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▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

<図1>
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図1
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図2
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図3
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図4
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図5
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図6
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図7
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図8
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図9
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図10
  • 特許-建設機械の作業アタッチメント 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】建設機械の作業アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
E02F9/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021069416
(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公開番号】P2022164125
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 博臣
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】山下 慎二
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
(72)【発明者】
【氏名】和田 一朗
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-059693(JP,A)
【文献】特開2013-067967(JP,A)
【文献】特開2013-023969(JP,A)
【文献】特開2018-021434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/28-3/413
E02F 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の作業アタッチメントであって、
長手方向の一端側に連結部を有する第一被連結体と、
前記連結部を介して前記第一被連結体に連結される第二被連結体と、
を備え、
前記連結部は、外板と前記外板の内側において間隙を隔てて対向する内板とからなる対向一対の離間板を前記第一被連結体の幅方向の両端側にそれぞれ有し、
前記第二被連結体のうち前記連結部を介して前記第一被連結体に連結される側の端部には、前記対向一対の離間板の間に挿脱可能な取付板が設けられ、
前記対向一対の離間板には、前記第一被連結体と前記第二被連結体とを連結する連結ピンを挿脱可能な一対の連結ピン孔がそれぞれ形成され、かつ、シリンダ先端を回動自在に支持する支持ピンを挿脱可能な一対の支持ピン孔がそれぞれ形成され、
前記取付板には、前記対向一対の離間板の間に挿入された状態において前記一対の連結ピンに合致する連結ピン孔であって前記連結ピンを挿脱可能な連結ピン孔が形成されていることを特徴とする建設機械の作業アタッチメント。
【請求項2】
前記第一被連結体は、前記幅方向に対向する一対の側板と、前記一対の側板の上端側を連結する上板と、前記一対の側板の下端側を連結する底板とを有し、
前記対向一対の離間板のうち前記外板は、前記一対の側板のうち前記第二被連結体が連結される側に張り出した部分で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械の作業アタッチメント。
【請求項3】
前記連結ピンは、前記第一被連結体の長手方向の中心線側から前記幅方向の側方側に向けて伸長し、
前記対向一対の離間板のうち前記外板と前記内板との間隙の幅は、前記連結ピンの先端一部が前記内板から前記側方側に突出した状態であっても前記取付板を挿脱可能な長さを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の建設機械の作業アタッチメント。
【請求項4】
前記連結ピンのうち前記内板から側方側に突出した前記先端一部の外周を包囲する保護部材を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の建設機械の作業アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の作業アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械の分野において、作業アタッチメントを構成するメインブーム、インサートブーム及びフロントブームなどの各連結体を接続する連結ピンに関連した技術が検討されている。例えば、特許文献1では、連結ピンを内側に引き抜くためのスペースを低減するための作業アタッチメントが開示されている。
【0003】
上述した特許文献1では、メインブーム(7)と第1継ぎ足しブーム(8)とが上部連結ピン(25A,25B)及び下部連結ピン(26A,26B)によって連結される構成が採用されている(特許文献1の図3参照)。そして、上部連結ピン(25A,25B)は上部保持機構(27A)によって保持され、下部連結ピン(26A,26B)は下部保持機構(27B)によって保持されている。
【0004】
特許文献1の図3に示されるように、メインブーム(7)の側板(18)は、天板(19)及び底板(20)よりも先端側に突出する取付部(18a)を有する。取付部(18a)には、上部ピン孔(18b)及び下部ピン孔(18c)が形成されている。
【0005】
また、メインブーム(7)の側板(18)には、旋回フレーム(5)に対してメインブーム(7)を起伏させるブームシリンダ(14)が設けられている(特許文献1の図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-67967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1では、ブームシリンダ(14)の先端は、メインブーム(4)の側板(18)に設けられている。一方、上部連結ピン(25A,25B)及び下部連結ピン(26A,26B)は、取付部(18a)に形成された上部ピン孔(18b)及び下部ピン孔(18c)に設けられている。つまり、上述した特許文献1では、シリンダを取り付けるシリンダ用ブラケットと連結ピンを取り付ける連結ピン用ブラケットとが異なる部材で構成されている。その結果、上述した特許文献1では、部品点数が増加し、結果的に溶接箇所も増加するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、被連結体同士を連結する連結部をより少ない部品点数で構成することが可能な建設機械の作業アタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、建設機械の作業アタッチメントであって、長手方向の一端側に連結部を有する第一被連結体と、前記連結部を介して前記第一被連結体に連結される第二被連結体と、を備え、前記連結部は、外板と前記外板の内側において間隙を隔てて対向する内板とからなる対向一対の離間板を前記第一被連結体の幅方向の両端側にそれぞれ有し、前記第二被連結体のうち前記連結部を介して前記第一被連結体に連結される側の端部には、前記対向一対の離間板の間に挿脱可能な取付板が設けられ、前記対向一対の離間板には、前記第一被連結体と前記第二被連結体とを連結する連結ピンを挿脱可能な一対の連結ピン孔がそれぞれ形成され、かつ、シリンダ先端を回動自在に支持する支持ピンを挿脱可能な一対の支持ピン孔がそれぞれ形成され、前記取付板には、前記対向一対の離間板の間に挿入された状態において前記一対の連結ピンに合致する連結ピン孔であって前記連結ピンを挿脱可能な連結ピン孔が形成されていることを特徴とする建設機械の作業アタッチメントを提供している。
【0010】
ここで、前記第一被連結体は、前記幅方向に対向する一対の側板と、前記一対の側板の上端側を連結する上板と、前記一対の側板の下端側を連結する底板とを有し、前記対向一対の離間板のうち前記外板は、前記一対の側板のうち前記第二被連結体が連結される側に張り出した部分で構成されているのが好ましい。
【0011】
また、前記連結ピンは、前記第一被連結体の長手方向の中心線側から前記幅方向の側方側に向けて伸長し、前記対向一対の離間板のうち前記外板と前記内板との間隙の幅は、前記連結ピンの先端一部が前記内板から前記側方側に突出した状態であっても前記取付板を挿脱可能な長さを有するのが好ましい。
【0012】
更に、前記連結ピンのうち前記内板から側方側に突出した前記先端一部の外周を包囲する保護部材を更に備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、連結部が対向一対の離間板を有し、離間板には、第一被連結体と第二被連結体とを連結する連結ピンを挿脱可能な連結ピン孔がそれぞれ形成され、かつ、シリンダ先端を回動可能に支持する支持ピンを挿脱可能な支持ピン孔がそれぞれ形成されている。つまり、一対の離間板が連結ピンの取付部材として機能すると共に、支持ピンの取付部材としても機能する。換言すれば、連結ピン用ブラケット及びシリンダ用ブラケットを共通化することができる。よって、第一被連結体と第二被連結体とを連結する連結部をより少ない部品点数で構成することが可能となり、連結部の溶接箇所を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による建設機械の作業アタッチメントを左前方下側から見た斜視図(A)及び右後方上側から見た斜視図(B)。
図2】メインブーム(第一被連結体)左前方下側から見た斜視図(A)及び左前方上側から見た斜視図(B)。
図3図2(B)のIII矢視図。
図4】インサートブーム(第二被連結体)を左前方下側から見た斜視図(A)及び右後方上側から見た斜視図(B)。
図5】インサートブーム(第二被連結体)を腹側から見た図。
図6】メインブーム(第一被連結体)を腹側から見た図。
図7】メインブームにインサートブームが連結された状態を腹側から見た図。
図8】油圧ピン周辺を拡大した拡大図。
図9】油圧ピン及び保護カバーを側方から見た側面図。
図10】変化例に係るメインブームを左前方下側から見た斜視図。
図11図10のXI矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による建設機械の作業アタッチメントについて、図1から図9を参照しながら説明する。以下では、建設機械の作業アタッチメントの一例として、図1に示す作業アタッチメント10を例示する。
【0016】
図1(A)及び(B)に示すように、作業アタッチメント10は、メインブーム1と、メインブーム1の先端に連結されるインサートブーム2とを備えて構成される。メインブーム1には、図示しない旋回フレームに対してメインブーム1を起伏されるための左右一対の油圧シリンダ5L,5Rが設けられている。
【0017】
なお、メインブーム1は本発明に係る第一被連結体の一例であり、インサートブーム2は本発明に係る第二被連結体の一例である。
【0018】
図2(A)及び(B)に示すように、メインブーム1は、幅方向に対向する一対の側板12(12L,12R)と、一対の側板12L,12Rの上端側を連結する上板13と、一対の側板12L,12Rの下端側を連結する底板11とを備えて構成される。
【0019】
なお、図2(A)及び(B)においては、隠れて見えない右側の側板12Rの引き出し線を便宜的に破線で示している。
【0020】
また、メインブーム1は、長手方向の先端側に連結部3を備えている。連結部3は、メインブーム1の先端側にインサートブーム2を連結(接続)するための部位である。
【0021】
図2及び図3に示すように、連結部3は、メインブーム1の左端側において対向一対の離間板31L,33Lを備えると共に、メインブーム1の右端側において対向一対の離間板31R,33Rを備えている。
【0022】
対向一対の離間板31L,33Lは、外板31Lと、外板31Lの内側において間隙32Lを隔てて対向するように設けられる内板33Lとで構成されている。また、対向一対の離間板31R,33Rは、外板31Rと、外板31Rの内側において間隙32Rを隔てて対向するように設けられる内板33Rとで構成されている。
【0023】
まず、外板31L,31Rについて説明する。外板31Lは、メインブーム1の左側板12Lと面一(つらいち)に連続するように左側板12Lの一部として一体的に設けられている。具体的には、外板31Lは、メインブーム1の左側板12Lのうち先端側(すなわちインサートブーム2が連結される側)に張り出した部分で構成されている。
【0024】
同様に、外板31Rは、メインブーム1の右側板12Rと面一(つらいち)に連続するように右側板12Rの一部として一体的に設けられている。具体的には、外板31Rは、メインブーム1の右側板12Rのうち先端側(すなわちインサートブーム2が連結される側)に張り出した部分で構成されている。
【0025】
外板31L,31Rの先端側上部には、アタッチメント連結用の部材としてフック35L,35Rがそれぞれ設けられている。フック35L,35Rには、連結部3を介してメインブーム1の先端側にインサートブーム2を連結する際、インサートブーム2に設けられた図示しない接続ピンが係合する。
【0026】
また、外板31Lには、連結用の油圧ピン7(図6参照)を挿脱可能な連結ピン孔311Lが中央やや下側において幅方向(左右方向)に貫通するように形成されている。さらに、外板31Lには、左側の油圧シリンダ5Lの先端を回動自在に支持する支持ピン(図示せず)を挿脱可能な支持ピン孔312Lが下端側において幅方向に貫通するように形成されている。
【0027】
同様に、外板31Rには、油圧ピン7(図6参照)を挿脱可能な連結ピン孔311Rが中央やや下側において幅方向(左右方向)に貫通するように形成されている。さらに、外板31Rには、右側の油圧シリンダ5Rの先端を回動自在に支持する支持ピン(図示せず)を挿脱可能な支持ピン孔312Rが下端側において幅方向に貫通するように形成されている。
【0028】
次に、内板33L,33Rについて説明する。内板33L,33Rは、それぞれ、外板31L,31Rに対向するようにメインブーム1の底板11に独立して設けられている。
【0029】
内板33Lには、油圧ピン7(図6参照)を挿脱可能な連結ピン孔331Lが連結ピン孔311Lと同じ高さにおいてに形成されている。つまり、連結ピン孔331Lは、側方から見て連結ピン孔311Lと重なる位置に設けられている。
【0030】
また、内板33Lには、左側の油圧シリンダ5Lの先端を回動自在に支持する支持ピン(図示せず)を挿脱可能な支持ピン孔332Lが支持ピン孔312Lと同じ高さに形成されている。つまり、支持ピン孔332Lは、側方から見て支持ピン孔312Lと重なる位置に設けられている。
【0031】
同様に、内板33Rには、油圧ピン7(図6参照)を挿脱可能な連結ピン孔331Rが連結ピン孔311Rと同じ高さに形成されている。つまり、連結ピン孔331Rは、側方から見て連結ピン孔311Rと重なる位置に設けられている。
【0032】
また、内板33Rには、右側の油圧シリンダ5Rの先端を回動自在に支持する支持ピン(図示せず)を挿脱可能な支持ピン孔332Rが支持ピン孔312Rと同じ高さに形成されている。つまり、支持ピン孔332Rは、側方から見て支持ピン孔312Rと重なる位置に設けられている。
【0033】
続いて、インサートブーム2について説明する。図4(A)及び(B)に示すように、インサートブーム2は、一対の取付板22L,22Rを備えている。一対の取付板22L,22Rは、幅方向に対向する一対の側板と連続するように一体的に形成されている。
【0034】
具体的には、取付板22L,22Rは、インサートブーム2を構成する一対の側板の一部として構成されている。つまり、一対の側板のうち本体側一部が取付板22L,22Rとして用いられている。
【0035】
左側の取付板22Lは、インサートブーム2をメインブーム1に連結する際、上述した対向一対の離間板31L,33Lの間隙32L(図3参照)に挿入配置される。また、右側の取付板22Rは、インサートブーム2をメインブーム1に連結する際、上述した対向一対の離間板31R,33Rの間隙32R(図3参照)に挿入配置される。
【0036】
また、一対の取付板22L,22Rには、油圧ピン7(図6参照)を挿脱可能な連結ピン孔222L,222Rがそれぞれ形成されている。
【0037】
インサートブーム2をメインブーム1に連結する際、連結ピン孔222Lが連結ピン孔311L,331Lに合致するように対向一対の離間板31L,33Lの間隙32Lに左側の取付板22Lを挿入配置する。また、連結ピン孔222Rが連結ピン孔311R,331Rに合致するように対向一対の離間板31R,33Rの間隙32Rに右側の取付板22Rを挿入配置する。
【0038】
連結ピン孔222Lが連結ピン孔311L,331Lに合致し、且つ、連結ピン孔222Rが連結ピン孔311R,331Rに合致した状態で、それぞれに油圧ピン7(図6参照)が挿通し、インサートブーム2がメインブーム1に対して連結される。
【0039】
図6に示すように、油圧ピン7は、内板33Lと内板33Rとの間に設置される。油圧ピン7は、メインブーム1の長手方向の中心線CL側からメインブーム1の幅方向の左側方に向けて伸長する左側ピンと、中心線CL側から幅方向の右側方に向けて伸長する右側ピンとを備えている。
【0040】
また、内板33Lのうち外側(左側方)を向く面には、油圧ピン7の左側ピンの外周を保護する保護カバー7Cが設けられている。また、内板33Rのうち外側(右側方)を向く面には、油圧ピン7の右側ピンの外周を保護する保護カバー7Cが設けられている。なお、保護カバー7Cの具体的構造については後に詳述する。
【0041】
図7は、図5に示すインサートブーム2が図6に示すメインブーム1に連結された状態を示した図である。図7に示すように、インサートブーム2の取付板22Lは、外板31Lと内板33Lに設けられた保護カバー7Cとの間に挿入されている。すなわち、油圧ピン7のうち左側ピンが内板33Lから外側に突出して保護カバー7C内に存在していたとしても、取付板22Lを挿脱することができる。換言すれば、外板31Lと内板33Lとの間隙32Lの幅は、油圧ピン7の左側ピンの先端一部が内板33Lから左側方に向けて突出した状態であっても取付板22Lを挿脱可能な長さを有している。
【0042】
同様に、インサートブーム2の取付板22Rは、外板31Rと内板33Rに設けられた保護カバー7Cとの間に挿入されている。すなわち、油圧ピン7のうち右側ピンが内板33Rから外側に突出して保護カバー7C内に存在していたとしても、取付板22Rを挿脱することができる。換言すれば、外板31Rと内板33Rとの間隙32Rの幅は、油圧ピン7の右側ピンの先端一部が内板33Rから右側方に向けて突出した状態であっても取付板22Rを挿脱可能な長さを有している。
【0043】
次に、内板33L,33Rにそれぞれ設けられる保護カバー7Cについて説明する。なお、保護カバー7Cは左右共通である。そこで、以下では、右側の内板33Rに設けられた保護カバー7Cについて説明を行い、左側の内板33Lに設けられた保護カバー7Cについては説明を省略する。
【0044】
図8に示すように、保護カバー7Cは、フランジ部71Cと円筒部73Cとを含むシルクハット形状の部材として構成される。
【0045】
フランジ部71Cは、右側の内板33Rに対して面接触する部分である。図9に示すように、フランジ部71Cは、内板33Rのうち右側方を向く面に対して面接触した状態でボルトBTにより4箇所ほど固定される。
【0046】
円筒部73Cは、フランジ部71Cから右側方に向けて延在し、油圧ピン7の右側ピンを内部に挿通可能な部材である。円筒部73Cによって内板33Rから右側方に突出した油圧ピン7の外周が包囲される。
【0047】
上述した実施形態によれば、連結部3が対向一対の離間板31L,33Lと対向一対の離間板31R,33Rとを有する。対向一対の離間板31L,33Lには、油圧ピン7を挿脱可能な連結ピン孔311L,331Lがそれぞれ形成され、かつ、左側の油圧シリンダ5Lの先端を回動可能に支持する支持ピンを挿脱可能な支持ピン孔312L,332Lがそれぞれ形成されている。
【0048】
また、対向一対の離間板31R,33Rには、油圧ピン7を挿脱可能な連結ピン孔311R,331Rがそれぞれ形成され、かつ、右側の油圧シリンダ5Rの先端を回動可能に支持する支持ピンを挿脱可能な支持ピン孔312R,332Rがそれぞれ形成されている。
【0049】
つまり、対向一対の離間板31L,33Lと対向一対の離間板31R,33Rとが油圧ピン7の取付部材として機能すると共に、支持ピンの取付部材としても機能する。換言すれば、連結ピン用ブラケット及びシリンダ用ブラケットを共通化することができる。よって、メインブーム1とインサートブーム2とを連結する連結部3をより少ない部品点数で構成することが可能となり、連結部3の溶接箇所を低減することができる。
【0050】
特に、上述した実施形態によれば、外板31Lがメインブーム1の左側板12Lと面一(つらいち)に連続するように左側板12Lの一部として一体的に設けられている。また、外板31Rがメインブーム1の右側板12Rと面一(つらいち)に連続するように右側板12Rの一部として一体的に設けられている。そのため、連結部3の部品点数を更に少なく構成することが可能となり、材料費や溶接工数を低減することができる。
【0051】
また、上述した実施形態によれば、外板31Lと内板33Lとの間隙32Lの幅は、油圧ピン7の左側ピンの先端一部が内板33Lから左側方に向けて突出した状態であっても取付板22Lを挿脱可能な長さを有している。また、外板31Rと内板33Rとの間隙32Rの幅は、油圧ピン7の右側ピンの先端一部が内板33Rから右側方に向けて突出した状態であっても取付板22Rを挿脱可能な長さを有している。
【0052】
そのため、溶接作業性が良く、作業工数が低減されると共に、溶接欠陥の発生を抑制することが可能である。
【0053】
また、上述した実施形態によれば、内板33L,33Rに保護カバー7Cがそれぞれ設けられるため、内板33L,33Rから外側に突出した油圧ピン7の左側ピン外周及び右側ピン外周を保護することが可能である。特に、インサートブーム2をメインブーム1に連結する際に、取付板22L,22Rが油圧ピン7の左側ピン外周又は右側ピン外周に接触するのを回避できる。
【0054】
<2.変形例>
本発明による建設機械の作業アタッチメントは上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0055】
例えば、上述した実施形態では、図2(A)に示すように、連結部3において2つのフック35L,35Rがそれぞれ外板31L,31Rの先端側上部に設けられている場合を例示したが、これに限定されない。図10及び図11に示すように、2つのフック35L,35Rとの間に更に2つのフック36L,36Rが設けられるようにしてもよい。
【0056】
なお、上述した変形例では、図11に示すように、2つのフック36L,36Rが内板33L,33Rとは別部材で構成される場合を例示したが、これに限定されず、両者がひと続きの部材として構成されるようにしてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、中心線CL側から左右側方に向けて挿入される油圧ピン7によってメインブーム1にインサートブーム2が連結される場合を例示したが、これに限定されない。外板側から中心線CL側に向けて挿入される油圧ピンを用いてメインブーム1にインサートブーム2が連結されるようにしてもよい。また、油圧ピンに代えて手動ピンを用いるようにしてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、溶接継手や曲げのない1枚の板部材によって外板31L,31R及び内板33L,33Rが構成される場合を例示したが、これに限定されず、溶接継手や曲げを有する部材によって外板や内板が構成されるようにしてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、アタッチメント連結用の部材としてフック35L,35Rを例示したが、これに限定されない。フック35L,35Rに代えて、接続ピンを挿通可能なピン孔構造で対応箇所が構成されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように本発明に係る建設機械の作業アタッチメントは、例えば、メインブームにインサートブームを連結するのに適している。
【符号の説明】
【0061】
1 メインブーム
2 インサートブーム
3 連結部
5L,5R 油圧シリンダ
7 油圧ピン
7C 保護カバー
10 作業アタッチメント
11 底板
12L,12R 側板
13 上板
22L,22R 取付板
31L,31R 外板
31L,33L 対向一対の離間板
31R,33R 対向一対の離間板
32L,32R 間隙
33L,33R 内板
35L,35R フック
36L,36R フック
71C フランジ部
73C 円筒部
222L,222R 連結ピン孔
311L,331L 連結ピン孔
311R,331R 連結ピン孔
312L,332L 支持ピン孔
312R,332R 支持ピン孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11