発熱部20が設けられる面10aに設けられる。保護部40は、例えば、X方向(基板10の長手方向)に沿って延びる形態を有する。保護部40は、発熱部20(発熱体21、22)、および配線部30の一部(配線33~35)を覆っている。この場合、端子31、32は、保護部40から露出させることができる。
【0031】
保護部40は、例えば、発熱部20、および配線部30の一部を絶縁する機能、発熱部20において発生した熱を伝える機能、および、外力や腐食性ガスなどから発熱部20や配線部30の一部を保護する機能を有する。保護部40は、耐熱性および絶縁性を有し、化学的安定性および熱伝導率の高い材料から形成される。保護部40は、例えば、セラミックスや、ガラスなどから形成される。この場合、酸化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料を含むフィラーが添加されたガラスを用いて保護部40を形成することもできる。フィラーが添加されたガラスの熱伝導率は、例えば、2[W/(m・K)]以上とすることができる。
【0032】
また、ヒータ1には、発熱部20(発熱体21、22)の温度を検出する検出部をさらに設けることができる。検出部は、例えば、サーミスタなどとすることができる。検出部は、基板10の、発熱部20が設けられる面10a、および、基板10の、発熱部20が設けられる側とは反対側の面10b(第2の面の一例に相当する)の少なくともいずれかに設けることができる。また、例えば、検出部に電気的に接続された配線と端子が、基板10の、検出部が設けられた面に設けられる。例えば、検出部と配線は、保護部40に覆われ、端子は、保護部40から露出させることができる。
【0033】
ここで、前述したように、基板10は、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、結晶化ガラス(ガラスセラミックス)、メタルコア基板などから形成される。一方、保護部40は、例えば、セラミックス、ガラス、フィラーが添加されたガラスなどから形成される。
【0034】
そのため、基板10の熱膨張率と、保護部40の熱膨張率とが異なるものとなる場合がある。また、ヒータ1の使用時に、ヒータ1を発熱させると、基板10および保護部40が加熱される。ヒータ1の製造時に、保護部40を焼成すると、基板10および保護部40が加熱される。そのため、ヒータ1の使用時や製造時に、材料の熱膨張率の差に起因して熱応力が発生し、ヒータ1に反りが発生する場合がある。
【0035】
この場合、基板10の短手方向(幅方向:例えば、Y方向)の長さが短かったり、基板10の長手方向(例えば、X方向)の長さが長かったり、基板10の厚みが薄かったりすると、ヒータ1に反りが発生し易くなる。また、メタルコア基板は、金属板がベースとなっているので、セラミックスや結晶化ガラスなどの無機材料に比べて熱膨張率が大きくなる。そのため、基板10がメタルコア基板の場合には、熱膨張率の差がさらに大きくなるので、ヒータ1に反りがさらに発生しやすくなったり、反りが大きくなったりするおそれがある。
【0036】
ヒータ1に反りが発生すると、ヒータ1と加熱対象物との間の距離がばらついて、加熱対象物に加熱ムラが生じるおそれがある。
そこで、ヒータ1には緩和部50が設けられている。
【0037】
図2および図3に示すように、緩和部50は、基板10の、面10aに対向する面10bに設けられている。基板10の面10a(10b)に垂直な方向(Z方向)から見た場合に、緩和部50の少なくとも一部は、保護部40と重なっている。
【0038】
緩和部50は、少なくとも1つ設けることができる。複数の緩和部50を設ける場合には、図2に示すように、複数の緩和部50を基板10の長手方向(X方向)に並べて設けることができる。
【0039】
緩和部50の熱膨張率は、基板10の熱膨張率とは異なる。緩和部50の熱膨張率が、基板10の熱膨張率と異なっていれば、ヒータ1の使用時やヒータ1の製造時に、材料の熱膨張率の差に起因して熱応力が発生する。
【0040】
しかしながら、緩和部50は、基板10の、保護部40が設けられる面10aとは反対側の面10bに設けられているので、基板10と保護部40により生じた熱応力を、基板10と緩和部50により生じた熱応力で相殺することができる。熱応力が相殺されれば、ヒータ1に反りが発生するのを抑制することができる。
すなわち、緩和部50が設けられていれば、ヒータ1に反りが発生するのを抑制することができる。
【0041】
この場合、基板10と緩和部50により生じた熱応力の大きさが、基板10と保護部40により生じた熱応力の大きさとなるべく同じとなるようにすることが好ましい。そのため、緩和部50の熱膨張率は、保護部40の熱膨張率と同じか、近似させることが好ましい。例えば、緩和部50の材料は、保護部40の材料と同じとすることができる。例えば、緩和部50の材料の主成分は、保護部40の材料の主成分と同じとすることができる。この場合、緩和部50の材料が、保護部40の材料と同じであれば、製造工程の簡略化、生産性の向上、製造コストの低減などを図ることができる。
【0042】
また、緩和部50の平面寸法、および厚みの少なくともいずれかを変えることで、反りの発生を抑制したり、反りの大きさを小さくしたりすることができる。ただし、緩和部50の体積と、保護部40の体積との差が大きくなると、熱応力を相殺する効果が低減する。そのため、例えば、緩和部50の材料が、保護部40の材料と同じか、主成分が同じの場合には、緩和部50の体積を、保護部40の体積と同程度とすることが好ましい。例えば、保護部40の体積をV1(mm)とし、緩和部50の体積をV2(mm)とした場合に、「0.9≦V2/V1≦1.1」となるようにすることが好ましい。また、0.94≦V2/V1≦1.06」とすることがさらに好ましい。
【0043】
また、複数の緩和部50を設ける場合には、複数の緩和部50の配設位置、材料、および体積(平面寸法、厚み)の少なくともいずれかを変えることで、反りの発生を抑制したり、反りの大きさを小さくしたりすることができる。複数の緩和部50の配設位置、材料、および体積は、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0044】
また、複数の緩和部50を設ける場合には、図2に示すように、緩和部50と緩和部50との間にスペースを設けることができる。緩和部50と緩和部50との間にスペースが設けられていれば、ヒータ1を製造する際に、スペースに治具60を設けることができる。スペースに治具60が設けられていれば、例えば、複数の緩和部50を焼成する際に、基板10が撓むのを抑制することができる。そのため、ヒータ1を製造する際に、ヒータ1が変形するのを抑制することができる。
【0045】
ただし、緩和部50と緩和部50との間の距離Lが余り大きくなると、熱応力を相殺する効果が低減する。そのため、緩和部50と緩和部50との間の距離Lは、7mm以下とすることが好ましい。例えば、距離Lを、5mm程度とすれば、熱応力を相殺する効果が低減するのを抑制することができ、且つ、治具60の配置が容易となる。
【0046】
(画像形成装置)
次に、ヒータ1を具備した画像形成装置100について例示をする。
以下においては、一例として、画像形成装置100が複写機である場合を説明する。ただし、画像形成装置100は複写機に限定されるわけではなく、トナーを定着させるためのヒータが設けられているものであればよい。例えば、画像形成装置100は、プリンタなどとすることもできる。
【0047】
図4は、本実施の形態に係る画像形成装置100を例示するための模式図である。
図5は、定着部200を例示するための模式図である。
図4に示すように、画像形成装置100は、例えば、フレーム110、照明部120、結像素子130、感光ドラム140、帯電部150、放電部151、現像部160、クリーナ170、収納部180、搬送部190、定着部200、およびコントローラ210を有する。
【0048】
フレーム110は、箱状を呈し、その内部に、照明部120、結像素子130、感光ドラム140、帯電部150、現像部160、クリーナ170、収納部180の一部、搬送部190、定着部200、およびコントローラ210を収納する。
フレーム110の上面には、ガラスなどの透光性材料を用いた窓111を設けることができる。窓111の上には、複写される原稿500が載置される。また、原稿500の位置を移動させる移動部を設けることができる。
【0049】
照明部120は、窓111の近傍に設けられる。照明部120は、例えば、ランプなどの光源121、および反射鏡122を有する。
結像素子130は、窓111の近傍に設けられる。
感光ドラム140は、照明部120および結像素子130の下方に設けられる。感光ドラム140は、回転可能に設けられる。感光ドラム140の表面には、例えば、酸化亜鉛感光層または有機半導体感光層が設けられる。
帯電部150、放電部151、現像部160、およびクリーナ170は、感光ドラム140の周辺に設けられる。
【0050】
収納部180は、例えば、カセット181、およびトレイ182を有する。カセット181は、フレーム110の一方の側部に着脱可能に取り付けられる。トレイ182は、フレーム110の、カセット181が取り付けられる側とは反対側の側部に設けられる。カセット181には、複写が行われる前の紙510(例えば、白紙)が収納される。トレイ182には、複写像511aが定着した紙511が収納される。
【0051】
搬送部190は、感光ドラム140の下方に設けられる。搬送部190は、カセット181とトレイ182との間で紙510を搬送する。搬送部190は、例えば、搬送される紙510を支持するガイド191、および紙510を搬送する搬送ローラ192~194を有する。また、搬送部190には、搬送ローラ192~194を回転させるモータを設けることができる。
【0052】
定着部200は、感光ドラム140の下流側(トレイ182側)に設けられる。
図5に示すように、定着部200は、例えば、ヒータ1、ステー201、フィルムベルト202、および加圧ローラ203を有する。
ステー201の、紙510の搬送ライン側にはヒータ1が取り付けられる。ヒータ1は、ステー201に埋め込むことができる。この場合、ヒータ1の、保護部40が設けられた側がステー201から露出する。
【0053】
フィルムベルト202は、ヒータ1が設けられたステー201を覆っている。フィルムベルト202は、例えば、ポリイミドなどの耐熱性を有する樹脂を含むことができる。
【0054】
加圧ローラ203は、ステー201と対向するように設けられる。加圧ローラ203は、例えば、芯金203a、駆動軸203b、および弾性部203cを有する。駆動軸203bは、芯金203aの端部から突出し、モータなどの駆動装置に接続される。弾性部203cは、芯金203aの外面に設けられる。弾性部203cは、耐熱性を有する弾性材料から形成される。弾性部203cは、例えば、シリコーン樹脂などを含むことができる。
【0055】
コントローラ210は、フレーム110の内部に設けられている。コントローラ210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部、および制御プログラムが格納された記憶部を有する。演算部は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、画像形成装置100に設けられた各要素の動作を制御する。また、コントローラ210は、使用者が複写条件などを入力する操作部、動作状態や異常表示などを表示する表示部などを備えることもできる。
なお、画像形成装置100に設けられた各要素の制御には、既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
【0056】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ヒータ、10 基板、10a 面、10b 面、20 発熱部、21 発熱体、22 発熱体、30 配線部、40 保護部、50 緩和部、100 画像形成装置、200 定着部
図1
図2
図3
図4
図5