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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】電気部品
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20250311BHJP
   H01H 9/04 20060101ALI20250311BHJP
   G05G 1/10 20060101ALI20250311BHJP
   G05G 1/02 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
H01H13/14 Z
H01H9/04 D
G05G1/10 B
G05G1/02 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021105138
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003832
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2024-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 芳弘
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-323826(JP,A)
【文献】特開2019-67550(JP,A)
【文献】特開2010-287366(JP,A)
【文献】特開2014-1672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部に対して回転操作を行う操作子を備える電気部品であって、
前記操作子は回転軸の軸線上から見て輪郭が円形であり、
前方で円形の前記輪郭を形成する円状部と、
前記円状部よりも後方で前記軸線に直交する面で凸多角形を形成する角形断面部と、
前記円状部と前記角形断面部とをつなぐ柱状部と、
を有し、
前記柱状部の周面は、前方で前記円状部とつながる部分から後方で前記角形断面部とつながる部分まで、円形から前記凸多角形まで一様の態様で変化する形状であることを特徴とする電気部品。
【請求項2】
前記柱状部の周面は、前方で周方向に沿う円弧が、後方に向かって前記凸多角形の一辺に相当する直線となるように一様に変化する形状であることを特徴とする請求項1に記載の電気部品。
【請求項3】
前記柱状部の周面は、前方から後方に向かって円弧と直線との占める割合が一様に変化する形状であることを特徴とする請求項1に記載の電気部品。
【請求項4】
前記角形断面部の前記凸多角形の外接円は、前記円状部の円形よりも小径であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電気部品。
【請求項5】
前記凸多角形は6角形、7角形、8角形、9角形、10角形、11角形または12角形であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電気部品。
【請求項6】
前記本体部は複数の端子を有し、
前記操作子は前記本体部に対して押込操作が可能であり、該押込操作によって前記端子間の接続状態が切り替わってロックされ、ロックされた該接続状態は前記回転操作によってリセットされることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電気部品。
【請求項7】
ロックされた前記接続状態は、前記操作子の前方への引出操作によってリセットされることを特徴とする請求項6に記載の電気部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部に対して回転操作を行う操作子を備える電気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
押ボタンスイッチには本体部に対して回転操作を行うボタンを備えるものがある。例えば、特許文献1に記載の押ボタンスイッチでは、本体部に対してボタンの押込操作が可能であり、該押込操作によってスイッチの接点状態が切り替わってロックされ、ロックされた該接点状態はボタンの回転操作によってリセットされる。このような押ボタンスイッチは機器の非常停止用に用いられることがある。非常時の接点状態は押込操作とは異なる回転操作でリセットされることから不用意にリセットされることが防止できる。このような押ボタンスイッチは、回転操作をしやすくするためにボタンの周囲に滑り止めのための多数の溝が形成されている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-033797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような押ボタンスイッチは工作機械、食品機械および医療器械など適用されることがある。工作機械ではボタンに油類が付着する可能性があるが、仮に油類が付着しても周囲に多数の溝が形成されていると良好な滑り止め効果を奏し該ボタンを回転させやすい。しかしながら溝には粉塵などのゴミが溜まりやすく、清掃・除去の作業に時間がかかる。
【0005】
また、周囲の溝にゴミが溜まる懸念のあるボタンは食品機械および医療器械に適用することは必ずしも好ましくはなく、環境条件によっては溝のないボタンが用いられることもあり、工作機械、食品機械および医療器械など広範に適用可能な汎用性が求められている。なお、ボタンやツマミの回転操作をともなう電気部品は押ボタンスイッチ以外にもロータリスイッチやボリュームなどがあり、押ボタンスイッチと同様の課題が考えられる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ボタンなどの操作子にゴミが溜まりにくく、しかも回転操作を容易に行うことのできる電気部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる電気部品は、本体部に対して回転操作を行う操作子を備える電気部品であって、前記操作子は回転軸の軸線上から見て輪郭が円形であり、前方で円形の前記輪郭を形成する円状部と、前記円状部よりも後方で前記軸線に直交する面で凸多角形を形成する角形断面部と、前記円状部と前記角形断面部とをつなぐ柱状部と、を有し、前記柱状部の周面は、前方で前記円状部とつながる部分から後方で前記角形断面部とつながる部分まで、円形から前記凸多角形まで一様の態様で変化する形状であることを特徴とする。
【0008】
このような電気部品では、操作子にゴミが溜まりにくく、しかも回転操作を容易に行うことができる。
【0009】
前記柱状部の周面は、前方で周方向に沿う円弧が、後方に向かって前記凸多角形の一辺に相当する直線となるように一様に変化する形状であってもよい。これにより比較的単純形態で扱いやすい形状となる。
【0010】
前記柱状部の周面は、前方から後方に向かって円弧と直線との占める割合が一様に変化する形状であってもよい。
【0011】
前記角形断面部の前記凸多角形の外接円は、前記円状部の円形よりも小径であってもよい。これにより操作子を一層つまみやすくなる。
【0012】
前記凸多角形は6角形、7角形、8角形、9角形、10角形、11角形または12角形であると、形状的にバランスがよく、指でつかみやすく、さらに適度な滑り止め作用が得られる。
【0013】
前記本体部は複数の端子を有し、前記操作子は前記本体部に対して押込操作が可能であり、該押込操作によって前記端子間の接続状態が切り替わってロックされ、ロックされた該接続状態は前記回転操作によってリセットされる構成でもよい。
【0014】
ロックされた前記接続状態は、前記操作子の前方への引出操作によってリセットされる構成でもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる電気部品では、柱状部が前方の円形から後方の凸多角形まで一様の態様で変化する形状であり、しかも角形断面部は断面が凸多角形となっていることから、柱状部には相対的に凹形状となる部分がなく、ゴミが溜まりにくい。さらに、柱状部の後方略半分程度の部分は断面が略凸多角形となっていることから滑り止め作用があり回転操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明にかかる電気部品の実施形態である押ボタンスイッチの斜視図である。
図2図2は、押ボタンスイッチの側面図である。
図3図3は、押ボタンスイッチの前面図である。
図4図4は、押ボタンスイッチの後面図である。
図5図5は、ボタンの斜視図である。
図6図6は、ボタンから切り出された分割周面の斜視図である。
図7図7は、ボタンを指で回転操作する様子を示す図である。
図8図8は、第1変形例にかかるボタンを備える押ボタンスイッチの側面図である。
図9図9は、第2変形例にかかるボタンを備える押ボタンスイッチの側面図である。
図10図10は、第3変形例にかかるボタンの斜視図である。
図11図11は、第4変形例にかかるボタンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明にかかる電気部品の実施形態である押ボタンスイッチ10を示す斜視図である。図2は、押ボタンスイッチ10の側面図である。図3は、押ボタンスイッチ10の前面図である。図4は、押ボタンスイッチ10の後面図である。図7は、ボタン14を指で回転操作する様子を示す図である。
【0019】
押ボタンスイッチ10は、本体部12と、該本体部12に対して押込操作、回転操作および引出操作が可能なボタン(操作子)14と、本体部12の後端に設けられた接点部16とを有する。接点部16は本体部12の一部ともみなされる。接点部16からは後方に向けて複数の端子16aが突出している。押ボタンスイッチ10の用途はユーザにより自由であるが、例えば機器の非常停止用に用いられる。
【0020】
本願では押ボタンスイッチ10の方向について、ボタン14の操作側端面の側を前方とし、端子16aが設けられている側を後方とする。図面においては前方を「F」、後方を「B」として矢印を適宜表示する。
【0021】
本体部12は、ボタン14の内部に嵌まり込んでいる前方部12aと、前方部12aから突出している後方部12bとを有する。後方部12bは前方部12aよりも小径であって、周囲には雄ねじ部12baが形成されている。
【0022】
押ボタンスイッチ10は、制御盤のパネルP(図7参照)に取り付け可能である。すなわち、パネル孔から後方部12bを突出させた状態で後方からワッシャ18を嵌め、さらにナット20を雄ねじ部12baに螺合させて締め込むことにより押ボタンスイッチ10がパネルPに取り付けられる。押ボタンスイッチ10では前方部12aおよびボタン14がパネルPよりも前面側に配置され、後方部12bおよび接点部16がパネルPよりも後ろ側に配置される。
【0023】
前方に配置されたボタン14はユーザによって操作される。ボタン14を本体部12に対して押込操作を行うと、端子16a間の接続状態が切り替わってその状態でロックされる。このときボタン14は後方にやや押し込まれた位置に保持される。
【0024】
ロックされた状態からボタン14を所定方向に所定角度(例えば時計方向に45度)回転させると、端子16a間の接続状態はリセットされる。このときボタン14はやや前方の基準位置に復帰する。また、ロックされた状態からボタン14を前方に引き出して基準位置まで復帰させると、端子16a間の接続状態はリセットされる。すなわち、押ボタンスイッチ10はターンリセット方式とプルリセット方式との兼用式になっている。本体部12には、ボタン14の操作に基づいて端子16a間の接続状態を切り替える機構が含まれているが、この内部機構についての説明は省略する。
【0025】
押ボタンスイッチ10では、リセット時のボタン14の回転操作にはある程度の回転トルクが必要な構成となっている。これにより押込操作によるロック状態が確実に保持され、不用意にリセットされることが防止される。一方、後述するようにボタン14には回転操作時の滑り止め作用があり、指で摘んだ状態でトルクをかけやすくなっている。
【0026】
図5は、ボタン14の斜視図である。押ボタンスイッチ10が非常停止の用途に用いられる場合には、ボタン14は赤色にするとよい。ボタン14は、例えば樹脂成型品である。ボタン14は前方が塞がれて後方に開口した有底の略筒形状となっている。上記のとおりボタン14の後方開口には本体部12の前方部12aが嵌まり込んでいる。ボタン14は前面(図3参照)から見て輪郭が円形となっている。この輪郭の円形は回転操作するときの回転軸Jを中心としている。一層具体的には、ボタン14は回転軸Jの軸線上からみて円形となっている。
【0027】
一般的な多くのボタンは四角または円形であり、特に非常停止用スイッチは円形であることが多い。押ボタンスイッチ10は非常停止の用途の利用が想定されており、ボタン14が前方から見て円形が維持されていることからユーザにとって馴染みやすい。
【0028】
ボタン14は、前端部分で円形の輪郭を形成している円状部22と、該円状部22よりも後方で軸線Jに直交する面で凸多角形を形成する角形断面部24と、円状部22と角形断面部24とをつなぐ柱状部26とを有している。ボタン14は指による押込操作および回転操作が容易な寸法になっている。この例で、角形断面部24はボタン14の後端面となっているが、設計条件によっては角形断面部24よりも後方に何らかの構成要素が付加されていてもよい(図10のボタン14C参照)。この例で、角形断面部24は正10角形(凸多角形)になっている。ただし、角形断面部24の各角部は多少の面取りがなされていてもよい。
【0029】
円状部22は、柱状部26と接続される外周部32と、外周部32と前方でつながる前端部34とからなる。外周部32は、前方から見てボタン14の円形輪郭を形成する部分であり、前方に向かって縮径する球状面となっている。外周部32は円柱面または円錐面としてもよい。前端部34は平面状となっており、リセット時の回転方向を示す複数の矢印マーク34aが表記されている。
【0030】
説明の便宜上、角形断面部24における正10角形の一辺を含むように柱状部26の周面を10等分したものを分割周面28とする。図5では分割周面28を破線で示している。図6は、ボタン14から切り出された分割周面28の斜視図である。実際には分割周面28はボタン14から分離されるものではなく、図6は説明の便宜上の仮想的な図である。
【0031】
柱状部26の周面は、前方で円状部22とつながる部分から後方で角形断面部24とつながる部分まで、円形から正10角形まで一様の態様で変化する形状となっている。
【0032】
図6に基づいて説明すれば、分割周面28は、前方で周方向に沿う円弧28aが、後方に向かって凸多角形の一辺に相当する直線28bとなるように徐々に変化しており、この間で円弧、直線またはその中間的な線以外の形状をとることがない。このようなボタン14は、比較的単純形態で扱いやすい形状となっている。
【0033】
また、後述するように(図4参照)角形断面部24は円状部22よりも小さくなっているが、分割周面28では、前方で周方向に沿う円弧28aが後方に向かって徐々に内径側に寄っており、この間で一時的に外側に寄ることがない。
【0034】
これにより、例えば中間高さ線28c(図6で仮想線で示す)は、円弧28aと直線28bとの中間的なものとなり、概念的には円弧28aよりも緩やかな略円弧状となっている。このように、柱状部26および分割周面28は、円形から凸多角形まで一様の態様で変化する形状となっている。また、正10角形は凸多角形の一種であることからすべての内角が180度未満であり、周面に凹形状となる部分がない。
【0035】
したがって、角形断面部24に対応して形成されて、円状部22から角形断面部24まで一様の態様で変化する形状となっている。柱状部26にはその途中で不規則的に凸部、凹部または段差部を形成することがない。そのため凹部そのものや、凸部や段差部の存在によって相対的に凹形状となる部分がなくゴミ(異物、汚れなどを含む)が溜まりにくくなっている。また、柱状部26に凹部がないことから、指でつまむ際に良好な感触が得られる。
【0036】
なお、本願における一様の態様の変化とは、周方向および軸方向について段差部がなく、かつ、変化態様に繰り返しがない一方向的なものとする。したがって、分割周面28で円弧28aが、後方に向かって直線状と円弧状とに繰り返し変化するような態様は含まれない。また、本願における一様の態様の変化とは比例的な変化態様を含むが、それに限定されない。
【0037】
また、角形断面部24に応じて形成されている柱状部26には凹形状の部分はないが、少なくとも後方半分程度は略正10角形であることから10本の少し丸みを帯びた稜線部28d(図7参照)がわずかに径方向に突出していることから、回転操作を行う際に指をかけやすく滑り止めの作用がある。
【0038】
さらに、角形断面部24は凸正多角形であることから形状的にバランスがよい。ただし、角形断面部24が正3角形(つまり角部が60度)または正方形(つまり角部が90度)であると、該角形断面部24に応じて形成される柱状部26は稜線部28dが直角や鋭角状となって指に対してやや局所的に当接することになり、違和感を覚えるユーザも存在し得る。また、正3角形や正方形の場合は、やや方向性が強くなって回転操作が行いにくい。
【0039】
一方、角形断面部24が、例えば正14角形以上であると角部が180度に近くほぼ円形となり回転操作時の滑り止め効果が低減する。そうすると角形断面部24の断面は、正5角形から正13角形程度が適当であり、一層好ましくは、正6角形、正7角形、正8角形、正9角形、正10角形、正11角形または正12角形とするとよい。ただし、設計・製造上の理由またはデザイン上の理由から、角形断面部24は辺の長さが多少異なる形状としてもよい。すなわち、角形断面部24は凸多角形であれば6角形、7角形、8角形、9角形、10角形、11角形または12角形であってもよい。
【0040】
また、ボタン14が一般的な非常停止ボタンのサイズであるとき、角形断面部24を正6角形~正12角形とすると、分割周面28(図7参照)がちょうど指の腹部分に当たる大きさとなり、ボタン14をつまみやすくなる。ボタン14は、後述するボタン14Dと比較して分割周面28が指の腹に合うように適度に広い面を形成しており、好適な感触が得られる。
【0041】
図4に示すように、角形断面部24は円状部22よりも小さくなっている。具体的には角形断面部24の凸多角形の外接円24a(図4では仮想線で示している。)は、円状部22の円形よりも小径となっている。これにより、ボタン14は後方に向かって縮径するような形状になり、ボタン14の引出操作を行いやすい。また、柱状部26に凹部がなくしかも後方に向けて縮径する形状であると、ボタン14の成型時に金型から抜きやすい。
【0042】
このように構成される押ボタンスイッチ10のボタン14では、柱状部26が前方の円形から後方の凸多角形まで一様の態様で変化する形状となっており、その途中で不規則的に凸部、凹部または段差部を形成することがない。また、角形断面部24は断面が凸多角形となっていることから凹形状となる部分がない。すなわち、ボタン14では柱状部26の周面については凹形状の部分がないため、ゴミが付着して溜まることが防止できる。したがって、押ボタンスイッチ10は食品機械および医療器械などに好適に適用可能である。
【0043】
一方、柱状部26の少なくとも後方部分は、角形断面部24に基づいてやや丸みを帯びた凸多角形となっていることから回転操作時の滑り止め作用がありトルクをかけやすい。したがって、ボタン14に油類が付着する可能性のある工作機械などにも好適に適用可能である。このように、押ボタンスイッチ10は、ボタン14にゴミが溜まりにくく、しかも回転操作を容易に行うことができ、様々な機械に汎用的に適用することができる。
【0044】
なお、ユーザによっては円形ボタンの操作性を好みまたは慣れている場合があり、さらには滑り止めの手袋をしている場合がある。このようなユーザはボタン14の回転操作時に、必ずしも後方の多角形部分を摘む必要はなく、前方の円状部22を摘んで操作してもよい。
【0045】
次に、ボタン14の変形例について説明する。各変形例においてボタン14と同様の構成要素には同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0046】
図8には、第1変形例として正12角形である角形断面部24Aを備えるボタン14Aを示している。ボタン14Aの柱状部26Aは、前方で円状部22とつながる部分から後方で角形断面部24Aとつながる部分まで、円形から正12角形まで一様の態様で変化する形状となっている。
【0047】
図9には、第2変形例として正8角形である角形断面部24Bを備えるボタン14Bを示している。ボタン14Bの柱状部26Bは、前方で円状部22とつながる部分から後方で角形断面部24Bとつながる部分にわたって、円形から正8角形まで一様の態様で変化する形状となっている。上記のとおり、角形断面部24の形状は、角形断面部24を正6角形~正12角形とすることにより好適な滑り止め作用と操作性が得られる。
【0048】
図10は、第3変形例にかかるボタン14Cの斜視図である。ボタン14Cは上記のボタン14の後方に錘状部36が設けられたものである。錘状部36は角形断面部24の正10角形を基部として後方に向けて縮径する正10角錘である。柱状部26と錘状部36とは滑らかにつながっている。このように、角形断面部24は後端面でなくてもよい。
【0049】
図11は、第4変形例にかかるボタン14Dの斜視図である。ボタン14Dは、上記のボタン14における柱状部26を柱状部26Dに置き替えたものである。柱状部26Dの周面は10個の平面26Daと10個の円錐面26Dbとが交互に設けられている。柱状部26Dは前方で円状部22とつながる部分から後方で角形断面部24とつながる部分にわたって、平面26Daと円錐面26Dbとによって円形から凸多角形まで一様の態様で変化する形状となっている。すなわち、柱状部26Dの周面は、前端部では全周が円弧形状によって占められており、後端部では全周が直線によって占められており、その間は前方から後方に向かって円弧と直線との占める割合が次第に変化するようになっている。平面26Daは一様な傾斜角度の面となっている。また、平面26Daと円錐面26Dbとの境界である稜線26Dcが円状部22の近傍まで達しており、滑り止め作用を奏している。上記のボタン14Cと同様に、角形断面部24の外接円は円状部22よりも小径となっており、ボタン14Dの引出操作が容易である。
【0050】
本発明は押ボタンスイッチ以外にも、本体部に対して回転操作を行う操作子を備えるもの(ロータリスイッチやボリュームなど)に適用可能である。
【0051】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10 押ボタンスイッチ(電気部品)
12 本体部
12a 前方部
12b 後方部
14,14A,14B,14C,14D ボタン(操作子)
16 接点部
16a 端子
22 円状部
24,24A,24B 角形断面部
26,26A,26B,26D 柱状部
28 分割周面
32 外周部
34 前端部
36 錘状部
J 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11