(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
G03G21/00 538
(21)【出願番号】P 2021086864
(22)【出願日】2021-05-24
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】中山 豊
(72)【発明者】
【氏名】川谷 哲也
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-031896(JP,A)
【文献】特開2021-076773(JP,A)
【文献】特開2001-350375(JP,A)
【文献】実開平01-120157(JP,U)
【文献】特開平04-168798(JP,A)
【文献】特開平08-220952(JP,A)
【文献】特開2020-134935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0253045(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、現像剤からなる未定着像を加熱して記録媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置で加熱された空気を吸い込む吸気口と、前記吸気口で吸い込んだ空気を前記筐体の外に排出する排気口と、前記吸気口から前記排気口に至る空気の流路空間を形成する流路部を有する排気装置と、
前記吸気口に設けられ、前記吸い込まれる空気中の微粒子を捕集する網部材と、
を備
え、
前記吸気口は、前記定着装置の前記記録媒体の導入口がある側の空間部分に配置される第1吸気口と当該記録媒体の排出口がある側の空間部分に配置される第2吸気口とを有しており、
前記網部材は前記第1吸気口と前記第2吸気口の双方に設けられ、前記第2吸気口に設けられる前記網部材が前記第1吸気口に設けられる前記網部材よりも網目が大きい関係にある画像形成装置。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体内に配置され、現像剤からなる未定着像を加熱して記録媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置で加熱された空気を吸い込む吸気口と、前記吸気口で吸い込んだ空気を前記筐体の外に排出する排気口と、前記吸気口から前記排気口に至る空気の流路空間を形成する流路部を有した排気装置と、
前記定着装置と前記吸気口を隔てるよう配置され、前記定着装置と近い位置にあって前記吸気口と向き合う開口部を有した隔壁と、
前記開口部又は吸気口に設けられ、当該開口部を通過する空気中の微粒子を捕集する網部材と、
を備えた画像形成装置。
【請求項3】
前記網部材は、100メッシュ以上500メッシュ以下の網目を有する部材である請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1吸気口および第2吸気口は、前記定着装置の前記記録媒体が通過するときの幅方向に沿って延びる形状の開口である請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記定着装置の前記記録媒体が通過するときの幅方向に沿って延びる形状の開口である請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記開口部は、前記隔壁のうち前記定着装置の前記記録媒体の導入口がある側の空間部分に向き合う部位に設けられている請求項
2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トナー像を形成した記録シートを目標温度まで加熱した定着部材に圧接させてトナー像を熱定着させる定着装置と、取込口と出口とを有するダクトと、定着装置の駆動中に発生する超微粒子を含む空気を取込口から取り込み、その空気を取込口から出口へ通過させて機外へ排気する排気手段と、ダクト内の流路方向における異なる位置に配置され、何れか1つのフィルタのみが超微粒子を捕集可能な状態とすべてのフィルタが超微粒子を捕集可能な状態とに切り換え可能な複数のフィルタと、その複数のフィルタを上記2つの捕集可能な状態に切り換える切替手段等を備える画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-85407号公報(請求項1、
図1-
図3など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、微粒子を捕集する部材として不織布、スポンジ等のフィルタを配置する場合に比べて、粒径が100nm以下の超微粒子を効率よく長期にわたり捕集して低減させることができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明(1)は、
筐体と、
前記筐体内に配置され、現像剤からなる未定着像を加熱して記録媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置で加熱された空気を吸い込む吸気口と、前記吸気口で吸い込んだ空気を前記筐体の外に排出する排気口と、前記吸気口から前記排気口に至る空気の流路空間を形成する流路部を有する排気装置と、
前記吸気口に設けられ、前記吸い込まれる空気中の微粒子を捕集する網部材と、
を備え、
前記吸気口は、前記定着装置の前記記録媒体の導入口がある側の空間部分に配置される第1吸気口と当該記録媒体の排出口がある側の空間部分に配置される第2吸気口とを有しており、
前記網部材は前記第1吸気口と前記第2吸気口の双方に設けられ、前記第2吸気口に設けられる前記網部材が前記第1吸気口に設けられる前記網部材よりも網目が大きい関係にある画像形成装置である。
【0006】
また、この発明(2)は、
筐体と、
前記筐体内に配置され、現像剤からなる未定着像を加熱して記録媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置で加熱された空気を吸い込む吸気口と、前記吸気口で吸い込んだ空気を前記筐体の外に排出する排気口と、前記吸気口から前記排気口に至る空気の流路空間を形成する流路部を有した排気装置と、
前記定着装置と前記吸気口を隔てるよう配置され、前記定着装置と近い位置にあって前記吸気口と向き合う開口部を有した隔壁と、
前記開口部又は吸気口に設けられ、当該開口部を通過する空気中の微粒子を捕集する網部材と、
を備えた画像形成装置である。
【0007】
この発明(3)は、上記発明(1)又は(2)の画像形成装置において、前記網部材は、100メッシュ以上500メッシュ以下の網目を有する部材である画像形成装置である。
【0008】
この発明(4)は、上記発明(1)の画像形成装置において、前記第1吸気口および第2吸気口は、前記定着装置の前記記録媒体が通過するときの幅方向に沿って延びる形状の開口である画像形成装置である。
【0009】
この発明(5)は、上記発明(2)の画像形成装置において、前記開口部は、前記定着装置の前記記録媒体が通過するときの幅方向に沿って延びる形状の開口である画像形成装置である。
【0010】
この発明(6)は、上記発明(2)の画像形成装置において、前記開口部は、前記隔壁のうち前記定着装置の前記記録媒体の導入口がある側の空間部分に向き合う部位に設けられている画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
上記発明(1)および(2)によれば、微粒子を捕集する部材として不織布、スポンジ等のフィルタを配置する場合に比べて、粒径が100nm以下の超微粒子を効率よく長期にわたり捕集して低減させることができる。
また、上記発明(1)によれば、吸気口が第1吸気口と第2吸気口とを有し、網部材が第1吸気口および第2吸気口の双方に設けられていない場合に比べて、定着装置で加熱された空気に含まれる超微粒子を効率よく捕集することができる。
さらに、上記発明(1)によれば、第2吸気口に設けられる網部材が第1吸気口に設けられる網部材よりも網目が大きい関係にない場合に比べて、第2吸気口での圧力損失を抑制しつつ、定着装置で加熱された空気に含まれる超微粒子を捕集することができる。
【0012】
上記発明(3)によれば、網部材が100メッシュ以上500メッシュ以下の網目を有する部材でない場合に比べて、超微粒子を効率よく長期にわたり捕集して低減させることができる。
【0013】
上記発明(4)によれば、第1吸気口および第2吸気口が、定着装置の記録媒体が通過するときの幅方向に沿って延びる形状の開口でない場合に比べて、定着装置で加熱された空気に含まれる超微粒子を効率よく捕集しやすくなる。
【0014】
上記発明(5)によれば、開口部が、定着装置の記録媒体の導入口がある側の空間部分に配置されていない場合に比べて、定着装置で加熱された空気に含まれる超微粒子を捕集しやすくなる。
【0015】
上記発明(6)によれば、開口部が、隔壁のうち定着装置の記録媒体の導入口がある側の空間部分に向き合う部位に配置されていない場合に比べて、定着装置で加熱された空気に含まれる超微粒子を捕集しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1に係る画像形成装置の全体を示す概要図である。
【
図2】
図1画像形成装置における定着装置および排気装置等を示す概要図である。
【
図3】
図2の定着装置および排気装置等を上方から見た状態で示す概要図である。
【
図4】(A)は
図1の画像形成装置における隔壁の開口部に設けた網部材の状態を示す概要図、(B)は(A)の網部材の構成例を示す概要図である。
【
図5】試験T1等で使用した試験内容を示す断面概要図である。
【
図6】(A)は試験T1の結果(実施例など)を示すグラフ図、(B)は(A)の試験T1の他の結果(比較例など)を示すグラフ図である。
【
図7】試験T1の結果と試験T2,T3の結果を示す図表である。
【
図8】実施の形態2に係る画像形成装置の全体を示す概要図である。
【
図9】
図8の画像形成装置における定着装置および排気装置等を示す概要図である。
【
図10】
図9の排気装置における排気通路を示す下方から見たときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
[実施の形態1]
図1から
図3は、この発明の実施の形態1に係る画像形成装置1Aを示す概要図である。
図1にはその画像形成装置1Aの全体の構成が示され、
図2および
図3にはその画像形成装置1Aの一部(主に定着装置5と排気装置6A)の構成を示している。
図1等の各図面中に符号X,Y,Zで示す矢印は、
図1等において想定した3次元空間の幅、高さおよび奥行の各方向を示す。また、符号X,Yの方向の矢印が交わる部分の丸印は、Zの方向が図面(紙面)の鉛直下方に向いていることを示している。
【0019】
<画像形成装置>
画像形成装置1Aは、電子写真方式により画像を記録媒体の一例である記録用紙9に形成する装置である。実施の形態1に係る画像形成装置1Aは、例えば、情報端末機等の外部接続機器から入力される画像情報に対応した画像の形成を行うプリンタとして構成されている。
【0020】
この画像形成装置1Aは、
図1に示されるように、所要の外観形状からなる筐体10を有しており、その筐体10の内部空間に、画像情報に基づいて現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成して記録用紙9に転写する像形成装置2と、像形成装置2の転写を行う位置に供給すべき記録用紙9を収容して供給する給紙装置4と、像形成装置2で転写されたトナー像を少なくとも加熱して記録用紙9に定着させる定着手段の一例である定着装置5、定着装置5等において加熱された空気を筐体10の外部に排気する排気装置6A等を備えている。
【0021】
ここで、画像情報は、例えば、文字、図形、写真、模様等の画像に関係する情報である。また筐体10は、各種の支持部材、外装材等で所要の形状に形成された構造物である。筐体10の上面部には、画像が形成されて排出される記録用紙9を収容する傾斜面を含む排出収容部12が設けられている。
図1等における一点鎖線は、筐体10内で記録用紙9が搬送されるときの主な搬送経路を示している。
【0022】
像形成装置2は、矢印Aで示す方向に回転する像保持手段の一例である感光ドラム21を有し、その感光ドラム21の周囲に、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、転写装置25、清掃装置26等の機器を配置して構成されている。
【0023】
このうち、帯電装置22は、感光ドラム21の外周面(像形成可能面)を所要の表面電位に帯電させる装置である。この帯電装置22は、例えば感光ドラム21の外周面の像形成域に接触させるとともに帯電電流が供給されるロール等の帯電部材を備えて構成されている。露光装置23は、感光ドラム21の帯電後の外周面に画像情報に基づく露光をして静電潜像を形成する装置である。この露光装置23は、外部から入力される画像情報が図示しない画像処理手段等で所要の処理が施されて生成される画像信号を受けて作動する。
【0024】
また、現像装置24は、感光ドラム21の外周面に形成された静電潜像を対応する所定の色(例えばブラック)の現像剤(トナー)により現像して単色のトナー像として顕像化する装置である。転写装置25は、感光ドラム21の外周面に形成されたトナー像を記録用紙9に静電的に転写させる装置である。この転写装置25は、感光ドラム21の外周面に接触するとともに転写電流が供給されるロール等の転写部材を備えて構成されている。清掃装置26は、感光ドラム21の外周面に付着する不要なトナー、紙粉等の不要物をかき取るように除去して感光ドラム21の外周面を清掃する装置である。
像形成装置2では、感光ドラム21と転写装置25が対向する各部位がトナー像の転写を行う転写位置TPになる。
【0025】
給紙装置4は、像形成装置2の下方側の位置に配置されている。給紙装置4は、記録用紙9を収容する収容体41と、記録用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置43等の機器を配置して構成されている。
記録用紙9は、筐体10内での搬送が可能であってトナー像の転写および定着が可能な普通紙、コート紙、厚紙等の記録媒体であればよく、その材質、形態等については特に制約されるものでない。
【0026】
定着装置5は、像形成装置2の転写位置TPの上方側の位置に配置されている。定着装置5は、筐体50の内部空間に、加熱用回転体51、加圧用回転体52等の機器を配置して構成されている。
【0027】
筐体50は、その上面部に定着対象の記録用紙9が導入される導入口50aが、その下面部に定着後の記録用紙9が排出される排出口50bがそれぞれ設けられている。
加熱用回転体51は、画像形成装置1Aの奥行方向Zに沿って延びる回転軸線の周りを矢印で示す方向に回転するロール形態、ベルト-パット形態等からなる回転体であり、図示しない加熱手段により外表面が所要の温度に保たれるよう加熱される。
加圧用回転体52は、加熱用回転体51にその回転軸線にほぼ沿って所要の加圧下で接触して追従するよう回転するロール形態、ベルト-パット形態等からなる回転体である。加圧用回転体52は、加熱手段により加熱されるものを適用してもよい。
【0028】
この定着装置5では、加熱用回転体51と加圧用回転体52が互いにほぼ水平の状態で接触するよう配置されている。また、この定着装置5では、加熱用回転体51と加圧用回転体52が接触する部位が、未定着像のトナー像を記録用紙9に定着するための加熱、加圧等の処理をする定着処理部(ニップ部)FNとして構成されている。
【0029】
筐体10内における記録用紙9の主な搬送経路は、記録用紙9を挟持して搬送する複数の搬送ロール45a,45b,45cや、記録用紙9の搬送空間を確保して記録用紙9の搬送を案内する図示しない複数の案内部材等を配置して構成されている。
画像形成装置1Aにおける上記主な搬送経路は、記録用紙9が像形成装置2における転写位置TPから上方にある定着装置5の定着処理部FNを通過した後に定着装置5の上方にさらに搬送されて排出収容部12に排出される経路部分が、Cの文字のように湾曲する形状の経路、いわゆるCパス型の経路部分になっている。
【0030】
そして、画像形成装置1Aでは、画像を形成する動作の指令を図示しない制御手段が受けると、像形成装置2において帯電動作、露光動作、現像動作および転写動作が実行され、その一方で、給紙装置4から転写位置TPへの記録用紙9の給紙動作が実行される。
これにより、感光ドラム21上にトナー像が形成された後、そのトナー像が給紙装置4から転写位置TPに供給された記録用紙9に転写される。
【0031】
続いて、画像形成装置1Aでは、定着装置5において、トナー像が転写された記録用紙9がニップ部FNに導入されて定着動作が実行される。
これにより、未定着のトナー像が記録用紙9に定着される。
この定着が終了した後の記録用紙9は、例えば搬送ロール45b,45cにより筐体10の上部に設けられた排出収容部12に排出されて収容される。
以上により、画像形成装置1による1枚の記録用紙9片面への画像形成動作が完了する。
【0032】
<排気装置の構成>
画像形成装置1Aにおける排気装置6Aは、
図1、
図2等に示されるように、定着装置5で加熱された空気を吸い込んで筐体10の外部に排気するまで通過させる流路空間Cを有する排気通路61と、流路空間Cに排気の気流Dを発生させる気流発生手段65を備えている。この排気装置6Aは、例えば、筐体10の内部空間のうち定着装置5における加熱用回転体51が存在する側の横隣りの位置に配置されている。
【0033】
上記排気通路61は、定着装置5で加熱された空気を吸い込む吸気口62と、吸気口62で吸い込んだ空気を筐体10の外に排出する排気口63と、吸気口62から排気口63に至る空気が流れる流路空間Cを形成する流路部64を有する管状の構造物である。
【0034】
ここで、画像形成装置1Aは、
図1から
図3に示されるように、筐体10の内部に、定着装置5と排気通路61における吸気口62とを隔てる隔壁16が配置されている。
【0035】
実施の形態1における隔壁16は、定着装置5の筐体50のうち加熱用回転体51が存在する側の側面部と間隔をあけて向き合う状態で配置されている。また隔壁16は、その奥側の端部が、筐体10の内部の一部を縦方向に仕切る仕切り板15に固定されている。このような隔壁16は、例えば、遮熱板、仕切り板、板状の骨格フレーム等のいずれかの部材として設けられる。
【0036】
また、隔壁16には、定着装置5と近い位置にあって吸気口62と向き合う貫通した開口部17が設けられている。開口部17は、隔壁16の下部であって定着装置5の筐体50の下端部付近と向き合う位置に設けられている。
さらに、開口部17は、定着装置5の記録用紙9が通過するときの幅方向に沿って延びる長方形状の開口として設けられている。記録用紙9の幅方向は、画像形成装置1Aの奥行方向Zに沿う方向である。
【0037】
排気通路61における吸気口62は、隔壁16の開口部17と向き合う位置に配置される。また、吸気口62は、
図2に示されるように、開口部17と同様に、定着装置5の記録用紙9が通過するときの幅方向に沿って延びる長方形状の開口になっている。
この吸気口62は、定着装置5で加熱された空気のうち隔壁16の開口部17を通過したものを吸い込むことになる。
【0038】
排気通路61における流路部64は、
図1から
図3に示されるように、吸気口62を含む流路であって定着装置5に近い側に配置される第1流路部64aと、排気口63を含む流路であって第1流路部64aから排気口63に至るように配置される第2流路部64bとで構成されている。
【0039】
第1流路部64aは、吸気口62とほぼ同じ幅で定着装置5および隔壁16から遠ざかる方向に延びた管状の流路部分として形成されている。
第2流路部64bは、第1流路部64aの奥側の端部から仕切り板15が存在する側に延びた後にほぼ鉛直の方向に立ち上がるように曲げられて延びる第1曲げ部64c1と、第1曲げ部64c1から立ち上がった後に上端部で筐体10の背面部10eにむけてほぼ直角に曲げられて延びる第2曲げ部64c2を有する形状になっている。
また、流路部64は、全体が筐体10とは別の部材により独立して構成されているものに限らず、その一部が筐体10の一部を兼用して流路空間Cを形成するよう構成されているものであってもよい。
【0040】
排気通路61における排気口63は、筐体10の背面部10eの上部に設ける横長の矩形の開口部18と接続されている。背面部10eの開口部18には、
図2に示されるように、通気性を確保して開口を塞ぐため、例えばルーバー19が取り付けられている。
【0041】
上記気流発生手段65は、排気通路61の流路部64における流路空間C内で排気用の気流Dを発生させる手段である。
実施の形態1では、気流発生手段65として軸流ファンを適用しており、その軸流ファンを排気通路61の流路空間Cのうち排気口63に近い下流側の位置に配置されている。
気流発生手段65で発生させる気流の強さ(風量又は風速)については、例えば、画像形成装置1の筐体10内(本例では特に定着装置5の筐体50内)における温度の上昇や結露の発生を防止する等の観点から、0.1~1m3/分の範囲に設定することが好ましい。
【0042】
また、画像形成装置1Aでは、
図1から
図4等に示されるように、定着装置5で加熱された空気を排気装置6Aにより排気する際に、その加熱された空気のうち排気装置6Aにより吸い込こまれる手前の空気の中に含まれる微粒子、特に粒径が100nm(0.1μm)以下のいわゆる超微粒子(UFP:Ultra Fine Particle)を捕集する網部材7を、隔壁16の開口部17に設けている。
【0043】
網部材7により捕集する超微粒子は、例えば、現像剤のトナーに含まれるワックス等の成分が定着処理(定着動作)時の加熱により揮発した後に冷却されて生成される微粒子(粉じん)に含まれる超微粒子が対象である。以下の説明では、超微粒子を単にUFPと記載することもある。
【0044】
網部材7は、ほぼ同じ開口形状の網目(開き目)がほぼ均等に散在するよう複数設けられている網状の部材である。より具体的には、縦用の線材と横用の線材を平織等の織り方で織って複数の網目(開き目)を形成してなる網状の部材である。
【0045】
このような網部材7としては、例えば、100メッシュ以上500メッシュ以下の網目を有する部材が適用される。また、この網部材7は、圧力損失を有効に低減する等の観点からすると、100メッシュ以上250メッシュ以下の網目を有する部材がより好ましい。メッシュは、1インチ(2.54cm)の間にある網目の数を示す。
【0046】
また、この網部材7は、別の観点からすると、開口の大きさが0.005mm以上かつ0.1mm以下の複数の網目(開き目)を有する網であることが好ましい。この場合、網目の開口の大きさ(目開きともいう)とは、すべての網目における天地幅および左右幅を平均した値となる。また、網部材7を構成する線材は、上記開口の大きさを所要の範囲内におさめる等の観点からすると、その線径が0.01~0.1mmの範囲内のものを適用することが好ましい。
【0047】
そして、この網部材7は、ステンレス、アルミニウム等の金属からなる線材を用いて製作される。また網部材7は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなる線材を用いて製作されたものであってもよい。
【0048】
この網部材7は、その網部材単体(網部材単独で枠材等を含まないもの)71を、隔壁16の開口部17を塞ぐように接着テープ等の手段により固定して隔壁16に直接取り付けてもよいが、
図4(B)に示されるように、その網部材単体71を枠材72に取り付け、その枠材72を介して隔壁16に取り付けられる。枠材72は、その枠内に1つ又は複数の補強材73が設けられたものであってもよい。
【0049】
そして、この排気装置6Aは、例えば、定着装置5が作動している時期やその停止後の所定期間に少なくとも作動する。
【0050】
すなわち、排気装置6Aは、作動時期になると、気流発生手段65が始動して、
図2や
図3に示されるように、排気通路61の流路部64における流路空間C内に矢印Dで示す方向に流れる排気用の気流が発生する。
これにより、定着装置5において定着動作で主に発生する微粒子が含まれる加熱された空気のうち隔壁16の開口部17を通過した空気が、吸気口62から吸い込まれて排気通路61の流路部64における流路空間C内に流れ込む。このとき隔壁16の開口部17を通過する空気は、開口部17が定着装置5の筐体50の下部に近い位置に配置されているため(
図1参照)、その筐体50の下面部に設けられた導入口50aから漏れ出る空気が多めになる。
【0051】
またこの際、隔壁16の開口部17を通過する空気は、捕集前の空気Eaとして開口部17に設けられている網部材7にほぼ衝突するとともに、その網部材7の網目を通過して捕集後の空気Ebとして移動する。つまり、捕集前の空気Eaは、網部材7(単体71)に衝突しながら網部材7を通過する。
これにより、その捕集前の空気Eaに含まれる超微粒子も網部材7に衝突した際に網部材7を構成する線材部分に付着しやすくなり、この結果、網部材7を通過する空気Ebに含まれる微粒子のうち超微粒子が網部材7により捕集される。この網部材7を通過した捕集後の空気Ebは、その後、排気装置6Aの排気通路61における吸気口62から吸い込まれる。
【0052】
この排気装置6Aの排気通路61に吸い込まれた捕集後の空気Ebは、排気通路61の流路部64における流路空間C内を矢印Dの方向に流れる気流に乗るように流れて気流発生手段65を通過し、最後に、排気通路61の排気口63から画像形成装置1の筐体10の外部に最終排気の空気Eeとして排出される。
この捕集後の空気Ebは、捕集前の空気Eaに比べて、超微粒子の総量が低減された空気になる。超微粒子の総量の低減とは、網部材7を設けた場合における空気中の超微粒子の総量が、その網部材7を設けない場合における空気(捕集前の空気Eaにも相当する)中の超微粒子の総量に比べて、少なくなっていることをいう。
【0053】
<捕集効果に関する試験T1>
次に、この排気装置6Aと網部材7による超微粒子の捕集効果に関して行った試験T1について説明する。
【0054】
このときの捕集効果に関する試験T1は、ドイツの環境ラベルであるブルーエンジェルマークの試験規格(RAL-UZ205)に準拠して行った試験である。
試験T1は、
図5に示されるように、試験環境室である密閉性の高く所定の室内環境(温度:23℃、湿度:50%RH)に設定された試験チャンバー100の空間110内における載置台120上に測定対象となる画像形成装置1Aを設置して平衡化した後、その画像形成装置1Aを起動させて所定の画像形成動作を10分間(600s:秒)行い、その画像形成動作中と動作停止後の所定時間内における室内の空気に含まれる超微粒子(UFP)の量などについて測定装置(TSI社製:凝縮粒子計数器CPC Model3775)150により測定することで行った。
【0055】
試験チャンバー100は、その容積が例えば5.1m3からなる室内を有し、給気口103から清浄された空気132が室内に供給されるとともに、排気口104から室内の空気133が排気されるようになっている。また、試験チャンバー100から排気された室内の空気133は、測定装置150に接続されて送られるようになっている。
【0056】
測定対象の画像形成装置1Aとしては、下記構成からなる網部材7を隔壁16の開口部17に設けたものを適用した。
網部材7としては、ステンレス(SUS)からなる線材を平織したものであって、100メッシュ、200メッシュおよび250メッシュの3種類のもの(実施例1~3)を使い分けた。参考までに、網部材7として上記同種のもので500メッシュのもの(実施例4)を用意して使用した。
また、比較基準とする参考例の画像形成装置として、網部材7を設けないものも用意した。さらに、比較例1の画像形成装置として、網部材7(250メッシュ)を排気装置6Aの排気通路61の排気口63に設けたものを用意した。
【0057】
試験T1では、排気装置6Aにおける気流発生手段65である軸流ファンを作動させて風量が0.33m3/分になるような排気用の気流を発生させた。排気装置6Aは、試験T1における画像形成動作の開始から停止までの期間、作動させた。
画像形成動作は、画像面積率が5%からなるBA(ブルーエンジェル)指定のチャートを700枚プリントすることで行った。現像剤としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を用いた。定着装置5における定着温度は、約175~180℃の温度範囲とした。
また、参考例、実施例1~3および比較例1,2に関する各試験T1は、120分間のインターバル時間をおいてそれぞれ行った。
【0058】
そして、この試験T1では、超微粒子(UFP)の総量の変化について調べた。そのときの結果を
図6と
図7の一部に示す。
UFP値は、上記試験規格(RAL-UZ205)に記載の方法に基づいて求めた。UFPの低減率は、網部材7を設けない参考例におけるUFPの総量を基準にしたときの総量の差から求めた。
【0059】
図6と
図7の一部に示される結果から、参考例におけるUFPの総量を基準にすると、実施例1~4ではUFPをそれぞれのレベルで低減することができ、UFPの捕集効果が得られることがわかる。また、実施例1~4の結果を比べると、網部材7のメッシュが大きくなるにつれてUFPの低減率が増加して、UFPの捕集効果が高まることがわかる。
【0060】
また、実施例3の結果と比較例1の結果とを比べると、UFPの低減率は、同じメッシュの網部材7を比較例1のように排気通路61の排気口63に設ける場合よりも実施例3のように隔壁16の開口部17に設ける場合の方が高くなることもわかる。
【0061】
このことから、網部材7は、実施例3の場合のようにUFPが発生する発生源の1つである定着装置5に相対的に近い位置である隔壁16の開口部17に配置した方が、比較例1の場合のように定着装置5から離れた位置である排気口63に設置することに比べて、UFPを効率よく捕集されることが言えそうである。
また、UFPは定着装置5の加熱用回転体51において高温で動きが活発になるので、定着装置5に相対的に近い位置である隔壁16の開口部17に網部材7を設けてUFPの捕集を行うことは有効であるとも言えそうである。
【0062】
<捕集効果に関する試験T2>
また、参考例、実施例1~3および比較例1におけるUFPの粒径の変化について調べる試験T2を行った。この試験T2の結果について
図7に示す。
【0063】
試験T2は、参考例、実施例1~3および比較例1の試験T1において試験T1での試験用の画像形成動作を開始してから完了するまでの600秒間におけるUPFの粒径を測定することでUFPの粒径の変化について調べた。
【0064】
粒径変化の結果については、その試験用の画像形成動作の開始時における粒径とその終了時(600秒経過時)における粒径を代表して採り上げることにした。
図7では、左側の数値が画像形成動作の開始時における粒径を示し、矢印の右側の数値が画像形成動作の終了時における粒径を示している。
【0065】
<圧力損失に関する試験T3>
さらに、実施例3~4、比較例1および後述する比較例3における圧力損失について調べる試験T3を行った。この試験T3の結果について
図7に併せて示す。
【0066】
試験T3は、実施例3,4および比較例1における網部材7を各配置位置に配置して気流発生手段65による一定の風量(0.33m3/分)の気流を発生させたときに、その各網部材7よりも上流側の位置での空気圧(Pa)と各網部材7よりも下流側の位置での空気圧(Pa)とを測定した後にその差分を求めることで圧力損失(Pa)を調べた。空気圧は、差圧計(TESTO社製:Model5122)を用いて測定した。
詳しくは、実施例3,4では、網部材7が配置される隔壁16の開口部17よりも定着装置5側の位置における空気圧と、排気通路61の吸気口62よりも内側の流路空間Cの位置における空気圧とを測定した。比較例1では、網部材7が配置される排気通路61の排気口63よりも内側の流路空間Cの位置における空気圧と、排気口63よりも外側の位置における空気圧とを測定した。
【0067】
また試験T3では、圧力損失に関する効果を対比確認するため比較例2の画像形成装置として、網部材7に代えて不織布からなるフィルタを排気装置6Aの排気通路61の排気口63に設けたものを用意した。フィルタの不織布としては、ポリプロピレンからなる不織布をプリーツ形状(山折り部どうしの離間距離に相当する厚さ:約2mm)にしたものを用いた。
【0068】
また、
図7に示される圧力損失の結果から、実施例3や比較例1のように超微粒子を捕集する部材として網部材7を適用した場合は、比較例2のように不織布からなるフィルタを適用した場合に比べて、圧力損失が低くなることがわかる。なお、実施例4の結果が示すように500メッシュの網部材7の場合は、UFPの捕集効果の点では優れるが、圧力損失の点では比較例2のフィルタと同程度の性能になることがわかる。
【0069】
ちなみに、超微粒子を捕集する部材として不織布、スポンジ(弾性発泡体)等からなるフィルタを適応した場合は、圧力損失の影響で排気装置6Aの排気通路61において空気が流れにくくなるため、定着装置5等で加熱された空気の排気が十分にできず筐体10内の温度が上昇してしまう可能性があった。この場合、例えば排気装置6Aの排気通路61における空気の流量を確保するために気流発生手段65の回転数を上げたときは、騒音や消費電力の悪化を招くことが懸念される。
この点、網部材7を適用した場合は、フィルタを適用した場合のような上記不具合の発生が回避される。
【0070】
また、画像形成装置1Aの使用可能な寿命が1200k枚であるのに対して、網部材7の寿命が約1200k枚であったので、交換が不要であった。
このことから、網部材7は、フィルタに比べて、超微粒子を捕集する部材として長期にわたり使用することが可能である。またこれにより、網部材7は、フィルタに比べると、交換する回数がゼロとなり、交換コストを皆無にさせることが可能になる。
【0071】
実施の形態2.
図8から
図10は、この発明の実施の形態2に係る画像形成装置1Bを示す概要図である。
図8にはその画像形成装置1Bの全体の構成が示され、
図9および
図10にはその画像形成装置1Bの一部(主に定着装置5と排気装置6B)の構成を示している。
【0072】
この画像形成装置1Bは、像形成装置2と定着装置5の配置を変更したことと、その定着装置5に適合する排気装置6Bに変更したことと、網部材7の配置位置を変更したこと以外は実施の形態1に係る画像形成装置1Aと同じ構成からなるものである。
このため、以下の説明では、実施の形態1に係る画像形成装置1Aと共通する構成部分については同じ符号を付し、その説明を必要な場合を除いて省略している。
【0073】
画像形成装置1Bにおける定着装置5は、
図8に示されるように、筐体10の内部空間のうち像形成装置2の転写位置TPの側方(横隣り)の位置に配置されている。
また、定着装置5は、加熱用回転体51と加圧用回転体52がほぼ上下に配置された状態で互いに接触するようになっている。
【0074】
また、画像形成装置1Bにおける記録用紙9の主な搬送経路は、記録用紙9が像形成装置2における転写位置TPから横隣りにある定着装置5の定着処理部FNを通過した後にほぼ横隣りの方向に搬送されて排紙口13から図示しない排出収容部に排出される経路部分が、ほぼ水平の状態で搬送される形状の経路、いわゆる水平パス型の経路部分になっている。
【0075】
<排気装置の構成>
画像形成装置1Bにおける排気装置6Bは、
図8から
図10等に示されるように、吸気口66が定着装置5の上方側の位置に配置される排気通路68に変更している以外は実施の形態1における排気装置6Aとほぼ同じ構成からなるものである。この排気装置6Bは、例えば、筐体10の内部空間のうち定着装置5における加熱用回転体51が存在する側の位置に配置されている。
【0076】
上記排気通路68は、定着装置5の筐体50における記録用紙9の導入口50aがある側の空間部分に配置される第1吸気口66Aと、記録用紙9の排出口50bがある側の空間部分に配置される第2吸気口66Bと、第1吸気口66Aおよび第2吸気口66Bでそれぞれ吸い込んだ空気を筐体10の外に排出する排気口67と、第1吸気口66Aおよび第2吸気口66Bから排気口67に至る空気が流れる流路空間Cを形成する流路部69を有する管状の構造物である。
【0077】
第1吸気口66Aは、定着装置5の筐体50における導入口50aよりも記録用紙9の搬送方向上流側に少しずれた位置において、導入口50aの上方の位置から記録用紙9の搬送経路に下に向く開口として設けられている。
第2吸気口66Bは、定着装置5の筐体50における排出口50bよりも記録用紙9の搬送方向下流側に少しずれた位置において、排出口50bの上方の位置から記録用紙9の搬送経路に下に向く開口として設けられている。
【0078】
この第1吸気口66Aと第2吸気口66Bはいずれも、
図9等に示されるように、定着装置5の記録用紙9が通過するときの幅方向に沿って延びる長方形状の開口として設けられている。記録用紙9の幅方向は、画像形成装置1Aの奥行方向Zに沿う方向である。
また、第1吸気口66Aと第2吸気口66Bはいずれも、
図9等に示されるように、上記幅方向に沿う長さが、定着装置5の筐体10における導入口50aおよび排出口50bの幅方向の長さよりの長くなるよう形成されている。
【0079】
排気通路68における流路部69は、
図8から
図10に示されるように、第1吸気口66Aおよび第2吸気口66Bを含む流路であって定着装置5の上方の近い側に配置される第1流路部69aと、排気口67を含む流路であって第1流路部69aから排気口67に至るように配置される第2流路部69bとで構成されている。
【0080】
第1流路部69aは、定着装置5の筐体50の少なくとも上面部に接近して覆うように配置される内部が流路空間Cとなる空洞の板状の流路部分として形成されている。
第2流路部69bは、第1流路部69aの奥側の端部から仕切り板15が存在する側に延びた後にほぼ鉛直の方向に立ち上がるように曲げられて延びる第1曲げ部69c1と、第1曲げ部69c1から立ち上がった後に上端部で筐体10の背面部10eにむけてほぼ直角に曲げられて延びる第2曲げ部69c2を有する形状になっている。第2流路部69bの立ち上げ部は、上部において下部よりも幅が拡大された形状の流路になっている。
また、排気通路68における流路部69は、これ以外については実施の形態1における排気通路61の流路部64と同様に構成されている。
【0081】
排気通路68における排気口67は、実施の形態1における排気口63とほぼ同様に構成されており、背面部10eの開口部18と接続されている。
上記気流発生手段65は、排気通路68の流路部69における流路空間C内で排気用の気流Dを発生させる手段であり、排気通路68の流路空間Cのうち排気口67に近い下流側の位置に配置されている。気流発生手段65は、実施の形態1の場合と同様に、例えば軸流ファンを適用が適用される。なお気流発生手段65としては、例えば、他の手段であるシロッコファン等を適用してもよい。
【0082】
また、画像形成装置1Bでは、
図8から
図10に示されるように、排気装置6Bにおけて吸気口66A,66Bから排気通路68に吸い込まれた空気中に含まれる微粒子、特に超微粒子(UFP)を捕集する網部材7を、第1吸気口66Aおよび第2吸気口66Bの双方に設けている。
【0083】
網部材7としては、実施の形態1における網部材7を同様に適用することができる。
また、第1吸気口66Aに設ける網部材7を第1網部材7A、第2吸気口66Bに設ける網部材7を第2網部材7Bとした場合、第1網部材7Aと第2網部材7Bは同じ構成のものが使用される。第1網部材7Aと第2網部材7Bは、例えば、第1吸気口66Aと第2吸気口66Bの外側から覆うように取り付けられて固定される。
【0084】
そして、この排気装置6Bは、実施の形態1における排気装置6Aの場合と同様に、定着装置5が作動している時期やその停止後の所定期間に少なくとも作動する。
【0085】
すなわち、排気装置6Bは、作動時期になると、気流発生手段65が始動して、
図9等に示されるように、排気通路68の流路部69における流路空間C内に矢印Dで示す方向に流れる排気用の気流が発生する。
これにより、定着装置5において定着動作で主に発生する微粒子が含まれる加熱された空気は、
図10等に示されるように、第1吸気口66Aと第2吸気口66Bの双方からそれぞれ吸い込まれて排気通路68の流路部69における流路空間C内に流れ込み、第1流路部69aの流路空間C内で合流する。
【0086】
このとき第1吸気口66Aでは、定着装置5の筐体50における導入口50aから漏れ出る加熱された空気Ea1が相対的に多く吸い込まれる。また、第2吸気口66Bでは、定着装置5の筐体50における排出口50bから漏れ出る加熱された空気Ea2が相対的に多く吸い込まれる。
【0087】
この際、第1吸気口66Aを通過する空気は、捕集前の空気Ea1として第1吸気口66Aに設けられている第1網部材7Aにほぼ衝突するとともに、その第1網部材7Aの網目を通過して捕集後の空気Ecとして移動する。また、第2吸気口66Bを通過する空気は、捕集前の空気Ea2として第2吸気口66Bに設けられている第2網部材7Bにほぼ衝突するとともに、その第2網部材7Bの網目を通過して捕集後の空気Ecとして移動する。つまり、このときの捕集前の空気Ea1,Ea2は、第1網部材7Aと第2網部材7B(単体71)にそれぞれ衝突しながら第1網部材7Aと第2網部材7Bをそれぞれ通過する。
【0088】
これにより、その捕集前の空気Ea1,Ea2に含まれる超微粒子も第1網部材7Aと第2網部材7Bにそれぞれ衝突した際に第1網部材7Aと第2網部材7Bをそれぞれ構成する線材部分に付着しやすくなる。この結果、第1網部材7Aと第2網部材7Bを通過した空気Ecに含まれる微粒子のうち超微粒子が、第1網部材7Aと第2網部材7Bによりそれぞれ捕集される。
【0089】
この第1網部材7Aと第2網部材7Bを通過した捕集後の空気Ecは、排気通路68の第1流路部69aおよび第2流路部69bにおける流路空間C内を矢印Dの方向に流れる気流に乗るように流れて気流発生手段65を通過し、最後に、排気通路68の排気口67から画像形成装置1の筐体10の外部に最終排気の空気Eeとして排出される。
このときの捕集後の空気Ecは、実施の形態1における排気装置6Aおよび網部材7による作用効果の場合とほぼ同様に、捕集前の空気Eaに比べて、超微粒子の総量が低減された空気になる。
【0090】
変形例.
この発明は、実施の形態1、2で例示した内容に何ら限定されるものではなく種々の変更が可能であり、例えば、以下に挙げるような変形例の構成も含むものである。
【0091】
実施の形態1に係る画像形成装置1Aでは、網部材7を隔壁16の開口部17に設けたが、その開口部17と向き合う排気装置6Aの排気通路61の吸気口62に網部材7を設けてもよい。
このように網部材7を排気通路61の吸気口62に設けた場合でも、網部材7を定着装置5の相対的に近い位置に配置することになり、網部材7を隔壁16の開口部17に設けた場合とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0092】
実施の形態2に係る画像形成装置1Bでは、排気装置6Bにおける第2網部材7Bについて、その網目が第1網部材7Aよりも大きい関係にある網部材を設けるよう構成してもよい。
このように構成した場合は、第2網部材7Bとして第1網部材7Aよりも網目が大きい関係にある網部材を設けない場合に比べると、第2吸気口66Bでの圧力損失が抑制されつつ、第1網部材7Aおよび第2網部材7Bにより定着装置5で加熱された空気に含まれる超微粒子が効率よく捕集される。
【0093】
また実施の形態2に係る画像形成装置1Bでは、排気装置6Bにおける排気通路68における第1吸気口66Aおよび第2吸気口66Bのうち第1吸気口66Aのみに網部材7を設け、第2吸気口66Bに網部材7を設けないよう構成してもよい。
このように構成した場合は、第1吸気口66Aおよび第2吸気口66Bの双方に網部材7を設ける場合に比べると、第2吸気口66Bでの圧力損失が回避されつつ、第1吸気口66Aにおいて網部材7により定着装置5で加熱された空気に含まれる超微粒子が捕集される。
【0094】
この他、排気装置6と網部材7を備える画像形成装置は、実施の形態1、2で例示した形式の画像形成装置1A,1Bに限定されず、定着装置5を備えるものであれば他の形式からなる画像形成装置であってもよい。他の形式としては、例えば、像形成装置2として中間転写方式を採用した形式、多色画像を形成する形式等が挙げられる。
【0095】
定着装置5についても、記録用紙9等の記録媒体に現像剤からなる未定着像を少なくとも加熱して定着するものであれば、他の加熱方式の定着装置を適用しても構わない。
排気装置6についても、定着装置5で加熱された空気を排気通路の流路空間Cを通して筐体10の外部に排気できるものであれば、他の形式や構造のものを適用することができる。なお、排気装置6は、気流発生手段65がなくとも定着装置5で加熱された空気を網部材7と排気通路の流路空間Cを通して筐体10の外部に排気できる場合は、気流発生手段65を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0096】
1A,1B…画像形成装置
5 …定着装置
6A,6B…排気装置
7,7A,7B…網部材
9 …記録用紙(記録媒体の一例)
16…隔壁
17…開口部
50a…導入口
62…吸気口
63,67…排気口
64,69…流路部
66A…第1吸気口
66B…第2吸気口
C …流路空間
D …空気の流れる方向(排気の気流)