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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】投光器
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20250311BHJP
   F21V 21/30 20060101ALI20250311BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20250311BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20250311BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20250311BHJP
   F21W 131/105 20060101ALN20250311BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250311BHJP
【FI】
F21S2/00 365
F21S2/00 375
F21S2/00 390
F21S2/00 623
F21V21/30 110
F21V29/76
F21V29/503
F21V23/00 120
F21W131:105
F21Y115:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021107524
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005535
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-05-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日:令和3年2月24日 刊行物:岩崎電気株式会社 製品パンフレット LED投光器 LEDioc FLOOD AVANT 〔刊行物等〕 発行日:令和3年4月 刊行物:岩崎電気株式会社 施設・屋外照明 総合カタログ 2021-2022 第281頁-第288頁 〔刊行物等〕 試験日:令和3年3月31日 試験場所:鴨川カントリークラブ(千葉県鴨川市和泉2607) 〔刊行物等〕 開催日:令和3年4月9日(4月9日~4月10日) 展示会名、開催場所:第47回ジャンボびっくり見本市 インテックス大阪 6号館 C・Dゾーン(大阪府大阪市住之江区南港北1-5-102) 〔刊行物等〕 試験日:令和3年4月16日 試験場所:ジョイバードゴルフ練習場(千葉県市原市金剛地1611-14)
(73)【特許権者】
【識別番号】723014807
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 守幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇太
(72)【発明者】
【氏名】藤野 秀一
(72)【発明者】
【氏名】福澤 厚
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-146234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 21/30
F21V 29/76
F21V 29/503
F21V 23/00
F21W 131/105
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の光源ユニットと、
電源装置を収める電源スペースを有する結線ボックスと、
前記結線ボックスの側面を回動自在に軸支し、設置面に固定されるアームと、
前記光源ユニットと前記結線ボックスとを連結する接続具と、
を備え、
前記結線ボックスは、
前記光源ユニットの背面側に隙間をあけて連結されており、
前記アームが前記結線ボックスを軸支する軸支点は、前記結線ボックスの上下方向の寸法の中心よりも下方に位置し、
前記接続具は、1又は複数の貫通孔が設けられた板状部材である、
ことを特徴とする投光器。
【請求項2】
前記光源ユニットは、放熱フィンを備え、
前記貫通孔のいずれかは、側面視において前記放熱フィンを臨む位置に形成された第1の貫通孔である、
ことを特徴とする請求項に記載の投光器。
【請求項3】
前記貫通孔のいずれかは、側面視において前記結線ボックスの前記光源ユニットの側の面を臨むように形成された第2の貫通孔である、
ことを特徴とする請求項またはに記載の投光器。
【請求項4】
前記結線ボックスは、内部を仕切るベース板を備え、
前記ベース板の一部は、
前記内部における外部配線の導入箇所の空間を拡張する形状になっている
ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光器に関する。
【背景技術】
【0002】
野球場を投光照明する投光器は、一般に、地上から数十メートルの高さの鉄塔に、照射方向を水平方向よりも下方に最大約30度の範囲で傾けて設置されることが多い。
近年、野球の他にもサッカーや陸上競技などの各種の競技を行うための多目的型の競技場の需要が増えている。多目的型の競技場では、競技者の視界の外に投光器を配置するため、または、競技者の十字型の影を薄くするため等の理由で、より高い位置に投光器を配置する傾向がある。
【0003】
投光器の設置高さが高くなるほど、競技場内の同じ箇所を照明するために、投光器の照射方向を、従来よりも下方に傾ける必要が生じる。しかしながら、下方への傾きを大きくすると、投光器を固定するためのアームや当該投光器の設置面等の構造物によって照明光の一部が遮られてしまう、という問題がある。
【0004】
一方、かかる投光器において、器具の設置面から斜め前方にアームを延ばし、当該アームの前端で投光器本体を支持する構成が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。かかる構成により、アームが設置面から上方に延びる構成に比べ、投光器本体を下方へ傾けた際に照明光がアームに遮られ難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-9760号公報
【文献】特開2019-21647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のように、単にアームを斜め前方に延ばした場合、アームが長くなって振動に弱くなり、機械的強度が不足する、という問題がある。この問題を解決するために、例えばアームの板厚を増すと、器具の重量が増加する、という新たな問題が生じる。また、アームの板厚を増やさずに強度を確保する手法として、アームに補強部材を溶接したり、補強曲げやリブなどの加工をアームに施すなどの手法が考えられる。しかしながら、これらの手法は、溶接や金型での加工を要しコストアップにつながる。
【0007】
ところで、投光器はライトアップ用途で用いられる場合もあり、この場合、一般に、投光器は上方に傾けられてライトアップ照明を行う。例えば特許文献1のように、電源ボックスが光源ユニットの後方に一体に設けられた器具では、かかるライトアップ照明において、下方照射の際のアームによる照明光の遮断に加え、上方照射のために器具を上方に傾ける際に電源ボックスがアームに干渉しないように考慮する必要もあり、単純にアームを短くしただけでは、両者を同時に解決することはできない。
【0008】
そして、照射方向を水平方向よりも下方及び上方のそれぞれに30度以上に設定可能とするという市場の要求に対しては、多くの投光器が下方及び上方の両方の照射条件を同時に満たせておらず、いずれか一方の照射範囲を制限しているのが現状である。
【0009】
なお、上方照射については、例えば特許文献2のように、電源ユニットを別体として器具から分離することで、電源ユニットとアームの干渉を防止する構成の採用が考えられる。しかしながら、電源ユニットを分離すると、電源ユニットの設置場所を新たに確保したり、電源ユニットを設置するための施工作業が別途に必要になるなど、電源ユニットの取り扱いが煩雑となる、という問題が発生する。かかる問題は、投光器の設置台数が多いほど顕著となる。
【0010】
本発明は、下方及び上方の両方に大きく傾けることができ、かつ、取り扱いが煩雑になることがない投光器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、1又は複数の光源ユニットと、電源装置を収める電源スペースを有する結線ボックスと、前記結線ボックスの側面を回動自在に軸支し、設置面に固定されるアームと、前記光源ユニットと前記結線ボックスとを連結する接続具と、を備え、前記結線ボックスは、前記光源ユニットの背面側に隙間をあけて連結されており、前記アームが前記結線ボックスを軸支する軸支点は、前記結線ボックスの上下方向の寸法の中心よりも下方に位置し、前記接続具は、1又は複数の貫通孔が設けられた板状部材である、ことを特徴とする投光器である。
【0013】
本発明の他の態様は、上記投光器において、前記光源ユニットは、放熱フィンを備え、前記貫通孔のいずれかは、側面視において前記放熱フィンを臨む位置に形成された第1の貫通孔である、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の他の態様は、上記投光器において、前記貫通孔のいずれかは、側面視において前記結線ボックスの前記光源ユニットの側の面を臨むように形成された第2の貫通孔である、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の他の態様は、上記投光器において、前記結線ボックスは、内部を仕切るベース板を備え、前記ベース板の一部は、前記内部における外部配線の導入箇所の空間を拡張する形状になっていることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の態様は、上記投光器において、前記アームを除いた状態の重心が、側面視において、前記光源ユニットと前記結線ボックスの間に位置する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、下方及び上方の両方に大きく傾けることができ、また、取り扱いが煩雑になることがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る投光器を正面側から視た斜視図である。
図2】投光器の側面図である。
図3】投光器を背面側から視た斜視図である。
図4】光源ユニットの構成を示す斜視図である。
図5】投光器の背面側の平面図である。
図6】蓋体を外した状態の結線ボックスを示す斜視図である。
図7】蓋体を外した状態の結線ボックスの内部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る投光器1を正面側から視た斜視図であり、図2は投光器1の側面図である。また、図3は投光器1を背面側から視た斜視図である。
本実施形態の投光器1は、上述の多目的型の競技場を投光照明するのに適した器具であり、図1から図3に示すように、照明光を出射する光源ユニット2と、当該光源ユニット2に電力を供給する結線ボックス4と、光源ユニット2と結線ボックス4とを連結する接続具6と、結線ボックス4を回動自在に軸支するアーム8と、を備えている。
なお、図2に示すように、以下では、投光器1の正面側を前方DAと言い、投光器1の背面側を後方DBと言う。また、鉛直方向を上下方向と言う。
【0020】
本実施形態の投光器1は、図2に示すように、上下方向DCに並置された複数(図示例では3つ)光源ユニット2を備えることで高出力化が図られており、これら光源ユニット2の後方DBには、距離LAだけ離間した位置に結線ボックス4が配置され、これら光源ユニット2及び結線ボックス4が接続具6によって連結されている。
【0021】
アーム8は、図2に示すように、側面視において、前方DAから後方DBにかけて斜めに延びる略直線状であり、その上端部8Aに結線ボックス4を軸支する軸支点8A1が設けられ、当該軸支点8A1から後方DBに距離LBだけ離れた下端部8Bに固定片8Cが設けられている。そして、この固定片8Cが鉄塔などの任意の構造物の概ね水平な設置面Eにボルト等で固定される。なお、本実施形態において、固定片8Cが固定される固定点8C1は、下端部8Bよりも後方DBに距離LCだけ離間した位置に設定されており、軸支点8A1を固定点8C1から前方DAにより遠ざけるように構成されている。
【0022】
かかる構成によれば、アーム8が光源ユニット2を軸支する構成に比べ、光源ユニット2がアーム8の下端部8Bの固定片8Cから前方DAの側に大きく離れて配置される。これにより、光源ユニット2を水平方向DHよりも下方に大きく傾けた場合(例えば、水平方向DHから下方に60度傾けた場合)でも、アーム8や固定片8Cが固定される構造物によって照明光が遮られ難くできる。
【0023】
また、特許文献1のように、アームが光源ユニットの側に位置し、当該光源ユニットの後方に電源ボックス及び結線ボックス(以下、電源ボックス等という)を配置した構成では、電源ボックス等がアームの支軸点から後方に離れる。このため、光源ユニットが上方に回動する際、電源ボックス等がアームと干渉し易くなり、当該干渉が生じない範囲でしか光源ユニットを上方に向けることができない。さらに、光源ユニットを上方に向けた場合、アームを設置面に固定している固定箇所(本実施形態の固定点8C1付近)の作業領域が光源ユニットに塞がれ易くなる。このため、例えば水平方向の位置を調整するために固定箇所を操作するといった作業を行い難くなり、作業性は良くない。
【0024】
これに対し、本実施形態の投光器1は、アーム8の軸支点8A1が結線ボックス4に配置されているため、光源ユニット2を上方に回動させたときに結線ボックス4の軌道がアーム8に干渉することがなく、上方に向けられる角度(上方照射角度)に制限がない。また、上方に傾けられた光源ユニット2がアーム8の固定点8C1付近を塞ぐこともなく、光源ユニット2の傾きにかかわらず、固定点8C1を操作して水平方向DHの調整作業をすることができる。すなわち、水平方向DHと上下照射方向の調整とを互いに干渉することなく独立して行うことでき、作業性が良好となる。
【0025】
また、本実施形態では、結線ボックス4における軸支点8A1は、当該結線ボックス4の上下方向DCの寸法(すなわち長さ)の中心Oよりも下方(底面40A)に偏った位置に設けられており、側面視において、軸支点8A1よりも下方への結線ボックス4の突出量が抑えられている。これにより、結線ボックス4の回転のために確保すべき、軸支点8A1と固定片8Cとの距離を縮めることができ、アーム8の上下方向の長さを短縮できる。これにより、比較的大型の投光器1の軽量化を図ることができる。
【0026】
なお、軸支点8A1を結線ボックス4の中心O又は中心Oの近傍に配置してもよい。例えば、投光器1が備える光源ユニット2の数が少なく(例えば1つ)、又は、個々の光源ユニット2の消費電力が小さい場合、電源装置の電源容量を小さくでき、比較的小型の電源装置を用いることができる。この場合、結線ボックス4も小さくでき、上下方向DCの寸法を短縮できるため、軸支点8A1を略中心Oに設けた場合でも、光源ユニット2を下方に傾けた際のアーム8等による照明光の遮蔽を防止できる。
【0027】
投光器1は、図3に示すように、アーム8を基端部が貫通し回転操作可能なハンドル9Aと、ハンドル9Aが設けられた面と反対側のアーム8の面に設けられ、ハンドル9Aの基端部が係合する挟持部材9B(図5図6)と、結線ボックス4とアーム8との間に設けられた角度表示板9Cと、を備えている。角度表示板9Cは、光源ユニット2の傾き角度を表示する俯角板とも呼ばれる部材であり、挟持部材9Bとアーム8とで挟み込まれている。
挟持部材9Bは、ハンドル9Aの回転操作に角度表示板9Cをアーム8に押し付ける機構を備え、この押し付け、及び固定によって角度表示板9Cが移動不能にアーム8と挟持部材9Bとに挟持される。そして、この状態でナット9D(図6)でハンドル9Aの基端部を回転不能に締結することで、角度表示板9Cが設けられた結線ボックス4、及び当該結線ボックス4に接続された光源ユニット2が回動不能に固定される。
【0028】
次いで、投光器1の各部について詳述する。
【0029】
図4は、光源ユニット2の構成を示す斜視図である。
光源ユニット2は、箱型の筐体20を備え、当該筐体20の正面には、照明光を出射する正面視矩形状の出射開口22が開口し、当該出射開口22がカバー部材24によって閉塞されている。また、筐体20の背面20A(図2)には、多数の放熱フィン26が立設されている。放熱フィン26は、側面視略矩形状の薄い板材であり、光源ユニット2の幅方向DD(正面視において上下方向DCに直交する方向)に略等間隔に並んでおり、各放熱フィン26の間を上下方向DCに通過する空気によって冷却される。筐体20には、照明光を出射する光源部28が内蔵されており、光源部28で生じた熱が筐体20に伝わり、各放熱フィン26から効率良く放熱される。
【0030】
本実施形態の筐体20は、アルミダイカスト製品(鋳造品)ではなく、純アルミニウムの鍛造品であり、アルミダイカスト製品に比べ、熱伝導性、及び耐蝕性に優れており、高い放熱性能が得られ、なおかつ、雨水による劣化が抑えられている。さらに、鍛造品である筐体20は機械的強度にも優れている。
なお、筐体20には、耐蝕性を更に向上させるための塗装やメッキなど表面処理が施されてもよい。また、筐体20の形状が複雑な場合は、製造を容易とするために、アルミダイカストを用いてもよい。
【0031】
光源部28の構成は任意であるが、本実施形態の光源部28は、光源と、当該光源の放射光を制御する光制御部材と、を備えている。光源の種類は任意であるが、例えば発光素子であり、本実施形態では、SMD型の多数のLEDが用いられている。また、光制御部材は、典型的には、透過型や反射型の光学部材である。本実施形態では、各LEDを覆う透明な板材の表面に、LEDごとのレンズが一体に形成されたレンズカバーが光制御部材に用いられており、カバーとレンズを別部品とする場合に比べ構成が簡易になっている。
【0032】
なお、本実施形態において、光源ユニット2の出射方向DE(光軸)は、出射開口22の開口面に概ね垂直であるが、当該開口面に対して任意の傾きを有していてもよい。
【0033】
結線ボックス4は、図3に示すように、外部から延びる各種の外部配線5A、及び、光源ユニット2のそれぞれへ電力を供給するためのユニット間配線5Bを結線するためのユニットである。外部配線5Aは、例えば、電源線や制御線、他の投光器1をつなぐ送り配線などである。
本実施形態の結線ボックス4は、箱型のケース体40と、当該ケース体40の天面(投光器1の背面側の面)を開放する着脱自在な蓋体42と、を備え、いずれもアルミニウム合金から形成されており、表面には、腐蝕を抑える塗装やメッキなどの表面処理が施されている。
【0034】
図5は、投光器1の背面側の平面図である。
同図に示すように、結線ボックス4の蓋体42は、平面視略矩形状であり、複数のネジ43によってケース体40に締結されている。本実施形態では、蓋体42の四隅の4箇所と、上辺42A及び下辺42Bの中央部の2箇所がネジ43によって固定されている。かかる蓋体42の表面には、上辺42Aの中央部のネジ止め箇所を通って上下に延びる水抜き溝45が設けられており、かかる水抜き溝45によって、上辺42Aのネジ止め箇所から下方に向けて水が排出される。これにより、上辺42Aのネジ止め箇所での水溜まりを防止し、ネジ43の腐蝕を抑えることができる。
なお、本実施形態の蓋体42の裏面には、図示を省略するが、アース線が取り付けられる部位と、当該蓋体42の落下を防止する落下防止ワイヤーが取り付けられる部位とが設けられている。
【0035】
前掲図3に示すように、結線ボックス4の底面40Aには、外部配線5A、及び、ユニット間配線5Bを導入、固定するための複数のケーブルグランド44が配設されており、また、結線ボックス4の側面40Bが上記アーム8に回転自在に支持されている。
【0036】
図6は蓋体42を外した状態の結線ボックス4を示す斜視図であり、図7は蓋体42を外した状態の結線ボックス4の内部構成を示す断面図である。
図6に示すように、ケース体40の開口縁40Cには、ガスケットを組み付ける溝47が設けられており、ガスケットが組み付けられた開口縁40Cに蓋体42が密着することで、結線ボックス4が密閉される。
また、結線ボックス4の内部には、金属製のベース板46が蓋体42に対面配置されており、図7に示すように、当該ベース板46によって内部が前方DA側と後方DB側とに仕切られている。蓋体42に対面するベース板46の第1の面46Aには、結線用の端子台48や、サージ保護回路50などの各種の電子部品が設けられている。一方、図7に示すように、結線ボックス4の内部において、ベース板46の第1の面46Aと反対の側(光源ユニット2に近い側)には、光源ユニット2に電力を供給する電源装置52を収める電源スペースが設けられている。
【0037】
少なくともユニット間配線5Bの数分のケーブルグランド44が電源スペース53に対応する位置に設けられており、それらのケーブルグランド44を通して光源ユニット2から延びるユニット間配線5Bが電源スペース53に引き込まれ電源装置52に接続される。一方、電源装置52は、結線ボックス4の内部で上記端子台48に配線によって接続されている。また、残りのケーブルグランド44は、投光器1の施工時に、施工者が外部配線5Aを結線ボックス4に引き込むために用いられる。
【0038】
ここで、図7に示すように、上記ベース板46は、ケース体40の底面40Aに対向する底面対向部位46Bが、蓋体42から遠ざかる方向(前方DA)に曲がった屈曲形状となっている。ケース体40の底面40Aは、外部配線5Aが引き込まれる箇所であり、当該底面40Aに対向する底面対向部位46Bが上記屈曲形状を成すことで、結線ボックス4の内部における、外部配線5Aの導入空間が拡張されている。これにより、底面40Aのケーブルグランド44から引き込まれた外部配線5Aが結線ボックス4内に導入し易くなる。これに加え、側面視において、外部配線5Aを導入するケーブルグランド44の配置位置を、電源スペース53の側(蓋体42から遠ざかる側)に移動できるため、結線ボックス4の前後方向の厚みを薄くすることができ、小型化、及び軽量化を図ることができる。
【0039】
なお、ベース板46の底面対向部位46Bを曲げるのではなく、当該底面対向部位46Bに切り欠きを設けた構成によっても、当該底面対向部位46Bの屈曲形状と同様の効果が得られる。
しかしながら、板金から成るベース板46に切り欠きを形成した場合、切り欠きの断面のバリ取り処理が不十分であると、バリによって外部配線5Aが損傷する恐れがある。特に、投光器1が競技場の鉄塔に設置された場合、投光器1は、振動や揺れにさらされることが多いため、施工時に、施工者が切り欠きの断面のバリに注意を払いながら外部配線5Aを結線したとしても、施工後の振動や揺れによって、外部配線5Aが徐々にバリによって傷付けられる恐れもある。これに対し、ベース板46の底面対向部位46Bを曲げる構成においては、外部配線5Aが接触するのはベース板46の鈍角に曲がった部分であり、外部配線5Aが板金の切断面に接触することがないので、ベース板46によって外部配線5Aが傷付けられることがない。
【0040】
また、ベース板46の底面対向部位46Bは、曲げや切り欠きのほかに、板金切断面のバリが直接影響しない、例えばヘミング曲げやカーリング加工によって、蓋体42から遠ざかり、外部配線5Aの導入空間を拡張する形状に構成されてもよい。
【0041】
なお、本実施形態の投光器1において、結線ボックス4の電源スペース53に電源装置52が内蔵されているが、例えば電源別置型仕様の投光器1が要求される場合には、当該電源スペース53に電源装置52を収める必要はない。この場合、結線ボックス4の端子台48を通じて、別置された電源装置52と光源ユニット2とが接続されることとなる。
【0042】
接続具6は、投光器1の幅方向DD(図4)の両側に設けられた部材であり、図2に示すように、上下方向DCに並んだ複数の光源ユニット2を結合するとともに、これらの光源ユニット2に、距離LAだけ後方DBに離れた位置で結線ボックス4を連結する部材である。
【0043】
本実施形態の接続具6は、金属(例えばステンレスなど)の板材であり、表面には、耐蝕性を高めるための塗装やメッキ等の表面処理が施されている。
かかる接続具6は、後方DBに位置する一端部6Aが結線ボックス4の側面40Bに複数のネジ60で固定され、前方DAに位置する他端部6Bが各光源ユニット2の背面20Aにネジ62で固定される。
接続具6の他端部6Bには、図3に示すように、L字の曲げ加工によって形成されたネジ止め片6B1が形成されており、このネジ止め片6B1が光源ユニット2の背面20Aに面接触した状態でネジ62によって固定される。
これにより、接続具6の他端部6Bを、一端部6Aと同じように、光源ユニット2の側面にネジ止めする構成に比べ、接続具6が板状であっても、光源ユニット2を十分な強度で固定できる。
また、光源ユニット2と結線ボックス4のそれぞれの側面に板状の接続具6を固定する場合、これら光源ユニット2と結線ボックス4の幅を同じにする必要があり、光源ユニット2及び結線ボックス4の設計に制約が生じる。これに対し、本実施形態の構成によれば、かかる制約を生じさせることがない。
【0044】
図2に示すように、本実施形態の接続具6は、その面内に、第1の貫通孔66A、及び第2の貫通孔66Bが設けられている。これら第1の貫通孔66A、及び、第2の貫通孔66Bが設けられることで、投光器1の側方に板状の接続具6が配置された構成であっても、幅方向DDの通気性を確保することができ、また、接続具6の軽量化を図ることができる。
【0045】
第1の貫通孔66Aは、光源ユニット2に対応した位置に設けられており、本実施形態では、各光源ユニット2の間に1つずつ設けられている。第1の貫通孔66Aのそれぞれは、側面視において、上下に隣り合う各光源ユニット2の放熱フィン26に亘り、これらを臨める大きさに形成されており、第1の貫通孔66Aから取り込まれた空気によって放熱フィン26が効率良く冷却される。すなわち、第1の貫通孔66Aと放熱フィン26のフィン間の隙間が一直線上に並んでいる。これにより、第1の貫通孔66Aから取り込まれた空気によって放熱フィン26を効率良く冷却することができる。
【0046】
第2の貫通孔66Bは、光源ユニット2と結線ボックス4との間の隙間δ(図2)に対応した位置に設けられている。第2の貫通孔66Bは、側面視において、結線ボックス4の前方DA側の面4Aを臨める位置に形成されている。具体的には、上述のとおり、接続具6の一端部6Aは結線ボックス4の側面40Bに固定され、第2の貫通孔66Bは結線ボックス4の側面40Bの一部が側方から見える大きさで開口している。このため、当該隙間δに取り込まれた空気によって結線ボックス4が効率良く冷却される。また、結線ボックス4の内部において、前方DAの側には、上記電源スペース53が位置するため、当該電源スペース53に収められた電源装置52を効率良く冷却できる。
【0047】
投光器1においては、上述の通り、光源ユニット2の放熱フィン26が上下方向DCに延びるため、放熱フィン26付近では当該上下方向DCへの空気の流れが生じ易くなっており、また、第1の貫通孔66A、及び第2の貫通孔66Bでは、上下方向DCに直交する幅方向DDに空気の流れが生じ易くなっている。このように、上下方向DCと幅方向DDとの両方に空気が流れることで、いずれか一方に空気が流れる場合に比べ、放熱性能がより高められている。また、このように放熱性能が高まることで、光源ユニット2と結線ボックス4との間の距離LAを小さくしても、光源ユニット2及び結線ボックス4を十分に冷却できる。そして、距離LAが小さくなることで、器具全体もより小型軽量化できる。
さらに、例えば特許文献1に示されるように、アームの軸支点が光源ユニットの側にある構成では、当該アームが幅方向DDの通気の一部を遮る構造になっており、さらに、特定の傾き角度では、当該通気が大きく遮られることになる。
これに対し、本実施形態の投光器1は、光源ユニット2と結線ボックス4との間の隙間δより後ろにアーム8の軸支点8A1が位置し、また、側面視でアーム8が隙間δと重ならない構造であるため、いずれの傾き角度でも、アーム8が幅方向DDの通気を遮ることがないので、当該通気が常に確保された状態となっており、放熱の点でも一般的な投光器に比べて有利となっている。
【0048】
第1の貫通孔66A、及び、第2の貫通孔66Bの形状は任意であるが、接続具6の剛性や重量などを踏まえて、いずれも略三角形状となっている。
なお、光源ユニット2の数が1つの場合、第1の貫通孔66Aはなくてもよい。
【0049】
本実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0050】
本実施形態の投光器1は、複数の光源ユニット2と、電源装置52を収める電源スペース53を有する結線ボックス4と、結線ボックス4を回動自在に軸支し、設置面Eに固定されるアーム8と、光源ユニット2と結線ボックス4とを連結する接続具6と、を備えている。そして、結線ボックス4は、光源ユニット2の後方DB(背面側)に隙間δをあけて連結されており、アーム8が結線ボックス4を軸支する軸支点8A1は、結線ボックス4の上下方向DCの寸法の中心Oよりも下方に位置している。
【0051】
この構成によれば、アーム8が光源ユニット2を支持する構成に比べ、アーム8の設置面Eへのアーム8の固定点8C1から光源ユニット2までの距離が大きくなる。これにより、光源ユニット2を水平方向DHよりも下方に大きく傾けた場合でも、照射光がアーム8や設置面Eによって遮られ難くできる。
これに加え、アーム8が結線ボックス4を軸支する軸支点8A1は、結線ボックス4の上下方向DCの寸法の中心Oよりも下方に位置するため、光源ユニット2を下方、及び上方のどちらにも大きく傾けることができるようにするために確保すべき、軸支点8A1と固定点8C1との間の空間を狭めることができる。これにより、アーム8の上下方向の長さを短縮でき、投光器1の軽量化を図ることができる。
また、結線ボックス4が光源ユニット2に連結されているため、結線ボックス4が別体の構成に比べ、取り扱いが煩雑になることもない。
【0052】
本実施形態の投光器1において、接続具6は、第1の貫通孔66A及び第2の貫通孔66Bが設けられた板状部材である。
この構成によれば、光源ユニット2と結線ボックス4との間の空間が接続具6によって覆われても、当該空間の通気性が第1の貫通孔66A及び第2の貫通孔66Bによって確保される。これにより、光源ユニット2と結線ボックス4との距離LAを縮めても、放熱性能を高めることができ、また、第1の貫通孔66A及び第2の貫通孔66Bによって接続具6も軽量化される。
【0053】
本実施形態の投光器1において、光源ユニット2は放熱フィン26を備え、第1の貫通孔66Aは、側面視において放熱フィン26を臨む位置に形成されている。
これにより、第1の貫通孔66Aから取り込まれた空気によって放熱フィン26を効率良く冷却することができる。
【0054】
本実施形態の投光器1において、第2の貫通孔66Bは、側面視において結線ボックス4の光源ユニット2の側の面4Aを臨むように形成されている。
これにより、結線ボックス4と光源ユニット2との間の隙間δに取り込まれた空気によって結線ボックス4を効率良く冷却することができる。
【0055】
本実施形態の投光器1において、結線ボックス4は、内部を仕切るベース板46を備え、ベース板46の底面対向部位46Bは、結線ボックス4の内部における外部配線5Aの導入箇所の空間を拡張する形状になっている。
これにより、外部配線5Aが結線ボックス4内に導入し易くなる。
また、ベース板46の底面対向部位46Bの形状によって、結線ボックス4の前後方向の厚み方向に、上記導入箇所の空間が拡張される構成とすることで、結線ボックス4の厚みを薄くすることができ、小型化、及び軽量化を図ることができる。
【0056】
本実施形態の投光器1は、アーム8を除いた状態の重心が、側面視において、光源ユニット2と結線ボックス4の間に位置する。
【0057】
上述した実施形態は本発明の一様態を例示したものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、任意に変形及び応用が可能である。
【0058】
例えば、本発明の投光器1は、競技場の投光照明に限らず、任意の投光照明に用いることができる。
【0059】
上述した実施形態における水平、及び垂直等の方向や各種の数値、形状、材料は、特段の断りがない限り、それら方向や数値、形状、材料と同じ作用効果を奏する範囲(いわゆる均等の範囲)を含む。
【符号の説明】
【0060】
1 投光器
2 光源ユニット
4 結線ボックス
6 接続具
8 アーム
8A1 軸支点
8C 固定片
8C1 固定点
26 放熱フィン
46 ベース板
46B 底面対向部位
52 電源装置
66A 第1の貫通孔(貫通孔)
66B 第2の貫通孔(貫通孔)
DA 前方
DB 後方(背面側)
DC 上下方向
DD 幅方向
DE 出射方向
DH 水平方向
E 設置面
δ 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7